以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
まず、図1および図2を参照して、本発明の第1実施形態による発電システム100の構成について説明する。
第1実施形態による発電システム100は、離島地域(島しょ地域)における比較的小規模な電力需要に対応する発電システムである。また、発電システム100は、電力会社が構築する電力系統には連系されずに独立して離島地区の需要家に対して電力を供給するオフグリッド向けの発電システムとして構築されている。
発電システム100は、図1に示すように、ディーゼル機関からなるエンジン10を用いて発電を行うディーゼル発電装置20と、ディーゼル発電装置20と組み合わせて用いられ、自然エネルギーとしての風力エネルギーを利用して発電を行う風力発電装置30とを備えている。なお、エンジン10は、本発明の「内燃機関」および「ディーゼル機関」の一例である。また、ディーゼル発電装置20および風力発電装置30は、それぞれ、本発明の「内燃機関発電装置」および「自然エネルギー発電装置」の一例である。
また、発電システム100は、ディーゼル発電装置20と風力発電装置30とを統括制御する制御装置50を備えている。制御装置50は、その時点での電力需要W(負荷90)や当地の気象条件(風況)に応じてディーゼル発電装置20および風力発電装置30を連携制御するように構成されている。つまり、制御装置50は、ディーゼル発電装置20による発電量と風力発電装置30による発電量との合計が負荷90を満たすように各々の発電装置に対する出力制御(発電量制御)を統括的に行う役割を担っている。なお、制御装置50は、本発明の「制御手段」の一例である。
ディーゼル発電装置20は、エンジン10の出力軸に接続された発電機11を備えている。また、ディーゼル発電装置20は、制御装置50と通信可能に接続されており、制御装置50の指令に基づいてエンジン10の回転数が制御されるように構成されている。また、ディーゼル発電装置20は、制御装置50により常に負荷率(燃料供給量)が把握されている。
プロペラ型風車からなる風力発電装置30は、後述する発電機34と、発電機34の回転軸34aに接続された風車部35とを備えている。また、風力発電装置30は、制御装置50と通信可能に接続されており、制御装置50により発電機34の回転数が把握されるとともに制御装置50の指令に基づいて発電機34の回転数が制御されるように構成されている。
詳細には、風力発電装置30は、図2に示すように、タワー基盤2に固定的に設置され上方に延びるタワー部31と、タワー部31に水平面内で旋回可能に取り付けられたナセル(機械室)32とを備えている。ナセル32内には、変速機33と発電機34とが収納されている。また、発電機34の回転軸34aは、変速機33を介してナセル32前方(風上側)の風車部35におけるハブ35aに接続されている。また、ハブ35aには、放射状に延びる3本のブレード(羽根)36が取り付けられている。また、ナセル32の上部には、風速計37および風向計38が取り付けられている。また、発電機34に接続された電力線39は、タワー部31を経由して受変電設備40に接続されている。
また、風車部35におけるブレード36は、ハブ35aの回転面に対する傾斜角度であるピッチ角が制御可能に構成されている。すなわち、風力発電装置30は、風速計37および風向計38により検出された風況(風速/風向)に基づいて風車部35が常に風上を向くようにナセル32が旋回されるとともに、ブレード36のピッチ角を増減させることにより風車部35の回転数が制御されるように構成されている。また、制御装置50によるピッチ角制御が行われることにより、弱風時における発電機34の回転数を維持するのみならず、強風時における風車部35の過剰な回転を制限したり、電力不要時にもピッチ角を増加させて風車部35の回転数を強制的に低下させるなどして風力発電装置30の出力制御が行えるように構成されている。
ここで、ディーゼル発電装置20と風力発電装置30とを組み合わせた制御装置50による連携運転の概要について説明する。以下では、1基のディーゼル発電装置20と1基の風力発電装置30とによって構成された発電設備(発電システム100)を想定し、この発電設備が一定の電力需要Wとしての負荷90に電力を供給する場合における連携運転について説明する。
具体的には、図1に示すように、まず、風力発電装置30は、制御装置50の指令に基づいてその時点での風況(風速)に応じた出力のもとでの発電を行う。すなわち、風上に向けられたブレード36に所定のピッチ角が与えられた状態で風車部35が回転されることにより、発電機34から風車部35の回転数に対応した電力P1が出力される。そして、ディーゼル発電装置20は、制御装置50の演算処理に基づいて、負荷90が有する電力需要Wからその時点での風力発電装置30の電力P1を差し引いた電力P2(=W−P1)を発電するように運転制御される。つまり、発電機11の回転数が負荷90に供給される電力の電源周波数を維持しながらその時点で要求される電力P2が確実に出力されるように、エンジン10に供給される液体燃料の噴射量を常に増減させるフィードバック制御が行われる。
したがって、風況が良好な場合には風車部35を盛んに回転させて風力発電装置30から定格出力の範囲内での最大限の電力P1を発電させて負荷90に供給する一方、ディーゼル発電装置20は、一定の電力需要Wを補うために僅かに不足する電力P2(=W−P1)を出力する程度にとどまる、いわゆる低負荷運転が継続される。反対に、風況が乏しい場合には、風力発電装置30からは僅かな電力P1しか得られないので、一定の電力需要Wに対する不足分を確実に補うためにもディーゼル発電装置20は高出力(定格出力)が要求されるいわゆる高負荷運転に移行される。すなわち、要求される電力P2が増加に転じても常に発電機11の回転数(周波数)を低下させずに一定値(たとえば60Hz相当の回転数)に維持するだけの液体燃料がエンジン10に供給される制御が行われる。これにより、発電設備からは、常に電力需要Wに見合った電力が負荷90に安定供給される。
なお、ディーゼル発電装置20においては、約40%未満(約10%以上約40%未満)の負荷率で運転される場合が上述した低負荷運転と呼ばれる運転状態に相当するとともに、約50%以上の負荷率で運転される場合が上述した高負荷運転と呼ばれる運転状態に相当する。また、負荷率が約100%での運転が、ディーゼル発電装置20における定格運転に相当する。
また、風力発電装置30は、風力エネルギーを利用する点で電力P1は予期せずして変動する。したがって、発電システム100として一定の電力量を負荷90に供給する必要性から、風力発電装置30の予期しない出力変動に常に追従するようにディーゼル発電装置20の出力(電力P2)も連携制御される。この場合、風況(風速)の時間的な変動に合わせてエンジン10の負荷率が約10%以上約40%未満の間で上下変動を繰り返したり、風況が比較的良好な場合には、エンジン10の負荷率が長時間にわたって約10%台で推移される場合もある。また、風況が不良の場合には、エンジン10の負荷率が約50%以上に引き上げられる場合もある。このように、エンジン10は、風力発電装置30の出力に追従して低負荷運転が継続されたり低負荷運転と高負荷運転との間を行き来きしたりして使用される。
このような背景を有する連携運転において、第1実施形態では、図1に示すように、ディーゼル発電装置20には、光透過式のスモークメータ21が取り付けられている。スモークメータ21は、センサ部21aがエンジン10から延びる排気ガス管12内に設置されており、センサ部21aにおいて排気ガスに直接照射されたセンサ光が排気ガスに吸収・散乱される際の光強度を計測して排気ガス管12を通過する排気ガスの光透過量(煙濃度)を検出する機能を有する。そして、所定のサンプリング周期におけるスモークメータ21による光透過量の検出結果に基づいてエンジン10の排気ガスに含まれるすす計測量Xが制御装置50により把握されるように構成されている。なお、スモークメータ21は、本発明の「検出部」の一例であり、すす計測量Xは、本発明の「排気ガス中のすすの量」の一例である。
