JP2015019633A - 酵素糖化用原料及びその製造方法、糖の製造方法、エタノールの製造方法、並びに乳酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期間貯蔵することができ、酵素糖化率に優れ、更には輸送コストを低減することができる酵素糖化用原料及びその製造方法、前記酵素糖化用原料を用いた糖の製造方法、並びに、前記糖を用いた、エタノールの製造方法及び乳酸の製造方法の提供。【解決手段】セルロースを含むバイオマス原料を加熱及び加圧する加熱加圧工程を含む酵素糖化用原料の製造方法、前記酵素糖化用原料の製造方法により得られた酵素糖化用原料を酵素糖化させ、糖を得る工程を含む糖の製造方法、前記糖の製造方法により得られた糖を発酵させ、エタノールを得る工程を含むエタノールの製造方法、前記糖の製造方法により得られた糖を発酵させ、乳酸を得る工程を含む乳酸の製造方法、セルロースを含むバイオマス原料から得られ、含水率が8質量%〜25質量%であり、酵素糖化率が25%以上である酵素糖化用原料である。【選択図】なし

Description

本発明は、バイオマス原料を利用した、酵素糖化用原料及びその製造方法、糖の製造方法、エタノールの製造方法、並びに乳酸の製造方法に関する。
近年、地球温暖化対策の一環として、木質バイオマスや草本バイオマス等のバイオマス原料からエタノールを製造し、各種燃料や化学原料として利用しようとする試みが広く行われている。バイオマス原料からのエタノールの製造は、例えば、収集したバイオマス原料を、糖化工程において糖に分解した後、発酵工程において酵母等の微生物を用いてエタノールに変換することにより行うことができる。
また、環境負荷低減の観点から、生分解性ポリマーの利用が増加しており、その原料のひとつとして乳酸が使用されている。この乳酸も、前記バイオマス原料を糖化し、更にこれを発酵することにより得ることができる。
前記糖化は、従来、濃硫酸を用いて行われることが多かったが、環境負荷低減の観点から、硫酸の使用量を少なくすることが望まれている。そこで、近年は、濃硫酸による糖化に代わる手段として、酵素を用いたバイオマス原料の糖化が広く研究されている。前記酵素による糖化は、環境に対する影響の観点から望ましい手段であるが、この酵素糖化のためには、酵素を作用させ易くする目的から、予めバイオマス原料に対して前処理を行うことが必要となる。
そのため、酵素糖化の前に行うバイオマス原料の前処理方法については、様々な研究がなされており、例えば、希硫酸、加圧熱水等による蒸煮処理などが提案されている(例えば、特許文献1から4参照)。しかしながら、十分に満足のいく実用的な技術が提供されているとはいえず、更なる開発が求められている。
一方、我が国において必要とされるバイオエタノールの最小量は、1.5万kL規模と想定されている。これは、例えば、稲わら(以下、「イナワラ」と称することもある)では、毎日50mプール一杯のロールベールが必要となる計算となるが、稲わらは、嵩密度が小さく、輸送コストが高くなるという問題がある。
また、稲わらをロールベールに成形し、屋外保管すると、腐敗してしまうという問題もある(図1参照)。そこで、腐敗防止のために、圃場で十分乾燥させて屋内に保管することが考えられる(図2参照)。しかしながら、貯蔵中の腐敗を防止するためには、収穫直後の含水率が60質量%程度である稲わらの含水率を15質量%以下程度にまで下げる必要があるところ、含水率を30質量%以下にまで下げることは非常に困難であるという問題がある。特に、稲刈り後の天候が悪い北海道や日本海側の水田のような場所では、稲わらをそもそも乾燥させることができないという問題がある。また、稲わらを乾燥させることができない地域では、腐敗を防ぐために稲わらをラッピングし、外気との接触を遮断した嫌気状態を保持した状態で屋外に保管する方法(図3参照)があるものの、ラッピングにかかるコストが高いという問題がある。
そのため、そもそもバイオエタノールの製造に必要なバイオマスを安定に調達すること自体が困難な状況である。
したがって、長期間貯蔵することができ、酵素糖化率に優れ、更には輸送コストを低減することができる酵素糖化用原料の開発が強く求められているのが現状である。
特開2006−075007号公報 特開2004−121055号公報 特表2002−541355号公報 特開2002−159954号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、長期間貯蔵することができ、酵素糖化率に優れ、更には輸送コストを低減することができる酵素糖化用原料及びその製造方法、前記酵素糖化用原料を用いた糖の製造方法、並びに、前記糖を用いた、エタノールの製造方法及び乳酸の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。即ち、収穫後のセルロースを含むバイオマス原料を加熱及び加圧することにより、従来であれば腐敗してしまっていたバイオマス原料を乾燥させなくても長期間貯蔵することができ、かつ、従来の酵素糖化の前に行うバイオマス原料の前処理方法を行わなくても優れた酵素糖化率を有し、更には嵩密度が大きく輸送コストを低減することができる酵素糖化用原料が得られることを知見し、本発明の完成に至った。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> セルロースを含むバイオマス原料を加熱及び加圧する加熱加圧工程を含むことを特徴とする酵素糖化用原料の製造方法である。
<2> 前記<1>に記載の酵素糖化用原料の製造方法により得られた酵素糖化用原料を酵素糖化させ、糖を得る工程を含むことを特徴とする糖の製造方法である。
<3> 前記<2>に記載の糖の製造方法により得られた糖を発酵させ、エタノールを得る工程を含むことを特徴とするエタノールの製造方法である。
<4> 前記<2>に記載の糖の製造方法により得られた糖を発酵させ、乳酸を得る工程を含むことを特徴とする乳酸の製造方法である。
