JP2015021144A - 耐熱性部品及びその製造方法 - Google Patents

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智弘 丸子
智明 宮澤
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智明 宮澤
匠司 斉藤
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Abstract

【課題】 本発明の目的は、高温域で酸素が存在する雰囲気下で使用しても、高温装置を形成する金属の酸化劣化及び酸化揮発を抑制することができ、長寿命化が可能な耐熱性部品及びその製造方法を提供することである。
【解決手段】本発明に係る耐熱性部品は、1200℃以上の高温域で使用される耐熱性部品において、耐熱性部品は、ルツボ、容器、ガラス製造用炉で使用される攪拌部品又はガラス製造用炉の付帯冶具の形状を有する基体と、基体の表面のうち外気に触れる部分の全体又はその一部分に形成した酸素バリア膜とを有し、酸素バリア膜の厚さが20nm以上800nm以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性部品及びその製造方法に関する。
従来、液晶ディスプレイ用ガラス若しくは光学ガラスなどの高品質ガラス又は酸化物単結晶若しくはハロゲン化物単結晶などの各種単結晶の製造は、1200℃以上の高温域で行われている。これらの製造で使用される耐熱性部品、例えばルツボ、容器、ガラス製造用炉で使用される撹拌部品又はガラス製造用炉の付帯冶具は、通常、金属又は酸化物で形成されている。
ところが、耐熱性部品を酸化物で形成した場合には、酸化物は高温域で酸素が存在する雰囲気下で安定であるが、溶融ガラス若しくは溶融酸化物と酸化物との反応による不純物の混入、又は酸化物のカケ若しくは酸化物の粒の脱落による不純物の混入の問題があった。一方、耐熱性部品を金属で形成した場合には、高温域で酸素が存在する雰囲気下で金属が酸化し、酸化劣化及び酸化揮発によって強度が低下して製品寿命が短くなる問題があった。
白金族金属からなる高温装置の外表面に溶射によってコーティング層を形成する高温装置の外表面の揮発防止方法が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。特許文献1では、高温装置の金属とコーティング層の材料との熱膨張差によって、コーティング層にクラック又は隙間が生じることを防止するために、コーティング層に安定化ジルコニアと呼ばれる高温領域での相転移が抑制された材料を用いている。
特開2012−132071号公報
しかし、特許文献1ではコーティング層の厚さが50〜500μmと相当な厚さであるため、昇温・降温のサイクルで高温装置を形成する金属とコーティング層の安定化ジルコニアとの熱膨張率の違いから、コーティング層が剥離する、又はコーティング層に亀裂が発生するといった問題がある。一般的に金属表面のブラスト、洗浄又は薬品処理などの表面処理によって固着強度を向上させる技術が知られており、これらの技術を採用することで、コーティング膜の剥離の問題を解決できると考えられる。しかし、亀裂を改善する方法は開示されていない。亀裂によって酸素が高温装置の外表面に達することで、高温装置を形成する金属の酸化劣化及び酸化揮発が発生し、酸化バリア層としての効果が十分とはいえない。
本発明の目的は、高温域で酸素が存在する雰囲気下で使用しても、高温装置を形成する金属の酸化劣化及び酸化揮発を抑制することができ、長寿命化が可能な耐熱性部品及びその製造方法を提供することである。
本発明に係る耐熱性部品は、1200℃以上の高温域で使用される耐熱性部品において、該耐熱性部品は、ルツボ、容器、ガラス製造用炉で使用される攪拌部品又はガラス製造用炉の付帯冶具の形状を有する基体と、該基体の表面のうち外気に触れる部分の全体又はその一部分に形成した酸素バリア膜とを有し、該酸素バリア膜の厚さが20nm以上800nm以下であることを特徴とする。
