JP2015012348A - 端末装置の遠隔監視方法 - Google Patents

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賢浩 芦
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Abstract

【課題】ユーザ拠点に設置される端末装置において、ファームウェアが動作不能な障害が発生した際も、警報通知フレームを複数の監視制御装置に送信可能とし、また、通知先の変更にも柔軟に対応すること、および端末装置内の故障状態を示す詳細情報を送信することを目的とする。【解決手段】端末装置のファームウェアは、装置起動時に通知先・故障内容毎に予め警報通知フレームを生成し、警報バッファ内に格納しておく。一方ハードウェアは、起動後、ファームウェアが動作不能となる障害を常時監視し、ファームウェア動作不能時には、ファームウェアが格納した警報通知フレームに対して、故障発生時刻情報および装置内詳細情報を追加した上で、フレーム送信トリガを掛けることで警報通知フレームの送信を可能とする。また、通知先アドレス情報の変更があった場合は、ファームウェア制御によりその都度通知先アドレス情報を書き換えることとする。【選択図】 図1

Description

本発明は、広域通信網を介して管理装置(監視制御装置)と通信を行う端末装置の障害発生状況を監視するための端末警報通知方法に関する。
通信キャリアの提供する通信網サービスは、生活及び企業活動における不可欠なインフラとして位置づけられている。近年、L2/L3−VPN(Layer2/Layer3−Virtual Private Network)技術を利用した通信網サービスは、国内全域をカバーするような広域を対象とした通信網サービスへとその提供範囲を拡大している。また、国内のみにとどまらず、企業の海外拠点においてもL2/L3−VPNサービスを利用できる環境を目指して国際的な通信網サービス事業が推進されている。このように国境を跨る通信網サービスの広域化が進む中で、サービス適用範囲の広域化を促進するため、国内通信キャリアが管理する国内/国際通信網と海外通信キャリアが管理する現地通信網とを相互接続してL2/L3−VPNサービスの提供範囲を拡大するケースが増えている。
通信キャリアの提供するL2/L3−VPNのような通信網サービスでは、企業などユーザ(サービス加入者)拠点内に設置され、通信キャリアが管理する回線終端装置、通信キャリアが提供する通信網とユーザ拠点との相互接続点(以下、通信網エッジと称する)に設置される網終端装置、通信網内での長距離伝送を実現する伝送装置で構成される通信システムを用いる。また、これらの通信装置(回線終端装置、網終端装置、伝送装置の総称)を監視および制御するための監視制御装置を備える。
通信網サービスでは一般に高い信頼性と共に高い保守性が求められる。例えば、ユーザの視点からは障害発生から復旧までの時間が短いこと、通信キャリアの視点からは障害復旧のためのコストが低いことが重要な要件となる。網終端装置や伝送装置は通信キャリアが管理する通信網内に設置されるため、監視制御装置による両装置の監視及び制御では、ユーザのデータが流れるサービス網とは隔離された両装置の監視及び制御のみを行う専用の監視制御網を構築することができる。一方、ユーザ拠点内に設置される回線終端装置については、通信キャリアが独自に専用の監視制御網を構築することができないため、ユーザ向けに開放しているサービス網を利用しての監視制御が必要となる。このとき、監視制御装置と回線終端装置とはサービス網を介してそれぞれ異なる拠点に設置されるため、通信プロトコルを利用した監視制御の手段が必要となる。
このような遠隔監視システムで利用可能な監視制御プロトコルとして、例えばIETF(Internet Engineering Task Force)で規定され、L2スイッチやIPルータの監視に用いられるSNMP(Simple Network Management Protocol)技術が知られている。
VPNサービスの回線終端装置は更に、通信キャリアが滞在したり直接現地へ頻繁に赴いたりすることが難しいユーザ拠点内に設置されるため、当該装置に対し遠隔制御システムによる保守性の向上が望まれている。多数の通信装置を管理するため、制御監視装置から個々の通信装置に対し頻繁に状態確認信号を送出する代わりに、監視対象である通信装置が自律的に故障発生などのイベント情報を通知する方法が望ましい。これにより通信網内のトラフィックを低減でき、端末や制御監視装置、及び運用オペレータの処理負荷を低減できる。
このようなイベント通知技術の一つに、特開2006−33415号公報(特許文献1)がある。この公報には、「アドホックネットワークにおける無線端末装置の電源断を他端末へ通知するために、必要な箇所に電圧、電流を供給するエネルギー蓄積領域と、最新のシャットダウンメッセージを作成・保存する手段および、電源断時にシャットダウンメッセージを送出する手段を備える。」と記載されている。本公知例によれば、自装置の故障を近隣の装置に早期に自立的に伝達することにより、故障等により端末が突然ネットワークを離脱することによって発生するネットワークの混乱を最小限に抑えることが可能となる。
特開2006−33415号公報
これまでの通信装置では、電源故障等の障害発生時に、隣接する(物理回線で直接接続される)別の通信装置に対して緊急信号を送信している。この方法では電源断後の装置内残電圧を利用して(予め固定的に設定される)単純な信号だけを送出するため、例えば一つ以上の通信装置を介して更に別の装置へ信号通知するケース、特に他の通信網を介して遠隔地に状態通知するケースには対応できない。広域通信網サービスで自立的な状態通知を行うには、警報通知フレームに警報通知先のMAC(Media Access Control)アドレスやIP(Internet Protocol)アドレス等のネットワーク情報、或いはSNMPプロトコル情報のような、複雑な情報を折り込む必要がある。またこれらの情報はルーティングプロトコル等の働きにより、随時変更される。従ってこれらの情報を含む警報通知処理をハードウェアのみで実現することは困難である。仮に実現した場合、ハードウェアの規模が膨大となりコストの増加を伴う。端末装置はコストが重要なセールスファクタであるため、このコスト要求が通信網サービスの普及に大きな障害となり得る。
