JP2015001673A - マルチコアファイバ用ファンイン/ファンアウトデバイス - Google Patents
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Abstract
Description
マルチコアファイバの実用化のためには、マルチコアファイバの各コアと外部光ファイバとを接続するための入出力デバイスとして、ファンイン/ファンアウトデバイスが必要となる。
シングルコアファイバ22は、太径部24と、太径部24から延出する延伸部27とを有する。
延伸部27は、太径部24から縮径しつつ延出する縮径部25と、縮径部25から延出する細径部26とを有する。縮径部25では、延出方向にコア径は小さくなる。
延伸部27は、シングルコアファイバ22の一部を加熱し、溶融延伸することで形成することができる。
デバイス20は、外部光ファイバ3から、シングルコアファイバ22を介して、光をマルチコアファイバ1のコアに入射させるか、または、マルチコアファイバ1のコアから、シングルコアファイバ22を介して、光を外部光ファイバ3に入射させることができる。
2重構造のコアを用いたデバイスを、図11に加えて、図12〜図13(b)を参照して説明する。
図12は、デバイス20のシングルコアファイバ22の構造を示す模式図である。図13(a)は、延伸されていないシングルコアファイバの屈折率分布と光の電磁界分布を模式的に示す図であり、図13(b)は、延伸されたシングルコアファイバの屈折率分布と光の電磁界分布を模式的に示す図である。
一方、図13(b)に示すように、延伸されたシングルコアファイバ22では、中央部22a1が細径化するため中央部22a1を伝播するモードは存在しないが、中央部22a1に収まらない光も外周部22a2内に存在するモードとして伝播する。このため、この構造のデバイスは、延伸後のモードフィールド径の変化を小さくする設計がしやすい。
単峰型の屈折率分布を有する光ファイバを用いれば、このような問題は生じないため、電磁界の重なりを抑制でき、クロストークを低減できる。
しかし、縮径部でコア径が変化することでモードフィールド径は急激に変化するため、接続点C1、C2の両方について、接続相手(外部光ファイバ3、またはマルチコアファイバ1)との間のモードフィールド径の差を小さくすることは難しい。このため、接続点C1、C2のいずれかで接続損失が大きくなり、全体として接続損失が増大するという課題がある。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、クロストークを低減でき、かつ全体として接続損失を低減できるマルチコアファイバ用ファンイン/ファンアウトデバイスを提供することを目的とする。
前記シングルコアファイバのクラッドに対するコアの比屈折率差は、1.1%以下であることが好ましい。
前記シングルコアファイバの延伸前のコアの半径は、2.7〜3.2μmであることが好ましい。
前記延伸部の端部における前記シングルコアファイバのモードフィールド径は、10μm以下であることが好ましい。
前記延伸部は、シングルコアファイバを溶融させ延伸させることによって形成されたものであることが好ましい。
また、前記屈折率分布が単峰型であるため、コア内に存在するモードは変化しないので、モードの移動に起因するモードフィールド径の変化が起こらず、近接する他のシングルコアファイバとの間の電磁界の重なりが小さい。このため、クロストークを低減できる。
さらに、延伸部におけるモードフィールド径がマルチコアファイバのモードフィールド径より大きくされるため、延伸側で接続損失が生じることがあるが、非延伸側での接続損失を抑制できることから、全体としては接続損失を低減できる。
図1は 本発明のマルチコアファイバ用ファンイン/ファンアウトデバイス(以下、単にデバイスということがある)の一実施形態を用いた入出力装置を示すものである。
ここに示す入出力装置は、マルチコアファイバ1と、マルチコアファイバ1の両端部1cにそれぞれ接続されたデバイス10、10と、デバイス10、10に接続された外部光ファイバ3、3とを備えている。
デバイス10は、マルチコアファイバ1と外部光ファイバ3、3とを中継接続している。外部光ファイバ3は、デバイス10の外部接続先である。
図3に示すように、シングルコアファイバ2は、コア2aとコア2aの周囲を覆うクラッド2bとを有する。クラッド2bはコア2aに比べて屈折率が低い。
太径部4は、延伸されていない部分であって、その外径は長さ方向に一定である。
太径部4の端部4aは、それぞれ外部光ファイバ3の端部3aに、接続点C1にて接続される。太径部4は、外部光ファイバ3と融着接続してもよい。図示例では、7本のシングルコアファイバ2の太径部4は、それぞれ7本の外部光ファイバ3に接続されている。
縮径部5では、延出方向にコア径は徐々に小さくなる。
