JP2015015200A - 電子銃および電子顕微鏡 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、電界放出型電子銃及びそれを備える電子顕微鏡において、観察中に引出電圧を変更した場合、電子銃の焦点距離が変化せず、電子銃や電子光学系の再調整を容易にし、観察効率(スループット)を向上することが出来る電子銃及び電子顕微鏡を提供することである。【解決手段】上記の課題に鑑み、本発明は以下の構成を有する。電界放出電子銃において、引出電圧電位とは別の調整電位におかれ、電子源に対して、可変の調整電位が与えられた永久磁石を用いた磁場レンズを有することを特徴とする電界放出電子銃。【選択図】 図2

Description

本発明は、電子銃および電子顕微鏡に関し、特に高輝度な電子線を発生する冷陰極電界放出型(Cold-FE)電子銃およびこのCold-FE電子銃を備えた電子顕微鏡に関する。
電子顕微鏡は電子線を用いて試料の拡大像や構成元素の情報を得る観察装置である。電子顕微鏡はおもに、電子銃、電子光学系、試料ホルダ、検出器、制御装置、電源部の各部からなる。
電子銃は電子線を生成する装置である。電子光学系は、電子銃で発生した電子を試料に輸送し照射する装置である。電子光学系はまた、電子線を電磁レンズにより収束し、また偏向する役割も担っている。試料ホルダは、観察対象となる物質すなわち試料を、電子光学系内の電子線通路上に固定し、必要に応じて移動させる装置である。電子銃、電子光学系は、空気分子と衝突することなく電子線を通過させるために内部が真空に保たれており、そのための真空排気装置を備えている。
試料に照射された電子線を「プローブ電子」と呼ぶ。プローブ電子は、試料を構成する原子との相互作用により、反射電子、二次電子、透過電子、散乱電子、X線等を発生する。検出器は、これらの電子やX線を計測する装置である。
制御装置は、検出器で得られた情報を解析し、試料の拡大像や、試料の元素組成として、オペレーターに見やすい状態に処理し、表示しまたは記録する。制御装置はまた、電源部を制御する役割を担う。
電源部は、電子銃、電子光学系、検出器等の動作に必要な電力を供給するとともに、電子銃、電子光学系、検出器の動作について、精密な制御を行うための装置である。
電子顕微鏡を用いて、より精密な試料拡大像や試料の組成元素分析結果を得るために、電子銃の果たす役割は大きい。
電子銃は、観察に用いる電子を、真空中の自由電子として生成する。電子の生成原理は電子銃の種類によって異なる。電子銃は、電子を電位差により加速することで、運動エネルギーを持つ電子の群すなわち電子線として発生する。
電子源が発生した単位時間あたりの電子線量をエミッション電流と呼ぶ。エミッション電流の一部を絞りによって取り出し、プローブ電子を得る。単位時間あたりのプローブ電子線量をプローブ電流と呼ぶ。試料の詳細構造に関する情報を得るためには、プローブ電子線は、できるだけ細く絞られたものである必要がある。プローブ電子線の試料上における最小半径を「スポット径」と呼ぶ。スポット径が小さいほど、一般には試料の詳細な構造に関する情報が得られる。上記のように、試料の情報はプローブ電子が試料の原子と反応することによって得られるため、短時間で多くの情報を得るためには、時間あたりのプローブ電流がなるべく多いことが望ましい。
プローブ電流をより多く取るための方法として、電子線を制限する絞りの径を大きくする方法がある。これは、エミッション電流のうち、光軸(電子線の仮想的な中心軸として定義される軸)と比較的大きな角度をなすものを新たにプローブ電子として取り込むことに相当する。しかしながら、大角度で放出された電子線は、電子銃や電子光学系が持つ電磁レンズの収差の影響を大きく受け、結果として試料上で細く絞りこむことができなくなり、スポット径が大きくなる。このため、上の二つの要請、スポット径の極小化と、プローブ電流の増大は、通常、相反する関係にある。
