JP2014519895A - 組織保持デバイスと使用方法 - Google Patents

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アクログ,リーシャン
フスト デグズマン,ブライアン
Original Assignee
パビリオン メディカル イノベーションズ,エルエルシー
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Abstract

組織保持システム及び装置並びに当該装置の使用方法が本明細書に開示されている。本明細書に例証された態様によれば組織保持装置が提供され、当該組織保持装置は弁形成部材を含み、当該弁形成部材は互いに離間された方法で弁形成部材の一部に沿って1つ以上の接点を有している。前記組織保持装置は、また前記弁形成部材に対して実質的に対向し、離間した関係の配置で第2アンカーを含み得る。保持マトリックスは前記弁形成部材の接点から前記第2アンカーまで延び得る。
【選択図】図30

Description

<関連出願>
本出願は、2012年5月20日に出願された米国特許出願第13/476,010号の優先権と、利益を主張しており、該米国特許出願第13/476,010号は、2011年11月18日に出願された米国特許出願第13/300,328の一部継続出願であり、かつその優先権並びに利益を主張し、及び該米国特許出願第13/476,010号は、2010年11月18日に出願された米国仮出願第61/414,990号、2011年2月18日に出願された米国仮出願第61/444,554号、2011年5月19日に出願された米国仮出願第61/487,914号、及び2011年5月19日に出願された米国仮出願第61/487,906号の優先権と利益を主張している。これらの出願はすべて、その出願における教示について、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
様々な疾患の処置は、人間の心臓の弁のうちの1つまたは複数の適切な機能を損なう可能性がある。これらは、変性過程(例えば、バーロー病、弾性線維の欠乏)、炎症プロセス(例えば、リウマチ性心疾患)や感染プロセス(例えば、心内膜炎)を含む。また、以前の心臓発作(すなわち、冠動脈疾患に続発する心筋梗塞)、または他の心疾患(例えば、心筋症)からの心室へのダメージは弁の幾何学的形状を歪めて、機能不全を引き起こし得る。
交換による弁修復の利点は、弁機能不全のすべてのタイプにおいて、ほぼすべての疾患状態において、心臓外科文献で確立されている。弁の修復を受けている患者は、心臓機能のより良い保全により、長生きすることが示されている。僧帽弁または三尖弁逆流の患者の大半は、当該患者の弁を置き換える代わりに上手く修復してもらえ得る。上手く修復する可能性は、しかしながら、個々の外科医の技能、知識、経験に大きく依存している。ほとんどの外科医は単純な弁修復を(弁形成メンバー、限定された弁尖の切除など)を実行することは好適ではあるが、多くはほとんど弁の修理をせず、ごく少数の外科医は、より複雑な弁を修理することが好適である。ほとんどの外科医は、これらの技術における知識と訓練が充分でなく、技術的な能力を持っていても、複雑なケースを好適と感じる十分な患者に遭遇しない。外科技術におけるこの変動性は、異なるセンター間で広い範囲の弁修復を反映している。受け入れ量の大きい、経験豊富なセンターは、日常的に90%以上も弁修復率を報告している一方で、全国平均では20〜30%にすぎない。
外科医は心腔の内部作業を伴うので、心臓弁を交換または修復するための従来の処置は、人工心肺装置の使用(心肺バイパス)、行大動脈を締め付けること(clamp)で心臓を停止させる工程、高カリウム溶液で心臓を灌流させる工程(心筋停止)を必要とする。ほとんどの患者は、心肺バイパスと心停止の限られた期間を容認するが、これらの手技がすべての器官系に悪影響を及ぼすことが知られている。心肺バイパス及び心停止の最も一般的な合併症は、脳卒中、心筋梗塞の「気絶(stunning)」又は損傷、呼吸不全、腎不全、出血や一般的な炎症である。重度の場合は、これらの合併症は、永久的な障害や死につながり得る。これらの合併症のリスクは、患者が人工心肺装置上にある時間の量(「ポンプ時間」)及び心臓が呈している時間の量(「クロスクランプ時間」)に、直接関連している。ポンプ時間とクロスクランプ時間に対する安全窓が個々の患者の特性(年齢、心予備力、併存疾患など)に依存するが、4時間を超えるポンプ時間と、3時間を超えるクランプ時間は、若く、比較的健康な患者でも問題になり得る。もっとも経験のある手においてさえ、複雑な弁修復はさらに時間の制限を押す。外科医(彼または彼女)が複雑な僧帽弁の修復の原理に精通していても、あまり経験がなければ、かかる外科医は、僧帽弁の修復を3時間で試みようとはしない。なぜなら、修復が上手くいかないと、弁を交換する追加の時間までも費やさなければならないからである。したがって、時間が、より多くの患者に対しての交換よりも弁修復の利点を提供することについて外科医を抑止する大きな要因である。弁修復を簡素化し、迅速化する技術は、この抑止を排除することに成功するであろう。
近年では、より小さい切開と、革新的な心肺バイパスプロトコルを使用して、多くの心臓外科手術を「最小限に、侵襲的に」実行するという動きがある。これらのアプローチの主張の利点は、より少ない痛み、より少ない外傷、及びより急速な回復を含む。しかしながら、これらの最小の侵襲性の処置の使用は、専門化されたセンターでの一握りの外科医に限られている。彼らの手によってさえ、最も複雑な弁の修復は実行することができない。なぜなら、手先の器用さが限られており、処置全体が、よりゆっくりと進展するからである。弁修復を簡素化するデバイス及び技術が、大幅に患者に利益をもたらす最小限の侵襲技術の使用を大幅に増加させる可能性がある。
組織保持システムおよび装置、ならびにこれらの装置を使用する方法は、本明細書に開示されている。本明細書に例証された態様によれば、第1アンカーを含み得る組織保持装置が提供され、当該第1アンカーは互いに離間した関係にある前記第1アンカーの部分に沿って一つ以上の接点を有する。組織保持装置は、第1アンカーと実質的に対向する関係で配置するための第2アンカーを含むことができる。保持マトリックスは、前記第1アンカーの接点から第2アンカーまで延び得る。
また、本明細書に例証された態様によれば、逸脱僧帽弁を治療するための方法が提供される。この方法は、左心室における組織内にアンカーを埋め込み、左心房の別のアンカーを展開する工程を含むことができる。保持マトリックスは、僧帽弁上で覆われるようにアンカー間に延長することができる。次に、保持マトリックスは僧帽弁の逸脱セグメントを修正するために調整することができる。
また、本明細書に例証された態様によれば、互いに実質的に平行で、かつ細長い本体に連結され、各々、細長く延びた部材の一つ以上の内腔と連通している少なくとも1つの内腔を有する第1延長部材と、第2延長部材とを含む身体器官へのアクセスを獲得するための装置が提供される。装置はまた、延長部材の一方に設けられ、作動時に第1延長部材に対して第2延長部材を偏向させるように構成された偏向機構を含み、その結果、第2延長部材の内腔は、アクセスが必要な身体器官と一列に並ぶ。
また、本明細書に例証された態様によれば、心臓の左心房にアクセスするための方法が提供される。この方法は、冠状静脈洞入口部に近接する第1延長部材の遠位先端を位置決めするために、ガイドワイヤ上を細長い装置の第1延長部材を導く工程を含むことができる。次に、細長い装置の第2延長部材は、第1延長部材が形成する半径方向に離れて偏向することができる。次の工程では、別のガイドワイヤは、第2延長部材を通って前進し得、ガイドワイヤ上の左心房へのその後の移植送達のために、左心房内の組織を横切って貫通する。
本明細書に例証された態様によれば、弁輪への取り付けのために弁形成部材を含み得る組織保持装置が提供される。組織保持装置は、弁形成部材に離間した配置のためのアンカーを含むことができる。保持マトリックスは、弁形成部材からアンカーに延びることができる。
また、本明細書に例証された態様によれば、逸脱僧帽弁を治療するための方法が提供される。この方法は、実質的に弁輪に沿って弁形成部材を取り付ける工程を含むことができる。次に、アンカーは左心室に組織の中に埋め込まれており、左心房内に別のアンカーを展開している。保持マトリックスは、その後、弁形成部材と保持マトリックスは僧帽弁で覆われるようなアンカーとの間に延長することができる。次に、保持マトリックスは僧帽弁の逸脱セグメントを修正するために調整することができる。
本明細書に例証された態様によれば、保持マトリックスの近位端に配置され、弁形成リングへ取り付けるように設計された取付け部材と共に、近位端および遠位端を有する保持マトリックスを含むことができる組織を保持するためのキットが提供される。キットはさらに、保持マトリックスの遠位端に取り付けられるように構成されたアンカーを含むことができる。
ここに開示される実施形態を添付の図面を参照しながら説明する。ここで、類似の構造はいくつかの図面を通して類似の番号によって参照される。示された図面は、必ずしも縮尺する必要がなく、ここに開示された実施形態の原理を例証する際に、一般的に例証される代わりに、強調がなされる。
図1Aは、本開示の組織保持装置の実施形態を示している。 図1Bは、本開示の組織保持装置の実施形態を示している。 図2は、本開示の組織保持装置に使用するのに適したアンカーの一実施形態を例証する。 図3は、本開示の組織保持装置に使用するのに適したアンカーの一実施形態を例証する。 図4は、本開示の組織保持装置に使用するのに適したアンカーの一実施形態を示す。 図5Aは、本開示の組織保持装置に使用するのに適したアンカーの実施形態を示す。 図5Bは、本開示の組織保持装置に使用するのに適したアンカーの実施形態を示す。 図6Aは、本開示の組織保持装置に使用するのに適したアンカーの実施形態を示す。 図6Bは、本開示の組織保持装置に使用するのに適したアンカーの実施形態を示す。 図7Aは、本開示発明の組織保持装置に使用するのに適した保持マトリックスの実施形態を示す。 図7Bは、本開示の組織保持装置に使用するのに適した保持マトリックスの実施形態を示す。 図8は、本発明の組織保持装置の実施形態を示す。 図9は、本発明の組織保持装置の実施形態を示す。 図10Aは、移植部位への送達のための送達カテーテルのシースに装填された本開示の組織保持装置の実施形態を示す。 図10Bは、移植部位に、本開示の組織保持装置を送達するための実施形態で、送達カテーテルを示す図である。 図10Cは、移植部位に、本開示の組織保持装置を送達するための実施形態で、送達カテーテルを示す図である。 図10Dは、移植部位に、本開示の組織保持装置を送達するための実施形態で、送達カテーテルを示す図である。 図11Aは、本開示の組織保持装置を用いた僧帽弁修復のための方法を示す。 図11Bは、本開示の組織保持装置を用いた僧帽弁修復のための方法を示す。 図11Cは、本開示の組織保持装置を用いた僧帽弁修復のための方法を示す。 図11Dは、本開示の組織保持装置を用いた僧帽弁修復のための方法を示す。 図11Eは、本開示の組織保持装置を用いた僧帽弁修復のための方法を示す。 図11Fは、本開示の組織保持装置を用いた僧帽弁修復のための方法を示す。 図11Gは、本開示の組織保持装置を用いた僧帽弁修復のための方法を示す。 図11Hは、本開示の組織保持装置を用いた僧帽弁修復のための方法を示す。 図11Iは、本開示の組織保持装置を用いた僧帽弁修復のための方法を示す。 図11Jは、本開示の組織保持装置を用いた僧帽弁修復のための方法を示す。 図11K、本開示の組織保持装置を用いた僧帽弁修復のための方法を示す。 図11Lは、本開示の組織保持装置を用いた僧帽弁修復のための方法を示す。 図12Aは、本開示の組織保持装置を送達するための送達カテーテルの好適な実施形態を示す。 図12Bは、本開示の組織保持装置を送達するための送達カテーテルの好適な実施形態を示す。 図12Cは、本開示の組織保持装置を送達するための送達カテーテルの好適な実施形態を示す。 図12Dは、本開示の組織保持装置を送達するための送達カテーテルの好適な実施形態を示す。 図12Eは、本開示の組織保持装置を送達するための送達カテーテルの好適な実施形態を示す。 図12Fは、本開示の組織保持装置を送達するための送達カテーテルの好適な実施形態を示す。 図13Aは、本開示の組織保持装置の様々な実施形態を示す。 図13Bは、本開示の組織保持装置の様々な実施形態を示す。 図14は、本開示の組織保持装置の実施形態を示す。 図15Aは、本開示の組織保持装置を用いた僧帽弁修復のための方法を示す。 図15Bは、本開示の組織保持装置を用いた僧帽弁修復のための方法を示す。 図15Cは、本開示の組織保持装置を用いた僧帽弁修復のための方法を示す。 図15Dは、本開示の組織保持装置を用いた僧帽弁修復のための方法を示す。 図15Eは、本開示の組織保持装置を用いた僧帽弁修復のための方法を示す。 図15Fは、本開示の組織保持装置を用いた僧帽弁修復のための方法を示す。 図15Gは、本開示の組織保持装置を用いた僧帽弁修復のための方法を示す。 図16は分解した状態で、本開示の組織保持装置の実施形態を示す。 図17Aは、本開示の組織保持装置の第1アンカーの実施形態を示す。 図17Bは、本開示発明の組織保持装置の第1アンカーの実施形態を示す。 図17Cは、本開示の組織保持装置の第1アンカーの実施形態を示す。 図18Aは、本開示の組織保持装置のシースの実施例を示す。 図18Bは、本開示の組織保持装置のシースの実施例を示す。 図19は、組み立てられた状態で、本開示の組織保持装置の一実施形態を示す図である。 図20は僧帽弁に隣接して移植された本開示の組織保持装置の一実施形態を示す図である。 図21Aは、本開示の組織保持装置を用いた僧帽弁修復のための別の方法を示す。 図21Bは、本開示の組織保持装置を用いた僧帽弁修復のための別の方法を示す。 図21Cは、本開示の組織保持装置を用いた僧帽弁修復のための別の方法を示す。 図22Aは、本開示の身体器官にアクセスするためのシステムの実施形態の概略図である。 図22Bは、本開示の身体器官にアクセスするためのシステムの実施形態の概略図である。 図23は、本開示の身体器官にアクセスするためのシステムの別の実施形態の概略図である。 