以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態に係る圧力検出装置は、例えば、洗濯機などにおける水位変化に伴うエアトラップの圧力検出に用いられるものである。なお、本実施の形態に係る圧力検出装置の用途については、これらに限定されるものではなく、任意の装置の圧力検出に適用可能である。
図1は、本実施の形態に係る圧力検出装置1の分解斜視図である。図2は、本実施の形態に係る圧力検出装置1の断面図である。図3は、本実施の形態に係る圧力検出装置1の外観を示す斜視図である。なお、以下においては、説明の便宜上、図1に示す上下方向及び左右方向を、それぞれ「圧力検出装置1の上下方向」及び「圧力検出装置1の左右方向」と呼ぶものとする。また、図1に示す紙面手前側を「圧力検出装置1の前方側」と呼び、図1に示す紙面奥側を「圧力検出装置1の後方側」と呼ぶものとする。
図1〜図3に示すように、本実施の形態に係る圧力検出装置1は、筐体2を構成する上ケース(第1ケース)3及び下ケース(第2ケース)4を備え、筐体2の内部をダイヤフラム5で仕切って第1空間S1及び第2空間S2(図2参照)を形成している。上ケース3及び下ケース4は、ダイヤフラム5及び付勢部材6の各外周側を挟み込み、下ケース4の係合凸部41が、上ケース3の係合穴31に係合することで一体化されている。ダイヤフラム5の下面側には移動部材7が取り付けられ、移動部材7の柱状部71には、保持部材8及びねじ部材9が取り付けられている。また、下ケース4には、基板10が保持されている。なお、上ケース3、下ケース4、移動部材7、保持部材8及びねじ部材9は、例えば、絶縁性の樹脂材料を成形して形成される。
上ケース3は、下方側に開口した蓋形状を有し、内部に第1空間S1を画成するものである。上ケース3の頂壁部32は、上面視円形状に形成され、その周囲から下方側に延伸する側壁部33が形成されている。側壁部33は、円筒状に形成されており、その周方向に所定間隔を隔てて上述した係合穴31が複数形成されている。側壁部33の内周における上部位置には、下側を開放する周溝33aが形成されている(図2参照)。周溝33aの隣接位置には、下方に突出して付勢部材6の上面に接触する突出部33bが形成されている。また、側壁部33の外周面には、外側(右側)に延伸するように管状の連通部34が連設され、連通部34は、第1空間S1に連通している。連通部34には、外部からの測定対象となる空気(気体)が通過する図示しない配管が接続される。従って、第1空間S1には、連通部34を通して圧力が検出される空気が流入あるいは流出されることとなる。
下ケース4は、上方側に開口した容器形状を有し、内部に第2空間S2を画成するものである。下ケース4の周壁部42は、概して円筒状に形成されている。周壁部42の上端には、上方に突出して環状をなすリブ42aが形成されており、リブ42aは、上ケース3の周溝33a内に挿入される(図2参照)。周壁部42におけるリブ42aの下部内面側には、ダイヤフラム5及び付勢部材6が載置される段部からなる載置部42bが形成されている。周壁部42の外周面には、上ケース3の係合穴31に対応する位置に上述した係合凸部41が複数形成されている。係合凸部41は、その下部領域の外周縁が係合穴31の下部内周縁に当接した状態で係合しており、これにより、下ケース4に対して上ケース3が上昇することと、それらが周方向に相対回転することとが規制される。
図4は、下ケース4を上方から見た概略斜視図である。図4に示すように、周壁部42の内周面は円筒に沿う形状に形成されている。周壁部42の下端側には、上面側に種々の段差を有する底壁部43が形成されている。底壁部43は、左側において周壁部42との間に方形状の第1開口部M1を形成している。また、底壁部43の右側では、周壁部42との間に方形状の第2開口部M2を形成している。第1開口部M1は、下ケース4の下側から見たときに、第2空間S2内に位置する保持部材8を外部に露出できるように形成されている(図2参照)。第2開口部M2の前後両側には、上下方向に延びる保持溝44がそれぞれ形成されている。保持溝44の内部には、基板10の端部が挿入されて保持されるように構成されている。なお、周壁部42の内周面は、完全な円筒面とせず、円筒状となる面に対して多少の凹み等を施した形状に形成してもよい。
底壁部43の平面視中央位置には、上下方向に延びる円筒状の案内部45が形成されている。案内部45の内部には、ねじ部材9が挿入され、ねじ部材9の上下動と回転とが円滑に案内されるようになる。案内部45の前後両側には、上下方向に延びる角柱部46がそれぞれ連設され、各角柱部46には、ガイド溝46aが形成されている。ガイド溝46aの内部には、移動部材7の後述するガイド凸部72dが挿入される。
ダイヤフラム5は、例えば、ゴム等の弾性材料で成形されている。ダイヤフラム5は、図2に示すように、移動部材7の上面に面接触する円盤状の基部51を有する。この基部51の上面中央位置には、突出部51aが上方向に突設され、この突出部51aは、テーパ面が形成されたフランジ部51bを上端に備えた形状に設けられる。また、基部51の上面であって突出部51aを囲む位置には、円環状リブ51cが突設されている。円環状リブ51cの高さは、フランジ部51bの下端より若干低く形成されている。これにより、円環状リブ51cの上端とフランジ部51bの下端とにより付勢部材6の第1部分61を上下方向から挟み込んで保持可能となっている。基部51の下面には、複数の係合突部51dが形成され、各係合突部51dは、移動部材7の後述する係合穴72cに嵌り合うように構成されている。
ダイヤフラム5は、その外周に周縁部52を備えており、この周縁部52は、上ケース3の突出部33bと、下ケース4の載置部42bとにより挟まれて筐体2に固定される。周縁部52と基部51との間には、基部51よりも薄い厚さの薄肉部53が連なって形成されている。薄肉部53は、図2の断面視で第2空間S2側に凸形状に突出し、U字状をなすよう折り返された形状をなしており、その下部領域において折り返し部53aを形成している。薄肉部53は、基部51の上下動により折り返し部53aの位置が上下方向に変位するよう変形可能に構成されている。薄肉部53の厚み及び硬さは、かかる変形によって反力が生じないように設定されている。
