JP2015011162A - 光学部材、撮像装置及び光学部材の製造方法 - Google Patents

光学部材、撮像装置及び光学部材の製造方法 Download PDF

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明子 武井
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佳範 小谷
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Abstract

【課題】 低反射率特性と防塵特性に優れた光学部材を提供する。
【解決手段】 基材1と、基材1の上に配置された複数の孔を有する多孔質層20と、を備える光学部材であって、多孔質層20の表面に複数の凸部を有し、凸部の幅は多孔質の前記孔の孔径よりも大きく、複数の凸部の間の距離は75nm以上300nm以下である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、基材上に多孔質層を備える光学部材、その光学部材を備えた撮像装置及び光学部材の製造方法に関する。
デジタルカメラ等の撮像装置では、撮影光束をCCDやC−MOS等の撮像素子で受光し、その撮像素子から出力される光電変換信号を画像データに変換して、メモリカード等の記録媒体に記録する。このような撮像装置では、撮像素子の被写体側に、ローパスフィルタや赤外線カットフィルタなどの光学フィルタが配置されている。
特にレンズ交換可能なデジタルカメラでは、シャッタ等の機械的な作動部が光学フィルタ近傍に配置されており、それらの作動部から発生した塵埃等の異物が、光学フィルタに付着することがある。また、レンズ交換時に、デジタルカメラの外部の塵埃等が、レンズマウントの開口からデジタルカメラ本体内に入り込み、光学フィルタに付着することもある。光学フィルタに塵埃が付着すると、その付着部分が黒い点となって撮影画像に写り込んでしまい、撮影画像の品質を低下させてしまうことがある。
特許文献1には、塵埃の付着を抑制するために、光学フィルタの表面にフッ素を含む材料から構成された異物付着防止膜を形成することが開示されている。また、特許文献2には、光透過性部材の上に花弁状アルミナ膜からなる微細凹凸構造を有する防塵膜を形成することが開示されている。
特開2006−163275号公報 特開2007−183366号公報
しかし、特許文献1に記載された異物付着防止膜では、防塵特性は改善されるが、表面の反射率が大きくなってしまう。特許文献2に記載された防塵膜では、機械強度が弱く、簡単に凹凸構造が壊れるため、反射率特性や防塵特性が悪化する場合がある。
本発明の目的は、反射率特性と防塵特性に優れた光学部材、撮像装置および光学部材の製造方法を提供することである。
本発明の光学部材は、基材と、前記基材の上に配置された複数の孔を有する多孔質層と、を備える光学部材であって、前記多孔質層の表面に複数の凸部を有し、前記凸部の幅は、前記多孔質の前記孔の孔径よりも大きく、前記複数の凸部の間の距離は、75nm以上300nm以下であることを特徴とする。
本発明によれば、反射率特性と防塵特性に優れた光学部材、撮像装置および光学部材の製造方法を提供することができる。
本発明の光学部材の一例を示す模式図 液架橋を説明する図 空孔率を説明する図 孔径及び骨格径を説明する図 本発明の光学部材を備えた撮像装置の一例を示す概略図 実施形態1の光学部材の製造方法の一例を示す模式図 実施形態2の光学部材の製造方法の一例を示す模式図 実施例1で作製した光学部材1の表面の形状を示す図 比較例1で作製した光学部材3の表面の形状を示す図 実施例1乃至2、比較例1、基材の反射率の波長依存性を示す図
以下、本発明の実施の形態を示して、本発明を詳細に説明する。本明細書で特に図示または記載されない部分に関しては、当該技術分野の周知または公知技術を適用する。
<光学部材>
本発明の光学部材は、図1で示すように、基材1と、基材1の上に配置された複数の孔10を有する多孔質層20と、を備える光学部材であって、多孔質層20の表面に複数の凸部30を有している。そして、凸部30の幅Laは孔10の孔径Sbよりも大きく、複数の凸部30の間の距離Saは75nm以上300nm以下である。
多孔質層20は、複数の孔10を有する構成のため基材1よりも屈折率が小さくなる。そのため、多孔質層20がない構成よりも、光学部材の表面(多孔質層20側)での反射が抑制されて、反射率が低減される。
また、多孔質層20の表面の凸部30の幅Laが孔10の孔径Sbよりも小さく、複数の凸部30の間の距離Saが75nm以上300nm以下であるため、塵埃との付着力が小さく、高い防塵特性を得ることができる。
防塵特性の向上のメカニズムを本発明者らは以下のように推測している。一般に、表面に凹凸がない場合、表面全体に塵埃を吸引する力(付着力)が発生する。一方、本発明の多孔質層20では、多孔質層20の凸部30にのみ付着力が発生する。
図2は、液架橋による付着力を模式的に示したものである。物体71(もしくは81)と塵埃72間に液体73があると、物体71(もしくは81)と塵埃72間に液架橋が形成され、その液架橋の空気界面の内側(液側)と外側(空気側)で圧力が異なり、液側の圧力の方が低い。空気側の圧力が大気圧に等しく、液側の圧力が大気圧より低い負圧となる。この負圧Pは、式1で表わされる。また、付着力Fは式2で表わされ、負圧Pに塵埃72との接触面積Sをかけた値となる。ここで、Rは、物体71(もしくは81)と塵埃72の間に形成される液体73の空気界面の曲率半径であり、Rは物体71(もしくは81)と液体73の接触領域の半径である。また、接触面積Sは、物体71(もしくは81)の表面積Sと表面における凸部の比率βとの積で表される。σは定数である。
