JP2015035480A - 半導体光素子モジュール - Google Patents

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Tatsuro Kurobe
立郎 黒部
康貴 比嘉
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康貴 比嘉
岩井 則広
Norihiro Iwai
則広 岩井
昌布 若葉
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昌布 若葉
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Abstract

【課題】複数のレーザ光間の変調の同期を維持できる半導体光素子モジュールを提供する。
【解決手段】半導体光素子モジュール101は、第1および第2の半導体レーザ素子211、212と、第1および第2の半導体レーザ素子から出力されたレーザ光をそれぞれ第1および第2の光出射端231、232へ導波する光導波路221、222とをモノリシック集積した半導体光素子と、第1および第2の光出射端から出射されるレーザ光を合波する光合波手段301とを備え、第2の半導体レーザ素子のレーザ光出射端から第2の光出射端までの光路長L2と第1の半導体レーザ素子のレーザ光出射端から第1の光出射端までの光路長L1との光路差が、第1の光出射端から光合波手段にてレーザ光が合波される合波点までの光路長と第2の光出射端から合波点までの光路長との光路差L3と等しい。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体光素子モジュールに関する。
光通信における通信速度の高速化に伴い、波長が異なるレーザ光を組み合わせて一つの情報列を送受信する伝送システムが普及している。例えば、1つの波長のレーザ光にて10Gbpsまたは25Gbps分の情報列を送受信するものとし、4つの波長のレーザ光を並列伝送することにより、40Gbpsまたは100Gbps分の情報列を送受信する伝送システムが規格化されている。そこで、本規格に適合すべく、波長が異なるレーザ光を組み合わせて一つの情報列を送信するための半導体光素子モジュールが各種提案されている(特許文献1、非特許文献1〜3参照)。
特開2011−003627号公報
黒川宗高、他10名、「光合波機能を一体化した100Gbit/s小型集積光送信モジュール」、2013年 電子情報通信学会総合大会 エレクトロニクス講演論文集1、p182 村尾覚志、他6名、「レーザ照射技術を用いた100GbE TOSA向けハイブリッド集積WDM光学系」、2013年 電子情報通信学会総合大会 エレクトロニクス講演論文集1、p266 Takaharu Ohyama,et al.「Compact 100GbE Transmitter Optical Sub-Assembly using Polarization Beam Combiner」,2013 18th OptoElectronics and Communications Conference
ところで、波長が異なるレーザ光を組み合わせて一つの情報列を送受信する場合、各レーザ光を同一のタイミングで変調および復調しなければならない。したがって、送信機側では、レーザ光間での変調の同期が維持されるように各レーザ光を合波する必要がある。しかしながら、各レーザ光を変調する変調器(直接変調の場合はレーザ光源自身)からレーザ光を合波する合波位置までの光路に光路差がある場合、各レーザ光間で波長が異なるレーザ光を組み合わせて送信された一つの情報列を受信側で正確に復調することができないという問題が生じる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で複数のレーザ光間の変調の同期を維持できる半導体光素子モジュールを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる半導体光素子モジュールは、第1および第2の半導体レーザ素子と、前記第1および第2の半導体レーザ素子から出力されたレーザ光をそれぞれ第1および第2の光出射端へ導波する光導波路とをモノリシック集積した半導体光素子と、前記第1および第2の光出射端から出射されるレーザ光を合波する光合波手段とを備え、前記第2の半導体レーザ素子のレーザ光出射端から前記第2の光出射端までの光路長と前記第1の半導体レーザ素子のレーザ光出射端から前記第1の光出射端までの光路長との光路差が、前記第1の光出射端から前記光合波手段にて前記レーザ光が合波される合波点までの光路長と前記第2の光出射端から前記合波点までの光路長との光路差と等しいことを特徴とする。
本発明にかかる半導体光素子モジュールは、上記発明において、前記光合波手段が、前記第1および第2の光出射端から出射されたレーザ光のうちいずれか一方の偏波面を回転させる偏波回転素子と、前記第1の光出射端から出射されたレーザ光を反射し、前記第2の光出射端から出射されたレーザ光を透過することにより、前記第1および第2の光出射端から出射されるレーザ光を合波する偏波合成光学素子とを備えることを特徴とする。
本発明にかかる半導体光素子モジュールは、上記発明において、前記半導体光素子は、第3および第4の半導体レーザ素子と、前記第1および第3の半導体レーザ素子から出力されたレーザ光を合波する第1の光合流素子と、前記第2および第4の半導体レーザ素子から出力されたレーザ光を合波する第2の光合流素子とをさらに集積し、前記第1および第3の半導体レーザ素子のレーザ光出射端から前記第1の光合流素子までの光路長が等しく、前記第2および第4の半導体レーザ素子のレーザ光出射端から前記第2の光合流素子までの光路長が等しいことを特徴とする。
本発明にかかる半導体光素子モジュールは、上記発明において、前記第1の光合流素子から前記第1の光射出端までの光導波路、および、前記第2の光合流素子から前記第2の光射出端までの光導波路の少なくとも一部は、曲げ光導波路を含むことを特徴とする。
本発明にかかる半導体光素子モジュールは、上記発明において、前記第1の光合流素子からレーザ光を出力する方向と、前記第2の光合流素子からレーザ光を出力する方向とは、互いに距離が離れる方向に向いていることを特徴とする。
本発明にかかる半導体光素子モジュールは、上記発明において、前記第1および第2の光合流素子は、前記第1および第2の光出射端へ結合しない補助光導波路が設けられ、前記補助光導波路の光出射端は、互いに距離が離れる方向に向いていることを特徴とする。
本発明にかかる半導体光素子モジュールは、上記発明において、前記第1および第2の光出射端近傍の光導波路は、前記第1および第2の光出射端に近づくに従い、前記光導波路を構成する光導波層の厚みが減少することを特徴とする。