付勢部材6は、平面視で外形が円形状をなす板ばねからなり、第1空間S1に配設される。付勢部材6は、その中央領域を形成する第1部分61を備えている。第1部分61の面内中央位置には、ダイヤフラム5の突出部51aが貫通する丸穴61aが形成されている。丸穴61a内に突出部51aが貫通すると、円環状リブ51cの上端の上に第1部分61が載置され、円環状リブ51cの上端とフランジ部51bの下端とにより第1部分61が挟み込まれる。なお、第1部分61を載置して支持する突出部を、本実施の形態においては、円環状リブ51cとしているが、第1部分61を支持できる形状であれば、円環状に限定されない。例えば、突出部51aの周囲に、円形状や多角形状をなした複数の突出部を配設したものでも良い。
付勢部材6は、その外周側領域を形成する円環状の第2部分62を備えている。第2部分62は、ダイヤフラム5の周縁部52と共に、上ケース3の突出部33bと、下ケース4の載置部42bとにより挟まれて筐体2に固定される。第2部分62と第1部分61との間には、弾性変形可能な変形部63が連なって設けられている。変形部63は、第1部分61の周方向90°間隔毎に4箇所の位置で形成され、それぞれの向きを異ならせただけで、同一の平面形状に形成されている。変形部63は、平面視で、第1部分61の外縁から第2部分62の内縁に向かって蛇行するように延在している。変形部63は、図2に示す状態から、第1部分61が上方及び下方の何れの方向に変位しても弾性変形可能となり、当該変位量に比例し、変位方向とは反対方向の力で第1部分61を付勢する。また、変形部63は、第1部分61が円環状リブ51cの上で支持されてダイヤフラム5に固定され、第2部分62が筐体2に固定された状態で、ダイヤフラム5の基部51と離間するように配設されている。
移動部材7は、基部51の下面と薄肉部53とに面接触する移動体72を有する。移動体72は、平面視円形の本体板72aと、この本体板72aの外周に連なって下方に向けられた垂下部72bとを有する。本体板72aには、下面中央位置から下方に延びる柱状部71が連設され、柱状部71の外周面には、雄ねじ71aが形成されている。本体板72aの面内4箇所の位置には係合穴72cが形成され、この係合穴72cに係合突部51dが挿入された状態で係合することで、基部51の下面に移動体72が固定されている。係合穴72c及び係合突部51dは、平面視で、第1部分61より外側に位置している。垂下部72bは、下ケース4における周壁部42の内周面に隙間を介して位置しており、この隙間に薄肉部53が配設されている。垂下部72bには、内方に突出する一対のガイド凸部72d(図1で一方のみ図示)が連設されている。ガイド凸部72dは、ガイド溝46a(図4参照)内に挿入されて移動体72における周方向の回転を規制し、且つ、ガイド溝46a内で上下方向にスライド自在に構成されている。
保持部材8は、内部に柱状部71が挿通される貫通穴81aを有する貫通部81を備えている。貫通穴81aは、柱状部71の外面と非接触となる内径寸法に設定され、柱状部71と保持部材8とが柱状部71の軸線周りで相対回転可能に設けられる。貫通部81の右側には、下方を開口する保持凹部82が形成されている(図2参照)。保持凹部82には、後述する磁石13が受容されて保持される。貫通部81の左側には、腕状をなす一対の突出部83が連なって形成されている。各突出部83の突出方向は、左方向となっており、移動部材7の移動方向となる上下方向に交差する方向に向けられている。
ねじ部材9は、内周面に雌ねじ91aが形成された円筒状のねじ本体91を有する(図2参照)。雌ねじ91aは、柱状部71の雄ねじ71aと噛み合い、ねじ本体91を柱状部71の軸線周りに回転させることで、当該軸線方向(上下方向)にねじ本体91を移動可能に構成されている。ねじ本体91の外径寸法は、案内部45の内径寸法より若干小さく設定されている。これにより、案内部45の内周面でねじ本体91の回転が案内され、且つ、ねじ本体91の上下移動も案内される。ねじ本体91の底部には六角穴91bが形成され、この六角穴91bに六角レンチ等の工具を挿入してねじ本体91を回転操作可能に構成される。ねじ本体91の上部には、保持部材8を支持する支持部92が形成されている。支持部92は、ねじ本体91の上部から外向き突出するフランジ状に形成され、貫通部81の下面が接した状態で保持部材8を下方から支持している。
ねじ本体91の上部には、一対の係止片93が上方に突出するよう形成されている。各係止片93は、保持部材8の貫通穴81aに挿通され、この挿通によって、ねじ部材9に対し、保持部材8が前後及び左右方向に移動することが規制される。各係止片93は、先端が鉤状に形成され、保持部材8の貫通穴81aに挿通された状態で貫通部81の上面に係止可能に設けられている。この係止状態で、支持部92と係止片93とにより保持部材8が上下方向から挟み込まれ、ねじ部材9に対し、保持部材8が上下方向に移動することが規制される。従って、ねじ部材9及び保持部材8は一体化された状態となり、この状態で、ねじ本体91の軸線周りにおいて、それらを相対回転可能に構成されている。また、係止片93による係止状態では、保持凹部82の開口側が支持部92によって閉塞され、後述する磁石13が保持凹部82から脱落不能になっている。なお、移動部材7とねじ部材9とが結合された状態において、ねじ部材9は、保持部材8を柱状部71に対して回転可能に支持する。この保持部材8及びねじ部材9は、磁石13と磁気センサ12との相対位置を調整可能な後述する第2調整機構を構成する。