さらに、状態通知の宛先となる監視制御装置は通信網サービス毎に単一ではない。例えば国内通信キャリアが海外通信キャリアとの相互接続により海外拠点を含む通信網サービスを展開するようなケースでは、海外拠点に設置する回線終端装置の保守を海外通信キャリアに委託するケースもある。このため、海外通信キャリアの通信網内にも第2の監視制御装置を配備し、国内通信キャリアと海外通信キャリアの双方が回線終端装置の状態監視を行うことが求められる。
通信装置から情報発信するには、ファームウェアによる信号生成が一般的である。しかしながら、例えばCPU(Central Processing Unit)故障のようにファームウェアが動作不能なケースでは、回線終端装置は監視制御装置に対して警報を通知できない。つまり不通の原因が、回線終端装置の故障か伝送路の障害かを判断できず、障害切り分けが困難となる。更に、障害通知後の要因解析に際し、警報通知フレームから得られる情報以外に、回線終端装置内の装置状態を示す詳細情報が必要となるケースがあるため、装置内部情報を選択的に収集及び発行する仕組みが必要である。
以上より、本発明の目的は、回線終端装置(端末装置)におけるハードウェア実装規模の拡大を回避しつつ、ファームウェアが動作不能な場合にも装置状態を外部装置へ通知できる遠隔監視システムを提供することである。
上記課題を解決するため、本願発明の通信装置は、装置の障害を通知するために装置外部へ送出するフレームを格納するバッファと、前記バッファに格納されたフレームを装置外部へ送出する、ハードウェアにより構成された送信処理部と、ファームウェアの動作、もしくは、ファームウェアの実行環境の少なくともいずれかを監視し、ファームウェアの障害を検知すると警報を出力する、ハードウェアにより構成された監視部と、前記監視部からの警報を受けて、前記バッファに格納されたフレームを送出するよう前記送信処理部に指示する、ハードウェアにより構成された送信トリガ生成部と、を有するよう構成される。
本発明により、通信装置がファームウェア動作不能に陥った場合、ハードウェア処理によりメッセージを外部の装置へ送出することが可能となり、当該外部の装置では障害の発生を検知することが可能となる。
通信システム構成例を示すネットワーク図である。 本実施例における端末装置10の機能構成例を示す機能ブロック図である。 警報バッファ1104の構成例及び警報通知フレームの信号構成例を示すテーブル構成図である。 警報バッファ対応テーブル11100の一構成例を示す図である。 警報通知送信トリガ生成部1110の入出力の一例を示す図である。 レジスタ情報管理部1111の入出力の一例を示す図である。 一連の処理の結果、警報バッファ1104に生成される警報通知フレームの信号構成例を示すテーブル構成図である。 端末装置10内の起動時点から警報通知フレーム送信完了間までの一連の動作を示すシーケンス図である。 端末装置10内の障害検知から警報通知フレーム送信完了までの処理の流れを示すシーケンス図である。 警報バッファ1104内の警報通知フレーム情報を更新する処理を示すシーケンス図である。 リセットフレーム終端部1112およびリセット管理部1113の動作例を説明する図である。 網終端装置としてネットワークのエッジにNW(Network)エッジ装置を配備する構成を示す図である。 網終端装置としてネットワークのエッジにNW(Network)エッジ装置を配備した場合の端末装置の構成を示す図である。
以下、実施例を図面を用いて説明する。
本実施例では、L2/L3−VPNサービスを提供する通信システム(以下、VPNシステムと称する)を想定し、回線終端装置(端末装置)におけるファームウェア動作不能時に、監視制御装置宛てに当該端末装置のファームウェア障害に関する警報通知を行う遠隔監視方法について説明する。
図1は、国内通信キャリアが提供する通信網サービス100を海外キャリアが運用するアクセス網40を利用して海外まで広域化する場合の通信システム構成例を示すネットワーク図である。本図は、本発明の実施の形態として想定する遠隔監視システムの基本的な構成を示す。
国内通信キャリアが運用するL2/L3広域ネットワーク(以下、広域ネットワーク)30と海外通信キャリアが運用するアクセス網(以下、アクセス網)40は回線400により相互接続される。接続回線400は広域ネットワーク30の接続装置210とアクセス網40の接続装置310を直接つなぐ回線である。国内通信キャリア或いは海外通信キャリアのいずれかが接続回線400を所有し他方に使用権を与える形が一般的である。通信網サービス100は、国内のユーザ拠点に設置される端末装置10A,10M,海外のユーザ拠点に設置される端末装置10B、10Nを含む。端末装置10A、10B、10M,10Nは、それぞれユーザ収容装置220A,320B,220M,320Nを介して通信網サービス100に接続する。ユーザ収容装置220Aと端末装置10A,ユーザ収容装置320Bと端末装置10Bはそれぞれアクセス回線610A,610Bで接続される。アクセス回線610Aと610Bには、PON(Passive Optical Network)やMC(Media Converter)などの光アクセス回線やEthernet(登録商標)等の物理回線を利用できる。ユーザ収容装置220M,320Nと端末装置10M、10Nの接続についても同様である。
広域ネットワーク30には、広域ネットワーク30の運用管理を行う監視制御装置20Aを備える。監視制御装置20Aは国内通信キャリアの局舎に設置され、広域ネットワーク30の通信状況の監視や、広域ネットワーク30内の通信装置に対する経路設定やQoS(Quality of Service)設定の展開を行う。アクセス網40には監視制御装置20Bが接続され、監視制御装置20Aと同様にアクセス網40の通信状況の監視や、アクセス網40内の通信装置(端末装置、ユーザ収容装置、接続装置、及び広域ネットワーク30とアクセス網40を構成するL2スイッチやIPルータを含む網構成装置の総称)に対する経路設定やQoS設定の展開を行う。広域ネットワーク40及びアクセス網40に接続される各端末装置10A,10B,10M、10Nは、自装置内で異常状態を検知した場合に、監視制御装置20A或いは20B宛てに警報通知フレームを送信する。保守担当者は、監視制御装置20A或いは20Bを介して端末装置の動作状況を監視することができる。
