JP2014523744A - 多能性幹細胞を得るための細胞抽出物の使用 - Google Patents
多能性幹細胞を得るための細胞抽出物の使用 Download PDFInfo
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Abstract
【選択図】なし
Description
核移植の効率を増強できるさまざまな方法が識別されてきた。
より近年では、クローニング効率および分化細胞の再プログラミング方法の効率を増強するために、他のアプローチが行われてきた。
・ 第1の細胞の少なくとも1つの透過処理された核、または前記核を含む少なくとも1つの透過処理された第1の細胞[なお前記第1の細胞は、多細胞生物に由来する人工多能性幹細胞、すなわちiPS細胞である]と;
・ 多細胞生物の雌生殖細胞または卵子の単離された抽出物[なお前記卵子は減数分裂の中期IIにおいて遮断されており、前記抽出物はEGTAを含む]と;
を含む組成物の、
− 多能性幹細胞または前記多能性幹細胞に由来する組織を得るための方法、または
− 詳細には前記プロセスが人間のクローニングを目的としていないことを条件とする、クローニングする方法、
を実施するための使用に関する。
− Klfファミリー成員タンパク質およびMycファミリー成員タンパク質、
− またはNanog成員タンパク質およびLIN28成員のいずれか、
と共に、少なくともOctファミリー成員タンパク質およびSoxファミリー成員タンパク質を分化体細胞内で発現させることを可能にすることによって得られる、以上で定義した使用に関する。
− Klfファミリー成員タンパク質およびMycファミリー成員タンパク質、
− またはNanog成員タンパク質およびLIN28成員のいずれか、
と共に、
少なくともOctファミリー成員タンパク質およびSoxファミリー成員タンパク質をコードする遺伝子を用いて分化体細胞をトランスフェクトすることによって得られる、以上で定義した使用に関する。
− Oct4、Sox2およびKlfファミリー成員タンパク質、
− Oct4、Sox2およびMycファミリー成員タンパク質
− Oct4、Sox2およびNanog成員タンパク質、および
− Oct4、Sox2およびLIN28ファミリー成員タンパク質、
という遺伝子の最小限の組合せが、遺伝子のみあるいは抽出物のみの場合に比べて核移植およびクローニングを増強できることを実証した。
− Oct4、Sox2、Klf4およびc−Mycタンパク質の第1の組成物、
− またはOct4、Sox2、NanogおよびLIN28タンパク質の第2の組成物のいずれかと、
分化体細胞とを接触させることによって得られる、以上で定義した使用に関する。
・ 第1の細胞の少なくとも1つの透過処理された核、または前記核を含む少なくとも1つの透過処理された第1の細胞[なお、前記第1の細胞は多細胞生物に由来し、前記第1の細胞は人工多能性幹細胞すなわちiPS細胞である]と;
・ 多細胞生物の雌生殖細胞または卵子の、場合によって単離された抽出物[なお前記卵子は減数分裂の中期IIにおいて遮断されており、前記抽出物はEGTAを含む]と;
を含む組成物にも関する。
− Octファミリー、
ー成員タンパク質およびSoxファミリー成員タンパク質、および
− Klfファミリー成員タンパク質およびMycファミリー成員タンパク質か、
− あるいはNanog成員タンパク質およびLIN28成員のいずれか、
と分化体細胞を接触させることによって得られる、以上で定義した組成物に関する。
・ 第1の細胞の少なくとも1つの透過処理された核、または前記核を含む少なくとも1つの透過処理された第1の細胞[なお、前記第1の細胞は多細胞生物に由来し、前記第1の細胞は人工多能性幹細胞すなわちiPS細胞であり、前記iPSは、少なくとも
− Octファミリー成員タンパク質およびSoxファミリー成員タンパク質、ならびに
− Klfファミリー成員タンパク質およびMycファミリー成員タンパク質か、
− あるいはNanog成員タンパク質およびLIN28成員のいずれか、
をコードする遺伝子の組合せを発現する]と;
・ 多細胞生物の雌生殖細胞または卵子の単離抽出物[なお前記卵子は減数分裂の中期IIにおいて遮断されており、前記抽出物はEGTAを含む]と;
を含む、以上で定義した組成物に関する。
− Octファミリー成員タンパク質およびSoxファミリー成員タンパク質、および
− Klfファミリー成員タンパク質およびMycファミリー成員タンパク質か、
− あるいはNanogファミリー成員タンパク質およびLIN28ファミリー成員タンパク質のいずれか、
と分化体細胞を接触させることによって得られる、以上で定義した方法に関する。
− Octファミリー成員タンパク質およびSoxファミリー成員タンパク質、および
− Klfファミリー成員タンパク質およびMycファミリー成員タンパク質か、
− あるいはNanogファミリー成員タンパク質およびLIN28ファミリー成員タンパク質のいずれか、
をコードする遺伝子を用いて分化体細胞をトランスフェクトすることによって得られる、以上で定義した方法に関する。
・ Oct4、Sox2、Klf4およびc−Mycタンパク質の第1の組合せか、
・ あるいはOct4、Sox2、NanogおよびLIN28タンパク質の第2の組合せのいずれか、
を少なくともコードする遺伝子で分化した体細胞をトランスフェクトする第1のステップにおいて、第1の組合せまたは第2の組合せがそれぞれ、Oct4、Sox2、Klf4およびc−Mycタンパク質またはOct4、Sox2、NanogおよびLIN28タンパク質をコードする核酸を少なくとも含む、以上で定義した方法に関する。
−・ Oct4、Sox2、Klf4およびc−Mycタンパク質の第1の組成物か、
