以下、実施例について説明する。
図1は、本実施例における伝送システムの一例を示すブロック図であって、ソース機器11がシンク機器21とケーブル32を介して接続されており、シンク機器からソース機器へ電力を供給し、ソース機器からシンク機器へ映像信号を供給する。
ソース機器11は例えばディスクプレイヤー、ディスクレコーダ、半導体レコーダ、放送受信機、ゲーム機、PC等の映像信号送出機器である。光ディスクや磁気記録ディスク、半導体メモリなどの記憶媒体や放送、ネットワーク等から得たデータから映像信号を再生する再生部111と映像送信部112、EDID(Extended Display Identification Data)読出部113、CEC(Consumer Electronics Control)通信部114、電圧検出部115、DDC(Display Data Channel)+5V供給部116、HPD(Hot Plug Detect)検出部117、制御部118、電源回路119を有する。
シンク機器21は、例えば液晶ディスプレイ、プラズマディプレイ、有機ELディスプレイ等の表示デバイスを備えた映像信号受信機器である。シンク機器21は表示部211と映像受信部212、EDID記憶部213、CEC通信部214、電流制限部215、HPD出力部216、制御部217、電力供給部218、電源回路219を有する。なお、アンテナで受信した放送波を処理するチューナ、デスクランブラ、デマルチプレクサ、デコーダ、録画機能等も含む構成とし、シンク機器単体でも映像コンテンツを再生可能としてもよい。
ケーブル32は、ソース機器とのコネクタ部である312〜317とシンク機器とのコネクタ部332〜337の間を接続するケーブルであって、例えばHDMI(R)コンバータケーブルである。電気・光変換部321と光・電気変換部322、光ファイバ327、EDID取得部323、CEC通信部324、制御部325、電源回路326を有する。
CEC通信部114と214、324が交換するメッセージの構造の一例を図2に示す。特許文献2に記載のように、CDCメッセージはCECメッセージの一つとして定義され、メッセージの先頭を示すStart Bitに続き、メッセージの送信機器の論理アドレスと受信機器の論理アドレスとを記述したCEC Header Block、CDCメッセージであることを示すCEC Opcode Block、メッセージ送信機器の物理アドレスを示すInitiator Physical Address、CDCメッセージの種別を示すCDC Opcode、CDCメッセージの引数を示すCDC Parameterから構成されている。
以下、CDCメッセージを例にとって説明するが、本発明はCDCメッセージ構造に限定されること無く、CEC OpcodeにCDC Opcodeを定義すれば、CDCメッセージに代えてCECメッセージを使うこともできる。また、EDID読出しで使われるDDC(Display Data Channel)やHDMI Ethernet Channelなどの双方向通信メッセージを用いても良い。
HDMI(R)システムにおいて、出力端子を持つソース機器と入力端子を持つシンク機器、出力端子と入力端子を共に持つリピータ機器は異なる物理アドレスを持つのが原則であるが、ケーブルは一般に物理アドレスを取得しない。物理アドレスを取得しないケーブルが出すCDCメッセージのInitiator Physical Address記載方法にはいくつか考えられる。
例えば、シンク機器のEDID中に示されたソース機器の物理アドレスをケーブルが送信するCDCメッセージのInitiator Physical Addressに記載することが考えられる。また、Initiator Physical Addressに物理アドレス不明として“FFFF”を割当て、CDCメッセージの引数にソース機器の物理アドレスに相当する情報を記載してもよい。
後者はCDCメッセージの引数が長くなるために通信時間が長くなるものの、ケーブルがソース機器と異なる物理アドレスを使うことにより、ソース機器が誤動作するリスクは小さい利点がある。以下の実施例の説明では、前者のやり方を使って説明する。
図3はCDCメッセージの一例を示す表である。<CDC_Power_Request>は、ソース機器がシンク機器(かつ/またはケーブル)へ引数[Power_Source]で示される電流供給を要求するメッセージである。
<CDC_Power_Status>は、シンク機器がソース機器(かつ/またはケーブル)へ引数[Power_Sink]で示される電流を供給開始することを知らせるメッセージである。<CDC_Power_Notice>は、シンク機器がソース機器(かつ/またはケーブル)へ引数[Power_Sink]で示される電流へ供給電流の変更を予告するメッセージである。
<CDC_Power_Request_C>は、ケーブルがシンク機器へ引数(parameter)[Power_Cable]で示される電流供給を要求するメッセージである。<CDC_Power_Notice_C>は、ケーブルがシンクからの電力供給以外の独自電源からソース機器へ電力供給している際に、ソース機器への電力停止を予告するメッセージである。
図3には、それぞれのメッセージに対して、宛先の機器が本発明の機能に対応していれば、応答する応答メッセージが記されている。
また、図3では、電力供給要求するメッセージ名(すなわちOpcode)をソース機器とケーブルとで変えることにより、共通の物理アドレスをInitiator Physical Addressに用いても、どちらが出したメッセージかを区別することができる。これは、メッセージ名を共通とし、引数に例えば機器タイプを追加してソース機器とケーブルを区別できるように定義してもよい。
また、引数の数を変え、例えばソース機器がソース機器の要求電流に対して、ケーブルはケーブルの要求電流に加えてソース機器への供給できる電流を記載することで区別してもよい。
図4は、メッセージの引数の一例を示す表である。[Power_Source]は、電力供給要否を 1 bit で示している。[Power_Sink]は、電力供給する入力端子の番号 4 bits の[Input Port Number] とソース機器への電力供給状態を示す 2bits の[P_Source]、ケーブルへの電力供給状態を示す 2 bits の[P_Cable]から構成される。
