本明細書におけるあらゆるブロック図は、本発明の主題の原理を具体化する例示的なシステムの概念的な図を表しているということを当業者なら理解するはずである。同様に、あらゆるフローチャート、流れ図、状態遷移図、疑似コードなどは、コンピュータ可読媒体において実質的に表されることが可能な、したがってコンピュータまたはプロセッサによって実行されることが可能な(そのようなコンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているか否かにかかわらず)さまざまなプロセスを表しているということがわかるであろう。
ユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーションズ・システム(UMTS)においてアップリンク・リソースを共有するためのシステムおよび方法について説明する。一実施態様においては、UMTSにおける拡張アップリンク専用チャネル(E−DCH)のリソースが、複数のユーザ機器(UE)の間において共有される。これらの方法は、グローバル・システム・フォー・モバイル(GSM)通信標準に従ってデータをやり取りすることができるシステムにおいて実施されること、および進化型ハイ・スピード・パケット・アクセス(HSPA)機能をサポートすることが可能である。進化型HSPAは、3GPPリリース7およびリリース8による拡張されたハイ・スピード・ダウンリンク・パケット・アクセス(HSDPA)およびハイ・スピード・アップリンク・パケット・アクセス(HSUPA)を含むことができる。本明細書における説明は、UMTSを参照しているが、これらのシステムおよび方法は、当業者なら理解できるように、わずかな変形を伴ってではあるが、その他のネットワークにおいて実施されることも可能である。
本明細書において説明されている技術は、符号分割多元接続(CDMA)、時分割多元接続(TDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)、直交周波数分割多元接続(OFDMA)、シングル・キャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)、およびその他のシステムなど、さまざまなワイヤレス通信システムのために使用されることが可能である。CDMAシステムは、無線テクノロジー、たとえば、ユニバーサル・テレストリアル・ラジオ・アクセス(UTRA)、cdma2000などを実施することができる。UTRAは、ワイドバンドCDMA(WCDMA)およびCDMAのその他の変形を含む。cdma2000は、IS−2000、IS−95、およびIS−856標準をカバーしている。TDMAシステムは、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(GSM)などの無線テクノロジーを実施することができる。OFDMAシステムは、無線テクノロジー、たとえば、進化型UTRA(E−UTRA)、ウルトラ・モバイル・ブロードバンド(UMB)、IEEE 802.20、IEEE 802.16(WiMAX)、802.11(WiFi(商標))、フラッシュOFDM(登録商標)などを実施することができる。UTRAおよびE−UTRAは、ユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーション・システム(UMTS)の一部である。3GPPロング・ターム・エボリューション(LTE)は、E−UTRAを使用するUMTSの来たるリリースである。UTRA、E−UTRA、UMTS、LTE、およびGSMは、「第3世代パートナーシップ・プロジェクト」(3GPP)という組織からのドキュメントにおいて説明されている。cdma2000およびUMBは、「第3世代パートナーシップ・プロジェクト2」(3GPP2)と名付けられている組織からのドキュメントにおいて説明されている。明確にするために、それらの技術の特定の態様について、以降でWCDMAに関して説明し、以降での説明の多くにおいては、3GPP用語が使用される。
これらのシステムおよび方法は、通信デバイスおよびコンピューティング・システムなど、さまざまなエンティティーにおいて実施されることが可能である。説明されている(1つまたは複数の)方法を実施することができるエンティティーは、デスクトップ・コンピュータ、ハンドヘルド・デバイス、ラップトップまたはその他のポータブル・コンピュータ、タブレット・コンピュータ、モバイル電話、PDA、スマートフォンなどを含むが、それらには限定されない。さらに、この方法は、さまざまな通信デバイスおよびコンピューティング・システムへの接続を提供するためにデータをやり取りすることができるデバイスによって実施されることも可能である。そのようなデバイスは、データ・カード、モバイル・アダプタ、ワイヤレス(WiFi(商標))アダプタ、ルータなどを含むことができるが、それらには限定されない。本明細書における説明は、スマートフォンなどの通信デバイスを参照して行われているが、説明されている(1つまたは複数の)方法は、当業者なら理解できるように、その他の任意のデバイスにおいて実施されることも可能である。
携帯電話、ラップトップ、携帯情報端末(PDA)、およびスマート・フォンなどのテレコミュニケーション・デバイスの使用が増大していることによって、ワークフォース・モビリティーの必要性が高まっている。増大し続ける数のテレコミュニケーション・デバイスの需要を満たすために、テレコミュニケーション・テクノロジーにおける進歩が絶え間なく行われている。ワイヤレス通信システムは、利用可能な限られたリソースを効率よく利用することによってユーザの需要を満たすために進化し続けている。
増大したスループットおよびより良好なリソース利用度を伴う拡張されたデータ転送能力を提供するために、ワイドバンド符号分割多元接続(WCDMA)に基づくUMTSネットワークが、3Gモバイル通信システムとして世界中に展開されている。UMTSの仕様によれば、ラジオ・リソース・コントロール(RRC)接続を伴うUEは、CELL_DCH、CELL_FACH、CELL_PCH、またはURA_PCH状態にあることが可能である。別々のセル状態は、別々の稼働状況およびリソースが定義されている別々のトラフィックおよびデータ交換状況を取り扱うように定義されている。CELL_PCHおよびURA_PCH状態は、トラフィック・アクティビティーをまったく伴わない/ほとんど伴わないUEにおけるアイドルまたは休眠状態であり、その一方で、データ・トラフィックを送信/受信するUEは、CELL_DCHまたはCELL_FACH状態に置かれる。CELL_DCHおよびCELL_FACH状態においては、UEは、ユーザ・データを送信および受信することができる。CELL_FACH状態は通常、低バースト・トラフィック・アクティビティーを伴うUEに関して使用される。
3GPPリリース7においては、拡張CELL_FACH機能がUMTSに導入されており、それによって、UEがCELL_FACH状態にある間にそのUEがHSDPAパケットを受信することが可能になる。これによって、UEがダウンリンク・データの大きなバーストを受信することが可能になる。3GPPリリース8においては、HSUPAが拡張CELL_FACH機能に導入されて、UEがCELL_FACH状態においてアップリンク・データの大きなバーストを送信することが可能になった。スマートフォン・トラフィックのバースト性は、CELL_DCH状態の場合と比較して拡張CELL_FACHに適している。なぜなら、バースト性トラフィックは、CELL_DCH状態の場合よりも拡張CELL_FACHを使用した方が、より効率よく搬送されるためである。
UMTSにおける改良および3GPPによるリリース11などの新たなリリースは、拡張CELL_FACH技術に対する機能強化を提供する。HSDPAをサポートする技術のうちの1つが適応変調コーディング(AMC)であり、このAMCにおいては、ベース・トランシーバ・ステーション(BTS)またはノードB(NB)によって使用される変調スキームおよびコーディング・レートが、UEによって報告されるダウンリンク・チャネル品質に従って適応的に変更されるため、AMCの正確さおよびHSDPAのパフォーマンスは、UEによって報告されるチャネル品質表示(CQI)に大きく依存している。
UEがCELL_FACH状態にある間に、CQIは、ハイ・スピード専用物理制御チャネル(HS−DPCCH)を通じてNBに報告される。さらに、HS−DPCCHは、CQIのほかに、NBから受信されたHSDPAパケットに応答してUEによって提供される肯定応答を搬送することもできる。拡張CELL_FACHがUMTSに導入される以前は、セルはCELL_FACH状態にあった。CQIを報告するために拡張CELL_FACHを利用することによるHS−DPCCHの使用は、拡張アップリンク専用チャネル(E−DCH)を介してデータを送信したいというUEの必要性に応じてUEによって制限されていた。しかしながら、AMCの正確さはCQIの報告に依存しているため、3GPPリリース11は、E−DCH上でのアップリンク・データ送信からの送信の依存状態をまったく伴わないHS−DPCCH上でのCQIの送信を提案している。したがって、UEがCELL_FACH状態にある間のチャネル品質の報告を改善するために、最新の3GPPリリース、すなわちリリース11は、ダウンリンク・チャネルに関するCQIが、UEによって取り扱われるトラフィック・アクティビティーにかかわらずに一貫してUEによって提供されることを提案している。