P=σ(1/R−1/R) ・・・式1
F=PS=PSβ ・・・式2
図2(a)は、物体71の表面が平滑な面である場合を示し、Rは塵埃72の半径Rとなる。図2(b)は物体81が表面に複数の凸部を有する場合を示し、この場合Rは凸部の幅の半分R´となる。この凸部の1つが、図1の凸部30に対応する。
付着力を小さくするためには、式1で示すように、RをRの値に近づけること、つまり、物体71(もしくは81)と液体73の接触面積を小さくすればよいことがわかる。
このため、多孔質層20の凸部30の幅Laを小さくすればよい。しかし、凸部30の幅Laが孔10の孔径Sb以下、特に5nmよりも小さくなると、光学部材の機械強度が低くなり簡単に凸部30が壊れるため、反射率特性や防塵特性を維持することが難しくなる。一方、凸部30の幅Laが500nmよりも大きいと凸部30と塵埃72との接触面積が大きくなるため、液架橋による付着力の低減効果を得にくくなる。よって、凸部30の幅Laは5nm以上500nm以下であることが好ましい。さらに、凸部30の幅Laは、5nm以上300nm以下であることがより好ましい。
一方、式2で示すように、表面における凸部の比率βを小さくしても付着力を小さくすることができる。βを小さくするためには、凸部30の幅Laを小さくする他に、凸部30の間の距離Saを大きくすることでも達成することができる。この観点で、凸部30の間の距離Saが75nm以上であることが好ましい。ただし、凸部30の間の距離Saが300nmより大きいと、凸部30の間に液滴が入り込んで、液が凸部30の間で分断されず、凸部30の液架橋の分散効果が得にくくなる。このため、凸部30の間の距離Saは75nm以上300nm以下であることが好ましい。
凸部30の幅Laと凸部30の間の距離Saは以下のように測定することができる。まず、原子間力顕微鏡(以下AFMと略)(E−Sweep、SII社製)を用いて光学部材の表面形状の計測を行う。得られた表面形状の計測データからAFMの走査方向(水平方向)での断面計測像を取得する。得られた画像に対して、高さが5nm以上のものを凸部30とする。なお、ここで5nm以上のものを凸部30とした理由は、液架橋の分散効果が凸部30の高さが5nmより小さい場合では得られず、防塵特性が得られないためである。断面計測像での凸部30の頂点から5nmの位置での凸部30の幅を最低20点測定し、その複数の測定値を平均した値を凸部30の幅Laとする。一方、凸部30の頂点間の距離を最低20点測定し、その複数の測定値を平均した値をSaとする。
複数の凸部30の間の距離に対する凸部30の幅の比La/Saは、1.00よりも小さいことが好ましく、0.60よりも小さいことがより好ましい。La/Saが1.00よりも小さいと、光学部材の表面と付着物との接触面積を十分に減らすことができる。
また、多孔質層20の孔10が多孔質層20の表面(基材1とは反対側の面)に存在していることが好ましい。表面に孔10が露出することで凸部30による液架橋の低下と、孔による液架橋の低下の両方の効果が相乗的に得られるため、高い防塵特性を得ることができる。なお、この場合、図1の孔10以外の部分も図2(b)の凸部に相当する。
多孔質層20としては、本発明を満たしていれば既存のいかなる多孔質材料を使用してもよい。多孔質層20は、相分離現象を利用した多孔質ガラス層、メソポーラスシリカに代表される多孔質シリカ層、多孔質ポリマー層などを用いることができる。その中でも、高い反射率と高い強度の両方を備えている点で、孔径が三次元的につながった構造であるスピノーダル型相分離を利用した多孔質ガラス層を多孔質層20として好適に使用することができる。
「相分離」について、ガラス体に酸化ケイ素、酸化ホウ素、アルカリ金属を有する酸化物を含むホウケイ酸塩ガラスを用いた場合を例に説明する。「相分離」とは、ガラス内部でアルカリ金属を有する酸化物と酸化ホウ素を相分離前の組成より多く含有する相(非酸化ケイ素リッチ相)と、アルカリ金属を有する酸化物と酸化ホウ素を相分離前の組成より少なく含有する相(酸化ケイ素リッチ相)に分離することを意味する。そして、相分離させたガラスをエッチング処理して、非酸化ケイ素リッチ相を除去することでガラス体に多孔構造を形成する。
相分離には、スピノーダル型とバイノーダル型がある。スピノーダル型の相分離により得られる多孔質ガラスの孔は表面から内部にまで連結した貫通孔である。より具体的には、スピノーダル型の相分離由来の多孔構造は、3次元的に孔が絡み合うような「アリの巣」状の構造であり、酸化ケイ素による骨格が「巣」で、貫通孔が「巣穴」にあたる。
一方、バイノーダル型の相分離により得られる多孔質ガラスは、球形に近い閉曲面で囲まれた孔である独立孔が不連続に酸化ケイ素による骨格の中に存在している構造である。
スピノーダル型の相分離由来の孔とバイノーダル型の相分離由来の孔は、電子顕微鏡による形態観察結果より判断され区別されうる。また、ガラス体の組成や相分離時の温度を制御することで、スピノーダル型の相分離かバイノーダル型の相分離かが決まる。
スピノーダル型の相分離由来の多孔構造は、表面から内部にまで連結した三次元網目状の貫通連続孔を有し、熱処理条件を変えることで任意に空孔率を制御することが可能である。この多孔構造では、三次元的に複雑に曲がりながら繋がりあう骨格を有しているため、空孔率を高くしても高い強度を有することができる。したがって、高い空孔率を維持しながらも優れた表面強度を有することができるため、優れた反射防止性能を持ちながら、かつ表面に触れても傷がつきにくい強度をもつ光学部材を提供することが可能となる。