本発明に係る耐熱性部品では、前記基体が、(1)Ir、Pt、Rh、Ru、Mo、Re、Nb、Ta及びWから選ばれる元素の一種を用いて形成されているか、(2)Ir、Pt、Rh、Ru、Mo、Re、Nb、Ta及びWから選ばれる元素の二種若しくは三種を含む合金を用いて形成されているか、又は、(3)Ir、Pt、Rh、Ru、Mo、Re、Nb、Ta及びWから選ばれる元素の一種若しくは二種と、Pd又はAuの少なくとも一種とを含む合金を用いて形成されていることが好ましい。目的とする製造物の純度及び品質に応じて、基体の材質を選定できる。
本発明に係る耐熱性部品では、前記酸素バリア膜は主成分として酸化物を含み、該酸化物の酸素と結合する元素が、Zr、Y、Hf、Mg、Ca、Al、Si、Ti及びThから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。基体を形成する金属の酸化劣化及び酸化揮発をより抑制することができる。
本発明に係る耐熱性部品の製造方法は、本発明に係る耐熱性部品の製造方法であって、前記基体の表面のうち外気に触れる部分の全体又はその一部分に、前記酸素バリア膜を形成するための塗布液を塗布し、塗布層を設ける塗布工程と、前記基体の塗布層を乾燥する乾燥工程と、前記基体の塗布層を焼成する焼成工程と、を有し、該塗布層の焼結体が前記酸素バリア膜であり、該酸素バリア膜の厚さが20nm以上800nm以下であることを特徴とする。
本発明に係る耐熱性部品の製造方法では、前記塗布液は、(1)前記酸素バリア膜の主成分となる酸化物のコロイド粒子を含有するコロイド溶液であるか、(2)前記酸素バリア膜の主成分となる酸化物の酸素と結合する元素の単体のコロイド粒子又は前記酸素バリア膜の主成分となる酸化物の酸素と結合する元素を含む合金のコロイド粒子を含有するコロイド溶液であるか、(3)前記酸素バリア膜の主成分となる酸化物の酸素と結合する元素を含む水酸化物、炭酸化合物、塩化物、オキシクロリド化合物及びオキシ硝酸化合物から選ばれる少なくとも一種のコロイド粒子を含有するコロイド溶液であるか、(4)前記酸素バリア膜の主成分となる酸化物の酸素と結合する元素を含む水酸化物、炭酸化合物、塩化物、オキシクロリド化合物及びオキシ硝酸化合物から選ばれる少なくとも一種を含有する水溶液であるか、(5)前記酸素バリア膜の主成分となる酸化物の酸素と結合する元素を含む水酸化物、炭酸化合物、塩化物、オキシクロリド化合物及びオキシ硝酸化合物から選ばれる少なくとも一種を含有するアルコール溶液であるか、又は(6)前記酸素バリア膜の主成分となる酸化物の酸素と結合する元素を含む水酸化物、炭酸化合物、塩化物、オキシクロリド化合物及びオキシ硝酸化合物から選ばれる少なくとも一種を含有するアンモニウム溶液であることが好ましい。酸素バリア膜をより効率的に形成することができる。
本発明は、高温域で酸素が存在する雰囲気下で使用しても、高温装置を形成する金属の酸化劣化及び酸化揮発を抑制することができ、長寿命化が可能な耐熱性部品及びその製造方法を提供することができる。
以降本発明について実施形態を示して詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本実施形態に係る耐熱性部品は、1200℃以上の高温域で使用される耐熱性部品において、耐熱性部品は、ルツボ、容器、ガラス製造用炉で使用される攪拌部品又はガラス製造用炉の付帯冶具の形状を有する基体と、基体の表面のうち外気に触れる部分の全体又はその一部分に形成した酸素バリア膜とを有し、酸素バリア膜の厚さが20nm以上800nm以下である。
本実施形態に係る耐熱性部品では、基体が、(1)Ir、Pt、Rh、Ru、Mo、Re、Nb、Ta及びWから選ばれる元素の一種を用いて形成されているか、(2)Ir、Pt、Rh、Ru、Mo、Re、Nb、Ta及びWから選ばれる元素の二種若しくは三種を含む合金を用いて形成されているか、又は、(3)Ir、Pt、Rh、Ru、Mo、Re、Nb、Ta及びWから選ばれる元素の一種若しくは二種と、Pd又はAuの少なくとも一種とを含む合金を用いて形成されていることが好ましい。目的とする製造物の純度及び品質に応じて、基体の材質を選定できる。本実施形態は、基体の形状及び用途に限定されない。
