JP2015033150A - 界磁巻線型同期電動機 - Google Patents

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Abstract

【課題】同期運転後に外乱等でも放電抵抗が再接続される可能性を低減させ、且つ、回路を小型化するする。【解決手段】電力系統に接続される固定子5と、シャフト上に界磁巻線10を巻回した回転子と、シャフト上に搭載されたブラシレス交流エキサイター4と、ブラシレス交流エキサイター4の出力を整流して直流線路に与える整流回路100とを備え、界磁巻線10に並列に、放電抵抗DRと、ダイオード11bと第1の開閉装置の並列回路を直列接続した第1回路を接続し、第1回路と整流回路100を接続する直流線路の一方の線路に直列に第2の開閉装置を備え、第1の開閉装置を界磁巻線10に誘導された誘導機電圧を抵抗により分圧した電位により開閉制御するとともに、分圧した電位の点からダイオード11eを介して第2の開閉装置が接続された直流線路の一方の線路の整流回路100側に接続し、第2の開閉装置を同期速度近傍において閉成する。【選択図】図3

Description

本発明は、界磁巻線型同期電動機に係り、その始動時に界磁投入するための界磁回路を備えた界磁巻線型同期電動機に関する。
界磁巻線型同期電動機は同期機であり、その始動手法として幾つかのものが知られている。
代表的な例はインバータを使用するものである。インバータによる方法は、界磁巻線型同期電動機の始動時に回転速度を可変に調整できるので始動が容易である。しかしながら、電力系統への同期併入後に可変速運転を必要としない場合、インバータは始動時のみの使用となるため、インバータ分のイニシャルコスト及び設置等の負担が過大となる。
インバータを使用しない始動方法として、ダイレクトオンラインにより始動する手法(DOL始動)がある。DOL始動は誘導電動機の全電圧始動と同等の始動方法であり、同期電動機でありながら、始動時のみ誘導電動機の特性を利用して始動する。界磁巻線型同期電動機では、通常は回転子側の界磁巻線を交流ブラシレスエキサイターからの直流電流により励磁するが、DOL始動では誘導電動機の特性を得るために、始動時には界磁巻線を交流ブラシレスエキサイターから切り離し、界磁巻線を短絡状態にする。また、始動電流を低減するために、放電抵抗DR(Discharge Resistor)を短絡した回路に接続する。
しかしながら、放電抵抗DRは始動時にのみ必要な機器であり、同期速度での定常運転時には逆に損失となり、電動機の効率を低下させることになる。このため、同期運転時には放電抵抗DRを切り離すことが必要となる。また同期運転にするにはDOL始動して、同期速度付近まで加速したら、交流ブラシレスエキサイターからの直流電流に切り替えるための措置が必要となる。
このような中、界磁巻線型同期電動機の始動から同期運転に切り替えるための回路について、様々な回路が検討されており、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3が知られている。
このうち特許文献1の回路では、交流ブラシレスエキサイター及び整流回路からサイリスタを介して界磁巻線に接続されている。また、界磁巻線と並列に放電抵抗DRが配置されている。ここでは同期運転に切り替えるための回路はサイリス及びゲート回路である。
特許文献2の回路では、その図6に記載されている回路が、放電抵抗DRの切り離し及び同期運転への切り替えを備えた回路となる。この回路での放電抵抗DR切り離しはサイリスタ24Aにより切り離すことになる。界磁巻線短絡での始動は誘導電流が発生する。この誘導電流を放電抵抗DRに通電させるために、サイリスタ24Aとダイオード24Bにて通電する。同期運転に切り替わると直流電流が流れるが、サイリスタ24Aはターンオフし、ダイオード24Bは直流電流をブロックする向きに配置されているため、放電抵抗DRが切り離された状態となる。ここでは同期運転へ切り替えるための回路はサイリスタ2aとなる。
特許文献3の回路は、同期運転に切り替わったことを確実に検知するための装置を備えたことが特徴である。
