JP2014523250A - 新規クロストリジウム・ディフィシル(Clostridiumdifficile)DNAワクチン - Google Patents

新規クロストリジウム・ディフィシル(Clostridiumdifficile)DNAワクチン Download PDF

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Abstract

本発明は、トキシンAおよびトキシンBのうち少なくとも1つの少なくとも一部をコードする少なくとも1つの核酸の、C.ディフィシル(C.difficile)関連疾患(CDAD)の処置を必要とする対象への投与を通じて、C.ディフィシル(C.difficile)関連疾患(CDAD)を処置するための組成物および方法に関する。

Description

関連出願に対する相互参照
本願は、内容がその全体において本明細書中で参照により組み込まれる2011年7月12日出願の米国仮出願第61/506,973号に対する優先権を主張する。
連邦政府による資金提供に関する記載
本発明は、アメリカ合衆国国防総省により与えられた、コンタクト番号W81XWH−09−1−0382のもと、連邦政府による資金により行われた。連邦政府は本発明において一定の権利を有する。
発明の背景
クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)(C.ディフィシル(C.difficile))関連疾患(CDAD)は、死亡および罹患の主要な原因であり、投薬コストまたは手術によって入院期間が長期化することによる米国の医療システムに対する負担は、およそ11億ドル/年に及ぶ。さらに、病院においてこの疾患の割合が増加しており、医師らは、メトロニダゾールでの処置後に再発率が著しく上昇していることを記録している。C.ディフィシル(C.difficile)による死亡率は上昇しており、新しい株は、抗生物質に耐性があるより高いレベルの毒素を産生する。C.ディフィシル(C.difficile)による結腸感染の結果起こる症状の範囲は、軽度の下痢から、生命を脅かす合併症である重度の結腸炎に及ぶ。抗生物質を投与されている高齢入院患者は依然としてCDACのリスクがある主要な群ではあるもの、病院環境または抗生物質の何れとも以前接触したことがない、より若い世代においてCDADが増加している。さらに、小児および妊婦など、以前には低リスクであった特定集団でのCDADが増加している。従って、周術期の者およびまたは長期にわたり抗生物質を使用してきた者を含め、最もリスクが高い者における予防は優先事項とすべきであり、最も重要なことである。
グラム陽性で嫌気性である芽胞形成性細菌C.ディフィシル(C.difficile)は、院内感染下痢の主要な原因として認識されている(2008,Wilcox et al.,J Antimicrob Chemother 62(2):388−396;2008,Gould et al.,Crit Care 12(1):203)。健康な外来患者成人のうち3%という多くの者でこの生物が定着している可能性があるが、一方でこの割合は、入院後に劇的に上昇する。2000年から、多くの刊行物が、北米および欧州でのC.ディフィシル(C.difficile)疾患の罹患率および重症度の再上昇を記載している(Gould et al.,Crit Care 12(1):203)。これらの事象により、毒素特異的ワクチンを含め、疾患の処置および予防に対する新規アプローチへの関心が再び高まっている。主要な細胞毒素であるトキシンAおよびBの産生の結果、臨床症状が無症候性である保因から、下痢、中毒性巨大結腸症および死亡に及ぶ疾患が起こる。トキシンAおよびBは、それぞれ300kDおよび270kDタンパク質であり、C.ソルデリイ(C.sordelli)の出血性および致死性毒素およびC.ノビイ(C.novyi)のα毒素と相同性を共有する、大きなクロストリジウム細胞毒素ファミリーのメンバーである。これらのグルコシルトランスフェラーゼは、Rho、RacおよびCdc42を含む様々な宿主タンパク質を不活性化し、最終的には、それを原因とする病理学的および臨床的変化へと導く。トキシンAは、動物モデルにおけるC.ディフィシル(C.difficile)関連疾患の主な介在物質と考えられている。この毒素は、上皮破壊に介在し、これがトキシンB、またエンテロトキシンの細胞内への侵入へとつながる。これらの毒素は、IL−8およびMIP−2分泌を刺激し、好中球動員を促進する(2005,Voth et al.,Clin Microbiol Rev 18(2)247−263)。さらに、トキシンB株(TcdA−TcdB+)は、粘膜壊死を引き起こし、障壁機能を低下させることにおいてトキシンA株(TcdA+TcdB−)よりも強力であることが示されている(2009,Rupnik et al.,Nat Rev Microbiol 7(7)526−536)。これらの毒素介在事象によって、毒素特異的なワクチンを含め、疾患の処置および予防に対する新規アプローチへの関心が再び高まってきた。
最近の研究は、C.ディフィシル(C.difficile)定着および感染の転帰における毒素特異的な宿主抗体反応の影響を強調している。C.ディフィシル(C.difficile)胞子の定着前に抗トキシンA抗体がある患者は、活動性および重度疾患に進行するリスクが著しく低いことが観察されている。感染時に強い抗毒性抗体反応を発現する患者は、抗菌剤処置によりその疾患が排除され、疾患がない状態のままである。過去10年間にわたり、動物におけるC.ディフィシル(C.difficile)感染に対して、いくつかの受動的および能動的免疫付与ストラテジーが試験されてきた。これらの試験は、トキシンAおよびトキシンBの活性を中和するためのキーとなるエピトープを含有する場合の、カルボキシ末端受容体−結合ドメイン(RBD)の重要性を浮き彫りにしている。最後に、RBDに対して開発されたIgGの静脈内投与は、マウスおよびハムスターにおいて予防効果がある。C.ディフィシル(C.difficile)疾患に対する予防における抗毒素液性免疫反応の役割は、多くの受動的および能動的免疫付与実験と、その後の毒素負荷試験によりさらに検証されている(2010,Leav et al.,Vaccine 28(4):965−969)。さらに、ホルマリン処理C.ディフィシル(C.difficile)トキシンA(CDA)での経皮的免疫付与が、全身および粘膜での抗CDA免疫反応を誘導することが示されている(2007,Ghose et al.,Infect Immun 75(6):2826−2832)。しかし、プールされた免疫グロブリン調製物の有効性が補助療法としてはあまり裏付けられていないので、C.ディフィシル(C.difficile)に対する免疫に基づく治療に対する臨床的適応は、受動的免疫付与に対しては完全には定められていない(2005,Aslam et al.,Lancet Infect Dis 5(9):549−557)。さらに、トキソイドに基づくワクチンプラットフォームについて、医療機関でのそれらの有効性を制限し得る、安定性に関するある種の懸念がある(1995,Torres et al.,Infect Immun 62(12):4619−4627)。このような研究は、C.ディフィシル(C.difficile)毒素に対する代替的な次世代最適化ワクチンの開発に対して強い科学的論拠を提供する。このために、粘膜標的アジュバントを含む次世代DNAワクチン技術(2010,Kraynyak et al.,Vaccine 28(8):1942−1951;2010,Kutzler et al.,Gene Ther 17(1):72−82)およびエレクトロポレーション送達法が、HIVワクチンプラットフォームにおいて有効であることが示された。
DNAに基づく免疫付与は、多くの長所を有し、これにより魅力的なワクチンプラットフォームとなっている(2006,Hokey et al.,Springer Semin Immunopathol 28(3):267−279;2008,Kutzler and Weiner,Nat Rev Genet 9(10):776−788)。第一に、これは、毒性型に戻るかまたは意図しない個体に拡大し得る弱毒化生ウイルスと比較して、安全プロファイルが改善している。次のDNAに基づくワクチンおよびアジュバントの品質:操作の簡易性、実績のある作製技術、安定性および低温流通の必要がないことは、トキソイドに基づくストラテジーを上回り、このプラットフォームの使用を促進する。さらに、DNAワクチンは、液性および細胞性反応を誘発し、小型およびより大型の動物モデルにおいて予防効果を付与することが示されている(2008,Kutzler and Weiner,Nat Rev Genet 9(10):776−788)。まとめると、これらの長所によって、DNAに基づく免疫付与が、C.ディフィシル(C.difficile)に対する所望のワクチンモダリティーとなる。エレクトロポレーションを含め様々な物理的送達方法を通じて標的細胞の遺伝子移入効率を上昇させることは、この分野で成功を収めている領域である。重要なこととして、本DNAワクチンプラットフォームは、有望であることが示されており、現在、高度に最適化された抗原性コンストラクトを試験する第1相臨床試験中であり、このプラットフォームの安全性および可能性が裏付けられる(2009,Yin et al.,Virology 393(1):49−55;2005,Kutzler et al.,J Immunol 175(1):112−123;2007,Chong et al.,Vaccine 25(26):4967−4982)。DNAワクチンは、歴史的に、細胞性免疫反応の誘導と関連付けられているが、最近、強い細胞性反応に加えて、ロバストな液性反応を誘導するためにエレクトロポレーションを用いたDNAワクチンの送達が使用され得ることが明らかになった。これは、トリインフルエンザ(2008,Laddy et al.,PLoS One 3(6):e2517;2007,Laddy et al.,Vaccine 25(16):2984−2989)、天然痘(2011,Hirao et al.,J Infect Dis 203(1):95−102)、デング熱(2009,Ramanathan et al.,Vaccine 27(46):6444−6453;2009,Ramanathan et al.,Vaccine 27(32):4370−4380)およびチクングニア熱(2011,Mallilankaraman et al.,PLoS Negl Trop Dis 5(1):e928)を含む多くの疾患に対する動物モデルにおける抗体力価の中和の誘導を含む。
C.ディフィシル(C.difficile)ワクチン候補として多くのプラットフォームが研究されている一方(2007,Ghose et al.,Infect Immun 75(6):2826−2832;2011,Oberli et al.,Chem Biol 18(5):580−588;2011,Pechine et al.,FEMS Immunol Med Microbiol June 24;2011,Permpoonpattana et al.,Infect Immun 79(6):2295−2302;2011,Sandolo et al.,Eur J Pharm Biopharm June 1;2008,Ni Eidhin et al.,FEMS Immunol Med Microbiol 52(2):207−218;2008,Taylor et al.,Vaccine 26(27−28):3404−3409;2009,Gardiner et al.,Vaccine 27(27):3598−3604)、臨床パイプラインにおける多くの製品が欠けている。従って、巨額の費用およびC.ディフィシル(C.difficile)感染の罹患率増加を考慮すると、C.ディフィシル(C.difficile)関連疾患を予防する効果的なワクチン療法が本技術分野で必要とされている。本発明は、当技術分野におけるこの満たされていない要求に取り組む。
様々な実施形態において、本発明は、C.ディフィシル(C.difficile)トキシンAおよびC.ディフィシル(C.difficile)トキシンBの少なくとも1つの少なくとも一部を発現する少なくとも1つの核酸を備えるワクチンである。ある実施形態において、本発明は、配列番号3のアミノ酸配列を備えるポリペプチドをコードする核酸および配列番号4のアミノ酸配列を備えるポリペプチドをコードする核酸からなる群から選択される少なくとも1つの核酸を備えるワクチンである。別の実施形態において、本ワクチンは、分泌リーダーペプチドをコードする核酸をさらに備える。特定の実施形態において、分泌リーダーペプチドはIgE分泌リーダーペプチドである。いくつかの実施形態において、核酸は、1つの発現ベクターに組み込まれ、一方、その他の実施形態において、核酸は、2以上の発現ベクターに組み込まれる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの核酸がヒト細胞での発現に対してコドン最適化されている。
別の実施形態において、本発明は、哺乳動物の組織に本発明の少なくとも1つのワクチンを投与する段階を備える、C.ディフィシル(C.difficile)に対して哺乳動物に免疫付与することである。いくつかの実施形態において、免疫付与の方法は、哺乳動物の組織に本ワクチンを投与することと、細胞への核酸分子の移入を可能にするのに効果的な電流で哺乳動物の組織の細胞にエレクトロポレーション法を行うことと、を備える。いくつかの実施形態において、哺乳動物の組織は筋肉である。その他の実施形態において、哺乳動物の組織は皮膚である。いくつかの実施形態において、本ワクチンは、筋肉内または皮内注射により投与される。ある実施形態において、哺乳動物は、現在、C.ディフィシル(C.difficile)に感染しておらず、本ワクチンは防御免疫反応を誘導する。いくつかの実施形態において、この防御免疫反応は、配列番号3のポリペプチドおよび配列番号4のポリペプチドからなる群の少なくとも1つのポリペプチドに特異的に結合する少なくとも1つの抗体を含む。いくつかの実施形態において、哺乳動物はヒトである。
別の実施形態において、本発明は、哺乳動物の組織に少なくとも1つの本発明のワクチンを投与する段階を備える、C.ディフィシル(C.difficile)に感染した哺乳動物に免疫付与する方法である。いくつかの実施形態において、免疫付与の方法は、哺乳動物の組織に本ワクチンを投与することと、細胞への核酸分子の移入を可能にするのに効果的な電流で哺乳動物の組織の細胞にエレクトロポレーション法を行うことと、を備える。いくつかの実施形態において、哺乳動物の組織は筋肉である。その他の実施形態において、哺乳動物の組織は皮膚である。いくつかの実施形態において、本ワクチンは、筋肉内または皮内注射により投与される。ある実施形態において、哺乳動物は、現在、C.ディフィシル(C.difficile)に感染しており、本ワクチンは治療的免疫反応を誘導する。いくつかの実施形態において、治療的免疫反応は、配列番号3のポリペプチドおよび配列番号4のポリペプチドからなる群の少なくとも1つのポリペプチドに特異的に結合する少なくとも1つの抗体を含む。いくつかの実施形態において、哺乳動物はヒトである。
ある実施形態において、本発明は、配列番号3のアミノ酸配列を備える単離ポリペプチドである。別の実施形態において、本発明は、配列番号3のアミノ酸配列をコードする核酸である。ある実施形態において、本発明は、配列番号4のアミノ酸配列を備える単離ポリペプチドである。別の実施形態において、本発明は、配列番号4のアミノ酸配列をコードする単離核酸である。さらなる実施形態において、本発明は、配列番号3のアミノ酸配列を備える単離ポリペプチドと、配列番号4のアミノ酸配列を備える単離ポリペプチドと、を備える組成物である。またさらなる実施形態において、本発明は、配列番号3のアミノ酸配列をコードする単離核酸と、配列番号4のアミノ酸配列をコードする単離核酸と、を備える組成物である。
次の、本発明の好ましい実施形態の詳細な説明は、添付の図面と組み合わせて読むとよりよく理解される。本発明を例示する目的のために、現在好ましい実施形態を図面において示す。しかし、当然のことながら、本発明は、図面で示される実施形態の配置および手段そのものに限定されない、ものと理解されたい。