なお、エンジン10の排気ガスに含まれるすす(黒煙)は、エンジン10における燃料の燃焼状態に応じてその発生量が変動する。ディーゼル機関においては、負荷率の増加とともに燃料噴射ポンプ(図示せず)が高圧になり燃料噴射量が多くなるほど、燃料ノズルから微細でかつ霧状となった燃料が噴射される。燃焼室においては良好な燃焼状態が得られるので、すすの発生量は少ない。反対に、負荷率の低下とともに燃料噴射ポンプが低圧になり燃料噴射量が少ない場合には、燃料ノズルから粒子径が大きいままの燃料が噴射される。この場合、燃焼室では燃料が不完全燃焼を起こす傾向が強まり、すすの発生量は多くなる。つまり、負荷率が約50%以上の高負荷運転においては良好な燃焼状態が継続されてすすの発生量は相対的に少ない一方、負荷率が約40%未満の低負荷運転においては不完全燃焼に起因してすすの発生量は相対的に多い。また負荷率が低いほど、すすの発生量は増加する。
したがって、第1実施形態では、スモークメータ21により検出されるエンジン10の排気ガス中のすす計測量Xがしきい値αを超えた場合に、制御装置50によって、風力発電装置30から負荷90への電力供給量を意図的に減少させるとともに、連携運転に基づいてエンジン10をすすを除去可能な運転域へ移行させる制御が行われるように構成されている。なお、エンジン10におけるすすを除去可能な運転域とは、エンジン10の負荷率が約70%以上の運転域(高負荷運転域)に相当する。なお、しきい値αは、本発明の「所定のしきい値」の一例である。
この場合、図1に示すように、エンジン10の排気ガス中のすす計測量Xがしきい値αを超えたことが制御装置50により判断された場合、風力発電装置30におけるブレード36のピッチ角θ(図2参照)を所定量だけ増加させることにより発電機34(風車部35)の回転数を積極的に低下させて風力発電装置30の出力(電力P1)を減少させることによって、風力発電装置30から負荷90への電力供給量を意図的に減少させる制御が行われる。また、風力発電装置30の出力(電力P1)が減少されることによって、ディーゼル発電装置20と風力発電装置30との連携運転においては、電力需要W(負荷90)に対する不足分を補うべくディーゼル発電装置20は高負荷運転(負荷率が約70%の高負荷運転域)の状態に移行される。すなわち、エンジン10における燃料噴射ポンプ(図示せず)の圧力が高められて燃料噴射量が増加される。したがって、エンジン10は、すすを発生させていた低負荷運転の状態(不完全燃焼状態)から、すすの発生しにくい高負荷運転(完全燃焼状態)へと移行される。また、完全燃焼状態では、エンジン10におけるシリンダ内壁やピストン頂面などに付着・残留していたすすも燃焼されて消滅(除去)される。
このように、発電システム100では、通常の運転中にエンジン10の排気ガス中のすす計測量Xがしきい値αを超えた場合、ピッチ角制御を伴い風車部35の回転数を意図的に低下させることによりエンジン10の負荷率(燃料噴射量)を強制的に引き上げて、ディーゼル発電装置20を上述したすすを除去可能な運転域で運転させる「すす除去運転モード」に移行させる制御が行われるように構成されている。
また、第1実施形態では、排気ガス中のすす計測量Xがしきい値αを超えた場合に、エンジン10をすすを除去可能な運転域(すす除去運転モード)へ移行させた後、少なくともすす計測量Xがしきい値α以下まで低下し、かつ、一定の時間γ(たとえば1200秒(20分))が経過するまで、負荷率が約70%の高負荷運転をエンジン10に対して継続させる制御が行われるように構成されている。なお、時間γは、本発明の「所定時間」の一例である。
また、発電システム100では、エンジン10をすすを除去可能な運転域へ移行させた後、すす計測量Xがしきい値α以下に低下し、かつ、時間γが経過したことに基づいて、風力発電装置30から負荷90への電力供給量を減少させる制御が停止されるとともに、すすを除去可能な運転域でのエンジン10の運転を継続する制御についても停止されるように構成されている。すなわち、すす計測量Xがしきい値α以下に低下し、かつ、時間γ(1200行)が経過した場合、一時的(強制的)に大きな角度に設定されていた風力発電装置30のピッチ角θをその時点での風速に対応したピッチ角θにまで減少させることにより発電機34(風車部35)の回転数を増加させて風力発電装置30の電力P1をもとの状態まで増加させて風力発電装置30から負荷90への電力供給量を回復させる制御が行われる。これにより、一時的な高負荷運転(すす除去運転モード)においてすすが除去されて清浄な状態に戻されたエンジン10は、負荷90に対して回復された風力発電装置30の電力供給量の差分を補う通常の運転状態へと戻される。このようにして、第1実施形態の発電システム100は構成されている。
次に、図1〜図4を参照して、第1実施形態による発電システム100における制御装置50の処理フローについて説明する。なお、以下の処理フローは、ディーゼル発電装置20と風力発電装置30とを組み合わせた通常の連携運転が行われてある一定の電力が負荷90に供給されている状態で、所定の条件が満たされた場合に実行される制御内容である。すなわち、風力発電装置30によりその時点での風速(風況)に基づいた発電が行われる一方、ディーゼル発電装置20は制御装置50の指令に基づき一定の電力需要Wから風力発電装置30の出力(電力P1)を差し引いた出力(電力P2)を発電するように運転制御されている状態を前提としている。
まず、風力発電装置30(図1参照)に対する制御内容として、図3に示すように、ステップS1では、ディーゼル発電装置20(図1参照)におけるエンジン10(図1参照)の排気ガス中のすす計測量Xがしきい値αを超えたか否かが制御装置50(図1参照)により判断される。すなわち、制御装置50は、スモークメータ21(図1参照)による排気ガス中のすす計測量X(検出結果)に基づいてすす計測量Xがしきい値αを超えたか否かが判断される。以下では、まず、エンジン10から排出されるすす計測量Xがしきい値αを超えた場合の処理フローを説明する。
ステップS1において制御装置50によりすす計測量Xがしきい値αを超えたと判断された場合、ステップS2では、ディーゼル発電装置20におけるエンジン10の運転状態が高負荷運転域に到達しているか否かが制御装置50により判断される。ここで、ステップS1の判断の一例として、現在のエンジン10の負荷率が50%以上であるか否かによってエンジン10の運転状態が高負荷運転に到達しているか否かが判断される。
ステップS2においてエンジン10の運転状態が高負荷運転域に到達していない(負荷率50%未満であり低負荷運転の状態にある)と判断された場合、ステップS3では、風力発電装置30(図2参照)におけるブレード36(図2参照)のピッチ角θを補正するための補正量βが、現在値から新たな値に変更される。具体的には、現在設定されている補正量β0が、補正量β0よりも大きい新たな補正量β1(β0<β1)へと変更(更新)される。その後、ステップS4では、エンジン10が高負荷運転を行う際の継続時間を計数するタイマーが、初期値としての高負荷運転積算時間Tr=0に設定される。
また、ステップS2においてエンジン10の運転状態が高負荷運転域(負荷率が50%以上)に到達している(エンジン10が高負荷運転中である場合を含む)と判断された場合、処理フローは、ステップS5に進む。ステップS5では、ピッチ角θを補正するための補正量βは変更されることなくその時点での値(補正量β0)に据えおかれる。そして、ステップS6では、タイマーのカウントが1つ進められて高負荷運転積算時間Trに加算(更新)される。この場合、高負荷運転積算時間Trには制御周期Tsが1回分加算される。