本発明にかかる半導体光素子モジュールは、上記発明において、前記第1の半導体レーザ素子から前記第1の光出射端までの光導波路および前記第2の半導体レーザ素子から前記第2の光出射端までの光導波路の少なくとも一方に設けられ、前記光導波路の屈折率を変化させるための電界または熱を該光導波路に与える電極を備えることを特徴とする。
本発明にかかる半導体光素子モジュールは、複数のレーザ光間の変調の同期を維持できるという効果を奏する。
図1は、実施形態1の半導体光素子モジュールの概略平面図である。 図2は、実施形態2の半導体光素子モジュールの概略平面図である。 図3は、実施形態3の半導体光素子モジュールの概略平面図である。 図4は、実施形態4の半導体光素子モジュールの概略平面図である。 図5は、実施形態5の半導体光素子モジュールの概略平面図である。 図6は、実施形態6の半導体光素子モジュールの概略平面図である。 図7は、実施形態7の半導体光素子モジュールの概略平面図である。 図8は、実施形態8の半導体光素子モジュールの概略平面図である。 図9は、実施形態9の半導体光素子モジュールの概略平面図である。 図10は、図11〜図16の断面図の断面位置およびA−A断面線における断面を模式的に示す図である。 図11は、図10に示されるB−B断面線における模式断面図である。 図12は、図10に示されるC−C断面線における模式断面図である。 図13は、図10に示されるD−D断面線における模式断面図である。 図14は、図10に示されるE−E断面線における模式断面図である。 図15は、図10に示されるF−F断面線における模式断面図である。 図16は、図10に示されるG−G断面線における模式断面図である。
以下に、図面を参照して本発明にかかる半導体光素子モジュールの実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。さらに、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係や比率などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
〔実施形態1〕
図1は、実施形態1の半導体光素子モジュール101の概略平面図である。図1に示されるように、実施形態1の半導体光素子モジュール101は、主要構成要素として、半導体光素子201と光合波手段301とを備える。
半導体光素子201は、第1の半導体レーザ素子211と、第2の半導体レーザ素子212と、第1の光導波路221と、第2の光導波路222とをモノリシック集積した半導体チップである。第1の光導波路221は、第1の半導体レーザ素子211から出力されたレーザ光を第1の光出射端231へ導波する光導波路であり、第2の光導波路222は、第2の半導体レーザ素子212から出力されたレーザ光を第2の光出射端232へ導波する光導波路である。
光合波手段301は、第1の光出射端231から出射されたレーザ光と第2の光出射端232から出射されたレーザ光とを合波するデバイスであり、いわゆる光カプラまたはビームコンバイナ等が用いられる。第1の光出射端231および第2の光出射端232と光合波手段301との間には、それぞれ第1のコリメータレンズ111および第2のコリメータレンズ112が配置されている。第1の光出射端231から出射されたレーザ光および第2の光出射端232から出射されたレーザ光は、それぞれ第1のコリメータレンズ111および第2のコリメータレンズ112によりコリメートされた後に光合波手段301へ入射される。
光合波手段301と半導体光素子モジュール101の出力部114との間には、第3のコリメータレンズ113が配置されており、光合波手段301により合波されたレーザ光は、第3のコリメータレンズ113を介して、半導体光素子モジュール101の出力部114へ出力される。出力部114には、光ファイバ116が接続されている。第3のコリメータレンズ113は、合波されたレーザ光を光ファイバ116に結合する。光ファイバ116により、半導体光素子モジュール101が出力するレーザ光が他の装置へ伝搬される。
光合波手段301は、第1の半導体レーザ素子211が出力したレーザ光に対する光路の光路長と、第2の半導体レーザ素子212が出力したレーザ光に対する光路の光路長とにおいて、光路差L3を有する。光合波手段301は、第1の光出射端231から合波点Pまでの光路と、第2の光出射端232から合波点Pまでの光路との間で物理的距離および光学素子の構成が異なり、これら物理的距離と光学素子の屈折率等に依存して光路長も異なる。ここでは、第1の光出射端231から合波点Pまでの光路に含まれるすべての光学素子を考慮した光路長と、第2の光出射端232から合波点Pまでの光路に含まれるすべての光学素子を考慮した光路長との差を、光合波手段301の光路差L3としている。なお、図1に示される光路は模式的なものであり、必ずしも光路差L3は、図1に示されるような単純な直線状の長さとはならない。しかしながら、光路差L3は、光合波手段301の具体的構成により定まる定数である。
光合波手段301が光路差L3を有することにより、同時に出力された第1の半導体レーザ素子211のレーザ光と第2の半導体レーザ素子212のレーザ光とが、合波点Pに異なる時刻で到達することになる。これにより、波長が異なるレーザ光を組み合わせて送信された一つの情報列を受信側で正確に復調することができなくなる。
そこで、実施形態1の半導体光素子モジュール101は、第2の半導体レーザ素子212のレーザ光出射端から第2の光出射端232までの光路長L2と、第1の半導体レーザ素子211のレーザ光出射端から第1の光出射端231までの光路長L1と、の光路差(L2−L1)が、光路差L3に等しくなるように構成されている。例えば、第2の光導波路222を曲げ光導波路とし、第2の光導波路222の光路長が第1の光導波路221の光路長よりも長くなるようにすることで、光路差(L2−L1)が、光路差L3に等しくなるように構成できる。
以上のように、実施形態1の半導体光素子モジュール101では、第2の半導体レーザ素子212のレーザ光出射端から第2の光出射端232までの光路長L2と第1の半導体レーザ素子211のレーザ光出射端から第1の光出射端231までの光路長L1との光路差(L2−L1)が光路差L3に等しいので、変調された複数のレーザ光を合波する際に、レーザ光間の変調の同期を維持することができる。
〔実施形態2〕
図2は、実施形態2の半導体光素子モジュール102の概略平面図である。図2に示されるように、実施形態2の半導体光素子モジュール102は、主要構成要素として、半導体光素子202と光合波手段302とを備える。
実施形態2の半導体光素子モジュール102では、光合波手段302に偏波合成が用いられる。一方、半導体光素子202は、実施形態1の半導体光素子201と共通構成である。したがって、以下の説明では、実施形態1の半導体光素子モジュール101と共通の構成については、適宜説明を省略する。
図2に示されるように、光合波手段302は、ミラー311と、1/2波長板312と、偏光ビームコンバイナ313とを備える。
