JP2015000533A - オイルパーム圧密合板 - Google Patents

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Abstract

【課題】これまで利用されることなく放置されていたオイルパームの幹材を本来の木質材料として有効に利用するので、新たな産業廃棄物を生み出すことがなく、且つ、物性に優れ、ホルムアルデヒドなどの発散がないオイルパーム圧密合板を提供する。
【解決手段】オイルパームの幹材から形成した複数の単板に、当該単板以外の接合成分を付加することなく、当該単板どうしを積層して積層材を構成する。この積層材を所定温度に昇温すると共に、積層方向に所定の圧力をかけて圧密化することにより、複数の単板どうしが接合したオイルパーム圧密合板となる。このオイルパーム圧密合板の気乾密度の値が、0.5〜1.1(g/cm3)の範囲内にあり、且つ、JIS Z 2101:1994(木材の試験方法)に規定するブリネル硬さ試験に準拠して測定した表面の硬さHの値が、10(N/mm2)以上である。
【選択図】図4

Description

本発明は、オイルパーム単板を積層、圧密化してなるオイルパーム圧密合板に関するものであり、特に産業資材から建築内装材や家具などに広く使用できる物性の良好なオイルパーム圧密合板に関するものである。
合板は、原木を大根のカツラ剥きのように薄く剥いだもの(ベニヤ)を乾燥させ、複数枚の単板を繊維方向(木目方向)が交差するように積層し、これらの間に接着剤を塗布して接合し、1枚の板材のようにしたものである。これらの合板の用途は、住宅などの構造用に用いられる構造用合板、コンクリートの型枠に用いられるコンクリート型枠用合板(コンパネ)、或いは、建築内装材や家具など、更には化粧合板の基板などにも広く使用されている。
特に、日本のような高温・多湿の環境にも順応する木材の優れた特性を備え、更に、木材の持つ幾つかの欠点を製造技術で補整し、木材より強く、幅広で、しかも伸び縮みの少ない優れた材料である。また、木材の単材(製材)としては用途の限られる樹種を使用することができるので、資源の有効利用にも寄与している。これらの合板には、一般に海外で大規模に栽培され大量に入手できる、ラワンやメランチなどの広葉樹、カラマツ、ラジアータパインなどの針葉樹が使用されている。
一方、オイルパーム(アブラヤシ)も商業作物としてマレーシア、インドネシアを中心に大規模に栽培されている。このオイルパームの栽培は、油脂の採取を目的としており、果肉と種子だけが利用されている。一方、オイルパームは、植え付け後25〜30年で果実の収穫量が減少して経済寿命を終え、約25年毎に再植林されている。
この再植林の際に生じる大量のオイルパームの幹材は、木材用途としては狂いが大きく製材化には適さないとされている。そこで、伐採されたオイルパームの幹材は、有効に利用されることなく、産業廃棄物として廃棄処分或いは農場に放置されている。
そこで、このオイルパームの幹材を資源として有効に利用すべく、種々の試みがなされている。近年においては、バイオマス資源としてカーボンニュートラルな燃料の原料として検討されている。例えば、下記特許文献1において、「バイオエタノールの原料としてのオイルパーム材の利用」が提案されている。
伐採したオイルパームの幹材には、他の樹種と異なり、セルロース、ヘミセルロース以外に多くの遊離糖が含有されている。これらの遊離糖は、主にショ糖、グルコース、フルクトースなどからなり幹材の約10%も含有される。更に、オイルパームの幹材は、デンプンを約25%も含有すると言われている(下記非特許文献1)。
そこで、下記特許文献1においては、オイルパームの幹材を圧搾して遊離糖を含む圧搾液と絞り粕(圧搾粕)とに分離する。更に、この圧搾粕を酵素処理(アミラーゼ処理)して単糖を含む処理液とし、この処理液と圧搾液とを混合したものを発酵処理してエタノールを得るというものである。
また、下記特許文献2においては、オイルパームの幹材を分解するのではなく、これを原料とする「吸水性素材」が提案されている。この吸水性素材は、オイルパームの幹材から得られる柔組織(デンプンなどを貯蔵する「柔細胞」と思われる)を主成分とする高吸水性素材である。
更に、下記特許文献3においては、オイルパームの幹材を本来の木質材料として使用する「合板、パーム合板、合板製造方法、およびパーム合板製造方法」が提案されている。このパーム合板は、オイルパームの幹材から得られた単板を接着剤で接合したものであり、上述した一般の合板の製造法において、オイルパームの幹材を薄く剥いだ単板を複数枚積層し、これらの間に接着剤を塗布して接合し、1枚の板材(合板)としたものである。
特開2009−112246号公報 特開2011−224479号公報 特開2011−068015号公報
松田敏誉,富村洋一;熱帯林業, No.24(1992)37-46
ところで、上記特許文献1のバイオエタノールの原料としての利用は、カーボンニュートラルな燃料の製造として素晴らしいものであるが、オイルパームの幹材を圧搾し、酵素処理し、更に発酵処理する必要があり、複雑な工程と大掛かりな設備を必要とする。
また、上記特許文献2の吸水性素材は、産業資材としての利用であるが、圧搾、固形残渣の乾燥、粉砕、篩分による柔組織と維管束との分離などの複雑な工程が必要である。また、吸水性素材となる柔組織は、圧搾による固形残渣の約50〜60%であり、圧搾液や不必要な固形分である維管束の処分など、新たな産業廃棄物を生み出すことになる。
一方、上記特許文献3のパーム合板としての利用は、オイルパームの幹材をカツラ剥きし乾燥して得られた単板をそのまま利用することができる。従って、オイルパームの幹材の殆どの部分を利用することができるので、新たな産業廃棄物を生み出すこともない。
しかし、オイルパームの幹材から得られる単板は、合板に従来使用されているラワンなどの単板と異なり、密度が低く、そのことから強度が弱く、合板としたときにもその物性の点で問題となり用途が限定される。
更に、パーム合板に限らず、従来の合板においても、単板を接合する接着剤の問題が、近年大きくクローズアップされている。これは、合板の接着材として広く使用される尿素樹脂やメラミン樹脂が経年劣化により、徐々に分解してホルムアルデヒドを発散するというものである。現在では、接着剤の製造に使用するホルムアルデヒドの量を抑え、また、合板の接着剤から分解で生じるホルムアルデヒドを吸収・分解するキャッチャー剤を配合するなどの対策がなされている。しかし、それでも過敏な小児においてシックハウス症候群やアトピー性皮膚炎などの原因になることが報告されている。
そこで、本発明は、以上のようなことに対処して、これまで利用されることなく放置されていたオイルパームの幹材を本来の木質材料として有効に利用するので、新たな産業廃棄物を生み出すことがなく、且つ、物性に優れ、ホルムアルデヒドなどの発散がないオイルパーム圧密合板を提供することを目的とする。
上記課題の解決にあたり、本発明者らは、鋭意研究の結果、オイルパームの幹材から形成した単板を積層し、所定の温度と圧力を掛けて圧密化することにより、当該単板どうしが自然に接合した圧密合板が形成されることを見出した。更に、本発明者らは、圧密化後の圧密合板の密度を適正な範囲内に制御することにより、接合強度が良好となり物性的に優れた圧密合板となることを見出し本発明の完成に至った。
即ち、本発明に係るオイルパーム圧密合板は、請求項1の記載によると、
オイルパームの幹材から形成した複数の単板に、当該単板以外の接合成分を付加することなく、当該単板どうしを積層して積層材を構成し、