図24Aは本開示の偏向機構の実施形態の様々な形状を例証している。 図24Bは本開示の偏向機構の実施形態の様々な形状を例証している。 図24Cは本開示の偏向機構の実施形態の様々な形状を例証している。 図25Aは、本開示の偏向装置の別の実施形態を示す。 図25Bは、本開示の偏向装置の別の実施形態を示す。 図26Aは、本開示の偏向装置のさらに別の実施形態を示す。 図26Bは、本開示の偏向装置のさらに別の実施形態を示す。 図27Aは、偏向機構はストッパが一体化される。本開示の身体器官にアクセスするためのシステムの実施形態を示す図である。 図27Bは、偏向機構がストッパとは区別され、本開示の身体器官にアクセスするためのシステムの実施形態を示す図である。 図28Aは、本開示の身体器官にアクセスするためのシステムを使用する実施形態方法を示す。 図28Bは、本開示の身体器官にアクセスするためのシステムを使用する実施形態方法を示す。 図28Cは、本開示の身体器官にアクセスするためのシステムを使用する実施形態方法を示す。 図28Dは、本開示の身体器官にアクセスするためのシステムを使用する実施形態方法を示す。 図28Eは、本開示の身体器官にアクセスするためのシステムを使用する実施形態方法を示す。 図28Fは、本開示の身体器官にアクセスするためのシステムを使用する実施形態方法を示す。 図29Aは、本開示の組織保持装置を用いたin vivoでのネイティブ僧帽弁を保持する例示的な手順のステップを示す。 図29Bは、本開示の組織保持装置を用いたin vivoでのネイティブ僧帽弁を保持する例示的な手順のステップを示す。 図29Cは、本開示の組織保持装置を用いたin vivoでのネイティブ僧帽弁を保持する例示的な手順のステップを示す。 図29Dは、本開示の組織保持装置を用いたin vivoでのネイティブ僧帽弁を保持する例示的な手順のステップを示す。 図29Eは、本開示の組織保持装置を用いたin vivoでのネイティブ僧帽弁を保持する例示的な手順のステップを示す。 図29Fは、本開示の組織保持装置を用いたin vivoでのネイティブ僧帽弁を保持する例示的な手順のステップを示す。 図29Gは、本開示の組織保持装置を用いたin vivoでのネイティブ僧帽弁を保持する例示的な手順のステップを示す。 図29Hは、本開示の組織保持装置を用いたin vivoでのネイティブ僧帽弁を保持する例示的な手順のステップを示す。 図29Iは、本開示の組織保持装置を用いたin vivoでのネイティブ僧帽弁を保持する例示的な手順のステップを示す。 図29Jは、本開示の組織保持装置を用いたin vivoでのネイティブ僧帽弁を保持する例示的な手順のステップを示す。 図29Kは、本開示の組織保持装置を用いたin vivoでのネイティブ僧帽弁を保持する例示的な手順のステップを示す。 図29Lは、本開示の組織保持装置を用いたin vivoでのネイティブ僧帽弁を保持する例示的な手順のステップを示す。 図29Mは、本開示の組織保持装置を用いたin vivoでのネイティブ僧帽弁を保持する例示的な手順のステップを示す。 図29Nは、本開示の組織保持装置を用いたin vivoでのネイティブ僧帽弁を保持する例示的な手順のステップを示す。 図30は、弁形成部材を有する組織保持装置の実施形態を示す。 図31は、弁形成部材を有する組織保持装置の実施形態を示す。 図32は、本発明の組織保持装置の実施形態を示す。
上で特定された図面は現在開示された実施形態を述べているが、他の実施形態もまた、説明中に注意したとおり、考慮される。本開示は、説明によって例証的な実施形態を提示すし、限定することはない。多数の他の修正及び実施形態は当業者によって案出され得るのであり、本開示の実施形態の原理の範囲および精神内に含まれる。
逸脱組織の最小の侵襲性の修復のための組織保持装置が提供される。図1を参照すると、組織保持装置(100)は、第1アンカー(112)と、第2アンカー(114)と、アンカー(112)とアンカー(114)との間に延びる保持マトリックス(116)を備える。保持マトリックス(116)は、一実施形態では、一つ以上の保持コード(118)によって形成することができる。実施形態における保持コード(118)は、それぞれ個別に調整化可能なコードであり得る。
実施形態では、図1Aに示されるとおり、第1アンカー(112)が、第1アンカー(112)の少なくとも一部分を通って延びる1つ以上の内腔(122a)と(122b)とを含むことができる。実施形態では、内腔(122a)、(122b)は、ガイドワイヤを受容する大きさであってもよい。実施形態では、内腔(122a)、(122b)が第1アンカー112の実質的に全長にわたって延びることができる。複数の腔を有する実施形態において、腔は互いに隣接関係であり得、互いに同心関係であり得、又はそれらの組み合わせであってもよい。所望の程度まで、内腔(122a)、(122b)が互いに連通することができる。
第1アンカー(112)は、前記第1アンカーの少なくとも一部に沿って配置された1つ以上の接点(123)を含むことができる。接点(123)は、保持コード(118)が、第1アンカー(112)に接する点とし得る。実施形態では、各保持コード(118)の近位端は、接着剤、溶接または他の類似の取り付けによって接着(123)で第1アンカー(112)に固定し得る。実施形態では、図1Bに示されるように、接点(123)は、保持コード(118)が第1アンカー(112)に挿入することができるように、または開口部(124)を通って、第1アンカーから出て延びることができるように、第1アンカー(112)の少なくとも一部分に沿って配置された開口部(124)の一つ以上であってもよい。実施形態では、第1アンカーは、複数の開口部(124)を備える。実施形態では、開口部(124)は、互いに均等に又は不均等に離間されてもよく、複数の保持コード(118)のうちの1つまたは複数の個々のコードを受け入れるように構成されてもよい。一方または両方の内腔(122a)、(122b)が、複数の開口部(124)と連通することができ、その結果、保持コード(118)は内部腔(122a)、(122b)を介して複数の開口部(124)の外に出て、保持マトリクス(116)を形成することができる。
以下により詳細に説明するが、第1アンカー(112)は任意の形状であり得るが、例えば、マトリックス(116)の所望の形状、および保持されるべき組織の形状や位置などの要因が第1アンカー(112)を形成する際の役割を果たす。実施形態では、第1アンカー(112)は、第1アンカー(112)が装着される組織又は構造体の形状に近似する形状が設けられ得る。このように、第1アンカー(112)が展開されたとき、第1アンカー(112)は、実質的に第1アンカー(112)が接続されている組織または構造体の自然な形状を変更するためには作用しない。非限定的な例として、逸脱僧帽弁を保持するために使用される本発明の組織保持装置のための第1アンカー(112)は、一般的に円形であり、内側に湾曲した端部を有する一般的に細長い形状を有していてもよい。
実施形態では、第1アンカー(112)が保持されるべき組織の位置または近くに固着される配置のために設計され得る。第1アンカー(112)は、
(a)例えば、第1アンカーが、それらの間に組織を把持するように構成された設計要素が含まれている場合等の第1アンカーの構造,(b)第1アンカーが組織を包むか、或いは組織を貫通するために形成される場合等の第1アンカーの形状、(c)例えば、アンカーピン又はステントを用いるなどによる、第1アンカーの二次的な設計要素、又は(d)それらの組み合わせに基づいて、組織に固着するように許容され得る。
図2は第1アンカー(112)の非限定的な実施形態を例証し、当該第1アンカー(112)は第1端部(202a)および第2端部(202b)を有する第1アーム(202)と、第1端部(204a)および第2端部(204b)を有する第2アーム(204)を含む。以下に詳細に説明するように、アーム(202)、(204)は、アーム間の組織のような構造を挟むのを促進にするために、互いに協働するような方法で接続することができる。一実施形態において、第1アーム(202)は冠状静脈洞に配置されてもよく、第2アーム(204)は左心房内に配置されてもよく、アーム(202)、(204)は、冠状静脈洞と左心房の間の共通壁を挟むために互いに付勢されることができ、それゆえ、僧帽弁の近傍の位置で組織保持装置を固着する。一実施形態において、第1アーム(202)の第2端部(202b)は第2アーム(204)の第1端部(204a)に接続されることができ、頂部(206)を形成する。しかしながら、第1アーム(202)が第2アーム(204)の長さに沿ってどこにでも第2アーム(204)に接続されることができ、およびその逆も可能であることに留意すべきである。例えば、図3に示された実施形態において、第1アンカー(112)は、第2アーム(204)の中間部にある第2アーム(204)に接続された第1アーム(202)を含む。アーム(202)、(204)は、同様の長さまたは異なる長さであってもよい。実施形態では、第2アーム(204)は、第1アーム(202)よりも長い。
図2に示されるように、第1アーム(202)は、第1アーム(202)の少なくとも一部分を通って延びる1つ以上の内腔(210)を含むことができる。第2アーム(204)は、第2アーム(204)の少なくとも一部分を通って延びる1つ以上の内腔(212)を含むことができる。各アーム内に複数の腔を有する実施形態では、各アームにおける腔は、互いに隣接しているか、互いに同心状であるか、またはそれらの組み合わせであってもよい。一実施形態では、各アームは、2つの腔を含んでもよく、おのおのが互いに隣接することができる。また、第2アーム(204)は、互いに離間された第2アーム(204)の側面に沿って配置された複数の開口部(124)を含むことができ、当該複数の開口部(124)は1つ以上の内腔(210)、(212)と連通している。
図4は、第1アンカー(112)の別の非限定的な実施形態を例証する図である。第1アンカー(112)は、図示のように、第1端部(202a)と第2端部(202b)とを有する第1アーム(202)、及び第1端部(204a)と第2端部(204b)とを有する第2アーム(204)を含む。アーム(202)、(204)はエンドカップ(410)を介して接続することができ、当該エンドカップ(410)は、アーム(202)、(204)に対して互いに付勢するように作用することができる。実施形態では、ハブ(410)は、複数のチャネル(410a)、(410b)、(410c)を含むことができる。これらのチャネル(410a)、(410b)、(410c)は、ガイドワイヤまたは保持コード(118)が、第1アーム(202)又は第2アーム(204)にハブを通過させるように、第1アーム(202)と第2アーム(204)の内腔と連通することができる。実施形態では、第2アーム(204)は複数のサブアーム(406)および(408)を含むことができ、当該サブアーム(406)、(408)の各々は、一つ以上の内腔(408)を有する。勿論、サブアームの数の見地から、及び第2アーム(204)、第1アーム(202)、或いはその両方が、複数のサブアームを含むことができるか否かの見地から、他の種々の実施形態が可能であることは理解されるであろう。
実施形態では、保持されるべき組織への第1アンカーの固着された配置、或いはそのような組織の近傍への第1アンカーの固着された配置を促進するために、第1アーム(202)と第2アーム(204)が互いに付勢され得る。これは、様々な方法で達成することができる。図2に示す実施形態において、頂部(206)は、アーム(202)および(204)を互いに付勢するように形成され得る。図3に示される別の実施形態において、第1アーム(202)はヒンジ(306)によって第2アーム(204)に接続することができ、ヒンジ(306)はアームに対して互いに力を付与することができる。図4に示される更に別の実施形態において、第1アーム(202)の第2端部(202b)と、第2アームの第1端部(204a)はエンドカップ(401)に挿入され得、それは互いにアーム(202)、(205)を付勢するように作用することができる。図5A−5Bは更なる実施形態を示しており、第1アンカー(112)は第1アーム(202)と第2アーム(204)を含み、形状記憶ワイヤ(506)は、第1のアンカー(112)が展開されたとき、互いにアーム(202)、(204)を付勢するようにアーム(202)、(204)に沿って延びることができる。もちろん、互いにアームを付勢し、かつ本発明の精神および範囲内にとどまるために、上記の方法に加えて、または上記の方法の代わりに、上記の方法又は任意の他の方法の組み合わせが採用されることができる。
実施形態では、第1アンカー(112)は、任意の医療グレードの生体適合性材料で製造することができる。本装置によって保持されるべき組織は、永久的または一時的にのみ支持を必要とするかどうかに応じて、第1アンカーは、生体吸収性または非生体吸収性材料で製造することができる。適切な非生体吸収性材料としては、これらに限定されないが、例えば、とりわけ、チタン、ニッケル−チタン合金、ステンレス鋼などの金属、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリウレタンなどのプラスチックを含む。適切な生体吸収性材料としては、他の多くの材料は、これらに限定されないが、とりわけポリグリコール酸、ポリ乳酸、及びポリジオキサノンを含む。
第1アンカー(112)の展開を容易にするために、いくつかの実施形態において、第1アンカー(112)のアーム(202)、(204)の一方又は両方がニッケル−チタン合金若しくはニチノール、銅−亜鉛−アルミニウム合金、銅−アルミニウム−ニッケル合金、鉄−マンガン−ケイ素合金、鉄−ニッケル−アルミニウム合金、金−カドミウム合金、又はこれらの組み合わせなどの形状記憶材料を含んでもよい。実施形態では、第1アンカー(12)は、図5A−5Bに示すように、その内腔のいずれかに配置されたニチノールワイヤを有する軟性の、多数腔プラスチックチューブで作られてもよい。代替的に又は付加的に、第1アンカー(112)は、形状記憶チューブで作られてもよい。