第1の光出射端231から出射されたレーザ光と、第2の光出射端232から出射されたレーザ光とは、偏波面が同一方向(TE偏波)の偏光である。1/2波長板312は、第1の光出射端231から出射されたレーザ光および第2の光出射端232から出射されたレーザ光のうちいずれか一方の偏波面を回転するための光学素子である。
図2に示される光合波手段302では、第1の光出射端231から出射されたレーザ光の偏波面を回転することができるように、第1の光出射端231と偏光ビームコンバイナ313との間に、1/2波長板312が配置されている。なお、図2に示される光合波手段302では、ミラー311と偏光ビームコンバイナ313との間に、1/2波長板312が配置されているが、本実施形態の適用は、この配置に限定されるものではない。
偏光ビームコンバイナ313は、偏光面が直交する2つの偏光を合波する偏波合成光学素子である。図2に示される光合波手段302では、偏光ビームコンバイナ313は、第2のコリメータレンズ112と第3のコリメータレンズ113とを結ぶ直線状の光路上に配置されている。したがって、偏光ビームコンバイナ313は、第2の光出射端232から出射されたレーザ光を透過する。一方、偏光ビームコンバイナ313は、1/2波長板312により偏光面が回転され、TM偏波とされた第1の光出射端231から出射されたレーザ光を反射する。
ミラー311は、第1の光出射端231から出射されたレーザ光が偏光ビームコンバイナ313にて反射されるように、第1の光出射端231から出射されたレーザ光の光路を調整する役割を担っている光学素子である。上記の配置により、第1の光出射端231から出射されたレーザ光と第2の光出射端232から出射されたレーザ光が偏光ビームコンバイナ313の合波点Pにて偏波合成される。
なお、図2では、電界成分が偏光ビームコンバイナ313の入射面に対し横向きであるTE偏波が1点鎖線で示され、磁界成分が偏光ビームコンバイナ313の入射面に対し横向きであるTM偏波が2点鎖線で示されている。
図2に示されるように、実施形態2の光合波手段302では、第1の光出射端231から出射されたレーザ光が合波点Pに到達するまでの光路長と、第2の光出射端232から出射されたレーザ光が合波点Pに到達するまでの光路長との間に光路差が存在する。しかしながら、実施形態2の半導体光素子202は、実施形態1の半導体光素子201と同様の内部構成を有することにより、変調された複数のレーザ光を合波する際に、レーザ光間の変調の同期を維持することができる。
また、図2に示されるように、実施形態2の半導体光素子モジュール102は、半導体光素子202と光合波手段302との間に、光アイソレータ115を備える。光アイソレータ115は、戻り光など光路を逆行する光を遮断し、半導体光素子モジュール102が外乱または損傷を受けないように保護するためのものである。光アイソレータ115は、半導体光素子202と光合波手段302との間に配置されている。光アイソレータ115を通過する2つのレーザ光はいずれもTE偏波であるから、光アイソレータ115としてはより簡易な構成である偏光依存型光アイソレータを用いることが可能である。
以上のように、実施形態2の半導体光素子モジュール102では、光合波手段302が第1の光出射端231から出射されたレーザ光の偏波面を回転させる1/2波長板312と、第1の光出射端231から出射されたレーザ光を反射し、第2の光出射端232から出射されたレーザ光を透過する偏光ビームコンバイナ313とを備えるので、原理上の損失がなく、第1の光出射端231から出射されたレーザ光と第2の光出射端232から出射されたレーザ光が合波される。
〔実施形態3〕
図3は、実施形態3の半導体光素子モジュール103の概略平面図である。図3に示されるように、実施形態3の半導体光素子モジュール103は、主要構成要素として、半導体光素子203と光合波手段303とを備える。
実施形態3の半導体光素子モジュール103は、実施形態1の半導体光素子201が半導体光素子203に変更されたものである。光合波手段303は光合波手段301と同一の構成とすることができる。したがって、以下の説明では、実施形態1の半導体光素子モジュール101と共通の構成については、適宜説明を省略する。
図3に示されるように、実施形態3の半導体光素子203は、第1の半導体レーザ素子211と第2の半導体レーザ素子212と第3の半導体レーザ素子213と第4の半導体レーザ素子214と、第1の光合流素子241と、第2の光合流素子242とが集積されている。さらに、半導体光素子203は、第1の光導波路223と、第2の光導波路224と、第3の光導波路225と、第4の光導波路226と、第5の光導波路227と、第6の光導波路228とが集積されている。
第1の光合流素子241は、第1の半導体レーザ素子211および第3の半導体レーザ素子213から出力されたレーザ光を半導体光素子203内で合波する半導体合波素子であり、第2の光合流素子242は、第2の半導体レーザ素子212および第4の半導体レーザ素子214から出力されたレーザ光を半導体光素子203内で合波する半導体合波素子である。例えば、第1の光合流素子241および第2の光合流素子242は、MMI(Multi Mode Interferometer)カプラであり、その他、スターカプラ、フネルカプラ、またはY分岐カプラなどが用いられ得る。
第1の光導波路223は、第1の光合流素子241と第1の光出射端231との間を結ぶ光導波路であり、第2の光導波路224は、第2の光合流素子242と第2の光出射端232との間を結ぶ光導波路である。第3の光導波路225は、第1の半導体レーザ素子211と第1の光合流素子241との間を結ぶ光導波路であり、第4の光導波路226は、第3の半導体レーザ素子213と第1の光合流素子241との間を結ぶ光導波路である。第3の光導波路225と第4の光導波路226とは、光路長が等しい。また、第5の光導波路227は、第2の半導体レーザ素子212と第2の光合流素子242との間を結ぶ光導波路であり、第6の光導波路228は、第4の半導体レーザ素子214と第2の光合流素子242との間を結ぶ光導波路である。第5の光導波路227と第6の光導波路228とは、光路長が等しい。
図3に示されるように、実施形態3の光合波手段303が光路差L3を有することにより、同時に出力された第1の半導体レーザ素子211、第2の半導体レーザ素子212、第3の半導体レーザ素子213、および第4の半導体レーザ素子214のレーザ光が、光合波手段303にて合波される合波点Pに異なる時刻で到達することになる。そこで、実施形態3の半導体光素子モジュール103は、第2の光導波路224の光路長L2および第5の光導波路227の光路長L5の和(L2+L5)と第1の光導波路223の光路長L1および第3の光導波路225の光路長L4の和(L1+L4)との光路差(L2+L5−L1−L4)が光路差L3に等しくなるように構成されている。