当該積層材を所定温度に昇温すると共に、前記積層材に対して積層方向に所定の圧力をかけて圧密化することにより、前記複数の単板どうしが接合してなるオイルパーム圧密合板であって、
圧密化後の気乾密度の値が、0.5〜1.1(g/cm3)の範囲内にあり、且つ、JIS Z 2101:1994(木材の試験方法)に規定するブリネル硬さ試験に準拠し、試験片の表面への圧入深さが1/π(mm)になるときの荷重をP(N)としたときに、下記の式(1)、
H=P/10 ・・・(1)
で示される、表面の硬さHの値が、10(N/mm2)以上であることを特徴とする。
また、本発明に係るオイルパーム圧密合板は、請求項2の記載によると、
オイルパームの幹材から形成した複数の単板に、当該単板以外の接合成分を付加することなく、当該単板どうしを積層して積層材を構成し、
当該積層材を所定温度に昇温すると共に、前記積層材に対して積層方向に所定の圧力をかけて圧密化することにより、前記複数の単板どうしが接合してなるオイルパーム圧密合板であって、
圧密化後の気乾密度の値が、0.5〜1.1(g/cm3)の範囲内にあり、且つ、JIS Z 2101:1994(木材の試験方法)に規定する摩耗試験に準拠し、試験片の測定前の質量をm1(mg)、試験片の試験後の質量をm2(mg)、試験機の摩耗輪による摩耗を受ける部分の面積をA(mm2)、試験片の密度をρ(g/cm3)としたときに、下記の式(2)、
D=(m1−m2)/A・ρ ・・・(2)
で示される、摩耗深さDの値が、0.25(mm)以下であることを特徴とする。
また、本発明に係るオイルパーム圧密合板は、請求項3の記載によると、
オイルパームの幹材から形成した複数の単板に、当該単板以外の接合成分を付加することなく、当該単板どうしを積層して積層材を構成し、
当該積層材を所定温度に昇温すると共に、前記積層材に対して積層方向に所定の圧力をかけて圧密化することにより、前記複数の単板どうしが接合してなるオイルパーム圧密合板であって、
圧密化後の気乾密度の値が、0.5〜1.1(g/cm3)の範囲内にあり、且つ、JIS Z 2101:1994(木材の試験方法)に規定するブリネル硬さ試験に準拠し、試験片の表面への圧入深さが1/π(mm)になるときの荷重をP(N)としたときに、下記の式(1)、
H=P/10 ・・・(1)
で示される、表面の硬さHの値が、10(N/mm2)以上であること、
及び、JIS Z 2101:1994(木材の試験方法)に規定する摩耗試験に準拠し、試験片の測定前の質量をm1(mg)、試験片の試験後の質量をm2(mg)、試験機の摩耗輪による摩耗を受ける部分の面積をA(mm2)、試験片の密度をρ(g/cm3)としたときに、下記の式(2)、
D=(m1−m2)/A・ρ ・・・(2)
で示される、摩耗深さDの値が、0.25(mm)以下であることを特徴とする。
また、本発明は、請求項4の記載によると、請求項1〜3のいずれか1つに記載のオイルパーム圧密合板であって、
前記単板は、オイルパームの幹材をその周方向に回転させながらロータリーレースで外周から所定の厚さに剥いで形成してなることを特徴とする。
また、本発明は、請求項5の記載によると、請求項1〜4のいずれか1つに記載のオイルパーム圧密合板であって、
気乾状態にある前記オイルパーム圧密合板から試験片を準備し、当該試験片の積層方向の厚さをA(mm)とし、
前記試験片を30℃の温水中に1時間浸漬し、その後、105℃の雰囲気下で全乾状態になるまで乾燥し、当該試験片の全乾後の積層方向の厚さをB(mm)としたときに、下記の式(3)、
C(%)=〔(B−A)/A〕×100 ・・・(3)
で示される、浸漬による試験片の厚さの回復率Cの値が、2%以下であることを特徴とする。
また、本発明は、請求項6の記載によると、請求項1〜5のいずれか1つに記載のオイルパーム圧密合板であって、
気乾状態にある前記オイルパーム圧密合板から長さ方向75mm×幅方向75mmの試験片を準備し、
合板の日本農林規格(JAS)別記3の(3)に規定する「2類浸せきはく離試験」に準拠し、前記試験片を70℃の温水中に2時間浸漬し、その後、60℃の雰囲気下で3時間乾燥した後に、
前記試験片の側面に現れている接合部分において、はく離していない部分の長さが、50mm以上であることを特徴とする。
また、本発明は、請求項7の記載によると、請求項1〜6のいずれか1つに記載のオイルパーム圧密合板であって、
オイルパームの幹材から形成した前記複数の単板の一部をオイルパーム以外の樹種から形成した単板に置き換えてなることを特徴とする。
上記各構成によれば、まず、オイルパームの幹材から形成した複数の単板を積層して積層材を構成する。なお、各単板の繊維方向は任意の角度で積層することができる。次に、この積層材を所定温度に昇温すると共に、この積層材に対して積層方向、即ち接合面に垂直の方向から所定の圧力をかけて圧密化する。このことにより、複数の単板どうしが接合してオイルパーム圧密合板を得ることができる。
このように、上記各構成によれば、これまで利用されることなく放置されていたオイルパームの幹材を本来の木質材料として有効に利用することができる。更に、オイルパームの幹材の殆どの部分をそのまま利用することができるので、中間工程における新たな産業廃棄物を生み出すことがない。
また、上記各構成によれば、オイルパームの幹材から形成した単板に単板以外の接合成分を付加することがない。即ち、単板どうしの接合に従来のように接着剤などの接合成分を付加することなく、単板どうしが接合(自己接着)してオイルパーム圧密合板となる。このことにより、従来の合板で問題となる接着剤からのホルムアルデヒドの発散がなく、且つ、天然素材そのものからなり、他の合成成分を付加することのないオイルパーム圧密合板を得ることができる。
また、上記各構成によれば、このようにして得られたオイルパーム圧密合板の気乾密度、即ち、含水率15質量%の気乾状態にあるオイルパーム圧密合板の密度の値が、0.5〜1.1(g/cm3)の範囲内にある。気乾密度の値がこの範囲内にあることにより、オイルパーム圧密合板の物性が良好となり、広い用途に使用することができる。このことにより、これまで利用されることなく放置されていたオイルパームの幹材を本来の木質材料として有効に利用することができる。
また、請求項1の構成によれば、JIS Z 2101:1994(木材の試験方法)に規定する「ブリネル硬さ試験」に準拠して測定した、オイルパーム圧密合板の表面の硬さHの値が、10(N/mm2)以上である。表面の硬さHの値が10(N/mm2)以上であることにより、物性、特に表面強度に優れキズが付きにくく広い用途に使用することができる。よって、上記各作用効果に加え、表面強度に優れたオイルパーム圧密合板を得ることができる。
また、請求項2の構成によれば、JIS Z 2101:1994(木材の試験方法)に規定する「摩耗試験」に準拠して測定した、オイルパーム圧密合板の摩耗深さDの値が、0.25(mm)以下である。摩耗深さDの値が0.25(mm)以下であることにより、物性、特に表面の摩耗強度に優れ広い用途に使用することができる。よって、上記各作用効果に加え、表面強度に優れたオイルパーム圧密合板を得ることができる。
また、請求項3の構成によれば、JIS Z 2101:1994(木材の試験方法)に規定する「ブリネル硬さ試験」に準拠して測定した表面の硬さHの値と、同じくJIS Z 2101:1994(木材の試験方法)に規定する「摩耗試験」に準拠して測定した摩耗深さDの値とが共に良好であり、物性、特に表面物性に優れ広い用途に使用することができる。よって、上記各作用効果に加え、表面強度に更に優れたオイルパーム圧密合板を得ることができる。
