JP2014531845A - 波動領域におけるスケーラブルフィルタ処理構造を用いたリスニングルーム等化のための装置および方法 - Google Patents

波動領域におけるスケーラブルフィルタ処理構造を用いたリスニングルーム等化のための装置および方法 Download PDF

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Abstract

リスニングルーム等化のための装置を提案する。システム同定適応ユニット(120)は、第1ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子を適応させて第2ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子を得る。フィルタ適応ユニット(130)は、第2ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子に基づき、かつ予め決定されたラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子にも基づいて、フィルタ(140)を適応させる。フィルタ(140)は複数のサブフィルタ(141,14r)を含み、各サブフィルタは1つ又は複数の変換済みラウドスピーカ信号を受信する。サブフィルタ(141,14r)の各々は、1つ又は複数の受信ラウドスピーカ信号に基づいて複数のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号の1つを生成する。サブフィルタ(141,14r)の少なくとも1つは、少なくとも2つの受信ラウドスピーカ信号を結合して複数のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号の1つを生成する。さらに、サブフィルタ(141,14r)の少なくとも1つは、複数の変換済みラウドスピーカ信号の総数よりも少数の受信ラウドスピーカ信号を有する。【選択図】 図1

Description

本発明はオーディオ信号処理に関し、特に、リスニングルーム等化(listening room equalization:LRE)のための装置及び方法に関する。
オーディオ信号処理はますます重要になりつつある。例えば波面合成(wave field synthesis:WFS)やアンビソニックス(Ambisonics)などの複数のオーディオ再生技術は、音響的情景の高度に詳細な空間的再生を提供するために、複数のラウドスピーカが装備されたラウドスピーカアレイを使用する。特に、波面合成は、例えば数十個〜数百個のラウドスピーカからなるアレイを使用することで、スイートスポット(最適聴取位置)の限界を克服すべく、音響的情景の高度に詳細な空間的再生を達成するために使用されている。波面合成に関する更なる詳細は、例えば非特許文献1に開示されている。
波面合成(WFS)又はアンビソニックスなどのオーディオ再生技術において、ラウドスピーカ信号は、典型的にはある基底の理論に従って決定されており、既知の位置にある各ラウドスピーカによって放射される音場の重畳がある望ましい音場を表現するよう意図されている。典型的には、ラウドスピーカ信号は、自由音場条件を想定して決定される。従って、リスニングルームは有意な壁面反射を示すべきではない。なぜなら、反射された波動場の反射部分が再生される波動場に歪みを与える恐れがあるからである。多くの場合において、そのようなルーム特性を達成するために必要となる音響的処理は、過剰に高価となるか又は非現実的となる可能性がある。
音響的対策の代替方法として、リスニングルーム等化(LRE)を用いて壁面反射を補償する方法があり、この方法は通常、リスニングルーム補償と呼ばれている。リスニングルーム等化は、特に、大規模多チャネル再生システムとともに使用されることに適している。その目的で、再生用信号は、多数のマイクロホン位置におけるラウドスピーカからの多入力−多出力(Multiple-Input-Multiple-Output:MIMO)のルームシステム応答を事前等化するように、理想的には聴取域内のどの点においても等化を達成するように、フィルタ処理される。しかしながら、WFSは典型的に多数の再生チャネルを有するため、演算上及びアルゴリズム上の両方の理由から見てリスニングルーム等化の作業を困難にしてしまう。
例えばWFSに使用されるような、波動場に対する十分な制御を提供できるラウドスピーカ構成が与えられた場合、たとえ壁面反射が存在したとしても、所望の波動場が再生されるような方法でラウドスピーカ信号をプレフィルタ処理することが可能である。この目的で、マイクロホンアレイがリスニングルームに設置されて、結果として得られる全体的なMIMOシステム応答が所望(自由音場)のインパルス応答となるように、イコライザ(等化部)が決定される(非特許文献2、非特許文献3及び非特許文献4を参照)。例えばルーム温度の変化、ドアの開閉又はルーム内における大型移動物体などによってルーム特性が変化する可能性があるため、適応的に決定されるイコライザへの必要性が生まれる。この点に関しては、非特許文献5を参照されたい。
対応するLREシステムは、ラウドスピーカ信号及びマイクロホン信号の観測に基づいてLEMS(ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム)を同定するための構築ブロックと、イコライザ係数を決定するための他の部分とを含む(非特許文献6を参照)。単一チャネルの場合には、同定とイコライザ決定との両方に対する直接的な解を公式化することが可能である。また、多チャネルシステムについてのLREの作業に関連する他の課題も存在する。即ち、空間的ロバスト性を達成するために、リスニングルーム等化は、マイクロホン位置においてだけではなく、空間的連続域において達成されるべきであるという点である(非特許文献4を参照)。この問題はしばしば劣決定(underdetermined)又は悪条件(ill-conditioned)となり、適応型フィルタ処理のための演算量は膨大になる可能性がある(非特許文献7を参照)。
WFSに典型的に使用されるようなラウドスピーカアレイは、上述した第1の問題を潜在的に解決するための波動場に対する十分な制御を提供するが、多数の再生チャネルによって上述した他の2つの問題を増大させてしまうため、非特許文献6により提示されたようなWFSのためのシステムは、典型的な実世界のシナリオに対しては非現実的となってしまう。
合成された波面に対する精密な空間制御によって、WFSシステムがLREについて特に適合している一方で、多数の再生チャネルのために、そのようなシステムの開発に関する大きな課題を発生させてしまう。MIMOのラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム(LEMS)は、経時変化すると想定されるべきであるため、適応型フィルタ処理によってシステムが連続的に同定されなければならない。音響エコーキャンセレーション(AEC)から知られるように、多数の再生チャネルを使用する場合、この問題は劣決定又は少なくとも悪条件となる恐れがある(非特許文献8を参照)。
加えて、LREの根底にある逆フィルタ処理問題もまた、悪条件と想定されるべきである。これらアルゴリズム上の問題の他に、多数の再生チャネルも、システム同定と等化用プレフィルタの決定との両方について、多大の演算量をもたらしてしまう。LEMSのMIMOシステム応答はマイクロホン位置についてだけ測定可能であり、また一方で等化はリスニング領域内全体において達成されなければならないために、イコライザに関する空間的ロバスト性が追加的に確保される必要がある。
現状技術によるLREは、リスニングルーム内の多数の点における等化を目指している。例えば非特許文献4を参照されたい。
しかしながら、この手法は波動伝播を無視しており、従って、そこから得られる結果は低い空間的ロバスト性の悪影響を受ける。
上述したLREに関する問題を克服するようなオーディオ信号処理における種々の適応型フィルタ処理作業のために、波動領域適応フィルタ処理(Wave-domain adaptive filtering:WDAF)が提案された(非特許文献9及び非特許文献10を参照)。この手法は、波動方程式の基本解を適応フィルタ処理のための信号表現に関する基底関数として使用する。その結果、考慮対象となるMIMOシステムは、多数の結合していない(例えば単一チャネルなどの)SISO(単一入力−単一出力)システムによって近似され得る。これにより、適応フィルタ処理に関する演算要求量をかなり低減でき、加えて、根底にある問題の条件が改善される。同時に、この手法は暗黙的に波動伝播を考慮するため、空間的連続域内においてLREを達成する解が得られる。関連する特許文献1を参照されたい。
しかしながら、そこで示された多数の結合していないSISOシステムを含む簡素化されたモデルは、更に複雑な音響的情景が再生される場合に、LEMSの挙動を十分にモデル化できないことがわかる。例えば非特許文献11を参照されたい。
非特許文献10の説明によれば、現状技術に従ってリスニングルーム等化を実現するためには、M個のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号が得られるように、M個のラウドスピーカ入力信号がフィルタ処理される。更に、非特許文献10の説明によれば、現状技術においては、M個のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号の各々を生成するために、M個のラウドスピーカ入力信号の全てが考慮対象とされる。
更に、非特許文献10には、上述した現状技術の概念の代替法として、N個のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号の各々が、波動領域におけるN個のラウドスピーカ入力信号の単一の信号だけに基づいて生成されるべきことも提案されている。これにより、簡素化されたフィルタ構造が達成される。この目的で、非特許文献10の提案によると、LEMSを近似することが可能であり、非常に簡素なイコライザ構造が得られる。非特許文献10に提案された概念に従えば、システム同定は決して劣決定の問題ではない。しかしながら、非特許文献10のモデルは、モデルの限界に起因して残余誤差を発生させてしまう。
非特許文献10で提案された概念による簡素なモデルは、その簡素な構造のゆえに、実世界のシナリオで実現可能といえる。しかしながら、この概念の簡素化された構造はまた、実際に関連する多くの再生シナリオにおいて不十分なリスニングルーム等化をもたらすという欠点も有している。
[6] Buchner, H. ; Herbodt,W. ; Spors, S ; Kellermann,W.: US-Patent Application: Apparatus and Method for Signal Processing. Pub. No.: US 2006 0262939 Al, Nov. 2006.
