JP2015027991A - 複合体、構造体、複合体の製造方法及び複合体の使用方法 - Google Patents

複合体、構造体、複合体の製造方法及び複合体の使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】イオン液体を用いた新規な複合体、構造体、複合体の製造方法及び複合体を提供する。
【解決手段】本発明の複合体は、含窒素芳香族環を有するイオン液体と、カルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環からなる群より選ばれる少なくとも1以上を有する無機系化合物と、金属イオンと、を備えたものである。こうしたものでは、含窒素芳香族環と、カルボキシル基構造やスルホ基構造、芳香族環との間に何らかの相互作用が働くことにより、イオン液体と無機系化合物とが複合化していると考えられる。この複合体は、例えば、含窒素芳香族環を有するイオン液体と、金属イオンと、Siなどの金属及び酸素を含む金属マトリクス構造とマトリクス構造に結合したカルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環からなる群より選ばれる少なくとも1以上とを備えた無機系化合物と、を備えたものとしてもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、複合体、構造体、複合体の製造方法及び複合体の使用方法に関する。
従来、イオン液体が種々の用途に用いられている。例えば、イオン液体を用いた複合体としては、アルコキシシリル基を有するイオン液体を加水分解縮合させた、有機−無機ハイブリッド構造を有する高分子イオン性化合物が提案されている(特許文献1参照)。この複合体は、ポリカチオン型高分子イオン性化合物に属し、カチオン部分は高分子鎖中に固定化されている。このため、この複合体では、アニオン部分のシングルイオン伝導に基づく帯電防止作用を示すとしている。また、有機高分子の多孔質膜上に、イオン液体などを含み酸性ガスと相互作用しうる分離活性層を形成し、さらに例えばポリシロキサンなどを含みガス透過性の高い層を形成したガス分離膜が提案されている(特許文献2参照)。また、銀イオンを含むキャリアとイミダゾリウム系のイオン液体と電解質オリゴマーなどのゲル化材とを含み、多孔質PTFEなどの支持体で支持した、イオンゲルによるガス分離膜が提案されている(非特許文献1参照)。なお、非特許文献1では、イオン液体に銀イオンを組み合わせて促進輸送膜としての機能を発現しているが、銀イオンをその他の金属イオンとすることで、金属イオンの種類に応じた機能を発現することも考えられる。
特開2009−286815号公報 特開2011−183379号公報
Journal of Membrane Science, 431 (2013)121-130.
しかしながら、特許文献1に記載の複合体では、カチオン部分と無機部分とが共有結合により強固に固定されているため、イオン液体に期待される流動性を発現できないという問題があった。一方、特許文献2に記載のガス分離膜では、有機高分子の多孔質膜が有機化合物によって膨潤するなどして膜形状を維持できないという問題や、液膜であるために耐圧性が低いという問題があった。また、非特許文献1に記載のガス分離膜では、イオン液体がゲル化されているため耐圧性は比較的高いものの、柔らかいために加圧によって変形しやすく、また、支持体であるPTFEなどが有機化合物によって膨潤するなどして形状を維持できないという問題があった。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、イオン液体を用いた新規な複合体、構造体、複合体の製造方法及び複合体の使用方法を提供することを主目的とする。
上述した主目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、含窒素芳香族環を有するイオン液体と、カルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環などを有する無機系化合物と、金属イオンと、を備えたものとすると、新規な複合体が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の複合体は、
含窒素芳香族環を有するイオン液体と、
カルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環からなる群より選ばれる少なくとも1以上を有する無機系化合物と、
金属イオンと、
を備えたものである。
本発明の構造体は、基材と、前記基材上に形成された上述の複合体と、を備えたものである。
本発明の複合体の製造方法は、
イオン液体と、無機系化合物と、金属イオンと、を備えた複合体の製造方法であって、
前記無機系化合物の原料としてカルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環からなる群より選ばれる少なくとも1以上を有する物質を用い、前記イオン液体として含窒素芳香族環を有する物質を用い、前記イオン液体と前記無機系化合物とを複合化し、複合体を得る複合化工程、を含むものである。
本発明の複合体の使用方法は、上述した複合体を、複数の成分からなる流体に含まれる特定の成分を選択的に透過させるのに用いるものである。
