JP2015012224A - 零相変流器 - Google Patents

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Abstract

【課題】零相変流器および漏電遮断器の組立を容易にするとともに、熱動引き外し部で発生する熱を、安定かつ、より多く放熱することにより、熱動引き外し特性を向上する。
【解決手段】ループ状部6aとこのループ状部6aに連なる一対の脚部とを備えた複数の導体が、互いに隣り合う複数の電路を形成し、ループ状部6aには、検知コイル2を巻いた棒状コア1と、そのコア1を覆う絶縁離間材4が挿入されるとともに、一対の前記脚部は、電気絶縁層でかつ熱伝導層からなる熱電分離材5を挟んで隔てられ熱電分離部6bを形成している。
【選択図】図1

Description

この発明は、零相変流器の構造に関するものである。
従来の零相変流器およびこれを装着した漏電遮断器とその動作は、例えば特許文献1に開示されている。ここに示された零相変流器10は、環状コアの中心孔に複数の導体9を通して、外部につながる端子9aと過電流引き外し部6をつないでいる。過電流引き外し部6は、所定の電流が流れると電路が発熱し、その熱でバイメタル19を曲げることにより、一定の時間後に開閉器を動作させる機構となっている。零相変流器10は、貫通する導体を通らない地絡電流が流れた際の、電路が誘導する磁界の不平衡を検知する装置で、検知駆動回路を通して、開閉器を動作させる漏電遮断動作を行うための不平衡磁界検知センサである。この種の先行技術文献として下記のものがある。
特許第3318583号公報 特開平6-215682号公報 特許第4037094号公報 特許第3585769号公報
上述のような従来の零相変流器を組立てる際、環状コアの中心の円孔に電路をすべて挿入する必要があるが、零相変流器は、漏電遮断器の大きさにより制限されること、および、大型化すると材料費が増加し価格が上昇することにより、より小型の零相変流器が選択されるようになったため、環状コアの中心の円孔が小さくなっていく傾向がある。このため、電路の太さが制限されることになり、組立が困難になるばかりか、電路の長さが増加すると、熱抵抗が増加し、遮断器内部で発生する熱が、端子を通して排熱しにくくなり、結果として漏電遮断器の熱動引き外し特性が低下するという問題があった。
また、すべての導体を円孔内に導くことにより、例えば特許文献2のように、各導体の長さが異なってしまう。そのため、熱動引き外し部で発生する熱の排熱特性が均一にならず、導体ごとに熱動引き外し部を設計しなければならない。これは部品数の増加による価格上昇を招く原因となる。また、電路の形状が複雑となるため、電路を円孔に通す際、電路が挿入しにくくなり、組立てに時間がかかるだけでなく、組立が難しくなるばかりか、組立中に不要な力が電路や零相変流器にかかることで、組立中に電路や零相変流器および周辺の部品が破損することがあった。
これを回避するため、例えば特許文献3のように、導体を分割することで組立を容易にする形状とするものもあるが、この場合も部品点数が増加し、導体を接続する加工工程が追加になるなど価格上昇の原因となるという問題があった。また零相変流器には検知コイルをトーラスの小円周方向に巻く必要がある。このため、特殊な巻線器が必要となり価格上昇の原因となるため、たとえば特許文献4のように零相変流器の環状コア部分を着脱する形状にして巻線を簡略化する方法がとられたが、トーラス部品を分割することにより部品数が増加してしまうため、十分安価な構造とすることができなかった。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、簡便な組立を行うことができる零相変流器と同時に、各導体間の電路長を合わせることで、電路間の排熱特性の差が発生せず、部品点数を削減できると同時に、漏電遮断器に組込んだとき、内部の排熱を良好とし熱動引き外し特性を向上させることができる零相変流器を得ることを目的としている。
この発明に係る零相変流器は、ループ状部とこのループ状部に連なる一対の脚部とを備えた複数の導体が、互いに隣り合う複数の電路を形成し、前記ループ状部には、検知コイルを巻いた棒状コアと、このコアを覆う絶縁離間材が挿入されるとともに、一対の前記脚部は、電気絶縁層でかつ熱伝導層からなる熱電分離材を挟んで隔てられ熱電分離部を形成している。
