以下では、本実施形態の負荷制御システム1aについて図1〜12に基づいて説明する。
負荷制御システム1aは、検知領域10を撮像し連続的に生成した画像から検知領域10内の人Hの状態を認識する画像センサ2と、負荷が接続され前記負荷を制御する第1端末器3と、画像センサ2が認識した前記状態を表示する第2端末器4と、を備える。また、負荷制御システム1aは、画像センサ2、第1端末器3及び第2端末器4が2線式の信号線Lsを介して接続された伝送制御装置5を備える。
画像センサ2、第1端末器3及び第2端末器4は、それぞれ固有のアドレスが設定されている。
伝送制御装置5は、信号線Lsを介して、画像センサ2、第1端末器3及び第2端末器4それぞれとの間でアドレスデータを含む伝送信号Vs(図10参照)を伝送するように構成されている。
画像センサ2は、前記状態を示す監視データを、信号線Lsを介して伝送制御装置5に伝送するように構成されている。
伝送制御装置5は、画像センサ2から伝送された前記監視データに基づいて、画像センサ2に対応付けられた第1端末器3に接続された前記負荷を制御する第1制御データを生成し、第1端末器3に対して第1端末器3のアドレスに一致するアドレスデータ及び前記第1制御データを含む伝送信号Vsを伝送するように構成されている。また、伝送制御装置5は、前記監視データに基づいて第2端末器4を制御する第2制御データを生成し、第2端末器4に対して第2端末器4のアドレスに一致するアドレスデータ及び前記第2制御データを含む伝送信号Vsを伝送するように構成されている。
第2端末器4は、前記第2制御データに基づいて前記状態を表示するように構成されている。
よって、負荷制御システム1aは、検知領域10内の人Hの状態の認識結果を外部から確認することが可能となる。
負荷制御システム1aの各構成要素については、以下に詳細に説明する。
伝送制御装置5は、3つの電源用端子56と、2つの信号用端子57と、を備えている。伝送制御装置5は、3つの電源用端子56に接続される例えば単相3線の電線を介して交流電源(図示せず)から交流電圧が供給される。伝送制御装置5は、2つの信号用端子57に2線式の信号線Lsが接続されている。
伝送制御装置5は、図2に示すように、マイクロプロセッサからなる伝送処理部51と、伝送ドライバ回路52と、を備え、伝送処理部51が、伝送ドライバ回路52を介して信号線Lsに接続されている。伝送制御装置5は、伝送処理部51の動作を規定するプログラムを格納したROM(read only memory)により構成される第1メモリ53を備えている。また、伝送制御装置5は、第1端末器3と第2端末器4と画像センサ2との対応関係を格納した第2メモリ54を備えている。この対応関係は、テーブル形式で第2メモリ54に格納されているのが好ましい。第2メモリ54は、例えば、EEPROM(electrically erasable programmable read only memory)等の不揮発性メモリにより構成されているのが好ましい。また、伝送制御装置5は、第1端末器3、第2端末器4及び画像センサ2との間で授受するデータ等を格納する第3メモリ55を備えている。第3メモリ55は、例えば、RAM(random access memory)により構成されているのが好ましい。伝送処理部51は、制御データを作成したり、第1端末器3、第2端末器4及び画像センサ2の状態を監視したりするように構成されている。伝送ドライバ回路52は、伝送処理部51の制御に基いて、信号線Lsを介して第1端末器3、第2端末器4及び画像センサ2との信号の授受を行うように構成されている。
図1には、第1端末器3と第2端末器4と画像センサ2とが、1つずつ図示されているが、それぞれ複数であってもよい。
第1端末器3、第2端末器4及び画像センサ2と信号線Lsとの接続形態には、送り配線が採用される。第1端末器3、第2端末器4及び画像センサ2は、信号線Lsに接続するための端子を備えている。
第1端末器3、第2端末器4及び画像センサ2には、それぞれ個別のアドレスが設定されている。伝送制御装置5は、それらのアドレスに基いて第1端末器3及び第2端末器4を個別に認識する。