基体が、(1)Ir、Pt、Rh、Ru、Mo、Re、Nb、Ta及びWから選ばれる元素の一種を用いて形成されている形態は、純金属の他、各金属元素に酸化物又は窒化物を分散させた分散強化型合金であってもよい。酸化物は、例えば、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、酸化チタン又は酸化アルミニウムである。窒化物は、例えば、窒化ボロン、窒化シリコン、窒化ジルコニウム、窒化タンタル、窒化ニオブ、窒化ハフニウム又は窒化イットリウムである。セラミックスは、1種だけ使用するか又は2種以上を併用してもよい。
基体が、(2)Ir、Pt、Rh、Ru、Mo、Re、Nb、Ta及びWから選ばれる元素の二種若しくは三種を含む合金を用いて形成されている形態は、Irを主成分とする二元合金若しくは三元合金、Ptを主成分とする二元合金若しくは三元合金、Rhを主成分とする二元合金若しくは三元合金、Ruを主成分とする二元合金若しくは三元合金、Moを主成分とする二元合金若しくは三元合金、Reを主成分とする二元合金若しくは三元合金、Nbを主成分とする二元合金若しくは三元合金、Taを主成分とする二元合金若しくは三元合金、又はWを主成分とする二元合金若しくは三元合金である。本明細書において、Irを主成分とするとは、合金を構成する金属成分のうちIrの含有量が最も多いことをいい、より好ましくは合金中のIrの含有量が50質量%以上である。本明細書では、Irを主成分とする合金を「Ir−M(「「M」は先頭に記載の元素(この場合はIr)以外の金属を示す。)」と表記することもある。また、他の金属を主成分とする場合についても同様である。合金の好ましい具体例としては、Ir−Pt、Ir−Rh、Ir−Ru、Ir−Re、Ir−Mo、Ir−W、Pt−Ir、Pt−Rh、Pt−Ru、Pt−Re、Pt−Mo、Pt−W、Rh−Ir、Rh−Pt、Rh−Ru、Rh−Mo、Rh−Re、Rh−W、Mo−Re、Mo−W、Mo−Nb、Mo−Ta、W−Reである。また、各合金に酸化物又は窒化物を分散させた分散強化型合金であってもよい。
基体が、(3)Ir、Pt、Rh、Ru、Mo、Re、Nb、Ta及びWから選ばれる元素の一種若しくは二種(以降、金属種A群ということもある。)と、Pd又はAuの少なくとも一種(以降、金属種B群ということもある。)とを含む合金を用いて形成されている形態は、融点が例えば1400℃以上であれば、金属種A群を主成分とする合金であるか、又は金属種B群を主成分とする合金であってもよい。このうち、金属種A群を主成分とする合金であることがより好ましい。合金の好ましい具体例としては、Ir−Pd、Pt−Pd、Rh−Pd、Ru−Pd、Pt−Au、Rh−Au、Ir−Pt−Pd、Ir−Rh−Pd、Pt−Rh−Pd、Ir−Pt−Au、Ir−Rh−Auである。また、各合金に酸化物又は窒化物を分散させた分散強化型合金であってもよい。
基体の厚さは、特に限定されないが、0.1〜10mmであることが好ましく、0.3〜5mmであることがより好ましい。
本実施形態に係る耐熱性部品では、酸素バリア膜は主成分として酸化物を含み、酸化物の酸素と結合する元素が、Zr、Y、Hf、Mg、Ca、Al、Si、Ti及びThから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。基体を形成する金属の酸化劣化及び酸化揮発をより抑制することができる。