また、請求項4の構成によれば、オイルパームの幹材から形成した単板は、オイルパームの幹材をその周方向に回転させながらロータリーレースで外周から所定の厚さに剥いで形成するようにしてもよい。このように、ロータリーレースにより単板を形成することにより、所定の厚さの単板を安定して大量に形成することができる。また、オイルパームの幹材を辺材から芯材まで完全に利用することができる。
また、請求項5の構成によれば、オイルパーム圧密合板を30℃の温水中に1時間浸漬した場合でも、その後の乾燥により厚さの回復率Cの値が、2%以下であることが好ましい。厚さの回復率Cの値が2%以下であることにより、湿潤による寸法変化、特に圧密形状の安定性(形状記憶性能)に優れ広い用途に使用することができるオイルパーム圧密合板を得ることができる。よって、上記各作用効果に加え、形状記憶性能に優れたオイルパーム圧密合板を得ることができる。
また、請求項6の構成によれば、合板の日本農林規格(JAS)別記3の(3)に規定する2類浸せきはく離試験に準拠した測定において、オイルパーム圧密合板の接合部分において、はく離していない部分の長さが、50mm以上であることが好ましい。長さ方向75mm×幅方向75mmの試験片の接合部のうち、はく離していない部分の長さが50mm以上であることにより、接着剤などを使用していないにも拘らず接合部分の接合強度に優れ広い用途に使用することができる。よって、上記各作用効果に加え、接合部分の接合強度に優れたオイルパーム圧密合板を得ることができる。
また、請求項7の構成によれば、複数の単板を接合してオイルパーム圧密合板を形成するにあたり、複数の単板のうち一部の単板をオイルパーム以外の樹種から形成した単板に置き換えるようにしてもよい。但し、このオイルパーム以外の単板に隣接する単板は、必ずオイルパームの幹材から形成した単板とすることが必要である。このことにより、各単板どうしの接合に接着座などを付加する必要がなくなるからである。このように、オイルパームの幹材から形成した単板の一部をオイルパーム以外の単板に置き換えることにより、更に広い用途に使用できるオイルパーム圧密合板を得ることができる。
よって、本発明によれば、これまで利用されることなく放置されていたオイルパームの幹材を本来の木質材料として有効に利用するので、新たな産業廃棄物を生み出すことがなく、且つ、物性に優れ、ホルムアルデヒドなどの発散がないオイルパーム圧密合板を提供することができる。
本発明に係る一実施形態において、オイルパームの幹材をロータリーレースにより単板化する工程を示す概略図である。 本発明に係る一実施形態において、複数のオイルパーム単板を積層する際の組合せを示す概略図である。 本発明に係る一実施形態において、複数のオイルパーム単板からなる積層材の構成を示す概略図である。 本発明に係る一実施形態において、圧密化前後の状態(a)積層材、(b)オイルパーム圧密合板を示す概略図である。 本発明に係る一実施形態において、オイルパーム圧密合板を製造する圧密化装置の概要を示す断面図である。 本発明に係る一実施形態において、オイルパーム圧密合板を製造する工程の概要を示す工程図である。 本発明に係る一実施形態において、実施例で製造したオイルパーム圧密合板の気乾密度と表面の硬さHとの関係を示す相関図である。 本発明に係る一実施形態において、実施例で製造したオイルパーム圧密合板の気乾密度と摩耗深さDとの関係を示す相関図である。 本発明に係る一実施形態において、実施例で製造したオイルパーム圧密合板の気乾密度と浸漬・乾燥による厚さの回復率C及び接合面のはく離との関係を示す相関図である。
本発明において、オイルパームとは、アブラヤシ(油椰子)ともいわれ、西アフリカ原産のヤシ科アブラヤシ属に分類される単子葉植物の総称であって、油脂の採取を目的とする商業作物としてマレーシア、インドネシアを中心に大規模に栽培されている。成木は単一の幹からなり、高さ20mに達する。葉は羽状で長さ3〜5mほどのものが、毎年20〜30枚新しく生える。
また、上述のように、オイルパームは、植え付け後25〜30年で果実の収穫量が減少して経済寿命を終え、約25年毎に再植林されている。オイルパームの栽培は油脂の採取を目的として果肉と種子だけが利用されるので、その幹材はこれまで有効に利用されることなく、産業廃棄物として廃棄処分或いは農場に放置されている。
オイルパームの幹材の成分は産地によって若干の差があるとされるが、一般に、セルロース30.6%、ヘミセルロース33.2%、リグニン(総リグニン28.5%=クラーソンリグニン24.7%+酸可溶性リグニン3.8%)、抽出成分3.6%、灰分4.1%といわれている(Characterization in Chemical Composition of the Oil Palm; Journal of the Japan Institute of Energy,87(2008)383-388)。
また、オイルパームの幹材の断面には、視認できる直径0.4〜1.2mm程度の維管束とその周りにデンプンなどを貯蔵する柔細胞などが存在する。これらの細胞壁は、セルロース、ヘミセルロース、及び、リグニン等の樹脂成分で形成され、その他、幹材には約10%の遊離糖(主にショ糖、グルコース、フルクトースなど)や約25%のデンプンが含有されている(上記非特許文献1)。
以下、本発明に係るオイルパーム圧密合板をその製造工程に沿って図面を用いて説明する。オイルパーム圧密合板の製造工程においては、まず、オイルパームの幹材から単板を形成する。本発明においては、単板の形成方法については特に限定するものではなく、挽板による製材法、或いは、連続したロータリーレースなどによる剥き板法を使用することができる。なお、本発明においては、生産性に優れ、且つ、連続して均一な単板を形成することのできるロータリーレースによる方法が好ましい。
そこで、本実施形態においては、ロータリーレースにより単板を形成する方法について説明する。図1は、オイルパームの幹材をロータリーレースにより単板化する工程を示す概略図である。まず、伐採されたオイルパームの幹から所定の長さのオイルパーム幹材WDを切断する。このオイルパーム幹材WDをロータリーレース(装置)にセットする(図1において装置詳細は省略)。
次に、オイルパーム幹材WDに対して、その幹の中心を回転軸として回転させ、刃物CTによって大根のカツラ剥きと同様にして周方向の剥きを行う。このようにして、オイルパーム幹材WDの周囲(辺材)から中心(芯材)に向かって、所定の厚さのオイルパーム連続剥離板UWDを得る。なお、オイルパーム幹材WDは、その断面に年輪がなく、均質なオイルパーム連続剥離板UWDを得ることができる。また、年輪がないことから、オイルパーム連続剥離板UWDの表面には柾目が現れる。
このオイルパーム幹材WDにおいては、周囲(辺材)から中心(芯材)に向かって密度が徐々に小さくなる。即ち、辺材の密度が約0.6(g/cm3)程度であるのに対して、芯材の密度は約0.2(g/cm3)程度と小さくなる。その結果、オイルパーム連続剥離板UWDの密度が、徐々に小さく変化していく。
このオイルパーム連続剥離板UWDを所定の長さに切断して、オイルパーム単板Wを得る。通常、オイルパーム単板Wの切断は、連続的に行われる。このオイルパーム単板Wは、上述のように、その密度が徐々に変化している。しかし、1枚のオイルパーム単板W内においては、限定された長さとカツラ剥き工程によって、ほぼ均質の密度が得られている。