・ あるいはOct4、Sox2、NanogおよびLIN28タンパク質の第2の組成物のいずれか、
と分化した体細胞を接触させて、iPS細胞である第1の細胞を得るステップと;
− 先行するステップで得た前記第1の細胞を透過処理して、透過処理されたiPS細胞を得るステップと;
− 多細胞生物の雌生殖細胞または卵子の(単離された)抽出物と前記透過処理されたiPSとを接触させるステップ[なお前記卵子は減数分裂の中期IIにおいて遮断され、前記抽出物はEGTAを含む]と;
を含む、以上で定義した方法に関する。
−・ Oct4、Sox2、Klf4およびc−Mycタンパク質の第1の組合せか、
・ あるいはOct4、Sox2、NanogおよびLIN28タンパク質の第2の組合せのいずれか、
をコードする遺伝子で分化した体細胞をトランスフェクトして、iPS細胞である第1の細胞を得るステップと;
− 先行するステップで得た前記第1の細胞を透過処理して、透過処理されたiPS細胞を得るステップと;
− 多細胞生物の雌生殖細胞または卵子の単離抽出物と前記透過処理されたiPSとを接触させるステップ[なお前記卵子は減数分裂の中期IIにおいて遮断され、前記抽出物はEGTAを含む]と;
を含む、以上で定義した方法に関する。
・ Oct4、Sox2、Klf4およびc−Mycタンパク質の第1の組成物か、
・ あるいはOct4、Sox2、NanogおよびLIN28タンパク質の第2の組成物のいずれか、
と分化した体細胞とを接触させるステップにおいて、第1の組成物または第2の組成物がそれぞれ、Oct4、Sox2、Klf4およびc−Mycタンパク質またはOct4、Sox2、NanogおよびLIN28タンパク質をコードする核酸を少なくとも含む、以上で定義した方法に関する。
− 15%(v/v)のFCS(牛の新生児由来の血清、液体、ES培地について試験済み、アリコートを−20℃で保管)、
− 溶解状態で10日間のみ安定な、1/100(v/v)のL−グルタミン(200mM:Gibco 25030−024、アリコートを−20℃で保管)、
− 1/100(v/v)の可欠アミノ酸(Gibco 11140−035、アリコートを冷蔵庫で保管)、
− 1/100(v/v)のペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco 15140−122、アリコートを−20℃で保管)、
− 1/500(v/v)の2−メルカプトエタノール(Gibco 31350−010、最終濃度0.1mM、アリコートを冷蔵庫内で保管)、
− 1/10,000(v/v)のLIF(白血病抑制因子(Chemicon製「ESGRO」、No.ESG1107、最終濃度1000U/ml以下(それぞれの細胞株の特性による)、10%(v/v)ほどの血清と共にDMEM中で1/100希釈液を作り、さらに1/100だけ希釈して常用濃度を達成する。−20℃で保管)、
で補足されたDMEM(高グルコース、Gibco 41966−052、冷蔵庫で保管)最少培地中において、37℃/CO2、50%/湿度95%で成長させられる。
− 先行する定義に係る方法において定義されている多能性幹細胞の生産ステップと;
− 前記多能性幹細胞が由来する種と同じ種の動物の除核卵子内に前記多能性幹細胞の核を移植して、アロ有核卵子を得るステップと;
− 前記多能性幹細胞が由来する種と同じ種の偽妊娠雌内に前記アロ有核卵子を移植するステップと;
を含む、動物、好ましくは哺乳動物をクローニングするための方法にも関する。
− 以上で言及した通り遺伝子を発現することにより分化細胞を脱分化する、
− 前記細胞の核を抽出し、わずかに透過処理し、多細胞生物の雌生殖細胞または卵子の単離抽出物に対して曝露する[前記卵子は減数分裂の中期IIにおいて遮断されており、前記抽出物はEGTAを含む]、
− 次に、任意には核をPBSで洗浄する、
− 核を除核卵子内に移植する。
− 以上で定義した方法において定義されている多能性幹細胞の生産ステップと;
− 前記多能性幹細胞が由来する種と同じ種の動物の除核卵子内に前記多能性幹細胞の核を移植して、アロ有核卵子を得るステップと;
を含む、動物、好ましくは哺乳動物をクローニングするための方法にも関する。
− 以上で定義した方法において定義されている多能性幹細胞の生産ステップと;
− 所望の分化段階で細胞、細胞株または組織を得るための適切な条件下で、多能性幹細胞を培養するステップと;
を含む方法にも関する。
間期抽出物について使用した手順と類似の手順を通して、有糸分裂抽出物を調製する。ただし、卵子は活性化されてはならず、溶液中に存在するかまたは細胞内貯蔵から放出される微量のカルシウムをキレートするため、EGTAを緩衝液に添加しなければならない。
2.ガラス製ビーカーに卵子を移し、HSB(HSB−CSF:15mMのHepes pH7.6;110mMのNaCl;2mMのKCl;1mMのMgSO4;0.5mMのNa2HPO4;2mMのNaHCO3+2mMのEGTA)を用いて洗い流す。同じカエルに由来する卵子をプールすることが有利である。
3.精製水を添加し、外部ゼリー層を室温で5分間膨潤させる。
4.HSB−CSF0.3X、システイン2%、pH7.9を添加し(溶液は、調製後6時間以内に使用しなければならない)、間隔をおいて穏やかに旋回させることにより、ゼリー層を除去する。これには5−10分かかり、卵子がわずかに変形した状態で密に詰められた時点で、ゼリー層の完全な除去が得られる。ゼリー層を完全に除去することが重要である。この段階で、成功は、調製の迅速性およびステップ10の後の低温条件が厳守されているか否かにかかっている。
5.直後に、卵子1mlあたり100−200mlのHSB−CSFを用いて少なくとも5回洗い流す。この時点で、20%超の卵子内で壊死が見られた場合、それ以上作業は続行しない。50ml入りのガラス製ビーカーに移す。