実施形態では、図30に示されるように、第1アンカー(112)が弁形成部材(3000)であってもよく、当該弁形成部材(3000)は弁輪(3007)の一部に実質的に沿って欠陥のある弁(3005)内に移植され得る。実施形態において、弁形成部材(3000)は、弁輪の表面の動きに適合し得る。弁形成部材(3000)は、例えば、生体適合性の織物若しくは布で覆われた、ステンレス鋼、チタンなどの金属製、又はシリコーンゴム又はダクロン索類などの可撓性材料で作られた金属製のインナーコア(inner core)を含み得る。本開示の弁形成部材(3000)は、剛性、半剛性若しくは可撓性であり得、完全に連続的な環、分割環若しくは部分管又は帯を形成してもよい。さらに、弁形成部材(3000)は、限定されないが、円形、D字状、「腎臓」形状、C字状、不規則な形状又は心臓弁への移植に適した他の形状を含むいくつかの形状の一つで設けられ得る。実施形態において、弁形成部材(3000)は、僧帽弁または三尖弁の修復のために具体的に、設計され得る。実施形態において、本開示の弁形成部材(3000)は、一体的な環又は帯である。代替的に、本開示の弁形成部材(3000)は、2つ以上の相互接続片から形成される。
弁形成部材(3000)は、種々の従来技術によって弁輪(3007)に近接した組織に取り付けることができる。例えば、弁形成部材(3000)は、複数の結節マットレスの縫合糸によって、欠陥のある弁に移植することができ、当該縫合糸は弁形成部材(3000)を通して弁に縫着され得る。弁形成部材(3000)に取り付けるのに適した他のものは、限定されないが、継続的な連続転縫合糸、断続的な(非マットレス)縫合糸、専用のクリップ、ステープル、又は当該技術分野で用いられる他の手段を含む。弁形成部材(3000)が、織物や布の外側の層、縫合糸、クリップ若しくはステープルを含む実施形態では、弁形成部材(3000)は織物又は布を通して弁(3005)に縫合するか、又はホッチキスで止められ得るが、もちろん、織物又は布に加えて、インナーコアの両方を通して縫合することもできる。
図30に示されるように、弁形成部材(3000)は、前部(3002)および後部(3004)を含むことができる。弁形成部材(3000)が弁(3005)に移植されると、前部(3002)は、弁輪(3007)の前部に取り付けることができる。弁形成部材(3000)の後部(3004)は、弁輪(3007)の後部に取り付けることができる。一実施形態において、弁形成部材(3000)は、弁交連(commisissure)のおおよその位置を特定し、弁形成部材を前部(3002)と後部(3004)に分離するためのガイドとして、交連マークを含むことができ、弁への移植のために弁形成部材(3000)の配向を助ける。
組織保持装置(100)が後尖、前尖、またはその両方の逸脱を修復するために使用されるか否かにより、保持マトリックス(116)は、後部(3004)、前部(3002)に取り付けることができるか、または保持マトリックス(116)は、後部(3004)と前部(3002)の両方に取り付けることができる。非限定的な例として、図30及び31は、後部(3004)に取り付けられた保持マトリックス(116)を例証し、この実施形態は以下に記載されるが、保持マトリックス(116)は類似の方法で前部(3002)に取り付けることができる。図30および31に示されるように、保持マトリックス(116)は、本実施形態では、弁形成部材(3000)の後部(3004)に取り付けることができる。このように、弁形成部材(3000)が移植されると、保持マトリックス(116)は、弁(3005)の後尖(3006)を覆うために左心室に渡すことができ、後尖(3006)を保持する。マトリックス(116)は、本実施形態では、弁形成部材(3000)の後部(3004)に沿って配置された複数の接点から延びる複数の保持コード(118)から形成することができる。実施形態では、複数の保持コード(118)は弁形成部材(3000)の内腔を通過することができ、後部(3004)に沿って配置された、複数の離間された開口部を経て弁形成部材(3000)から出る。実施形態では、保持マトリックス(116)は常に弁形成部材に取り付けられている。代替の実施形態では、保持マトリックス(116)が着脱可能に弁形成部材(3000)に取り付けることができる。そのため、本実施形態では、弁形成部材(3000)に取り付けられる保持マトリックスの端部、または第1アンカー(112)の別のタイプは、取り外し可能に保持マトリックス(116)を弁形成部材に取り付けることができる取付け部材を備え得る。実施形態では、取付け部材は、弁形成部材(3000)上にスナップ結合するように構成された開いたチューブであってもよい。一実施形態では、取付け部材は、環状部材に保持マトリックスを取付けるために環状部材(3000)に挿入されるように構成された複数のフックを含むことができる。さらに別の実施形態では、保持マトリックス(116)は、保持コードの近位端部に弁形成部材(3000)を結わえることにより、弁形成部材(3000)に取り付けることができる。もちろん、それはいくつかの実施形態では、取付け部材を常に弁形成部材(3000)または第1アンカー(112)の別のタイプに保持マトリックスを取り付けるように構成され得ることが理解されるであろう。
第1のアンカー(112)に類似して、第2アンカー(114)は、保持されるべき組織に近接インスタントデバイスの安全な配置を容易にする。第1アンカーに関連して説明したように、第2アンカー(114)はまた、任意の医療グレードの生体適合性材料で作ることができる。第2アンカー(114)は第1アンカー(112)と同一又は異なる材料で作ることができる。以下により詳細に記載されているように、第2アンカー(114)は、任意の形状であり得るが、例えば、保持システムの所望の形状、保持されるべき組織の形状又は位置などの要因は、第2アンカー(114)の形状を選択したときに役割を果たし得ることである。
非限定的な例として、図6Aは、本開示の組織保持装置に使用するのに適した第2アンカー(114)の実施形態を例証する。第2アンカー(114)はアンカー部材(602)とロック部材(604)を備え、アンカー部材(602)とロック部材(604)の一つまたは両方が複数の保持コード(606)を介して受け入れるように構成することができる。代替的に又は付加的に、同様のロック機構は、個々の保持コード(118)の近位端部を係止するための第1アンカー(112)上に配置することができる。図6Bを参照すると、別の実施形態では、第2アンカー(114)は、第2アンカー(114)が回転することによって組織に埋め込むことができるように鋭利にされた遠位先端部を有する螺旋コイルであり得る。第2アンカーの他の実施形態は、第2アンカー(114)がしっかりと左心室の組織に移植されることができ、保持マトリックスに十分な支持を提供することができる限り可能である。
図1Aおよび図1Bに戻って参照すると、保持マトリックス(116)は、第1アンカー(112)及び第2アンカー(114)との間に延びることができる。マトリックス(116)は、本実施形態では、複数の保持コード(118)から形成されることができ、当該複数の保持コード(118)は第1アンカー(112)の複数の接点(123)から第2のアンカー(114)まで延びる。別の実施形態では、複数の保持コード(118)は第1のアンカー(112)内に配置することができ、複数の開口部(124)を通って第1アンカー(112)を出る。たとえば、複数の保持コード(118)は、一つ以上の内腔(122a)、(122b)を通過して、複数の開口部(124)を通って第1アンカー(112)を出るように指示することができる。一実施形態では、複数の開口部(124)の各々は、複数の保持コード(118)の1つの個々のコードを受け入れることができる。他の実施形態において、複数の開口部(124)のおのおのは、複数の保持コード(118)の複数の個々のコードを受け入れることができる。
複数の保持コード(118)の個々の保持コードは、複数の保持コードが、個々に、或いは束として、第2アンカー(114)に取り付けられ得るまでの距離を延び得る。個々のコードの数、コードの大きさ、およびコード間の距離は、保持されるべき組織の特定の特性と、実装される適用に応じて変えることができる。一般にマトリックス(116)は、保持される組織に十分な支持を提供することを必要とする一方で、装置における補綴材料の量を減少させるために保持マトリックスの表面積を最小化することが望まれ、それによって当該保持マトリックスの表面積が装置の安全性と費用対効果を改善し得る。そのため、個々のコードは、本実施形態では、モノ・フィラメントまたはマルチ・フィラメントの材料のいずれかから作製することができる。
一実施形態では、保持マトリックス(116)は、逸脱組織に所望の支持を提供するために保持コード(118)を調節することによって調節可能である。実施形態では、個々のコード(118)は、互いに独立して調整することができる。実施形態では、個々のコードは、第1アンカー(112)の近位に、すなわち第1アンカーに入る前に、又は第2アンカー(114)の遠位に、すなわち第2アンカーを出た後、のいずれか、若しくは両方で調整することができる。そのため、本実施形態では、ロック部材(604)は、上述したように、第1アンカー、第2アンカーのいずれかに隣接して、またはその両方に隣接して配置することができる。そのような実施形態におけるコードを調整するために、ロック部材が動かないようにすることができ、個々のコード(118)は、所望のとおりに締め付けたり、緩めたりすることができ、所望の保持マトリックスの支持が実現されると、個々のコード(118)を所定の位置に維持するように作動させることができる。保持コード(118)は、ロック部材の代わりに、或いはロック部材に加えて他の装置を使用して、固定され又は維持され得ることが理解されるであろう。加えて、ロック部材は、当該技術分野で公知の任意のロック部材であり得ることに言及すべきである。
実施形態では、個々のコード(118)は、任意の適切な生体適合性材料で作ることができる。本装置によって保持されるべき組織は、永久的または一時的にのみ支持を必要とするかどうかに応じて、コードは、生体吸収性または非生体吸収性材料で作ることができる。適切な非生体吸収性材料は、限定されないが、とりわけポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ナイロン、ポリプロピレンを含む。適切な生体吸収性材料は、限定されないが、とりわけポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリジオキサノンを含む。
図7A及び7Bを参照して、一実施形態において、アンカー(112)、(114)の間に実質的に長手方向に延びる複数の保持コード(118)に加えて、保持マトリックス(116)は、また、複数の保持コード(118)の個々のコード間を横方向に延びるクロス保持部材(710)を含むことができる。実施形態では、クロス保持部材(710)は、図7Aに示すように、互いに平行に延びることができる。実施形態では、クロス保持部材(710)は、図7Bに示すように、互いに交差することができる。一実施形態において。いくつかの交差部材は、互いに平行に延びるものがある一方で、互いに交差するものもある。
実施形態における保持マトリックス(116)は、任意の幾何学的形状やパターンを持つことができる。一般に、マトリックスの形状やパターンは、保持されるべき組織の形状に依存し得る。保持マトリックスが保持されるべき逸脱領域への十分な支持を提供するように、実施形態では、保持マトリックスの形状を選択することができる。マトリックスの形状やパターンは、少なくとも部分的に第1アンカー及び/又は第2アンカーの形状によって決定され得る。実施形態では、第1アンカー、第2アンカー、または両方の設計は、保持システムが保持されるために全体の逸脱領域にわたって延在することを確実にするような方法で選択することができる。
非限定的な例として、図8は、概ね円形の形状を有する心臓弁における逸脱を保持するのに適した組織保持装置(800)を例証する。組織保持装置(800)は、第1アンカー(812)、第2アンカー(814)、および保持マトリックス(816)を含む。第1アンカー(812)は、内側に湾曲した端部を備えた一般的に細長い形状を有し得、第2アンカー(814)は尖端を有し得、当該尖端で個々のコードはまとめられ得、それゆえ、実質的に三角形の保持マトリックスを形成する。一般的には、第1アンカー(812)、第2アンカー(814)、および保持マトリックス(816)は、第1アンカー(112)、第2アンカー(114)と保持マトリックス(116)の種々の実施形態に関連して上述した特徴を有することができる。図8に示される特定の実施形態において、第1アンカー(812)は、第1アーム(802)および第2アーム(804)を備えるが、第1アンカー(812)は、単一のアーム、或いは3つ以上のアームを含むことができる。そのうえ、図8には示されていないが、各アームは、上述したとおり、複数のサブアームを含むことができ、異なる形状を有することができる。実施形態では、第1アーム(802)と第2アーム(804)は、おのおの一つまたはそれ以上の内腔を有していてもよく、当該内腔をガイドワイヤ、保持コードまたはその両方が挿通し得る。
保持マトリクス(816)を形成するために、複数の保持コード(818)は、第1アンカー(812)と第2アンカー(814)との間に延びることができ。実施形態では、保持コード(818)は、上述したように、複数の接点で第1アンカー(812)に接続することができる。実施形態では、複数の保持コード(818)は、第1アーム(802)の一つ以上の腔(図示せず)、第2アーム(804)の一つ以上の内腔を通って、及び複数の開口部(824)を通して、第2アーム(804)から外に導かれ得る。実施形態では、第1アーム(802)の一つ以上の内腔と第2アーム(804)の一つ以上の内腔が互いに連通され、すなわち、複数の保持コードは一方のアームから他方のアームへ、装置(800)から出ることなく通すことができる。実施形態では、第1アーム(802)の内腔、第2アーム(804)の内腔は、互いに連通できない場合があり、したがって、出口または開口部は、第1アームの第2端部(802b)若しくはその近傍に、および第2アーム(804)の第1端部(804b)又はその近傍に設けることができ、それぞれ、一方のアームから他方のアームへコード(818)を通すことを可能にする。入口アームと出口アームの内腔が互いに直接連通しているとき、もちろん、一つ以上の出口開口部が更に提供され得る。