また、本実施形態においては、逆にこのことを利用して、任意の密度のオイルパーム単板Wを選択的に調達することができる。即ち、目的とするオイルパーム圧密合板の厚さ(圧密後の厚さ)と密度(圧密後の密度)を考慮して、必要な厚さ(圧密前の厚さ)と密度(圧密前の密度)のオイルパーム単板Wを必要枚数、調達することができる。なお、得られたオイルパーム単板Wは、切断後に乾燥される。乾燥は、木材の単板を乾燥する通常の装置、工程によって行うことができる。
このようにして形成されたオイルパーム単板Wは、複数枚(通常の合板では奇数枚であるが、本発明においては奇数枚に限るものではない)を積層して積層材NW(図3参照)を構成する。これらのオイルパーム単板Wを積層する際の組合せにおいては、各単板の繊維方向(木目の方向)を任意の方向で組み合わせることができる。
例えば、各オイルパーム単板Wの繊維方向が互いに交差(略直交)するように交互に積層するようにしてもよい。また、各オイルパーム単板Wの繊維方向が互いに平行になるように積層するようにしてもよい。また、各オイルパーム単板Wの繊維方向が直交方向ではない任意の角度に交差するように積層するようにしてもよい。更に、複数枚のオイルパーム単板Wのうち、表層付近のものだけが交差するように積層するようにしてもよく、或いは、内層付近のものだけが交差するように積層するようにしてもよい。
なお、本実施形態においては、各オイルパーム単板Wの繊維方向が交差(略直交)するように交互に積層する。このことにより、各オイルパーム単板Wが強度を補完し合って、完成したオイルパーム圧密合板の物性が大きく向上する。
図2は、複数枚(本実施形態においては5枚)のオイルパーム単板Wを積層する際の組合せを示す概略図である。図2(a)において、まず、繊維方向を長辺として同一方向を向く3枚のオイルパーム単板W1、W3、W5を準備する。次に、図2(b)において、先の3枚のオイルパーム単板W1、W3、W5とは、繊維方向が直交するように繊維方向を短辺とする2枚のオイルパーム単板W2、W4を準備する。
そして、繊維方向を長辺とする3枚のオイルパーム単板W1、W3、W5の間に、繊維方向を短辺とする2枚のオイルパーム単板W2、W4を挿入する。これら5枚のオイルパーム単板W1、W2、W3、W4、W5は、互いに繊維方向を交差するように積層されて、5層からなる積層材NW(図3参照)を構成する。
次に、このようにして構成した積層材NWを圧密化(後述する)することにより、オイルパーム圧密合板を得る。図4は、圧密化前後の積層材NWの状態を示す概略図である。図4(a)は、圧密化する前の積層材NWの状態を示している。一方、図4(b)は、積層材NWに所定の条件(後述する)による圧密化を行った後のオイルパーム圧密合板PWを示している。
図4において、圧密化する前の積層材NWと圧密化した後のオイルパーム圧密合板PWとは、長さ方向及び幅方向の寸法に大きな変化は現れていない。これに対して、厚さ方向、即ち積層方向の変化は大きく、圧密化によって圧縮されて高密度のオイルパーム圧密合板PWとなっていることが分かる。
ここで、圧密化(圧密固定化)について説明する。本発明者らは、これまで、木材の圧密固定化及び木材の塑性加工について検討してきた。その経緯から、本出願人は、木材の圧密固定化方法(特許第4787432号)及び塑性加工木材(特許第5138080号)など複数の特許を有している。そこで、本発明者らは、これらの技術的知見及び装置を活用して更に進化させることにより、従来にない新技術として、接着剤を必要としないオイルパーム単板の積層接合技術を開発した。
本実施形態においては、複数枚のオイルパーム単板Wを積層した積層材NWを加温し、この加温された積層材NWに対して、積層方向、即ち接合面に垂直の方向から所定の圧縮力を加えて圧縮する。更に、この圧縮力を維持した状態で、更に昇温して所定温度下で所定時間維持した後、温度を降下させて冷却し圧密固定化を完了する。
なお、本実施形態における圧密固定化条件として、まず、所定温度とは、150〜210℃の温度範囲内であり、好ましくは、170〜200℃の温度範囲内である。また、この温度範囲を維持する時間は、圧密固定化する対象により適宜選定するものであるが、例えば、10分〜120分の範囲内であり、好ましくは、20分〜60分の範囲内である。
一方、接合面に垂直の方向から加える圧縮力は、圧密固定化する対象により適宜選定するものであるが、例えば、5〜70kg/cm2の範囲内であることが好ましい。なお、本実施形態において使用する圧密化装置及び圧密化工程については後述する。
ここで、本実施形態においては、この圧密化(圧密固定化)によって、各オイルパーム単板Wの接合面が接着剤を必要とすることなく強固に接合(自己接着)する。オイルパーム単板Wが自己接着する理由については定かではないが、オイルパームの幹材に含まれる、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、遊離糖(主にショ糖、グルコース、フルクトースなど)、及び、デンプンの各成分が複合作用することにより強固に接着すると共に、オイルパーム圧密合板PW自体の物性の向上に寄与しているものと考えられる。
上記各成分のうち、セルロースは細胞壁の骨格を構成し、これにヘミセルロースを介在としてリグニンが接着成分として作用する。また、オイルパームに特に多く含まれる遊離糖及びデンプンが、リグニンと共に複合的に作用して、本発明固有の作用効果を発揮するものと思われる。
次に、このようにして製造したオイルパーム圧密合板PWの性能について説明する。本発明者らは、上述のように、圧密化(圧密固定化)によってオイルパーム単板Wの接合面が接着剤を必要とすることなく強固に接合(自己接着)することを見出した。更に、本発明者らは、自己接着により形成されたオイルパーム圧密合板PWの接合強度について確認した。
その結果、圧密化後のオイルパーム圧密合板PWの物性、特に表面の硬さ(キズの付き難さ)と摩耗深さ(耐摩耗性)は、圧縮度を大きくしてオイルパーム圧密合板PWの密度(気乾密度)を大きくすることにより向上することを確認した。
例えば、表面の硬さは、JIS Z 2101:1994(木材の試験方法)に規定する「ブリネル硬さ試験」に準拠して測定することができる(試験法の詳細は後述する)。この試験法において、オイルパーム圧密合板PWの表面の硬さHの値が、10(N/mm2)以上であることにより、キズが付き難く物性的に優れた圧密合板を提供できるものと考えられる。なお、表面の硬さHの値が、15(N/mm2)以上であることがより好ましく、このことにより、更に用途が広がるものと考えられる。なお、表面の硬さHの値が、10(N/mm2)以上の値を維持するためには、オイルパーム圧密合板PWの気乾密度(含水率15質量%の気乾状態における密度)の値は、約0.5(g/cm3)以上であることを見出した。
一方、摩耗深さは、JIS Z 2101:1994(木材の試験方法)に規定する「摩耗試験」に準拠して測定することができる(試験法の詳細は後述する)。この試験法において、オイルパーム圧密合板PWの摩耗深さDの値が、0.25(mm)以下であることにより、耐摩耗性に優れた圧密合板を提供できるものと考えられる。なお、摩耗深さDの値が、0.20(mm)以下であることがより好ましく、このことにより、更に用途が広がるものと考えられる。なお、摩耗深さDの値が、0.25(mm)以下の値を維持するためには、オイルパーム圧密合板PWの気乾密度(含水率15質量%の気乾状態における密度)の値は、約0.5(g/cm3)以上であることを見出した。