縮径部5におけるシングルコアファイバ2の最小外径と最大外径との比率(最小外径/最大外径)は、例えば1/1.5〜1/2.5としてよい。縮径部5の最大外径は太径部4の外径と同じとしてよい。
細径部6の延出方向の端部6aは、接続点C2において、マルチコアファイバ1のコア1a(図4参照)に接続される。細径部6は、マルチコアファイバ1と融着接続してもよい。
図示例では、7本のシングルコアファイバ2の細径部6は、それぞれマルチコアファイバ1の7つのコア1aに接続されている。細径部6の外径は縮径部5の最小外径と同じとしてよい。
保持部8は、シングルコアファイバ2の長さ方向の一部または全部に設けられている。保持部8は、太径部8aと、太径部8aから延出する延伸部8dとを有する。延伸部8dは、太径部8aから長さ方向に縮径しつつ延出する縮径部8bと、縮径部8bから延出する細径部8cとを有する。
太径部8aは、シングルコアファイバ2の太径部4の一部に形成することができる。縮径部8b、細径部8cは、それぞれシングルコアファイバ2の縮径部5、細径部6に相当する位置に形成される。
コア2aに相当する中央領域における屈折率は、クラッド2bの屈折率より高く、単一のピークP1を形成する。図示例ではコア2aの屈折率はコア2aの全域にわたり一定値であるため、ピークP1は矩形(または略矩形)である。
なお、単峰型の屈折率分布とは、屈折率が単一のピークを有する分布をいう。
この図に示すように、クラッド2bに対するコア2aの比屈折率差Δが0.9の場合には、比屈折率差Δが0.35の場合に比べて、コア径が変化した時のモードフィールド径の変化率が小さくなる。
このことから、比屈折率差Δを大きくすれば、延伸部7のモードフィールド径の広がりを抑制できることがわかる。
すなわち、比屈折率差Δを大きくすることによって、延伸部7の端部6aのモードフィールド径とマルチコアファイバ1のモードフィールド径との差を小さくでき、デバイス10とマルチコアファイバ1との間の接続損失を低減できる。また、モードフィールド径を小さくできるため、近接する他のコアとの電磁界の重なりを小さくでき、クロストークを低減できる。
比屈折率差Δをこの範囲とすることによって、クロストーク特性が良好であり、かつ延伸部7でのモードフィールド径の拡大を抑制できるデバイス10が得られる。
このため、コア2aの比屈折率差Δは、所定の値以下とすることが好ましい。この比屈折率差Δは、例えば1.1%以下(好ましくは1.0以下)とすることができる。
比屈折率差Δをこの範囲とすることによって、非延伸側での接続損失を抑制できるため、延伸側で接続損失が生じたとしても、全体としては接続損失を低減できる。また、カットオフ波長を1550nm以下とすることができる。
上述のように、クラッド2bに対するコア2aの比屈折率差Δは、大きくなれば、延伸側でモードフィールド径の広がりを抑制できる半面、非延伸側での接続損失が大きくなる。
このため、延伸側のモードフィールド径(延伸部7の端部6aのモードフィールド径)を、あえてマルチコアファイバ1のモードフィールド径より大きくすることによって、前述の合計接続損失を小さくすることができる。
また、デバイス10の延伸部7のモードフィールド径がマルチコアファイバ1のモードフィールド径より大きくなると、デバイス10とマルチコアファイバ1との間の位置ずれが生じても、接続損失の増加が起こりにくいという利点もある。
図7は、シングルコアファイバ2のクラッドに対するコアの比屈折率差Δを0.9%としたときの、コアの半径とモードフィールド径との関係を示す図である。図中、MCFは、接続相手となるマルチコアファイバ1の端部のモードフィールド径である。
この図に示すように、コア半径を小さくしていくと、モードフィールド径はいったん徐々に小さくなり、コア半径をさらに小さくすると、逆に急激に大きくなる。
よって、前述の合計接続損失を小さくすることができる。また、カットオフ波長を1550nm以下とすることができる。
外部光ファイバ3は、シングルモード光ファイバが好ましい。
図10に示すように、複数の一定径のシングルコアファイバ2Aと、これを保持する円筒状の保持部8Aとからなる光ファイバユニット10Aを用意する。シングルコアファイバ2Aは、保持部8Aに軸方向に挿通している。保持部8Aはガラスなどからなる。
光ファイバユニット10Aの一端側部分11を残して他の部分12を加熱し溶融させ、この溶融部分12を、シングルコアファイバ2Aの長さ方向に延伸させる。
これによって、一端側部分11は太径部4となり、溶融部分12は延伸部7となり、図2等に示すデバイス10を得る。
また、前記屈折率分布が単峰型であるため、コア2a内に存在するモードは変化しないので、モードの移動に起因するモードフィールド径の変化が起こらず、近接する他のシングルコアファイバ22との間の電磁界の重なりが小さい。このため、クロストークを低減できる。
