JP2015009793A - 電動パワーステアリング制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】トルクセンサの検出値を用いずにモータ電流を検出する電流センサのショート故障を検出することが可能な電動パワーステアリング制御装置を提供すること。
【解決手段】操舵トルクに応じて、モータの目標電流を決定する目標電流決定手段51aと、目標電流を制限する目標電流制限手段51bと、モータ電流検出手段54により検出された電流が制限された目標電流に追従するようにモータ駆動回路53をPWM駆動してモータの制御を行うモータ制御手段51cと、モータ電流検出手段の故障を検出する故障検出手段51dと、を備え、目標電流制限手段51cは、モータ電流検出手段54が正常な場合にPWM駆動のデューティ比が所定の割合以下となるように前記目標電流を制限し、故障検出手段51dは、デューティ比が前記所定の割合を超えた場合にモータ電流検出手段54の故障を検出することを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は電動パワーステアリング装置の故障検出技術に関する。
車両用のパワーステアリング装置として、運転者のステアリング操作により生じた操舵トルクをモータにより補助する電動パワーステアリング(Electric Power Steering;EPS)装置が知られている。
従来から上記EPS装置に含まれる各種センサ(操舵角センサ、電流センサ等)の故障を検出する技術が様々に提案されている(例えば、特許文献1、2)。
特開2007−261548号公報 特開2011−088521号公報 特開平7−087770号公報
EPS装置は、操舵トルクを検出するトルクセンサや車両の速度を検出する車速センサ等からの信号に基づいてモータを駆動制御し、補助操舵力を与える。その際に、EPS装置は、電流センサにより検出された実際のモータ電流値が操舵トルクや車速に基づいて決定される目標電流に追従するようにモータの駆動制御を行う。
ここで、上記電流センサのショート故障を検出する場合、一般に、該電流センサの検出値と上記トルクセンサの検出値を用いる。これにより、例えば、高速操舵が行われたことによりモータに逆起電力が発生し、電流センサの検出値が略0[A]を示した場合等を排除して、正確に電流センサの故障を検出することができる。
しかしながら、トルクセンサが故障した際に、例えば、操舵角センサやモータの回転角センサ等の検出値に基づいて操舵トルクを推定する等によりモータの駆動電流を制御し、補助操舵力を与える場合がある。このような場合、トルクセンサの検出値を用いることができないため、電流センサのショート故障を正確に検出することができない。
そこで、上記課題に鑑み、トルクセンサの検出値を用いずにモータ電流を検出する電流センサのショート故障を検出することが可能な電動パワーステアリング制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、一実施形態において、本電動パワーステアリング制御装置は、
操舵ハンドルからステアリングシャフトに入力された操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
ステアリング機構に設けられ、操舵アシストトルクを発生するモータと、
前記モータに流れる電流を検出するモータ電流検出手段と、
複数のスイッチング素子によりブリッジ回路を構成して前記モータの駆動を行うモータ駆動回路と、
前記操舵トルク検出手段により検出された前記操舵トルクに応じて、前記モータの目標電流を決定する目標電流決定手段と、
前記目標電流決定手段により決定された目標電流を制限する目標電流制限手段と、
前記目標電流制限手段により制限された目標電流と、前記モータ電流検出手段により検出された電流と、に基づいて、前記検出された電流が前記制限された目標電流に追従するように前記モータ駆動回路の各前記スイッチング素子をPWM駆動して前記モータの制御を行うモータ制御手段と、
前記モータ電流検出手段の故障を検出する故障検出手段と、を備え、
前記目標電流制限手段は、
前記モータ電流検出手段が正常な場合における前記PWM駆動のデューティ比が所定の割合以下となるように前記目標電流決定手段により決定された目標電流を制限し、
前記故障検出手段は、
前記デューティ比が前記所定の割合を超えた場合に前記モータ電流検出手段の故障を検出することを特徴とする。
