JP2014523744A - 多能性幹細胞を得るための細胞抽出物の使用 - Google Patents

多能性幹細胞を得るための細胞抽出物の使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、第1の細胞の少なくとも1つの透過処理された核、または前記核を含む少なくとも1つの透過処理された第1の細胞と;多細胞生物の雌生殖細胞または卵子の抽出物[なお前記卵子は減数分裂の中期IIにおいて遮断されており、前記抽出物はEGTAを含む]と;を含む組成物の、多能性幹細胞または前記多能性幹細胞に由来する組織を得るための方法または人間のクローニングを目的としていないことを条件として、クローニングする方法を実施するための使用に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、多能性幹細胞を得るための、詳細には、分化細胞を再プログラミングするための細胞抽出物の使用に関する。
核移植は、分化した組織から多能性細胞の新たな供給源を得、クローン動物を生産するために使用できる強力な方法である。分化した両生類または哺乳動物の細胞からの核を除核卵子内に移植することによって完全な動物を発生させ得る胞胚または胚盤胞の胚を得ることができ、あるいはこれを用いて広い範囲の組織および細胞型を形成することができる[Gurdonら、(2003)、Proc Natl Acad Sci USA 100 Suppl 1、11819−11822]。多くの疾患のための細胞に基づく療法にとってかなり有望である多能性細胞供給物を送出する潜在的能力のため、核移植は、正常な成体組織から天然の幹細胞を直接単離するという困難な実践に対する魅力的な代替案となっている[McKay,R.(2000)、Stem cells−−hype and hope、Nature 406、361−364]。
近年、異なる再プログラミング戦略を結び合わせてそれらの効率の相乗作用が得られることが示唆されてきた[Gurdon JおよびMurdoch A(2008)、Cell Stem Cell 2:135−138]。細胞抽出物を使用して体細胞を再プログラミングすることによる試みがいくつかなされてきたが、それらは、NT(核移植)によって得られる効果の範囲を再現できていない。
NT実験においては、再プログラミングを誘発するのは、受入卵母細胞の細胞質に対する移植された核の曝露である。卵子は分化全能性にとって不可欠な発生上のおよび後成的な因子の全てを天然に含むことから、核移植によって得られる胚幹細胞は、天然の胚幹細胞により近いものである。しかしながら、これは、哺乳動物の卵母細胞を大量に得ることが困難であることに起因して、インビトロで模倣するのがむずかしい。
しかしながら、その多くの利点にも関わらず、核移植は、初期発生の事象のために分化した成体の核を完全に再プログラミングすることに関与する問題点のため、非効率的である場合が多い。実際、卵子が有する成体ドナー細胞の後成的マークをリセットする能力が、核クローニングの効率にとっての決定要因であることは公知である。したがって、新たに発生を開始できる前にリセットされなければならない分化細胞核の特異的後成的特性を識別すること、そしてこのようなリセット作業をいかに効率良く達成できるかが、主要な生物学的および医学的意義のある課題となっている。
第1世代
核移植の効率を増強できるさまざまな方法が識別されてきた。
例えば両生類においては、クローニング効率は、連続核移植によって実質的に改善される。これは、分化ドナー細胞から除核卵子へと核を移植して、細胞が複数の分裂を起こすことができるようにするステップと、次に第2の核移植実験のためのドナーとして娘核を使用するステップからなる[Gurdon,J.B.(1962)、J Embryol Exp Morphol 10、622−640]。卵子に代わる成熟卵母細胞内への核の注入[DiBerardino,M.A.、およびHoffner,N.J.(1983)、Science 219、862−864]は、成熟卵母細胞の構成要素により、注入された核が活性化された卵子内のDNA合成誘発因子に対し応答できるようになるかもしれないという仮説を導いた[Leonardら、(1982)、Dev Biol 92、343−355]。クローニング実験の効率の低さに寄与すると考えられる1つの要因は、分化した成体核の染色体構成のDNA複製に対する適応性が低いのかもしれないということにある。
動物クローニングは、動物の種の保存、クローン動物によるタンパク質、例えば治療用タンパク質の生産から、詳細には自己移植に有用である幹細胞を得るための治療用クローニングに至るまで、さまざまな分野における重要な課題である。
しかしながら、現在のクローニング技術の効率は、大規模利用分野を企図するために改善される必要がある。
先行技術の欠陥は、部分的にしか解決されていない。
国際公開第2007/039258号は、細胞を再プログラミングまたはクローニングするためのプロセスを実施する目的で、染色体を再構成するための細胞抽出物の使用について開示している。この出願の目的は、本質的に、染色体を再プログラミングすることにある。したがって、この出願書は、分化細胞の完全な脱分化に関する問題を部分的にしか解決しない。
したがって、NT技術を改善する必要があった。
第2世代
より近年では、クローニング効率および分化細胞の再プログラミング方法の効率を増強するために、他のアプローチが行われてきた。
例えば、欧州特許出願第1970446号明細書は、4つの転写因子、すなわちOct4、Klf4、Sox2およびc−Myc(OKSM)の異所性発現による体細胞内での多能性の誘発について開示している。この出願書は、以上の4つの因子が、胚幹(ES)細胞に極めて類似する人工多能性幹(iPS)細胞を提供し得ることを立証している。
とりわけ、マウスのiPS細胞は、奇形腫を形成し、キメラを発生させ、生殖細胞系列に寄与するその能力が実証しているように、完全な発生能を有する。しかしながら、iPS細胞の生産および核移植(NT)の両方の効率は、低いままであり、得られる再プログラミングされた細胞の大部分は、部分的にしか再プログラミングされないように思われる。
したがって、これらを改善するためにさらなる要因が必要とされるかもしれず[Feng Bら(2009)、Cell Stem Cell 4:301−312;Huangfu Dら(2008)、Nat Biotechnol 26:795−797]、過去何年にもわたりこれらの手順を最適化するために多くの努力がなされてきた。
最近の精査[Laiら、(2011)、J.Assist Reprod Genet、March 9,2011]では、最初の開示(欧州特許第1970446号明細書を参照のこと)以降のiPS技術の改良が要約されており、今日までのところ、特に効率に関して、多くの課題を克服する必要があるという結論が下されている。
したがって、当該技術分野において開示された方法の欠陥を回避するために、iPS技術の改善を提供する必要性が存在する。
本発明の目的は、このような欠陥を克服することにある。
本発明の1つの特定の目的は、分化細胞の脱分化の効率を増大させる新しい方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、前記方法を実施する組成物を提供することにある。
本発明の別の目的は、同様に、多細胞生物の多能性または分化全能性幹細胞を得るための方法を提供することにもある。
本発明は、
・ 第1の細胞の少なくとも1つの透過処理された核、または前記核を含む少なくとも1つの透過処理された第1の細胞[なお前記第1の細胞は、多細胞生物に由来する人工多能性幹細胞、すなわちiPS細胞である]と;
・ 多細胞生物の雌生殖細胞または卵子の単離された抽出物[なお前記卵子は減数分裂の中期IIにおいて遮断されており、前記抽出物はEGTAを含む]と;
を含む組成物の、
− 多能性幹細胞または前記多能性幹細胞に由来する組織を得るための方法、または
− 詳細には前記プロセスが人間のクローニングを目的としていないことを条件とする、クローニングする方法、
を実施するための使用に関する。
本発明は、多細胞細胞の卵子の細胞抽出物と分化細胞の脱分化を可能にする遺伝子の組合せが相乗的に作用して細胞の再プログラミングすなわち分化細胞の細胞脱分化を著しく増強し、ひいては先行技術の技法によって得られる核移植およびクローニング、すなわちiPSおよび核抽出物を増強するという発明者らがなした予想外の観察事実に基づくものである。
「生殖細胞」という表現は、配偶子を形成する可能性のある細胞を意味する。
「雌生殖細胞」という表現は、「卵子」とも呼ばれ、卵形成の任意の段階における細胞、詳細には始原生殖細胞、卵原細胞および卵母細胞に関するものである。
生殖細胞抽出物は、第2減数分裂の中期段階で停止させられた卵子から作られる。
「雌生殖細胞または卵子の抽出物」は、Menutら[Menutら、(1999)、「Advances in Molecular Biology:A comparativeMethods Approach to the Study of Ooocytes and Embryos」、ed Richter JD(OxfordUniversity Press)、pp196−226、2001]中に記載されているプロセスを実施することによって得られる細胞抽出物(CSF抽出物と呼ばれる)である。
上述の抽出物は、「単離されている」、すなわち前記抽出物はインビトロで得られる。この抽出物はこうして、細胞または細胞の一部分、例えば当該技術分野において公知であるスフェロプラストまたはリポソームとは全く異なるものである。
抽出物は、実施例1に開示されている通りに調製される。
抽出物における絶対必要条件の1つは、減数分裂の中期IIに抽出物を維持することを可能にするカルシウムキレート剤であるEGTAの存在である。実際、当該技術分野において、卵子は、精子と接触した後、カルシウムが細胞内に入った時点で活性化され、中期IIから退出することが周知である。
拡大解釈すると、電気ショック、針接触または卵子の原形質膜を修飾するあらゆる動作が、卵子内にカルシウム流出を誘発し、こうして、活性化された中期II停止卵子となった卵子、すなわち間期卵子を「ロック解除」する。
本発明においては、雌生殖細胞の単離抽出物または卵子の単離抽出物が、その調製およびその使用中、中期状態に保たれることが必須である。
雌生殖細胞の単離抽出物または卵子の単離抽出物が中期に遮断されている、EGTAにより誘発された脆い状態を制御することが必要である。本発明においては、中期における単離抽出物の遮断は安定した状態に維持される。すなわち、多細胞生物の雌生殖細胞または卵子の抽出物を得るために使用される卵子は、減数分裂の中期IIにおいて安定した形で遮断される。
中期における単離抽出物の遮断の安定性は、異なる方法で判定される。抽出物の中期段階は、クロマチンの構造、セリン10上のヒストンH3のリン酸化反応によって検査可能である。その上、抽出物の中期安定性は、中期で遮断された抽出物が、カルシウム添加により予め活性化されている場合にのみ精子クロマチンを効率良く複製できることから、DNA合成から追跡可能である。追跡DNA合成の試験は、当該技術分野において周知の技術、例えば[32P]αdCTP取込みの測定(図12)によって達成される。
以上および以下では、雌生殖細胞抽出物は、脊椎動物の有糸分裂非ヒト初期胚によって置換され得る。前記脊椎動物の有糸分裂非ヒト初期胚は、Lemaitreら[Lemaitreら、(2005)、Cell 123:1−15]中に記載のプロセスによって得られるかもしれない。
「多細胞生物(pluricellular organismまたはmulti cellular orgnis)」という表現は、複数の細胞で構成された生物を意味している。前記多細胞(multi cellularまたはpluricellular)生物においては、類似の細胞が通常、組成内で凝集し、異なる組織の特異的配置が器官を形成する。
本発明において、一般にiPS細胞またはiPSCsと省略されている「人工多能性細胞」は、特異的遺伝子の「強制的」発現を誘発することによって非多能性細胞、典型的には成体体細胞から人工的に誘導されるタイプの多能性幹細胞を意味する。
人工多能性幹細胞(iPS細胞)は、一部の幹細胞遺伝子およびタンパク質の発現、クロマチンメチル化パターン、倍加時間、胚様体形成、奇形腫形成、生存キメラ形成、および効能および分化可能性などの多くの面において、天然の多能性幹細胞、例えば胚幹(ES)細胞と類似しているが、天然多能性幹細胞に対するそれらの関与の全容は、いまだ評価の途上にある。
発明者らによりなされた予想外の考察の1つは、非相同抽出物がiPS誘発遺伝子と相乗作用を示して分化細胞を脱分化し得るということである。換言すると、アフリカツメガエル抽出物は、iPS誘発遺伝子と共に、アフリカツメガエルと異なる多細胞生物に由来する分化細胞を脱分化するように作用することができる。
以上を準用して、マウスの卵子抽出物は、iPS誘発遺伝子と相乗作用を示して、例えばアフリカツメガエル分化細胞を脱分化することができると考えられる。
全ての組合せが可能であり、当業者であれば、過度の負担なく、本発明に係る方法を実施するのに自らにとってより容易である抽出物を、容易に選択できるものと考えられる。