電子銃の持つ基本的な性能として「輝度」が定義される。輝度は、プローブ電子線の単位立体角あたり単位面積あたりの電流量として定義される。電子銃の発生する電子線の輝度は、スポット径とプローブ電流の限界を決める重要な性能であり、主として、電子銃の電子線発生原理により支配される値を持つ。
次に、冷陰極電界放出型(Cold-FE)電子銃について説明する。冷陰極電界放出型(Cold-FE)電子銃は、高い輝度を持つ電子銃であり、電子源として、先端を電界研磨によって鋭く尖らせたタングステン単結晶を利用している。電子源に近接して引出電極を置き、電子源と引出電極の間に数キロボルトの引出電圧を印加すると、電子源の先端部に電界集中が起き、高い電界が発生するため、電子源先端から電界放出による電子放射が起きる。放射される電子線量すなわちエミッション電流は、引出電圧と電子源先端部の曲率半径によって定まる。ある一定のエミッション電流を装置利用上の要求条件として与えたとき、電子線源先端部の曲率半径が小さい場合に引出電圧は低くなる。一方、電子源先端部の曲率半径が大きい場合には同等のエミッション電流を得るために高い引出電圧を要する。
電子源先端部の曲率半径が小さく、電子源として〜5nmの小さな領域を仮定することができるため、Cold-FE電子銃は非常に高い輝度を持つ。また、他の電子源に比べ、電界放出にあたり陰極を加熱する必要がないため、生成される電子線のエネルギー幅は相対的に小さい。これは、Cold-FE電子銃によって発生される電子が、電子エネルギーのばらつきによる電子光学系の収差(色収差)の影響を受けにくいということである。
Cold-FE電子銃において、より高輝度、大電流を得るために利用される電子銃形式のひとつとして、磁場界浸型Cold-FE電子銃がある。磁場界浸型Cold-FE電子銃は、バトラー型等の静電レンズではなく、磁場によって電子線を収束する磁場レンズを電子源周辺に設けたものである。静電レンズの代わりに磁場レンズを用いると、電子銃が生成する電子線が、より短焦点で、より低収差なものとなる。磁場界浸型Cold-FE電子銃を採用する利点は、大電流をプローブとして取り出しても、電子銃の収差による輝度低下を引き起こさない点である。特許文献1に示すように、電子源が磁場レンズの中にあるもののほうが、収差は小さく、利点はより大きい。
電子源近傍に磁場レンズを設置する場合、磁場レンズの磁場発生原理として、永久磁石を用いるものが多く採用されている。これは、電子源が通常高電圧下に置かれる電子銃装置の性質上、電子源付近に電磁石を設置し、そのために電流を導入することが技術的に困難であるからである。また、電磁石のコイルは熱を発生し、この熱が電子源付近の真空を悪化させる欠点がある。磁場レンズの磁場発生原理として永久磁石を採用すれば、電源は不要であるし、熱も発生しない。
特開平02-297852号公報 特開2011-243541号公報
一方、磁場界浸型Cold-FE電子銃において、電子線の収束に永久磁石を用いると、電子線の収束位置を容易に変えられないという難点が生じる。これは、永久磁石を用いて作った磁場レンズは、磁場の強さが一定であり、電子線を収束させる、磁場レンズとしての強さも一定であるからである。
電子線は、引出電極によって電子源から引き出され、引出電極電位まで加速されるが、磁場界浸型電子銃において電子線が磁場レンズの影響を最も強く受けるのは、この電子源と引出電極の間の初期加速段階である。したがって、磁場界浸型電子銃の発生する電子線の光学要素は、引出電圧により大きく変化する。
変化する電子光学要素の一例として、仮想光源位置がある。仮想光源位置とは、この場合電子銃における電子線の収束位置であり、電子源よりも下流側にできる場合(実光源)と、上流側にできる場合(虚光源)がある。電子光学系は、電子銃の仮想光源位置に存在する光源を試料上に収束投影する機能を持つため、仮想光源位置の変化は電子光学系の調整によって補う必要がある。