基板10は、上半部領域の前後両端側を保持溝44内に差し込んだ状態で固定される。基板10は、ハーネス11を介して不図示の外部装置と電気的に接続されている。基板10には、磁気センサ12が実装され、この磁気センサ12は、磁気抵抗効果素子の一種であるGMR(Giant Magneto−Resistive)素子によって構成されている。GMR素子は、基本的な構成として、交換バイアス層(反強磁性層)、固定層(ピン止め磁性層)、非磁性層及び自由層(フリー磁性層)をウエハー(図示せず)上に積層して形成されている。磁気センサ12は、保持部材8に保持された磁石13における磁束の向きを検出可能に設けられている。磁石13は、磁気センサ12側となる右側がN極、磁気センサ12側とは反対側となる左側がS極となり、左右方向で互いに異極となるように着磁されている。ここで、磁気センサ12及び磁石13により移動部材7の移動を検出する検出手段が構成される。
次に、圧力検出装置1の組み立て方法について説明する。先ず、保持部材8の保持凹部82内に磁石13を挿入(圧入)してから、貫通穴81aに各係止片93を挿通して貫通部81に係止する。これにより、保持部材8とねじ部材9とが一体化され、保持凹部82が支持部92で閉塞されて磁石13が保持部材8から脱落しないように保持される。
次いで、一体化した保持部材8及びねじ部材9に対し、移動部材7を結合する。この結合では、貫通穴81a内に柱状部71の先端を通過させ、雄ねじ71aをねじ本体91の雌ねじ91aに噛み合わせてねじ結合する。このねじ結合により、六角穴91bに工具を挿入して柱状部71の軸線周りに回転操作することで、保持部材8とねじ部材9とを柱状部71の延在方向である軸線方向(上下方向)に移動することが可能となる。
また、移動部材7には、移動体72の上方から被せるようにダイヤフラム5を取り付ける。この取り付けにおいては、移動体72の係合穴72cに対し、ダイヤフラム5の係合突部51dを挿入して嵌合する。これにより、基部51と移動体72の本体板72aとが上下に重なり合うように移動部材7とダイヤフラム5とが一体となる。
ダイヤフラム5の上面側には、付勢部材6を取り付ける。この取り付けにおいては、第1部分61の丸穴61a内に突出部51aを挿入し、円環状リブ51cの上端とフランジ部51bの下端とにより付勢部材6を上下方向から挟み込む。このとき、周縁部52の上面に付勢部材6における第2部分62の外周下面が面接触し、基部51の上面から変形部63が離間して非接触となる。
以上により、保持部材8(保持される磁石13を含む)、ねじ部材9、移動部材7、ダイヤフラム5及び付勢部材6が一体に組み立てられたユニットとなり、このユニットを下ケース4の上方から収納する。この収納にあたり、案内部45内にねじ本体91を挿入し、且つ、ガイド溝46aに移動部材7のガイド凸部72dを差し込んだ状態とする。また、保持部材8の突出部83が第1開口部M1の大まかに真上に位置するよう位置合わせし、ダイヤフラム5の周縁部52を下ケース4の載置部42bに載せる。この状態から、下ケース4の上部領域に上ケース3を被せるように配設した後、上ケース3の係合穴31に係合凸部41を係合する。これにより、筐体2として上ケース3及び下ケース4が一体となり、周縁部52及び付勢部材6の第2部分62が、載置部42bと上ケース3の突出部33bとにより挟み込まれる。この状態で、付勢部材6によってダイヤフラム5が上方から支持され、ダイヤフラム5から、移動部材7と、これにねじ結合されたねじ部材9と、ねじ部材9に保持される保持部材8とが吊り下げられたような状態となる。
基板10は、下ケース4の第2開口部M2を通じて、前後両端側を保持溝44内に差し込んだ状態として固定する。この固定の手段としては、保持溝44への圧入としたり、接着剤を用いた接着としたりすることができる。
なお、上述の圧力検出装置1の組立方法については、一例を示したものであり、これに限定されるものではなく、組み立ての順序等、適宜変更が可能である。図2及び図3に示すように、各構成部材が組み立てられた状態とすることができれば、どのような組立方法を採用しても良い。
このように圧力検出装置1を組み立てると、上ケース3とダイヤフラム5とによって第1空間S1が形成される。第1空間S1に配設される構成部材は、付勢部材6だけとなり、付勢部材6の中央位置となる第1部分61に突出部51a及び円環状リブ51cを介してダイヤフラム5の基部51が固定されている。
圧力検出装置1を組み立てた状態において、下ケース4におけるダイヤフラム5の下方には第2空間S2が形成される。第2空間S2には、移動部材7と、移動部材7にねじ結合されるねじ部材9と、ねじ部材9に係止される保持部材8と、基板10とが配設されている。従って、保持部材8に保持される磁石13と、基板10に実装される磁気センサ12とにおいても、第2空間S2に配設されている。
下ケース4に第1開口部M1及び第2開口部M2が形成されるので、第2空間S2は、大気圧と等圧に設定される。一方、第1空間S1は、上ケース3の連通部34を閉塞すると密閉された空間となり、その圧力は、連通部34を通過して第1空間S1に流入する空気によって変化する。ここで、例えば、図2に示すように、付勢部材6の上面及び下面が水平な状態なときに、第1空間S1の圧力が大気圧と等圧になるとする。この状態から、第1空間S1が大気圧より高圧の正圧となると、第1空間S1の容積が膨張しようとすることから、基部51を押し下げる力が作用して下方に変位する。この変位によって、付勢部材6の各変形部63が変形し、基部51が上昇するような弾性力を発揮する。そして、第1空間S1の圧力と、各変形部63の弾力とが均衡する位置まで基部51が下方に向かって変位する。また、第1空間S1が大気圧より低圧の負圧となった場合には、第1空間S1の容積が縮小しようとすることから、基部51を引き上げる力が作用して上方に変位する。この変位によって、付勢部材6の各変形部63が変形し、基部51が下降するような弾性力を発揮する。そして、第1空間S1の圧力と、各変形部63の弾力とが均衡する位置まで基部51が上方に向かって変位する。