幹細胞は、分裂能力を保ち他の細胞型へと分化できる原始未分化細胞である。分化全能性幹細胞は、胚細胞型および胚体外細胞型へと分化できる。多能性幹細胞は分化全能性細胞に由来し、3つの胚葉、すなわち中胚葉、外胚葉および内胚葉の誘導体である後代を発生させることができる。
体細胞は、卵母細胞および精子以外の任意の細胞である。
「分化体細胞」は、特定の機能を専門とし、他の種類の細胞を発生させる能力またはより低い分化状態に戻る能力を維持しない体細胞である。
分化体細胞は、詳細には生物のあらゆる種類の組織、例えば皮膚、腸、肝臓、血液、筋肉などに由来してよい。
細胞内への雌生殖細胞抽出物の進入を改善するため、細胞膜は透過処理される。細胞膜の透過処理は、当該技術分野において周知の技術、例えば化学的作用物質または穏やかな洗浄剤、例えばジギトニン、Nonidet(商標)P40(4−ノニルフェニル−ポリエチレングリコール;NP40)、Triton(登録商標)X100(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル−ポリエチレングリコール、t−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、ポリエチレングリコールtert−オクチルフェニルエーテル)、デオキシコール酸ナトリウム(DOC)、Triton(登録商標)N101(ポリオキシエチレン分岐ノニルシクロヘキシルエーテル)、Brij(登録商標)96(ポリオキシエチレン10オレオイルエーテル)、または細胞膜内に小孔を作ることのできる酸素、例えばリゾレシチンの使用によって、あるいは例えばピペット操作など、細胞膜を少なくとも部分的に開放できる機械的プロセスを介して、達成される。
好ましくは、第1の細胞の核または前記核を含む第1の細胞が、軽く透過処理される。
「軽い透過処理」は、例えば、低濃度の洗浄剤、例えばNP40、Triton(登録商標)X100、DOC、Triton(登録商標)N101、Brij(登録商標)96、リゾレシチン、ジギトニンを使用することによって得られる。
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記iPS細胞が、Klfファミリー成員タンパク質、Mycファミリー成員タンパク質、Nanog成員タンパク質およびLIN28成員の中から選択された少なくとも1つの他の因子と共に、少なくともOctファミリー成員タンパク質およびSoxファミリー成員タンパク質を分化体細胞内で発現させることを可能にすることによって得られる、以上で定義した使用に関する。
1つの有利な実施形態においては、本発明は、前記iPS細胞が、Klfファミリー成員タンパク質、Mycファミリー成員タンパク質、Nanog成員タンパク質およびLIN28成員の中から選択された少なくとも1つの他の因子と共に、少なくともOctファミリー成員タンパク質およびSoxファミリー成員タンパク質をコードする遺伝子を用いて分化体細胞をトランスフェクトすることによって得られる、以上で定義した使用に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記iPS細胞が、
− Klfファミリー成員タンパク質およびMycファミリー成員タンパク質、
− またはNanog成員タンパク質およびLIN28成員のいずれか、
と共に、少なくともOctファミリー成員タンパク質およびSoxファミリー成員タンパク質を分化体細胞内で発現させることを可能にすることによって得られる、以上で定義した使用に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記iPS細胞が、
− Klfファミリー成員タンパク質およびMycファミリー成員タンパク質、
− またはNanog成員タンパク質およびLIN28成員のいずれか、
と共に、
少なくともOctファミリー成員タンパク質およびSoxファミリー成員タンパク質をコードする遺伝子を用いて分化体細胞をトランスフェクトすることによって得られる、以上で定義した使用に関する。
1つの別の有利な実施形態において、本発明は、前記Octファミリー成員タンパク質がOct3かOct4タンパク質のいずれかである、以上で定義した使用に関する。
1つの別の有利な実施形態において、本発明は、前記Soxファミリー成員タンパク質がSox2タンパク質である、以上で定義した使用に関する。
1つの別の有利な実施形態において、本発明は、前記iPS細胞が、Klfファミリー成員タンパク質、Mycファミリー成員タンパク質、Nanog成員タンパク質およびLIN28ファミリー成員タンパク質の中から選択された少なくとも1つの他の因子と共に、少なくともOct4タンパク質およびSox2タンパク質を分化体細胞内で発現させることを可能にすることによって得られる、以上で定義した使用に関する。
1つの有利な実施形態においては、本発明は、前記iPS細胞が、Klfファミリー成員タンパク質、Mycファミリー成員タンパク質、Nanog成員タンパク質およびLIN28ファミリー成員タンパク質の中から選択された少なくとも1つの他の因子と共に、少なくともOct4タンパク質およびSox2タンパク質をコードする遺伝子を用いて分化体細胞をトランスフェクトすることによって得られる、以上で定義した使用に関する。
発明者らは、以上で言及した抽出物と組合せた形での、
− Oct4、Sox2およびKlfファミリー成員タンパク質、
− Oct4、Sox2およびMycファミリー成員タンパク質
− Oct4、Sox2およびNanog成員タンパク質、および
− Oct4、Sox2およびLIN28ファミリー成員タンパク質、
という遺伝子の最小限の組合せが、遺伝子のみあるいは抽出物のみの場合に比べて核移植およびクローニングを増強できることを実証した。
1つの別の有利な実施形態において、本発明は、前記Klfファミリー成員タンパク質がKlf4タンパク質である、以上で定義した使用に関する。
1つの別の有利な実施形態において、本発明は、前記Mycファミリー成員タンパク質がc−Mycタンパク質である、以上で定義した使用に関する。
さらに別の有利な実施形態において、本発明は、前記iPS細胞が、
− Oct4、Sox2、Klf4およびc−Mycタンパク質の第1の組成物、
− またはOct4、Sox2、NanogおよびLIN28タンパク質の第2の組成物のいずれかと、
分化体細胞とを接触させることによって得られる、以上で定義した使用に関する。
遺伝子の上述の組合せが、好ましい組合せである。
本発明は、別の有利な実施形態において、前記抽出物が実質的にいかなる細胞質膜も有していない、以上で定義した使用に関する。
核を抽出した卵子の断片化(超音波処理、機械的断片化など)からなる他のクローニング技術とは異なり、本発明に係る抽出物にはいかなる細胞質膜も無い。ただし、抽出物は、機能性核を再構成するために使用可能な核膜前躯体(核エンベロープ膜を含む小胞)を含む場合がある。
さらに別の有利な実施形態においては、本発明は、前記抽出物が、0.1mM−10mM、好ましくは0.5mM−6mM、より好ましくは1mM−4mM、詳細には1−2mMの濃度でEGTAを含む、以上で定義した使用に関する。
1つの実施形態において、本発明は、前記雌生殖細胞の単離抽出物または卵子の単離抽出物が非ヒト細胞である以上で定義した使用に関する。
本発明は同様に、
・ 第1の細胞の少なくとも1つの透過処理された核、または前記核を含む少なくとも1つの透過処理された第1の細胞[なお、前記第1の細胞は多細胞生物に由来し、前記第1の細胞は人工多能性幹細胞すなわちiPS細胞である]と;
・ 多細胞生物の雌生殖細胞または卵子の、場合によって単離された抽出物[なお前記卵子は減数分裂の中期IIにおいて遮断されており、前記抽出物はEGTAを含む]と;
を含む組成物にも関する。
核は、低張緩衝液中でのインキュベーションによる細胞破砕、ダウンス型ホモジナイザーまたはポッター型ホモジナイザーあるいはスクロース、グリセロールまたは類似の安定化剤を含む等張緩衝液の使用および、細胞膜を開放または分断することのできるポッター型ホモジナイザーまたはダウンス型ホモジナイザーの使用など、当該技術分野において周知の技術により、細胞から抽出され得る。
核は、直接使用されるか、またはその無欠性を維持する特定の条件下、例えば−20℃、−80℃の温度下または液体窒素中など、卵母細胞または初期胚を保管するのに使用することが公知である条件下で保管される。
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記iPSが、少なくとも、
− Octファミリー、
ー成員タンパク質およびSoxファミリー成員タンパク質、および
− Klfファミリー成員タンパク質およびMycファミリー成員タンパク質か、
− あるいはNanog成員タンパク質およびLIN28成員のいずれか、
と分化体細胞を接触させることによって得られる、以上で定義した組成物に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、
・ 第1の細胞の少なくとも1つの透過処理された核、または前記核を含む少なくとも1つの透過処理された第1の細胞[なお、前記第1の細胞は多細胞生物に由来し、前記第1の細胞は人工多能性幹細胞すなわちiPS細胞であり、前記iPSは、少なくとも
− Octファミリー成員タンパク質およびSoxファミリー成員タンパク質、ならびに
− Klfファミリー成員タンパク質およびMycファミリー成員タンパク質か、
− あるいはNanog成員タンパク質およびLIN28成員のいずれか、
をコードする遺伝子の組合せを発現する]と;
・ 多細胞生物の雌生殖細胞または卵子の単離抽出物[なお前記卵子は減数分裂の中期IIにおいて遮断されており、前記抽出物はEGTAを含む]と;
を含む、以上で定義した組成物に関する。
1つの別の有利な実施形態において、本発明は、前記Octファミリー成員タンパク質がOct3またはOct4タンパク質である、以上で定義した組成物に関する。
1つの別の有利な実施形態において、本発明は、前記Soxファミリー成員タンパク質がSox2タンパク質である、以上で定義した組成物に関する。
1つの別の有利な実施形態において、本発明は、前記Klfファミリー成員タンパク質がKlf4タンパク質である、以上で定義した組成物に関する。
1つの別の有利な実施形態において、本発明は、前記Mycファミリー成員タンパク質がc−Mycタンパク質である、以上で定義した組成物に関する。
さらに別の有利な実施形態において、本発明は、4つのタンパク質、Oct4、Sox2、Klf4およびc−Mycタンパク質、または4つのタンパク質、Oct4、Sox2、NanogおよびLIN28タンパク質と分化体細胞とを接触させることによって前記iPS細胞が得られる、以上で定義した組成物に関する。
1つの別の有利な実施形態においては、本発明は、4つのタンパク質、Oct4、Sox2、Klf4およびc−Mycタンパク質または4つのタンパク質、Oct4、Sox2、NanogおよびLIN28タンパク質をコードする遺伝子で分化体細胞をトランスフェクトすることによって前記iPS細胞が得られる、以上で定義した組成物に関する。
前記4種のタンパク質の両方共、本発明中に定義されている抽出物と共に使用された場合のその相乗作用に関して、類似の効果を有する。
本発明は、別の有利な実施形態において、前記抽出物が実質的にいかなる脂質膜も有していない、以上で定義した組成物に関する。
さらに別の有利な実施形態において、本発明は、前記抽出物が、0.1mM−10mM、好ましくは0.5mM−6mM、より好ましくは1mM−4mM、詳細には1−2mMの濃度でEGTAを含んでいる、以上で定義した組成物に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記雌生殖細胞が、好ましくは哺乳動物、詳細にはヒト、鳥類、爬虫類および両生類から選択される脊椎動物の雌生殖細胞である、以上で定義した組成物に関する。
上述の脊椎動物から卵子または雌生殖細胞を得るための技術は、当該技術分野において周知の現行の獣医学的技術である。
1つの別の有利な実施形態において、本発明は、前記雌生殖細胞がアフリカツメガエル細胞である、以上で定義した組成物に関する。
アフリカツメガエルの卵子は、Menutら(1999年)で開示されている通りに得られる。
1つの実施形態において、本発明は、前記雌生殖細胞の単離抽出物または卵子の単離抽出物が非ヒト細胞である以上で定義した組成物に関する。
本発明は同様に、第1の細胞の少なくとも1つの透過処理された核または前記核を含む少なくとも1つの透過処理された第1の細胞[なお、前記第1の細胞は多細胞生物に由来し、前記第1の細胞は、人工多能性幹細胞すなわちiPS細胞である]と、多細胞生物の雌生殖細胞または卵子の(単離)抽出物[なお前記卵子は減数分裂の中期IIにおいて遮断されており、前記抽出物はEGTAを含む]とを接触させるステップを含む、多能性幹細胞の生産方法にも関する。
本発明は同様に、場合によっては人間をクローニングするためのプロセスでないことを条件として、第1の細胞の少なくとも1つの透過処理された核または前記核を含む少なくとも1つの透過処理された第1の細胞[なお、前記第1の細胞は多細胞生物に由来し、前記第1の細胞は、人工多能性幹細胞すなわちiPS細胞である]と、多細胞生物の雌生殖細胞または卵子の抽出物[なお前記卵子は減数分裂の中期IIにおいて遮断されており、前記抽出物はEGTAを含む]とを接触させるステップを含む、多能性幹細胞の生産方法にも関する。