さらに、上記の特性のシングルコアファイバ2を用いることで、延伸部7におけるモードフィールド径がマルチコアファイバ1のモードフィールド径より大きくなるため、延伸側(延伸部7の端部6a)で接続損失が生じることがあるが、非延伸側(太径部4の端部4a)での接続損失を抑制できることから、全体としては接続損失を低減できる。
図1に示すデバイス10を有する入出力装置を作製した。
マルチコアファイバ1とデバイス10との間の接続損失を小さくするには、延伸側におけるモードフィールド径を、マルチコアファイバ1のモードフィールド径と同じとするようにシングルコアファイバ2の溶融延伸を行うことが、一般的には有効である。
しかし、デバイス10の非延伸側、延伸側の両方で、波長1550nmでシングルモード動作させるには、カットオフ波長に制限がある。そのため、モードフィールド径は自由には設定できない。
光ファイバのカットオフ波長λcは、コア半径r、コアの比屈折率差Δ、コアの屈折率nとすると、次の式(1)で求められる。
図中、「カットオフ波長」とは、式(1)で求められたカットオフ波長1550nmを示す。矢印で示すように、「カットオフ波長」の線(太い実線)より左下の領域は、カットオフ波長1550nm以下の領域である。
なお、延伸側におけるカットオフ波長は、式(1)においてコア半径rが小さくなるのと同様であり、非延伸側に比べて短くなる。
例として、コア半径rが3μmであるときの、クラッドに対するコアの比屈折率差Δと、合計接続損失との関係を図9に示す。
この例では、コアの比屈折率差Δを0.9%としたときに合計接続損失が最小化できることがわかる。
マルチコアファイバ1のコア1aの数は7であり、デバイス10のシングルコアファイバ2の数も7である。
シングルコアファイバ2の最小外径と最大外径との比率(最小外径/最大外径)は、1/1.9とした。
外部光ファイバ3(シングルモードファイバ)、シングルコアファイバ2の非延伸側(太径部4の端部4a)、シングルコアファイバ2の延伸側(延伸部7の端部6a)、およびマルチコアファイバ1について、モードフィールド径(波長1550nm)の計算値を表1に示す。
この結果より、このデバイス10では、延伸側におけるモードフィールド径がマルチコアファイバ1のモードフィールド径より大きいため、延伸側(接続点C2)で接続損失が生じるが、非延伸側(接続点C1)での接続損失を抑制できることにより、全体としては接続損失を低くできたことがわかる。
表2には、各結果について、7つのシングルコアファイバ2のうち最も悪かった値を示した。
図11および図12に示すデバイス20を用いて、実施例1と同様の試験を行った。
結果を表2に併せて示す。
例えば、図1に示す入出力装置では、デバイス10は、マルチコアファイバ1の両端部1c、1cにそれぞれ設けられているが、デバイス10は、マルチコアファイバ1の一方の端部1cにのみ設けられていてもよい。
また、図1に示す入出力装置では、デバイス10の非延伸側は外部光ファイバ3に接続されるが、デバイス10の非延伸側の接続相手は、光ファイバに限らず、光部品、光機器等であってもよい。
Claims (5)
- 複数のコアと前記複数のコアの周囲を覆う共通のクラッドとを有するマルチコアファイバの端部に接続されるファンイン/ファンアウトデバイスであって、
前記複数のコアにそれぞれ接続される複数のシングルコアファイバを備え、
前記複数のシングルコアファイバは、少なくとも一部が長さ方向に縮径しつつ延出する延伸部を有し、
前記延伸部は、延出方向の端部で前記マルチコアファイバの端部に接続され、
前記シングルコアファイバの屈折率分布は、単峰型とされ、
前記シングルコアファイバのクラッドに対するコアの比屈折率差は、0.8%以上であり、
前記延伸部の端部におけるモードフィールド径は、前記マルチコアファイバの端部のモードフィールド径より大きいことを特徴とするマルチコアファイバ用ファンイン/ファンアウトデバイス。 - 前記シングルコアファイバのクラッドに対するコアの比屈折率差は、1.1%以下であることを特徴とする請求項1に記載のマルチコアファイバ用ファンイン/ファンアウトデバイス。
- 前記シングルコアファイバの延伸前のコアの半径は、2.7〜3.2μmであることを特徴とする請求項1または2に記載のマルチコアファイバ用ファンイン/ファンアウトデバイス。
- 前記延伸部の端部における前記シングルコアファイバのモードフィールド径は、10μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載のマルチコアファイバ用ファンイン/ファンアウトデバイス。
- 前記延伸部は、シングルコアファイバを溶融させ延伸させることによって形成されたものであることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のマルチコアファイバ用ファンイン/ファンアウトデバイス。
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