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そこで、本発明の目的は、適応型リスニングルーム等化に関する改善された概念を提供することである。本発明の目的は、請求項1に記載のリスニングルーム等化のための装置と、請求項14に記載のリスニングルーム等化のための方法と、請求項15に記載のコンピュータプログラムとにより達成される。
一実施形態において、リスニングルーム等化のための装置が提供される。その装置は複数のラウドスピーカ入力信号を受信するよう構成されている。
前記装置は、少なくとも2つのラウドスピーカ入力信号を時間領域から波動領域へと変換して複数の変換済みラウドスピーカ信号を得るよう構成された、変換ユニットを含む。
また、前記装置は、第1ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子を適応させて第2ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子を得るよう構成された、システム同定適応ユニットを含む。第1及び第2のラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子は、複数のラウドスピーカと複数のマイクロホンとを含むラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステムを同定する。
更に、前記装置は、第2ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子に基づき、かつ予め決定されたラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子にも基づいて、フィルタを適応させるよう構成された、フィルタ適応ユニットを含む。
フィルタは複数のサブフィルタを含む。サブフィルタの各々は、変換済みラウドスピーカ信号の1つ又は複数を受信ラウドスピーカ信号として受信する。更にサブフィルタの各々は、1つ又は複数の受信ラウドスピーカ信号に基づいて、複数のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号の1つを生成するよう構成されている。サブフィルタの少なくとも1つは、変換済みラウドスピーカ信号の少なくとも2つを受信ラウドスピーカ信号として受信するよう構成され、更に、少なくとも2つの受信ラウドスピーカ信号を結合して、複数のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号の1つを生成するよう構成されている。サブフィルタの少なくとも1つは、複数の変換済みラウドスピーカ信号の総数よりも小さい数の受信ラウドスピーカ信号を有し、その受信ラウドスピーカ信号の数は1又は1よりも大きい数である。
上述の実施形態においては、フィルタのサブフィルタの各々が正に1つのフィルタ処理済みラウドスピーカ信号を生成するため、フィルタが出力するフィルタ処理済みラウドスピーカ信号の数とフィルタが有するサブフィルタの数とは同数となる。
本発明によれば、柔軟性を有するLEMSモデルのためのリスニングルーム等化に関する改善された概念と、柔軟性を有するイコライザ構造とが提供される。非特許文献10に開示された手法と比べ、本発明の概念は、特により柔軟なイコライザ構造と結合されたより柔軟なLEMSモデルを提供する。他の現状技術と比較して、本発明は、実世界のシナリオにおいて実現可能な概念を提供する。なぜなら、本発明の概念では、フィルタ処理済みラウドスピーカ信号の各々を生成するために全てのラウドスピーカ入力信号を考慮に入れる概念と比べ、必要となる演算時間が有意に短縮されるからである。この目的で、本発明は、実世界のシナリオが実現できるほど十分簡素である一方で、十分なリスニングルーム等化を提供できるほど十分な複雑性を有するような、ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム同定を提供する。
本発明の実施形態は、リスニングルーム等化とイコライザ構造との両方の複雑性を選択する際に、異なる複雑性を有する再生シナリオに対する適性を一方とし、ロバスト性及び演算要求量を他方とする、適切な妥協点が実現できるような選択が可能となる。自由度の値は柔軟に選択可能である。WDAFに関する改善された概念によって、広範囲の再生シナリオについての適応型LREが提供され、これは波動領域の適応フィルタ処理の利点を維持するものである。
本発明の他の実施例に係る装置によれば、1より大きい数の変換済みラウドスピーカ信号を受信ラウドスピーカ信号として受信するよう構成された各サブフィルタに関し、その受信ラウドスピーカ信号だけが結合されて、複数のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号のうちの1つが生成されるよう構成されてもよい。
一実施形態においては、再生される情景の複雑さに依存してイコライザ構造とLEMSモデルの複雑さを適応的に選択できる、フィルタ適応ユニットが提供される。
一実施形態によれば、フィルタ適応ユニットは、ラウドスピーカ信号対グループの少なくとも3対の各対のためにフィルタ係数を決定して、フィルタ係数グループを得るよう構成されてもよく、その場合、ラウドスピーカ信号対グループは、変換済みラウドスピーカ信号の1つとフィルタ処理済みラウドスピーカ信号の1つとからなるラウドスピーカ信号対の全てを含み、フィルタ係数グループが有するフィルタ係数の個数は、ラウドスピーカ信号対グループが有するラウドスピーカ信号対の個数よりも少なく、さらに、フィルタ適応ユニットは、フィルタのフィルタ係数をフィルタ係数グループの少なくとも1つのフィルタ係数によって置き換えることにより、フィルタを適応させるよう構成されている。
更なる実施例においては、フィルタ適応ユニットは、ラウドスピーカ信号対グループの各対のためにフィルタ係数を決定して、第1フィルタ係数グループを得るよう構成されてもよく、ラウドスピーカ信号対グループは、変換済みラウドスピーカ信号の1つとフィルタ処理済みラウドスピーカ信号の1つとからなるラウドスピーカ信号対の全てを含み、フィルタ適応ユニットは、第1フィルタ係数グループから複数のフィルタ係数を選択して第2のフィルタ係数グループを得るよう構成されており、第2のフィルタ係数グループは、第1フィルタ係数グループよりも少ない数のフィルタ係数を有しており、フィルタ適応ユニットは、フィルタのフィルタ係数を第2のフィルタ係数グループの少なくとも1つのフィルタ係数によって置き換えることにより、フィルタを適応させるよう構成されている。
他の実施例によれば、サブフィルタの各々は、複数のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号の正に1つを生成するよう構成されてもよい。
別の実施形態によれば、フィルタの全てのサブフィルタは、同数の変換済みラウドスピーカ信号を受信する。
更に他の実施例においては、フィルタは第1行列
Figure 2014531845
により定義され、第1行列は複数の第1行列係数を有しており、フィルタ適応ユニットは、第1行列を適応させることによってフィルタを適応させるよう構成されており、更に、フィルタ適応ユニットは、複数の第1行列係数の1つ又は複数をゼロに設定することによって、第1行列を適応させるよう構成されてもよい。
更に別の実施形態においては、フィルタ適応ユニットは、次式に基づいてフィルタを適応させるよう構成されてもよい。
Figure 2014531845
ここで、
Figure 2014531845
は第2ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子を示す第2行列であり、
Figure 2014531845
は予め決定されたラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子を示す第3行列である。
更に他の実施例によれば、第2行列
Figure 2014531845
は複数の第2行列係数を有し、第2のシステム同定適応ユニットが複数の第2行列係数の1つ又は複数をゼロに設定することによって、第2行列を決定するよう構成されてもよい。
更に別の実施形態によれば、前記装置は、フィルタ処理済みラウドスピーカ信号を波動領域から時間領域へと変換して、フィルタ処理済みの時間領域ラウドスピーカ信号を得る、逆変換ユニットを更に含んでもよい。
Figure 2014531845
更に別の実施形態によれば、前記変換ユニットは第1変換ユニットであり、前記装置が、ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステムの複数のマイクロホンによって受信された複数のマイクロホン信号を時間領域から波動領域へと変換して複数の変換済みマイクロホン信号を得る、第2変換ユニットを更に含んでもよい。
更に他の実施形態によれば、前記装置は、第1ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子に基づき、かつ複数のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号にも基づいて、複数の推定マイクロホン信号
Figure 2014531845
を生成するための、ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム推定部を更に含んでもよい。
更に別の実施形態によれば、前記装置は、複数の変換済みマイクロホン信号
Figure 2014531845
と複数の推定マイクロホン信号
Figure 2014531845
との間の差を示す誤差を、誤差を決定するための次式を適用することにより決定する、誤差決定部をさらに含んでもよい。
Figure 2014531845
この場合、誤差決定部は、決定された誤差をシステム同定適応ユニットへと供給するよう構成されてもよい。
更に別の実施形態によれば、リスニングルーム等化のための方法が提供される。
その方法は、
1)複数のラウドスピーカ入力信号を受信するステップと、
2)少なくとも2つのラウドスピーカ入力信号を時間領域から波動領域へと変換して、複数の変換済みラウドスピーカ信号を得るステップと、
3)第1ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子を適応させて第2ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子を得るステップであって、第1及び第2のラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子が複数のラウドスピーカと複数のマイクロホンとを含むラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステムを同定する、ステップと、
4)第2ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子に基づき、かつ予め決定されたラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子にも基づいて、フィルタを適応させるステップと、を含む。
フィルタは複数のサブフィルタを含み、サブフィルタの各々が、変換済みラウドスピーカ信号の1つ又は複数を受信ラウドスピーカ信号として受信するよう構成されており、更にサブフィルタの各々が、1つ又は複数の受信ラウドスピーカ信号に基づいて、複数のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号の1つを生成するよう構成されている。
サブフィルタの少なくとも1つは、変換済みラウドスピーカ信号の少なくとも2つを受信ラウドスピーカ信号として受信するよう構成され、更に、少なくとも2つの受信ラウドスピーカ信号を結合して、複数のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号の1つを生成するよう構成されている。更に、サブフィルタの少なくとも1つは、複数の変換済みラウドスピーカ信号の総数よりも小さい数の受信ラウドスピーカ信号を有し、受信ラウドスピーカ信号の数は1又は1より大きい数である。
更なる実施例の方法によれば、フィルタは、1より大きい数の受信ラウドスピーカ信号として幾つかの変換済みラウドスピーカ信号を受信するよう構成されたサブフィルタの各々に関し、受信ラウドスピーカ信号だけを結合して、複数のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号の1つを生成し得るよう構成されてもよい。
本発明の好適な実施形態を、以下に図面を参照しながら説明する。