UEがCELL_FACH状態にある場合には、HS−DPCCHを通じたアップリンクにおけるCQIの送信は、アップリンク・リソースを必要とするため、そのような送信のためのアップリンク・リソースの可用性および割り当てが必要となる。UMTSの仕様によれば、RRC接続のCELL_FACH状態において利用可能なアップリンク・リソースは、共通のリソースであり、CELL_DCH状態の場合のような専用のものではない。しかしながら、HSDPAおよびHSUPAを含むHSPAの能力が拡張CELL_FACH機能において実施されるため、CQIの報告は、CELL_FACH状態において存在する限られた共通のアップリンク・リソースを通じて行われなければならない。
それぞれのBTSまたはNBは、限られた数のアップリンク・チャネル・リソースを有しており、それらのアップリンク・チャネル・リソースは、CELL_FACH状態に存在するUE同士の間において共有されている。これらの共通のアップリンク・チャネル・リソースは、ランダム・アクセス・チャネル(RACH)または拡張アップリンク専用チャネル(E−DCH)を含むことができる。そのようなアップリンク・チャネル・リソースのうちのいずれも、1つのUEに割り当てられているときには、別のUEに割り当てられることは不可能である。したがって、共通E−DCHリソースなどの共通チャネルのうちの大多数が別々のUEに割り当てられている状況においては、利用可能なアップリンク・チャネル・リソースは乏しくなり、それらを争奪し合うことが避けられない。したがって、共通の限られたアップリンク・チャネル・リソースを通じてCQI情報を繰り返し送信すると、複数のインスタンスに関して著しいリソースが消費される。さらに、CQI情報の単なる送信のためにE−DCHまたはRACHリソースを割り当てると、大量のデータを送信することができるチャネルが単なるCQI送信のために確保されるため、アップリンク・チャネルの非効率的な使用という結果にもなる。また、スマートフォン・デバイスの数が著しく増大しているため、ますます多くのUEがCELL_FACH状態において拡張CELL_FACH機能を利用しており、したがって、これらのすべてのデバイスによってCQIを送信する必要性は、混雑、リソースの割り当てにおける失敗、およびチャネル・リソースの枯渇につながる。
典型的には、RACHまたはE−DCHなどのアップリンク・リソースのうちのいずれかにアクセスするために、UEは、ランダム・アクセス手順を実行する。ランダム・アクセス手順は、2つのステージで完了される。第1のステージは、プリアンブル・ステージと呼ばれており、プリアンブル・ステージでは、RACHおよびE−DCHなど、要求されたリソースを指定するプリアンブルが送信され、その一方で第2のステージは、データ送信ステージであり、データ送信ステージでは、実際のメッセージが送信される。実際のメッセージの送信の前に、UEによって要求されたリソースがNBによって割り当てられなければならず、したがってUEは、実際のメッセージの送信の前にNBからの確認を待たなければならない。さらに、リソースの割り当ての確認が受信されると、UEとNBは、初期接続手順(handshake)または同期化を実行する。同期化中に、信号対雑音比(SNR)などの事前に定義されたパラメータに基づく送信の品質が判定される。初期接続手順のプロセスには、数ミリ秒かかる場合があり、したがって、単なるCQI情報が送信されることになるたびに同期化を実行すると、利用可能なリソースが最適に利用されない。さらに、同期化手順が失敗した状況においては、データ送信は許可されず、UEは、アップリンク・リソースを取得して送信を実行するために、ランダム・アクセス手順全体を再び開始しなければならない。そのようなイベントの可能性によって、同期化が成功裏に完了されない場合に、データの送信において余分な遅延が加わる場合がある。
したがって、CELL_FACH状態において再帰的な一貫したCQI送信が行われる場合には、それぞれの送信の前に、UEは、プリアンブル送信、チャネル取得、および同期化を含むランダム・アクセス手順を実行することになる。一般に、E−DCHリソースは、大量のデータの送信のためにまれに使用されるため、チャネル取得および同期化を完了するために必要とされる時間は許容可能であるが、データの小さなバーストであって一貫しているCQIの単なる送信のためのチャネル取得および同期化の手順は、実際の情報送信ステージよりも最初のステージにおいて、より多くの時間を費やすことになる。
本発明の主題の一実施態様に従って、時分割多重化ベースでアップリンク・リソースを共有するためのシステムおよび方法について説明する。一実施形態においては、CELL_FACH状態において利用可能なアップリンクE−DCHリソースが、一貫した再帰的なCQIの送信のために共有される。これらのシステムおよび方法は、さまざまな処理デバイスおよび通信デバイスにおいて実施されることが可能である。説明されている方法およびシステムを実施することができるデバイスは、デスクトップ・コンピュータ、ハンドヘルド・デバイス、ラップトップまたはタブレット・コンピュータなどのその他のポータブル・コンピュータ、モバイル電話、PDA、スマートフォンなどを含むが、それらには限定されない。さらに、ネットワーク接続を提供するためにデータをやり取りすることが可能な、または別々の通信デバイスおよびコンピューティング・システムにおいてデータをやり取りすることが可能なデバイスも、説明されている方法およびシステムを実施することができる。そのようなデバイスは、データ・カード、モバイル・アダプタ、WiFi(商標)アダプタ、ルータなどを含むことができるが、それらには限定されない。本明細書における説明は、スマートフォンなどの通信デバイスを参照して行われているが、説明されている(1つまたは複数の)方法は、当業者なら理解できるように、その他の任意のデバイスにおいて実施されることも可能である。
本明細書において説明されているシステムおよび方法は、一方では、CQIを送信するためのアップリンク・リソースの共有を可能にし、他方では、共有されたアップリンク・リソースを通じた実際のデータの送信を可能にする。CELL_FACH状態に存在するUEにとって利用可能な共通のリソースは、RACHまたはEDCHリソースであることが可能である。一般に、これらのリソースの総数が、UE同士の間において、それらの可用性に基づいて割り当てられる。なぜなら、割り当ては、取得されたリソースを解放するUEと、それを争奪している別のUEとによるためである。たとえば、あるNBは、32個の利用可能なE−DCHリソースを有することができ、それらのE−DCHリソースを、サービス提供されているUE同士の間において共有することができる。利用可能な32個のE−DCHリソースのそれぞれが、32個の別々のUEに割り当てられるケースにおいては、そのNBには、33番目のUEに割り当てるためのE−DCHリソースはもはや残っていない。そのようなシナリオにおいては、33番目のUEへのE−DCHリソースの割り当ては、32個のUEのうちの1つによって、既に取得されているE−DCHリソースのうちのいずれか1つが解放されることによる。
E−DCHなどのアップリンク・リソースは、数が限られており、HS−DPCCHを通じた頻繁なCQI送信のためにこれらのリソースを獲得することは効率的ではないため、本発明の主題の一実施態様においては、アップリンクE−DCHリソースは、アップリンク・リソースの2つの別々のセットへと分けられる。前記実施態様においては、リソースの第1のセットは、大量データ転送のために専用であることが可能であり、また、従来知られている様式で割り当てられることが可能であり、したがって、簡潔にするために、そのような割り当ての詳細は、ここでは詳述されていない。また、明確にするために、そのようなリソースは、レガシーE−DCHリソースと呼ばれる。E−DCHリソースの第2のセットは、時分割多重化ベースで複数のUEの間において共有されることが可能であるE−DCHを構成することができる。E−DCHリソースの第2のセットは、時分割多重化に基づいてUEに割り当てられることが可能であり、これらのリソースを共有しているUEは、他のUEのためにリソースを解放する必要はなく、むしろ固定された時間インスタンスにおいてリソースを使用する。したがって、UEは、アップリンク・リソースを通じてCQIなどの少量のデータを送信したいと望むたびに、そのようなE−DCHリソースを争奪する必要はないとも言える。時分割多重化されているE−DCHリソースの第2のセットは、以降ではE−DCHリソースとも呼ばれる。しかしながら、E−DCHリソースの第1のセットは、以降ではレガシーE−DCHリソースと呼ばれる。
本発明の主題の一実施態様によれば、共通E−DCHリソースの第2のセットは、時分割多重化されて、複数のUEの間において共有される。前述したように、E−DCHリソースを取得するために、UEは、はじめにチャネル取得を経てから、次いで実際のデータを送り出すためにNBとの同期化を実行しなければならない。したがって、一貫したCQI送信のためのチャネル取得および同期化の冗長で時間のかかるステップを減らすために、一実施態様においては、チャネル取得および同期化のプロセスは、UEがE−DCHリソースをはじめて要求する際に1回だけ行われることが可能である。前記実施態様においては、NBは、同期化の完了後に、時分割多重化されていくつかのUEの間において共有されている共通E−DCHリソースの第2のセットからE−DCHリソースを割り振ることができる。当業者なら理解するであろうが、そのE−DCHリソースは時分割多重化されて共有されているため、チャネル・リソース全体が、単一のUEにとって利用可能となるが、それは、限られたタイム・ピリオドの間だけである。一実施態様においては、その限られたタイム・ピリオドは、NBによって決定されることが可能であり、送信タイム・インターバル(TTI)の倍数であることが可能である。それぞれのUEにE−DCHリソースが割り当てられる時間は、さまざまであることが可能であり、複数のUEは、複数の別々の割り当てられたタイム・ピリオドを有することができるということも当業者なら理解するであろう。