負荷制御システム1aでは、画像センサ2のアドレスと第1端末器3のアドレスと第2端末器4のアドレスとの対応関係を伝送制御装置5で管理している。伝送制御装置5では、1台の画像センサ2のアドレスを1台の第1端末器3のアドレスに対応付けるだけでなく、1台の画像センサ2のアドレスを複数台の第1端末器3のアドレスに対応付けることも可能である。負荷制御システム1aは、伝送制御装置5において1台の画像センサ2のアドレスを複数台の第1端末器3のアドレスに対応付けるように、アドレスを設定すれば、画像センサ2からの前記監視データに基づいて複数回路の前記負荷を一括して制御することが可能になる。本明細書では、この種の制御を一括制御と称し、とくに、複数の前記負荷を同じ制御状態に制御する一括制御をグループ制御と称し、複数の前記負荷をあらかじめ個々に設定した制御状態に制御する一括制御をパターン制御と称する。前記負荷としては、照明負荷を採用しているが、これに限らず、例えば、空調機等でもよい。
画像センサ2及び第1端末器3にはそれぞれ個別のアドレスが設定されているから、グループ制御を行なう場合には、1台の画像センサ2のアドレスに複数台の第1端末器3のアドレスを対応付ければよい。これにより、負荷制御システム1aは、例えば、画像センサ2から伝送制御装置5に、人Hが存在することを示す前記監視データが伝送されると、伝送制御装置5が、前記監視データに対応させて複数の前記第1制御データを順次発生させグループ制御の対象となる第1端末器3に順に伝送するのである。よって、負荷制御システム1aは、グループ制御の対象となる第1端末器3に接続された複数の前記負荷を1つの前記監視データに基づいて一括して制御することができる。
第1端末器3は、2線式の信号線Lsを介して伝送制御装置5に接続され、伝送制御装置5との間で、伝送信号を時分割多重方式で伝送する。第1端末器3は、図3に示すように、マイクロコンピュータからなる信号処理部31と、送受信回路32と、アドレス設定部34と、を備えている。信号処理部31は、送受信回路32を介して信号線Lsに接続されている。信号処理部31を構成するマイクロコンピュータには適宜のプログラムが搭載されている。
送受信回路32は、信号線Lsを伝送される双極性の伝送信号Vsを無極性化(つまり、全波整流)して受信し、受信した信号を信号処理部31に与えるように構成されている。信号処理部31から伝送制御装置5に返送される信号は、送受信回路32において電流モード信号に変換されて信号線Lsに送出される。アドレス設定部34は、その第1端末器3に固有のアドレスを設定するために設けるものであり、例えば、不揮発性メモリ等により構成することができる。
第1端末器3は、4つのリレーRyを接続できるように構成されており、4つのリレーRyを各別に駆動する4つのリレー駆動部35を備えている。
負荷制御システム1aは、第1端末器3に、それぞれが前記負荷をオンオフする複数のリレーRyが接続されている。リレーRyは、商用電源等の交流電源(図示せず)と前記負荷との直列回路を接続して使用される。これにより、リレーRyは、その器体内に設けられている接点が、交流電源と前記負荷との間で交流電源及び前記負荷に直列に接続される。よって、負荷制御システム1aは、前記負荷のオンオフを制御することができる。リレーRyは、ラッチング型のリレーにより構成されている。第1端末器3がリレーRyを制御する際には、リモコントランスTからリレーRyにパルス的に電源を供給する。リモコントランスTは、交流電源に接続されており、100Vの交流電圧を変圧してリレーRy及び第1端末器3に24Vの交流電圧を供給するように構成されている。
第1端末器3は、リレー駆動部35によりリレーRyを制御する。第1端末器3は、最大で4回路のリレーRyを制御可能である。このため、第1端末器3には、リレーRyを個別に認識するために2ビットの負荷番号が付加されている。以下では、第1端末器3のチャンネルと負荷番号とをまとめてアドレスと呼ぶことにする。つまり、負荷制御システム1aは、画像センサ2、各リレーRyに、それぞれ個別のアドレスが付与されていることになる。また、負荷制御システム1aは、互いに一対一に対応する画像センサ2と第1端末器3とを同チャンネルに設定することにより、対応関係をわかりやすくしてある。
第1端末器3は、アドレスデータに含まれる負荷番号が一致するリレーRyを制御することで対応する前記負荷を制御する。