ここで引出電圧は、上記のように、所与のエミッション電流と電子源先端部の曲率半径によって従属的に決まる電圧であるので、電子源先端部の形状変化により変化する。要するに、電子源先端部の物理的形状変化など、避けられない条件の変化により引出電圧が変化するので、移動した仮想光源位置を補うよう、電子銃および電子光学系の再調整を行い、試料上に正しく焦点を結ぶよう調整を行う必要が生じる。しかし、永久磁石ではこの調整を行うことは困難である。
この調整を不要ないし最小にとどめるために、特許文献2においては、ゲッターポンプとフラッシングを併用して長時間引出電圧を一定にする方式を示した。また、他の方法として磁場中での電子源位置を変化させたり、磁場位置を変化させたり、また電場レンズ、電磁レンズによりレンズ効果を変化させ、仮想光源位置を一定に調整せしめる方法がある。
しかし、ゲッターポンプとフラッシングを用いる方法は、長時間にわたり少しずつ電子源先端部の曲率半径が変化することによる仮想光源位置の変化を補えない。電子源位置や磁場位置を変化させる方法は、物理的に構成装置を正確に移動させるため、精密で高価な移動機構が必要となる。電場レンズは磁場レンズに比べて収差が大きいため、界浸型電子銃が持つ高い輝度を損なうことになる。電磁レンズは動作に電流が必要となるため、通常高電圧下に置かれる電子銃装置の性質上、電子源付近に電流を導入し、電磁石を設置することに技術的な困難を伴う。また、電磁石のコイルは熱を発生し、電子源付近の真空を悪化させる欠点がある。
本発明は、電界放出型電子銃及びそれを備える電子顕微鏡において、観察中に引出電圧を変更した場合も、電子銃の焦点距離が変化せず、電子銃や電子光学系の再調整を容易にし、観察効率(スループット)を向上することが出来る電子銃及び電子顕微鏡を提供することである。
上記の課題に鑑み、本発明は以下の構成を有する。電界放出電子銃において、引出電圧電位とは別の調整電位におかれ、電子源に対して、可変の調整電位が与えられた永久磁石を用いた磁場レンズを有することを特徴とする電界放出電子銃。
本発明の電界放出型電子銃は、引出電圧を変化させても電気的な調整で簡単かつ高速に仮想光源位置を保つことができる機能を持つため、長期間にわたる使用においても電子光学系の再調整が必要なく、一定の条件を保ったまま試料の観察を行うことができる。
発明の実施例である電子顕微鏡を示す図 発明の実施例の一例を示す図 発明の実施例において、電子源と磁場レンズの磁場分布、電子線エネルギーの位置を比較し、電子線軌道を模式的に表した図 発明の実施例において、電子源と磁場レンズの磁場分布、電子線エネルギーの位置を比較し、電子線軌道を模式的に表した図 発明の実施例において、電子源と磁場レンズの磁場分布、電子線エネルギーの位置を比較し、電子線軌道を模式的に表した図 発明の実施例において、電子源と磁場レンズの磁場分布、電子線エネルギーの位置を比較し、電子線軌道を模式的に表した図 発明の実施例において、電子源と磁場レンズの磁場分布、電子線エネルギーの位置を比較し、電子線軌道を模式的に表した図
以下、図面を用いて本発明を説明する。
図1に、磁場界浸型Cold-FE電子銃を備えた電子顕微鏡を示す。電子顕微鏡は、電子銃1、電子光学系2、試料ホルダ3、検出器4、制御装置5、電源部6を持つ。図1において、電子銃1と電子光学系2は、それぞれ真空排気装置11、21を持っているが、電子顕微鏡の規模によっては、真空排気装置を一系統のみ備えている場合もあり、またより多数に細分化された多数の真空排気装置を備える場合もある。
電子銃1は電子線10を発生する。電子光学系2は電子線10を収束、偏向させ、試料31に照射する。試料ホルダ3は試料31を保持し、必要に応じて移動、傾斜、交換する。
検出器4は、試料31から発生した反射電子、二次電子、透過電子、散乱電子、X線等を計測する。電源部6は、電子銃1、電子光学系2に電源を供給するとともに、出力を調整し、電子線をオペレーターが要求する状態に制御する。また、検出器4からの情報をデジタル信号に変換する。