本実施形態によれば、トルクセンサの検出値を用いずにモータ電流を検出する電流センサのショート故障を検出することが可能な電動パワーステアリング制御装置を提供することができる。
第1の実施形態に係る電動パワーステアリング制御装置1のブロック図である。 第1の実施形態に係る目標電流制限手段51bによる目標電流の制限を説明する図(目標電流制限マップ)である。 第1の実施形態に係る電流センサ54(シャント抵抗54a)故障時におけるスイッチング素子駆動回路52によるモータ駆動回路53のPWM駆動のデューティ比を説明する図である。 第2の実施形態に係る電動パワーステアリング制御装置1のブロック図である。 第2の実施形態に係る電流センサ54(シャント抵抗54a)故障時における操舵角速度ωと推定操舵角速度ωeとの関係を説明する図である。
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態に係る電動パワーステアリング(Electric Power Steering;EPS)制御装置1のブロック図である。
本実施形態に係るEPS制御装置1は、自動車用のEPS装置の制御を行う。該EPS装置は、運転者による操舵ハンドル(不図示)の操作によりステアリングシャフト(不図示)に生じる操舵トルクに応じてモータ6によりアシストトルクを発生させ、運転者の操舵操作を軽減するものである。なお、モータ6によるアシストトルクは、ステアリングシャフトに与えられてもよいし(コラムアシスト)、ラック・ピニオン機構(不図示)のピニオン部分に与えられてもよいし(ピニオンアシスト)、ラック部分に与えられてもよい(ラックアシスト)。
EPS制御装置1は、トルクセンサ(操舵トルク検出手段)2、車速センサ3、操舵角センサ(操舵角速度検出手段)4、ECU(Electric Control Unit)5、モータ6、バッテリ7等を含む。
トルクセンサ2は、運転者による操舵ハンドルの操作によりステアリングシャフトに入力された操舵トルクを検出し、操舵トルク信号をECU5(マイコン51)に出力する。トルクセンサ2は、ステアリングシャフトに設けられ、例えば、磁気誘導式、ホールIC式、ツインレゾルバ式等の操舵トルク検出方式を用いてよい。
車速センサ3は、EPS制御装置1が搭載された車両の車速を検出し、車速信号をECU5(マイコン51)に出力する。
操舵角センサ4は、操舵ハンドルの操舵角を検出し、操舵角信号をECU5(マイコン51)に出力する。また、検出された操舵角を微分(所定周期毎に検出される操舵角の時間変化率を算出)することにより操舵角速度を算出することが可能であり、操舵角センサ4は、操舵角速度検出手段として機能する。
モータ6は、ブラシ付きの直流モータであり、上述のとおり、EPS装置において運転者による操舵ハンドルの操作をアシストする補助操舵力発生手段である。モータ6は、バッテリ7からの電力供給を受け、後述するモータ駆動回路53により駆動される。
バッテリ7は、車載電源である。バッテリ7は、例えば、12V〜14V程度の端子電圧を有する鉛蓄電池等を用いてよい。バッテリ7は、ECU5に電力供給を行う。また、バッテリ7は、ECU5(モータ駆動回路53)を介してモータ6に電力供給を行う。
ECU5は、車載制御ユニットである。該ECU5は、バッテリ7から電力供給を受け、モータ6に電力供給を行う。また、ECU5には、トルクセンサ2、車速センサ3、操舵角センサ4からそれぞれ操舵トルク信号、車速信号、操舵角信号が入力される。ECU5は、操舵トルク信号、車速信号、操舵角信号等に基づいてモータ6の駆動制御を行う。
ECU5は、マイコン(目標電流決定手段、目標電流制限手段、モータ制御手段、故障検出手段)51、スイッチング素子駆動回路52、モータ駆動回路53、電流センサ(モータ電流検出手段)54、モータ電圧検出回路55等を含む。
モータ駆動回路53は、4つのスイッチング素子、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等によりHブリッジ回路として構成される。該Hブリッジ回路の一方の枝路にはスイッチング素子53a、53cが直列接続され、他方の枝路にはスイッチング素子53b、53dが直列接続されている。スイッチング素子53a、53cの接続点は、モータ6の一方の端子に接続され、スイッチング素子53b、53dの接続点は、モータ6の他方の端子に接続される。スイッチング素子53a、53bは、バッテリ7のプラス端子に接続される。また、スイッチング素子53c、53dは、シャント抵抗54aを介してグランド接続される。スイッチング素子53a、53dがオン、スイッチング素子53b、53cがオフの場合、バッテリ7からスイッチング素子53aを介してモータ6に図面上において上から下に向かって電流が流れる(以下、この場合にモータ6が右方向に回転するものとする)。また、スイッチング素子53b、53cがオン、スイッチング素子53a、53dがオフの場合、バッテリ7からスイッチング素子53bを介してモータ6に図面上において下から上に向かって電流が流れる(以下、この場合にモータ6が左方向に回転するものとする)。