ところで、負荷制御システム1aでは、画像センサ2のアドレスとリレーRyのアドレスとの対応関係を伝送制御装置5で管理しているから、伝送制御装置5において1つの画像センサ2のアドレスに複数回路のリレーRyのアドレスを関係データとして対応付けておけば、1つの画像センサ2で複数回路のリレーRyを一括して制御することが可能である。このような一括制御には、上述のグループ制御とパターン制御とがある。グループ制御やパターン制御は、リレーRyにより制御される前記負荷が照明負荷であるときにとくに有効であって、オフィス空間のように多数の照明負荷が配列されているような場所で、複数の照明負荷を一斉に点灯・消灯させる際にグループ制御やパターン制御を利用することができる。
負荷制御システム1aは、伝送制御装置5、第1端末器3、各リレーRy及びリモコントランスTが、分電盤7内に配置されるのが好ましい。なお、伝送制御装置5、第1端末器3、各リレーRy及びリモコントランスTそれぞれの器体の外形寸法は、例えば、JIS規格(JIS C 8370)で規格化されている電灯分電盤用協約形配線遮断器の単位寸法の整数倍の大きさに設定されているのが好ましい。また、伝送制御装置5、第1端末器3、各リレーRy及びリモコントランスTそれぞれは、分電盤7内に固定される盤用連接取付板に取り付けることができるように構成されているのが好ましい。盤用連接取付板は、分電盤内に固定され、電灯分電盤用協約形配線遮断器を連接して取り付けることができる取付板である。
また、負荷制御システム1aは、第2端末器4が、例えば、オフィス等の壁面に配置されるように構成されているのが好ましい。
第2端末器4は、図4に示すように、マイクロコンピュータからなる信号処理部41と、送受信回路42と、電源回路43と、アドレス設定部44と、前記状態を表示するための表示部45と、を備えている。信号処理部41は、送受信回路42を介して信号線Lsに接続されている。信号処理部31を構成するマイクロコンピュータには適宜のプログラムが搭載されている。
送受信回路42は、信号線Lsを伝送される双極性の伝送信号Vsを無極性化して受信し、受信した信号を信号処理部41に与えるように構成されている。また、電源回路43は、信号線Lsを伝送される伝送信号から第2端末器4の内部電源を得るように構成されている。信号処理部41から伝送制御装置5に返送される信号は、送受信回路42において電流モード信号に変換されて信号線Lsに送出される。アドレス設定部44は、その第2端末器4に固有のアドレスを設定するために設けるものであり、例えば、不揮発性メモリ等により構成することができる。
第2端末器4としては、例えば、図5(a)、(b)に示すような調光操作用の端末器4aを流用することができる。端末器4aの器体40は、大角形連用配線器具の取付枠に最大3個まで取り付けることができる1個モジュール寸法の配線器具の3個分に相当する寸法(この寸法は、「3個モジュール寸法」と呼ばれている。)を有している。大角形連用配線器具の取付枠は、JIS規格(JIS C 8375)で規格化されている。
端末器4aは、器体40の前面側に、3個のスイッチSa、Sb及びScと、調光レベルを表示するためのレベル表示部DLと、照明負荷のオンオフを表示するためのオン表示部LN及びオフ表示部LFと、が設けられている。端末器4aは、内部にEEPROMよりなるアドレス設定部を備え、外部の設定器との間でワイヤレス信号を授受することにより、アドレスの設定、確認及び変更が可能になっている。
スイッチSaは、照明負荷のオン、オフを指示するためのスイッチである。スイッチSbは、照明負荷の調光レベルをアップさせることを指示するためのスイッチである。スイッチScは、調光レベルをダウンさせることを指示するためのスイッチである。レベル表示部DLは、発光色が同じ複数個(図示例では、6個)の発光ダイオードが列設されており、各発光ダイオードそれぞれの前方に、発光ダイオードの光を出射する透光部46が設けられている。オン表示部LN及びオフ表示部LFは、発光ダイオードと、発光ダイオードの前方に設けられ発光ダイオードの光を出射する透光部とで構成されている。オン表示部LNとオフ表示部LFとは、互いに発光色の異なる発光ダイオードを採用している。
端末器4aは、0〜127の調光レベルを7ビットの情報として伝送制御装置5との間で授受できるように構成されている。図7は、調光レベルが38のときの7ビットの情報である。