多孔質層20の空孔率は20%以上70%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以上60%以下である。空孔率が20%よりも小さいと多孔質層20の利点を十分に活かすことができず、また、空孔率が70%よりも大きいと、表面強度が低下する傾向にあるため好ましくない。なお、多孔質層20の空孔率が20%以上70%以下であることは、屈折率が1.10以上1.40以下に対応する。
空孔率の測定には下記の測定方法を用いることができる。電子顕微鏡写真の画像を骨格部分と孔部分とで2値化する処理を行う。具体的には走査電子顕微鏡(FE−SEM S−4800、日立製作所製)を用いて加速電圧5.0kVにて骨格の濃淡観察が容易な10万倍(場合によっては5万倍)の倍率で多孔質層20の表面観察を行う。観察された像を画像として保存し、画像解析ソフトを使用して、SEM画象を画像濃度ごとの頻度でグラフ化する。図3は、多孔質層20の画像濃度ごとの頻度を示す図である。図3の画像濃度の下向き矢印で示したピーク部分が前面に位置する骨格部分を示している。ピーク位置に近い変曲点を閾値にして明部(骨格部分)と暗部(孔部分)を白黒2値化する。黒色部分の面積の全体部分の面積(白色と黒色部分の面積の和)における割合について全画像の平均値を取り、空孔率とする。
多孔質層20の孔径Sbは、好ましくは5nm以上50nm以下であり、さらに好ましくは5nm以上20nm以下である。孔径Sbが5nmよりも小さいと多孔質層20の構造の特徴を十分に活かすことができず、孔径Sbが50nmよりも大きいと、表面強度が低下する傾向にあるため好ましくない。さらに、孔径が20nm以下であると、光の散乱が著しく抑制されるので好ましい。また、孔径Sbは、多孔質層20の厚さよりも小さいことが好ましい。
孔径Sbとは、多孔質層20の任意の断面のうち5μm×5μmの領域内にある孔を複数の楕円で近似し、近似したそれぞれの楕円における短径の平均値であると定義する。具体的には、図4(a)に示すスピノーダル型の相分離を利用して形成された多孔質ガラス層の表面の電子顕微鏡写真を用い、孔10を複数の楕円11で近似し、それぞれの楕円における短径12の平均値を求めることで得られる。少なくとも30点以上計測し、その平均値を求める。
多孔質層20の骨格径Lbは、好ましくは5nm以上50nm以下であり、さらに好ましくは5nm以上20nm以下である。骨格径Lbが50nmよりも大きい場合は光の散乱が目立ち、透過率が大きく下がってしまう。また、骨格径Lbが5nmよりも小さいと多孔質層20の強度が小さくなる傾向にある。さらに、骨格径Lbが20nm以下であると、光の散乱が抑制されるので好ましい。また、上記骨格径Lbの範囲内であれば、花弁状の構造と異なり、空孔率が高くても、十分な強度を有するため、反射率特性、防塵特性が安定した光学部材を得ることができる。
骨格径Lbとは、多孔質層20の任意の断面のうち5μm×5μmの領域内にある骨格を複数の楕円で近似し、近似したそれぞれの楕円における短径の平均値であると定義する。具体的には、図4(b)に示すスピノーダル型の相分離を利用して形成された多孔質層20の表面の電子顕微鏡写真を用い、骨格13を複数の楕円14で近似し、それぞれの楕円における短径15の平均値を求めることで得られる。少なくとも30点以上計測し、その平均値を求める。
なお、光の散乱は、光学部材の厚みなどの影響を複合的に受けるため、孔径Sbと骨格径Lbだけで一義的に定まるものではない点に留意する。
多孔質層20の厚さは特に制限はしないが、好ましくは0.1μm以上20.0μm以下であり、より好ましくは0.1μm以上10.0μm以下である。
0.1μmより小さいと、高い空孔率(低屈折率)の効果が得られず、20.0μmよりも大きいと、散乱の影響が大きくなり光学部材として扱いにくくなる。
多孔質層20の厚さは、具体的には、走査電子顕微鏡(FE−SEMS−4800、日立製作所製)を用いて加速電圧5.0kVにて、SEMの像(電子顕微鏡写真)を撮影した。撮影した画像から基材1上の多孔質層20部分の厚さを30点以上計測し、その平均値を用いる。
多孔質層20は、その表面(基材1とは反対側)が上述したような複数の凸部30を有していれば、単層でもよいし複数層で構成されていてもよい。また、多孔質層20全体としては、基材1側から多孔質層20の表面に向かって、空孔率が大きくなる構成であると低反射率の効果がより得られるため好ましい。
本発明の光学部材は、以上説明した部材、構成の他に、各種機能を付与するための層を更に設けることができる。例えば、撥水性を付与するためにフルオロアルキルシランやアルキルシランなどの撥水性膜層を設けたりすることができる。本発明の構造によって、従来成し得なかった防塵特性を実現することができるが、凸部分の表面特性を制御することで、構造と表面特性の相乗効果により、更なる防塵特性を実現することが可能である。
また、基材1と多孔質層20とは接している必要はなく、基材1と多孔質層20との間に中間層が形成されていてもよい。この中間層は、基材1と多孔質層20との間の屈折率を有していることが望ましい。また、中間層の構成は、その屈折率は基材1から多孔質層20に向かって傾斜した単層あるいは積層構成を有していてもよい。中間層は非多孔質でもよい。