「接触させる」という用語は、細胞、または核および雌生殖細胞が、好適な条件下で共に存在し、こうして、雌生殖細胞抽出物内に含まれた分子が前記細胞または核内へ拡散できるようにしていることを意味する。接触は、好ましくは、優先的に20℃−23℃の温度で、好ましくは少なくとも10分間、より好ましくは少なくとも20分間、より好ましくは少なくとも30分間実施される。
上述の方法によると、分化細胞の透過処理された核または透過処理された分化細胞は、多細胞生物の雌生殖細胞または卵子の抽出物との接触後[前記卵子は減数分裂の中期IIにおいて遮断されている]、多能性幹細胞の全ての特徴を有するか、獲得するかまたは再度獲得する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記iPSが、少なくとも
− Octファミリー成員タンパク質およびSoxファミリー成員タンパク質、および
− Klfファミリー成員タンパク質およびMycファミリー成員タンパク質か、
− あるいはNanogファミリー成員タンパク質およびLIN28ファミリー成員タンパク質のいずれか、
と分化体細胞を接触させることによって得られる、以上で定義した方法に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記iPSが、少なくとも、
− Octファミリー成員タンパク質およびSoxファミリー成員タンパク質、および
− Klfファミリー成員タンパク質およびMycファミリー成員タンパク質か、
− あるいはNanogファミリー成員タンパク質およびLIN28ファミリー成員タンパク質のいずれか、
をコードする遺伝子を用いて分化体細胞をトランスフェクトすることによって得られる、以上で定義した方法に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記Octファミリー成員タンパク質がOct3またはOct4タンパク質である、以上で定義した方法に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記Soxファミリー成員タンパク質がSox2タンパク質である、以上で定義した方法に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記Klfファミリー成員タンパク質がKlf4タンパク質である、以上で定義した方法に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記Mycファミリー成員タンパク質がc−Mycタンパク質である、以上で定義した方法に関する。
こうして、透過処理された細胞の場合、細胞が適切な培地、好ましくはES細胞の維持のために使用される培地の中で維持されるならば、前記細胞は、抽出物との接触および上述の遺伝子すなわちOct4、Sox2、Klf4およびc−Mycタンパク質またはOct4、Sox2、NanogおよびLIN28タンパク質の再発現の後、ES細胞と比べて類似の特徴を内包することになる。
1つの有利な実施形態において、本発明は、
・ Oct4、Sox2、Klf4およびc−Mycタンパク質の第1の組合せか、
・ あるいはOct4、Sox2、NanogおよびLIN28タンパク質の第2の組合せのいずれか、
を少なくともコードする遺伝子で分化した体細胞をトランスフェクトする第1のステップにおいて、第1の組合せまたは第2の組合せがそれぞれ、Oct4、Sox2、Klf4およびc−Mycタンパク質またはOct4、Sox2、NanogおよびLIN28タンパク質をコードする核酸を少なくとも含む、以上で定義した方法に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、
−・ Oct4、Sox2、Klf4およびc−Mycタンパク質の第1の組成物か、
・ あるいはOct4、Sox2、NanogおよびLIN28タンパク質の第2の組成物のいずれか、
と分化した体細胞を接触させて、iPS細胞である第1の細胞を得るステップと;
− 先行するステップで得た前記第1の細胞を透過処理して、透過処理されたiPS細胞を得るステップと;
− 多細胞生物の雌生殖細胞または卵子の(単離された)抽出物と前記透過処理されたiPSとを接触させるステップ[なお前記卵子は減数分裂の中期IIにおいて遮断され、前記抽出物はEGTAを含む]と;
を含む、以上で定義した方法に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、
−・ Oct4、Sox2、Klf4およびc−Mycタンパク質の第1の組合せか、
・ あるいはOct4、Sox2、NanogおよびLIN28タンパク質の第2の組合せのいずれか、
をコードする遺伝子で分化した体細胞をトランスフェクトして、iPS細胞である第1の細胞を得るステップと;
− 先行するステップで得た前記第1の細胞を透過処理して、透過処理されたiPS細胞を得るステップと;
− 多細胞生物の雌生殖細胞または卵子の単離抽出物と前記透過処理されたiPSとを接触させるステップ[なお前記卵子は減数分裂の中期IIにおいて遮断され、前記抽出物はEGTAを含む]と;
を含む、以上で定義した方法に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記雌生殖細胞が、好ましくは哺乳動物、詳細にはヒト、鳥類、爬虫類および両生類の中から選択される脊椎動物の雌生殖細胞であり、好ましくは前記生殖細胞がアフリカツメガエル細胞である、以上で定義した方法に関する。
1つの実施形態において、本発明は、前記雌生殖細胞の単離抽出物または前記卵子の単離抽出物が非ヒト細胞である、以上で定義した方法に関する。
本発明は同様に、先に定義した方法にしたがったプロセスにより得られる傾向にある多能性幹細胞にも関する。
発明者らは、本発明に係るプロセスによって得られる細胞が、天然の幹細胞のパターンとは異なる後成的パターンを内包することを実証した。
1つの有利な実施形態において、本発明は、
・ Oct4、Sox2、Klf4およびc−Mycタンパク質の第1の組成物か、
・ あるいはOct4、Sox2、NanogおよびLIN28タンパク質の第2の組成物のいずれか、
と分化した体細胞とを接触させるステップにおいて、第1の組成物または第2の組成物がそれぞれ、Oct4、Sox2、Klf4およびc−Mycタンパク質またはOct4、Sox2、NanogおよびLIN28タンパク質をコードする核酸を少なくとも含む、以上で定義した方法に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、Oct4、Sox2、Klf4およびc−Mycタンパク質またはOct4、Sox2、NanogおよびLIN28タンパク質をコードする前記少なくとも1つの核酸が、少なくとも1つのウイルスベクター、好ましくは少なくとも1つのレトロウイルスベクター、詳細には少なくとも1つの組込み型レトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターの中に含まれている、以上で定義した方法に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記少なくとも1つの組込み型レトロウイルスベクターが、前記分化体細胞のゲノム内に組込まれる、以上で定義した方法に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記多能性幹細胞の多能性の維持を可能にする培地内で先行ステップにおいて得られた細胞を培養するステップをさらに含む、以上で定義した方法に関する。
「前記多能性幹細胞の多能性の維持を可能にする培地」は、未分化細胞の細胞分裂を可能にする滋養物、成長因子、ホルモンなどを含む培地である。
例えば、ES細胞は、有糸分裂で不活性化された初代マウス胎児線維芽細胞のフィーダー細胞層でコーティングされた皿の中で、使用前に、
− 15%(v/v)のFCS(牛の新生児由来の血清、液体、ES培地について試験済み、アリコートを−20℃で保管)、
− 溶解状態で10日間のみ安定な、1/100(v/v)のL−グルタミン(200mM:Gibco 25030−024、アリコートを−20℃で保管)、
− 1/100(v/v)の可欠アミノ酸(Gibco 11140−035、アリコートを冷蔵庫で保管)、
− 1/100(v/v)のペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco 15140−122、アリコートを−20℃で保管)、
− 1/500(v/v)の2−メルカプトエタノール(Gibco 31350−010、最終濃度0.1mM、アリコートを冷蔵庫内で保管)、
− 1/10,000(v/v)のLIF(白血病抑制因子(Chemicon製「ESGRO」、No.ESG1107、最終濃度1000U/ml以下(それぞれの細胞株の特性による)、10%(v/v)ほどの血清と共にDMEM中で1/100希釈液を作り、さらに1/100だけ希釈して常用濃度を達成する。−20℃で保管)、
で補足されたDMEM(高グルコース、Gibco 41966−052、冷蔵庫で保管)最少培地中において、37℃/CO2、50%/湿度95%で成長させられる。
当業者であれば、上述のプロトコルを容易に適応させることができる。
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記抽出物が実質的にいかなる原形質膜も有していない、以上で定義した方法に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記抽出物が、0.1mM−10mM、好ましくは0.5mM−6mM、より好ましくは1mM−4mM、詳細には1−2mMの濃度でEGTAを含む、以上で定義した方法に関する。
本発明は同様に、
− 先行する定義に係る方法において定義されている多能性幹細胞の生産ステップと;
− 前記多能性幹細胞が由来する種と同じ種の動物の除核卵子内に前記多能性幹細胞の核を移植して、アロ有核卵子を得るステップと;
− 前記多能性幹細胞が由来する種と同じ種の偽妊娠雌内に前記アロ有核卵子を移植するステップと;
を含む、動物、好ましくは哺乳動物をクローニングするための方法にも関する。
この有利な実施形態において、本発明に係る動物のクローニング方法は、以下の通りである:
− 以上で言及した通り遺伝子を発現することにより分化細胞を脱分化する、
− 前記細胞の核を抽出し、わずかに透過処理し、多細胞生物の雌生殖細胞または卵子の単離抽出物に対して曝露する[前記卵子は減数分裂の中期IIにおいて遮断されており、前記抽出物はEGTAを含む]、
− 次に、任意には核をPBSで洗浄する、
− 核を除核卵子内に移植する。
除核卵子は、当該技術分野において周知の技術により卵子の核を除核することによって得られる。こうして、本発明に係る抽出物によって処理された核は前記除核卵子内にマイクロインジェクションされる。好ましくは、本発明によって処理された核は、同じ種の除核卵子内にマイクロインジェクションされる。例えば、マウスの核は、マウスの除核卵子中に注入される。新たに得た有核卵子は、このときアロ有核卵子と呼ばれる。
しかしながら、完全に異なるものではない異なる種の除核卵子の中に核をマイクロインジェクションすることができる。例えばマウスの核がラットの除核卵子に注入され、また逆の場合もある。新たに得られた有核卵子はこのとき、ヘテロ有核卵子と呼ばれる。
− 新たに得た有核卵子(ヘテロまたはアロ有核卵子)はこうして、除核卵子が由来する種と同じ種の偽妊娠雌の子宮内に移植される。
したがって、除核卵子がマウスから得られる場合、偽妊娠雌はマウスである。除核卵子がラットから得られる場合、偽妊娠雌はラットとなる。
前記偽妊娠雌から得た後代はその後、本発明によって処理された核が提供された動物のクローンとなる。
本発明は同様に、好ましくは人間をクローニングするためのプロセスではないことを条件として、
− 以上で定義した方法において定義されている多能性幹細胞の生産ステップと;
− 前記多能性幹細胞が由来する種と同じ種の動物の除核卵子内に前記多能性幹細胞の核を移植して、アロ有核卵子を得るステップと;
を含む、動物、好ましくは哺乳動物をクローニングするための方法にも関する。
本発明は同様に、先に定義した方法に係るプロセスにより得られる傾向をもつ動物にも関する。
本発明に関して、「クローニング」という用語は、ドナー細胞の核から動物全体あるいは前記動物の胚を得ることを意味する。
ドナー細胞の核は、細胞周期のS期をひき起こして初期胚発生の最初の分裂を開始させるように活性化され得る。活性化は、当該技術分野において周知の技術により達成され得る。
卵子抽出物は、詳細には例えばリン酸緩衝食塩水(PBS)中での数回の洗浄など、前記核を含む核または細胞を洗浄することによって、部分的または完全に除去され得る。
核は、マイクロインジェクションなどの当該技術分野において周知の技術によって、除核卵子内に導入される。