上記の構成とすることにより、実施形態3の半導体光素子203では、同時に出力された第1〜4の半導体レーザ素子211、212、213、214のレーザ光のすべてが、合波点Pに同時刻で到達する。なお、上記関係から明らかなように、第3の光導波路225の光路長L4と第5の光導波路227の光路長L5とが等しい場合、第2の光導波路224の光路長L2と第1の光導波路223の光路長L1との光路差(L2−L1)が光路差L3に等しくなるように構成すればよい。
以上のように、実施形態3の半導体光素子203では、同時に出力された第1の半導体レーザ素子211、第2の半導体レーザ素子212、第3の半導体レーザ素子213、および第4の半導体レーザ素子214のレーザ光が、光合波手段303にて合波される合波点Pに同時刻で到達するので、変調された複数のレーザ光を合波する際に、レーザ光間の変調の同期を維持することができる。
〔実施形態4〕
図4は、実施形態4の半導体光素子モジュール104の概略平面図である。図4に示されるように、実施形態4の半導体光素子モジュール104は、主要構成要素として、半導体光素子204と光合波手段304とを備える。
実施形態4の半導体光素子モジュール104は、実施形態3の半導体光素子203が半導体光素子204に変更されたものである。光合波手段304は光合波手段303と同一の構成とすることができる。したがって、以下の説明では、実施形態3の半導体光素子モジュール103と共通の構成については、適宜説明を省略する。
図4に示されるように、実施形態4の半導体光素子204において、第1の光導波路223および第2の光導波路224は、曲げ光導波路として構成されている。第1の光合流素子241および第2の光合流素子242としてMMIカプラを用いた場合、第1の光合流素子241および第2の光合流素子242の出力端周辺から漏れ光(図中太矢印で示される)が発生することが知られている。しかもこの漏れ光が本来の光路へ混入した場合、外乱となって通信品質を劣化させてしてしまう。
そこで、実施形態4の半導体光素子204では、第1の光導波路223および第2の光導波路224を曲げ光導波路として構成することにより、第1の光合流素子241および第2の光合流素子242の出力端周辺から発生する漏れ光が光合波手段304へ混入し、さらに出力部114を介して半導体光素子モジュール104の外部へ出力されないように構成されている。
なお、図4に示されるように、第2の光導波路224は、第1の光導波路223よりも光導波路の曲率が大きい。その1つの理由は、光合波手段304の光路差を補償するように、第2の光導波路224の光路長を第1の光導波路223の光路長よりも長くする必要があるためである。
さらに、もう1つの理由は、第2の光合流素子242の出力端周辺から発生する漏れ光は、第1の光合流素子241の出力端周辺から発生する漏れ光よりも影響が大きいためである。例えば、実施形態2のように、光合波手段304に偏波合成を用いた場合、第2の光合流素子242の出力端周辺から発生する漏れ光は、光合波手段304内部を直線的に伝搬するのに対し、第1の光合流素子241の出力端周辺から発生する漏れ光は、光合波手段304内部で反射されて伝搬する。反射された漏れ光は、第1の光導波路223を導波して第1の光出射端231から出力されたレーザ光とは異なる角度で反射されたものなので、本来の光路に混入しにくい。これに対して、光合波手段304内部を直線的に伝搬する光路では、光の伝搬方向と漏れ光の伝搬方向とが成す角が小さいので、漏れ光がより混入しやすい。そこで、第1の光導波路223よりも第2の光導波路224の曲率を大きくし、第2の光合流素子242の出力端周辺から発生する漏れ光による影響をより受けにくい構成が採用されている。
以上のように、実施形態4の半導体光素子モジュール104は、第1の光導波路223および第2の光導波路224が曲げ光導波路として構成されているので、第1の光合流素子241および第2の光合流素子242の出力端周辺から発生する漏れ光による影響が抑制されている。
〔実施形態5〕
図5は、実施形態5の半導体光素子モジュール105の概略平面図である。図5に示されるように、実施形態5の半導体光素子モジュール105は、主要構成要素として、半導体光素子205と光合波手段305とを備える。
実施形態5の半導体光素子モジュール105は、実施形態3の半導体光素子203が半導体光素子205に変更されたものである。光合波手段305は光合波手段303と同一の構成とすることができる。したがって、以下の説明では、実施形態3の半導体光素子モジュール103と共通の構成については、適宜説明を省略する。
図5に示されるように、実施形態5の半導体光素子204は、第1の光合流素子241からレーザ光を出力する方向と、第2の光合流素子242からレーザ光を出力する方向とが、互いに距離が離れる方向に向いている。したがって、第1の光合流素子241の出力端周辺から発生する漏れ光が第2の光出射端232を介して光合波手段305へ混入しにくく、また、第2の光合流素子242の出力端周辺から発生する漏れ光が第1の光出射端231を介して光合波手段305へ混入しにくい。
以上のように、実施形態5の半導体光素子モジュール105は、第1の光合流素子241からレーザ光を出力する方向と、第2の光合流素子242からレーザ光を出力する方向とが、互いに距離が離れる方向に向いているので、第1の光合流素子241および第2の光合流素子242の出力端周辺から発生する漏れ光による影響が抑制されている。
〔実施形態6〕
図6は、実施形態6の半導体光素子モジュール106の概略平面図である。図6に示されるように、実施形態6の半導体光素子モジュール106は、主要構成要素として、半導体光素子206と光合波手段306とを備える。
実施形態6の半導体光素子モジュール106は、実施形態3の半導体光素子203が半導体光素子206に変更されたものである。光合波手段306は光合波手段303と同一の構成とすることができる。したがって、以下の説明では、実施形態3の半導体光素子モジュール103と共通の構成については、適宜説明を省略する。
図6に示されるように、実施形態6の半導体光素子206では、第1の補助光導波路251および第2の補助光導波路252がさらに集積されている。第1の補助光導波路251の一方の端部は、第1の光合流素子241の出力端における第1の光導波路223の接続位置以外の位置に接続され、もう一方の端部は、第1の光出射端231へ接続せず、半導体光素子206の外部方向を向いている。同様に、第2の補助光導波路252の一方の端部は、第2の光合流素子242の出力端における第2の光導波路224の接続位置以外の位置に接続され、もう一方の端部は、第2の光出射端232へ接続せず、半導体光素子206の外部方向を向いている。第1の補助光導波路251および第2の補助光導波路252の光出射端は、互いに距離が離れる方向を向いている。