また、ステップS1において制御装置50(図2参照)によりすす計測量Xがしきい値αを超えていないと判断された場合、処理フローは、ステップS7に進む。ステップS7では、カウント中の高負荷運転(負荷率が50%以上)の高負荷運転積算時間Trがある定められた時間γ(たとえば、1200秒)を超えたか否かが制御装置50により判断される。ステップS7において高負荷運転の高負荷運転積算時間Trが時間γに到達していない(時間γ未経過である)と判断された場合、処理フローはステップS5へと進み、ピッチ角θを補正するための補正量βは変更されることなくその時点での値(補正量β0)に据えおかれる。そして、ステップS6では、タイマーのカウントが1つ進められて高負荷運転積算時間Trが加算(更新)される。この場合も、高負荷運転積算時間Trには制御周期Tsが1回分加算される。
また、ステップS7において高負荷運転の高負荷運転積算時間Trが時間γを超えたと判断された場合、ステップS8では、ピッチ角θを補正するための補正量βが、初期値としての補正量β=0に戻される。
後述するディーゼル発電装置20、および、この風力発電装置30の運転状態に応じて上述したステップS1、S2、S3およびS4の順に処理が進行する第1処理フロー、ステップS1、S2、S5およびS6の順に処理が進行する第2処理フロー、ステップS1、S7、S5およびS6の順に処理が進行する第3処理フロー、および、ステップS1、S7およびS8の順に処理が進行する第4処理フローのいずれかの処理フローを経た後、処理フローは、ステップS9に進む。
ステップS9では、制御装置50の指令に基づきブレード36(図2参照)のピッチ角θが風力発電装置30に対して指定される。具体的には、現在のピッチ角がピッチ角θ1であった場合には、新たなピッチ角θ(=ピッチ角θ1+補正量β)へとピッチ角θの設定値が更新される。したがって、風力発電装置30では、新たなピッチ角θになるようにブレード36が回転される。これにより、本制御フローは一旦終了される。
なお、第1処理フローでは、新たなピッチ角θ=ピッチ角θ1+補正量β1に更新され、第2処理フローおよび第3処理フローでは、いずれも新たなピッチ角θ=ピッチ角θ1+補正量β0(現状維持)であり、第4処理フローでは、新たなピッチ角θは、その時点での風速に応じたピッチ角θが適用される。なお、本制御フロー終了後は、所定の制御周期Tsが経過した後に、再び、図3に示した第1〜第4処理フローのいずれかが繰り返し実行される。
また、ディーゼル発電装置20(図1参照)に対する制御内容として、図4に示すように、ステップS11では、現在の風力発電装置30の出力(電力P1)に基づいてディーゼル発電装置20が必要とする出力(電力P2)に対応したエンジン10(図1参照)の負荷率が制御装置50により算出される。すなわち、一定の電力需要W(負荷90)からその時点での風力発電装置30の電力P1を差し引いた電力P2を得るための負荷率が算出される。
そして、ステップS12では、算出された負荷率に応じた燃料供給量がさらに算出される。そして、ステップS13では、算出された燃料供給量に等しい燃料が燃料噴射ポンプ(図示せず)からエンジン10のシリンダ内に噴射される。なお、ステップS11〜S13の制御フローについても、所定の制御周期Tsごとに繰り返し実行される。また、図3に示した風力発電装置30側の制御フローおよび図4に示したディーゼル発電装置20側の制御フローについては、制御装置50により同時進行的に行われる。
これにより、第1実施形態では、全体的な制御動作として、運転中のエンジン10の排気ガス中のすす計測量Xがしきい値αを超えた場合に、風力発電装置30におけるブレード36のピッチ角θが補正量βにより徐々に増加されて風力発電装置30から負荷90への電力供給量が減少される。また、これと同時に電力需要W(負荷90)に対する不足分を補うべくディーゼル発電装置20がすすを除去可能な運転域に相当する高負荷運転(すす除去運転モード)に移行される。この場合、第1実施形態では、エンジン10の負荷率が約70%に引き上げられる。これにより、ディーゼル発電装置20から負荷90への電力供給量が相対的に増加される。
また、第1実施形態では、ディーゼル発電装置20が高負荷運転(負荷率が約70%の高負荷運転域)に移行された後は、すす計測量Xがしきい値α以下に低下し、かつ、高負荷運転積算時間Trが時間γ(1200秒)を経過するまでこの高負荷運転が一義的に継続される。そして、すす計測量Xがしきい値α以下に低下し、かつ、高負荷運転積算時間Trが時間γ(1200秒)を経過した後は、この高負荷運転(すす除去運転モード)を終了させる制御が行われる。すなわち、風力発電装置30のピッチ角θをその時点での風速に応じたピッチ角θにまで減少させることにより発電機34(風車部35)の回転数を増加させて風力発電装置30の出力(電力P1)を増加させて(もとの状態に戻して)風力発電装置30から負荷90への電力供給量を増加させる制御が行われる。
なお、風況が良好な場合は、風力発電装置30から負荷90への出力(電力P1)が増加されるので、エンジン10は低負荷運転に移行されてディーゼル発電装置20の出力(電力P2)は再び小さく抑えられる。また、風況が良好でない場合は、風力発電装置30から負荷90への出力(電力P1)が十分に得られないので、その不足分を補うためにもエンジン10は高負荷運転(たとえば負荷率が50%以上の状態)が継続されて、ディーゼル発電装置20は大出力(電力P2)の運転状態に維持される。
第1実施形態では、上記のように、ディーゼル機関からなるエンジン10の排気ガス中のすす計測量Xを検出するスモークメータ21と、スモークメータ21により検出されるエンジン10の排気ガス中のすす計測量Xがしきい値αを超えた場合に、風力発電装置30から負荷90への電力供給量を減少させ、エンジン10をすすを除去可能な運転域(負荷率が約70%の高負荷運転域)へ移行させる(すす除去運転モードに移行させる)制御を行う制御装置50とを備える。これにより、スモークメータ21により検出されるすす計測量Xがしきい値αを超えるまでは、ディーゼル発電装置20をすすが発生する運転域(負荷率が40%未満の低負荷運転域)で運転することにより風力発電装置30による発電を極力増加することができるので、風力発電装置30による発電をより有効に利用することができる。また、スモークメータ21により検出されるエンジン10の排気ガス中のすす計測量Xがしきい値αを超えた場合に風力発電装置30とディーゼル発電装置20との負荷配分を変更してディーゼル発電装置20におけるエンジン10の運転状態をすすを除去可能な運転域(負荷率が約70%の高負荷運転域)に自動的に移行させることができるので、ディーゼル機関であるエンジン10内に発生(堆積)したすすを強制的に除去してエンジン10の状態および性能を良好に保つことができる。これらの結果、風力発電装置30とディーゼル発電装置20とが連携運転される場合において、ディーゼル発電装置20のすす発生に起因する寿命の低下を抑制しながら、風力発電装置30による発電をより有効に利用することが可能な発電システム100を得ることができる。
また、第1実施形態では、制御装置50は、エンジン10の排気ガス中のすす計測量Xがしきい値αを超えた場合に、風力発電装置30のピッチ角θを制御することにより風力発電装置30の発電出力量(電力P1)を減少させることによって、風力発電装置30から負荷90への電力供給量を減少させる制御を行うように構成されている。これにより、制御装置50により風力発電装置30のピッチ角θを制御して風力発電装置30の発電出力量(電力P1)を容易に減少させることができる。したがって、風力発電装置30から負荷90への電力供給量が減少された分、制御装置50により、エンジン10をすすを除去可能な運転域(負荷率が約70%の高負荷運転域)に確実に移行させて容易にすすの除去を行うことができる。