本発明の複合体、構造体、複合体の製造方法及び複合体の使用方法では、新規な複合体を提供することができる。この新規な複合体では、例えば、イオン液体に期待される流動性を維持できる。また、形状を維持しやすいし、耐圧性の低下を抑制できる。こうした効果が得られる理由は、以下のように推察される。例えば、この複合体は、無機系化合物のカルボキシル基構造やスルホ基構造、芳香族環と、イオン液体の含窒素芳香族環との間に、何らかの相互作用が働くことによって無機系化合物とイオン液体とが複合化されていると考えられる。そして、この相互作用により、共有結合より弱い力でイオン液体と無機系化合物とが結合しているため、イオン液体の流動性が維持されると考えられる。また、イオン液体が無機系化合物に結合しているため、無機系化合物を用いない場合に比して形状を維持しやすいし、耐圧性の低下を抑制できると考えられる。
実施形態の複合体の一例を表す説明図。 実施形態の複合体の一例を表す説明図。 実施形態の複合体の一例を表す説明図。 実施形態の複合体の一例を表す説明図。 構造体10の構成の概略の一例を表す説明図。
本発明の複合体は、含窒素芳香族環を有するイオン液体と、カルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環からなる群より選ばれる少なくとも1以上を有する無機系化合物と、金属イオンと、を備えている。
イオン液体は、含窒素芳香族環を有するものであれば、特に限定されない。例えば、含窒素芳香族環は、五員環や六員環でもよいし、七員環以上でもよい。また、単環でもよいし、2以上の芳香族環が縮合した縮合環でもよい。また、窒素以外の元素を含むものとしてもよい。五員環の含窒素芳香族環を有するものとしては、イミダゾリウムやピラゾリウム、ピロリウムなどが挙げられる。六員環の含窒素芳香族環を有するものとしては、ピリジニウムやピラジニウム、ピリミジニウム、ピリダジニウムなどが挙げられる。窒素以外の元素を含む含窒素芳香族環を有するものとしては、チアゾリウム、オキサゾリウムなどが挙げられる。縮合環の含窒素芳香族環を有するものとしては、キノリニウムやインドリウムなどが挙げられる。このうち、入手の容易性などの観点から、含窒素芳香族環は、イミダゾリウムやピリジニウムを有するものであることが好ましい。イミダゾリウムとしては、例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムや、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−アリル−3−メチルイミダゾリウム、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウム、1,3−ビス(シアノメチル)イミダゾリウム、1,3−ビス(3−シアノプロピル)イミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−(3−シアノプロピル)−3−メチルイミダゾリウム、1−デシル−3−メチルイミダゾリウム、1,3−ジエトキシイミダゾリウム、1,3−ジヒドロキシイミダゾリウム、1,3−ジヒドロキシ−2−メチルイミダゾリウム、1,3−ジメトキシイミダゾリウム、1,3−ジメトキシ−2−メチルイミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1−(2−ヒドロキシエチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウム、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムなどが挙げられる。ピリジニウムとしては、1−ブチルピリジニウムや、1−ブチル−3−メチルピリジニウム、1−ブチル−4−メチルピリジニウム、1−(3−シアノプロピル)ピリジニウム、1−エチルピリジニウム、3−メチル−1−プロピルピリジニウムなどが挙げられる。こうした含窒素芳香族環は、イオン液体におけるカチオンを構成する。含窒素芳香族環を含むカチオンと対をなすアニオンは、特に限定されないが、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TFSI)や、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド(BETI)等のイミドアニオンのほか、BF4 -、ClO4 -、PF6 -、Br-、Cl-、F- 等の無機アニオンが挙げられる。カチオンとアニオンの組み合わせは特に限定されないが、例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボラート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボラートなどを好適に用いることができる。なお、イオン液体とは、100℃以下の融点を有する塩をいい、より好ましくは、室温付近で溶融している塩(RTILとも呼ばれている)である。
無機系化合物は、カルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環からなる群より選ばれる少なくとも1以上を有している。こうしたものでは、カルボキシル基構造やスルホ基構造、芳香族環と、イオン液体の含窒素芳香族環との間に何らかの相互作用が働き、その相互作用によって無機系化合物とイオン液体とが複合化される。この複合化により、イオン液体がゲル状となってもよい。ここで、カルボキシル基構造とは、カルボキシル基のほか、カルボキシル基の末端の水素がアルカリ金属などで置換された構造を含む趣旨である。また、スルホ基構造とは、スルホ基のほか、スルホ基の末端の水素がアルカリ金属などで置換された構造を含む趣旨である。なお、無機系化合物がカルボキシル基構造やスルホ基構造を有している場合、例えば、カルボキシル基構造やスルホ基構造のうちの二重結合した酸素と含窒素芳香族環の窒素との間などに相互作用が働いていると考えられる。また、芳香族環を有する場合、その芳香族環と、含窒素芳香族環の芳香族環との間にπ−π相互作用が働いていると考えられる。なお、「π−π相互作用」とは、芳香族環の間に働く相互作用のことをいう。一般的に、化合物Xと化合物Yとがそれぞれ芳香族環を有する場合、化合物Xと化合物Yとを混合すると、化合物Xの芳香族環のπ電子と化合物Yの芳香族環のπ電子との間に、π−π相互作用が働く。