スイッチング素子駆動回路52は、PWM(Pulse Width Modulation)制御回路であり、モータ駆動回路53の各スイッチング素子53a〜53dにゲート駆動信号を出力する。スイッチング素子駆動回路52は、後述するマイコン51(モータ制御手段51c)により駆動制御される。スイッチング素子駆動回路52は、モータ6の駆動方向を選択することによりモータ6が発生する補助トルクの方向を選択しながら、スイッチング素子53a〜53dをPWM駆動してモータ6が発生する補助トルクの大きさを制御する。
電流センサ54は、モータ6に流れる電流を検出する。電流センサ54は、シャント抵抗54aとモータ電流検出回路54bを含む。
シャント抵抗54aは、電流を電圧として検出するために設けられる。
モータ電流検出回路54bは、シャント抵抗54aの両端電圧を検出し、該両端電圧とシャント抵抗の抵抗値に基づいて、モータ電流値を検出し、検出電流値をマイコン51に出力する。
モータ電圧検出回路55は、モータ6の両端電圧を検出し、マイコン51に出力する。
マイコン51は、上記操舵トルク信号、車速信号等に基づきモータ6の制御量である電圧指令値を算出して該電圧指令値をPWM駆動のデューティ比に変換し、スイッチング素子駆動回路52、モータ駆動回路53を介して、モータ6の制御を行う処理装置である。マイコン51は、モータ6を制御するための具体的処理を行うプログラムを実行するCPU、上記プログラムを記憶するROM、データを一時的に保存するRAM等を含む。
マイコン51は、目標電流決定手段51a、目標電流制限手段51b、モータ制御手段51c、故障検出手段51dを含む。目標電流決定手段51a、目標電流制限手段51b、モータ制御手段51c、故障検出手段51dは、それぞれに対応するプログラムをCPU上で実行することにより構成される。
目標電流決定手段51aは、操舵トルク信号、車速信号に応じて、モータ6の目標電流(電流の方向含む)を決定する。モータ6が与えるべきアシスト力は、操舵トルクに応じて変化し、また、運転者が操舵ハンドルから入力すべき操舵力は車速によっても変化する。よって、例えば、車速帯毎に操舵トルク(操舵トルクの方向含む)に対する目標電流(電流の方向含む)を決定するマップを予め設定しておき、該マップに基づき目標電流を決定する等してよい。決定された目標電流は、目標電流制限手段51bに入力される。
目標電流制限手段51bは、目標電流決定手段51aにより決定された目標電流が所定の条件を満足するように制限を行う。具体的な制限内容、手法については、後述する。制限された目標電流は、モータ制御手段51cに入力される。なお、以下において、目標電流制限手段51bにより制限された目標電流を「制限目標電流」と呼び、目標電流決定手段により決定された目標電流を単に「目標電流」と呼ぶ。
モータ制御手段51cは、電流センサ54により検出されたモータ電流(検出電流値)が上記制限目標電流に追従するように、スイッチング素子駆動回路52を介して、モータ駆動回路53の各スイッチング素子をPWM駆動してモータ6の制御を行う。具体的には、モータ制御手段51cは、例えば、PI(Proportional Integral)制御器として構成され、制限目標電流と検出電流値との差分に対してPI制御を行い、モータ6の制御量としての電圧指令値を算出する。また、モータ制御手段51cは、該電圧指令値を上記PWM駆動のデューティ比(以下、単にデューティ比と呼ぶ)に変換し、該デューティ比をスイッチング素子駆動回路52に出力する。また、該デューティ比は、後述する故障検出手段51dに対しても出力される。
スイッチング素子駆動回路52は、モータ制御手段51cから入力されたデューティ比でモータ駆動回路53を駆動制御する。例えば、モータ6を右方向に駆動する場合、該デューティ比でスイッチング素子53aをPWM駆動し、併せて、スイッチング素子53dを連続オン、スイッチング素子53b、53cを連続オフにする。また、モータ6を左方向に駆動する場合、該デューティ比でスイッチング素子53bをPWM駆動し、併せて、スイッチング素子53cを連続オン、スイッチング素子53a、53dを連続オフにする。