[Input port Number]は、シンク機器の入力端子番号 4 bitsであり、CDCメッセージ中のInitiator Physical Addressと組合せれば、接続先のソース機器の物理アドレスを示すことになる。入力端子番号に代えて接続先の物理アドレス(すなわち、該当入力端子のEDID中に記載されている物理アドレス)2 bytesを用いてもよいが、メッセージ長を抑えて通信時間を短くする為には、入力端子番号 4 bitsの方がよい。
[P_Source]は、ソース機器へ電力供給なし”No Power”と、所定電力の半分の電力供給”Half Power”、所定電力をシンク機器が供給”Power_S”、所定電力をケーブルがシンク機器とは独立に備えた電源から供給”Power_C”を示す。[P_Cable]は、シンク機器がケーブルへ電力供給なし”No Power”と、所定電力の半分の電力供給”Half Power”、所定電力を供給”Full Power”を示す。
[Power_Cable]は、ケーブル両端のUtility端子間が電力伝送できるように接続されているかどうかを示す3 bitの[Wire]と、ソース機器への電力供給状態を示す 2bits の[P_Source]、ケーブルへの電力供給状態を示す 2 bits の[P_Cable]から構成される。[Wire]は接続状態"Connect"と非接続状態"No Connect"を示す。[P_Source]と[P_Cable]は、前出[P_Source]パラメータと同じ意味であり、説明を省略する。
図4において、ソース機器とケーブルでシンク機器からの供給電力を折半する状態を定義しているが、簡略化のためにこの状態を削除し、ソース機器とシンク機器の一方が電力を受けている場合は他方が受けられないという排他制御としてもよいことは明らかである。
図5は、メッセージの送受信の一例を示す図である。以下、図1〜図5を用いて伝送システムの動作を説明する。
最初、シンク機器21の電力供給部218から電流制限部215、Utility 端子335、ケーブル32、Utility 端子315を通してソース機器11の電源回路119へ伝送システム立上げ用の電力、例えば5V65mAを供給する(ステップ701)。
ソース機器11の電源回路119はDDC+5V供給部、DDC+5V端子317、ケーブル32、DDC+5V端子337を通してシンク機器21のHPD出力部216と電源回路219へ電力を供給する(ステップ702)。
電力が供給されたHPD出力部216はHPD端子337、ケーブル32、HPD端子317を通してソース機器11のHPD検出部117へ、ケーブル接続されたことを示す論理レベル例えば“H”を送る(ステップ703)。
HPD検出部117が検出したケーブル接続情報は制御部118へ伝えられ、制御部118はEDID読出部113へEDID読出しを指示する。EDID読出部113は、シンク機器21のEDID記憶部からシンク機器の受信能力に関する情報が記述されたEDIDを読出して取得し、制御部118に伝える(ステップ704)。
このとき、ケーブル32のEDID取得部323はケーブル上の信号を監視し、ソース機器が取得するEDIDの内、少なくともケーブル32が必要とする情報、例えばシンク機器の物理アドレスとケーブルが接続された入力端子番号の組合せで示されるソース機器の物理アドレスに関する情報などを取得する。このように、EDIDよりソース機器の物理アドレスをソース機器11とケーブル32が取得する(ステップ705)。
電力供給回路218が供給する5V65mAは、例えば、ケーブル32内の回路ブロック動作用最大5mA(HPD端子335からの供給分)、ソース機器11内の回路ブロック動作用として最大5mA、ソース機器がDDC+5V端子316からケーブル32とシンク機器21へ出力する55mAと配分される。DDC+5V供給部116が供給する5V最大55mAはDDC規格で定められているが、もともとシンク機器11がUtility端子335から供給した電力を、ソース機器がDDC+5V端子316からケーブル32へ5mA、シンク機器21へ50mAを戻す使い方になっている。
そこで、Utility端子335からシステム立上用の電力を供給するシンク機器21が、DDC+5V端子336から消費する電流を最大10mAと定義し、不足となる最大40mAは電源回路219内で融通すると、ケーブルを流れる電流が減るので電力損失を抑えられる効果がある。この場合、シンク機器が伝送システム立上用にUtility端子335から供給する電力は、ソース機器用最大5mA、ケーブル用最大10mA(Utility端子から5mAと、DDC+5V端子から5mA)、シンク機器最大10mA(DDC+5V端子からHPD出力部216とEDID記憶部213の電力を供給)の合計25mAあればよい。
ケーブル32が映像信号を伝送するために必要な電力をシンク機器21へ要求する<CDC_Power_Request_C>["Connect","No Power","FullPower"]メッセージ706を、ケーブル32のCEC通信部324からシンク機器21のCEC通信部214へ送る。以降の説明を簡略化するため、「CEC通信部」を省略して、「ケーブル32からシンク機器21へメッセージを送る」と記述する。同メッセージ706はソース機器11でも受信可能であるが、ソース機器11の電力受給状態に変化が無いので、特に内部制御動作や返信の必要は無いため、ソース機器へ向かうメッセージ706の矢印は破線で示している。
シンク機器21の電力供給回路218は例えば5V500mAをUtilty端子335を通してケーブル32の電源回路326へ供給する(ステップ707)。シンク機器21はケーブル32用に電力を供給し始めたことを知らせる<CDC_Power_Status>["1","No Power","Full Power"]メッセージ708をケーブル32へ伝え、ケーブ32ルの電源回路326が500mAを使用開始する(ステップ709)。ここでは、ケーブル32がシンク機器21の入力端子番号1(図示せず)に接続されているとしている。
電源回路326は電気光変換部321や光電気変換部322へ電力を供給する。これによって、再生部111の映像出力が映像送信部112から映像端子312へ電気映像信号として出力され、それが電気光変換部321によって光映像信号となって光ファイバ327によって光電気変換部322へ送られる。光ファイバで光信号伝送することによって、電気信号伝送よりも長距離伝送が容易になる。光・電気変換部322で電気映像信号に変換して映像端子332へ出力し、それを映像受信部212が受信し、表示部211で映像表示を行う。