<5> セルロースを含むバイオマス原料から得られ、含水率が8質量%〜25質量%であり、酵素糖化率が25%以上であることを特徴とする酵素糖化用原料である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、長期間貯蔵することができ、酵素糖化率に優れ、更には輸送コストを低減することができる酵素糖化用原料及びその製造方法、前記酵素糖化用原料を用いた糖の製造方法、並びに、前記糖を用いた、エタノールの製造方法及び乳酸の製造方法を提供することができる。
図1は、ロールベールに成形した稲わらを屋外で保管した場合に、腐敗し、原形が崩れている様子を示す図である。 図2は、ロールベールに成形した稲わらを屋内で保管した様子を示す図である。 図3は、稲わらをラッピングし、屋外で保管した様子を示す図である。
(酵素糖化用原料の製造方法)
本発明の酵素糖化用原料の製造方法は、加熱加圧工程を少なくとも含み、必要に応じて、更にその他の工程を含む。
<加熱加圧工程>
前記加熱加圧工程は、セルロースを含むバイオマス原料を加熱及び加圧する工程である。
前記加熱及び加圧の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱プレスにより行う方法、植繊機により行う方法が好適に挙げられる。
前記加熱加圧工程は、アルカリ処理及びせん断処理の少なくともいずれかを更に含んでもよい。
<<セルロースを含むバイオマス原料>>
前記セルロースを含むバイオマス原料としては、セルロースを含む限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エネルギー等を得る目的で意図的に栽培して得られる「資源作物系バイオマス」、農業や林業等の生産活動に伴う残渣として得られる「廃棄物系バイオマス」などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記「資源作物系バイオマス」としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サトウキビ、トウモロコシ等の食物としても栽培される糖質乃至デンプン系作物;セルロース類の利用を目的として栽培される、ユーカリ、ポプラ、アカシア、ヤナギ、コナラ、ブナ、キリ、カエデ、クワ、クス、シイノキ、ナラ、カツラ、カバ、スギ、ヒノキ、マツ、ツガ、モミ、ヒバ等の木質バイオマス;スイッチグラス、ネピアグラス、エリアンサス、ミスカンサス、ススキ、サトウキビバガス、ソルガムバガス、イナワラ、ムギワラ、オオムギ、ジョンソングラス、コーンストーバー等の草本バイオマスなどが挙げられる。これらの中でも、草本バイオマスが好ましく、イナワラが、未利用資源セルロース系バイオマスの中で、日本で最も未利用量が多い点でより好ましい。
前記「廃棄物系バイオマス」としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チップ廃材等の産業廃棄物;農林・畜産業の過程で排出される廃棄物などが挙げられる。
−含水率−
前記セルロースを含むバイオマス原料の含水率(以下、「水分量」と称することもある)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25質量%〜65質量%が好ましく、35質量%〜65質量%がより好ましい。前記セルロースを含むバイオマス原料の含水率が25質量%未満であると、該バイオマス原料の乾燥に要する作業が多くなることがあり、65質量%を超えると、収穫時のバイオマス原料の含水率を超えることとなり、水を添加しなければならなくなることがある。一方、前記セルロースを含むバイオマス原料の含水率が前記好ましい範囲内であると、収穫時の前記セルロースを含むバイオマス原料に含まれる水分を利用しつつ、従来の酵素糖化の前に行うバイオマス原料の前処理方法を行わなくても優れた酵素糖化率が得られる点で、有利である。
<<加熱プレス>>
前記加熱プレスの方法としては、特に制限はなく、公知の手段を適宜選択して用いることができる。前記加熱加圧工程を加熱プレスにより行うことで、成型された酵素糖化用原料を得ることができる。
前記加熱プレスの手段としては、例えば、手動油圧加熱プレス機(IMC−1A3F、株式会社井本製作所製)などが挙げられる。
前記加熱プレスにより、嵩密度が、1.2g/cm〜1.4g/cm程度と原料よりも大きい酵素糖化用原料を得ることができる。
<<植繊機>>
前記植繊機による方法では、加圧及び加熱に加えて、更にせん断処理も行われる。
前記植繊機としては、公知の装置を適宜選択することができ、例えば、可搬型植繊機(SM−05−1.5型、神鋼造機株式会社製)などが挙げられる。
前記植繊機の設定としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トップカバーの標準穴径を直径7mmとし、シャーナイフの内径を60mmとし、クリアランスを0.2mm〜0.3mmとし、試料通過部の長さを130mmとし、出口温度を80℃とする、などが挙げられる。
前記植繊機により、嵩密度が、0.5g/cm〜0.6g/cm程度と原料よりも大きい酵素糖化用原料を得ることができる。
−時間−
前記加熱プレスによる加熱及び加圧の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10分間〜30分間が好ましく、14分間〜26分間がより好ましく、18分間〜22分間が特に好ましい。前記加熱及び加圧の時間が10分間未満であると、加熱及び加圧が不十分であり糖化性が十分向上しないことがあり、30分間を超えると、原料に含まれている水が蒸発し投入エネルギーが増加することがある。一方、前記加熱及び加圧の時間が前記好ましい範囲内であると、少ない投入エネルギーで糖化性を向上させることができる点で、有利である。
−圧力−