6.顕微鏡での観察のため、大きいガラス製ペトリ皿に卵子を移す。卵子は自発的活性化の兆候を全く示してはならない。
7.低温のウルトラクリアチューブに移す。10μg/mlのプロテアーゼ阻害剤および100μg/mlのサイトカラシンBを含む低温のXB−CSF(10mMのHEPES pH7.7;100mMのKCl;1mMのMgCl2;5%のスクロース;1mMのDTT;5mMのEGTA)で洗い流す。3mlの卵子に対して1mlを使用する。
8.5−10分間氷の中にチューブを放置して、卵子を冷やす。
13.Sorvallスウィンギングローターまたはその等価物の中で、150g、1℃で45秒間遠心分離することにより、余剰の緩衝液を除去し、卵を詰める。
14.10分間1℃で、17,000g(Sorvall HB4スウィンギングローター、10K)で、急速に余剰の緩衝液を除去し、遠心分離する。遠心分離は卵子を圧壊し、こうして可溶性内容物は排除される。
15.可溶性抽出物の量に応じて、1−5ml入りシリンジに挿入された20ゲージの針でチューブの側面に穴を開けることにより抽出物を抜き取る。黒色顔料層のすぐ上に針を挿入し、黄色の脂質最上層を避けながら、細胞質層を収集する。低温のウルトラクリアチューブに移す。10μg/mlのプロテアーゼ阻害剤、10μg/mlのサイトカラシンB、1/20体積のEnergy Mix 20X(Energy Mix−CSF 20X:200μg/mlのクレアチンキナーゼ;200mMのクレアチンリン酸;20mMのATP;20mMのMgCl2;+2mMのEGTM)、および5%のグリセロールを添加する。穏やかに混合する。
16.同じ条件で再度遠心分離する。
17.低温チューブ内に上清を収集する。必要な場合には200μg/mlのシクロヘキシミドを添加して、タンパク質合成を防止する。液体窒素中で先に凍結させた100または200μlのアリコート中で−80℃で保管する。低速抽出物中のタンパク質濃度は、50mg/ml前後であり、主としてリボソーム中のRNA濃度は5−10mg/mlである。アリコートは、一度しか使用してはならず、解凍後に再凍結させてはならない。
序
まずはカエルそして次に哺乳動物の卵子における核移植(NT)実験は、体細胞を多能性に再プログラミングできることを実証した(1−4)。より最近では、4つの転写因子Oct4、Klf4、Sox2およびc−Myc(OKSM)の異所性発現による体細胞内での多能性の誘発を用いて、胚幹(ES)細胞に極めて類似した人工多能性幹(iPS)細胞が生産された。とりわけ、マウスのiPS細胞は、奇形腫を形成してキメラを発生させ生殖細胞系列に寄与するそれらの能力により実証される通り、完全な発生能を有する。しかしながら、iPS細胞生産およびNTの両方の効率はなお低いままであり、得られる再プログラミング済み細胞は、部分的にしか再プログラミングされていないように思われる。細胞の後成的記憶は、1つの重要な障壁であり、分化細胞を効率良く再プログラミングするためには、これを克服しなければならない(5)。したがって、再プログラミング効率を改善するために、追加の要因が必要とされる場合があり(6、7)、過去数年にわたりこれらの手順を最適化するために多くの努力がされてきた。異なる再プログラミング戦略を結びつけてそれらの効率を相乗的に作用させることができる、ということが示唆されてきた(8)。細胞抽出物を用いて体細胞を再プログラミングすることによって、いくつかの試みがなされてきたが、これらの試みはNTにより得られる効果範囲を再現することができなかった。
M期アフリカツメガエル卵子抽出物を用いた前処理は、哺乳動物における核移植およびiPS細胞生産の両方の効率を改善する。
発明者らは、最初に、M期アフリカツメガエル卵子抽出物がMEFの極めて効率の悪いNTを改善できるか否かを問いかけた(13)。G1期にある透過処理されたMEF核を、M期(図1A)または間期のアフリカツメガエル卵子抽出物あるいは緩衝液単独を用いて予備インキュベートし、NT後の胚盤胞段階へのそれらの進行を比較した。G1MEF核のNTは、11%の胚盤胞を導き(図1Bおよび表1)、これは、以前にNTのための最良のドナー核として記載された中期ES核のNT後に得られたもの(55%)(14)よりも著しく低い値であった。M期卵子抽出物内でのMEF核の条件づけは、胚盤胞形成速度を、中期ES核で得られたもの(45%)に匹敵するレベルまで著しく上昇させた(図1Bおよび表1)。これらのデータは、M期アフリカツメガエル卵子抽出物がNTによる体細胞の再プログラミングを効率良く改善することを示している。逆に言うと、間期卵子抽出物での予備インキュベーションは、NT効率を改善せずむしろわずかに減少させており(3%)、このことは、再プログラミングする抽出物の有糸分裂状態の重要性を指摘するものである。有糸分裂MEFおよびG1 ES核は両方共、中期遮断された卵母細胞内でのNTにとって比較的低効率のドナーであったことから(表1に要約)、発明者の結果は、M期アフリカツメガエル抽出物での処理が、有糸分裂状態および多能性状態の両方に向けてMEF核を再構成できることも示唆している。
モック緩衝液、間期またはM期のアフリカツメガエル卵子抽出物中で予備インキュベートされたMEF核およびES核の核移植後に得られた2−細胞胚との関係における胚の百分率。有糸分裂およびG1 ES核を、先に記載の通り(33)に単離し注入し、有糸分裂MEFをLiら(13)中に記載の通りに単離し注入した。
*は、sv129/sv細胞株を意味し;**は、129/Svpas細胞株を意味する。
