JP2015028725A - 車両走行シミュレーションシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の目標性能を達成するために効率的かつ詳細に部品単位での目標設定を行うことが可能な車両走行シミュレーションシステムを提供すること。【解決手段】車両に含まれる部品を含み、かつ、車両の外部環境と運転者との少なくとも一方を含む互いに独立して設定された車両挙動に影響を与える車両挙動影響因子それぞれに対して複数のモデルを格納するモデル格納部と、前記車両挙動影響因子毎に前記複数のモデルの中から選択された1つのモデルに基づいて、車両走行のシミュレーションを実行するシミュレーション実行部と、前記シミュレーション実行部により行われたシミュレーションの結果に応じて、所定の車両性能に対する評価を行う性能評価部と、を備えることを特徴とする。【選択図】図2
Description
本発明は車両走行のシミュレーション技術に関する。
自動車の開発過程では、車両の性能目標を策定し、該性能目標に基づき試作車両等を製作し、実際の走行試験を行うことにより性能や妥当性の評価を行いながら最終的な量産仕様を構築していく開発手法が一般的に行われている。
しかしながら、評価の度に試作車両を製作・改造し、実際の車両試験を行っていては、開発期間が非常に長くなってしまうため、従来からモデルベース開発と呼ばれる開発手法が提案されている。モデルベース開発とは、対象となるシステムのモデルを仕様として定義し、該モデルを拠り所として開発を行う手法である。自動車開発では、CAE(Computer Aided Engineering)等を利用して、実車両の試作等を行うことなく、車両のモデルに基づき、車両の機能、性能等の評価を行うことが可能なシミュレーション技術が提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
通常、車両走行のシミュレーションを行う場合、車両挙動に影響する要素、例えば、車両、運転者、外部環境(路面、天候、風等)等に含まれる要素をモデル化し、各モデル間の相互関係等も含めた演算処理を行う必要がある。
しかしながら、車両は数万点に及ぶ部品から構成され、かつ、外部環境や運転者の操作の影響を加味する必要性等から、モデル間の関係は非常に複雑となり、スーパーコンピュータ等を用いたとしてもシミュレーションの演算処理に莫大な時間が掛かる場合がある。また、演算処理時間を短縮するためにモデルを単純化してシミュレーションを行う場合(例えば、エンジンを質量、重心、回転慣性のみを考慮したモデルにする等)、精度の問題もあり、目標性能の達成方法を部品単位で正確に設定することができない場合が生じうる。
そこで、上記課題に鑑み、車両の目標性能を達成するために効率的かつ詳細に部品単位での目標設定を行うことが可能な車両走行シミュレーションシステムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、一実施形態において、本車両走行シミュレーションシステムは、
車両に含まれる部品を含み、かつ、車両の外部環境と運転者との少なくとも一方を含む互いに独立して設定された車両挙動に影響を与える車両挙動影響因子それぞれに対して複数のモデルを格納するモデル格納部と、
前記車両挙動影響因子毎に前記複数のモデルの中から選択された1つのモデルに基づいて、車両走行のシミュレーションを実行するシミュレーション実行部と、
前記シミュレーション実行部により行われたシミュレーションの結果に応じて、所定の車両性能に対する評価を行う性能評価部と、を備えることを特徴とする。
車両に含まれる部品を含み、かつ、車両の外部環境と運転者との少なくとも一方を含む互いに独立して設定された車両挙動に影響を与える車両挙動影響因子それぞれに対して複数のモデルを格納するモデル格納部と、
前記車両挙動影響因子毎に前記複数のモデルの中から選択された1つのモデルに基づいて、車両走行のシミュレーションを実行するシミュレーション実行部と、
前記シミュレーション実行部により行われたシミュレーションの結果に応じて、所定の車両性能に対する評価を行う性能評価部と、を備えることを特徴とする。
本実施形態によれば、車両の性能目標を達成するために効率的かつ詳細に部品単位での目標設定を行うことが可能な車両走行シミュレーションシステムを提供することができる。
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態に係る車両走行シミュレーションシステム1の全体構成図を示している。
図1は、本実施形態に係る車両走行シミュレーションシステム1の全体構成図を示している。
車両走行シミュレーションシステム1は、車両に含まれる部品等を含む互いに独立して設定された車両挙動に影響を与える車両挙動影響因子のモデルを用いて、車両走行試験を仮想的に計算機上にて行うものである。以下、仮想的に計算機上で行う車両走行試験を車両走行シミュレーションと呼ぶ。