以下、図1の構成を参照して遠隔監視システムの具体的な動作を説明する。広域ネットワーク30に接続された監視制御装置20Aは、端末装置10A、10M、10B、10Nに対する各種設定を実施するとともに、各端末装置10A,10B,10M、10Nからの警報通知フレームを受信する。一方、海外通信キャリアは、海外キャリア保守エリア50内のみを保守しており、監視制御装置20Bによりアクセス網40に接続された端末装置10B、10Nを制御並びに監視している。また、広域ネットワーク30に接続された端末装置10A、10Mは、広域ネットワーク30に接続された監視制御装置20Aのみへ警報を通知し、アクセス網40に接続された端末装置10B、10Nは、保守を担当する海外通信キャリアへの警報通知と通信網サービス100のサービス主管となる国内通信キャリアへの警報通知が必要となるため、広域ネットワーク30に接続された監視制御装置20A、アクセス網40に接続された20Bの双方へ警報を通知する。図1の中で、警報通知510A,510B,510M,510Nはそれぞれ端末装置10A,10B,10M,10Nから監視制御装置20A宛ての警報通知信号の流れを示しており、警報通知520B、520Nはそれぞれ端末装置10B,10Nが発行する監視制御装置20B宛ての警報通知信号の流れを示す。
なお、図1では国内通信キャリアと海外通信キャリアの相互接続を例にしているが、国内通信キャリア同士の相互接続を利用しても同様の通信網サービスを提供できる。また単一の通信キャリアが自前の通信網を用いて同様の通信システムを構築することもできる。
図2は本実施例における端末装置10の機能構成例を示す機能ブロック図である。端末装置10の警報通知に関する機能は主にハードウェア1100とファームウェア1200で実行される。
本実施例における警報通知に関わるハードウェア機能には、装置故障(ハードウェア障害や誤動作等)や通信障害を検出し記録する内部警報監視部1101、ファームウェア機能の動作状況を監視するファームウェア機能監視部1102、装置内部の時刻を管理する時刻管理部(RTC:Real Time Clock)1103、警報通知フレームを格納する警報通知フレーム送信バッファ(以下、警報バッファ)1104A〜1104N、CPUおよびメモリに電源を供給するオンボード電源の電圧を監視する電圧監視部1106、CPUにクロックを供給する発振器の正常性を監視するCLK監視部1107、CPUおよびメモリ動作の正常性を監視するCPU/メモリ監視部1108、端末装置10外部からの電力供給源である外部入力電源の正常性を監視する入力電源監視部1109、警報通知フレームを送信するためのトリガを生成する警報通知送信トリガ生成部1110、警報通知フレームに装置内の詳細情報を付加するためのレジスタ情報管理部1111、監視制御装置20からのリセットフレームを終端するリセットフレーム終端部1112、リセットフレーム終端部からリセット指示を受け、端末装置10にリセットを掛けるリセット管理部1113、CPUにクロックを供給する発振器1114、CPUおよびメモリに電源を供給するオンボードのCPU/メモリ用電源1115、外部入力電源の異常により電源が供給されなくなった場合に、警報通知フレームを送信するための非常電源を保持する電源保持部1116、警報通知フレーム送信バッファ1104に格納された警報通知フレームの送信を制御する送信処理部1117を含む。なお、CPU/メモリ用電源1115は、外部入力電源から各部へ電源供給されたものの一部であり、外部入力電源の電圧を変換するなどして供給された電源である。
警報通知に関わるファームウェア機能には、内部警報監視部1101を常時監視する警報監視制御部1201、警報通知フレームの宛先アドレスを管理する通知先アドレス管理部1202、装置時刻を管理する時刻管理部1203、警報通知フレームを編集し警報通知フレーム送信バッファ1104に書き込む警報通知編集制御部1204、端末装置10の状態変化を監視し、警報通知フレーム送信バッファ1104に保持される警報通知フレームに対し送信トリガを掛ける警報通知送信制御部1205、ファームウェア1200内の各プロセスの動作状況を常時監視するファームウェアプロセス監視部1206を含む。ファームウェア1200はこれら各機能を実現するための、例えば組み込みソフトウェアで実装され、メモリ等の記憶部に格納された各機能用のプログラムをCPUが読み出して実行するものである。なお、図2におけるハードウェアとしてのCPUやメモリの位置は、ファームウェア1200の機能ブロックの位置と置き換えて考えて良い。
ハードウェア1100の内部警報監視部1101は、既存の通信警報や装置警報を検出するブロックであり、警報監視制御部1201は内部警報監視部1101を周期的に監視している。内部警報監視部1101が通信警報や装置警報といった異常を検出すると、警報監視制御部1201が当該内部警報監視部1101を監視することによって異常の発生を検知し、ファームウェア1200は警報通知フレームを生成するための端末装置10に関する情報収集を行い、収集した情報をハードウェア1100の警報バッファ1104に順次格納する。必要な情報が格納されるとファームウェア1200の警報通知送信制御部1205からハードウェア1100の送信処理部1117に対して警報通知フレーム送信トリガ(読み出し指示)を送り、この送信トリガを受けた送信処理部1117は警報バッファ1104から警報通知フレームを読み出して装置外部へ送出する。
このように、ハードウェア1100の内部警報監視部1101が収集した警報をファームウェア1200の警報監視制御部1201が検出し、その後警報通知編集制御部1204にて警報通知フレームを警報バッファ1104内に作成し、警報通知送信制御部1205が送信トリガをかける方法では、障害検出から警報通知フレーム送信までにファームウェア1200の処理が必要となるため、ファームウェア1200が動作不能な状態となる障害や故障が発生した場合には、監視制御装置20に対して警報通知フレームを送信できない。
このため本実施例では、ファームウェア1200が動作不能な状態となったかどうかをハードウェア1100側で検知するための機能部として、ファームウェア機能監視部1102、電圧監視部1106、CLK監視部1107、CPU/メモリ監視部1108、入力電源監視部1109を備える。また、ファームウェア1200側には、ファームウェアプロセス監視部1206を備え、ファームウェア機能監視部1102にファームウェアのプロセス異常に関する情報を提供するようにしている。これらのうち、ファームウェア1200の動作状態を直接監視するものがファームウェア機能監視部1102、ファームウェアプロセス監視部1206であり、ファームウェア1200の実行環境を監視するものが電圧監視部1106、CLK監視部1107、CPU/メモリ監視部1108、入力電源監視部1109である。ファームウェア1200が正常に動作し得ない状態にある場合に、これら機能部がファームウェア1200の障害や故障もしくはその要因となる現象を検知して、ハードウェア1100の警報通知送信トリガ生成部1110がファームウェア1200の警報通知送信制御部1205に代わって警報通知フレームの送信トリガをかける。