器体40は、例えば、1個モジュール寸法の配線器具を3個並べて取り付けることのできる取付枠60に着脱自在に取り付けられる。取付枠60は、合成樹脂製の取付枠である。なお、器体40は、金属製の取付枠に着脱自在に取り付けてもよい。
取付枠60は、第1側片62aと第2側片62bとの上端部同士、下端部同士をそれぞれ第1連結片65a、第2連結片65bで連結した矩形枠状に形成されている。よって、取付枠60は、第1側片62aと第1連結片65aと第2側片62bと第2連結片65bとで囲まれた開口窓61を有している。取付枠60は、第1側片62a及び第2側片62bに、器体40の両側縁に突設された係止爪40aがそれぞれ係合する保持孔63を有している。また、取付枠60は、第2側片62bに、第1側片62aとの距離を変えるように撓むことができる操作片64が形成されている。
取付枠60に器体40を取り付けるときには、取付枠60の後方(図5(b)の右側)から器体40を開口窓61に挿入する向きに移動させるようにすれば、操作片64が撓んで器体40を取付枠60に嵌着でき、このとき、器体40の前部が開口窓61から突出する。一方、取付枠60から器体40を外すには、操作片64を、第2側片62bから引き離すようにドライバ等でこじればよい。第1連結片65a及び第2連結片65bには、スイッチボックスに取付枠60を結合するためのボックスねじを挿入する長孔66や取付枠60の前面を覆うプレート枠(図示せず)を取り付けるプレートねじが螺合するねじ孔67等が設けられる。プレート枠の前面側には、化粧プレート69(図6参照)が着脱自在に取り付けられる。図6に示した例では、プレート枠と化粧プレート69とでプレートが構成される。さらに、第1連結片65a及び第2連結片65bには、長孔66を通して挿入されるねじに螺合し、壁パネル等に形成された取付孔の周部を取付枠60との間で挟持する挟み金具の一端部が挿入される孔68も形成されている。
第2端末器4として端末器4aを流用する場合には、レベル表示部DLを表示部45として利用する。この点については、後述する。
また、負荷制御システム1aは、画像センサ2が、例えば、オフィス等の天井に配置されるのが好ましい。このため、画像センサ2は、例えば、オフィス等の天井等に取り付けることができるように構成されている。
画像センサ2の器体20は、図8に示すように、天井に取り付けるためのフランジ部20aaと、フランジ部20aを覆う化粧プレート29と、を備えている。フランジ部20aaには、天井材の上側に配置された埋込ボックスのねじ孔に螺合するボックス取付ねじや、天井材に直付けする際に用いるタッピンねじを挿通するための第1孔20acが2つ形成されている。両第1孔20acは、フランジ部20aaの中心に対して互いに反対側に形成されている。また、フランジ部20aaには、天井材に固定する際に用いる2つの取付具80の引締ねじ81をそれぞれ露出させる2つの第2孔20abが形成されている。取付具80は、フランジ部20aaの上面の溝に下端部が嵌入される支柱82と、支柱82内に挿通され先端部が支柱82の上端部に保持された引締ねじ81と、引締ねじ81に螺合した挟み片83と、を備えている。取付具80は、施工者等が、ドライバ等により引締ねじ81を右回りに回して締め付けることによって、挟み片83がフランジ部20aaとの距離を小さくする向きに移動する。取付具80を利用して画像センサ2を天井材に取り付ける場合には、器体20を天井材の孔に挿入してフランジ部20aaを天井材の下面に当接させ、その後、引締ねじ81を適宜締め付けて、挟み片83とフランジ部20aaとで天井材を挟持させればよい。
画像センサ2は、伝送制御装置5との間で伝送信号の伝送を行うことができるよう、図9に示すように、マイクロコンピュータからなる信号処理部21と、送受信回路22と、電源回路23と、アドレス設定部24と、を備えている。信号処理部21は、送受信回路22を介して信号線Lsに接続されている。信号処理部21を構成するマイクロコンピュータには適宜のプログラムが搭載されている。
