JP2014521695A - バンコマイシン耐性菌株に対して有効なグリコペプチド系抗生物質類似体 - Google Patents

バンコマイシン耐性菌株に対して有効なグリコペプチド系抗生物質類似体 Download PDF

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Abstract

本発明は、グリコペプチド系抗生物質のコアペプチド中の単一の特定のペプチドカルボキサミド基をアミジン基で置き換えることによって細菌耐性を克服するように操作されているグリコペプチド系抗生物質およびそれらのアグリコンに関する。グリコペプチドのアミジン疑似ペプチド類似体は、患者において治療上達成可能な濃度でバンコマイシン耐性菌を死滅させることにおいて有効である。例えば、バンコマイシン耐性菌に対する活性を復活させるために必要とされるD−Ala−D−AlaとD−Ala−D−Lacへの二重の結合を示すように設計された[Ψ[C(=NH)NH]Tpg]-バンコマイシンアグリコンは、「最後の手段」に位置づけられる抗生物質であるグリコペプチドクラスに対する共通の細菌耐性様式を克服することが示された。疑似ペプチドアミジン類似体は、合成的に、半合成的にまたは生合成的に調製することができる、対応する疑似ペプチドチオアミド類似体から調製することができる。

Description

関連出願への相互参照
本願は、2011年8月5日に出願された米国特許出願第61/515,640号、2011年11月2日に出願された第61/554,679号、および2012年2月10日に出願された第61/597,384号の優先権の恩典を主張し、これらの開示の全体は参照により本明細書に組み入れられる。
政府支援の陳述
本発明は、国立衛生研究所によって与えられた助成金番号CA41101およびCA144333の下で政府の支援によりなされた。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
背景
20世紀初期における抗生物質の導入は、微生物感染症の治療において新時代の到来を告げ、疾患との戦いにおける強力な薬物を医学界に提供した。導入された第一薬の一つであることに加えて、抗生物質はまた、最も成功したものの一つであり、無数の命を救い、寿命を延ばし、かつ以前は致命的であった事象の医療処置を可能にした。それらは、医薬品世界市場の5%を占め、年間売上高において420億ドルを提供する(2009年)。このように安全で広範囲の用途を有し、このように僅かな費用で非常に成功した健康に関する成果を提供し、かつこのように大きな経済効果を有する別の薬物クラスを挙げることは困難であろう。しかしまさにその最初から、これらの治療に対する細菌耐性の誘発がこの新しい革命には伴われていた。初めての耐性の報告は、ペニシリンの最初の導入の僅か1年後であった。同様に、ペニシリン耐性株の治療のための次世代薬物である1959年のメチシリンの導入の僅か2年後に、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)が出現した。新しい抗生物質が発見され広範囲の使用に導入される限り、このサイクルは再三繰り返され続ける。
グリコペプチド系抗生物質は、この現象の例外として長く持ちこたえている。2つの最も一般的に採用されているメンバーであるバンコマイシンおよびテイコプラニンに対して顕著なレベルの臨床的耐性がないことから、他の方法では耐性があり致命的となる感染症の治療用に、最後の手段の薬物としてこれらが採用されている。しかし、近年、これらの重要な薬物に対する耐性がついに発生した。ここで本発明者らは、グリコペプチド系抗生物質を用いた過去の成功の原因、および病原性細菌における獲得耐性の新たに発生した問題に取り組む誘導体の開発の背後にある科学について概説する。これは、自然が生み出すことができるものよりも、さらにより強力な未来のクラスの抗生物質を提供すると考える。
バンコマイシンは、臨床的に重要なグリコペプチド系抗生物質のクラスの主要なメンバーである。バンコマイシンは、イーライリリーで発見され、1956年に初めて開示され、1958年に臨床に導入されたが、その構造は、ほぼ30年後の1983年になって初めて証明された。MRSAの出現後、本薬剤は耐性菌感染症を治療するための選択薬となり、透析を受けている、癌化学療法を受けている、またはβ−ラクタム抗生物質に対してアレルギーがある患者の治療のためにも使用される。現在、ICUにおける黄色ブドウ球菌(S. aureus)感染症の60%超がMRSAであり、院内感染から市中感染への移行は、このような耐性菌感染症の影響を増強した。バンコマイシン耐性の発生は、全ての他の抗生物質と比較して遅れに遅れた。使用開始から最初の30年後でさえ、バンコマイシンに対する顕著な耐性の報告はなく、耐性の発生は不可能であり得ると推測した人さえいた。バンコマイシン耐性の表現型は、本薬物の広範囲の臨床使用への導入の後何年も経過してから、1987年に腸球菌(VRE)において初めて報告され、今日では、ICUにおけるエンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)感染症の>30%がVREである。腸球菌における耐性(ここでは遺伝子が垂直伝播される)の出現後、耐性腸球菌から遺伝子が水平伝播した結果である、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)の出現に対する懸念が生じた。完全にバンコマイシン耐性である株の初めての症例が2002年に報告されてから、CDCによって確認された米国におけるVRSAの症例数はますます増加している。VRSAの大多数は、VREが同時感染した患者において発見されており、バンコマイシン耐性を獲得するための目下の方法として遺伝子の水平伝播が暗示されている10。VRSAの蔓延は増加しており、耐性遺伝子の垂直伝播が確立されているので、その影響を封じ込めるために、バンコマイシンのように長寿かつ信頼性を有する新規の抗生物質が必要とされる。この必要性が生じているものの、同時に、抗生物質発見のための努力は、大部分の主要な製薬会社で中断されている。抗生物質開発のこの衰退の理由は、患者による使用期間が短いこと、耐性菌に対する活性を有する新規の抗生物質の使用が制限されていること、および承認についての規制基準が高くなったことの組み合わせに起因する、主として経済的なものである。
バンコマイシン耐性の分子的根拠
グリコペプチド系抗生物質の作用機序は、成長中の細胞壁において不可欠な前駆体ペプチドグリカンペプチド末端D−アラニン−D−アラニン(D−Ala−D−Ala)の結合および隔離による、細菌細胞壁合成の阻害を含む(図1)11。この前駆体は抗生物質と強固に結合され、ペプチド転移およびグリコシル転移が物理的に妨害され、細胞壁架橋および成熟が阻止され、細胞溶解に至る。2つの最も有名な耐性(VanAおよびVanB)出現において、この細胞壁前駆体は、天然リガンドであるアミドの代わりにエステル結合を組み込んだD−アラニン−D−ラクテート(D−Ala−D−Lac)へ再構築される12。バンコマイシン耐性菌は、抗生物質投与を検知し、続いてそれらの前駆体ペプチドグリカン末端をD−Ala−D−AlaからD−Ala−D−Lacへ再構築する。D−Ala−D−Ala末端を含有するリピド中間体IおよびIIの通常の合成は続くが、後期にD−Ala−D−Lacへ再構築されるとバンコマイシンの作用を回避することが確実となる。この変異したリガンドに対する抗生物質の結合親和性は1000倍減少し、対応して抗微生物活性が1000倍減少する。
概要
本発明は、様々な態様において、バンコマイシン耐性菌の変異型ペプチドグリカン末端のD−Ala−D−Lacドメインに結合するだけでなく、野生型細菌のD−Ala−D−Alaドメインへの結合を維持するようにも工夫されたグリコペプチド系抗生物質の類似体;これらのグリコペプチド類似体の調製方法;および、例えば、VSRAなどのバンコマイシン耐性菌によって引き起こされる感染症を治療するための、これらのグリコペプチド類似体の使用方法に関する。本発明者らは、驚くべきことに、バンコマイシンアグリコンなどの、グリコペプチドアグリコンの特定のアミジンおよび他の類似体、ならびに関連する化合物が、バンコマイシンおよびバンコマイシンアグリコンに耐性である細菌株の細菌増殖の阻害において有効であることを本明細書において発見した。本発明は、様々な態様において、VanAおよびVanBなどの耐性菌株において見られる抗生物質耐性の根拠である、D−Ala−D−AlaからD−Ala−D−Lacへの変異に由来する細菌耐性を克服するための修飾グリコペプチド系抗生物質を設計および調製するための方法を提供する。
様々な態様において、本発明は、VanAおよびVanB型のバンコマイシン耐性菌株によって引き起こされる患者における感染症の治療において使用し得る、修飾バンコマイシン化合物などの、修飾グリコペプチド系抗生物質の調製方法を提供する。本発明は、抗生物質ではなく、従って生きている産生菌株中で産生され得る、バンコマイシンなどのグリコペプチドのチオアミド類似体の合成的および生合成的調製方法を提供し得る。グリコペプチドチオアミド類似体はまた、通常の技術と併せて本明細書において提供される手段により全合成によって調製することができる。グリコペプチドチオアミド類似体がどのように調製されるかにかかわらず、それらは、抗生物質アミジン類似体、および他の類似体、例えば、アルキルアミジン、アミドラゾン、ヒドロキシアミジンなどへ容易に変換することができる。親アミジン類似体の調製について、グリコペプチドチオアミド類似体をアンモニアおよび銀塩で処理することによって、十分な収率および純度で抗生物質グリコペプチドアミジン類似体が提供される。
様々な態様において、本発明は、グリコペプチド耐性菌を死滅させる方法、およびグリコペプチド耐性菌株に感染した患者を治療する方法を提供する。上述したように、グリコペプチドは一般的には感染症の「最後の手段」の治療として医学的には考えられており、本発明は、臨床的に重要な細菌株において発生している耐性を克服することによって、グリコペプチド系抗生物質をこの能力において有用なものとして維持する方法を提供する。
後期の細菌細胞壁合成およびD−Ala−D−Alaへのグリコペプチド結合の概略図を示す。 結合エネルギー論を制御する水素結合相互作用を示す、グリコペプチド系抗生物質、例えばバンコマイシンと、ペプチドグリカン基質標的ドメインモデル化合物との間の、結合相互作用を示す。 様々なバンコマイシンアグリコン類似体の概略図および生物活性表を示す。 本発明の化合物および方法についての追加の構造および生物学的データを示す。
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈において特に明確に指定のない限り、複数形の指示物を含む。