ここで、ダイヤフラム5において、基部51が上下方向に移動する際、薄肉部53の折り返し部53aの位置が上下方向に変位するように変形する。この変形では、ダイヤフラム5は、基部51が殆ど変形せずに薄肉部53だけが変形するようになる。また、基部51の上下移動に応じて移動部材7も同一の移動量で上下に移動し、ひいては、ねじ部材9を介して支持される保持部材8及びこれに保持される磁石13も同様に上下に移動する。従って、第1空間S1の圧力変化に比例して、磁石13を上下方向に変位させることができ、この変位量を後述するように検出することで、第1空間S1の圧力を検出する。
次に、本実施の形態に係る圧力検出装置1が有する第1調整機構と、第1調整機構による調整方法について説明する。第1調整機構は、上述の柱状部71と、ねじ部材9とを備え、移動部材7の移動方向(上下方向)における磁石13と磁気センサ12との相対位置を調整可能に設けられている。この位置調整においては、先ず、第1開口部M1に棒状の治具(不図示)を挿入し、一対の突出部83の間に治具を通して保持部材8の回転を規制する。柱状部71の雄ねじ71aと、ねじ部材9の雌ねじ91aとは噛み合っているので、ねじ部材9の六角穴91bに工具を挿入して回転操作することによって、ねじ部材9及び保持部材8が上下方向に移動する。保持部材8には磁石13が保持されるので、磁石13も保持部材8と共に上下方向に移動し、磁気センサ12に対する磁石13の上下方向の相対位置が調整される。なお、治具によって保持部材8の回転が規制されるので、ねじ部材9を回転操作しても、貫通穴81aにおいて係止片93が空回りし、磁石13が左右方向で磁気センサ12に対向するよう保持部材8の向きが保たれる。
次いで、本実施の形態に係る圧力検出装置1が有する第2調整機構と、第2調整機構による調整方法について説明する。第2調整機構は、相対回転可能なねじ部材9及び保持部材8を備え、移動部材7の移動方向(上下方向)に対して交差する方向であって、磁石13の各極を結ぶ方向(左右方向)と交差する方向、すなわち、前後方向(図2の紙面と交差する円弧に沿った方向)における磁石13と磁気センサ12との相対位置を調整可能に設けられている。この位置調整においては、先ず、六角穴91bに工具を挿入することで、柱状部71の周方向にねじ部材9が回転することを規制し、ねじ部材9及び磁石13(保持部材8)が上下に移動することを規制した状態とする。この状態で、上述の治具を第1開口部M1に挿入し、治具によって突出部83を前後方向に変位させることで、柱状部71及びねじ部材9の係止片93周りで保持部材8を回転する。すると、保持部材8の右端側に保持された磁石13が前後方向に移動し、磁石13と磁気センサ12との相対位置が調整される。
次に、磁気センサ12の出力の調整について図5を参照して説明する。図5A及び図5Bは、磁気センサ12と磁石13の位置関係の説明図であり、図5Aは正面図、図5Bは、図5Aの左側面図である。また、図5C及び図5Dは、磁気センサ12の出力と第1空間S1の圧力との関係を示すグラフである。なお、磁気センサ12の出力調整は、本実施の形態では、製造時や製品出荷前等、圧力検出装置1での圧力検出を行う前段階において、第1空間S1及び第2空間S2の等圧状態で行われるものである。
上述したように圧力検出装置1を組み立てた際、図5A及び図5Bに示すように、磁石13は磁気センサ12から後方向及び左方向に離れて配設される。この磁石13と磁気センサ12との位置関係において、磁気センサ12は、磁石13の磁束の向きを検出することで、磁石13の上下方向の変位量に比例して出力電圧が増減するよう構成されている。具体的には、磁気センサ12は、磁石13が下方に変位する程、出力電圧が大きくなり、磁石13が上方に変位する程、出力電圧が小さくなるように構成されている。上述のように、磁石13の上下方向の変位量は、第1空間S1の圧力変化に比例するので、図5C及び図5Dのグラフにおいて実線で示すように、第1空間S1の圧力が上昇するに従って出力電圧が大きくなる比例関係にある。
図5A及び図5Bに示す状態から、第1調整機構によって磁石13を上下方向に移動することができる。磁石13を下方に移動すると、磁気センサ12の出力電圧が大きくなるので、図5Cのグラフにおいて、実線の上方に位置する点線で示すように磁気センサ12の出力電圧が設定される。一方、磁石13を上方に移動すると、磁気センサ12の出力電圧が小さくなるので、図5Cのグラフにおいて、実線の下方に位置する点線で示すように磁気センサ12の出力電圧が設定される。これにより、第1空間S1及び第2空間S2の等圧状態において、第1調整機構によって磁石13を上下方向に移動することで、出力電圧を一定値に設定する原点調整を行うことができる。更に、複数の圧力検出装置1を製造する場合、各圧力検出装置1において、検出する圧力に対する出力電圧を一定に保つことができ、圧力検出装置1毎に出力がばらつくことを回避することができる。
また、図5A及び図5Bに示す状態から、第2調整機構によって磁石13を前後方向に移動することができる。磁石13を前方に移動すると、磁気センサ12に磁石13が接近するので、図5Dのグラフにおいて、実線より急勾配となる点線で示すように磁気センサ12の出力電圧が設定される。一方、磁石13を後方に移動すると、磁気センサ12から磁石13が離れるので、図5Dのグラフにおいて、実線より緩勾配となる点線で示すように磁気センサ12の出力電圧が設定される。これにより、第2調整機構によって磁石13を前後方向に移動することで、図5Dのグラフにおける傾き(単位圧力当たりの出力電圧)を一定に調整でき、この調整を複数の圧力検出装置1に対して行うことで、圧力検出装置1毎に出力がばらつくことを回避することができる。
なお、各調整機構による位置調整を行い、磁気センサ12の出力調整が完了した後、各調整機構において相対変位可能な柱状部71、ねじ部材9及び保持部材8は接着剤によって固定される。この接着剤の注入は、第1開口部M1を通じて第2空間S2内に不図示のノズルを挿入することにより行われる。