送受信回路22は、信号線Lsを伝送される双極性の伝送信号Vsを無極性化して受信し、受信した信号を信号処理部21に与えるように構成されている。また、電源回路23は、信号線Lsを伝送される伝送信号から画像センサ2の内部電源を得るように構成されている。信号処理部21から伝送制御装置5に返送される信号は、送受信回路22において電流モード信号に変換されて信号線Lsに送出される。アドレス設定部24は、その画像センサ2に固有のアドレスを設定するために設けるものであり、例えば、不揮発性メモリ等により構成することができる。
負荷制御システム1aは、画像センサ2と複数回路の負荷とが1対多で対応付けられているが、これに限らず、1対1で対応付けられていてもよい。
画像センサ2は、図9に示すように、撮像部25と、画像処理部26と、設定部27と、記憶部28と、を備えている。
撮像部25は、撮像素子と、アナログの出力信号をディジタルの画像信号(画像データ)に変換して出力するA/D変換器と、を備えている。
撮像素子は、それぞれが各別の画素を構成する複数の受光部(センサ部)が2次元のマトリクス状に配列されている。
撮像素子としては、CMOS(Complementary MOS)イメージセンサを用いているが、これに限らず、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等を採用してもよい。低消費電力化の観点からは、撮像素子として、CCDイメージセンサよりもCMOSイメージセンサを用いるのが好ましい。また、撮像部25は、レンズを好適に備えている。レンズは、例えば、各受光部の視野を調整するために設けられる。
記憶部28は、書換可能な不揮発性メモリにより構成してある。不揮発性メモリとしては、例えば、フラッシュメモリ等を採用することができる。記憶部28は、画像処理部21における画像処理及び判断処理に必要な種々の情報を記憶している。
設定部27は、外部の設定器から種々の情報を取り込むためのインタフェースを構成し、外部の設定器との間でワイヤレス信号を授受することができるように構成されている。
画像センサ2は、第1端末器3により制御される前記負荷が配置されるオフィス等の天井に設置される。負荷制御システム1aは、前記負荷が照明負荷の場合、画像センサ2の検知領域10を、照明負荷による照明空間に設定するのが好ましい。
画像処理部26は、マイクロコンピュータあるいはDSP(Digital Signal Processor)などで構成され、撮像部25から取り込む画像データに対して種々の画像処理を実行し、且つ画像処理の結果を利用して人Hの存在などを判断する判断処理を実行する。
画像センサ2は、例えば、検知領域10に人Hが存在しない状況で撮像された検知領域10の画像データが、背景画像データとして記憶部28に記憶される。画像処理部26は、撮像部25から順次出力される画像データと背景画像データの差分である差分画像を生成し、その差分画像から人Hの輪郭や人Hの領域に対応した画素領域(以下、「人体画素領域」と呼ぶ。)の抽出処理を行い、人体画素領域を抽出すれば人Hが存在すると判断する。差分画像は、画像データと背景画像データとの間で対応する画素ごとの差分を画素値とする画像である。画像処理部26は、画像データと背景画像データとから差分画像を生成する代わりに、時系列的に並ぶ2つのフレームの画像から差分画像を生成するようにしてもよい。なお、撮像部25は、1秒間に30フレームの画像を出力する。撮像部25が撮像する時間間隔は、特に限定するものではない。
また、画像処理部26は、人体画素領域における代表位置を求め、当該代表位置が所定時間(所定のフレーム数)内に変位する距離をしきい値と比較することで人Hの行動(滞在、移動等)を判断する。つまり、画像処理部26は、当該距離がしきい値未満の場合、その人Hが同じ場所に滞在していると判断し、当該距離がしきい値以上の場合、移動していると判断する。ただし、代表位置とは、人体画素領域の重心位置や人体の特定の部位(例えば、頭部)の位置である。なお、画像処理部26は、2つのフレームの画像から差分画像を生成する場合、人Hが静止して滞在していると、人体画素領域が抽出できない可能性もあるが、画像データと背景画像データとから差分画像を生成することにより、人Hが静止して滞在していても、人体画素領域の抽出が可能である。さらに、画像処理部26は、抽出した人体画素領域の数を検知領域10に存在する人Hの数と判断する。画像センサ2は、信号処理部21が、画像処理部26の判断結果に基いて前記監視データを生成し、前記監視データを送受信回路22から信号線Lsに送出するように構成されている。