複数の保持コード(818)は、複数の開口部(824)を通して第2アーム(804)から出るために、第2アーム(804)の一つ以上の内腔の内部で分離することができる。複数の保持コード(818)の個々のコードは、それらが第2アンカー(814)を通過する前にバンドル(827)に収集されるまで、保持マトリックス(816)を形成する距離だけ延びることができる。マトリックスを形成する個々のコードの数と、個々のコード同士間の距離は、マトリックスが修復を必要としている僧帽弁に十分な支持を提供する限り、変化してもよい。非限定的な例として、僧帽弁修復の標準的な教示は、弁尖のフリー・マージン(free margin)が弁尖に沿って少なくとも5乃至7ミリメートル毎に、良質のコード(すなわち、細長くされていないか、或いは薄すぎないもの)で支持されなければならないことである。このガイドラインを使用して、個々のコードは、好ましくは、類似の間隔か、わずかに広い間隔で配置することができる。実施形態では、個々のコードは均等に離間させることができる。実施形態では、個々のコードが不均一に離間させることができるか、または変化する厚さで変化する逸脱する力に対応させている可能性がある。
非限定的な例として、図9は、略細長い形状を有する逸脱組織を保持するのに適した組織保持装置(900)を例証する。組織保持装置(900)は、第1アンカー(912)、第2アンカー(914)、および保持マトリックス(916)を含む。第1アンカー(912)、第2アンカー(914)、および保持マトリックス(916)は、第1アンカー(112)、第2アンカー(114)及び保持マトリックス(116)を保持する種々の実施形態に関連して上述した特徴を有することができる。図9に示すように、第1アンカー(912)及び第2アンカー(914)の両方は略細長い形状を有することができ、それゆえ実質的に矩形状の保持マトリックスを形成する。保持マトリックスの形状が、第1アンカー、第2アンカー又はそれらの両方の大きさと形状を変えることにより、特定の用途に合わせてカスタマイズすることができることが理解されるであろう。
図30、図31および図32は、実質的に三角形の形状を有する保持マトリックス(116)の別の実施形態を例証する。実施形態では、個々の保持コード(118)は、保持マトリックス(116)の頂部(3011)において一緒になり得、ストランド(3013)は第2アンカー(114)に向かって頂部(3011)から遠位側に延び得る。そのような実施形態では、保持マトリックス(116)の張力がストランド(3013)上で引っ張ることによって調整することができる。実施形態では、個々の保持コード(118)は、第1の弁形成部材(3000)で、或いはその近傍で調整可能であり得る。実施形態では、個々の保持コード(118)は弁形成部材に固定され、その結果、単一のユニットとしての保持マトリックス(116)の張力がストランド(3013)上で引っ張ることによって調整することができる。保持マトリックス(116)は、頂部(3011)で接合される個々のコード(118)を有すると例証されているが、個々のコードが動作時の取り扱いを容易にするために接続することができる限り、任意の他の設計が可能であり得ることを理解すべきである。
実施形態では、第2アンカー(114)にはループ(3012)が設けられことができ、ストランド(3013)が第1アンカー(112)に戻ることができる前に、ストランド(3013)がループを通過することができる。実施形態において、ストランド(3013)は、弁尖(3005)同士の間で通すことができ、弁形成部材(3000)に結合することができる。ストランド(3013)は、限定されないが、交連近傍の後部(3004)の端部か、或いは後部(3004)の中間のいずれかを含む後部(3004)に沿って、どこででも弁形成部材(3000)に結合されることができる。実施形態において、ストランド(3013)は、弁形成部材(3000)を通過することができる。そのような実施形態では、保持マトリックス(116)の張力がストランド(3013)を引き寄せることによって調整することができる。実施形態では、別のストランド(3015)が弁形成部材(3000)上に固定することができ、その結果、固定ストランド(3013)、3015)は、図31に示されるように、保持マトリクス(116)の所望の張力を維持するために接合することができる。追加的または代替的に、個々の保持コード(118)が第1アンカー(112)において調整可能である実施形態では、ストランド(3013)は、一つ以上の保持コード(118)の近位端部に接合することができる。ストランドおよび/またはコードは結索によるか、又は接着、溶接、溶融、または類似の他の従来技術によって一緒に結合することができる。もちろん、ストランド(3013)と共に保持マトリックス(116)を締め付けるための他の手段を設けてもよいことが理解されるであろう。同様に、第2アンカー(112)へのストランド(3013)または頂部(3011)の取付けを可能にすることができる他の設計も考えられる。非限定的な例として、保持マトリックス(116)には頂部(3011)から延びるループの鎖が設けられ得、第2アンカー(114)にはフックが設けられ得、その結果、ループの鎖は第2アンカー(114)に向かって引っ張ることができ、保持マトリックス(116)を締め付け、ループチェーンのループは第2アンカー(114)内にフック接続され、保持マトリックス(116)の緊縮を維持する。実施形態では、保持コードの遠位端は上述したように、単一のストランドの代わりに、第2アンカー(114)のループに通すことができる。実施形態では、保持コード(118)の遠位端が第2アンカーに固定され、その結果、保持マトリックス(116)が第1アンカーで、或いはその近傍で保持コード(118)を調整することによって実行することができる。最後に、保持マトリクス(116)のこの実施形態では、弁形成部材(3000)を有する装置(100)に関連して説明したが、保持マトリックス(116)のこの実施形態は、図32に示されるように、例えば、ヘアピン状の第1アンカー(112)などの別のタイプの第1アンカー(112)を含むことは理解されるべきである。
上述したように、動作中、本開示の組織保持装置は様々な組織を保持するために適切であり得る。図10Aを参照すると、本開示の組織保持装置(100)の適切な実施形態は、ガイドカテーテル(1004)を介して保持されるべき組織へ送達するための送達カテーテルのシース(1002)に装填することができる。図10Aに示されるように、一実施形態では、第1アンカー(112)、第2アンカー(114)、及び保持マトリックス(116)を含む組織保持装置(100)全体がシース(1002)に装填され得る。しかし、所望の程度まで、組織保持装置(100)の一部のみがシース(1002)に装填され得る。装置(100)のアンカーの一つまたは両方が保持されるべき組織の近傍に固定されているとき、シース(1002)は、装置(100)を展開するために後退することができる。装置(100)の保持マトリックス(116)は、支持を必要とする組織上を覆うように配置することができる。マトリックスを形成する保持コードが個別に調整可能である実施形態では、支持を必要とする組織のすべての逸脱部が修正されるまで、装置(100)の保持コード(118)は調節可能である。一旦個々のコード(118)が調整されると、個々のコード(118)は、所定の位置にロックすることができる。
図10Bは、送達カテーテル(1050)の実施形態を例証する。実施形態では、送達カテーテル(1050)は、送達カテーテル(1050)の近位部分(1051)を形成する外側シース(1052)を含むことができる。送達カテーテル(1050)は、また、送達カテーテル(1050)の遠位部分(1053)を形成するために外側シース(1052)の外に延びる内側シース(1002)を含むことができる。内側シース(1002)は外側シース(1052)内に摺動可能に配置することができる。内側シース(1002)は送達カテーテル(1050)によって送達されるべき装置を収容するように設計することができる。
図10Dを参照すると、本実施の形態では、ガイドカテーテル(1050)は、複数の内腔を含むことができる。実施形態において、1つ以上のガイドワイヤは、送達カテーテル(1050)の内腔を通過され得る。また、内側シース(1002)および内側シース(1002)に収容された装置を制御するための多くのツールは、送達カテーテル(1050)の腔を通過させることができる。実施形態では、送達カテーテル(1050)には外側シース(1052)との関係で内側シース(1002)を摺動する内側シーステザー(tether)(1055)が設けられる。
非限定的な例として、送達カテーテル(1050)は、本開示の組織保持装置(100)を送達するために使用することができる。組織保持装置(100)は、目的の部位への送達のために内側シース(1002)に装填することができる。図10Cを参照すると、内側シース(1002)は第1アンカー(112)が収容可能な広いベース領域(1061)及び第2アンカー(114)を収容することができる細長い遠位領域(1063)を含むことができる。実施形態では、図10Cに示されるように、内側シース(1002)は分割することができ、二つのアーム(202)、(204)と第1アンカー(112)の送達を容易にする。
再び図10Dを参照すると、一実施形態では、組織保持装置(100)を制御するために、送達カテーテル(1050)に、第1アンカー(112)を内側シース(1002)から出て前進させるための第1アンカープッシュロッド(1057)と、第2アンカーを内側シース(1002)から前進させるための第2アンカープッシュロッド(1058)、保持マトリックス(116)を調整するための保持マトリックステザー(1059)およびこれらの組み合わせが設けられ得る。一実施形態において制御ツール(1057)、(1058)及び(1059)のいくつかが複数の機能を果たすように構成されてもよいことに留意すべきである。
実施形態では、本開示の組織保持装置は、図11A〜11Kに示すように、僧帽心臓弁(1100)を制限するために使用することができる。ガイドワイヤ(1102)は、冠状静脈洞(CS)侵入後静脈(1104)へと前進して中を左心房への標的侵入点(1106)まで前進することができる。ガイドカテーテル(1108)はガイドワイヤ(1102)上を前進し、その先端が標的侵入点を目指すように位置決めすることができる。ガイドカテーテルの好適な実施形態は、限定されないが、図12A−12Fに与えられた実施形態を含む。図12A−12Bは、直角遠位先端部(1210)を備えた送達カテーテルを例証する。図12C−12Dは直角遠位先端部(1225)とセンタリングバルーン(1220)を備えた送達カテーテルの実施形態を例証する。図12E−12Fは、投げ縄状の遠位先端部(1230)を備えた送達カテーテルの実施形態を例証する。次に、CSから左心房(1110)へのアクセスを得ることができ、ついでガイドワイヤ(1102)およびガイドカテーテル(1108)は左心室(1110)内を前進することができる。例えば、非限定的な例として、図8に与えられた装置(800)などの、本開示の保持装置の実施形態は、上述したとおり、シースの内側を、ガイドカテーテル(1108)を介して展開位置内に前進させることができる。装置(100)の第2アンカー(114)は、ガイドカテーテル(1108)から除去することができ、左心室(1110)に係留され得る。ガイドカテーテル(1108)は、次いで、除去されることができ、保持装置(100)を展開するために、シースは引っ込めることができる。
例えば図2、3、4に示されるなどの、第1アンカー(112)が第1アーム(202)と第2アーム(204)を含む実施形態では、組織保持装置(100)は、CSにおける第1アームと、左心房(204)内の第2アームと共に展開され得る。当該アーム同士が協働してCSと左心房の間の共通の壁を挟み、それゆえ、僧帽弁に隣接して適所に組織保持装置(100)の第1アンカー(112)を固定する。追加的または代替的に、展開された装置(100)を所定の位置にさらに固定するために、図13Aおよび図13Bに示されるように、アンカーピン(1304)またはアンカーステント(1306)が利用され得る。さらに別の実施形態では、図14に示されるように、第1アンカー(112)の第2アーム(204)は弁(1406)を横断し、弁の側部まで延びることができる。第2アーム(204)は部材(1408)を含むことができ、当該部材(1408)は、とりわけ第1アンカーの側方運動を妨げるか、或いは少なくとも最小化するために、弁と接触することを防ぐように設計することができる。
すべての逸脱セグメントが修正されるまで、保持マトリックス(116)は僧帽弁の後尖を覆うように配置されることができ、調整され得る。保持マトリックス(116)が調整されると、それらは所定の位置に固定することができ、必要に応じて、余分な材料を除去するようにトリミング処置がなされる。例えば、一実施形態では、第2アンカーは、図6に示されるようにしてもよい。そのような実施形態では、個々のコードは、縫合糸スネアを用いて第2アンカーの腔を通して引かれる前に一緒に束ねてもよい。個々のコード(118)は、第2アンカーを通してコードの端が通過し、第2アンカーの外に留まることを保証する程に十分長くてもよい。個々のコードは、個々のコードを引き寄せることによって、締めるか、或いは緩めることができる。所望の支持が達成されると、ロック部材は、所定の位置において個々のコードを常に固定するために作動し得る。
図11Kは、展開位置にある保持装置(100)の実施形態を示す。装置(100)は、CSにて展開される第1アーム(202)、左心房内に展開される第2アーム(204)、及び第1アンカー(112)と第2アンカー(114)との間で、僧帽弁(1100)の後尖上に延びる保持マトリックス(116)を含む。保持マトリックス(116)は、複数の保持コード(118)によって形成されている。実施形態では、保持コード(118)は、保持マトリックスが僧帽弁(1100)の一つ以上の逸脱領域に十分な支持を提供することを保証するために調節可能である。さらなる実施形態では、保持コード(118)が個別に調整可能である。
