本発明の上記した作用および利得は、次に説明する発明の形態から明らかにされる。以下、本発明を図面に示す形態に基づき説明する。ただし、本発明はこれら形態に限定されるものではない。
図1は1つの形態に係る表示装置10のうち、液晶パネル15、面光源装置20、および太陽電池複合型の光学部材40に注目して示した分解斜視図である。図1および適宜示す図により表示装置10について説明する。
表示装置10は、液晶パネル15、面光源装置20、および太陽電池複合型の光学部材40を備えている。また、表示装置10には、説明は省略するが、その他これが表示装置として動作するために必要とされる通常の機器を具備している。
ここで図1では紙面上が観察者側となる。
液晶パネル15は、太陽電池複合型の光学部材40側に配置された上偏光板13と、面光源装置20側に配置された下偏光板14と、上偏光板13と下偏光板14との間に配置された液晶セル12と、を有している。偏光板13、14は、入射した光を直交する二つの偏光成分(P波およびS波)に分解し、一方の方向(透過軸と平行な方向)の偏光成分(例えば、P波)を透過させ、当該一方の方向に直交する他方の方向(吸収軸と平行な方向)の偏光成分(例えば、S波)を吸収する機能を有している。
液晶セル12は、一つの画素を形成する領域毎に、電界印加がなされ得るようになっている。そして、電界印加された液晶セル12の配向は変化するようになる。面光源装置20側(すなわち入光側)に配置された下偏光板14を透過した特定方向の偏光成分(本実施形態においては、P波)は、電界印加された液晶セル12を通過する際にその偏光方向を90°回転させ、その一方で、電界印加されていない液晶セル12を通過する際にその偏光方向を維持する。このため、液晶セル12への電界印加の有無によって、下偏光板14を透過した特定方向の偏光成分(P波)が、下偏光板14の出光側に配置された上偏光板13をさらに透過するか、又は、上偏光板13で吸収されて遮断されるか、を制御することができる。
このようにして液晶パネル15では、面光源装置20からの光の透過又は遮断を画素毎に制御し、映像を表現することができるように構成されている。
液晶パネルはこのような原理により観察者に対して映像を提供することができるように構成されている。液晶パネルは、その性質上、該液晶パネルの法線方向からの入射光に対しては、出射光のコントラスト、および効率(透過率)は優れている。しかしながら、液晶パネルの法線方向に対して斜めからの入射光、および観察者による斜め方向からの観察についてはコントラストの低下や効率(透過率)の低さが問題となる。すなわち、視野角の拡大とエネルギーの利用効率とは相反するものとなる。特に、TN型の液晶は、比較的構造が簡易で安価である利点がある一方で、視野角が狭い。これに対して、表示装置10では、液晶パネルがTN型であっても、高いエネルギー利用効率を維持しつつも、視野角を拡大させることが可能となる。
ただし、TN型に限られることなく、他の型の液晶パネル(STN、VA、MVA、IPS、OCB等)が適用されることを妨げるものではなく、このような他の型の液晶パネルでもその効果を奏するものとなる。
次に面光源装置20について説明する。図2には、図1にII−IIで示した線に沿った面光源装置20の厚さ方向(図1の紙面上下方向)断面図、図3には同III−IIIで示した線に沿った面光源装置20の厚さ方向(図1の紙面上下方向)断面図を示した。
面光源装置20は、液晶パネル15のうち、観察者側とは反対側に配置され、液晶パネル15に面状の光を出射する照明装置である。図1乃至図3からわかるように、面光源装置20は、エッジライト型の面光源装置として構成され、導光板21と、光源25と、光学シート30と、反射シート35と、を有している。
導光板21は、図1乃至図3からわかるように、基部22、裏面プリズム22a及び単位光学要素部23を備えている。導光板21は透光性を有する材料により形成された全体として板状の部材であり、一方の板面側に単位光学要素部23が配置されて出光面が形成されている。他方の板面側は裏面とされ、裏面プリズム22aが形成されている。すなわち後で説明するように導光板21にはその表裏面のそれぞれに凹凸形状を備えている。
基部22、裏面プリズム22a及び単位光学要素部23をなす材料としては、種々の材料を使用することができる。ただし、表示装置に組み込まれる光学シート用の材料として広く使用され、優れた機械的特性、光学特性、安定性および加工性等を有するとともに安価に入手可能な材料を用いることができる。これには例えば脂環式構造を有する重合体樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリエーテルスルホン等の熱可塑性樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)等を挙げることができる。
基部22は、裏面プリズム22a、及び単位光学要素部23のベースとなる部位で、光がこの中を進むための所定の厚さを有する板状の部位である。
裏面プリズム22aは、基部22の裏面側(単位光学要素部23が配置される側とは反対側の板面)に形成される凹凸形状であり、三角柱状の複数の裏面プリズム22aが並列されている。裏面プリズム22aは、凸部の稜線が図1、図3の紙面左右方向、図2の紙面奥/手前方向、に延びる柱状であり、複数の裏面プリズム22aは当該延びる方向に直交する方向に所定のピッチで並べて配列されている。本形態の裏面プリズム22aは断面が三角形であるがこれに限定されることはなく、多角形、半球状、球の一部、レンズ形状等いずれの形状であってもよい。
単位光学要素部23は、図1乃至図3からわかるように、基部22の面のうち光学シート30側の面に形成される部位であり、複数の単位光学要素23aが並列されている。単位光学要素23aは、図3に現れる断面を維持して稜線が紙面奥手前方向に延びる柱状の要素であり、その稜線が延在する方向は、単位光学要素23aが並列される方向に対して直交する方向である。