次に、本実施の形態に係る圧力検出装置1による第1空間S1の圧力検出方法について説明する。上述したように、連通部34を出入りする気体によって第1空間S1の圧力が変化すると、この圧力変化に比例して、磁石13が上下方向に変位する。そして、磁石13が変位すると、磁気センサ12における磁石13の磁束の向きも変化する。この磁束の向きの変化によって磁気センサ12の出力電圧が変化し、当該出力電圧と原点調整した時点の出力電圧との差によって、磁気センサ12における出力電圧の変化特性から、第1空間S1の圧力値が求められる。
以上説明したように、本実施の形態に係る圧力検出装置1においては、磁気センサ12が磁束の向きを検出するGMR素子からなるので、磁石13における磁力の強弱による影響を受けずに磁石13の位置を適切に検出することができる。これにより、従来の装置における複数種類のプレートが不要となり、プレートの管理や、プレートの交換作業をなくして磁気センサ12の出力調整(変化特性の調整)の作業性を向上することができる。
また、第1調整機構及び第2調整機構にあっては、ねじ構造を介して磁石13の上下方向及び前後方向の位置を調整可能とするので、調整作業の容易化、構成の簡略化を図ることができる。なお、上下方向は、第1空間S1の圧力変化に伴って移動する移動部材7の移動方向に沿った第1方向である。また、前後方向は、第1空間S1の圧力変化に伴って移動する移動部材7の移動方向(上下方向)及び磁石13の各極(N極とS極)を結ぶ方向(左右方向)の双方と交差する第2方向である。
更に、係止片93を介して保持部材8とねじ部材9とが係合して一体的となるので、これら2部材を一つの部品として取り扱い可能となり、柱状部71への取り付けを容易に行うことができる。また、ねじ部材9の回転操作によって、保持部材8とねじ部材9とを一緒に移動させることができる。
また、保持部材8に突出部83を形成したので、突出部83を操作することによって、保持部材8を回転及び回転規制するための操作性を良好なものとすることができる。しかも、突出部83が第1開口部M1から露出しているので、治具等を用いて突出部83の操作を容易に行うことができる。
更に、付勢部材6を板ばねとして第1空間S1に配設したので、第2空間S2に付勢部材6を配設しなくてよくなるので、第2空間S2にスペースの余裕ができ、第2空間S2内に位置する各部材のレイアウトや形状等の設計上の自由度を高めることができる。
その他、本実施の形態は、他の実施の形態に示される構成と適宜組み合わせて実施可能である。
(第2の実施の形態)
本実施の形態では、上述した第1の実施の形態とは異なる構成の圧力検出装置について説明する。図6は、本実施の形態に係る圧力検出装置1aの分解斜視図である。図7は、本実施の形態に係る圧力検出装置1aの断面図である。図8は、本実施の形態に係る圧力検出装置1aの外観を示す斜視図である。なお、圧力検出装置1aにおける上下方向、左右方向、及び、前後方向については、第1の実施の形態と同様とする。
図6ないし図8に示すように、本実施の形態に係る圧力検出装置1aは、筐体120を構成する上ケース(第1ケース)130及び下ケース(第2ケース)140を備え、筐体120の内部をダイヤフラム150で仕切って第1空間S1a及び第2空間S2a(図7参照)を形成している。上ケース130及び下ケース140は、ダイヤフラム150の外周側を挟み込み、下ケース140の係合凸部141が、上ケース130の係合穴131に係合することで一体化されている。ダイヤフラム150の上下両側には付勢部材160が配設されている。ダイヤフラム150の下面側には移動部材170が取り付けられ、移動部材170の下方には付勢部材160(第2コイルばね162)を介してねじ体190が配設されている。また、下ケース140には、基板200が保持されている。なお、上ケース130、下ケース140、移動部材170及び後述するカバー部材220は、例えば、絶縁性の樹脂材料を成形して形成される。
上ケース130は、下方側に開口した蓋形状を有し、内部に第1空間S1aを画成するものである。上ケース130の大径壁132は、円筒状に形成され、外面において周方向に所定間隔を隔てて複数の係合穴131が形成されている。大径壁132の上端には、環状となる第1頂壁133が連なって形成され、第1頂壁133の内周側から円筒状の中間壁134が立設されている。中間壁134の上端には、環状となる第2頂壁135が連なって形成され、第2頂壁135の内周側を貫通するように円筒状の小径壁136が連設されている。小径壁136の上端には、円形の第3頂壁137が連なって形成され、第3頂壁137の下面には、付勢部材160(第1コイルばね161)を位置決めするための位置決め突部138が下方に突出して形成されている(図7参照)。大径壁132、第1頂壁133及び中間壁部134の外周面には、外側(右側)に延伸するように管状の連通部139が連設され、連通部139は、第1空間S1aに連通している。連通部139には、外部からの測定対象となる気体が通過する図示しない配管が接続される。従って、第1空間S1aには、連通部139を通して圧力が検出される気体が流入あるいは流出されることとなる。
下ケース140は、中空形状に形成され、内部に第2空間S2aを画成するものである。下ケース140における円筒壁部142の外周面には、係合穴131に対応する位置に上述した係合凸部141が複数形成されている。係合凸部141は、その下部領域の外周縁が係合穴131の下部内周縁に当接した状態で係合しており、これにより、下ケース140に対して上ケース130が上昇することと、それらが周方向に相対回転することとが規制される。
円筒壁部142における上部外周側には、段部142aが形成されており、この段部142aにダイヤフラム150の外周側が嵌り合うように載置される。円筒壁部142の下部には、図7の断面視でクランク状に延びる底壁部143が形成されている。底壁部143の下段部143aにおける前後両側には起立壁部143bが形成されている。前方の起立壁部143bには、穴143cが形成され、この穴143cを通じて後述する第2ねじ215を回転操作可能に設けられている。円筒壁部142の下部右側領域には、右方向に延在する延長部144が形成されている。延長部144は、水平方向に延びる水平部144aと、水平部144aにおける前後両側から下方に向けられた垂下部144bとを備えている。