用語「約」は、本明細書において使用される場合、数値または範囲を参照するときは、例えば、記載の値または記載の範囲限界値の10%以内の、または5%以内の、その値または範囲においてある程度の変動性を許容する。
全てのパーセント組成は、特に記載のない限り、重量百分率として与えられる。
「実質的に」は、その用語が本明細書において使用される場合、完全にまたはほぼ完全に、を意味し;例えば、成分を「実質的に含まない」組成物は、成分を全く有しないか、または組成物の関連する機能特性が微量の存在によって影響されないような微量を含有するかのいずれかであり、あるいは、無視できる微量の不純物しか存在しない場合、化合物は「実質的に純粋」である。
合成方法の文脈における、「提供するために適した条件下で」または「与えるために十分な条件下で」などの句は、本明細書において使用される場合、有用な量または収率の反応生成物を提供する、実験者が変えることが通常の技術内にある、時間、温度、溶媒、反応物濃度などの、反応条件を指す。所望の反応生成物を単離することができるかまたはそうでなければさらに使用することができるならば、所望の反応生成物が唯一の反応生成物であること、または出発物質が完全に消費されることは、必要ではない。
「化学的に実行可能な」によって、有機構造の一般的に理解される規則に反しない結合配置または化合物が意味され;例えば、自然には存在しない五価の炭素原子をある状況で含む特許請求の範囲の定義内の構造は、特許請求の範囲内にないと理解される。本明細書に開示される構造は、それらの態様の全てにおいて、「化学的に実行可能な」構造のみを含むように意図され、例えば可変の原子または基と共に示される構造において、化学的に実行可能でない記載の構造はいずれも、本明細書において開示も特許請求もされないように意図される。
化学構造の「類似体」は、その用語が本明細書において使用される場合、親構造から合成によって容易には誘導されない場合があるが、親構造との実質的な類似性を保存している化学構造を指す。親化学構造から合成によって容易に誘導される関連化学構造は、「誘導体」と呼ばれる。
置換基が指定の独自性を有する原子、即ち「結合」であると指定される場合、置換基が「結合」である場合は、指定の置換基に直接隣接している基が、化学的に実行可能な結合配置で互いに直接結合されている、という配置を指す。
特定の立体化学または異性体が具体的に示されない限り、構造の全てのキラル、ジアステレオマー、ラセミ体が意図される。いくつかの場合において、具体的に特許請求される化合物の中で個々の立体異性体が記載されるが、立体化学的な指定は、代替の異性体があまり好ましくない、望ましくない、または特許請求されないことを暗示するものではない。本発明において使用される化合物は、任意の富化度で、記載から明らかであるようなありとあらゆる不斉原子での富化または分割された光学異性体を含み得る。ラセミおよびジアステレオマー混合物の両方、ならびに個々の光学異性体は、それらのエナンチオマーまたはジアステレオマーパートナーを実質的に含まないように単離または合成され得、これらは全て本発明の範囲内にある。
本明細書において使用される場合、用語「安定な化合物」および「安定な構造」は、反応混合物からの有用な純度への単離と、効果的な治療剤への処方とに耐えるのに十分堅牢である化合物を示すように意味される。安定な化合物のみが本明細書において熟考される。
当技術分野において周知であるような化学基についての標準的な略語が本明細書において使用され得、これらは通常の知識内にある:例えば、Me=メチル、Et=エチル、i−Pr=イソプロピル、Bu=ブチル、t−Bu=tert−ブチル、Ph=フェニル、Bn=ベンジル、Ac=アセチル、Bz=ベンゾイルなど。
必ず整数である変数の値、例えば、アルキル基中の炭素原子の数または環上の置換基の数が、範囲、例えば0〜4として記載される場合、値は、0および4を含む0〜4の任意の整数、即ち、0、1、2、3、または4であり得ることが意味される。
様々な態様において、本発明の方法において使用されるような、化合物または化合物のセットは、上記に列挙される態様の組み合わせおよび/またはサブ組み合わせのいずれか1つであり得る。
様々な態様において、実施例のいずれかにおいて、または例示的な化合物の中で示されるような化合物が提供される。但し書きは、開示されるカテゴリーまたは態様のいずれにも適用され得、ここで、他の上記に開示される態様または種類のいずれか1つまたは複数がこのようなカテゴリーまたは態様から除外され得る。
本発明は、様々な態様において:バンコマイシンまたは他のグリコペプチド系抗生物質に耐性である細菌株に対して有効な抗生物質を与えるように、本明細書において開示および特許請求されるような特定の様式で構造的に修飾されている、グリコペプチド系抗生物質;修飾された抗生物質組成物を合成する方法;ならびに、耐性菌株を死滅させることと、抗生物質耐性菌株によって引き起こされる患者における感染症の治療とにおいて、修飾された抗生物質組成物を使用する方法に関する。上述のように、バンコマイシンなどのグリコペプチドの抗生物質作用に対する、細菌株による主要な耐性獲得様式は、ペプチドグリカン細胞壁前駆体の末端二量体単位においてアミド結合をエステル結合へ変化させる、不可欠な前駆体ペプチドグリカンペプチドC−末端D−アラニン−D−アラニン中の、D−アラニン残基のD−乳酸残基への変異である。グリコペプチド系抗生物質は、この前駆体物質の隔離によってトランスペプチダーゼが触媒する細胞壁形成反応を阻害すると考えられているので、前駆体に対するグリコペプチド系抗生物質の結合親和性が低下した場合、感染症の治療における抗生物質の有効性は低下する。上述の突然変異によってこの突然変異型遺伝子を含む細菌株は、それによって、本発明より前のグリコペプチド系抗生物質に対する感度が約1000倍低下する。
バンコマイシンのアグリコン部分のこの変化を達成および評価することによって例証されたように、グリコペプチド系抗生物質における単一の十分に規定された分子集団を変化させることによって、インビボで治療上達成可能な抗生物質濃度で野生型およびバンコマイシン耐性菌の両方に対して活性である抗生物質組成物を提供できることが、驚くべきことに、本明細書において本発明者によって発見された。様々な態様において、本発明は、不可欠な前駆体ペプチドグリカンペプチドの、それぞれ、野生型(D−アラニン−D−アラニン)および変異型(D−アラニン−D−ラクテート)C端末ドメインの両方に対して高い結合親和性を有し、細菌細胞壁生合成の妨害および細菌集団の死をもたらす、バンコマイシン耐性菌株に対して抗生物質生物活性を示すバンコマイシンおよびバンコマイシンアグリコンの[Ψ[C(=NH)NH]Tpg]-アミジン類似体と呼ぶものを提供する。それらの標的前駆体ジペプチドD−Ala−D−Ala構造との、クラスとしてのグリコペプチドの結合相互作用の均一性に起因して、本明細書における発見は、グリコペプチド耐性菌感染症の治療に有用な、下記で詳細に記載するアミジン類似体などの、グリコペプチド類似体を設計および調製するための一般法を提供する。
バンコマイシン:
Figure 2014521695
は、グリコペプチド系抗生物質の一例であり、グリコペプチド系抗生物質のファミリーに含まれる。同様の構造的特徴および抗生物質プロフィールを有する、このさらなる例を以下に提供する。下記のグリコペプチド系抗生物質ファミリーの他のメンバーについて使用する標示と同様に、後の参照を容易にするために、環をA、B、C、D、およびEと標示する。
バンコマイシンについて、アグリコン、即ち、脱グリコシル化誘導体も、細菌に対して活性であり、本明細書における様々な実施例は、バンコマイシンアグリコン:
Figure 2014521695
ならびにその修飾形態、例えば、チオアミドおよびアミジン類似体を使用して行った実験である。
「グリコペプチド」または「グリコペプチド系抗生物質」は、その用語が本明細書において使用される場合、1つまたは複数の位置でグリコシル化され得るコアペプチド(または本明細書において類似体の場合は疑似ペプチド)オリゴマーを含む抗生物質組成物であって、バンコマイシン、テイコプラニン、バルヒマイシン、アクチノイジン、リストセチンなどを含む、抗生物質組成物を指し、ここで、コアペプチド配列は、アリールエーテルおよびビフェニル結合を介して互いにカップリングされ多環式構造を形成する修飾アミノ酸残基、例えば、酸化フェニルアラニンおよびフェニルグリシン残基を含む、ヘキサペプチド単位のことである。
「コアペプチド」によって意図されるものは、アリール-アリールカップリング結合を概念上排除することと脱グリコシルとによってグリコペプチドから理論上誘導され得るペプチジル構造である。例えば、全ての非ペプチド結合が概念上切断されているバンコマイシンの「コアペプチド」は、以下:
Figure 2014521695
と考えることができ、これは、下記のバンコマイシンコアペプチド:
Figure 2014521695
として要約することができる。ここで、Phe'(フェニルアラニン)およびPhgly'(フェニルグリシン)残基は、天然型のPheおよびPhglyの置換(ヒドロキシル化、塩素化)誘導体である。簡略化のために、これらのアミノ酸残基をPhe'およびPhgly'と略すが、これらの形態はアミノ酸残基の修飾形態であることが理解されよう。グリコペプチドの実際の分子構造においては、さらなるカップリング反応が生じ、様々なアリールエーテルおよびビフェニル部分が提供される。コアペプチド配列は、当技術分野において通常通りであるように、N末端からC端末へ記載されており、「aa」はアミノ酸残基を意味する。
グリコペプチドについて指定されるA、B、C、D、およびE環は、残基の真下にある対応する文字の位置によって示される。グリコペプチド系抗生物質において見られるような修飾Phe'およびPhgly'残基は、酸化(例えば、環−ヒドロキシル化、ベンジル炭素原子上でのヒドロキシル化)、環−塩素化、ビフェニルとしての直接的な環−環カップリング化、ジアリールエーテルとしての酸素原子を介しての環−環カップリング化などがなされ得る。
様々なグリコペプチド系抗生物質間で僅かに異なり得るコアペプチド構造は、それにもかかわらず、特にペプチドコアの中央ドメインにおいて、高度に保存された構造であり、実質的に全てのグリコペプチド系抗生物質が、同様の様式で、図1に示されるようなトランスペプチダーゼ基質と相互作用して細菌細胞壁形成を阻害すると考えられる。
従って、本明細書において本発明者らによって開示および特許請求されるような、このペプチドコアにおける分子変化は、VanAおよびVanB型の耐性株に対して効果のないグリコペプチド系抗生物質を、これらの耐性菌株に対して抗生物質として有効なグリコペプチドへ変換するために一貫して有用である。
本明細書において提供される全ての例において、C環は、アリールエーテルまたは炭素−炭素結合を介してDおよびE環へカップリングされている。本明細書において提供される例において、例えば、CおよびE環は、修飾フェニルアラニン(Phe')残基であり、C環およびE環の両方へカップリングされたD環は、修飾フェニルグリシン(Phgly')残基である。