図4には図3のうち、単位光学要素23aの部分に注目した拡大図を示した。図4からわかるように、単位光学要素23aは、基部22の一方の面上に底辺を有し、基部22から突出する凸状の三角形形状を有している。本形態の単位光学要素23aでは、当該断面における底辺に対向する頂点が曲線状とされている。
また、単位光学要素23aの当該断面形状は、次の条件Aおよび条件Bのうちの少なくとも一方を満たすことが好ましい。
条件A:断面三角形形状の頂角以外の角、すなわち、断面三角形形状の基部22上に位置する底角の角度θ1、θ2が、25°以上45°以下である。
条件B:単位光学要素23aの底辺の長さWaに対する、単位光学要素23aの高さHaの比(Ha/Wa)が、0.2以上0.5以下である。
条件Aおよび条件Bの少なくとも一方が満たされる場合、後述するように、導光板21から出光する光のうち、単位光学要素23aが並列される方向(図4の紙面左右方向)に沿った成分について極めて効果的に集光作用が及ぼされる。
また、本形態では、単位光学要素23aは図3、図4に現れる断面(単位光学要素23aが並列される方向に沿った断面)において、二等辺三角形である。これによれば、正面方向輝度を効果的に上昇させること、および、単位光学要素23aの並列方向に沿った面内での輝度の角度分布に対称性を付与することができる。従って、当該断面における断面三角形形状の二つの底角θ1、θ2は等しいことが好ましい。ただし、単位光学要素23aの断面形状はこれに限られず例えば5角形断面等を用いることもできる。
なお、本件明細書における形状(例えば三角形形状)は、厳密な意味での形状(例えば厳密な三角形形状)のみでなく、製造技術における限界や成型時の誤差等を含む形状(例えば略三角形形状)を含む。また同様に、本件明細書において用いる、その他の形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、「平行」、「直交」、「楕円」、「円」等の用語も、厳密な意味に縛られることなく、同様の光学的機能を期待し得る程度の誤差を含めて解釈することとする。
以上のような構成を有する導光板21の寸法は、一例として、以下のように設定され得る。まず、単位光学要素23aの具体例として、導光板21の板面に沿った幅Wa(図4参照)は20μm以上500μm以下とすることができ、導光板21の板面への法線方向ndに沿った単位光学要素23aの高さHa(図4参照)を4μm以上250μm以下とすることができる。また、単位光学要素23aの断面形状が三角形形状からなる場合には、頂角θ3(図4参照)の角度を90°以上150°以下とすることができる。
一方、基部22の厚さは、0.2mm以上6mm以下とすることができる。
以上のような構成からなる導光板21は、押し出し成型により、又は、基材上に単位光学要素23aを賦型することにより、製造することができる。導光板21の基部22、裏面プリズム22a、および単位光学要素23aをなす材料としては、種々の材料を使用することができる。ただし、表示装置に組み込まれる光学シート用の材料として広く使用され、優れた機械的特性、光学特性、安定性および加工性等を有するとともに安価に入手可能な材料、例えば、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等の一以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)が好適に使用され得る。
なお、押し出し成型で製造された導光板21においては、基部22と、単位光学要素部23と、が一体的に形成され得る。また、賦型によって導光板21を製造する場合、単位光学要素部23が、基部22の主部22aをなす材料と同一の樹脂材料であっても、異なる材料であってもよい。
図1乃至図3に戻って、光源25について説明する。光源25は、導光板21の基部22の板状の対向する2組の側面のうち、単位光学要素23aの稜線が延びる長手方向両端となる一組の側面のそれぞれに配置される。光源の種類は特に限定されるものではないが、線状の冷陰極管等の蛍光灯、点状のLED(発光ダイオード)、又は白熱電球等の種々の態様で構成され得る。本形態では光源25は複数のLEDからなり、不図示の制御装置により各LEDの出力、すなわち、各LEDの点灯および消灯、および/又は、各LEDの点灯時の明るさを、他のLEDの出力から独立して調節し得るように構成されている。
次に光学シート30について説明する。図1乃至図3からわかるように、光学シート30は、シート状に形成された本体部31と、本体部31の面のうち、導光板21に対向する面、つまり入光側面に設けられた単位プリズム部32と、を有している。
この光学シート30は、後述するように、入光側から入射した光の進行方向を変化させて出光側から出射させ、正面方向(法線方向)の輝度を集中的に向上させる機能(集光機能)を有している。この集光機能は、主として、光学シート30のうち、単位プリズム部32によって発揮される。
図1乃至図3に示すように、本体部31は、単位プリズム部32を支持する機能を有した平板状のシート状部材である。そして、本体部31の面のうち、導光板21に対面する側とは反対側の面が出光側面となる。本形態において、本体部31の出光側面は、平坦(平ら)で平滑な面として形成されている。ただし、出光側面は平滑面であることに限定されることはなく、微小な凹凸が付された面(いわゆるマット面)であってもよく、必要に応じた表面形態を適用することが可能である。