本開示の組織保持装置(100)を用いて逸脱僧帽弁を保持する方法の別の実施形態が図15A−15Gに示される。ガイドワイヤ(1509)は、僧帽弁(1501)の冠状静脈洞(CS)近傍の点へと前進することができる。別のガイドワイヤ(1507)は心房中隔を通って左心房中へと左心室上を進み、冠状静脈洞の小孔の近傍まで前進させることができる。明確にするために、本明細書において、ガイドワイヤ(1507)は経中隔(transeptal)ガイドワイヤ(1507)と言い、ガイドワイヤ(1509)はCSガイドワイヤ(1509)と言う。第2アンカー(114)は、次いで、左心室(1503)中の経中隔ガイドワイヤ(1507)上を前進し、左心室頂部(1505)に埋め込むことができる。実施形態では、第1アンカー(112)が経中隔ガイドワイヤ(1507)とCSガイドワイヤ(1509)の両方の上を前進することができ、ここで経中隔ガイドワイヤは第1アンカーの第2アーム(204)中に挿入されることができ、CSガイドワイヤは第1アンカー(112)の第1アーム(202)中に挿入され得る。このように、一旦、第1アンカー(112)が完全に展開されると、第1アーム(202)は冠状静脈洞に位置し、同時に第2アームは左心房(1513)に位置する。第1アーム(202)と第2アーム(204)が互いに付勢されるので、僧帽弁(1501)の近傍に第1アンカー(112)を確実に取り付けるために、冠状静脈洞と左心房の間に共通の壁(1510)を挟み得る。実施形態では、例えば、頂部(206)またはハブ(410)などのアーム(202)、(204)の接続点は、冠状静脈洞口に押し込まれ得る。このように、第1アンカー及び第2アンカーの展開は、保持マトリックス(116)が僧帽弁(1501)の後尖を覆うようにする。保持マトリックス(116)は、保持マトリックスが僧帽弁(1501)の逸脱領域に所望の支持を確実にするために調整することができる。その後、保持コード(118)が固定され、切断され得る。
図15A−15Gに示すように、非限定的な例として、送達カテーテル(1050)は保持装置(100)を展開するために使用することができる。そのために、送達カテーテル(1050)は経中隔ガイドワイヤ(1507)とCSガイドワイヤ(1509)上を前進することができ、その結果、内側シースの遠位領域(1063)は、左心室中を前進する。この時点で、内側シース(1002)はシーステザーを用いて引っ込めてもよく、第2アンカー(114)は左心室の組織、例えば、左心室の頂部に埋め込まれるまで、第2アンカープッシュロッド(1058)と共に前進させることができる。次に、内側シース(1002)は、さらに、第1アンカー(112)の展開を開始するために引き抜かれてもよい。第1アンカーが完全に送達カテーテル(1050)から展開されるまで、第1アンカー(112)が第1アンカーロッド(1057)を使用して前進させることができる。第1アンカー(112)が所望の位置に存在すると、保持マトリックス(116)は、保持マトリックス(116)が僧帽弁(1501)の逸脱領域に所望の指示を提供するまで、保持マトリックステザー(1059)を用いて調整することができる。保持マトリックス(116)が調整されると、保持マトリックステザー(1059)は切断され、固定されることができる。最後に、送達カテーテル(1050)とガイドワイヤ(1507)、(1509)が引き取られ得る。
図30および31は、第1アンカー(112)としての弁形成部材(3000)を有する組織保持装置(100)によって逸脱僧帽弁を保持するための方法の非限定的な例を例証する。実施形態では、組織保持装置(100)は、患者の胸部の切開部を通し心臓切開アプローチを介して送達され得る。本開示の組織保持装置(100)の移植に適したアプローチは、完全な胸骨正中切開、または低侵襲性の部分切開、右(またはそれほど頻繁ではないが左)完全開胸、部分開胸または「小」開胸を含むが、これらに限定されない。これは、もちろん、多かれ少なかれ侵襲性のアプローチを使用することもできることを理解すべきである。患者が人工心肺に接続された後、心肺バイパスが開始され、必要に応じて、心臓が停止され、僧帽弁は左心房を介する切開によって露出されるか、右心房の切開後に経中隔アプローチを使用して露出される。
一旦、僧帽弁(3005)の優れた曝露が達成されると、弁形成部材(3000)は、限定されないが、断続したマットレス縫合、継続的な連続縫合、単純(非マットレス)縫合、専用のクリップまたはステープルを含む、弁形成部材の移植のために現在利用されている任意の移植技術によって、弁輪(3007)に沿って移植され得る。次に、第2アンカー(112)は、弁を通って左心室へと通され、適切な器具を使用して、頂部へ付けられ得る。保持マトリックス(116)の遠位端が、第2アンカー(114)の移植前に第2アンカーに接続される実施形態では、これは、保持マトリックス(116)を僧帽弁の後尖にわたって延ばす左心室(3021)へと保持マトリックス(116)を引く。その後、保持マトリックス(116)の張力は、逸脱セグメントに所望の支持を提供するために調節され、その張力を維持するために適所に固定され得る。その後、弁(3005)は、生理食塩水によって左心室(3021)を加圧する、および残りの漏出および逸脱に関して評価するなどの、従来の技術を使用して試験され得る。一旦、保持マトリックス(116)中の適切な張力が達成されたならば、保持マトリックスは、上に記載された技術の1つを使用して、適所に締められ得る。その後、手順は、従来の技術に従って完了され得る。
実施形態において、保持マトリックス(116)の張力は、心房切開が塞がれ、心臓が再鼓動され(restrated)、および患者が人工心肺装置から引き離された後に調節され得る。保持マトリックス(116)は、緩んだままにされ得る。心房切開は、連続縫合によって塞がれ得る一方で、保持コード(118)またはストランド(3013)および/(3015)の近位端を、心房切開を越えて延ばすなどによって、保持マトリックスが、心臓の外側から伸長されることを可能にしている。その後、心房の縫合は、漏出しないが、常に締め付けられないように、締められ得る。その後、心臓は再鼓動され、患者は人工心肺装置から引き離され得る。一旦心臓が鼓動すると、すべての過剰な小葉の動作が除去または減少されるまで、弁小葉間の優れた表面接合が確立されるまで、僧帽弁逆流が修正されるまで、あるいはそれらの組み合わせが行われるまで、保持マトリックス(116)の張力は、経食道心エコー像または別の医療用画像の技術による誘導によって正確に調節され得る。上に記載されるように、弁修復の試験は、典型的に、十分な圧力が弁小葉を塞ぐようになるまで生理食塩水を左心室に注入し、小葉の接合を評価することによって、および任意の残りの逆流のために、心房切開を塞ぐ前に行われる。有用であるが、この技術は、心臓が弛緩性であるという事実によって限定され、そのため、弁小葉の動作の解剖および生理機能は生理学的ではない。代わりに、組織保持装置(100)は、小葉の調整が、静的条件下よりもむしろ、実際の生理的条件下、即ち、鼓動している心臓によって行われることを可能にし、これによって、結果的に、より正確な調整および手順の改善された結果がもたらされ得る。特に、僧帽弁収縮期ドーム状異常前方運動(SAM)は、恐らく異なる解剖学的要因によって、逸脱する僧帽弁の修復の合併症として生じ得る。本技術によって、外科医は、僧帽弁の小葉間の接合の正しいレベルを達成するために保持マトリックス中の張力を調整する前に、どのように僧帽弁の小葉が、実際の生理的条件下で接合するのかを観察することができ、それ故、SAMの術後のリスクが減少する。一旦、満足な修復が達成されたならば、保持マトリックス(116)は、縫合糸を越えて伸びる保持部材(118)またはストランド(3013)を引き寄せることなどによって、所望の張力を維持するために固定され得る。実施形態において、保持マトリックス(116)は、保持部材(118)またはストランド(3013)、(3015)を、縫合糸を越えて延ばすことに加えて、またはその代わりに、結合した縫合糸を通された器具によって締められ得る。最終的に、縫合糸は、心房切開を塞ぐために常に締められ得、その手順を、従来の技術に従って完了することができる。
図30および図31を参照すると、限定しない例として、組織保持装置(100)は、図30に示されるように、埋め込まれ、保持マトリックス(116)は、僧帽弁(3005)の後尖(3006)上に緩く形成され得る。この実施形態において、伸長するストランド(3013)、および存在するならば、固定したストランド(3015)は、弁形成部材(3000)の後方の部分(3004)の中間部分に連結され得る。ストランド(3013)、(3015)は、心房の切開を越えて伸びるために、緩く且つ長くされたままであり得る一方で、心房切開は、連続縫合によって塞がれる。したがって、ここでストランドは、心臓の外側からアクセスされ得る。その後、心房の縫合は、漏出しないが、常に締め付けられないように、締められ得る。その後、心臓は再鼓動され、患者は人工心肺装置から引き離され得る。一旦心臓が鼓動すると、保持マトリックス(116)は、僧帽弁の所望の修復を達成するために調節され得る。その後、保持マトリックスの位置は、図31に示されるように、例えば、ストランド(3013)、(3015)を一緒に結ぶことなどによって固着され得る。一旦保持マトリックス(116)が固定されると、縫合糸は、常に結ばれ得、その手順を、従来の技術に従って完了することができる。
図16を参照すると、本開示の組織保持装置(1600)の別の実施形態が提示される。分解された状態で本明細書に示される、組織保持装置(1600)は、一般に、第1アンカー(1612)、シース(1603)、および保持マトリックス(1616)および第2アンカー(1614)を含み得る。実施形態において、保持マトリックスは、1以上の保持コード(1618)によって形成され得る。実施形態において、保持マトリックス(1616)は、複数の保持コード(1618)によって形成され得る。
図17Aを参照すると、第1アンカー(1612)は、実施形態において、冠状静脈洞と左心房を分離する共有壁に付くように設計され得る。そのために、実施形態において、第1アンカーは、U字型か、ヘアピン型であり得、第1アーム(1702)は、冠状静脈洞中に配置するために構成され、第2アーム(1704)は、左心房中に配置するために構成される。明瞭さの目的のために、第1アーム(1702)は、冠状静脈洞(CS)のアームと呼ばれ得、第2アーム(1704)は、左心房(LA)のアームと呼ばれ得る。アーム(1702)および(1704)は、冠状静脈洞と左心房を分離する共有壁の挟持を促進するために、互いに付勢され得ることで、それへの第1アンカー(1612)の取付けが可能となる(すなわち僧帽弁の近位で)。
実施形態において、CSアーム(1702)およびLAアーム(1704)は、協働して、冠状静脈洞と左心房との間の共有壁に対する第1アンカー(1612)の確かな取付けを可能にする限り、互いとは無関係に、任意の長さを有し得る。したがって、アーム(1702)、(1704)は、類似した長さを有するように例証されるが、異なる長さを有してもよい。CSアーム(1702)は、LAアーム(1704)の長さに沿ってどこにでもLAアーム(1704)に接続され得、その逆もまたしかりである。実施形態において、図17Aで例証されるように、アーム(1702)、(1704)は、それぞれの端部で接続される。第1アンカー(1701)の別の実施形態では、図17Bで例証されるように、CSアーム(1702)は、LAアーム(1704)の端部から離れてLAアーム(1704)に接続され得る。図17Cで示される、また別の実施形態では、アーム(1702)および(1704)は、アーム(1702)および(1704)を互いに付勢するように設計されたハブ(1750)によって接続される。
アーム(1702)、(1704)の各々は、実施形態において、アームの少なくとも一部を通って延びる1つ以上の内腔を含み得る。より詳細に以下に記載されるように、第1アーム(1702)および第2アーム(1704)の内腔は、それを通ってガイドワイヤを受け取るために大きさを合わせられ得る。図17Aで例証されるように、実施形態において、第1アーム(1702)は、第1開口部(1702a)および第2開口部(1702b)、および第1開口部(1702a)と第2開口部(1702b)との間で、およびそれらと連通して延びる、内腔(1702c)を有し得、その結果、ガイドワイヤは、内腔(1702)を通って挿入され得る。同様に、第2アーム(1704)は、第1開口部(1704a)および第2開口部(1704b)、および第1開口部(1704a)と第2開口部(1704b)との間で、およびそれらと連通して延びる、内腔(1704c)を有し得、その結果、ガイドワイヤは、内腔(1702c)を通って挿入され得る。第1アンカー(1612)の1つの又は両方の内腔(1702)、(1704)に挿入された1つ以上のガイドワイヤは、展開部位への第1アンカー(1612)の送達、および展開部位での第1アンカーの位置決めを促進し得る。
組織保持装置(1600)はさらに、シース(1603)を含み得る。シース(1603)は、第1アンカー(1612)に連結されるように設計され得る。ここで図18Aを参照すると、実施形態において、シース(1603)は、第1アンカー(1612)のLAアーム(1704)を受けるように構成された、内側の腔(1800)を含み得る。このように、図19に示されるように、シース(1603)は、第1アンカー(1612)のLAアーム(1704)に引き寄せられ得る。実施形態において、内側の腔(1800)は、それを通ってガイドワイヤを受けるために大きさを合わせられ得る。図19は、第1アンカー(1612)のLAアーム(1704)の長さに類似した長さを有しているシース(1603)を示すが、シース(1603)は、LAアーム(1704)よりも長く又は短くなり得る。シース(1603)は、縫合または接着などの、任意の他の慣習的に使用される手段によって第1アンカー(1612)に連結され得ることも留意されたい。