無機系化合物は、例えば、金属マトリクス構造と、該金属マトリクス構造に結合したカルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環からなる群より選ばれる少なくとも1以上と、を有しているものとしてもよい。金属マトリクス構造は、例えば、金属と酸素との鎖状構造であるものとしてもよいし、3次元構造であるものとしてもよい。カルボキシル基構造やスルホ基構造、芳香族環は、金属マトリクス構造のうち金属に結合しているものとしてもよい。このカルボキシル基構造やスルホ基構造、芳香族環は、金属マトリクス構造の主鎖に結合しているものとしてもよいし、側鎖に結合しているものとしてもよい。側鎖としては、例えば、炭素数1〜10程度の、置換基を有していてもよい炭化水素基が挙げられる。また、この側鎖は、N、O、S、Pのうち1以上を含むものとしてもよい。無機系化合物は、Si、Ti、Al及びZrから選ばれる1以上と、Oとを含む化合物であるものとしてもよい。これらの金属を含む化合物では、酸素との結合により、機械的強度の高い構造としやすい。また、鎖状構造又は3次元構造としやすく好ましい。このうち少なくともSiを含むことが特に好ましい。
無機系化合物は、金属アルコキシドの加水分解化合物であるものとしてもよい。金属アルコキシドは、加水分解及び重合しやすく、好ましい。この金属アルコキシドは、例えば、上記カルボキシル基構造やスルホ基構造、芳香族環を有しているものとしてもよい。金属アルコキシドとしては、例えば、金属をSiとした場合には、以下のものが挙げられる。カルボキシル基構造を有しているものとしては、2−カルボキシエチルシラントリオール、10−カルボキシデシルシラントリオール、6−(トリヒドロキシシリル)ヘキサン酸、トリメトキシ(2−カルボキシエチル)シラン、トリエトキシ(4−カルボキシブチル)シランや、これらのアルカリ金属塩などが挙げられる。スルホ基構造を有するものとしては、3−スルホプロピルシラントリオール、4−スルホフェニルトリエトキシシランなどが挙げられる。芳香族環を有するものとしては、フェニルシラントリオール、トリチルシラントリオール、4−アミノフェニルシラントリオール 、[4−(クロロメチル)フェニル]シラントリオール、フェニルトリメトキシシラン、2−フェニルエチルトリメトキシシラン、4−スルホフェニルトリエトキシシラン、3−(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、4−(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリルトリメトキシシラン、パラトリルトリメトキシシラン、オルトトリルトリメトキシシラン、メタトリルトリメトキシシラン、パラキシリルトリメトキシシラン、オルトキシリルメトキシシラン、メタキシリルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシランなどが挙げられる。また、金属をTiとした場合には、例えば、フェニルトリイソプロポキシチタン、フェニルトリイソブトキシチタンなどが挙げられる。
無機系化合物は、例えば、層状無機化合物と、層状無機化合物に結合したカルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環からなる群より選ばれる1種以上と、を有しているものとしてもよい。こうした無機系化合物は、例えば、層状無機化合物に金属アルコキシドや有機化合物などを結合させることで得られる。層状無機化合物としては、分散性層状無機化合物であることが好ましく、例えば、厚さ0.1〜100nm、長径0.01〜5μm、アスペクト比(長径/厚さ)3以上のシート状であることが好ましい。ここで、長径とは、シート形状の表面上、最も長く伸びた部分の長さをいう。例えば、長方形の場合は対角線の長さであり楕円形の場合は楕円の長径である。層状無機化合物の厚さ及び長径は、透過型電子顕微鏡によって測定した値である。層状無機化合物は、複数の、金属酸化物4面体及び/又は8面体が、平面状に結合し、シート状に広がる構造を有する層が、1層又は2層以上積層された構造を単位構造として有するものとしてもよく、この単位構造が1単位又は2単位以上積層されたものであることが好ましい。層状無機化合物の厚さ、長径及びアスペクト比は、このような積層構造を有する層状無機化合物が、水、有機溶媒等の溶媒に分散されたときの値としてもよい。層状無機化合物を構成する金属酸化物に含まれる金属は、Si、Al、Mg、Fe、Ti、Nb等であることが好ましい。また、層状無機化合物には、層間にアルカリイオン、アルカリ土類イオン、アンモニウムイオン等が共存していてもよい。層状無機化合物としては、具体的には、スメクタイト、バーミキュライト、ハイドロタルサイト、雲母、シリカナノシート、チタニアナノシート、ニオブ酸化物ナノシート、グラファイトナノシートなどが挙げられる。金属アルコキシドとしては、上述したものなどが挙げられる。有機化合物としては、層状無機化合物と結合できるアンモニウムイオンなどのイオン部分と、カルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環からなる群より選ばれる1種以上とを有している有機化合物を用いるものとしてもよい。また、イオン部分を有する有機化合物と、カルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環からなる群より選ばれる1種以上を有する有機化合物とを用いるものとしてもよい。この場合、層状無機化合物とイオン部分を有する有機化合物とを結合させた後に、カルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環からなる群より選ばれる1種以上を含む有機化合物を結合させてもよい。