単位プリズム部32は、図1乃至図3によく表れているように、複数の単位プリズム32aが本体部31の入光側面に沿って並べられるように配置されている。より具体的には、単位プリズム32aは、当該並べられる方向に直交する方向に、図2に示した所定の断面形状を維持して稜線が延びるように形成された柱状の部材である。その稜線が延びる方向は、単位プリズム32aが並べられる方向に直交する方向である他、上記した導光板21の単位光学要素23aの稜線が延びる方向に対して90度ずれた方向である。従って、単位プリズム32aの稜線が延びる方向と単位光学要素23aの稜線が延びる方向とは表示装置を正面から見た場合に直交する。
また、単位プリズム32aの稜線が延びる方向である長手方向は、正面から観察した場合に、液晶パネル15の下偏光板14の透過軸と交差している。好ましくは、光学シート30の単位プリズム32aの長手方向は、液晶パネル15の下偏光板14の透過軸に対して、表示装置の表示面と平行な面(光学シート30の本体部31のシート面と平行な面)上で45°より大きく135°より小さい角度で交差している。なお、ここでいう角度は、単位プリズム32aの長手方向と下偏光板14の透過軸とによってなされる角度のうちの、小さい方の角度、すなわち、180°以下の角度のことを意味している。とりわけ、本形態においては、光学シート30の単位プリズム32aの長手方向は、液晶パネル15の下偏光板14の透過軸に対して直交し、光学シート30の単位プリズム32aが並べられる方向は、液晶パネル15の下偏光板14の透過軸と平行になっていることが好ましい。
次に単位プリズム32aの並列方向の断面形状について説明する。図5は、図2のうち、光学シート30の一部を拡大した図である。ここでndは本体部31のシート面の法線方向を表わしている。
図5からわかるように、本形態では、単位プリズム32aは、本体部31の導光板21側面が突出した二等辺三角形の断面を有している。つまり、本体部31のシート面に平行な方向の単位プリズム32aの幅は、本体部31の法線方向ndに沿って本体部31から離れるにつれて小さくなる。
また、本形態では、単位プリズム32aの外輪郭は、本体部31の法線方向ndと平行な軸を対称軸として、線対称となっており、断面が二等辺三角形である。これにより、光学シート30の出光面における輝度は、単位プリズム32aの並列方向に平行な面において、正面方向を中心として対称的な輝度の角度分布を有するようになる。
ここで、単位プリズム32aの寸法は特に限定されるものではないが、頂角θ4(図5参照)は60°以上70°以下、底辺幅Wは50μm程度とすることにより適切な集光特性を得ることができることが多い。
以上のような構成からなる光学シート30は、押し出し成型により、又は、本体部31上に単位プリズム32aを賦型することにより、製造することができる。光学シート30をなす材料としては、種々の材料を使用することができる。ただし、表示装置に組み込まれる光学シート用の材料として広く使用され、優れた機械的特性、光学特性、安定性および加工性等を有するとともに安価に入手可能な材料、例えば、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等の一以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)が好適に使用され得る。
本形態では上記のように断面形状が三角形である単位プリズムについて説明したが、これに限定されるものでなく、当該三角形の頂点部が短い上底となる台形であってもよい。また片側斜面又は両側斜面が折れ線状や曲線状である断面であってもよい。
図1乃至図3に戻って、面光源装置20の反射シート35について説明する。反射シート35は、導光板21の裏面から出射した光を反射して、再び導光板21内に光を入射させるための部材である。反射シート35は、金属等の高い反射率を有する材料からなるシート、高い反射率を有する材料からなる薄膜(例えば金属薄膜)を表面層として含んだシート等のいわゆる鏡面反射を可能とするものを好ましく適用することができる。これにより、光の収束性を向上させることが可能となり、エネルギー利用効率をよくすることができる。
次に図1に戻って太陽電池複合型の光学部材40について説明する。太陽電池複合型の光学部材40は、光を透過するとともにその際には視野を拡大する手段であり、また太陽電池による発電をする手段でもある。すなわち、液晶パネル15を透過して、映像情報を得た面光源装置20からの光を効率よく透過するとともにその際に視野角を拡大する。これにより観察者に対して視野角の広い映像を提供することができる。一方、達した光により発電をすることができる。従って、太陽電池複合型の光学部材40は、観察者にとって十分見易い映像光を提供するとともに、到達した光の一部を利用して発電することが可能である。
図6は、本形態の表示装置10に具備される太陽電池複合型の光学部材40に注目し、図1のII−IIに沿った方向の断面の一部を示し、その層構成を模式的に表した図である。
太陽電池複合型の光学部材40は、基材層41、偏向層42、及び発電層45を有している。以下に各層について詳しく説明する。
基材層41は、偏光層42を形成するための基材となる層である。基材層41は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主成分とした材料で構成されることが好ましい。基材層41がPETを主成分とする場合、基材層41には、他の樹脂が含まれてもよい。また、各種添加剤を適宜添加してもよい。一般的な添加剤としては、フェノール系等の酸化防止剤、ラクトン系等の安定剤等を挙げることができる。ここで「主成分」とは、基材層を形成する材料全体に対して上記PETが50質量%以上含有されていることを意味する(以下、同様とする。)。
