JP2015015336A - 集光型太陽電池 - Google Patents

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市橋 宏基
Hiromoto Ichihashi
宏基 市橋
中川 徹
Toru Nakagawa
徹 中川
林 伸彦
Nobuhiko Hayashi
伸彦 林
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Abstract

【課題】従来よりも高効率な集光型太陽電池を提供することを目的とする。
【解決手段】ここに開示される集光型太陽電池10は、多層構造の太陽電池セル3と、太陽電池セル3に太陽光を集光する集光レンズ1aと、を備える。そして、集光レンズ1aのレンズ面1bは、非軸対称な非球面形状を有する。このような構成により、集光レンズ1aの焦点深度を深くすることができる。これにより、太陽電池セル3の各層に形成されるスポット形状の変化を抑えることができる。
【選択図】図1

Description

本開示は、太陽光発電に用いられる集光型太陽電池に関する。
特許文献1は、集光レンズと太陽電池とを一体化させる一体構造の光学部材を設けることにより、太陽光を無駄なく太陽電池素子に集光させて出力の向上を図った集光型太陽電池を開示している。
国際公開第2012/160994号
本開示は、従来よりも高効率な集光型太陽電池を提供することを目的とする。
本開示にかかる集光型太陽電池は、多層構造の太陽電池素子と、前記太陽電池素子に太陽光を集光するレンズと、を備え、前記レンズは、非軸対称な非球面形状を有する。
本開示によれば、従来よりも高効率な集光型太陽電池を提供することができる。
集光型太陽電池10の構成を示す概略断面図 (a)レンズ201と、非対称な非球面202aを有する位相板とで構成された光学系に光が入射したときの光線を示す概略図(b)位相板202を設置せずレンズ21のみで構成された光学系に光が入射したときの光線を示す概略図 (a)実施例のスポットダイヤグラムを示す図(b)比較例のスポットダイヤグラムを示す図
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、出願人は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
(実施の形態1)
[1.構成]
以下、本実施の形態における集光型太陽電池10について説明する。図1は、本実施の形態にかかる集光型太陽電池10の構成を示す概略断面図である。
図1に示すように、集光型太陽電池10は主として、太陽電池セル3と、太陽電池セル3に太陽光を集光するレンズアレイ1と、で構成されている。
レンズアレイ1は、ガラス基板2と、ガラス基板2上にアレイ状に設けられた複数の集光レンズ1aと、を備える。ガラス基板2と集光レンズ1aは互いに接着固定されている。
また、レンズアレイ1は、入射面1bと、出射面1cを有している。レンズアレイ1に入射した太陽光は、それぞれのレンズ面1bにより集光される。集光された光は、出射面1cから出射する。この出射面1cに、太陽電池セル3が設けられている。
本実施形態の集光レンズ1aは、アクリル樹脂で形成された凸レンズである。集光レンズ1aの材料はアクリル樹脂には限られず、その他の樹脂や、ガラスであってもよい。
太陽電池セル3は、太陽光を吸収する1以上の光吸収材料から形成される。詳細には、太陽電池セル3は、吸収波長帯が異なる複数種類のpn接合が積層された多接合型の構造を備えている。本実施の形態では、3層からなる多接合太陽電池セルを用いており、ほぼすべての太陽スペクトルが吸収される。太陽電池セル3は、ガラス基板2を挟んで集光レンズ1aと対向する位置に配置されている。すなわち、アレイ状に配列された集光レンズ1aに対応して、太陽電池セル3もアレイ状に複数配列されている。
集光型太陽電池10はさらに、撥水膜4、Anisotropic Conductive Film(以下、ACFとする)5配線基板6、放熱板7を有している。
次に本実施の形態における集光型太陽電池10の動作について説明する。太陽光は、集光レンズ1aにより、太陽電池セル3上に集光される。集光レンズ1aと太陽電池セル3は、1対になっており、アレイ状に配列される。集光レンズ1aのレンズ面1bは、非対称な非球面形状であり、波長による集光スポットの形状変化を低減するように形状が決定される。これにより、集光レンズ1aの色収差による太陽電池の発電効率低下を抑制している。太陽電池セル3は、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換する。変換された電気エネルギーは、配線基板6から取り出される。ACF5は、太陽電池セル3の電極と配線基板6の配線を電気的に接続する。また放熱板7により、集光型太陽電池10は、適切な動作温度に保たれる。
太陽電池セル3のガラス基板への接着方法について説明する。
まず、ガラス基板出射面2aに撥水膜4を塗布する。その後、レンズアレイ1に対して波長436nmの平行光をレンズ面1b側から入射させる。この時、平行光の向きは、集光レンズ1aの光軸に一致させる。集光レンズ1aの波長436nmにおける焦点面は、ガラス基板出射面2aに略一致させられている。従って上記平行光は、集光レンズ1aによりガラス基板出射面2aに集光される。
撥水膜4は光が照射された領域が親水性に変化する材料で形成されている。従ってガラス基板出射面2aに塗布された撥水膜は、集光スポットの領域のみが親水性に変化する。この状態で透明接着剤を撥水膜4上に塗布する。透明接着剤は撥水膜4のうち親水性に変化した領域に集まる。この状態で太陽電池セル3を透明接着剤上に配置し接着する。このような行程により、太陽電池セル3を集光レンズ1aの光軸上に正確に配置することが出来る。
[2.レンズ設計]