底壁部143の下段部143a上には、基板200を支持する支持部材210が設けられている。支持部材210は、側面視で凹状に形成された支持本体部211を有する。支持本体部211の内周側には、基板200の下端及び前後両端を受容する溝211aが形成され、支持本体部211の前後両側には、先端が鉤状をなす係止片212がそれぞれ立設されている。溝211a内に基板200を受容すると、基板200の外周縁に係止片212の先端側が係止され、この係止と溝211a内への受容によって基板200が支持部材210に対して移動不能に装着される。支持本体部211の下面には、軸線が前後方向に向けられた第1ねじ213が連設されている。第1ねじ213は、雄ねじ構造を軸線より下半分だけとした構成と同様に形成される。また、支持本体部211の後側には、ばね部材214が設けられている。ばね部材214は、帯状のばね鋼を逆V字状に折り曲げて構成され、その折り曲げ角度を拡大する方向の弾性力を発揮可能に設けられている。従って、ばね部材214及び支持部材210を下ケース140内に収納した状態で、ばね部材214は、支持部材210を前方に付勢している。
第1ねじ213の下方においては、第1ねじ213と噛み合う第2ねじ215が設けられている。第2ねじ215は、六角穴付き止めねじと同様の構成とされ、軸線が前後方向に向けられて前端に六角穴215aが形成されている。
図9は、下ケース140を上方から見た概略斜視図である。図7及び図9に示すように、底壁部143の下段部143aには、第2ねじ215の下半部領域を受容する受け部145が形成されている。受け部145は、底面が半円筒面状に形成され、受容する第2ねじ215の軸線周りの回転を許容している。下段部143aにおいて、受け部145の前後両側にはそれぞれ左右一対の係止軸部146が立設されている。第2ねじ215の上部に第1ねじ213を載せて噛み合わせると、各係止軸部146によって支持本体部211が左右方向から挟まれつつ、係止軸部146の先端に支持本体部211の上端が係止される。これにより、支持部材210は、係止軸部146によって左右及び上下方向の移動が規制され、前後方向(図9における上下方向)の移動だけが許容されている。
下段部143aにおいて、係止軸部146の左側には、上下方向に延びる角柱部147が前後にそれぞれ連設され、各角柱部147には、ガイド溝147aが形成されている。ガイド溝147aの内部には、移動部材170の後述するガイド片173が挿入される。また、角柱部147の間であって、受け部145の左側には、軸線が上下方向となる雌ねじ部148が形成されている。雌ねじ部148には、ねじ体190が挿入されて噛み合っており、下端部が開口部148aとして形成されてねじ体190を下ケース140の外部に露出している。
図6〜図8に示すように、下ケース140の下方にはカバー部材220が設けられ、このカバー部材220によって、円筒壁部142の下方における下段部143aより右側部分と、延長部144の下方部分とが閉塞される。カバー部材220の前後両端における左右両側には、先端鉤状をなす係止片221が立設されている。右側の係止片221は、垂下部144bの外面に形成された溝144c内に受容されつつ、上端で水平部144aに係止している。左側の係止片221は、起立壁部143bの外面に形成された溝143d内に受容されつつ、溝143d内の突起143eに上端が係止している。これら係止片221での係止によって、カバー部材220が下ケース140に対して移動不能に装着されている。カバー部材220の上面には、3本の端子222が設けられ、各端子222は、円筒壁部142の第2空間S2aと延長部144の内部空間とに跨って配設されている。
ダイヤフラム150は、例えば、ゴム等の弾性材料で成形されている。ダイヤフラム150は、移動部材170の上面に面接触する円盤状の基部151を有する。また、ダイヤフラム150は、その外周に周縁部152を備えており、この周縁部152は、図7の断面視でアングル状に形成され、円筒壁部142の段部142aに嵌り合うように載置される。周縁部152と基部151との間には、厚さが基部151よりも薄い薄肉部153が連なって形成されている。薄肉部153は、図7の断面視で、第2空間S2a側となる下方に膨出して緩やかに湾曲する形状に設けられ、基部151の上下動により湾曲形状が変化するよう変形可能に構成されている。
付勢部材160は、第1空間S1aに配置された第1コイルばね(第1付勢体)161と、第2空間S2aに配置された第2コイルばね(第2付勢体)162とを有している。第1コイルばね161及び第2コイルばね162は、それぞれ押し縮められた状態で配設されている。従って、第1コイルばね161は、ダイヤフラム150の基部151を第2空間S2a側(下側)に付勢し、第2コイルばね162は、基部151を第1空間S1a側(上側)に付勢している。第2コイルばね162は、移動部材170とねじ体190とにより上下方向から挟まれている。
第1コイルばね161の上端側には、上ケース130の位置決め突部138が挿入されている(図7参照)。第1コイルばね161の下端側は、基部151の上面に接着された受け部材163に収容される。受け部材163は、円筒体163aと、この円筒体163aの下端に連設される底体163bとを備えた容器状に形成されている。底体163bの上面には、位置決め突部163cが上方に突出して形成されて第1コイルばね161の下端側に挿入されている。円筒体163aと、小径壁136の内周面とは、接触又は僅かな隙間を介して配設され、受け部材163の上下方向の移動を案内可能に設けられている。