シース(1603)はさらに、図18Aで示されるように、シース(1603)の少なくとも一部に沿って位置決めされた、1つ以上の接点(1803)を含み得る。接点(1803)は、保持コード(1618)がシース(1603)と接触する点である。実施形態において、保持コード(1618)の近位端は、接着、溶接、または類似した手段などによって、複数の接点(1823)でシース(1603)に固定され得る。実施形態において、図18Bで示されるように、1つ以上の接点(1803)は、シース(1603)の少なくとも一部に沿って位置決めされた、1つ以上の開口部(1824)であり、そのため、保持コード(1618)は、シース(1603)へと挿入され得るか、シース(1603)から出て延び得る。実施形態において、シース(1603)は、複数の開口部(1624)を含み得る。開口部(1824)は、腔(1800)と連通するように設計され得る。腔(1800)は、実施形態において、保持コード(1618)が、保持マトリックス(1616)を形成するために、腔(1800)に沿って、および腔(1800)を出て複数の開口部(1824)を通って配向され得るように十分に設計され得る。
図18Bを参照すると、別の実施形態では、シース(1603)は、第1腔(1801)および第2腔(1803)などの、複数の腔を含み得る。図18Bで示される実施形態では、第1腔(1801)は、実施形態において、ガイドワイヤを受け入れるように設計され得る。上に記載され、図19に例証されるように、第1腔(1801)はまた、それを通って第1アンカー(1612)のLAアーム(1704)を受けるように構成され得る。第2腔(1803)は、実施形態において、互いとの間隔を置いて第2腔(1803)の壁(1807)に沿った、および第2腔(1803)と連通して位置決めされた、複数の開口部(1824)を含み得る。より詳細に以下に記載されるように、第2腔(1803)は、保持マトリックス(1616)を形成するために、保持コード(1618)が、第2腔(1803)に沿って配向され、複数の開口部(1824)を通って第2腔(1803)を出ることが可能となるように、十分に設計され得る。腔(1801)、(1803)が、類似した長さを有するように例証されるが、異なる長さであってもよいことを留意されたい。
組織保持装置(1600)はさらに、第2アンカー(1614)を含み得る。実施形態において、第2アンカー(1614)は、例えば、第1アンカー(1612)に対して実質的に対向している心臓の左心室内での配置のために設計され得る。このために、第2アンカー(1614)は、複数の保持コード(1618)が患者の心臓の左心室に付けられ得る、点を提供する。第2アンカー(1614)の熟慮された実施形態は、本開示の図6に示される。
組織保持装置(1600)はさらに、保持マトリックス(1616)を含み得る。ここで図19を参照すると、組織保持装置(1600)が組み立てられるときに、実施形態において、保持マトリックス(1616)は、シース(1603)の腔に沿って、および複数の開口部(1824)を通って出て、複数の保持コード(1618)を配向することによって形成され得る。実施形態において、複数の開口部(1824)の各々は、単一のコード(1618)を受け入れ得る。あるいは、所望されるのであれば、複数の開口部(1824)の各々は、複数のコード(1618)を受け入れ得る。各コード(1618)は、シース(1603)から出るときに、個々にまたは束で、第2アンカー(1614)に向かって配向され得る。保持マトリックス(1603)は、例えば、第1アンカー(1612)および第2アンカー(1614)の形状によって、任意の幾何学的形状またはパターンを有することができる。実施形態において、保持マトリックス(1603)は、図19に示されるように、三角形または扇形であり得る。
実施形態において、保持マトリックス(1616)は、逸脱する組織に所望の支持を提供するために、保持コード(1618)を調節することによって調整可能である。実施形態において、個々のコード(1618)は、互いとは無関係に調節され得る。実施形態において、個々のコードは、第1アンカー(1612)の近位に、すなわち、第1アンカーに入る前に、または第2アンカー(1614)の遠位に、すなわち、第2アンカーを出た後に、またはその両方で調節され得る。そのために、実施形態において、ロック部材が、上に記載されるように、第1アンカー、または第2アンカーに隣接して、またはその両方に隣接して設けられ得る。そのような実施形態において、コードを調節するために、ロック部材は停止され得、それぞれ個々のコード(1618)は、所望されると締められ得るまたは緩められ得、所望の保持マトリックスの支持が達成されると、ロック部材は、個々のコード(118)を所定の位置に固着するために作動され得る。保持コード(1618)が、ロック部材の代わりに、またはそれに加えて、任意の他の装置を使用して固着され得ることが理解されるであろう。さらに、ロック部材は、当該技術分野で既知の任意のロック部材であり得ることが言及されるべきである。
図20を参照すると、保持マトリックス(1616)は、保持マトリックス(1616)の近位部分(2001)が、僧帽弁(2005)の後方の輪(2003)の略全長に沿って延びるように設計され得る。別の実施形態では、保持マトリックス(1616)は、近位部分(2001)が、後尖(2005)のP1(前方または中間の部分)、P2(中間部分)、およびP3(後方または横方向の部分)の部分を実質的に覆い得るように設計され得る。また別の実施形態では、保持マトリックスは、近位部分(2001)が、後尖(2005)の3つの部分より少ない部分を覆い得るように設計され得る。それを達成するために、複数の開口部(1824)は、保持マトリックス(1616)が、僧帽弁の所望の適用範囲を提供することを可能にする長さにわたって設けられ得る。例えば、実施形態において、複数の開口部は、後方の輪(2003)の略全長に沿って設けられ得る。別の実施形態では、複数の開口部(1824)は、後方の輪(2003)の部分に沿って設けられ得る。したがって、実施形態において、シース(1603)、またはその壁内に複数の開口部を有する少なくとも1つの腔は、後方の輪(2003)の略全長に沿って延び得る。別の実施形態では、シース(1603)、またはその壁内に複数の開口部(1824)を有する少なくとも1つの腔は、後方の輪(2003)の一部分に沿って延び得る。あるいは又はさらに、保持マトリックス(1616)に所望形状を提供するために、複数の開口部を含むシース(1603)の壁(1807)は、後方の輪(2003)の形状に近づけるために湾曲され得る。例えば、シース(1603)、第1アンカー(1612)のLAアーム(1704)、または後方の輪(2003)の形状に略類似した形状を有するその両方を提供することによって、これは達成され得る。
第1アンカー、保持マトリックス、および組織保持装置(1600)の第2アンカーは、図16−19に示される実施形態に限定されないが、第1アンカー、第2アンカー、および本開示に記載される組織保持装置の他の実施形態の保持マトリックスの様々な特徴を含み得ることを留意されたい。
図21A−21Cは、本開示の組織を保持するシステムを使用して、逸脱した僧帽弁を処理するための方法の実施形態を例証する。限定されない例として、経中隔ガイドワイヤ(2007)は、患者の心臓の左心室へと進められ得る。実施形態において、経中隔ガイドワイヤ(2007)は、冠状静脈洞に沿って冠状静脈洞口を過ぎて進められ得、その点で、経中隔ガイドワイヤは、冠状静脈洞を出て、左心房へと入り、心房中隔を通って左心室上へと配向され得る。冠状静脈洞のガイドワイヤ(2009)も、僧帽弁の近位の点まで冠状静脈洞に沿って進められ得る。
次に、第2アンカー(1614)は、経中隔ガイドワイヤ(2007)上を、患者の心臓の左心室まで進められ得る。実施形態において、第2アンカー(1614)は、左心室中の心尖に、またはそのまわりに置かれ得る。さらに、シース(1603)も、経中隔ガイドワイヤ(2007)上の僧帽弁の遠位にある一時的な位置に送達され得る。すなわち、シース(1603)が、患者の心臓内の一時的な位置に進められると、経中隔ガイドワイヤ(2007)は、シース(1603)中の腔を通過し得る。実施形態において、シース(1603)は、複数の保持コード(1618)を有する心臓に送達され得る。コード(1618)は、患者の心臓へのシース(1603)、保持マトリックス(1616)、および第2アンカー(1614)の送達の前に又は後に、第2アンカー(1614)に連結され得る。シース(1603)は、第1アンカー(1612)に連結され得るまで、経中隔ガイドワイヤ(2007)上の一時的な位置で位置付けられ得る。
次の工程で、第1アンカー(1612)は、経中隔ガイドワイヤ(2007)と冠状静脈洞のガイドワイヤ(2009)の両方の上を、冠状静脈洞と左心房中のその展開位置まで進められ得る。実施形態において、経中隔ガイドワイヤ(2007)は、第1アンカー(1612)のLAアーム(1704)を通過し得、冠状静脈洞のガイドワイヤ(2009)は、第1アンカー(1612)のCSアーム(1702)を通過し得る。このように、経中隔ガイドワイヤ(2007)と冠状静脈洞のガイドワイヤ(2009)は、冠状静脈洞中のCSアーム(1702)および左心房中のLAアーム(1704)を有する所望位置で第1アンカー(1612)を位置決めする助けとなる。上に言及されるように、冠状静脈洞中のCSアーム(1702)およびLAアーム(1704)は、互いに付勢されるため、それらの間で共有壁を挟持することができ、それによって、第1アンカー(1612)を僧帽弁の近位に確実に付ける。実施形態において、第1アンカー(1612)は、尖端のアンカー(2005)に対して実質的に対向して展開され得る。実施形態において、第1アンカー(1612)は、尖端のアンカー(2005)に対して直角に位置決めされ得る。
第1アンカーの展開後に続いて、シース(1603)は、第1アンカー(1612)に連結される、経中隔ガイドワイヤに近位に引き寄せられ得る。実施形態において、シース(1603)は、シース(1603)から延びるテザーを含み得る。テザーを近位に引き寄せることよって、シース(1603)は、第1アンカー(1612)と連結される、経中隔ガイドワイヤ(2007)上に近位に移動され得る。実施形態において、シース(1603)は、第1アンカー(1612)のLAアーム(1704)に引き寄せられ得る。一旦シース(1603)が、第1アンカー(1612)に連結されると、保持マトリックス(1616)は、第1アンカー(1612)と第2アンカー(1614)との間で形成され得る。実施形態において、保持マトリックス(1616)は、僧帽弁のまわりで扇形であり得る。その後、個々のコード(1618)は、僧帽弁のすべての逸脱セグメントが修正されるまで調節され得る。個々のコード(1618)は、個々のコードを引き寄せることによって締められ得るか又は緩められ得る。一旦個々のコード(1618)が調節されたならば、それらは、それぞれの位置で固着され得、所望されると、余分な物質を除去するためにトリミング処理され得る。したがって、保持マトリックス(1616)は、僧帽弁の1以上の逸脱セグメントに対する支持を提供し得る。
心臓などの、身体器官に対するアクセスを提供する装置(2100)は、図22Aで一般に示される。装置(2100)は、1つの実施形態において、近位部分(2104)を有する細長い部材(2102)、遠位部分(2106)、および細長い部材(2102)の長さを延ばす縦軸を有する。本記載の全体にわたって、用語「近位」は、ユーザーに最も近い物の側面を示すために使用され、用語「遠位」は、ユーザーから最も遠い物の側面を示すために使用される。細長い部材(2102)は、身体器官に対するアクセスの部位へと、ガイドワイヤ、ガイドカテーテル、またはその両方に沿って進むように設計され得る。そのために、部材(2102)は、その長さに軸方向に沿って十分に剛性であり得る一方で、半径方向に左右に十分に可撓性のままである。実施形態において、細長い部材(2102)は、生体適合性のプラスチックまたは他の比較可能な材料などの、生体適合性材料から作られ得る。細長い部材(2102)は、材料または器具を通すための、少なくとも1つの内腔(2110a)、(2110b)、(2112a)を含み得る。
実施形態において、細長い部材(2102)の遠位端(2106)は、互いに対して略平行な関係にある、第1延長部材(2110)および第2延長部材(2112)を含み得る。実施形態において、第1延長部材(2110)および第2延長部材(2112)は、遠位部分(2106)を形成する。そのような実施形態では、細長い部材(2102)は、本体(2108)を含み得、第1延長部材(2110)および第2延長部材(2112)は、本体(2108)を遠位に越えて延びる。図22Aおよび22Bで例証されるように、細長い部材(2102)は、細長い部材(2102)および第1延長部材(2110)を通って延びる第1内腔(2110a)を含み得ることで、材料またはガイドワイヤなどの器具が、細長い部材(2102)および第1延長部材(2110)を通ることを可能にする。その上、細長い部材(2102)は、細長い部材(2102)および第2延長部材(2112)を通って延び得る第2内腔(2112a)を含み得ることで、材料またはガイドワイヤなどの器具が、細長い部材(2102)および第2延長部材(2112)を通ることを可能にする。
第2延長部材(2112)は、実施形態において、細長い部材(2102)に対して半径方向に偏向可能であるように構成され得る。このように、第2延長部材(2112)は、アクセスが求められる器官(「対象の器官」)へと向けられ得、その結果、器具は、第2内腔(2112a)を通って略正確に配向され得る且つ進められ得、対象の器官の壁を貫通する。設計によっては、第2延長部材(2112)は、図22Aで示されるような、第1の一列に並んだ位置から、図22Bで示されるような、第2の偏向した位置へと移動可能である。一列に並んだ位置では、第2延長部材(2112)は、細長い部材(2102)と略一列に並び得、その結果、細長い部材(2102)は、第2延長部材(2112)から最小の妨害で、対象の器官にアクセスするための部位へと又は部位から導かれ得る。偏向した位置では、第2延長部材(2112)は、細長い部材(2102)に対して略半径方向に偏向され得、その結果、第2延長部材(2112)の内腔(2112a)は、対象の器官の方向に一列に並び得る。