上記構成により、第1の光合流素子241の出力端周辺から発生する漏れ光は、第1の補助光導波路251に誘導され、第2の光出射端232から遠ざかる方向に導波される。また、第2の光合流素子242の出力端周辺から発生する漏れ光は、第2の補助光導波路252に誘導され、第1の光出射端231から遠ざかる方向に導波される。したがって、第1の光合流素子241の出力端周辺から発生する漏れ光が第2の光出射端232を介して光合波手段306へ混入しにくく、また、第2の光合流素子242の出力端周辺から発生する漏れ光が第1の光出射端231を介して光合波手段306へ混入しにくい。
以上のように、実施形態6の半導体光素子モジュール106は、第1の光出射端231へ結合しない第1の補助光導波路251が第1の光合流素子241に設けられ、第2の光出射端232へ結合しない第2の補助光導波路252が第2の光合流素子242に設けられ、第1の補助光導波路251および第2の補助光導波路252は、互いに距離が離れる方向に向いているので、第1の光合流素子241および第2の光合流素子242の出力端周辺から発生する漏れ光による影響が抑制されている。
〔実施形態7〕
図7は、実施形態7の半導体光素子モジュール107の概略平面図である。図7に示されるように、実施形態7の半導体光素子モジュール107は、主要構成要素として、半導体光素子207と光合波手段307とを備える。
実施形態7の半導体光素子モジュール107は、実施形態1の半導体光素子201が半導体光素子207に変更されたものである。光合波手段307は光合波手段301と同一の構成とすることができる。したがって、以下の説明では、実施形態1の半導体光素子モジュール101と共通の構成については、適宜説明を省略する。
図7に示されるように、実施形態7の半導体光素子207では、第1の光出射端231近傍の第1の光導波路261に第1のスポットサイズ変換部271が設けられ、第2の光出射端232近傍の第2の光導波路262に第2のスポットサイズ変換部272が設けられている。
第1のスポットサイズ変換部271および第2のスポットサイズ変換部272は、第1の光出射端231および第2の光出射端232に近づくに従い、光導波路の厚みが減少している。
直接変調型の半導体レーザは、縦方向(導波路の厚さ方向)に対する光の閉じ込めが強く、ビームが広がり易いという特徴を有する。結果、第1の光出射端231および第2の光出射端232から出射されるレーザ光をそれぞれ第1のコリメータレンズ111および第2のコリメータレンズ112に結合する際に、結合損失が発生し易い。
そこで、実施形態7の半導体光素子207では、第1の光出射端231近傍の第1の光導波路261および第2の光出射端232近傍の第2の光導波路262に、それぞれ第1のスポットサイズ変換部271および第2のスポットサイズ変換部272を設け、出射されるレーザ光のスポットサイズを変換している。
図7に示されるように、実施形態7の半導体光素子モジュール107は、第2の光導波路262の光路長L2および第2のスポットサイズ変換部272の光路長L7の和(L2+L7)と第1の光導波路261の光路長L1および第1のスポットサイズ変換部271の光路長L6の和(L1+L6)との光路差(L2+L7−L1−L6)が光路差L3に等しくなるように構成されている。
上記のように構成することにより、実施形態7の半導体光素子207では、同時に出力された第1の半導体レーザ素子211および第2の半導体レーザ素子212のレーザ光が、光合波手段307にて合波される合波点Pに同時刻で到達する。なお、上記関係から明らかなように、第1のスポットサイズ変換部271の光路長L6と第2のスポットサイズ変換部272の光路長L7とが等しい場合、第2の光導波路262の光路長L2と第1の光導波路261の光路長L1との光路差(L2−L1)が光路差L3に等しくなるように構成すればよい。
以上のように、実施形態7の半導体光素子モジュール107は、第1の光出射端231近傍の第1の光導波路261および第2の光出射端232近傍の第2の光導波路262に、それぞれ第1のスポットサイズ変換部271および第2のスポットサイズ変換部272を設けているので、第1のコリメータレンズ111および第2のコリメータレンズ112に結合する際に、結合損失が抑制される。
〔実施形態8〕
図8は、実施形態8の半導体光素子モジュール108の概略平面図である。図8に示されるように、実施形態8の半導体光素子モジュール108は、主要構成要素として、半導体光素子208と光合波手段308とを備える。
実施形態8の半導体光素子モジュール108は、実施形態1の半導体光素子201が半導体光素子208に変更されたものである。光合波手段308は光合波手段301と同一の構成とすることができる。したがって、以下の説明では、実施形態1の半導体光素子モジュール101と共通の構成については、適宜説明を省略する。
図8に示されるように、実施形態8の半導体光素子208は、第1の半導体レーザ素子211から第1の光出射端231までを結ぶ第1の光導波路281および第2の半導体レーザ素子212から第2の光出射端232までを結ぶ第2の光導波路282の少なくとも一方に設けられ、電界または熱を光導波路に与える電極283を備える。なお、電極283は、ドライバ284により駆動される。
半導体の屈折率は、温度に依存して変化する。そして、光導波路の屈折率が変化した場合は、実際の長さが変化しなくても、光路長が変化する。そこで、実施形態8の半導体光素子208は、第1の光導波路281および第2の光導波路282の少なくとも一方の屈折率を変化させる手段として電極283を備える。
以上のように、実施形態8の半導体光素子208は、第1の光導波路281および第2の光導波路282の少なくとも一方の屈折率を変化させる手段として電極283を備えるので、半導体光素子208の製造後であっても、事後的に光合波手段308の光路差に適合させることができる。これによって、他の実施形態の場合と同様に、変調された複数のレーザ光を合波する際に、レーザ光間の変調の同期を維持することができる。
〔実施形態9〕
図9は、実施形態9の半導体光素子モジュール109の概略平面図である。図9に示されるように、実施形態9の半導体光素子モジュール109は、主要構成要素として、半導体光素子209と光合波手段309とを備える。
実施形態9の半導体光素子モジュール109は、実施形態2〜4および実施形態7が有する技術的特徴を組み合わせて構成されたものである。以下では、実施形態9の半導体光素子モジュール109を用いて、半導体光素子209および光合波手段309のより具体的な構成について説明を行う。なお、以下の説明では、実施形態2〜4および実施形態7と共通の構成については、適宜説明を省略する。
図9に示されるように、光合波手段309は、偏波合成を用いてレーザ光を合波する。したがって、光合波手段309は、実施形態2と同様に、ミラー311と、1/2波長板312と、偏光ビームコンバイナ313とを備えている。