制御装置5は、電源系6を通して電子銃1、電子光学系2を制御するとともに、検出器4からの情報を電源系6により処理し、オペレーターに見える形で表示または記録する。図では電源系6を制御・検出系電源61と、電子銃電源62に分けた。
図2に、本発明の実施例である、磁場界浸型Cold-FE電子銃1の構造の詳細を示す。電子銃1は、電子源101(冷陰極電界放出電子源)、引出電極103、加速管105を備え、電子銃電源62と接続され、高い電位が与えられている。引出電極103には、引出電源621により数キロボルトの引出電圧(V1)が印加される。引出電極103と電子源101との電位差のため、また電子源101のするどく尖った先端形状により、電子源101の先端部には強い電場が発生する。この電場により、電子源101より電界放出の原理に基づき放出された電子は、電子源101と引出電極103との電位差によって初期的に加速されながら、第一磁石レンズ120がつくる磁場により収束される。
第一磁石レンズ120により収束された電子線は、次に加速管105に入る。加速管105は、複数の中間電極104、106、107、108、109を備えており、調整電極104は調整電源622によりV2の電圧が与えられている。引出電極103と調整電極104の電位差V2−V1により、電子線はエネルギーV2まで加速され、第二磁石レンズ121を通過する。第二磁石レンズ121がつくる磁場は、電子線を収束する働きを持つ。第二磁石レンズ121により収束された電子線は、以後、加速管105内に備えられた中間電極106、107、108、109を通過しつつさらに加速される。電子源101、引出電極103、調整電極104は、加速電源623によって数百キロボルトの高電圧下にある(V0)。陽極110は接地電位であり、ゼロ電位である。この電位差により電子線が加速され、陽極絞り110を通過した電子はV0のエネルギーを持った電子線となっている。
図3を用いて、2つの磁石レンズ120、121について説明する。図において、実線は軸上磁場強度、点線は一次電子線の軌道、一点鎖線は電子線の運動エネルギーを示したものである。なお、点線の一次電子線の軌道は、光軸からの変動を強調して記載したものであり、実際には、光軸近傍を光学系に衝突することなく通過するものである。以下、図4−6においても同様である。
第一磁石レンズ120は、永久磁石を用いて生成した磁場レンズである。磁場レンズは電子源が置かれた電子銃の中心軸上にベル型の強度を持った軸上磁界を軸と平行な方向に発生するが、これが電子線を収束させる磁場レンズとして働き、電子線を収束させる。電子源は磁場中に置かれているので、磁場レンズと電子源の相対位置を上下させることによって、電子線におよぼす磁場レンズの効果は強く(電子源を上げた場合)または弱く(電子源を下げた場合)調整することができる。電子源を上下させてもよいし、または磁場レンズを上下させてもよい。
一方、第二磁石レンズ121は、永久磁石を内蔵した磁場レンズである。第一磁石レンズ120と同様に中心軸上に軸と平行な磁場を発生する。また、磁石レンズは高圧電源によりV2の電位を与えられ、調整電極として機能する。第一磁石レンズと第二磁石レンズによって発生された磁場の強さの例を図3の実線で示す。
実線は、第一磁石レンズ120及び第二磁石レンズ121で作成される光軸上の磁場を正負を含めて示したものであり、縦軸を光軸上の位置、横軸を軸上磁場強度として記載したものである。
引出電極103は電子源に対しV1の電位を持つため、引出電極を通過した電子線はV1の運動エネルギーを持つ。また、調整電極がV2の電位を持つため、調整電極に近づく電子線は加速または減速され、V2の運動エネルギーを与えられ、第一磁石レンズ121を通過し、第二磁石レンズ121が生成する軸上磁場により収束される。ここでこの収束力は電子線の運動エネルギーV2によって異なる。図3の一点鎖線で引出電極、調整電極により加速された電子線のエネルギーを示した。