酸化フェニルグリシンおよびフェニルアラニン残基などの修飾アリールアミノ酸残基の例としては、上記で見られる酸化化学種が挙げられ、これらは、分子内アリールエーテル結合およびビフェニル結合の形成によって、グリコペプチド抗生物質およびそれらのアグリコンにおいてさらに修飾されている。例えば、置換フェニルグリシン残基は、一置換、二置換、および三置換フェニルグリシンを含み得る。環がヒドロキシル化形態で存在する場合、インタクトなグリコペプチド系抗生物質中の結果として生じるフェノール性ヒドロキシル基は、遊離フェノールであり得、例えば、分子内の他のアリール基で、もしくはメトキシル基を提供するメチルで、エーテル化され得るか、またはアミノ糖を含む炭水化物でグリコシル化され得る、などである。
酸化フェニルグリシンおよびフェニルアラニン残基は、これらの用語が本明細書において使用される場合、酸化フェニルアラニン残基の場合、酸化アリール環だけでなく、ヒドロキシル化またはカルボニル保有ベンジル炭素も含有する残基、ならびに塩素が環上のヒドロキシルと置き換えられている化学種、または2つの環の間で炭素−炭素結合形成が生じている化学種を指す。これらの構造的特徴は、グリコペプチド系抗生物質のクラスに共通している。
バンコマイシン以外のグリコペプチド系抗生物質の追加の例は、以下の式:
Figure 2014521695
を有するテイコプラニンであり、ここで、コアペプチド単位は以下:
Figure 2014521695
である。
上記のテイコプラニン構造から理解され得るように、「D」と標示されるアリール環は、フェニル環の3−、4−、および5−位に酸素原子を保有する、修飾フェニルグリシンアミノ酸残基のフェニル環である。テイコプラニンにおいて、3−および5−酸素原子置換基は、バンコマイシンと同様に、「C」および「E」と標示されるフェニル基を有するアリールエーテルの形態であり、4−酸素は、炭水化物誘導体でグリコシル化されている。
追加の例としては、バルヒマイシン:
Figure 2014521695
が含まれ、ここで、コアペプチド単位は以下:
Figure 2014521695
である。アクチノイジンA:
Figure 2014521695
も含まれ、ここで、コアペプチド単位は以下:
Figure 2014521695
である。およびリストセチンA:
Figure 2014521695
も含まれ、ここで、コアペプチド単位は以下:
Figure 2014521695
である。
理解され得るように、これらのグリコペプチド系抗生物質の全てにおいて、Dと標示される環はトリヒドロキシフェニルグリシン残基であり、そのカルボキシル基によって修飾フェニルグリシン残基の環Bのアミノ基と結合される。環Dはまた、アリールエーテル結合によって環CおよびEへ結合されている。環D、B、C(N末端からC端末方向で)を保有する連続アミノ酸残基の中央ドメインは、一貫してPhgly'−Phgly'−Phe'である。E環保有アミノ酸残基は、一貫して修飾フェニルアラニン残基であり、これは、可変の残基によってD環保有アミノ酸残基から分離され得;他の残基は、グリコペプチド間である程度異なり得るが、グリコペプチド系抗生物質のこれらの5つの代表例の全てにおいて、A環保有アミノ酸残基は、修飾フェニルグリシンである。
コアペプチドの保存構造は、(N末端からC末端へ向かって)aa−Phe'−aa−Phgly'−Phgly'−aa−Phe'を含むペプチド配列を含み得、ここで、追加のアミノ酸残基がこのコアペプチド保存構造のいずれか一方のまたは両方の末端に存在し得、あるいは、(N末端からC末端へ向かって)aa−Phe'−aa−Phgly'−Phgly'−Phgly'−Phe'を含むペプチド配列を含み得、ここで、追加のアミノ酸残基がこのコアペプチド保存構造のいずれか一方のまたは両方の末端に存在し得る。これらの配列は、それぞれ、aa−E−aa−D−B−aa−A、またはaa−E−aa−D−B−C−Aに対応する。下記に開示される、グリコペプチドならびにそれらのアグリコンおよび類似体の、アミジンおよびチオアミド疑似ペプチド類似体において、それぞれNHまたはSへ修飾されているのは、D環を保有するアミノ酸残基のペプチド結合カルボニル酸素原子である。コアペプチドの保存された性質、ならびにそれが野生型およびバンコマイシン耐性型の両方においてペプチドグリカン細胞壁前駆体と複合体を形成する様式に起因して、これらの修飾は、グリコペプチド系抗生物質ならびにそれらのアグリコンおよび類似体のクラスの全体にわたって一様な結果を有する。
グリコペプチド耐性菌に対して有効な修飾グリコペプチド系抗生物質
様々な態様において、本発明は、グリコペプチド系抗生物質の構造修飾を提供し、その手段によって、細胞壁構築において細菌によって使用される前駆体ペプチドグリカンの野生型D−アラニン−D−アラニン及び変異型D−アラニン−D−ラクテートである末端ジペプチドドメインの両方への抗生物質の完全な結合活性を可能にするように抗生物質が操作され得る。従って、抗生物質の保存されたコアペプチド構造と細胞壁前駆体ペプチドグリカンの野生型および突然変異型構造との間の結合相互作用が保存されており存在するならば、このメカニズムによって細菌耐性が発生したグリコペプチドは、広範囲のグリコペプチド構造にわたって、本明細書中の本発明者の見識および開示を使用して、操作され得る。
上述のように、広範囲の例示的なグリコペプチド系抗生物質は、このクラスの様々な抗生物質と感染症を引き起こす細菌の標的末端ジペプチドドメインとの間の結合相互作用を規定する構造的特徴を共有する。本発明者は、グリコペプチド系抗生物質構造クラスのこの保存されたペプチドコアの1つの部位の修飾が、細菌耐性に関与する共通の変異が生じた場合、グリコペプチドクラスの様々な抗生物質のペプチドコアと、標的細胞壁前駆体ペプチドグリカンの末端ジペプチドドメインとの水素結合相互作用を回復させることに役立ち得ることを究明した。野生型および変異型標的ドメインの不変の性質、およびグリコペプチド系抗生物質中のペプチドコアの高度に保存された結合様式に起因して、細菌耐性を克服するという問題に対するこの解決法は、修飾グリコペプチド系抗生物質の設計において広い適用可能性を有する。
図2は、グリコペプチド系抗生物質、例えば、バンコマイシンと、ペプチドグリカン基質標的ドメインモデル化合物との間の、結合相互作用を示す。野生型D−Ala−D−Alaドメインの窒素原子を変異型D−Ala−D−Lacドメインの酸素原子へ変化させる変異が生じると、理解され得るように、野生型NH基(概略図において「X」と示される)、即ち、基質モデル2が存在する場合はエネルギー的に好都合な水素結合受容体であった示されるカルボニル基は、基質モデル4(X=O)においては、エネルギー的に不都合な酸素−酸素孤立電子対斥力相互作用を今度は生じさせ、25℃でのギブスの結合自由エネルギーΔGが3.1kcal/モル減少する。メチレン基(X=CH)が基質モデル3において存在する場合、約1.5kcal/モルの自由エネルギー減少が見られる。基質モデル2〜4を調べることによって行ったこれらの2つの効果の大きさの実験による推定から、結合親和性減少(1000倍)の最大の原因は、水素結合減少(10倍)ではなく、斥力孤立電子対相互作用(100倍)であることが明らかにされている13。これは、この位置での水素結合相互作用の回復と共に斥力相互作用の除去が、XがOである突然変異型についてのグリコペプチド結合を回復させ、本明細書において開示および特許請求されるグリコペプチドアミジン類似体で見られる、活性の1000倍増加を達成するために必要であることを示している。
モデル基質を用いてのこれらの結果を、変異型D−Ala−D−Lacとのバンコマイシンなどのグリコペプチドの複合体の理解へ適用すると、変異型相互作用は、D−Ala−D−Ala複合体に存在するような中央の水素結合を欠き、さらに、バンコマイシン残基D環アミノ酸残基カルボニル(即ち、残基−4、位置Tpg)とD−Ala−D−Lacエステル酸素原子との間の斥力孤立電子対相互作用を受けることが明らかである。
グリコペプチド系抗生物質の全合成に関する研究と併せて14−19、バンコマイシン自体への系統的な修飾を探る努力と同時に20、対応するチオアミド基(化合物(IVA))とアンモニアとの銀イオン触媒反応によって、残基−4のアミド(即ち、D環保有アミノ酸残基のC端末アミドまたはペプチド結合)を対応するアミジン基で置き換えて、[Ψ−[C(=NH)NH]Tpg]-バンコマイシンアグリコンと呼ばれる、バンコマイシンアグリコンの部位特異的疑似ペプチドアミジン類似体(IIA):
Figure 2014521695
を調製した。
化合物式(IIA)の、結果として生じる好都合な抗生物質特性は、D環を保有するアミノ酸残基についてのC端末上におけるアミジン疑似ペプチド結合の組み込み(本明細書におけるバンコマイシン例について残基−4アミジンと呼ばれる)が、不安定な静電相互作用を除去し水素結合供与体として役立つことによってD−Ala−D−Lacとの結合に対応し得、同時に、水素結合受容体として役立つことによりD−Ala−D−Alaに対する親和性を維持することを実証する(図2)。
バンコマイシンアグリコン中のペプチドカルボキサミド基のこの置き換え位置、バンコマイシンアグリコンのコアペプチド配列は以下:
Figure 2014521695
であり、[Ψ−[C(=NH)NH]Tpg]-アミジン類似体は、以下の様式:
Figure 2014521695
で描くことができ、ここで、アミジン−(C(=NH)−NH)基は、同じ方向でカルボキサミド−(C(=O)−NH)−基を置き換えるように理解され、即ち、標準的なペプチド構造慣習によれば、上記の例において、C=NH基は形式的にはD環保有Phgly'残基の一部であり、NHは形式的にはB環保有Phgly'基の一部である。本明細書におけるグリコペプチド系抗生物質の全ての例において、本明細書において本発明に従ってアミジン基で置き換えられるカルボキサミド基は、D環保有残基と、この残基のC端末に隣接する残基、つまりこれらの具体例の全てにおいはB環保有Phgly'残基との間に配置されている。他のグリコペプチドにおいて、B環保有残基は、D環保有残基に直接隣接していない場合があり;それにもかかわらず、本明細書における本発明に従う変化したカルボキサミド基は、そのカルボニルがD環保有アミノ酸残基の一部であるカルボキサミドである。
式(IIA)の抗生物質組成物のこのような結合特徴は、容易に予測可能ではない。その理由は、D−Ala−D−Lacのエステル酸素が水素結合受容体として役立ち得るかどうか、または、恐らくプロトン化されるアミジンがD−Ala−D−Alaに対して良好な水素結合受容体のままでいる場合があるかどうかが、明らかでないためである。ペプチドにおけるアミド同配体としてのアミジンの有用性は本質的に研究されていなかったので21−23、式(IIA)のバンコマイシンアグリコンアミジン類似体の推定される結合特性は、さらにより予測不可能であった。