故障検出手段51dは、電流センサ54の故障を検出する。本実施形態において、故障検出手段51dは、電流センサ54に含まれるシャント抵抗54aのショート故障を検出する。詳しくは後述するが、モータ制御手段51cから入力された上記デューティ比に基づいてシャント抵抗54aのショート故障を検出する。
次に、目標電流制限手段51bによる具体的な目標電流の制限について説明をする。
ここで、図2は、目標電流制限手段51bによる目標電流の制限を説明する図であり、目標電流制限マップを表している。なお、図中において、縦軸はモータ6の電流(トルク)、横軸はモータ6の回転速度を示す。
図2を参照するに、線分110は、上記デューティ比95%に対応するモータ6の特性ラインである。すなわち、デューティ比95%に対応する電圧指令値でモータ6を駆動した場合におけるモータ6の回転速度と電流との関係を表すラインである。直流モータでは、トルクが大きくなるほど回転速度が小さくなり、また、トルクに比例して電流が大きくなるため、デューティ比95%に対応するモータ6の特性ラインは右下がりの直線となる。
また、回転速度は、モータ6に印加される電圧に比例するため、モータ6に印加される電圧を変化させた場合におけるモータ6の特性ラインは、線分110に平行な線分となる。よって、線分110よりも左側に位置する線分110に平行な線分は、95%よりも小さいデューティ比に対応する電圧指令値でモータ6を駆動した場合に相当する。すなわち、薄墨部分100は、デューティ比0%〜95%でモータ6を駆動した場合におけるモータ6の特性ラインの集合ということになる。また、線分120は、デューティ比100%に対応するモータ6の特性ラインを示し、斜線部分120は、デューティ比95%〜100%でモータ6を駆動した場合におけるモータ6の特性ラインの集合ということになる。
なお、薄墨部分100上端、斜線部分110上端の電流(トルク)が一定の線分は、モータ6の定格電流(定格トルク)に対応する。モータ6は、定格電流、定格トルク以上で駆動されると過負荷状態となるため、モータ6は、定格電流、定格トルク以下で駆動される。
本実施形態において、目標電流制限手段51bは、目標電流が薄墨部分100に収まるようにすることにより電流センサ54(シャント抵抗54a)が正常な場合におけるデューティ比が所定の割合(95%)以下となるように目標電流を制限する。
具体的には、まず、目標電流決定手段51aにより決定された目標電流とモータ電圧検出回路55から入力されたモータ6の両端電圧に基づき、目標電流と回転速度の関係が薄墨部分100に含まれるか否かを判断する。なお、上述のとおり、回転速度は、モータ6の両端電圧に比例するため、モータ6の両端電圧からモータ6の回転速度を算出する。ここで、目標電流と回転速度の関係が薄墨部分100に含まれる場合は、目標電流決定手段51aにより決定された目標電流をそのまま制限目標電流としてモータ制御手段51cに出力する。一方、目標電流と回転速度の関係が薄墨部分100に含まれない場合は、目標電流決定手段51aにより決定された目標電流を線分110上の値に制限した制限目標電流をモータ制御手段51cに出力する。
次に、電流センサ54(シャント抵抗54a)の故障時における上記PWM駆動のデューティ比ついて説明をする。
ここで、図3は、電流センサ54(シャント抵抗54a)故障時におけるスイッチング素子駆動回路52によるモータ駆動回路53のPWM駆動のデューティ比を説明する図である。図3(a)は、電流センサ54(シャント抵抗54a)正常時におけるデューティ比の時間経過に対する推移の一例を示しており、対比のため、操舵ハンドルの操舵角速度の時間経過に対する推移も示されている。また、図3(b)は、電流センサ54(シャント抵抗54a)故障時におけるデューティ比の時間経過に対する推移の一例を示しており、対比のため、操舵ハンドルの操舵角速度の時間経過に対する推移も示されている。また、図3(a)、(b)において、デューティ比95%ライン200を一点鎖線で示す。
図3(a)を参照するに、操舵ハンドルの操作により操舵角速度が大きくなるとデューティ比が大きくなるが、上述のとおり、目標電流制限手段51bにより目標電流が制限されるため、デューティ比は95%以下で推移している。
これに対して、図3(b)を参照するに、電流センサ54の故障発生後において、デューティ比は100%の状態で推移している。