ミラー311、1/2波長板312、および偏光ビームコンバイナ313は、組み立てる際の作業スペースに配慮した間隔で配置されており、光合波手段309全体として、光路差L3が500μmとなっている。ここで、光路差L3とは、第1の光出射端231から偏光ビームコンバイナ313の合波点Pまでの光路長と第2の光出射端232から偏光ビームコンバイナ313の合波点Pまでの光路長との光路差である。また、光路差L3の500μmは、1/2波長板312および偏光ビームコンバイナ313などの屈折率なども考慮した光学的な光路差である。
図9に示されるように、半導体光素子209は、第1の半導体レーザ素子211、第2の半導体レーザ素子212、第3の半導体レーザ素子213、および第4の半導体レーザ素子214から出力されたレーザ光を、半導体光素子209の内部で第1の光合流素子241および第2の光合流素子242により2つのレーザ光に合波し、半導体光素子209の外部で光合波手段309により1つのレーザ光に合波する構成である。
半導体光素子209では、第1の半導体レーザ素子211、第2の半導体レーザ素子212、第3の半導体レーザ素子213、および第4の半導体レーザ素子214として、DR(Distributed Reflector)レーザ素子が用いられており、第1の光合流素子241および第2の光合流素子242として、MMIカプラが用いられている。
光カプラを用いてレーザを合波する場合、ある程度の光損失は避けられないので、高強度のレーザ光を出力できるレーザ素子を用いる必要がある。この点、DRレーザ素子は、高強度のレーザ光を出力できるので好適である。また、MMIカプラは、作製上のトレランスが大きく波長依存性が小さいという利点がある。
なお、第1の半導体レーザ素子211、第2の半導体レーザ素子212、第3の半導体レーザ素子213、および第4の半導体レーザ素子214の発振波長は、それぞれ1295nm、1300nm、1305nm、および1310nmとしている。これら発振波長は、イーサネット(登録商標)における100Gbit通信規格で定められた波長である。
第1の光合流素子241および第2の光合流素子242と第1のスポットサイズ変換部271および第2のスポットサイズ変換部272との間は、それぞれ第1の光導波路261および第2の光導波路262により接続されている。また、第1の光導波路261および第2の光導波路262は、いずれも曲げ光導波路として構成されている。
第1の光導波路261の光路長L1と第2の光導波路262の光路長L2との光路差は、156μmである。この値は、上述の光路差L3=500μmより、第1の光導波路261および第2の光導波路262の屈折率である3.2を除して求めた値である。このように、半導体の屈折率は空気よりも大きいので、光合波手段309により生じる光路差を半導体光素子209の内部では効率良く補償することができる。
第1の光合流素子241および第2の光合流素子242の配置は、それぞれ第1の光出射端231および第1の光出射端231における光軸の延長線から200μm以上、半導体光素子209の外側に離れた位置である。第1の光合流素子241および第2の光合流素子242の出力端周辺から発生する漏れ光による影響を抑制するためである。なお、第1の光合流素子241および第2の光合流素子242の出力端周辺から発生する漏れ光対策として、実施形態5のように第1の光合流素子241および第2の光合流素子242の角度を変える、または、実施形態6のように補助光導波路を設けるなどの方法を用いてもよい。
以上のように、本実施形態によれば、光合波手段309が光路差L3=500μmを有しているにも拘らず、半導体光素子209内における光導波路の光路差を調整することにより、半導体光素子モジュール109全体としての出力において、異なる波長のレーザ光間での同期が維持される。なお、本実施形態は、上記説明した例に限らず、光合波手段309が光路差を有している場合に、半導体光素子209内の光路長を意図的に設けることによって、光合波手段309の光路差を相殺する構成とすることができる。本実施形態では、光合波手段309またはこれに付随する光学素子によって光合波手段309の光路長が調整された構成ではなく、半導体光素子209内における光導波路の光路差が調整されて、光合波手段309の光路差を相殺している構成なので、光素子モジュール109全体としての構成が簡易であり、組み立ても容易である。
〔断面構造〕
ここで、図10〜図16を参照しながら、実施形態9の半導体光素子209の断面構造について説明する。以下の説明では、横方向の光導波構造としては、作製が容易なリッジ構造を用いた半導体光素子の断面構造が用いられるが、ハイメサ構造または埋め込み構造を用いた実施形態であっても本発明を適切に実施可能である。また、以下の説明では、半導体レーザ素子や導波路など同一構成で複数のものが集積されている場合、適宜省略した説明がなされている。
図10は、図11〜図16の断面図の断面位置およびA−A断面線における断面を模式的に示す図である。図11は、図10に示されるB−B断面線における模式断面図である。図12は、図10に示されるC−C断面線における模式断面図である。図13は、図10に示されるD−D断面線における模式断面図である。図14は、図10に示されるE−E断面線における模式断面図である。図15は、図10に示されるF−F断面線における模式断面図である。図16は、図10に示されるG−G断面線における模式断面図である。
図10に示されるように、半導体光素子209の光導波路方向の断面は全体的にほぼ同一の厚さの層構造を有している。したがって、半導体光素子209は、バットジョイント再成長工程を用いて各構成要素を集積することが可能である。なお、第2のスポットサイズ変換部272は、光出射端に近づくにつれて膜厚が薄くなる構造を有しているが、バットジョイント再成長工程において選択成長のマスクパターンの形状を変化させることにより当該構造を形成することが可能である。
図11に示されるように、第1の光導波路261の断面構造は、裏面から表面へ順に、n側電極401、第2n型クラッド層402、第1n型クラッド層404、コア層406、第1p型クラッド層407、第2p型クラッド層408、コンタクト層409、および絶縁層410が積層された層構造を有している。
第2n型クラッド層402は、n型InPからなる基板として形成されており、第1n型クラッド層404は、n型InPを第2n型クラッド層402上に積層して形成される。コア層406は、GaInAsPまたはAlGaInAsからなる光導波層であり、使用する波長帯のレーザ光に対して透明となるように組成されている。つまり、コア層406のバンドギャップ波長は、1295nm、1300nm、1305nm、および1310nmのうち最短波長である1295nmよりも短い波長となっている。
第1p型クラッド層407および第2p型クラッド層408は、p型InPからなり、図11に示されるように、第1p型クラッド層407は、コア層406上に均質に形成され、第2p型クラッド層408は、第1p型クラッド層407上にリッジ構造として形成される。したがって、第2p型クラッド層408のリッジ構造に関する幅が、ほぼ第1の光導波路261の光導波路としての幅となる。