本実施の形態では、集光レンズ1aのレンズ面1bを非軸対称な非球面形状となるよう設計している。このような設計により、集光レンズ1aの焦点深度が深くなる。集光レンズ1aの焦点深度が深くなることにより、多層型の太陽電池セル3のいずれの層においても、ほぼ同じ形状の集光スポットを形成することができる。したがって、太陽電池セル3の各層における光電変換効率を従来よりも高めることができる。
図2を用いて、非軸対称な非球面の効果について説明する。
図2(a)は、レンズ201と、非対称な非球面202aを有する位相板とで構成された光学系に光が入射したときの光線図を示している。また、図2(a)は、像面203におけるスポットダイヤグラム206、像面204におけるスポットダイヤグラム207,像面205におけるスポットダイヤグラム208を示している。 なお、図2(a)では、レンズ201と位相板202が別部材で構成されているが、本実施形態の集光レンズ1aのレンズ面1bは、レンズ201の光学機能と位相板202の光学機能が重畳された形状となっている。
ここで位相板202の非球面202aは、式(1)で表されるように3次の非球面である。
・・・(1)
式(1)において、SAGZは光軸に沿ったサグ量、x、yは、図2(a)に示す座標系の軸、cは係数である。スポットダイヤグラム206、207、208に示されるように、係数cの値を適切に決定することで、デフォーカスに対するスポット形状の変化が非常に小さく抑えられる。すなわち、焦点深度が深くなる。
図2(b)は、位相板202を設置せずレンズ21のみで構成された光学系に光が入射したときの光線図を示している。また、図2(b)は、像面203におけるスポットダイヤグラム209,像面204におけるスポットダイヤグラム210、像面205におけるスポットダイヤグラム211を示している。
図2(b)から明らかなように、デフォーカスにより、スポットダイヤグラムのサイズが大きく変化している。
従って本実施の形態において、集光型太陽電池10の集光レンズ1aに、図2(a)で説明したような技術を用いた場合、焦点深度が深くなる。これにより、太陽光スペクトルの波長毎の集光スポットの形状変化を低減することが出来る。
ここで、3次の位相板によって焦点深度が深くなる理由について詳細に説明する。レンズに平行光が入射する場合を考えた場合、波面で考えると、平面波を、像面に集束する球面波に変換しているといえる。集束波へのレンズによる変換は、波面上の光軸から遠い部分ほどより大きく波面を前進させることにより実現出来る。集束波の位相は、近似的には式(2)で表される。
・・(2)
ここで、λは光の波長、fはレンズの焦点距離、xは光軸に垂直な方向の位置座標(図2と同じ意味)である。焦点深度を拡大するには、光線の入射位置座標xとともに焦点距離が1次式f+axのように変化すればよい、係数aがfの値に比べ十分小さい場合、式(2)の位相変化は、式(3)のようになり、第2項が3次の位相板に対応していることが分かる。
・・・(3)
このような考えに基づいて、集光レンズ1aのレンズ面1bの形状が設計されている。
(実施例)
[実施例1]
以下実施例について説明する。本実施例において、レンズ面1bの形状は式(4)で表される。
・・・(4)
ここで、zは、光軸に平行なサグ量、cは曲率、kはコーニック定数、cx、cyは係数、x,yは、光軸垂直な位置座標である。
式(4)において、第2項、第3項が位相板の機能である。つまりレンズ面1bは、通常のレンズの機能と位相板の機能を1つの面にかね備えている。
本実施例では、c=0.179211、k=-0.4883、cx=1.1e-3、cy=1.1e-3とした、また集光レンズ1の厚さは10mm、ガラス基板2の厚さは7mmとし、ガラス基板2の材質は、BK7を用いた。
図3(a)に、本実施例における、太陽電池セル3上での各波長毎のスポットダイヤグラムを示す。波長は、400nm、600nm、1000nmの場合を計算している。図から明らかなように、波長による集光スポットの形状変化が小さく抑えられていることが分かる。
[比較例1]
次に比較例として、通常の軸対象の非球面レンズで集光した場合について説明する。レンズ面1bの形状は、式(5)で表される。
・・・(5)
ここで、zは、光軸に平行なサグ量、cは曲率、kはコーニック定数、Aは係数、x,yは、光軸垂直な位置座標である。
本比較例では、c=0.179829、k=-0.44704、A=-0.246272e-5とした。また集光レンズ1aの厚さは10mm、ガラス基板2の厚さは7mmとし、ガラス基板2の材質は、BK7を用いた
図3(b)に本比較例における、太陽電池セル3上での各波長毎のスポットダイヤグラムを示す。波長は、400nm、600nm、1000nmの場合を計算している。図から明らかなように、波長による集光スポットの形状変化が実施例に比べ大きいことが分かる。
本開示は、太陽光発電に用いられる集光型太陽電池素子に適用可能である。
1 レンズアレイ
1a 集光レンズ
1b レンズ面
2 ガラス基板
3 太陽電池セル
4 撥水膜
5 ACF
6 配線基板
7 放熱板
10 集光型太陽電池

Claims (3)

  1. 多層構造の太陽電池素子と、
    前記太陽電池素子に太陽光を集光するレンズと、
    を備え、
    前記レンズは、非軸対称な非球面形状を有する、
    集光型太陽電池。
  2. 前記非球面形状は、
    デフォーカス時におけるスポット形状の変化が略同一となるように位相変調を与える形状である、
    請求項1に記載の集光型太陽電池。
  3. 前記レンズは、
    太陽光が入射する入射面と、
    前記入射した光が出射する出射面とを備え、
    前記入射面は、
    前記非軸対象な非球面形状であり、
    前記太陽電池素子は、
    前記出射面に接着されている、
    請求項1または2に記載の集光型太陽電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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