基材1としては、目的に応じて任意の材料を使用することができる。基材1としては、例えば石英ガラス、水晶が透明性、耐熱性、強度の観点から好ましい。また、基材1は異なる材料からなる層が積層された構成でもかまわない。また、基材1がローパスフィルタや赤外線カットフィルタ、レンズの材料であってもよい。基材1は非多孔質である。
基材1は透明であることが好ましい。基材1の透過率は可視光領域(450nm以上650nm以下の波長領域)で50%以上であることが好ましく、さらに好ましくは60%以上がよい。透過率が50%よりも小さい場合は光学部材として使用する際に問題が発生する場合がある。また、基材1のヘイズ値は0.2%以下のものが好ましい。
本発明の光学部材は、具体的にはテレビやコンピュータなどの各種ディスプレイ、液晶表示装置に用いる偏光板、カメラ用ファインダーレンズ、プリズム、フライアイレンズ、トーリックレンズなどの光学部材に用いられる。さらには、本発明の光学部材は、それらを用いた撮影光学系、双眼鏡などの観察光学系、液晶プロジェクターなどに用いる投射光学系、レーザービームプリンターなどに用いる走査光学系などの各種レンズなどがに用いることができる。
本発明の光学部材は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラのような撮像装置にも搭載されてもよい。図5は、本発明の光学部材を用いたカメラ(撮像装置)、具体的には、レンズからの被写体像を、光学フィルタを通して撮像素子上に結像させるための撮像装置示す断面模式図である。
撮像装置300は、本体310と、取り外し可能なレンズ320と、を備えている。デジタル一眼レフカメラ等の撮像装置では、撮影に使用する撮影レンズを焦点距離の異なるレンズに交換することにより、様々な画角の撮影画面を得ることができる。本体310は、撮像素子311と、赤外線カットフィルタ312と、ローパスフィルタ313と、本発明の光学部材203と、を有している。なお、光学部材203は、図1で示したように基材1と多孔質層20とを備えている。
また、光学部材203とローパスフィルタ313は一体で形成されていてもよいし別体であってもよい。また、光学部材203がローパスフィルタを兼ねる構成であってもよい。つまり、光学部材203の基材1がローパスフィルタであってもよい。
撮像素子311は、パッケージ(不図示)に収納されており、このパッケージはカバーガラス(不図示)にて撮像素子311を密閉状態で保持している。また、ローパスフィルタ313や赤外線カットフィルタ312等の光学フィルタと、カバーガラスとの間は、両面テープ等の密封部材にて密封構造となっている(不図示)。なお、光学フィルタとして、ローパスフィルタ313および赤外線カットフィルタ312を両方備える例について記載するが、いずれか一方であってもよい。
本発明の光学部材203の表面付近は凹凸構造を有しているので、ゴミ付着抑制などの防塵性能に優れている。
よって、光学部材203が光学フィルタの撮像素子311とは反対側に位置するように配置されている。そして、多孔質層20が基材1よりも撮像素子311から遠くなるように光学部材203が配置されている。言い換えれば、撮像素子311側から基材1、多孔質層20の順に位置するように光学部材203が配置されるのが好ましい。また、光学部材203と撮像素子311とが、光学部材203を透過した像を撮像素子311が撮像できるように互いに配置されている。
また、本発明の撮像装置300は、振動等を与えて塵埃を除去するための塵埃除去装置(不図示)を設けてもよい。塵埃除去装置は、振動部材、圧電素子などを有する構成である。
塵埃除去装置は、撮像素子311と、光学部材203との間であればどの位置に配置されていてもよい。例えば、光学部材203に振動部材が接触するように設けられていてもよいし、ローパスフィルタ313に振動部材が接触するように設けられていてもよいし、赤外線カットフィルタ312に振動部材が接触するように設けられていてもよい。特に、光学部材203に接触して設けられる場合には、本発明の光学部材203は塵埃が付着しにくくなっているため、より効率的に塵埃を除去することができる。
なお、塵埃除去装置の振動部材が光学部材203やローパスフィルタ313、赤外線カットフィルタ312などの光学フィルタと一体形成されていてもよい。また、振動部材が光学部材203で構成されていてもよいし、ローパスフィルタ313、赤外線カットフィルタ312などの機能を有していてもよい。
<光学部材の製造方法>
本発明の光学部材は本発明の範囲を満たす光学部材が作製可能であれば、いかなる製造方法を用いてもよい。以下に本発明の製造方法を説明するが、本発明の光学部材の作製方法を何ら限定するものではない。
本発明の光学部材の製造方法は、基材の上に複数の孔を有する多孔質層を形成する工程と、前記多孔質層の表面に複数の凸部を形成する工程と、を有している。そして、凸部の幅が多孔質の孔の孔径よりも大きく、複数の凸部の間の距離が75nm以上300nm以下となるような凸部が形成される。なお、多孔質層の表面に複数の凸部を形成する工程は、基材の上に複数の孔を有する多孔質層を形成する工程の後に行われてもよいし、基材の上に複数の孔を有する多孔質層を形成する工程の一部の工程と同時に行われてもよい。
(実施形態1)
本実施形態において、光学部材の製造方法の一例について、多孔質層が相分離を利用した多孔質ガラス層である場合を例に挙げて以下に説明する。この場合、多孔質層を形成する工程は以下の工程を有している。
(1)基材1の上に複数のガラス粉体を含むガラス粉体層21を形成する工程