このように本実施例では、端末装置10のハードウェア1100は起動後、ファームウェア機能監視部1102、電圧監視部1106、CLK監視部1107、CPU/メモリ監視部1108、入力電源監視部1109の各監視部にて、ファームウェアが動作不能となる障害要因を常時監視しておく構成とする。
また、ファームウェアの動作を主体として警報通知フレームを作成・送信する場合、通常運用時にはファームウェアは警報を検出してから警報通知フレームを作成する。よってファームウェアの動作を主体とする場合は、ファームウェアに異常が生じて動作不能となると警報通知フレームを生成できない。
このため本実施例の端末装置10は、ファームウェア1200が機能しなくなった場合にも警報通知フレームを送信できるようにするため、端末装置10の運用中には変化しない情報について、例えば起動時などに予め故障内容毎に例えばSNMP等のプロトコルで定められた形式で警報通知フレームを生成し、警報バッファ1104A〜1104Nに格納しておく。図2に示す警報バッファ1104内の書き込み内容のうち、端末装置10の起動時に書き込む情報は、予め保持している通知先アドレス情報1105b(監視制御装置20A又は20Bのアドレス情報)、通知元アドレス情報1105c(当該端末装置10に付与されている、広域ネットワーク30又はアクセス網40内で有効なアドレス情報)、通知元装置情報1105e(端末装置10固有の装置識別情報など)である。警報バッファ1104は、発生した障害の種類を表わす障害内容1105dと同数準備しておく。また、通知先のMACアドレス・IPアドレス等のアドレス情報1105bについては、複数の通知先がある場合は、通知先毎にそれぞれ警報バッファ1104を確保し、警報通知フレームを生成、格納しておく。
このように、障害発生前に、予め故障内容毎・通知先毎の警報通知フレームをファームウェア1200により生成しておき、情報変更があった場合には、その都度ファームウェア処理にて情報を編集することで、ファームウェア1200が動作不能となる故障モードに備える。情報更新があった場合の処理については後述する。
警報通知フレームに含まれる情報のうち障害発生時刻1105aはあらかじめ格納しておくことができない。しかしファームウェア1200異常時は時刻管理部1203は機能しない可能性がある。そこで本実施例の端末装置10は、障害発生時刻をファームウェアに依らず打刻できるよう、ハードウェア1100に時刻管理部(RTC)1103を備え、ファームウェア1200が動作不能時には時刻管理部1203に代わって時刻管理部(RTC)1103が警報通知フレーム送信バッファ1104に障害発生時刻を格納する。
さらに本実施例の端末装置10は、障害・故障発生時の装置内の詳細情報であるレジスタ情報1105fを警報通知フレームに含ませるため、ハードウェア1100側にレジスタ情報管理部1111を備える。障害発生時にレジスタ情報管理部1111は、レジスタ情報1105fを警報通知フレーム送信バッファ1104に格納する。
これらの情報(障害発生時刻1105aおよびレジスタ情報1105f)の警報通知フレームへの格納位置および格納書式は、使用するプロトコルにより一意に決められるため、ハードウェア制御による格納が可能である。
図3は、警報バッファ1104の構成例を示すテーブル構成図である。本図に、端末装置10のファームウェア1200が、例えば起動時などあらかじめ警報バッファ1104に書き込んでおく警報通知フレームの信号構成例を示す。警報バッファ1104にN個のバッファ20001を設け、それぞれのバッファ20001に通知先監視制御装置20A、20Bのアドレス情報である通知先アドレス1105b、端末装置10自身のアドレス情報である通知元アドレス1105cを記入する。ここでは、通知先監視制御装置20AのIPアドレスおよびMACアドレスをX、通知先監視制御装置20BのIPアドレスおよびMACアドレスをYとしている。バッファ1とバッファ2の障害内容20006は同じ「ファームウェアプロセス異常」であるが、通知先アドレス20003が異なるため2つのフレーム用の情報をバッファ1とバッファ2とで格納している。
またファームウェアプロセス異常、CPU/メモリ故障等の障害内容1105d、S/N(Serial Number)等の端末装置自身を特定する通知元装置情報1105eを書き込んでおくこととする。バッファ1とバッファ3は同じ通知先アドレス1105bであるIP=X、MAC=Xを宛先としているが、障害内容20005が異なるため2つのフレーム用の情報をバッファ1とバッファ3で格納している。
なお、この時点(端末装置10の起動時点、或いは端末装置10の正常動作中)では、障害発生時のリアルタイム情報に相当する障害発生時刻1105a及びレジスタ情報1105fについては書き込まれていない。
図4は、警報通知トリガ生成部1110における、警報種別とバッファ番号との対応付けの一例を示す警報バッファ対応テーブル11100のテーブル構成図である。警報通知トリガ生成部1110は、入力電源監視部1109や電圧監視部1106、CLK監視部1107、ファームウェア機能監視部1102、CPU/メモリ監視部1108から、それぞれの機能部が検出した障害情報の通知を受ける。警報バッファ対応テーブル1110は、通知を受けた障害情報から、警報通知フレーム送信バッファ1104内のどのバッファの警報通知フレームを送信すべきかを判断するために使用される。
警報バッファ対応テーブル11100には、障害箇所情報30001と障害検出時にトリガを掛けるバッファ30002の関係性を予め登録しておく。本図の対応関係は、端末装置10を起動した段階で決定できる。そのためには、システムまたは装置の管理者が、どのバッファ1104にどの種類の警報の通知フレームを格納するかをあらかじめ決めておき、初期設定情報の1つとして端末装置10に設定しておく。そして端末装置10の例えば起動時に、ファームウェア1200が初期設定情報を参照して警報バッファ対応テーブル11100を設定することができる。
なお、警報バッファ対応テーブル11100に登録した本関係性は、端末装置10への設定により変更可能とする。端末装置10の運用中に、万が一、いずれかの警報バッファ1104にハードウェア障害が発生した場合には、本テーブルの設定を変更することで対応可能である。例えば、故障した警報バッファ1104に格納されている警報通知フレームを他の正常な警報バッファ1104に格納し、警報バッファ対応テーブル11100においてトリガを掛けるバッファ30002のバッファ識別情報を変更すれば良い。ファームウェア1200が正常に動作している間は、ファームウェア1200が警報バッファ対応テーブル11100を変更・修正してバッファ番号と警報種別の対応関係を適宜変更しても良い。
