JP2015033187A - 限流リアクトル装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】直流系統に設置された直流遮断器が有するサージアブソーバの処理エネルギーを増大させずに故障電流の増加の割合を抑制することのできる限流リアクトル装置を提供する。
【解決手段】限流リアクトル装置1は、直流遮断器と直列に接続されるリアクトル2と、リアクトル2と並列に接続されるサージアブソーバ3と、サージアブソーバ3と直列に接続されるスイッチ4とを備える。スイッチ4は、電力系統の故障発生時点から直流遮断器10の電流遮断時点までに投入される。
【選択図】図1
【解決手段】限流リアクトル装置1は、直流遮断器と直列に接続されるリアクトル2と、リアクトル2と並列に接続されるサージアブソーバ3と、サージアブソーバ3と直列に接続されるスイッチ4とを備える。スイッチ4は、電力系統の故障発生時点から直流遮断器10の電流遮断時点までに投入される。
【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、電力系統において直流遮断器と直列に接続される限流リアクトル装置に関する。
高圧による直流送電は、交流送電に比して送電に伴う電力損失が小さいこと、交流から直流に変換する変換ロスが無いこと、及び線路コストも低減されることから注目を集めており、各所で導入が進んでいる。また、太陽光や風力などの自然エネルギーを利用した電源、マイクロガスタービン、燃料電池等に代表される直流出力の分散電源の普及も直流送電を後押ししている。
この直流送電においては、分散電源の直流出力を直接直流負荷に電力供給できる直流多端子配電システムをベースとし、負荷や分散電源の電圧レベルと直流配電系統の電圧レベルとを変換する変換器や、負荷や分散電源を保護するための直流遮断器の開発が必要となる。
変換器に関し、IGBT等の自己消弧型半導体スイッチング素子を備えてPWM制御される自励式変換器は、他励式変換器よりも直流送電においてメリットが多く、有望視されている。直流遮断器は、接点間に過電圧による絶縁破壊が引き起こされないように、接点間の電圧を制限するサージアブソーバを接点と並列に接続して備えている(例えば、非特許文献1参照)。
JUERGEN HAEFNER, BJOERNJACOBSON "Proactive Hybrid HVDC Breakers − A keyinnovation for reliable HVDC grids" CIGRE International Symposium in Bologna,2011
自励式変換器は定電圧制御される。そのため、直流系統で故障が発生すると、自励式変換器は定格値を維持すべく出力電流を増大させ、結果として故障電流を増大させてしまう。この故障電流は、電源から故障点までの系統のインダクタンスと抵抗によって増加の時定数が決まる。
そこで、非特許文献1では、直流遮断器の定格遮断容量を故障電流が上回らないように、限流リアクトルを直流遮断器と直列に接続し、故障電流の増加を抑制している。この限流リアクトルのインダクタンスは数百mHとされている。
限流リアクトルのインダクタンスが大きければ、確かに故障電流の増加の割合は抑制できる。しかしながら、限流リアクトルのインダクタンスが大きければ、限流リアクトルが蓄積した誘導性エネルギーも直流遮断器のサージアブソーバで処理せねばならなくなり、直流遮断器のサージアブソーバの処理エネルギーが大きくなってしまうという問題が生じる。
本実施形態に係る限流リアクトル装置は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、直流系統に設置された直流遮断器が有するサージアブソーバの処理エネルギーを増大させずに故障電流の増加の割合を抑制することのできる限流リアクトル装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本実施形態の限流リアクトル装置は、直流遮断器と直列に接続されるリアクトルと、前記リアクトルと並列に接続されるサージアブソーバと、前記サージアブソーバと直列に接続されるスイッチと、を備えること、を特徴とする。
前記リアクトルは、単相変圧器の前記直流遮断器と直列に接続された一方のコイルであり、前記サージアブソーバは、前記単相変圧器の他方のコイルと直列に接続されているようにしてもよい。前記スイッチは、電力系統の故障発生時点から前記直流遮断器の電流遮断時点までに投入されるようにしてもよい。
以下、図1乃至3を参照しつつ、各実施形態の限流リアクトル装置を説明する。尚、限流リアクトル装置とは、主回路に直列接続されたコイルを有する各種装置であり、コイルを主回路に有する変圧器も限流リアクトル装置とすることができる。