ソース機器11が電力を受給したい場合は、<CDC_Power_Request>["Need"]メッセージ710をシンク機器21とケーブル32へ送る。シンク機器は、ケーブルへ電力供給しており、ソース機器11へは電力供給できないことを示す<CDC_Power_Status>["1","No Power","Full Power"]メッセージ711をソース機器11へ返す。それと共に、ケーブル32は電力を使用中であることを<CDC_Power_Request_C>["Connect","No Power","FullPower"]メッセージ712でソース機器11とシンク機器21へ伝える。
同メッセージ712はケーブルが電力供給を要求するメッセージと同じ為、シンク機器はメッセージ711と重複することになるが、<CDC_Power_Status>["1","No Power","Full Power"]メッセージ713をケーブル32へ返信する。このメッセージ711と713の重複を避ける為には、メッセージ710に対する応答メッセージとして、メッセージ712が先に送られれば、メッセージ711は省略できる。このため、メッセージ710への応答メッセージは、シンク機器21がケーブル32より後で発信するよう、シンク機器のバスアイドル監視時間を長めにしたり、所定時間例えば0.1秒程度返信を待つようにしてもよい。
このとき、シンク機器21はメッセージ711を電力配分の変更予告である<CDC_Power_Notice>["1","Half Power","Half Power"]メッセージで応答し、ケーブル32が引き続き全電力の供給維持を要求するメッセージ712で応答するようにしてもよい。
このように、電力を供給する側が電力配分指示を決定し、現在供給を受けている機器への電力配分を優先することを原則とするとよい。また、電力を受給して使用する機器は、電力が不要になった場合、速やかに電力受給を返上する原則として、必要な機器への電力供給の機会を増やすとよい。
映像信号伝送の終了など、ケーブル32が電力使用を中止した場合(ステップ714)、ケーブル32は電力受給停止を示す<CDC_Power_Request_C>["Connect","No Power","FullPower"]メッセージ715をシンク機器へ送る。シンク機器は電力供給を停止(ステップ716)して、電力供給停止を<CDC_Power_Status> ["1","No Power","NoPower"]メッセージ711でソース機器11とケーブル32に知らせる。
ソース機器11が映像信号を送出しない場合でも、例えばソース機器がモバイル機器の場合は内蔵した二次電池充電のために電力が必要な場合がある。ソース機器11は電力供給を要請する<CDC_Power_Request>["Need"]メッセージ718をケーブル32とシンク機器21へ送信する。ケーブル32は電力を供給するUtility線が接続されており、自身で引き続き電力を使用する必要が無い場合は特に応答は不要であるが、<CDC_Power_Request_C>["Connect","Power_S","No Power"]メッセージ(図示せず)で応答してもよい。
シンク機器21は所定の5V500mAを供給開始(ステップ719)し、供給開始したことを<CDC_Power_Status> ["1","Power_S","No Power"]メッセージ720でソース機器11に知らせ、ソース機器11は所定の電力を使用開始する(ステップ721)。
シンク機器21が、Utility線を使った他の機能、例えばパケット信号や音声信号の伝送を使用する場合や、ユーザ操作などで電力供給を停止させたい場合は、<CDC_Power_Notice> ["1","No Power","NoPower"]メッセージ722でソース機器11へ知らせる。ソース機器は電力使用停止処理に入るが、その停止処理においてバックアップなどの時間が必要な場合、引き続き電力供給を要求する<CDC_Power_Request>["Need"]メッセージ723をシンク機器21へ送信する。
シンク機器21が引き続き電力供給する場合は、<CDC_Power_Status> ["1","Power_S","No Power"]メッセージ(図示せず)をソース機器へ伝える。しかし、シンク機器が電力供給停止動作を行う場合は、所定の時間間隔例えば5秒間隔で<CDC_Power_Notice> ["1","No Power","NoPower"]メッセージ724をソース機器11へ送る。もちろん、シンク機器21の主電源スイッチが切られるなどの緊急時は、このメッセージ724を出さないで、急に電力供給が停止される場合があるので、ソース機器11はあらかじめこのことを考慮しておく必要がある。
ソース機器11は電力使用を停止(ステップ725)後、電力使用停止を知らせる<CDC_Power_Request>["No Need"]メッセージをシンク機器21へ送信する。シンク機器は電力供給を停止(ステップ727)後、電力供給停止を示す<CDC_Power_Status> ["1","No Power","NoPower"]をソース機器11へ送る。但し、電力供給停止の場合であっても、シンク機器が伝送システム再起動を想定する場合は、立上用のスタンバイ電力として5V65mA又は25mA程度を供給し続けてもよい(ステップ701)。
ソース機器が電力供給を受ける際、ケーブル32によってはUtility端子325と315を接続する電線の抵抗が高く、シンク機器21が出力する電圧に対してソース機器11が受ける電圧が大きく低下する場合がある。例えばシンク機器21の5V出力に対して、電線の抵抗が5Ωであり、供給電流が500mAとすると、2.5Vの電圧降下を生じてソース機器11が受ける電圧が2.5Vになってしまうことが考えられる。
この結果、電圧降下によるソース機器の誤動作や、ケーブル発熱等の課題がでてくる可能性がある。このため、ソース機器11は電圧検出部115を設け、所定の電圧例えば4V以下の場合は、電圧検出部115の検出結果を受けた制御部118が電源回路119を制御して、使用電力を抑制あるいは停止させるなどの制御動作が必要である。さらに、シンク機器21でも所定の最大電流供給より10%程度の余裕を持つ電流制限部を設けると、保護機能がさらに強化される。