ところで、伝送制御装置5は、信号線Lsに対して、図10(a)に示すフォーマット(信号形態)の伝送信号Vsを送出する。伝送信号Vsは、双極性(±24V)の時分割多重信号であり、パルス幅変調によってデータが伝送されるようになっている(図10(b))。伝送信号Vsは、スタートパルス信号SY、モードデータMD、アドレスデータAD、制御データCD、チェックサムデータCS及び信号返送期間WTよりなる。スタートパルス信号SYは、信号送出開始を示す信号である。モードデータMDは、伝送信号Vsのモードを示すデータである。アドレスデータは、第1端末器3や第2端末器4や画像センサ2を各別に呼び出すためのデータである。制御データCDは、リレーRyや負荷を制御するためのデータである。チェックサムデータは、伝送誤りを検出するためのデータである。信号返送期間WTは、第1端末器3や第2端末器4や画像センサ2からの返送信号を受信するタイムスロットである。
第1端末器3、第2端末器4及び画像センサ2は、信号線Lsを介して受信した伝送信号Vsに含まれるアドレスデータADが自己のアドレスに一致すると、伝送信号Vsから制御データCDを取り込む。そして、第1端末器3、第2端末器4及び画像センサ2は、伝送信号Vsの信号返送期間WTに監視データを電流モード信号として返送する。電流モード信号は、信号線Lsを適当な低インピーダンスを介して短絡することにより送出される信号である。
伝送制御装置5は、所望の第1端末器3又は第2端末器4にデータを伝送する場合、モードデータMDを制御モードとし、所望の第1端末器3又は第2端末器4のアドレスをアドレスデータADとする伝送信号Vsを送出する。そして、負荷制御システム1aでは、アドレスデータADに一致するアドレスの第1端末器3又は第2端末器4が、制御データCDを受け取り、信号返送期間WTに監視データを返送する。そして、伝送制御装置5は、送出した制御データCDと信号返送期間WTに受信した監視データとの関係によって制御データCDが所望の第1端末器3又は第2端末器4に伝送されたことを確認する。
第1端末器3は、受け取った制御データCD(前記第1制御データ)に従ってリレーRyを制御する。第2端末器4は、受け取った制御データCD(前記第2制御データ)に従って表示部40に人Hの状態を表示させる。
伝送制御装置5は、通常時にはモードデータMDをダミーモードとした伝送信号Vsを一定時間間隔で送出している(常時、ポーリングを行っている)。画像センサ2は、伝送制御装置5に対して何らかの情報を伝送しようとする場合、ダミーモードの伝送信号Vsのスタートパルス信号SYに同期させて、図10(c)のような割込信号を発生させる。このとき、画像センサ2は、割込フラグを設定して伝送制御装置5との以後の情報の授受に備える。
伝送制御装置5は、割込信号を受信すると、モードデータMDを割込ポーリングモードとし且つアドレスデータADの上位の半数のビット(アドレスデータADを8ビットとすれば上位4ビット)を順次増加させながら伝送信号を送出する。割込信号を発生した画像センサ2は、割込ポーリングモードの伝送信号VsのアドレスデータADの上位4ビットが自己のアドレスの上位4ビットに一致するときに、信号返送期間WTにアドレスの下位の半数のビットを伝送制御装置5に返送する。これにより、伝送制御装置5は、割込信号を発生した画像センサ2を認識することができる。
伝送制御装置5は、割込信号を発生した画像センサ2のアドレスを獲得すると、モードデータMDを監視モードとし、獲得したアドレスデータADを持つ伝送信号VSを信号線Lsに送出する。そして、画像センサ2は、この伝送信号Vsに対して、伝送しようとする情報(前記監視データ)を信号返送期間WTに返送する。
最後に、伝送制御装置5は、割込信号を発生した画像センサ2に対して割込リセットを指示する信号を送出し、画像センサ2の割込フラグを解除する。
以上のようにして、画像センサ2から伝送制御装置5への前記監視データの伝送は、伝送制御装置5から画像センサ2への4回の信号伝送(ダミーモード、割込ポーリングモード、監視モード、割込リセット)によって完了する。
以下では、画像センサ2が、前記監視データとして、検知領域10内の人Hの滞在、移動、不在のいずれかを示すデータを生成する場合について説明する。