(第1の実施形態)
(構成)
図1に示すように、本実施形態に係る限流リアクトル装置1は、直流遮断器10とともに主回路100に配置される。直流遮断器10は、遮断部11を主回路100上に備え、遮断部11と並列にサージアブソーバ12を接続してなる。限流リアクトル装置1は、限流リアクトル2とサージアブソーバ3とスイッチ4とを備えている。
(構成)
図1に示すように、本実施形態に係る限流リアクトル装置1は、直流遮断器10とともに主回路100に配置される。直流遮断器10は、遮断部11を主回路100上に備え、遮断部11と並列にサージアブソーバ12を接続してなる。限流リアクトル装置1は、限流リアクトル2とサージアブソーバ3とスイッチ4とを備えている。
限流リアクトル2は、直流遮断器10が接続された主回路100に挿入され、直流遮断器10と直列接続されている。サージアブソーバ3は、限流リアクトル2と並列に接続されている。スイッチ4は、限流リアクトル2と並列接続され、サージアブソーバ3と直列接続となっている。
この限流リアクトル2は、直流が送電される主回路100上に位置して故障電流の増加の割合を抑制し、直流遮断器10の遮断特性を向上させる。但し、故障電流によって磁場を形成し、誘導性エネルギーを蓄える。
サージアブソーバ3、12は、アレスタとも呼ばれ、故障電流のエネルギーを吸収する。直流遮断器10のサージアブソーバ12は、直流遮断器10の接点間が制限電圧を超えると稼動して故障電流を転流させ、そのエネルギーを吸収することで、直流遮断器10の接点間電圧を制限電圧に抑制し、接点の絶縁破壊を防止する。
スイッチ4は、機械式又は半導体スイッチ等を用いることができ、限流リアクトル装置1のサージアブソーバ3に至る回路を開閉し、当該サージアブソーバ3に対する故障電流の流入を制御する。このスイッチ4は、電力系統の故障発生時点から直流遮断器10による電流遮断時点までに投入される。
例えば、限流リアクトル装置1、直流遮断器10、又はその他の電力機器には、故障電流を検出する検出部を備えており、この検出部の検出信号をスイッチ4の投入指示信号とする。スイッチ4が半導体スイッチであれば、検出信号をゲートに入力する等すればよい。
(作用)
図2は、このような限流リアクトル装置1による作用を示す。図2の(a)の実線で示されるように、故障時点Iにおいて電力系統に故障が発生すると、電源から故障点までのインダクタンス及び抵抗によって決まる時定数で直流遮断器10の遮断部11を流れる電流が増加する。この電流は、限流リアクトル装置1の限流リアクトル2によって増加が抑制されている。
図2は、このような限流リアクトル装置1による作用を示す。図2の(a)の実線で示されるように、故障時点Iにおいて電力系統に故障が発生すると、電源から故障点までのインダクタンス及び抵抗によって決まる時定数で直流遮断器10の遮断部11を流れる電流が増加する。この電流は、限流リアクトル装置1の限流リアクトル2によって増加が抑制されている。
故障時点I以後、ある時点IIにおいて、直流遮断器10は、遮断部11により電流を遮断する。また、限流リアクトル装置1は、故障時点I以後、この時点II以前にスイッチ4を投入し、限流リアクトル装置1のサージアブソーバ3に電流を転流させておく。
この遮断時点IIにおいては、図2の(a)の実線で示されるように、遮断部11を流れる電流は零となる。そして、図2の(b)に示すように、遮断時点IIからは、遮断部11の極間に制限電圧が現れる。このとき、スイッチ4は既に投入されているので、図2の(a)の点線で示されるように、遮断部11の経路に代わって、限流リアクトル装置1のサージアブソーバ3を経由して直流遮断器10のサージアブソーバ12を通る経路に電流が現れる。
この電流は、図2の(a)の点線で示されるように、両サージアブソーバ3、12に吸収されることで、最終的に零となる。この電流によるエネルギーは、直流遮断器10のサージアブソーバ12の処理エネルギーを示す図2の(c)及び限流リアクトル装置1のサージアブソーバ3の処理エネルギーを示す図2の(d)のように、限流リアクトル装置1のサージアブソーバ3と直流遮断器10のサージアブソーバ12とが分担して処理する。
すなわち、限流リアクトル2が設置されることで、限流リアクトル2が蓄積する誘導性エネルギー分だけ全体としての処理エネルギーは大きくなるが、限流リアクトル装置1のサージアブソーバ3がそのエネルギーの処理を分担するため、直流遮断器10のサージアブソーバ12が処理するエネルギーは小さくなる。
(効果)