車両走行シミュレーションシステム1は、コントロール端末10、シミュレーションコンピュータ(シミュレーション実行部、ループシミュレーション実行部、性能評価部、影響度算出部)20、データベース(モデル格納部)30、ハードウェア40、スーパーコンピュータ50(シミュレーション実行部)等を含む。
ここで、本実施形態における車両走行シミュレーションの概要について簡単に説明をする。車両走行シミュレーションは、データベース30に含まれる複数のモデルに対して、各モデルへのインプット、及び各モデルからのアウトプットを対応させることで該複数のモデルを連結させて行われる。例えば、エンジンのトルク変動等に起因する力はエンジンマウント等を介して車体に伝達されるため、エンジンを含むモデルからエンジンマウントを介したアウトプットは車体を含むモデルへのインプットに対応される。上記連結された各モデルに対して、シミュレーションコンピュータ20内のCPUで各モデル用のシミュレーションプログラムを実行することにより車両走行シミュレーションが行われる。この際に、上述したとおり、各モデルへのインプット、及び各モデルからのアウトプットを対応させてあるため、各モデル用のシミュレーションプログラムは相互に連携しながら、車両走行シミュレーションが行われる。以下、上述した車両走行シミュレーションを前提に説明を行う。
コントロール端末10は、車両走行のシミュレーションを行う上での前提条件、実行条件等の設定、具体的な車両走行シミュレーションの実行指示等を行う端末である。前提条件とは、例えば、データベース30から車両走行シミュレーションに用いるモデルを選択する(後述する簡易モデル、中位モデル、詳細モデルからの選択)等である。また、実行条件とは、例えば、車両走行シミュレーションを行う走行コースが複数準備されている場合に走行コースを選択する等である。また、実行条件には、後述するループシミュレーションにおける変更可能な車両要素の変更範囲を設定すること等が含まれる。なお、変更可能な車両要素とは、車両開発において変更可能な要素として最適な形状や特性等の検討を行うものを指す。変更可能な車両要素は予め設定されており、該車両要素としては、例えば、部品レベル(形状/特性含む)で設定されてもよいし、サスペンションに関してのバネのバネ定数、ダンパーの減衰係数、ストローク量のように特性レベルで設定されてもよい。
シミュレーションコンピュータ20は、具体的に車両走行シミュレーションにおける演算処理を行う計算機であり、上記コントロール端末10からの指令により車両走行シミュレーションを実行する。シミュレーションコンピュータ20は、シミュレーションの具体的演算処理を行うプログラムを実行するCPU、上記プログラムを記憶するROM、データを一時的に保存するRAM等を含む。
上記ROMには、走行中の外部環境(例えば、路面段差、風等)からの入力、運転者による操作入力等による車両走行時の挙動をシミュレーションするプログラムが記憶されている。また、シミュレーションプログラムは、上述したとおり、データベース30に含まれる各モデルに対応したシミュレーションプログラムが記憶されている。車両走行シミュレーションでは、複数のモデル間を連携させながら、シミュレーションが行われる。車両走行シミュレーションは、後述するシミュレーションモデル30a内の下位システムモデル毎に該下位システムモデルに含まれる3つのモデル(詳細モデル、中位モデル、簡易モデル)の中から選択された1つのモデルに基づいて行われる。
また、シミュレーションコンピュータ20は、車両走行シミュレーションの結果に応じて、所定の車両性能に対する評価を行う。後述するデータベース30には、車両性能評価用データ30bが格納され、その中に含まれる所定の車両性能に対する評価指標とシミュレーション結果中の該評価指標に対応する物理量等に基づいて、所定の車両性能の評価を行う。評価方法としては、例えば、評価点方式を用いてよく、評価指標として所定の物理量の値と評価点とを対応させておく等により評価点を算出することができる。車両の操縦安定性能であれば、例えば、車両のヨーレートやロールレート等と評価点を対応させる等による評価を行ってよい。また、車両性能評価用データ30bには、所定の車両性能に対する既存車両情報(例えば、評価点等)が格納されている。シミュレーションコンピュータ20は、車両走行シミュレーションの結果に応じた所定の車両性能の評価と既存車両の評価とを比較する等してよい。
また、シミュレーションコンピュータ20は、コントロール端末10からの指令に基づき車両要素を変更させながら繰り返し車両走行シミュレーションを行う。そして、繰り返し行われる各シミュレーションに対して上記所定の車両性能の評価が行われ、各評価結果に基づき上記車両要素毎の所定の車両性能への影響度を算出する。なお、以下において、上述した車両要素を変更させながら繰り返し行われる車両走行シミュレーションをループシミュレーションと呼ぶ場合がある。詳細については、後述する。
データベース30は、車両走行シミュレーションに用いるシミュレーションモデル30aを格納するために設けられる。また、データベース30には、シミュレーション結果に応じて、所定の車両性能を評価するための車両性能評価用データ30bが格納されている。