図1Aおよび1Bを備える図1は、トキシンAのRBDおよびトキシンBのRBDの配列ならびにトキシンRBDのインビトロ発現を明らかにする実験を示す。 図1Aおよび1Bを備える図1は、トキシンAのRBDおよびトキシンBのRBDの配列ならびにトキシンRBDのインビトロ発現を明らかにする実験を示す。 図2は、筋肉内に免疫付与され、続いてインビボでのエレクトロポレーションが行われたマウスの血清においてIgAではなく毒素特異的なIgGが検出可能であることを明らかにする実験の結果を示す。 図3は、マウスにおけるpA/B RBD N→Q投与後のいくつかのトキシンA−およびトキシンB−特異的抗体分泌細胞を評価する実験の結果を示す。 図4は、pRBD免疫付与マウスの脾臓において毒素特異的な形質芽細胞が増強されることを明らかにする実験の結果を示す。 図5は、ワクチン誘導性B細胞の表現型を分析する実験および毒素特異的な記憶反応が、pRBD−免疫付与マウスの脾臓において増強されることを明らかにする実験の結果を示す。 図6は、pRBD N→Q免疫付与動物からの血清が、トキシンAまたはトキシンBに曝露される細胞の細胞円形化を防ぐことを明らかにする実験の結果を示す。 図7は、pRBD N→Qでの免疫付与がマウスを全身毒性負荷から保護することを明らかにする実験の結果を示す。 図8は、筋肉内免疫付与およびインビボエレクトロポレーション後の雌アカゲザルで観察される免疫付与スケジュールおよび免疫原性を示す。 図9Aから図9Eを備える図9は、代表的な発現ベクターコンストラクト設計およびコンストラクト発現を評価する実験の結果を示す。(A)抗原DNA修飾を表、左パネルでまとめる。pVAX(骨格)のキーとなる構成要素を示す概略図は右パネルで示す。AまたはB RBDwtおよびAまたはB RBD N→Qをコードする4つのプラスミドを最適化し、構築した。 図9Aから図9Eを備える図9は、代表的な発現ベクターコンストラクト設計およびコンストラクト発現を評価する実験の結果を示す。(B)トキシンAおよびBのRBDにおける推定N結合型グリコシル化部位に下線を付す。これらの部位において、DNAワクチンプラスミドの構築中に第一のAsnに対してGlnで置換される。 図9Aから図9Eを備える図9は、代表的な発現ベクターコンストラクト設計およびコンストラクト発現を評価する実験の結果を示す。(C)各推定N結合型グリコシル化部位の第一のAsnがGlnで置換されているトキシンAおよびBのRBDの配列。 図9Aから図9Eを備える図9は、代表的な発現ベクターコンストラクト設計およびコンストラクト発現を評価する実験の結果を示す。(D)リポフェクタミン2000を使用して2μgのpRBD N→Qコンストラクトを293T細胞(3.0x105細胞)に遺伝子移入した。遺伝子移入48時間後、溶解液(RIPA緩衝液)および上清を回収し、SDS−PAGE(4から12%)上で分画化し、PVDF膜に転写した。特異的なマウス抗血清で免疫検出を行い、発現タンパク質は、ECL検出系を用いてホースラディッシュペルオキシダーゼ−結合ヤギ抗マウスIgGで可視化した。 図9Aから図9Eを備える図9は、代表的な発現ベクターコンストラクト設計およびコンストラクト発現を評価する実験の結果を示す。(E)溶解液および上清のアリコートを500UのポリペプチドN−グリコシダーゼF(PNGaseF)で37℃で1時間消化し、65℃で15分間不活性化した。試料をSDS−PAGE(8%)および免疫検出に供した。 図10は、免疫付与および回収スケジュールを示す。 図11Aから11Cを備える図11は、pRBD N→Qでの免疫付与後の、抗原特異的なB細胞を評価する実験の結果を示す。(A)各免疫付与時に血清中で抗体レベルを測定した。0.5μg/mLのトキソイドAまたはBの何れかで96ウェルプレートを一晩被覆した。血清の希釈液を添加し、HRP結合抗体を使用して総IgGを測定した。 図11Aから11Cを備える図11は、pRBD N→Qでの免疫付与後の、抗原特異的なB細胞を評価する実験の結果を示す。(B)0.5μg/mLのトキソイドAもしくはBの何れかまたは総IgGでELISpotプレートを一晩被覆した。3回目の免疫付与から10日後、脾臓細胞を単離し、プレートに添加した(Ag特異的、5.0x105細胞/ウェルおよび総IgG、1.0x104細胞/ウェル)。24時間後、細胞を洗い流し、HRP結合抗体でプローブ化した。 図11Aから11Cを備える図11は、pRBD N→Qでの免疫付与後の、抗原特異的なB細胞を評価する実験の結果を示す。(C)あるいは、メモリーB細胞の増殖を促すために、R10培地+1:6 CpG2006、1:1000 PWM、1:1000 BMeおよび1:10000 SAC中で脾臓細胞(1.5x106)を3日間刺激した。本明細書の他所に記載のとおり、抗原特異的なメモリーB細胞が検出された。 図12Aから12Bを備える図12は、pRBD N→Qで免疫付与された動物からの血清がインビトロでC.ディフィシル(C.difficile)毒性活性を中和し得ることを明らかにする実験の結果を示す。(A)96ウェルプレートにおいてVero細胞(5.0x104細胞)を単層になるように増殖させた(24時間)。マウス血清を増殖培地中で希釈し、100%細胞円形化を誘導するのに十分な精製トキシンAまたはトキシンBを含有する等体積の増殖培地に添加した。これを穏やかに混合し、37℃で1時間温置し、96ウェルプレートに2つ組で添加した。20から24時間後、10X倍率で細胞円形化を評価した。写真は、2ウェル間の平均的な効果に相当する。ヤギ抗トキシンA(List Biologicals)を陽性対照として使用した。 図12Aから12Bを備える図12は、pRBD N→Qで免疫付与された動物からの血清がインビトロでC.ディフィシル(C.difficile)毒性活性を中和し得ることを明らかにする実験の結果を示す。(B)ウェルごとに6ヶ所の無作為な視野を分析し、円形化した細胞の割合の平均を算出することによって、細胞円形化を測定した。pVAX血清およびヤギ抗トキシンAと比較して、結果をグラフで表した。 図13は、免疫付与および回収スケジュールを示す。 図14は、精製C.ディフィシル(C.difficile)毒素による致死性の全身性負荷を評価する実験の結果を示す。(A)5匹のC57BL/6マウスの腹腔内に(i.p.)(1)150ngトキシンAまたはB;(2)300ngトキシンAまたはB;(3)75ngの両毒素;または(4)150ngの両毒素の何れかを負荷した。罹患の兆候についてマウスを毎日監視した。(B)10匹C57BL/6マウス/群にi.p.で毒素を負荷した。pA RBD N→Qマウスには300ngトキシンAを与え、一方でpB RBD N→Qマウスには各毒素150ngを与えた。 図15は、pRBD N→Qコンストラクトが、アカゲザルにおいて免疫原性であることを明らかにする実験の結果を示す。 図16は、マカク過免疫血清が、マウスにおいてC.ディフィシル(C.difficile)毒素の致死的影響を中和することを明らかにする実験の結果を示す。
詳細な説明
本発明は、C.ディフィシル(C.difficile)関連疾患(CDAD)を予防、阻害および処置するための組成物および方法を提供する。ある実施形態において、本発明の組成物は、C.ディフィシル(C.difficile)タンパク質(例えばトキシンA(TcdA)およびトキシンB(TcdB))に特異的な抗体の産生を誘導するワクチンである。ある実施形態において、本組成物は、トキシンAの受容体結合ドメイン(RBD)を備える。別の実施形態において、本組成物は、トキシンBのRBDを備える。別の実施形態において、本組成物は、トキシンAのRBDと、トキシンBのRBDと、を備える。
ある実施形態において、本発明の組成物はDNAワクチンである。ある実施形態において、本発明の組成物は、トキシンAのRBDをコードする核酸配列を備える。別の実施形態において、本発明の組成物は、トキシンBのRBDをコードする核酸配列を備える。別の実施形態において、本組成物は、トキシンAのRBDおよびトキシンBのRBDをコードする核酸配列を備える。ある実施形態において、本組成物の核酸は、RBDポリペプチドの翻訳および分泌を向上させるために最適化される。ある実施形態において、本組成物は、配列番号1および配列番号2またはそれらの改変体から選択される1以上のポリペプチドを備える。ある実施形態において、本組成物は、配列番号1および配列番号2またはそれらの改変体から選択されるアミノ酸配列をコードする1以上の核酸配列を備える。
ある実施形態において、トキシンAのRBDおよびトキシンBのRBDは、N結合型グリコシル化を防ぐために、野生型から突然変異させられる。このような突然変異は、C.ディフィシル(C.difficile)により産生されるネイティブトキシンAおよびトキシンBのグリコシル化状態を保ち、それによって効果的な免疫原性を確実にする。ある実施形態において、本組成物は、配列番号3および配列番号4から選択される1以上のポリペプチドを備える。ある実施形態において、本組成物は、配列番号3および配列番号4から選択されるアミノ酸配列をコードする1以上の核酸配列を備える。
本発明はまた、CDADを予防し、処置するために、免疫反応を誘導する方法も提供する。ある実施形態において、本方法は、トキシンAのRBD及び/又はトキシンBのRBDを対象に投与することを備える。別の実施形態において、本方法は、トキシンAのRBD及び/又はトキシンBのRBDをコードする核酸を対象に投与することを備える。ある実施形態において、本方法は、筋肉内に本組成物を投与することを備える。ある実施形態において、本方法は、インビボでのエレクトロポレーションを備える。
定義
別段の定めがない限り、本明細書中で使用される技術用語および科学用語は全て、本発明が属する技術分野の熟練者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書中に記載のものと類似しているかまたは同等であるあらゆる方法および材料が本発明の実施および試験において使用され得るが、好ましい方法および材料を記載する。
本明細書中で使用される場合、次の用語のそれぞれは、このセクションでそれと関連付けられる意味を有する。本明細書中で使用される用語は、特定の実施例のみを説明する目的のものであり、限定するものではないことも理解されたい。
冠詞「a」および「an」は、本明細書中で、冠詞の文法的な目的の、1つまたは複数(即ち少なくとも1つ)を指すために使用される。例えば、「要素」とは、1つの要素または複数の要素を意味する。
「約」とは、本明細書中で使用される場合、量、時間など測定可能な値を指すとき、特定される値からの、±20%または±10%、より好ましくは±5%、さらにより好ましくは±1%およびまたさらにより好ましくは±0.1%の変動を包含することを意味し、そのようなものとして、変動は開示方法を遂行するのに適切である。
「抗体」という用語は、本明細書中で使用される場合、抗原に特異的に結合する免疫グロブリン分子を指す。抗体は、天然源由来または組み換え起源由来のインタクトな免疫グロブリンであり得、インタクトな免疫グロブリンの免疫活性部分であり得る。本発明における抗体は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fv、FabおよびF(ab)2、ならびに1本鎖抗体およびヒト化抗体を含む様々な形態で存在し得る(Harlow et al.,1999,Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY;Harlow et al.,1989,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,New York;Houston et al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883;Bird et al.,1988,Science 242:423−426)。
「抗原」または「Ag」という用語は、本明細書中で使用される場合、免疫反応を誘発する分子として定義される。この免疫反応は、何れかの抗体産生または特異的な免疫学的コンピーテント細胞の活性化またはその両方を含み得る。熟練者は、事実上全てのタンパク質またはペプチドを含むあらゆる巨大分子が抗原となり得ることを理解するであろう。さらに、抗原は、組み換えまたはゲノムDNA由来であり得る。熟練者は、あらゆるDNAが、免疫反応を誘発するタンパク質をコードする、従ってその用語が本明細書中で使用される場合は「抗原」をコードする、ヌクレオチド配列または部分的ヌクレオチド配列を備えることを理解するであろう。さらに当業者は、遺伝子の全長ヌクレオチド配列により抗原が単独でコードされる必要がないことを理解するであろう。本発明が、複数の遺伝子の部分的ヌクレオチド配列の使用を含むがこれに限定されず、これらのヌクレオチド配列が、望ましい免疫反応を誘発するために様々な組み合わせで配置されることは容易に明らかとなる。さらに、熟練者は、抗原が、全く「遺伝子」によりコードされる必要はないことを理解するであろう。抗原が生成、合成されてもよいし、または生体試料由来であってもよいことは容易に明らかとなる。
本明細書中で使用される場合、「自己の」という用語は、後でその個体に再導入しようとする同じ個体由来の何らかの物質を指すものとする。
本明細書中で使用される場合、「併用療法」は、第一の薬剤が別の薬剤とともに投与されることを意味する。「とともに」とは、ある治療法が別の治療法に加えて行われることを指す。このように、「とともに」とは、ある治療法が、個体への他の治療法の送達前、送達中または送達後に行われることを指す。このような組み合わせは、単一の治療計画またはレジメの一部であるとみなされる。
本明細書中で使用される場合、「同時投与」という用語は、併用療法における第一の治療剤の投与および第二の治療剤の投与が、互いに重なり合うことを意味する。
「疾患」は、動物がホメオスタシスを維持できない健康状態であり、その疾患が改善されない場合、動物の健康が悪化し続ける。対して、動物における「障害」とは、動物がホメオスタシスを維持可能であるが、動物の健康状態がその障害がない場合よりも好ましくない状態である。未処置のままである場合、障害は必ずしも動物の健康状態をさらに低下させるわけではない。
「有効量」は、本明細書中で使用される場合、治療的または予防的有益性を提供する量を意味する。
「発現」という用語は、本明細書中で使用される場合、そのプロモーターにより推進される特定のヌクレオチド配列の転写及び/又は翻訳として定義される。
「発現ベクター」は、発現させようとするヌクレオチド配列に操作可能に連結される発現調節配列を備える組み換えポリヌクレオチドを備えるベクターを指す。発現ベクターは、発現のための十分なシス作用エレメントを備え;発現のための他のエレメントは、宿主細胞によるか、またはインビトロ発現系において供給され得る。発現ベクターは、組み換えポリヌクレオチドを組み込む、コスミド、プラスミド(例えば裸であるかまたはリポソームに含有される。)およびウイルス(例えばレンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)など、当技術分野で周知のもの全てを含む。
「相同な」とは、2つのポリペプチド間または2つの核酸分子間の配列類似性または配列同一性を指す。2つの比較配列の両方において、ある位置が同じ塩基またはアミノ酸単量体サブユニットにより占有される場合、例えば2つのDNA分子のそれぞれの位置がアデニンにより占有される場合、これらの分子はその位置で相同である。2つの配列間の相同性の割合は、2つの配列により共有される、一致するかまたは相同な位置の数を、比較される位置の数で除して100を掛けた関数である。例えば、2つの配列における10ヶ所の位置のうち6ヶ所が一致するかまたは相同である場合、この2つの配列は60%相同である。例として、DNA配列ATTGCCおよびTATGGCは50%相同である。一般に、最大の相同性が与えられるように2つの配列が整列化されるときに比較が行われる。