前記加熱プレスによる加圧の圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、4MPa〜28MPaが好ましく、6MPa〜26MPaがより好ましく、12MPa〜20MPaが特に好ましい。前記加圧の圧力が4MPa未満であると、酵素糖化率が低下することがあり、28MPaを超えると、高強度の素材が必要となり装置コストが上昇することがある。一方、前記加圧の圧力が前記好ましい範囲内であると、酵素糖化率に優れる点で、有利である。
−温度−
前記加熱の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
例えば、前記加熱プレスにより加熱及び加圧を行う場合には、75℃〜195℃が好ましく、150℃〜190℃がより好ましく、175℃〜185℃が特に好ましい。前記加熱の温度が75℃未満又は195℃を超えると、酵素糖化率が低下することがある。一方、前記加熱の温度が前記好ましい範囲内であると、酵素糖化率に優れる点で、有利である。
また、前記植繊機を用いる方法の場合には、55℃〜95℃が好ましく、65℃〜90℃がより好ましく、75℃〜85℃が特に好ましい。前記加熱の温度が55℃未満であると、加熱が不十分であり糖化性が十分向上しないことがあり、95℃を超えると、原料水分が蒸発し投入エネルギーが増加することがある。一方、前記加熱の温度が前記好ましい範囲内であると、少ない投入エネルギーで糖化性を向上させることができる点で、有利である。
−アルカリ処理−
前記アルカリ処理は、セルロースを含むバイオマス原料と、アルカリとを混合し、反応させる処理である。
前記アルカリとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水酸化カルシウムは、農地の土壌改良剤としても利用される安価な薬品である点が好ましい。
前記アルカリの添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記セルロースを含むバイオマス原料の乾物質量に対して、4質量%〜14質量%が好ましく、6質量%〜14質量%がより好ましく、8質量%〜12質量%が特に好ましい。前記アルカリの添加量が4質量%未満であると、長期の保存性が低下することがあり、14質量%を超えると、薬品コストが上昇することがある。一方、前記アルカリの添加量が前記好ましい範囲内であると、酵素糖化率及び長期保存性に優れる点で、有利である。
−せん断処理−
前記せん断処理の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記植繊機により行うことが、加熱、加圧、及びせん断をまとめて行うことができる点で、好ましい。
−回数−
前記加熱加圧工程の回数としては、特に制限はなく、1回であってもよいし、複数回であってもよい。
前記植繊機を用いる方法の場合には、試料通過部の長さに応じて適宜選択することができるが、例えば、試料通過部の長さが130mmの場合には、複数回行うことが好ましく、3回以上行うことがより好ましく、4回〜6回行うことが特に好ましい。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、粗粉砕工程、微粉砕工程を含むことが好ましい。
<<粗粉砕工程>>
前記粗粉砕工程(以下、「バイオマス原料粗粉砕工程」と称することがある)は、前記加熱加圧工程の前に前記セルロースを含むバイオマス原料を粗粉砕する工程である。
前記粗粉砕の程度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記バイオマス原料を3mm以下に粉砕することが好ましい。
前記粗粉砕の方法としては、特に制限はなく、公知の手段を適宜選択して用いることができ、例えば、ウィレーミル、カッターミル、ハンマーミル、ピンミルなどが挙げられる。
<<微粉砕工程>>
前記微粉砕工程(以下、「バイオマス原料微粉砕工程」と称することがある)は、前記加熱加圧工程の前に前記セルロースを含むバイオマス原料を微粉砕する工程である。
前記微粉砕の程度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記バイオマス原料を0.5mm以下に粉砕することが好ましい。
前記微粉砕の方法としては、特に制限はなく、公知の手段を適宜選択して用いることができ、例えば、超遠心粉砕機(ZM 200、Retsch社製)を用いる方法などが挙げられる。
本発明の酵素糖化用原料の製造方法の好ましい態様としては、例えば、(1)前記微粉砕工程と、前記加熱加圧工程とを含み、前記加熱加圧工程を加熱プレスにより行う態様、(2)前記加熱加圧工程が前記アルカリ処理及び前記せん断処理を含み、前記加熱加圧工程を植繊機により行う態様が挙げられる。
(酵素糖化用原料)
本発明の酵素糖化用原料は、セルロースを含むバイオマス原料から得られ、含水率が8質量%〜25質量%であり、酵素糖化率が25%以上である。
前記酵素糖化用原料は、本発明の酵素糖化用原料の製造方法により得られることが好ましく、前記加熱加圧工程が加熱プレスにより行われ、成型されたものであることがより好ましい。
<含水率>
前記酵素糖化用原料の含水率としては、8質量%〜25質量%であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10質量%〜23質量%が好ましく、14質量%〜21質量%がより好ましく、17質量%〜19質量%が特に好ましい。前記酵素糖化用原料の含水率が8質量%未満であると、乾燥工程が必要であり、25質量%を超えると、加水しなければならないことがある。一方、前記酵素糖化用原料の含水率が前記好ましい範囲内であると、原料に含まれる水分を利用できる点で、有利である。
前記酵素糖化用原料の含水率は、以下のようにして測定することができる。
まず、ミルサー(岩谷産業株式会社製、800DG)で前記酵素糖化用原料を30秒間粉砕し、次いで、水分計(研精工業株式会社製、AND−MX−50)で含水率を測定することができる。