リスニングルーム等化のための一実施形態に係る装置を示す。 変換済みラウドスピーカ信号に基づいてフィルタ処理済みラウドスピーカ信号を生成する、一実施形態に係るフィルタを示す。 変換済みラウドスピーカ信号に基づいてフィルタ処理済みラウドスピーカ信号を生成する、他の実施形態に係るフィルタを示す。 リスニングルーム等化のための別の実施形態に係る装置を示す。 LEMSにおけるラウドスピーカとマイクロホンのセットアップを示す。 変換済みラウドスピーカ信号に基づいてフィルタ処理済みラウドスピーカ信号を生成する、別の実施形態に係るフィルタを示す。 一実施形態に係るLEMSモデル及び結果的なイコライザの重みを例示的に示す。 リスニングルーム等化のための一実施形態に係る装置を示す。 リスニングルーム等化のための一実施形態に係る装置を示す。 逆の順序に配置され得ないフィルタ行列とLEMSモデルとの配置を示す。 逆の順序に配置され得るフィルタ行列とLEMSモデルとの配置を示す。 LEMSモデル及び結果的なイコライザの重みを例示的に示す。 ルーム内における合成された平面波の正規化された音圧を示す。 異なるシナリオに関するND=3を有するLREシステムについての経時的な収束を示す。 異なるイコライザ構造について収束後のLRE誤差を示す。 変換済みラウドスピーカ信号に基づいてフィルタ処理済みラウドスピーカ信号を生成する、現状技術に係る1つのフィルタを示す。 変換済みラウドスピーカ信号に基づいてフィルタ処理済みラウドスピーカ信号を生成する、現状技術に係る他のフィルタを示す。 現状技術に係るLEMSモデル及び結果的なイコライザの重みを例示的に示す図である。
図1は、リスニングルーム等化のための一実施形態に係る装置を示す。このリスニングルーム等化のための装置は、変換ユニット110と、システム同定適応ユニット120と、フィルタ適応ユニット130とを含む。
変換ユニット110は、複数のラウドスピーカ入力信号151〜15pを時間領域から波動領域へと変換して、複数の変換済みラウドスピーカ信号161〜16qを得るよう構成されている。
システム同定適応ユニット120は、第1ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子を適応させて、第2ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子(第2LEMS識別子)を得るよう構成されている。
フィルタ適応ユニット130は、第2ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子に基づき、また予め決定されたラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子にも基づいて、フィルタ140を適応させるよう構成されている。フィルタ140は複数のサブフィルタ141〜14rを含み、その各々が変換済みラウドスピーカ信号161〜16qの内の1つ又は複数を受信するよう構成されている。サブフィルタ141〜14rの各々は、1つ又は複数の受信ラウドスピーカ信号に基づいて、複数のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号171〜17rの内の1つを生成するよう構成されている。少なくとも1つのサブフィルタ141〜14rは、少なくとも2つの受信ラウドスピーカ信号を結合して、複数のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号171〜17rの内の1つを生成するよう構成されている。さらに、少なくとも1つのサブフィルタ141〜14rは、幾つかの数の受信ラウドスピーカ信号を有し、その数は複数の変換済みラウドスピーカ信号161〜16qの総数よりも小さい。
図2は、一実施形態に係るフィルタ240を示す。このフィルタ240は、4個のサブフィルタ241,242,243,244を有する。
第1のサブフィルタ241は、変換済みラウドスピーカ信号261と264とを受信するよう構成されている。第1のサブフィルタ241はさらに、受信ラウドスピーカ信号261と264とに基づいて第1のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号271を生成するよう構成されている。
第2のサブフィルタ242は、変換済みラウドスピーカ信号261と262とを受信するよう構成されている。第2のサブフィルタ242はさらに、受信ラウドスピーカ信号261と262とに基づいて第2のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号272を生成するよう構成されている。
第3のサブフィルタ243は、変換済みラウドスピーカ信号262と263とを受信するよう構成されている。第3のサブフィルタ243はさらに、受信ラウドスピーカ信号262と263とに基づいて第3のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号273を生成するよう構成されている。
第4のサブフィルタ244は、変換済みラウドスピーカ信号263と264とを受信するよう構成されている。第4のサブフィルタ244はさらに、受信ラウドスピーカ信号263と264とに基づいて第4のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号274を生成するよう構成されている。
図2に示す実施形態は、図15に示す現状技術とは以下の点で異なっている。即ち、サブフィルタは、フィルタ処理済みラウドスピーカ信号を生成する際に、変換済みラウドスピーカ信号261,262,263,264の全てを考慮に入れる必要がないという点である。従って、簡素なフィルタ構造が提供され、図15に示す現状技術に比べて演算上より効率的といえる。
更に、図2に示す実施形態は、図16に示す現状技術から以下の点で異なっている。即ち、サブフィルタは、フィルタ処理済みラウドスピーカ信号を生成する際に2つ以上の変換済みラウドスピーカ信号を考慮に入れるという点である。従って、複雑な実世界のシナリオにとって十分満足となるリスニングルーム補償を提供するフィルタ構造が得られる。
図2において、フィルタ内の全てのサブフィルタは、同一数の変換済みラウドスピーカ信号、即ち2個の変換済みラウドスピーカ信号を受信する。
図3は他の実施例に係るフィルタ340を示す。ここでも、図示の都合上、フィルタ340は4個のサブフィルタ341,342,343,344を有することにする。
第1のサブフィルタ341は、変換済みラウドスピーカ信号361を受信するよう構成されている。第1のサブフィルタ341はさらに、受信ラウドスピーカ信号361だけに基づいて第1のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号371を生成するよう構成されている。
第2のサブフィルタ342は、変換済みラウドスピーカ信号361と362とを受信するよう構成されている。第2のサブフィルタ342はさらに、受信ラウドスピーカ信号361と362とに基づいて第2のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号372を生成するよう構成されている。
第3のサブフィルタ343は、変換済みラウドスピーカ信号361と362と363とを受信するよう構成されている。第3のサブフィルタ343はさらに、受信ラウドスピーカ信号361と362と363とに基づいて第3のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号373を生成するよう構成されている。
第4のサブフィルタ344は、変換済みラウドスピーカ信号362と364とを受信するよう構成されている。第4のサブフィルタ344はさらに、受信ラウドスピーカ信号362と364とに基づいて第4のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号374を生成するよう構成されている。
ここでも、図3に示す実施形態は、図15に示す現状技術から以下の点で異なっている。即ち、サブフィルタは、フィルタ処理済みラウドスピーカ信号を生成する際に、変換済みラウドスピーカ信号361,362,363,364の全てを考慮に入れる必要がないという点である。従って、簡素なフィルタ構造が提供され、図15に示す現状技術に比べて演算上より効率的といえる。
更に、図3に示す実施形態は、図16に示す現状技術から以下の点で異なっている。即ち、サブフィルタの内の少なくとも1つは、フィルタ処理済みラウドスピーカ信号を生成する際に、2つ以上の変換済みラウドスピーカ信号を考慮に入れるという点である。従って、複雑な実世界のシナリオにとって十分満足となるリスニングルーム補償を提供するフィルタ構造が得られる。
図4は一実施形態に係る装置を示す。図4の装置は、第1変換ユニット410(「T1」)と、システム同定適応ユニット420(「Adp1」)と、フィルタ適応ユニット430(「Adp2」)と、フィルタ440
Figure 2014531845
とを含む。第1変換ユニット410は図1の変換ユニット110に対応してもよく、システム同定適応ユニット420はシステム同定適応ユニット120に対応してもよく、フィルタ適応ユニット430はフィルタ適応ユニット130に対応してもよく、フィルタ440はフィルタ140にそれぞれ対応してもよい。
図4は更に、ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム推定部450(「LEMS同定」とも呼ばれる)と、逆変換ユニット460(「T1 -1」)と、ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム470と、第2変換ユニット480(「T2」)と、誤差決定部490とを示す。
少なくとも2個のラウドスピーカ入力信号x(n)が第1変換ユニット410に入力される。第1変換ユニットは、その少なくとも2個のラウドスピーカ入力信号x(n)を時間領域から波動領域へと変換して、複数の変換済みラウドスピーカ信号
Figure 2014531845
を得る。
複数のサブフィルタを含み得るフィルタ440は、受信された変換済みラウドスピーカ信号
Figure 2014531845
をフィルタ処理して、複数のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号
Figure 2014531845
を得る。
フィルタ処理済みラウドスピーカ信号は、次に逆変換ユニット460によって時間領域へと逆変換されて、ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム470の複数のラウドスピーカ(図示せず)へと供給される。ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム470の複数のマイクロホン(図示せず)は、録音されたマイクロホン信号d(n)として複数のマイクロホン信号を録音する。
複数の録音されたマイクロホン信号d(n)は、次いで第2変換ユニット480により時間領域から波動領域へと変換されて、変換済みマイクロホン信号
Figure 2014531845
を得る。変換済みマイクロホン信号
Figure 2014531845
は、次いで誤差決定部490へと供給される。
更に図4は、フィルタ処理済みラウドスピーカ信号
Figure 2014531845
が逆変換ユニット460に供給されるだけでなく、ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム推定部450へも供給されることを示している。ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム推定部450は、第1ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子を含む。更に、ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム推定部450は、第1ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子をフィルタ処理済みラウドスピーカ信号へと適用して、推定マイクロホン信号
Figure 2014531845
を得るよう構成されている。第1ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子が現実の(物理的な)ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム470の現状を正確に同定している場合には、誤差決定部490に供給される推定マイクロホン信号
Figure 2014531845
は上記(現実の)変換済みマイクロホン信号
Figure 2014531845
と同一になるであろう。
Figure 2014531845
システム同定適応ユニット420は、決定された誤差
Figure 2014531845
に基づいて第1ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子を適応させて、第2ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子を得る。矢印491及び492は、第2ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子が、ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム推定部450とフィルタ適応ユニット430とのそれぞれに対して有効であることを示している。