「免疫グロブリン」または「Ig」という用語は、本明細書中で使用される場合、抗体として機能するタンパク質のクラスとして定義される。B細胞により発現される抗体は、BCR(B細胞受容体)または抗原受容体と呼ばれることがある。タンパク質のこのクラスに含まれる5つのメンバーは、IgA、IgG、IgM、IgDおよびIgEである。IgAは、唾液、涙、母乳、胃腸分泌物および呼吸器および泌尿生殖器の粘膜分泌物など、体の分泌物に存在する一次抗体である。IgGは、最も一般的な循環抗体である。IgMは、殆どの対象における一次免疫反応で産生される主な免疫グロブリンである。これは、凝集、補体結合およびその他の抗体反応において最も効果的な免疫グロブリンであり、細菌およびウイルスに対する防御において重要である。IgDは、既知の抗体機能がないが、抗原受容体となり得る免疫グロブリンである。IgEは、アレルゲンへの曝露時に肥満細胞および好塩基球からの介在物質の放出を引き起こすことによる即時型過敏症に介在する免疫グロブリンである。
本明細書中で使用される場合、「免疫反応」という用語は、T細胞介在型及び/又はB細胞介在型免疫反応を含む。代表的な免疫反応としては、T細胞反応、例えばサイトカイン産生および細胞性の細胞毒性、およびB細胞反応、例えば抗体産生が挙げられる。さらに、免疫反応という用語は、T細胞活性化、例えば抗体産生(液性反応)およびサイトカイン反応性細胞、例えばマクロファージ、の活性化により間接的に影響が及ぼされる免疫反応を含む。免疫反応に関与する免疫細胞としては、リンパ球、例えばB細胞およびT細胞(CD4+、CD8+、Th1およびTh2細胞);抗原提示細胞(例えば専門の抗原提示細胞、例えば樹状細胞、マクロファージ、Bリンパ球、ランゲルハンス細胞などおよび非専門的な抗原提示細胞、例えば角化細胞、内皮細胞、星状細胞、繊維芽細胞、乏突起膠細胞など);ナチュラルキラー細胞;骨髄細胞、例えばマクロファージ、好酸球、肥満細胞、好塩基球および顆粒球などが挙げられる。
「単離される」とは、天然の状態から変化させられるかまたは除去されることを意味する。例えば、生きている動物に天然に存在する核酸またはペプチドは「単離され」ていないが、その天然状態の共存物質から部分的または完全に分離されている同じ核酸またはペプチドは、「単離され」ている。単離核酸またはタンパク質は、実質的に精製形態で存在し得るか、または、例えば宿主細胞など非ネイティブ環境で存在し得る。
免疫原性組成物の「非経口」投与としては、例えば皮下(s.c)、静脈内(i.v.)、筋肉内(i.m.)または胸骨内注射または点滴技術が挙げられる。
「患者」、「対象」、「個体」などの用語は、本明細書中で交換可能に使用され、インビトロであれ、またはインシトゥであれ、本明細書中に記載の方法を受け入れ得る、何らかの動物またはそれらの細胞を指す。ある種の非限定実施形態において、患者、対象または個体はヒトである。
「同時投与」という用語は、本明細書中で使用される場合、併用療法における第一の治療剤および第二の治療剤の投与の間隔が、約15分を超えない時間、例えば、約10、5または1分間の何れかを超えないなどであることを意味する。第一および第二の治療剤が同時に投与される場合、第一および第二の治療剤は、同じ組成物中(例えば、第一および第二の治療剤の両方を含む組成物)または別個の組成物中(例えばある1つの組成物中に第一の治療剤が含有され、別の組成物中に第二の治療剤が含有される。)に含有され得る。
「特異的に結合する」という用語は、抗体に関して本明細書中で使用される場合、特異的な抗原を認識するが、試料中の他の分子を実質的に認識しないかまたはこれに結合しない抗体を意味する。例えば、1つの種からの抗原に特異的に結合する抗体は、1以上の種からの抗原にも結合し得る。しかし、このような種間反応性は、それ自身、特異的なものとしての抗体の分類を変化させない。別の例において、抗原に特異的に結合する抗体はまた、その抗原の異なる対立型にも結合し得る。しかし、このような種間反応性は、それ自身、特異的なものとしての抗体の分類を変化させない。一部の例において、「特異的な結合」または「特異的に結合する」という用語は、相互作用が、化学種における特定構造(例えば抗原性決定基またはエピトープ)の存在に依存するという、第二の化学種との抗体、タンパク質またはペプチドの相互作用に関して使用され得;例えば、抗体は、タンパク質全体ではなく、特異的なタンパク質構造を認識し、それに結合する。抗体がエピトープ「A」に特異的である場合、エピトープA(または遊離、非標識A)を含有する分子が存在すると、標識化「A」および抗体を含有する反応において、抗体が結合する標識化Aの量が減少する。
「治療」という用語は、本明細書中で使用される場合、処置および/または予防を意味する。治療効果は、疾患状態の抑制、軽減または根治により治療及び/又は予防剤により得られる。
「治療的有効量」という用語は、研究者、獣医師、医師または他の臨床家により求められている組織、系または対象の生物学的または医学的反応を誘発する対象化合物の量を指す。「治療的有効量」という用語は、投与されたときに、処置が行われている障害または疾患の兆候または症状の1以上の進行を防ぐかまたはある程度まで改善するのに十分である化合物の量を含む。治療的有効量は、化合物、疾患およびその重症度および治療しようとする対象の年齢、体重などによって変動する。
疾患を「処置」することは、この用語が本明細書中で使用される場合、対象において起こった疾患または障害の少なくとも1つの兆候または症状の頻度または重症度を低下させることを意味する。
「遺伝子移入される」、「形質転換される」または「形質導入される」という用語は、本明細書中で使用される場合、外来核酸が宿主細胞に移入されるかまたは導入される過程を指す。「遺伝子移入された」、「形質転換された」または「形質導入された」細胞は、外来核酸が遺伝子移入されたか、形質転換されたまたは形質導入されたものである。この細胞は、一次対象細胞およびその子孫を含む。
範囲:この開示を通じて、範囲形式で本発明の様々な態様が提示され得る。当然のことながら、範囲形式での記載は、単に便宜的で簡潔にするためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきものではない。従って、範囲の記載は、具体的に開示される全ての可能な部分的範囲ならびにその範囲内の個々の数値を有するものとみなされるべきである。例えば、1から6などの範囲の記載は、1から3、1から4、1から5、2から4、2から6、3から6などの具体的に開示される部分的範囲ならびに例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3および6など、その範囲内の個々の数を有するものとみなされるべきである。これは、範囲の広さにかかわらず適用される。
説明
本発明は、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)(C.ディフィシル(C.difficile))トキシンA及び/又はトキシンB核酸の領域の対象への投与の結果、毒性特異的な抗体の産生が起こるという発見に関する。従って、本発明は、免疫反応の調整においておよびCDADおよび関連障害の抑制、予防および処置において有用であるいくつかのものを含む、ポリペプチドまたはポリペプチドの組み合わせ、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組み合わせ、医薬およびワクチン組成物を提供する。
本発明は、免疫反応を誘発することにおいて有用な、C.ディフィシル(C.difficile)トキシンA(TcdA)およびC.ディフィシル(C.difficile)トキシンB(TcdB)由来の、ポリペプチドエピトープまたはポリペプチドエピトープの組み合わせを備える免疫学的組成物を提供する。本発明の1以上のポリペプチドを含む組成物は、免疫防御のための予防的治療薬として有用であるだけでなく、対象において、CDADに関連する進行状態の処置のための治療薬としても有用である。
ある実施形態において、本組成物は、トキシンAの受容体結合ドメイン(RBD)を備える。ある実施形態において、本組成物は、トキシンAの突然変異体受容体結合ドメイン(RBD)を備える。ある実施形態において、本組成物は、トキシンBのRBDを備える。別の実施形態において、本組成物は、トキシンBの突然変異体RBDを備える。ある実施形態において、本組成物は、トキシンAのRBD及び/又はトキシンBのRBDをコードするポリヌクレオチドである。別の実施形態において、本組成物は、トキシンAの突然変異体RBD及び/又はトキシンBのRBDをコードするポリヌクレオチドである。本組成物は、免疫原性を向上させるために改変され得る。例えば、ある実施形態において、本組成物のポリヌクレオチドは、RBDポリペプチドの翻訳および分泌を増加させる領域を備える。別の実施形態において、トキシンA及び/又はトキシンBの野生型RBDをコードするヌクレオチド配列は、N結合型グリコシル化に対する潜在的部位を除去するように変異させられる。即ち、ある実施形態において、本組成物は、トキシンAの突然変異体RBD及び/又はトキシンBの突然変異体RBDをコードするヌクレオチド配列を備える。
本発明はまた、CDADを予防、阻害および処置する方法も提供する。ある実施形態において、本発明の方法は、C.ディフィシル(C.difficile)毒素、例えばトキシンA及び/又はトキシンBなどに対する免疫反応を生じさせることによってC.ディフィシル(C.difficile)に対する免疫性を誘導する。ある実施形態において、本発明の方法は、トキシンA及び/又はトキシンBに特異的な抗体の産生を誘導する。ある実施形態において、本発明の方法は、C.ディフィシル(C.difficile)関連病態を予防する。ある実施形態において、本発明の方法は、対象へのトキシンAの少なくとも一部(例えばRBD)及び/又はトキシンBの少なくとも一部(例えばRBD)またはそれらの変異体を含む組成物を投与することを含む。別の実施形態において、本発明の方法は、トキシンAのRBD及び/又はトキシンBのRBDまたはそれらの変異体をコードする核酸配列を備える組成物を対象に投与することを備える。ある実施形態において、本方法は、DNAワクチンを対象に投与し、それによってC.ディフィシル(C.difficile)に対する免疫性を誘導することを備える。ある実施形態において、本組成物は、対象に対して筋肉内に投与される。ある実施形態において、本方法はインビボでのエレクトロポレーションを備える。
組成物
本発明は、ポリペプチド、ヌクレオチド、ベクターおよびワクチンを含め、哺乳動物に投与されたときに、トキシンA及び/又はトキシンBに対する免疫反応(例えば抗トキシンAおよび抗トキシンB抗体)を含む、C.ディフィシル(C.difficile)に対する免疫反応を誘発する組成物を提供する。さらに、本組成物が哺乳動物に投与されたとき、これらは、接種を受けた哺乳動物をCDAD関連状態から保護するように作用する免疫反応を誘発する。本明細書中で例示されるように、本組成物は、ワクチンとしての使用のために大量に得ることができる。
本発明の組成物はまた、哺乳動物において抗トキシンA及び/又は抗トキシンB免疫反応の有無を評価するための診断試薬としても有用である。このような評価は、哺乳動物から血清または細胞を得て、ポリペプチドへの結合を検出するための当技術分野で公知の標準的アッセイにおいて、これを本発明のポリペプチドまたはポリペプチドの組み合わせと接触させることによりなされる。
ある実施形態において、本発明は、免疫調節剤として、例えば免疫反応を刺激することにおいて、およびC.ディフィシル(C.difficile)関連病態を予防することにおいて有用である組成物を提供する。
トキシンAおよびトキシンBに特異的な抗体の産生を誘導し、C.ディフィシル(C.difficile)誘発性病態を防ぐための免疫刺激剤としてトキシンAおよびトキシンBのRBDが使用され得ることが本明細書中で示される。従って、ある実施形態において、本発明の組成物は、トキシンAポリペプチドのRBD領域またはその断片を備える。別の実施形態において、本発明の組成物は、突然変異体トキシンAポリペプチドのRBD領域またはその断片を備える。ある実施形態において、本発明の組成物は、トキシンBポリペプチドのRBD領域またはその断片を備える。別の実施形態において、本発明の組成物は、突然変異体トキシンBポリペプチドのRBD領域またはその断片を備える。ある実施形態において、本発明の組成物は、トキシンAおよびトキシンB両方のRBD領域またはその断片を備える。別の実施形態において、本発明の組成物は、突然変異体トキシンAおよび突然変異体トキシンB両方のRBD領域またはその断片を備える。
本発明はまた、本明細書中に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも提供する。例えば、ある実施形態において、本発明の組成物は、トキシンAポリペプチドのRBDまたはその断片をコードするポリヌクレオチドを備える。別の実施形態において、本発明の組成物は、突然変異体トキシンAポリペプチドのRBD領域またはその断片をコードするポリヌクレオチドを備える。ある実施形態において、本発明の組成物は、トキシンBポリペプチドのRBDまたはその断片をコードするポリヌクレオチドを備える。別の実施形態において、本発明の組成物は、突然変異体トキシンBポリペプチドのRBD領域またはその断片をコードするポリヌクレオチドを備える。ある実施形態において、本発明の組成物は、トキシンAおよびトキシンBポリペプチドの両方のRBD領域またはその断片を備える。別の実施形態において、本発明の組成物は、突然変異体トキシンAおよび突然変異体トキシンBポリペプチドの両方のRBD領域またはその断片を備える。本ポリヌクレオチドはRNAまたはDNAであり得る。ある実施形態において、本組成物は、DNAワクチンを備える。
ある実施形態において、本組成物は、野生型から突然変異させられるRBDまたはあるいは野生型から突然変異させられたRBDをコードするポリヌクレオチドを備える。本発明は、一部、RBD領域内のN結合型グリコシル化の潜在的部位の突然変異があるポリペプチドを産生することにより、毒素特異的な抗体の産生および毒素誘発性病態の予防が誘導されるという発見に基づく。この突然変異は、細菌産生毒素のグリコシル化状態を保ち、それにより投与組成物に対して産生される抗体がまた細菌産生毒素も認識することを確実にする。真核生物における野生型トキシンA RBDおよびトキシンB RBDの翻訳の結果、トキシンA RBDおよびトキシンB RBDがグリコシル化される。グリコシル化トキシンA RBDおよびトキシンB RBDに対する免疫原性は、C.ディフィシル(C.difficile)感染中に細菌性トキシンAおよびトキシンBを認識することにおいて効果的ではない可能性があり、それによって接種の効果が低下するかまたは無効となる。ある実施形態において、本組成物は、野生型配列で見られる1以上のネイティブアスパラギン残基においてアスパラギンからグルタミン(N→Q)への突然変異を含有するトキシンA RBD及び/又はトキシンB RBDを備える。ある実施形態において、本組成物は、野生型配列で見られる1以上のネイティブアスパラギン残基においてアスパラギンからグルタミン(N→Q)への突然変異を含有するトキシンA RBD及び/又はトキシンB RBDをコードする核酸を備える。
ある実施形態において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列またはその断片もしくは変異体を備えるポリペプチドを備える組成物を提供する。別の実施形態において、本発明は、配列番号2のアミノ酸配列またはその断片もしくは変異体を備えるポリペプチドを備える組成物を提供する。別の実施形態において、本組成物は、配列番号1のアミノ酸配列を備えるポリペプチドおよび配列番号2のアミノ酸配列を備えるポリペプチドまたはそれらの断片もしくは変異体を備える。
ある実施形態において、本発明は、配列番号3のアミノ酸配列を備えるポリペプチドまたはその断片もしくは変異体を備える組成物を提供する。別の実施形態において、本発明は、配列番号4のアミノ酸配列を備えるポリペプチドまたはその断片もしくは変異体を備える組成物を提供する。別の実施形態において、本組成物は、配列番号3のアミノ酸配列を備えるポリペプチドおよび配列番号4のアミノ酸配列を備えるポリペプチドまたはそれらの断片もしくは変異体を備える。