<酵素糖化率>
前記酵素糖化用原料の酵素糖化率としては、25%以上であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、35%以上が好ましく、55%以上がより好ましく、70%以上が更に好ましく、85%以上が特に好ましい。
前記酵素糖化用原料の酵素糖化率は、以下のようにして測定することができる。
セルロース100mg相当の前記酵素糖化用原料に、水 8.3mLと、酢酸緩衝液(0.5M、pH5.0) 1mLとを添加した後、セルラーゼ(例えば、Celluclast 1.5L(シグマ−アルドリッチ社製)) 20mg蛋白/g−セルロース、βグルコシダーゼ(例えば、Novozyme188(シグマ−アルドリッチ社製)) 20mg蛋白/g−セルロース、へミセルラーゼ(例えば、Optimash BG(ジェネンコア社製)) 20μL/g−セルロース、抗生物質(シクロヘキシミド(例えば、和光純薬工業株式会社製)80μg/mL、テトラサイクリン(例えば、和光純薬工業株式会社製)60μg/mL)を加え、37℃で72時間反応させる。
前記反応後の糖化液のグルコース濃度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定し、セルロースの糖化率を算出する。なお、HPLCの条件、糖化率の算出式は、以下の通りである。
[HPLCの測定条件]
・ 装置 : Shimadzu(株式会社島津製作所製)
・ カラム : SUGAR SP0810(Shodex、昭和電工株式会社製)
・ 溶出液 : 水
・ 流量 : 1mL/min
・ 検出 : RID−10A(Shimadzu、株式会社島津製作所製)
[糖化率の算出式]
糖化率(%)={(酵素糖化で得られたグルコース量)/(原料中のセルロースから得られるグルコースの理論量)}×100
なお、「原料中のセルロースから得られるグルコースの理論量」は、以下のようにして測定し、下記式から算出することができる。
試料30mgに72%硫酸0.3mLを添加し、30℃の恒温振盪水槽で加温する。その後、水8.4mLを添加し、オートクレーブにて121℃、1時間反応させる。次いで、グルコーステストCII(和光純薬工業株式会社製)を用いて処理後の反応液中のグルコース濃度C(mg/mL)を測定する。
同時に1%グルコース溶液1.0mLに72%硫酸0.3mLを添加し、30℃の高温振盪水槽で加温した後、水7.4mL添加し、オートクレーブにて121℃、1時間反応させる。グルコーステストCIIを用いて反応後のグルコース溶液のグルコース濃度C(mg/mL)、1%グルコース溶液1.0mLに水7.7mLを添加した溶液のグルコース濃度C(mg/mL)を測定する。
原料中のセルロースから得られるグルコースの理論量=0.29×C×(C/C
前記酵素糖化用原料の形状、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
(糖の製造方法)
本発明の糖の製造方法は、本発明の前記酵素糖化用原料の製造方法により得られた酵素糖化用原料を酵素糖化させ、糖を得る工程(以下、「酵素糖化工程」と称することがある)を少なくとも含み、必要に応じて、更にその他の工程を含む。
<酵素糖化工程>
前記酵素糖化工程は、前記酵素糖化用原料を酵素糖化させて、糖を得る工程である。
前記酵素糖化用原料を酵素糖化させる方法としては、酵素を用いる限り特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。
前記酵素糖化に使用する酵素としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、セルラーゼ、βグルコシダーゼ(以下、「セロビアーゼ」と称することがある)、ヘミセルラーゼなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記酵素は、市販品を用いることができ、例えば、前記セルラーゼは「Celluclast 1.5L(シグマ−アルドリッチ社製)」、前記βグルコシダーゼは「Novozyme188(シグマ−アルドリッチ社製)」、前記へミセルラーゼは「Optimash BG(ジェネンコア社製)」などが挙げられる。
前記酵素糖化工程における前記酵素の使用量(以下、「添加量」と称することがある)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
例えば、前記酵素として、セルラーゼ、βグルコシダーゼ、及びヘミセルラーゼを併用する場合は、セルロース100mg相当の前記酵素糖化用原料に対して、前記セルラーゼを5mg蛋白/g−セルロース〜25mg蛋白/g−セルロース、前記βグルコシダーゼを5mg蛋白/g−セルロース〜25mg蛋白/g−セルロース、前記ヘミセルラーゼを5μL/g−セルロース〜25μL/g−セルロースとすることができる。
前記酵素糖化工程の温度としては、特に制限はなく、使用する酵素の至適温度に応じて適宜選択することができるが、10℃〜70℃が好ましく、20℃〜60℃がより好ましい。前記温度が、10℃未満であると、酵素糖化が十分に進行しないことがあり、70℃を超えると、酵素が失活することがある。一方、前記温度が、前記特に好ましい範囲内であると、酵素添加量に対して得られる糖の量が多い点で、有利である。
前記酵素糖化工程のpHとしては、特に制限はなく、使用する酵素の至適pHに応じて適宜選択することができるが、3.0〜8.0が好ましく、3.5〜7.0がより好ましく、4.0〜6.0が特に好ましい。前記pHが、3.0未満又は8.0を超えると、酵素が失活することがある。一方、前記pHが、前記特に好ましい範囲内であると、酵素添加量に対して得られる糖の量が多い点で有利である。
前記酵素糖化工程の時間としては、特に制限はなく、得られる糖の量に応じて適宜選択することができ、例えば、1日間〜5日間とすることができる。