このように、シンク機器からソース機器だけではなく、外部電力を必要とするケーブルへも電力供給できる伝送システムを実現できるので、光ファイバ等を用いた長距離伝送などを、特別な電源を準備する必要がないので、使い勝手が高まる。
以上、ケーブルを例にとって説明したが、HDMI(R)のリピータ機器の中には、シンク機器の示すEDIDをコピーしてソース機器に伝えるものがあり、ソース機器とリピータ機器の物理アドレスが重複してしまう場合がある。このようなリピータの場合も、これまでに述べたアクティブケーブル用のメッセージを使うことによって、電力供給を受けることができる。
本実施例による伝送システムの他の実施例を図6と図7を用いて説明する。図6は、ケーブル部のブロック図である。ケーブル34は、図1のケーブル32に置き換えて用いるものであり、ソース機器11とシンク機器21は同様な構成であるので図示していない。
図1と同等の機能を有するブロックには同じ番号を付与している。図1と異なる点は、EDID情報を読み出すDDC端子313と333の間にスイッチ341を追加し、Utility端子315と335間を分離してそれぞれ電源回路343と326を設け、DDC+5V端子316と336間およびHPD端子317と337間を分離してHPD出力部344とHPD検出部346、DDC+5V供給部345を追加した点である。
メッセージ構造(図2)、メッセージの種類(図3)、メッセージの引数(図4)は実施例1と同様である。図7はメッセージの送受信の一例を示している。
シンク機器21はUtility端子335を通して、ケーブル34の電源回路326へスタンバイ電力として例えば+5V最大25mAを供給する(ステップ801)。ケーブル34の電源回路326はDDC+5V供給部345を通してシンク機器21へ+5Vを供給する(ステップ802)。シンク機器21はHPD端子337を”L”レベルから”H”レベルへ変化させる(ステップ803)。
ケーブル34のHPD検出部346がこれを検出して制御部325に伝える。制御部325は、スイッチ341を切断後、EDID取得部323がシンク機器21のEDID情報に含まれるソース機器の物理アドレスを読み出して取得する(ステップ804、ステップ805)。
実施例1では、ソース機器がシンク機器のEDIDを読出す際に、その信号を傍受していたが、本実施例ではソース機器がEDID読出し動作に入る前に伝送システムを立上げるため、ケーブル34のEDID取得部が単独でEDID情報の読出しできるようにしている。この時、ソース機器のEDID読出し部の誤作動を防ぐ為、スイッチ341を設けている。
従って、スイッチ34は、ソース機器11がEDID読出ししていない間で、ケーブル34が単独でEDID読出し動作をする期間に、切断状態に設定される。ケーブル34が単独でEDID読出し動作をする期間以外は、ソース機器11とシンク機器21間のDDC通信を阻害させないように、スイッチ34は接続状態としておく。また、ケーブル長が長い場合は、DDC端子313と333の間にバッファを配置しておくと、DDC通信の信頼性を上げることができる。
ケーブル34が物理アドレスを取得後、シンク機器21へ電力供給を要求する<CDC_Power_Request_C>["No Connect","No Power","FullPower"]メッセージ806を送る。シンク機器21は例えば+5V最大500mAをUtility端子335からケーブル34の電源回路326へ供給開始する(ステップ807)。シンク機器は電力供給開始を知らせる<CDC_Power_Status>["1","No Power","Full Power"]をケーブル34へ伝え、ケーブル34が+5V最大500mAの電力を使用開始して(ステップ809)、光・電気変換部322の受信準備動作をさせる。
ソース機器11が起動し、DDC端子316に例えば5V最大55mAが供給される(ステップ810)と、電源回路343がその電力を電気・光変換部321へ供給し、HPD端子337が”H”であることをHPD検出部346が検出している間のみ、HPD出力部344がHPD端子317を”L”レベルから”H”レベルに変化させる(ステップ811)。
HPD端子337が”L”の間は、シンク機器21のEDID記憶部からEDID情報を読み出せないので、HPD端子317は”L”レベルを保つ。HPD端子が”H”レベルになると、ソース機器11はDDC端子312と333を通してシンク機器21のEDID情報を読出す(ステップ812、813)。このとき、ケーブル34のEDID取得部323はこのEDID情報を傍受して、ソース機器11の物理アドレスに関連する情報を確認し、変更があればその変更情報を取得する。この最新情報に基づいて、以下、メッセージの送受信を行う。
ソース機器11が電力供給を要求する<CDC_Power_Request>["Need"]メッセージ814を送ると、シンク機器21は、既にケーブル34へ電力供給しておりソース機器11への電力供給余力なしとして、電力供給不可とする<CDC_Power_Status>["1","No Power","Full Power"]メッセージ815で応答する。
電力供給余力なしの場合だけでなく、メッセージ806でUtility線が接続されていないことがわかっている場合も電力供給不可として同じメッセージ815で応答する。Utility線が非接続であるということが不明な場合で、かつケーブルに電力供給していない場合は、電力を供給開始と同時に<CDC_Power_Status>["1","Power_S","No Power"]メッセージで応答すればよい(図示せず)。
メッセージ814を受けたケーブル34は、電源回路343が図示していない電源部から電力供給を受けている場合、ソース機器11へ電力供給開始(ステップ816)と共に、<CDC_Power_Request_C>["No Connect","Full Power","FullPower"]メッセージ815でソース機器11とシンク機器21へ通知する。
シンク機器21は<CDC_Power_Status>["1","Power_C","Full Power"]メッセージ817を出して、電力供給状態を確認し、ソース機器は+5V最大500mAの電力を使用開始する(ステップ818)。万一異なっていれば、ソース機器11又はケーブル34が電力要求メッセージを出して修正を行う。