M−iPS細胞は、ES株の形態および多能性マーカーアルカリホスファターゼ、OCT4、NANOG、およびSSEA1の均一な発現を提示した(図2A−S)。その上、異なる多能性マーカーの発現レベルは、定量的PCRにより測定され、ES細胞内のものに類似していた(図2T−U)。M−iPS細胞、MEFおよびES細胞の転写学的プロファイルが分析され(図7)、DNAマイクロアレイ解析の散布図が、M−iPS細胞とES細胞の間の類似性を確認した(R2=0.9175)。効率の良い再プログラミングは、Oct4およびNanogなどの多能性の重要な調節因子のプロモータ上でのDNAの低メチル化に密接に結びつけられている[Maherali Nら、Cell Stem Cell.2007 Jun 7;l(l):55−70]。M−iPS細胞とES細胞のDNAメチル化プロファイルは類似しており(図8A−B)、これはM期アフリカツメガエル卵子抽出物とOKSM発現を組合せることにより得られる再プログラミング効率を裏付けている。
CD1胚盤胞内へのM期iPS細胞の2つの異なるクローン(雄と雌1つずつ)の注入および生殖細胞系列をコロニー化するそれらの能力の分析の後に得られたキメラの百分率。
M期アフリカツメガエル卵子抽出物の相乗効果を特徴づけするために、発明者らは最初に、この処理単独で、MEFの限定された増殖能を修飾できるか否かを問いかけた(24)。M期卵子抽出物での処理は、少なくとも2回の細胞周期中、MEFの増殖速度を強く増大させ(図4A)、少数のコロニーの形成を誘発し、これらは成長停止前の数日にわたり拡張した(図4B−G)。これらのコロニーは、M−iPS細胞誘発の時点ほど多くなく、モック処理されたMEF中で見られることは全くなかった。
間期アフリカツメガエル卵子抽出物ではなくM期アフリカツメガエル卵子抽出物のみが、逆方向に透過処理されたMEFならびにNT効率に対して再プログラミング効果を有していたという観察事実は、ドナー抽出物の有糸分裂段階が極めて重要であることを表わしている。したがって、発明者らは、G1期におけるMEFのM期卵子抽出物に対する曝露が、再プログラミングされた核内で有糸分裂マーカーを誘発できるか否かを調査した。実際、M期アフリカツメガエル卵子抽出物に対する曝露は、MEF核を有糸分裂様の段階へと駆動し、それには、クロマチン構造の修飾(図5A−D)とそれに続く包括的縮合(縮合されたクロマチン繊維の形成により示される)(図5E−G)が随伴していた。M期卵子抽出物に曝露されたMEF核は、同様に、全て有糸分裂期への進入の顕著な特徴である、Ser10上でのヒストンH3のリン酸化反応、および核構造に関与する1つの因子である核エンベロープ構成成分ラミンB1の解離(27、28)(図5H−Oおよび5R)をも示した。
発明者らは、先に、M期アフリカツメガエル卵子抽出物が、分化アフリカツメガエル細胞由来の核の複製プログラムをリセットし、DNA複製の体細胞プロファイルから胚プロファイルへの遷移を可能にすることができることを示した(12)。したがって、発明者らは、MEF核が同様の形で再プログラミングされ得るか否かを問いかけた。この目的で、G1中で合成されたMEFからの核が、間期アフリカツメガエル卵子抽出物でインキュベートされるか、または、間期卵子抽出物内への移植の前にまずM期卵子抽出物に曝露され、次にそれらのDNA複製能力が評価された(図6A)。間期卵子抽出物のみに曝露された核は、DNAを全く(または非常にわずかしか)複製しなかった(図6B)。逆に、M期卵子抽出物内でのMEF核の予備インキュベーションが、間質抽出物にさらに移植された時点でのアフリカツメガエル精子核のものとほぼ類似の動態でDNA複製を誘発した(図6C)。発明者らは、アフリカツメガエル卵子抽出物内での有糸分裂を経験したマウス体細胞核が部分的に再プログラミングされ、アフリカツメガエル初期胚の特徴である加速されたDNA複製速度を獲得すると結論づけている。
アフリカツメガエル卵子抽出物によるマウス胚繊維芽細胞の再プログラミング
本明細書中に記載の実験は、M期アフリカツメガエル卵子抽出物を用いた哺乳動物体細胞核または細胞の短時間インキュベーションが、NTおよびiPS細胞生産の両方の効率を改善することを示している。このことは、NTおよびiPS細胞による再プログラミングの効率を限定する共通の障壁の存在、および、M期アフリカツメガエル卵子抽出物中での予備インキュベーションがこれらの障壁の除去を補助するかもしれないことを示唆している。その上、ここで提示されている結果は、異なる戦略を組合せることで哺乳動物体細胞核の再プログラミングを改善できることも強調している。NTもヘテロカリオンも、技術的制限条件のため、iPS細胞と組合せて使用することができない。しかしながら、アフリカツメガエル卵子抽出物は、大量に入手でき、iPS細胞の収率を増大させるために使用可能である。
発明者らの実験は、アフリカツメガエル卵子抽出物の有糸分裂状態が極めて重要であることを示している。アフリカツメガエル間期卵子抽出物は、透過処理されたMEF中の再プログラミングを誘発することも、NT効率を改善することもなかった。逆に、M期アフリカツメガエル卵子抽出物は、Ser10上のヒストンH3のリン酸化反応および核構造の再構成により明らかにされる通り、G1 MEF核内の包括的な有糸分裂サインを誘発した。有糸分裂におけるクロマチンのこの包括的再組織化は、M期アフリカツメガエル卵子抽出物の再プログラミング活性にとって決定的に重大な意味をもつ可能性がある。有糸分裂を通しての遷移は、有糸分裂において一時的に停止された接合子が間期接合子よりもはるかに効率良く核再プログラミングを支援する、マウスの体内で実施されたNT実験において、極めて重要であることが、つねに発見されてきた(35)。要するに、これらの結果は、効率の良い再プログラミングには、初期胚多能性状況のみならず、有糸分裂を通した遷移も必要となることを示している。