リッジ構造を形成する第2p型クラッド層408の上部には、コンタクト層409が形成され、リッジ構造を形成する第2p型クラッド層408およびコンタクト層409と第1p型クラッド層407とが全体的に絶縁層410により絶縁されている。なお、平坦化ポリマー412は、リッジ構造などの突出部が損傷を受けないように半導体光素子209の上面を平坦化するためのものである。
図12に示されるように、第1のスポットサイズ変換部271の断面構造は、裏面から表面へ順に、n側電極401、第2n型クラッド層402、第1n型クラッド層404、コア層406、第1p型クラッド層407、第2p型クラッド層408、コンタクト層409、および絶縁層410が積層された層構造を有している。
したがって、第1のスポットサイズ変換部271の断面構造は、第1の光導波路261の断面構造と同じ層構成を有している。しかしながら、図11と比較すると解るように、第1のスポットサイズ変換部271におけるコア層406の厚さは、第1の光導波路261におけるコア層406の厚さよりも薄い。また、第1のスポットサイズ変換部271の断面位置が第1の光出射端231へ近づくほどに、第1のスポットサイズ変換部271のコア層406は、層の厚さが小さくなる。
図13に示されるように、第3の光導波路225および第4の光導波路226の断面構造は、裏面から表面へ順に、n側電極401、第2n型クラッド層402、第1n型クラッド層404、コア層406、第1p型クラッド層407、第2p型クラッド層408、コンタクト層409、および絶縁層410が積層された層構造を有し、第1の光導波路261の断面構造を2つ並べたような構成である。
ただし、第3の光導波路225および第4の光導波路226の断面構造は、第2p型クラッド層408などからなるリッジ構造が分離されているものの、コア層406などは、物質的に分離されてはいない。第2p型クラッド層408のリッジ構造に関する幅が、ほぼ第3の光導波路225および第4の光導波路226としての幅となるからである。
図14に示されるように、第1の光合流素子241としてのMMIカプラの断面構造は、裏面から表面へ順に、n側電極401、第2n型クラッド層402、第1n型クラッド層404、コア層406、第1p型クラッド層407、第2p型クラッド層408、コンタクト層409、および絶縁層410が積層された層構造を有し、第1の光導波路261の断面構造を幅広にした構成となっている。
第3の光導波路225および第4の光導波路226からMMIカプラに入力されたシングルモードのレーザ光は、リッジ構造としての第2p型クラッド層408の幅が広いことにより、MMIカプラの内部のコア層406においてマルチモードのレーザ光に変換される。第3の光導波路225および第4の光導波路226から入力されたレーザ光はマルチモードの状態で合波され、MMIカプラの出力端部で1つのシングルモードのレーザ光に結像される。結果、第3の光導波路225および第4の光導波路226からMMIカプラに入力されたシングルモードのレーザ光は、合波され、シングルモードのレーザ光として第1の光導波路261へ出力される。
このように、第1の光合流素子241としてのMMIカプラは、層構造が光導波路と同様であるので、半導体光素子209に集積する際に製造上の利点がある。
図15に示されるように、第2の半導体レーザ素子212の断面構造は、裏面から表面へ順に、n側電極401、第2n型クラッド層402、第1n型クラッド層404、活性層405、第1p型クラッド層407、第2p型クラッド層408、コンタクト層409、およびp側電極411が積層された層構造を有する。また、第1n型クラッド層404内には、回折格子層403が形成されている。第2の半導体レーザ素子212の断面構造は、コア層406の代わりに活性層405が形成され、第1n型クラッド層404内に回折格子層403が形成され、コンタクト層409が露出してp側電極411に接触している以外は、第1の光導波路261の断面構造とほぼ同一である。
活性層405は、GaInAsPまたはAlGaInAsからなる多重量子井戸構造を有する光導波層であり、使用する波長帯のレーザ光をレーザ発振できるように組成されている。つまり、活性層405のバンドギャップ波長は、1295nm、1300nm、1305nm、および1310nmのうち最長波長である1310nmよりも長い波長となっている。また、回折格子層403は、n型InP層とGaInAsP層またはAlGaInAs層とが、1295nm、1300nm、1305nm、または1310nmの波長の光をブラッグ反射できる周期で交互に配置されて構成されている。
図16は、第2の半導体レーザ素子212の光共振器長方向に関する断面構造を示している。図16に示されるように、第2の半導体レーザ素子212は、レーザ光出射側から順に、第1の受動領域R1と活性領域R2と第2の受動領域R3とを備える。光共振器長方向に関する活性領域R2の前後には、第1の受動領域R1と第2の受動領域R3とが設けられている。第1の受動領域R1のレーザ光出射側の端面には、反射防止膜413が設けられ、第2の受動領域R3のレーザ光非出射側の端面には、高反射膜414が設けられている。
活性領域R2は、上部のp側電極411から電流が供給され分布帰還型レーザとして機能する領域である。一方、第1の受動領域R1および第2の受動領域R3は、上部のp側電極411が設けられておらず、自らがレーザ発振を行うことができない。第1の受動領域R1および第2の受動領域R3は、活性領域R2によって発生したレーザ光に対してブラッグ反射器として機能する。活性領域R2によって発生したレーザ光は、第1の受動領域R1と第2の受動領域R3との反射により、分布帰還型レーザと比較しておよそ2倍の強度のレーザ光出力を得ることができる。
〔性能特性〕
最後に、実施形態9の半導体光素子モジュール109の性能特性に関して説明する。
第1〜4の半導体レーザ素子211、212、213、214に25Gbpsの直接変調をかけて動作させ、その際の各レーザ素子のレーザ光出射端における変調出力を7dBmとする。また、各レーザ素子のレーザ光出射端から半導体光素子モジュール109の出力部114までの光出力低下を半導体光素子モジュール109の内部損失とする。
上記設定の下、実施形態9の半導体光素子モジュール109の内部損失を測定したところ、半導体光素子モジュール109の内部損失は5dBとなった。損失の内訳は、MMIカプラ部での損失が3dBであり、光導波路での損失が1dBであり、偏波合成部およびコリメータレンズの損失が1dBである。半導体光素子モジュール109の出力部114におけるレーザ光の出力は7dBmとなり、送信に十分な出力が得られている。