本発明の主題の一実施態様によれば、あるUEでE−DCHリソースが利用可能であるタイム・ピリオドの間には、そのUEは、HS−DPCCHにおいてCQIを送信することができる。CQI情報は短く、小さなバーストを必要とするため、共通E−DCHリソースが、時分割多重化されていくつかのUEの間において共有されることが可能である。別の実施態様においては、HS−DPCCHにおけるCQIの送信の前に、UEは、必要とされている送信パワーをNBがUEに示すことを可能にするためにアップリンク(UL)専用物理制御チャネル(DPCCH)のわずかなバーストを送信することができる。当業者には知られているであろうが、NBは、DPCCHの品質を判定し、フラクショナル専用物理チャネル(F−DPCH)を介して送信パワー・コントロール(TPC)コマンドをUEに送信する。したがって、実際のHS−DPCCHの前のDPCCHのわずかなバーストの送信は、必要とされているパワー・レベルでUEがNBに応答することを可能にする。さらに、実際のHS−DPCCHの前のDPCCHのわずかなバーストの送信は、NBが、少数チャネル推定平均を有することも可能にし、これは、E−DCHリソースを通じて来るデータの復調において役立てることができる。
一実施態様においては、NBは、レイヤ1またはMACシグナリングに基づいて時分割多重化E−DCHリソースをUEに割り当てる。レイヤ1の機能およびMACシグナリングの機能は、UMTS仕様によって提示されており、したがって、簡潔にするために、詳細はここに含まれていない。一例においては、時分割多重化されているE−DCHリソースは、ハイ・スピード共有制御チャネル(HS−SCCH)オーダを使用して割り当てられ、時分割多重化されているE−DCHリソースのパターンを含む。時分割多重化リソース割り当てのパターンは、E−DCHリソースのサイクル、それぞれのサイクル中におけるE−DCHリソースの可用性の持続時間、およびそれぞれのサイクルにおける送信が開始すべきオフセットをUEに表すことおよび示すことが可能である。したがって、リソース割り当てのパターンは、UEにとってのリソースの可用性の明確なイメージを提供する。また、許可されている送信インターバル、送信の持続時間などの詳細が、UEで利用可能であるため、UEは、それぞれのCQI送信の前に新たな共通のアップリンク・リソースを要求する必要はない。さらに、数ミリ秒を必要とする場合がある同期化のプロセスも、CQI情報のそれぞれの送信中には必要とされない。
本発明の主題の一実施形態においては、時分割多重化されているE−DCHリソースを割り振られているUEは、E−DCHリソースの第1のセットからのレガシーE−DCHを依然として要求することができる。当業者なら理解するであろうが、UEは、アップリンクを通じて何らかのバースト性データをNBに送信することを必要とする場合がある。CELL_FACH状態においては、そのような送信に関する利用可能なリソースは、共通E−DCHリソースのみである。送信されるデータの性質がバースト性であるため、UEは、CQI送信のためにそのUEに割り当てられている共有されているE−DCHリソースのほかに、E−DCHリソースの第1のセットからのE−DCHリソースを要求することができる。これは、NBによって割り当てられた時点でUEにとって利用可能な時分割多重化されていないレガシーE−DCHリソースを使用して最も良好にサービス提供される別のトラフィック・タイプをUEが有する場合に、妥協の無いサービス品質を提供することができる。
前記実施形態においては、一実施態様によれば、UEは、そのUEによるHS−DPCCHを通じたCQIの時分割多重化送信を、レガシー共通E−DCH上の送信が完了するまで一時的に停止することができる。しかしながら、別の実施態様においては、UEは、時分割多重化リソースおよびレガシー共通E−DCHリソースを介してデータを同時に送信することができる。UEは、共有されているレガシーE−DCHリソースを介して順次または並行して送信を行うことができると説明してきたが、レガシーE−DCHリソースを取得するためには、UEは、依然としてチャネル取得および同期化フェーズを経なければならないと言えるということが理解できるであろう。
さらに、本発明の主題の一実施形態によれば、説明されている技術の意図および範囲から逸脱することなく、E−DCH以外に、HS−DPCCH送信のための共通チャネルの別のセットが利用されることが可能である。共通チャネルのその別のセットは、E−DCHなどの現在使用されているリソースをそれらの意図されている目的に沿って利用するために、上述されている技術に基づいて時分割多重化されて別々のUEにわたって共有されることが可能である。
上述の方法およびシステムについて、添付の図とともにさらに説明する。説明および図は、本発明の主題の原理を例示しているにすぎないということに留意されたい。したがって、本明細書において明示的に説明または図示されていないが、本発明の主題の原理を具体化し、本発明の主題の趣旨および範囲内に含まれるさまざまなアレンジを当業者なら考案できるであろうということがわかるであろう。さらに、本明細書において列挙されているすべての例は、主として、本発明の主題の原理、および、当技術分野を進展させることに対して本発明者(ら)によって寄与されたコンセプトを読者が理解する際に役立つための教示上の目的のものにすぎないことが明示的に意図されており、また、そのような具体的に列挙された例および状況に限定されるものではないと解釈されるべきである。その上、本発明の主題の原理、態様、および実施形態、ならびにその具体的な例を列挙している本明細書におけるすべての記述は、その均等物を包含することを意図されている。
「during」、「while」、および「when」という語は、本明細書において使用される際には、あるアクションが開始アクションの直後に起こることを意味する厳密な用語ではなく、最初のアクションと、その最初のアクションによって開始される反応との間に、伝搬遅延など、何らかの小さな(ただし妥当な)遅延が存在することが可能であるということも当業者なら理解するであろう。加えて、「connected」という語は、説明を明確にするために全体にわたって使用されており、直接接続または間接接続のいずれかを含むことができる。
UMTSにおいてアップリンク・リソースを共有するためのシステムおよび方法が実施される様式について、図1〜図5に関連して詳細に説明する。アップリンク・リソースを共有するための説明されているシステムおよび方法の態様は、任意の数の別々のコンピューティング・システム、環境、および/または構成において実施されることが可能であるが、それらの実施形態について、下記の例示的な(1つまたは複数の)システムのコンテキストにおいて説明する。
図1は、本発明の主題の一実施形態による、ワイヤレス通信ネットワークにおけるデータ転送のためのワイヤレス通信環境100を示している。一実施態様においては、環境100は、ノードB(NB)102、ならびに複数のUE104−1、104−2、104−3、104−3、および104−Nを含む。明確にするために、複数のUE104−1、104−2、104−3、...、104−Nは、以降ではUE104と総称され、個別にもUE104と呼ばれる。NB102は、アップリンクおよびダウンリンクを有する無線リンク106などの無線チャネルを介してUE104を制御することおよびUE104と通信することが可能である。
NB102は、UE104と通信する固定局であることが可能であり、進化型ノードB(eNB)、基地局、アクセス・ポイントなどと呼ばれることも可能である。NB102は、特定の地理的エリアのための通信カバレッジを提供する。NB102のカバレッジ・エリアは、複数のさらに小さなエリアへと区分されることが可能である。それぞれのさらに小さなエリアは、それぞれのNBサブシステムによってサービス提供されることが可能である。3GPPにおいては、「セル」という用語は、NB102の最も小さなカバレッジ・エリア、および/またはこのカバレッジ・エリアにサービス提供するNBサブシステムを指すことができる。
UE104は、デスクトップ・コンピュータ、ハンドヘルド・デバイス、ラップトップまたはその他のポータブル・コンピュータ、タブレット・コンピュータ、モバイル電話、PDA、スマートフォンなどを含むことができるが、それらには限定されない。さらに、UE104は、さまざまな通信デバイスおよびコンピューティング・システムへの接続を提供するためにデータをやり取りすることができるデバイスを含むことができる。そのようなデバイスは、データ・カード、モバイル・アダプタ、ワイヤレス(WiFi(商標))アダプタ、ルータ、ワイヤレス・モデム、ワイヤレス通信デバイス、コードレス電話、ワイヤレス・ローカル・ループ(WLL)ステーションなどを含むことができるが、それらには限定されない。UE104は、固定されていること、またはモバイルであることが可能であり、移動局、端末、アクセス端末、サブスクライバー・ユニット、ステーションなどと呼ばれることも可能である。
NB102は、無線ネットワーク・コントローラ(RNC)(図示せず)に接続されることが可能であり、この場合には、RNCは、通信ネットワークのリソースを管理することによってNB102を制御するように、およびNB102を通じてデータ転送を調整するように構成されるということを当業者なら理解するであろう。さらに、RNCは、ネットワーク・サーバ、サーバ、ワークステーション、メインフレーム・コンピュータなどとして実装されることが可能である。