特開昭59−222087号公報 特開昭06−343250号公報 特開平03−078478号公報
特許文献1の回路の場合、放電抵抗DRを切り離すための回路が存在しない。またサイリスタがターンオンしたことにより、直流電流が界磁巻線に通電されるのと同時に、放電抵抗DRにも電流が通電されることになる。この結果、上述したように直流通電され同期運転状態においても放電抵抗DRに電流が流れ続けるため損失となり、電動機の効率を低下させることになる。
特許文献2の回路の場合、放電抵抗DRの切り離し及び同期運転への切り替えは、サイリスタのゲート制御回路23にて行うことになる。この回路ではサイリスタは四つ存在することになる、これに伴い、ゲート制御回路23の信号用の発信部をサイリスタの個数分必要となり、ゲート制御回路23が大型化するため、回転子内に配置する場合、実装面積が大きくなる。また、放電抵抗DRを切り離すためのサイリスタ24Aに対してはノイズやゲート制御回路23の誤作動により、同期運転時において、ゲートに信号が入力されてしまい、サイリスタがターンオンし放電抵抗DRに電流が通電されてしまう可能性がある。
特許文献3の回路の場合、放電抵抗DRが存在しない回路となるめ、DOL始動時の電流が増加し、系統への動揺も大きくなることが予想される。
上述した特許文献の発明では、始動電流を低減し同期運転後も確実に放電抵抗DRを切り離すことが困難であると考えられる。
本発明は界磁回路上に放電抵抗DRを有し、同期運転への切り替えと放電抵抗DRの切り離しを行える回路を備え、同期運転後に外乱等でも放電抵抗DRが再接続される可能性を低減させ、且つ、回路を小型化することができる界磁巻線型同期電動機を提供することを目的とする。
以上のことから本発明においては、電力系統に接続される固定子と、シャフト上に界磁巻線を巻回した回転子と、シャフト上に搭載されたブラシレス交流エキサイターと、ブラシレス交流エキサイターの出力を整流して直流線路に与える整流回路とを備え、直流線路に界磁巻線を接続した界磁巻線型同期電動機であって、界磁巻線に並列に、放電抵抗と、ダイオードと第1の開閉装置の並列回路を直列接続した第1回路を接続し、第1回路と整流回路を接続する直流線路の一方の線路に直列に第2の開閉装置を備え、第1の開閉装置を界磁巻線に誘導された誘導機電圧を抵抗により分圧した電位により開閉制御するとともに、分圧した電位の点からダイオードを介して第2の開閉装置が接続された直流線路の一方の線路の前記整流回路側に接続し、第2の開閉装置を同期速度近傍において閉成することを特徴とする。
本発明によれば、始動電流を低減し、同期運転後の放電抵抗の再接続される可能性を低減させ、放電抵抗を切り離すための制御回路を小型化するこが可能となる。
界磁巻線形同期電動機の外観の一例を示す図。 図1の回転機部の具体的な内部構成例を示す図。 実施例1に係る界磁巻線型同期電動機の界磁回路の構成を示す図。 実施例2に係る界磁巻線型同期電動機の界磁回路の構成を示す図。 実施例2に係る界磁回路の周波数検出装置の具体構成を示す図。 実施例3に係る界磁巻線型同期電動機の界磁回路の構成を示す図。 実施例3に係る界磁回路の電圧検出装置の具体構成を示す図。 実施例4に係る界磁巻線型同期電動機の界磁回路の構成を示す図。 実施例4に係る界磁回路の制御回路の具体構成を示す図。 実施例5に係る界磁巻線型同期電動機の界磁回路の構成を示す図。 実施例5に係る界磁回路のゼロクロス検出装置の具体構成を示す図。 誘導起電圧の時間変化を示す図。 実施例6に係る界磁巻線型同期電動機の界磁回路の構成を示す図。 実施例7に係る界磁巻線型同期電動機の界磁回路の構成を示す図。 界磁巻線形同期電動機の外観の一例を示す図。
以下本発明の実施例を、図面を用いて説明する。なお各図において同一部分は同じ番号を付与している。
実施例1について、図1、図2、図3を用いて説明する。
図1は、一般的な界磁巻線型同期電動機の外観の一例を示す図である。ここで適用対象とされる界磁巻線型同期電動機13は、例えばLNGプラント等に適用される数十MW級の大容量の電動機である。駆動電源は三相交流電源が供給され、回転速度は750〜1500回転/分の範囲で回転する。図1に示すように、界磁巻線型同期電動機13をその主たる構成要素(構成機器)に大別すると、回転機部3、熱交換器15、ブラシレス交流エキサイター4で構成される。