前記酵素糖化工程により、セルロースからはグルコースが得られ、ヘミセルロースからはキシロース、アラビノース等の五炭糖や、グルコース、ガラクトース、マンノース等の六炭糖などが得られる。
前記酵素糖化工程では、前記酵素以外のその他の成分を含んでいてもよい。
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、抗生物質などが挙げられる。
前記抗生物質としては、特に制限はなく、公知の抗生物質を適宜選択することができ、例えば、シクロヘキシミド、テトラサイクリンなどが挙げられる。前記抗生物質の添加量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記酵素糖化工程で得られた糖液は、例えば、そのまま後述する本発明のエタノールの製造方法や本発明の乳酸の製造方法に供してもよいし、後述する酵素糖化後pH調整工程などを経て、後述する本発明のエタノールの製造方法や本発明の乳酸の製造方法に供してもよい。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粗粉砕工程、酵素糖化前pH調整工程、酵素糖化後pH調整工程などが挙げられる。
<<粗粉砕工程>>
前記粗粉砕工程(以下、「酵素糖化用原料粗粉砕工程」と称することがある)は、前記酵素糖化工程の前に前記酵素糖化用原料を粗粉砕する工程であり、前記酵素糖化用原料の製造方法において、加熱加圧工程を加熱プレスにより行った場合には、行うことが好ましい。
前記粗粉砕の程度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記酵素糖化用原料を3mm以下に粉砕することが好ましい。
前記粗粉砕の方法としては、特に制限はなく、公知の手段を適宜選択して用いることができ、例えば、ウィレーミル、カッターミル、ハンマーミル、ピンミルなどが挙げられる。
<<酵素糖化前pH調整工程>>
前記酵素糖化前pH調整工程は、前記酵素糖化工程の前に行われ、前記酵素糖化用原料を含む溶液のpHを調整する工程であり、前記酵素糖化用原料の製造方法において、アルカリ処理を行った場合には、行うことが好ましい。
前記調整するpHとしては、前記酵素糖化工程で用いる酵素に応じて適宜選択することができ、例えば、5.0〜5.5に調整することが挙げられる。
前記pHの調整に用いるpH調整剤としては、特に制限はなく、公知のpH調整剤を適宜選択して用いることができ、例えば、硫酸が挙げられる。
<<酵素糖化後pH調整工程>>
前記酵素糖化後pH調整工程は、前記酵素糖化工程の後に行われ、前記糖液を、後述する各発酵工程に適切となるようなpHに調整する工程である。
前記pHの調整に用いるpH調整剤としては、特に制限はなく、公知のpH調整剤に用いられる酸又はアルカリなどの中から、適宜選択して用いることができる。
(エタノールの製造方法)
本発明のエタノールの製造方法は、本発明の前記糖の製造方法により得られた糖を発酵させ、エタノールを得る工程(以下、「アルコール発酵工程」と称することがある)を少なくとも含み、必要に応じて、更にその他の工程を含む。
<アルコール発酵工程>
前記アルコール発酵工程は、前記糖を発酵させて、エタノールを得る工程である。
前記糖を発酵させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記糖を含む糖液に酵母等のアルコール発酵微生物を添加して、アルコール発酵を行わせる方法などが挙げられる。
前記酵母としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サッカロマイセス属酵母などが挙げられる。なお、前記酵母は、天然酵母であってもよいし、遺伝子組み換え酵母であってもよい。
前記アルコール発酵微生物の具体的な例としては、サッカロマイセス・セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、クルイベロマイセス・フラジリス(Kluyveromyces fragilis)、クルイベロマイセス・ラクティス(K.lactis)、クルイベロマイセス・マルキシアヌス(K.marxianus)、ピキア・スティピティス(Pichia stipitis)、ピキア・パストリス(P.pastoris)、パチソレン・タンノフィルス(Pachysolen tannophilus)、カンジダ・グラビラータ(Candida Glabrata)等の酵母又はこれらの遺伝子組換え体、ザイモモナズ・モビリス(Zymomonas mobilis)、サイモバクター・パルメ(Zymobacter palmae)、クロストリジウム・サーモセラム(Clostridium thermocellum)、クロストリジウム・ルジュングダーリ(C.ljungdahlii)等の細菌又はこれらの遺伝子組換え体などが挙げられる。
前記アルコール発酵における前記アルコール発酵微生物の使用量、発酵温度、pH、発酵時間等の条件については、特に制限はなく、例えば、アルコール発酵に供する糖液の量、使用するアルコール発酵微生物の種類等に応じて、適宜選択することができる。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記アルコール発酵工程により得られたエタノールを分離精製する工程などが挙げられる。前記分離精製の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蒸留などが挙げられる。
前記エタノールの製造方法により得られたエタノールは、例えば、燃料用エタノール、工業用エタノールなどとして好適に利用可能である。前記エタノールはバイオマス原料から得ることができるので、前記バイオマス原料となる植物を生産できる限りは再生産が可能であり、また、前記植物は栽培時に大気中の二酸化炭素を吸収するため、前記エタノールを燃焼させて二酸化炭素が発生したとしても、大気中の二酸化炭素濃度を増加させることにはならない。したがって、前記エタノールは、地球温暖化防止に望ましいエネルギー源ということができる。また、このようなエタノールは、近年特に、ガソリンに混合し、環境に優しい自動車燃料として使用することが期待されている。