酸素バリア膜の酸化物は、酸素と結合する元素が一種である単一酸化物であるか、又は酸素と結合する元素が二種以上である複合酸化物であってもよい。複合酸化物は、固溶体を形成していてもよい。これらの酸化物は、耐熱性が高い。基体の外表面と外気との接触を効率的に抑制して、基体を形成する金属又は合金の酸化劣化及び酸化揮発をより抑制することができる。酸素バリア膜のより好ましい形態としては、酸化物がジルコニアである形態、酸化物がジルコニアと酸化スカンジウム、酸化イットリウム及び酸化イッテルビウムからなる群から選択される少なくとも一種の酸化物を安定化剤としてジルコニアに対して3〜12モル%含有する安定化ジルコニアである形態、酸化物が安定化ジルコニアにSiの酸化物、Alの酸化物、Geの酸化物、Snの酸化物、Tiの酸化物、Sbの酸化物、Taの酸化物、Nbの酸化物及びBiの酸化物からなる群から選択される少なくとも一種の酸化物を更に添加した形態である。
酸素バリア膜は、基体の表面のうち外気に触れる部分の全体又はその一部分を覆う。酸素バリア膜が基体の表面のうち一部分を覆う形態は、例えば、高温となりやすく酸化劣化及び酸化揮発が懸念される部分だけを覆う形態である。基体がルツボ又は容器である場合は、酸素バリア膜は、ルツボ又は容器の外表面の一部又は全部を覆うことが好ましい。また、酸素バリア膜は、ルツボ又は容器の外表面に加えて、ルツボ又は容器の内表面であって外気が触れる部分に設けてもよい。ルツボ又は容器の内表面であって外気が触れる部分は、例えば、ルツボ又は容器の内表面のうち目的とする製造物又はその原料に接しない部分、ルツボ又は容器の内表面のうち開口部の近傍である。
酸素バリア膜の厚さは、20nm以上800nm以下である。より好ましくは、25nm以上90nm以下である。20nm未満であると、酸素バリア性が不足する。800nmを超えると、酸素バリア膜の柔軟性が不足し、基体の材質と酸素バリア膜の材質との熱膨張差によって、酸素バリア膜の剥離又は亀裂が生じる。
酸素バリア膜は、高温域(1200℃以上)で高いガスバリア性を有するものを選択することが好ましい。酸素バリア膜のガスバリア性は、例えば熱重量測定(TG)で評価することができる。熱重量測定での評価方法の具体例としては、1200℃の酸素存在雰囲気下で3時間、酸素バリア膜で覆われた基体と覆われていない基体とをそれぞれ加熱処理し、残存重量を測定・比較することで評価を行う。
本実施形態に係る耐熱性部品の製造方法は、本実施形態に係る耐熱性部品の製造方法であって、基体の表面のうち外気に触れる部分の全体又はその一部分に、酸素バリア膜を形成するための塗布液を塗布し、塗布層を設ける塗布工程と、基体の塗布層を乾燥する乾燥工程と、基体の塗布層を焼成する焼成工程と、を有し、塗布層の焼結体が酸素バリア膜であり、酸素バリア膜の厚さが20nm以上800nm以下である。
塗布工程において、塗布液は、酸素バリア膜の構成成分が溶媒に溶解している形態、酸素バリア膜の構成成分が分散媒に分散している形態を含む。
塗布液は、(1)酸素バリア膜の主成分となる酸化物のコロイド粒子を含有するコロイド溶液であるか、(2)酸素バリア膜の主成分となる酸化物の酸素と結合する元素の単体のコロイド粒子又は酸素バリア膜の主成分となる酸化物の酸素と結合する元素を含む合金のコロイド粒子を含有するコロイド溶液であるか、(3)酸素バリア膜の主成分となる酸化物の酸素と結合する元素を含む水酸化物、炭酸化合物、塩化物、オキシクロリド化合物及びオキシ硝酸化合物から選ばれる少なくとも一種のコロイド粒子を含有するコロイド溶液であるか、(4)酸素バリア膜の主成分となる酸化物の酸素と結合する元素を含む水酸化物、炭酸化合物、塩化物、オキシクロリド化合物及びオキシ硝酸化合物から選ばれる少なくとも一種を含有する水溶液であるか、(5)酸素バリア膜の主成分となる酸化物の酸素と結合する元素を含む水酸化物、炭酸化合物、塩化物、オキシクロリド化合物及びオキシ硝酸化合物から選ばれる少なくとも一種を含有するアルコール溶液であるか、又は(6)酸素バリア膜の主成分となる酸化物の酸素と結合する元素を含む水酸化物、炭酸化合物、塩化物、オキシクロリド化合物及びオキシ硝酸化合物から選ばれる少なくとも一種を含有するアンモニウム溶液であることが好ましい。酸素バリア膜をより効率的に形成することができる。