次に、端末10のファームウェア1200が動作不能となる障害が発生した場合の警報通知に関わる処理について、ファームウェア機能監視部1102がファームウェアプロセス監視部1206を監視することにより検出したファームウェアプロセス異常の場合を例として説明する。
端末装置10のファームウェア1200内にあるファームウェアプロセス監視部1206は、ファームウェア1200内の各プロセスの動作状況を常時監視し、ファームウェアプロセス異常が発生した際は、プロセス異常を検出し本機能ブロック1206内に当該情報を保持する。例えば、警報通知編集制御部1204や、警報通知送信制御部1205のプロセスに異常が発生した場合には、ファームウェア制御による警報通知フレームの送信が不能となるが、その障害情報は、ファームウェアプロセス監視部1206が記録しておき、動作異常が発生しているプロセスを特定できる構成とする。ハードウェア1100内のファームウェア機能監視部1102は、ファームウェア1200内のファームウェアプロセス監視部1206を常時監視しておき、ファームウェアのプロセス異常の有無を確認する。プロセス異常を検出した場合、ファームウェア機能監視部1102は警報通知送信トリガ生成部1110にファームウェアプロセス異常が発生したことを通知する。
図5は、ファームウェアプロセス異常発生時のファームウェア機能監視部1102から警報通知送信トリガ生成部1110へのインプットおよび該入力に対応する警報通知トリガ生成部1110のアウトプットを示す機能ブロック図である。警報通知送信トリガ生成部1110は、ファームウェア機能監視部1102から障害箇所情報8001を受信する。この障害箇所情報8001は、ファームウェアプロセスに異常が生じたことを示す情報である。警報通知送信トリガ生成部1110は、受信した障害箇所情報8001と、図4で示した自身の持つ警報バッファ対応テーブル11100の障害箇所30001とを照合し、トリガを掛ける対象となるバッファ30002を決定する。
警報通知送信トリガ生成部1110は、どの警報バッファ1104にトリガを掛けるかを示す対象バッファ情報8020を送信処理部1117、時刻管理部(RTC)1103、レジスタ情報管理部1111に展開する。これと同時に警報通知送信トリガ生成部1110は、レジスタ情報管理部1111に対しファームウェアプロセスに異常が生じたことを示す障害箇所情報8010を送信する。これを受けたレジスタ情報管理部1111は、障害箇所情報8010に対応するレジスタ情報を警報バッファ1104へ書き込む。本図のエントリ8000の例では警報通知送信トリガ生成部1110は、トリガを掛けるバッファを特定するための対象バッファ情報8020の具体値として「バッファ1/バッファ2」を、障害種別を示す障害箇所情報8010の具体値として「ファームウェアプロセス異常」を、各機能ブロックへそれぞれ展開する。
図6は、ファームウェアプロセス異常発生時の警報通知送信トリガ生成部1110からレジスタ情報管理部1111へのインプットおよび該入力に対応するレジスタ情報管理部1111のアウトプットを示す機能ブロック図である。レジスタ情報管理部1111は、障害箇所情報40001と装置内部アドレス情報40002との対応関係を記憶するレジスタテーブル9100を有する。障害箇所情報40001は、ファームウェアプロセス異常やCPU故障といった障害の種別である。装置内部アドレス情報40002とは、障害箇所情報40001に記憶された障害種別に応じて、その障害の調査等に有用なレジスタ情報を格納する記憶領域の装置内部のアドレスである。
レジスタ情報管理部1111は、警報通知送信トリガ生成部1110から展開された障害箇所情報8010をレジスタテーブル9100の障害箇所40001と照合し、障害箇所情報8010が示す障害種別に応じたレジスタ情報を格納する装置内部アドレス40002を検索する。さらに、警報通知送信トリガ生成部1110から展開された対象バッファ情報8020から、レジスタ情報を書き込むべき警報バッファ1104を特定し、特定した警報バッファ1104内の警報通知フレームに、検索した装置内部アドレス40002で特定されるレジスタ情報を追加する。
ここで、レジスタ情報とはハードウェア1100が検出した通信装置10の異常や障害に関する情報であり、例えばファームウェアプロセス異常や、CPU故障といった障害種別ごとにビット列が構成される。このビット列の各ビットは、0もしくは1のいずれかの値を取ることでさらに詳細な情報を提供する。例えばファームウェアプロセス異常に関するレジスタ情報の3ビット目は、ファームウェア1200の警報通知送信制御部1205のプロセスが稼動している場合は1、停止している場合は0の値を取るというように決めておく。ファームウェア1200のその他のプロセスについてもビット列中の任意のビットにて稼動状態を表わすようにすれば、単にファームウェアプロセスに異常がある、という情報だけではなく、どのプロセスが稼動/停止しているのかといった情報も警報通知フレームにて送信することができる。このように、レジスタ情報とは、通信装置10における障害種別ごとのビット列であり、それぞれのビットに故障や障害の箇所等のさらに詳細な情報を与えたものである。
なお、レジスタ情報の読み方については予め定義しておき、監視制御装置20で受信した警報通知フレームからレジスタ情報が意味する内容を保守者が読み取れるように当該システムを運用する。
また、時刻管理部1103は、警報通知送信トリガ生成部1110から展開されたバッファ情報を元に、警報バッファ1104内の警報通知フレームに自身で管理している時刻情報を障害発生時刻として追加する。これらの処理より、ファームウェアプロセス異常発生時に、警報バッファ1104に格納されている警報通知フレームに、障害発生時刻1105aおよびレジスタ情報1105fの書き込みを実行する。
図7は、図5および図6で説明した一連の警報信号生成並びに警報発行トリガ処理の結果、警報バッファ1104に生成される警報通知フレームの信号構成例を示すテーブル構成図である。本図のテーブル内容は、図3で示した事前作業による警報通知フレーム構成情報に加えて、障害発生時刻1105aおよびレジスタ情報1105f(本図のエントリ10100部分)が書き込まれた状態となる。