金属イオンは、特に限定されるものではないが、Au、Ag、Cu、Pt、Pd、Ni、Co、Fe及びアルカリ金属から選ばれる1以上であるものとしてもよい。このうち、オレフィン分離に使用できるのでAgが特に好ましい。金属イオンは、アニオンと対をなす塩として添加されたものとしてもよい。アニオンとしては、イオン液体で例示したアニオンと同様のものが挙げられる。なお、このアニオンは、イオン液体を構成するアニオンと同種のものとしてもよいし、異種のものとしてもよい。この金属イオンは、イオン液体中に含まれていることが好ましい。金属イオンがイオン液体中に含まれていれば、イオン液体の流動性により、金属イオンの移動が円滑に行われるからである。この場合、金属イオンは、イオン液体中に分散していてもよいし、イオン液体に固定化されていてもよい。なお、陽イオン交換基を有するイオン液体を用いれば、その陽イオン交換基に金属イオンを固定化することができる。このため、イオン液体に金属イオンを比較的容易に固定化することができる。陽イオン交換基としては、例えば、カルボキシル基構造、スルホ基構造、リン酸基、ホスホン酸基、フェノール性水酸基などが挙げられる。また、金属イオンは、無機系化合物に固定化されていてもよい。陽イオン交換基を有する無機系化合物を用いれば、その陽イオン交換基に金属イオンを固定化することができるため、無機系化合物に金属イオンを比較的容易に固定化することができる。陽イオン交換基としては、上述したものが挙げられる。
本発明の複合体は、複数の成分からなる流体に含まれる特定の成分を選択的に透過する機能を有するものとしてもよい。流体としては、液体や気体が挙げられる。例えば、この複合体は、オレフィン/パラフィンの分離機能を有しているものとしてもよい。このとき、Agイオンが分離機能を発現するものとしてもよい。また、本発明の複合体は、流体に含まれる第1成分と流体に含まれる第2成分とを分離する機能を有するものとしてもよい。
本発明の複合体は、オレフィン/パラフィンの分離機能を有する場合、オレフィン/パラフィンの分離機能の耐久性を表す選択性維持率が、0.50以上であることが好ましく、0.60以上であることがより好ましく、0.70以上であることが更に好ましい。この選択性維持率は、以下のように求めるものとする。オレフィン単体ガス又はパラフィン単体ガスを用い、23℃、0MPa〜1MPaの測定条件で複合体にこのガスを吸着させる。この吸着を10回繰り返して行う。この吸着結果を用い、(1MPaでのエチレン吸着量)/(1MPaでのエタンの吸着量)を選択性とする。また、(測定10回目の選択性)/(測定1回目の選択性)を選択性維持率とする。この選択性維持率が高いほど、ガス分離機能の耐久性がより高い。用いるガスは、オレフィンとしては例えば、エチレン、プロピレンなどが挙げられる。また、パラフィンとしては、メタン、エタン、プロパンなどが挙げられる。
本発明の複合体は、複数の成分からなる流体に含まれる特定の成分を選択的に透過させるのに用いるものとしてもよい。この場合、金属イオンは、少なくともイオン液体中に存在することが好ましい。なぜなら、金属イオンは、流体の促進輸送のキャリアとして働くが、イオン液体が流動性を維持できる本発明の複合体では、イオン液体中に存在する金属イオンの移動を円滑にすることができる。それにより、複数の成分からなる流体に含まれる特定の成分を、より効率よく透過させることができるからである。
本発明の複合体は、具体的には、例えば、図1に示すように、芳香族環が結合したSiマトリクス構造を有する無機系化合物と、含窒素芳香族環を含むイオン液体である1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラートとを備えたものとしてもよい。Siマトリクス構造は、Si及び酸素を含んでいる。図1の複合体では、無機系化合物の芳香族環と、イオン液体の含窒素芳香族環との間に、例えばπ−π相互作用などの相互作用が働くことにより、無機系化合物とイオン液体とが複合化されている。また、例えば、図2に示すように、芳香族環が結合したSiマトリクス構造を有する無機系化合物と、含窒素芳香族環を含むイオン液体である1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボラートとを備えたものとしてもよい。図2の複合体でも、図1の複合体と同様に、無機系化合物の芳香族環と、イオン液体の含窒素芳香族環との間に、例えばπ−π相互作用などの相互作用が働くことにより、無機系化合物とイオン液体とが複合化されている。また、例えば、図3に示すように、カルボキシル基構造が結合したSiマトリクス構造を有する無機系化合物と、含窒素芳香族環を含むイオン液体である1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボラートとを備えたものとしてもよい。図3の複合体では、無機系化合物のカルボキシル基構造と、イオン液体の含窒素芳香族環との間に、何らかの相互作用が働くことにより、無機系化合物とイオン液体とが複合化されている。なお、図3の複合体における相互作用は、例えば、カルボキシル基構造のうちの二重結合した酸素と含窒素芳香族環の窒素との間などに働いていると考えられる。
