JP2015021899A - 衛星時計精度判定装置、その方法及び測位装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の衛星時計精度判定装置は、GNSSにおける測位装置に設けられ、GNSS衛星から衛星時計補正パラメータが正常に受信できない場合に、測位に用いるGNSS衛星と測位装置との観測距離の算出に用いるGNSS衛星の衛星時計の安定性を判定する装置であり、過去の衛星時計補正パラメータが書き込まれて記憶されている衛星時計補正パラメータ記憶部と、直前の第1衛星時計補正パラメータから、この第1衛星時計パラメータより前の第2衛星時計パラメータのエポック時刻における推定誤差時間を求め、また第2衛星時計補正パラメータを用いて誤差時間を求め、誤差時間と推定誤差時間との差分により、GNSS衛星の衛星時計の安定性を判定する衛星時計精度判定部とを備える。
【選択図】図1
Description
この作業を4機以上の衛星に対して行うことで、受信機の位置を三次元上で算出している。アルマナック・データは、軌道上における全ての衛星に関する軌道情報であり、少なくとも6日に1回、データが更新される。エフェメリス・データは、各衛星の正確な位置情報であり、2時間毎にデータが更新される。信号を発射した時刻情報は、6秒毎にデータ更新される。この時刻情報は、衛星に搭載されている高精度の原子時計(以下、衛星時計とする)により得られた時刻を示している。また、エフェメリス・データには、上記衛星時計の時間を補正する補正パラメータも含まれている。
このため、従来の手法においては、有効期限が切れた後に新たなエフェメリス・データが得られない場合、古い補正パラメータを使用することにより、GNSS衛星とGNSS受信機との距離が正確に求められず、GNSS受信機の測位の精度が大幅に低下してしまう。
これにより、本発明によれば、GNSS衛星の観測距離の精度が悪い衛星を測位の測定に用いないため、従来に比較して、測位装置の測位の結果を高い精度で得ることが可能となる。
まず、一般的なGNSS衛星の軌道予測の概略原理について、GPS(Global Positioning System)衛星の例にとり説明する。
地球上空の6つの軌道を24機以上のGPS衛星(以下、衛星という)が周回し、各衛星は、航法メッセージを送信している。航法メッセージは、フレームを単位に送信している。1フレームの送信には、30秒を要する。1フレームは、5組のサブフレームで構成され、サブフレーム1から5が順番に送信される。また、サブフレーム1から3は、各衛星に固有の情報を含み、毎回同じ内容で構成される。サブフレーム4と5は、全衛星が同じ内容の情報で構成され、サブフレーム毎にページ1から25で構成されている。このため、サブフレーム4と5の全ての情報を送信するには、25フレームが必要である。このため、GPS受信機(測位装置)が航法メッセージの全情報を得るには、12分30秒の時間がかかる。サブフレーム1は、各衛星の状態(正常に動作しているか否か)、衛星が送信する衛星のクロック誤差を補正するための係数であるクロック補正係数などにより構成されている。サブフレーム2は、各衛星の軌道情報(エフェメリス(Ephemeris)・データ)1/2で構成されている。
サブフレーム3は、各衛星の軌道情報(エフェメリス・データ)2/2で構成されている。サブフレーム4は、GPS受信機が受信する信号が、電離層により遅延する量を補正するための係数である電離層遅延補正係数、大気により遅延する量を補正するための係数である大気遅延補正係数、GPS時刻(GNSS時刻)とUTC(協定世界時間;Universal Time, Coordinated))との関係を表す情報であるUTC関係情報、全衛星の軌道情報(アルマナック(Almanac)・データ)1/2などで構成されている。サブフレーム5は、全衛星の軌道情報(アルマナック・データ)2/2で構成されている。また、各サブフレームの先頭には、GPS時刻を示す情報が含まれている。なお、GPS時刻とは、1週間を単位としてGPS衛星で管理されている時間(衛星時計のカウントしている時間)であり、毎週、日曜日の0時からの経過時間で表される情報である。
アルマナック・データは、各衛星の軌道情報である。また、アルマナック・データは、少なくとも6日に1度の頻度で更新されている。また、アルマナック・データの有効期間は、6日である。