ユーザのシンク機器21操作等により、シンク機器21が電力供給を停止させる場合は、<CDC_Power_Notice>["1","Power_C","No Power"]メッセージ819を出す。電力供給停止要求を受けたケーブル34は、シンク機器21からの電力供給停止を受け入れ、ソース機器11への電力供給停止を予告する<CDC_Power_Notice_C>["No Connection","No Power","NoPower"]メッセージ821を出す。
ケーブル34がシンク機器21からの電力供給停止を受け入れない場合は<CDC_Power_Request_C>["No Connect","Power_C","Full Power"]メッセージを、先にソース機器への電力供給を止めたい場合は<CDC_Power_Notice_C?["No Connect","No Power","FullPower"]メッセージを応答すればよい。
シンク機器21はケーブル34が電力供給停止を承諾したとみなし、電力供給を停止する(ステップ821)と共に、<CDC_Power_Status>["1","Power_C","No Power"]メッセージ822で応答する。
メッセージ821に対して、ソース機器11が電力供給継続を要求する場合は、継続要求の<CDC_Power_Request>{"Need"}メッセージ823を出す。同メッセージ823へのシンク機器11の応答メッセージは、現状を示す<CDC_Power_Status>["1","Power_C","No Power"]メッセージ822となる。
ケーブル34が引続き、ソース機器11への電力供給を停止させたい場合は、所定の時間、例えば5秒程度以上の間隔をあけて、<CDC_Power_Notice_C>["No Connection","No Power","NoPower"]メッセージ824を出す。ソース機器11が+5V最大500mAの電力使用を停止する(ステップ825)と、使用停止を知らせる<CDC_Power_Request>["No Need"]メッセージ826をケーブル34とシンク機器21へ送る。
この応答として、シンク機器21は<CDC_Power_Status>["1","No Power","No Power"]メッセージ827を出す。一方、ケーブル34はソース機器11への+5V最大500mAの電力供給を停止(ステップ828)し、<CDC_Power_Request_C>["No Connect","No Power","NoPower"]メッセージ829で応答する。
このメッセージ829への応答として、シンク機器21は現状を確認する<CDC_Power_Status>["1","No Power","No Power"]メッセージ827を出す。尚、シンク機器21のメッセージ827が出る前に、ケーブル34のメッセージ829が出た場合、メッセージ827は省略して、メッセージ830のみで代用しても良い。メッセージ827を出すタイミングを通常の応答よりも例えば0.1秒程度遅らせることにより、メッセージ827を省略する確率を高めてメッセージ通信路の混雑を避けることができる。
以上で述べてきたように、シンク機器からケーブルへの電力供給と、独立の電源を持つケーブルからソース機器への電力供給を実現できるので、ケーブルのシンク機器側とソース機器が十分な電源を持たない又は独自の電源を持たない場合であっても動作させられるので、使い勝手が向上する。
電流供給量を段階的に調整できる、よりフレキシブルな実施例を以下に示す。伝送システムのブロック図とメッセージ構造、メッセージの例は、それぞれ実施例1で説明した図1と図2、図3と同様であり、詳細説明は省略する。
メッセージの引数は図4に代えて、図8と図9、図10で定義するメッセージの引数を用いる。ソース機器の最大電流使用量[Source_Current]、ケーブルの最大電流使用量[Cable_Current]を125mA単位で0〜500mAの範囲で5種類と、待機モードとして5mAを用意している。シンク機器の最大電流供給量[Sink_Current]は待機電流として25mAを追加で供給できるよう、25mAづつ増やした設定としている。
但し、[Sink_Current]の”0mA”は電流供給能力が25mA未満であることを示し、待機電力を供給する能力が無いことを示している。本実施例では供給電圧は+5Vを想定しているが、あらかじめ決めておけば他の電圧であってもよい。また、最大電流の引数と同様に電圧設定も引数に追加して任意の電圧と最大電流の組合せで規定してもよい。
待機モードにおいて、ソース機器とケーブルの内部制御部等の待機電源用として各5mAを、EDID読出し用としてシンク機器のDDC+5Vへ10mAを想定しており、DDC規格で規定される予備電流5mA(DDC規格ではソース機器が55mAを供給し、シンク機器は最大50mA使用)を加えて、シンク機器の供給電流を25mAとしている。
さらに、各メッセージのチェックサムを設けており、チェックサムが正しくないメッセージは無視される。従って所定の応答メッセージが得られない場合はメッセージを再送することにより、信頼性が高い伝送システムを実現できる。図10に示した引数[Power2]は、ケーブル部が持つ独自電源からソース機器への電力供給することを示すものである。その他のパラメータは図4と同様であるので、詳細説明は省略する。
図11はメッセージの送受信の一例を示す図である。以下、図11を参照してその動作を説明する。図11において、引数[Check sum]の記述は省略する。ソース機器11とケーブル32が物理アドレスを取得するステップ705までは、実施例1で説明した図5と同様であり、説明を省略する。
ケーブル32が125mAの電流供給を要求する<CDC_Power_Request_C>["Connect","None","150mA","5mA","125mA"]メッセージ736をシンク機器21送り、シンク機器21が最大150mAを供給開始する(ステップ737)。シンク機器は最大150mAをケーブルに供給開始したことを<CDC_Power_Status>["1","150mA","5mA","125mA"]メッセージ738でケーブル32とソース機器11へ通知する。シンク機器21の供給開始電流はケーブル32の要求値以上であればよく、例えば、より多くの電流を供給し、<CDC_Power_Status>["1","525mA","5mA","125mA"]メッセージや<CDC_Power_Status>["1","400mA","125mA","250mA"]メッセージを出すようにしでもよい。メッセージ738を受信したケーブル32は、最大125mAの電流を使用開始する(ステップ740)。