図2は、図1の回転機部3の具体的な内部構成例を示している。回転機部3には回転子8、固定子5、シャフト9が内部に配置されている。また図示していないが、回転機部3の内部で冷却風を循環されるためのファンも設けている。このうち回転子8は回転子鉄心26、シャフト9、界磁巻線10で構成されている。界磁巻線10は周方向に交互に極性が変わるように、巻線方向を変えて配置される。回転子鉄心26はダンパー効果を得るために、電磁鋼板では無く塊状鉄心としている。これにより、始動時のトルクを増加させることが可能となる。
固定子5は固定子鉄心27が軸方向に電磁鋼板にて積層され、固定子スロット6にコイル7が施されている。図2では回転子極数は4極、固定子スロット数は84であるが、他の極数、スロット数で構成してもよい。また、コイル7の巻線方法は分布巻や集中巻としてもよい。
図1に戻り、他の主たる構成要素であるブラシレス交流エキサイター4は、回転子8の界磁巻線10に直流電流を通電し励磁させるための装置である。熱交換器15は回転機部3内の冷却風を熱交換するための装置であり、実施例1では水を適用した熱交換器であるが、空気を適用してもよい。
図3に実施例1に係る界磁巻線型同期電動機の界磁回路の構成例を示している。図3の界磁巻線型同期電動機の界磁回路は、ブラシレス交流エキサイター4から回転子8の回転子巻線(界磁巻線)10に直流電流を与えるための回路構成である。この回路は、整流回路部100と同期投入回路部200とで構成されている。このうち整流回路部100は、ダイオード11aで構成された6相グレーツ結線により構成されており、ブラシレス交流エキサイター4からの交流電流を直流電流に変換して回転子8の回転子巻線(界磁巻線)10に直流電流を与える。なお図においてLは電源線であり、LPが正電位線、LMが負電位線とする。但しここでの正負は、整流回路部100で定まる極性を基準としている。
同期投入回路部200は、さらに放電抵抗部200Aと同期投入部200Bと条件検知部200Cで構成されている。このうち放電抵抗部200Aは、放電抵抗DRと逆方向ダイオード11bとサイリスタ2で構成されている。同期投入部200Bはサイリスタ1で構成されている。条件検知部200Cでは、要するに始動時と同期運転時を弁別し、検知した状態に応じてサイリスタ1、2の導通(ターンオン)と非導通(ターンオフ)を制御する。
図3を用いて界磁巻線型同期電動機の界磁回路の動作を説明する。この回路において、整流回路部100の構成はすでに述べたとおりであり、正電位線LPを正電位とし、負電位線LMを負電位とする出力を与える。
放電抵抗部200Aでは、正電位線LPと負電位線LMの間に、放電抵抗DRと、逆方向ダイオード11bとサイリスタ2の並列回路を直列接続している。後で説明するが、この回路により、界磁巻線10に誘起された交流誘導起電流の流路を形成する。交流誘導起電流が正電位線LP側に流れるときに放電抵抗DRからサイリスタ2を経由して負電位線LMに至る電流流路を形成し、交流誘導起電流が負電位線LM側に流れるときに逆方向ダイオード11bから放電抵抗DRを経由して正電位線LPに至る電流流路を形成させる。従って、サイリスタ2は交流誘導起電流が負電位線LM側に流れるときに導通(ターンオン)制御される。
同期投入部200Bは、負電位線LMにサイリスタ1を直列配置している。これにより、サイリスタ1がターンオフの時、ブラシレス交流エキサイター4側の回路(整流回路部100)と、界磁巻線10の回路(放電抵抗部200A)を回路的に分離する。またサイリスタ1がターンオンの時、ブラシレス交流エキサイター4側の回路(整流回路部100)と、界磁巻線10の回路(放電抵抗部200A)を回路的に結合する。なお正電位線LPにサイリスタ1を直列配置してもよい。
条件検知部200Cは、サイリスタ1、2の導通(ターンオン)と非導通(ターンオフ)を制御している。サイリスタ1の制御のために抵抗28と順方向ダイオード11dの直列回路を、正電位線LPと負電位線LMに直列接続されたサイリスタ1のゲートの間に接続している。従って、正電位線LPに印可された電位により、整流回路部100と放電抵抗部200Aの間の分離、結合が決定されることになる。