そして、ホット・スタートの場合、GPS受信機(測位装置)は、電源投入後に最初の位置情報が出力されるまでの時間は、記憶されているエフェメリス・データを用いて測位できるので数秒程度である。一方、ウォーム・スタートの場合、GPS受信機は、エフェメリス・データを再取得する必要があるので、取得に30秒以上の時間がかかり、さらに取得したエフェメリス・データの検査にも時間がかかる。このため、ウォーム・スタート場合、電源投入後に最初の位置情報が出力されるまでの時間は、30秒以上である。さらに、コールド・スタートの場合、アルマナック・データが無効なため,現時刻における可視衛星を知ることができず,受信可能である衛星をランダムに探す必要が有る.この衛星を探す時間に加え,エフェメリス・データを受信するための時間を要するため,電源投入後に最初の位置情報が出力されるまでの時間は、ウォーム・スタートよりも長くなる。
そして、軌道予測装置は、エフェメリス・データから計算される衛星位置・速度をバックアップ・メモリに保存する。次に、軌道予測装置は、軌道予測計算に必要なデータが揃い次第、軌道予測パラメータを推定し、推定した軌道予測パラメータを使用して軌道を予測する。次に、軌道予測装置は、予測した軌道をバックアップ・メモリへ保存する。そして、軌道予測装置は、エフェメリス・データが無効の時、バックアップ・メモリに保存された予測した軌道を使用して衛星位置を計算する。
図1に示すように、GNSSは、測位装置1、GNSS衛星2から構成されている。測位装置(GNSS受信機)1は、軌道予測装置10、測位算出部20、衛星時計精度判定装置30を備えている。なお、GNSS衛星2は、1機ではなく、GPS衛星だけでも24機以上の衛星から構成される。
軌道予測装置10は、情報取得部110、記憶部115、アルマナック取得部120、衛星型抽出部125、エフェメリス取得部130、衛星位置速度算出部135、衛星位置・速度記憶部140、演算開始判定部145、パラメータ推定部150、軌道予測演算部155、予測結果記憶部160を備えている。
記憶部115には、GNSS時刻、UTC関係情報と電離層遅延補正係数、大気遅延補正係数が記憶されている。
衛星型抽出部125は、アルマナック取得部120が出力するアルマナック・データから衛星型番号を抽出し、抽出した衛星型番号を衛星位置・速度記憶部140に記憶させる。なお、衛星型番号とは、Block IIA,Block IIR,Block IIR−M,Block IIFなどのGNSS衛星2の型を示す番号である。
衛星位置速度算出部135は、エフェメリス取得部130が出力したエフェメリス・データから衛星の状態(Health)を抽出する。衛星位置速度算出部135は、抽出した衛星の状態が正常であるか否かを判別する。衛星の状態とは、衛星の状態を表すコードで、0以外は何らかの異常が衛星にあることを示している。
このコードが正常を示す0であり、衛星の状態が正常であると判別した場合、衛星位置速度算出部135は、取得したエフェメリス・データをエポック時刻toeに近い偶数正時(例えば、0時、2時、4時、6時などの2で除算して割り切れる時間)TOE2に変換する。衛星位置速度算出部135は、衛星位置・速度記憶部140に記憶されているGNSS衛星2の位置と速度情報(以下、位置速度情報という)の内、算出した時刻TOE2の示す日から3日を減算した、時刻TOE2より3日以前(時刻TOE2の示す日時より3日前)の情報を保存領域から削除する。時刻TOE2より3日以前の情報を保存領域から削除する理由は、エフェメリス・データを均等に3日分記憶させるためである。後述するように、このように均等に3日分、記憶させたエフェメリス・データを用いて軌道予測装置10が軌道予測を行った場合、予測誤差が少なくなるためである。
衛星位置・速度記憶部140に時刻TOE2の位置速度情報が記憶されていないと判別した場合、後述するように、衛星位置速度算出部135は、衛星位置・速度記憶部140の保存領域の空きが、3個分の位置速度情報を記憶できる領域になるまで情報を削除する。衛星位置速度算出部135は、時刻TOE2、時刻TOE−2時間(時刻TOE2から2時間減算した結果)、及び時刻TOE2+2時間の各時刻のGPS衛星2の各位置と各速度を算出し、算出した2つの時刻の位置と速度を位置速度情報として衛星位置・速度記憶部140に記憶させる。