塗布液が(1)酸素バリア膜の主成分となる酸化物のコロイド粒子を含有するコロイド溶液である形態は、酸化バリア膜の主成分となる酸化物の粒子が分散媒に分散している形態である。コロイド溶液中の粒子は、一種であるか、又は二種以上であってもよい。分散媒は、例えば、水である。
塗布液が(2)酸素バリア膜の主成分となる酸化物の酸素と結合する元素の単体のコロイド粒子又は酸素バリア膜の主成分となる酸化物の酸素と結合する元素を含む合金のコロイド粒子を含有するコロイド溶液である形態は、例えば、Zr、Y、Hf、Mg、Ca、Al、Si、Ti及びThのうち一種の元素からなる単体の粒子が分散媒に分散している形態、Zr、Y、Hf、Mg、Ca、Al、Si、Ti及びThのうち二種以上の元素からなる合金の粒子が分散媒に分散している形態である。コロイド溶液中の粒子は、一種であるか、又は二種以上であってもよい。分散媒は、例えば、水である。塗布液の好ましい具体例としては、金属ジルコニウムのコロイド溶液である。
塗布液が(3)酸素バリア膜の主成分となる酸化物の酸素と結合する元素を含む水酸化物、炭酸化合物、塩化物、オキシクロリド化合物及びオキシ硝酸化合物から選ばれる少なくとも一種のコロイド粒子を含有するコロイド溶液である形態は、例えば、Zr、Y、Hf、Mg、Ca、Al、Si、Ti及びThのうち一種又は二種以上の元素(以降、構成成分Zということもある。)の水酸化物の粒子が分散媒に分散している形態、構成成分Zの炭酸化合物の粒子が分散媒に分散している形態、構成成分Zの塩化物の粒子が分散媒に分散している形態、構成成分Zのオキシクロリド化合物の粒子が分散媒に分散している形態、構成成分Zのオキシ硝酸化合物の粒子が分散媒に分散している形態である。コロイド溶液中の粒子は、一種であるか、又は二種以上であってもよい。分散媒は、例えば、水である。塗布液の好ましい具体例としては、水酸化ジルコニウムのコロイド溶液である。
塗布液が(4)酸素バリア膜の主成分となる酸化物の酸素と結合する元素を含む水酸化物、炭酸化合物、塩化物、オキシクロリド化合物及びオキシ硝酸化合物から選ばれる少なくとも一種を含有する水溶液である形態は、構成成分Zの水酸化物、構成成分Zの炭酸化合物、構成成分Zの塩化物、構成成分Zのオキシクロリド化合物及び構成成分Zのオキシ硝酸化合物の一種又は二種以上が水に溶解している形態である。塗布液の好ましい具体例としては、塩化ジルコニウムの水溶液である。
塗布液が(5)酸素バリア膜の主成分となる酸化物の酸素と結合する元素を含む水酸化物、炭酸化合物、塩化物、オキシクロリド化合物及びオキシ硝酸化合物から選ばれる少なくとも一種を含有するアルコール溶液である形態は、構成成分Zの水酸化物、構成成分Zの炭酸化合物、構成成分Zの塩化物、構成成分Zのオキシクロリド化合物及び構成成分Zのオキシ硝酸化合物の一種又は二種以上がアルコールに溶解している形態である。アルコール溶液のアルコールは、例えば、エタノール、1‐プロパノール、2‐プロパノール、である。アルコール溶液は、アルコールと水との混合溶媒であってもよい。塗布液の好ましい具体例としては、塩化ジルコニウムのアルコール溶液である。
塗布液が(6)酸素バリア膜の主成分となる酸化物の酸素と結合する元素を含む水酸化物、炭酸化合物、塩化物、オキシクロリド化合物及びオキシ硝酸化合物から選ばれる少なくとも一種を含有するアンモニウム溶液である形態は、構成成分Zの水酸化物、構成成分Zの炭酸化合物、構成成分Zの塩化物、構成成分Zのオキシクロリド化合物及び構成成分Zのオキシ硝酸化合物の一種又は二種以上がアンモニア水溶液に溶解している形態である。塗布液の好ましい具体例としては、塩化ジルコニウムのアンモニウム溶液である。
塗布液は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、焼結助剤、界面活性剤、フラックスなどの各種添加材を含有していてもよい。塗布液の塗布方法は、特に限定されず、例えば、刷毛、ローラなどを用いて塗布する方法である。塗布量は、焼成後に得られる酸素バリア膜の厚さが20nm以上800nm以下となるように適宜調整する。