(2)ガラス粉体層21の複数のガラス粉体を融着させて母体ガラス層22を形成する工程
(3)母体ガラス層22を相分離して相分離ガラス層23を形成する工程
(4)相分離ガラス層23をエッチング処理して多孔質ガラス層200を形成する工程
そして、多孔質層(多孔質ガラス層200)の表面に複数の凸部を形成する工程は、工程(4)の後に行われてよいし、工程(4)と同時に行われてもよい。詳細な製造方法を、図6を用いて説明する。
[(1)ガラス粉体層を形成する工程]
まず、図6(a)で示すように、基材1の上に、複数のガラス粉体を含むガラス粉体層21を形成する。このガラス粉体の組成は、光学部材に応じて適宜設定すればよい。
ガラス粉体層21の形成方法としては、例えば、印刷法、スピンコート法、ディップコート法など膜形成が可能な全ての製造方法が挙げられる。この中で、任意のガラス組成のガラス粉体層21を形成するために好適に使用される方法として、スクリーン印刷を用いた印刷法が挙げられる。
以下では、一般的なスクリーン印刷法を用いた方法を例示しながら説明する。スクリーン印刷法では、ガラス粉体をペースト化しスクリーン印刷機を使用して印刷されるため、ペーストの調製が必須である。
ガラス粉体となる基礎ガラスの製造方法は、公知の方法を用いて製造することができる。例えば、各成分の供給源を含む原料を加熱溶融し、必要に応じて所望の形態に成形することにより製造することができる。
相分離性のガラス粉体であるならば、いかなるガラス粉体を使用しても構わない。
加熱溶融する場合の加熱温度は、原料組成等により適宜設定すれば良いが、通常は1350℃以上1450℃以下、特に1380℃以上1430℃以下の範囲が好ましい。
ペーストとして使用するためには、基礎ガラスを粉体化してガラス粉体にする。粉体化の方法は、特に方法を限定する必要がなく、公知の粉体化方法が使用可能である。粉体化方法の一例として、ビーズミルに代表される液相での粉砕方法や、ジェットミルなどに代表される気相での粉砕方法が挙げられる。ペーストには、上記ガラス粉体と共に、熱可塑性樹脂、可塑剤、溶剤等が含まれる。
ペーストに含有されるガラス粉体の割合としては、30.0重量%以上90.0重量%以下、好ましくは35.0重量%以上70.0重量%以下の範囲が望ましい。
ペーストに含有される熱可塑性樹脂は、乾燥後の膜強度を高め、また柔軟性を付与する成分である。熱可塑性樹脂として、ポリブチルメタアクリレート、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチルメタアクリレート、エチルセルロース等が使用可能である。これら熱可塑性樹脂は、単独あるいは複数を混合して使用することが可能である。
ペーストに含有される可塑剤として、ブチルベンジルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジブチルフタレート等があげられる。これらの可塑剤は、単独あるいは複数を混合して使用することが可能である。
ペーストに含有される溶剤として、ターピネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート等が挙げられる。前記溶剤は単独あるいは複数を混合して使用することが可能である。
ペーストの作製は、上記の材料を所定の割合で混練することにより行うことができる。このようにして作製されたペーストをスクリーン印刷法を用いて、基材上に塗布して、ガラス粉体層を形成する。具体的には、ペーストを塗布した後、ペーストの溶媒成分を乾燥・除去することで、ガラス粉体層21を形成する。
溶媒を乾燥・除去する温度、時間は使用する溶媒に応じて適宜、変更することができるが、熱可塑性樹脂の分解温度より低い温度で乾燥することが好ましい。乾燥温度が熱可塑性樹脂の分解温度より高い場合、ガラス粒子が固定されず、ガラス粉体層21にしたときに欠陥が発生する傾向がある。
また、基材1を用いることにより、相分離工程時の熱処理によるガラス層の歪みを抑制する効果や、多孔質ガラス層200の厚みを調整しやすいという効果が得られる。
基材1の軟化温度は、後述する相分離工程での加熱温度(相分離温度)以上であることが好ましく、さらに好ましくは相分離温度に100℃を加算した温度以上である。ただし、基材1が結晶の場合は溶融温度を軟化温度とする。軟化温度が相分離温度よりも低いと、相分離工程時において基材1の歪みが発生することがあるため、好ましくない。
また、基材1は、後述する相分離ガラス層23のエッチングに対する耐性があることが好ましい。例えば、基材1は石英ガラス、水晶を使用することができる。
[(2)母体ガラス層を形成する工程]
次に、図6(b)で示すように、ガラス粉体層21を加熱して、ガラス粉体どうしを融着し、相分離性の母体ガラス層22を基材1の上に形成する。相分離性とは、ある加熱温度で、上述した相分離現象が生じる特性を有することである。
ガラス粉体はガラス転移温度Tg(℃)以上の温度で熱処理することで、融着が可能ではあるが、相分離性のガラス粉体では結晶化温度Tc(℃)以上の温度領域で熱処理することで、膜中の空隙が少なくなり、より均質な膜が形成される。
融着温度はガラスの種類によって適宜定まるため、本発明を何ら限定するものではないが、一般的な相分離ガラスで好適に使用される融着温度は600℃以上1200℃以下であるが、空隙を抑制するために本発明では、結晶化温度以上1200℃以下とする。なお、1200℃よりも高いとガラスの組成が変動し、相分離が発生しないことがある。
ガラス粉体どうしを融着させるための、加熱時間は、加熱温度によって適宜変更することができるが5分間以上50時間以下が好ましい。