ある実施形態において、本発明は、配列番号1から4の何れか1以上の配列を有する、ポリペプチドまたはポリペプチドの断片、ポリペプチドの、相同体、変異体、誘導体または塩を提供するが、このポリペプチドまたはその断片の免疫原性活性は保持されている。
本発明はまた、本明細書中で開示されるポリペプチドに対して実質的な相同性を有するあらゆる形態のポリペプチドを含むと解釈されるべきである。好ましくは、「実質的に相同」であるポリペプチドは、本明細書中で開示されるポリペプチドのアミノ酸配列に対して、約50%相同、より好ましくは約70%相同、さらにより好ましくは約80%相同、より好ましくは約90%相同、なおより好ましくは約95%相同、さらにより好ましくは約99%相同である。
さらに別の実施形態によれば、本発明のポリペプチドまたはポリペプチドの組み合わせは、トキシンA及び/又はトキシンBに特異的な免疫反応を生じさせることが可能である。別の実施形態において、本発明のポリペプチドまたはポリペプチドの組み合わせは、トキシンA及び/又はトキシンBに特異的な抗体を生じさせることが可能である。
さらに、別の実施形態において、本発明は、CDADを予防、阻害および処置するのに有用なポリペプチドを提供するが、このポリペプチドは、ポリペプチド、ポリペプチドの断片、配列番号1から4の何れか1以上の配列を有するポリペプチドの相同体、変異体、誘導体または塩からなる群から選択され、これらのポリペプチドまたは断片の免疫原性活性は保持されている。
本発明のポリペプチドは、周知の技術を用いて調製され得る。例えば、本ポリペプチドは、組み換えDNA技術または化学合成の何れかを用いて合成により調製され得る。本発明のポリペプチドは、個々に合成されてもよいし、または、より長いポリペプチドの場合は、2以上のポリペプチドから構成されてもよい。本発明のポリペプチドは、好ましくは単離されており、即ち実質的に他の天然の宿主細胞タンパク質およびその断片を含まない。
本発明のポリペプチドは、修飾がポリペプチドの生物学的活性を破壊しない限り、グリコシル化、脱グリコシル化、側鎖酸化またはリン酸化などの修飾を含有し得る。他の修飾としては、例えば、ポリペプチドの血清半減期を延長させるために使用され得るD−アミノ酸または他のアミノ酸模倣物の組み込みが挙げられる。
本発明のポリペプチドは、アミノ酸側鎖の特性が保存される異なるアミノ酸に対してアミノ酸が置換されることによって修飾され得る(保存的アミノ酸置換として知られる過程)。アミノ酸側鎖の特性の例は、疎水性アミノ酸(A、I、L、M、F、P、W、Y、V)、親水性アミノ酸(R、D、N、C、E、Q、G、H、K、S、T)および、次の官能基または特徴を共通で有する側鎖:脂肪族側鎖(G、A、V、L、I、P);ヒドロキシル基含有側鎖(S、T、Y);硫黄原子含有側鎖(C、M);カルボン酸およびアミド含有側鎖(D、N、E、Q);塩基含有側鎖(R、K、H);および芳香族含有側鎖(H、F、Y、W)である。括弧内の文字は、アミノ酸の1文字コードであることに留意すること。
本発明のポリペプチドは、CDADの予防または処置用のワクチンとしての使用のための本発明のポリペプチドの2以上を含む組み合わせとして調製され得る。本ポリペプチドは、カクテルであってもよいし、標準的な技術を用いて互いに複合されていてもよい。例えば、本ポリペプチドは単一ポリペプチド配列として発現され得る。組み合わせにおけるポリペプチドは同じであってもよいしまたは異なってもよい。
本発明はまた、突然変異体、誘導体および変異体が、得られるポリペプチド(またはDNA)が、本明細書中で引用される配列と同一ではないが、本明細書中で開示されるポリペプチドと同じ生物学的特性を有するように、1以上のアミノ酸において改変されている(または、これをコードするヌクレオチド配列に言及している場合は、1以上の塩基対において改変されている。)ポリペプチドである、本発明のポリペプチドの(またはそれをコードするDNAの)「突然変異体」、「誘導体」および「変異体」を包含するとも解釈されるべきである。
本発明はまた、配列番号1から4の何れか1以上の配列を有するポリペプチドから選択される少なくとも1つのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも提供する。ある実施形態において、本発明は、配列番号1から4の何れか1以上のアミノ酸配列をコードする核酸配列を備える組成物を提供する。
核酸配列は、RNAに転写されるDNA配列およびポリペプチドに翻訳されるRNA配列の両方を含む。他の実施形態によれば、本発明のポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列から推定される。当技術分野で公知であるように、重複コドンゆえに、翻訳されるポリペプチドの生物学的活性を保持しながら、いくつかの代替的ポリヌクレオチドが可能である。
さらに、本発明は、本明細書中で開示されるポリペプチドと実質的相同性を有するポリペプチドをコードする単離核酸を包含する。好ましくは、本発明のポリペプチドをコードする単離核酸のヌクレオチド配列は「実質的に相同」であり、即ち、本発明のポリペプチドをコードする単離核酸のヌクレオチド配列に対して、約60%相同、より好ましくは約70%相同、さらにより好ましくは約80%相同、より好ましくは約90%相同、なおより好ましくは約95%相同、およびさらにより好ましくは約99%相同である。
本発明の範囲が、より短いおよびより長いポリペプチドおよびポリヌクレオチド、ならびに1以上のアミノ酸または核酸置換があるポリペプチドおよびポリヌクレオチド類似体、ならびに、当技術分野で公知のようなアミノ酸または核酸誘導体、非天然アミノ酸または核酸および合成アミノ酸または核酸を含む、相同体、類似体、変異体、断片、誘導体および塩を、これらの修飾が元の分子の免疫学的活性を保たねばならないという条件で、包含することが明確に理解されるべきである。活性ポリペプチドの具体的に何らかの活性のある断片ならびに伸長物、複合物および混合物が含まれ、本発明の原理により本明細書中で開示される。
本発明は、本明細書中で記載され、参照される核酸と相同なありとあらゆる単離核酸を含むと解釈されるべきであるが、ただし、これらの相同核酸は、本明細書中で開示されるポリペプチドの生物学的活性を有するポリペプチドをコードするものとする。
熟練者は、本発明の核酸が、細胞なしの場合または細胞と会合させられる場合にヌクレオチド配列をより安定にするDNAまたはRNAの化学的修飾を含め、本発明のポリペプチドおよびその何らかの修飾型をコードするRNAまたはDNA配列を包含することを理解するであろう。ヌクレオチドの化学的修飾は、ヌクレオチド配列が細胞によって取り込まれる効率または細胞においてそれが発現される効率を促進するためにも使用され得る。ヌクレオチド配列の修飾のありとあらゆる組み合わせが本発明において企図される。
さらに、当技術分野で周知である方法、例えば、前出のSambrook and Russellおよび前出のAusubel et al.に記載のものなど、組み換えDNA法を用いて、本発明のタンパク質の突然変異体、誘導体または変異体型の生成のためにあらゆる数の手順が使用され得る。ポリペプチドをコードするDNA配列を改変することによる、ポリペプチドまたはポリペプチドにおけるアミノ酸変化の導入のための手順は当技術分野で周知であり、これらおよび他の論文にも記載されている。
ベクター
本発明のポリペプチドまたはポリペプチドの組み合わせをコードする核酸は、プラスミドおよびレトロウイルスベクターを含むがこれらに限定されない適切なベクターに組み込まれ得る。このようなベクターは当技術分野で周知であり、従って本明細書中で詳細は記載しない。
ある実施形態において、本発明は、核酸によりコードされるタンパク質の発現を支配可能なように、プロモーター/制御配列を備える核酸に操作可能に連結される1以上の本発明のポリペプチドをコードする核酸配列を含む。従って、本発明は、例えば、Sambrook et al.(2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York)およびAusubel et al.(1997,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York)において記載のものなどの細胞での外来DNAの同時発現における、細胞への外来DNAの導入のための発現ベクターおよび方法を包含する。ベクターへの所望のポリヌクレオチドの組み込みおよびベクターの選択は、例えば前出のSambrook et al.およびAusubel et al.に記載のように当技術分野で周知である。
本ポリヌクレオチドは、多くのタイプのベクターにクローニングされ得る。しかし、本発明は、何らかの特定のベクターに限定されると解釈されるべきではない。そうではなく、本発明は、容易に入手可能であり、及び/又は当技術分野で周知の、多岐にわたるベクターを包含すると解釈されるべきである。例えば、本発明のポリヌクレオチドは、プラスミド、ファージミド、ファージ誘導体、動物ウイルスおよびコスミドを含むがこれらに限定されないベクターにクローニングされ得る。特に関心のあるベクターとしては、発現ベクター、複製ベクター、プローブ生成ベクターおよび配列決定ベクターが挙げられる。
具体的な実施形態において、発現ベクターは、ウイルスベクター、細菌性ベクターおよび哺乳動物細胞ベクターからなる群から選択される。上記で論じられる組成物の少なくとも一部または全てを含む多くの発現ベクター系が存在する。原核生物及び/又は真核生物ベクターに基づく系は、ポリヌクレオチドまたはそれらの同属ポリペプチドを生成させるための本発明との使用のために採用され得る。多くのこのような系は市販されており、幅広く利用可能である。
さらに、発現ベクターは、細胞に対してウイルスベクターの形態で提供され得る。ウイルスベクター技術は、当技術分野で周知であり、例えば、Sambrook et al.(2001)およびAusubel et al.(1997)において、および他のウイルス学および分子生物学のマニュアルにおいて記載されている。ベクターとして有用なウイルスとしては、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルスおよびレンチウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。一般に、適切なベクターは、少なくとも1つの生物において機能する複製起源、プロモーター配列、都合のよい制限エンドヌクレアーゼ部位および1以上の選択可能マーカーを含有する(例えばWO01/96584;WO01/29058;および米国特許第6,326,193号参照)。
本発明の望ましいヌクレオチド配列の発現の場合、各プロモーターにおける少なくとも1つのモジュールは、RNA合成のための開始部位を配置するために機能する。これの最もよく知られる例はTATAボックスであるが、哺乳動物末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ遺伝子に対するプロモーターおよびSV40遺伝子に対するプロモーターなどの、TATAボックスを欠くいくつかのプロモーターにおいて、開始部位そのものを覆う別々のエレメントが開始位置の固定を補助する。
さらなるプロモーターエレメント、即ち、エンハンサーは、転写開始頻度を制御する。一般的には、これは、開始部位の領域30から110bp上流に位置するが、多くのプロモーターが近年、開始部位の下流にも機能的エレメントを含有することが示された。プロモーターエレメント間のスペーシングは柔軟であることが多く、そのため、エレメントが逆転するかまたは互いに対して移動するとき、プロモーター機能が保持される。チミジンキナーゼ(tk)プロモーターにおいて、プロモーターエレメント間のスペーシングは、50bpまで離れるように長くすることができ、それより長いと活性が低下し始める。プロモーターに依存して、個々のエレメントは、転写を活性化するために、同時操作可能にも独立にも機能し得ると思われる。
プロモーターは、コードセグメント及び/又はエクソンの上流に位置する5’非コード配列を単離することにより得られ得る場合、遺伝子またはポリヌクレオチド配列と天然に連結されているものであり得る。このようなプロモーターは、「内在性」と呼ばれ得る。同様に、エンハンサーは、その配列の下流または上流の何れかに位置するポリヌクレオチド配列と天然に連結され得る。あるいは、その天然の環境においてポリヌクレオチド配列と通常は連結されていないプロモーターを指す、組み換えまたは異種プロモーターの調節下にコードポリヌクレオチドセグメントを配置することにより、ある一定の長所が得られる。組み換えまたは異種エンハンサーとは、その天然の環境においてポリヌクレオチド配列と通常は連結されていないエンハンサーも指す。このようなプロモーターまたはエンハンサーは、他の遺伝子のプロモーターまたはエンハンサーおよび、何らかの他の原核、ウイルスまたは真核細胞から単離されるプロモーターまたはエンハンサーおよび「天然」ではない、即ち異なる転写制御領域の異なるエレメント及び/又は発現を変化させる突然変異を含有するプロモーターまたはエンハンサーを含み得る。プロモーターおよびエンハンサーの核酸配列を合成により作製することに加えて、本明細書中で開示される組成物と関連して、組み換えクローニング及び/又はPCRを含む核酸増幅技術を用いて配列が作製され得る(米国特許第4,683,202号、米国特許第5,928,906号)。さらに、ミトコンドリア、葉緑体など、核ではない細胞小器官内の配列の転写及び/又は発現を支配する調節配列も採用され得ることが企図される。
自然に、発現のために選択される、細胞タイプ、細胞小器官および生物においてDNAセグメントの発現を効果的に支配するプロモーター及び/又はエンハンサーを使用することは重要であろう。分子生物学の技術分野の熟練者は、一般に、タンパク質発現のためのプロモーター、エンハンサーおよび細胞タイプの組み合わせをどのように使用するかを知っており、例えば、Sambrook et al.(2001)を参照のこと。使用されるプロモーターは、組み換えタンパク質及び/又はポリペプチドの大規模産生で有利であるなど、導入されたDNAセグメントの高レベル発現を支配するために適切な条件下で、構成的で、組織特異的で誘導可能で及び/又は有用であり得る。プロモーターは異種または内在性であり得る。
構成的プロモーター配列の一例は、前初期サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター配列である。このプロモーター配列は、それに操作可能に連結されている何らかのポリヌクレオチド配列の高レベル発現を進行させることが可能な強力な構成的プロモーター配列である。しかし、シミアンウイルス40(SV40)初期プロモーター、マウス乳腺腫瘍(MMTV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)長末端配列(LTR)プロモーター、モロニーウイルスプロモーター、鳥類白血病ウイルスプロモーター、エプスタイン−バーウイルス前初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーターならびにヒト遺伝子プロモーター、例えば、プロモーター、ミオシンプロモーター、ヘモグロビンプロモーターおよび筋肉クレアチンプロモーターなどを含むが限定されない他の構成的プロモーター配列も使用され得る。さらに、本発明は、構成的プロモーターの使用に限定されるべきではない。誘導性プロモーターも、本発明の一部として企図される。本発明における誘導性プロモーターの使用は、それが操作可能に連結されているポリヌクレオチド配列の発現を、このような発現が所望される場合は作動させ、発現が望ましくない場合は止めることが可能な分子スイッチを提供する。誘導性プロモーターの例としては、メタロチオニンプロモーター、グルココルチコイドプロモーター、プロゲステロンプロモーターおよびテトラサイクリンプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、本発明は、望ましい組織でのみプロモーターが活性である、組織特異的なプロモーターの使用を含む。組織特異的なプロモーターは、当技術分野で周知であり、HER−2プロモーターおよびPSA関連プロモーター配列を含むが、これらに限定されない。