ただし、基材層41を構成する材料の主成分は、必ずしもPETであることは必要なく、その他の材料でもよい。これには例えば、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、テレフタル酸−イソフタル酸−エチレングリコール共重合体、テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体などのポリエステル系樹脂、ナイロン6などのポリアミド系樹脂、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体などのスチレン系樹脂、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、イミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂等を挙げることができる。また、これら樹脂中には、必要に応じて適宜、紫外線吸収剤、充填剤、可塑剤、帯電防止剤などの添加剤を加えても良い。
なお、本形態では、性能に加え、量産性、価格、入手可能性等の観点から、好ましい態様としてPETを主成分とする樹脂によって基材層41を構成した。
偏向層42は、液晶パネル15側からの映像光を偏向して透過し、その際には視野角を拡大する機能を有する層である。偏向層42は、図6に示した断面を有して紙面奥/手前側に延在する形状を備える。すなわち、図6に表れる断面において、略台形である透過部43と、隣り合う2つの透過部43間に形成された断面が略台形の間部44と、を備えている。図7には、図6に示した太陽電池複合型の光学部材40の一部をさらに拡大して示した。
図1を参照するとわかるように、本形態では透過部43、および間部44が並べられる方向は、上記した光学シート30の単位プリズム32aが並べられる方向と同じである。従って、透過部43、および間部44が上記断面を有して延びる方向も単位プリズム32aの稜線が延びる方向と同じであり、導光板21の単位光学要素23aの稜線が延びる方向と正面視で直交する方向である。
透過部43は光を透過させることを主要の機能とする部位であり、図6、図7に表れる断面において、基材層41側に長い下底、その反対側(観察者側)に短い上底を有する略台形の断面形状を有する要素である。透過部43は、基材層41のシート面に沿って所定の間隔で並列されるとともに、その間には、略台形断面を有する間部44が形成されている。従って、間部44は、透過部43の上底側に長い下底を有し、透過部43の下底側に短い上底を有する台形断面を有し、ここを空洞又は後述する必要な材料が充填されることにより間部44が形成される。
透過部43は屈折率がNtとされている。このような透過部43は、透過部を構成する組成物を硬化させることにより形成することができる。詳しくは後で説明する。屈折率Ntの値は特に限定されることはないが、適用する材料の入手性の観点等から1.49以上1.65以下であることが好ましい。
間部44は屈折率がNrとされている。屈折率Nrは、透過部43の屈折率Ntよりも小さい屈折率とされる。このように、間部44の屈折率を透過部43の屈折率より小さくすることにより、所定の条件で透過部43に入射した映像光を透過部43と間部44との界面で適切に全反射させることができる。屈折率Nrの値は特に限定されることはないが、間部44を空洞とすれば屈折率は1であり、低い屈折率の材料を充填するときには適用する材料の入手性の観点等から1.49以上1.56以下であることが好ましい。
透過部43の屈折率Ntと間部44の屈折率Nrとの屈折率の差は特に限定されるものではないが、0より大きく0.15以下であることが好ましい。屈折率を高くすることで、より多くの映像光を反射して視野を拡大することができる。
図7に表したように偏向層42は例えば次のような形状を有している。
透過部および間部の斜面の傾斜角度(図7のθk)は、シート面法線に対して5度以上15度以下程度が好ましい。θkを小さくし過ぎると視野角を広げる効果が小さく、視野拡大の機能が低下してしまう。一方、θkを大きくし過ぎると正面輝度が不足したり、光の損失が大きくなってしまう。具体的には、表示装置からの出射光において、1/2視野角が15°以下であることが好ましい。
透過部43および間部44が並列されるピッチ(図7のp)は、液晶パネル15の画素のピッチと同じ又は十分小さいことが好ましい。同じである場合には、正面視で透過部43の中央に液晶パネル15の画素の中央が配置され、当該画素の端部が間部44の位置となることが好ましい。言い換えると、正面視で画素間となる位置に間部が配置されていることが好ましい。一方、十分小さい場合には、その比率が1/2.4より小さいことが好ましい。
図7にaで示した透過部の出光側幅とピッチpとの割合である開口率(a/p)も上記と同様に液晶パネル15の画素との関係により適宜調整する必要があるが、正面輝度を維持しつつ、視野角を適切に拡大する観点からそのバランスを考慮すると50%程度であることが好ましい。
図7にθmで示した見込み角(一つの間部の出光側の角部と、これに隣り合う他方の間部の入光側の角部とを結ぶ線がシート法線と成す角。)は、25度以上35度以下であることが好ましい。θmを小さくし過ぎると視野角が狭くなりすぎ、視野拡大の機能が低下してしまう。一方、θmを大きくし過ぎると正面輝度が不足したり、光の損失が大きくなってしまう。
図7にrで示した液晶パネル15側となる間部44の幅は1μm以上であることが好ましい。
発電層45は、発電の機能のための層であり、透明基板46の一方の面にパターニングされた太陽電池層47が配置されている。
透明基板46は太陽電池層47をパターニングする際の基材として機能する層であり、基材として適切なものである限り可視光に対して透明であれば特に限定されるものではない。このような透明基板としては例えば一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板と同様のものとすることができる。具体的には、無アルカリガラス、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、又は、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材等が挙げられる。