式(IIA)のバンコマイシンアグリコンアミジン類似体を、[Ψ−[C(=S)NH]Tpg]バンコマイシンアグリコンと呼ばれる、式(IVA)のチオアミドを介して調製した。このチオアミド自体は、全合成によって調製したが、通常の知識内の公知の方法を使用して、適切な前駆体を用いる細菌産生発酵プロセスにおける生合成によっても入手可能である。グリコペプチドチオアミド類似体は抗生物質生物活性がないために、これらは細菌株による発酵産生に適しているが、グリコペプチドアミジン類似体は、直接的な発酵産生では細菌に対してあまりにも有毒である。次いで、式(IVA)のチオアミドを、下記でより詳細に説明され、本明細書において開示および特許請求される、アンモニア中での銀イオン触媒作用の使用による、一段階の、部位特異的な、高収率アミジン導入において使用し、式(IIA)の[Ψ−[C(=NH)NH]Tpg]バンコマイシンアグリコンアミジン類似体が得られた:
Figure 2014521695
バンコマイシン耐性菌株に対して抗菌活性を示す本明細書において開示および特許請求されるグリコペプチドおよびそれらのアグリコンのアミジン類似体に関する本発明の抗生物質組成物において、上述のペプチド配列が存在し、但し、特定のアミド結合がアミジン結合へと修飾されており、これは、バンコマイシン耐性菌株に対する所望の追加の抗菌活性をグリコペプチドに与える。そのように修飾されるアミド結合は、グリコペプチド系抗生物質中の環D保有アミノ酸残基のカルボキシル基を含む結合であり、上記に示されるように、バンコマイシンについては[Ψ−[C(=NH)NH]Tpg]と指定される。
従って、本発明は、様々な態様において、グリコペプチド系抗生物質のD環アミジン類似体を提供し、ここで、本願において定義されるようなD環アミジン類似体は、VanAおよびVanB株の耐性付与変異と共通する耐性付与変異を有する耐性菌株に対して有効な抗生物質である。例えば、本発明は、様々な態様において、バンコマイシン、テイコプラニン、バルヒマイシン、アクチノイジン、リストセチン、および他のグリコペプチド化合物のD環アミジン類似体を提供し、これらは、治療上達成可能な濃度で、つまり野生型細菌株に対する親グリコペプチドの有効濃度に相当する濃度で、抗生物質として有効である。
従って、当業者の知識と併せて本明細書の開示を使用して、野生型(D−Ala−D−Ala)および変異型(D−Ala−D−Lac)細胞壁前駆体の末端ジペプチドドメインの両方に対して高親和性結合を示し、従って、野生型およびこの変異を発現するバンコマイシン耐性菌株の両方に対して活性である、環Dを保有するアミノ酸残基のカルボニル基にこのアミジン修飾されたペプチド結合を含有する修飾グリコペプチド系抗生物質を、調製および使用することが可能である。
従って、本発明者は、本明細書に記載されるようなD環アミノ酸残基カルボニル基のアミジン修飾を含むグリコペプチド系抗生物質を、本明細書において開示および特許請求する。D環アミノ酸残基は、グリコペプチド構造に共通の芳香族アミノ酸残基であって、ここで、その隣のアミノ酸残基C端末とペプチド結合を形成している天然グリコペプチド構造中の前記残基のカルボニル基は、本明細書において定義されるペプチドグリカン細菌細胞壁前駆体のD−Ala−D−Ala末端ジペプチドドメインのペプチド結合の窒素原子と水素結合を形成する。D環自体は、上述のように、グリコペプチド系抗生物質化合物のコアペプチド中の他のアミノ酸残基のC環およびE環とアリールエーテル結合を介して結合され得る。従って、本発明は、様々な態様において、D環アミノ酸残基のカルボキサミドカルボニル基中のOをNHで置き換える工程、Ψ−ペプチドアミジンコアを含むグリコペプチドアミド類似体を提供する工程を含む、グリコペプチド系抗生物質ならびにそれらのアグリコン形態、および類似体、誘導体などのD環アミノ酸残基アミジン類似体を設計および調製するための方法を提供し;さらに、本発明は、様々な態様において、新規性および進歩性を有する構造としてグリコペプチド疑似ペプチドアミジン類似体それ自体を提供する。
本発明は、様々な態様において、グリコペプチド系抗生物質であるバンコマイシン、テイコプラニン、バルヒマイシン、アクチノイジン、リストセチン、ならびにそれらのそれぞれのアグリコンおよび類似体のΨ−アミジン類似体を、本明細書において開示および特許請求する。グリコペプチド系抗生物質、アグリコン、および類似体の、これらのアミジン疑似ペプチド類似体は、バンコマイシンおよび関連するグリコペプチド系抗生物質に耐性である細菌株に対して抗生物質生物活性を示す。
本発明は、様々な態様において、グリコペプチド系抗生物質バンコマイシン、テイコプラニン、バルヒマイシン、アクチノイジン、リストセチン、ならびにそれらのそれぞれのアグリコンおよび類似体のΨ-チオアミド類似体を、本明細書において開示および特許請求する。グリコペプチド系抗生物質、アグリコン、および類似体の、これらのチオアミド疑似ペプチド類似体は、それぞれの抗生物質アミジン疑似ペプチド類似体を調製するために、下記でより詳細に説明するアンモニアとの銀イオン触媒反応で全て使用され得る。
本明細書において具体的に開示および特許請求されるのは、グリコペプチド系抗生物質またはそのアグリコンの疑似ペプチド類似体を含む、グリコペプチド耐性菌感染症の治療のための抗生物質グリコペプチド類似化合物であって、ここで、この化合物は、グリコペプチド系抗生物質またはそのアグリコンのコアペプチドのカルボキサミド連結基を置き換えるアミジン基を有するコア疑似ペプチド配列を含み、ここで、グリコペプチドまたはアグリコンのペプチドコアのD環保有アミノ酸残基のカルボキサミドのO原子は、NH基によって置き換えられており、グリコペプチド系抗生物質またはアグリコンのそれぞれのΨ−アミジン疑似ペプチド類似体を提供する。
より具体的には、グリコペプチドまたはそのアグリコンのコアペプチド配列はaa−Phe'−aa−Phgly'−Phgly'−aa−Phe'であり得、ここで、aaはアミノ酸残基を示し、Phe'およびPhgly'は、それぞれ、修飾フェニルアラニンおよび修飾フェニルグリシンアミノ酸残基を示し;ここで、アミジン基によって置き換えられるカルボキサミド基は、N末端aa基から4番目のペプチド結合において置き換えられるカルボキサミド基として、配置されている。
または、コアペプチド配列はaa−Phe'−aa−Phgly'−Phgly'−Phgly'−Phe'であり、ここで、aaはアミノ酸残基を示し、Phe'およびPhgly'は、それぞれ、修飾フェニルアラニンおよび修飾フェニルグリシンアミノ酸残基をそれぞれ示し;ここで、アミジン基によって置き換えられるカルボキサミド基は、N末端aa基から4番目のペプチド結合において置き換えられるカルボキサミド基として、配置されている。
さらに、上記の化合物について、D環を保有するアミノ酸残基は、Phe'アミノ酸残基のC環およびPhe'アミノ酸残基のE環とアリールエーテル結合を介してさらにカップリングされたPhgly'アミノ酸残基であり得、ここで、Phe'およびPhgly'は、それぞれ、修飾フェニルアラニンおよび修飾フェニルグリシンアミノ酸残基を示す。
より具体的には、本明細書において開示および特許請求される化合物は、D環アミノ酸残基の疑似ペプチドアミジン結合NH基が、D−Ala−D−Ala C端末ジペプチドドメインを含むペプチドグリカン細菌細胞壁前駆体またはそのモデルと複合体化される場合、この複合体中でD−Ala−D−Alaペプチド結合のペプチド窒素原子と水素結合される、化合物を含み得る。
例えば、式(IA)の化合物を含む、バンコマイシン耐性菌株に対して抗生物質活性を有するバンコマイシンアミジン類似体(疑似ペプチドアミジン類似体)が、本明細書において具体的に開示および特許請求される:
Figure 2014521695
曖昧さを回避するために、上記の構造は、左下隅に示したように、決して互いに結合されないことを遠近法によって、A環およびB環の2つのフェノール性結合を描くように意図されており;AおよびB環のビフェニル部分は一緒にo,o',p'−トリヒドロキシル化されている。芳香族A、B、C、D、およびE環は、上記の親化合物における指定に対応して特定される。
式(IB)および(IC)の、D環アミジン修飾も保有するC端末ヒドロキシメチル類似体も具体的に開示および特許請求される:
Figure 2014521695
式(IIA)の、バンコマイシンアグリコンのアミジン類似体も開示および特許請求される:
Figure 2014521695
上記の式(IB)および(IC)のアグリコン類似体、即ち、式(IIB)および(IIC)のC端末ヒドロキシメチル類似体も、本明細書において開示および特許請求される:
Figure 2014521695
他の態様において、抗生物質疑似ペプチドアミジングリコペプチド類似体は、式(V)の、バンコマイシンの[Ψ[C(=NH)NH]Tpg]類似体:
Figure 2014521695
、もしくは薬学的に許容されるその塩、またはそれらの混合物であり得、式中、
は、H、またはグリコシル部分であり;
は、COR、CHOR、またはCONRであり、ここで、Rは、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
は、任意でNアルキル化されている、アミノアシル基であり;
は、各出現時に独立して、H、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C1−C6)アルカノイル、グリコシル部分であり;
は、H、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、または(C1−C6)アルカノイルであり;
は、式(CR−R6Aの基であり、ここで、R6Aは、アリール、COR、CONR、(C1−C6)アルコキシ、または(C1−C6)アルカノイルであり;
は、各出現時に独立して、H、アリール、またはグリコシル部分である。
より具体的には、Rのグリコシル部分は、式:
Figure 2014521695
のもの、またはそのエピマーもしくはそのデオキシ類似体であり得、式中、Rは、アルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリールであり;波線は結合点を示す。あるいは、Rは、介在するカルボニル基なしで窒素原子へ直接結合され得、N−アルキルグリコシル単位が提供される。
同様に定義される構造(V)も本明細書において開示および特許請求され、但しここで、アミジンNH基は形式的にS原子へ変更されて、チオアミド類似体(VT)が提供される。