上述したとおり、モータ制御手段51cは、電流センサ54により検出されたモータ電流(検出電流値)が制限目標電流に追従するように電圧指令値を算出し、該電圧指令値をデューティ比に変換する。また、電流センサ54が故障した場合、すなわち、シャント抵抗54aがショート故障した場合には、シャント抵抗54aの両端電圧は、モータ電流検出回路54bにより0[V]と検出され、検出電流値は0[A]としてマイコン51に継続的に入力される。よって、電流センサ54が故障した場合、モータ制御手段51cは、0[A]として継続的に入力される検出電流値を制限目標電流に追従させるため、デューティ比を引き上げることになり、最終的にデューティ比は100%で継続的に推移することになる。
よって、上述のとおり、目標電流制限手段51bは、電流センサ54が正常時においてデューティ比が所定の割合(95%)以下になるように目標電流を制限するため、デューティ比が所定の割合(95%)を超えることにより電流センサ54の故障を検出することができる。
すなわち、故障検出手段51dは、モータ制御手段51cから入力されたデューティ比が所定の割合(95%)を超えた場合に電流センサ54の故障を検出する。
これにより、トルクセンサ2を用いずに電流センサ54の故障を検出することができる。
特に、トルクセンサ2が故障した際に、操舵角センサ4からの操舵角信号等に基づき、モータ6の目標電流を決定し、モータ6の制御を行う場合がある。この場合に、トルクセンサ2を用いずに電流センサ54の故障を検出することが可能となり、該故障を検出後にモータ6による補助操舵力の付与を停止するとよい。これにより、電流センサ54(シャント抵抗54a)故障時のセルフステアを防止することができる。
また、上述のとおり、電流センサ54の故障発生後において、デューティ比は100%で推移する。よって、目標電流制限手段51bは、電流センサ54が正常な場合におけるデューティ比が100%よりも少しでも小さい所定の割合に収まるように目標電流を制限すれば、故障検出手段51dは、故障検出することができる。これにより、デューティ比は、EPS装置の性能に影響を与えない所定の割合(例えば、95%)に制限されるため、EPS装置の性能とトルクセンサを用いない電流センサの故障検出とを両立することが可能となる。
[第2の実施形態]
次いで、第2の実施形態について説明をする。
本実施形態に係るEPS制御装置1は、操舵角センサ4により検出される操舵角速度と、電流センサ54、モータ電圧検出回路55により検出されるモータ6の電流、電圧から算出される推定操舵角速度と、に基づいて、電流センサ54の故障を検出する点が主に第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と同様の構成要素については、同一の符号を付して、異なる部分を中心に説明する。
図4は、本実施形態に係るEPS制御装置1のブロック図である。
本実施形態において、目標電流決定手段51aは、第1の実施形態と同様に、操舵トルク信号、車速信号に応じて、モータ6の目標電流(電流の方向含む)を決定する。また、該目標電流をモータ制御手段51cに出力する。
モータ制御手段51cは、電流センサ54により検出されたモータ電流(検出電流値)が目標電流に追従するように、スイッチング素子駆動回路52を介して、モータ駆動回路53の各スイッチング素子をPWM駆動してモータ6の制御を行う。具体的には、第1の実施形態と同様に、モータ制御手段51cは、例えば、PI制御器として構成され、目標電流と検出電流値との差分に対してPI制御を行い、モータ6の制御量としての電圧指令値を算出する。また、モータ制御手段51cは、該電圧指令値を上記PWM駆動のデューティ比(以下、単にデューティ比と呼ぶ)に変換し、該デューティ比をスイッチング素子駆動回路52に出力する。
故障検出手段51dは、電流センサ54から入力されたモータ6の電流(検出電流値Im)、モータ電圧検出回路55から入力されたモータ6の電圧(検出電圧値Vm)に基づいて、操舵ハンドルの操舵角速度の推定値(推定操舵角ωe)を算出する。推定操舵角ωeは、モータ6の誘起電圧に基づいて次式(1)で算出することができる。
ωe=(Vm−Rm×Im)/Ke/Rr・・・(1)
なお、Rmはモータ6の端子間抵抗、Keはモータ6の逆起電力定数、Rrはモータ6の駆動力をステアリング機構に伝達する減速機の減速比である。
また、故障検出手段51dには、操舵角センサ4から操舵ハンドルの操舵角が入力され、故障検出手段51dは、該操舵角を微分(所定周期毎に検出される該操舵角の時間変化率を算出)することにより操舵角速度ωを知得する。