前記実施態様においては、NB102は、プロセッサ108−1を含んでおり、UE104は、プロセッサ108−2を含んでいる。プロセッサ108−1および108−2は、以降ではプロセッサ108と総称される。
(1つまたは複数の)プロセッサ108は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、デジタル・シグナル・プロセッサ、中央処理装置、状態マシン、論理回路、および/または、オペレーション命令に基づいて信号およびデータを操作するその他の任意のデバイスを含むことができる。(1つまたは複数の)プロセッサ108は、単一の処理ユニットまたは複数のユニットであることが可能であり、それらのすべてはまた、複数のコンピューティング・ユニットを含むことができる。数ある能力のうちでも、(1つまたは複数の)プロセッサ108は、1つまたは複数のコンピュータ可読媒体内に格納されているコンピュータ可読命令をフェッチして実行するように構成されている。
「(1つまたは複数の)プロセッサ」とラベル付けされているあらゆる機能ブロックを含む、図において示されているさまざまな要素の機能は、専用のハードウェア、ならびに、適切なソフトウェアと関連付けてソフトウェアを実行することができるハードウェアの使用を通じて提供されることが可能である。それらの機能は、プロセッサによって提供される場合には、単一の専用のプロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、または複数の個別のプロセッサ(それらのうちのいくつかは、共有されることが可能である)によって提供されることが可能である。その上、「プロセッサ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することができるハードウェアだけを指すと解釈されるべきではなく、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワーク・プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、ソフトウェアを格納するための読み取り専用メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、および不揮発性ストレージを暗に含むことができるが、それらには限定されない。その他のハードウェアが、通常のものであれ、および/またはカスタムのものであれ、含まれることも可能である。
コンピュータ可読媒体は、たとえば、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)などの揮発性メモリ、および/またはフラッシュなどの不揮発性メモリを含む、当技術分野において知られている任意のコンピュータ可読媒体を含むことができる。
NB102およびUE104は、それぞれメモリ110−1および110−2をさらに含む。メモリ110−1および110−2は、以降ではメモリ110と総称される。メモリ110は、たとえば、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)およびダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)などの揮発性メモリ、および/または、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブルROM、フラッシュ・メモリ、ハード・ディスク、光学ディスク、および磁気テープなどの不揮発性メモリを含む、当技術分野において知られている任意のコンピュータ可読媒体を含むことができる。
一実施態様においては、NB102およびUE104はまた、NBトランシーバ112−1およびUEトランシーバ112−2などのトランシーバを含む。NB102は、数ある中でも、リソース割り当てモジュール114、共有パターン・コントロール・モジュール116、およびその他のモジュール118などのさまざまなモジュールを含む。前記実施態様においては、UE104は、数ある中でも、UEアップリンク・コントロール・モジュール120、UE構成モジュール122、およびその他のモジュール124などのモジュールを含む。
本明細書において説明されているさまざまなモジュールは、汎用プロセッサ、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)もしくはその他のプログラマブル・ロジック・デバイス、ディスクリート・ゲートもしくはトランジスタ・ロジック、ディスクリート・ハードウェア・コンポーネント、または本明細書において説明されている機能を実行するように設計されているそれらの任意の組合せとともに実施または実行されることが可能である。さらに、さまざまなモジュールの機能は、ハードウェアにおいて直接、プロセッサによって実行されるソフトウェア・モジュールにおいて、またはそれら2つの組合せにおいて具体化されることが可能である。
作動中に、NBトランシーバ112−1は、無線リンク106を通じてダウンリンクおよびアップリンクを介してUE104同士の間においてデータを送信および受信するように構成されている。同様に、UEトランシーバ112−2は、無線リンク106を通じてアップリンクおよびダウンリンクを介してNB102との間でデータを送信および受信するように構成されている。UE104とNB102との間における通信およびRRC接続中に、UE104は、CELL_DCH、CELL_FACH、CELL_PCH、またはURA_PCH状態のいずれに存在することもできる。CELL_FACHおよびCELL_DCH状態においては、UE104は、NB102との間でアップリンクおよびダウンリンクを介してデータをやり取りすること、およびトラフィックを取り扱うことが可能である。UE104は、CELL_FACH状態の拡張CELL_FACH機能を実装することができる。UE構成モジュール122は、HSDPAおよびHSUPAの機能を伴って構成されることが可能である。拡張CELL_FACH機能を実装するUE104は、NB102が、変調スキームおよびコーディング・レートを、UE104によって報告されるダウンリンク・チャネル品質に従って適応的に変更することを可能にするために、適応変調コーディング(AMC)技術をサポートする。
前述したが、明確にするために、UE104は、チャネル品質インジケータ(CQI)を送信することによってチャネル品質をNB102に報告することができるということを説明する。CQIは、無線リンク106の通信品質の測定値である。CQIは、所与のチャネルに関するチャネル品質の度合いを表す値または値のセットを表すことができる。典型的には、高い値のCQIは、高い品質を伴うチャネルを示し、その逆もまた同様である。チャネルに関するCQIは、UE104によってチャネルの信号対雑音比(SNR)、信号対干渉+雑音比(SINR)、および信号対雑音+歪み比(SNDR)などのパフォーマンス・メトリックを考慮することによって計算されることが可能である。所与のチャネルに関するCQIは、NB102およびUE104によって使用される送信または変調スキームに依存することが可能であるということを当業者なら理解するであろう。たとえば、符号分割多元接続(CDMA)を使用する通信システムは、直交周波数分割多重化(OFDM)を利用する通信システムとは異なるCQIを利用することができる。しかしながら、CQIの送信は、NB102が、別々の通信システムへのCQIの依存状態にかかわらずにコーディングおよび変調スキームを適合させることを可能にし、したがって、CQIの送信は、そのCQIを計算するために利用された送信または変調スキームにかかわらずにHSDPAを適切に実施する上で重要である。
CQIを送信するために、UEアップリンク・コントロール・モジュール120は、ランダム・アクセス手順を実行することができる。前述したように、ランダム・アクセス手順中に、UE104は、E−DCHおよびRACHの間におけるリソースの選択を示すプリアンブルを送信することができる。CQI情報は、ハイ・スピード専用物理制御チャネル(HS−DPCCH)を介して送信されるため、UEアップリンク・コントロール・モジュール120は、E−DCHチャネルの要求に対応するプリアンブルを送信することができる。別々のチャネルの要求に関しては、別々のプリアンブルが、UE104およびNB102の両方に知られているということが理解できるであろう。したがって、本発明の主題の一実施態様によれば、E−DCHリソースの割り当てを要求するために、E−DCHチャネルに対応するプリアンブルが、UEアップリンク・コントロール・モジュール120によって送信される。
UE104からの受信されたプリアンブルに基づいて、NBは、UE104が要求しているリソースを識別する。前記実施態様においては、UEアップリンク・コントロール・モジュール120は、E−DCHリソースを要求するためのプリアンブルを送信しているため、NB102のリソース割り当てモジュール114は、そのプリアンブルを識別し、利用可能なE−DCHリソースを求めてチェックを行う。プリアンブルは、要求されているリソース同士の間における区別を行うためにUE104およびNB102の両方に知られているため、一実施態様においては、CQI送信のためのE−DCHリソースを求めるUE104の要求を識別するためにNB102とUE104との間において共有されることが可能である、別個のプリアンブルが定義されることが可能である。そのようなプリアンブルの存在は、NB102のリソース割り当てモジュール114が時分割多重化ベースでリソースを割り当てることを可能にすることができ、リソースの効率的な利用において役立つであろう。