この複合体は、さらに、カルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環からなる群より選ばれる少なくとも1以上を有する有機系化合物を備えているものとしてもよい。こうしたものでは、有機系化合物によってイオン液体がゲル状になるなどして、複合体の構造がより安定化するからである。
有機系化合物は、炭素原子が結合した炭素構造と、この炭素構造に結合したカルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環からなる群より選ばれる少なくとも1以上と、を有しているものとしてもよい。この炭素構造は、鎖状構造であるものとしてもよいし、3次元構造であるものとしてもよい。このようなものとしては、ポリマーが挙げられる。また、この炭素構造は、主鎖や側鎖にN、O、S、Pのうち1以上を含むものとしてもよい。カルボキシル基構造を有するポリマーとしては、ポリアクリル酸やポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。スルホ基構造を有するポリマーとしては、ポリスチレンスルホン酸やポリスチレンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。芳香族環を有するポリマーとしては、芳香族環が炭素構造の主鎖に含まれているものや、芳香族環が炭素構造の側鎖に含まれているものが挙げられる。主鎖に含まれているものとしては、フェノール樹脂やポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレートなど)、ポリカーボネートなどが挙げられる。また、側鎖に含まれるものとしては、ポリスチレンやポリスチレンスルホン酸ナトリウム、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体などが挙げられる。複合体が上述した有機化合物を有している場合、金属イオンは、有機系化合物に固定化されていてもよい。なお、陽イオン交換基を有する有機系化合物を用いれば、その陽イオン交換基に金属イオンを固定化することができるため、有機系化合物に金属イオンを比較的容易に固定化することができる。陽イオン交換基としては、例えば、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基、フェノール性水酸基などが挙げられる。
有機系化合物を備えた複合体は、具体的には、例えば、図4に示すように、芳香族環が結合したSiマトリクス構造を有する無機系化合物と、含窒素芳香族環を含むイオン液体である1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボラートと、スルホ基や芳香族環が結合した有機系化合物と、を備えたものとしてもよい。Siマトリクス構造は、Si及び酸素を含んでいる。図4の複合体では、無機系化合物の芳香族環と、イオン液体の含窒素芳香族環との間に、例えばπ−π相互作用などの相互作用が働くことにより、無機系化合物とイオン液体とが複合化されている。また、有機系化合物の芳香族環と、イオン液体の含窒素芳香族環との間に、例えばπ−π相互作用などの相互作用が働くことにより、有機系化合物とイオン液体とが複合化されている。有機系化合物とイオン液体との間には、こうしたπ−π相互作用以外にも、例えば、スルホ基のうちの二重結合した酸素と含窒素芳香族環の窒素との間の相互作用が働いていると考えられる。また、有機系化合物の芳香族環と無機系化合物の芳香族環との間に、例えばπ−π相互作用などの相互作用が働くことにより、有機系化合物と無機系化合物とが複合化されている。
次に、上述した複合体の製造方法について説明する。この製造方法は、無機系化合物と、イオン液体と、金属イオンと、を備えた複合体の製造方法であって、無機系化合物の原料としてカルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環からなる群より選ばれる少なくとも1以上を有する物質を用い、イオン液体として含窒素芳香族環を有する物質を用い、無機系化合物と前記イオン液体とを複合化し、複合体を得る複合化工程、を含む。
複合化工程では、例えば、無機系化合物の原料としてカルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環からなる群より選ばれる少なくとも1以上を有する金属アルコキシドを用いるものとしてもよい。金属アルコキシドとしては、上述したものなどが挙げられる。無機系化合物の原料として金属アルコキシドを用いる場合、金属アルコキシドの加水分解及び重合を行い、重合体にイオン液体や金属イオンを加えて混合することにより、複合体を得るものとしてもよい。また、重合体にイオン液体や金属イオンを含浸させることにより、複合体を得るものとしてもよい。こうすれば、金属アルコキシドの加水分解及び重合によって金属マトリクス構造とこの金属マトリクス構造に結合したカルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環からなる群より選ばれる少なくとも1以上を備えた無機系化合物が得られる。また、混合した無機系化合物とイオン液体とは、無機系化合物の有するカルボキシル基構造やスルホ基構造、芳香族環とイオン液体が有する含窒素芳香族間との間に何らかの相互作用が働くことにより、一般的な混合物以上の結合力をもって両者が複合化する。