フィルタ適応ユニット430は、次に第2ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子に基づいてフィルタを適応させる。
上述した適応処理は、次に、複数のラウドスピーカ入力信号の更なるサンプルに基づく別の適応サイクルを実行することで、繰り返される。ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム推定部450は、後続の適応サイクルにおいて、第2ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子をフィルタ処理済みラウドスピーカ信号に対して同様に適用する。
以下では、全ての波動領域の量は波型記号を付して記述する。
図4において、自由音場条件下において決定されていた複数のラウドスピーカ入力信号を表現し得るベクトルx(n)は、次式(1)へと分解されることができる。
Figure 2014531845
このとき、λ=0,1,...NL-1により指標化された時点kにおけるラウドスピーカ信号の複数の時間サンプルxλ(k)は、x(n)のパーティションxλ(n)を形成している。更に、k=nLFは現時点であり、LFはシステムのフレームシフトであり、NLはラウドスピーカの個数であり、LXは全ての行列−ベクトル乗算が無矛盾(consistent)となるように選択されている。他の全ての信号ベクトルは同様に構築されてもよいが、異なるパーティション指標および長さを示す。
変換ユニットT1は、NL個の波動場要素を次式(2)に従って決定してもよい。
Figure 2014531845
これはlにより指標付けされたNL個のパーティションへと分解可能である。
Figure 2014531845
における波動場要素は、ラウドスピーカにより励振される波動場を、自由音場でのマイクロホンアレイに現れるのと同じように記述する。
フィルタ
Figure 2014531845
は限定されたMIMO構造を示し、ここからフィルタ処理済み(波動領域の)ラウドスピーカ信号が得られる。
Figure 2014531845
これはl’により指標付けされたNL個のパーティションへと分解可能である。
次に、
Figure 2014531845
は、Hにより表される(現実の)ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステムへとそれらが供給される前に、次式(4)を用いて元のラウドスピーカ信号の領域へと逆変換される。
Figure 2014531845
複数の(録音された)マイクロホン信号d(n)が取得される。これは次式(5)により表すことができる。
Figure 2014531845
ここで、NM個のマイクロホン信号はμにより指標付けされる。第2変換ユニット480はマイクロホン信号を波動領域へと逆変換する。測定された波動場は、
Figure 2014531845
の要素のために使用されたのと同類の波動方程式の基本解に関して、次式(6)のように表すことができる。
Figure 2014531845
ここで、mにより指標付けされたNM個のパーティションを有し、これは
Figure 2014531845
及び
Figure 2014531845
に関する場合と同じである。
Figure 2014531845
Figure 2014531845
システム同定適応ユニット420によって決定された係数は、フィルタのプレフィルタ係数が決定されるフィルタ適応ユニット430によって使用されてもよい。そのプレフィルタ係数を決定する方法には多数の可能性が存在する(非特許文献6、非特許文献3、非特許文献4を参照)。
以下に、変換済みラウドスピーカ信号161〜16qの波動領域表現について説明する。
ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム(LEMS)に関する従来モデルは、LEMSの全てのラウドスピーカと全てのマイクロホンとの間のインパルス応答を記述する。マイクロホン信号は、マイクロホン位置において測定された音圧を表してもよい。多数のマイクロホンを考慮した場合、全てのマイクロホン位置における音圧を、波動方程式の基本解の重畳を用いて同時に表すことが可能である。それら基底関数の例として、平面波、円筒調和関数(cylindrical harmonics)、球面調和関数(spherical harmonics)(非特許文献7を参照)、又はラウドスピーカ位置に関する自由音場のグリーン関数(Green's function)などが挙げられる。
図5は、円状アレイ・セットアップ内の複数のラウドスピーカと複数のマイクロホンとを示す。
特に図5は、2つの同心で均一な円状アレイ、例えばラウドスピーカアレイと、それらに囲まれたより小さな半径を持つマイクロホンアレイとを示す。この平面的なアレイ・セットアップに関しては、特許文献1の中で説明されているようないわゆる円調和関数(circular harmonics)が信号表現のための基底関数として使用される。この手法は非特許文献2と類似しているが、完全な定常状態の等化の代わりに、演算上効果的な適応等化を目的としている。円状のアレイ・セットアップに関しては、2次元で波動場を記述するために円調和関数が使用されてもよい。その場合、任意の点
Figure 2014531845
における音圧
Figure 2014531845
のスペクトルは円調和関数の合計により与えられる。
円状アレイ・セットアップについては、2次元で波動場を記述するために、次式(7)のような円調和関数が使用されてもよい。
Figure 2014531845
Figure 2014531845
マイクロホン信号の波動領域のこのような表現は、個々のマイクロホン位置における音圧
Figure 2014531845
の代わりに、異なる次数mに関する
Figure 2014531845
の値を表す。
自由音場の場合、波動場はラウドスピーカによって理想的に励振されるであろう。ラウドスピーカ信号のそのような場合の記述は、以下では自由音場記述と呼ぶことにし、そこでは指標lがmの代わりに使用される。
波動領域においてモデル化されたLEMSの望ましい特性は、例えば非特許文献11及び非特許文献7に開示されている。
以下に、ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子について、時間領域と波動領域とに関して説明する。ここでも、全ての波動領域の値には波型記号を付して記述する。注意すべき点として、図4のラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム推定部450により使用されかつシステム同定適応ユニット420により適応される、第1及び第2のラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子は、波動領域におけるLEMS識別子であるという点が挙げられる。
上述の式(5)に従って得られる次式(8),(9)のマイクロホン信号を考慮する。
Figure 2014531845
Figure 2014531845
その上で、行列Hを次式(10)となるように構築する。
Figure 2014531845
ここで、dμ(n)の結果的な長さはLD=L'X−LH+1により与えられ、L'Xはパーティションx'(n)の長さであり、LHはラウドスピーカλからマイクロホンμまでの時間離散インパルス応答hμ,λ(k)の長さである。
この場合、行列Hの構造は次式(11)により与えられ、
Figure 2014531845
各要素が式(12)のようにシルベスター行列(Sylverster matrices)を含む。
Figure 2014531845
全ての要素Hμ,λが非ゼロのエントリを持ち得る場合には、無制限のMIMO構造となる。LEMSは一般的にそのような無制限のMIMO構造である。しかし、本願のシステムのモデル化のためには、制限されたMIMO構造を使用する。この目的で、次式(13)の
Figure 2014531845
のLEMS同定に関し、ある要素
Figure 2014531845
は必然的にゼロ値のエントリだけを持つようにする一方で、他の要素はHμ,λと同様に構築される。
Figure 2014531845
ここで、図4に示す第1変換ユニット410と逆変換ユニット460と第2変換ユニット480とを参照されたい。
第1変換ユニット410の変換T1は、ラウドスピーカ入力信号を変換して変換済みラウドスピーカ信号を得る。この変換は、各ラウドスピーカ信号を自由音場記述における任意数の波動場要素へと射影する、FIRフィルタの無制限MIMO構造により実現されてもよい。変換T1は、いわゆる自由音場記述
Figure 2014531845
を得るために使用されるものであるが、自由音場記述とは式(7)に従って波動場のNL個の要素を記述するものであり、自由音場条件下においてラウドスピーカ信号x(n)により駆動された場合に、NL個のラウドスピーカによって波動場が理想的に励振される状態を記述するものである。取得された波動場要素は、それらが全体的にアレイに関連するため、それらのモード次数によって同定される。同様に、事前等化された波動領域ラウドスピーカ信号
Figure 2014531845
の要素も、それらのモード次数によって同定される。
逆変換ユニット460により使用される、変換T1の逆変換T1 -1もまた、T1の擬逆行列(pseudo-inverse)または(可能であれば)逆行列を構成し得るFIRフィルタによって実現されてもよい。
第2変換ユニット480の変換T2は、上述したように、マイクロホン信号を波動領域へ(例えばいわゆる測定された波動場へ)と変換する。
Figure 2014531845
における測定された波動場のNM個の要素を得るために、d(n)におけるNM個の実際に測定されたマイクロホン信号に対してT2が適用される。T1と同様に、
Figure 2014531845
における要素があるモード次数を有する式(78)に従って記述されるように、T2が選択される。考慮対象となるアレイ・セットアップ及び基底関数については、ラウドスピーカ及びマイクロホン指標にわたる空間DFTが、T1及びT2のために使用され得ることが開示されており(特許文献1を参照)、その場合、式(78)の時間的周波数領域から時間領域への変換が不要となる。しかし、これら周波数独立型の変換は、考慮対象となる信号の周波数応答を式(78)に従って修正することがない。この点は本発明の実施形態にとっては許容可能であり得る。なぜなら、適応フィルタは、周波数応答における差を暗示的にモデル化するであろうし、全ての記述が無矛盾のままであるからである。
1及びT2の導出の一例は、非特許文献11の中に開示されている。
以下においては、用語「プレフィルタ」について言及する。この文脈においては、一実施形態によるフィルタ
Figure 2014531845
600を示す図6を参照されたい。フィルタ600は、3個の変換済みラウドスピーカ信号661,662,663を受け取り、これら変換済みラウドスピーカ信号661,662,663をフィルタ処理して3個のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号671,672,673を得るよう構成されている。
このため、フィルタ600は3個のサブフィルタ641,642,643を含む。サブフィルタ641は、変換済みラウドスピーカ信号の内の2つ、即ち変換済みラウドスピーカ信号661と変換済みラウドスピーカ信号662とを受信する。サブフィルタ641は、単一のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号、即ちフィルタ処理済みラウドスピーカ信号671だけを生成する。サブフィルタ642もまた、単一のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号672だけを生成する。また、サブフィルタ643も、単一のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号673だけを生成する。
一実施形態によれば、1つのフィルタのサブフィルタの各々が正に1つのフィルタ処理済み出力信号を生成する。
図6の実施形態において、サブフィルタ641は2個のプレフィルタ681,682を含む。プレフィルタ681は、単一の変換済みラウドスピーカ信号、即ち変換済みラウドスピーカ信号661を受信してフィルタ処理する。プレフィルタ682もまた、単一の変換済みラウドスピーカ信号、即ち変換済みラウドスピーカ信号662を受信してフィルタ処理する。フィルタ600の他の全てのプレフィルタもまた、単一の変換済みラウドスピーカ信号を受信してフィルタ処理する。
一実施形態によれば、1つのフィルタのプレフィルタの各々が正に1つの変換済みラウドスピーカ信号をフィルタ処理する。
図6で示しかつ上述したように、プレフィルタとは、好ましくは単一入力・単一出力のフィルタ要素であり、単一入力・単一出力のフィルタ要素は、現時点または現フレームにおける単一の変換済みラウドスピーカ信号、及び潜在的には、1つ又は複数の先行する時点またはフレームの対応する単一の変換済みラウドスピーカ信号だけを受信するものであり、また、現時点または現フレームにおける単一の変換済みラウドスピーカ信号、及び潜在的には、1つ又は複数の先行する時点またはフレームの対応する単一の変換済みラウドスピーカ信号を出力するものである。