明らかであるように、バンコマイシンのΨ−アミジン疑似ペプチド類似体は、アミジン疑似ペプチド結合を含有し、ここで、示されるように、特定のアミドのC=O基はC=NH基によって置き換えられ、アミジン結合が形成されている。従って、バンコマイシンのコアペプチド単位:
メチル−NH−Leu−Phe'−Asn−Phgly'−Phgly'−Phe'−Phgly'−CO
が、アミジン結合が2つのPhgly残基間に存在するコアペプチド単位:
メチル−NH−Leu−Phe'−Asn−Phgly'−(C(=NH)−NH)−Phgly'−Phe'−Phgly'−CO
へと修飾されており、ここで、修飾されたアミド基は、トリヒドロキシル化されているD環Phgly'のカルボキシル基上にある。式(IB)、(IC)、(IIB)、および(IIC)の化合物について、ペプチドコアは、C端末COH基がヒドロキシメチルつまりCHOH基になる修飾を除いて変わらない:
メチル−NH−Leu−Phe'−Asn−Phgly'−(C(=NH)−NH)−Phgly'−Phe'−Phgly'−CH OH
バンコマイシンおよびそのアグリコンについて、この修飾は、[Ψ−[C(=NH)NH]Tpg]修飾と呼ばれ、前述のように、ペプチドコアのN末端から数えて4番目のペプチド結合のカルボキサミド基がアミジン基に置き換わる。上記の他のグリコペプチド抗生物質について、対応するペプチド結合のこの修飾も、全ての例示的なケースにおけるように、[Ψ−[C(=NH)NH]Tpg]と呼ばれ得、これは、それらの化合物全てにおいてN末端から4番目のペプチド結合であるが、他のグリコペプチドでは異なる名称を有し得る。それにもかかわらず、アミジン、チオアミドなどへ修飾されるカルボニル基の位置を固定する重要な構造的特徴は、上記に定義されるようなD環であり、このカルボキサミドカルボニル基は、D−Ala−D−Ala細胞壁前駆体ペプチドグリカン中の最後から二番目のアミド結合のNH基と水素結合される。この酸素原子をNH基で置き換えることによって、ペプチドグリカンC端末ジペプチドドメインの同一の位置におけるNHまたはO原子のいずれかと水素結合を維持することにより、野生型株に対してだけでなく、D−Ala−D−AlaドメインがD−Ala−D−Lacドメインへ突然変異している細菌株に対しても有効であるグリコペプチド抗生物質疑似ペプチド類似体が提供される。
治療上達成可能な濃度でバンコマイシンに抗生物質活性を持たせるのに充分な高い親和性でバンコマイシンに結合することのない、D−Ala−D−Lacグリコペプチド系抗生物質耐性表現型を含有する変異型細胞壁前駆体構造は、アミジン基がグリコペプチド分子内に正しく配置される場合、グリコペプチド系抗生物質、例えばバンコマイシンおよびそのアグリコンの、アミジン類似体によって十分に結合される。本明細書において詳述したように、アミジン修飾バンコマイシンアグリコンに対して、バンコマイシン耐性菌株に対する生物活性を与える同一の相互作用は、類似のD−Ala−D−AlaからD−Ala−D−Lacへの変異が野生型抗生物質に対する耐性を提供する細菌株に対して他の構造のアミジン修飾グリコペプチド系抗生物質が有効であろうという見識を提供する同一の相互作用である。
バンコマイシン残基4のカルボニルとD−Ala−D−Lacエステル酸素との間の孤立電子対斥力の除去によって13この二重の結合を達成するための[Ψ−[CHNH]Tpg]バンコマイシンアグリコン24を用いた最初の成功に続き、本発明者らは、改善された二重の結合親和性および抗微生物活性を探求した中から、[Ψ−[C(=NH)NH]−Tpg]バンコマイシンアグリコン(IIA)25を報告する。アミジン(IIA)は、D−Ala−D−Alaに対してバンコマイシンアグリコンによって示されたものの2〜3倍内にあるレベルで、両方のモデルリガンドに対して有効でバランスのとれた結合親和性を示した。これらの結合特性を正確に反映して、(IIA)は、感受性細菌株に対してバンコマイシンが示す活性と等しい効力である、強力な抗微生物活性をVREに対して示した(MIC=0.31μg/mL、VanA E.フェカリス(E. faecalis))。これは、耐性菌の細胞壁前駆体における対応する単一原子交換(NH→O)に対抗するための抗生物質における単一原子交換(O→NH)を示すが、修飾抗生物質は、水素結合供与体(D−Ala−D−Lacについて)または水素結合受容体(D−Ala−D−Alaについて)のいずれかとして役立つその外見上の能力のために、未変異型ペプチドグリカンD−Ala−D−Alaに結合するバンコマイシの能力も維持する。前者は、予想通りプロトン化されたアミジンの結合(pK=12.5)を必要とするが、後者は、非プロトン化アミジンの結合を必要とする。下記のスキーム1を参照のこと。
スキーム1:突然変異型および野生型についての水素結合供与体/受容体配置
Figure 2014521695
本発明の化合物の調製
バンコマイシンに対して歴史的になされてきた全ての修飾にもかかわらず、重要な結合ポケット領域自体に関する変化を含む、コア構造に関する変更を有する類似体は、本質的に研究されていなかった。グリコペプチドの構造が複雑であるために、ペプチド骨格に対する初期の修飾は、全合成によって最も実施が容易であった。最初にバンコマイシンアグリコンを提供し16、続いてテイコプラニン26,27およびリストセチン28アグリコンならびにコンプレスタチン29,30,31を提供するように拡張された、グリコペプチド系抗生物質の全合成についての本発明者らの努力は、天然産物のこのような深部の修飾を研究する独特の機会を本発明者らに与えた。
本発明者らは、一連の類似体への後期多様化を可能にする重要な中間体を介して進行する、多岐にわたる全合成を設計した24。構造的観点での戦略としては、バンコマイシンアグリコンの残基4のカルボキサミドを対応するチオアミド(IVA)で置き換え、次いで、これを、例えばアミジン類似体(IIA)を調製するために、他の多数のアミド(ペプチド結合)の存在下にて後期に選択的に修飾することができた。チオアミドを組み込む潜在的段階のスクリーニングの後に、本発明者らは、最も効率的な反応は、ローソン試薬を使用して初期段階の前駆体に対して行うものであることを見出した。これは、2つの可能性のあるアミドのうちの、立体的により入手可能なものについて完全に選択的に進行した。この初期チオネーション段階から、多段階全合成を作り上げ、[Ψ−[C(=S)NH]Tpg4]バンコマイシンアグリコンを調製した25。下記のスキーム2を参照のこと。
スキーム2:[Ψ−[C(=S)NH]Tpg4]バンコマイシンアグリコンへの合成アプローチ
Figure 2014521695
バンコマイシンコア構造の中央の7個のアミド結合のうちの1つの差別化を可能にする、初期の残基4のチオアミド導入に加えて、本アプローチは、CD/DE環系中の16員ジアリールエーテルの形成のための2つの芳香族求核置換反応、12員ビアリールAB環系の閉環についての有効なマクロラクタム化(macrolactamization)、ならびに規定の順序のCD、AB、およびDE閉環に依って行った。この閉環の順序は、既にセットされたアトロプ異性体立体化学が影響されることのない次第により穏やかになる熱的条件下で、新たに生成された不自然なアトロプ異性体のリサイクリングを可能にする、それらのアトロプ異性体熱平衡の容易さに従う。特に、[Ψ[C(=S)NH]Tpg]-バンコマイシンアグリコンを調製するために使用され上記に示される同一のABCD環系チオアミドを、テイコプラニンおよびリストセチンアグリコン自体17,18について本発明者らが導入し容易にアクチノイジンAへ拡張される合成経路およびプロトコルに従って、[Ψ[C(=S)NH]Tpg]-テイコプラニンアグリコン、[Ψ[C(=S)NH]Tpg]-リストセチンAアグリコンおよび[Ψ[C(=S)NH]Tpg]-アクチノイジンAアグリコンを調製するためにも使用することができる。
このバンコマイシン残基4のチオアミド([Ψ−[C(=S)NH]Tpg]-バンコマイシンアグリコン)は、それ自体で意義深い特性を示した。酸素の代わりに硫黄を用いる単一原子置き換えは、D−Ala−D−AlaおよびD−Ala−D−Lacの両方への結合を完全に妨害するのに十分であり、その化合物は抗微生物活性を欠いた。図3。チオアミドのより弱い水素結合は、D−Ala−D−Alaに対するこのより低い親和性に恐らく寄与しているが、減少の大きさは、チオカルボニルが増加させた結合長および硫黄のより大きなファンデルワールス半径に起因する、より根本的な立体置換が原因であることを示唆している。著しい差異に加えて、これは、アミドのほぼ完全な等配電子のアミジンでの置換を示す、対応する残基4のアミジン([Ψ−[C(=NH)NH]Tpg]-バンコマイシンアグリコン)を提供する。残基4のチオアミドが不活性であることで、これを産生する非病原性微生物が標的とする重要な中間体が規定され、これは、そうでなければ致命的となるアミジン自体の産生を回避する。従って、表面上は期待はずれに見え得る、残基4のチオアミドの特性は、当分野を進歩させるために役立つ、本発明者らの努力においてなされた重要で重大な知見を示す。
従って、本発明は、以下の式のバンコマイシン[Ψ[C(=S)NH]Tpg]-チオアミド類似体:
Figure 2014521695
Figure 2014521695
を提供する。
また、本発明は、以下の式のバンコマイシンアグリコン[Ψ[C(=S)NH]Tpg]-チオアミド類似体:
Figure 2014521695
を提供する。
テイコプラニンおよび上で列挙される他のものを含むグリコペプチド系抗生物質クラスの他のメンバーの調製について引用され参照により本明細書に組み入れられる文献の開示と併せて、本明細書中の開示を使用して、チオアミド基が、他のグリコペプチド系抗生物質のD環保有アミノ酸残基のカルボキサミドペプチド結合の代替を選択的にする、対応するチオアミド類似体を合成によって調製することは、通常の技術内にある。例えば、下記の刊行物を参照のこと;これらは、引用文献セクションにおいて列挙される本発明者による合成研究と併せて、ならびに通常の知識および技術と併せて、一般的に過度の実験なしでグリコペプチド系抗生物質のチオアミドの合成を手引きするために十分である:
Kahne, D., Leimkuhler, C., Lu, W., and Walsh, C.T. (2005) Glycopeptide and lipoglycopeptide antibiotics. Chem. Rev. 105, 425-448.
Glycopeptide Antibiotics; Nagarajan, R., Ed.; Marcel Dekker: New York, 1994.
Malabarba, A.; Nicas, T.I.; Thompson, R.C. Med. Res. Rev. 1997, 17, 69.
Malabarba, A.; Ciabatti, R. Curr. Med. Chem. 2001, 8, 1759.