演算開始判定部145は、衛星位置・速度記憶部140から過去の位置速度情報、衛星型番号を読み出し、記憶部115からGNSS時刻、UTC関係情報及び電離層遅延補正係数を読み出す。演算開始判定部145は、読み出した情報に基づき、予め設定されている演算開始条件を満たしているか否かを判定する。演算開始条件を満たしていると判別した場合、演算開始判定部145は、パラメータ推定部150に読み出した情報と判定結果を出力する。
軌道予測演算部155は、パラメータ推定部150が出力する推定パラメータsを使用し、後述するように、例えば将来の3日間までの2時間ごとの時刻te(k)(k=0,・・・,36)におけるGNSS衛星2_i(i=0,・・・,110)の衛星位置pe(i)(i=0,・・・,110)を軌道計算する。軌道予測演算部155は、算出した予測軌道値を予測結果記憶部160に記憶させる。
予測結果記憶部160には、GNSS衛星2_iの各々の予測軌道値である衛星位置pe(i)が記憶されている。
ρ(tu)=r(tu,ts)+c{δu(tu)−δs(ts)}
+I(tu)+T(tu)+ep(tu) …(2)
ρ(tu):時刻tuで求めた観測距離
r(tu,ts):tuでの測位装置1の位置とtsでの衛星位置との幾何距離
c:光の速度
δu(tu):測位装置1の時計の誤差(誤差時間)
δs(ts):衛星時計の誤差(誤差時間)
I(tu):電離層遅延による誤差距離
T(tu):大気遅延による誤差距離
ep(tu):マルチパス誤差
tu:測位装置1が航法メッセージを受信した時間
ts:GNSS衛星2が航法メッセージを送信した時間(GNSS時刻)
ここで、測位算出部20は、記憶部115から電離層遅延補正係数及び大気遅延補正係数を読み出す。測位算出部20は、電離層遅延による誤差距離I(tu)を電離層遅延補正係数により、また大気遅延による誤差距離T(tu)を大気遅延補正係数により、それぞれ予め設定された関係式により算出し、(2)式に用いる。
衛星時計補正パラメータ記憶部310には、衛星時計補正パラメータ(バイアス値Af0及び変化率Af1)が時系列に、所定の期間の複数のデータが衛星時計補正パラメータのエポック時刻とともに書き込まれて記憶されている。例えば、本実施形態の場合、現在から3つ前までの衛星時計補正パラメータが記憶されている。ここで、衛星時計補正パラメータにおけるバイアス値Af0は、エポック時刻における衛星時計の誤差である。変化率Af1は、単位時間あたりの衛星時計の誤差の変化率である。
δs(ts)=Af0(ts)+Af1(ts)・(ts−t0) …(3)
この(3)式において、t0は、衛星時計補正パラメータの元期であり、航法メッセージに含まれている。
しかしながら、測位算出部20は、エフェメリス・データが受信されずに、有効期限が切れた場合、最後に受信されたエフェメリス・データの衛星時計補正パラメータを、衛星時計補正パラメータ記憶部310から読み出して用い、以下の(4)式により、推定誤差δs(ts)’を算出する。
δs(ts)’=Af0(ts−1)+Af1(ts−1)・(ts−t0) …(4)
図2は、推定誤差δs(ts)’が線形的に変化するのではなく、短期間で非線形に変動する場合を示す図である。この図2において、縦軸が誤差δsを示し、横軸が時間を示している。線分L1は、線形的に変化率Af1が変化する安定した衛星時計の誤差δsの線形的な変化を示している。線分L2は、短期間に変化率Af1が変化する不安定な衛星時計の誤差δsの線形的な変化を示している。
時刻tsにおいて、測位を行う迄にエフェメリス・データが受信できず、有効期限が切れた場合、最後に受信されたエフェメリス・データの衛星時計補正パラメータを用いて、推定誤差δs(ts)’を、すでに述べたように、(4)式により算出する。
一方、線分L2の場合は、誤差δs(ts)が時間に対して非線形的に変化、すなわち誤差δs(ts)の変化率Af1が短期間で変化する。このため、時刻tsの誤差を推定誤差δs(ts)’として得るために、最後に受信されたエフェメリス・データの衛星時計補正パラメータ{Af0(ts−1),Af1(ts−1)}を用いても、悪い精度でしか推定できないことが分かる。
このため、本実施形態において、衛星時計精度判定部320は、エポック時刻ts−1における衛星時計補正パラメータ{Af0(ts−1),Af1(ts−1)}を用い、エポック時刻ts−1より以前のエポック時刻ts−2における誤差δs(ts−2)を、以下の(5)式により求めることで推定する。