各々の除核卵子について、1つの核または1つのドナー細胞が導入される。
除核卵子は優先的に核と同じ種に由来する。除核卵子は当該技術分野において周知の技術により得られる。
このとき核を含む除核卵子を雌の種畜の体内に移植してその初期胚発生、胚発生および胎児発生を行なわせる。
1つの生物の異なる組織に由来する細胞は、詳細には、任意の種類の組織、例えば皮膚、腸、肝臓、血液、筋肉などに由来する細胞の中から選択される。
本発明は同様に、所望の分化段階で、多細胞生物、詳細には脊椎動物の細胞、細胞株または組織を得るための方法において、
− 以上で定義した方法において定義されている多能性幹細胞の生産ステップと;
− 所望の分化段階で細胞、細胞株または組織を得るための適切な条件下で、多能性幹細胞を培養するステップと;
を含む方法にも関する。
結果として得られた多能性または分化全能性の幹細胞は、前記細胞を未分化状態で維持するための適切な条件下で培養され得る。
当業者であれば、自らの一般的知識から、特定のタイプの細胞に向かう特異的分化を達成して好ましくはインビトロで異なる段階にある細胞または器官を得るために好ましい成長因子、ホルモン、培地および刺激などが何であるかを認識している。
本発明は同様に、先に定義した方法に係るプロセスによって得られる傾向にある、所望の分化段階にある多細胞生物、詳細には脊椎動物の細胞株または組織にも関する。
M期のアフリカツメガエル卵子抽出物が、哺乳動物の繊維芽細胞からの核移植およびiPS細胞生産の効率を改善することを示す。 M期アフリカツメガエル卵子抽出物(M期)に曝露されたMEFを用いた核移植実験の概略的表示である。 MEF(白の四角)、M期のアフリカツメガエル卵子抽出物に曝露されたMEF(M−抽出物;黒の四角)および間期のアフリカツメガエル卵子抽出物に曝露されたMEF(I−抽出物;黒丸)の核移植の結果として得られ、2個の細胞−胚数に正規化された2個の細胞(A)、4−8個の細胞(B)、桑実胚(C)および(胚盤胞)の百分率を表わすグラフである。対照として、ES細胞が表わされている(黒の菱形)。 Oct4/Klf4/Sox2/c−Myc(OKSM)の異所性発現とそれに続くM期アフリカツメガエル卵子抽出物に対する曝露[あるいはこの曝露無し(モック)]による、OCT4−GFP陽性MEFからのiPS細胞の生成の概略的表示である。 透過処理されていない細胞との関係におけるOCT4−GFP陽性コロニーの数を表わす。iPS細胞生産の効率に対してM期卵子抽出物に対する曝露が及ぼす効果は、M期卵子抽出物に対する曝露(M期単独、A)、OKSM過剰発現(OKSM単独、B)およびOKSM過剰発現とそれに続く緩衝液単独に対する曝露(OKSM+モック;C)またはM期卵子抽出物に対する曝露(OKSM+M期;D)の後のOCT4−GFP陽性コロニーの生産を、3つの完全に独立した実験内で測定することによって評価された。エラーバーは、s.e.m(n=3)を表わす。 OKSM過剰発現とそれに続くM期アフリカツメガエル卵子抽出物に対する曝露によって得られるiPS細胞の多能性の特徴づけを表わす。 モック処理されたMEF(図2Aおよび図2D)、ES細胞(図2Bおよび図2E)そしてOKSM過剰発現およびM期卵子抽出物に対する曝露により誘発されたiPS細胞(M期iPS;図2Cおよび図2F)内でのアルカリホスファターゼ発現を表わす。図2D−Fは、図2A−Cをそれぞれより高い倍率で表わしている。 OCT4−GFP MEFから生成されたM期iPS細胞内の形態(図2G、図2I)およびGFP発現(図2H、図2J)を表わす。図2I−J−Fはそれぞれ、図2G−Hのより高い倍率を表わす。 M期iPS細胞内の免疫蛍光により評価される多能性マーカーの発現を表わす:OCT4のプロモータにより発現が駆動されたGFP(図2L、図2Oおよび2R)と共局在化させたOCT4(図2K)、Nanog(図2N)およびSSEA1(図Q)。DNAはDAPIで標識されている(図2M、図2Pおよび図2S)。 MEF(第1カラム)、ES細胞(第2カラム)および2つのM期iPSクローン(M/iPS;最後の2カラム)中で定量的RT−PCRにより測定されたOct4の発現を表わす。エラーバーはs.e.m(n=3)を表わす。Y軸はES細胞との関係におけるmRNAの発現を表わす。 MEF(第1カラム)、ES細胞(第2カラム)および2つのM期iPSクローン(M/iPS;最後の2カラム)中で定量的RT−PCRにより測定されたNanogの発現を表わす。エラーバーはs.e.m(n=3)を表わす。Y軸は、ES細胞との関係におけるmRNAの発現を表わす。 M期iPS細胞の発生能を示す。 胚様体(EB)の分化が、「材料と方法」の中で記載されている通り、レチノイン酸によって誘発されたことを表わしている。EB形成には、GFP発現の損失が随伴していた。 分化する胚様体を表わす。 図3Aの分化する胚様体のGFP発現を表わす。 分化した胚様体を表わす。 図3Bの分化した胚様体のGFP発現を表わす。 それぞれ図3Bおよび3Eのより高い倍率に対応する。 M期iPS細胞を用いて生産されたキメラマウスを表わす。2つの異なるM期iPSクローンは、CD1胚盤胞への注入後、生存能力のあるキメラを生産した。 F1の仔((B6xJF1)遺伝子型由来のもの)の黒色を示し、生殖細胞系伝達を実証している。 M期アフリカツメガエル卵子抽出物により誘発された透過処理されたMEFの再プログラミングを示す。 曝露後から異なる日数(D)の経過後のモック処理されたMEF(四角)と比較したM期抽出物で処理されたMEF(円)の増殖速度を示す曲線を表わす。エラーバーはs.e.m(n=4)を表わす。Y軸は、合計細胞数×10を表わす。 M期アフリカツメガエル卵子抽出物を用いたMEFの処理後に形成されたコロニーの形態を表わす(位相コントラスト)。 低い倍率(×34)でのM期抽出物処理により誘発される異なるコロニーをそれぞれ表わす。 より高い倍率でコロニーの形態を表わす。 野生型MEFのM期卵子抽出物に対する曝露の後のOCT4陽性コロニーの誘発を表わす(免疫蛍光分析);スケールバー、100μm。 M期抽出物を用いたインキュベーションの後のOCT4−GFP MEF内でのGFP発現の誘発を表わす。 位相コントラストを表わす。 DNA標識化(DAPI)を表わす;スケールバー、50μm。 ES細胞(図4K)、MEF(図4L)およびM期卵子抽出物に対する曝露の後のMEF(図4M)内のアルカリホスファターゼ活性の誘発を表わす。 M期卵子抽出物でのインキュベーションの後の多能性マーカー(Oct4、NanogおよびRex1、それぞれ第1−第3カラム)の発現およびZfpm2のダウンレギュレーション(分化マーカー;第4カラム)の誘発を表わす。M期抽出物およびモックで処理されたMEFを用いて定量的RT PCRを実施した。エラーバーはs.e.m(n=3)を表わす。 M期アフリカツメガエル卵子抽出物でインキュベートされたMEF核中のDNA複製の加速およびクロマチン構造の再構成を示す。 緩衝液単独(図5Cおよび図5D)またはM期卵子抽出物(図5Aおよび図5B)を用いて40分間インキュベートされたMEF核の形態を表わす。核は、DAPIを用いて染色された(スケールバー=10μm)。 緩衝液単独(図5E)またはM期卵子抽出物で40分間(図5F)または60分間(図5G)処理されたMEF核の形態を表わす。核(DAPIで染色されたもの)は、異なるクロマチン凝縮度を示す。スケールバー=10μm。 M期卵子抽出物に対するMEF核の曝露後のまたはそれの無い(モック)場合のSer10におけるヒストンH3のリン酸化反応(ホスホH3)およびクロマチンに結合したHP1−αの喪失を表わす。MEF核は、対応する抗体で固定され染色され、DNAはDAPIで染色された。スケールバー=10μm。 モック処理されたMEF核のDNA標識化(DAPI)を表わす。 モック処理されたMEF核の抗リン酸化ヒストンH3(Ser10)(ホスホH3)抗体での標識化を表わす。 モック処理されたMEF核のDNA標識化(DAPI)を表わす。 モック処理されたMEF核の抗HP1−α抗体での標識を表わす。 M期抽出物で処理されたMEF核のDNA標識化(DAPI)を表わす。 M期抽出物で処理されたMEF核の抗リン酸化ヒストンH3(Ser10)(ホスホH3)抗体での標識化を表わす。 M期抽出物で処理されたMEF核のDNA標識化(DAPI)を表わす。 M期抽出物で処理されたMEF核の抗HP1−α抗体での標識化を表わす。 M期卵子抽出物でのインキュベーション(B)の後の、またはインキュベーション無しでの(A)、MEF核中のSer10(図5P、上部図版)、LaminB1(図5Q、上の図版)およびHP1−α(図5R、上部図版)におけるクロマチン結合リン酸化ヒストンH3の発現の分析を表わす。クロマチンは、実施例2に記載の処理の後、遠心分離により収集された。試料は、対応する抗体を用いたウェスタンブロット法により分析された。ヒストンH3が、ローディングコントロールとしてプローブ探査された(図5P、5Qおよび5R、下部図版)。 M期抽出物中でのインキュベーション後(B)またはそれ無し(A)のMEF核中のヒストン修飾の分析を表わす。試料は、対応する抗体を用いてウェスタンブロット法によって分析された。ローディングコントロールとして、ヒストンH3がプローブ探査された(図5S−ABの各々の下部図版)。 上部図版は、抗アセチルヒストンH3(acH3)抗体でのブロッティングを表わす。 上部図版は、抗アセチルリジン9ヒストンH3(H3K9)抗体でのブロッティングを表わす。 上部図版は、抗アセチルリジン8ヒストンH4(H4K8)抗体でのブロッティングを表わす。 上部図版は、抗H3K9me3抗体でのブロッティングを表わす。 上部図版は、抗H3K9me2抗体でのブロッティングを表わす。 上部図版は、抗H4K20me3抗体でのブロッティングを表わす。 上部図版は、抗H3K4me3抗体でのブロッティングを表わす。 上部図版は、抗H3K4me2抗体でのブロッティングを表わす。 上部図版は、抗H3K27me3抗体でのブロッティングを表わす。 上部図版は、抗ヒストン変異体H3.3抗体でのブロッティングを表わす。 M期アフリカツメガエル卵子抽出物での予備インキュベーションが、間期卵子抽出物内のMEF核のDNA複製速度を加速する。 アフリカツメガエルM期および/または間期卵子抽出物でのインキュベーション後のMEF核内のDNA複製を評価するのに使用される手順の概略的表示である。 アフリカツメガエル間期卵子抽出物中の透過処理されたMEF核(円付きライン)およびアフリカツメガエル精子核(四角付きライン)のDNA複製を表わす。DNA複製の百分率は、反応中への合計DNA投入量に対するものである(実施例2の「材料および方法」を参照のこと)。Y軸は、DNA複製の%を表わし、X軸は分単位のインキュベーション時間を表わす。 M期卵子抽出物中の透過処理されたMEF核の予備インキュベーション(CSF;三角付きライン)により、該核は、間期卵子抽出物中での精子核(四角付きライン)と同程度の効率でDNAを複製できるようになることを示している。対照として、間期抽出物が示されている(円付きライン)。Y軸は、DNA複製の%を表わし、X軸は分単位でのインキュベーション時間を表わす。 M期アフリカツメガエル卵子抽出物でのインキュベーションは、OKSMトランス遺伝子のウイルス組込みに影響を及ぼさない。 異なる細胞集団内での各トランス遺伝子(Oct4、Sox2、Klf4およびc−Myc)のウイルス組込みを、定量的PCR増幅によって評価した。異なるMEF集団を、感染から21日後に収穫し、そのDNAを抽出した。 第1のバー(ミドルグレー)は、感染した透過処理されていない細胞(OKSM)に対応し; 第2のバー(ダークグレー)は、感染し、ストレプトリジン−O(SLO)で透過処理され、モック処理された細胞(OKSM+SLO+緩衝液)に対応する; 第3のバー(ライトグレー)は、SLOで透過処理され、M期抽出物で処理された細胞(OKSM+SLO+M期抽出物)に対応する。 4つの独立した実験が示され、エラーバーはs.e.m(n=4)を表わす。 Y軸は、Q−PCRにより測定された組込まれたトランス遺伝子の相対数を表わす。 ES細胞とMEF間(左)およびESとM−iPS細胞間(右)の全般的遺伝子発現の比較を示すピアソンの相関係数(R)の計算を伴う散布図である。ラインは、対合した細胞型の間の差次的に発現された遺伝子を表わす。 MEF、ES細胞およびM−iPS細胞由来のDNAの亜硫酸水素塩配列決定を表わす。増幅された領域は、中実の青色バーで表わされている。円の各水平列は、個別の分子のCpGジヌクレオチドを表わす。中実円は、メチル化CpGsを示し、白い円は、非メチル化CpGsを示す。 Oct4のプロモータ領域の分析を表わす。 Nanogのプロモータ領域の分析を表わす。 EB分化の時点での多能性マーカーOct4、NanogおよびKlf4のダウンレギュレーションおよび分化マーカーSox1、Sox7、Sox17およびBrachyury(Brach)のアップレギュレーションを表わす。分析は、ES細胞、ES由来の胚様体(EBES)、M−iPSおよびM−iPS由来の胚様体(EBM−iPS)の定量的RT−PCR増幅によって実施され、Actin、HPRTおよびGAPDHの平均発現に対し正規化された。ヒストグラムは、対応する胚様体と多能性細胞(ES、青色バーまたはM−iPS細胞、赤色バー)およびそれらのとの間の比を表わす。エラーバーはs.e.m(n=3)を表わす。Y軸は、ハウスキーピング遺伝子との関係におけるmRNAの折畳み誘発を表わす。 :M期アフリカツメガエル卵子抽出物でのインキュベーションは、MEF核のDNAを脱メチルしない。 モック処理されM期処理されたMEF核およびES細胞中で、亜硫酸水素塩配列決定を実施した。増幅された領域は、中実青色バーで表わされている。円の各水平列は、個別の分子のCpGジヌクレオチドを表わす。中実円は、メチル化CpGsを示し、白い円は、非メチル化CpGsを示す。親の対立遺伝子起源(M:母親;P:父親)は、C57BL/6JとJF1のバックグラウンドの間のDNA多型を使用することにより、MEFおよびiPS細胞中で決定された。青色三角形は、多型に起因して不在である個別のCpGsを示す。 Oct4のプロモータ領域の分析を表わす。 Nanogのプロモータ領域の分析を表わす。 刷り込みされたSnrpn遺伝子のプロモータ/刷り込み制御領域の分析を表わす。 中期における雌生殖細胞の単離抽出物の遮断の安定性。 Y軸は、DNA合成の%を表わし、X軸は、分単位のインキュベーション時間を表わす。 Ca2+を伴って(菱形)またはCa2+を伴わずに(四角)DNAを合成するためにM期で遮断された単離抽出物の能力は、[32P]αdCTPの取込みによって測定される。抽出物が中期で遮断される場合、それはCa2+無しではDNAを合成しないが、Ca2+の存在下でDNAを合成する。