太陽電池層47は透明基板46の一方の面にパターニングされた太陽電池が配置されている層である。本形態における太陽電池層47のパターンは図1、図6、図7からわかるように間部44のうち基材層41とは反対側となる端部に配置される。これにより後述するように太陽電池層47で外光を吸収して発電するとともに外光吸収の効果でコントラストを向上させることができる。一方映像光は透過部43を透過するので観察者に適切に提供される。このとき視野角が拡大されているので、視野角の広い映像を提供できる。
このような太陽電池層47の配置は、透明基板46を偏向層43のうち基材層41とは反対側に積層することにより行うことができる。
太陽電池層47に適用することができる太陽電池はこのようにパターニングすることができれば特にその種類は限定されることはない。これには例えば単結晶シリコン型、多結晶シリコン型、アモルファスシリコン型、化合物系、色素増感型、有機薄膜型、量子ドット型等を挙げることができる。
また、配線は不図示であるが、パターニングされた太陽電池層47に接続され太陽電池複合型の光学部材40の端部まで導通する透明電極層、及び金属電極層を具備して構成されている。これにより太陽電池層47で発電された電気を集電することができる。このような配線については公知の形態を適用することが可能である。
このような太陽電池複合型の光学部材40は例えば次のように製造される。
はじめに基材層41に透過部43を形成する。これは、透過部43の形状を転写できる形状を表面に有する金型ロールと、これに対向するように配置されたニップロールとの間に、基材層41となるシートを挿入する。このとき、シートと金型ロールとの間に透過部43を構成する組成物を供給しながらに金型ロールおよびニップロールを回転させる。これにより金型ロールの表面に形成された透過部43に対応する溝(透過部形状を反転した形状)に透過部43を構成する組成物が充填され、該組成物が金型ロールの表面形状に沿ったものとなる。
ここで、透過部構成組成物としては、例えば、光硬化型プレポリマー(P1)に、反応性希釈モノマー(M1)および光重合開始剤(S1)を配合した光硬化型樹脂組成物が好ましく用いられる。
上記光硬化型プレポリマー(P1)としては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリチオール系等のプレポリマーを挙げることができる。
また、上記反応性希釈モノマー(M1)としては、例えば、ビニルピロリドン、2−エチルヘキシルアクリレート、β−ヒドロキシアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等を挙げることができる。
上記光重合開始剤(S1)としては、例えば、ヒドロキシベンゾイル化合物(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインアルキルエーテル等)、ベンゾイルホルメート化合物(メチルベンゾイルホルメート等)、チオキサントン化合物(イソプロピルチオキサントン等)、ベンゾフェノン(ベンゾフェノン等)、リン酸エステル化合物(1,3,5−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等)、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。これらの中から、光硬化型樹脂組成物を硬化させるための照射装置および光硬化型樹脂組成物の硬化性の観点から任意に選択することができる。なお、透過部43の着色防止の観点から好ましいのは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよびビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドである。
これらの光硬化型プレポリマー(P1)、反応性希釈モノマー(M1)および光重合開始剤(S1)は、それぞれ、1種類で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また必要に応じて、透過部構成組成物中に、塗膜の改質や塗布適性、金型ロールからの離型性を改善させるため、種々の添加剤としてシリコーン系添加剤、レオロジーコントロール剤、脱泡剤、離型剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、等を添加することも可能である。
金型ロールとシートとの間に挟まれ、ここに充填された透過部43を構成する組成物に対し、シート側から光照射装置により硬化させるための光を照射する。これにより、組成物を硬化させ、その形状を固定させることができる。そして、離型ロールにより金型ロールから基材層41および基材層41の一方の面上に成形された透過部43を離型する。
次に、間部44を形成する。間部44を空洞とする場合には特に工程を要しないが、ここに低屈折率の材料を充填する際には例えば次のようにおこなう。すなわちまず、上記形成した透過部43間の溝に間部44を構成する組成物を充填する。その後、余剰分の当該組成物をドクターブレード等で掻き落とす。そして、残った組成物に透過部43側から紫外線を照射することによって硬化させ、間部44を形成することができる。
間部44を構成する組成物として用いられるものは特に限定されないが、これには例えば、光硬化型プレポリマーに、反応性希釈モノマーおよび光重合開始剤を配合した光硬化型樹脂組成物が好ましく用いられる。
一方、発電層45は例えば次のように作製される。ここではアモルファスシリコン型の太陽電池により太陽電池層47を形成する例を説明する。この例では、一般的な製造方法によりパターニングする。すなわち、初めに透明基板46の一方の面の全面に透明電極層を設け、その上から化学的気相成長(CVD)法でアモルファスシリコン層を形成する。そして、水性媒体中にフッ化水素酸を含有するシリコンエッチング液でフォトエッチングすることによりパターニングされた太陽電池層47を得る。その後、残存したアモルファスシリコン層(太陽電池層47)上に真空製膜法により金属電極層を形成する。