前記実施態様においては、UE104がE−DCHリソースを要求しているため、リソース割り当てモジュール114は、プリアンブルの識別を完了した後に、いくつかのUE104の間において時分割多重化されている共通E−DCHリソースの第2のセットからE−DCHをUE104に割り当てることができる。たとえば、NB102で利用可能な32個のE−DCHリソースのうちで、リソース割り当てモジュール114は、E−DCHリソースの第2のセットのために1個のリソースを確保して、残りの31個のE−DCHリソースをすべて従来の様式での割り当て(以降では、レガシー割り当てと呼ばれる)のために使用することができる。その1個のE−DCHリソースは、UE104のCQI送信のために使用されることが可能であり、NB102によってサポートされているUE104同士の間において時分割多重化される。
別の実施態様においては、NB102は、時分割多重化の目的で4個のE−DCHリソースを確保することができ、これらのリソースをいくつかのUE104の間において共有する一方で、残りの28個のE−DCHリソースをレガシー割り当てのために保持することができる。前記実施態様においては、複数のE−DCHリソースがリソース割り当てモジュール114によって時分割多重化のために確保されている場合に、それらの確保されているリソースのうちのそれぞれのE−DCHリソースは、特定の数のUE104の間において共有されることが可能である。たとえば、2個のE−DCHリソースがリソース割り当てモジュール114によって時分割多重化のために確保されていて、それらのE−DCHリソースが8個のUEの間において共有されることになる場合には、リソース割り当てモジュール114は、第1のE−DCHリソースをUE1、UE5、UE7、およびUE8の間において時分割多重化することができる。さらに、第2のE−DCHリソースは、UE2、UE3、UE4、およびUE6などの残りのUE同士の間において時分割多重化されることが可能である。さらに、リソース割り当てモジュール114によってCQIの送信のためにUE104に割り当てられている時分割多重化リソースは、UE104によってCQIの送信の代わりにデータ・パケットの送信のために利用されることが可能であるということも理解できるであろう。
別の実施態様においては、UE104およびNB102は、CQI送信の目的でいくつかの共通E−DCHリソースのうちからE−DCHリソースを割り当てることを要求するための別の異なるプリアンブルを共有しないことが可能である。その代わりに、リソース割り当てモジュール114は、デフォルトで、いくつかのUE104の間において時分割多重化されている共有されているE−DCHリソースをUE104に提供することができる。リソース割り当てモジュール114は、UE104からのリソース割り当ての第1の要求に応じて、時分割多重化されているE−DCHリソースの第2のセットからのリソースを提供するように構成されることが可能である。前記実施態様においてはまた、UE104は、割り当てられたリソースをCQI送信のために、ならびにデータ・パケットの送信のために利用することができるということが理解できるであろう。
前述したように、リソース割り当てモジュール114によって確保されているE−DCHリソースは、時分割多重化ベースでいくつかのUE104の間において共有されることが可能である。一実施態様においては、リソース割り当てモジュール114によってUE104に割り当てられた時分割多重化されているE−DCHリソースに関して、共有パターン・コントロール・モジュール116は、そのE−DCHリソースがUE104同士の間において共有されることになる、およびそれぞれのUE104にとってアクセス可能となるパターンを決定することもできる。時分割多重化されているE−DCHリソースの割り当てのパターンは、E−DCHリソースのサイクル、それぞれのサイクル中におけるE−DCHリソースの可用性の持続時間、およびそれぞれのサイクルにおける送信が開始すべきオフセットをUE104に表すことおよび示すことが可能である。言い換えれば、共有パターン・コントロール・モジュール116は、アップリンク送信のために利用可能であるスロットをUE104に通知し、それによって、UE104にとってのリソースの可用性の明確なイメージを提供する。共有パターン・コントロール・モジュール116によって決定されたパターンは、前記実施態様においては、NBトランシーバ112−1を通じてUE104に通知されることが可能である。
リソース割り当てモジュール114が、時分割多重化されているE−DCHリソースをUE104に割り当て、共有パターン・コントロール・モジュール116が、割り当てられたE−DCHリソースを共有するパターンをUE104に通知すると、UE104は、それぞれの送信の前にランダム・アクセス手順を実行することなく、割り当てられた時間インスタンスにおいてE−DCHリソースを介してデータを送信することができる。NB102は、時間インスタンスと、別々のUE104が、時分割多重化されているE−DCHリソースを通じてデータを送信することになるパターンとを認識しているため、NB102はまた、それぞれの送信の前にUE104からのプリアンブルを必要としない。したがって、いくつかのUE104の間においてE−DCHリソースを時分割多重化することは、一貫したCQI送信のためのチャネル取得および同期化を実行する必要性を減らし、それによってリソース取得時間を節約する。
それぞれのUE104にE−DCHリソースが割り当てられるタイム・ピリオドは、さまざまであることが可能であり、複数のUE104は、複数の別々の割り当てられたタイム・ピリオドを有することができるということを当業者なら理解するであろう。当業者なら理解するであろうが、そのタイム・ピリオドは、TTIの倍数であることが可能である。また、許可されている送信インターバル、送信の持続時間などの詳細が、UE104で利用可能であるため、UE104は、それぞれのCQI送信の前に共通のアップリンク・リソースを要求する必要はない。さらに、可用性の持続時間、UE104がデータを送信できるようになる前のE−DCHリソースのサイクルは、別々のUE104ごとに異なるため、1つのUE104に関するリソースを共有するパターンは、別のUE104のパターンとは異なることが可能であるということが理解できるであろう。
本発明の主題の一実施態様においては、共有パターン・コントロール・モジュール116は、いくつかのUE104の間において共有されて時分割多重化されるそれぞれのE−DCHリソースのパターンを決定するためにHS−SCCHオーダを使用する。E−DCHリソースが共有パターン・コントロール・モジュール116によって多重化されることが可能であるパターンの詳細については、図4を参照しながら詳細に説明する。
本発明の主題の一実施態様によれば、UE構成モジュール122は、共有パターン・コントロール・モジュール116によって通知されるパターンに基づいてHS−DPCCHにおいてCQI情報を送信するように構成されている。前記実施態様においては、HS−DPCCHにおけるCQIの送信の前に、UE104は、必要とされている送信パワーをNB102がUE104に示すことを可能にするためにアップリンクDPCCHのわずかなバーストを送信することができる。当業者には知られているであろうが、NB102は、DPCCHの品質を判断し、フラクショナル専用物理チャネル(F−DPCH)を介して送信パワー・コントロール(TPC)コマンドをUE104に送信することになる。したがって、実際のHS−DPCCHの前のDPCCHのわずかなバーストの送信は、必要とされているパワー・レベルでUE104がNB102に応答することを可能にする。さらに、実際のHS−DPCCHの前のDPCCHのわずかなバーストの送信は、NB102が、少数チャネル推定平均を有することも可能にし、これは、E−DCHリソースを通じて受信されるデータの復調において役立つことができる。
UE104同士の間において時分割多重化されているE−DCHリソースを通じて、UE104は、CQI情報の代わりにデータを送信することもできると説明してきたが、本発明の主題の一実施形態においては、UEアップリンク・コントロール・モジュール120はまた、レガシー手順に基づいて割り当てられることになるレガシーE−DCHリソースなど、時分割多重化されていないE−DCHリソースを要求するように構成される。前記実施形態の一実施態様においては、レガシーE−DCHリソースは、ユーザ・トラフィック・データの送信のために使用されることが可能であり、UE104は、そのようなリソースを、割り当てられた時分割多重化されている共通E−DCHリソースであるにもかかわらずに要求することができる。アップリンクを通じてNB102に送信されるデータがバースト性の性質を有し、専用のアップリンク・リソースを必要とする状況においては、UE104は、レガシーE−DCHリソースを要求することができる。レガシーE−DCHリソースを割り当てたいというUEアップリンク・コントロール・モジュール120の要求に基づいて、NB102のリソース割り当てモジュール114は、E−DCHリソースの第1のセットからのE−DCHリソースをUE104に割り当てることができる。
前述したように、リソースの割り当てを求める要求は、UEアップリンク・コントロール・モジュール120によって行われる。上述の実施形態によれば、レガシーE−DCHリソースを要求するために、UEアップリンク・コントロール・モジュール120は、ランダム・アクセス手順を実行することになる。ランダム・アクセス手順中に、UE104およびNB102は、データの実際の送信の前にプリアンブル・ステージおよびチャネル取得ステージを経ることができる。UE104がレガシーE−DCHリソースのうちの1つを割り当てられると、UEアップリンク・コントロール・モジュール120は、アップリンク送信を制御することができる。一実施態様においては、UEアップリンク・コントロール・モジュール120は、レガシーE−DCHリソースを介してバースト性データを送信している間は、時分割多重化されているE−DCHリソースを介したデータの送信を停止することができる。しかしながら、別の実施態様においては、UEアップリンク・コントロール・モジュール120は、レガシーおよび時分割多重化されているチャネルの両方を通じて並行して送信を行うことができる。