実施例1:抽出物の調製
間期抽出物について使用した手順と類似の手順を通して、有糸分裂抽出物を調製する。ただし、卵子は活性化されてはならず、溶液中に存在するかまたは細胞内貯蔵から放出される微量のカルシウムをキレートするため、EGTAを緩衝液に添加しなければならない。
1.遠心分離機を1℃に設定する。チューブ、アダプターおよびシリンジを全て4℃まで冷却してから、抽出物の調製を開始する。
2.ガラス製ビーカーに卵子を移し、HSB(HSB−CSF:15mMのHepes pH7.6;110mMのNaCl;2mMのKCl;1mMのMgSO4;0.5mMのNa2HPO4;2mMのNaHCO3+2mMのEGTA)を用いて洗い流す。同じカエルに由来する卵子をプールすることが有利である。
3.精製水を添加し、外部ゼリー層を室温で5分間膨潤させる。
4.HSB−CSF0.3X、システイン2%、pH7.9を添加し(溶液は、調製後6時間以内に使用しなければならない)、間隔をおいて穏やかに旋回させることにより、ゼリー層を除去する。これには5−10分かかり、卵子がわずかに変形した状態で密に詰められた時点で、ゼリー層の完全な除去が得られる。ゼリー層を完全に除去することが重要である。この段階で、成功は、調製の迅速性およびステップ10の後の低温条件が厳守されているか否かにかかっている。
5.直後に、卵子1mlあたり100−200mlのHSB−CSFを用いて少なくとも5回洗い流す。この時点で、20%超の卵子内で壊死が見られた場合、それ以上作業は続行しない。50ml入りのガラス製ビーカーに移す。
6.顕微鏡での観察のため、大きいガラス製ペトリ皿に卵子を移す。卵子は自発的活性化の兆候を全く示してはならない。
7.低温のウルトラクリアチューブに移す。10μg/mlのプロテアーゼ阻害剤および100μg/mlのサイトカラシンBを含む低温のXB−CSF(10mMのHEPES pH7.7;100mMのKCl;1mMのMgCl2;5%のスクロース;1mMのDTT;5mMのEGTA)で洗い流す。3mlの卵子に対して1mlを使用する。
8.5−10分間氷の中にチューブを放置して、卵子を冷やす。
13.Sorvallスウィンギングローターまたはその等価物の中で、150g、1℃で45秒間遠心分離することにより、余剰の緩衝液を除去し、卵を詰める。
14.10分間1℃で、17,000g(Sorvall HB4スウィンギングローター、10K)で、急速に余剰の緩衝液を除去し、遠心分離する。遠心分離は卵子を圧壊し、こうして可溶性内容物は排除される。
15.可溶性抽出物の量に応じて、1−5ml入りシリンジに挿入された20ゲージの針でチューブの側面に穴を開けることにより抽出物を抜き取る。黒色顔料層のすぐ上に針を挿入し、黄色の脂質最上層を避けながら、細胞質層を収集する。低温のウルトラクリアチューブに移す。10μg/mlのプロテアーゼ阻害剤、10μg/mlのサイトカラシンB、1/20体積のEnergy Mix 20X(Energy Mix−CSF 20X:200μg/mlのクレアチンキナーゼ;200mMのクレアチンリン酸;20mMのATP;20mMのMgCl;+2mMのEGTM)、および5%のグリセロールを添加する。穏やかに混合する。
16.同じ条件で再度遠心分離する。
17.低温チューブ内に上清を収集する。必要な場合には200μg/mlのシクロヘキシミドを添加して、タンパク質合成を防止する。液体窒素中で先に凍結させた100または200μlのアリコート中で−80℃で保管する。低速抽出物中のタンパク質濃度は、50mg/ml前後であり、主としてリボソーム中のRNA濃度は5−10mg/mlである。アリコートは、一度しか使用してはならず、解凍後に再凍結させてはならない。
実施例2:有糸分裂卵子抽出物および転写因子に対する組合せ型曝露による多能性細胞の相乗的誘発

まずはカエルそして次に哺乳動物の卵子における核移植(NT)実験は、体細胞を多能性に再プログラミングできることを実証した(1−4)。より最近では、4つの転写因子Oct4、Klf4、Sox2およびc−Myc(OKSM)の異所性発現による体細胞内での多能性の誘発を用いて、胚幹(ES)細胞に極めて類似した人工多能性幹(iPS)細胞が生産された。とりわけ、マウスのiPS細胞は、奇形腫を形成してキメラを発生させ生殖細胞系列に寄与するそれらの能力により実証される通り、完全な発生能を有する。しかしながら、iPS細胞生産およびNTの両方の効率はなお低いままであり、得られる再プログラミング済み細胞は、部分的にしか再プログラミングされていないように思われる。細胞の後成的記憶は、1つの重要な障壁であり、分化細胞を効率良く再プログラミングするためには、これを克服しなければならない(5)。したがって、再プログラミング効率を改善するために、追加の要因が必要とされる場合があり(6、7)、過去数年にわたりこれらの手順を最適化するために多くの努力がされてきた。異なる再プログラミング戦略を結びつけてそれらの効率を相乗的に作用させることができる、ということが示唆されてきた(8)。細胞抽出物を用いて体細胞を再プログラミングすることによって、いくつかの試みがなされてきたが、これらの試みはNTにより得られる効果範囲を再現することができなかった。
NT実験においては、再プログラミングは、受入れる卵母細胞の細胞質に対する移植された核の曝露によって誘発される。しかしながらNT再プログラミングは、大量の哺乳動物卵母細胞を入手するのが困難であるために、インビトロで研究することがむずかしいように思われる。大量に入手可能であるアフリカツメガエル卵子は、逆方向に透過処理された哺乳動物細胞(9)の核ラミナを再構成でき、アフリカツメガエル卵子抽出物は、成体マウス核がアフリカツメガエル卵母細胞内に注入された場合に観察されるもの(11)と同様の形で、すでにOct4を発現している細胞内でのOct4発現をアップレギュレーションすること(10)ができる。より最近では、アフリカツメガエル赤血球核の複製起点および染色体組織を、アフリカツメガエル卵子からの中期停止抽出物(M期抽出物)によって再構成できることが報告された(12)。発明者らはさらに、アフリカツメガエル卵子抽出物を用いたマウス胎児繊維芽細胞(MEF)の予備インキュベーションが、NTおよびiPS生産の効率を増大できるか否かを調査した。発明者らは、間期ではなくM期のアフリカツメガエル卵子抽出物が、NT効率を増大させ、MEFを幹細胞プログラムに関与させたことを示している。これらは同様に、MEFクロマチン構造および複製特性の包括的な変更を誘発した。詳細には、M期抽出物は、クロマチン活性化におけるそれらの役割とは独立して、MEF核内のいくつかの後成的マークのレベルをリセットする。その上、間期抽出物ではなくM期抽出物は、透過処理されたMEFを部分的に再プログラミングして、コロニーを形成し、これらが多能性マーカーを発現した。最終的に、OSKMの局所性発現によるiPS細胞の誘発は、MEFをM期アフリカツメガエル卵子抽出物中でインキュベートした場合に45倍増大した。結果として得られたiPS細胞は、キメラを生産し生殖細胞系列をコロニー化するそれらの能力によって示される通り、完全に再プログラミングされていた。
結果
M期アフリカツメガエル卵子抽出物を用いた前処理は、哺乳動物における核移植およびiPS細胞生産の両方の効率を改善する。
発明者らは、最初に、M期アフリカツメガエル卵子抽出物がMEFの極めて効率の悪いNTを改善できるか否かを問いかけた(13)。G1期にある透過処理されたMEF核を、M期(図1A)または間期のアフリカツメガエル卵子抽出物あるいは緩衝液単独を用いて予備インキュベートし、NT後の胚盤胞段階へのそれらの進行を比較した。G1MEF核のNTは、11%の胚盤胞を導き(図1Bおよび表1)、これは、以前にNTのための最良のドナー核として記載された中期ES核のNT後に得られたもの(55%)(14)よりも著しく低い値であった。M期卵子抽出物内でのMEF核の条件づけは、胚盤胞形成速度を、中期ES核で得られたもの(45%)に匹敵するレベルまで著しく上昇させた(図1Bおよび表1)。これらのデータは、M期アフリカツメガエル卵子抽出物がNTによる体細胞の再プログラミングを効率良く改善することを示している。逆に言うと、間期卵子抽出物での予備インキュベーションは、NT効率を改善せずむしろわずかに減少させており(3%)、このことは、再プログラミングする抽出物の有糸分裂状態の重要性を指摘するものである。有糸分裂MEFおよびG1 ES核は両方共、中期遮断された卵母細胞内でのNTにとって比較的低効率のドナーであったことから(表1に要約)、発明者の結果は、M期アフリカツメガエル抽出物での処理が、有糸分裂状態および多能性状態の両方に向けてMEF核を再構成できることも示唆している。
発明者らは次に、M期アフリカツメガエル卵子抽出物での処理が、iPS細胞の生産効率をも同様に改善できるか否かをチェックした。低効率ではあるものの、マウスおよびヒトの細胞内におけるOSKM転写因子のウイルス媒介型発現によるiPS細胞の生成は、多能性状態への体細胞の再プログラミングにおける突破口であった(15−19)。したがって、発明者らは、図1Cに示された実験的戦略を用いてM期アフリカツメガエル卵子抽出物(M−iPS細胞)でのインキュベーションとOSKM過剰発現とを組合わせた。OCT4−GFP MEFを、4つの転写因子をコードするレトロウイルスに感染させ、透過処理し、M期抽出物でインキュベーションし、その後ES培地内でゼラチンコーティングされたプレート上に再封した。発明者らは、定量的PCRにより、M期抽出物処理がOKSMトランス遺伝子のウイルス組込みに影響を及ぼさないことをチェックした(図7)。内因性OCT4の再発現が再プログラミングのストリンジェントリポータであることが報告されている(2)ことから、感染から7日後に、発明者らは、完全な再プログラミング事象に関連づけされるOCT4−GFP陽性コロニーの割合を決定した。GFP陽性コロニーの数は、ストレプトリジンO(SLO)での処理を伴うかまたは伴わずに、OSKMのみを過剰発現した細胞の場合に比べて、M期卵子抽出物に曝露されたOSKM人工細胞(M−iPS細胞)において45倍多いものであった(図1D)。したがって、M期アフリカツメガエル卵子抽出物内の哺乳動物体細胞の短時間インキュベーションが、完全に再プログラミングされたiPS細胞の収率を大幅に増大させた。
表1は、M期アフリカツメガエル卵子抽出物に曝露され除核マウス卵母細胞内に注入されたMEF核を用いて得た胚のインビトロ発生を表わす。
モック緩衝液、間期またはM期のアフリカツメガエル卵子抽出物中で予備インキュベートされたMEF核およびES核の核移植後に得られた2−細胞胚との関係における胚の百分率。有糸分裂およびG1 ES核を、先に記載の通り(33)に単離し注入し、有糸分裂MEFをLiら(13)中に記載の通りに単離し注入した。
*は、sv129/sv細胞株を意味し;**は、129/Svpas細胞株を意味する。
M−iPS細胞の特徴づけ
M−iPS細胞は、ES株の形態および多能性マーカーアルカリホスファターゼ、OCT4、NANOG、およびSSEA1の均一な発現を提示した(図2A−S)。その上、異なる多能性マーカーの発現レベルは、定量的PCRにより測定され、ES細胞内のものに類似していた(図2T−U)。M−iPS細胞、MEFおよびES細胞の転写学的プロファイルが分析され(図7)、DNAマイクロアレイ解析の散布図が、M−iPS細胞とES細胞の間の類似性を確認した(R=0.9175)。効率の良い再プログラミングは、Oct4およびNanogなどの多能性の重要な調節因子のプロモータ上でのDNAの低メチル化に密接に結びつけられている[Maherali Nら、Cell Stem Cell.2007 Jun 7;l(l):55−70]。M−iPS細胞とES細胞のDNAメチル化プロファイルは類似しており(図8A−B)、これはM期アフリカツメガエル卵子抽出物とOKSM発現を組合せることにより得られる再プログラミング効率を裏付けている。