また、第1実施形態では、エンジン10の排気ガス中のすす計測量Xがしきい値αを超えた場合に、エンジン10をすすを除去可能な運転域へ移行させた後、すす計測量Xがしきい値α以下に低下し、かつ、時間γが経過するまですすを除去可能な運転域(負荷率が約70%の高負荷運転域)での運転を継続する(すす除去運転モードを継続させる)制御を行うように制御装置50を構成する。これにより、エンジン10をすすを除去可能な運転域へ移行させた状態で、エンジン10の排気ガス中のすす計測量Xがしきい値α以下に低下したことに加えてこのすすを除去可能な運転域での運転を時間γだけ継続させるので、エンジン10内に堆積したすすをより確実に除去することができる。
また、第1実施形態では、エンジン10をすすを除去可能な運転域へ移行させた後、すす計測量Xがしきい値α以下に低下し、かつ、時間γが経過したことに基づいて、風力発電装置30から負荷90への電力供給量を減少させる制御を停止し、エンジン10のすすを除去可能な運転域(負荷率が約70%の高負荷運転域)での運転を継続する制御を停止する(すす除去運転モードを終了する)ように制御装置50を構成する。これにより、エンジン10のすすの除去後は、エンジン10をすすが発生する運転域(負荷率が40%未満の低負荷運転域)で運転しながら風力発電装置30による発電を極力増加させる連携運転に容易に復帰させることができるので、これによっても、風力発電装置30による発電をより有効に利用することができる。
(第2実施形態)
図1、図2、図5および図6を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態で説明したエンジン10をすすを除去可能な運転域で運転させる「すす除去運転モード」に移行させる制御において、切替制御のタイミングをすすの量と低負荷運転の継続時間との2つの指標に基づいて判断するように制御装置50を構成した例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を付して図示している。
本発明の第2実施形態による発電システム200(図1参照)では、スモークメータ21(図1参照)により連続的に計測されるすす計測量Xの情報に加えて、エンジン10(図1参照)がすすを発生しやすい低負荷運転域で運転される運転時間の積算値(低負荷運転積算時間Tp)の情報をも加味して、すすを除去可能な運転域での運転(すす除去運転モード)への切替制御が行われるように構成されている。
ここで、ディーゼル発電装置20(図1参照)に使用されるエンジン10が低負荷運転される際のエンジン10に対する許容運転時間について説明する。具体的には、図5に示すように、横軸にディーゼル発電装置20のエンジン10(発電機11(図1参照))の出力(負荷率)を示すとともに、縦軸に各負荷率に応じたエンジン10に対する許容運転時間の一例を示している。
この例では、負荷率が2.5%未満では許容運転時間は5分に定められ、負荷率が2.5%以上20%未満では許容運転時間は10分に定められている。また、負荷率が20%以上30%未満では許容運転時間は2時間に定められ、負荷率が30%以上40%未満では許容運転時間は8時間に定められている。つまり、各負荷率の範囲においては、各々に設定された許容運転時間を超えての低負荷運転は行えないことを意味している。そして、負荷率が40%以上では許容運転時間は設けられず、連続運転しても支障がないと定められている。また、このような低負荷運転におけるエンジン10の許容運転時間をステップ状に規定したテーブルは、制御装置50内のメモリ(図示せず)に記憶されている。
したがって、第2実施形態では、風況に応じて負荷率が40%未満の範囲で時間経過とともに不定期な上下変動を伴いながら運転されるエンジン10の運転時間の積算値となる低負荷運転積算時間Tpが許容時間τ(たとえば8時間(480分))を超えるか、または、スモークメータ21(図1参照)により連続計測されるすす計測量Xがしきい値αを超えるかのいずれかが満たされた時点で、制御装置50(図1参照)によって風力発電装置30(図1参照)から負荷90(図1参照)への電力供給量を減少させるとともに、エンジン10をすすを除去可能な運転域(負荷率が約70%の高負荷運転域)へ移行させる(すす除去運転モードに移行させる)制御が行われるように構成されている。なお、許容時間τは、本発明の「所定の許容時間」の一例である。
これにより、第2実施形態では、低負荷運転であってもすす計測量Xがしきい値α未満の場合には、エンジン10を許容時間τ(8時間)に極力近い時間まで運転し続けることが可能になるように構成されている。つまり、風況が良好な場合には、自然エネルギーを生かした発電を極力行うべくエンジン10の低負荷運転を許容時間τ以内で可能な限り持続させるような運転制御が行われる。そして、エンジン10の低負荷運転を可能な限り持続させた状態で、すす計測量Xがしきい値αを超えた場合には、ピッチ角制御に基づきディーゼル発電装置20の負荷率を約70%に引き上げる「すす除去運転モード」への切替制御が行われるように構成されている。
また、第2実施形態では、低負荷運転積算時間Tpが許容時間τ(8時間)を経過した場合には、すす計測量Xがしきい値αを超えるか否かに関係なく、一義的に風力発電装置30から負荷90への電力供給量を減少させる制御が行われるように構成されている。したがって、風力発電装置30の出力(電力P1)の減少とともに、エンジン10は出力(電力P2)が増加される制御が行われる。すなわち、エンジン10を一時的に高負荷運転させてエンジン10のシリンダ内壁やピストン頂面などのすすを燃焼させる。
なお、許容時間τ経過後に風力発電装置30から負荷90への出力(電力P1)を減少させる際、たとえば、風力発電装置30の現在の出力に対応したブレード36(図2参照)のピッチ角θに対して、その出力を10%の状態(=P1/10)にまで強制的に抑制可能な出力強制低下ピッチ角ηを対応付けたデータテーブル(図示せず)を使用して現在のピッチ角θから出力強制低下ピッチ角ηに変更する制御が行われる。また、このようなデータテーブルは風力発電装置30の設計時に予め決定可能であり、制御装置50側に記憶されている。なお、発電システム200の実際の運用面を考慮した場合、風力発電装置30のその時点での出力(発電量)に関係なく、出力強制低下時には出力強制低下ピッチ角ηを一義的に適用するのがより好ましい。
次に、図1、図2および図6を参照して、第2実施形態による発電システム200における制御装置50の処理フローについて説明する。なお、以下の処理フローにおいてもディーゼル発電装置20と風力発電装置30とを組み合わせた通常の連携運転が行われているのが前提である。
まず、図6に示すように、ステップS1〜S9までの各処理フローは、上記第1実施形態による処理フロー(第1〜第4処理フロー)と同様である。
ここで、第2実施形態では、ステップS1〜S9までのいずれかの処理フローに基づいて制御が実行された後、ステップS21〜S26までの第5処理フローが新たに追加される。
まず、ステップS21では、ディーゼル発電装置20(図1参照)におけるエンジン10(図1参照)の現在の運転状態が低負荷運転の状態であるか否かが制御装置50(図1参照)により判断される。この場合、制御装置50により把握されるエンジン10の負荷率が40%未満であるか否かによってエンジン10の運転状態が低負荷運転の状態であるか否かが判断される。
ステップS21においてディーゼル発電装置20(エンジン10)の運転状態が低負荷運転(負荷率が40%未満)の状態であると判断された場合、ステップS22では、低負荷運転積算時間Tpが1回の制御周期Tsに相当する時間だけ加算される。また、ステップS21においてエンジン10の運転状態が低負荷運転の状態にない(負荷率が40%以上である)と判断された場合、ステップS23では、低負荷運転積算時間Tpが1回の制御周期Tsに相当する時間だけ減算される。