また、本発明の糖の製造方法により得られる糖を、前記エタノールを産生する酵母等に代えて、それぞれ目的とするアルコール類を産生する微生物を使用して発酵せしめることにより、エタノール以外のアルコール類を製造することもできる。例えば、アセトン・ブタノール菌を使用した発酵を行うことにより、ブタノールを製造することができる。
(乳酸の製造方法)
本発明の乳酸の製造方法は、本発明の前記糖の製造方法により得られた糖を発酵させ、乳酸を得る工程(以下、「乳酸発酵工程」と称することがある)を少なくとも含み、必要に応じて、更にその他の工程を含む。
<乳酸発酵工程>
前記乳酸発酵工程は、前記糖を発酵させて、乳酸を得る工程である。
前記糖を発酵させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記糖を含む糖液に乳酸菌等の乳酸発酵微生物を添加して、乳酸発酵を行わせる方法などが挙げられる。
前記乳酸菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラクトバチルス・マニホティヴォランス(Lactobacillus manihotivorans)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)などが挙げられる。なお、前記乳酸菌は、天然の乳酸菌であってもよいし、遺伝子組み換え乳酸菌であってもよい。
前記乳酸発酵における前記乳酸菌の使用量、発酵温度、pH、発酵時間等の条件については、特に制限はなく、例えば、乳酸発酵に供する糖液の量、使用する乳酸菌の種類等に応じて、適宜選択することができる。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記乳酸発酵工程により得られた乳酸を分離精製する工程などが挙げられる。前記分離精製の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記乳酸の製造方法により得られた乳酸は、例えば、化学的に重合させて、ポリ乳酸を製造することに好適に利用可能である。現在は、トウモロコシ等のデンプンから製造されることが多い乳酸を、食料には供し得ないバイオマス原料から生産可能になることが望ましく、前記乳酸の製造方法によれば、このようなバイオマス原料からの効率的なポリ乳酸の製造を可能とすることができる。
また、本発明の糖の製造方法により得られる糖を、前記乳酸菌に代えて、それぞれ目的とする有機酸を産生する微生物を使用して発酵せしめることにより、乳酸以外の有機酸、例えば、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、シュウ酸等を製造することもできる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1−1)
3mm以下に粗粉砕した乾燥稲わらに水を添加し、水分量を60質量%に調整した。前記調整後、超遠心粉砕機(ZM 200、Retsch社製)にて稲わらを0.5mm以下に微粉砕した。なお、前記稲わらの含水率は、水分計(研精工業株式会社製、AND−MX−50)で測定した。
微粉砕した前記稲わら約50gをプレス用金型(IMC−017C、株式会社井本製作所製)に詰め、手動油圧加熱プレス機(IMC−1A3F、株式会社井本製作所製)にて、温度180℃、圧力16MPaで20分間、加熱及び加圧を行い、酵素糖化用原料1−1を得た。
<含水率の測定>
前記酵素糖化用原料1−1の含水率を以下のようにして測定した結果、17.8質量%であった。
前記含水率は、まず、ミルサー(岩谷産業株式会社製、800DG)で前記酵素糖化用原料を30秒間粉砕し、次いで、水分計(研精工業株式会社製、AND−MX−50)で含水率を測定した。
<酵素糖化率の測定>
セルロース100mg相当の前記酵素糖化用原料1−1に、水 8.3mLと、酢酸緩衝液(0.5M、pH5.0) 1mLとを添加した後、セルラーゼ(Celluclast 1.5L、シグマ−アルドリッチ社製) 20mg蛋白/g−セルロース、βグルコシダーゼ(Novozyme188、シグマ−アルドリッチ社製) 20mg蛋白/g−セルロース、へミセルラーゼ(Optimash BG、ジェネンコア社製) 20μL/g−セルロース、抗生物質(シクロヘキシミド(和光純薬工業株式会社製)80μg/mL、テトラサイクリン(和光純薬工業株式会社製)60μg/mL)を加え、37℃で72時間反応させた。
反応後の糖化液のグルコース濃度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定し、セルロースの糖化率を以下の式から算出したところ、92%であった。なお、HPLCの条件は、以下の通りである。
・ 装置 : Shimadzu(株式会社島津製作所製)
・ カラム : SUGAR SP0810(Shodex、昭和電工株式会社製)
・ 溶出液 : 水
・ 流量 : 1mL/min
・ 検出 : RID−10A(Shimadzu、株式会社島津製作所製)
[糖化率の算出式]
糖化率(%)={(酵素糖化で得られたグルコース量)/(原料中のセルロースから得られるグルコースの理論量)}×100
「原料中のセルロースから得られるグルコースの理論量」は、以下のようにして求めた。
試料30mgに72%硫酸0.3mLを添加し、30℃の恒温振盪水槽で加温した。その後、水8.4mLを添加し、オートクレーブにて121℃、1時間反応させた。次いで、グルコーステストCII(和光純薬工業株式会社製)を用いて処理後の反応液中のグルコース濃度C(mg/mL)を測定した。