δs(ts−2)’=Af0(ts−1)−Af1 (ts−1)・(ts−1−t0) …(5)
そして、衛星時計精度判定部320は、上記(5)式により、最後に得られた衛星時計パラメータを用いて、2回前の衛星時計の誤差δs(ts−2)の推定値である推定誤差δs(ts−2)’の推定を行う。
また、衛星時計精度判定部320は、2回前の衛星時計補正パラメータを用いて、(2)式により、2回前の衛星時計の誤差δs(ts−2)を算出する。
衛星時計精度判定部320は、算出した誤差差分の絶対値と、自身内部の記憶部に予め書き込まれて記憶されている閾値との比較を行い、誤差差分の絶対値が閾値を超えているか否かの判定を行う。このとき、衛星時計精度判定部320は、誤差差分の絶対値が閾値以下の場合、このGNSS衛星を使用可と判定し、一方、誤差差分の絶対値が閾値を超えている場合、このGNSS衛星を使用不可と判定する。
そして、衛星時計精度判定部320は、このエフェメリス・データの有効期限が切れたGNSS衛星の使用の可否を測位算出部20に対して出力する。
したがって、上述したように、誤差差分の絶対値が閾値以下の場合、エフェメリス・データの寿命が切れているGNSS衛星2であっても、測位に使用可能な精度で、(2)式により測位装置1とGNSS衛星2との距離を求めることができる。
また、本実施形態によれば、GNSS衛星2の観測距離ρ(tu)を、従来に比較してより高い精度で求められるため、従来に比較して、測位装置1の測位の結果も高い精度で得ることが可能となる。
さらに、1回前に取得した衛星時計補正パラメータを用いて、2回前に衛星時計補正パラメータを取得した時点の推定誤差δs(ts−2)’を求めるだけではなく、3回前、4回前の複数回の推定誤差δsも求め、この複数回のすべて、あるいは任意の数の差分誤差が閾値以下の場合に、所定の精度が得られる安定性を衛星時計が有しているか否かの判定を行うように構成しても良い。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
Claims (4)
- GNSSにおける測位装置に設けられ、GNSS衛星から衛星時計補正パラメータが正常に受信できなかった場合に、測位に用いる前記GNSS衛星と前記測位装置との観測距離を求める際に使用する前記GNSS衛星の衛星時計の安定性を判定する衛星時計精度判定装置であり、
過去の衛星時計補正パラメータが書き込まれて記憶されている衛星時計補正パラメータ記憶部と、
直前の第1衛星時計補正パラメータから、この第1衛星時計パラメータより前の第2衛星時計パラメータのエポック時刻における推定誤差時間を求め、また前記第2衛星時計補正パラメータを用いて誤差時間を求め、当該誤差時間と前記推定誤差時間との差分により、前記GNSS衛星の衛星時計の安定性を判定する衛星時計精度判定部と
を備えることを特徴とする衛星時計精度判定装置。 - 衛星時計精度判定部が、前記誤差時間と前記推定誤差時間との差分である差分誤差を求め、当該差分誤差が予め設定されている所定の閾値を超えた場合、前記衛星時計に測位に用いる安定性を有していないとし、当該衛星時計を搭載したGNSS衛星を測位の測定に用いないと判定することを特徴とする請求項1に記載の衛星時計精度判定装置。
- 請求項1または請求項2に記載の衛星時計精度判定装置を備える測位装置であり、
前記衛星時計精度判定装置が測定に用いないと判定したGNSS衛星を測位に用いない
ことを特徴とする測位装置。 - GNSSにおける測位装置に設けられ、GNSS衛星から衛星時計補正パラメータが正常に受信できなかった場合に、測位に用いる前記GNSS衛星と前記測位装置との観測距離を求める際に使用する前記GNSS衛星の衛星時計の安定性を判定する衛星時計精度判定方法であり、
衛星時計精度判定部が、直前の第1衛星時計補正パラメータから、この第1衛星時計パラメータより前の第2衛星時計パラメータのエポック時刻における推定誤差時間を求め、また前記第2衛星時計補正パラメータを用いて誤差時間を求め、当該誤差時間と前記推定誤差時間との差分により、前記GNSS衛星の衛星時計の安定性を判定する衛星時計精度判定程過程
を有することを特徴とする衛星時計精度判定方法。
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