また条件検知部200Bは、サイリスタ2の制御のために抵抗17,16と順方向ダイオード11cの直列回路を、正電位線LPとサイリスタ2のゲートの間に接続している。また抵抗17と16の接続点間から順方向ダイオード11eを介して整流回路部100側の負電位線LMに接続している。これによりサイリスタ2は、正電位線LPの電位に対応して制御され、放電抵抗DRを介した電流流路を形成する。
この回路は要するに電源線の電位を分圧してサイリスタ2の導通を制御するとともに、分圧点の電位を負電位線LMに落としたものである。この結果、サイリスタ2は整流回路部100と、界磁巻線10の回路が分離された状態では分圧された電位により制御され、整流回路部100と、界磁巻線10の回路が結合された状態では分圧点の電位を負電位に落とすためにサイリスタ2の導通を確実に阻止することができる。言い換えると、放電抵抗DRを界磁巻線から切り離すことができる。
以下、図3の回路動作を時系列的な順序を追いながら説明する。まずDOL始動時には、ブラシレス交流エキサイター4は十分な出力を与えておらず、整流回路部100における正電位線LPの電位は立ち上がっていない。このため抵抗28と順方向ダイオード11dの直列回路は、サイリスタ1のゲートに信号を与えておらず、サイリスタ1はターンオフの状態である。このため、整流回路部100と放電抵抗部200Aの間は分離されており、図3の回路は界磁コイル10、放電抵抗DR、サイリスタ2、抵抗16、17、ダイオード11bにより構成されている。よって、界磁コイル10から見た場合、放電抵抗DRとサイリスタ2、ダイオード11bを介した短絡回路となる。
係る状態からの始動時において、固定子5に三相電圧を投下する(遮断器を介して固定子巻線を電力系統に接続)ことで、界磁コイル10には誘導起電流が発生する。発生した交流の誘導起電流についてプラス側の電流は、放電抵抗DRを介してサイリスタ2に印可され、また抵抗16、17、ダイオード11cを介してサイリスタ2のゲートに流れる。サイリスタ2のゲートに電流が流れると、サイリスタ2のアノード、カソード間がターンオンする。これにより、プラス側の誘導起電流は放電抵抗DRからサイリスタ2を経由して界磁コイル10に流れる。
一方、マイナス側の電流はダイオード11bから放電抵抗DRを介して界磁コイル10に流れる。この時、サイリスタ2には負電圧が掛かり、且つ、ゲート電流はゼロであるため、サイリスタ2のアノード、カソード間はターンオフする。以上を通じて、界磁コイル10からの誘導起電流は、その正負に拘わらず放電抵抗DRに流れることで、制限される。
その後電動機は始動し加速するに従い周波数も小さくなることから、誘導起電流も小さくなる。これにより、同期速度付近まで加速すると、サイリスタ2のゲートへ流れる電流も小さくなるためサイリスタ2のアノードカソード間は継続してターンオフした状態になる。このように、始動して同期速度付近までは誘導起電流が放電抵抗DRに流れ、同期速度付近になると放電抵抗DRには誘導起電流のマイナス側のみ流れることになる。
なおここで、放電抵抗DRに直列にサイリスタ2とダイオード11bを接続する理由は以下のようである。界磁投入は直流電流であるため、サイリスタ2をターンオフした状態にすれば、ダイオード11bに対しては逆方向電流となるため直流電流をブロックすることになる。これにより、放電抵抗DRに直流電流が流れないようにし、界磁投入後に放電抵抗DRを切り離すことでき、放電抵抗DRを設けることで、始動時の始動電流を低減することが可能となる。
次に同期速度まで加速して、界磁投入する動作について説明する。まず交流エキサイター4の原理について説明する。この原理は交流励磁式同期発電機と同じであり、固定子側に励磁電流を流すことで、回転子に発電電流が発生する。これにより、ブラシレスに界磁コイル10に電流を供給することが可能となる。よって、発電電流は電動機が加速するに従い、発電電流も増加することになる。このようにして交流エキサイター4からは三相交流電流が流れ、ダイオード11aを六つ配置した整流回路部100において直流電流に変換される。