負荷制御システム1aでは、画像センサ2が、例えば、図11に示すように、人Hの移動を示す前記監視データを「0000001」とし、人Hの滞在を示す監視データを「0000010」とし、人Hの不在を示す前記監視データを「0000100」とすることにより、伝送制御装置5において、人Hの状態として、滞在、移動、不在を識別することができる。そして、負荷制御システム1aは、伝送制御装置5が、人Hの状態に応じて前記負荷を制御する。例えば、伝送制御装置5は、人Hの状態が滞在もしくは移動の場合、画像センサ2に対応付けられた負荷をオンさせるための前記第1制御データを生成して第1端末器3へ伝送する。また、伝送制御装置5は、人Hの状態が不在の場合、画像センサ2に対応付けられた前記負荷をオフさせるための前記第1制御データを生成して第1端末器3へ伝送する。
また、伝送制御装置5は、人Hの状態が移動の場合、端末器4aに対して、調光レベルが「0000001」であることを表示させるための前記第2制御データを生成して端末器4aへ伝送する。これにより、端末器4aでは、図12の左側に示すように、表示部45における6つの透光部46のうち1つの透光部46に対応する発光ダイオードのみが点灯し、1つの透光部46から発光ダイオードの光が出射される。図12では、ハッチングを施している透光部46から発光ダイオードの光が出射されることを示している。また、伝送制御装置5は、人Hの状態が滞在の場合、端末器4aに対して、調光レベルが「0000010」であることを表示させるための前記第2制御データを生成して端末器4aへ伝送する。これにより、端末器4aでは、図12の真ん中に示すように、表示部45における6つの透光部46のうち2つの透光部46に対応する発光ダイオードのみが点灯し、2つの透光部46から発光ダイオードの光が出射される。また、伝送制御装置5は、人Hの状態が不在の場合、端末器4aに対して、調光レベルが「0000100」であることを表示させるための前記第2制御データを生成して端末器4aへ伝送する。これにより、端末器4aでは、図12の右側に示すように、表示部45における6つの透光部46のうち3つの透光部46に対応する発光ダイオードのみが点灯し、3つの透光部46から発光ダイオードの光が出射される。よって、第2端末器4では、人Hの移動、滞在、不在の別によって表示部45の表示を異ならせることができる。
第1端末器3としては、調光制御用の端末器を用いてもよい。調光制御用の端末器としては、例えば、調光データを生成する機能を有するものを採用することができる。この場合、前記負荷としては、LEDを用いた光源と、調光データに基づいて光源を調光点灯させることが可能な点灯装置とを備えた、LED照明器具を採用することができる。
この場合、伝送制御装置5は、前記監視データが人Hの滞在を示している場合、前記第1制御データとして前記負荷を定格点灯させるためのデータを生成し、前記監視データが人Hの移動を示している場合、前記第1制御データとして前記負荷を調光点灯させるためのデータを生成し、前記監視データが人Hの不在を示している場合、前記第1制御データとして前記負荷を消灯させるためのデータを生成することが好ましい。これにより、負荷制御システム1aは、より一層の低消費電力化を図ることが可能となる。
負荷制御システム1aの第1変形例は、第2端末器4として、図13に示すように表示部45が上下に並ぶ3つの透光部46を備えた表示用の端末器4bを用いるようにしてもよい。端末器4bの構成は、図4と同じである。第2端末器4として端末器4bを用いる場合の、端末器4bの動作例は、図13の通りである。図13では、ハッチングを施している透光部46から発光ダイオードの光が出射されることを示している。なお、3つの透光部46それぞれに対応する発光ダイオードは、互いの発光色を異ならせてあるが、発光色が同じもよい。
第1変形例では、例えば、人Hの状態が移動のときに、図13の左側に示すように上の透光部46に対応する発光ダイオードのみ点灯させる。また、第1変形例では、人Hの状態が滞在のときに図13の真ん中に示すように、中央の透光部46に対応する発光ダイオードのみ点灯させる。また、負荷制御システム1aは、人Hの状態が不在のときに図13の右側に示すように下の透光部46に対応する発光ダイオードのみ点灯するようにすればよい。