発明者らは、次に、M−iPSクローンの分化能を調査した。分化が誘発された時点で、全ての被験M−iPSクローンは、胚様体を形成し(図3A−F)、幹細胞マーカーOct4、NanogおよびKlf4がダウンレギュレートされ(図10)、一方3つの胚葉内の分化のマーカーは、ES細胞(図10)および(20−23)から得られた胚様体中で観察されたものに匹敵するレベルでアップレギュレートされた。
最終的に、M−iPSクローンの完全な再プログラミングは、CD1胚盤胞内への注入後に成体キメラを生産する2つの異なるクローン(雄と雌の1つずつ)の能力により、インビボで実証された(図3G−Iおよび表2)。さらに、これらのキメラをCD1アルビノ動物と交配させた後の(B6×JF1の遺伝的背景に起因した)F1黒色子孫の産生により示される通り、生殖細胞系列伝達も成功していた(図3J)。
発明者らは、M期アフリカツメガエル卵子抽出物がiPS細胞生産効率に対し強いプラスの効果を有すると結論づけている。重要なことに、2つの戦略が組合わされた場合の再プログラミング効率(GFP陽性コロニーの数、図1Dを参照)は、それらの効率をそれぞれ単に加算した場合よりもはるかに大きいことから、この作用は付加的ではなく相乗的である。
表2は、M期アフリカツメガエル卵子抽出物に曝露されたMEFから誘導されたiPS細胞(M期iPS細胞)の発生能を表わす。
CD1胚盤胞内へのM期iPS細胞の2つの異なるクローン(雄と雌1つずつ)の注入および生殖細胞系列をコロニー化するそれらの能力の分析の後に得られたキメラの百分率。
アフリカツメガエルM期卵子抽出物は、哺乳動物の繊維芽細胞を再プログラミングする。
M期アフリカツメガエル卵子抽出物の相乗効果を特徴づけするために、発明者らは最初に、この処理単独で、MEFの限定された増殖能を修飾できるか否かを問いかけた(24)。M期卵子抽出物での処理は、少なくとも2回の細胞周期中、MEFの増殖速度を強く増大させ(図4A)、少数のコロニーの形成を誘発し、これらは成長停止前の数日にわたり拡張した(図4B−G)。これらのコロニーは、M−iPS細胞誘発の時点ほど多くなく、モック処理されたMEF中で見られることは全くなかった。
成長刺激には同様に、多能性細胞マーカーの発現も随伴しており、これはモック処理された細胞においては決して観察されなかった。実際、アルカリホスファターゼ発現(部分的再プログラミングのマーカー)は、M期処理(図4K−M)の時点で誘発され、よりストリンジェントな多能性マーカーであるOCT4の内因性発現(2)が、免疫蛍光ならびにOct4プロモータにより駆動されるGFP発現により、コロニー内で検出された(図4H−J)。興味深いことに、それ以上進行してコロニーを形成しなかったものを含めたM期抽出物で処理された細胞の比較的高い割合の中で、アルカリホスファターゼが発現された(図4K−M)。OCT4またはアルカリホスファターゼあるいは両方を発現したクローンの複数の独立した実験における存在は、M期卵子抽出物が、異なる再プログラミングレベルで異種細胞集団の発生に有利に作用すること示唆している。このことは、OSKM過剰発現を使用することによりiPS細胞の生産中に観察される不均質性と合致しており、それは確率過程の結果である可能性が高い(25)。これらの結果は、M期抽出物が単独で、細胞周期特性を変更することができかつ、MEFの部分的かつ過渡的な再プログラミングを誘発できることを示している。
多能性マーカーは多くの場合、コロニー形成前に検出されていることから、M期卵子抽出物での処理から7日後に、選択されていない全細胞集団内での定量的RT PCRにより、多能性マーカーOct4、NanogおよびRex1の発現が確認された(図4E)。Q−PCR分析に使用されるプライマーは、マウスの転写物に特異的であり、これらは、M期アフリカツメガエル抽出物からRNAを増幅できず、このことは、内因性マウス遺伝子の発現誘発を裏付けていた。さらに、MEF中で発現されたもののES細胞中では発現されていない転写因子であるZfpm2(18)は、M期卵子抽出物に対する曝露の後、ダウンレギュレートされた(図4N)。
全体として、発明者らのデータは、MEF内で通常発現される遺伝子のダウンレギュレーションおよび多能性遺伝子のアップレギュレーションおよび急速ではあるが過渡的な増殖誘発によって示される通り、M期アフリカツメガエル卵子抽出物単独で、MEFを部分的に再プログラミングするのに充分であることを示唆している。これらの効果のいずれも、間期アフリカツメガエル卵子抽出物を使用した場合には観察されておらず、これは、(26)中に記載のアフリカツメガエル卵子抽出物を用いた細胞の再プログラミングの失敗についての先の報告と合致していた。
M期アフリカツメガエル卵子抽出物を用いた処理は、有糸分裂特性を誘発し、包括的な後成的サインを修飾する。
間期アフリカツメガエル卵子抽出物ではなくM期アフリカツメガエル卵子抽出物のみが、逆方向に透過処理されたMEFならびにNT効率に対して再プログラミング効果を有していたという観察事実は、ドナー抽出物の有糸分裂段階が極めて重要であることを表わしている。したがって、発明者らは、G1期におけるMEFのM期卵子抽出物に対する曝露が、再プログラミングされた核内で有糸分裂マーカーを誘発できるか否かを調査した。実際、M期アフリカツメガエル卵子抽出物に対する曝露は、MEF核を有糸分裂様の段階へと駆動し、それには、クロマチン構造の修飾(図5A−D)とそれに続く包括的縮合(縮合されたクロマチン繊維の形成により示される)(図5E−G)が随伴していた。M期卵子抽出物に曝露されたMEF核は、同様に、全て有糸分裂期への進入の顕著な特徴である、Ser10上でのヒストンH3のリン酸化反応、および核構造に関与する1つの因子である核エンベロープ構成成分ラミンB1の解離(27、28)(図5H−Oおよび5R)をも示した。
M期卵子抽出物に対する曝露は、同様に、HP1発現と共にDAPI染色により視覚化されるヘテロクロマチン構造の喪失により明らかにされる通り、クロマチン高次構造組織を消去するようにも思われた(図5A−R)。したがって発明者らは、さらに、M期卵子抽出物がMEF核の包括的後成的サインを修飾したか否かを調査した。ドナー核のヒストンがNT中に脱アセチル化されることが示されたため、発明者らは最初に、ヒストンアセチル化レベルを決定した(29、30)。ウェスタンブロット分析は、M期アフリカツメガエル卵子抽出物でのMEF核のインキュベーションが、リジン8においてH3(詳細にはH3K9)およびH4のアセチル化レベルを削減させることを示した(図5S−AB)。
ヒストン低メチル化が哺乳動物体細胞の後成的可塑性と相関されたことから、発明者らは、次に、アフリカツメガエル卵子抽出物が同様にヒストンメチル化プロファイルも修飾するか否かを問いかけた(31)。M期アフリカツメガエル卵子抽出物を用いたMEF核の短時間インキュベーションは、ウェスタンブロット法によって示される通り、H3K9me2−me3、H4K20me3およびH3K4me2−me3のレベルを包括的に削減した(図5S−AB)。逆に、H3K27me3のレベルは、M期抽出物でのインキュベーションの時点で変化せず、このことは、このマークがより安定していることを示唆していた。H3K9における包括的脱メチル化は、H3K9トリメチル化の維持がNT中における発生上の失敗と関連づけされたことから、M期卵子抽出物を用いたインキュベーション後のNT効率の改善に寄与するかもしれない。要するに、これらの結果は、M期アフリカツメガエル卵子抽出物でのインキュベーションが、全てでなくともいくつかの後成的マークをリセットすることによって、哺乳動物体細胞核の後成的サインを広く修飾することを示している。
その上、M期アフリカツメガエル卵子抽出物でのインキュベーションは同様に、近年NTによる再プログラミング中の細胞同一性記憶に関係があるとされてきたヒストン変異体H3.3の包括的レベルの削減をも誘発した(33)(図5S−AB)。
最終的に、発明者らは、細胞記憶の別の重要なマーカーであるDNAメチル化プロファイルを分析した。亜硫酸水素塩配列決定が実施され、これにより、M期アフリカツメガエル卵子抽出物中で40分間インキュベートを行っても、多能性遺伝子Oct4およびNanogのDNAメチル化状態が修飾されないことが示された(図11A−C)。
要約すると、アフリカツメガエルM期抽出物は、MEF核を有糸分裂状態に駆動すると同様に、そのクロマチン構造も再構成する。これらの結果は、NTおよびiPS細胞生産に対するM期アフリカツメガエル抽出物を用いた処理の強い相乗効果を説明することができると考えられる。
MEF核は、M期アフリカツメガエル卵子抽出物中で予備インキュベートされた場合に、胚複製プログラムに適応される。
発明者らは、先に、M期アフリカツメガエル卵子抽出物が、分化アフリカツメガエル細胞由来の核の複製プログラムをリセットし、DNA複製の体細胞プロファイルから胚プロファイルへの遷移を可能にすることができることを示した(12)。したがって、発明者らは、MEF核が同様の形で再プログラミングされ得るか否かを問いかけた。この目的で、G1中で合成されたMEFからの核が、間期アフリカツメガエル卵子抽出物でインキュベートされるか、または、間期卵子抽出物内への移植の前にまずM期卵子抽出物に曝露され、次にそれらのDNA複製能力が評価された(図6A)。間期卵子抽出物のみに曝露された核は、DNAを全く(または非常にわずかしか)複製しなかった(図6B)。逆に、M期卵子抽出物内でのMEF核の予備インキュベーションが、間質抽出物にさらに移植された時点でのアフリカツメガエル精子核のものとほぼ類似の動態でDNA複製を誘発した(図6C)。発明者らは、アフリカツメガエル卵子抽出物内での有糸分裂を経験したマウス体細胞核が部分的に再プログラミングされ、アフリカツメガエル初期胚の特徴である加速されたDNA複製速度を獲得すると結論づけている。
論述
アフリカツメガエル卵子抽出物によるマウス胚繊維芽細胞の再プログラミング
本明細書中に記載の実験は、M期アフリカツメガエル卵子抽出物を用いた哺乳動物体細胞核または細胞の短時間インキュベーションが、NTおよびiPS細胞生産の両方の効率を改善することを示している。このことは、NTおよびiPS細胞による再プログラミングの効率を限定する共通の障壁の存在、および、M期アフリカツメガエル卵子抽出物中での予備インキュベーションがこれらの障壁の除去を補助するかもしれないことを示唆している。その上、ここで提示されている結果は、異なる戦略を組合せることで哺乳動物体細胞核の再プログラミングを改善できることも強調している。NTもヘテロカリオンも、技術的制限条件のため、iPS細胞と組合せて使用することができない。しかしながら、アフリカツメガエル卵子抽出物は、大量に入手でき、iPS細胞の収率を増大させるために使用可能である。
発明者らは、M期アフリカツメガエル卵子抽出物が、多能性ES細胞で観察されるレベルまでMEF核を用いてNTの効率を改善するのに充分であることを示している。その上、M期アフリカツメガエル卵子抽出物の中でインキュベートされた逆方向に透過処理されたMEFは、細胞増殖の誘発、コロニーの形成、多能性の最もストリンジェントなマーカーの1つであるOCT4の発現を含めたES細胞マーカーの発現など、多能性細胞の複数の特徴を獲得する。この再プログラミング活性は安定しておらず、コロニーは、2〜3の急速な細胞周期の後に成長を止める。しかしながら、この部分的再プログラミング活性は、OKSMのウイルス形質導入による完全に再プログラミングされたiPS細胞の生産を45倍増大させるのに充分である。効率良く透過処理されたMEFの割合は、発明者らの管理下では30%を超えないことから、この相乗効果は恐らく、過小評価されている。結果として得られるM−iPSクローンは、得られたクローンがキメラを効率良く生産でき生殖細胞系列をコロニー化できることから、充分に再プログラミングされているように思われる。この相乗効果は、アフリカツメガエル卵子抽出物内でのインキュベーションが、哺乳動物体細胞のゲノム特徴の修飾を誘発し、こうしてNTまたはOKSM発現による再プログラミングのためにより広い作用ウィンドウを開くことができるということを示唆している。
分化核を再条件づけするための有糸分裂/減数分裂条件に対する曝露の重要性
発明者らの実験は、アフリカツメガエル卵子抽出物の有糸分裂状態が極めて重要であることを示している。アフリカツメガエル間期卵子抽出物は、透過処理されたMEF中の再プログラミングを誘発することも、NT効率を改善することもなかった。逆に、M期アフリカツメガエル卵子抽出物は、Ser10上のヒストンH3のリン酸化反応および核構造の再構成により明らかにされる通り、G1 MEF核内の包括的な有糸分裂サインを誘発した。有糸分裂におけるクロマチンのこの包括的再組織化は、M期アフリカツメガエル卵子抽出物の再プログラミング活性にとって決定的に重大な意味をもつ可能性がある。有糸分裂を通しての遷移は、有糸分裂において一時的に停止された接合子が間期接合子よりもはるかに効率良く核再プログラミングを支援する、マウスの体内で実施されたNT実験において、極めて重要であることが、つねに発見されてきた(35)。要するに、これらの結果は、効率の良い再プログラミングには、初期胚多能性状況のみならず、有糸分裂を通した遷移も必要となることを示している。