ここで、メッセージ736において、シンク機器の最大供給電流を、ソース機器とケーブルが消費する最大電流の合計値を上回った場合(但し、ケーブルが独自電源を持つ場合を除く)と、[Check sum]が正しくない場合は、シンク機器は電流供給を開始しないか、または妥当と予想される電流を供給開始してそれにふさわしい応答メッセージを送るとよい)、メッセージ738が同様にシンク機器の最大供給電流を、ソース機器とケーブルが消費する最大電流の合計値を上回った場合と、[Check sum]が正しくない場合は、ケーブル32がシンク機器21へ<CDC_Power_Request_C>["Connect","None","150mA","5mA","125mA"]メッセージ736を再送信することにより、伝送システムの電流供給の信頼性を向上させることができる。
次にソース機器11が最大375mAの電流供給を要求する<CDC_Power_Request>["525mA","375mA"]メッセージ740をシンク機器21へ送信する。シンク機器21はケーブル125mAとソース機器375mAの合計値以上、例えば525mA以上の電流を供給開始(ステップ741)し、ソース機器とケーブルの使用電流最大値を指定する<CDC_Power_Status>["1","525mA","375mA","125mA"]メッセージ742をソース機器11とケーブル32に通知する。この通知を受けて、ソース機器11は375mAの電流を使用開始する(ステップ743)。
例えば、ソース機器11が映像出力を停止し、内蔵の充電池への充電を高速化するために、ケーブルの映像伝送用に使っていた電流をソース機器で使う場合は、500mAの電流を要求する<CDC_Power_Request>["500mA","500mA"]メッセージ744をケーブル32とシンク機器21へ送る。
ケーブル32が、125mAの電流使用を停止し待機電流の5mAのみの使用とし(ステップ745)、シンク機器21の供給電流525mAの内500mAをソース機器11へ向けるメッセージ<CDC_Power_Request_C>[Connect"."None","525mA","500mA","5mA"]メッセージ746をシンク機器21へ送る。
シンク機器21は、ケーブル32からのメッセージ746を確認する<CDC_Power_Status>["1"."525mA","500mA","5mA"]メッセージ747を送り、それを受けたソース機器11が500mAの電流を使用開始する(ステップ749)。
ケーブル32がソース機器11への電流供給を停止させる場合は、<CDC_Power_Notice_C>["Connect","None","25mA","0mA","5mA"]メッセージ(図示せず)をソース機器11へ送るか、または<CDC_Power_Request_C>["Connect","None","25mA","0mA","5mA"]メッセージ749をシンク機器21へ送り、シンク機器21の応答メッセージ<CDC_Power_Notice>["1","25mA","0mA","5mA"]メッセージ750でソース機器11へ伝える。
ソース機器11は電流使用を継続したい場合は<CDC_Power_Request>["525mA","500mA"]メッセージ(図示せず)でシンク機器とケーブルへ伝える。電流使用を停止した場合(ステップ751)は、その旨を<CDC_Power_Request>["25mA,"0mA"]メッセージ752をシンク機器21へ伝える。
シンク機器21は、供給電流を525mAから25mAに減らし、応答メッセージとして現在の状態を示す<CDC_Power_Status>["1","25mA","0mA","5mA"]メッセージ754をソース機器11とケーブル32へ伝える。
本実施例によれば、シンク機器の電流供給量をソース機器やケーブルの電流使用量に合わせてフレキシブルに調整できるので、シンク機器の電力供給部や電源回路部の電力使用効率を高め、シンク機器の消費電力を低減する効果がある。また、ソース機器とケーブルが使用する電流をフレキスブルに融通することにより、ソース機器とケーブルの機能を最大限活用することができる。
実施例2の説明で用いた図6のケーブル34と、実施例3の説明で用いた図8〜図10のメッセージ引数を組合せた場合における、メッセージの送受信の他の一例を図12に示す。図11と同様、引数[Check sum]の記述は省略している。また、ソース機器11とケーブル34が物理アドレスを取得するステップ841〜853までは、ケーブル34が独自電源によりUtility端子315へ待機電力例えば+5V25mAを供給するステップ850が追加されている以外は、実施例2で説明した図7と同様である。
電力供給のステップ850の追加により、ソース機器11が供給するDDC+5V端子316への電力は、ケーブル34からUtility端子に供給される電力を流用することができる。
ソース機器が500mAの電流を要求する場合、ケーブル内に独自電源を持っている場合やUtility線が非接続である場合などの特殊事情を考慮することなく、<CDC_Power_Request>["525mA","500mA"]メッセージ855をケーブル34とシンク機器21へ送る。シンク機器21は、ケーブル34のUtility線が切断されていることをメッセージ846から得ているので、<CDC_Power_Notice>["1","525mA","375mA","125mA"]メッセージによる調整は困難であることから、現状の電流配分を示す<CDC_Power_Status>["1","125mA","5mA","125mA"]メッセージ856で応答する。
一方、独自電源を持つケーブル34は、ソース機器の電流要求メッセージ855に対して、525mAの電流をソース機器に供給開始(ステップ857)後、それを知らせる<CDC_Power_Request_C>["No Connect","Independet","150mA","500mA","125mA"]メッセージ858を出す。シンク機器21はその状態を確認する応答メッセージとして<CDC_Power_Status>["1","150mA","500mA","125mA"]メッセージ859をソース機器11へ送り、ソース機器11は500mAの使用を開始する(ステップ860)。