この発明によれば、零相変流器のコアが棒状であるため、検知コイルの巻線が極めて簡単となり、さらに棒状コアと導体とを組合わせる作業も簡単となる。また、導体形状を共通化することができるため、零相変流器および漏電遮断器の組立費用や部品価格を低減することができる。また、導体の形状により排熱が良好になり、漏電遮断器に組込んだとき、熱動引き外し特性を改善することができるといった従来にない顕著な効果を奏するものである。
この発明の実施の形態1に係る零相変流器を示す斜視図である。 実施の形態1に係る零相変流器の一部を切欠いて示す斜視図である。 実施の形態1の検知コイルの変形例を示す斜視図である。 実施の形態1の導体の変形例を示す斜視図である。 実施の形態1の導体の別の変形例を示す斜視図である。 実施の形態1に係る零相変流器の変形例を示す斜視図である。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る零相変流器を示す斜視図、図2はその一部を切欠いて示す斜視図である。図において、この発明に係る零相変流器は、例えば、パーマロイで形成されたφ6mmの、棒状、例えば円柱からなる棒状コア1を備えている。棒状コア1には、その長手方向に均一のピッチで、素線径φ25μm程度のマグネットワイヤ(銅線)が巻回された検知コイル2が形成されている。検知コイル2の巻始め端2aと巻終わり端2b間は、図2に示すように、電圧計10などにより電圧が検知されるようになされている。棒状コア1および検知コイル2を取巻いて、PBT(ポリブチレンテレフタレート)などの絶縁性・耐熱性のあるプラスチックで形成されたφ10.5mmの絶縁離間材4が設けられる。
棒状コア1、検知コイル2、および絶縁離間材4からなる組立て体の長手方向に沿い、所定の間隔をおいて、3相に対応する同形状の3個の導体6が装着されている。導体6は、例えば厚さ2mm、幅12mmの無酸素銅材で形成されていて、その形状は、絶縁離間材4に密着するループ状部6aと、ループ状部6aに連なる一対の脚部からなる熱電分離部6bと、熱電分離部6bの下端に連なる端部6cとからなっている。導体6は、端子側の端部6c→一方の熱電分離部6b→ループ状部6a→他方の熱電分離部6b→熱動引き外し部側の端部6cに至る電路を構成する。
ループ状部6aに連なる一対の脚部からなる熱電分離部6bの間には、電気絶縁層で且つ熱伝導層であるシート状の熱電分離材5が挿入され、熱電分離材5を挟んで対称に熱電分離部6bからループ状部に至る電路が形成されており、熱動引き外し部側で発生した熱の一部は、それぞれの電路に密着した熱電分離材5を経由する図中矢印Bのように、直接端子側電路に流入する。シート状の熱電分離材5は、良好な熱伝導率を持ちループ状部6aの電路を経由する電流に比して、きわめて少ない電流しか流さないグラファイトシートなど高抵抗材もしくは絶縁材で形成されている。
以上のように構成された零相変流器によれば、導体6の一方の端部6cから他方の端部6cに至る矢印Cで示す電流が流れる際に発生する矢印Aで示す磁界は、電路である導体6のループ状部6a内に挿入された検知コイル2を貫通し、検知コイル2を貫通する磁界の変化に応じた電圧を発生させるが、検知コイル2は3つの電路にまたがって形成されているので、3つの電路以外に漏洩電流がない場合は、それぞれのループ状部6aで誘起される電圧は互いに打ち消される。そのため、検知コイル2の巻始め端2aと巻終わり端2b間の検出電圧は0となる。しかし、漏洩電流が発生すると、誘起される電圧が打ち消されなくなるため、コイル両端に電圧が誘起され、例えば電圧計10の指示から漏電が発生したことを検知できるので、零相変流器動作が可能となる。
検知コイル2は、棒状コア1と絶縁離間材4により、導体6の端部6cから離れたところで、かつループ状部6aの中心に保持されているため、検知コイル2の偏心による磁界変化や、導体6に通じる電路の接続部の磁界乱れの影響を受けにくい。また、ループ状部6aに通じる導体は、熱電分離部6bを対称面にして互いに逆方向に電流が流れるため、熱電分離部6bで発生する磁界は打ち消しあい、検知コイル2に影響を与えることがなく、検知精度が落ちることはない。
熱動引き外し部側で発生した熱は、大部分が導体6に沿って伝導し、ループ状部6aを経由して端部6cから放熱されるが、6%程度の熱は熱電分離部6bを通して矢印Bのように直接端子側に放熱されるため、熱動引き外し部から見た放熱性が向上する。このため、この発明の零相変流器を漏電遮断器に組込んだ場合、熱動引き外し動作が向上する。また、導体6の電路は、3つとも同じ形状となるため、それぞれの熱動引き外し部からみた熱特性は同じとなり、熱動引き外し部の形状も同一にすることができ、部品の種類を削減することができるので、製造コストを低減できる。また、各導体6間は、絶縁離間材4上において一定距離離れており、沿面距離を長くとることができるため相間絶縁も向上する。