上記式(1)により算出される推定操舵角速度ωeは、電流センサ54(シャント抵抗54a)にショート故障が発生していない場合(正常時)においては、操舵角速度ωに近い値を示す。
しかしながら、電流センサ54(シャント抵抗54a)にショート故障が発生した場合、検出電流値Imは、継続的に0[A]として入力されるため、推定操舵角速度ωeと操舵角速度ωとは大きく乖離することになる。
よって、故障検出手段51dは、推定操舵角速度ωeと、操舵角センサ4により検出された操舵角に基づく操舵角速度ωと、の差分が所定閾値を超えた場合に電流センサ54(シャント抵抗54a)の故障を検出する。
ここで、図5は、本実施形態に係る電流センサ54(シャント抵抗54a)故障時における操舵角速度ωと推定操舵角速度ωeとの関係を説明する図である。図5(a)は、電流センサ54(シャント抵抗54a)正常時における操舵角速度ω、及び推定操舵角速度ωeの時間経過に対する推移の一例を示している。また、図5(b)は、電流センサ54(シャント抵抗54a)故障時における操舵角速度ω、及び推定操舵角速度ωeの時間経過に対する推移の一例を示している。また、図5(a)、(b)において、操舵角速度ωは太い実線で時間経過に対する推移が示され、推定操舵角速度ωeは、細い実線で時間経過に対する推移が示されている。
図5(a)を参照するに、電流センサ54が正常な場合には、操舵角速度ωと推定操舵角速度ωeとはある程度近しい値を示し、同じような時間経過に対する推移を示している。
これに対して、図5(b)を参照するに、電流センサ54の故障発生後には、操舵角速度ωに比して推定操舵角速度ωeが大きく乖離した値を示している。
よって、故障検出手段51dは、電流センサ54により検出された検出電流値Imに基づく推定操舵角速度ωeと、操舵角センサ4により検出された操舵角に基づく操舵角速度ωと、の差分が所定閾値を超えた場合に電流センサ54(シャント抵抗54a)の故障を検出することができる。
このように、本実施形態に係るEPS制御装置1(故障検出手段51d)は、第1の実施形態と同様に、トルクセンサ2を用いずに電流センサ54の故障を検出することができる。
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
1 電動パワーステアリング制御装置
2 トルクセンサ(操舵トルク検出手段)
3 操舵角センサ(操舵角速度検出手段)
51 マイコン
51a 目標電流決定手段
51b 目標電流制限手段
51c モータ制御手段
51d 故障検出手段
53 モータ駆動回路
53a スイッチング素子
53b スイッチング素子
53c スイッチング素子
53d スイッチング素子
54 電流センサ(モータ電流検出手段)
55 モータ電圧検出回路(モータ電圧検出手段)

Claims (1)

  1. 操舵ハンドルからステアリングシャフトに入力された操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
    ステアリング機構に設けられ、操舵アシストトルクを発生するモータと、
    前記モータに流れる電流を検出するモータ電流検出手段と、
    複数のスイッチング素子によりブリッジ回路を構成して前記モータの駆動を行うモータ駆動回路と、
    前記操舵トルク検出手段により検出された前記操舵トルクに応じて、前記モータの目標電流を決定する目標電流決定手段と、
    前記目標電流決定手段により決定された目標電流を制限する目標電流制限手段と、
    前記目標電流制限手段により制限された目標電流と、前記モータ電流検出手段により検出された電流と、に基づいて、前記検出された電流が前記制限された目標電流に追従するように前記モータ駆動回路の各前記スイッチング素子をPWM駆動して前記モータの制御を行うモータ制御手段と、
    前記モータ電流検出手段の故障を検出する故障検出手段と、を備え、
    前記目標電流制限手段は、
    前記モータ電流検出手段が正常な場合における前記PWM駆動のデューティ比が所定の割合以下となるように前記目標電流決定手段により決定された目標電流を制限し、
    前記故障検出手段は、
    前記デューティ比が前記所定の割合を超えた場合に前記モータ電流検出手段の故障を検出することを特徴とする、
    電動パワーステアリング制御装置。
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