ユーザ操作などで、シンク機器21が待機電流のみしか供給できなくなった場合は、それを<CDC_Power_Notice>["1",25mA","500mA","5mA"]メッセージ861でケーブル34へ知らせる。ケーブル34は、電力継続供給が必要な場合は<CDC_Power_Request_C>["No Connect","Independet","150mA","500mA","125mA"]メッセージ(図示せず)で伝えるが、待機電流5mAへ移行できる場合は移行(ステップ862)後、<CDC_Power_Request_C> ["No Connect","Independet","25mA","500mA","5mA"]メッセージ863をシンク機器21へ送る。シンク機器21は待機電流25mA供給状態へ切換え(ステップ864)、現状を確認する<CDC_Power_Status>["1",25mA","500mA","5mA"]メッセージ865を送る。
ケーブル34が独自電源によるソース機器11への電流供給を停止する場合は、<CDC_Power_Request_C> ["No Connect","Independet","25mA","0mA","5mA"]メッセージ863をシンク機器21へ送る。ケーブル34によるソース機器11への供給電流変更要求に対しては、シンク機器は予告の<CDC_Power_Notice>["1",25mA","0mA","5mA"]メッセージ864をソース機器11へ送る。
ソース機器は500mAの電流使用を停止させ(ステップ865)、<CDC_Power_Request>["25mA","0mA"]メッセージ866を返信する。シンク機器はその応答として、状態を確認する<CDC_Power_Status>["1","25mA","0mA","5mA"]メッセージ867を送出する。ケーブル34は、メッセージ866または867受信後、ソース機器11への525mAの電流供給を停止させる。
本実施例では、<CDC_Power_Notice_C>メッセージを使用する必要が無く。準備するメッセージの種類を減らせる利点がある。
以上、述べてきたように、本実施例によれば、独自電源を持つケーブルであっても、シンク機器やソース機器との間で、供給電流の調整ができるので、使い勝手のよい伝送システムを構築できる。
他の実施例を図13に示す。図13はケーブルのブロック図である。光送信機41と光受信機51、その間が光ファイバ422、423、電線425から構成されるケーブル束で接続されている。光送信機41とソース機器11、光受信機51とシンク機器21はシンプルなケーブルで接続されている。シンプルなケーブルとは、ケーブル32や34のような電流を消費するものではなく、両端プラグの各対応端子が電線で電気的に接続されたケーブル束をさす。尚、光送信機41がACアダプタ等の独自電源を有する場合や、ソース機器からの電源のみで動作できる場合は、ケーブル425は省略可能である。
光送信機41は、映像受信部412と多重化部411、電気光変換部420、光電気変換部421、DDC通信部(EDID記憶部を含む)413、CEC通信部414、制御部417、電流制限部415、電源回路419、HPD出力416から構成される。
ソース機器11から受信した映像信号を映像受信部412が受信し、多重化部411がその映像信号に制御部から受けた制御情報などを多重化する。多重化部は、RGBの3原色信号をパラレルに受け、それをシリアルに変換して1つのシリアル信号にする機能を持ってもよい。多重化部411の出力信号は電気光変換部420で光信号に変換され、光ファイバ422で光受信機51へ送られる。
多重化部411へ入力される制御情報には、光受信機541の制御動作情報や、CEC通信部414やDDC通信部413の受信情報などが含まれている。電気光変換部421は光受信機から光ファイバ423で送られた光信号を電気信号に変換して制御部417に送り、CEC通信部414やDDC通信部413の送信情報としても使われる。
光受信機51は、光電気変換部520と復号部511、映像送信部512、電気光変換部521、DDC通信部(EDID読出部を含む)513、制御部518、CEC通信部514、電圧検出部515、電源回路519、DDC+5V供給部516、HPD検出部517から構成される。
光送信機41から受信した信号光電気変換部520が電気信号に変換し、復号部511が多情化されていた映像信号と制御情報を復号する。映像信号は映像送信部512からシンク機器21へ送られる。
制御情報は制御部518へ送られ、光受信機51内の制御動作情報や、CEC通信部514とDDC通信部513の送信情報として使われる。光送信機41内の制御動作情報や、CEC通信部514とDDC通信部513の受信情報は、制御部518を通して電気光変換部521へ送られる。電気光変換部521は光信号に変換して光ファイバ423へ送る。
図13と、実施例2や4で説明した図6との主な差異は、DDC通信やCEC通信用の電線に代えて光ファイバでこれらの通信を行い、ケーブル束を簡素化して、長距離伝送しやすくした点である。
図13のDDC通信の伝送は、ソース機器11がEDID情報を読み出す際に、シンク機器21のEDID情報を転送してもよいし、光受信機51のDDC通信部513でシンク機器21のEDID情報を読み出して光送信機41のDDC通信部413へ伝え、DDC通信部413内のEDID記憶部に記憶させたものを伝送してもよい。シンク機器21のEDID情報をそのまま転送する場合は、実施例1〜4で述べたメッセージや引数をそのまま使ってもよい。
図14は、機器の電力供給能力をEDIDに記述した一例を示す。4バイト目と5バイト目に、接続先のソース機器が取得する物理アドレスABCDを記載している。新たに、電力供給能力を記述する領域を9バイト目に追加し、この領域の存在有無を8バイト目の4ビット目Power_presentフラグで示す。
同フラグが"1"の時、電力供給能力の記述が存在する。電力供給能力の記述と同記述領域の存在有無フラグ以外は、シンク機器のEDIDをそのままコピーして自機器のEDID記憶部に記憶させておくことを原則とする。