本図に示す警報通知フレームの完成とともに、送信処理部1117は警報通知送信トリガ生成部1110から展開された対象バッファ情報8020を参照し、当該バッファに対し、生成完了した警報通知フレームの読み出し指示を発行する。該指示を受けた警報バッファ1104は、送信処理部1117が指定する警報バッファから警報通知フレームを読出し、監視制御装置20A,20Bへ送信する。本図の例では、「バッファ1/バッファ2」から障害発生時刻「YYYY.MM.DD.HH.MM.SS」およびレジスタ情報「0x0010・・・・・・・・01FF」が追加書き込みされた警報通知フレームを送信する。この時の通知先は、IPアドレス=X、MACアドレス=Xを持つ監視制御装置20AおよびIPアドレス=Y、MACアドレス=Yを持つ監視制御装置20Bとなる。
図8は、ファームウェアプロセス異常が発生した場合を想定して、端末装置10内の起動時点から警報通知フレーム送信完了間までの一連の動作を示すシーケンス図である。端末装置10のハードウェア1100およびファームウェア1200が起動(50001)した後、ファームウェア1200は警報通知編集制御部1204にて警報通知フレームを生成する。このため装置状態を確認し、関連するパラメータ(装置情報)を収集する(50002)。警報通知編集制御部1204は収集した装置情報を用いて、ハードウェア1100の警報バッファ1104に、警報通知フレームのうち(障害発生時刻などの)リアルタイム情報を除いた基本情報を書き込む(50003)。以降の処理については、図12のシーケンスを用いて説明する。
図9は、ファームウェアプロセス異常が発生した場合を想定して、端末装置10内の障害検知から警報通知フレーム送信完了までの端末装置10内各機能ブロックにおける処理の流れを示すシーケンス図である。本図では、図5〜図7で説明した障害発生時の一連の処理をまとめて示している。
端末装置10のハードウェア1100内のファームウェア機能監視部1102は、端末装置10の動作中は、ファームウェア1200内のファームウェアプロセス監視部1206を常時監視している(60010)。ファームウェアプロセス監視部1206がプロセス異常を検出すると(60001)、ファームウェア機能監視部1102は、常時監視60011の結果、プロセス異常が発生したことを検出する(60002)。該プロセス異常を検出したファームウェア機能監視部1102は、警報通知送信トリガ生成部1110に障害箇所情報8010を展開する(60012)。警報通知送信トリガ生成部1110は、展開された障害箇所情報8010から警報バッファ対応テーブル11100を検索し(60003)、検索結果である対象バッファ情報8020を時刻管理部1103に展開する(60013−1)。時刻管理部1103は、対象バッファ情報8020で特定される警報通知フレーム送信バッファ1104に、自身の管理している装置内時刻情報を障害発生時刻として書き込む(60015)。
また、警報通知送信トリガ生成部1110は、レジスタ情報管理部1111に対象バッファ情報8020および障害箇所情報8010を展開する(60013−2、60014)。レジスタ情報管理部1111は、展開された障害箇所情報8010から警報通知フレーム送信バッファ1104に書き込むべきレジスタ情報を検索(60004)し、検索結果のレジスタ情報を展開された警報通知フレーム送信バッファ1104に書き込む(60016)。さらに、警報通知送信トリガ生成部1110は、送信処理部1117に対象バッファ情報8020を展開し(60013−3)、送信処理部1117は、対象バッファ情報8020にて特定される警報通知フレーム送信バッファ1104に対して読み出し指示を発行する(60017)。送信処理部1117は、読み出し指示されたバッファから監視制御装置20に対して警報通知フレーム(60018)を送信する(60005)。
なお、図9に示す一連の処理はハードウェア制御で実行されるため、各処理の処理時間(クロック数)はあらかじめ見積もることが可能である。このため、例えば警報通知送信トリガ生成部1110が、送信制御部1117が警報通知フレームに必要な情報が格納される前に当該フレームをの送出トリガを発することを防止するためには、それぞれの処理に必要なクロック数分の待ち時間(Wait)を設けて処理順序を守って各処理を実行すれば良い。
本シーケンスに示す通り、端末装置のハードウェア1100がファームウェアプロセス異常を検出してから警報通知フレームを送信するまでの処理において、動作不能となっているファームウェア1200による制御は介在しない。比較的安定して動作継続できるハードウェア(論理回路)レベルでのトリガを構成することにより、装置状態の変化に伴う機能低下の影響を受けずに、確実に警報通知を発行できる。
これらの手段により、ファームウェアプロセス異常のような、ファームウェアが動作不能となる障害が発生した場合も、警報バッファ1104内の警報通知フレームに障害発生時刻1105aとレジスタ情報1105fを書き込み、監視制御装置20へ警報通知フレームを送信することを可能とする。障害発生時刻1105aおよびレジスタ情報1105fについては、障害発生時のリアルタイムな情報を監視制御装置20へ通知する必要がある。そこで本図に示すように他の警報通知フレーム情報とは独立した処理を採用することで、当該情報の外部装置(監視制御装置20)宛ての通知を実現する。
ここまでの実施例では、ファームウェア機能監視部1102がファームウェアプロセス監視部1206を監視してファームウェアプロセス異常を検出する場合を説明した。本実施例の端末10は、他の障害・異常時にもハードウェア1100による警報通知メッセージの送出が可能である。ファームウェア(プロセス)動作不能となる原因には、CPUおよびメモリに電源を供給するCPU/メモリ用電源1115(オンボード電源)の電圧異常、CPUにクロックを供給する発振器1114のクロック異常、CPUおよびメモリの異常、外部入力電源異常が含まれる。これら異常動作についても、図2に示すように、電圧監視部1106、CLK監視部1107、CPU/メモリ監視部1108、入力電源監視部1109が、それぞれオンボード電源電圧異常、発振器異常、CPU/メモリの動作異常、入力電源電圧異常の有無を監視している。従って、これらの要因に対しても、ここまでに説明したファームウェアプロセス異常の例ケースと同様の処理により監視制御装置20A,20Bに対して警報通知フレームを送信可能である。