同期速度付近まで加速した状態での直流電流は抵抗28、ダイオード11dを介して、サイリスタ1のゲートへ流れる。サイリスタ1のゲートに電流が流れるとアノード、カソード間がターンオンになる。これにより整流回路部100と放電抵抗部200Aの間が結合され、直流電流は界磁コイル10へ流れる。
なおこの状態におけるサイリスタ2の動作は、ターンオフ状態を維持するものとされる。つまり、サイリスタ2のアノード、カソード間がターンオンになる条件として、界磁電圧より誘導起電圧が大きい場合にターンオンするように、抵抗16、17の値を設定しておくことで、界磁投入してもサイリスタ2はターンオフした状態を維持することができる。
またこの状態において、抵抗16と17の接続点から分岐したパイパス回路18に設けられたダイオード11eにより、以下の機能を果たす。ダイオード11eは始動時の誘導起電圧が発生している時は、サイリスタ1がターンオフしているため電流は流れないが、サイリスタ1がターンオンするとバイパス回路18とダイオード11eを介して電流が流れる。これにより、始動時の特性を利用しダイオード11aで構成された整流回路を切り離すことで、サイリスタ1のゲート回路部を無電位状態にし、始動時の誘導起電圧でサイリスタ1がターンオンすることを防止している。
さらに、パイパス回路18とダイオード11eはサイリスタ1がターンオンすることで、サイリスタ2のゲート回路がバイパス回路18とダイオード11eを介してサイリスタ1のカソード側に接続されるため、サイリスタ2を確実にターンオフ状態にし、放電抵抗DRが通電されたまま同期運転されることを回避できる。
また、ノイズ等の突発的な信号に対しても、サイリスタ2をターンオフ状態に維持し、放電抵抗DRを切り離すことが可能となる。
なお図3に示した回路の内、固定子5以外は、回転子8のシャフト9に取り付けられる構成となるため、電動機が駆動する際は回路も一緒に回転することになる。実施例1では、サイリスタ1、2を半導体素子としているが、機械式の開閉装置としても良く、その場合、シャフト9に取り付けられる回路部をシャフト9から外し、別設置しブラシを搭載する構成でも、上述した効果を得られる。
実施例2について、図4、図5、図12を用いて説明する。
図4は実施例2に係る界磁巻線型同期電動機の界磁回路の構成例を示している。実施例2では、サイリスタ1の制御のために周波数検出装置を搭載した界磁回路の回路図を示している。周波数検出装置ではすべり周波数を監視して、サイリスタ1切替えの条件としている。
図4の回路構成は、図2における条件検知部200Cの回路構成のうち、サイリスタ1のゲートを制御する抵抗28と順方向ダイオード11dの直列回路部分が周波数検出装置19に置き換えられている。従って、サイリスタ1のゲート制御手法のみが実施例1と相違しているので、この部分を主体に説明する。
この制御では、すべり周波数に着目している。図12はDOL始動時における誘導機電圧の時間経過を示す図である。固定子5側の巻線の電源投入により回転子巻線10側に誘導される交流電圧は、時刻t0以降時間経過とともに低減し、かつ交流電圧の周期は時間経過とともに長くなる。この場合の交流電圧の周波数はいわゆるすべり周波数である。係る始動時の誘導起電圧の特性として、回転速度が低い場合、固定子5に通電される電源周波数との差が大きいため、界磁コイル10に発生する誘導起電圧も大きく、周波数が高い状態である。この周波数をすべり周波数と呼び、電動機の回転速度が高くなるにつれ、誘導起電圧もすべり周波数も低下していく関係にある。このことから、実施例2に示した周波数検出装置19では設定した周波数(すべり周波数)になった時点で、サイリスタ1のゲートに信号を発信することで界磁投入することが可能となる。
なお周波数検出装置19の入力は図4に示したc、d(正電位線LPと負電位線LMにおける電位)であり、装置の電源はa、b(整流回路部100側の正電位線LPと負電位線LMにおける電位)である。出力はe(サイリスタ1のゲート信号)である。