図2は、データベース30の構成を示す図である。
図2を参照するに、シミュレーションモデル30aは、車両モデル30a1、外部環境モデル30a2、運転者モデル30a3を含む。
車両モデル30a1は、車両のシミュレーションモデルであり、車両に含まれる部品(複数の部品を組み合わせて構成される部品(アッセンブリ)を含む)のモデルである、エンジン&トランスミッションモデル、タイヤ&サスペンションモデル、車体モデル等を含む。
外部環境モデル30a2は、走行時に車両挙動に影響を与える、すなわち、車両に外力を与える外部環境因子のシミュレーションモデルであり、路面モデル、空力モデル等を含む。
運転者モデル30a3は、ハンドルやペダル操作により車両挙動に影響を与える運転者のシミュレーションモデルである。
なお、以下において、車両モデル30a1、外部環境モデル30a2、運転者モデル30a3を上位システムモデルと呼ぶ場合がある。また、エンジン&トランスミッションモデル、タイヤ&サスペンションモデル、車体モデル、路面モデル、空力モデル、運転者モデル等の上位システムに含まれるシステムのモデルを下位システムモデルと呼ぶ場合がある。
本実施形態においてシミュレーションモデル30aに含まれる上記各下位システムモデルは、3つのモデル、すなわち、簡易モデル、中位モデル、詳細モデルを有している。簡易モデルは、シミュレーションを行うシステム(部品)を簡易的に表現したモデルである。簡易モデルを用いることで、車両走行シミュレーションにおいて演算処理の時間を短縮することができる。詳細モデルは、シミュレーションを行うシステムを非線形領域等も含めて詳細に表現したモデルである。詳細モデルを用いることで車両走行シミュレーションにおける演算処理に多大の時間を要するが、精度の高いシミュレーションを行うことができる。すなわち、詳細モデルは、シミュレーション結果に基づいて、構造設計の検討が可能なレベルのモデルである。中位モデルは、演算処理時間と精度のバランスを図ったモデルであり、シミュレーション結果に基づいて、例えば、システムの特性を検討することが可能なレベルのモデルである。
図3は、データベース30に格納されるシミュレーションモデルの一例を示す図であり、シミュレーションモデル30aに含まれる各下位システムモデルの簡易モデル、中位モデル、詳細モデルの一例が示されている。
図3を参照するに、エンジン&トランスミッションモデルの簡易モデルは、例えば、質量、重心、回転慣性のみを考慮した運動方程式で表されるモデルである。また、中位モデルは、例えば、簡易モデルに加えて、外形形状、内部の回転体、トルク伝達、摩擦等を考慮した運動方程式で表されるモデルである。また、詳細モデルは、例えば、ソリッド要素等により内部構造まで詳細構成し、内部流体の流動を含めて解析可能なCAEモデルである。
サスペンション&タイヤの簡易モデルは、例えば、トルクを入力することによるタイヤ回転を与える関係式で表されるモデルである。また、中位モデルは、例えば、サスペンションに含まれる非線形要素である梁要素やバネ特性等を考慮した簡易FEM(Finite Element Method;有限要素法)モデルである。また、詳細モデルは、例えば、シェル、ソリッド要素で詳細に構成される大規模FEMモデルである。
車体の簡易モデルは、例えば、質量、重心、回転慣性のみを考慮した運動方程式で表されるモデルである。また、中位モデルは、例えば、梁要素とバネ結合で表現した簡易FEMモデルである。また、詳細モデルは、例えば、シェル、ソリッド要素で詳細に構成される大規模FEMモデルである。
路面の簡易モデルは、例えば、傾斜と一定の摩擦係数を考慮した走行抵抗を車両に与えるモデルである。また、中位モデルは、例えば、表面をシェル要素とし、路面の面たわみを表現可能とした簡易FEMモデルである。また、詳細モデルは、例えば、路面をソリッド要素とし、路面の破砕、飛散を考慮可能とした大規模FEMモデルである。
空力の簡易モデルは、例えば、正面投影面積に応じた空気抵抗のみを車両に与えるモデルある。また、中位モデルは、例えば、車両のシルエットを考慮した空気抵抗を車両に与えるモデルである。また、詳細モデルは、例えば、車両周りの乱流発生による剥離等の影響を含むCFD(Computational Fluid Dynamics;計算流体力学)モデルである。
運転者の簡易モデルは、例えば、ハンドル、ペダルの操作量を時間の関数として与えるモデルである。また、中位モデルは、例えば、人間の意志による操作を考慮した(例えば、ハンドル操作の際には修正操舵が入る、カーブにある程度近づいてからハンドルを操舵する等)ハンドル、ペダルの操作量を与えるモデルである。また、詳細モデルは、人体の操舵に関連する構成要素(骨、筋肉、関節等)を詳細に再現したモデルを用いて、動作に関連する部位に加わる力、間接の角度等を制御することにより操作を行わせるモデルである。