ここで、ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子と、変換済みラウドスピーカ信号をフィルタ処理するためのフィルタとの関係について説明する。更に、LEMS及びプレフィルタの構造についても説明する。この目的で、図17と図7を参照されたい。
Figure 2014531845
Figure 2014531845
ここで、ある予め決定されたラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子、例えば所望の解を、行列H(0)を定義することによって定義する。行列H(0)は行列Hと同一の構造及び次元を有するが、行列H(0)はラウドスピーカとマイクロホンとの間の理想的な自由音場インパルス応答を記述する。
この行列の波動領域表現は、次式(14)により取得されてもよく、
Figure 2014531845
また、次式(15)に示す構造を有してもよい。
Figure 2014531845
この例について、NM=NLと仮定する。この構造は図17(b)に示す構造と類似する点に注目されたい。
Figure 2014531845
を介したLEMSの完全なモデル化が与えられた場合、
Figure 2014531845
の最適解は次式(16)を満たすであろう。
Figure 2014531845
Figure 2014531845
LREの現状技術はLEMSのモデルを含み、そのモデルは波動場要素の結合だけを図17(b)に示すように又は式(15)に示すようにモデル化する。そのため、現状技術によりこのLEMSモデルについて結果的に得られるイコライザ構造は、図17(c)に示すように、同じ次数のモードの結合を記述するだけである(非特許文献10を参照)。音響エコーキャンセレーション(AEC)のために既に使用されているモデルは、既に一般化されてきた(非特許文献11を参照)。本発明の一実施形態に係る装置は、LREに関する現状技術のモデルに比べてより柔軟なLEMSモデルを可能にする。
そこでは、測定された波動場における要素ごとに、自由音場記述からのNH個の要素が考慮されるように、次数において最低差を有する波動場要素の結合がモデル化される。この点は図7(b)に概略的に示されている。
Figure 2014531845
以下においては、適切な適応アルゴリズムについて考察する。LEMSの同定を実行するシステム同定適応ユニット420(「Adpl」)は、一般的な周波数領域の適応型フィルタ処理アルゴリズムを使用して実現されてもよい。これについては、例えば非特許文献12を参照されたい。
代替的に、適応アルゴリズムとして、公知のRLS-又はLMS-アルゴリズム(例えば非特許文献13を参照)、又はロバストな統計を含む適応アルゴリズム(例えば非特許文献14を参照)を使用してもよい。
Figure 2014531845
フィルタのサブフィルタ(例えばプレフィルタ)の決定を行うフィルタ適応ユニット430(「Adp2」)は、異なる方法で実現され得る。例えば、非特許文献6に開示されているように、フィルタ処理済みX−GFDAF構造を用いてプレフィルタを決定することも可能である。
他の実施例によれば、プレフィルタは、
Figure 2014531845
及び
Figure 2014531845
だけを考慮して、最小二乗法最適化問題を解くことにより、直接的に決定されてもよい。
別の実施例によれば、使用されるアルゴリズムとは無関係に、実際に必要とされるプレフィルタだけが決定される。これにより演算量は格段に低減され、またこの方法を用いることで、根底にある行列反転問題の数的条件も改善され得る。
LEMSモデルとプレフィルタ構造との必然的な複雑性は、再生される音響的情景の複雑性に依存する。そのため、ここではNHとNGで記述されるプレフィルタとLEMSモデル構造との選択は、再生される情景に依存することが好ましい。情景の複雑性に関して最も重要な特性は、独立して再生される音響源NSの個数である。この個数は通常、WFSの情景が再現されるときには既知であるから、使用されるMIMO構造を決定するために直接的に活用できる。本願で説明するシステムにおいては、これを次式(17)のように記載できる。
Figure 2014531845
既知でない場合には、NSはx(n)の観測に基づいて推定することもできる。
上述したように、
Figure 2014531845
は次式(16)によって定義される。
Figure 2014531845
この方程式は、多入力・多出力の定理(Multi-Input Multi-Output Theorem:MINT)が満たされる場合に満足することができる。ここで使用されている記述法によれば、例えば、NL=2NMのとき、LGはこの定理を用いるためにLG=LH−1でなければならない。
一実施形態によれば、
Figure 2014531845
は、以下の式(19)により記述されるように制限された構造を有することから、この方程式は通常、直接的に解くことができない。しかしながら、次式(18)を式(19)とともに考慮することで、直接的な解を可能にする方程式系の一形態を導き出すことができる。
Figure 2014531845
Figure 2014531845
このため、
Figure 2014531845
の列は次式(20)により制限されるべきである。
Figure 2014531845
これにより、次式(21)が得られる。
Figure 2014531845
ここで、
Figure 2014531845
Figure 2014531845
これにより、
Figure 2014531845
を得ることができる。
MINTの条件が満たされた場合には、次式(24)が成り立つ。
Figure 2014531845
他方、MINTの条件が満たされない場合には、「二乗法の意味 (squared sense)」での近似を行うこともできる。そのため、次式(25)に定義されるようなe(n)が最小化される。
Figure 2014531845
このために、勾配がゼロに設定される。即ち、
Figure 2014531845
例えば、NL<2NMでかつLG=LH−1、つまり優決定(over-determined)の方程式系であると仮定すると、次式(27)が得られる。
Figure 2014531845
Figure 2014531845
Figure 2014531845
上述のような近似は、直接的な決定により、又は、以下に説明するフィルタ処理済みX−GFDAFアルゴリズム(GFDAF=Generalized Frequency-Domain Adaptive Filtering:一般化周波数領域適応フィルタ処理)により、決定され得る。そこに説明されるフィルタ処理済みX−GFDAFアルゴリズムは
Figure 2014531845
の行を低減させるが、それは波動領域における
Figure 2014531845
の低減された構造を考慮することからもたらされる。そのような近似は、フィルタ処理済みX構造の計算集約的な冗長性を更に低減することができる(以下を参照)。
Figure 2014531845
図8の上半分は、波動領域における音響的MIMOシステムの同定に関するものである。そこから得られた知見は、次に下半分において、その知見に応じてそれらのイコライザを決定するために使用される。非特許文献10とは対照的に、これらのステップは分割されて、一般的イコライザ構造の使用が可能となる。
上述したように、システムの入力信号は、NL個の全てのラウドスピーカ信号のLX個の時間領域サンプルからなる(nにより指標付けされた)1つのブロックを含む、次式(28)で示されるラウドスピーカ信号ベクトルx(n)によって与えられる。
Figure 2014531845
ここで、xλ(k)は時点kにおけるラウドスピーカ信号λの時間領域サンプルであり、LFはフレームシフトである。考慮対称となる全ての信号ベクトルは同様の方法で構築されるが、それらの長さ及び要素の数において異なっていてもよい。
変換T1はいわゆる自由音場表現
Figure 2014531845
を得るために使用されるものであり、以下にT2とともに説明する。
Figure 2014531845
これらのイコライザは、次に逆変換されて、LEMSであるHに供給される。このHから、
Figure 2014531845
で表されるNM個のマイクロホン信号が得られる。行列Hは次式(29)のように構築される。
Figure 2014531845
Figure 2014531845
イコライザの決定のために、ラウドスピーカ信号の自由音場記述を入力
Figure 2014531845
として使用する。
ノイズもまた、入力
Figure 2014531845
として使用可能である。これについては非特許文献6を参照されたい。
Figure 2014531845
Figure 2014531845
Figure 2014531845
図9は、リスニングルーム等化のためのシステムのブロック図を示す。システム同定の目的で、図9はGFDAFアルゴリズム、例えばフィルタ処理済みX−GFDAFアルゴリズムを使用するが、これについては以下に説明され、プレフィルタを決定するために公式化されている。
Figure 2014531845
ここで、MIMO-FIRフィルタを記述するために使用される行列の表記を、ラウドスピーカ信号とマイクロホン信号とに関して説明する。図9において、ラウドスピーカ信号はベクトルX'(n)により表現され、そのベクトルはNL個のパーティションに分割され得る。
Figure 2014531845
次式(31)の各パーティション
Figure 2014531845
は、ラウドスピーカ信号λの時点kにおけるL'X個の時間サンプル値x'λ(k)を含む。フレームシフトLFは、使用された適応アルゴリズムを活用することで、後に決定されるであろう。他方、考慮されたインパルス応答の長さとL'Xの値もまた、考慮に入れられる。
次式(32)のマイクロホン信号は、ラウドスピーカ信号と同様の構造を有し、一方で、μにより指標化されたマイクロホン信号のLD個の時間サンプル値dμ(k)の各々が一緒に考慮されることもできる。
Figure 2014531845
LEMSのフィルタ処理を記述するために、次式(33)のように行列Hが定義される。
Figure 2014531845
長さはLD=L'X−LH+1であり、LHはラウドスピーカλからマイクロホンμまでの時間離散インパルス応答hμ,λ(k)の長さである。全てのラウドスピーカ−マイクロホン対についてのこのマッピングを表す行列Hは、次式(34)に従って定義される。
Figure 2014531845
また、行列HはNL・NM個の別個の行列へと分解されることができ、これらは次式(35)により定義されるように行列Hの行列要素である。
Figure 2014531845
ここで、それら行列の各々はシルベスター行列である。
Figure 2014531845
ここで提案する記述は、原則的に全ての信号及びシステム、例えば図9に示すようなものに対して使用されるが、異なる次元を有することが可能である。
図9において、ベクトルx(n)は、事前等化されていないラウドスピーカ信号を表す。所望の音響的情景を正確に再現するために、ラウドスピーカ信号はこのシステムにより事前等化(プレフィルタ処理)される。ラウドスピーカ信号を表現するベクトルx(n)はNL個のパーティションを含み、各パーティションはLX個の時間サンプル値を有している。
Figure 2014531845
Figure 2014531845
それは上述したように変換T1により生成される。各パーティション
Figure 2014531845
は、波動場要素指標lにより指標化される。
事前等化の後で、ベクトル
Figure 2014531845
が得られる。
Figure 2014531845
Figure 2014531845
Figure 2014531845
フィルタ行列
Figure 2014531845
の各行列係数は、変換済みラウドスピーカ信号の内の1つとフィルタ処理済みラウドスピーカ信号の内の1つとからなるラウドスピーカ信号対のための、フィルタ係数として認識することができる。なぜなら、それぞれの行列係数は、対応する変換済みラウドスピーカ信号が、生成されるであろう対応するフィルタ処理済みラウドスピーカ信号に対して、どの程度まで影響を与えるかを表しているからである。
Figure 2014531845
を使用してラウドスピーカ信号を再生するために、信号はラウドスピーカ入力信号の領域(例えば時間領域)へと逆変換されなければならない。
Figure 2014531845
ここで、T1 -1は、T1の逆行列(そのような逆行列が存在する場合)を表す。もし存在しない場合には、擬逆行列が使用されてもよい(例えば非特許文献15を参照)。
マイクロホン信号d(n)はLEMSから得られ、次に次式(43)に従って波動領域へと変換される。
Figure 2014531845
式(41)の変換T2は、その要素がmにより指標化されているが、測定された波動場(同定された波動場)を記述し、