これらのことから、オイルパーム圧密合板PWの物性的には、気乾密度の値が、約0.5(g/cm3)以上であればよいこととなる。次に、本発明者らは、オイルパーム圧密合板PWの接合強度について確認した。接合強度の評価には、本出願人が社内試験法として採用する「湿潤回復試験」、及び、合板の日本農林規格(JAS)別記3の(3)に規定する「2類浸せきはく離試験」を採用した(共に試験法の詳細は後述する)。
その結果、圧密化後のオイルパーム圧密合板PWの接合強度は、予想に反して、オイルパーム圧密合板PWの密度(気乾密度)を所定の範囲内に制御することにより向上することを確認した。
例えば、湿潤回復試験は、浸漬による厚さの変化(回復率)を測定するものであり、この試験法において、一般の圧密木材の厚さの回復率Cの値は、6%以下であることが必要とされる。オイルパーム圧密合板PWにおいても、厚さの回復率Cの値が6%以下であることにより、接合強度に優れた圧密合板を提供できるものと考えられる。
そこで、オイルパーム圧密合板PWの厚さの回復率Cの値は、圧縮度を大きくしてその気乾密度の値を大きくすることにより変わらない、或いは、小さくなるものと考えられた。しかし、結果は逆であり、必要以上に圧縮度を大きくしてその気乾密度の値を大きくすると、厚さの回復率Cの値が高くなることを見出した。
つまり、オイルパーム圧密合板PWにおいては、気乾密度の値を所定の範囲内に制御することにより、厚さの回復率Cの値を非常に良好とされる2%以下とすることも可能である。このことにより、接合強度により優れた圧密合板を提供できることとなり、その用途が更に広がるものと考えられる。そこで、厚さの回復率Cの値が、2%以下の値を維持するためには、オイルパーム圧密合板PWの気乾密度の値は、約1.1(g/cm3)以下であることを見出した。
一方、2類浸せきはく離試験は、浸漬による接合部分のはく離の有無を目視で確認するものであり、この試験法において、長さ方向75mm×幅方向75mmの試験片に対して、はく離していない部分の長さが、50mm以上であることにより、接合強度が強く優れた圧密合板として用途が広がるものと考えられる。この試験法は、一般の接着剤を使用した合板を対象とするものであるが、オイルパーム圧密合板PWの接合面の接合強度を評価する方法として有効である。
そこで、オイルパーム圧密合板PWの接合面の接合強度は、圧縮度を大きくしてその気乾密度の値を大きくすることにより向上するものと考えられた。しかし、結果は逆であり、必要以上に圧縮度を大きくしてその気乾密度の値を大きくすると、接合面のはく離が多く生じることを見出した。
つまり、オイルパーム圧密合板PWにおいては、気乾密度の値を所定の範囲内に制御することにより、接合面のはく離を抑えることができる。このことにより、接合強度により優れた圧密合板を提供できることとなり、その用途が更に広がるものと考えられる。そこで、接合面のはく離を抑えるためには、オイルパーム圧密合板PWの気乾密度の値は、約1.1(g/cm3)以下であることを見出した。
以上のことから、本発明者らは、オイルパーム圧密合板PWが、その接合面の強度に優れ、且つ、物性的に優れたものとして広い用途に使用できるためには、圧密化後の気乾密度の値が、0.5〜1.1(g/cm3)の範囲内にあることが必要であると判断した。また、好ましくは、0.8〜1.0(g/cm3)の範囲内にあることがよいと考える。
ここで、本実施形態において使用するオイルパーム圧密合板PWを製造する圧密化装置MCについて説明する。図5は、本実施形態において使用する圧密化装置MCの概要を示す断面図である。図5において、圧密化装置MCは、上下に2分割されるプレス盤10(上プレス盤10A及び下プレス盤10B)から構成される。
上プレス盤10Aと下プレス盤10Bとは、上下に分割されることにより、内部空間IS及び位置決め孔18を形成する。位置決め孔18は、加圧前の積層材NWの位置を定め規制するものであって、その周縁部10bを上プレス盤10Aの周縁部10aに対向するようにして下プレス盤10Bに形成されている。上プレス盤10Aの周縁部10aには、プレス盤10の上下動の範囲で内部空間IS及び位置決め孔18を密閉状態とするためのシール部材11が形成されている。
また、上プレス盤10Aには、その上面側から内部空間IS内に連通され、内部空間IS及び位置決め孔18内に蒸気を供給するための配管口12aを有する配管12が設けられている。この配管12には、その下流側にバルブV4が設けられている。一方、下プレス盤10Bには、その側面側から内部空間IS及び位置決め孔18内に連通され、内部空間IS内から水蒸気を排出するための配管口13aを有する配管13が設けられている。この配管13には、その内部の蒸気圧を検出する圧力計P2と、その下流側のバルブV5と、バルブV5に接続されたドレン配管14が設けられている。
また、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bには、その内部に高温の水蒸気を通すことにより所定の温度に昇温するための配管路15、16が形成されており、これら配管路15、16には蒸気供給側の配管ST1から分岐された配管ST2、ST3、蒸気排出側の配管ET1、ET2がそれぞれ接続されている。これらの蒸気供給側の配管ST1,ST2、ST3の途中にはバルブV1、V2、V3、配管ST1内の蒸気圧を検出する圧力計P1が配設されており、蒸気排出側の配管ET1、ET2は、バルブV6を介してドレン配管14に接続されている。
なお、図5においては、配管ST1に水蒸気を供給するボイラ装置、また、プレス盤10の固定側の下プレス盤10Bに対して上プレス盤10Aを上昇/下降させ加圧するための油圧機構を含むプレス昇降装置は省略する。
更に、上プレス盤10A及び下プレス盤10B内に形成された配管路15、16に水蒸気に換えて低温の冷却水を通すことによって所望の温度に冷却する冷却水供給側の配管ST11から分岐された配管ST12、ST13が、上記配管ST2、ST3にそれぞれ接続されている。また、冷却水供給側の配管ST11、ST12、ST13の途中にはバルブV11、V12、V13が配設されている。なお、図5においては、配管ST11に冷却水を供給する冷却水供給装置は省略する。
次に、このように構成された圧密化装置MCを用いて、積層材NWからオイルパーム圧密合板PWを製造する製造工程について図6の各工程に沿って説明する。まず、図6(a)において、圧密化装置MCにおける固定側の下プレス盤10Bに対して上プレス盤10Aが上昇し、予め所定の条件に乾燥させた積層材NWを、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bで形成される内部空間IS及び位置決め孔18内に載置する。
ここで、本実施形態において、オイルパーム圧密合板PWの材料となる積層材NWは、所定の寸法(厚さ・幅・長さ)に形成されたものであり、5枚のオイルパーム単板W1、W2、W3、W4、W5の積層面(接合面に平行)を上プレス盤10A及び下プレス盤10Bの各プレス面に対向させ、下プレス盤10Bの位置決め孔18に載置する。
次に、図6(b)において、固定側の下プレス盤10Bの位置決め孔18上に載置した積層材NWに対して上プレス盤10Aを下降させて積層材NWの上面、即ち、積層面(接合面に平行)に対して垂直方向に当接させる。この状態において、上プレス盤10Aの配管路15及び下プレス盤10Bの配管路16に所定温度(例えば、110℃〜180℃)の水蒸気を通して、内部空間IS及び位置決め孔18内を所定温度(例えば、110℃〜180℃)に昇温する。この状態においては、内部空間IS及び位置決め孔18で構成される空間は、未だ密閉されていない。