以下では、画像センサ2が、前記監視データとして、検知領域10内の人Hの数を示すデータを生成する場合について説明する。
負荷制御システム1aは、画像センサ2が、例えば、図14に示すように、人Hの数を示す前記監視データを「0100110」とすることにより、伝送制御装置5において、人Hの数が38人であることを識別することができる。そして、負荷制御システム1aでは、伝送制御装置5が、人Hの数に応じて前記負荷を制御する。例えば、伝送制御装置5は、人Hの数が1以上の場合、画像センサ2に対応付けられた前記負荷をオンさせるための前記第1制御データを生成して第1端末器3へ伝送する。また、伝送制御装置5は、人Hの数が0の場合、画像センサ2に対応付けられた前記負荷をオフさせるための前記第1制御データを生成して第1端末器3へ伝送する。
また、伝送制御装置5は、人Hの数が1の場合、端末器4aに対して、調光レベルが「0000001」であることを表示させるための前記第2制御データを生成して端末器4aへ伝送する。これにより、端末器4aでは、図15の左側に示すように、表示部45における6つの透光部46のうち1つの透光部46に対応する発光ダイオードのみが点灯し、1つの透光部46から発光ダイオードの光が出射される。また、伝送制御装置5は、人Hの数が40の場合、端末器4aに対して、調光レベルが「0101000」であることを表示させるための制御データを生成して端末器4aへ伝送する。これにより、端末器4aでは、図15の右側に示すように、表示部45における6つの透光部46のうち4つの透光部46に対応する発光ダイオードのみが点灯し、4つの透光部46から発光ダイオードの光が出射される。よって、第2端末器4では、人Hの数によって表示部45の表示を異ならせることができる。
負荷制御システム1aの第2変形例は、第2端末器4として、図16に示すように表示部45が人Hの数を表示するディスプレイにより構成された表示用の端末器4cを用いるようにしてもよい。ディスプレイとしては、例えば、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置等を採用することができる。端末器4cの基本的な回路構成は、図4と同じであり、表示部45の構成が相違する。第2端末器4として端末器4cを用いる場合の、端末器4bの動作例は、図16の通りである。図16における表示部45の表示は、画像センサ2により検知された人Hの数が10人の場合の例である。
本実施形態の負荷制御システム1aの第3変形例では、画像センサ2が、検知領域10の画像を例えば図17に示すように複数の領域A1〜A9に分割して各領域A1〜A9毎の人Hの存否を認識するようにしてもよい。画像センサ2においては、設定部27によって複数の領域A1〜A9の位置情報、例えば、各領域A1〜A9の4つの頂点の座標が設定され、設定された位置情報が記憶部28に記憶される。画像処理部26は、記憶部28に記憶されている位置情報に基づき、各領域A1〜A9毎に人Hの存否を判断する。
第3変形例では、画像センサ2が、前記監視データとして、例えば、図18に示すように、各ビット位置と各領域A1〜A9とが1対1で対応付けられ各ビット位置それぞれに、対応する領域A1〜A9の人Hの存否を示す1又は0のビットデータが設定されたデータを生成する。図18では、人Hが存在する場合のビットデータを1とし、人Hが存在しない場合のビットデータを0としてある。
第3変形例では、第2端末器4として、図19に示すように表示部45が各領域A1〜A9ごとの人Hの存否を表示するディスプレイにより構成された表示用の端末器4dを用いる。端末器4dの基本的な回路構成は、図4と同じであり、表示部45の構成が相違する。第2端末器4として端末器4dを用いる場合の、端末器4dの動作例は、図19の通りである。図19では、表示部45を複数の領域A1〜A9に1対1で対応する複数(図示例では、9つ)の小領域に分割してあり、人Hの存在する小領域のみにハッチングを施してある。よって、第3変形例では、検知領域10内において人Hの存在する位置を外部から確認することが可能となる。なお、表示部45は、ディスプレイに限らず、複数の発光ダイオードを利用して構成してもよい。
以上、本発明の構成を、実施形態等に基いて説明したが、本発明は、その技術的思想の範囲を逸脱しない範囲で、構成に適宜変更を加えることが可能である。