別の実施形態においては、CQI情報は、E−DCHにおいてデータを絶え間なく送信することなく、HS−DPCCHを通じて送信されることが可能である。当業者には知られているであろうが、E−DCHにおけるデータの送信は、UE104の識別(Id.)を指定する拡張アップリンク専用チャネル無線ネットワーク一時識別子(E−RNTI)を含む。一般に、E−DCHにおけるE−RNTIの送信は、E−DCH完全許可チャネル(E−AGCH)がそのE−AGCH内のUE104のId.とともにUE104によって受信されたときに、UE104によって終了される。したがって、前記実施形態の一実施態様においては、UE104のUEアップリンク・コントロール・モジュール120は、E−AGCHがNB102から受信されると、E−DCHにおけるデータの送信を終了する。NB102は、E−DCHおよび隣のHS−DPCCHの送信を、E−DCHメッセージ内に含まれているE−RNTIに基づいて識別し、ひいてはUE104を一意に識別する。NB102は、この成功した識別を、同じE−RNTIを含むE−AGCHを通じてUE104に通知する。この初期接続手順のメカニズムの後に、UE104は、E−DCH送信を終了すること、およびHS−DPCCHの送信のみを行うことが可能である。NB102は、UE104を成功裏に識別したため、E−DCHにおいて情報を絶え間なく受信することなく、既知の送信サイクル、バースト、および送信オフセットに基づいて、そのUE104からHS−DPCCHを引き続き受信することができる。言い換えれば、UE104がE−AGCHを受信した後には、リソースの消耗を省くためにE−DCHにおけるデータの送信が回避されることが可能である。
さらに本発明の主題の別の実施形態においては、リソースを効率的に利用するために、HS−DPCCHにおける送信は、HSDPAオペレーションに対応するハイ・スピード・ダウンリンク共有チャネル無線ネットワーク一時識別子(HS−DSCH−RNTIまたはH−RNTI)を含むこともできる。前述したように、HS−DPCCHは、CQIのほかに、ハイ・スピード・ダウンリンク共有チャネル(HS−DSCH)を通じて受信されるダウンリンク・パケットに関して送信されるハイブリッド自動再送要求(HARQ)肯定応答を含むこともできる。任意のHS−DSCHの前に送信されるHS−DPCCHにおいて送信されるデータは、HARQ肯定応答を含む必要がないため、HS−DSCHの前に送信されるHS−DPCCH内の10ビットを占めるHARQ肯定応答は、リソースの消耗を防止するために省略されることが可能である。その代わりに、HS−DPCCHにおける送信は、H−RNTIの16ビットを含むことができ、合計30ビットのうちで残された余りのビットは、CQI情報を送信するために使用されることが可能である。
実施に際しては、当技術分野において知られているもの以外の、CQIのための別のコーディングが使用されることが可能である。たとえば、UE104のUEアップリンク・モジュール120は、(20,10)よりもむしろ(10,5)のコーディングを使用することができ、この場合、新たなCQIは、HS−DPCCHにおけるH−RNTIの送信のためにさらに多くのビットを残すために、10ベーシス・シーケンスよりもむしろ5リニア・ベーシス・シーケンスの線形結合のみとなる。
前述したように、HS−DPCCHを通じたCQI情報の送信中には、UE104は、E−DCHにおいてデータを送信することもできる。E−DCHトランスポート・チャネルは、E−DCH専用物理制御チャネル(E−DPCCH)、および少なくとも1つのE−DCH専用物理データ・チャネル(E−DPDCH)から構成されている。E−DPCCHにおける送信は、デコードの目的でE−DPDCHのためのフォーマットに関する情報を含む。E−DCHの目的は、E−RNTIおよび/またはH−RNTIなどのUE Id.を搬送することであるため、本発明の主題の一実施形態においては、UEアップリンク・コントロール・モジュール120は、E−DPDCHのための固定されたフォーマットでデータを送信し、それによって、E−DPCCHの必要性を取り除き、アップリンク送信における負荷を減らす。
本発明の主題の一実施形態においては、UEアップリンク・コントロール・モジュール120は、少なくされたHARQ送信を行い、その一方で、HS−DPCCHのほかには時分割多重化E−DCHリソースにおいてデータを送信しない。E−DCH内にユーザ・データがなく、E−DCHがE−RNTIおよび/またはH−RNTIのみを含んでいる状況においては、HS−DPCCHを搬送(piggy back)することのみのために時分割多重化E−DCHが使用され、HARQ再送信は必要とされない。UE104とNB102との間における無線チャネル状況が良好であるケースにおいては、NB102は常に、E−DCH内に含まれている情報、すなわちE−RNTIを第1のHARQ送信において正しく受信するであろうと想定される。したがって、この送信に関しては、NB102からの肯定応答は必要とされず、UE104は、第1の送信の後にNB102がE−RNTI情報を成功裏に受信したと想定する。言い換えれば、HARQの再送信は必要とされず、HARQ送信の回数を1回にまで少なくすることが可能である。HARQ送信が少なくされるため、極端なケースにおいては、「HARQ送信なし」など、NB102からの肯定応答は必要とされない。したがって、一貫したHS−DPCCH送信の状況においてHARQ送信を少なくすると、ダウンリンクにおいて肯定応答を送信するために使用されていたであろうダウンリンク・リソースが少なくなる。
図2は、3つのUE104、たとえばUE104−1、104−2、および104−3の間において時分割多重化ベースで共有されているE−DCHリソースを示している。このE−DCHリソースは、HS−DPCCH送信の目的で共有されるものとして示されている。3つのUE104−1、104−2、および104−3は、UE1、UE2、およびUE3によって示されている。さらに、それぞれのUE104がリソースを利用するタイム・ピリオドが、図において示されている。図において見られるように、3つのUE104の間において共有されているこのE−DCHリソースは、それらのUE104によって順次共有されており、この場合、はじめにUE1が送信を行い、その後にUE2が続き、次いでUE3が続く。UE3の送信が完了すると、UE1が再び送信を行い、はじめに辿ったサイクルが再び辿られ、この場合、UE2が次に送信を行い、その後にUE3の送信が続く。UE1の最初の送信は、T202−1のタイム・ユニットを割り当てられているということが、図において示されている。同様に、UE2の送信は、T204−1のタイム・ユニットを割り当てられており、UE3の送信は、T206−1のタイム・ユニットを割り当てられている。図から明らかであるように、持続時間T202−1およびT204−1は等しく、その一方でT206−1は、持続時間T202−1およびT204−1の2倍である。別々の持続時間は、NB102によってそれぞれのUEに割り当てられている時間の量を示している。
前述したように、リソースの割り当ての持続時間は、TTIの倍数であることが可能であり、したがって、時間T202−1、T204−1、およびT206−1は、TTI数個分であることが可能である。一実施態様においては、時間T202−1およびT204−1は、2×TTIに等しく、その一方で時間T206−1は、4×TTIに等しい。時間T1に終了するUE1の送信は、NB102が、必要とされている送信パワー・レベルをUE1に示すことを可能にするための最初の1回のDPCCH送信を含む。データの送信に先立つDPCCH送信の詳細については、前に既に説明しており、したがって、簡潔にするために、それらの詳細はここでは省略されている。
図において示されているように、DPCCHを送信すると、UE1は、E−DCHを送信し、その後にHS−DPCCHが続く。CQI情報が、UE1によって送信されるHS−DPCCHの送信において送信される。UE1の送信は、時間T1において終了し、UE2が、自分の送信を開始する。UE1の送信と同様に、UE2も、DPCCHを送信し、その後にE−DCHおよびHS−DPCCHが続く。時間T2において開始するUE2の送信の後にUE3の送信が開始する。UE3が送信を行うタイム・ピリオドは、UE1およびUE2のタイム・ピリオドの2倍であるということがわかるであろう。したがって、別々のUE104は、共有されているE−DCHリソースを介した送信のための別々のタイム・ピリオドを割り当てられることが可能であるということが理解できるであろう。UE1およびUE2と同様に、UE3も、実際のデータの送信の前にDPCCHを送信し、それが図において示されている。それぞれのUEは、データの送信の前の1つのタイム・ピリオドの間にDPCCHを送信することが示されているが、DPCCH送信は、UE104による実際のデータ送信の前のタイム・ピリオド数個分であることも可能であるということが理解されるであろう。