結局、電子線の軌道は、図3の点線(強調されている)のような軌道となる。電子線は第一磁石レンズ120と第二磁石レンズ121により収束されるが、その収束力は、それぞれのレンズがつくる磁場を通過するときの電子線のエネルギー(それぞれ概略V1、V2となる)によって変化することになる。
上で述べたように、引出電圧V1は電子線源先端部の曲率半径と所望のエミッション電流により従属的に決まるため、自由に変更できない。しかし、調整電圧V2は所望の収束力が得られるよう、調整することができるパラメーターである。すなわち、第二磁石レンズ121が持つ収束力はV2により装置調整者(または制御装置)により増減可能である。与えられたV1に対し必要なV2を装置調整者が与えるか、または計算により求めるか、あるいはあらかじめ記録された数表を制御装置が参照するか、もしくは所定の仮想光源位置となるようにV2を自動的に測定する機構を設けることで、引出電圧V1がどのような値であっても一定の収束力を与え、仮想光源位置を所望の位置に形成する電子銃を提供することができる。
たとえば、装置使用中、電子源の先端部の曲率半径が増大したとする。このとき、電子源からの放射電流量を同一量確保するためには、曲率半径増大前よりも引出電圧(V1)を上昇させる必要がある。このとき、第一磁石レンズと第二磁石レンズの形成する磁場は変化しないが、第一磁石レンズを通過するときの電子線のエネルギーが、V1の上昇に伴い増大する。ここで、第一磁石レンズの焦点距離は、1/√V1に比例するので、第一磁石レンズの収束力は減少する(焦点距離が長くなる)。
ここで、調整電圧(V2)を低下させる方向に調整すると、電子線が第二磁石レンズを通過するエネルギーも低下するため、第二磁石レンズ中での電子線の収束力は増大する(焦点距離が短くなる)。収束力の増減に応じて、電子線の仮想光源位置も上下するが、V2をV1の上昇分を補うように選ぶことで、V1の増大に際しても、仮想光源位置が変化しないようにすることができる。
図4に、V1が増大した場合のV2の減少と、電子線軌道の変化等について示した。図3に比べ、V1が上昇した結果、第一磁石レンズでの収束力は減っている。かわりにV2を減少させ、第二磁石レンズでの収束力を増したので、電子線の収束位置(仮想光源位置)は変化していない。
以上で示した永久磁石レンズを備えた電子銃は、電子線源を磁場中に置く第一の永久磁石レンズ120が存在しない構造とすることもできる。
図5に電子線源を磁場中に置いていない場合の概念図を示す。この場合、第一磁石レンズ120の収束力は存在せず、電子線は図示されていない電場による収束作用と、第二磁石レンズ121の収束力によって仮想光源位置を持つ。この場合も、電子線収束の大部分を永久磁石レンズで行うことで、磁石レンズがない場合に比べ、収差の少ない電子銃を提供することができる。また、調整電極電位V2を調整することで、引出電圧V1がどのような値であっても、仮想光源位置を所望の位置に調整することができる。
また、第二磁石レンズ121の形状を上に開いたものにするか、第一磁石レンズ120の形状を下に開いたものとするか、または第一磁石レンズ120と第二磁石レンズ121を同一の磁路を共有する形状とすることで、第一磁石レンズ120と第二磁石レンズ121の機能を一つの磁石レンズに担わせることができる。
図6に、たとえば第二磁石レンズ121の形状を上に開いた構造を示す。調整電極電位V2においた第二磁石レンズ121の磁場を、電子源101付近まで伸ばすことができる。このようにすることで、電子源を出た電子線はまず第二磁石レンズ121が電子源付近につくる磁場により初期的に収束され、そののちに調整電極電位付近につくる磁場によって収束される。調整電極電位付近の収束力は磁場レンズ121の電位V2によって調整できるので、結局、収束力をV2により調整することができる。このような形状とすることで、永久磁石レンズが1つで収差を少なくすることができる。かつ引出電圧V1がどのような値であっても、仮想光源位置を所望の位置に調整することができる。