その後、ステップS24では、ディーゼル発電装置20におけるエンジン10の低負荷運転積算時間Tpが許容時間τ(たとえば、8時間(480分))を超えたか否かが制御装置50により判断される。ステップS24においてディーゼル発電装置20におけるエンジン10の低負荷運転積算時間Tpが許容時間τに到達していない(許容時間τを未経過である)と判断された場合、本制御フローは一旦終了される。すなわち、所定の制御周期Tsが経過した後に、再び、図6に示した本制御フローが実行される。
また、ステップS24においてディーゼル発電装置20におけるエンジン10の低負荷運転積算時間Tpが許容時間τを超えたと判断された場合、ステップS25では、低負荷運転積算時間Tpが許容時間τ(8時間)を満たしたので、風力発電装置30の出力(電力P1)を強制的に低下させるための出力強制低下ピッチ角ηが選定される。ここで出力強制低下ピッチ角ηについては、風力発電装置30の現在の出力に対して常に所定割合(たとえば10%)の出力に低下させる際に適用される出力強制低下ピッチ角ηをデータテーブル(図示せず)を参照して使用してもよいし、風力発電装置30の現在の出力に関係なく一定の出力強制低下ピッチ角ηを適用してもよい。そして、ステップS26では、制御装置50の指令に基づき風力発電装置30におけるブレード36(図2参照)のピッチ角θが出力強制低下ピッチ角ηに指定される。
具体的には、現在のピッチ角θと、出力強制低下ピッチ角ηとの差分に相当するブレード36の回転制御量が風力発電装置30に出力される。したがって、風力発電装置30では、出力強制低下ピッチ角ηになるようにブレード36が回転される。これにより、本制御フローは一旦終了される。なお、本制御フロー終了後は、所定の制御周期Tsが経過した後に、再び、図6に示した本制御フローが実行される。
これにより、第2実施形態では、全体的な制御動作として、負荷率が40%未満の範囲で上下変動を伴いながら運転されるエンジン10の低負荷運転積算時間Tpが許容時間τ(8時間)を超えた場合か、運転中のエンジン10の排気ガス中のすす計測量Xがしきい値αを超えた場合のいずれかとなった際に、制御装置50によって風力発電装置30から負荷90への電力供給量を減少させるとともに、エンジン10がすすを除去可能な運転域(負荷率が約70%の高負荷運転域)へ移行される。そして、高負荷運転積算時間Trだけ負荷率が約70%の高負荷運転が継続され、すす計測量Xがしきい値α以下に低下した時点で、本来の連携運転に戻される。このように、スモークメータ21によるすす計測量Xの情報のみならず、低負荷運転積算時間Tpの情報をも加味して、エンジン10をすすを除去可能な運転域へ移行させるタイミングが判断されている。なお、第2実施形態による発電システム200のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
第2実施形態では、上記のように、すすの除去可能な運転域(すす除去運転モード)に移行されるよりも前に低負荷運転でエンジン10が運転される際に積算される低負荷運転積算時間Tpが許容時間τを超えた場合か、または、スモークメータ21により検出されるエンジン10の排気ガス中のすす計測量Xがしきい値αを超えた場合に、風力発電装置30から負荷90への電力供給量を減少させ、エンジン10をすすを除去可能な運転域(負荷率が約70%の高負荷運転域)へ移行させる(すす除去運転モードに移行させる)制御を行うように制御装置50を構成する。これにより、排気ガス中のすす計測量Xがしきい値αを超えた場合のみならず排気ガス中のすす計測量Xがしきい値αを超えていない場合であってもすすを除去可能な運転域(高負荷運転域)以外の運転域(負荷率が40%未満の低負荷運転域)に相当する負荷率でエンジン10が運転される低負荷運転積算時間Tpが許容時間τを超えた場合に、電力需要Wに対する風力発電装置30とディーゼル発電装置20との負荷配分を変更してディーゼル発電装置20におけるエンジン10の運転状態をすすを除去可能な運転域(すす除去運転モード)に自動的に移行させることができる。このように、低負荷運転域においてすす発生の有無に関係なく低負荷運転積算時間Tpが許容時間τを経過した時点でエンジン10をすすを除去可能な運転域(高負荷運転域)に強制的に移行させることができるので、風力発電装置30による発電を有効に利用しつつ、すす発生に起因してエンジン10が故障するのをより確実に回避することができる。
また、上記効果に加えて、エンジン10が低負荷運転される場合でかつ排気ガス中のすす計測量Xがしきい値αを超えないうちは、低負荷運転積算時間Tpが許容時間τ(8時間)に達するまでの間、可能な限り風力発電装置30を主体的に利用した電力供給を継続することができる。これによっても、発電システム200では、風力発電装置30による発電をより有効に利用することができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第2実施形態の変形例)
図1および図7を参照して、第2実施形態の変形例について説明する。この第2実施形態の変形例では、上記第2実施形態で使用した低負荷運転積算時間Tpの積算方法に上記第2実施形態とは異なる手法を取り入れて制御装置50を構成した例について説明する。
すなわち、上記第2実施形態においては、負荷率が0%以上40%未満の範囲では負荷率の大きさに関係なく各々の負荷率ごとにステップ状に設定された運転時間(実時間)を制御周期Tsに相当する時間だけ順次積算(加算)した。これに対して、第2実施形態の変形例では、負荷率ごとに運転時間の積算値を異ならせながら低負荷運転積算時間Tpを得る手法を適用する。具体的には、図7に示すように、エンジン10の負荷率の大きさに対応させた積算係数ζを設定しておき、負荷率ごとに運転時間の積算値を異ならせながら低負荷運転積算時間Tpを得るように構成する。
たとえば、負荷率が10%の場合には、低負荷運転積算時間Tpに対して運転時間を係数1.0倍で加算する。つまり、1回分の制御周期Ts(サンプリング周期)間に10%負荷率で運転されていた場合には、積算係数ζ=1.0として、低負荷運転積算時間Tpに制御周期Ts×1.0に相当する運転時間(実時間)が加算される。また、1回分の制御周期Ts間に20%負荷率で運転されていた場合には、積算係数ζ=0.25を使用して、低負荷運転積算時間Tpに制御周期Ts×0.25が加算される。また、1回分の制御周期Ts間に30%負荷率で運転されていた場合には、積算係数ζ=0.15を使用して、低負荷運転積算時間Tpに制御周期Ts×0.15が加算される。また、1回分の制御周期Ts間に40%負荷率で運転されていた場合には、積算係数ζ=0.07を使用して、低負荷運転積算時間Tpに制御周期Ts×0.07が加算される。なお、積算係数ζは、本発明の「補正係数」の一例である。
このように、エンジン10の負荷率に応じて個別に設定された積算係数ζに基づく運転時間をそれまでの低負荷運転積算時間Tpに加算するように構成する。したがって、10%以上40%未満の範囲において負荷率が40%に近いほど、低負荷運転積算時間Tpに対する積算時間の加算量がより小さい(短い)ので、低負荷運転積算時間Tpが許容時間τ(8時間)に到達するまでの実時間はより長くなる。すなわち、低負荷運転であっても、すすの発生する確率が相対的に低い運転状態であるならば、低負荷運転を継続する時間はより引き延ばされる。したがって、風況が良好な限りは風力発電装置30を主体とした発電を極力利用することが可能となる。
第2実施形態の変形例では、上記のように、すすを除去可能な運転域(すす除去運転モード)以外の運転域に相当する負荷率で低負荷運転される際のエンジン10の低負荷運転積算時間Tpを許容時間τまで積算する際、エンジン10の負荷率ごとに設定された積算係数ζに基づいて算出される時間を使用して許容時間τまで積算するように制御装置50を構成する。これにより、すすを除去可能な運転域以外の運転域に相当する負荷率で運転される際のエンジン10の低負荷運転積算時間Tpを負荷率に応じてより正確に積算することができる。したがって、エンジン10の状態をより正確に把握することができる分、制御装置50によるすすを除去可能な運転域(高負荷運転域)に移行させるか否かの判断により正確に反映させることができる。なお、第2実施形態の変形例のその他の効果は、上記第2実施形態と同様である。