移動部材170は、基部151の下面に接着される平面視で円形状の当接部171を有している。当接部171の下面には、位置決め突部172が下方に突出して形成されて第2コイルばね162の上端側に挿入されている。また、当接部171の下面には、羽根状をなす前後一対のガイド片173が下方に延在して形成されている。ガイド片173は、ガイド溝147a内に挿入されて移動部材170における周方向の回転を規制し、且つ、ガイド溝147a内で上下方向にスライド自在に構成されている。当接部171の右側における下部位置には、磁石230を保持する保持部174が連設されている。保持部174は、磁石230との間に隙間が生じないような収納室を形成しており、この収納室内に配設された磁石230の右面が爪部材174aに係止している。この係止によって、爪部材174aは、磁石230の保持部174からの脱落を規制している。
ねじ体190は、雌ねじ部148の内部に挿入されて噛み合う雄ねじ部191を有している。雄ねじ部191の底部には六角穴191aが形成され、この六角穴191aに六角レンチ等の工具を挿入して雄ねじ部191を回転操作可能に構成される。雄ねじ部191の上面には、位置決め突部192が上方に突出して形成されて第2コイルばね162の下端側に挿入されている。
基板200は、支持部材210に支持された状態で、ハーネス201を介して端子222と電気的に接続されている。基板200には、磁気センサ202が実装され、この磁気センサ202は、第1の実施の形態の磁気センサ12と同様となるGMR素子によって構成されている。また、磁石230は、磁気センサ202側となる右側がN極、磁気センサ202側とは反対側となる左側がS極となり、左右方向で互いに異極となるように着磁されている。
次に、圧力検出装置1aの組み立て方法について説明する。先ず、下ケース140において、基板200を取り付ける。この取り付けにおいては、支持部材210における支持本体部211の溝211aに基板200の下端及び前後両端を受容させ、係止片212を基板200の外周縁に係止する。これと前後して、六角穴215aが前方に位置するように第2ねじ215を受け部145に配設する。そして、支持部材210の第1ねじ213が第2ねじ215の上部に噛み合うように、基板200を係止した支持部材210を下ケース140の下段部143a上に配設する。このとき、各係止軸部146の先端に支持本体部211の上端が係止され、各係止軸部146によって支持本体部211が左右方向から挟まれた状態となる。その後、下ケース140の下段部143a上であって、支持部材210の後方側にばね部材214を配設する。ばね部材214の付勢力は、相互に噛み合う第1ねじ213と第2ねじ215とに作用する。
下ケース140の下面側には、カバー部材220を取り付ける。この取り付けにおいては、下ケース140の下面側を覆うようにカバー部材220を近付け、垂下部144bの溝144c内に右側の係止片221を受容し、起立壁部143bの溝143d内に左側の係止片221を受容する。そして、右側の係止片221の上端を水平部144aに係止し、左側の係止片221の上端を溝143d内の突起143eに係止すると、下ケース140にカバー部材220が取り付けられた状態となる。また、下ケース140の雌ねじ部148には、ねじ体190をねじ込んで装着し、第2コイルばね162の下端側に第2空間S2aに位置する位置決め突部192を挿入する。
ここで、下ケース140に対する各部材の組み立てとは別に、移動部材170の爪部材174aを磁石230に係止し、保持部174において磁石230を保持する。そして、ダイヤフラム150における基部151の下面に当接部171の上面を接着し、基部151の上面に受け部材163の下面を接着する。
上記接着により、ダイヤフラム150、移動部材170及び受け部材163が一体となるユニットとなり、このユニットを下ケース140の上方に被せるように配置する。この配置にあたり、移動部材170に保持された磁石230を右向きとして基板200に対向するようにし、且つ、ガイド片173をガイド溝147aに差し込んだ状態とする。また、第2コイルばね162の上端側に移動部材170の位置決め突部172を挿入し、ダイヤフラム150の周縁部152が下ケース140の段部142aに嵌り合うように載置する。
そして、第1コイルばね161の下端側に位置決め突部163cを挿入するよう第1コイルばね161を受け部材163の内部に配置する。この状態から、下ケース140の上部領域に上ケース130を被せるように配設した後、上ケース130の係合穴131に係合凸部141を係合する。これにより、筐体120として上ケース130及び下ケース140が一体となり、円筒壁部142の上端と第1頂壁133の下面とにより周縁部152が挟み込まれる。この状態で、第1コイルばね161及び第2コイルばね162の両方が圧縮した状態となり、それらの弾性力のバランスによってダイヤフラム150の上下方向の位置が保たれる。このように圧力検出装置1aを組み立てると、上ケース130とダイヤフラム150とによって第1空間S1aが形成され、下ケース140におけるダイヤフラム150の下方に第2空間S2aが形成される。
なお、上述の圧力検出装置1aの組立方法については、一例を示したものであり、これに限定されるものではなく、組み立ての順序等、適宜変更が可能である。図7に示すように、各構成部材が組み立てられた状態とすることができれば、どのような組立方法を採用しても良い。
圧力検出装置1aを組み立てた状態で、下ケース140には穴143c等が形成されるので、第2空間S2aは、大気圧と等圧に設定される。一方、第1空間S1aは、上ケース130の連通部139を閉塞すると密閉された空間となり、その圧力は、連通部139を通過して第1空間S1aに流入または流出する空気によって変化する。ここで、例えば、図7に示すように、ダイヤフラム150において、周縁部152の上端より基部151の上面が若干高くなるときに、第1空間S1の圧力が大気圧と等圧になるとする。この状態から、第1空間S1aが大気圧より高圧の正圧となると、第1空間S1aの容積が膨張しようとすることから、基部151を押し下げる力が作用して下方に変位する。この変位によって、第2コイルばね162が圧縮され、基部151が上昇するような弾性力を発揮する。そして、第1空間S1aの圧力と、各コイルばね161,162の弾力とが均衡する位置まで基部151が下方に向かって変位する。また、第1空間S1aが大気圧より低圧の負圧となった場合には、第1空間S1aの容積が縮小しようとすることから、基部151を引き上げる力が作用して上方に変位する。この変位によって、第1コイルばね161が圧縮され、基部151が下降するような弾性力を発揮する。そして、第1空間S1aの圧力と、各コイルばね161,162の弾力とが均衡する位置まで基部151が上方に向かって変位する。