本発明のポリペプチドまたはポリペプチドの組み合わせをコードするヌクレオチド配列の発現を評価するために、細胞に導入しようとする発現ベクターは、ウイルスベクターを通じて遺伝子移入または感染させようとする細胞集団からの発現細胞の同定および選択を促進するための、選択可能マーカー遺伝子もしくはレポーター遺伝子の何れかまたはその両方も含有し得る。その他の実施形態において、選択可能マーカーは、個別のDNA片上に担持され得、同時遺伝子移入手順で使用され得る。選択可能マーカーおよびレポーター遺伝子は両者とも、宿主細胞における発現を可能にするために、適切な制御配列と隣接させられ得る。有用な選択可能マーカーは当技術分野で公知であり、例えば抗生物質−耐性遺伝子、例えばneoなどを含む。
遺伝子移入される可能性がある細胞を同定するために、および制御配列の機能性を評価するために、レポーター遺伝子が使用される。容易にアッセイ可能なタンパク質をコードするレポーター遺伝子は当技術分野で周知である。一般に、レポーター遺伝子は、受容生物もしくは組織に存在しないかまたはこれらにより発現されず、いくつかの容易に検出可能な特性、例えば酵素活性、によって発現が明らかになるタンパク質をコードする、遺伝子である。レポーター遺伝子の発現は、DNAが受容細胞に導入された後、適切な時間にアッセイされる。
適切なレポーター遺伝子は、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子または緑色蛍光タンパク質遺伝子を含み得る(例えばUi−Tei et al.,2000 FEBS Lett.479:79−82参照)。適切な発現系は周知であり、周知の技術を使用して調製され得るかまたは購入により入手され得る。内部欠失コンストラクトは、特有の内部制限部位を使用して、または非特有制限部位の部分消化により、作製され得る。次に、高レベルのsiRNAポリヌクレオチド及び/又はポリペプチド発現を示す細胞にコンストラクトが遺伝子導入され得る。一般に、最小5’隣接領域がレポーター遺伝子の最大レベル発現を示すコンストラクトはプロモーターとして同定される。このようなプロモーター領域がレポーター遺伝子に連結され得、プロモーター作動性転写を調整する能力について薬剤を評価するために使用され得る。
いくつかの実施形態において、所望のポリペプチドの発現を向上させるために発現ベクターが修飾される。例えば、本ベクターは、ある種の哺乳動物において発現を改善するために、コドン最適化が行われ得る。例えば、本ベクターは、ヒト発現に対してコドン最適化され得る。別の実施形態において、本発現ベクターは、効果的な分泌リーダーを備える。代表的なリーダーは、IgEリーダー配列である。別の実施形態において、本発現ベクターは、翻訳を開始するためのKozakエレメントを備える。別の実施形態において、翻訳を妨げるシス作用配列モチーフ/RNA二次構造の核酸が除去される。このような修飾などは、DNAワクチンにおける使用に対して当技術分野で公知である(Kutzler et al.,2008,Nat.Rev.Gen.9:776−788;PCT App.No.PCT/US2007/000886;PCT App.No.;PCT/US2004/018962)。
核酸組成物を導入する方法
本発明はまた、対象においてCDADを予防、阻害および処置する方法も提供する。本発明の方法は、対象において免疫反応を引き起こす。ある実施形態において、本方法は、トキシンAおよびトキシンBに特異的な抗体の産生を誘導する。別の実施形態において、本方法は、毒素特異的な抗体分泌細胞(ASC)の生成を誘導する。別の実施形態において、本方法は、CDADおよび関連病態を予防、軽減または処置する。
ある実施形態において、本発明の方法は、トキシンA RBD及び/又はトキシンB RBDまたはそれらの変異体をコードする有効量の核酸を対象に投与することを備える。ある実施形態において、本核酸が細胞または細胞集団に送達される。ある実施形態において、本核酸が細胞にインビボで、例えば、筋肉内送達される。別の実施形態において、本核酸はエクスビボで細胞に送達され、次いでその細胞が対象に投与される。好ましくは、細胞は対象起源でもある。
ある実施形態において、本発明の方法は、本発明の組成物が細胞または細胞集団に送達され、それが対象に投与され、それによって例えばトキシンA及び/又はトキシンB抗体の産生を通じて免疫反応を誘導する、エクスビボワクチン接種法において使用され得る。
発現ベクターの関連で、本ベクターは、当技術分野における何らかの方法によって、宿主細胞、例えば哺乳動物、細菌、酵母または昆虫細胞に容易に導入され得る。例えば、発現ベクターは、物理的、化学的または生物学的手段によって宿主細胞に移入され得る。
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための物理的方法としては、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、粒子衝撃法、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどが挙げられる。ベクター及び/又は外来核酸を含む細胞を作製するための方法は当技術分野で周知である。例えば、Sambrook et al.(2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York)およびAusubel et al.(1997,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York)を参照のこと。
関心のあるポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための生物学的方法としては、DNAおよびRNAベクターの使用が挙げられる。ウイルスベクターおよび特にレトロウイルスベクターは、遺伝子を哺乳動物、例えばヒト細胞に挿入するために最も広く使用される方法となっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、1型単純ヘルペスウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスなど由来であり得る。例えば米国特許第5,350,674号および同第5,585,362号を参照のこと。
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための化学的手段としては、コロイド分散系、例えば巨大分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズおよび水中油エマルション、ミセル、混合ミセルならびにリポソームを含む脂質に基づく系が挙げられる。インビトロおよびインビボでの送達ビヒクルとしての使用のための好ましいコロイド系はリポソーム(即ち人工膜小胞)である。このような系の調製および使用は当技術分野で周知である。
非ウイルス送達系が利用される場合、代表的な送達ビヒクルはリポソームである。宿主細胞への核酸の導入に対して、脂質製剤の使用が企図される(インビトロ、エクスビボまたはインビボ)。別の態様において、本核酸は脂質と会合させられ得る。脂質と会合させられた核酸は、リポソームの水性の内部に封入されるか、リポソームの脂質二重層内に散在させられるか、リポソームおよびオリゴヌクレオチドの両方と会合させられている連結分子を介してリポソームに連結されるか、リポソーム中に取り込まれるか、リポソームと複合体化されるか、脂質を含有する溶液中で分散されるか、脂質と混合されるか、脂質と合わせられるか、脂質中に縣濁液として含有されるか、ミセルとともに含有もしくは複合体化されるか、または脂質と会合させられ得る。脂質、脂質/DNAまたは脂質/発現ベクター会合組成物は、溶液中で何らかの特定の構造に限定されない。例えば、これらは、二重層構造中で、ミセルとして、または「崩壊」構造とともに存在し得る。これらはまた、単純に、溶液中で散在させられ得、サイズおよび形状が均一ではない凝集物を形成する可能性がある。脂質は、天然または合成脂質であり得る脂肪物質である。例えば脂質は、細胞質中で天然に生じる脂肪滴ならびに、長鎖脂肪族炭化水素およびそれらの誘導体、例えば脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコールおよびアルデヒドなどを含有する化合物のクラスを含む。
使用に適切な脂質は、市販ソースから入手され得る。例えば、ジミリスチルホスファチジルコリン(「DMPC」)は、Sigma,St.Louis,MOから入手され得;リン酸ジセチル(「DCP」)は、K & K Laboratories(Plainview,NY)から入手され得;コレステロール(「Choi」)は、Calbiochem−Behringから入手され得;ジミリスチルホスファチジルグリセロール(「DMPG」)および他の脂質は、Avanti Polar Lipids,Inc.(Birmingham,AL)から入手され得る。クロロホルムまたはクロロホルム/メタノール中の脂質の保存溶液は約−20℃で保存され得る。クロロホルムは、メタノールよりも容易に蒸発させられるので、唯一の溶媒として使用される。「リポソーム」は、封入脂質二重層または凝集体の生成により形成される様々な単層状および多層状脂質ビヒクルを包含する総称である。リポソームは、リン脂質二重層および内部の水媒体を有する小胞構造を有することを特徴とし得る。多層状リポソームは、水媒体により分離される複数の脂質層を有する。これらは、過剰な水溶液中でリン脂質が懸濁されると自然発生的に生成する。脂質成分は、閉じられた構造の形成前に自己編成が起こり、脂質二重層の間に水および溶解された溶質を取り込む(Ghosh et al.,1991 Glycobiology 5:505−10)。しかし、溶液中で通常の小胞構造とは異なる構造を有する組成物も包含される。例えば、脂質は、ミセル構造をとり得るか、または単に脂質分子の不均一な凝集体として存在し得る。リポフェクタミン−核酸の複合体も企図される。
他の実施形態において、インビトロで転写されたmRNAを用いて本発明のポリペプチドが細胞に送達される。インビトロで転写されたmRNAは、担体として遺伝子移入細胞を用いて、または封入されるか、結合されるかもしくは裸のmRNAの細胞フリーの局所的もしくは全身的送達を用いて、異なるタイプの真核細胞にならびに組織および生体全体に送達され得る。使用される方法は、一時的発現が必要とされるかまたはそれで十分である、あらゆる目的に対するものであり得る。
本方法はまた、例えば、プロモーターまたは投入RNA量を変化させることによって、広い範囲にわたり発現レベルを調節する能力も提供し、これにより、発現レベルを個別に制御することができるようになる。さらにPCRに基づくmRNA産生技術によって、異なる構造およびそれらのドメインの組み合わせによるキメラ受容体mRNAの設計が非常に容易になる。例えば、同じ細胞における複数のキメラ受容体における様々な異なる細胞内エフェクター/共刺激ドメインによって、多抗原性標的に対して、最高レベルの細胞毒性および同時に正常細胞に対する最低レベルの細胞毒性を評価する受容体構造の組み合わせの決定ができるようになる。
本発明のRNA遺伝子移入方法のある1つの長所は、RNA遺伝子移入が、基本的に一時的であり、ベクター不含であることであり:RNA導入遺伝子は、細胞に送達され、何らさらなるウイルス配列を必要とせずに、最小限の発現カセットとして、短時間のインビトロ細胞活性化後にそれにおいて発現され得る。これらの条件下で、宿主細胞ゲノムへの導入遺伝子の組み込みは可能性が低い。RNAの遺伝子移入効率およびそのリンパ球集団全体を均一に修飾する能力のため、細胞のクローニングは不要である。
インビトロ−遺伝子移入RNA(IVT−RNA)による細胞の遺伝子組み換えは、両者とも様々な動物モデルで良好に試験されてきた2つの異なるストラテジーを使用する。リポフェクションまたはエレクトロポレーションにより、インビトロ−遺伝子移入RNAを用いて細胞が遺伝子移入される。好ましくは、移入されたIVT−RNAの発現延長を達成するために、様々な修飾を用いてIVT−RNAを安定化することが望ましい。
インビトロ転写のための鋳型として標準化方式において利用され、安定化されたRNA転写産物が産生されるように遺伝子組み換えされているいくつかのIVTベクターが、文献で知られている。現在、当技術分野で使用されるプロトコールは、次の構造:RNA転写を可能にする5’RNAポリメラーゼプロモーターと、それに続く、3’及び/又は5’の何れかで非翻訳領域(UTR)と隣接する関心のある遺伝子および50から70Aヌクレオチドを含有する3’ポリアデニルカセットを有するプラスミドベクターに基づく。インビトロ転写前に、2型制限酵素(認識配列は切断部位に対応する。)によってポリアデニルカセットの下流で環状プラスミドが線状化される。従って、ポリアデニルカセットは、転写産物の後期ポリ(A)配列に対応する。この手順の結果として、一部のヌクレオチドは、線状化後、酵素切断部位の一部として残存するか、伸長するかまたは3’末端でポリ(A)配列を隠す。この非生理的突出部がこのようなコンストラクトから細胞内で産生されるタンパク質の量に影響を与えるか否かは明らかではない。
RNAは、より従来的なプラスミドまたはウイルスアプローチを凌ぐいくつかの長所を有する。RNA源からの遺伝子発現は転写を必要とせず、遺伝子移入後、タンパク質産物が迅速に産生される。さらに、RNAは核ではなく細胞質へのアクセスのみを得ればよいので、従って典型的な遺伝子移入法の結果、遺伝子移入率が極めて高くなる。さらに、プラスミドに基づくアプローチは、関心のある遺伝子の発現を作動させるプロモーターが、研究下で細胞において活性があることを必要とする。
別の態様において、RNAコンストラクトは、エレクトロポレーションによって細胞に送達される。例えばUS2004/0014645、US2005/0052630A1、US2005/0070841A1、US2004/0059285A1、US2004/0092907A1で教示されるような哺乳動物細胞への核酸コンストラクトのエレクトロポレーションの処方物および方法を参照のこと。何らかの既知の細胞タイプのエレクトロポレーションに必要な電場強度を含む様々なパラメーターは、一般に関連研究文献ならびに当技術分野の多くの特許および出願において公知である。例えば米国特許第6,678,556号、米国特許第7,171,264号および米国特許第7,173,116号を参照のこと。エレクトロポレーションの治療適用のための装置は市販されており、例えばMedPulser(商標)DNA Electroporation Therapy System(Inovio/Genetronics,San Diego,Calif)であり、米国特許第6,567,694号;米国特許第6,516,223号、米国特許第5,993,434号、米国特許第6,181,964号、米国特許第6,241,701号および米国特許第6,233,482号などの特許に記載されており;エレクトロポレーションはまた、例えばUS20070128708A1に記載のように、インビトロでの細胞の遺伝子移入に対しても使用され得る。エレクトロポレーションはまた、インビトロで細胞に核酸を送達するためにも利用され得る。従って、当業者にとって公知の多くの利用可能な機器およびエレクトロポレーション系の何れかを利用した発現コンストラクトを含む核酸の細胞へのエレクトロポレーション介在投与は、標的細胞への関心のあるRNAの送達のための手段を与える。
宿主細胞へ外来核酸を導入するかまたは本発明の阻害剤に細胞を曝露するために使用される方法にかかわらず、宿主細胞における組み換えDNA配列の存在を確認するために、様々なアッセイが行われ得る。このようなアッセイとしては、例えば当業者にとって周知の「分子生物学的」アッセイ、例えばサザンおよびノザンブロッティング、RT−PCRおよびPCRなど;「生化学的」アッセイ、例えば特定のポリペプチドの有無を検出することなど、例えば免疫学的手段(ELISAおよびウエスタンブロット)によるかまたは本発明の範囲内に入る物質を同定するための本明細書中に記載のアッセイによるものが挙げられる。
ワクチン