Van Bambeke, F.V.; Laethem, Y.V.; Courvalin, P.; Tulkens, P.M. Drugs 2004, 64, 913。
[ΨΨ−[C(=S)NH]Tpg4]-バンコマイシンアグリコンが利用可能となると、バンコマイシンとペプチドグリカン末端との相互作用に重要な部位での重要な修飾の部位特異的一段階導入を進展させるように、段階を設定した。メチレン誘導体(即ち、[Ψ−[CHNH]Tpg4]-バンコマイシンアグリコン)は所望の二重の結合特性を示したが、本発明者らは、D−Ala−D−Lac結合をさらに増強することができ、同時にD−Ala−D−Alaについての結合を維持する、類似体を設計および研究しようと努めた。本発明者らは、バンコマイシンの残基4のアミドがアミジンで置き換えられている、[Ψ[C(=NH)NH]Tpg]-バンコマイシンアグリコンに焦点を向けた。独特な、以前は研究されていなかったAgOAc促進化反応を使用して、一段階で、残基4のチオアミドを対応するアミジンへ選択的に変換し、これは、完全に脱保護されかつ完全に合成されたバンコマイシンアグリコン25に対して行うことができた。スキーム3。
スキーム3:チオアミド(IVA)のアミジン(IIA)への変換
Figure 2014521695
本発明者らの以前の研究16−19においてモデル化された全合成によって調製した、完全に脱保護されたバンコマイシンアグリコンチオアミド(IVA)を、25℃(12時間)で、アンモニアで飽和されたメタノール(NH−MeOH)中において酢酸銀(AgOAc,10当量)で処理することにより、広範囲な取り扱いに安定である無色固体として手際よくアミジン(IIA)が直接得られた。それは、水(HO)またはHO−MeOHに容易に可溶であるが、アセトニトリル(MeCN)には不溶であり、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)精製の前にサンプルへトリフルオロ酢酸(TFA)を添加することが必要であった。
次いで、細菌耐性を潜在的に克服し得る他のグリコペプチド疑似ペプチド類似体のための前駆体としての残基4のチオアミドの使用の研究に取り掛かった。NHアミジンに加えて、N−メチルアミジン、N−ヒドロキシアミジン(アミドキシム)、N−アミノアミジン(アミドラゾン)およびN−シアノアミジンの調製。
必要な労力の大きさを知るために、残基4にチオアミドを有するが、カルボン酸の代わりにC末端ヒドロキシメチル基を有する、進んだ合成中間体(IVB)を本明細書において調べた。この中間体は、26工程に対して22工程で入手可能であり、アミジン(IIB)を含むその誘導体は、対応するバンコマイシンアグリコン誘導体25bと区別できない結合およびインビトロ抗微生物特性を示す。
本発明者らが標的化において特に興味があった置換アミジンの一番目は、N−メチルアミジン11であった。予想外に、4および10を調製するために使用した反応条件下でAgOAcおよびMeNH−MeOHを使用してチオアミド9(即ち、(IVB))を11へ変換する労力は実を結ばなかった。結果として、より単純なチオアミド基質15から出発するモデルシリーズを先ず使用して、この反応の様々なパラメータを調べた(表1)32,33
9との反応のように、MeOH中においてMeNH(MeOH中、2M)およびAgOAc(2−10当量)を使用して15を17へ変換する試みは、特に成功しなかった。さらに驚くべきことに、本発明者らはまた、15は急速に消費されるが、NH−MeOH中のAgOAc(3当量)は、15を親アミジン16へ変換させる際には同様に有効でないことを見出した。MeOH中においてかつ反応性アミンの非存在下で、AgOAc(3当量)での15の処理は、対応するO−メチルイミダート(>90%)を迅速に提供する。しかし、インサイチュで生成されたO−メチルイミダートをNH(MeOH中、7M)で引き続き処理しても16は提供されず、これはアミジンへの中間体ではないことを示している。
一連の代替的Ag(I)塩を調べた。これらの研究によって、AgBFおよびAgOCOCFを含む、より反応性のAg(I)塩が、室温でMeOH中において良好な収率で親アミジン16(83%)、N−メチルアミジン17(93%,1:1 E:Z)、またはNN−ジメチルアミジン18(82%)への15の変換を促進するのに有効であることが明らかとなった(図4)。さらに、これらの条件は、9中の残基4のチオアミドを、E:Z異性体の分離不可能なまたは平衡している1:1混合物としてN−メチルアミジン11へ変換することに成功した(5当量AgBF,MeOH中2M MeNH,25℃,30分)。表1。
(表1):銀イオン触媒作用を用いてのアミジンへのモデルチオアミドの変換
Figure 2014521695
a Et3N(10当量)を含む。
15とヒドロキシルアミンとの反応によるN−ヒドロキシアミジン(アミドキシム)19の調製へ向かう、方法の拡張を表2に要約する。AgOAcは、MeOH中での19の形成を促進する点で適度に有効であることが分かり、一方、より反応性のAg(I)塩は、生成物アミドキシム19のさらなる反応を生じさせ、N−ヒドロキシアミドキシムの遊離およびチオアミド切断がもたらされた。チオアミド15のこの切断反応は、より低極性の非プロトン性溶媒中において反応を行うことによって抑制され、この場合、19が優れた収率で単離された。プロトン性溶媒(MeOH)の使用を必要とする12の調製は、単一のE異性体として、容易に取り扱われる残基4アミドキシムを提供した。
15とBocNHNHとの反応によるBoc保護N−アミノアミジン(アミドラゾン)20の調製において、同様の観察を行った(表2)。BocNHNHの高い求核性に起因して、大抵のAg(I)促進反応は、二重付加およびチオアミドの切断をもたらした。AgBF(5当量)での短い反応時間(5分)、およびBocNHNH(2当量,MeOH,73%)の量の制限、または非プロトン性無極性溶媒の使用は、過剰反応を抑制し、良好な収率で20を提供した。このような問題は、残基4のチオアミドが立体障害を受けている9では、あまり重要ではなかった。アミドラゾン13の十分に機能するBoc保護前駆体が、単一の異性体として良好な収率で単離された。
(表2):アミドキシムおよびアミドラゾンへのモデルチオアミドの変換
Figure 2014521695
a Et3N(10当量)を含む。
b NaHCO3(10当量)を含む。
最も困難であると予想されたアミンは、そのより低い求核性に起因して、シアナミドであった(表3)。驚くべきことには、MeOH中でのAgOAc(5当量)の使用は、15の、N−シアノアミジン21への迅速な変換をもたらした(30当量HNCN,10分,85%)。AgOAc(5当量)を使用してバンコマイシンアグリコンN−シアノアミジンの調製に向けてこの反応を拡張したところ、単一の異性体として14が得られ、その特性は、アッセイ条件下でZ立体配置と一致していたかまたは(Z)−14と平衡であった。N−シアノアミジン21へのチオアミド15の変換は、非プロトン性溶媒(THF>CHCN>DMF)中でも行うことができた。EtN(10当量)をさらに含めると、数分で完了する反応を引き起こし、素晴らしい収率で21が得られた(91−94%)。
アミジン11〜14の実験結果を図3に要約する。N−メチルアミジン11は、モデルD−Ala−D−AlaおよびD−Ala−D−Lacリガンド6および7への結合23において、それぞれ、親アミジン10よりも30〜50倍効果が低いが、11はほぼ等しい親和性で両方に結合したことがわかった。従って、その相対的な結合特徴と正確に一致して10よりも60倍効力が低いにもかかわらず、それはVanA VRE(MIC=20μg/mL)に対して活性であることがわかった。
(表3):N−シアノアミジンへのモデルチオアミドの変換
Figure 2014521695
a NaHCO3(10当量)を含む。
b Et3N(10当量)を含む。
E:Z異性体の分離不可能なまたは平衡している1:1混合物から構成されたサンプルで評価を行ったが、結果は、小さなメチル基でアミジンを置換することが、その結合および抗微生物特性を著しく低下させるのに十分であることを依然として示している。D−Ala−D−Alaに結合する際のアミジンのプロトン化状態についての詳細を推測することは困難であるが、11と10との比較は、D−Ala−D−Lacに結合するのはプロトン化アミジンであるにちがいないという予想を支持する。10とは異なり、11の非プロトン化状態では、下記のように、リガンドへ水素結合することができず、さらなる不安定な孤立電子対/孤立電子対相互作用を被る。
Figure 2014521695
プロトン化され得ない(pK=1)、N−シアノアミジン14の挙動は、なおより興味深いことがわかった。その親和性および活性はアミド8と比べて低下したが、8および14の相対的な挙動は同一であり、アミジン10および11のものとは異なった(図3)。アミド8のように、N−シアノアミジン14は、それが結合しなかったD−Ala−D−Lacよりも遥かに有効にD−Ala−D−Alaに結合した(≧120倍)。従って、14は、VanA VRE(MIC>40μg/mL)に対して抗微生物活性を欠いたが、D−Ala−D−Alaについてのその親和性と一致するレベルで、バンコマイシン感受性黄色ブドウ球菌(MIC=10μg/mL)に対しては活性のままであった。さらに、D−Ala−D−Alaに対するこの親和性は、親アミド8またはアミジン10よりも20倍低いにもかかわらず、N−メチルアミジン11のそれにほぼ等しいことがわかった。非プロトン化アミジン14がD−Ala−D−Lacへ結合できないことは、親アミジン10およびN−メチルアミジン11の有効なD−Ala−D−Lac結合は、不安定化な孤立電子対斥力を安定な静電相互作用および弱い逆の水素結合で置き換える、プロトン化アミジンの結合を伴わなければならないことを確認する。同様に、D−Ala−D−Alaとの非プロトン化シアノアミジン14およびN−メチルアミジン11の匹敵する結合親和性は、下記に示すように、結合されたリガンド中の連結アミドから水素結合を受容して、両方ともそれらの非プロトン化状態で結合することを示す。
Figure 2014521695
生物学的評価
6の実験結果を、アミドカルボニルを欠いている、合成メチレン誘導体724およびバンコマイシンアグリコン(5)のそれと共に、図3に要約する。アミジンのC=N結合長(1.30対1.23Å)および窒素のファンデルワールス半径(1.55対1.52Å)は両方とも、アミドカルボニルおよび酸素原子のそれに非常に近接しており、このことは、アミジンは、有効なアミド同配体として幾何学的におよび立体的に役立ち得ることを示唆している。モデルD−Ala−D−Alaリガンド2との6の結合親和性30は、バンコマイシンアグリコン自体よりも僅かおよそ2倍低く、メチレン誘導体7よりも15倍高いことがわかり、このことは、アミジンが、モデルリガンド中のアミドNHに対する水素結合受容体として十分に機能することを示唆している。さらに、6のこの結合親和性は、モデルD−Ala−D−Lacリガンド4で維持され、バンコマイシンアグリコン(5)と比べて親和性がほぼ600倍増加し、メチレン誘導体7と比べて10倍を超えて増加したことを示している。重要なことには、6は、D−Ala−D−Alaについてバンコマイシンアグリコン(5)によって示されたものの2〜3倍以内であるレベルで、両方のモデルリガンドについて有効でバランスのとれた結合親和性を示す(K 2/4=1.05)。これらの結合特性を正確に反映して、6は、バンコマイシン耐性菌の最もストリンジェントなものである、VanA耐性E.フェカリス(VanA VRE,BM4166)に対して強力な抗微生物活性(MIC=0.31μg/mL)を示し、これは、バンコマイシン(1)およびバンコマイシンアグリコン(5)が感受性細菌株に対して示す活性(MIC=0.3−2μg/mL)に等しい効力であった。
標準的な微生物学の実務に従う培養液微量希釈法によって、E.フェカリス(BM4166)を増殖させ、MICを二つ組で測定した。以下を参照のこと:Clinical and Laboratory Standards Institute. Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria That Grow Aerobically; Approved Standard, 7th ed.; CLSI document M07-A8; Clinical and Laboratory Standards Institute: Wayne, PA, 2009. Cudic, M.; Condie, B. A.; Weiner, D.J.; Lysenko, E. S.; Xiang, Z.Q.; Insug, O.; Bulet, P.; Otvos, L.,Jr.; Peptides 2002, 23, 271。