細胞周期の同期化効果に加えて、有糸分裂胚状況における核の条件づけは、遺伝子発現の再プログラミングを容易にするかもしれない。有糸分裂中、大部分の既存の転写および複製因子は、クロマチンから消去される(38)。例えば、3つのポリメラーゼ全てが転写のために必要とする転写機構の主要構成要素であるTBPならびにTFIIBは、核小体の消滅と共に、卵子抽出物中でインキュベートされた体細胞核のクロマチンから除去される(39)。発明者らの実験は、M期アフリカツメガエル卵子抽出物が、G1 MEF核内で包括的有糸分裂サインを効率良く誘発することを示しており、これはHP1の喪失、Ser10上でのヒストンH3のリン酸化反応および核構造の再構成により明らかにされている。興味深いことに、転写抑制に関連づけされるマーク(H3K9me2、H3K9me3、H4K20me3)および活性クロマチンに関連づけされるマーク(アセチルH4K8、アセチルH3K9、H3K4me3、H3K4me2)が両方共、M期抽出物を用いてインキュベートされたMEF核のクロマチンの中で削減されている。この事象は、ES細胞の非定型二価後成的サインの流れをくむものであり(40)、体細胞核の記憶をリセットすることにより再プログラミングを促進できると考えられる。ヒストン脱メチル化も同様に、M期アフリカツメガエル卵子抽出物の作用の興味深い特徴であると思われる。ただし、後成的マークの削減は完全ではなく、M期抽出物でのインキュベーションの後に一部の確定した核構造が残る可能性があることを示唆している。
細胞および培地
MEFは、13.5E野生型マウス胚またはOCT4−GFPトランスジェニック対立遺伝子に対して半接合であるC57BL/6J−JF1胚から誘導された。MEF単離の前に、生殖腺、内蔵器官および頭を除去した。その後、10%のES試験済みウシ胎仔血清(cat N°S1810、Biowest)、2mMのL−グルタミン(Invitrogen)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Sigma)で補足した高グルコースDMEM(Invitrogen)中で、MEFを拡張させた。MEFは、5代継代まで使用した。OCT4−GFPマウスは、当初Pr.Scholerによって創出され、Pr.Surani(Wellcome Trust/Cancer Resarch UK Gurdon Institute、Cambridge)からこれを入手した。ES細胞株CGR8は、Dr C.Crozet(Institute de Genetique Humaine,Montpellier)から入手した。ES細胞を、フィーダー無しで0.1%のゼラチン上で成長させた。これらをES培地[すなわち1000U/mlのLIF(ES−GRO)の存在下で10%のウシ胎仔血清、0.1mMのβ−メルカプトエタノール、1mMのピルビン酸ナトリウム、1%の可決アミノ酸(Gibco)、2mMのL−グルタミンが補足されたGMEM]中5%のCO2内で37℃で培養した。
Lemaitreら、(12)、Menutら、(43)およびwww.igh.cnrs.fr/equip/mechali/で入手可能な詳細なプロトコル中に記載の通りに、アフリカツメガエル有糸分裂および間期卵子抽出物ならびに膜除去された精子核を調製し、使用した。アフリカツメガエル赤血球核について記載された手順(12)にしたがって、初期継代(最高P5)の集密的MEFからMEF核を調製した。簡単に言うと、MEFをトリプシン処理し、PBSで2回洗浄した。低張緩衝液(10mMのKHEPES pH7.5;2mMのKCl;1mMのDTT;2mMのMgCl2;1mMのPMSF;プロテアーゼ阻害剤)の中で1時間、MEFをインキュベートした。その後、膨潤した細胞を20−30ストロークで均質化し、その後、氷上で0.2%のトリトンX−100を含む低張緩衝液中で3分間インキュベートした。等張緩衝液(10mMのKHEPES、25mMのKCl、2mMのMgCl2、75mMのスクロースおよびプロテアーゼ阻害剤)中で2回、核を洗浄した。最後に、0.7Mのスクロースクッションを通して核を遠心分離し、20%のスクロースで補足した等張緩衝液中に再懸濁させた。精子核およびMEF核(それぞれ1μlあたり1000個および500個の核)をS期またはM期(CSF)抽出物中でインキュベートした。先に記載の通りに(43)、アフリカツメガエル間期卵子抽出物中での[32P]αdCTP取込みにより、DNA合成を測定した。M期抽出物から間期抽出物への核移植を、先に記載の通り(12)に実施した。
主としてTaragerら、(44)により記載された通りに、ストレプトリジンO(SLO)を用いてMEFを透過処理した。簡単に言うと、MEFをトリプシン処理し、PBS中で2回洗浄し、その後、250ng/μlのSLO(Sigma S0149)と共に1000細胞/μlでCa2+およびMg2+を含まない低温ハンクス液(HBSS)中に再懸濁させた。細胞を50分間穏やかに撹拌しながら37℃でインキュベートし、その後、氷冷のHBSSで2回洗浄した。透過処理された細胞をM期アフリカツメガエル卵子抽出物または緩衝液(抽出物1μlあたり細胞1000個)中で40分間インキュベートし、HBSS中で2回洗浄し、2mMのCaCl2で補足された完全ES培地中でゼラチン上で2時間再封し、その後完全ES培地中で培養した。