シミュレーションモデル30aに含まれる各下位システムモデルは、既存車両の車両走行試験結果との整合取りを行ったものであることが好ましい。すなわち、例えば、詳細モデルについては、既存車両の車両走行試験結果と該詳細モデルを用いた車両走行シミュレーション結果との間で整合取りを行ったものを用いるとよい。また、中位モデル、簡易モデルについては、上記整合取りが図られた詳細モデルから簡略化(例えば、非線形部分の線形近似化等)を行う等により作成するとよい。これにより、精度の高い車両走行シミュレーションを行うことができる。
図2に戻り、車両性能評価用データ30bは、シミュレーションコンピュータ20が車両走行シミュレーション結果に応じて所定の車両性能に対する評価を行うための評価指標、既存車両情報等を含む。
図2を参照するに、車両性能評価用データ30bには、所定の車両性能としての性能A〜Lに関する評価用データが格納され、各性能に対して評価指標と既存車両情報が含まれている。性能A〜Lに含まれるものとしては、操縦安定性能、乗り心地性能、制動性能、燃費性能等である。
評価指標は、上述したとおり、所定の物理量の値と評価点を対応させたもの等である。操縦安定性能であれば、例えば、車両のヨーレートやロールレート等と評価点を対応させたもの等である。これにより、シミュレーション中に算出された評価指標に対応する物理量等に基づいて、シミュレーションを行った車両の所定の車両性能を評価することができる。
既存車両情報には、上述したとおり、既存車両に関して所定の車両性能の評価(評価点等)と評価指標に対応する物理量等が含まれる。これにより、既存車両とシミュレーションを行った車両との所定の車両性能の比較を行うことができる。
図1に戻り、ハードウェア40は、車載部品の現物である。例えば、エンジンの制御を行うエンジンECU等の制御系のユニットは、マイコン等を含むコンピュータであり、そのまま車両走行シミュレーション上に組み入れることが可能であるため、部品の現物を用いて、HILS(Hardware in the Loop−Simulation)を行う。エンジンECUには、例えば、運転者モデルからのアウトプット(アクセルペダル信号)がインプットされるようにしておくことによりエンジンECUはアクセルペダル信号に応じてエンジンに制御信号をアウトプットすることができる。また、例えば、車両を新開発する場合でも既存車両のエンジンを流用する場合等があり得る。この場合には、エンジンを現物として用いることでHILSによる車両走行シミュレーションを行うことが可能である。なお、ハードウェア40の代わりに、例えば、エンジンECU等の制御系についてもモデルとしてデータベース30に格納し、シミュレーションコンピュータ20等により該モデルに対応するプログラムを実行することで車両走行シミュレーションを行ってもよい。
スーパーコンピュータ50は、シミュレーションコンピュータ20よりも高速で演算処理を行うことが可能な計算機である。スーパーコンピュータ50の演算処理速度は、例えば、浮動小数点計算に関して1.5TFLOPS以上である。上述した詳細モデルは、構造設計の検討が可能なレベルのモデルであり、非線形領域等も含めて詳細に表現したモデルであるため、該詳細モデルを用いたシミュレーションは、非常に時間を要する場合が多い。そのため、例えば、詳細モデルの全部又は一部によるシミュレーションの演算処理はスーパーコンピュータ50に行わせるとよい。この際、コントロール端末10により詳細モデルが選択されたものに関しては、コントロール端末10からの指令によりスーパーコンピュータ50で演算処理が行われるようにしておけばよい。
次に、車両走行シミュレーションシステム1を用いたループシミュレーションのフローについて説明をする。
図4は、車両走行シミュレーションシステム1を用いたループシミュレーションのフローチャートである。図4(a)は、ループシミュレーションにおける繰り返しフローを含む車両走行シミュレーション全体のフローを示しており、図4(b)は、ループシミュレーションにおいて繰り返されるフローを示している。
図4(a)を参照するに、ステップS1にて、シミュレーション指示者(以下、単に指示者と呼ぶ)によりコントロール端末10から変更可能な車両要素(以下、単に車両要素と呼ぶ)の変更範囲を設定する。車両要素は、上述したとおり、例えば、エンジン、トランスミッション、エンジンマウント、サスペンション等のように、部品レベルで与えられてよい。この場合、各部品の形状や配置等を複数与えたものを変更範囲として設定してもよいし、サスペンションのバネのバネ定数の変更幅等のように物理量の数値範囲を変更範囲としてもよい。また、車両要素は、例えば、サスペンションに関してのバネのバネ定数、ダンパーの減衰係数、ストローク量のように特性レベルで設定されてもよい。この場合、各特性に対応する物理量の数値範囲を変更範囲としてよい。以下において、変更要素は、部品レベルで設定されているものとして説明を行う。
次に、ステップS2にて、設定された各車両要素の変更範囲に基づいてループシミュレーションを実行する。具体的には、車両要素毎に設定された変更範囲に応じて、車両要素を変更させながら同じ走行条件(走行コース、天候等)で走行シミュレーションを繰り返し行う。
ここで、ステップS2で繰り返し行われるシミュレーションについて図4(b)を用いて説明する。