融着温度までの昇温速度は、母体ガラス層22に応じて適宜変更することができる。
融着時の加熱方法としては、公知の熱処理方法が使用可能である。熱処理方法の一例として、電気炉、オーブン、赤外放射などが挙げられ、対流型、放射型、電動型などの任意の加熱方式が使用可能である。この中でも特に赤外放射炉がガラス粉体の融着を促進する点で好適に使用される。
また、焼成をする雰囲気は酸素リッチ雰囲気(酸素濃度が50%以上)であると、バインダー樹脂成分を効果的に分解するため、膜中のバインダー樹脂成分由来の空隙を低減することができるためより好ましい。なお、上述したペーストの溶媒成分の除去は、このガラス粉体層を融着時に同時におこなってもよい。
また、母体ガラス層22を形成した後に、母体ガラス層22の表面を平坦化する処理を行ってもよい。具体的には、母体ガラス層22の表面を研磨することが望ましい。またこの平坦化する処理は、後述する相分離ガラス層を形成した後で行ってもよい。表面の平坦化処理は、母体ガラス層22を形成した後のみでもよいし、相分離ガラス層を形成した後のみでもよいし、両方の後でそれぞれ行ってもよい。
[(3)相分離ガラス層を形成する工程]
続いて、図6(c)で示すように、母体ガラス層22を相分離して、相分離ガラス層23を基材1の上に形成する。
相分離ガラス層23を形成するための相分離工程は、より具体的には450℃以上750℃以下の温度で3時間以上100時間以下、保持することにより行われる。この相分離工程での加熱温度は、一定温度である必要はなく、温度を連続的に変化させたり、異なる複数の温度段階を経てもよい。
また、相分離処理時間を制御することで、後述する多孔質ガラス層200の空孔率を調整することができる。
また、光学部材は非常に低いヘイズが必要とされるため、光学部材として利用する際には、多孔質ガラス層200の骨格径や孔などの構造が微細であることが、ヘイズを低減するためには好ましい。
相分離処理の加熱方法としては、公知の熱処理方法が使用可能である。熱処理方法の一例として、電気炉、オーブン、赤外放射などが挙げられ、対流型、放射型、電動型などの任意の加熱方式が使用可能である。
[(4)多孔質ガラス層を形成する工程]
次に、図6(d)で示すように、相分離ガラス層23をエッチング処理して、多孔質ガラス層200を基材1の上に形成する。
エッチング処理によって、相分離されたガラス層の酸化ケイ素リッチ相を残しながら、非酸化ケイ素リッチ相を除去することができ、残った部分が多孔質層の骨格に、除去された部分が多孔質ガラス層200の孔になる。
非酸化ケイ素リッチ相を除去するエッチング処理は、水溶液に接触させることで可溶相である非酸化ケイ素リッチ相を溶出する処理(ウエットエッチング)が一般的である。水溶液をガラスに接触させる手段としては、水溶液中にガラスを浸漬させる手段が一般的であるが、ガラスに水溶液を塗布するなど、ガラスと水溶液が接触する手段であれば何ら限定されない。エッチング処理に必要な水溶液としては、水、酸溶液、アルカリ溶液など、非酸化ケイ素リッチ相を溶出可能な既存の溶液を使用することが可能である。また、用途に応じてこれらの水溶液に接触させる工程を複数種類選択してもよい。
この水溶液としては特に酸溶液が好ましく、例えば塩酸、硝酸等の無機酸が好ましい。酸溶液は通常は水を溶媒とした水溶液を用いるのが好ましい。酸溶液の濃度は、通常は0.1mol/L以上2.0mol/L以下の範囲内で適宜設定すればよい。酸溶液を用いた酸処理工程では、酸溶液の温度を15℃以上100℃以下の範囲とし、処理時間は1時間以上500時間以下とすればよい。
ガラス組成や作製条件によっては、相分離処理後のガラス表面にエッチングを阻害する酸化ケイ素層が厚み20nm乃至30nmで発生する場合がある。この表面の酸化ケイ素層を研磨や酸、アルカリ処理などで除去することもできる。
この中でも特に研磨をすることが光学部材表面の平坦性を確保し、ヘイズ(散乱)を低下させることができるため好ましい。
また、酸溶液やアルカリ溶液などで処理をした後に水処理をすることが好ましい。水処理を施すことで、多孔質ガラス層200の骨格への残存成分の付着物を抑制することができ、より多孔度の高い多孔質層が得られ、かつ、散乱を抑える傾向にある。
水処理工程における温度は、一般的には15℃以上100℃以下の範囲が好ましい。水処理工程の時間は、対象となるガラスの組成、大きさ等に応じて適宜定めることができるが、通常は1時間以上50時間以下とすればよい。
[多孔質層の表面に複数の凸部を形成する工程]
最後に、多孔質ガラス層200の表面に複数の凸部30を形成する。この工程は、多孔質ガラス層200を形成する工程で行われるウエットエッチングと同時に行われてもよいし、多孔質ガラス層200を形成する工程の後に、例えばドライエッチングや機械研磨などの既存のいかなる手法を用いてもよい。その中でも、多孔質ガラス層200を形成する工程において、過エッチングを行うことが好ましい。過エッチングとは、骨格部分の一部をウエットエッチングによって過剰に溶解させることであり、この過エッチングにより、多孔質ガラス層200の表面に凹凸形状(凸部)を形成することを意味する。
本実施形態の製造方法では、ガラス粉体を融着しているため、ガラス粉体間の粒界に起因する組成ずれやガラス粉体由来の凹凸形状が、相分離ガラス層23の表面に残存しやすいと考える。このような相分離ガラス層23に対して過エッチングを行うと、組成ずれの部分や凹凸形状によって過エッチングの度合いが異なり、多孔質ガラス層200の表面に複数の凸部30を容易に形成することができると考える。さらには、過エッチングを行うと、骨格が部分的に溶解するため、多孔質ガラス層200の骨格が低密度化し、空孔率が高くなるため、多孔質ガラス層200の屈折率が低下する。この結果、通常の多孔質ガラス層200よりも更なる低反射率特性を実現できる。