ワクチンとして有用であるべきである抗原性組成物の場合、抗原性組成物は、細胞、組織または哺乳動物(例えばヒト)において抗原に対して免疫反応を誘導しなければならない。好ましくは、本ワクチンは、哺乳動物において防御免疫反応を誘導する。本明細書中で使用される場合、「免疫学的組成物」は、例として、抗原(例えばポリペプチド)、抗原をコードする核酸(例えば抗原発現ベクター)または抗原もしくは細胞成分を発現するかもしくは提示する細胞を備え得る。特定の実施形態において、抗原性組成物は、本明細書中に記載の何らかのポリペプチド抗原または免疫学的に機能のあるその同等物の全てもしくは一部を備えるかまたはコードする。その他の実施形態において、抗原性組成物は、さらなる免疫刺激剤またはこのような物質をコードする核酸を備える混合物中にある。免疫刺激剤としては、さらなる抗原、免疫調節物質、抗原提示細胞またはアジュバントが挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態において、さらなる物質の1以上が、何らかの組み合わせで抗原または免疫刺激剤に共有結合される。ある一定の実施形態において、抗原性組成物は、HLAアンカーモチーフアミノ酸に複合体化されるかまたはこれを備える。
本発明の関連で、「ワクチン」という用語(免疫原性組成物とも呼ばれる。)は、動物に接種されると、抗C.ディフィシル(C.difficile)免疫性を誘導するかまたはC.ディフィシル(C.difficile)を抑制する物質を指す。
本発明のワクチンは、その核酸及び/又は細胞成分の組成が様々であり得る。非限定例において、抗原をコードする核酸は、アジュバントと一緒にも処方され得る。言うまでもなく、本明細書中に記載の様々な組成物が、さらなる成分をさらに含み得ることが理解されよう。例えば、1以上のワクチン成分は、脂質またはリポソーム中に備えられ得る。別の非限定例において、ワクチンは、1以上のアジュバントを備え得る。本発明のワクチンおよびその様々な成分は、本開示に照らして、本明細書中で開示される何らかの方法によって、または当業者にとって公知であろうように、調製され得、及び/又は投与され得る。
ある実施形態において、本発明のポリペプチドワクチンとしては、アジュバント物質と混合されているポリペプチドおよび抗原提示細胞(APC)と一緒に導入されるポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。後者のタイプのワクチンに対して使用される最も一般的な細胞は、骨髄および末梢血由来樹状細胞であるが、それは、これらの細胞が、T細胞の活性化を助ける共刺激分子を発現するからである。WO00/06723は、APC提示腫瘍関連抗原ポリペプチドを含む細胞性ワクチン組成物を開示する。このポリペプチドの提示は、このポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えばDNA、RNA)をAPCに負荷するかまたはAPCにポリペプチドそのものを負荷することにより影響を受け得る。
従って、本発明はまた、配列番号1から4のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはそれらの変異体の1以上を用いて、抗毒素免疫を誘導する方法も包含する。ある一定のポリペプチドまたはポリペプチドの組み合わせが動物への接種時に抗毒素免疫反応を誘導する場合、このポリペプチドまたはポリペプチドの組み合わせは、抗毒素免疫誘導効果を有すると判断される。ポリペプチドまたはポリペプチドの組み合わせによる抗毒素免疫の誘導は、インビボまたはインビトロでポリペプチドに対する宿主での免疫系の反応を観察することにより検出され得る。
例えば、細胞毒性Tリンパ球の誘導を検出するための方法は周知である。生体に侵入する外来物質は、APCの作用によってT細胞およびB細胞に提示される。抗原−特異的な方式でAPCにより提示される抗原に反応するT細胞は、抗原による刺激ゆえに、細胞毒性T細胞(細胞毒性Tリンパ球またはCTLとも呼ばれる。)に分化する。次いで、これらの抗原刺激を受けた細胞が増殖する。この過程は、本明細書中でT細胞の「活性化」と呼ばれる。従って、ある種の本発明のポリペプチドまたはポリペプチドの組み合わせによるCTL誘導は、APCによってT細胞にポリペプチドを提示し、CTLの誘導を検出することによって評価され得る。さらに、APCは、CD4+T細胞、CD8+T細胞、マクロファージ、好酸球およびNK細胞を活性化する効果を有する。
APCとして樹状細胞(DC)を用いたCTLの誘導作用を評価するための方法は当技術分野で周知である。DCは、APCの中でも最強のCTL誘導作用を有する代表的なAPCである。この方法において、ポリペプチドまたはポリペプチドの組み合わせは、最初にDCと接触させられ、次いでこのDCは、T細胞と接触させられる。DCとの接触後、関心のある細胞に対して細胞毒性効果を有するT細胞の検出は、ポリペプチドまたはポリペプチドの組み合わせが細胞毒性T細胞を誘導する活性を有することを示す。さらに、ELISPOTアッセイなど、抗IFN−γ抗体を用いて可視化することにより、固定化ポリペプチドまたはポリペプチドの組み合わせを担う抗原提示細胞の存在下で、CTLにより産生され、放出されるIFN−γを測定することによって、誘導される免疫反応を調べることもできる。
DCは別として、末梢血単核細胞(PBMC)もAPCとして使用され得る。CTLの誘導は、GM−CSFおよびIL−4の存在下でPBMCを培養することにより促進されることが報告されている。同様に、CTLは、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)およびIL−7の存在下でPBMCを培養することによって誘導されることが示されている。
これらの方法によってCTL誘導活性を保持することが確認されているポリペプチドまたはポリペプチドの組み合わせは、DC活性化効果および続くCTL誘導活性を有するポリペプチドである。従って、トキシンAおよびトキシンBに対するCTLを誘導するポリペプチドまたはポリペプチドの組み合わせは、C.ディフィシル(C.difficile)関連障害に対するワクチンとして有用である。さらに、APCによるポリペプチドまたはポリペプチドの組み合わせの提示ゆえに獲得細胞毒性を有するCTLもC.ディフィシル(C.difficile)関連障害に対するワクチンとして使用され得る。
一般に、細胞免疫療法のためにポリペプチドを用いた場合、CTL−誘導の効率は、異なる構造を有し、DCとそれらを接触させる複数のポリペプチドを合わせることによって上昇させ得る。従って、タンパク質断片でDCを刺激する場合、複数のタイプの断片の混合物を使用することは有利である。
ポリペプチドまたはポリペプチドの組み合わせによる抗毒素免疫の誘導は、特異的毒素に対する抗体産生の誘導を観察することによりさらに確認され得る。例えば、ポリペプチドまたはポリペプチドの組み合わせで免疫付与された実験動物においてポリペプチドまたはポリペプチドの組み合わせに対する抗体が誘導される場合、およびC.ディフィシル(C.difficile)関連病態がこれらの抗体により抑制される場合、ポリペプチドまたはポリペプチドの組み合わせは、抗C.ディフィシル(C.difficile)毒素免疫を誘導すると判断される。
抗毒素免疫は、本発明のワクチンを投与することにより誘導され得、抗毒素免疫の誘導により、トキシンAおよびトキシンBの存在が関連する疾患の処置および予防が可能になる。C.ディフィシル(C.difficile)と関連する疾患の発症に対する治療またはこれの予防は、毒素誘導性アクチン不安定化の阻害、上皮破壊の予防、毒素介在粘膜壊死の阻害および障壁機能低下の予防を含み得る。C.ディフィシル(C.difficile)に関連する疾患を有する個体の死亡率低下、血中の疾患マーカーの低下、疾患に付随する検出可能な症状の軽減なども疾患の治療または予防に含まれる。このような治療および予防効果は、好ましくは統計学的に有意であり、例えば、C.ディフィシル(C.difficile)に関連する疾患に対するワクチンの治療または予防効果は、ワクチン投与のない対照と比較される場合、5%以下の有意レベルで観察される。例えば、統計学的有意性を判定するために、スチューデントのt検定、マン・ホイットニーのU検定またはANOVAが使用され得る。
本発明は、C.ディフィシル(C.difficile)と関連する疾患または状態を処置または予防するための方法を提供する。本発明の治療用化合物または組成物は、疾患または状態に罹患しているかまたはその発症のリスクがあるかまたは発症しやすい対象に予防的または治療的に投与され得る。このような対象は、標準的な臨床方法を用いて同定され得る。本発明の関連で、予防的な投与は、疾患または障害が予防されるかまたはあるいはその進行が遅延されるように、疾患の顕性臨床症状の発現前に行われる。医薬分野の関連で、「予防する」という用語は、疾患からの死亡率または罹患率の負担を低下させる何らかの行動を包含する。予防は一次、二次および三次予防レベルで行い得る。一次予防が疾患の発現を回避する一方で、二次および三次レベルの予防は、疾患の進行および症状の出現を予防し、ならびに、機能を回復させて疾患関連合併症を軽減することにより、既に確立された疾患の負の影響を減少させることを目的とする行動を包含する。
免疫学的活性を有する本発明のポリペプチドもしくはポリペプチドの組み合わせまたはこのようなポリペプチドもしくはポリペプチドの組み合わせをコードするポリヌクレオチドまたはベクターは、アジュバントと組み合わせられ得る。アジュバントは、免疫学的活性を有するポリペプチドと一緒に(または連続的に)投与されたとき、ポリペプチドまたはポリペプチドの組み合わせに対する免疫反応を促進する化合物を指す。適切なアジュバントの例としては、コレラ毒素、サルモネラ毒素、ミョウバンなどが挙げられるがこれらに限定されない。さらに、本発明のワクチンは、医薬的に許容可能な担体と適切に組み合わせられ得る。このような担体の例は、滅菌水、生理食塩水、リン酸緩衝液、培養液などである。さらに、本ワクチンは、必要に応じて、安定化剤、縣濁液、保存料、界面活性剤などを含有し得る。このワクチンは、全身的にまたは局所的に投与される。ワクチン投与は、単回投与により行われ得るか、または複数回投与により促進される。
投与
当業者は、ベクターを細胞に投与するために様々な送達方法が利用され得ることを認識する。例としては、(1)物理的手順を利用する方法、例えばエレクトロポレーション(電気)、遺伝子銃(物理的力)または大量の液体(圧)を適用することなど;および(2)このベクターが別の物体、例えばリポソーム、凝集タンパク質またはトランスポーター分子などと複合体化される方法が挙げられる。
ある実施形態において、本発明の方法は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組成物を対象に直接投与することを備える。本組成物の投与は、例えば、筋肉内、静脈内、腹膜、皮下、皮内ならびに局所投与を含み得る。ある実施形態において、本組成物の送達はインビボでのエレクトロポレーションにより促進される。ある実施形態において、本組成物の送達は、筋肉内投与およびインビボエレクトロポレーションの組み合わせを備える。
さらに、実際の用量およびスケジュールは、本組成物が他の医薬組成物と組み合わせられて投与されるか否かに依存して、または薬物動態、薬物体内動態および代謝の個体差に依存して変動し得る。同様に、利用される特定の細胞株に依存して(例えば細胞表面に存在するベクター受容体数または遺伝子の移入に使用される特定のベクターの、その細胞株における複製能に基づいて)、インビトロでの適用において量が変動し得る。さらに、細胞あたりの、添加されるべきベクターの量は、ベクターに挿入される治療用遺伝子の長さおよび安定性ならびにまた配列の性質により変動すると思われ、特に実験的に決定される必要があるパラメーターであり、本発明の方法に固有ではない要素(例えば、合成に付随する費用)のために変更され得る。当業者は、特定の状況の要件に従い、何らかの必要な調整を容易になし得る。
治療剤を含有する細胞は、自殺遺伝子、即ち細胞を破壊するために使用され得る産物をコードする遺伝子も含有し得る。多くの遺伝子治療の状況においては、宿主細胞において治療目的のために遺伝子を発現するが、随意に宿主細胞の破壊能も有することが可能であることが望ましい。本組成物は、活性化因子化合物の非存在下では発現が活性化されない自殺遺伝子と連結され得る。薬剤および自殺遺伝子の両方が導入されている細胞の死が所望される場合、活性化因子化合物が細胞に投与され、それにより自殺遺伝子の発現を活性化し、細胞を殺滅させる。使用され得る自殺遺伝子/プロドラッグの組み合わせの例は、単純ヘルペスウイルス−チミジンキナーゼ(HSV−tk)およびガンシクロビル、アシクロビル;オキシドレダクターゼおよびシクロヘキシミド;シトシンデアミナーゼおよび5−フルオロシトシン;チミジンキナーゼチミジレートキナーゼ(Tdk::Tmk)およびAZT;およびデオキシシチジンキナーゼおよびシトシンアラビノシドである。
本明細書中に記載のこれらの方法は、決して包括的ではなく、具体的な適応に適したさらなる方法が当業者にとって明らかとなろう。さらに、本組成物の有効量は、所望の効果を発揮することが知られている化合物に対する類似性を通じて、さらに見積もられ得る。
医薬組成物
本発明は、CDADに関連する疾患または状態の処置を必要とする哺乳動物への本発明の治療用組成物の投与によって、哺乳動物においてCDADに関連する疾患または状態を処置することを想定する。本発明による治療用組成物の投与は、例えば、受容者の生理的状態、投与目的が治療用であるかまたは予防用であるかおよび熟練医師にとって公知のその他の因子に依存して、継続的または間欠的であり得る。本発明の組成物の投与は、予め選択された期間にわたり基本的に継続的であってもよいし、または、間隔をあけた一連の投与であってもよい。局所および全身投与の両者とも企図される。投与される量は、選択される組成物、特定の疾患、体重、身体状態および哺乳動物の齢および予防または処置の何れを達成しようとしているかを含むがこれらに限定されない、様々な因子に依存して変動する。このような因子は、動物モデルまたは当技術分野で周知の他の試験系を使用して臨床家によって容易に決定され得る。
下記で論じられるような、場合によっては持続放出用に処方され得る本発明の組成物を有する1以上の適切な単位剤形(例えばマイクロカプセル化を使用。開示が本明細書中で参照により組み込まれるWO94/07529および米国特許第4,962,091号参照)は、非経口を含む、静脈内および筋肉内経路によるものを含む、様々な経路により、ならびに疾患組織への直接的注射によって投与され得る。この処方物は、必要に応じて、分離した単位剤形で都合よく与えられ得、薬剤学にとって周知の方法の何れかによって調製され得る。このような方法は、液体担体、固形マトリクス、半固形担体、微粉化固形担体またはそれらの組み合わせと治療剤とを合わせ、次いで必要であれば生成物を所望の送達系に導入するかまたは成形する段階を含み得る。
本発明の組成物が投与のために調製される場合、これらは、製剤処方または単位剤形を生成させるために、医薬的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤と好ましくは合わせられる。このような処方物中の総活性成分は、0.1から99.9重量%の処方物を含む。「医薬的に許容可能な」とは、処方物の他の成分と適合し、その受容者にとって有害ではない、担体、希釈剤、賦形剤及び/又は塩である。投与のための活性成分は、粉末として、または顆粒として、溶液、縣濁液またはエマルションとして存在し得る。
本発明の組成物を含有する製剤処方は、周知であり、容易に入手可能な成分を使用して、当技術分野で公知である手順によって調製され得る。本発明の組成物はまた、例えば筋肉内による、皮下または静脈内経路による非経口投与のための適切な溶液としても処方され得る。
本発明の組成物の製剤処方は、水性または無水溶液もしくは分散液の形態またはあるいはエマルションもしくは縣濁液の形態もとり得る。