ステップS21にて、シミュレーションコンピュータ20は、車両走行シミュレーションを実行する。シミュレーションコンピュータ20は、下位システムモデルに含まれる3つのモデル(簡易モデル、中位モデル、詳細モデル)の中から選択された1つのモデルに基づいて、車両走行シミュレーションを行う。このとき、各車両要素は、ステップS1で車両要素毎に設定された変更範囲内で設定されて、シミュレーションが行われる。なお、上述したとおり、下位システムモデルの選択や車両要素毎の変更範囲の設定は、コントロール端末10を用いて行われる。
次に、ステップS22にて、シミュレーションコンピュータ20は、ステップS21のシミュレーション結果に応じて、所定の車両性能の評価を行う。上述したとおり、シミュレーションコンピュータ20は、データベース30内の車両性能評価用データ30bに含まれる各車両性能(図2の性能A〜L等)の評価指標とシミュレーション結果に応じて、各車両性能の評価を行う。
次に、ステップS23にて、ある車両要素をステップS1で設定された変更範囲内で変更して、ステップS21に戻る。
変更範囲を網羅するように段階的に車両要素を変化させて、ステップS21〜S23までのフローを繰り返し行う。具体的には、例えば、各車両要素の変更範囲が物理量の変更幅として与えられている場合には、各車両要素に対応する物理量が全ての車両要素において最小値の組み合わせで繰り返しフロー開始し、各車両要素に対応する物理量が全ての車両要素において最大値の組み合わせで繰り返しフローを終了してよい。また、繰り返しフローでは、各車両要素の段階的に設定された物理量の値の全ての組み合わせに対するシミュレーションが行われるとよい。例えば、2つの車両要素にそれぞれ段階的な4つの物理量が設定される場合には、4×4=16回の繰り返しフローが行われることになる。
後述するように、シミュレーションコンピュータ20は、ループシミュレーションの結果に応じて、車両要素毎に各車両性能への影響度を算出する。該影響度の算出方法として、例えば、実験計画法を用いる場合には、物理量の最大値、ノミナル値(例えば、既存車両の値)、最小値の3段階で車両要素を変化させるとよい。また、例えば、データマイニング手法を用いる場合には、各車両要素に対応する物理量の変更範囲における最小値と最大値の間で精度と演算処理速度とのバランスを図りながら段階的変化の幅を設定するとよい。
ステップS21〜S23を繰り返すフロー、すなわち、ステップS2のループシミュレーションが終了すると、ステップS3に進み、ループシミュレーション結果に基づいて車両要素毎の車両性能への影響度を算出する。
上述したとおり、各車両要素を設定された変更範囲内で段階的に変化させながら、車両走行シミュレーションを行い、各シミュレーション結果に対して各車両性能の評価を行う。よって、各シミュレーション結果に対する車両性能の評価を比較することで、各車両要素を変化させた場合の車両性能の改善又は改悪度合い、すなわち車両性能への影響度合いを見出すことができる。
ある車両要素と特定の車両性能との関係は、1対1で独立に関係性が規定されることは少なく、車両要素間の相互作用を考慮する必要がある(例えば、車体の剛性がある一定の水準以上の場合にサスペンションクロスメンバーと車体との取付剛性アップによる操縦安定性能向上が見られる等)。そこで、車両要素毎の車両性能への影響度合いを算出する方法としては、任意の方法を用いてよいが、例えば、実験計画法やデータマイニング手法等を用いることができる。
ここで、図5は、車両走行シミュレーションシステム1を用いたループシミュレーション結果の一例を説明する図である。図5(a)は、性能Aに対する各車両要素の影響度を示したグラフである。縦軸に影響度を表し、横軸は車両要素を表している。影響度は、縦軸の上方向に正の影響度、すなわち、車両要素を変更することにより車両性能を改善できる方向の影響度を示し、縦軸の下方向に負の影響度、すなわち、車両要素を変更することにより車両性能を改悪させる方向の影響度を示している。図5(b)は、車両要素の各車両性能(性能A〜D)への影響度を示したグラフである。(1)は、車両要素aを変更した場合の各車両性能への影響度を示し、(2)は、車両要素bを変更した場合の各車両性能への影響度を示している。レーダーチャート形式で示されており、太い実線は各車両性能の目標、点線は既存車両、細い実線はループシミュレーション結果を表している。
図5(a)を参照するに、設定された変更範囲で変更することによる性能Aへの影響度は、車両要素aが最も大きいことが分かる。このように、ある車両性能に対する車両要素毎の影響度を算出することにより当該車両性能を効率的に(コスト、重量の増加を最小限に抑えながら)改善し、車両性能の目標を達成することが可能となる。また、各車両性能に対する車両要素毎の影響度を算出し、各車両性能間で比較することにより、どの車両要素を変更することが各車両性能の目標全体を達成するためにコスト、質量等の面から最適であるかを判断することが可能となる。また、その際に、各車両性能の目標を達成するための各車両要素毎の目標設定(例えば、車体の剛性をある基準まで向上させる等)を行うことが可能となる。具体的には、各車両性能の目標を達成するための部品単位での目標設定を行うことができる。図5(a)に示すようなグラフは、ループシミュレーションの結果として、例えば、コントロール端末10に付随して設けられる表示装置に表示させると好ましい。