ここで、基部151の上下移動に応じて基部151に接着した移動部材170も同一の移動量で上下に移動し、ひいては、移動部材170で保持される磁石230も同様に上下に移動する。従って、第1空間S1aの圧力変化に比例して、磁石230を上下方向に変位させることができ、この変位量を磁気センサ202で検出することで第1空間S1aの圧力を検出する。なお、磁気センサ202による圧力検出は、第1の実施の形態の圧力検出と同様に行われるので、ここでは、説明を省略する。
次に、本実施の形態に係る圧力検出装置1aが有する第1調整機構と、第1調整機構による調整方法について説明する。第1調整機構は、上述のねじ体190と、雌ねじ部148とを備え、移動部材170の移動方向(上下方向)における磁石230と磁気センサ202との相対位置を調整可能に設けられている。この位置調整においては、ねじ体190の六角穴191aに工具を挿入して回転操作することによって、ねじ体190を上下方向に移動する。ねじ体190は、第2コイルばね162を介して移動部材170に連結されるので、ねじ体190が上下に移動すると、第2コイルばね162が若干伸縮しつつも移動部材170が上下方向に移動する。移動部材170には磁石230が保持されるので、磁石230も移動部材170と共に上下方向に移動し、磁気センサ202に対する磁石230の上下方向の相対位置が調整される。
次いで、本実施の形態に係る圧力検出装置1aが有する第2調整機構と、第2調整機構による調整方法について説明する。第2調整機構は、上述の第1ねじ213を含む支持部材210と、第2ねじ215とを備えている。第2調整機構は、図7の紙面直交方向となる磁石230と対向する平面内において、移動部材170の移動方向(上下方向)と交差する方向であって、磁石230の各極を結ぶ方向(左右方向)と交差する方向(第2方向)、すなわち、前後方向(図7の紙面直交方向)における磁石230と磁気センサ202との相対位置を調整可能に設けられている。この位置調整においては、穴143cを通じて工具を第2ねじ215の六角穴215aに挿入してから、回転操作することによって、第2ねじ215と噛み合う第1ねじ213が前後方向に移動する。第1ねじ213を含む支持部材210は、磁気センサ202が搭載された基板200を支持するので、第1ねじ213と共に磁気センサ202が前後方向に移動し、磁気センサ202に対する磁石230の前後方向の相対位置が調整される。
ここで、支持部材210は、ばね部材214によって前方に付勢されるので、第1ねじ213と第2ねじ215との、いわゆる遊びに起因するがたつきが発生することを防止することができる。これにより、支持部材210及び磁気センサ202を調整した位置に精度良く位置決めすることができる。
なお、各調整機構による位置調整が完了した後、第1調整機構のねじ体190及び雌ねじ部148、並びに、第2調整機構の第1ねじ213及び第2ねじ215は接着剤によって相対回転不能に固定される。第1ねじ213及び第2ねじ215への接着剤の注入は、穴143cを通じて第2空間S2a内に不図示のノズルを挿入することにより行われる。
第1の実施の形態において図5を参照して説明した磁気センサ12の出力調整と、第1空間S1の圧力検出方法とについては、第2の実施の形態において、各調整機構の操作が上述のようになる点を除き、同様となるので、説明を省略する。
以上説明したように、本実施の形態に係る圧力検出装置1aにおいては、第1調整機構によって磁石230を移動部材170の移動方向に沿った第1方向へ移動し、第2調整機構によって磁気センサ202を第2方向へ移動するので、各調整機構による調整を独立して容易に行うことができる。また、第1調整機構及び第2調整機構にあっては、ねじ構造を介して磁石230と磁気センサ202との上下方向及び前後方向の相対位置を調整可能とするので、調整作業の容易化、構成の簡略化を図ることができる。
その他、本実施の形態は、他の実施の形態に示される構成と適宜組み合わせて実施可能である。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、第1空間S1に流れ込む流体を空気としたが、他の気体としたり、水や湯水等の液体としたりしてもよい。
また、上述の磁石13,230の向きは、移動部材7,170の移動方向に対して交差する方向が異極となる限りにおいて、変更することができ、例えば、左右方向に対して右上がり或いは左上がりに傾いた方向で異極になる向きに設定してもよい。
更に、第2調整機構は、移動部材7,170の移動方向と交差する方向であって、磁石13,230の各極を結ぶ方向と交差する方向である第2方向において磁石13,230と磁気センサ12,202との相対位置を調整すればよく、各実施の形態にように磁石13,230の各極を結ぶ方向が左右方向である場合、前後方向に限られず、当該前後方向に傾斜する方向に調整を行うようにしてもよい。また、第2方向は、直線上に沿った方向である必要はなく、第1の実施の形態のように、曲線(円弧)に沿った方向(周方向)であっても構わない。
また、第1の実施の形態における付勢部材6は、変形部63を省略し、ばね鋼からなる円形の板体に対し、丸穴61aだけを形成した構成等に代えてもよい。更に、第1の実施の形態において、第2空間S2に付勢部材6を配設してダイヤフラム5を下方から支持する構成としてもよい。
また、第1の実施の形態における磁石13は、保持部材8の回転方向に沿う円筒面を備えた形状に変更してもよい。