次に、固定側の下プレス盤10Bに対して上プレス盤10Aの圧縮力を所定圧力(例えば、5〜70kg/cm2)に設定し、積層材NWを上プレス盤10A及び下プレス盤10Bにて所定時間(例えば、5分〜40分)加熱圧縮する。なお、このときの圧縮力は、割れを防止するために、積層材NWの温度上昇、即ち、積層材NWの熱伝導(内部の温度上昇)の状態に応じて徐々に昇温することが望ましく、加熱圧縮の時間も熱伝導に要する時間を考慮して設定することが好ましい。この状態においては、内部空間IS及び位置決め孔18で構成される空間は、未だ密閉されていない。
次に、図6(c)において、上プレス盤10Aの周縁部10aが下プレス盤10Bの周縁部10bに当接すると上プレス盤10Aの周縁部10aに配設されたシール部材11によって、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bにて形成される内部空間IS及び位置決め孔18が密閉状態となる。この状態において、内部空間IS及び位置決め孔18の密閉状態が維持されると共に、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bによる圧縮力が維持された状態で、所定温度(例えば、150〜210℃)まで昇温する。
なお、本実施形態において、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bによって形成される内部空間IS及び位置決め孔18がシール部材11を介して密閉状態となったときにおける内部空間IS及び位置決め孔18の上下方向の寸法間隔は、圧密化後の気乾密度の値が予め設定された値になるように厚さ方向の仕上がり寸法(圧縮率)に設定しておく。このため、積層材NWの厚さ全体の圧縮率、即ち、積層材NWの圧縮による板厚の変化は、上プレス盤10Aの周縁部10aが下プレス盤10Bの周縁部10bに当接することで決まる
こととなる。
この状態において、図6(c)に示す内部空間IS及び位置決め孔18の密閉状態で、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bの圧縮力が維持され、且つ、内部空間IS及び位置決め孔18が所定温度(例えば、150〜210℃)に維持されたまま、所定時間(例えば、30分〜120分)保持され、この後の冷却圧縮を解除したときに、戻り(膨張)のないオイルパーム圧密合板PWを形成するための加熱処理が行われる。このとき、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bで密閉状態とされている内部空間IS及び位置決め孔18を介して、積層材NWの周囲面とその内部とでは高温高圧の蒸気圧が出入り自在となっている。
なお、このように、本実施形態においては、積層材NWの表裏面に上プレス盤10A及び下プレス盤10Bが面接触し、密閉状態の内部空間IS及び位置決め孔18に保持されるため、積層材NWは、厚さ全体が十分に加熱され、効率よく圧縮変形されることになる。
次に、図6(d)において、内部空間IS及び位置決め孔18の密閉状態で加熱圧縮処理が行われているときに、蒸気圧制御処理として圧力計P2で内部空間IS及び位置決め孔18の蒸気圧が検出され、バルブV5が適宜、開閉される。これにより、配管口13a、配管13を通って内部空間IS及び位置決め孔18からドレン配管14側に高温高圧の水蒸気が排出されることで、特に、積層材NWの外層部分の含水率に基づく余分な内部空間IS及び位置決め孔18内の水分が除去され、内部空間IS及び位置決め孔18内が所定の蒸気圧となるように調節される。
また、必要に応じて、バルブV4に接続された配管12、配管口12a(図5)を介して内部空間ISに所定の蒸気圧を供給することができる。これらにより、木材の加熱圧縮処理の定着、所謂、木材の固定化がより促進されることとなる。
更に、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bによる加熱圧縮から冷却圧縮へと移行する直前に、蒸気圧制御処理としてバルブV5が開状態とされることで配管口13a、配管13を通って内部空間IS及び位置決め孔18からドレン配管14側に高温高圧の水蒸気が排出される。
次に、図6(e)において、上プレス盤10Aの配管路15及び下プレス盤10Bの配管路16に常温の冷却水が通されることによって、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bが常温前後まで冷却され、材料によって異なる所定時間(例えば、10分〜120分)保持される。なお、このときの固定側の下プレス盤10Bに対する上プレス盤10Aの圧縮力は、加熱圧縮の際の圧力と同じ所定圧力(例えば、5〜70kg/cm2)に保持されたまま、上プレス盤10A及び下プレス盤10Bが冷却される。
最後に、図6(f)において、固定側の下プレス盤10Bに対して上プレス盤10Aを上昇させ、内部空間IS及び位置決め孔18から仕上がり品である積層合板PWが取出されることで一連の処理工程が終了する。
以下、本発明に係るオイルパーム圧密合板を実施例により説明する。本実施例においては、オイルパーム圧密合板PWの圧密化後の気乾密度の値を高密度(高圧縮)から低密度(低圧縮)に変化させ、オイルパーム圧密合板PWの気乾密度の値がその物性にどのように影響するかを確認した。
A.オイルパーム単板Wの準備
同一のオイルパーム幹材WDからロータリーレースを用いてカツラ剥きに剥いで乾燥した複数のオイルパーム単板Wを準備した。これらのオイルパーム単板Wの寸法は、厚さ約3〜4mm、長さ約300mm、幅約200mmであり、繊維方向(木目方向)を長さ方向とするものと、幅方向とするものの両方を準備した。なお、圧密化前の各オイルパーム単板W気乾密度の値は、約0.4〜0.6(g/cm3)の範囲内にあった。
B.積層材NWの準備
本実施例においては、いずれも、上記オイルパーム単板Wを5枚組み合わせて、圧密化前の厚さが約14〜20mm程度となる複数の積層材NW(No.1〜28)を準備した。これらの積層材NWは、上述のように、互いに繊維方向を交差(略直交)するように積層して5層からなるものとした。なお、積層材NWを形成するにあたり、各接合面には接着剤など他の成分を付与することがなかった。準備した各積層材NW(No.1〜28)の圧密化前の厚さと気乾密度の値を表1に示す。
C.圧密化
このようにして準備した各積層材NWに対して、上述の圧密化装置MCを使用して圧密化を行った。なお、本実施例においては同一の材料から気乾密度の値が異なる高圧縮から低圧縮のオイルパーム圧密合板PWを得る目的から、試料の流動を制御して圧密化を行った。このときの圧密化温度(設定温度)は、170℃、180℃、190℃、及び、200℃の4水準とした。
本実施例においては、設定温度に昇温後に同温度の水蒸気を併用し、その処理時間(維持時間)は、全て30分として統一した。また、設定温度に昇温後のプレス圧力は、全て50kg/cm2として統一した。30分の圧密化処理後、温度を常温まで冷却した後、プレス圧力を解除して圧密化を終了した。なお、圧密化後の気乾密度の値は、予め計算した圧縮厚さにより制御した。このようにして、圧密化された一連のオイルパーム圧密合板PW(No.1〜28)を得た。圧密化後の各オイルパーム圧密合板PWの厚さは、約6.5〜10.5mm程度であった。また、これらの気乾密度の値は、約0.6〜1.3(g/cm3)の範囲内となった。各オイルパーム圧密合板PW(No.1〜28)の厚さと気乾密度の値を表1に示す。