図7に、たとえば第一磁石レンズ120の形状を下に開いた構造を示す。引出電位V1においた第一磁石レンズ120の磁場を、調整電極104付近まで伸ばすことができる。このようにすることで、電子源を出た電子線はまず第一磁石レンズ120が電子源付近につくる磁場により初期的に収束され、そののちに調整電極電位付近につくる磁場によって収束される。調整電極電位付近の収束力は調整電極104の電位V2によって調整できるので、結局、収束力をV2により調整することができる。このような形状とすることで、永久磁石レンズが1つで収差を少なくすることができる。かつ引出電圧V1がどのような値であっても、仮想光源位置を所望の位置に調整することができる。
これらの実施例で記載された実施態様によれば、従来の磁場界浸型Cold-FE電子銃に比べ、収差が少なく、また所望の位置に仮想光源位置を形成できる電子線収束機構を備えた電子銃を提供することができる。結果として、電子銃および電子光学系の再調整頻度を少なくし、安定的で効率のよい(スループットの高い)観察が可能となる電子銃、および電子顕微鏡を提供することができる。
なお、本発明は電子顕微鏡以外の荷電粒子線装置にも用いることが出来る。
1 電子銃
10 電子線
11 電子銃真空排気装置
101 電子源
102 フィラメント
103 引出電極
104 調整電極
105 加速管
106 中間電極
107 中間電極
108 中間電極
109 中間電極
110 陽極
120 第一磁石レンズ
121 第二磁石レンズ
2 電子光学系
21 電子光学系真空排気装置
3 試料ホルダ
31 試料
4 検出器
5 制御装置
6 電源部
61 制御・検出系電源
62 電子銃電源
621 引出電源
622 調整電源
623 加速電源
624 フィラメント加熱電源

Claims (8)

  1. 電界放出電子銃において、
    引出電圧電位とは別の調整電位におかれ、電子源に対して、可変の調整電位が与えられた永久磁石を用いた磁場レンズを有すること
    を特徴とする電界放出電子銃。
  2. 請求項1の電界放出電子銃において、
    電子源を磁場内に配置するための永久磁石を備えた第一の磁場レンズを有することを特徴とする電界放出電子銃。
  3. 請求項1の電界放出電子銃において、
    引出電圧の変化に応じて前記磁石レンズの電極に印加する調整電位を自動的に調整すること
    を特徴とする電界放出電子銃。
  4. 請求項1の電界放出電子銃において、
    前記磁場レンズの磁極が電子源の方向に開放されていること
    を特徴とする電界放出電子銃。
  5. 電界放出電子銃を備えた荷電粒子線装置において、
    電子源に対して、可変の調整電位が与えられた永久磁石を用いた磁場レンズを有すること
    を特徴とする荷電粒子線装置。
  6. 請求項5の荷電粒子線装置において、
    電子源を磁場内に配置するための永久磁石を備えた第一の磁場レンズを有すること
    を特徴とする荷電粒子線装置。
  7. 請求項5の荷電粒子線装置において、
    引出電圧の変化に応じて前記磁石レンズの電極に印加する電圧を自動的に調整すること
    を特徴とする荷電粒子線装置。
  8. 荷電粒子線装置において、
    電子源を磁場内に配置するための永久磁石を備えた磁場レンズを有し、この磁場レンズの磁場が、電子源に対する電位を可変できる調整電極の位置まで伸びており、前記調整電極に印加する電圧を調整することにより所望の位置に一次電子線を収束させること
    を特徴とする荷電粒子線装置。
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