そして、パターニングされた太陽電池層47を具備する発電層45を図6、図7のように位置づけるように偏向層42に積層する。両者の接着は例えば熱硬化性樹脂により行うことができる。
本形態の表示装置10には以上のような太陽電池複合型の光学部材40が具備されている。
本形態では、間部44を台形断面に形成したが、これに限定されるものではなく、他の断面を有してもよい。図8に例示した。図8の各図では、紙面下が入光側、紙面上が出光側である。図8(a)は断面が略三角形である間部44’の例である。図8(b)は、断面における斜辺の傾斜角が入光側(α)と出光側(β)とで異なる間部44’’の例である。また、図8(c)は斜辺の傾斜角が入光側から出光側に向けて連続的に変化し、曲線状となっている間部44’’’の例である。
このような間部の断面形状であってもよい。ただし、後述するように視野拡大部材としてこれが入射光に対して視野を拡大することができるように傾斜していることを要する。
また、本形態では、間部および透過部の延在方向を光学シートの単位プリズムの延在方向と同じとしたが、これに限定されることはなく、導光板の単位光学要素の稜線が延びる方向と同じ方向に延在するようにしてもよい。これによれば、本形態とは90度ずれた方向に光を拡散し、その視野角を拡大することが可能となる。
次に、以上のような構成を備える表示装置の作用について、光路例を示しつつ説明する。
まず、図2に示すように、光源25で発光された光は、導光板21の側面の入光面を介して導光板21内に入射する。図2には、一例として、光源25から導光板21に入射した光L21、L22の光路例が示されている。
図2に示すように、導光板21へ入射した光L21、L22は、導光板21の単位光学要素部23の面およびその反対側の裏面において、空気との屈折率差による全反射を繰り返し、単位光学要素23aが延びる方向へ進んでいく。
ただし、導光板21の基部22の裏面側には裏面プリズム22aが配置されている。このため、図2に示すように、導光板21内を進む光L21、L22は、裏面プリズム22aによって進行方向が導光板21の法線方向に近付くように偏向され、全反射臨界角未満の入射角度で単位光学要素部23およびその反対側の面に入射することもある。この場合、当該光は、導光板21の単位光学要素部23およびその反対側の面から、出射し得る。
単位光学要素部23から出射した光L21、L22は、導光板21の出光側に配置された光学シート30へと向かう。一方、単位光学要素部23とは反対側である裏面から出射した光は、導光板21の背面に配置された反射シート35で反射され、再び導光板21内に入射して導光板21内を進むことになる。
導光板21内を進行する光と、導光板21の裏面に配置された裏面プリズム22aによる反射は、導光板21内の導光方向に沿った各区域において生じる。このため、導光板21内を進んでいる光は、少しずつ、出光面から出射するようになる。これにより、導光板21の単位光学要素部23から出射する光の導光方向に沿った光量分布を均一化させることができる。
とりわけ、図示する導光板21の単位光学要素部23は複数の単位光学要素23aによって構成され、各単位光学要素23aの断面形状は、三角形または三角形の頂角を面取りしてなる形状となっている。すなわち、単位光学要素23aは、導光板21の裏面に対して傾斜面23aa、23abを有して構成されている(図4参照)。従って、単位光学要素23aを介して導光板21から出射する光L21、L22は、例えば図4に光L41で示したように、導光板21から出射するときに屈折する。この屈折は、単位光学要素23aの並列方向において、シート面法線ndに近づく(法線ndとのなす角が小さくなる)屈折である。このような作用により、単位光学要素部23は、導光方向と直交する方向に沿った光の成分について、透過光の進行方向を正面方向側に絞り込むことができる。すなわち、単位光学要素部23は、導光方向と直交する方向に沿った光の成分に対して、集光作用を及ぼすようになる。
以下の条件Aおよび条件Bの少なくとも一方が満たされる場合、単位光学要素部23は、導光板21から出光する光に対し、極めて効果的に上記の集光作用を及ぼすようになる(図4参照)。
条件A:断面三角形形状の頂角以外の角、すなわち、断面三角形形状の基部22上に位置する底角の角度θ1、θ2が、25°以上45°以下である。
条件B:単位光学要素23aの幅Waに対する、単位光学要素23aの高さHaの比(Ha/Wa)が、0.2以上0.5以下である。
以上のようにして、導光板21から出射する光の出射角度は、導光板21の単位光学要素23aの並列方向と平行な面において、正面方向を中心とした狭い角度範囲内に絞り込まれる。
導光板21から出射した光は、その後、光学シート30へ入射する。光学シート30の単位プリズム32aは、導光板21の単位光学要素23aと同様に、単位プリズム32aの入光面での屈折および全反射によって透過光に対して集光作用を及ぼす。ただし、光学シート30でその進行方向を変化させられる光は、光学シート30のうち、単位プリズム32aの並列方向とは直交する面内の成分であり、導光板21で集光させられた成分とは異なる。すなわち、図5にL51で示したように、単位プリズム32aに入射した光は、単位プリズム32aと空気との屈折率差に基づいてその界面で全反射する。そのとき、単位プリズム32aの斜辺はシート面法線ndに対してθ4/2傾いているので、界面における反射光は入射光よりも法線ndに近付けられる角度となる。