Figure 2015000533
D.物性評価
次に、本実施例において製造した各オイルパーム圧密合板PWの各種物性を測定し、オイルパーム圧密合板PWの気乾密度の値に対して、これらの物性がどのように影響されるかを評価した。評価項目としては、オイルパーム圧密合板PWの「表面の硬さ」、「摩耗深さ」、「浸漬による厚さの変化(回復率)」、及び、「浸漬による接合部分のはく離」の4項目とした。なお、製造した各オイルパーム圧密合板PWの表面は、サンダー(研磨装置)を用いて平滑に仕上げてから各測定を行った。以下、各評価項目及び評価結果について説明する。
a.表面の硬さ:
上記各オイルパーム圧密合板PWに対して、JIS Z 2101:1994(木材の試験方法)に規定する「ブリネル硬さ試験」に準拠して測定した。各オイルパーム圧密合板PWから試験片を作製し、ブリネル硬さ試験機を使用して試験片の表面に直径10mmの鋼球を深さ1/πmm(約0.32mm)まで圧入した。このときの圧入荷重P(N)を測定し、下記の式(1)により、
H=P/10 ・・・(1)
試験片の表面の硬さH(N/mm2)の値を求めた。各オイルパーム圧密合板PWに対して求めた表面の硬さHの値を表2に示す。
b.摩耗深さ:
上記各オイルパーム圧密合板PWに対して、JIS Z 2101:1994(木材の試験方法)に規定する「摩耗試験」に準拠して測定した。各オイルパーム圧密合板PWから試験片を作製し、JISに規定する摩耗試験装置を使用して試験片の表面を摩耗した。具体的には、試験片を摩耗試験装置の回転盤に水平に固定し、研摩紙を巻き付けた摩耗輪2個を、試験片の表面上で500回転させた。このとき、試験片の表面に加わる総荷重量に相当する質量は、摩耗輪の質量を含め5.2N±0.05Nとした。
500回転後の試験片の表面の厚さ摩耗量(摩耗深さ)は、次のようにして求めた。試験片の測定前の質量をm1(mg)、試験片の試験後の質量をm2(mg)、摩耗試験装置の摩耗輪による摩耗を受ける部分の面積をA(mm2)、試験片の密度をρ(g/cm3)としたときに、下記の式(2)により、
D=(m1−m2)/A・ρ ・・・(2)
試験片の表面の摩耗深さD(mm)の値を求めた。各オイルパーム圧密合板PWに対して求めた摩耗深さDの値を表2に示す。
c.浸漬による厚さの変化(回復率):
上記各オイルパーム圧密合板PWに対して、本出願人が社内試験法として採用する「湿潤回復試験」により測定した。各オイルパーム圧密合板PWから試験片を作製し、この試験片を30℃の温水中に1時間浸漬した。その後、温水中から取り出した試験片を105℃の雰囲気下で含水率の値が0質量%となる全乾状態になるまで乾燥した。
ここで、浸漬前の含水率の値が15質量%の気乾状態にある試験片の積層方向の厚さをA(mm)とし、浸漬・乾燥後の含水率の値が0質量%となる全乾状態にある試験片の積層方向の厚さをB(mm)としたときに、下記の式(3)により、
C(%)=〔(B−A)/A〕×100 ・・・(3)
試験片の浸漬による厚さの回復率C(%)の値を求めた。各オイルパーム圧密合板PWに対して求めた厚さの回復率Cの値を表2に示す。
d.浸漬による接合部分のはく離:
上記各オイルパーム圧密合板PWに対して、合板の日本農林規格(JAS)別記3の(3)に規定する「2類浸せきはく離試験」に準拠して測定した。各オイルパーム圧密合板PWから長さ方向75mm×幅方向75mmの試験片を作製し、この試験片を70℃の温水中に2時間浸漬した。その後、温水中から取り出した試験片を60℃の雰囲気下で3時間乾燥した。
この浸漬・乾燥後の試験片において、試験片の側面に現れている接合部分に、はく離が生じているか否かを目視により判断した。判断基準は、はく離していない部分の長さが、50mm以上であるものを合格(はく離なし)とした。各オイルパーム圧密合板PWに対する、はく離の有(×)無(○)を表2に示す。
Figure 2015000533
次に、表2に示した各評価項目の結果を、それぞれ、各オイルパーム圧密合板PWの気乾密度の値に対してプロットしたものが、図7〜図9に示す各相関図である。なお、図7〜図9においては、各試料の処理温度をグラフ上に表示していない。
図7は、オイルパーム圧密合板PWの気乾密度と表面の硬さHとの関係を示す相関図である。図7において、気乾密度の値が大きくなるにしたがって、表面の硬さHの値も大きくなっている。これは、一般的な圧密木材と同様に圧縮率を高くして気乾密度の値を大きくするほど、物性が向上し品質が安定するものと思われた。しかし、オイルパーム圧密合板PWにおいては、気乾密度の値が1.1(g/cm3)より大きくなると表面の硬さHの測定値にバラツキが大きくなっている。この測定値のバラツキについては、理由が定かではないが、処理温度が影響しているものとは判断できない。
次に、図8は、オイルパーム圧密合板PWの気乾密度と摩耗深さDとの関係を示す相関図である。図8において、気乾密度の値が大きくなるにしたがって、摩耗深さDの値は小さくなっている。この点については、一般的な圧密木材と同様に圧縮率を高くして気乾密度の値を大きくするほど、物性が向上し品質が安定するものと思われる。また、摩耗深さDの値に関しても、処理温度が影響しているものとは判断できない。
次に、図9は、オイルパーム圧密合板PWの気乾密度と浸漬・乾燥による厚さの回復率C及び接合面のはく離との関係を示す相関図である。図9において、気乾密度の値が1.05(g/cm3)より小さい領域では、厚さの回復率Cは負の値を示している。つまり、浸漬による膨潤で厚さが増した試験片を全乾状態まで乾燥したときに、この試験片の厚さが、浸漬前の気乾状態での厚さより薄くなったことを示している。このことは、圧密化が十分になされており接合面の接合状態が良好で、オイルパーム圧密合板PWの物性が優れていることを意味している。
一方、気乾密度の値が1.05(g/cm3)より大きくなると、厚さの回復率Cは正の値を示すようになる。つまり、浸漬による膨潤で厚さが増した試験片を全乾状態まで乾燥したときに、この試験片の厚さが、浸漬前の気乾状態での厚さまで回復しないことを示している。しかし、厚さの回復率Cの値が2%以下の領域においては、圧密化が十分になされており接合面の接合状態が良好で、オイルパーム圧密合板PWの物性が優れているものと考えられる。
更に気乾密度の値が大きくなると、1.2(g/cm3)を超えた辺りから、厚さの回復率Cの値が急激に増加して一般の圧密木材で許容される6%を大きく超えるようになる。この理由については定かではないが、本実施形態に係るオイルパーム圧密合板PWが自己接着により接合していることから、接合面に何らかの変化が生じたものと考えられる。
このことは、浸漬による接合部分のはく離の試験結果(表1及び図9参照)においても示されており、オイルパーム圧密合板PWの気乾密度の値が1.1(g/cm3)を超える辺りから、はく離現象が現れてくる。
これらのことから、本発明者らは、オイルパーム圧密合板PWが、その接合面の強度に優れ、且つ、物性的に優れたものとして広い用途に使用できるためには、圧密化後の気乾密度の値が、0.5〜1.1(g/cm3)の範囲内にあることが必要であると判断した。また、好ましくは、0.8〜1.0(g/cm3)の範囲内にあることがよいと考える。
以上、説明したように、本発明によれば、これまで利用されることなく放置されていたオイルパームの幹材を本来の木質材料として有効に利用するので、新たな産業廃棄物を生み出すことがなく、且つ、物性に優れ、ホルムアルデヒドなどの発散がないオイルパーム圧密合板を提供することができる。