凸部30の幅が多孔質ガラス層200の孔の孔径よりも大きく、複数の凸部30の間の距離が75nm以上300nm以下となるような凸部30を形成するためには、過エッチングの条件は、以下のとおりである。すなわち、上述した多孔質ガラス層200を形成する工程において、エッチング温度を高温にする手法や、エッチング時間を長時間にする手法が挙げられる。具体的には、酸溶液を用いた酸処理工程で、酸溶液の温度を80℃以上100℃以下の範囲、または処理時間を20時間以上500時間以下とすればよい。その中でも、エッチングスピードが速く、相分離ガラス層23の表面の形状に応じて多孔質ガラス層200の表面の凸部30を形成しやすくなるため、エッチング温度を高温にすることが好ましい。
(実施形態2)
多孔質ガラス層200の表面に複数の凸部30を形成するため方法として、実施形態1の他に以下の方法を用いることができる。すなわち、上述した工程(2)において、母体ガラス層の表面に複数の凸部31を形成し、表面の凸部31が保持されたまま、工程(3)、(4)を行う方法である。つまり、本実施形態の光学部材の製造方法は以下の工程を有している。なお、図7に、実施形態2の製造方法の一例を示す。
(1)基材1の上に複数のガラス粉体を含むガラス粉体層21を形成する工程
(2A)ガラス粉体層21の複数のガラス粉体を融着させて母体ガラス層42を形成する工程
(2B)母体ガラス層42の表面に複数の凸部31を形成する工程
(3’)母体ガラス層42を相分離して、複数の凸部32を有する相分離ガラス層43を形成する工程
(4’)相分離ガラス層43をエッチング処理して、複数の凸部30を有する多孔質ガラス層200を形成する工程
工程(2A)と工程(2B)は同時に行ってもよいし、工程(2A)の後に工程(2B)を行ってもよい。工程(2A)と工程(2B)は同時に行う場合、ガラス粉体の組成、ガラス粉体の粒径・粒度分布、ガラス粉体の融着条件(熱処理温度、熱処理時間、昇温速度など)で適宜制御して、母体ガラス層42の表面に複数の凸部31を形成することができる。例えば、昇温速度を大きくすることで、母体ガラス層42の表面に複数の凸部31を形成することができる。
一方、工程(2A)の後に工程(2B)を行う場合、ドライエッチングや機械研磨によって、母体ガラス層42の表面に複数の凸部31を形成することができる。なお、この凸部31とは、多孔質ガラス層200の表面において、凸部30の幅が多孔質ガラス層200の孔の孔径よりも大きく、複数の凸部30の間の距離が75nm以上300nm以下となる凸部である。
このように、相分離処理前に、母体ガラス層42の表面に予め複数の凸部31を形成することで、通常の相分離処理、エッチング処理を行うだけで多孔質ガラス層200の表面に凸部30が形成される。
また、本実施形態は実施形態1と併用することが可能である。
以下に実施例について説明するが、本発明は実施例によって制限されるものではない。
<ガラス粉体の作製例>
仕込み組成が、SiO 63重量%、B 27重量%、NaO 7重量%、Al 3重量%になるように、石英粉末、酸化ホウ素、酸化ナトリウム、及びアルミナの混合粉末を白金るつぼを用いて、1500℃、24時間溶融した。その後、ガラスを1300℃に下げてから、グラファイトの型に流し込んだ。空気中で、約20分間放冷した後、500℃の徐冷炉に5時間保持した後、24時間かけて冷却させガラス体を得た。このガラス体をジェットミルを使用して、粒子の平均粒子径が2.1μmになるまで粉砕を行い、ガラス粉体を得た。
<ガラスペーストの作製例>
上記ガラス粉体 60.0質量部
α−ターピネオール 44.0質量部
エチルセルロース
(登録商標 ETHOCEL Std 200(ダウ・ケミカル社製)) 2.0質量部
上記原材料を撹拌混合し、ガラスペーストを得た。
<実施例1>
本例では、基材の上に多孔質層を有する構造体を以下のように作製した。まず、上記ガラスペーストを50mm×50mmの大きさに切断した厚さ0.5mmの石英基材(株式会社飯山特殊硝子社製)上にスクリーン印刷により塗布した。印刷機はマイクロテック社製、MT−320TVを使用した。また、版は#500の30mm×30mmのベタ画像を使用した。
次いで、100℃の乾燥炉に10分間静置し、溶剤分を乾燥させ、基材の上にガラス粉体層を形成した。そして、このガラス粉体層を、熱処理工程1として昇温速度20℃/minで1000℃まで昇温し、5分間熱処理し、降温速度20℃/minで常温まで降温し、基材の上に母体ガラス層を得た。母体ガラス層を目視にて観察したところ、ガラス粉体層が十分に融着しており、透明な膜を形成していた。
その後に、母体ガラス層を、熱処理工程2として、600℃まで昇温速度20℃/minで600℃まで昇温し、50時間熱処理し、降温速度20℃/minで常温まで降温し、基材の上に相分離ガラス層を得た。その後に、相分離ガラス層の最表面を研磨した。
次に、基材と相分離ガラス層の積層物を、95℃に加熱した1.0mol/Lの硝酸水溶液中に浸漬し、95℃にて24時間静置した。次いで、95℃に加熱した蒸留水中に浸漬し、3時間静置した。溶液から積層物を取り出し、室温(20℃)にて12時間乾燥して光学部材1を得た。得られた光学部材1を観察すると孔径Sbが31nm、骨格径Lbが28nmの多孔質構造が基材の上に確認された。AFMで観察した断面像(図8)から光学部材1の表面に凸部が形成されていることが確認された。凸部の間の距離Saは93nmであり、凸部の幅Laは67nmであった。また、多孔質構造の孔が光学部材1の表面に観察された。