つまり、導光板21は、導光板21の単位光学要素23aの並列方向と平行な面において、光の進行方向を正面方向を中心とした狭い角度範囲内に絞り込むようになる。その一方で、光学シート30では、光学シート30の単位プリズム32aの並列方向と平行な面において、光の進行方向を正面方向を中心とした狭い角度範囲内に絞り込むようになる。したがって、光学シート30での光学的作用によって、導光板21で上昇された正面方向輝度を害すことなく、さらに、正面方向輝度を上昇させることができる。
ここで、液晶パネル15の下偏光板14は、一方の偏光成分であるP波のみを選択的に透過させ、他方の偏光成分であるS波を吸収してしまう。したがって、単位プリズム32aの並列方向と交差する単位光学要素23aの並列方向に沿った成分が導光板21によって十分に正面方向に集光されているとの前提に立つと、正面方向からの観察において、光学シート30の単位プリズム32aの長手方向が、液晶パネル15の下偏光板14の透過軸に対して、45°より大きく135°より小さい角度で交差していることが好ましく、とりわけ、単位プリズム32aの並列方向が、下偏光板14の透過軸と平行になっていることが好ましい。このような構成によれば、液晶パネル15での光源光の利用効率をさらに上昇させることができる。
光学シート30の単位プリズム32a、導光板21の単位光学要素23aは、導光方向に直交する光の成分を集光させることに強く特化して断面形状を決定され得る。このように設計された面光源装置20によれば、光の利用効率を大幅に向上させることが可能となる。
さらに、光路について説明する。上記のように面光源装置20を出射した光は、液晶パネル15の下偏光板14に入射する。下偏光板14は、入射光のうち、一方の偏光成分を透過させ、その他の偏光成分を吸収する。下偏光板14を透過した光は、画素毎への電界印加の状態に応じて、選択的に上偏光板13を透過するようになる。このようにして、液晶パネル15によって、面光源装置20からの光を画素毎に選択的に透過させることにより、液晶表示装置10の観察者が、映像を観察することができるようになる。
上述したように、面光源装置20の出光面における正面方向輝度は、導光板21による集光作用および光学シート30による集光作用により、高められている。すなわち、本形態における表示装置10においては、導光板21の単位光学要素23aおよび光学シート30の単位プリズム32aによって光の進行方向を正面方向を中心とした狭い角度範囲内に変化させる機能(集光機能)を有する。そして、これにより光源光の利用効率が改善し、正面方向輝度を極めて効果的に上昇させることができる。
さらに、液晶パネル15を透過した光は映像光として太陽電池複合型の光学部材40に入射する。図9に光路例を示した。液晶パネル15から基材層41に入射し、透過部43の中央部付近に入射した垂直光L91は、そのまま透過部43の内部を直進して通過し、観察者に至る。一方、液晶パネル15から基材層41に入射し、透過部43の端部付近に入射した垂直光L92は、透過部43と間部44との屈折率差によりその界面の斜辺にて全反射され、所定の角度をもって観察者側に出光される。このとき、観察者側に出射される光L92は、透過部43と間部44との界面の傾斜角度により視野角が広げられる方向に変化する。
また、液晶パネル15から基材層41に入射し、透過部43の端部付近に所定の角度を有して入射した光L93は、透過部43と間部44との屈折率差によりその界面の斜辺にて全反射され、入射時とは反対方向にさらに大きな角度をもって観察者側に出光される。このようにして太陽電池複合型の光学部材40により液晶パネル15からの映像光の視野を拡大することができる。
また、光L92、光L93のように直進すれば太陽電池層47に達して観察者に提供されない映像光であっても、偏向層42で偏向されて観察者に提供することができる。従って、太陽電池層47があっても十分に明るい映像を出射することが可能である。
ここで、上記したように映像光は面光源装置20により集光されているので、このように集光された映像光をそのまま出射すると視野角が比較的狭い。これに対して、太陽電池複合型の光学部材40により視野角を拡大することができる。図10に模式的に示した。図10は、横軸に観察角度、縦軸に輝度を表したグラフである。図10中にXaで示した破線は液晶パネル15を出射した時点における観察角度と輝度との関係を表すグラフである。これをみてもわかるように、液晶パネル15から出射した映像光はその利用効率が向上され、高い輝度を有しているが、視野角が狭い。一方、図10中にXbで示した線は、太陽電池複合型の光学部材40を出射した時点における観察角度と輝度との関係を表すグラフである。これを見てわかるように、太陽電池複合型の光学部材40により視野が拡大されている。
また、面光源装置10により、太陽電池複合型の光学部材40に入射される光は集光されているので、太陽電池複合型の光学部材40の間部44内に侵入する光を減らすことができる。すなわち、透過部43と間部44との界面で全反射されて出光される光を多くすることができる。
このような表示装置10において、太陽電池複合型の光学部材40の透過部43の延在方向が垂直となるように配置すれば、水平方向の視野角を拡大することができる。また、透過部43が延在する方向を水平となるように配置すれば、垂直方向の視野角を拡大することが可能である。
一方、図9に示した外光L94は、太陽電池層47に達する。従って太陽電池層47の作用によりここで発電がおこなわれる。本形態では発電された電気は表示装置に備えられた二次電池に充電される。
すなわち、太陽電池複合型の光学部材40によれば、映像のコントラスト低下の原因となる外光を吸収することができるので、映像のコントラストを向上させることができる。さらに、吸収した光は電力として再利用に供される。
従って太陽電池複合型の光学部材40は、太陽電池を有しつつも、簡易な構造で視認性に優れる透過性を備えたものとなる。これにより、透過性を必要とする部位か否かを考慮することなく、発電に適する部位を選んで太陽電池を設置することが可能となる。例えば太陽電池複合型の光学部材40を最も観察者側に配置すれば、太陽光(外光)を受けやすく、発電には好適である。