図5に、周波数検出装置19の内部構成を示す。図5に示すように、周波数検出装置19では、周波数/電圧コンバータ29において周波数を電圧へ変換する。周波数/電圧コンバータ29の駆動用電源は電源30から得る。電源30には、ブラシレス交流エキサイター4からダイオード11aを介して得られた直流電流が入力される。誘導起電圧の周波数と、周波数設定器31にて設定した周波数を比較器32で比較し、周波数が同じになったら、サイリスタ1へ信号を発信する。
電動機は始動時の負荷状態により、加速状態が異なり、これに伴いすべり周波数も変化していく。実施例2によれば負荷状態を考慮し、適切なすべり周波数を設定して、界磁投入することで安定した始動特性を得ることが可能となる。
実施例3について、図6、図7を用いて説明する。
図6は、実施例3に係る界磁巻線型同期電動機の界磁回路の構成例を示している。実施例3では、実施例2の周波数検出装置19に替えて電圧検出装置20を搭載した界磁回路の回路図を示している。電圧検出装置20では誘導起電圧を監視して、サイリスタ1切替えの条件としている。
実施例2で図16を用いて説明したように、回転速度に応じて誘導起電圧の大きさも変化する。このため図6に示すように、誘導起電圧の大きさを電圧検出装置20にて検出して、設定した電圧になった時点で、サイリスタ1のゲートに信号を発信し、界磁投入することが可能となる。
電圧検出装置20の入力は図6に示したc、d(正電位線LPと負電位線LMにおける電位)であり、装置の電源はa、b(正電位線LPと負電位線LMにおける電位)である。出力はe(サイリスタ1のゲート信号)である。
図7に、電圧検出装置20の内部構成を示す。図7に示すように、電圧検出装置20ではピークホールド回路33にて、入力された誘導起電圧の最大値を検出する。ピークホールド回路33の駆動用電源は電源30から得る。電源30には、交流エキサイター4からダイオード11aを介して得られた直流電流が入力される。誘導起電圧の電圧値と、電圧設定部34にて設定した電圧を比較器32で比較し、同じになったら、サイリスタ1へ信号を発信する。
電動機は始動時の負荷状態により、加速状態が異なり、これに伴い誘導起電圧も変化していく。実施例3によれば負荷状態を考慮し、適切な電圧を設定して、界磁投入することで安定した始動特性を得ることが可能となる。
実施例4について、図8、図9を用いて説明する。
図8に実施例4に係る界磁巻線型同期電動機の界磁回路の構成例を示している。実施例4では、図3で説明した実施例1の界磁回路の構成に、さらに制御回路21と制御回路21により制御されるサイリスタ22を追加設置している。
ここで、サイリスタ22は負電位線LMに設置されたサイリスタ1と直列に設置されている。また制御回路21は、界磁コイル10に取り付けた温度センサー35からの温度信号が設定温度以上になった場合、サイリスタ22をターンオフするようにしている。
このため、ブラシレス交流エキサイター4側の回路(整流回路部100)と界磁巻線10の回路(放電抵抗部200A)を回路的に分離する機能は、負電位線LMに設置された2つのサイリスタ1と22のいずれか一方のターンオフにより実施されることになる。これに対し、ブラシレス交流エキサイター4側の回路(整流回路部100)と界磁巻線10の回路(放電抵抗部200A)を回路的に結合する機能は、負電位線LMに設置された2つのサイリスタ1と22の双方のターンオンにより実施されることになる。
図8に示すように、界磁コイル10に取り付けた温度センサー35からの温度信号を制御回路22にて検出して、設定した温度になった時点で、サイリスタ22のゲートに信号を発信し、界磁投入することが可能となる。
制御回路22の入力は図8に示したc(界磁コイル10に取り付けた温度センサー35からの温度信号)であり、装置の電源はa、b(正電位線LPと負電位線LMにおける電位)である。出力はd(サイリスタ22のゲート信号)である。
図9に、制御回路21の具体的な内部構成を示す。図9に示すように、制御回路21では増幅回路36において、端子Cから入力された温度信号を検出し、増幅する。増幅回路36の駆動用電源は電源30から得る。電源30には、交流エキサイター4からダイオード11aを介して得られた直流電流が入力される。検出した温度信号と、温度設定部37にて設定した設定温度を比較器32で比較し、同じになったら、サイリスタ22へ信号を発信する。