Figure 2014531845
と同じ基底関数を有している。
波動領域におけるLEMS同定(LEMSに関するモデル)は、次式(42)に示す行列により表現される。
Figure 2014531845
Figure 2014531845
ベクトル
Figure 2014531845
は、次式(43)により得られる。
Figure 2014531845
Figure 2014531845
Figure 2014531845
Figure 2014531845
Figure 2014531845
波動領域において
Figure 2014531845
として構築された所望の(予め決定された)信号は、次式(45)により得られる。
Figure 2014531845
Figure 2014531845
は、波動領域におけるプレフィルタとLEMSとの直列的な連結の所望の(予め決定された)インパルス応答を表す。自由音場伝播のインパルス応答が達成されるべき場合には、使用されたラウドスピーカ及びマイクロホンの数に関わらず、下記の式(46)に示す構造が結果として得られる。
Figure 2014531845
ここで、この例においてはNM=NLと仮定する。NM≠NLの場合には、行列の非二乗部分がゼロで満たされる。
Figure 2014531845
Figure 2014531845
Figure 2014531845
Figure 2014531845
この行列は次式(49)の部分行列を有する。
Figure 2014531845
反復的な決定のために、プレフィルタは
Figure 2014531845
により表現され、ここで、次式(50)を満足しなければならない。
Figure 2014531845
そのため、
Figure 2014531845
に関し、次式(51)が結果として得られる。
Figure 2014531845
ここで、BdiagN{M}演算子は、対角上の行列Mのn回の反復を有する行列を生成する。
以下に、GFDAFアルゴリズムを用いたシステム同定について説明する。この目的で、非特許文献12に開示されたアルゴリズムについて説明する。
DFT(離散フーリエ変換)における自由音場記述を表すために、次式(52)を定義する。
Figure 2014531845
Figure 2014531845
Figure 2014531845
Figure 2014531845
Figure 2014531845
これは、波動場要素l'=0,1,47及びm=0の結合がモデル化され、一方で、上述したように、モデルの結合の選択によってモデル複雑性の条件が満たされた場合である。
更に、DFT領域における測定された波動場の表現を、
Figure 2014531845
の新たなパーティションを考慮することにより定義する。
Figure 2014531845
Figure 2014531845
Figure 2014531845
その結果、DFT領域における波動領域誤差信号を次式(57)により決定できる。
Figure 2014531845
次式(58),(59)の行列は、時間領域において窓処理を実現するために使用される。
Figure 2014531845
Figure 2014531845
Figure 2014531845
時間領域における誤差信号は、次式(60)を用いて決定できる。
Figure 2014531845
ここで、次式(61)は全ての波動場要素の誤差を表す。
Figure 2014531845
「忘却因子」λSIによって指数関数的に重み付けされかつ式(62)の費用関数により表現された、二乗誤差を最小化するために、非特許文献12において式(63)のアルゴリズムが提示された。
Figure 2014531845
Figure 2014531845
ここで、選択可能なステップ幅は0≦λSI≦1であり、 m(n)は次式(64)により定義される。
Figure 2014531845
行列 m(n)は疎らに満たされた行列によって近似することができる。その結果、演算の複雑さは、式(64)の完全な構成の場合と比較して、有意な低減が達成できる。
m(n)は、本願で考慮される再生シナリオに関しては、通常は非正則であるか、又は m(n)の正則化を必要とする構造である。考慮対象となる波動場要素に対応する m(n)内の全ての対角エントリの算術平均の正則化は、全てのDFT点に対して個別に決定される。それらの結果は、次に因子βSIにより重み付けされ、次にそれぞれの算術平均を計算するために使用された全てのDFT点に関し、対角エントリに対して個別に加算される。これによって得られた行列は、次に m(n)の代わりに式(63)において使用される。
以下に、GFDAFアルゴリズムのフィルタ処理済みX変体(x variant)を用いたプレフィルタの決定について説明する。
上述したシステム同定と匹敵するように、プレフィルタの決定に関し、所望の(予め決定された)信号d(n)と信号y(n)との間の誤差は、二乗に関して最小化される。しかしながら、次式(65)のように全てのプレフィルタ係数が誤差の全ての係数に影響を与えるので、指標mに対する誤差信号の分離は可能ではない。
Figure 2014531845
上述のような簡素化された構造を実現するために、限定された数のプレフィルタが決定される。これらは次式(66)のプレフィルタによって表される。
Figure 2014531845
Figure 2014531845
Figure 2014531845
これにより、プレフィルタによりフィルタ処理された全ての波動場要素の重畳及びLEMSが、ルームに起因する障害の影響を受けないように調整されなければならないだけでなく、各個別の要素がルームに起因する障害の影響を受けないようになることが求められる。
Figure 2014531845
Figure 2014531845
説明の便宜上、そのようなプレフィルタのNGは、各要素lに対して決定されるべきものと仮定する。
Figure 2014531845
Figure 2014531845
説明の便宜上、全てのlは同数のNE個のそのような要素を有すると仮定する。既にシステム同定について実行されていたように、それぞれの次元において時間領域内で窓処理するための行列も、また次式(69),(70)で定義する。
Figure 2014531845
Figure 2014531845
Figure 2014531845
Figure 2014531845
Figure 2014531845
Figure 2014531845
Figure 2014531845
Figure 2014531845
上述したGFDAFと同様に、適切な
Figure 2014531845
を用いて費用関数の最小化を達成するよう試みる。
Figure 2014531845
非特許文献12に開示されていることと同様に、この最適化問題の解に関する適応規則は、次式(75)により定義付けられる。
Figure 2014531845
ここで、選択可能なステップ幅は0≦μFX≦1であり、次式(76)が成り立つ。
Figure 2014531845
ここで、式(75)と(76)とは式(63)と(64)とにそれぞれ類似しているため、正則化と従来型GFDAFの効率的な計算とに関する概念がフィルタ処理済みX変体についても使用され得る。しかしながら、関与する行列及びベクトルが異なる構造を有する場合には、異なるアルゴリズムが結果としてもたらされる。
Figure 2014531845
Figure 2014531845
Figure 2014531845
Figure 2014531845
上述したように、フィルタ行列
Figure 2014531845
の各行列係数は、変換済みラウドスピーカ信号の内の1つとフィルタ処理済みラウドスピーカ信号の内の1つとからなるラウドスピーカ信号対のための、フィルタ係数として認識されることができる。なぜなら、それぞれの行列係数は、対応する変換済みラウドスピーカ信号が生成されるであろう対応するフィルタ処理済みラウドスピーカ信号に対して、どの程度まで影響を与えるかを表しているからである。
更に上述したように、本発明の実施形態によれば、フィルタ処理済みラウドスピーカ信号を得るために変換済みラウドスピーカ信号をフィルタ処理する際に、フィルタ行列
Figure 2014531845
の全ての係数が必要となる訳ではない。
従って、一実施形態によれば、図1のフィルタ適応ユニット130は、ラウドスピーカ信号対グループの少なくとも3対の各対に関するフィルタ係数を決定して、フィルタ係数グループを得るよう構成されてもよく、その場合、ラウドスピーカ信号対グループは、変換済みラウドスピーカ信号の内の1つとフィルタ処理済みラウドスピーカ信号の内の1つとからなるラウドスピーカ信号対の全てを含み、フィルタ係数グループがフィルタ係数を有する個数は、ラウドスピーカ信号対グループがラウドスピーカ信号対を有する個数よりも少ない。フィルタ適応ユニット130は、フィルタ140のフィルタ係数を、フィルタ係数グループの内の少なくとも1つのフィルタ係数によって置き換えることにより、図1のフィルタ140を適応させるよう構成されてもよい。
例えば、最初に、フィルタ適応ユニット130が行列
Figure 2014531845
の全てではない幾つかの行列係数を決定する。これらの行列係数は、次にフィルタ係数グループを形成する。フィルタ適応ユニット130によって決定されていない他の行列係数は考慮対象となることがなく、よってフィルタ処理済みラウドスピーカ信号を生成するときに使用されることもない(決定されていない行列係数はゼロと推定され得る)。
別の実施形態において、図1のフィルタ適応ユニット130は、ラウドスピーカ信号対グループの各対のためにフィルタ係数を決定して、第1のフィルタ係数グループを得るよう構成されてもよく、その場合、ラウドスピーカ信号対グループは、変換済みラウドスピーカ信号の内の1つとフィルタ処理済みラウドスピーカ信号の内の1つとからなるラウドスピーカ信号対の全てを含む。フィルタ適応ユニット130は、第1のフィルタ係数グループから複数のフィルタ係数を選択して第2のフィルタ係数グループを得るよう構成されてもよく、その場合、第2のフィルタ係数グループは第1のフィルタ係数グループよりも少ない数のフィルタ係数を有する。さらに、フィルタ適応ユニット130は、フィルタ140のフィルタ係数を第2のフィルタ係数グループ内の少なくとも1つのフィルタ係数によって置き換えることにより、フィルタ140を適応させるよう構成されてもよい。
例えば、最初に、フィルタ適応ユニット130が行列
Figure 2014531845
の全ての行列係数を決定する。これらの行列係数は、次に第1のフィルタ係数グループを形成する。しかし、行列係数の内の幾つかは、フィルタ処理済みラウドスピーカ信号を生成する際に使用されることがない。フィルタ適応ユニット130は、第1のフィルタ係数グループ内のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号を生成するために使用されるであろうフィルタ係数だけを、第2のフィルタ係数グループのメンバーとして選択する。例えば、フィルタ行列
Figure 2014531845
の全ての行列係数が決定されるが(第1のフィルタ係数グループの決定)、行列係数の内の幾つかは後にゼロに設定される(ゼロに設定されていない行列係数は、次に第2のフィルタ係数グループを形成する)。
波動領域の記述の利点は、全ての信号値とフィルタ処理済み係数とが瞬時に空間分析されることであり、これは様々な方法で活用され得る。非特許文献11においては、LEMSモデルに対する近似モデルが演算上効率的なAECのために成功裏に使用されていた。この手法が利用する事実は、
Figure 2014531845
とにより記述される波動場要素の結合は、モード次数において小差|m−l’|を有する要素に関して有意により強力となるという事実である(非特許文献11を参照)。AECに関し、WFSシステムが単一音源の波動場を合成しているようなシナリオに対しては、l’=mの結合をモデル化するだけで十分であることが開示されている(非特許文献9を参照)。他方、このモデルは多数の仮想音源が活性化しているときには十分でない(非特許文献11を参照)。後者の場合には、実際の挙動が十分にモデル化されていないことから、LREに必要とされるようなシステム挙動の系統的な修正が不可能である。従って、本願では、非特許文献10に記載されるLEMモデルを図11の(b)で示す構造へと変更することを提案する。図11の(b)は、図11の(a)で示すモデルの近似を構成している。
図11は、LEMSモデルとその結果として得られたイコライザの重みとを例示的に示す。図11(a)は、T2HT1 -1における結合の重みを示す。図11(b)は、|m−l'|<2(ND=3)の
Figure 2014531845
においてモデル化された結合を示す。
図11(c)は、
Figure 2014531845
だけを考慮したイコライザ
Figure 2014531845
の結果として得られる重みを示す。ここでも、図11(b)に示す構造と等しい構造を結果的にもたらす最重要イコライザを用いて、図11の(c)に示す
Figure 2014531845
の構造を近似する。