3つのUEすべての第1の送信が完了すると、UE1は、再び送信を開始して、タイム・ピリオドT202−2の間に送信を行う。共有されているリソースを介したデータの送信は、循環する様式で行われるため、タイム・ピリオドT202−2は、タイム・ピリオド202−1と同じである。同様に、UE2が2回目に送信を行うタイム・ピリオド204−2は、タイム・ピリオド204−1と同じであり、タイム・ピリオド206−2は、タイム・ピリオド206−1と同じである。共有されているE−DCHリソースは、時分割多重化ベースで複数のUE104に割り当てられることが可能であり、それぞれのUE104がデータを送信することができるタイム・ピリオドは、UE104ごとに異なることが可能であるということが、図2の説明から理解できるであろう。
さらに、前記実施態様においては、それぞれのUE104に割り当てられている時間は、必ずしもCQI情報の送信のために利用されなくてもよく、むしろUE104は、CQI以外のデータを送信することもできる。説明されている実施形態の別の実施態様においては、UE1は、時分割多重化されているE−DCHリソースを利用するために自分に割り当てられている時間においてCQI情報をまったく送信しないことが可能であり、その代わりに、UE1は、そのタイム・ピリオドを、CQI以外のトラフィックを送信するために利用することができる。また、UE2は、時分割多重化E−DCHリソースを交互のサイクルでのCQI送信の目的で利用することができ、すなわち、第1の割り当てられたタイム・ピリオドの間には、UE2は、CQI情報を送信することができるが、1つのサイクルが完了した後の第2の割り当てられたタイム・ピリオドの間には、UE2は、ユーザ・トラフィックを送信することができる。したがって、時分割多重化されているE−DCHリソースの利用も、UE104ごとに異なることが可能であるということが理解できるであろう。
図3(a)、3(b)、および3(c)の説明は、本発明の主題の一実施形態による、時分割多重化ベースでいくつかのUEの間において共有されているE−DCHリソースを利用する別々の方法を示している。
図3(a)は、時分割多重化されているE−DCHリソースを介して送信を行っている間に2つのUE104の送信の間に導入されるガード時間T302の使用について記載している。E−DCHのアップリンク・リソースが、いくつかのUE104の間において共有されている場合には、そのリソースは、時分割多重化されており、特定のタイム・スロットが、CQI情報を送信するために別々のUE104によってアクセスされる。2つの別々のUE104からの送信は、伝搬および処理の遅延に起因して完全にはそろわない場合がある。したがって、あるUE104の送信は、前のUE104の送信のNB102による受信と衝突する可能性がある。したがって、これらの遅延に対処することができるいくらかの余裕を提供するために、UE104同士の2つのタイム・スロットの間にガード時間T302が提供される。
図2におけるUE1の送信と同様に、UE1は、タイム・ピリオドT304中にデータを送信する。UE1の送信は、時間T1において終了するが、UE2の送信は、時間T1においては開始しない。それどころか、タイム・ピリオドT1〜T1’を有するガード時間T302が導入され、そこでは、どのUE104もデータを送信することを許可されない。UE2の送信の時間は、T1’において始まり、タイム・ピリオドT306にわたって続く。本発明の主題の一実施態様におけるガード時間T304は、TTIの倍数である。しかしながら、別の実施態様においては、TTI未満のガード時間T302が利用されることも可能である。ガード時間T302は、UE1の送信とUE2の送信との間に導入されるだけでなく、UE2の送信とUE3の送信との間にも導入されるということが理解できるであろう。したがって、いくつかのUE104が1つのE−DCHリソースを共有しているケースにおいては、ガード時間T304は、それぞれのUE104の送信の間に導入されることになるということがわかるであろう。
前述の実施形態においては、UE2は、時間T1’において送信を開始し、その送信をT2に完了する。UE2への送信のために割り当てられた時間は、UE1に割り当てられた時間に等しいということが、図から明らかであろう。しかしながら、同じ時分割多重化されているE−DCHリソースに関して、UE3に割り当てられた時間は、UE1およびUE2に割り当てられた時間の2倍である。ガード時間T302のタイム・ピリオドは、すべてのUEの送信どうしの間において等しいものとして示されているが、UE1の送信とUE2の送信との間におけるガード時間T302は、UE2の送信とUE3の送信との間におけるガード時間T302とは異なることが可能であり、したがって、ガード時間T302は、それぞれのUE104の送信の間において一定ではないことが可能であるということを当業者なら理解するであろう。
図3(b)は、本発明の主題の一実施形態による、時分割多重化されているE−DCHリソースを介した送信スキームを示している。UE104のDPCCH送信は、時分割多重化されているE−DCHリソースを共有している別のUEの送信とオーバーラップすることが可能である。そのような送信は、以降ではオーバーラップ・モード送信と呼ばれることが可能である。図によれば、時分割多重化されているE−DCHリソースは、2つのUE、すなわちUE1およびUE2の間において共有されている。UE1は、自分のタイム・ピリオドT302にアクセスしている間に、時間インスタンスT1において送信を終了する。しかしながら、UE2の送信は、時間インスタンスT1においては開始せず、その代わりにUE2は、自分の送信を時間インスタンスT’1において開始する。
図から明らかであるように、時間インスタンスT’1は、T1の前に生じ(すなわちT’1<T1)、したがって、UE2のDPCCHの送信は、UE1のDPCCH送信とオーバーラップしている。タイム・ピリオドT302中に、NB102は、2つのUE104、すなわちUE1およびUE2からのDPCCHデータを、UE1のDPCCHとUE2のDPCCHとの間における区別を行うために受信することになるため、別のチャネライゼーション・コードまたは直交パイロットが、UE104のそれぞれによって利用される。直交パイロットまたは別のチャネライゼーション・コードの使用は、2つのUEの送信の間における明確な区別を可能にし、同じアップリンク・リソースを使用しながら、さらに高い効率を可能にすることができる。これは、E−DCHがさらに効率よくパックされること、およびそれによってさらに高い使用率を提供することを可能にすることができる。
図3(c)は、本発明の主題の一実施形態による、時分割多重化されているE−DCHリソースを介した送信のさらに別のスキームについて記載している。一実施態様においては、UEのうちのいずれかによるE−DCHおよびHS−DPCCHの送信の前には、単独のDPCCHは送信されない。そのような送信を利用する方法は、以降ではコンパクト・モード送信と呼ばれることが可能である。
図において示されているように、UE1の送信は、割り当てられたタイム・ピリオドT308の後に終了する。この割り当てられたタイム・ピリオド中に、UE1は、データの送信の前にDPCCHを送信せず、したがってUE1の送信は、時間インスタンスT1/2において終了する。UE1のための送信のタイム・ピリオドT308は、このケースにおいては半分に短縮されているが、タイム・ピリオドT308の短縮は、常に2分の1でなくてもよく、DPCCHを送信するためにUE104によって使用される時間に制限されるだけでもよい。この送信方法は、UE104の2つの送信の間におけるピリオドが短くて無線リンクの状況が著しく変化しない場合に有用である。そのような状況においては、DPCCHの事前送信は、その後のE−DCHおよびHS−DPCCHの送信に対して著しい価値を加えない場合があり、したがって省略されることが可能である。このような送信スキームを実施することによって、実際のトラフィック送信のためにリソースを完全に利用することができる。
図4は、本発明の主題の一実施形態による、共通E−DCHリソースが時分割多重化されて複数のUEの間において共有されるパターン400を示している。
前に説明したように、共通E−DCHリソースを共有するパターン400は、NB102によって、そのリソースを共有している複数のUE104に提供される。そのパターンにおいて、NB102は、E−DCHリソースのサイクルをUE104に提供する。E−DCHリソースのサイクルは、UEがデータを送信するためにその時分割多重化されているE−DCHリソースにアクセスできるようになる前の持続時間を表すことができる。NB102はまた、それぞれのサイクル中におけるリソースの可用性の持続時間を共有のパターンにおいてUE1に通知する。言い換えれば、NB102は、それぞれのサイクル中に、データを送信するためにUE1によっていくつのタイム・ピリオドが利用されることが可能であるかどうかをUE1に通知する。
さらに、共有のパターンにおいては、NB102はまた、それぞれのサイクルにおけるUE1の送信が開始すべきUE1のオフセットを通知する。これによって、UE1は、自分がデータを送信することができるタイム・ピリオドを正確に識別することができるようになる。