有糸分裂卵子抽出物中でのドナー体細胞核のインキュベーションは、ドナー核の細胞周期の再同期化を助けて、それらに初期発生状況との相容性を与えることができると考えられる。発明者らは、MEF核が、アフリカツメガエル体細胞核と同様に、ただし精子核とは異なる形で、間期アフリカツメガエル卵子抽出物中でそれらのゲノムを複製するためにコンピーテントでないことを示している。有糸分裂再プログラミング期の要件が、NT実験において半分割胚からの核が正常な胞胚由来の核よりもはるかに良く発生する理由を説明してくれるかもしれない(36)。実際、このような核は、第1の分割中に分裂できなかった胚に由来しており、このことはそれらがS期に入る前に有糸分裂段階を通過しているはずであることを暗に意味する。マウスにおいては、核が予め活性化された卵母細胞内に移植される場合に、不充分な発生が起こり、一方、活性化が核移植から1−3時間後に起きる場合に最良の発生速度が観察される(37)。発明者らの観察事実は、間期アフリカツメガエル卵子抽出物ではなく、有糸分裂アフリカツメガエル卵子抽出物が分化細胞を再プログラミングできることを示すことによって、これらのデータに対する説明を提供する。
M期アフリカツメガエル卵子抽出物は、哺乳動物体細胞ゲノムの包括的組織化を再構成する。
細胞周期の同期化効果に加えて、有糸分裂胚状況における核の条件づけは、遺伝子発現の再プログラミングを容易にするかもしれない。有糸分裂中、大部分の既存の転写および複製因子は、クロマチンから消去される(38)。例えば、3つのポリメラーゼ全てが転写のために必要とする転写機構の主要構成要素であるTBPならびにTFIIBは、核小体の消滅と共に、卵子抽出物中でインキュベートされた体細胞核のクロマチンから除去される(39)。発明者らの実験は、M期アフリカツメガエル卵子抽出物が、G1 MEF核内で包括的有糸分裂サインを効率良く誘発することを示しており、これはHP1の喪失、Ser10上でのヒストンH3のリン酸化反応および核構造の再構成により明らかにされている。興味深いことに、転写抑制に関連づけされるマーク(H3K9me2、H3K9me3、H4K20me3)および活性クロマチンに関連づけされるマーク(アセチルH4K8、アセチルH3K9、H3K4me3、H3K4me2)が両方共、M期抽出物を用いてインキュベートされたMEF核のクロマチンの中で削減されている。この事象は、ES細胞の非定型二価後成的サインの流れをくむものであり(40)、体細胞核の記憶をリセットすることにより再プログラミングを促進できると考えられる。ヒストン脱メチル化も同様に、M期アフリカツメガエル卵子抽出物の作用の興味深い特徴であると思われる。ただし、後成的マークの削減は完全ではなく、M期抽出物でのインキュベーションの後に一部の確定した核構造が残る可能性があることを示唆している。
発明者らの結果は、M期アフリカツメガエル卵子抽出物を用いた予備インキュベーションがNT中に発生する再プログラミング事象を反復できることを示している。実際、これらの結果は、非活性化中期II哺乳動物卵母細胞内に注入された哺乳動物の体細胞核の再プログラミング中の記述されてきた包括的後成的修飾を説明している(29、30、41)。したがって、アフリカツメガエル卵子抽出物は、NT中に発生する分子事象を生化学的に研究するための強力な手段を提供することができると考えられる。
有糸分裂におけるクロマチンの包括的再組織化は、M期アフリカツメガエル卵子抽出物による再プログラミング活性にとって極めて重要である可能性が高い。これらの抽出物は、少数の遺伝子の局所性発現を通した再プログラミングとは異なり、有糸分裂ならびに多能性に関与する全ての遺伝的および後成的因子を提供するという利点を有する。両方法の組合せは、強い相乗効果を導き、再プログラミング回路の進化的保存を実証する。
材料と方法
細胞および培地
MEFは、13.5E野生型マウス胚またはOCT4−GFPトランスジェニック対立遺伝子に対して半接合であるC57BL/6J−JF1胚から誘導された。MEF単離の前に、生殖腺、内蔵器官および頭を除去した。その後、10%のES試験済みウシ胎仔血清(cat N°S1810、Biowest)、2mMのL−グルタミン(Invitrogen)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Sigma)で補足した高グルコースDMEM(Invitrogen)中で、MEFを拡張させた。MEFは、5代継代まで使用した。OCT4−GFPマウスは、当初Pr.Scholerによって創出され、Pr.Surani(Wellcome Trust/Cancer Resarch UK Gurdon Institute、Cambridge)からこれを入手した。ES細胞株CGR8は、Dr C.Crozet(Institute de Genetique Humaine,Montpellier)から入手した。ES細胞を、フィーダー無しで0.1%のゼラチン上で成長させた。これらをES培地[すなわち1000U/mlのLIF(ES−GRO)の存在下で10%のウシ胎仔血清、0.1mMのβ−メルカプトエタノール、1mMのピルビン酸ナトリウム、1%の可決アミノ酸(Gibco)、2mMのL−グルタミンが補足されたGMEM]中5%のCO内で37℃で培養した。
アフリカツメガエル卵子抽出物の調製および複製反応
Lemaitreら、(12)、Menutら、(43)およびwww.igh.cnrs.fr/equip/mechali/で入手可能な詳細なプロトコル中に記載の通りに、アフリカツメガエル有糸分裂および間期卵子抽出物ならびに膜除去された精子核を調製し、使用した。アフリカツメガエル赤血球核について記載された手順(12)にしたがって、初期継代(最高P5)の集密的MEFからMEF核を調製した。簡単に言うと、MEFをトリプシン処理し、PBSで2回洗浄した。低張緩衝液(10mMのKHEPES pH7.5;2mMのKCl;1mMのDTT;2mMのMgCl;1mMのPMSF;プロテアーゼ阻害剤)の中で1時間、MEFをインキュベートした。その後、膨潤した細胞を20−30ストロークで均質化し、その後、氷上で0.2%のトリトンX−100を含む低張緩衝液中で3分間インキュベートした。等張緩衝液(10mMのKHEPES、25mMのKCl、2mMのMgCl、75mMのスクロースおよびプロテアーゼ阻害剤)中で2回、核を洗浄した。最後に、0.7Mのスクロースクッションを通して核を遠心分離し、20%のスクロースで補足した等張緩衝液中に再懸濁させた。精子核およびMEF核(それぞれ1μlあたり1000個および500個の核)をS期またはM期(CSF)抽出物中でインキュベートした。先に記載の通りに(43)、アフリカツメガエル間期卵子抽出物中での[32P]αdCTP取込みにより、DNA合成を測定した。M期抽出物から間期抽出物への核移植を、先に記載の通り(12)に実施した。
ストレプトリジンO透過処理とM期抽出物処理
主としてTaragerら、(44)により記載された通りに、ストレプトリジンO(SLO)を用いてMEFを透過処理した。簡単に言うと、MEFをトリプシン処理し、PBS中で2回洗浄し、その後、250ng/μlのSLO(Sigma S0149)と共に1000細胞/μlでCa2+およびMg2+を含まない低温ハンクス液(HBSS)中に再懸濁させた。細胞を50分間穏やかに撹拌しながら37℃でインキュベートし、その後、氷冷のHBSSで2回洗浄した。透過処理された細胞をM期アフリカツメガエル卵子抽出物または緩衝液(抽出物1μlあたり細胞1000個)中で40分間インキュベートし、HBSS中で2回洗浄し、2mMのCaClで補足された完全ES培地中でゼラチン上で2時間再封し、その後完全ES培地中で培養した。
M期−抽出物で処理されたiPS細胞の生産
メーカーの推奨事項にしたがって、リポフェクタミン2000トランスフェクション剤(Invitrogen)を用いて、Oct4、Sox2、Klf4およびc−MycをコードするpMXsレトロウイルスベクター中の構成体(Addgeneより入手)をPlatinum HEK細胞中にトランスフェクトした。750μlのOPTIMEMに対して30μlのリポフェクタミン2000を添加し、750μlのOPTIMEM中に希釈され5分間インキュベートされた12μgのDNAと混合した。20℃で20分間インキュベートした後、DNA/リポフェクタミン2000の混合物を滴下によりPlatinumHEK細胞に添加した。トランスフェクションから48時間後に、上清を収集し、0.45μmのMillex HV(Millipore)フィルターを通して濾過し、12μg/mlのポリブレンで補足した。OCT4−GFP MEFを、56cmのペトリ皿内で0.1%のゼラチン上に8・10細胞の密度で播種し、上清を含む4つのウイルスを等量でプールし、MEFに添加した。18時間後に、上清を除去し、細胞を完全ES培地中で培養した。5−6時間後に、細胞を上述の通り、トリプシン処理しSLOで透過処理し、その後、モック緩衝液(HBSS)またはアフリカツメガエルM期卵子抽出物のいずれかの中で40分間インキュベーションした。処理後、細胞を2回洗浄し、2mMのCaClで補足したES培地を用いてゼラチン被覆した皿の中に平板固定(56cmあたり8・10個の細胞)した。2時間後、培地を除去し、OCT4−GFP陽性コロニーが出現するまで、完全ES培地で置換した。M期抽出物で処理したOCT4−GFP陽性コロニーを機械的に単離し、個別の細胞を解離させ、分析のためフィーダー上に平板固定し、この分析をフィーダー上での少なくとも15継代の後に実施した。
核移植
核移植実験を主としてZhouら(45)に記載の通りに実施した。簡単に言うと、集密的な(B6×129)MEF由来の透過処理されたMEF核を、上述の通りに新たに調製し、除核された間期IIマウス卵母細胞中に直接注入するか、またはM期または間期アフリカツメガエル卵子抽出物中で40分間予備インキュベートした。注入前に、予備インキュベートした核をM16培地中で2回洗浄して、アフリカツメガエル卵子抽出物を除去した。注入前に、位相差顕微鏡を用いて核を目視することによって、処理効率とクロマチン無欠性を評価した。Zhouら(45)に記載の通りに、(B6×129)中期ES細胞を単離した。
ES細胞またはM期抽出物で処理したiPS細胞の分化
ES細胞またはM期抽出物で処理したiPS細胞を、0.05%のトリプシン/EDTAを伴う単一細胞懸濁液中に解離させ、標準的ES培地(LIF無し)を伴う非粘着性細菌ペトリ皿内に低密度で平板固定した。2日後に、培地を、0.5μMのレチノイン酸で補足したES培地で置換して、胚様体の分化を誘発した。
再プログラミング効率
感染から7日後に、M期抽出物処理後の再プログラミング効率を分析した。異なる処理により誘発されたOCT4−GFP陽性コロニーの数を蛍光顕微鏡下で計数し、同じ感染実験由来の透過処理されていないOKSM感染済みMEFから得たコロニー数と比較した。Sigma Diagnostics製のアルカリホスファターゼ検出キットを用いて、メーカーの手順にしたがってアルカリホスファターゼ染色を行なった。免疫蛍光については、培養中の細胞をPBS中で一回洗浄し、次に室温(RT)で15分間3%のパラホルムアルデヒド中で固定し、PBSで洗浄し、PBS/0.2%のトリトンX−100を用いて5分間透過処理した。その後、細胞を、2%のBSAを伴うPBS中で10分間3回洗浄し、抗−OCT−3/−4(C−10)(Santa−Cruz、sc−5279)、抗−NANOG(Abcam、ab21603)または抗−SSEA1(クローン16MC480)(Abcam、ab16285)抗体を用いて1時間、次にPBS中での3回の洗浄後二次抗体を用いて1時間インキュベートした。DAPIを用いてDNAを染色した。先に記載の通り(43)、XB緩衝液(XB:プロテアーゼ阻害剤で補足された100mMのKCl、0.1mMのCaCl、1mMのMgCl、10mMのKOH−HEPES[pH7.7]、50mMのスクロース)中で、10倍希釈した後、100gでの遠心分離によりカバースリップ上に処理済み核をスピンさせることによって、M期抽出物またはモック処理されたMEF核の免疫蛍光分析を実施した。
定量的逆転酵素(RT)−PCR解析
転写解析のために、RNAeasy Mini Kitを用いて全細胞集団から全RNAを単離し、大容量cDNA逆転写キット(Applied Biosystems)を用いてRTを実施した。Roche製のLightcycler 480 SYBR Green I Masterキットを用いて、Lightcycler 480器具上で定量的PCRを実施した。定量化データを、ΔΔCt方法を用いて各プライマセットについて得た増幅曲線の対数線形位相内で内因性Hprt1/Gapdhおよびβ−Actin遺伝子の平均発現に正規化した。全ての試料は、2−3回の生物学的反復で調製された。
定量的RT−PCR用のプライマー:
Oct4
順方向:ttctggcgccggttacagaaccatactcga(配列番号:1)
逆方向:gaggaagccgacaacaatgagaaccttcag(配列番号:2)
Rexl
順方向:cagctcctgcacacagaaga(配列番号:3)