(第3実施形態)
図1および図8を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、上記第1実施形態で説明した「すす除去運転モード」への切替制御において、切り替えのタイミングをすすの量と、すすの量の単位時間当たりの変化量との2つの指標に基づいて判断するように制御装置50を構成した例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を付して図示している。
本発明の第3実施形態による発電システム300(図1参照)では、スモークメータ21(図1参照)により連続的に計測されるすす計測量Xの情報に加えて、時々刻々変化するすす計測量Xの変化量ΔXの情報も加味して、エンジン10をすすを除去可能な運転域への切替制御が行われるように構成されている。なお、変化量ΔXは、本発明の「すすの量の単位時間あたりの変化量」の一例である。
すなわち、たとえば、現在計測された排気ガス中のすす計測量X1と、制御周期Ts後に計測された排気ガス中のすす計測量X2との差分として算出されるすす計測量Xの単位時間あたりの変化量ΔX(=(X2−X1)/Ts)の推移を考慮に入れてエンジン10をすすを除去可能な運転域へ切り替えるか否かを判断する制御を行うように制御装置50を構成する。
これにより、第3実施形態では、すす計測量Xがしきい値αを超えるか、または、すす計測量Xの変化量ΔXがしきい値δを超えた場合に、風力発電装置30から負荷90への電力供給量を意図的に減少させるとともに、連携運転に基づいてエンジン10をすすを除去可能な運転域へ移行させる(すす除去運転モードに移行させる)制御が行われるように構成されている。なお、しきい値δは、本発明の「所定のすす変化量しきい値」の一例である。
この点を、説明すると、図8における処理フローにおいて、ステップS31では、ディーゼル発電装置20(図1参照)におけるエンジン10(図1参照)の排気ガス中のすす計測量Xがしきい値αを超えたか否か、または、すす計測量Xの変化量ΔXがしきい値δを超えたか否かが、制御装置50(図1参照)により判断される。ここで、変化量ΔXについては、前回(1回分の制御周期Ts前)計測された排気ガス中のすす計測量X1と、前回から制御周期Ts後に計測された排気ガス中のすす計測量X2との差分を制御周期Tsで除した値(=(X2−X1)/Ts)を参照する。
そして、ステップS31において制御装置50によりすす計測量Xがしきい値αを超えたと判断された場合、または、変化量ΔXがしきい値δを超えたと判断された場合、ステップS2では、ディーゼル発電装置20におけるエンジン10の運転状態が高負荷運転に到達しているか否かが制御装置50により判断される。なお、ステップS2以降の処理フローは、上記第1実施形態と同様である。
また、ステップS31において制御装置50によりすす計測量Xがしきい値αを超えていないと判断された場合、または、変化量ΔXがしきい値δを超えていないと判断された場合、処理フローは、ステップS7に進む。この場合も、ステップS7以降の処理フローは上記第1実施形態と同様である。
第3実施形態では、上記のように、スモークメータ21により検出されるエンジン10の排気ガス中のすす計測量Xまたは変化量ΔXが、各々に対応して設定されたしきい値αまたはしきい値δを超えた場合に、風力発電装置30から負荷90への電力供給量を減少させ、エンジン10をすすを除去可能な運転域へ移行させる(すす除去運転モードに移行させる)制御を行うように制御装置50を構成する。これにより、排気ガス中のすす計測量Xがしきい値αを超えた場合のみならず、すすの量の変化量ΔXがしきい値δを超えた場合においても電力需要Wに対する風力発電装置30とディーゼル発電装置20との負荷配分を変更してディーゼル発電装置20におけるエンジン10の運転状態をすすを除去可能な運転域に自動的に移行させることができるので、エンジン10内に発生し堆積するすすが強制的に除去されてエンジン10の状態および性能を確実に良好に保つことができる。なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第4実施形態)
図9および図10を参照して、第4実施形態について説明する。この第4実施形態では、上記第1〜第3実施形態と異なり、風力発電装置30におけるピッチ角制御を行うことなくディーゼル発電装置20を前述の「すす除去運転モード」に移行させるように制御装置50を構成した例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を付して図示している。
本発明の第4実施形態による発電システム400は、図9に示すように、ディーゼル発電装置20および風力発電装置30に加えて、風力発電装置30と電気的に接続された蓄電設備60を備えている。蓄電設備60は、鉛バッテリーからなる複数の蓄電部61を有しており、風力発電装置30の電力P1の一部が蓄電部61に蓄電可能に構成されている。また、蓄電設備60は、制御装置50と通信可能に接続されており、制御装置50の指令に基づいて蓄電部61に対する電力の充放電が制御されるように構成されている。なお、蓄電部61は、本発明の「電力貯蔵部」の一例である。
これにより、第4実施形態では、スモークメータ21により検出されるエンジン10の排気ガスに含まれるすす計測量Xがしきい値αを超えた場合に、制御装置50によって、風力発電装置30の電力P1の一部を蓄電設備60における蓄電部61に貯蔵することにより、風力発電装置30から負荷90への電力供給量を相対的に減少させる制御が行われるように構成されている。したがって、上記第1実施形態のように、風況が良好であるにもかかわらず風力発電装置30におけるブレード36のピッチ角を強制的に増加させて発電機34(風車部35)の回転数を低下させて風力発電装置30の電力P1それ自体を減少させる制御は行われない。この場合、風力発電装置30の電力P1の一部が蓄電部61に供給(蓄電)されるので、風力発電装置30から負荷90への電力供給量が見かけ上減少される。したがって、ディーゼル発電装置20と風力発電装置30との連携運転においては、電力需要W(負荷90)に対する不足分を補うべく、ディーゼル発電装置20はエンジン10内のすすを除去可能な運転域(すす除去運転モード)に相当する高負荷運転の状態(負荷率が約70%の高負荷運転域)に移行される。
また、発電システム400では、エンジン10をすすを除去可能な運転域へ移行させた後、すすの量がしきい値α以下に低下し、かつ、時間γ(1200秒)が経過したことに基づいて、風力発電装置30の電力P1の一部を蓄電部61に蓄電する動作が停止されて風力発電装置30から負荷90への電力供給量を減少させる制御が停止される。したがって、上述のエンジン10のすす除去運転モードについても停止されるように構成されている。また、蓄電部61に蓄電された電力は、風況に伴って風力発電装置30の電力P1(発電出力量)が低下したり電力需要Wが一時的に上昇した場合などに制御装置50の指令に基づいて負荷90に対して適宜供給されるように構成されている。
次に、図9および図10を参照して、第4実施形態による発電システム400における制御装置50の処理フローについて説明する。
図10に示すように、まず、ステップS41では、ディーゼル発電装置20(図9参照)におけるエンジン10(図9参照)の排気ガスに含まれるすす計測量Xがしきい値αを超えたか否かが制御装置50(図9参照)により判断される。ステップS41において制御装置50によりすす計測量Xがしきい値αを超えたと判断された場合、ステップS42では、ディーゼル発電装置20におけるエンジン10の運転状態が高負荷運転に到達しているか否か(負荷率が50%以上であるか否か)が制御装置50により判断される。