図4に示されている一例においては、E−DCHリソースは、3つのUE、すなわちUE1、UE2、およびUE3の間において多重化されている。これらのUEは、同じE−DCHリソースを共有しているため、それぞれのUEに関する共有のパターンは、他のUEとは異なる。UE1は、8個のフレームのサイクルを有しており、この場合、それぞれのフレームは、1つのタイム・ピリオドと同等であり、UE1のサイクルは、図においてC1によって表されている。同様に、UE2は、図においてC2によって表されている16個のフレームのサイクルを有している。UE3は、UE1およびUE2によって利用されていないタイム・ピリオドにおいて、共有されているE−DCHリソースを介してユーザ・データを送信する。TUE1中のUE1の送信、およびTUE2中のUE2の送信が、図において示されており、NB102によって通知された不連続送信(DTX)サイクルに従っている。NB102は、UE1およびUE2のDTXサイクルに対応するE−DCHリソースのタイム・ピリオドをUE3に割り振っている。UE3は、E−DCHリソースを介してデータを送信するためにUE1およびUE2によって使用されていない無線フレームを使用しており、したがって、結果として得られる時分割多重化されているE−DCHリソースは、効率よく利用されている。明確にするために、それぞれのUEがアップリンクを介してデータを送信する場合のフレームは黒色で示されており、UEがアップリンクを介してデータを送信しない場合のフレームは白色で示されている。前述の実施形態においては、NB102はガード時間T302を実装しておらず、UEはオーバーラッピング送信のスキームに従ってもいない。UE1は、8個のフレームのサイクルを有しており、送信の持続時間は1フレームである。同様に、UE2は、1フレームの持続時間にわたって送信を行うが、16個のフレームのサイクルに従う。示されている状況におけるオフセットは、UE1に関しては0フレームとなり、UE2に関しては1フレームとなるということが理解できるであろう。
繰り返しになるが、それぞれの割り当てられたフレームにおけるUEによる送信中に、アップリンクを介して送信されるデータは、CQI情報を含むことまたは含まないことが可能であり、UEによるアップリンク送信は、CQI以外のユーザ・トラフィックを含むことができるということを当業者なら理解するであろう。また、UEは、説明されている主題の範囲および趣旨から逸脱することなく、オーバーラップ送信、前置きのDPCCHを伴わない送信などを含む説明されている送信方法のうちのいずれを実施することもできるということがわかるであろう。
図5(a)は、本発明の主題の一実施形態による、時分割多重化されているE−DCHリソースをUEに割り当てるための例示的な方法500を示しており、図5(b)は、本発明の主題の別の実施形態による、時分割多重化ベースでいくつかのUEの間において共有されているE−DCHリソース上でのデータ転送のための例示的な方法550を示している。方法500および550が説明されている順序は、限定と解釈されることを意図されているものではなく、方法500および550または代替方法を実施するために、説明されている方法ブロックのうちの任意の数が任意の順序で組み合わされることが可能である。加えて、本明細書において説明されている主題の趣旨および範囲から逸脱することなく、方法500および550から個々のブロックが削除されることが可能である。さらに、方法500および550は、任意の適切なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組合せにおいて実施されることが可能である。
方法500および550のステップは、プログラムされたコンピュータによって実行されることが可能であるということを当業者なら容易に認識するであろう。本明細書においては、いくつかの実施形態はまた、プログラム・ストレージ・デバイス、たとえばデジタル・データ・ストレージ・メディアをカバーするように意図されており、それらのプログラム・ストレージ・デバイスは、マシンまたはコンピュータによって読み取ることができ、マシンによって実行可能なまたはコンピュータによって実行可能な命令のプログラムをエンコードし、前記命令は、説明されている方法500および550のステップのうちのいくつかまたはすべてを実行する。それらのプログラム・ストレージ・デバイスは、たとえば、デジタル・メモリ、磁気ディスクおよび磁気テープなどの磁気ストレージ・メディア、ハード・ドライブ、または光学的に読み取り可能なデジタル・データ・ストレージ・メディアであることが可能である。これらの実施形態はまた、例示的な方法500および550の前記ステップを実行するように構成されている通信ネットワークおよび通信デバイスの両方をカバーするように意図されている。
図5(a)において示されている方法500を参照すると、ブロック502において示されているように、NB102などのノードB(NB)が、E−DCHリソースの割り当てを求めるランダム・アクセス手順(RAP)要求をUE104−1などのユーザ機器(UE)から受信することができる。RAPは、E−DCHリソースの割り当てを求める要求について記述しているプリアンブルを含むことができる。NB102は、RAP要求を識別するように、およびRACHまたはE−DCHなど、要求されているリソースを判定するように構成されているということを当業者なら理解するであろう。
ブロック504において、NB102は、受信されたRAP要求に基づいて、複数のUE104の間において時分割多重化されることになるE−DCHリソースを識別することができる。すべての利用可能な共通E−DCHリソースのうちで、NB102は、それらのリソースを2つのセットへと分けることができ、E−DCHリソースの第1のセットは、バースト性トラフィックに対処する目的で利用されることが可能であり、E−DCHリソースの第2のセットは、時分割多重化ベースで複数のUE104の間において共有されることが可能である。NB102は、複数のUE104の間において共有されることになるリソースの第2のセットから、利用可能なE−DCHリソースを識別することができる。
ブロック506において、NB102は、そのE−DCHリソースを時分割多重化ベースでUE104−1に割り当てる。ブロック504において識別されたE−DCHリソースは、その割り当てられるE−DCHリソースを通じてアップリンクにおいてデータを送信する目的でUE104−1に割り当てられる。その割り当てられたE−DCHリソースは、複数のUEの間において共有され、循環する様式で特定のタイム・ピリオドにわたってUE104にとって利用可能とすることができるということが理解できるであろう。その割り当てられたE−DCHリソースは、循環する様式でUEにとって利用可能となるため、UEは、その割り当てられたE−DCHリソースを、CQI情報の再帰的な一貫した送信のために利用することができる。
ブロック508において、NB102は、その割り当てられたE−DCHリソースに関連付けられているUEに共有のパターンを通知する。そのE−DCHリソースは、複数のUEの間において共有されており、したがって、それぞれのUEは、そのUEによるデータ送信の目的でそのリソースがアクセスされることが可能であるタイム・ピリオドまたは時間インスタンスに関する包括的な詳細を必要とする。この目的で、NBは、UE104などのUEに、そのリソースのサイクルと、それぞれのサイクル中におけるそのリソースの可用性の持続時間と、UE104に関してそれぞれのサイクルにおける送信が開始すべきオフセットとを含むパターンを通知する。したがって、NB102によってUE104に通知されるパターンは、E−DCHが時分割多重化ベースで複数のUEの間において共有されることを可能にする。
図5(b)において示されている方法550を参照すると、ブロック552において、UE104−1などのUEが、E−DCHリソースの割り当てを求めるランダム・アクセス手順(RAP)要求をノードB(NB)に送信する。前述したように、UEは、RAP要求とともに、NBがその要求の性質を評価することを可能にするためのプリアンブルを送信することができる。UEは、RACHリソースを要求するための別のプリアンブルを送信することができ、その一方で、E−DCHリソースを要求するための別のプリアンブルを送信することができる。E−DCHリソースに対応するプリアンブルを受信すると、NB102などのNBは、UE104−1がE−DCHリソースの割り当てを要求していることを識別し、一実施形態によれば、時分割多重化されているE−DCHリソースをUE104−1に割り当てることを選択することができる。
ブロック554において、UEは、NB102によってUE104に割り当てられた時分割多重化されているE−DCHリソースに関連付けられているパターンを受信することができる。NBは、複数のUEの間において時分割多重化されているE−DCHリソースをUE104などのUEに割り当てることができる。したがって、その割り当てられたE−DCHリソースへのアクセスが許可される時間インスタンスを正しく識別するために、UE104は、そのリソースの共有のパターンを受信する。既に説明したように、共有のパターンは、そのリソースのサイクルと、それぞれのサイクル中におけるそのリソースの可用性の持続時間と、それぞれのサイクルにおける送信が開始すべきオフセットとを含むことができ、それに基づいて、UEは、そのリソースが利用可能であって、かつUE104がそのリソース上での送信を許可される正しいタイム・ピリオドを識別することができる。
ブロック556において、UE104は、受信されたパターンに従って、割り当てられたE−DCHリソースを介してデータを送信する。UE104は、アップリンクを介してCQI情報を送信することができる。そのE−DCHリソースは、いくつかのUEの間において時分割多重化されており、それぞれの事前に定義されたサイクルの後にそれぞれのUEにとって利用可能となるため、それらのUEの間において共有されているそのE−DCHリソースは、再帰的な一貫したCQI送信の目的で最良に利用されることが可能である。
いくつかのUEの間においてE−DCHリソースを共有するための実施態様が、構造的な特徴および/または方法に特有の言葉で説明されているが、添付の特許請求の範囲は、それらの説明されている特定の特徴または方法に必ずしも限定されるものではないということを理解されたい。むしろ、それらの特定の特徴および方法は、UMTSにおいてE−DCHリソースを時分割多重化するための例示的な実施態様として開示されている。