第1延長部材(2110)は、一方で、略定常的になるように構成され得る。このように、ガイドワイヤが、細長い部材(2102)および第1延長部材(2110)を通って延ばされ得ることで、デバイス(2100)を、ガイドワイヤに沿って対象の器官へのアクセスのための部位へと進めることが可能となる。実施形態において、第1延長部材(2110)は、第2延長部材(2112)の位置にかかわらず、細長い部材(2102)と略一列に並んだままであるように構成され得る。このように、第1延長部材(2110)は、第2延長部材(2112)が、そこから偏向した位置へと押し込まれ得る点として使用され得る。実施形態において、第2延長部材(2112)が、一列に並んだ位置にあるとき、第2延長部材(2112)および第1延長部材(2110)は、略平行な関係で並んで位置決めされ得る。一方、第2延長部材(2112)が、偏向した位置にあるとき、第2延長部材(2112)および第1延長部材(2110)は、相対した角度で位置決めされ得る。
特定の実施形態では、延長部材(2110)、(2112)の長さは、図22Aおよび22Bで例証されるように、本体(2108)の長さより短くなり得るが、一方で、他の実施形態では、それらの長さは、本体(2108)の長さと類似し得るか、またはそれより長くなり得る。1つの実施形態では、本体(2108)を越える第1延長部材(2110)の長さは、第2延長部材(2112)の長さと同じであり得る。別の実施形態では、本体(2108)を越える第1延長部材(2110)の長さは、第2延長部材(2112)の長さと異なり得る。異なるか又は類似した長さの延長部材(2110)、(2112)を提供することによって、延長部材(2110)、(2112)は、対象の器官へのアクセスのための部位で凸凹な湾曲または表面に適応し得る。
代替的な実施形態では、図23で示されるように、第1延長部材(2110)および第2延長部材(2112)は、実質的に長い長さを有し得、そのため、本体(2108)へ摺動自在に挿入され得、本体(2108)の遠位に延びる。そのような実施形態では、本体(2108)は、本質的に、互いに対して一列に並んで第1延長部材(2110)および第2延長部材(2112)を維持する、且つ延長部材(2110)、(2112)が互いに対して偏向されることを可能にするように機能し得る。さらに、細長い部材(2102)を越える第1延長部材(2110)および第2延長部材(2112)の長さは、細長い部材(2102)から延長部材(2110)、(2112)を進めることによって、または細長い部材(2102)へと延長部材(2110)、(2112)を引っ込めることによって独立して調節され得る。そのために、細長い部材(2102)を越える第1延長部材(2110)の長さは、第2延長部材(2112)の長さと同じであるように、または第2延長部材(2112)の長さと異なるように調節され得る。また、異なるか又は類似した長さの延長部材(2110)、(2112)を提供することによって、延長部材(2110)、(2112)は、対象の器官にアクセスするための部位で凸凹な湾曲または表面に適応し得る。本体(2108)が提供されるが、第1延長部材(2110)および第2延長部材(2112)が、他の既知の技術によって、例えば、両方の延長部材に巻かれた単一または複数の帯の使用によって、互いに一列に並んで維持され得ることはもちろん理解されるであろう。
第1延長部材(2110)は、図23に示される実施形態において、材料または器具を通すための少なくとも1つの内腔(2210)を含み得る。同様に、第2延長部材(2112)は、実施形態において、材料または器具を通すための少なくとも1つの内腔(2212)を含み得る。1つの実施形態では、延長部材(2110)、(2112)の腔(2210)、(2212)は、細長い部材の1つ以上の内腔(2204)、(2206)と連通し得る。このように、材料または器具は、延長部材(2110)、(2112)からの送達のために、それぞれ、細長い部材(2102)の腔(2204)、(2206)を通って、および第1および第2の延長部材(2110)、(2112)の腔(2210)、(2212)へと通され得る。
細長い部材(2102)が対象の器官へのアクセスの部位に移動するときの摩擦を最小限にするか又は減少させるために、細長い部材(2102)および延長部材(2110)、(2112)の外側表面は、摩擦を減少させる材料でコーティングされ得る。同様に、細長い部材(2102)および延長部材(2110)、(2112)の腔の内側表面も、表面と、装置(2100)の腔を通って通されている材料または器具との間の摩擦を最小限にするか又は減少させるためにコーティングされ得る。適切な材料は、限定されないが、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(ジメタ(dimeth))アクリルアミド、PTFE、ポリ(アクリルアミド)、ポリビニルブチロール(polyvinybutyrol)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、またはそれらの混合物を含む。細長い部材(2102)および延長部材(2110)、(2112)の外側表面はまた、患者の身体への細長い部材(2102)の導入が原因である血栓症または任意の他の副作用を防ぐために、ヘパリン(またはその誘導体)、ウロキナーゼ、またはPPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)などの、抗血栓性のコーティングでコーティングされ得る。
細長い部材(2102)および第1延長部材(2110)に対して第2延長部材(2112)を偏向するために、装置(2100)はさらに、図22A−22Bで示されるように、第1延長部材(2110)に設けられた偏向機構(2114)を含み得る。実施形態において、偏向機構(2114)は、第2延長部材(2112)を、図22Aで示されるように、第2腔が第1延長部材(2110)と略平行である、第1の一列に並んだ位置から、図22Bで示されるように、第2延長部材(2112)が第1延長部材(2110)から略半径方向に偏向される、第2の偏向した位置へと移動させるために作動され得、一方で、第1延長部材(2110)は、本体(2108)と略一列に並んだままである。偏向機構の設計は、第2延長部材(2112)が、第2の偏向した位置に偏向されるときに、対象の器官に向かうことを確かにするための、解剖及び/又は適用に基づいて選択され得る。偏向機構が、実施形態において、第2延長部材(2112)、すなわち、偏向されている延長部材に設けられ得ることはもちろん理解されるであろう。
1つの実施形態では、偏向機構(2114)は、所望形状の膨張可能な装置(2116)であり得る。膨張可能な装置(2116)は、第1延長部材(2110)上に設けられ得る。膨張可能な装置(2116)は、様々な実施形態において、円形、円筒状、円錐形、二重円錐形、先細形状、卵形、矩形であり得るか、あるいは任意の他の所望形状を提供され得る。限定しない例として、図24A−24Cは、様々な適切な形状の典型的な膨張可能な部材(2116)を例証する。膨張可能な部材(2116)は、限定されないが、ウレタン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロンエラストマーおよび他の類似したポリマーを含む、柔軟で、弾力があり、適合性のある、且つ強い材料から形成され得る。実施形態において、膨張可能な装置(2116)の大きさおよび形状は、例えば、以下に記載されるように、対象の器官の解剖に依存し得、医学文献、患者の観察、またはその両方から決定することができる。対象の器官の解剖および位置によって、第2延長部材(2112)は、対象の身体器官の近位に置かれるのに十分な長さで提供されるように、第1延長部材(2110)の長さと類似した又は異なる長さを有し得る。
膨張可能な装置(2116)を作動させるために、第3腔(2110b)が、細長い部材(2102)および(本明細書に膨張腔(2110b)として言及される)第1延長部材(2110)を通って延びるように提供され得る。膨張可能な装置(2116)は、1つの実施形態において、例えば、生理食塩水などの流体によって膨張され得る。幾つかの実施形態では、膨張可能な装置(2116)は、対照液によって膨張され得、その結果、膨張可能な装置(2116)は、既知の撮像技術を有する手順の間に容易に観察され得る。もちろん、ガスも膨張可能な部材(2116)を膨張させるために使用することができる。第1延長部材上の膨張可能な装置(2116)は、膨張されるときに、第2延長部材(2112)を、第1の一列に並んだ位置から第2の偏向した位置へ移動させるように構成され得ることで、第2延長部材(2112)を所望位置に置く。一方、第1延長部材(2110)上の膨張可能な装置(2116)は、偏向されるときに、第2延長部材(2112)が、第1延長腔(2110)に沿って第1の一列に並んだ位置に戻ることが可能となるように構成され得ることで、患者からの装置(2100)の除去を促進する。
別の実施形態では、図25A−25Bで示されるように、偏向機構(2110)は、所望形状の自己拡張装置(2400)であり得る。このような自己拡張装置(2400)は、様々な実施形態において、円形、円筒状、円錐形、二重円錐形、先細形状、卵形、矩形であり得るか、あるいは任意の他の所望形状を提供され得る。自己拡張装置(2400)は、実施形態において、限定されないが、ニッケル−チタンベースの合金、インジウム−チタンベースの合金、ニッケル−アルミニウムベースの合金、ニッケル−ガリウムベースの合金、銅ベースの合金、金−カドミウムベースの合金、銀−カドミウムベースの合金、インジウム−カドミウムベースの合金、マンガン−銅ベースの合金、鉄−白金ベースの合金、および鉄−パラジウムベースの合金を含む、形状記憶材料から形成され得る。実施形態において、自己拡張装置(2400)は、対象の器官へのアクセスの部位に対する自己拡張装置(2400)の送達の間に、シース(2402)を使用することによって、実質的に小さな直径に制限され得る。そのような実施形態では、装置(2100)は、シースを始動させるための、細長い部材(2102)、第1延長部材(2110)、またはその両方を通って延び、シース(2402)に接続された、作動ワイヤ(2404)を含み得る。自己拡張装置(2400)を作動させるために、すなわち、自己拡張装置(2400)を拡張させるために、シース(2402)は、自己拡張装置(2400)の覆いを取るように、作動ワイヤ(2404)によって近位に引かれ得る。自己拡張装置(2400)を折り畳む(collapse)ために、シース(2402)は、自己拡張装置(2400)を覆うように、作動ワイヤ(2404)によって遠位に進められ得る。自己拡張部材(2400)は、自己拡張装置(2400)が拡張されるときに、第2延長部材(2112)を、第1の一列に並んだ位置から第2の偏向した位置に移動させるように構成され得ることで、所望位置に第2延長部材(2112)を置く。一方、自己拡張部材(2400)は、折り畳まれるときに、第2延長部材(2112)が、第1延長部材(2110)に沿って、第1の一列に並んだ位置に戻ることを可能にするように構成され得、その結果、装置(2100)は、患者から引き出され得る。
また別の実施形態では、図26A−26Bで示されるように、偏向機構(2114)は、所望形状の機械的に拡張可能な装置(2500)であり得る。このような機械的に拡張可能な装置は、様々な実施形態において、円形、円筒状、円錐形、二重円錐形、先細形状、卵形、矩形であり得るか、あるいは任意の他の所望形状を提供され得る。機械的に拡張可能な装置(2500)は、プラスチックまたは他の比較可能な材料などの、可撓性および弾性である材料から形成され得る。機械的に拡張可能な装置(2500)は、近位端(2502)および遠位端(2504)、および近位端(2502)と遠位端(2504)との間の折り畳み可能な本体(2506)を含み得る。機械的に拡張可能な装置(2500)は、実施形態において、第1延長部材(2110)上に摺動自在に設けられ得る。図26Bで示されるように、機械的に拡張可能な装置(2500)は、その近位端(2502)と遠位端(2504)との間の距離を減少させることによって、折り畳まれた構成から拡張した構成に移動され得る。一方、図26Aで示されるように、機械的に拡張可能な装置(2500)は、その近位端(2502)と遠位端(2504)との間の距離を増加させることによって、折り畳まれた構成に戻され得る。実施形態において、装置(2100)は、機械的に拡張可能な装置(2500)の近位端(2502)と遠位端(2504)との間の距離を増加または減少させるように構成された、作動ワイヤ(2508)を含み得る。機械的に拡張可能な装置(2500)は、折り畳まれた構成から拡張した構成に移動されるときに、第2延長部材(2110)を、第1の一列に並んだ位置から第2の偏向した位置に移動させるように構成され得ることで、第2延長部材(2112)を所望位置に置く。一方、機械的に拡張可能な装置(2500)は、折り畳まれるときに、第2延長部材(2112)が、第1延長部材(2110)に沿って第1の一列に並んだ位置に戻ることが可能となるように構成され得ることで、例えば、装置(2100)が、患者から引き出されることを可能にする。機械的に拡張可能な装置(2500)は、機械的に拡張可能な部材が、折り畳まれた構成から拡張した構成に移動され、折り畳まれた構成に戻されることを可能にし得る任意の技術によって第1拡張部材に接続され得、実施形態において、機械的に拡張可能な装置(2500)の近位端(2502)は、細長い部材(2102)接続され得る一方で、機械的に拡張可能な装置(2500)の遠位端(2504)は、第1拡張部材に接続され得る。
図22Aおよび22Bを参照すると、装置(2100)は、実施形態において、第1拡張部材上に設けられたストッパ(2118)をさらに含み得る。ストッパ(2118)は、手順の間に装置(2100)を適所に係留するために、第1延長部材(2110)の遠位端に、またはその近くに設けられ得る。実施形態において、ストッパ(2118)は、装置(2100)が、対象の器官のアクセスのための部位を過ぎて進む深さを制御するように設計され得る。ストッパ(2118)には、装置(2100)が、所望距離を越えて指定される腔へ進むのを防ぐのに十分な大きさが提供され得る。言いかえれば、ストッパ(2118)には、腔から、比較的より小さな直径を有する別の腔への進入を最小限にするのに十分な大きさが提供され得る。ストッパ(2118)は、偏向機構(2114)に関して上に記載されるように、膨張可能であり得る、自己拡張し得る、または機械的に拡張され得る。