[Ψ[C(=S)NH]Tpg]バンコマイシンアグリコン(8)。白色フィルム;
Figure 2014521695
[Ψ[C(=NH)NH]Tpg]バンコマイシンアグリコン(6)。アンモニアで飽和された無水メタノール(0.5mL)中の8(0.46mg,0.40μmol)の溶液を、酢酸銀(AgOAc,0.70mg,4.2μmol,10当量)で処理した。反応混合物を室温で12時間撹拌し、その後、溶媒をN流下で除去した。残渣を水中30%CHOH(0.4mL+10μL TFA)に溶解し、半分取逆相HPLC(CHOH/HO−0.07%TFA 30:70,3mL/分,R=17.9分)によって精製し、6が白色フィルムとして得られた:
Figure 2014521695
モデルD−Ala−D−AlaおよびD−Ala−D−Lacリガンド、2および4を用いた滴定結合アッセイ。モデルリガンドN,N'−Ac−Lys−D−Ala−D−Ala(2)およびN,N'−Ac−Lys−D−Ala−D−Lac(4)との会合について、化合物6および8の結合定数を、文献プロトコル30に従って測定した。UV差異測定をCARY 3E UV−Vis分光計において行った。0.02Mクエン酸ナトリウム緩衝液(pH=5.1)からなり、200〜345nmの範囲をカバーしたベースライン補正を用いて、UVスキャンを実行した。6または8の溶液(0.02Mクエン酸ナトリウム緩衝液中7.7x10−5M)を、石英UVキュベット(0.1cm路長)中へ入れ、UVスペクトルを、0.02Mクエン酸ナトリウム緩衝液を含有する対照セルに対して記録した。0.1〜60.0当量で各セルへ0.02Mクエン酸ナトリウム緩衝液中のN,N'−Ac−Lys−D−Ala−D−Ala(2)またはN,N'−Ac−Lys−D−Ala−D−Lac(4)の溶液を各々添加した後、UVスペクトルを記録した。λmaxでの吸光度値を記録し、吸光度の連続的な変化、ΔAx equiv(Ainitial−Ax equiv)を測定した。リガンド等価物の数をΔAに対してプロットし、リガンド結合滴定曲線を得た。この曲線のブレークポイントは系の飽和点であり、飽和前および飽和後の曲線の線形フィットの交差を確立することによって、そのxy座標を決定した。ΔAsaturationを計算し、各滴定点での溶液中の遊離リガンドの濃度を決定するために用いた。ΔAをΔA/遊離リガンド濃度に対してプロットし、スキャッチャードプロットを得、ここから結合定数を決定した。
(表4):グリコペプチド類似体についての結合定数およびMIC値
Figure 2014521695
a 最小阻止濃度、E.フェカリス(BM4166, VanA VRE)。
投薬形態および投与
本発明の化合物は、悪い状態の治療、予防、排除、緩和または改善の必要がある哺乳動物、特にヒトへ投与され得る。このような哺乳動物は、動物、飼いならされた動物、例えば、家庭用ペット、家畜、および、飼いならされていない動物、例えば野生生物、の両方も含む。
本発明の化合物は、広い投薬量範囲にわたって有効である。例えば、成人の治療において、1日当たり約0.05〜約5000mg、好ましくは約1〜約2000mg、より好ましくは約2〜約2000mgの投薬量を使用することができる。典型的な投薬量は、1日当たり約10mg〜約1000mgである。患者に対するレジメンの選択において、より高い投薬量から始めること、および状態が制御下にある場合は投薬量を減らすことが、頻繁に必要であり得る。正確な投薬量は、化合物の活性、投与様式、希望の療法、投与される形態、治療される対象および治療される対象の体重、ならびに担当の医師または獣医の選択および経験に依存する。
概して本発明の化合物は、1単位投薬当たり、薬学的に許容される担体と一緒に有効成分を約0.05mg〜約1000mg含む単位投薬形態に調剤される。
通常、経口、経鼻、経肺または経皮投与に適した投薬形態は、薬学的に許容される担体または希釈剤と混合された化合物を約125μg〜約1250mg、好ましくは約250μg〜約500mg、より好ましくは約2.5mg〜約250mg含む。
投薬形態は、毎日、または1日1回を超えて、例えば、1日2回または3回、投与され得る。あるいは、処方医師によって望ましいと分かった場合、投薬形態は、毎日よりも少ない頻度で、例えば、一日おきに、または毎週、投与され得る。
合成手順
[Ψ[C(=S)NH]Tpg ]バンコマイシンアグリコン(IVA)。その全詳細は他のところで開示される研究における全合成によって調製した25。白色フィルム;
Figure 2014521695
[Ψ[C(=NH)NH]Tpg ]バンコマイシンアグリコン(IIA)。アンモニアで飽和された無水メタノール(0.5mL)中の(IVA)(0.46mg,0.40μmol)の溶液を、酢酸銀(AgOAc,0.70mg,4.2μmol,10当量)で処理した。反応混合物を室温で12時間撹拌し、その後、溶媒をN流下で除去した。残渣を水中30%CHOH(0.4mL+10μL TFA)に溶解し、半分取逆相HPLC(CHOH/HO−0.07%TFA 30:70,3mL/分,R=17.9分)によって精製し、6が白色フィルムとして得られた:
Figure 2014521695
Figure 2014521695
化合物11:白色フィルム;
Figure 2014521695
Figure 2014521695
化合物12:白色フィルム;
Figure 2014521695
Figure 2014521695
化合物13:白色フィルム;
Figure 2014521695
Figure 2014521695
化合物14:白色フィルム;
Figure 2014521695
アミジン形成のための一般手順:(16)
15(10.0mg,37.2μmol)およびテトラフルオロホウ酸銀(21.7mg,0.112mmol,3.0当量)の混合物を、25℃にて飽和NH/CHOH(0.37mL)で処理した。反応混合物を25℃で2時間撹拌し、N流下で濃縮した。残渣をPTLC(SiO,10%CHOH−CHCl)によって精製し、16(7.5mg,83%)が得られた。
Figure 2014521695
化合物15:白色固体;m.p.68−69℃;
Figure 2014521695
Figure 2014521695
化合物16:薄桃色のフィルム;
Figure 2014521695
Figure 2014521695
化合物17:白色フィルム;
Figure 2014521695
Figure 2014521695
化合物18:薄桃色の固体;m.p.146−148℃;
Figure 2014521695
Figure 2014521695
化合物19:白色フィルム;
Figure 2014521695
Figure 2014521695
化合物20:白色フィルム;
Figure 2014521695
Figure 2014521695
化合物21:白色固体;m.p.131−132℃;
Figure 2014521695
化合物(42)
Figure 2014521695
ニートなTFA(0.5mL)中の32(2.05mg,1.49μmol)の溶液を25℃で12時間撹拌した。溶媒をN流下で除去し、粗製残渣をMeOH中に溶解し、溶液を18時間撹拌し、その後、溶媒をN流下で除去した。残渣を1:1 MeOH:HO(0.5mL)中に溶解し、半分取逆相HPLC(10−50%MeCN/ΗΟ 0.07%TFA)によって精製し、42(1.24mg,69%)が白色フィルムとして得られた:
Figure 2014521695
化合物(43)
Figure 2014521695
無水飽和NH CHOH(0.5mL)中の42(1.24mg,1.03μmol)の溶液を、酢酸銀(1.72mg,10.3μmol,10当量)で処理した。反応混合物を室温で24時間撹拌し、その後、溶媒をN流下で除去した。残渣を40%MeOH−HO(0.4mL+10μL TFA)中に溶解し、半分取逆相HPLC(10−20%MeCN/HO−0.07%TFA)によって精製し、43(0.77mg,63%)が白色フィルムとして得られた。43のサンプルは、精製を繰り返した後でさえ、3つの容易に分離可能な(HPLC)成分(1:1:2)へ迅速に平衡に達するようであり、これらの全ては、同一の分子量を示す(MS):ESI−TOF HRMS m/z 1184.3874(M+H,C5763Cl15 requires1184.3893)。
化合物(44)
Figure 2014521695
化合物44は図3の化合物9と同一である。ニートなTFA(0.6mL)中の32(2.20mg,1.60μmol)の溶液を25℃で12時間撹拌した。溶媒をN流下で除去し、42の残渣をAlBr(107mg,400μmol)およびEtSH(100μL)で処理した。得られた混合物を25℃で60時間撹拌し、その後、それをCHCl(0.5mL)で希釈し、0℃へ冷却し、CHOH(0.2mL)の添加によってクエンチした。溶媒をN流下で除去した。残渣を水(0.5mL)中に懸濁し、ショート逆相シリカゲルクロマトグラフィー(C18−SiO,50%CHCN−HO)および半分取逆相HPLC(10分間にわたって5−20%MeCN/HO−0.07%TFA勾配、次いで20%MeCN/HO−0.07%TFA定組成によって精製し、44(1.12mg,61%,2工程)が白色フィルムとして得られた:
Figure 2014521695
化合物(45)
Figure 2014521695
化合物45は図3の化合物10と同一である。無水飽和NH−CHOH(0.3mL)中の44(1.12mg,0.977μmol)の溶液を酢酸銀(1.63mg,9.77μmol)で処理した。反応混合物を25℃で12時間撹拌し、その後、溶媒をN流下で除去した。残渣を40%MeOH−HO(0.4mL+10μL TFA)中に溶解し、ショート逆相シリカゲルクロマトグラフィー(C18−SiO,50%CHCN−HO)によって精製し、45(0.94mg,85%)がオフホワイト色の固体として得られ、これを生物学的試験の前に半分取逆相HPLC(10分間にわたって5−20%MeCN/HO−0.07%TFA、次いで20%MeCN/H2O−0.07%TFA定組成)によってさらに精製し、45が白色フィルムとして得られた:
Figure 2014521695
モデルD−Ala−D−AlaおよびD−Ala−D−Lacリガンド6および7を用いた滴定結合アッセイ
モデルリガンドN,N'−Ac−Lys−D−Ala−D−Ala(6)およびN,N'−Ac−Lys−D−Ala−D−Lac(7)との会合について、全ての化合物の結合定数を、文献プロトコルに従って測定した。UV差異実験をCARY 3E UV−Vis分光計において行った。0.02Mクエン酸ナトリウム緩衝液(pH=5.1)からなり、200〜345nmの範囲をカバーしたベースライン補正を用いて、UVスキャンを実行した。バンコマイシンアグリコン誘導体の溶液(0.02Mクエン酸ナトリウム緩衝液中7.7x10−5M)を、石英UVキュベット(0.1cm路長)中へ入れ、UVスペクトルを、0.02Mクエン酸ナトリウム緩衝液を含有する対照セルに対して記録した。0.1〜60.0当量で各セルへ0.02Mクエン酸ナトリウム緩衝液中のN,N'−Ac−Lys−D−Ala−D−Ala(6)またはN,N'−Ac−Lys−D−Ala−D−Lac(7)の溶液を各々添加した後、UVスペクトルを記録した。λmaxでの吸光度値を記録し、吸光度の連続的な変化、ΔAx equiv(Ainitial−Ax equiv)を測定した。リガンド等価物の数をΔAに対してプロットし、リガンド結合滴定曲線を得た。この曲線のブレークポイントは系の飽和点であり、飽和前および飽和後の曲線の線形フィットの交差を確立することによって、そのxy座標を決定した。ΔAsaturationを計算し、各滴定点での溶液中の遊離リガンドの濃度を決定するために用いた。ΔAをΔA/遊離リガンド濃度に対してプロットし、スキャッチャードプロットを得、ここから結合定数を決定した。
抗微生物アッセイ