メーカーの推奨事項にしたがって、リポフェクタミン2000トランスフェクション剤(Invitrogen)を用いて、Oct4、Sox2、Klf4およびc−MycをコードするpMXsレトロウイルスベクター中の構成体(Addgeneより入手)をPlatinum HEK細胞中にトランスフェクトした。750μlのOPTIMEMに対して30μlのリポフェクタミン2000を添加し、750μlのOPTIMEM中に希釈され5分間インキュベートされた12μgのDNAと混合した。20℃で20分間インキュベートした後、DNA/リポフェクタミン2000の混合物を滴下によりPlatinumHEK細胞に添加した。トランスフェクションから48時間後に、上清を収集し、0.45μmのMillex HV(Millipore)フィルターを通して濾過し、12μg/mlのポリブレンで補足した。OCT4−GFP MEFを、56cm2のペトリ皿内で0.1%のゼラチン上に8・105細胞の密度で播種し、上清を含む4つのウイルスを等量でプールし、MEFに添加した。18時間後に、上清を除去し、細胞を完全ES培地中で培養した。5−6時間後に、細胞を上述の通り、トリプシン処理しSLOで透過処理し、その後、モック緩衝液(HBSS)またはアフリカツメガエルM期卵子抽出物のいずれかの中で40分間インキュベーションした。処理後、細胞を2回洗浄し、2mMのCaCl2で補足したES培地を用いてゼラチン被覆した皿の中に平板固定(56cm2あたり8・105個の細胞)した。2時間後、培地を除去し、OCT4−GFP陽性コロニーが出現するまで、完全ES培地で置換した。M期抽出物で処理したOCT4−GFP陽性コロニーを機械的に単離し、個別の細胞を解離させ、分析のためフィーダー上に平板固定し、この分析をフィーダー上での少なくとも15継代の後に実施した。
核移植実験を主としてZhouら(45)に記載の通りに実施した。簡単に言うと、集密的な(B6×129)MEF由来の透過処理されたMEF核を、上述の通りに新たに調製し、除核された間期IIマウス卵母細胞中に直接注入するか、またはM期または間期アフリカツメガエル卵子抽出物中で40分間予備インキュベートした。注入前に、予備インキュベートした核をM16培地中で2回洗浄して、アフリカツメガエル卵子抽出物を除去した。注入前に、位相差顕微鏡を用いて核を目視することによって、処理効率とクロマチン無欠性を評価した。Zhouら(45)に記載の通りに、(B6×129)中期ES細胞を単離した。
ES細胞またはM期抽出物で処理したiPS細胞を、0.05%のトリプシン/EDTAを伴う単一細胞懸濁液中に解離させ、標準的ES培地(LIF無し)を伴う非粘着性細菌ペトリ皿内に低密度で平板固定した。2日後に、培地を、0.5μMのレチノイン酸で補足したES培地で置換して、胚様体の分化を誘発した。
感染から7日後に、M期抽出物処理後の再プログラミング効率を分析した。異なる処理により誘発されたOCT4−GFP陽性コロニーの数を蛍光顕微鏡下で計数し、同じ感染実験由来の透過処理されていないOKSM感染済みMEFから得たコロニー数と比較した。Sigma Diagnostics製のアルカリホスファターゼ検出キットを用いて、メーカーの手順にしたがってアルカリホスファターゼ染色を行なった。免疫蛍光については、培養中の細胞をPBS中で一回洗浄し、次に室温(RT)で15分間3%のパラホルムアルデヒド中で固定し、PBSで洗浄し、PBS/0.2%のトリトンX−100を用いて5分間透過処理した。その後、細胞を、2%のBSAを伴うPBS中で10分間3回洗浄し、抗−OCT−3/−4(C−10)(Santa−Cruz、sc−5279)、抗−NANOG(Abcam、ab21603)または抗−SSEA1(クローン16MC480)(Abcam、ab16285)抗体を用いて1時間、次にPBS中での3回の洗浄後二次抗体を用いて1時間インキュベートした。DAPIを用いてDNAを染色した。先に記載の通り(43)、XB緩衝液(XB:プロテアーゼ阻害剤で補足された100mMのKCl、0.1mMのCaCl2、1mMのMgCl2、10mMのKOH−HEPES[pH7.7]、50mMのスクロース)中で、10倍希釈した後、100gでの遠心分離によりカバースリップ上に処理済み核をスピンさせることによって、M期抽出物またはモック処理されたMEF核の免疫蛍光分析を実施した。
転写解析のために、RNAeasy Mini Kitを用いて全細胞集団から全RNAを単離し、大容量cDNA逆転写キット(Applied Biosystems)を用いてRTを実施した。Roche製のLightcycler 480 SYBR Green I Masterキットを用いて、Lightcycler 480器具上で定量的PCRを実施した。定量化データを、ΔΔCt方法を用いて各プライマセットについて得た増幅曲線の対数線形位相内で内因性Hprt1/Gapdhおよびβ−Actin遺伝子の平均発現に正規化した。全ての試料は、2−3回の生物学的反復で調製された。
Oct4
順方向:ttctggcgccggttacagaaccatactcga(配列番号:1)
逆方向:gaggaagccgacaacaatgagaaccttcag(配列番号:2)
Rexl
順方向:cagctcctgcacacagaaga(配列番号:3)
逆方向:actgatccgcaaacacctg(配列番号:4)
Nanog
順方向:ttcttgcttacaagggtctgc(配列番号:5)
逆方向:agaggaagggcgaggaga(配列番号:6)
Zfpm2
順方向:gcgaagacgtggagttcttt(配列番号:7)
逆方向:ggctgtccccatctgattc(配列番号:8)
β−Actin
順方向:gccggcttacactgcgcttctt(配列番号:9)
逆方向:ttctggcccatgcccaccat(配列番号:10)
Gapdh
順方向:tggcaaagtggagattgttgc(配列番号:11)
逆方向:aagatggtgatgggcttcccg(配列番号:12)
Hprtl
順方向:tcctcctcagaccgcttt(配列番号:13)
逆方向:cctggttcatcgctaatc(配列番号:14)
Soxl