また、図5(b)のように車両要素の各車両性能への影響度という形でコントロール端末10に付随して設けられる表示装置に表示させる等してもよい。
図5(b)の(1)を参照するに、この例では、車両要素aを既存車両のものから変更することにより、性能A、Bが向上していることが分かる。また、(2)を参照するに、この例では、車両要素bを既存車両のものから変更することにより、性能Aが改善していることが分かる。
次に、本実施形態に係る車両走行シミュレーションシステム1の作用について説明する。
車両走行シミュレーションシステム1のデータベース30には、車両に含まれる部品(エンジン&トランスミッション、タイヤ&サスペンション、車体等)と路面と空力と運転者とを含む互いに独立して設定された車両挙動に影響を与える車両挙動影響因子それぞれに対して、複数(本実施形態においては、3つ)のモデルを格納している。また、車両走行シミュレーションシステム1(シミュレーションコンピュータ20)は、車両挙動影響因子毎に複数のモデルの中から選択された1つのモデルに基づいて、車両走行のシミュレーションを実行する。また、車両走行シミュレーションシステム1(シミュレーションコンピュータ20)は、シミュレーション結果に応じて、所定の車両性能に対する評価を行う。これにより、目的に合わせて複数のモデルから1つのモデルを選択できるため、例えば、車両性能の目標を達成するために詳細な部品単位での目標設定を行いたい部位に関するモデルは詳細モデルを選択し、その他の部分は簡易モデル又は中位モデルにする等を行うことが可能となる。そのため、効率的かつ詳細な部品単位での目標設定を行うことができる。
また、車両走行シミュレーションシステム1(シミュレーションコンピュータ20)は、変更可能な車両要素毎に設定された変更範囲に応じて、車両要素を変更させながら車両走行シミュレーションを繰り返し実行させる。また、繰り返し実行された各シミュレーションの結果に応じて行われる所定の車両性能に対する各評価に基づいて、車両要素が所定の車両性能に与える影響度を算出する。これにより、車両性能を効率的に改善し、車両性能の目標を達成することが可能となる。また、各車両性能に対する車両要素毎の影響度を算出し、各車両性能間で比較することにより、どの車両要素を変更することが各車両性能の目標全体を達成するためにコスト、質量等の面から最適であるかを判断することが可能となる。また、その際に、各車両性能の目標を達成するための各車両要素毎の目標設定を行うことが可能となる。すなわち、各車両性能の目標を達成するための部品単位での目標設定を具体的に行うことができる。
なお、本実施形態において、車両挙動影響因子として、車両に含まれる部品、車両の外部環境(路面、空力)、及び運転者を考慮した車両走行シミュレーションが実行されるが、車両挙動影響因子として、車両に含まれる部品と運転者とを考慮した車両走行シミュレーションが実行されてもよい。また、同様に、車両挙動影響因子として、車両に含まれる部品と車両の外部環境とを考慮した車両走行シミュレーションが実行されてもよい。即ち、車両挙動影響因子としては、車両に含まれる部品を中心として、車両走行シミュレーションの目的や求める精度等に応じて、車両の外部環境や運転者等が、適宜、選択されてよい。また、車両に含まれる部品の区分け(例えば、エンジンとトランスミッションを合わせて1つの車両挙動影響因子とするのか、別々の車両挙動影響因子とするのか等)についても、車両走行シミュレーションの目的や求める精度等に応じて、適宜、行われてよい。
[第2の実施形態]
次いで、第2の実施形態について説明をする。
次いで、第2の実施形態について説明をする。
本実施形態に係る車両走行シミュレーションシステム1は、詳細な人体モデルに人体の動作に関連する物理量を与えて運転者の操作をシミュレーション可能な運転者モデルを用いる点とファジー理論を用いて上記物理量を与える点が第1の実施形態と主に異なる。以下、第1の実施形態と同様の構成要素については、同一の符号を付して、異なる部分を中心に説明する。
第1の実施形態で説明をした運転者モデル30a3のうち、詳細モデルは、人体の動作に関連する構成部位(骨、筋肉、関節等)を再現した人体モデルを有し、人体の動作に関連する物理量を付与することにより運転者による車両の操作をシミュレーションすることができるものである。なお、図6に人体の動作に関連する構成部位を再現した人体モデルの一例を示す。
本実施形態においては、車両の操作に関係する筋肉を抽出し、該筋肉の両端間に働く力を人体の動作に関連する物理量として付与することにより、上記筋肉に対応する手や足が変位し、その時の手や足の位置からハンドル操舵角やペダル踏み込み量を決定する。このようにして、運転者による車両の操作をシミュレーションすることができる。なお、人体の動作に関連する物理量としては、例えば、上記筋肉の相対変位や関節の角度等を用いてもよい。