標準的な微生物学の実務に従う培養液微量希釈法によって、黄色ブドウ球菌(ATCC25923)およびE.フェカリス(BM4166)を増殖させ、MICを二つ組で測定した。(Clinical and Laboratory Standards Institute. Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria That Grow Aerobically; Approved Standard, 7th ed.; CLSI document M07-A8; Clinical and Laboratory Standards Institute: Wayne, PA, 2009)。
引用文献
Figure 2014521695
Figure 2014521695
Figure 2014521695
Figure 2014521695
本明細書において参照された全ての特許および刊行物は、各個々の刊行物が具体的にかつ個々に示されてその全体が参照により組み入れられるかのように同程度に、参照により本明細書に組み入れられる。
用いられた用語および表現は、限定ではなく説明の用語として使用され、このような用語および表現の使用において、表示および記載される特徴またはその部分の等価物を排除する意図はなく、様々な修飾が、特許請求される本発明の範囲内で可能であることが、認識される。従って、好ましい態様および任意選択の特徴によって本発明を具体的に開示したが、本明細書において開示された概念の修飾および変更は当業者によって用いられ得ること、およびこのような修飾および変更は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にあると考えられることが、理解されるべきである。

Claims (25)

  1. グリコペプチド系抗生物質またはそのアグリコンの疑似ペプチド類似体を含む、グリコペプチド耐性菌感染症の処置のための抗生物質グリコペプチド類似化合物であって、
    該化合物が、グリコペプチド系抗生物質またはそのアグリコンのコアペプチドのカルボキサミド連結基を置き換えるアミジン基を有するコア疑似ペプチド配列を含み、
    グリコペプチドまたはアグリコンのペプチドコアのD環保有アミノ酸残基のカルボキサミドO原子が、NH基によって置き換えられて、該グリコペプチド系抗生物質またはアグリコンのそれぞれのΨ−アミジン疑似ペプチド類似体を提供する、抗生物質グリコペプチド類似化合物。
  2. グリコペプチドまたはそのアグリコンのコアペプチド配列が、aa−Phe'−aa−Phgly'−Phgly'−aa−Phe'であり、
    aaがアミノ酸残基を示し、かつPhe'およびPhgly'がそれぞれ、修飾フェニルアラニンおよび修飾フェニルグリシンアミノ酸残基を示し;
    アミジン基によって置き換えられるカルボキサミド基が、N末端aa基から4番目のペプチド結合に配置されている、請求項1記載の化合物。
  3. コアペプチド配列が、aa−Phe'−aa−Phgly'−Phgly'−Phgly'−Phe'であり、
    aaがアミノ酸残基を示し、かつPhe'およびPhgly'がそれぞれ、修飾フェニルアラニンおよび修飾フェニルグリシンアミノ酸残基をそれぞれ示し;
    アミジン基によって置き換えられるカルボキサミド基が、N末端aa基から4番目のペプチド結合に配置されている、請求項2記載の化合物。
  4. D環を保有するアミノ酸残基が、Phe'アミノ酸残基のC環およびPhe'アミノ酸残基のE環とアリールエーテル結合を介してさらにカップリングされたPhgly'アミノ酸残基であり、Phe'およびPhgly'がそれぞれ、修飾フェニルアラニンおよび修飾フェニルグリシンアミノ酸残基をそれぞれ示す、請求項1記載の化合物。
  5. D環アミノ酸残基の疑似ペプチドアミジン結合NH基が、D−Ala−D−Ala C端末ジペプチドドメインを含むペプチドグリカン細菌細胞壁前駆体またはそのモデルと複合体化される場合、この複合体中でD−Ala−D−Alaペプチド結合のペプチド窒素原子と水素結合される、請求項1記載の化合物。
  6. 抗生物質が、バンコマイシン、テイコプラニン、バルヒマイシン、アクチノイジン、またはリストマイシンである、請求項1記載の化合物。
  7. 以下のバンコマイシン類似[Ψ[C(=NH)NH]Tpg]-アミジン類似体:
    Figure 2014521695
    Figure 2014521695
    のいずれか1つ、もしくは
    任意の薬学的に許容されるその塩、または
    任意のそれらの組み合わせ
    を含む、バンコマイシン耐性菌によって引き起こされる感染症の処置のための、請求項1記載の抗生物質化合物。
  8. 以下のバンコマイシンアグリコン[Ψ[C(=NH)NH]Tpg]-アミジン類似体:
    Figure 2014521695
    のいずれか1つを含む、以下のバンコマイシン類似[Ψ[C(=NH)NH]Tpg]-アミジン類似体のいずれか1つ、もしくは
    任意の薬学的に許容されるその塩、または
    任意のそれらの組み合わせ
    を含む、バンコマイシン耐性菌によって引き起こされる感染症の処置のための、請求項1記載の抗生物質化合物。
  9. グリコペプチド系抗生物質またはそのアグリコンの疑似ペプチド類似体を含む、グリコペプチド耐性菌感染症の処置用の抗生物質の調製における前駆体としての使用のためのグリコペプチド類似化合物であって、
    該化合物が、グリコペプチド系抗生物質またはそのアグリコンのコアペプチドのカルボキサミド連結基を置き換えるチオアミド基を有するコア疑似ペプチド配列を含み、
    グリコペプチドまたはアグリコンのペプチドコアのD環保有アミノ酸残基のカルボキサミドO原子が、S原子によって置き換えられて、該グリコペプチド系抗生物質またはアグリコンのそれぞれのΨ−チオアミド疑似ペプチド類似体を提供する、グリコペプチド類似化合物。
  10. グリコペプチドまたはそのアグリコンのコアペプチド配列が、aa−Phe'−aa−Phgly'−Phgly'−aa−Phe'であり、
    aaがアミノ酸残基を示し、かつPhe'およびPhgly'がそれぞれ、修飾フェニルアラニンおよび修飾フェニルグリシンアミノ酸残基を示し;
    チオアミド基によって置き換えられるカルボキサミド基が、N末端aa基から4番目のペプチド結合に配置されている、請求項9記載の化合物。
  11. コアペプチド配列が、aa−Phe'−aa−Phgly'−Phgly'−Phgly'−Phe'であり、
    aaがアミノ酸残基を示し、かつPhe'およびPhgly'がそれぞれ、修飾フェニルアラニンおよび修飾フェニルグリシンアミノ酸残基をそれぞれ示し;
    チオアミド基によって置き換えられるカルボキサミド基が、N末端aa基から4番目のペプチド結合に配置されている、請求項10記載の化合物。
  12. D環を保有するアミノ酸残基が、Phe'アミノ酸残基のC環およびPhe'アミノ酸残基のE環とアリールエーテル結合を介してさらにカップリングされたPhgly'アミノ酸残基であり、Phe'およびPhgly'がそれぞれ、修飾フェニルアラニンおよび修飾フェニルグリシンアミノ酸残基をそれぞれ示す、請求項9記載の化合物。
  13. 以下の式:
    Figure 2014521695
    または
    Figure 2014521695
    の、バンコマイシン[Ψ[C(=S)NH]Tpg]-チオアミド類似体を含む、請求項9記載の化合物。
  14. 以下の式:
    Figure 2014521695
    Figure 2014521695
    の、バンコマイシンアグリコン[Ψ[C(=S)NH]Tpg]-チオアミド類似体を含む、請求項9記載の化合物。
  15. 式(V)の、バンコマイシンの[Ψ[C(=NH)NH]Tpg]類似体:
    Figure 2014521695
    もしくは薬学的に許容されるその塩、または
    それらの混合物を含み、
    式中、
    が、H、またはグリコシル部分であり;
    が、COR、CHOR、またはCONRであり、ここで、Rは、Hまたは(C1−C6)アルキルであり;
    が、任意でNアルキル化されている、アミノアシル基であり;
    が、各出現時に独立して、H、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C1−C6)アルカノイル、グリコシル部分であり;
    が、H、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、または(C1−C6)アルカノイルであり;
    が、式(CR−R6Aの基であり、ここで、R6Aは、アリール、COR、CONR、(C1−C6)アルコキシ、または(C1−C6)アルカノイルであり;
    が、各出現時に独立して、H、アリール、またはグリコシル部分である、請求項1記載の化合物。
  16. のグリコシル部分が、式:
    Figure 2014521695
    のもの、またはそのエピマーもしくはそのデオキシ類似体であり、
    式中、
    が、アルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリールであり、
    波線が結合点を示す、請求項15記載の組成物。
  17. 任意で溶媒中において、銀イオンの存在下で、請求項9記載の前駆体としての使用のためのグリコペプチド類似チオアミド化合物とアンモニアを接触させる工程を含む、請求項1記載の抗生物質グリコペプチド類似アミジン化合物を調製する方法。
  18. 銀イオンが、酢酸銀、銀トリフラート、テトラフルオロホウ酸銀、トリフルオロ酢酸銀、もしくは銀アンチモンヘキサフルオリドのいずれか1つ、または任意のそれらの組み合わせを含む、請求項17記載の方法。
  19. 接触させる工程が、水もしくはアルコールまたは両方を含む溶媒中で行われる、請求項18記載の方法。
  20. 接触させる工程が、約25℃で行われる、請求項18記載の方法。
  21. チオアミド前駆体化合物が、発酵プロセス由来である、請求項17記載の方法。
  22. 以下の式(IIIA):
    Figure 2014521695
    または式(IIIB):
    Figure 2014521695
    または式(IIIC):
    Figure 2014521695
    の、バンコマイシン[Ψ[C(=S)NH]Tpg]-チオアミド類似体をそれぞれ、それぞれのバンコマイシンアミジン類似体を提供するために適した条件下で、アルコール性溶媒中の銀塩およびアンモニアの溶液と接触させる工程を含む、
    式(IA):
    Figure 2014521695
    または式(IB):
    Figure 2014521695
    または式(IC):
    Figure 2014521695
    の、バンコマイシン[Ψ[C(=NH)NH]Tpg]-アミジン類似体を調製する工程を含む、請求項17記載の方法。
  23. 以下の式(IVA):
    Figure 2014521695
    または式(IVB):
    Figure 2014521695
    または式(IVC):
    Figure 2014521695
    の、バンコマイシン[Ψ[C(=S)NH]Tpg]-チオアミド類似体をそれぞれ、それぞれのバンコマイシンアミジン類似体を提供するために適した条件下で、アルコール性溶媒中の銀塩およびアンモニアの溶液と接触させる工程を含む、
    式(IIA):
    Figure 2014521695
    または式(IIB):
    Figure 2014521695
    または式(IIC):
    Figure 2014521695
    の、バンコマイシンアグリコン[Ψ[C(=NH)NH]Tpg]-アミジン類似体を調製する工程を含む、請求項17記載の方法。
  24. 細菌と有効量または有効濃度の請求項1〜8のいずれか一項記載の抗生物質組成物とを接触させる工程を含む、バンコマイシン耐性菌株を死滅させる方法。
  25. 有効量の請求項1〜8のいずれか一項記載の抗生物質組成物を患者へ投与する工程を含む、バンコマイシン耐性菌株を含む細菌集団によって引き起こされる感染症を処置する方法。
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