順方向:gtgacatctgcccccatc(配列番号:15)
逆方向:gaggccagtctggtgtcag(配列番号:16)
Sox17
順方向:ctttatggtgtgggccaaag(配列番号:17)
逆方向:ggtcaacgccttccaagact(配列番号:18)
Sox7
順方向:gcggagctcagcaagatg(配列番号:19)
逆方向:gggtctcttctgggacagtg(配列番号:20)
Brachyury
順方向:cagcccacctactggctcta(配列番号:21)
逆方向:gagcctggggtgatggta(配列番号:22)
Klf4
順方向:gagttcctcacgccaacg(配列番号:23)
逆方向:cgggaagggagaagacact(配列番号:24)
Nimblegenマウス発現135Kアレイ上でES細胞、MEFおよびM−iPS細胞由来の全2本鎖cDNAをハイブリット形成し、無料試用のArraystarソフトウェアで結果を解析した。Bioconductor中に実装されるRMAアルゴリズムで正規化を計算した(46)。実験はトリプリケートで行われた。
モック処理およびM期処理されたMEF核、M−iPS細胞およびCGR8 ES細胞のDNA抽出および亜硫酸水素塩配列決定を、先に記載の通り(49)に実施した。DNA抽出前に、Facsaria血球計算器を用いてGFP陽性M−iPS細胞を選別して、フィーダー細胞による汚染を回避した。C57BL/6JとJF1バックグラウンド間のDNA多型を用いて、MEFとM−iPS細胞中の対立遺伝子識別を行なった。
Bis−Oct4
順方向:TTAGAGGATGGTTGAGTGGGTTTGTAAGGAT(配列番号:25)
逆方向:CCAATCCCACCCTCTAACCTTAACCTCTAA(配列番号:26)
(これらのプライマーはOct−4内性コピーのみを増幅する)
Bis−Nanog
順方向:TAAATTGGGTATGGTGGTAGATAAGTTTGG(配列番号:27)
逆方向:TAAAAAACATCCTCTAATCTAAAAACATCC(配列番号:28)
Bis−Snrpn
順方向:ATTGGTGAGTTAATTTTTTGGA(配列番号:29)
逆方向:ACAAAACTCCTACATCCTAAAA(配列番号:30)
(B6−JF1)M−iPS細胞をCD1胚盤胞内に注入することによってキメラを生産し、これをその後、偽妊娠のCD1雌の体内に移植した。M期抽出物で処理したiPSクローンを核型分析により雌雄鑑別した。
透過処理されたMEF核をM期アフリカツメガエル卵子抽出物中で40分間インキュベートし、5体積のXB緩衝液中で希釈し、0.7Mのスクロースクッションを通して500gで10分間の遠心分離によりペレット化した。核ペレットを0.2%のトリトンX−100を用いてXB中に再懸濁し、氷上で5分間インキュベートした。5000gで5分間の遠心分離によりクロマチンペレットを回収し、Laemmli緩衝液中で調整し、SDS−PAGEにより分析した。以下の抗体を用いてウェスタンブロット分析を実施した:抗−ser10リン酸化ヒストンH3(Ozyme、9701S)、抗−ヒストンH3(Abcam、abl791)、抗−HP1α(Millipore、MAB3584または2616)、抗−ヒストン変異体H3.3(Abcam、ab62642)、抗−Lamin B1(Abcam、ab16048)、抗−H3K4me2(Abcam、Ab7766)、抗−H3K4me3(Abcam、Ab1012)、抗−H3K9me2(Millipore、07−441)、抗−H3K9me3(Upstate)、抗−H4K20me3(Abcam、ab9053)、抗−H4K8アセチル (Abcam、abl760)、抗−H3K27me3(Millipore、07−449)、抗−H3K9アセチル(Abcam、ab4441)および抗−アセチルH3(Millipore06−599)。
全ての細胞集団(非感染MEF、感染MEFおよび感染され、透過処理され、M期アフリカツメガエル卵子抽出物または緩衝液でインキュベートされたMEF)を、感染から21日後に収穫し、DNEasyキットを用いメーカーの手順にしたがって、全DNAを抽出した。その後、上述の通りに定量的PCRを実施した。定量化データは、2つのゲノム領域の平均に対して、かつ感染されていないMEFのDNAとの関係において正規化された。
DNA Oct4
順方向:aagttggcgtggagactttg(配列番号:31)
逆方向:tctgagttgctttccactcg(配列番号:32)
DNA Klf4
順方向:gctcctctacagccgagaatc(配列番号:33)
逆方向:atgtccgccaggttgaag(配列番号:34)
DNA Sox2
順方向:tcaagaggcccatgaacg(配列番号:35)
逆方向:ttgctgatctccgagttgtg(配列番号:36)
DNA cMyc
順方向:gctggagatgatgaccgagt(配列番号:37)
逆方向:atcgcagatgaagctctggt(配列番号:38)
DNA ゲノム1
順方向:gtcaccgtttgtgccgaa(配列番号:39)
逆方向:agctgaaatgagaccgattatgg(配列番号:40)
DNA ゲノム2
順方向:gagtcaaagagtggtgaaggagttagt(配列番号:41)
逆方向:agctgacgggccttctaagtc(配列番号:42)
Claims (16)
- ・ 第1の細胞の少なくとも1つの透過処理された核、または前記核を含む少なくとも1つの透過処理された第1の細胞[なお前記第1の細胞は、多細胞生物に由来する人工多能性幹細胞、すなわちiPS細胞である]と;