半導体光素子モジュール109では、第1のスポットサイズ変換部271および第2のスポットサイズ変換部272を設けたことにより、第1の光出射端231および第2の光出射端232におけるレーザ光の出射角度は40度から25度に変換されている。これにより、従来構造の半導体光素子モジュールでは3dBであった偏波合成部およびコリメータレンズの結合損失は、1dBとなり、大幅に改善されている。
また、実施形態9の半導体光素子モジュール109は、第1の光導波路261および第2の光導波路262が曲げ光導波路として構成されているので、第1の光合流素子241および第2の光合流素子242の出力端周辺から発生する漏れ光が1/10以下に抑えられた。
第1の半導体レーザ素子211、第2の半導体レーザ素子212、第3の半導体レーザ素子213、および第4の半導体レーザ素子214から出力された4つのレーザを用いて100Gb伝送を行う場合、各レーザの伝送レートは25Gbpsであることから、40psec間隔で1bitが伝送される。従来構造の半導体光素子モジュールであれば、500μmの光路長差が半導体光素子モジュール内で生じるので、1.7psecのデータ遅延が発生していた。一方、実施形態9の半導体光素子モジュール109では、データ遅延が測定限界以下であった。本実施形態は、このような100Gb以上の高速伝送を行う場合に、特に大きな効果を奏する。
なお、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
101,102,103,104,105,106,107,108,109 半導体光素子モジュール
111 第1のコリメータレンズ
112 第2のコリメータレンズ
113 第3のコリメータレンズ
114 出力部
115 光アイソレータ
116 光ファイバ
201,202,203,204,205,206,207,208,209 半導体光素子
211 第1の半導体レーザ素子
212 第2の半導体レーザ素子
213 第3の半導体レーザ素子
214 第4の半導体レーザ素子
221,223,261,281 第1の光導波路
222,224,262,282 第2の光導波路
225 第3の光導波路
226 第4の光導波路
227 第5の光導波路
228 第6の光導波路
231 第1の光出射端
232 第2の光出射端
241 第1の光合流素子
242 第2の光合流素子
251 第1の補助光導波路
252 第2の補助光導波路
271 第1のスポットサイズ変換部
272 第2のスポットサイズ変換部
283 電極
284 ドライバ
301,302,303,304,305,306,307,308,309 光合波手段
311 ミラー
312 1/2波長板
313 偏光ビームコンバイナ
401 n側電極
402 第2n型クラッド層
403 回折格子層
404 第1n型クラッド層
405 活性層
406 コア層
407 第1p型クラッド層
408 第2p型クラッド層
409 コンタクト層
410 絶縁層
411 p側電極
412 平坦化ポリマー
413 反射防止膜
414 高反射膜

Claims (8)

  1. 第1および第2の半導体レーザ素子と、前記第1および第2の半導体レーザ素子から出力されたレーザ光をそれぞれ第1および第2の光出射端へ導波する光導波路とをモノリシック集積した半導体光素子と、
    前記第1および第2の光出射端から出射されるレーザ光を合波する光合波手段と
    を備え、
    前記第2の半導体レーザ素子のレーザ光出射端から前記第2の光出射端までの光路長と前記第1の半導体レーザ素子のレーザ光出射端から前記第1の光出射端までの光路長との光路差が、前記第1の光出射端から前記光合波手段にて前記レーザ光が合波される合波点までの光路長と前記第2の光出射端から前記合波点までの光路長との光路差と等しい、
    ことを特徴とする半導体光素子モジュール。
  2. 前記光合波手段は、
    前記第1および第2の光出射端から出射されたレーザ光のうちいずれか一方の偏波面を回転させる偏波回転素子と、
    前記第1の光出射端から出射されたレーザ光を反射し、前記第2の光出射端から出射されたレーザ光を透過することにより、前記第1および第2の光出射端から出射されるレーザ光を合波する偏波合成光学素子と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体光素子モジュール。
  3. 前記半導体光素子は、
    第3および第4の半導体レーザ素子と、
    前記第1および第3の半導体レーザ素子から出力されたレーザ光を合波する第1の光合流素子と、
    前記第2および第4の半導体レーザ素子から出力されたレーザ光を合波する第2の光合流素子と、
    をさらに集積し、
    前記第1および第3の半導体レーザ素子のレーザ光出射端から前記第1の光合流素子までの光路長が等しく、
    前記第2および第4の半導体レーザ素子のレーザ光出射端から前記第2の光合流素子までの光路長が等しい、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体光素子モジュール。
  4. 前記第1の光合流素子から前記第1の光射出端までの光導波路、および、前記第2の光合流素子から前記第2の光射出端までの光導波路の少なくとも一部は、曲げ光導波路を含むことを特徴とする請求項3に記載の半導体光素子モジュール。
  5. 前記第1の光合流素子からレーザ光を出力する方向と、前記第2の光合流素子からレーザ光を出力する方向とは、互いに距離が離れる方向に向いていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の半導体光素子モジュール。
  6. 前記第1および第2の光合流素子の出力端面における出力ポート以外の位置には、前記第1および第2の光出射端へ結合しない補助光導波路が設けられ、
    前記補助光導波路の光出射端は、互いに距離が離れる方向に向いていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1つに記載の半導体光素子モジュール。
  7. 前記第1および第2の光出射端近傍の光導波路は、前記第1および第2の光出射端に近づくに従い、前記光導波路を構成する光導波層の厚みが減少することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の半導体光素子モジュール。
  8. 前記第1の半導体レーザ素子から前記第1の光出射端までの光導波路および前記第2の半導体レーザ素子から前記第2の光出射端までの光導波路の少なくとも一方に設けられ、前記光導波路の屈折率を変化させるための電界または熱を該光導波路に与える電極を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の半導体光素子モジュール。
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