ステップS42においてエンジン10の運転状態が高負荷運転に到達していない(負荷率50%未満であり低負荷運転の状態にある)と判断された場合、ステップS43では、蓄電設備60(図9参照)における蓄電部61(図9参照)への充電量Zが現在値から新たな値に変更される。具体的には、現在の充電量Z0が、充電量Z0よりも大きい新たな充電量Z1(Z0<Z1)へと変更(更新)される。ここで、充電量Zとは、制御周期Ts(サンプリング周期)間に風力発電装置30(図9参照)が発電した発電量のうち蓄電部61に出力(供給)される電力量のことを意味する。その後、ステップS44では、エンジン10が高負荷運転を行う際の継続時間を計数するタイマーが初期化(高負荷運転積算時間Tr=0)される。
また、ステップS42においてエンジン10の運転状態が高負荷運転(負荷率が50%以上)に到達している(エンジン10が高負荷運転中である場合を含む)と判断された場合、ステップS45では、充電量Z(蓄電部61への出力)は変更されることなくその時点での値(充電量Z0)に据えおかれる。そして、ステップS46では、タイマーのカウントが1つ進められて高負荷運転積算時間Trに制御周期Tsが1回分加算される。
また、ステップS41において制御装置50(図9参照)によりすす計測量Xがしきい値αを超えていないと判断された場合、ステップS47では、カウント中の高負荷運転(負荷率50%以上)の高負荷運転積算時間Trが時間γ(1200秒)を超えたか否かが制御装置50により判断される。ステップS47において高負荷運転の高負荷運転積算時間Trが時間γに到達していないと判断された場合、処理フローはステップS45へと進み、充電量Zは変更されることなくその時点での値(充電量Z0)に据えおかれる。そして、ステップS46では、タイマーのカウントが進められて高負荷運転積算時間Trに制御周期Tsが1回分加算される。
また、ステップS47において高負荷運転の高負荷運転積算時間Trが時間γに到達したと判断された場合、ステップS48では、充電量Zが初期値としてのZ=0(充電要求なしの状態)に戻される。
ディーゼル発電装置20および風力発電装置30の各々の負荷状況に応じて上記したステップS41、S42、S43およびS44の順に進む第1処理フロー、ステップS41、S42、S45およびS46の順に進む第2処理フロー、ステップS41、S47、S45およびS46の順に進む第3処理フロー、および、ステップS41、S47およびS48の順に進む第4処理フローのいずれかの処理フローを経た後、処理フローはステップS49に進む。
ステップS49では、制御装置50の指令に基づき風力発電装置30の充電動作が蓄電設備60に対して指定される。これにより、本制御フローは一旦終了される。なお、本制御フロー終了後は、所定の制御周期Tsが経過した後に、再び、図10に示した本制御フローにおける第1〜第4処理フローのいずれかが実行される。
これにより、第4実施形態では、全体的な制御動作として、運転中のエンジン10の排気ガス中のすす計測量Xがしきい値αを超えた場合に、風力エネルギーを使用して発電中の風力発電装置30の電力P1の一部(充電量Z)が蓄電設備60(蓄電部61)に充電される動作が実行されて、風力発電装置30から負荷90への電力供給量が減少される。また、これと同時に、電力需要Wに対する不足分を補うべくディーゼル発電装置20がすすを除去可能な運転域に相当する高負荷運転(すす除去運転モード)に移行される。第4実施形態の場合も、エンジン10の負荷率が約70%に引き上げられる。
また、第4実施形態では、ディーゼル発電装置20が高負荷運転(負荷率が約70%の高負荷運転域)に移行された後は、すす計測量Xがしきい値α以下に低下し、かつ、高負荷運転積算時間Trが時間γ(1200秒)を経過するまでこの高負荷運転が継続される。そして、すす計測量Xがしきい値α以下に低下し、かつ、高負荷運転積算時間Trが時間γ(1200秒)を経過した後に、蓄電部61に充電される動作が停止されて、エンジン10の高負荷運転(すす除去運転モード)を終了させる制御が行われる。
なお、第4実施形態による発電システム400のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
第4実施形態では、上記のように、風力発電装置30により発電した電力を貯蔵する蓄電設備60をさらに備え、エンジン10の排気ガス中のすすの量がしきい値αを超えた場合に、風力発電装置30の出力(電力P1)の一部を蓄電設備60(蓄電部61)に貯蔵することにより、風力発電装置30から負荷90への電力供給量を減少させる制御を行うように制御装置50を構成する。これにより、風力発電装置30の発電能力を無駄に低下させることなく風力発電装置30から負荷90への電力供給量を見かけ上減少させることができるので、エンジン10をすすを除去可能な運転域(負荷率が約70%の高負荷運転域)へ容易に移行させることができるとともに、風力発電装置30により発電されて蓄電設備60(蓄電部61)に貯蔵された電力を有効に利用して、電力必要時に負荷90に容易に供給することができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1〜第4実施形態では、ディーゼル発電装置20をすすを除去可能な運転域へ移行させる一例として風力発電装置30のピッチ角制御に基づいてエンジン10の負荷率を約70%に引き上げる例について示したが、本発明はこれに限られない。すすを除去可能な運転域であるならば、エンジン10の負荷率を、低負荷運転域(約40%未満(約10%以上約40%未満)の状態から上述の約70%よりも低いたとえば約60%や約50%のレベルの高負荷運転域に引き上げる制御を行ってもよい。これらすすを除去可能な運転域に対応する負荷率の設定値は、ディーゼル発電装置(ディーゼル機関)の仕様によって適宜決定され得る。ただし、より短時間ですすを除去するためにも、エンジン10の負荷率を少なくとも約70%に引き上げるのがより好ましい。
また、上記第1〜第4実施形態では、運転中のディーゼル発電装置20(エンジン10)の負荷率が50%以上であるか否かによってエンジン10の運転状態が高負荷運転に到達しているか否かを判断した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、50%以外の、たとえば、負荷率が55%以上や60%以上であるか否かによってエンジン10の運転状態が高負荷運転域に到達しているか否かを判断してもよい。高負荷運転を判断するしきい値についても、ディーゼル発電装置(ディーゼル機関)の仕様によって適宜決定されうる。
また、上記第1〜第4実施形態では、光透過式のスモークメータ21を用いてエンジン10から排出される排気ガスのすすの量(すす計測量X)を計測した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、排気ガス管12中に設置されたフィルタ部材上に捕集したPM(微小粒子状物質)に光(センサ光)を照射してフィルタ部材が有する反射率の大きさ(変化量)に基づいて排気ガスの煙濃度を測定する光反射式のスモークメータを用いてすすの量を計測してもよい。ただし、光透過式のスモークメータ21を用いた方が、すすの量を連続的に計測することができる点で光反射式のスモークメータよりも利用価値は高い。
また、上記第1〜第4実施形態では、負荷率を約70%に引き上げてエンジン10をすすを除去可能な運転域(すす除去運転モード)へ移行させた後、時間γとして1200秒(20分)が経過するまでこの「すす除去運転モード」を継続させた例について示したが、本発明はこれに限られない。時間γは、ディーゼル発電装置20(エンジン10)の特性などに応じて1200秒以外に設定されていてもよい。