次に、警報通知フレームの通知先アドレス変更を行う場合の処理を説明する。警報通知フレームの通知先アドレス変更は、例えば監視制御装置20A、20Bの新規追加や移転等、図1の通信システムにおける監視制御装置20A、20Bの収容変更等があった場合に必要となる。このとき、ファームウェア1200内の通知先アドレス管理部1202では、ARPによるアドレス解決を実施し、変更後の通知先アドレス情報を得る。アドレス解決により得られる新たな監視制御装置20のMACアドレスは、通知先アドレス管理部1202から警報通知編集制御部1204へ展開される。これを受けて警報通知編集制御部1204は、警報バッファ1104内の警報通知フレームの通知先アドレス情報1105bを書き替える。
通知先アドレス情報1105bに限らず、起動時に警報バッファ1104に書き込んだ警報通知フレームの内容に変更があった場合、警報通知編集制御部1204は、その都度警報通知フレームの内容を編集する。これは障害発生時などの警報通知の契機に、ハードウェア処理による迅速性とリアルタイム性を生かした警報通知フレーム発行処理を行うためである。
図10は、警報バッファ1104内の警報通知フレーム情報を更新する処理を示すシーケンス図である。本ケースのように警報通知フレーム情報を更新する場合は、図8に示したシーケンスに対して、変更情報の収集50005および警報通知フレーム編集50006の処理が追加される。
図1〜図10に説明した通信システム構成、装置機能構成、及び処理手順により、ファームウェア動作不良といった、早期に検知、状況特定及び原因究明が困難な障害が発生した場合も、警報通知フレームを複数の監視制御装置20A,20Bに送信することを可能とし、また、通信網サービス100運用中に警報通知フレームの送付先が変更されるケースについても、装置情報を確認し柔軟に対応することができる。更に、ハードウェア1100による内部状態監視及びトリガ生成のための論理回路を活用することにより、端末装置10から離れた場所に設置された監視制御装置20A(20B)に於いても、端末装置の動作状態について、詳細な情報を確認することが可能となる。
以下、さらに高い保守性を実現するため、監視制御端末20から端末装置10に対し、遠隔操作コマンドを用いた状態監視方法を考える。ここでは使用頻度が高い遠隔操作コマンドとして、リセットコマンドを例に説明する。尚、遠隔操作コマンドを導入することにより、保守者は例えば警報通知フレーム内のレジスタ情報1105fからファームウェアが動作不能に陥っている要因を特定することが可能となり、現地(端末装置10の設置場所)に赴くことなく各状況において最適な保守アクションを選択できる。その中でも特に、本発明が想定するファームウェアプロセス異常のような暫時的な障害に対しては、端末装置10が設置されているユーザ拠点に駆け付けて端末装置10を交換するという古典的な復旧手段に代わるより効率的な方法として、監視制御装置20A(20B)から端末装置10に対して遠隔操作コマンドを用いてリセットを掛け、障害要因を取り去ることが可能である。
本実施例の端末装置10は、ファームウェア動作不能時の対応策として、監視制御装置20A、20Bから遠隔操作コマンドを受信する論理回路を構成する。これらの機能はハードウェア実装であるため、ファームウェア動作異常時であっても主信号系を支えるハードウェア回路が正常動作している限りはコマンド処理が可能である。図2の例では、リセットフレーム終端部1112が監視制御装置20からのリセットフレームを受信して当該フレームを終端する。そしてリセットフレーム終端部1112はリセット管理部1113にリセット指示を行い、リセット管理部1113は装置内の各部にリセットを掛ける。
図11は、端末装置10が監視制御装置20からリセットフレーム11121を受信した時の、リセットフレーム終端部1112およびリセット管理部1113が取り扱うべき信号内容と両機能の相関関係を示す機能ブロック図である。リセットフレーム終端部1112内のヘッダ解析部11121は、監視制御装置20からのリセットフレーム11121のヘッダ60001、60002を解析し、これらヘッダの宛先が自装置であるか否かに応じて、自分が取り込むべきリセットフレームであるかを判断する。リセットコード終端部11122では、リセットフレーム11121内のリセットコード60003を終端し、リセット指示11122をリセット管理部1113へ展開する。リセット管理部1113は、リセット指示11121を受けると端末装置10自身の各部にリセット11123を掛ける。
以上、本実施例の端末装置10は、通常の装置故障や通信障害についての警報通知フレーム生成・送信制御は、従来通りのファームウェア制御とし、例えばCPU故障のような、ファームウェアが動作不能となる障害の場合は、ハードウェア制御により警報通知フレームを生成・送信する。警報通知フレームには、通知先(監視制御装置)のMACアドレス・IPアドレス等のネットワーク情報、通知元のMACアドレス・IPアドレス等のアドレス情報、故障内容情報、故障発生時刻情報、シリアルナンバー等の通知元装置情報、装置内詳細情報を表すレジスタ情報を持たせるものとした。
ファームウェアは、装置起動時に通知先・故障内容毎に予め警報通知フレームを生成し、警報通知フレーム送信バッファ内に格納しておく。一方ハードウェアは、起動後、障害発生時にファームウェアが動作不能となるファームウェア機能、CPUおよびメモリ、CPUにクロックを供給する発振器、CPUおよびメモリに電源を供給するオンボード電源の電圧、外部入力電源の正常性を常時監視し、ファームウェアの動作状態を監視しておく。ファームウェア動作不能時には、ファームウェアが格納した警報通知フレーム送信バッファ内の警報通知フレームに対して、ハードウェアにより故障発生時刻情報および装置内詳細情報を追加した上で、フレーム送信トリガを掛ける。
通知先のMACアドレス・IPアドレス等のネットワーク情報については、複数の通知先がある場合は、通知先毎に警報通知フレームを生成しておき、通知先アドレス情報の変更(ARP(Address Resolution Protocol)テーブルの更新等)があった場合は、その都度警報通知フレーム送信バッファ内の通知先アドレス情報を書き換えることとした。他にも、通知内容の変更があった場合には、その都度警報通知フレームの内容を編集しておくこととする。
これらの手段により、ファームウェアが動作不能な故障モードにおいて、警報通知フレームを複数の監視制御装置に送信可能とし、また、通知先の変更にも柔軟に対応すること、および端末装置の状態の詳細情報を送信することが可能となる。
本実施例は、図12に示すように網終端装置としてネットワークのエッジにNW(Network)エッジ装置を配備する構成での例を説明する。