なお、本発明の実施にあたり、上記実施形態に限らず次のような種々の変形例が挙げられる。
(1)上記実施形態においては、オイルパーム幹材からオイルパーム単板を形成する際にロータリーレースを使用するが、これに限るものではなく、例えば、挽板により製材するようにしてもよい。
(2)上記実施形態においては、圧密化前の密度ができるだけ同一のオイルパーム単板を組み合わせるものであるが、これに限るものではなく、圧密化前の密度が異なるオイルパーム単板どうしを組み合わせて圧密化するようにしてもよい。
(3)上記実施形態においては、5枚のオイルパーム単板を積層するものであるが、これに限るものではなく、2枚〜4枚、或いは、6枚以上のオイルパーム単板を積層して圧密化するようにしてもよい。
(4)上記実施形態においては、プレス盤に対して配管を用いて高温の水蒸気を導入して処理空間(内部空間IS)内のオイルパーム単板を加熱するものであるが、これに限るものではなく、高周波加熱、マイクロ波加熱等を用いてオイルパーム単板を加熱するようにしてもよい。
(5)上記実施形態においては、積層材を所定温度で処理する際に、高温の水蒸気を併用するものであるが、これに限るものではなく、処理空間(内部空間IS)内に液体の水を供給しておき、この水から発生する水蒸気により圧密化するようにしてもよく、或いは、熱圧処理においてオイルパーム単板が含有する水分によって圧密化するようにしてもよい。
(6)上記実施形態においては、オイルパーム単板の繊維方向を互いに交差(略直交)するように積層して積層材を構成したが、これに限るものではなく、オイルパーム単板の繊維方向を互いに平行にして積層するようにしてもよい。また、オイルパーム単板の繊維方向を直交方向ではない任意の角度に交差させて積層するようにしてもよい。
(7)上記実施形態においては、オイルパーム単板の繊維方向を互いに交差(略直交)するように積層して積層材を構成したが、これに限るものではなく、多層からなる積層材の表層付近だけを積層するようにしてもよい。例えば、7層からなる積層材を構成する場合に、表裏両面から2層のみの繊維方向を交差させ、内部の3層は平行にして積層するようにしてもよい。
WD…オイルパーム幹材、CT…刃物、UWD…オイルパーム連続剥離板、
W、W1、W2、W3、W4、W5…オイルパーム単板、
NW…積層材、PW…オイルパーム圧密合板、
MC…圧密化装置、10…プレス盤、10A…上プレス盤、10B…下プレス盤、
IS…内部空間、18…位置決め孔。

Claims (7)

  1. オイルパームの幹材から形成した複数の単板に、当該単板以外の接合成分を付加することなく、当該単板どうしを積層して積層材を構成し、
    当該積層材を所定温度に昇温すると共に、前記積層材に対して積層方向に所定の圧力をかけて圧密化することにより、前記複数の単板どうしが接合してなるオイルパーム圧密合板であって、
    圧密化後の気乾密度の値が、0.5〜1.1(g/cm3)の範囲内にあり、且つ、JIS Z 2101:1994(木材の試験方法)に規定する「ブリネル硬さ試験」に準拠し、試験片の表面への圧入深さが1/π(mm)になるときの荷重をP(N)としたときに、下記の式(1)、
    H=P/10 ・・・(1)
    で示される、表面の硬さHの値が、10(N/mm2)以上であることを特徴とするオイルパーム圧密合板。
  2. オイルパームの幹材から形成した複数の単板に、当該単板以外の接合成分を付加することなく、当該単板どうしを積層して積層材を構成し、
    当該積層材を所定温度に昇温すると共に、前記積層材に対して積層方向に所定の圧力をかけて圧密化することにより、前記複数の単板どうしが接合してなるオイルパーム圧密合板であって、
    圧密化後の気乾密度の値が、0.5〜1.1(g/cm3)の範囲内にあり、且つ、JIS Z 2101:1994(木材の試験方法)に規定する「摩耗試験」に準拠し、試験片の測定前の質量をm1(mg)、試験片の試験後の質量をm2(mg)、試験機の摩耗輪による摩耗を受ける部分の面積をA(mm2)、試験片の密度をρ(g/cm3)としたときに、下記の式(2)、
    D=(m1−m2)/A・ρ ・・・(2)
    で示される、摩耗深さDの値が、0.25(mm)以下であることを特徴とするオイルパーム圧密合板。
  3. オイルパームの幹材から形成した複数の単板に、当該単板以外の接合成分を付加することなく、当該単板どうしを積層して積層材を構成し、
    当該積層材を所定温度に昇温すると共に、前記積層材に対して積層方向に所定の圧力をかけて圧密化することにより、前記複数の単板どうしが接合してなるオイルパーム圧密合板であって、
    圧密化後の気乾密度の値が、0.5〜1.1(g/cm3)の範囲内にあり、且つ、JIS Z 2101:1994(木材の試験方法)に規定する「ブリネル硬さ試験」に準拠し、試験片の表面への圧入深さが1/π(mm)になるときの荷重をP(N)としたときに、下記の式(1)、
    H=P/10 ・・・(1)
    で示される、表面の硬さHの値が、10(N/mm2)以上であること、
    及び、JIS Z 2101:1994(木材の試験方法)に規定する「摩耗試験」に準拠し、試験片の測定前の質量をm1(mg)、試験片の試験後の質量をm2(mg)、試験機の摩耗輪による摩耗を受ける部分の面積をA(mm2)、試験片の密度をρ(g/cm3)としたときに、下記の式(2)、
    D=(m1−m2)/A・ρ ・・・(2)
    で示される、摩耗深さDの値が、0.25(mm)以下であることを特徴とするオイルパーム圧密合板。
  4. 前記単板は、オイルパームの幹材をその周方向に回転させながらロータリーレースで外周から所定の厚さに剥いで形成してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のオイルパーム圧密合板。
  5. 気乾状態にある前記オイルパーム圧密合板から試験片を準備し、当該試験片の積層方向の厚さをA(mm)とし、
    前記試験片を30℃の温水中に1時間浸漬し、その後、105℃の雰囲気下で全乾状態になるまで乾燥し、当該試験片の全乾後の積層方向の厚さをB(mm)としたときに、下記の式(3)、
    C(%)=〔(B−A)/A〕×100 ・・・(3)
    で示される、浸漬による試験片の厚さの回復率Cの値が、2%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のオイルパーム圧密合板。
  6. 気乾状態にある前記オイルパーム圧密合板から長さ方向75mm×幅方向75mmの試験片を準備し、
    合板の日本農林規格(JAS)別記3の(3)に規定する「2類浸せきはく離試験」に準拠し、前記試験片を70℃の温水中に2時間浸漬し、その後、60℃の雰囲気下で3時間乾燥した後に、
    前記試験片の側面に現れている接合部分において、はく離していない部分の長さが、50mm以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のオイルパーム圧密合板。
  7. オイルパームの幹材から形成した前記複数の単板の一部をオイルパーム以外の樹種から形成した単板に置き換えてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のオイルパーム圧密合板。
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