以上のように、第1の実施形態に係る限流リアクトル装置1では、直流遮断器10と直列に接続される限流リアクトル2と、限流リアクトル2と並列に接続されるサージアブソーバ3と、サージアブソーバ3と直列に接続されるスイッチ4とを備えるようにした。
以上のように、第1の実施形態に係る限流リアクトル装置1では、直流遮断器10と直列に接続される限流リアクトル2と、限流リアクトル2と並列に接続されるサージアブソーバ3と、サージアブソーバ3と直列に接続されるスイッチ4とを備えるようにした。
これにより、電力系統の故障によりサージアブソーバ3、12が処理しなくてはならないエネルギーは、限流リアクトル2の設置により増加することとなるが、そのエネルギーの処理を限流リアクトル装置1のサージアブソーバ3が分担することができるため、直流遮断器10のサージアブソーバ12が処理するエネルギーを増加させることなく、換言すると、サージアブソーバ12を大型化する必要はなく、かつ限流リアクトル2により故障電流の増加の割合を抑制することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る限流リアクトル装置1は、単相変圧器1aである。単相変圧器1aが備える一対のコイル2a、5のうち、片方のコイル2aは、両端子が主回路100に接続され、限流リアクトル2としても機能する。スイッチ4及びサージアブソーバ3は、他方のコイル5を配置した回路内に設置し、他方のコイル5と直列接続する。
第2の実施形態に係る限流リアクトル装置1は、単相変圧器1aである。単相変圧器1aが備える一対のコイル2a、5のうち、片方のコイル2aは、両端子が主回路100に接続され、限流リアクトル2としても機能する。スイッチ4及びサージアブソーバ3は、他方のコイル5を配置した回路内に設置し、他方のコイル5と直列接続する。
この単相変圧器1aにおいても、故障時点I以後、ある時点IIにおいて、直流遮断器10が電流を遮断し、また故障時点I以後、この故障時点II以前にスイッチ4を投入しておく。そのため、エネルギーは、限流リアクトル装置1のサージアブソーバ3と直流遮断器10のサージアブソーバ12とが分担して処理することとなる。
この単相変圧器1aにおいては、主回路100とは異なるコイル5が接続された回路にスイッチ4とサージアブソーバ3とを接続しているので、スイッチ4とサージアブソーバ3とを主回路100とは異なる絶縁レベルとすることが可能となる。
(その他の実施形態)
本明細書においては、本発明に係る各種実施形態を説明したが、これら実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。各実施形態で開示の構成の全て又はいずれかを組み合わせたものも包含される。以上のような各実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
本明細書においては、本発明に係る各種実施形態を説明したが、これら実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。各実施形態で開示の構成の全て又はいずれかを組み合わせたものも包含される。以上のような各実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 限流リアクトル装置
1a 単相変圧器
2 限流リアクトル
2a コイル
3 サージアブソーバ
4 スイッチ
5 コイル
10 直流遮断器
11 遮断部
12 サージアブソーバ
100 主回路
1a 単相変圧器
2 限流リアクトル
2a コイル
3 サージアブソーバ
4 スイッチ
5 コイル
10 直流遮断器
11 遮断部
12 サージアブソーバ
100 主回路
Claims (3)
- 直流遮断器と直列に接続されるリアクトルと、
前記リアクトルと並列に接続されるサージアブソーバと、
前記サージアブソーバと直列に接続されるスイッチと、
を備えること、
を特徴とする限流リアクトル装置。 - 前記リアクトルは、単相変圧器の前記直流遮断器と直列に接続された一方のコイルであり、
前記サージアブソーバは、前記単相変圧器の他方のコイルと直列に接続されていること、
を特徴とする請求項1記載の限流リアクトル装置。 - 前記スイッチは、電力系統の故障発生時点から前記直流遮断器の電流遮断時点までに投入されること、
を特徴とする請求項1又は2記載の限流リアクトル装置。
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20160728 |
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A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20160902 |