電力供給能力の記述は、シンク機器とソース機器の間のどこに存在するかを示すConnecting positionと、電力供給種別を示すPower Type、最大供給電流量を示すCurrentから構成している。
Connecting positionは、シンク機器を"00"とし、読出した数値に1を加えて自機器の数値とすることにより、シンク機器につながる順に"01","02","03"とつけられるので、EDIDをコピーして使う為の物理アドレスが重複して接続位置が不明となることを防ぐことができる。尚、"03"を読み込んだ機器は電流消費を禁じ、さらに上流のソース機器へEDIDを伝える場合は、数値を増やさないで"03"のまま記述することによって、誤動作を防ぐ。
Power typeは、電力を供給できないNo powerと、自機器がACアダプタを有するなど電力供給能力を有するOriginal power、自機器の映像出力端子に供給される電力を一部自分で消費して残りを供給するRelay powerを設ける。
Currentは、図8に示した引数と同様に電流値を記述し、Relay power型の場合はシンク機器の供給能力に依存とする。Currentはリアルタイムに変えてもよいが、電流供給量の切換等はCEC通信部などの双方向通信路を用いたメッセージ交換の方がよい。
図15は、ソース機器とシンク機器間に複数の機器が縦続接続されることを想定したメッセージ引数の一例を示している。図10と対比して追加した引数を説明する。CDCメッセージのInitiator Physical Addressを、ソース機器と重複しないように不明の意味を持つ"FFFF"の使用を想定して、引数の最初に2バイト分のソース機器の物理アドレスを記述して、Connecting positionデータと共に、自機器の接続場所を特定して表記できるようにしている。
Connecting position は1〜3で示される3箇所を表記できるので、3機器の使用電流を記述できるよう[Cable Current]を3箇所用意している。説明の都合上、"Cable"と表現しているが、Repeater機器も含んでよい。
具体的なメッセージのやりとりは実施例1〜4と同様であり、省略する。
以上で述べてきたように、本実施例によれば、ソース機器とシンク機器の間に複数のケーブル又はリピータ機器が縦続接続された場合でも、EDID情報の伝達とメッセージの交換電流供給の設定が自動的に形成できる利点がある。
他の実施例を図16に示す。図16は、ソース機器11からシンク機器21へ、無線送信機43と無線受信機53で映像信号を無線伝送する例を示したブロック図である。図13の光ファイバの例と異なるのは、電気光変換の代わりに無線送信部431と無線受信部531を持ち、電力を伝えるUtility線がなく、送信機43内にACアダプタ等の電力供給部418を設けた点である。メッセージやその引数、動作などは実施例5と同様である。
この例では、DDC+5V端子を通じてソース機器11が送信する電力で無線送信部等の電力がまかなえれば、電力供給部418が不要となる。そこで、これまで説明してきた、シンク機器21から電流供給するためのメッセージのやりとりと同様なメッセージをシンク機器21とソース機器11を置き換えて行うことにより、ソース機器11からDDC+5V端子316を通じた電流供給量を、DDC規格に基づく55mAよりも増やすことができる。
このように、シンク機器21やソース機器11が電力を供給することにより、無線受信機53や無線送信機43に必要であった、ACアダプタを省略できるので、使い勝手がよくなる利点がある。
他の実施例を図17に示す。図17は、メッセージの引数を示す表であり、実施例1の図4の表に相当する他の実施例である。図4と異なる点は、ソースとケーブルの電力消費・供給状態表記を組合せて表現することにより誤設定を避け、さらに、実施例5で述べたケーブルの接続位置記述を追加したことである。
シンク機器の電力供給状態を示す[Supply_Power]は、電力供給無しの"No Power"と、ソース機器への電力供給"Power for Source"、ケーブルへの電力供給"Power for Cable"、ソース機器とケーブルへそれぞれ半分づつ電力供給する"Both"を表す。図4では、ケーブルがソースへ電力供給することを認識して設定が必要であったが、図17の例ではその動作が不要な為、シンク機器の動作が軽くなる。
ケーブルの電力消費と供給を示す[C_Power]は、ケーブルでの電力消費なし"None"と、シンク機器の電力を最大まで使う"Consume Full"、半分使う"Consume Half"、シンク機器からの電力を使いながら他のACアダプタ等からの電力をソース機器へ供給する"Consume & Supply"、シンク機器からの電力は使用せずにソース機器へ電力を供給する"Supply only"の5状態を表している。
ケーブルの接続位置情報[Connecting Position]は、実施例5で示したように、ケーブル機器が接続位置を確認できるように、接続毎にEDID内の記憶データを1ずつ増やしていくものである。
この方法では、全てのケーブルが1ずつ増加させる機構を持たせる必要があり、回路規模が増大する。このため、両端がプラグになっているいわゆるケーブルは次段へのEDID伝送時は接続位置情報をコピーするだけとし、両端が差し込み口(レセプタクルコネクタ)になっているいわゆるリピータ機器のみ、接続位置情報を2ずつ増やすとよい。片側が差し込み口でもう一方がプラグである特殊なリピータ機器の場合は、接続情報を1増やすとよい。
位置情報としてメッセージ中に記載する場合、いわゆるケーブルはEDIDから取得した接続位置情報を1増やし、いわゆるリピータ機器は2増やしたものを使うことでこれらの機器がメッセージの[Connecting position]で区別できる。
メッセージ交換の例は実施例1と同様であり、説明は省略する。本実施例に拠れば、誤設定が少なく、接続位置情報伝達の機構を簡略化することができる利点がある。
上記の各実施例によれば、ソース機器への電力供給だけでなく、ケーブルやリピータ機器等の中継機器へ、シンク機器が電力供給をすることができるので、中継機器用にACアダプタ等の電源回路が不要となり、使い勝手の良い機器を提供できる。
さらに、ケーブルやリピータ機器の中継機器で消費した電力の残りまたは中継機器が持つ独自電源の電力を、ソース機器へ供給することができるので、ソース機器用のACアダプタ等の電源回路が不要となり、使い勝手の良い機器を提供できる。