同時に1%グルコース溶液1.0mLに72%硫酸0.3mLを添加し、30℃の高温振盪水槽で加温した後、水7.4mL添加し、オートクレーブにて121℃、1時間反応させた。グルコーステストCIIを用いて反応後のグルコース溶液のグルコース濃度C(mg/mL)、1%グルコース溶液1.0mLに水7.7mLを添加した溶液のグルコース濃度C(mg/mL)を測定した。
原料中のセルロースから得られるグルコースの理論量=0.29×C×(C/C
(実施例1−2)
3mm以下に粗粉砕した乾燥稲わらに水を添加し、水分量を30質量%に調整した。
前記稲わら約50gをプレス用金型(IMC−017C、株式会社井本製作所製)に詰め、手動油圧加熱プレス機(IMC−1A3F、株式会社井本製作所製)にて、温度180℃、圧力16MPaで15分間、加熱及び加圧を行い、酵素糖化用原料1−2を得た。
前記酵素糖化用原料1−2の含水率及び酵素糖化率を実施例1−1と同様にして測定した結果、含水率は18.3質量%であり、セルロースの糖化率は73%であった。
(実施例1−3)
実施例1−2において、加熱の温度を180℃としていた点を160℃に変えた以外は、実施例1−2と同様にして酵素糖化用原料1−3を得た。
前記酵素糖化用原料1−3の含水率及び酵素糖化率を実施例1−1と同様にして測定した結果、含水率は15.0質量%であり、セルロースの糖化率は39%であった。
(実施例1−4)
実施例1−2において、加圧の圧力を16MPaとしていた点を4MPaに変えた以外は、実施例1−2と同様にして酵素糖化用原料1−4を得た。
前記酵素糖化用原料1−4の含水率及び酵素糖化率を実施例1−1と同様にして測定した結果、含水率は15.8質量%であり、セルロースの糖化率は58%であった。
(実施例1−5)
実施例1−2において、加圧の圧力を16MPaとしていた点を8MPaに変えた以外は、実施例1−2と同様にして酵素糖化用原料1−5を得た。
前記酵素糖化用原料1−5の含水率及び酵素糖化率を実施例1−1と同様にして測定した結果、含水率は10.7質量%であり、セルロースの糖化率は61%であった。
(比較例1−1)
実施例1−2において、加熱を行わず20℃で処理した以外は、実施例1−2と同様にして酵素糖化用原料1−6を得た。
前記酵素糖化用原料1−6の含水率及び酵素糖化率を実施例1−1と同様にして測定した結果、含水率は27.8質量%であり、セルロースの糖化率は23%であった。
(比較例1−2)
実施例1−2において、加圧を行わなかった以外は、実施例1−2と同様にして酵素糖化用原料1−7を得た。
前記酵素糖化用原料1−7の含水率及び酵素糖化率を実施例1−1と同様にして測定した結果、含水率は6.7質量%であり、セルロースの糖化率は21%であった。
実施例1−1から1−5、及び比較例1−1から1−2をまとめたものを表1に示す。
表1の結果から、実施例1−1から1−5で製造された酵素糖化用原料は、比較例1−1及び1−2よりも酵素糖化率が優れていることが確認された。中でも、実施例1−1で製造された酵素糖化用原料1−1は、酵素糖化率が非常に高いものであった。
また、実施例1−1から1−5で得られた酵素糖化用原料は、長期の貯蔵が可能なものであり、更に、嵩密度が、1.2g/cm〜1.4g/cm程度と原料に比べて大きく、輸送コストの点でも優れていると考えられる。
(実施例2−1)
乾燥稲わらに水を添加し、水分量を50質量%に調整した。
前記稲わらに、稲わらの乾物質量の10質量%の水酸化カルシウムを添加し、よく混合した。
前記混合した稲わらを、可搬型植繊機(SM−05−1.5型、神鋼造機株式会社製)にて5回処理を行い、酵素糖化用原料2−1を得た。なお、可搬型植繊機の設定は、以下の通りである。
[可搬型植繊機の設定]
トップカバーの標準穴径 ・・・ 直径7mm
シャーナイフの内径 ・・・ 60mm
クリアランス ・・・ 0.2mm〜0.3mm
試料通過部の長さ ・・・ 130mm
出口温度 ・・・ 80℃
<酵素糖化率の測定>
セルロース100mg相当の前記酵素糖化用原料2−1に、水 8.6mLと、酢酸緩衝液(0.5M、pH4.5) 1mLとを添加した後、10質量%硫酸でpHを5.0〜5.5に調整し、次いで、セルラーゼ(Celluclast 1.5L、シグマ−アルドリッチ社製) 10mg蛋白/g−セルロース、βグルコシダーゼ(Novozyme188、シグマ−アルドリッチ社製) 10mg蛋白/g−セルロース、へミセルラーゼ(Optimash BG、ジェネンコア社製) 10μL/g−セルロース、抗生物質を加え、37度で72時間反応させた。
反応後の糖化液のグルコース濃度は、実施例1−1と同様にしてHPLCで測定し、セルロースの糖化率も実施例1−1と同様にして算出したところ、79%であった。
(実施例2−2)
実施例2−1において、水酸化カルシウムの添加量を稲わらの乾物質量の10質量%としていた点を稲わらの乾物質量の5質量%に変えた以外は、実施例2−1と同様にして酵素糖化用原料2−2を得た。
前記酵素糖化用原料2−2の酵素糖化率を実施例2−1と同様にして測定した結果、セルロースの糖化率は55%であった。
(実施例2−3)
実施例2−1において、可搬型植繊機による処理を5回行っていた点を1回に変えた以外は、実施例2−1と同様にして酵素糖化用原料2−3を得た。
前記酵素糖化用原料2−3の酵素糖化率を実施例2−1と同様にして測定した結果、セルロースの糖化率は62%であった。
(実施例2−4)
実施例2−2において、可搬型植繊機による処理を5回行っていた点を1回に変えた以外は、実施例2−2と同様にして酵素糖化用原料2−4を得た。
前記酵素糖化用原料2−4の酵素糖化率を実施例2−1と同様にして測定した結果、セルロースの糖化率は50%であった。
(実施例2−5)
実施例2−1において、水酸化カルシウムの添加を行わず、可搬型植繊機による処理を5回行っていた点を1回に変えた以外は、実施例2−1と同様にして酵素糖化用原料2−5を得た。
前記酵素糖化用原料2−5の酵素糖化率を実施例2−1と同様にして測定した結果、セルロースの糖化率は28%であった。
(実施例2−6)
乾燥稲わらに水を添加し、水分量を50質量%に調整した。