<実施例2,3>
実施例2,3は、作製条件を表1に記載の条件に変更する以外は実施例1と同じ工程を行い、光学部材2,3を得た。
<比較例1>
本比較例は、作製条件を表1に記載の条件に変更する以外は実施例1と同じ工程を行い、光学部材4を得た。光学部材4の断面像(図9)から、多孔質層の表面に凸部が確認されなかった。
なお、実施例1乃至3、比較例1の各光学部材の多孔質ガラス層の構成を表2にまとめた。
<評価>
次に、実施例1乃至3、比較例1の各光学部材、実施例1乃至3、比較例1で用いた石英基材について下記の評価を行った。その結果を表3にまとめた。
<付着力の評価>
AFM(E−Sweep、SII社製)を用いて計測を行った。直径6.1μmポリスチレン粒子を取りつけたカンチレバー(フォースモデルAFMプローブカンチレバー:FM、sQUBE社製)をAFMに取り付け計測した。カンチレバーと試料が接した点をゼロとして、試料を取りつけたスキャナを200nm押し上げてカンチレバーを試料に押しつけた。付着力はカンチレバーを試料から引き離す時に観察できるフォースカーブの形状の変化より求めた。一度の測定で20ヶ所計測し、その平均値を求め、試料とポリスチレン粒子間に起こる付着力とした。測定は25℃、45%の湿度条件下にて行った。
付着力は、ガラス基板をフッ素コートした標準試料を1.00とした時の相対値を付着力指数として表し、比較検討した。標準試料のフッ素コートはキヤノンオプトロン社製の蒸着材料OF−SRを平滑なガラス基板に3nm乃至6nm程度蒸着することにより作製した。
表3から分かるように、比較例1よりも実施例1乃至3では、付着力指数がより小さくなっていることが分かる。
<表面反射率の評価>
レンズ反射率測定機(USPM−RU、オリンパス株式会社製)を用いて、波長領域450乃至650nmの範囲で1nmごとに実施例1乃至3、比較例1の各光学部材、石英基材の表面反射率を測定した。
表面反射率の結果を図10に記す。石英基材の反射率が波長領域450乃至650nmの範囲にわたって約3.3%であった。これに対して、実施例1乃至3、比較例1の各光学部材はその波長領域で0.5%以下であり、さらに、実施例1乃至3では比較例1と比べてより反射率が低下していることが分かる。
1 基材
10 孔
20 多孔質層
203 光学部材

Claims (11)

  1. 基材と、前記基材の上に配置された複数の孔を有する多孔質層と、を備える光学部材であって、
    前記多孔質層の表面に複数の凸部を有し、
    前記凸部の幅は、前記多孔質の前記孔の孔径よりも大きく、
    前記複数の凸部の間の距離は、75nm以上300nm以下であることを特徴とする光学部材。
  2. 前記凸部の幅が、5nm以上500nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学部材。
  3. 前記複数の凸部の間の距離に対する前記凸部の幅の比が、1.00よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学部材。
  4. 前記複数の凸部の間の距離に対する前記凸部の幅の比が、0.60よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学部材。
  5. 前記多孔質の表面に前記孔が存在していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学部材。
  6. 前記多孔質層が、前記多孔質シリカ層であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光学部材。
  7. 前記多孔質層が、前記多孔質ガラス層であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光学部材。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光学部材と、撮像素子と、を備えた撮像装置。
  9. 基材と、前記基材の上に配置された複数の孔を有する多孔質層と、を備える光学部材の製造方法であって、
    基材の上に複数の孔を有する多孔質層を形成する工程と、
    前記多孔質層の表面に複数の凸部を形成する工程と、を有し、
    前記凸部の幅は、前記多孔質の前記孔の孔径よりも大きく、
    前記複数の凸部の間の距離は、75nm以上300nm以下であることを特徴とする光学部材の製造方法。
  10. 前記多孔質層は多孔質ガラス層であり、
    前記多孔質層を形成する工程は、
    基材の上に複数のガラス粉体を含むガラス粉体層を形成する工程と、
    前記ガラス粉体層の前記複数のガラス粉体を融着させて母体ガラス層を形成する工程と、
    前記母体ガラス層を相分離して相分離ガラス層を形成する工程と、
    前記相分離ガラス層をエッチング処理して多孔質ガラス層を形成する工程と、を有することを特徴とする請求項9に記載の光学部材の製造方法。
  11. 前記多孔質層の表面に複数の凸部を形成する工程は、前記多孔質ガラス層を形成する工程と同時に行われることを特徴とする請求項10に記載の光学部材の製造方法。
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