この複合化工程は、さらに、有機系化合物の原料としてカルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環からなる群より選ばれる少なくとも1以上を有する物質を用い、無機系化合物とイオン液体と有機系化合物とを複合化し、複合体を得るものとしてもよい。この場合、例えば、有機系化合物の原料として、カルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環からなる群より選ばれる少なくとも1以上を有するポリマーを用いるものとしてもよい。ポリマーとしては、上述したものなどが挙げられる。そして、上述した金属アルコキシドの加水分解及び重合を行うときに、金属アルコキシドとポリマーとを含む溶液で金属アルコキシドを加水分解及び重合することにより、無機系化合物と有機系化合物とを複合化してもよい。こうすれば、無機系化合物と有機系化合物とをより均一に複合化できる。
次に、本発明の構造体について説明する。本発明の構造体は、基材と、基材上に形成された上述したいずれかの複合体と、を備えたものである。基材は、特に限定されないが、例えば、樹脂などの有機材料、無機材料及び金属材料などとすることができる。無機材料としては、例えば、コージェライト、Si結合SiC、再結晶SiC、チタン酸アルミニウム、ムライト、窒化珪素、サイアロン、リン酸ジルコニウム、ジルコニア、チタニア、アルミナ及びシリカから選択される1以上とすることができる。複合体は、例えば、膜状として基体上に形成されているものとしてもよい。このとき、複合体の厚さは、例えば、0.01μm〜数10μm程度とすることができる。
この構造体の具体例を説明する。図5に示すように、本発明の構造体10は、混合流体の流路となる複数のセル12を形成する基材としての多孔質の隔壁部14と、上述した複合体からなり隔壁部14の内表面15に設けられた機能層16と、を備えている。また、隔壁部14の端面17には、シール部18が形成されている。このシール部18は、例えば、ガラスやセラミックス、樹脂などのうち緻密質な材料により形成されており、隔壁部14の端面17からの流体の流入や流出を防ぐものである。この構造体10では、機能層16は、混合流体を分離する分離膜として機能する。具体的には、入口側からセル12へ入った混合流体のうち、機能層16の金属イオンと親和性の高い流体は、機能層16が形成された多孔質の隔壁部14を通過して濃縮され、濃縮流体として構造体10の側面から排出される。一方、金属イオンと親和性が低く機能層16を通過できない流体は、セル12の流路に沿って流通し、分離流体としてセル12の出口側から排出される。隔壁部14は、気孔径の大きな粗粒部14aの表面に気孔径の小さな細粒部14bが形成された二層以上の多層構造を有しているものとしてもよい。粗粒部14aの気孔径は、例えば、0.1μm〜数100μm程度とすることができる。細粒部14bの気孔径は、粗粒部14aの気孔径に比して小さいものであればよく、例えば、気孔径が0.001〜1μm程度のものとすることができる。こうすれば、隔壁部14の透過抵抗を低減することができる。このように、構造体10を形成し、複合体を利用することができる。
以上説明した複合体によれば、イオン液体が含窒素芳香族環を有し、無機系化合物がカルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環からなる群より選ばれる少なくとも1以上を有しているため、含窒素芳香族環とカルボキシル基構造やスルホ基構造、芳香族環などとの間に相互作用が働く。このため、イオン液体と無機系化合物が均一に混合して構造を安定化できる。そして、この相互作用により、イオン液体と無機系化合物とが共有結合より弱い力でイオン液体と無機系化合物とが結合しているため、イオン液体の流動性が維持されると考えられる。また、イオン液体が無機系化合物に結合しているため、無機系化合物を用いない場合に比して形状を維持しやすいし、耐圧性の低下を抑制できると考えられる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、構造体10は複数のセル12を備え流体が流通するものとしたが、基材と基材上に形成された複合体とを備えるものとすれば、特にこの形状に限定されない。例えば、1つのセルを備えたチューブラー形状としてもよい。また、上述した実施形態では、複合体からなる機能層16は、基材としての隔壁部14の内表面15に設けられたものとしたが、外表面19に設けられたものとしてもよいし、内表面15及び外表面19の両方に設けられたものとしてもよい。
上述した実施形態では、複合体からなる機能層16は流体としての混合流体を分離する分離膜として機能するものとしたが、特にこれに限定されず、液体や気体を殺菌・浄化する殺菌・浄化膜として機能するものとしてもよい。こうした殺菌・浄化膜としての機能層16を備えた構造体10は、殺菌・浄化用フィルターとして用いることができる。
以下には、複合体を具体的に作製した例を実験例として説明する。なお、実験例1〜6、11が本発明の実施例に相当し、実験例7〜10が比較例に相当する。
[実験例1]
フェニルトリメトキシシラン6gとエタノール90gを混合して攪拌し、フェニルトリメトキシシランとエタノールが十分に混ざり合った混合溶液を作製した。次に、加水分解のために3重量%硝酸水溶液3gを少量ずつ添加した後に4℃で1時間攪拌し、次いで、得られた混合溶液を50℃にして6時間攪拌することで加水分解及び重合を進行させた。その後、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート0.5gとテトラフルオロほう酸銀0.5gを添加し、4℃で3時間攪拌し、前駆体ゾルを得た。この前駆体ゾルを、シャーレに入れて乾燥させ、ゲルを作製した。得られたゲルを70℃で一晩乾燥し、得られた複合体を実験例1とした(図1参照)。