実施例4により、界磁コイル10の温度が適用しているコイルの温度上限値になった場合、サイリスタ22がターンオフして、同期運転状態からDOL状態に戻ることになる。DOL状態に戻り、すべり周波数が低い場合は、界磁電流よりも誘導起電流は小さくなるため、界磁コイル10のオーバーヒートを回避することができる。一方、DOL状態に戻り、すべり周波数が高い場合は、回転速度自体も低下するため、電動機自体が異常状態であることを検知することができる。
尚、サイリスタ22はゲート信号の極性を変えることで、ターンオンとターンオフを切り替えることができるGTOサイリスタを適用する。また、機械式の開閉装置でも同様の機能を得ることが可能である。
実施例4の制御回路21と制御回路21により制御されるサイリスタ22は、要するに界磁巻線10の温度保護要素を構成したものである。従ってここでは、図1の回路に温度保護要素を追加設置しているがこれは実施例2、実施例3、さらには他の界磁回路に適用することも可能である。
実施例5について、図10、図11を用いて説明する。
図10に実施例5に係る界磁巻線型同期電動機の界磁回路の構成例を示している。実施例5では、実施例2の周波数検出装置19、実施例3の電圧検出装置20に替えてゼロクロス検出装置23を搭載した界磁回路の回路図を示している。ゼロクロス検出装置23では誘導起電圧のゼロクロスポイントを検出して、ゼロクロスした時点で、サイリスタ1へのゲートに信号を発信し、界磁投入することが可能となる。
ここでサイリスタ1の投入による整流回路側と界磁巻線との接続タイミングをゼロクロスした時点で定めるのは以下の理由による。起動時に回転機は誘導機として起動しており、サイリスタ1の投入により同期機となるが、この過程では電動運転モードと発電運転モードを交互に繰り返す状態である。このため、投入時のタイミングによっては同期運転であっても不安定な運転状態で接続される恐れがある。このためゼロクロスした時点を起点として安定運転点を目指したものである。
ゼロクロス検出装置23の入力は図10に示したc、d(正電位線LPと負電位線LMにおける電位)であり、装置の電源はa、b(正電位線LPと負電位線LMにおける電位)である。出力はe(サイリスタ1のゲート信号)である。
図11に、ゼロクロス検出装置22の具体的な内部構成を示す。図11に示すように、ゼロクロス検出装置23はゼロクロス検出回路38にて、入力された誘導起電圧のゼロクロスを検出する。ゼロクロス検出回路38の駆動用電源は電源30である。電源30は交流エキサイター4からダイオード11aを介した直流電流が入力される。これにより、界磁投入時の位相を常に、同じタイミングで投入することができるため、毎回、同じ始動特性を得ることが可能となる。
尚、実施例1、実施例2で記述している誘導起電圧24の時間変化を図12に示す。これは振幅が時間変化により変動する正弦波状の信号である。図12に示すように、始動後は振幅も大きく周波数も高く、電動機の回転速度が上がっていくと、振幅は小さくなり、周波数も低くなる。
実施例6について、図13を用いて説明する。
図13は、実施例6に係る界磁巻線型同期電動機の界磁回路の構成を示す図であり、ここでは放電抵抗DRを可変抵抗にした事例を示している。放電抵抗DRを可変抵抗39にすることで、電動機の素性(出力、周波数)が変わった場合でも、最適な抵抗値に設定することができる。放電抵抗DRの抵抗値を最適化することは、始動電流を最小限にしていることとなる。
実施例7について、図14を用いて説明する。
図14は、実施例7に係る界磁巻線型同期電動機の界磁回路の構成を示す図である。ここでは、正電位線LPと負電位線LMの間に平滑コンデンサを配置している。ダイオード11aで構成された整流回路部100の隣に、平行して平滑コンデンサ25を配置している。整流回路部100において整流された電流は、リップル成分を含んでいる。平滑コンデンサ25を配置することで、リップル成分を除去し、脈動の無い界磁電流を界磁コイル10に供給することができる。こうすることで、リップルによる電動機のトルク脈動や振動成分を無くすことができる。
実施例8について、図15を用いて説明する。