本提案の概念は、複雑性が変化するフィルタリング構造について、また変化するリスナー位置に対するロバスト性を考慮に入れて評価されてきた。本提案スキームを評価するために、Hに関するルームインパルス応答は、図5に示すセットアップに対する第1次の虚音源(image source)モデルを用いて計算されており、その条件は、RL=1.5m、RM=0.5m、D1=D4=2m、D2=D3=3m、NL=NM=48個及び反射率0.9であった。アレイの円弧は、マイクロホンとラウドスピーカとのアレイの環の間にある波動場が広範囲にわたって観測され得るように選択された。
Figure 2014531845
における適応フィルタは、LH=129サンプルの長さをモデル化できたが、fS=2kHzのサンプリングレートにおいて操作すると、WFSシステムの空間エイリアシングは有意でなく、得られるインパルス応答は64サンプル未満の長さを有している。このLHの選択によって、収束を改善するために
Figure 2014531845
(H0はこのセットアップに関する自由音場応答を表している)において導入された40サンプルの人工的遅延が説明できる。イコライザのインパルス応答の長さはLG=256サンプルに選択された。両方のGFDAFアルゴリズムに関し、0.95の忘却因子とLF=129サンプルのフレームシフトが使用された。フィルタ処理済みX−GFDAFに関する正規化されたステップサイズは0.2であった。
図12は、ルーム内で合成された平面波の正規化された音圧を示す。LREを用いた場合の結果を左側の列に、LREを用いていない場合の結果を右側に、それぞれ示す。上段の図はラウドスピーカによって放射された直接的要素である。下段の図は壁面によって反射された部分を示す。目盛はメートルである。
達成されたLREを評価するために、実際に測定された波動場の自由音場条件下の波動場に対する差が計算された。結果として得られた値は、次に等化なしに得られたであろう値へと正規化された。
Figure 2014531845
ここで、
Figure 2014531845
は信号を変化させるものではなく、無矛盾のベクトル長さを保証するものであり、
Figure 2014531845
はユークリッド・ノルム(Euclidian norm)である。この手法の空間ロバスト性を評価するために、マイクロホンアレイにより包囲された範囲であるリスニング範囲内の誤差eLAを測定する。リスニング範囲のLRE誤差eLAはeMAと同様の方法で決定されるが、その場合、図12において白色の円で示すように、マイクロホンアレイの半径はRM=0.4mである。
ラウドスピーカ信号xは、WFSの理論に従い、入射角φ1=0、φ2=π/2、φ3=πであり、互いに無相関化された白色ノイズ信号を音源として使用する状態で、3個の平面波を同時に合成するように決定された。
Figure 2014531845
図13において、ND=3であるシステムに関する経時的なLRE誤差が分る。ND=3であるLREシステムに関する経時的な収束が、異なるシナリオに関して説明されている。上方の図表はマイクロホンアレイにおけるLRE性能を示し、下方の図表はリスニング範囲内におけるLRE性能を示す。eMAはマイクロホンアレイにおける誤差を意味し、eLAはリスニング範囲における誤差を意味する。
図13においては、短い発散段階の後でシステムが安定化し、略eMA=−13dBの誤差に向かって収束することが分る。初期の発散は、システムHの同定が最初は不十分だったことによる。現実のシステムでは、
Figure 2014531845
が十分に同定されるまで、
Figure 2014531845
の決定を保留するのがよい。2個又は3個の平面波を有する例に関する僅かに良好な収束もまた、Hのより良好な同定を通して説明し得る。なぜなら、合成される平面波の数が多いほど、ラウドスピーカ信号の相互相関が低いからである。リスニング範囲内の誤差は、マイクロホンアレイの位置における誤差と同じ挙動を示すことが分る。しかしながら、残留する誤差は約5dB大きい。これは、選択されたアレイのセットアップに関し、マイクロホンアレイの円周に対する解がマイクロホンアレイの中心、例えばリスニング範囲に向かって補間され得ることを示している。
図12は、収束されたイコライザに対してφ1=0の入射角を持つインパルス状の平面波の一例を示している。ここから分かることは、イコライザは波形を保持し(上方左の図表)、リスニング範囲内の反射を補償する(下方左の図表)が、他方、リスニング範囲の外側の波動場は幾分歪みがあるということである。これは驚くに値しない。なぜなら、リスニング範囲の外側の波動場はマイクロホンアレイによって包囲されておらず、従って最適化されていないからである。この影響は、NDの値が大きいほど強くなる。よって、それを抑制するために、イコライザ係数に対する追加的な制約の適用を促すことになる。
図14において、誤差eMAとeLAとが、異なるND値を有する構造に関して収束後に認められる。直線で示された1つの合成平面波を持つシナリオについては、ND=1の最も簡素な構造が実際に最高の性能を示すことが分る。ND>1の他の構造は自由度がより大きいが、しかし、根底にある逆フィルタ処理問題が悪条件であるため、その利点を活かせない。反対に、破線で示された2個の、及び点線で示された3個の、それぞれ合成平面波を持つより複雑なシナリオに関して、ND=1の構造は十分な程度の自由度を持たず、より複雑な構造の方が有意に良好な性能を示す。
波動領域における適応LREは、異なる次数の波動場要素間の関係を考慮することにより提供される。LRE構造の必要な複雑性と最適な性能は、再生される情景の複雑さに依存することが示された。更に、根底にある逆フィルタ処理問題が非常に悪条件であると、自由度の値をできるだけ低くすることが提案される。スケーラブルな複雑性に起因して、本提案のシステムは従来のシステムと比較してより低い演算要求量とより高いロバスト性とを示す。また、より広範な再生シナリオに対して適切であると言える。
これまで装置を説明する文脈で幾つかの態様を示してきたが、これらの態様は対応する方法の説明でもあることは明らかであり、そのブロック又は装置が方法ステップ又は方法ステップの特徴に対応することは明らかである。同様に、方法ステップを説明する文脈で示した態様もまた、対応する装置の対応するブロックもしくは項目又は特徴を表している。
構成要件にも依るが、本発明の実施形態は、ハードウエア又はソフトウエアにおいて実装可能である。この実装は、その中に格納される電子的に読み取り可能な制御信号を有し、本発明の各方法が実行されるようにプログラム可能なコンピュータシステムと協働する(又は協働可能な)、デジタル記憶媒体、例えばフレキシブルディスク,DVD,CD,ROM,PROM,EPROM,EEPROM,フラッシュメモリなどを使用して実行することができる。
本発明に従う幾つかの実施形態は、上述した方法の1つを実行するようプログラム可能なコンピュータシステムと協働可能で、電子的に読み取り可能な制御信号を有するデータキャリアを含んでも良い。
一般的に、本発明の実施例は、プログラムコードを有するコンピュータプログラム製品として実装することができ、このプログラムコードは当該コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で作動するときに、本発明の方法の一つを実行するよう作動できる。そのプログラムコードは例えば機械読み取り可能なキャリアに記憶されても良い。
他の実施形態は、上述した方法の1つを実行するための、機械読み取り可能なキャリア又は非一時的な記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムを含む。
換言すれば、本発明の方法のある実施形態は、そのコンピュータプログラムがコンピュータ上で作動するときに、上述した方法の1つを実行するためのプログラムコードを有する、コンピュータプログラムである。
本発明の他の実施形態は、上述した方法の1つを実行するために記録されたコンピュータプログラムを含む、データキャリア(又はデジタル記憶媒体又はコンピュータ読み取り可能な媒体)である。
本発明の他の実施形態は、上述した方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムを表現するデータストリーム又は信号列である。そのデータストリーム又は信号列は、例えばインターネットを介するデータ通信接続を介して伝送されるように構成されても良い。
他の実施形態は、上述した方法の1つを実行するように構成又は適用された、例えばコンピュータ又はプログラム可能な論理デバイスのような処理手段を含む。
他の実施形態は、上述した方法の1つを実行するためのコンピュータプログラムがインストールされたコンピュータを含む。
幾つかの実施形態においては、(例えば書換え可能ゲートアレイのような)プログラム可能な論理デバイスは、上述した方法の幾つか又は全ての機能を実行するために使用されても良い。幾つかの実施形態では、書換え可能ゲートアレイは、上述した方法の1つを実行するためにマイクロプロセッサと協働しても良い。一般的に、そのような方法は、好適には任意のハードウエア装置によって実行される。
上述した実施形態は、本発明の原理を単に例示的に示したにすぎない。本明細書に記載した構成及び詳細について修正及び変更が可能であることは、当業者にとって明らかである。従って、本発明は、本明細書に実施形態の説明及び解説の目的で提示した具体的詳細によって限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
第2変換ユニット480の変換T2は、上述したように、マイクロホン信号を波動領域へ(例えばいわゆる測定された波動場へ)と変換する。
Figure 2014531845
における測定された波動場のNM個の要素を得るために、d(n)におけるNM個の実際に測定されたマイクロホン信号に対してT2が適用される。T1と同様に、
Figure 2014531845
における要素があるモード次数を有する式(76)に従って記述されるように、T2が選択される。考慮対象となるアレイ・セットアップ及び基底関数については、ラウドスピーカ及びマイクロホン指標にわたる空間DFTが、T1及びT2のために使用され得ることが開示されており(特許文献1を参照)、その場合、式(76)の時間的周波数領域から時間領域への変換が不要となる。しかし、これら周波数独立型の変換は、考慮対象となる信号の周波数応答を式(76)に従って修正することがない。この点は本発明の実施形態にとっては許容可能であり得る。なぜなら、適応フィルタは、周波数応答における差を暗示的にモデル化するであろうし、全ての記述が無矛盾のままであるからである。
図6で示しかつ上述したように、プレフィルタとは、好ましくは単一入力・単一出力のフィルタ要素であり、単一入力・単一出力のフィルタ要素は、現時点または現フレームにおける単一の変換済みラウドスピーカ信号、及び潜在的には、1つ又は複数の先行する時点またはフレームの対応する単一の変換済みラウドスピーカ信号、だけを受信するものであり、また、現時点または現フレームにおける単一のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号、及び潜在的には、1つ又は複数の先行する時点またはフレームの対応する単一のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号を出力するものである。
Figure 2014531845
事前等化の後で、ベクトル
Figure 2014531845
が得られる。
Figure 2014531845
Figure 2014531845
Figure 2014531845
マイクロホン信号d(n)はLEMSから得られ、次に次式(41)に従って波動領域へと変換される。
Figure 2014531845

Claims (15)

  1. リスニングルーム等化のための装置であって、前記装置は複数のラウドスピーカ入力信号を受信するよう構成されており、
    前記少なくとも2つのラウドスピーカ入力信号を時間領域から波動領域へと変換して複数の変換済みラウドスピーカ信号を得る、変換ユニット(110;410)と、
    第1ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子を適応させて第2ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子を得る、システム同定適応ユニット(120;420)であって、前記第1及び第2のラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子が複数のラウドスピーカと複数のマイクロホンとを含むラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム(470)を同定する、システム同定適応ユニット(120;420)と、
    前記第2ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子に基づき、かつ予め決定されたラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子にも基づいて、フィルタ(140;240;340;440;600)を適応させるフィルタ適応ユニット(130;430)と、を含み、