逆方向:actgatccgcaaacacctg(配列番号:4)
Nanog
順方向:ttcttgcttacaagggtctgc(配列番号:5)
逆方向:agaggaagggcgaggaga(配列番号:6)
Zfpm2
順方向:gcgaagacgtggagttcttt(配列番号:7)
逆方向:ggctgtccccatctgattc(配列番号:8)
β−Actin
順方向:gccggcttacactgcgcttctt(配列番号:9)
逆方向:ttctggcccatgcccaccat(配列番号:10)
Gapdh
順方向:tggcaaagtggagattgttgc(配列番号:11)
逆方向:aagatggtgatgggcttcccg(配列番号:12)
Hprtl
順方向:tcctcctcagaccgcttt(配列番号:13)
逆方向:cctggttcatcgctaatc(配列番号:14)
Soxl
順方向:gtgacatctgcccccatc(配列番号:15)
逆方向:gaggccagtctggtgtcag(配列番号:16)
Sox17
順方向:ctttatggtgtgggccaaag(配列番号:17)
逆方向:ggtcaacgccttccaagact(配列番号:18)
Sox7
順方向:gcggagctcagcaagatg(配列番号:19)
逆方向:gggtctcttctgggacagtg(配列番号:20)
Brachyury
順方向:cagcccacctactggctcta(配列番号:21)
逆方向:gagcctggggtgatggta(配列番号:22)
Klf4
順方向:gagttcctcacgccaacg(配列番号:23)
逆方向:cgggaagggagaagacact(配列番号:24)
DNAマイクロアレイ解析
Nimblegenマウス発現135Kアレイ上でES細胞、MEFおよびM−iPS細胞由来の全2本鎖cDNAをハイブリット形成し、無料試用のArraystarソフトウェアで結果を解析した。Bioconductor中に実装されるRMAアルゴリズムで正規化を計算した(46)。実験はトリプリケートで行われた。
対合した細胞型間の差次的発現についての遺伝子毎の試験を、調整t−統計量を用いて実施した(47)。偽発見率(FDR)を制御するため、BenjaminiおよびHochbergの手順を用いてp値を調整した(48)。対合細胞型間の差次発現された遺伝子を、1%未満の調整済みp値を用いて同定した。
亜硫酸水素塩配列決定
モック処理およびM期処理されたMEF核、M−iPS細胞およびCGR8 ES細胞のDNA抽出および亜硫酸水素塩配列決定を、先に記載の通り(49)に実施した。DNA抽出前に、Facsaria血球計算器を用いてGFP陽性M−iPS細胞を選別して、フィーダー細胞による汚染を回避した。C57BL/6JとJF1バックグラウンド間のDNA多型を用いて、MEFとM−iPS細胞中の対立遺伝子識別を行なった。
プライマー:
Bis−Oct4
順方向:TTAGAGGATGGTTGAGTGGGTTTGTAAGGAT(配列番号:25)
逆方向:CCAATCCCACCCTCTAACCTTAACCTCTAA(配列番号:26)
(これらのプライマーはOct−4内性コピーのみを増幅する)
Bis−Nanog
順方向:TAAATTGGGTATGGTGGTAGATAAGTTTGG(配列番号:27)
逆方向:TAAAAAACATCCTCTAATCTAAAAACATCC(配列番号:28)
Bis−Snrpn
順方向:ATTGGTGAGTTAATTTTTTGGA(配列番号:29)
逆方向:ACAAAACTCCTACATCCTAAAA(配列番号:30)
キメラの生成
(B6−JF1)M−iPS細胞をCD1胚盤胞内に注入することによってキメラを生産し、これをその後、偽妊娠のCD1雌の体内に移植した。M期抽出物で処理したiPSクローンを核型分析により雌雄鑑別した。
クロマチン画分の精製および分析
透過処理されたMEF核をM期アフリカツメガエル卵子抽出物中で40分間インキュベートし、5体積のXB緩衝液中で希釈し、0.7Mのスクロースクッションを通して500gで10分間の遠心分離によりペレット化した。核ペレットを0.2%のトリトンX−100を用いてXB中に再懸濁し、氷上で5分間インキュベートした。5000gで5分間の遠心分離によりクロマチンペレットを回収し、Laemmli緩衝液中で調整し、SDS−PAGEにより分析した。以下の抗体を用いてウェスタンブロット分析を実施した:抗−ser10リン酸化ヒストンH3(Ozyme、9701S)、抗−ヒストンH3(Abcam、abl791)、抗−HP1α(Millipore、MAB3584または2616)、抗−ヒストン変異体H3.3(Abcam、ab62642)、抗−Lamin B1(Abcam、ab16048)、抗−H3K4me2(Abcam、Ab7766)、抗−H3K4me3(Abcam、Ab1012)、抗−H3K9me2(Millipore、07−441)、抗−H3K9me3(Upstate)、抗−H4K20me3(Abcam、ab9053)、抗−H4K8アセチル (Abcam、abl760)、抗−H3K27me3(Millipore、07−449)、抗−H3K9アセチル(Abcam、ab4441)および抗−アセチルH3(Millipore06−599)。
ウイルス組込み
全ての細胞集団(非感染MEF、感染MEFおよび感染され、透過処理され、M期アフリカツメガエル卵子抽出物または緩衝液でインキュベートされたMEF)を、感染から21日後に収穫し、DNEasyキットを用いメーカーの手順にしたがって、全DNAを抽出した。その後、上述の通りに定量的PCRを実施した。定量化データは、2つのゲノム領域の平均に対して、かつ感染されていないMEFのDNAとの関係において正規化された。
プライマー:
DNA Oct4
順方向:aagttggcgtggagactttg(配列番号:31)
逆方向:tctgagttgctttccactcg(配列番号:32)
DNA Klf4
順方向:gctcctctacagccgagaatc(配列番号:33)
逆方向:atgtccgccaggttgaag(配列番号:34)
DNA Sox2
順方向:tcaagaggcccatgaacg(配列番号:35)
逆方向:ttgctgatctccgagttgtg(配列番号:36)
DNA cMyc
順方向:gctggagatgatgaccgagt(配列番号:37)
逆方向:atcgcagatgaagctctggt(配列番号:38)
DNA ゲノム1
順方向:gtcaccgtttgtgccgaa(配列番号:39)
逆方向:agctgaaatgagaccgattatgg(配列番号:40)
DNA ゲノム2
順方向:gagtcaaagagtggtgaaggagttagt(配列番号:41)
逆方向:agctgacgggccttctaagtc(配列番号:42)
実施例2の参照文献

Claims (16)

  1. ・ 第1の細胞の少なくとも1つの透過処理された核、または前記核を含む少なくとも1つの透過処理された第1の細胞[なお前記第1の細胞は、多細胞生物に由来する人工多能性幹細胞、すなわちiPS細胞である]と;
    ・ 多細胞生物の雌生殖細胞または卵子の単離された抽出物[なお前記卵子は減数分裂の中期IIにおいて遮断されており、前記抽出物はEGTAを含む]と;
    を含む組成物の、
    − 多能性幹細胞または前記多能性幹細胞に由来する組織を得るための方法、または
    − 前記プロセスが人間のクローニングを目的としていないことを条件とする、クローニングする方法、
    を実施するための使用。
  2. 前記雌生殖細胞の単離抽出物が、非ヒト雌生殖細胞の単離抽出物であるか、または前記卵子の単離抽出物が非ヒト卵子の単離抽出物である、請求項1に記載の組成物の使用。
  3. ・ 第1の細胞の少なくとも1つの透過処理された核、または前記核を含む少なくとも1つの透過処理された第1の細胞[なお、前記第1の細胞は多細胞生物に由来し、前記第1の細胞は人工多能性幹細胞すなわちiPS細胞であり、前記iPSは、少なくとも
    − Octファミリー成員タンパク質およびSoxファミリー成員タンパク質、ならびに
    − Klfファミリー成員タンパク質およびMycファミリー成員タンパク質か、
    − あるいはNanog成員タンパク質およびLIN28成員のいずれか、
    をコードする遺伝子の組合せを発現する]と;
    ・ 多細胞生物の雌生殖細胞または卵子の単離抽出物[なお前記卵子は減数分裂の中期IIにおいて遮断されており、前記抽出物はEGTAを含む]と;
    を含む組成物。
  4. 前記雌生殖細胞が、好ましくは哺乳動物、詳細にはヒト、鳥類、爬虫類および両生類の中から選択される脊椎動物の雌生殖細胞である、請求項3に記載の組成物。
  5. 前記雌生殖細胞の単離抽出物が非ヒト雌生殖細胞の単離抽出物であるか、または前記卵子の単離抽出物が非ヒト卵子の単離抽出物である、請求項3に記載の組成物。
  6. 前記雌生殖細胞がアフリカツメガエル細胞である、請求項3〜5に記載の組成物。
  7. 人間をクローニングするためのプロセスでないことを条件として、第1の細胞の少なくとも1つの透過処理された核または前記核を含む少なくとも1つの透過処理された第1の細胞[なお、前記第1の細胞は多細胞生物に由来し、前記第1の細胞は、人工多能性幹細胞すなわちiPS細胞である]と、多細胞生物の雌生殖細胞または卵子の単離抽出物[なお前記卵子は減数分裂の中期IIにおいて遮断されており、前記抽出物はEGTAを含む]とを接触させるステップを含む、多能性幹細胞の生産方法。
  8. −・ Oct4、Sox2、Klf4およびc−Mycタンパク質の第1の組合せか、
    ・ あるいはOct4、Sox2、NanogおよびLIN28タンパク質の第2の組合せのいずれか、
    を少なくともコードする遺伝子で分化した体細胞をトランスフェクトして、iPS細胞である第1の細胞を得る第1のステップと;
    − 先行するステップで得た前記第1の細胞を透過処理して、透過処理されたiPS細胞を得る第2のステップと;
    − 多細胞生物の雌生殖細胞または卵子の単離抽出物と前記透過処理されたiPS細胞とを接触させる第3のステップ[なお前記卵子は減数分裂の中期IIにおいて遮断され、前記抽出物はEGTAを含む]と;
    を含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記雌生殖細胞が、好ましくは哺乳動物、詳細にはヒト、鳥類、爬虫類および両生類の中から選択される脊椎動物の雌生殖細胞であり、好ましくは前記生殖細胞がアフリカツメガエル細胞である、請求項7または8に記載の方法。
  10. 前記雌生殖細胞の単離抽出物が非ヒト雌生殖細胞の単離抽出物であるか、または前記卵子の単離抽出物が非ヒト卵子の単離抽出物である、請求項7または8に記載の方法。
  11. ・ Oct4、Sox2、Klf4およびc−Mycタンパク質の第1の組合せか、
    ・ あるいはOct4、Sox2、NanogおよびLIN28タンパク質の第2の組合せのいずれか、
    を少なくともコードする遺伝子で分化した体細胞をトランスフェクトする第1のステップにおいて、第1の組合せまたは第2の組合せがそれぞれ、Oct4、Sox2、Klf4およびc−Mycタンパク質あるいはOct4、Sox2、NanogおよびLIN28タンパク質をコードする核酸を少なくとも含む、請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. Oct4、Sox2、Klf4およびc−Mycタンパク質またはOct4、Sox2、NanogおよびLIN28タンパク質をコードする前記少なくとも1つの核酸が、少なくとも1つのウイルスベクター、好ましくは少なくとも1つのレトロウイルスベクター、詳細には少なくとも1つの組込み型レトロウイルスベクターの中に含まれている、請求項11に記載の方法。
  13. 前記少なくとも1つの組込み型レトロウイルスベクターが、前記分化体細胞のゲノム内に組込まれる、請求項12に記載の方法。
  14. 前記多能性幹細胞の多能性の維持を可能にする培地内で先行ステップにおいて得られた細胞を培養するステップをさらに含む、請求項7〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 人間をクローニングするためのプロセスではないことを条件として、
    − 請求項7〜12のいずれか一項に記載の方法において定義されている多能性幹細胞の生産ステップと;
    − 前記多能性幹細胞が由来する種と同じ種の動物の除核卵子内に前記多能性幹細胞の核を移植して、アロ有核卵子を得るステップと;
    を含む、動物、好ましくは哺乳動物をクローニングするための方法。
  16. 所望の分化段階で、多細胞生物、詳細には脊椎動物の細胞、細胞株または組織を得るための方法において、
    − 請求項7−12のいずれか一項に記載の方法において定義されている多能性幹細胞の生産ステップと;
    − 所望の分化段階で細胞、細胞株または組織を得るための適切な条件下で、多能性幹細胞を培養するステップと;
    を含む方法。
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