また、上記第2実施形態では、許容時間τを8時間(480分)に設定した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、許容時間τを30分に設定してもよい。つまり、エンジン10の負荷率が約40%未満の範囲で30分間運転されるか、または、スモークメータ21により連続計測されるすす計測量Xがしきい値αを超えた場合に、風力発電装置30の発電量を強制的に減少させてエンジン10をすす除去運転モード(負荷率が約70%の高負荷運転域)へ移行させる制御を行うようにしてもよい。また、許容時間τは、30分に限られず、20分でもよいし10分でもよい。このように、許容時間τをより短い時間に設定することによって、エンジン10が低負荷運転を継続した際により迅速にすす除去運転モードへ移行させることができるので、すすの堆積に起因したエンジン10の故障をより未然に防ぐことができる。
また、上記第1〜第4実施形態では、1基のディーゼル発電装置20と1基の風力発電装置30とによって構成された発電システム100〜400に対して本発明を適用した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、3基のディーゼル発電装置20と5基の風力発電装置30とによって構成された発電システムに対して本発明を適用してもよい。すなわち、3基のディーゼル発電装置20のうちのいずれかの排気ガス中のすす計測量Xがしきい値αを超えた場合に、風況などに応じて5基の風力発電装置30のうちのいずれかの発電出力量を強制的に低下させるとともに、すす計測量Xがしきい値αを超えたディーゼル発電装置20のエンジン10をすすを除去可能な運転域へ移行させる制御を行うように構成すればよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、ディーゼル機関からなるエンジン10を搭載したディーゼル発電装置20を用いて発電システム100〜400を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、レシプロ式駆動機構を有する内燃機関であるならば、ディーゼル機関以外のガス機関(ガスエンジンおよびガソリンエンジンなどの内燃機関)を搭載した内燃機関発電装置を用いて発電システムを構成してもよい。燃料と空気との混合気を圧縮して火花点火させるガス機関においても低出力(軽負荷)で運転を継続させた場合にはエンジン内部にすすが発生しやすくなる。したがって、検出部により検出されるガス機関の排気ガス中のすすの量が所定のしきい値を超えた場合に電力負荷に対する自然エネルギー発電装置とガス機関との負荷配分を変更してガス機関の運転状態をすすを除去可能な運転域に自動的に移行させることができ、ガス機関の状態および性能を良好に保つことができる。
また、上記第4実施形態では、鉛バッテリーからなる蓄電部61を用いて本発明の「電力貯蔵部」を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、鉛バッテリー以外のたとえばナトリウム・硫黄(NaS)電池やリチウムイオン電池、さらにはレドックス・フロー電池などの二次電池を用いて自然エネルギー発電装置(風力発電装置30)の発電電力を蓄電する本発明の「電力貯蔵部」を構成してもよい。また、水素貯蔵装置を用いて本発明の「電力貯蔵部」を構成してもよい。この場合、風力発電装置と水電解水素発生装置とを組み合わせて風力発電装置の発電電力を使用して水電解水素発生装置により水素を製造し、この水素を水素貯蔵装置内の有機ハイドライドに高密度・高効率に貯蔵するようにしてもよい。また、水素を圧縮ガスボンベに貯蔵してもよい。貯蔵された水素は燃料電池システムへ供給されることにより再び電力として取り出される。
また、その他の電力貯蔵部としては、フライホイール装置におけるロータの運動エネルギー、圧縮空気貯蔵装置における圧縮空気圧、揚水式発電装置において揚水される貯水量などのエネルギー貯蔵形態としても風力発電装置の発電電力を貯蔵することが可能である。なお、第4実施形態で示した蓄電部61への充電量Zは、フライホイール装置においてはロータを回転駆動する電動機(放電時には発電機になる)への投入電力に相当し、圧縮空気貯蔵装置においては圧縮空気を貯蔵容器に送り込む圧縮機(コンプレッサ)への投入電力に相当する。また、揚水式発電装置においては下部貯水槽から上部貯水槽へ水を汲み上げるポンプ装置への投入電力に相当する。
また、上記第1〜第4実施形態では、自然エネルギーとしての風力エネルギーを用いて発電を行う風力発電装置30を用いて発電システム100〜400を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、風力エネルギー以外のたとえば太陽光エネルギーを用いて発電を行う太陽光発電装置(ソーラーパネル発電装置)を用いて発電システムを構成してもよい。また、太陽光をレンズや反射鏡を用いた太陽炉で集光することにより汽力発電(蒸気タービン発電)の熱源となる太陽熱発電装置を用いて発電システムを構成してもよい。この場合は、風力発電装置のように発電電力量を意図的に減少させる方法よりも、上記第4実施形態のように自然エネルギー発電装置(太陽光発電装置または太陽熱発電装置)の発電電力の一部を電力貯蔵部に貯蔵するのがより好ましい。
また、上記第1〜第4実施形態では、所定のサンプリング周期(制御周期Ts)でスモークメータ21により計測される排気ガスの光透過量(煙濃度)に基づき排気ガス中のすすの量を検出した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、サンプリング周期ごとに計測されるすすの量(排気ガスの光透過量(煙濃度))の時間経過に基づき算出される「すす累積量」に基づいて排気ガス中のすすの量を検出するように構成してもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、タワー基盤2(地面)に固定的に設置されたタワー部31を備えた風力発電装置30を用いた例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、強風時などにタワー部31および風車部35全体を地表近くまで倒すことが可能な可倒式風力発電装置を用いて本発明の発電システムを構成してもよい。すなわち、ディーゼル発電装置における排気ガス中のすすの量が所定のしきい値を超えた場合に、可倒式風力発電装置を所定角度だけ倒すことによって風車部(ブレード)の回転を低下または停止させ、ディーゼル発電装置をすすを除去可能な運転域へ移行させるように構成してもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、離島地域(島しょ地域)に構築された発電システム100〜400に対して本発明を適用した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、離島地域以外として砂漠地帯、山岳地帯、密林地帯、さらには、高緯度地域(極地方)などに設置され、電力会社が構築する電力系統には連系されないものの一定の電力需要Wを必要とするプラント施設、研究施設、実験設備、試験設備のほかこれらの事業に携わる関係者が滞在する施設(需要家)に導入されるような発電システムに対して、本発明を適用してもよい。あるいは、電力会社が構築する電力系統が整備された地域あっても、試験的にオフグリッドを構成したモデル地区に導入される発電システムなどに対して、本発明を適用してもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、説明の便宜上、制御装置50の制御処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御装置50の制御処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。