    前記フィルタ(140;240;340;440;600)は複数のサブフィルタ(141,14r;241,242,243,244;641,642,643)を含み、前記サブフィルタ(141,14r;241,242,243,244;641,642,643)の各々が、前記変換済みラウドスピーカ信号の1つ又は複数を受信ラウドスピーカ信号として受信し、前記サブフィルタ(141,14r;241,242,243,244;641,642,643)の各々が、1つ又は複数の前記受信ラウドスピーカ信号に基づいて複数のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号の1つを生成するよう構成されており、
    前記サブフィルタ(141,14r;241,242,243,244;641,642,643)の少なくとも1つは、前記変換済みラウドスピーカ信号の少なくとも2つを受信ラウドスピーカ信号として受信し、前記少なくとも2つの受信ラウドスピーカ信号を結合して前記複数のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号の1つを生成するよう構成されており、
    前記サブフィルタ(141,14r;241,242,243,244;641,642,643)の少なくとも1つは、前記複数の変換済みラウドスピーカ信号の総数よりも小さい数の前記受信ラウドスピーカ信号を有し、前記受信ラウドスピーカ信号の数は1又は1よりも大きい数であり、更に、前記サブフィルタ(141,14r;241,242,243,244;641,642,643)の少なくとも1つのサブフィルタの前記受信ラウドスピーカ信号の数が1より大きい場合には、前記サブフィルタ(141,14r;241,242,243,244;641,642,643)の少なくとも1つのサブフィルタの前記受信ラウドスピーカ信号だけが結合されて、前記複数のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号の前記1つが生成される、装置。
  2. 前記フィルタ適応ユニット(130;430)は、ラウドスピーカ信号対グループの少なくとも3対の各対のためにフィルタ係数を決定してフィルタ係数グループを得るよう構成されており、前記ラウドスピーカ信号対グループは、前記変換済みラウドスピーカ信号の1つと前記フィルタ処理済みラウドスピーカ信号の1つとからなるラウドスピーカ信号対の全てを含み、前記フィルタ係数グループは前記ラウドスピーカ信号対グループが有するラウドスピーカ信号対の数よりも少ない数のフィルタ係数を有し、
    前記フィルタ適応ユニット(130;430)は、前記フィルタ(140;240;340;440;600)のフィルタ係数を前記フィルタ係数グループの少なくとも1つのフィルタ係数によって置き換えることにより、前記フィルタ(140;240;340;440;600)を適応させるよう構成されている、請求項1に記載の装置。
  3. 前記フィルタ適応ユニット(130;430)は、ラウドスピーカ信号対グループの各対のためにフィルタ係数を決定して第1のフィルタ係数グループを得るよう構成されており、前記ラウドスピーカ信号対グループは、前記変換済みラウドスピーカ信号の1つと前記フィルタ処理済みラウドスピーカ信号の1つとからなるラウドスピーカ信号対の全てを含み、
    前記フィルタ適応ユニット(130;430)は、前記第1のフィルタ係数グループから複数のフィルタ係数を選択して第2のフィルタ係数グループを得るよう構成されており、前記第2のフィルタ係数グループは前記第1のフィルタ係数グループよりも少ない数のフィルタ係数を有しており、
    前記フィルタ適応ユニット(130;430)は、前記フィルタ(140;240;340;440;600)のフィルタ係数を前記第2のフィルタ係数グループの少なくとも1つのフィルタ係数によって置き換えることにより、前記フィルタ(140;240;340;440;600)を適応させるよう構成されている、請求項1に記載の装置。
  4. 前記サブフィルタ(141,14r;241,242,243,244;641,642,643)の各々が前記複数のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号の正に1つを生成するよう構成されている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置。
  5. 前記フィルタ(140;240;340;440;600)の全てのサブフィルタ(141,14r;241,242,243,244;641,642,643)が同数の変換済みラウドスピーカ信号を受信する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置。
  6. 前記フィルタ(140;240;340;440;600)は第1行列
    Figure 2014531845
    により定義され、前記第1行列は複数の第1行列係数を有しており、前記フィルタ適応ユニット(130;430)は、前記第1行列を適応させることによって前記フィルタ(140;240;340;440;600)を適応させるよう構成されており、前記フィルタ適応ユニット(130;430)は、前記複数の第1行列係数の1つ又は複数をゼロに設定することによって前記第1行列を適応させるよう構成されている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の装置。
  7. 前記フィルタ適応ユニット(130;430)は、次式
    Figure 2014531845
    に基づいて前記フィルタ(140;240;340;440;600)を適応させるよう構成されており、ここで
    Figure 2014531845
    は第2ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子を示す第2行列であり、
    Figure 2014531845
    は前記予め決定されたラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子を示す第3行列である、請求項6に記載の装置。
  8. 前記第2行列
    Figure 2014531845
    は複数の第2行列係数を有し、第2のシステム同定適応ユニット(120;420)が前記複数の第2行列係数の1つ又は複数をゼロに設定することによって前記第2行列を決定するよう構成されている、請求項7に記載の装置。
  9. 前記フィルタ処理済みラウドスピーカ信号を波動領域から時間領域へと変換してフィルタ処理済み時間領域ラウドスピーカ信号を得る、逆変換ユニット(460)を更に含む、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装置。
  10. 前記システム同定適応ユニット(120;420)は、複数の変換済みマイクロホン信号
    Figure 2014531845
    と複数の推定マイクロホン信号
    Figure 2014531845
    との間の差を示す誤差
    Figure 2014531845
    に基づいて、前記第1ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子を適応させるよう構成され、前記複数の変換済みマイクロホン信号と前記複数の推定マイクロホン信号とは前記複数のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号に依存している、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の装置。
  11. 前記変換ユニット(110;410)は第1変換ユニットであり、
    前記装置は、前記ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム(470)の複数のマイクロホンによって受信された複数のマイクロホン信号を時間領域から波動領域へと変換して、前記複数の変換済みマイクロホン信号を得る、第2変換ユニット(480)を更に含む、請求項10に記載の装置。
  12. 前記第1ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子に基づき、かつ前記複数のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号にも基づいて、前記複数の推定マイクロホン信号
    Figure 2014531845
    を生成するためのラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム推定部(450)を更に含む、請求項10又は11に記載の装置。
  13. 前記装置は、前記複数の変換済みマイクロホン信号
    Figure 2014531845
    と前記複数の推定マイクロホン信号
    Figure 2014531845
    との間の差を示す前記誤差
    Figure 2014531845
    を、誤差を決定するための次式
    Figure 2014531845
    を適用することにより決定する、誤差決定部(490)をさらに含み、
    前記誤差決定部(490)は、決定された誤差を前記システム同定適応ユニット(120,420)へと供給するよう構成されている、請求項10乃至12のいずれか1項に記載の装置。
  14. リスニングルーム等化のための方法であって、
    複数のラウドスピーカ入力信号を受信するステップと、
    前記少なくとも2つのラウドスピーカ入力信号を時間領域から波動領域へと変換して複数の変換済みラウドスピーカ信号を得る、ステップと、
    第1ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子を適応させて第2ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子を得るステップであって、前記第1及び第2のラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子が複数のラウドスピーカと複数のマイクロホンとを含むラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム(470)を同定する、ステップと、
    前記第2ラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子に基づき、かつ予め決定されたラウドスピーカ・エンクロージャ・マイクロホンシステム識別子にも基づいて、フィルタ(140;240;340;440;600)を適応させるステップと、を含み、
    前記フィルタ(140;240;340;440;600)は複数のサブフィルタ(141,14r;241,242,243,244;641,642,643)を含み、前記サブフィルタ(141,14r;241,242,243,244;641,642,643)の各々が、前記変換済みラウドスピーカ信号の1つ又は複数を受信ラウドスピーカ信号として受信し、更に前記サブフィルタ(141,14r;241,242,243,244;641,642,643)の各々が、1つ又は複数の前記受信ラウドスピーカ信号に基づいて複数のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号の1つを生成するよう構成されており、
    前記サブフィルタ(141,14r;241,242,243,244;641,642,643)の少なくとも1つは、前記変換済みラウドスピーカ信号の少なくとも2つを受信ラウドスピーカ信号として受信し、更に前記少なくとも2つの受信ラウドスピーカ信号を結合して前記複数のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号の1つを生成するよう構成されており、
    前記サブフィルタ(141,14r;241,242,243,244;641,642,643)の少なくとも1つは、前記複数の変換済みラウドスピーカ信号の総数よりも小さい数の前記受信ラウドスピーカ信号を有し、前記受信ラウドスピーカ信号の数は1又は1よりも大きい数であり、更に前記サブフィルタ(141,14r;241,242,243,244;641,642,643)の少なくとも1つのサブフィルタの前記受信ラウドスピーカ信号の数が1より大きい場合には、前記サブフィルタ(141,14r;241,242,243,244;641,642,643)の少なくとも1つのサブフィルタの前記受信ラウドスピーカ信号だけが結合されて、前記複数のフィルタ処理済みラウドスピーカ信号の1つが生成される、方法。
  15. コンピュータ又はプロセッサで作動されたとき、請求項14に記載の方法を実行するコンピュータプログラム。
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