従って、本組成物は、非経口投与(例えば注射、例えば、ボーラス注射または連続点滴による。)のために処方され得、アンプル、プレフィルドシリンジ、少量点滴容器での単位剤形で、または保存料が添加された複数回投与容器で与えられ得る。活性成分は、油性または水性ビヒクル中の縣濁液、溶液またはエマルションなどの形態をとり得、懸濁化、安定化及び/又は分散化剤などの調合剤を含有し得る。あるいは、活性成分は、滅菌固形物の無菌分離によって、または、適切なビヒクル、例えば滅菌状態の発熱物質不含水を用いて使用前に構成するための、溶液からの凍結乾燥によって得られる粉末形態であり得る。
当然のことながら、各剤形の個々のエアロゾル用量に含有される活性成分または成分の単位含量は、必要な有効量が複数の投薬単位の投与により達成され得るので、それ自体において、特定の適用または疾患を処置するための有効量を構成する必要はない。さらに、有効量は、個別にまたは一連の投与において、剤形中の用量未満を用いて達成され得る。
本発明の製剤処方は、任意の成分として、医薬的に許容可能な担体、希釈剤、可溶化剤または乳化剤および当技術分野で周知のタイプの塩を含み得る。本発明の製剤処方において有用である担体及び/又は希釈剤の具体的な非限定例としては、水および生理学的に許容可能な緩衝塩溶液、例えばリン酸緩衝塩溶液pH7.0から8.0などが挙げられる。
本発明の発現ベクター、形質導入細胞、ポリヌクレオチドおよびポリペプチド(活性成分)は、活性成分を生物の身体の薬剤作用部位と接触させる何らかの手段によって、様々な疾患状態を処置するために処方され、投与され得る。これらは、個々の治療活性成分として、または治療活性成分の組み合わせでの何れかで、医薬と併せた使用のために利用可能な何らかの従来の手段によって投与され得る。これらは単独で投与され得るが、一般には選択された投与経路および標準的な薬務に基づいて選択される医薬担体とともに投与される。
一般に、水、適切な油、塩水、水性デキストロース(グルコース)および関連糖溶液およびグリコール、例えばプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどは、非経口溶液に対する適切な担体である。非経口投与用の溶液は、活性成分、適切な安定化剤および、必要に応じて緩衝物質を含有する。抗酸化剤、例えば重硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムまたはアスコルビン酸は、単独でまたは併用で、適切な安定化剤である。クエン酸およびその塩およびエチレンジアミン四酢酸ナトリウム(EDTA)も使用される。さらに、非経口溶液は、保存料、例えば塩化ベンザルコニウム、メチル−またはプロピル−パラベンおよびクロロブタノールなどを含有し得る。適切な医薬担体は、この分野の標準的な参考文献であるRemington’s Pharmaceutical Scienceに記載されている。
本発明の活性成分は、哺乳動物、特にヒトでの使用に適切な医薬的に許容可能な組成物中で懸濁されるように処方され得る。このような処方物は、アジュバント、例えば米国特許第4,082,735号;同第4,082,736号;同第4,101,536号;同第4,185,089号;同第4,235,771号;および同第4,406,890号に記載されるムラミルジポリペプチド誘導体(MDP)または類似体などの使用を含む。有用である他のアジュバントとしては、ミョウバン(Pierce Chemical Co.)、リピッドA、トレハロースジミコール酸およびジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDA)、フロイントのアジュバントおよびIL−12が挙げられる。他の成分は、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックポリマー(プルロニック(登録商標))、非イオン性界面活性剤および代謝可能な油、例えばスクアレン(米国特許第4,606,918号)を含み得る。
さらに、標準的な医薬的方法は、作用持続時間を調節するために使用され得る。これらは、当技術分野で周知であり、制御放出製剤を含み、適切な巨大分子、例えばポリマー、ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニル、ピロリドン、エチレン酢酸ビニル、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたは硫酸プロタミンを含み得る。巨大分子の濃度ならびに組み込みの方法は、放出を調節するために調整され得る。さらに、本薬剤は、ポリエステル、ポリアミノ酸、ヒドロゲル、ポリ(乳酸)またはエチレン酢酸ビニルコポリマーなどのポリマー材料の粒子に組み込まれ得る。組み込まれることに加えて、これらの薬剤はまた、マイクロカプセル中の化合物を捕捉するためにも使用され得る。
従って、本発明の医薬組成物は、特定の効果を達成するために、様々な経路を介して、および哺乳動物の身体の様々な部位に、送達され得る(例えばRosenfeld et al.,1991;Rosenfeld et al.,1991a;Jaffe et al.,前出;Berkner,前出参照)。当業者は、投与のために複数の経路が使用され得るが、特定の経路が、別の経路よりも迅速で効果的な反応をもたらし得ることを認識するであろう。局所または全身送達は、処方物の体腔への適用または滴下、エアロゾルの吸入または吹送を備える投与により、または筋肉内、静脈内、腹膜、皮下、皮内ならびに局所投与を含む非経口導入により、遂行され得る。ある実施形態において、本組成物の送達は、インビボエレクトロポレーションにより促進される。ある実施形態において、本組成物の送達は、筋肉内投与およびインビボエレクトロポレーションの組み合わせを備える。
本発明の活性成分は、各投与単位、例えばティースプーン1杯、錠剤、溶液または坐薬が、所定量の本組成物を単独でまたは他の活性成分との適切な組み合わせで含有する単位剤形で提供され得る。「単位剤形」という用語は、本明細書中で使用される場合、ヒトおよび哺乳動物対象に対する単位投与量として適切な物理的に分離されている単位を指し、各単位は、必要に応じて医薬的に許容可能な希釈剤、担体またはビヒクルと一緒に、所望の効果を生じさせるのに十分な量において計算された、所定量の本発明の組成物を単独でまたは他の活性成分と組み合わせて含有する。本発明の単位剤形に対する仕様は、達成しようとする特定の効果および特定の宿主における本医薬組成物と関連する特定の薬力学に依存する。
本明細書中に記載のこれらの方法は、決して包括的ではなく、具体的な適応に適したさらなる方法が当業者にとって明らかとなろう。さらに、本組成物の有効量は、所望の効果を発揮することが知られている化合物に対する類似性を通じてさらに見積もられ得る。
本発明は、次の実験例を参照することによりさらに詳細に説明される。これらの例は、単なる説明目的で提供されるものであり、別段の断りがない限り、限定するものではない。従って、本発明は、次の実施例に限定されるものと解釈されるべきものではないが、むしろ、本明細書で提供される教示の結果として明らかになるありとあらゆる変更物を包含すると解釈されるべきである。
さらなる説明なく、当業者は、先行する記載および次の例示的な実施例を用いて、本発明の化合物を作製し、利用し、主張される方法を実施することができると考えられる。次の実施例は、従って、本発明の好ましい実施形態を具体的に指摘しており、本開示の残りの部分を何ら限定するものと解釈されるものではない。
ここで、本実施例で使用される材料および方法を記載する。
プラスミド免疫付与およびマウス
6から8週齢雌Balb/Cマウス(Jackson Laboratory)の大腿四頭筋に、ベクター骨格(pVAX、Invitrogen)または記載のような抗原性プラスミド(2005,Kutzler et al.,J Immunol 175(1):112−123;1998,Kim et al.,J Clin Invest 102(6)1
112−1124)の組み合わせを含有するプラスミドDNA処方物を注射した。処方物は、等張クエン酸緩衝液中の0.25%ブピバカイン−HCL(Sigma)中に含有された。様々な遺伝子プラスミドの同時投与は、20μLの最終体積で、注射前に、各実験群が同じ濃度のDNAを含有するよう(ベクター骨格を添加し、全群で等しいDNA濃度となるように)、指定DNAプラスミドを混合することを含んだ。エンドトキシン不含Qiagenカラムを用いて全DNAを作製した。全動物を温度調節および光サイクル設備下、DUCOMで飼育し、それらの飼育はNational Institutes of HealthおよびDUCOM のIACUC/ULARのガイドライン下で行った。
マウスにおけるエレクトロポレーション条件
全実験において矩形波パルスを使用し(Draghia−Akli and Smith,2003,Templeton NS,Lasic DD(eds.)Gene Therapy−Therapeutic Mechanisms and Strategies.Marcel Dekker,Inc.,New York,245−263)、発明者らの研究室で設計され試験済みの定電流EKDにより送達した。マウス実験において三電極アレイ(3−EA)を使用した。3−EAは、2つの長辺の長さが0.5mmであり、短辺の長さが0.3mmである二等辺三角形型の3つの26−ゲージ固体ステンレス鋼電極からなり、非導電プラスチックと一緒に保持される。マウス実験に対する具体的なEP条件は、定電流、0.1Amps、3パルス、52msec/パルス、パルス間4秒を用いるものであった。プラスミド注射とEPとの間の時間のずれは約20秒であった。一連のプラスミド投与/EPのための事象は次のとおりであった:使い捨て電極アセンブリをハンドルのレセプタクルに置き、ハンドル上の開始ボタンを押し、動物実験群番号を入れ、インスリンシリンジを用いてDNAコンストラクトプラスミドを注入し、注射部位周辺の領域にすぐに針を置き、ハンドル上の開始ボタンを押し、4秒数えた後、パルスを送達させる。エレクトロポレーションの5秒後、アレイを穏やかに筋肉から除去する。全処理中、全電極が完全に筋肉に挿入された。
マウスの屠殺、組織または試料回収および免疫分析のための細胞精製のための方法
凡例で指定されるエンドポイントで、アベルチンまたはイソフルオランを使用して動物に鎮静をかけ、適量の血液および糞塊を動物屠殺前に採取した。屠殺後、各マウスからの脾臓を各実験群から回収し、R10培地(RPMI1640+10%ウシ胎仔血清、500μg/Lペニシリンおよび500μg/Lストレプトマイシン、Gibco、Invitrogen)を含有する15mLのコニカルチューブに組織を入れた。Seward社製ストマッカー80を用いて、各実験群からの脾臓を1つの細胞懸濁液になるように破砕し、40ミクロン細胞ストレイナーに通し、培地で洗浄し、ペレット化して、ACK溶解緩衝液中で室温で5から10分間温置し、その結果、赤血球細胞の溶解液が得られた。全細胞を洗浄し、培地中で再懸濁し、血球計算盤を用いて数えた(細胞生存能はトリパンブルー染色を用いて決定する。)。
ELISAによるIgGおよびIgA結合抗体の分析
マウス血清および糞抽出物中で抗原特異的なIgGを調べるために、記載のようにELISAを使用した(1989,Ogawa et al.,J Immunol 142(4):1150−1158;2004,Mestecky et al.,AIDS research and human retroviruses 20(9):972−988)。顎下腺または後眼窩出血によりマウスから、マウス血液試料を回収し、マウス群のケージから糞塊を得て、続いて血清および糞便試料の両方に対して各実験群内で個々に実験を行った。最終体積100/ウェルでPBS(Mediatech)中で希釈した0.5から2mg/mLのトキソイドAまたはB(List Biologicals)でEIA/RIAプレート(Costar)を被覆し、4℃で一晩温置した。プレートをPBS/Tween(0.05%Tween20)で3回洗浄し、200μLのブロッキング緩衝液/希釈液(PBS中3%BSA)とともに室温で2時間、非特異的な結合に対してブロッキング処理した。プレートを洗浄し、PBS/1%BSAで希釈した、免疫付与マウスからのプール血清または糞抽出物をウェルに最終体積100μLで添加した。エンドポイントタイター(実験群に対する測定がベクター免疫付与マウス試料O.D.値と等しくなる最低試料希釈率として定める。)を調べるために、1:25から1:150,000の希釈系列の希釈で試料を3つ組で添加し、室温で2時間または4℃で一晩温置した。ホースラディッシュペルオキシダーゼ−標識ヤギ抗マウスIgGまたはIgA(Santa Cruz)を用いて結合抗体を検出し、基質TMB H22(SIGMA)で発色させた。2N H2SO4で呈色反応を停止させ、EL312 Bio−Kineticsマイクロプレートリーダー(Bio−Tek Instruments Inc.)において450nmでの吸収を読み取った。DeltaSoft IIプログラム(BioMettalics,Inc.)を使用し、較正曲線上で光学密度を補間することによって、血清または糞便分泌物中の総IgGまたはIgA量を計算した。
IgAおよびIgGの測定のためのB細胞ELISPOT
下記のように一部変更を加えて、既に記載されているように、B細胞ELISPOTを行った(1996,Slifka et al.,J Immunol Met 199(1):37−46;2000,Brown et al.,J Infect Dis 182(4):1039−1043;2004,Crotty et al.,J Immunol Met 286(1−2):111−122;2003,Qadri et al.,Infect Immun 71(8):4808−4814)。最後の免疫付与の1週間後に免疫付与マウスを屠殺し、脾臓細胞から抗体分泌細胞を回収した。最終体積100μL/ウェルで、PBS(Mediatech)中で希釈した2μg/mLのトキソイドAまたはB(List Biologicals)でELISpot96−ウェルプレートを被覆し、4℃で24時間温置した。プレートを洗浄し、1%BSAで2時間ブロッキング処理した。免疫付与マウスからの50万個の総リンパ球を3つ組で各ウェルに添加し、37℃、5%CO2で5時間温置した。プレートを洗浄し、100μLの抗マウスIgA−ビオチンの1:2000希釈液(PBS/1%BSA中で希釈)を添加し、4℃で一晩温置した。プレートを洗浄し、100μLのストレプトアビジン−アルカリホスファターゼの1:100希釈液(PBS/1%BSA中で希釈)を添加し、室温で2時間温置した。プレートを洗浄し、(BCIP)および(NBT)基質を各ウェルに添加した。プレートを蒸留水ですすぎ、室温で乾燥させた。自動ELISpotリーダー(CTL Limited,Inc.)により、および目視によりスポットを数えた。未処理の値を定め、係数を乗じ、データが百万個のIgA−分泌B細胞あたりのASC(抗体分泌細胞)として表されるようにする。
統計学的解析
各実験群からのプールリンパ球の3つ組のウェルから計算した平均±標準偏差(st dev)としてデータを表す。必要に応じて、両側、対応のあるスチューデントのt検定を使用することによって、免疫付与群間の統計学的差異を評価し、各実験群に対して特定のp値を得た。p値<0.05での試料間の比較は、統計学的に差があるとみなされ、従って有意とした。
ここで実験の結果を記載する。
実施例1:その後に電気刺激を行う、筋肉内経路を通じて送達されるC.ディフィシル(C.difficile)のトキシンAおよびトキシンB受容体結合ドメインをコードする最適化DNAに基づくワクチンの開発
C.ディフィシル(C.difficile)RBDプラスミドの構築および発現