また、太陽電池複合型の光学部材40は、曲面を有するレンズと異なり、平面の組み合わせだけで構成されている光学部材であるため、製造工程での形状再現性が高く、光学部材の形状不良を低減することができる。特に、上記したように紫外線硬化性樹脂を金型で成型する製造方法によればさらに形状再現性を高めることができる。これによっても、表示装置の視認性をさらに向上させることが可能となる。
図11には太陽電池複合型の光学部材40の変形例である、太陽電池複合型の光学部材140について説明する図を示した。図11は図9に相当する図である。太陽電池複合型の光学部材140は、間部144に上記界面反射の機能に加え、光を吸収する機能を有する例である。これによれば、太陽電池層47による光吸収に加え、間部144内に侵入した迷光や外光も吸収することができ、さらにコントラストを向上させることが可能である。
この例では例えば図11に表したように光吸収粒子144aを用いることができる。光吸収粒子として、カーボンブラック等の光吸収性の着色粒子が好ましく用いられる。ただし、これらに限定されるものではなく、映像光の特性に合わせて特定の波長を選択的に吸収する着色粒子を使用してもよい。具体的には、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩、染料、顔料等で着色した有機微粒子や着色したガラスビーズ等を挙げることができる。特に、着色した有機微粒子が、コスト面、品質面、入手の容易さ等の観点から好ましく用いられる。より具体的には、カーボンブラックを含有したアクリル架橋微粒子や、カーボンブラックを含有したウレタン架橋微粒子等が好ましく用いられる。こうした着色粒子は、通常、上記の間部を構成する組成物中に3質量%以上30質量%以下の範囲で含まれる。着色粒子の平均粒子径は1.0μm以上20μm以下であることが好ましい。
光吸収粒子144aを間部144に分散させて形成させる方法は、上記した間部を構成する組成物の中に光吸収粒子を分散させ、組成物を硬化させることがよい。
太陽電池複合型の光学部材140によれば、図11に外光L111として示したように、間部144と透過部43との界面に対して全反射しない角度で入射した外光を光吸収粒子144aで吸収することができ、さらにコントラストを向上させることができる。
ここでは、光吸収性能を持たせるために光吸収粒子を間部内に分散させる方法を例に挙げたが、これに限らず、顔料や染料により間部全体を着色してもよい。
図12には太陽電池複合型の光学部材40の他の変形例である、太陽電池複合型の光学部材240について説明する図を示した。図12は図1と同様の視点で太陽電池複合型の光学部材240を見た斜視図である。
太陽電池複合型の光学部材240は、間部244及び太陽電池層247が格子状に形成され、透過部243は間部244に囲まれた錐体の一部である形状を有している。
このような太陽電池複合型の光学部材240によれば、映像光の視野角拡大の方向を2方向以上に拡張することができる。すなわち格子状のうち一方に延びる間部244を水平に、他方に延びる間部244を垂直に配置すれば、上下左右の視野角を拡大することもできる。
また、例えば人が指で画面に触れたときその部分が影になり太陽電池層247の発電がその部位だけ行われないので、位置を特定するこができ、タッチパネルとして機能させることが可能である。
上記説明した各形態では透過部と間部との屈折率差に基づく全反射を利用して光を偏向する例を説明したが、これに限らず間部内面に光反射性を有する材料の層を形成し、当該材料に基づく反射により光を偏向してもよい。光反射性を有する材料としては例えば金属薄膜等を挙げることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。ただしこれは一つの例であり、本発明がこれに限定されることはない。
(実施例の表示装置)
液晶表示装置に用いられるカラーフィルターが具備するブラックマトリックスのパターンに対応したピッチで偏向層を作製した。すなわち、偏向層の光透過部に対応し形状を有する溝(凹部)が上記ピッチで複数設けられた賦形金型ロールを準備した。この賦形金型ロールにエポキシアクリレート系の紫外線硬化型樹脂を供給装置から供給し、この樹脂を賦形金型ロールとの間に挟むように厚さ188μmのPETフィルムをニップロールで押し当てながら貼り合わせた。その後、PETフィルム側から紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂を硬化させて基材層、及びここに積層された偏向層を得た。
次に発電層を作製するため、透明基板の一方の面の全面に透明電極層を設け、その上から化学的気相成長(CVD)法でアモルファスシリコン層を形成した。そして、水性媒体中にフッ化水素酸を含有するシリコンエッチング液でフォトエッチングすることによりパターニングされた太陽電池層を得た。その後、残存したアモルファスシリコン層(太陽電池層)上に真空製膜法により金属電極層を形成して発電層を得た。
その後、液晶パネルに対して、カラーフィルター、及び基材層(偏向層が積層された基材層)を熱硬化性樹脂で接着した。このときカラーフィルターのブラックマトリックスと偏向層のパターンとが一致するように重ね合わせた。
そして、液晶パネルに接着した偏向層上に、作製した発電層を熱硬化性樹脂で接着した。このとき、これまで説明したように、偏向層の間部と発電層の太陽電池層とが一致するように重ね合わせた。
以上により太陽電池複合型の光学部材を含む表示装置を作製した。
(比較例の表示装置)
上記実施例の偏向層の代わりに凸レンズシートを設置し、これ以外は実施例と同様の方法で表示装置を作製した。
(評価)
実施例及び比較例の表示装置に対して輝度及び視野角の測定を行った結果、実施例の表示装置の方が、比較例の表示装置に比べて、輝度および視野角が安定した。