零相変流器を組み立てる際、検知コイル2は、棒状コア1の周方向にボビン巻様に巻くため、一般的に使用されている安価な巻線装置を利用でき、かつトーラスに巻く場合に必要な予備的な逆巻動作が不要となるので、より高速に製造が可能となる。また、この零相変流器の組立ての際には、3つの導体6について、ループ状部6aを整列させるように配置した後、ループ状部6aに、一方向から棒状コア1、検知コイル2、および絶縁離間材4からなる組立て体を挿入することで組立が可能であるから、零相変流器と漏電遮断器の組立が極めて簡便かつ速くなり、組立性が向上する。このことで、無理な力が各部品にかからなくなるため、部品の破損も減少する。
また、棒状コア1に巻かれた検知コイル2は、図2に示すように均一のピッチで棒状コア1に巻き付ける形状だけではなく、例えば図3のように、ループ状部6a直下の巻線ピッチを他の部分の巻線ピッチより小さく、集中して巻くようにしてもよく、これにより、ループ状部6aで発生する磁界の強い部分のみ測定することができるようになるため、コイル使用量を低減することができる。また、検知以外の用途、例えば動作確認用コイル11なども設置してよい。
また、導体6の形状は、必ずしもループ状部6aの幅と熱電分離部6bの幅が同じである必要はなく、図5のようにループ状部6aの幅を狭くすると同時に、熱電分離部6bの幅を大きくすることで、隣り合う導体6間の絶縁離間材4上の沿面距離を十分に取ることができ、相間耐圧を向上させることができるとともに、熱電分離部6b経由の放熱量と、ループ状部6aを経由する放熱量の比を調整し、より放熱性を上げることもできる。
また、導体6のループ状部6aは、隣合う導体6との間で同じである必要はなく、3つの導体6の内、両側に位置する導体のループ状部6aを、例えば図6のように、熱電分離部の幅方向中心から片側に偏奇させた形状とすることで、部品種類は増加するものの、零相変流器の長さを減少させることができ、使用材料を低減し価格を低減することが可能となる。
さらにまた、図3のように、パーマロイなど磁性材料で形成された外部シールド12を3個のループ状部6a全体を覆うように取り付けることで、外部磁界の影響を軽減することができ、零相変流器の動作精度を向上させることができる。外部シールド12の形状は、図示のような箱状に限らず、また、望ましくは、密閉型のものとする。なお、外部シールド12の取付け構造は図示していないが、例えば、導体6の取付け面に支持材により取付ける。
以上、この発明を実施の形態により説明したが、この発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形または省略することが可能である。
1 棒状コア、 2 検知コイル、 2a 検知コイルの巻始め端、
2b 検知コイルの巻終わり端、 4 絶縁離間材、
5 熱電分離材、 6 導体、 6a ループ状部、
6b 熱電分離部、 6c 端部、 10 電圧計、
11 動作確認用コイル、 12 外部シールド。

Claims (5)

  1. ループ状部とこのループ状部に連なる一対の脚部とを備えた複数の導体が、互いに隣り合う複数の電路を形成し、前記ループ状部には、検知コイルを巻いた棒状コアと、そのコアを覆う絶縁離間材が挿入されるとともに、一対の前記脚部は、電気絶縁層でかつ熱伝導層からなる熱電分離材を挟んで隔てられ熱電分離部を形成していることを特徴とする零相変流器。
  2. 前記検知コイルは、前記ループ状部に対応する箇所の巻線ピッチを、前記ループ状部間の巻線ピッチより小さくしたことを特徴とする請求項1に記載の零相変流器。
  3. 前記導体は、前記熱電分離部の幅を前記ループ状部の幅より広くしたことを特徴とする請求項1または2に記載の零相変流器。
  4. 前記ループ状部は、前記熱電分離部の幅方向中心から偏奇した位置に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の零相変流器。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の零相変流器の少なくともループ状部を含む部位を磁性体でシールドしたことを特徴とする零相変流器。
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