新規プラスミドに基づく粘膜ケモカインと組み合わせて、C.ディフィシル(C.difficile)のトキシンA(TcdA)およびトキシンB(TcdB)に基づいて、高度に最適化されたプラスミドを設計した。高度に最適化された抗原性コンストラクトの作製のために、C.ディフィシル(C.difficile)株VPI10463(NCBI AAA23283)のトキシンAおよびBタンパク質に対応する全長アミノ酸配列を同定し;タンパク質の3分の1のカルボキシ末端を占有することが知られている推定受容体結合ドメイン(RBD)のアミノ酸配列に対応する残基をコンピュータ上で新規遺伝子配列に戻し翻訳した。(ヒトに対する)コドン最適化、効果的な分泌リーダーの付加(IgE)、KOZAKコンテクストおよび翻訳を妨げるシス作用配列モチーフ/RNA二次構造の除去を含め、タンパク質発現を促進するために、遺伝子修飾を導入した(図1)。さらに、細菌性毒素のネイティブグリコシル化を保護するために、潜在的なN結合型グリコシル化配列を突然変異させた。次に、業者による合成のためにこの遺伝子を提出した(Geneart)。遺伝子挿入物を消化し(EcoR1/Xho1、New England Biolabs)、市販のベクター、pVAX(Invitrogen、Carlsbad、CA)に連結させ、インビボで試験するためにウェスタンブロットによりタンパク質発現を確認した(図1)。抗原性コンストラクトは、TcdA−RBDおよびTcdB−RBDと呼ぶ。まとめると、これらのデータは、ケモカインのプラスミド形態が、特異的なケモカインタンパク質を発現することを明らかにする。
免疫付与により、インビボでのTcdA−およびTcdB−特異的な抗体産生および抗体分泌細胞(ASC)生成が誘導された。
全部で25μgの総プラスミドを確実にするために、必要量の不活性ベクター骨格pVAXとともに、pA RBD N→QまたはpB RBD N→Qの何れかの様々な量の抗原性コンストラクト(5μg、10μgまたは25μg)に対するプラスミドDNA処方物で雌Balb/Cマウス(6から8週齢)に免疫付与した。第0、14および28日にマウスに免疫付与した。第38日にマウスを屠殺した。1:20から1:200000の範囲の希釈率で、免疫付与群からの血清および糞便試料をPBS/1%BSA中で希釈した。1μg/mLトキソイドA(txdA)またはトキソイドB(txdB)で被覆したEIA/RIAプレートに希釈液を加えた。温置後、450nmでの吸収読み取り(OD450)を通じて、抗体結合を検出した。試験したpA RBD N→QおよびpB RBD N→Qの全ての量に対して抗体結合を検出した(図2)。さらに、免疫付与マウスの血清中で、IgAではないトキシンAおよびトキシンBに特異的なIgGを検出した。
免疫付与の1週間後、脾臓を回収し、本明細書中の他所に記載のように脾臓細胞からASCを回収した。2μg/mLのtxdAまたはtxdBで被覆したELISPOT96−ウェルプレートを用いて、B細胞ELISPOTアッセイを行った。免疫付与群からの細胞とともに温置した後、数えたスポットから、pA RBD N→QまたはpB RBD N→Qでの免疫付与により、免疫付与マウスにおいて生成されるASC数が増加したことが明らかとなる(図3)。
TcdA−RBDおよびTcdB−RBDでの同時免疫付与
10μgのpA RBD N→Qおよび10μgのpB RBD N→Qで同時に、または20μgのベクター骨格対照、pVAXを用いて、第0、14および28日に、IM/EPによってマウスに免疫付与した。免疫付与動物の血清試料中で、ELISAによって、トキシンAおよびトキシンBに特異的な抗体を検出した(図4)。さらに、免疫付与動物からの単離脾臓細胞から、免疫付与後、トキシンA−特異的なおよびトキシンB−特異的なASCの両方の数の増加が示される(図4)。
毒素特異的な記憶反応およびワクチン誘導性B細胞の分析
ワクチン接種マウスからの脾臓細胞をPWIM(1:100,000)、CpG2006(6μg/mL)およびS.アウレウス コワン(S.aureus Cowan)(1:10,000)で72時間刺激し、次いで1μg/mLのtxdAまたはtxdBで被覆したプレートとともに温置した。トキシンA−またはトキシンB−ワクチン接種マウスから回収した刺激脾臓細胞は、トキシンA−またはトキシンB−特異的なASC数の増加を示したので、トキシンA−特異的なおよびトキシンB−特異的な記憶反応が認められた。
RBD免疫付与動物からの血清は、細胞円形化を防ぐ。
毒素適用によって、アフリカミドリザルからの腎臓細胞由来の不死化細胞株である、ベロ細胞の用量依存的円形化が起こる。従って、インビトロでの毒素介在病態のマーカーとして細胞円形化が使用され得る。pA RBD N→Qで免疫付与されたマウスからの血清試料は、250ngトキシンAから誘導された細胞円形化に対する防御能を示した。さらに、pB RBD N→Qで免疫付与されたマウスからの血清試料も、250ngトキシンBの適用で見られる細胞円形化に対する防御能を示した(図6)。まとめると、これらのデータは、本明細書中に記載のDNAコンストラクトで免疫付与されたマウスにおいて産生されるトキシンA−およびトキシンB−特異的な抗体が、C.ディフィシル(C.difficile)により産生される毒素により誘導される病態を防ぐことを示す。
pCdiffA/BでのIM/EP免疫付与は、マウスを全身性の毒素負荷から保護する。
pA RBD N→QおよびpB RBD N→Qで第0、14および28日にマウスに免疫付与した。最後の免疫付与の投与から5週間後、マウスにトキシンAおよびトキシンBを負荷した。次いで、体重減少およびC.ディフィシル(C.difficile)関連疾患(CDAD)の兆候について、マウスを14日間にわたり毎日監視した。対照pVAXのみで免疫付与されたマウスにおいて、24時間以内に負荷が行われた全マウスが死亡した。しかし25μgのpA RBD N→Qで免疫付与されたマウスは、300ngのトキシンAが介在する死亡から防御され、一方で25μgのpB RBD N→Qで免疫付与されたマウスは、150ngの各トキシンAおよびトキシンBの負荷が介在する死亡から防御された(図7)。
雌インドアカゲザルの免疫付与
pTcdA/B N→Qの何れかで第0、6、12および18週にIM/EPにより雌インドアカゲザルに免疫付与した。第2、8および14週にIgG抗A RBDおよびIgG抗B RBDの力価を評価した。分析から、免疫付与スケジュールを通じて特異的な抗体が検出されたので、ワクチン接種コンストラクトの免疫原性が非常に高いことが明らかになった(図8)。
実施例2:CDADの予防のための新規DNAワクチンの開発
推定N結合型グリコシル化部位が改変されたトキシンAおよびトキシンBからのRBDをコードする高度に最適化されたプラスミドの作製が本明細書中に記載されている。本明細書中に含まれる抗原DNA修飾は図9Aでまとめられている。pVAXのキーとなる成分を示すプラスミドマップは図9Aで示される。AまたはB RBDwtおよびAまたはB RBD N→Qをコードする4つのプラスミドを最適化し、構築した。図9Bで示されるように、トキシンAおよびBのRBDにおける推定N結合型グリコシル化部位に下線を付す。これらの部位で、DNAワクチンプラスミドの構築中、最初のAsn(N)がGln(Q)で置換された。発現を検証するために、リポフェクタミン2000を用いて2μgのpRBD N→Qコンストラクトにより293T細胞(3.0x105細胞)に遺伝子移入した。遺伝子移入48時間後、溶解液(RIPA緩衝液)および上清を回収し、SDS−PAGE(4から12%)上で分画化し、PVDF膜に転写した。特異的なマウス抗血清を用いて免疫検出を行い、ECL検出系を用いて、発現されたタンパク質をホースラディッシュペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウスIgGで視覚化した(図9C)。溶解液および上清のアリコートを500UのポリペプチドN−グリコシダーゼF(PNGaseF)で37℃で1時間消化し、65℃で15分間不活性化した。試料を上述のようにSDS−PAGE(8%)および免疫検出に供した(図9D)。コンストラクトの免疫検出から、N→Qコンストラクトがグリコシル化されていなかったことが明らかになった。
2週間の間隔をあけて、筋肉内に3回、両プラスミドでC57BL/6マウス(n=4/群)に免疫付与し、続いてインビボでエレクトロポレーションを行った(図10)。血清および糞便物質を長期的に回収し、Tcd A/B RBD特異的な免疫反応について分析した。各免疫付与時に血清中で抗体レベルを測定した。0.5μg/mLのトキソイドAまたはBの何れかで96ウェルプレートを一晩被覆した。血清の希釈液を添加し、HRP結合抗体を使用して総IgGを測定した(図11A)。血清の分析から、ワクチン接種が、顕著なレベルの抗RBD抗体を誘導したことが明らかになった。
0.5μg/mLのトキソイドAもしくはBまたは総IgGの何れかでELISpotプレートを一晩被覆した。3回目の免疫付与から10日後、脾臓細胞を単離し、プレートに添加した(Ag特異的、5.0x105細胞/ウェルおよび総IgG、1.0x104細胞/ウェル)。24時間後、細胞を洗い流し、HRP結合抗体でプローブ化した(図11B)。あるいは、メモリーB細胞の増殖を促進するために、R10培地+1:6 CpG2006、1:1000PWM、1:1000BMeおよび1:10000SAC中で脾臓細胞(1.5x106)を3日間刺激した(図11C)。上述のように抗原特異的なメモリーB細胞を検出した。脾臓細胞の分析から、ワクチン接種が、RBD特異的な抗体を分泌する細胞の頻度上昇を誘発したことが明らかになった。さらに、ワクチン接種マウスからの脾臓細胞から、RBD特異的な記憶反応を向上させたことが明らかとなった。さらに、抗原−特異的なIgGの末梢力価はIgAよりも高かった。
ベロ細胞(5.0x104細胞)を96ウェルプレート中で単層になるように(24時間)増殖させた。マウス血清を25μLのR10培地中で希釈し、250ngのトキシンAまたはトキシンBの何れかを含有する25μLのR10に添加した。これを穏やかに混合し、37℃で1時間温置し、96ウェルプレートに2つ組で添加した。20から24時間後、10x倍率下で細胞円形化を評価した。写真は、2つのウェルにわたる平均的な効果を表す。ヤギ抗トキシンA(List Biologicals)を陽性対照として使用した(図12A)。pRBD N→Q免疫付与マウスからの血清が、インビトロでC.ディフィシル(C.difficile)毒素の細胞変性効果を中和した。ウェルあたり6ヶ所の無作為な視野を分析し、円形化細胞の%の平均を算出することによって、細胞円形化の定量を行った。pVAX血清およびヤギ抗トキシンAと比較して、結果をグラフ化した(図12B)。このデータから、RBD A N→Q血清が、RBD B N→Q血清よりも効果的に毒素活性を中和したことが明らかとなる。
マウスモデルにおいて、毒素特異的なワクチン接種についての致死性毒素負荷に対する反応能力を評価した。第0、2および4週にマウスに免疫付与した。免疫付与から5週間後に、マウスに毒素を負荷し、2週間にわたり監視した(図13)。5匹のC57BL/6マウスにi.p.で(1)150ngトキシンAまたはB;(2)300ngトキシンAまたはB;(3)75ngの両毒素;または(4)150ngの両毒素の何れかを負荷した。罹患の兆候についてマウスを毎日監視した(図14A)。300ngのトキシンAおよび150ngの各トキシンAおよびTcd Bにより、50時間以内に全負荷動物が死亡したことが観察された。10匹のC57BL/6マウス/群にi.p.で毒素を負荷した。A RBD N→Qマウスは300ngトキシンAを受容し、一方でB RBD N→Qマウスは150ngの各毒素を受容した(図14B)。ワクチン接種が顕著に生存率を改善したことが認められた。
これらのデータから、トキシンA/B RBDに基づくDNAワクチンのロバストな免疫原性が明らかになった。破壊されたN結合型グリコシル化部位を含有する最適化プラスミドが哺乳動物細胞株において発現され得ることが分かる。293T細胞により発現される野生型RBDは、N→QRBDとは異なり、グリコシル化されており、このことから、ネイティブC.ディフィシル(C.difficile)RBD領域の非グリコシル化形態を保持するために、突然変異が必要であることが明らかとなる。
それぞれおよび全ての特許、特許出願および本明細書中で引用される刊行物の開示は、それらの全体において参照により本明細書により本明細書中に組み込まれる。具体的な実施形態を参照して本発明を開示してきたが、当然のことながら、他の実施形態および本発明の改変物が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の当業者によって想定され得る。添付の特許請求の範囲は、このような実施形態および同等な改変物を全て含むと解釈されるべきものである。

Claims (26)

  1. a.配列番号3のアミノ酸配列を備えるポリペプチドをコードする核酸および
    b.配列番号4のアミノ酸配列を備えるポリペプチドをコードする核酸
    からなる群から選択される少なくとも1つの核酸を含むワクチン。
  2. 分泌リーダーペプチドをコードする核酸をさらに含む、請求項1に記載のワクチン。
  3. 前記分泌リーダーペプチドが、IgE分泌リーダーペプチドである、請求項2に記載のワクチン。
  4. 前記核酸が1つの発現ベクターに組み込まれる、請求項1に記載のワクチン。
  5. 前記核酸が、2以上の発現ベクターに組み込まれる、請求項1に記載のワクチン。
  6. 前記少なくとも1つの核酸が、ヒト細胞での発現に対してコドン最適化されている、請求項1に記載のワクチン。
  7. 哺乳動物の組織に請求項1に記載のワクチンを投与するステップを含む、C.ディフィシル(C.difficile)に対して哺乳動物に免疫付与する方法。
  8. a.前記哺乳動物の組織に前記ワクチンを投与し;
    b.細胞への核酸分子の移入を可能にするのに効果的である電流で前記哺乳動物の組織の細胞にエレクトロポレーション法を行う
    ステップを含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記哺乳動物の組織が筋肉である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記ワクチンが、筋肉内または皮内注射により投与される、請求項7に記載の方法。
  11. 前記哺乳動物が現在、C.ディフィシル(C.difficile)に感染しておらず、前記ワクチンが防御免疫反応を誘導する、請求項7に記載の方法。
  12. 前記防御免疫反応が、配列番号3のポリペプチドおよび配列番号4のポリペプチドからなる群の少なくとも1つのポリペプチドに特異的に結合する少なくとも1つの抗体を含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記哺乳動物がヒトである、請求項7に記載の方法。
  14. 哺乳動物の組織に請求項1に記載のワクチンを投与するステップを含む、C.ディフィシル(C.difficile)に感染した哺乳動物を処置する方法。
  15. a.前記哺乳動物の組織に前記ワクチンを投与し;
    b.細胞への核酸分子の移入を可能にするのに効果的である電流で前記哺乳動物の組織の細胞にエレクトロポレーション法を行う
    ステップを含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記哺乳動物の組織が筋肉である、請求項14に記載の方法。
  17. 前記ワクチンが、筋肉内または皮内注射により投与される、請求項14に記載の方法。
  18. 前記哺乳動物が現在C.ディフィシル(C.difficile)に感染しており、前記ワクチンが治療的免疫反応を誘導する、請求項14に記載の方法。
  19. 前記治療的免疫反応が、配列番号3のポリペプチドおよび配列番号4のポリペプチドからなる群の少なくとも1つのポリペプチドに特異的に結合する少なくとも1つの抗体を含む、請求項18に記載の方法。
  20. 前記哺乳動物がヒトである、請求項14に記載の方法。
  21. 配列番号3のアミノ酸配列を含む、単離ポリペプチド。
  22. 配列番号3のアミノ酸配列をコードする、単離核酸。
  23. 配列番号4のアミノ酸配列を含む単離ポリペプチド
  24. 配列番号4のアミノ酸配列をコードする単離核酸。
  25. 配列番号3のアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドと、配列番号4のアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドとを含む組成物。
  26. 配列番号3のアミノ酸配列をコードする単離核酸と、配列番号4のアミノ酸配列をコードする単離核酸とを含む組成物。
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