・ 多細胞生物の雌生殖細胞または卵子の単離された抽出物[なお前記卵子は減数分裂の中期IIにおいて遮断されており、前記抽出物はEGTAを含む]と;
を含む組成物の、
− 多能性幹細胞または前記多能性幹細胞に由来する組織を得るための方法、または
− 前記プロセスが人間のクローニングを目的としていないことを条件とする、クローニングする方法、
を実施するための使用。 - 前記雌生殖細胞の単離抽出物が、非ヒト雌生殖細胞の単離抽出物であるか、または前記卵子の単離抽出物が非ヒト卵子の単離抽出物である、請求項1に記載の組成物の使用。
- ・ 第1の細胞の少なくとも1つの透過処理された核、または前記核を含む少なくとも1つの透過処理された第1の細胞[なお、前記第1の細胞は多細胞生物に由来し、前記第1の細胞は人工多能性幹細胞すなわちiPS細胞であり、前記iPSは、少なくとも
− Octファミリー成員タンパク質およびSoxファミリー成員タンパク質、ならびに
− Klfファミリー成員タンパク質およびMycファミリー成員タンパク質か、
− あるいはNanog成員タンパク質およびLIN28成員のいずれか、
をコードする遺伝子の組合せを発現する]と;
・ 多細胞生物の雌生殖細胞または卵子の単離抽出物[なお前記卵子は減数分裂の中期IIにおいて遮断されており、前記抽出物はEGTAを含む]と;
を含む組成物。 - 前記雌生殖細胞が、好ましくは哺乳動物、詳細にはヒト、鳥類、爬虫類および両生類の中から選択される脊椎動物の雌生殖細胞である、請求項3に記載の組成物。
- 前記雌生殖細胞の単離抽出物が非ヒト雌生殖細胞の単離抽出物であるか、または前記卵子の単離抽出物が非ヒト卵子の単離抽出物である、請求項3に記載の組成物。
- 前記雌生殖細胞がアフリカツメガエル細胞である、請求項3〜5に記載の組成物。
- 人間をクローニングするためのプロセスでないことを条件として、第1の細胞の少なくとも1つの透過処理された核または前記核を含む少なくとも1つの透過処理された第1の細胞[なお、前記第1の細胞は多細胞生物に由来し、前記第1の細胞は、人工多能性幹細胞すなわちiPS細胞である]と、多細胞生物の雌生殖細胞または卵子の単離抽出物[なお前記卵子は減数分裂の中期IIにおいて遮断されており、前記抽出物はEGTAを含む]とを接触させるステップを含む、多能性幹細胞の生産方法。
- −・ Oct4、Sox2、Klf4およびc−Mycタンパク質の第1の組合せか、
・ あるいはOct4、Sox2、NanogおよびLIN28タンパク質の第2の組合せのいずれか、
を少なくともコードする遺伝子で分化した体細胞をトランスフェクトして、iPS細胞である第1の細胞を得る第1のステップと;
− 先行するステップで得た前記第1の細胞を透過処理して、透過処理されたiPS細胞を得る第2のステップと;
− 多細胞生物の雌生殖細胞または卵子の単離抽出物と前記透過処理されたiPS細胞とを接触させる第3のステップ[なお前記卵子は減数分裂の中期IIにおいて遮断され、前記抽出物はEGTAを含む]と;
を含む、請求項7に記載の方法。 - 前記雌生殖細胞が、好ましくは哺乳動物、詳細にはヒト、鳥類、爬虫類および両生類の中から選択される脊椎動物の雌生殖細胞であり、好ましくは前記生殖細胞がアフリカツメガエル細胞である、請求項7または8に記載の方法。
- 前記雌生殖細胞の単離抽出物が非ヒト雌生殖細胞の単離抽出物であるか、または前記卵子の単離抽出物が非ヒト卵子の単離抽出物である、請求項7または8に記載の方法。
- ・ Oct4、Sox2、Klf4およびc−Mycタンパク質の第1の組合せか、
・ あるいはOct4、Sox2、NanogおよびLIN28タンパク質の第2の組合せのいずれか、
を少なくともコードする遺伝子で分化した体細胞をトランスフェクトする第1のステップにおいて、第1の組合せまたは第2の組合せがそれぞれ、Oct4、Sox2、Klf4およびc−Mycタンパク質あるいはOct4、Sox2、NanogおよびLIN28タンパク質をコードする核酸を少なくとも含む、請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法。 - Oct4、Sox2、Klf4およびc−Mycタンパク質またはOct4、Sox2、NanogおよびLIN28タンパク質をコードする前記少なくとも1つの核酸が、少なくとも1つのウイルスベクター、好ましくは少なくとも1つのレトロウイルスベクター、詳細には少なくとも1つの組込み型レトロウイルスベクターの中に含まれている、請求項11に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの組込み型レトロウイルスベクターが、前記分化体細胞のゲノム内に組込まれる、請求項12に記載の方法。
- 前記多能性幹細胞の多能性の維持を可能にする培地内で先行ステップにおいて得られた細胞を培養するステップをさらに含む、請求項7〜13のいずれか一項に記載の方法。
- 人間をクローニングするためのプロセスではないことを条件として、
− 請求項7〜12のいずれか一項に記載の方法において定義されている多能性幹細胞の生産ステップと;
− 前記多能性幹細胞が由来する種と同じ種の動物の除核卵子内に前記多能性幹細胞の核を移植して、アロ有核卵子を得るステップと;
を含む、動物、好ましくは哺乳動物をクローニングするための方法。 - 所望の分化段階で、多細胞生物、詳細には脊椎動物の細胞、細胞株または組織を得るための方法において、
− 請求項7−12のいずれか一項に記載の方法において定義されている多能性幹細胞の生産ステップと;
− 所望の分化段階で細胞、細胞株または組織を得るための適切な条件下で、多能性幹細胞を培養するステップと;
を含む方法。
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