本構成は、NWエッジ装置60が、端末装置10が具備している時刻管理、通知先アドレス管理および監視制御装置20との警報通知プロトコル制御を肩代わりすることにより、端末装置10のハードウェア規模を抑えてコストを低減しつつ、実施例1と同等の効果を達成するものである。
本構成での端末装置10の構成は、図13のようになり、図2と比較してハードウェア1100では時刻管理部(RTC)1103が不要となり、障害発生時に時刻情報を追加書き込みする機能も不要となる。また、警報通知フレームの情報として、通知先アドレス情報、通知元アドレス情報が不要となり、さらに警報通知フレームは、NWエッジ装置60へのみ送信すれば良いため、通知先毎に格納する必要がなくなるため、具備する警報バッファの数を抑えることが可能である。また、ファームウェア1200の機能としては、時刻管理部1203、通知先アドレス管理部1202が不要となる。その他、図2と同一の符号を付された構成については、同一の機能を有し、実施例1と同様の処理となるため説明を省略する。
NWエッジ装置60では、端末装置10から送信された警報通知フレームを終端し、NWエッジ装置を通知元として監視制御装置20へ警報通知フレームを送信する。NWエッジ装置から監視制御装置20へ送信する警報通知フレームには、端末装置10から警報通知フレームを受信した時刻を打刻し、通知元アドレス情報として、NWエッジ装置60自身のMACアドレスおよびIPアドレスを付与する。また通知先アドレス情報は、NWエッジ装置60がARPによるアドレス解決を実施し、監視制御装置20のMACアドレスを得て、警報通知フレームに付与する。これらの情報を監視制御装置20のプロトコルに合わせたフレーム形式にして監視制御装置20へ通知する。
10 端末装置
20 監視制御装置
60 NWエッジ装置
1100 端末装置ハードウェア
1104 警報通知フレーム送信バッファ
1110 警報通知送信トリガ生成部
11100 警報バッファ対応テーブル
1111 レジスタ情報管理部
1117 送信処理部
1200 端末装置ファームウェア

Claims (10)

  1. 装置の障害を通知するために装置外部へ送出するフレームを格納するバッファと、
    前記バッファに格納されたフレームを装置外部へ送出する、ハードウェアにより構成された送信処理部と、
    ファームウェアの動作、もしくは、ファームウェアの実行環境の少なくともいずれかを監視し、ファームウェアの障害を検知すると警報を出力する、ハードウェアにより構成された監視部と、
    前記監視部からの警報を受けて、前記バッファに格納されたフレームを送出するよう前記送信処理部に指示する、ハードウェアにより構成された送信トリガ生成部と、を有することを特徴とする通信装置。
  2. 請求項1に記載の通信装置であって、
    前記フレームごとに、当該フレームの通知先アドレスと、当該フレームの通知元アドレスと、当該フレームにより通知する障害の種別を表わす障害内容と、を障害が起こる前にあらかじめ前記バッファに格納する、ファームウェアにより構成された編集制御部を有し、
    前記送信トリガ生成部は、
    前記障害内容と、当該障害内容を格納するフレームを格納するバッファの識別情報と、の対応関係を保持し、
    前記監視部から警報を受信すると、当該警報に応じた前記障害内容を格納するフレームを格納するバッファを識別する情報を前記送信処理部に送出し、
    前記送信処理部は、前記トリガ生成部から受信した前記バッファを識別する情報で特定されるバッファに格納されたフレームを送出することを特徴とする通信装置。
  3. 請求項2に記載の通信装置であって、
    前記フレームに装置の状態を示すレジスタ情報を格納する、ハードウェアにより構成されたレジスタ情報管理部を有し、
    前記送信トリガ生成部は、前記監視部から警報を受信すると、当該警報に応じた前記障害内容を格納するフレームを格納するバッファを識別する情報を前記レジスタ情報管理部に送出し、
    前記レジスタ情報管理部は、前記トリガ生成部から受信した前記バッファを識別する情報により特定されるバッファに格納されたフレームに前記レジスタ情報を格納することを特徴とする通信装置。
  4. 請求項3に記載の通信装置であって、
    前記送信トリガ生成部は、前記監視部から警報を受信すると、当該警報に応じた前記障害内容を前記レジスタ情報管理部に送出し、
    前記レジスタ情報管理部は、前記トリガ生成部から受信した前記障害内容に応じたレジスタ情報を前記フレームに格納することを特徴とする通信装置。
  5. 請求項4に記載の通信装置であって、
    前記レジスタ情報管理部は、前記障害内容と、前記障害内容の示す種別の障害が生じたときに参照すべきレジスタ情報が格納されている装置内のアドレスと、を対応付けて保持することを特徴とする通信装置。
  6. 請求項2に記載の通信装置であって、
    前記フレームに障害の生じた時刻を格納する、ハードウェアにより構成された時刻管理部を有し、
    前記送信トリガ生成部は、前記監視部から警報を受信すると、当該警報に応じた前記障害内容を格納するフレームを格納するバッファを識別する情報を前記時刻管理部に送出し、
    前記時刻管理部は、前記トリガ生成部から受信した前記バッファを識別する情報により特定されるバッファに格納されたフレームに現在の時刻を格納することを特徴とする通信装置。
  7. 請求項2に記載の通信装置であって、
    ファームウェアのプロセスを監視する、ファームウェアにより構成されたプロセス監視部を有し、
    前記監視部は、前記プロセス監視部がファームウェアのプロセスの異常を検出すると、警報を前記トリガ生成部に送出することを特徴とする通信装置。
  8. 請求項7に記載の通信装置であって、
    前記監視部は、前記ファームウェアが動作するCPUもしくはメモリに供給される電圧もしくはクロックの少なくともいずれかを監視することを特徴とする通信装置。
  9. 請求項7に記載の通信装置であって、
    前記監視部は、CPUもしくはメモリの動作を監視することを特徴とする通信装置。
  10. 請求項7に記載の通信装置であって、
    前記監視部は、外部入力電源を監視することを特徴とする通信装置。
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JP2015192376A (ja) * 2014-03-28 2015-11-02 沖電気工業株式会社 通信装置及び通信方法

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