[実験例2]
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート0.5gの代わりに、1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボラート0.55gを用いた以外は実験例1と同様の工程を行い、得られた複合体を実験例2とした(図2参照)。
[実験例3]
カルボキシエチルシラントリオールナトリウム塩25重量%水溶液25gに、水60gと69重量%硝酸水溶液5gを添加した後、得られた混合溶液を60℃にして6時間攪拌することで加水分解及び重合を進行させた。その後、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート0.6gとテトラフルオロほう酸銀0.5gを添加し、室温で3時間攪拌し、前駆体ゾルを得た。その後、実験例1と同様の工程で得られた複合体を実験例3とした(図3参照)。
[実験例4]
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム1.5gと、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)と水との混合溶媒(体積比で1:1)90gとを混合し、その後、69重量%硝酸水溶液1gを添加して攪拌し、混合溶液を作製した。次いで、フェニルトリメトキシシラン6gを添加し、50℃にして6時間撹拌することで加水分解及び重合を進行させた。その後、1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボラート0.55gとテトラフルオロほう酸銀0.5gを添加し、4℃で3時間攪拌し、前駆体ゾルを得た。その後、実験例1と同様の工程で得られた複合体を実験例4とした(図4参照)。
[実験例5]
フェニルトリメトキシシラン6gの代わりにフェニルトリイソプロポキシチタン9gを用いた以外は実験例1と同様の工程を行い、得られた複合体を実験例5とした。
[実験例6]
フェニルトリメトキシシラン6gとエタノール90gを混合する代わりに、合成スメクタイト(コープケミカル株式会社製:ルーセンタイトSPN)1gとエタノール90gを混合して攪拌し、その後、フェニルトリメトキシシラン3gを混合して混合溶液を作製した以外は実験例1と同様の工程を行い、得られた複合体を実験例6とした。
[実験例7]
フェニルトリメトキシシラン6gの代わりにテトラエトキシシラン6gを用いた以外は実験例1と同様の工程を行い、得られた複合体を実験例7とした。
[実験例8]
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート0.5gの代わりにN,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボラート0.6gを用いた以外は実験例1と同様の工程を行い、得られた複合体を実験例8とした。
[実験例9]
フェニルトリメトキシシランを添加しなかった以外は実験例4と同様の工程を行い、得られた複合体を実験例9とした。
[実験例10]
テトラフルオロほう酸銀を添加しなかった以外は実験例1と同様の工程を行い、得られた複合体を実験例10とした。
[実験例11]
実験例1にて作製した前駆体ゾルを、直径10mm、長さ10cm、表面細孔径0.1μmの多孔質アルミナ基材上に塗布し、70℃で一晩乾燥し、構造体を作製した。この構造体の一方の端部を封止し、他方の端部にガラス管を接続し、得られた構造体を実験例11とした。
(吸着性能の耐久性評価)
実験例1〜10のガス分離機能に関する測定を行った。ここでは、オレフィン/パラフィンの分離機能を考察するものとし、そのモデルとして、エチレン及びエタンの吸着測定を10回繰り返して実施した。エタンよりもエチレンを吸着する特性が確認できれば、オレフィン/パラフィンの分離機能がより高いと判断することができる。吸着測定は、エチレン単体ガス又はエタン単体ガスを用い、23℃、0MPa〜1MPaの測定条件で行った。吸着測定の結果を用い、(1MPaでのエチレン吸着量)/(1MPaでのエタンの吸着量)を選択性とした。また、(測定10回目の選択性)/(測定1回目の選択性)を選択性維持率とした。この選択性維持率が高いほど、ガス分離機能の耐久性がより高いものと判断することができる。
(構造体のガス透過性評価)
実験例10のガス分離機能に関する測定を行った。ガス透過性評価は、エチレン/エタン混合ガス(1:1)を用い、23℃、1MPaの測定条件で行った。
(結果と考察)
実験例1〜10の、複合体の構成及び選択性維持率についてまとめて表1に示す。ガス吸着測定の結果、実験例1〜9はすべてオレフィン選択性を示した。しかし、実験例10は、銀イオンを含有しないため、オレフィン選択性を示さなかった。そのため、実験例10については、ガスの選択性維持率の測定を行わなかった。また、表1に示すように、実験例7〜9ではガスの選択性維持率が低かった。実験例7,8は、無機系化合物を含むため、実験例9に比して選択性維持率は高いものの、その値は実験例1〜6に比較して低かった。これは、無機系化合物とイオン液体の親和性が低く、無機系化合物の細孔内にイオン液体を十分に保持できず、銀イオンの劣化が進んだためであると推察された。これに対して、実験例1〜6では、ガスの選択性維持率が0.70以上と、高い値を示すことがわかった。これについて考察すると、無機系化合物は、芳香族環もしくはカルボキシル基構造を有し、イオン液体は、イミダゾール環もしくはピリジン環を有している。このため、無機系化合物の芳香族環もしくはカルボキシル基構造と、イオン液体のイミダゾール環もしくはピリジン環との分子間に相互作用が働いているものと考えられた。また、実験例4では、加えて有機系化合物が芳香族環とスルホ基を有し、有機系化合物の芳香族環及びスルホ基と、イオン液体のピリジン環との分子間に相互作用が働いているものと考えられた。この相互作用により、無機系化合物(及び有機系化合物)中のイオン液体の保持がより強固になるものと推察された。また、実験例11にてガス透過性の評価を行った結果、エタンに比べてエチレンが選択的に透過することを確認した。