ここで、上記人体の動作に関連する物理量(例えば、車両の操作に関係する筋肉の両端間に働く力)を決定する手法について説明をする。
まず、人体の動作に関連する物理量に影響する因子(以下、単に影響因子と呼ぶ)の抽出を行う。例えば、年齢、性別、体格、人種等が異なる運転者による数百、数千の運転時の行動計測(実車による走行やドライビングシミュレータを用いたもの等)を実施し、その計測されたデータを分析すること等により抽出を行う。抽出される影響因子としては、例えば、走行コース上の狙いの位置と車両との関係(角度、距離等)や人体にかかる外力等(人体にかかる横Gやシートとの接触面から受ける力等)が想定される。
次に、人体の動作に関連する物理量に関するファジー集合のメンバシップ関数であって、影響因子に対応したメンバシップ関数を決定する。車両は、運転者の判断に基づく操作により走行するため、ある状況においてアクセルを踏むのか踏まないのか等の判断は、運転者の個性やそのときの状況等により決定されるあいまいなものである。そのため、人体の動作に関連する物理量も運転者のあいまいな判断と関連しており、人体の動作に関連する物理量に関するファジー集合のメンバシップ関数を用いることで運転者の判断のあいまいな部分をシミュレーションに組み入れることができる。例えば、アクセルを踏む方向に働く筋肉の両端間に(運転者の意思により)作用する力について「力が作用する」と「力が作用しない」の2つのファジー集合を定義し、該ファジー集合に関して走行コース上の狙いの位置と車両の走行方向との角度に対応したメンバシップ関数を決定する。
図7は、人体の動作に関連する物理量に関して設定されたファジー集合のメンバシップ関数の一例を示す図である。
図7を参照するに、先ほど例で挙げたアクセルを踏む方向に働く筋肉の両端間に作用する力に関して設定されたファジー集合のメンバシップ関数の例が示されている。メンバシップ関数は、u(x)=1/(1+10x2)として表され、変数xは、走行コース上の狙いの位置と車両の走行方向との角度である。x=0、すなわち、狙いの位置の方向と車両の走行方向とが合っている場合は、1の値をとり、狙いの位置と走行方向の角度が大きくなるにつれて、1から0に向かって減少する。走行コース上の狙いの位置と車両の走行方向が合っている場合は、運転者はアクセルを踏む、すなわち、アクセルを踏む方向に働く筋肉の両端間に力が作用する度合いは1といえる。しかし、狙いの位置と車両の走行方向との角度が大きくなるとアクセルを緩めて踏まない度合いが増えると考えられ、上記メンバシップ関数はそのことを表した例である。影響因子に対応したメンバシップ関数は、上述した行動計測結果のデータ等に基づいて決定するとよい。
次に、影響因子に対応したメンバシップ関数に基づいて人体の動作に関連する物理量を決定する。図7を参照するに、アクセルを踏む方向に働く筋肉の両端間に作用する力Fを影響因子毎のメンバシップ関数u(x1)、v(x2)等の関数として、図7の例におけるF=f(u(x1))+f(v(x2))+・・・というよう決定する。なお、x1、x2等は、各影響因子に対応した変数である。複数の影響因子に基づいて人体の動作に関連する物理量を決定する場合、上述した行動計測結果のデータ等に基づいて影響因子間の相互作用等も考慮した上で決定するとよい。
なお、ファジー集合として上記の例では、簡単のため、「力が作用する」と「力が作用しない」の2つのファジー集合を定義したが、例えば、「力が作用しない」、「力がやや作用する」、「力が作用する」、「力がかなり作用する」等とファジー集合を定義してそれぞれに影響因子に対応したメンバシップ関数を決定して、これらに基づいて人体の動作に関連する物理量を決定してもよい。また、メンバシップ関数は、運転者の属性(例えば、年齢、性別、体格、人種等)毎に設けられてもよい。この場合は、コントロール端末10において車両走行シミュレーションの前提条件として運転者の属性が設定可能とされているとよい。
このように、人体の動作に関連する物理量を該物理量に影響する影響因子に対応するメンバシップ関数に基づいて決定し、該物理量を人体モデルに付与することにより人間のあいまいな判断を取り込んだシミュレーションを行うことができる。換言すれば、車両開発において、車両走行試験を行うエキスパートドライバーではなく、一般の運転者による車両走行シミュレーションを行うことができる。また、メンバシップ関数により上記物理量を決定する等、比較的簡易な方法で人間のあいまいな判断を取り込んだシミュレーションを行うことができ、シミュレーションコンピュータ20、スーパーコンピュータ50による演算処理時間の増加を抑制することができる。
次に、本実施形態に係る車両走行シミュレーションシステム1による車両走行シミュレーションについて、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明をする。なお、運転者モデルについては、上述した詳細モデルがコントロール端末10において選択されているものとする。また、影響因子として上述した走行コース上の狙いの位置と車両との関係(角度、距離)が抽出され、該影響因子に対応したメンバシップ関数に基づいて人体の動作に関連する物理量が決定されるものとする。