乾燥工程において、塗布層の乾燥方法は、特に限定されず、例えば、自然乾燥法、熱風乾燥法である。
焼成工程において、塗布層の焼成温度は、塗布層の成分によって異なり特に限定されないが、例えば塗布層の成分がZr系であるとき、600〜1500℃であることが好ましく、800〜1450℃であることがより好ましい。塗布層を焼成することで、酸素バリア膜が基体の表面に固着する。
本実施形態に係る耐熱性部品は、既存の基体に酸素バリア膜を後付けして形成することが好ましい。また、酸素バリア膜は、基体の製造工程又は製造工程の後工程で形成してもよい。

Claims (5)

  1. 1200℃以上の高温域で使用される耐熱性部品において、
    該耐熱性部品は、ルツボ、容器、ガラス製造用炉で使用される攪拌部品又はガラス製造用炉の付帯冶具の形状を有する基体と、該基体の表面のうち外気に触れる部分の全体又はその一部分に形成した酸素バリア膜とを有し、
    該酸素バリア膜の厚さが20nm以上800nm以下であることを特徴とする耐熱性部品。
  2. 前記基体が、(1)Ir、Pt、Rh、Ru、Mo、Re、Nb、Ta及びWから選ばれる元素の一種を用いて形成されているか、(2)Ir、Pt、Rh、Ru、Mo、Re、Nb、Ta及びWから選ばれる元素の二種若しくは三種を含む合金を用いて形成されているか、又は、(3)Ir、Pt、Rh、Ru、Mo、Re、Nb、Ta及びWから選ばれる元素の一種若しくは二種と、Pd又はAuの少なくとも一種とを含む合金を用いて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の耐熱性部品。
  3. 前記酸素バリア膜は主成分として酸化物を含み、該酸化物の酸素と結合する元素が、Zr、Y、Hf、Mg、Ca、Al、Si、Ti及びThから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐熱性部品。
  4. 請求項1〜3のいずれか一つに記載の耐熱性部品の製造方法であって、
    前記基体の表面のうち外気に触れる部分の全体又はその一部分に、前記酸素バリア膜を形成するための塗布液を塗布し、塗布層を設ける塗布工程と、
    前記基体の塗布層を乾燥する乾燥工程と、
    前記基体の塗布層を焼成する焼成工程と、を有し、
    該塗布層の焼結体が前記酸素バリア膜であり、該酸素バリア膜の厚さが20nm以上800nm以下であることを特徴とする耐熱性部品の製造方法。
  5. 前記塗布液は、(1)前記酸素バリア膜の主成分となる酸化物のコロイド粒子を含有するコロイド溶液であるか、(2)前記酸素バリア膜の主成分となる酸化物の酸素と結合する元素の単体のコロイド粒子又は前記酸素バリア膜の主成分となる酸化物の酸素と結合する元素を含む合金のコロイド粒子を含有するコロイド溶液であるか、(3)前記酸素バリア膜の主成分となる酸化物の酸素と結合する元素を含む水酸化物、炭酸化合物、塩化物、オキシクロリド化合物及びオキシ硝酸化合物から選ばれる少なくとも一種のコロイド粒子を含有するコロイド溶液であるか、(4)前記酸素バリア膜の主成分となる酸化物の酸素と結合する元素を含む水酸化物、炭酸化合物、塩化物、オキシクロリド化合物及びオキシ硝酸化合物から選ばれる少なくとも一種を含有する水溶液であるか、(5)前記酸素バリア膜の主成分となる酸化物の酸素と結合する元素を含む水酸化物、炭酸化合物、塩化物、オキシクロリド化合物及びオキシ硝酸化合物から選ばれる少なくとも一種を含有するアルコール溶液であるか、又は(6)前記酸素バリア膜の主成分となる酸化物の酸素と結合する元素を含む水酸化物、炭酸化合物、塩化物、オキシクロリド化合物及びオキシ硝酸化合物から選ばれる少なくとも一種を含有するアンモニウム溶液であることを特徴とする請求項4に記載の耐熱性部品の製造方法。
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