実施形態において、偏向機構(2114)およびストッパ(2118)は、一体化され得る。例えば、図27Aで例証されるように、機構(2600)は、第2延長部材(2112)を、第1延長部材(2110)から半径方向に離して偏向させるように構成され得、それ故、偏向機構(2114)として働き得る。その上、機構(2600)はまた、装置(2100)が、1つの直径を有する体腔(2602)から、より小さな直径を有する体腔(2604)へと進む深さを制限するように構成され得、それ故、ストッパ(2118)として働く。別の実施形態では、図27Bで例証されるように、偏向機構(2114)およびストッパ(2118)は、2つの別々の機構であり得る。このような実施形態では、偏向機構(2114)は、第2延長部材(2112)を、第1延長部材(2110)から半径方向に離して偏向させる原因であり得、一方で、ストッパ(2118)は、装置(2100)が、体腔(2604)へと進む深さを制限する原因であり得る。装置(2100)は、偏向機構(2114)および同じ拡張部材に設けられたストッパ(2118)とともに例証されるが、偏向機構(2114)およびストッパ(2118)は、異なる拡張部材上に位置付けられ得る。
図22Aで示されるように、装置(2100)はさらに、配向機構(2120)を含み得る。手順の間に、装置(2100)は、ユーザーによって装置(2100)を所望の配向に置くために、回転される必要があり得る。配向機構(2120)は、手順の間の任意の与えられた時間に、装置(2100)の位置および配向をモニタリング及び/又は確認する能力をユーザーに提供し得る。
実施形態において、配向機構(2120)は、1つ以上の放射線不透過性の(「RO」)マーカーまたは帯を含み得る。このようなROマーカーまたは帯は、硫酸バリウム、タンタル、または放射線不透過性を増加させると知られている他の物質などの、放射線不透性物質から形成され得る。ROマーカーまたは帯は、細長い部材(2102)に沿った様々な位置に置かれ得る。実施形態において、ROマーカーまたは帯は、第1延長部材(2110)および第2延長部材(2112)の長さに沿った様々な位置に置かれ得る。ROマーカーまたは帯は、ユーザーが、例えば、蛍光透視法による手順の間に、装置(2100)の位置および配向をモニタリングすることを可能にし得る。
別の実施形態では、ROマーカーまたは帯の代わりに、エコー源性または磁気反応性のマーカー、またはその両方が、配向機構(2120)として利用され得る。エコー源性または磁気反応性のマーカーは、ユーザーが、それぞれ、超音波またはMRIの技術を使用して、装置(2100)の位置および配向をモニタリングすることを可能にし得る。
また別の実施形態では、配向機構(2120)は、1つ以上の導線を含み得る。実施形態において、1つ以上の導線は、所望のパターンで、細長い部材(2102)の遠位端に、またはその近くに位置決めされ得る。1つ以上の導線は、細長い部材が所望の位置および配向にあるときに、特有の電子写真パターンを検出するように構成され得る。
操作中に、装置(2100)は、様々な身体器官へのアクセスを得るために使用され得る。限定しない例として、図28A−28Dで例証されるように、装置(2100)は、経中隔の手法を介する心臓の左心房へのアクセスを得るために利用され得る。
最初に、末梢静脈アクセスは、例えば、内部の頚静脈、鎖骨下部、または大腿静脈を介して得られ得る。その後、図28Aで示されるように、適切な剛性のガイドワイヤ(2700)は、末梢静脈系(図示せず)へと導入され得、右心房(2702)を通って冠状静脈洞(CS)(2704)へと進められ得る。冠状静脈洞へのガイドワイヤの前進は、様々な撮像技術を使用する、蛍光透視ガイダンス、心エコーガイダンス、またはその両方の下で行われ得る。実施形態において、ガイドワイヤは、CSガイドカテーテルを使用して、CSへと導入され得る。明瞭さの目的で、CSへと導入されたガイドワイヤは、本明細書においてCSガイドワイヤとして言及され得る。
一旦、CSガイドワイヤ(2700)がCS(2704)において適所にあれば、図28Bで示されるように、装置(2100)は、CSガイドワイヤ(2700)上を右心房(2702)へと進められ得る。CSガイドワイヤ(2700)は、実施形態において、細長い部材(2102)の本体(2108)の内腔を通って、および第1延長部材(2110)の内腔を通って通され得る。装置(2100)が右心房(2702)の内部にあるときに、図28Cで示されるように、収縮機構(2114)と一体であると図28A−28Dで例証される、第1延長部材(2110)上のストッパ(2118)が作動され得る。その後、装置(2100)は、ストッパ(2118)がCS口(2708)に係合するまで、CSガイドワイヤ(2700)に沿ってさらに進められ得る。この時点で、装置(2100)は、左心房(2706)へのアクセスの部位にある。
次に、第1延長部材(2110)上の偏向機構(2114)は、第2延長部材(2112)を所望位置に半径方向に偏向させるように作動され得る。1つの実施形態では、第2延長部材(2112)の所望位置は、第1延長部材(2110)の遠位先端部と第2延長部材(2112)の遠位先端部との間の距離が、CS口(2708)の半径よりも大きいような位置であり得る。言いかえれば、第2延長部材(2112)の所望位置は、実施形態において、第2延長部材(2112)が偏向されるときに、第2延長部材(2112)の遠位先端部がCS口(2708)の外側にあるような位置であり得る。偏向機構がストッパとしても働く実施形態では、装置(2100)が左心房へのアクセスの部位にある前に、偏向機構が作動され得ることをもちろん理解されたい。このように、装置(2100)は、左心房へのアクセスの部位を過ぎて進められることを防がれ得る。
一旦、第2延長部材(2112)が偏向されると、装置(2100)は、配向機構(2120)の助けによって配向され得、その結果、第2延長部材(2112)の遠位端は、心房中隔に向けられる。その後、左心房(LA)ガイドワイヤまたは経中隔ガイドワイヤとして本明細書に言及される、別のガイドワイヤ(2710)は、図28Eで示されるように、組織、すなわち心房中隔を貫通するために、細長い部材(2102)の本体(2108)の内腔および第2延長部材(2112)の内腔を通って進められ得ることで、左心房(2706)に入る。この時点で、装置(2100)は、患者から取り除かれ得、LAガイドワイヤ(2710)は、カテーテルまたは他の装置を左心房(2706)へと進めるために使用され得る。例えば、左心房ガイドワイヤ(2710)は、とりわけ、カテーテルまたは他の装置を、僧帽弁の介入、切除、左心耳の介入などの手順のために、左心房(2706)へ進めるために利用され得る。実施形態において、左心房ガイドワイヤ(2710)は、左心室へとさらに進められ得る。
限定しない例として、装置(2100)が引き込まれ得るときに、CSガイドワイヤ(2700)は適所に残され得る。このような実施形態では、CSガイドワイヤ(2700)およびLAまたは経中隔ガイドワイヤ(2710)は、逸脱する僧帽弁を修復するように本開示の組織保持装置を展開するために、上に記載されるように使用され得る。
本開示の装置、システムおよび方法は、開示の理解の助けとなるように明示される、以下の実施例において記載され、いかなる方法においても、その後に続く請求項で定義されるような開示の範囲を限定するようには解釈されるべきではない。以下の実施例は、当業者に、本開示の装置および方法をどのように作り出す及び使用するかの完全な開示および記載を提供するように提示され、発明者が自身の発明と見なすものの範囲を限定するようには意図されておらず、下記の実験が、実行される全て又は唯一の実験であると表わすようには意図されていない。使用される数字(例えば、量、温度など)に対する精度を確かなものとするための試みがなされてきたが、いくつかの実験誤差および偏差が考慮されるべきである。
<実施例1:インビボでのネイティブな僧帽弁の保持>
研究の目的は、冠状静脈洞(CS)から出て、後方の僧帽弁輪のすぐ上の左心房(LA)に入り、僧帽弁のオリフィスを横断し、左心室(LV)の頂端に係留された、1セットのコードが、逸脱するP2セグメントを保持し、僧帽弁逆流(MR)を除去することができるかどうかを評価することであった。
この手順の工程は、図29A−29Nで提示される。隔離した仔牛の心臓を利用した。心房を切除し、冠状動脈を結紮し、大動脈弁を切除し、上行大動脈は縫合し、およびCSを開口した(unroofed)。図29A−29Bで示されるように、生理食塩水を、ゲージ針を介して上行大動脈へと注入し、左心室を加圧した。
P2セグメントに、図29Cおよび29Dで示されるようにマーキングした(marked)。図29Eおよび29Fで示されるように、弁のP2セグメントに対する複数の腱索(cordae tendinae)を切断し、逸脱およびMRを作り出した。
図29Gおよび29Hで示されるように、逸脱を定着させるために、5つの個々のCV−5 Gortex縫合糸を、CSから、P2セグメントのすぐ上の僧帽弁の輪のすぐ上のLAへと通した。
縫合糸を、約2mm離して間隔を置き、それは逸脱するP2セグメントに及んだ。図29Iと29Jで示されるように、縫合糸の遠位端を、一緒に結び、僧帽弁およびLVの頂端を通って通し、別の縫合糸を有するLVの頂端に係留した。
図29Mおよび29Lで示されるように、図29Kおよび29Lで緩めたものとして示される縫合糸を、逸脱セグメントP2を保持する且つMRを除去するために締めた。
本明細書で引用される、すべての特許、特許出願、および公開された参考文献は、それら全体が引用によって本明細書に組み込まれる。
本発明は、その具体的な実施形態に関連して記載されているが、さらなる変更が可能であることが理解されるであろう。さらに、本出願は、本発明が関係する当該技術分野の既知の又は慣習的な実施にあるような、および添付の請求項の範囲内に当てはまるような、本開示からのこのような逸脱を含む、本発明の任意の変更、使用、または適応を包含するように意図される。

Claims (20)

  1. 組織保持装置であって、該組織保持装置は、
    弁輪への取り付けのための弁形成部材;
    弁形成部材に離間して配置されるように構成されたアンカー;および
    弁形成部材とアンカーとの間で延びる保持マトリックスを含むことを特徴とする、組織保持装置。
  2. 保持マトリックスは、1以上の保持コードによって形成されることを特徴とする、請求項1に記載の組織保持装置。
  3. 保持コードは、保持マトリックス中の張力を変更するように個々に調整可能であることを特徴とする、請求項2に記載の組織保持装置。
  4. 保持マトリックスはさらに、保持マトリックスから遠位に延びる第1ストランドを含むことを特徴とする、請求項2に記載の組織保持装置。
  5. アンカーは、第1ストランドを通すためのループを含むことを特徴とする、請求項4に記載の装置。
  6. 弁形成部材は、第1ストランドに対して結ぶ点を提供するために、第2ストランドを含むことを特徴とする、請求項5に記載の組織保持装置。
  7. 弁形成部材は、僧帽弁の輪に実質的に沿って埋め込まれるように構成され、アンカーは、左心室に埋め込まれるように構成され、および保持デバイスが僧帽弁へと埋め込まれるときに、保持マトリックスは、小葉を覆うように弁形成部材とアンカーとの間で延ばされることを特徴とする、請求項4に記載の組織保持装置。
  8. 弁形成部材は、1以上の内腔および内腔と連通する1以上の開口部を含み、複数の保持コードが、リングの内腔を通って、および複数の開口部から出て、保持マトリックスを形成することを可能にすることを特徴とする、請求項1に記載の組織保持装置。
  9. 保持マトリックスはさらに、複数の保持コード間で延びるクロス保持部材を含むことを特徴とする、請求項1に記載の組織保持装置。
  10. 僧帽弁の処置の方法であって、該方法は、
    弁輪に実質的に沿って弁形成部材を付ける工程;
    アンカーを左心室中の組織へと埋め込む工程;
    保持マトリックスが僧帽弁の小葉を覆うように、弁形成部材とアンカーとの間で保持マトリックスを延ばす工程;および
    小葉の1以上の逸脱セグメントを修正するために保持マトリックスを調節する工程を含むことを特徴とする方法。
  11. 調節の工程において、保持マトリックスは、1以上の保持コードによって形成されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
  12. 調節の工程において、保持マトリックスは、保持コードを個々に調節することによって調節されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
  13. 調節の工程において、保持マトリックスはさらに、保持マトリックスの処理を容易にするために、保持マトリックスから遠位に延びる第1ストランドを含むことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
  14. 調節の工程において、保持マトリックスは、ストランドをアンカーのループを通して通すことによって、およびストランドをアンカーから引き離すことによって調節されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
  15. 調節の工程において、弁形成部材は、第1ストランドに対して結ぶ点を提供するために第2ストランドを含むことで、所望の張力で保持マトリックスを固定することを特徴とする、請求項14に記載の方法。
  16. 組織を保持するためのキットであって、該キットは、
    近位端および遠位端を有する保持マトリックス;
    保持マトリックスの近位端に配置され、弁形成リングに付くように設計された、取付け部材;および
    保持マトリックスの遠位端に付くように構成されたアンカーを含むことを特徴とするキット。
  17. 保持マトリックスの取付け部材に付くように構成された、弁形成リングをさらに含むことを特徴とする、請求項16に記載のキット。
  18. 保持マトリックスは、1以上の保持コードによって形成されることを特徴とする、請求項16に記載のキット。
  19. 保持マトリックスはさらに、保持マトリックスの処理を容易にするために、保持マトリックスから遠位に延びる第1ストランドを含むことを特徴とする、請求項18に記載のキット。
  20. アンカーは、ストランドを通すためのループを含むことを特徴とする、請求項18に記載のキット。
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