コントロール端末10において選択される走行コースには、視界を妨げる障害物等も考慮しながら、狙いの位置が走行コース上の所定間隔毎に設定されている。
図8は、車両走行シミュレーションにおける走行コース上の狙いの位置と狙いの位置の段階的な変更について説明をする図である。
図8を参照するに、車両走行シミュレーションでは、ある位置の車両に対して狙いの位置が決定され、該狙いの位置に対して人体の動作に関連する物理量が決定される。そして、その狙いの位置に車両が到達すると次の狙いの位置が決定され、段階的に狙いの位置が変更されながら、車両走行シミュレーションが行われる。
次に、本実施形態に係るシミュレーションコンピュータ20による所定の車両性能の評価について説明をする。第1の実施形態と同様に、車両走行のシミュレーション結果に応じて、所定の車両性能の評価を行う。本実施形態において、車両走行のシミュレーションは、上述した詳細モデルに基づいて行われたものであるため、人間のあいまいな判断が運転操作に反映された各車両性能を評価することができる。すなわち、一般の運転者の操作による各車両性能評価を行うことができ、より実際のユーザの評価に近づけることができる。また、換言すれば、人間のあいまいな判断が反映された車両挙動に基づいて、車両性能の評価が行われるため、人間の感性による車両性能の評価を行うことができる。例えば、走行コースでのラップタイム、車両の走行軌跡、操舵の操作回数等から車両の操作性の良し悪しを感性が反映された形で評価することができる。また、本実施形態においては、人体の動作に関連する構成部位を再現した人体モデルを用いているため、人間の感性により近い評価を行うことができる。具体的には、車両性能評価用データ30bの各車両性能の評価指標、例えば、乗り心地性能の評価指標に、該人体モデルから得られる情報(筋肉に働く力から計算される消費カロリー、背骨のたわみ、シートの受圧分布等)に基づくものを含めることでより人間の感性に近い評価を行うことが可能となる。
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
1 車両走行シミュレーションシステム
10 コントロール端末
20 シミュレーションコンピュータ(シミュレーション実行部、ループシミュレーション実行部、性能評価部、影響度算出部)
30 データベース(モデル格納部)
30a シミュレーションモデル
30a1 車両モデル
30a2 外部環境モデル
30a3 運転者モデル
30b 車両性能評価用データ
40 ハードウェア
50 スーパーコンピュータ(シミュレーション実行部)
10 コントロール端末
20 シミュレーションコンピュータ(シミュレーション実行部、ループシミュレーション実行部、性能評価部、影響度算出部)
30 データベース(モデル格納部)
30a シミュレーションモデル
30a1 車両モデル
30a2 外部環境モデル
30a3 運転者モデル
30b 車両性能評価用データ
40 ハードウェア
50 スーパーコンピュータ(シミュレーション実行部)
Claims (3)
- 車両に含まれる部品を含み、かつ、車両の外部環境と運転者との少なくとも一方を含む互いに独立して設定された車両挙動に影響を与える車両挙動影響因子それぞれに対して複数のモデルを格納するモデル格納部と、
前記車両挙動影響因子毎に前記複数のモデルの中から選択された1つのモデルに基づいて、車両走行のシミュレーションを実行するシミュレーション実行部と、
前記シミュレーション実行部により行われたシミュレーションの結果に応じて、所定の車両性能に対する評価を行う性能評価部と、を備えることを特徴とする、
車両走行シミュレーションシステム。 - 変更可能な車両要素毎に設定された変更範囲に応じて、前記車両要素を変更させながら前記シミュレーション実行部による車両走行のシミュレーションを繰り返し実行させるループシミュレーション実行部と、
前記ループシミュレーション実行部により繰り返し実行された各シミュレーションの結果に応じて前記性能評価部により行われた前記所定の車両性能に対する各評価に基づいて、前記車両要素が前記所定の車両性能に与える影響度を算出する影響度算出部と、を備えることを特徴とする、
請求項1に記載の車両走行シミュレーションシステム。 - 前記運転者に対する前記複数のモデルには、
人体の動作に関連する構成部位を再現した人体モデルを有し、前記人体の動作に関連する物理量を付与することにより前記運転者による前記車両の操作をシミュレーションすることができる詳細運転者モデルが含まれ、
前記物理量は、
前記物理量に関して設定されたファジー集合のメンバーシップ関数であって、前記物理量に影響する因子に対応するメンバーシップ関数に基づいて決定されることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の車両走行シミュレーションシステム。
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