図15は、界磁巻線形同期電動機の外観の一例を示す図である。ここでは、電動機負荷として、コンプレッサーと連結した例を示す。上記の実施例1から実施例7で示した回路を有した、界磁巻線型電動機13と増速ギア26とコンプレッサー12が連結される。これにより、LNGや薬品、化学プラントへの圧縮機を必要とするプラントへ設置し、運転することが可能となる。
なお上記の実施例の説明においてはサイリスタにより回路の接続分離を行う事例を示しているが、これは一般的には開閉装置により構成することができるものであり、サイリスタも各種の半導体素子で代替可能であることは言うまでもない。
1、2,22:サイリスタ
3:回転機部
4:ブラシレス交流エキサイター
5:固定子
6:スロット
7:コイル
8:回転子
9:シャフト
10:界磁コイル
11a、11b、11c、11d、11e:ダイオード
12:コンプレッサー
13:界磁巻線形同期電動機
14:DR(放電抵抗)
15:熱交換機
16、17:抵抗
18:バイパス回路
19:周波数検出装置
20:電圧検出装置
21:制御回路
23:ゼロクロス検出器
24:誘導起電圧
25:平滑コンデンサ
26:回転子鉄心
27:固定子鉄心
28:抵抗
29:F/Vコンバータ
30:電源
31:周波数設定
32:比較器
34:ピークホールド回路
35:電圧設定
36:温度センサー
37:増幅回路
39:温度設定
40:ゼロクロス検出器
41:可変抵抗
46:増速ギア

Claims (8)

  1. 電力系統に接続される固定子と、シャフト上に界磁巻線を巻回した回転子と、前記シャフト上に搭載されたブラシレス交流エキサイターと、該ブラシレス交流エキサイターの出力を整流して直流線路に与える整流回路とを備え、前記直流線路に前記界磁巻線を接続した界磁巻線型同期電動機であって、
    前記界磁巻線に並列に、放電抵抗と、ダイオードと第1の開閉装置の並列回路を直列接続した第1回路を接続し、該第1回路と前記整流回路を接続する前記直流線路の一方の線路に直列に第2の開閉装置を備え、
    前記第1の開閉装置を前記界磁巻線に誘導された誘導機電圧を抵抗により分圧した電位により開閉制御するとともに、前記分圧した電位の点からダイオードを介して前記第2の開閉装置が接続された前記直流線路の一方の線路の前記整流回路側に接続し、
    前記第2の開閉装置を同期速度近傍において閉成することを特徴とする界磁巻線型同期電動機。
  2. 請求項1に記載の界磁巻線型同期電動機であって、
    前記第1回路を前記界磁巻線に並列に接続し、前記第2の開閉装置を開放した状態で前記固定子を電力系統に接続し、同期速度近傍において前記第2の開閉装置を閉成することを特徴とする界磁巻線型同期電動機。
  3. 請求項1または請求項2に記載の界磁巻線型同期電動機であって、
    前記第1の開閉装置は、前記固定子の電力系統接続により前記界磁巻線に誘起された誘導起電流の極性に応じて開閉されることを特徴とする界磁巻線型同期電動機。
  4. 請求項2に記載の界磁巻線型同期電動機であって、
    前記同期速度近傍であることを、すべり周波数により検知することを特徴とする界磁巻線型同期電動機。
  5. 請求項2に記載の界磁巻線型同期電動機であって、
    前記同期速度近傍であることを、前記固定子の電力系統接続により前記界磁巻線に誘起された誘導起電圧により検知することを特徴とする界磁巻線型同期電動機。
  6. 請求項2に記載の界磁巻線型同期電動機であって、
    前記同期速度近傍であることを、すべり周波数のゼロクロスポイントにより検知することを特徴とする界磁巻線型同期電動機。
  7. 請求項1または請求項2に記載の界磁巻線型同期電動機であって、
    前記第2の開閉装置と直列に第3の開閉装置を接続し、前記界磁巻線温度により開閉制御することを特徴とする界磁巻線型同期電動機。
  8. 請求項1または請求項2に記載の界磁巻線型同期電動機であって、
    前記開閉装置が半導体素子で構成されていることを特徴とする界磁巻線型同期電動機。
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