Figure 2015027991
本発明は、フィルターやハニカム構造体などの機能材の分野に利用可能である。
10 構造体、11 端面、12 セル、14 隔壁部、14a 粗粒部、14b 細粒部、15 内表面、16 機能層、17 端面、18 シール部、19 外表面。

Claims (15)

  1. 含窒素芳香族環を有するイオン液体と、
    カルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環からなる群より選ばれる少なくとも1以上を有する無機系化合物と、
    金属イオンと、
    を備えた複合体。
  2. 前記無機系化合物は、金属マトリクス構造と、該金属マトリクス構造に結合したカルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環からなる群より選ばれる少なくとも1以上と、を有している、請求項1に記載の複合体。
  3. 前記無機系化合物は、Si、Ti、Al及びZrから選ばれる1以上と、Oとを含む化合物である、請求項1又は2に記載の複合体。
  4. 前記無機系化合物は、金属アルコキシドの加水分解化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合体。
  5. 前記イオン液体は、イミダゾリウム塩又はピリジニウム塩である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合体。
  6. 前記金属イオンは、Au、Ag、Cu、Pt、Pd、Ni、Co、Fe及びアルカリ金属から選ばれる1以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合体。
  7. 前記複合体は、さらに、カルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環からなる群より選ばれる少なくとも1以上を有する有機系化合物を備えている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合体。
  8. 前記有機系化合物は、炭素原子が結合した炭素構造と、該炭素構造に結合したカルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環からなる群より選ばれる少なくとも1以上と、を有している、請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合体。
  9. 前記有機系化合物は、前記カルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環からなる群より選ばれる少なくとも1以上を有するポリマーである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の複合体。
  10. 複数の成分からなる流体に含まれる特定の成分を選択的に透過する機能を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の複合体。
  11. 基材と、
    前記基材上に形成された請求項1〜10のいずれか1項に記載の複合体と、
    を備えた構造体。
  12. イオン液体と、無機系化合物と、金属イオンと、を備えた複合体の製造方法であって、
    前記無機系化合物の原料としてカルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環からなる群より選ばれる少なくとも1以上を有する物質を用い、前記イオン液体として含窒素芳香族環を有する物質を用い、前記イオン液体と前記無機系化合物とを複合化し、複合体を得る複合化工程、を含む、
    複合体の製造方法。
  13. 前記複合化工程では、さらに、有機系化合物の原料としてカルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環からなる群より選ばれる少なくとも1以上を有する物質を用い、前記イオン液体と前記無機系化合物と前記有機系化合物とを複合化し、複合体を得る、請求項12に記載の複合体の製造方法。
  14. 前記複合化工程では、前記無機系化合物の原料としてカルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環からなる群より選ばれる少なくとも1以上を有する金属アルコキシドを用い、前記有機系化合物の原料としてカルボキシル基構造、スルホ基構造、芳香族環からなる群より選ばれる少なくとも1以上を有するポリマーを用い、前記金属アルコキシドと前記ポリマーとを含む溶液で前記金属アルコキシドを加水分解及び重合することにより、前記無機系化合物と前記有機系化合物とを複合化する、請求項13に記載の複合体の製造方法。
  15. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の複合体を、複数の成分からなる流体に含まれる特定の成分を選択的に透過させるのに用いる、複合体の使用方法。
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