前記稲わらに、稲わらの乾物質量の10質量%の水酸化カルシウムを添加し、よく混合した。
前記混合した稲わら約50gをプレス用金型(IMC−017C、株式会社井本製作所製)に詰め、手動油圧加熱プレス機(IMC−1A3F、株式会社井本製作所製)にて、温度80℃、圧力1.6MPaで20分間、加熱及び加圧を行い、酵素糖化用原料2−6を得た。
前記酵素糖化用原料2−6の酵素糖化率を実施例2−1と同様にして測定した結果、セルロースの糖化率は57%であった。
実施例2−1から2−6をまとめたものを表2に示す。
表2の結果から、実施例2−1から2−6の方法によっても優れた酵素糖化率を示す酵素糖化用原料が得られることが確認された。中でも、実施例2−1で製造された酵素糖化用原料2−1は、酵素糖化率が非常に高いものであった。
また、実施例2−1から2−6で得られた酵素糖化用原料も長期の貯蔵が可能なものであり、これらの中でも、水酸化カルシウムの添加量を10質量%とした実施例2−1、2−3、及び2−6は、特に優れていた。
更に、実施例2−1から2−5で得られた酵素糖化用原料の嵩密度は、0.5g/cm〜0.6g/cm程度であり、前記実施例2−6で得られた酵素糖化用原料の嵩密度は、1.2g/cmであり、いずれも原料に比べて大きく、輸送コストの点でも優れていると考えられる。
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> セルロースを含むバイオマス原料を加熱及び加圧する加熱加圧工程を含むことを特徴とする酵素糖化用原料の製造方法である。
<2> 加熱加圧工程が、加熱プレスにより行われる前記<1>に記載の酵素糖化用原料の製造方法である。
<3> 加熱加圧工程が、アルカリ処理及びせん断処理の少なくともいずれかを含む前記<1>から<2>のいずれかに記載の酵素糖化用原料の製造方法である。
<4> セルロースを含むバイオマス原料を微粉砕する工程を含む前記<1>から<3>のいずれかに記載の酵素糖化用原料の製造方法である。
<5> 加熱及び加圧の時間が、18分間〜22分間である前記<1>から<4>のいずれかに記載の酵素糖化用原料の製造方法である。
<6> 加圧の圧力が、12MPa〜20MPaである前記<1>から<5>のいずれかに記載の酵素糖化用原料の製造方法である。
<7> 加熱の温度が、175℃〜185℃である前記<1>から<6>のいずれかに記載の酵素糖化用原料の製造方法である。
<8> 加熱の温度が、75℃〜85℃である前記<1>から<6>のいずれかに記載の酵素糖化用原料の製造方法である。
<9> アルカリの添加量が、セルロースを含むバイオマス原料の乾物質量に対して、8質量%〜12質量%である前記<3>から<8>のいずれかに記載の酵素糖化用原料の製造方法である。
<10> 加熱加圧工程を複数回行う前記<1>から<9>のいずれかに記載の酵素糖化用原料の製造方法である。
<11> セルロースを含むバイオマス原料の含水率が、25質量%〜65質量%である前記<1>から<10>のいずれかに記載の酵素糖化用原料の製造方法である。
<12> 前記<1>から<11>のいずれかに記載の酵素糖化用原料の製造方法により得られた酵素糖化用原料を酵素糖化させ、糖を得る工程を含むことを特徴とする糖の製造方法である。
<13> 前記<12>に記載の糖の製造方法により得られた糖を発酵させ、エタノールを得る工程を含むことを特徴とするエタノールの製造方法である。
<14> 前記<12>に記載の糖の製造方法により得られた糖を発酵させ、乳酸を得る工程を含むことを特徴とする乳酸の製造方法である。
<15> セルロースを含むバイオマス原料から得られ、含水率が8質量%〜25質量%であり、酵素糖化率が25%以上であることを特徴とする酵素糖化用原料である。
<16> 前記<1>から<11>のいずれかに記載の酵素糖化用原料の製造方法により得られた前記<15>に記載の酵素糖化用原料である。
本発明の酵素糖化用原料の製造方法によれば、乾燥させなくても長期間貯蔵することができ、かつ、従来の酵素糖化の前に行うバイオマス原料の前処理方法を行わなくても優れた酵素糖化率を有し、更には嵩密度が大きく輸送コストを低減することができるので、糖の製造方法の原料として好適に利用可能である。また、本発明の糖の製造方法により得られた糖は、エタノールや乳酸の製造方法の原料として好適に用いることができ、例えば、近年注目されている、環境に優しい燃料を産出することを目的としたバイオマス原料からのエタノールの製造、また、環境に優しい生分解性プラスチックの製造などに、好適に利用可能である。

Claims (8)

  1. セルロースを含むバイオマス原料を加熱及び加圧する加熱加圧工程を含むことを特徴とする酵素糖化用原料の製造方法。
  2. 加熱加圧工程が、加熱プレスにより行われる請求項1に記載の酵素糖化用原料の製造方法。
  3. 加熱加圧工程が、アルカリ処理及びせん断処理の少なくともいずれかを含む請求項1から2のいずれかに記載の酵素糖化用原料の製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の酵素糖化用原料の製造方法により得られた酵素糖化用原料を酵素糖化させ、糖を得る工程を含むことを特徴とする糖の製造方法。
  5. 請求項4に記載の糖の製造方法により得られた糖を発酵させ、エタノールを得る工程を含むことを特徴とするエタノールの製造方法。
  6. 請求項4に記載の糖の製造方法により得られた糖を発酵させ、乳酸を得る工程を含むことを特徴とする乳酸の製造方法。
  7. セルロースを含むバイオマス原料から得られ、含水率が8質量%〜25質量%であり、酵素糖化率が25%以上であることを特徴とする酵素糖化用原料。
  8. 請求項1から3のいずれかに記載の酵素糖化用原料の製造方法により得られた請求項7に記載の酵素糖化用原料。
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