JP2014518435A - 電気力学的多重極装置により伝播されるイオンの双極dc衝突活性化用の方法及び装置 - Google Patents

電気力学的多重極装置により伝播されるイオンの双極dc衝突活性化用の方法及び装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2014518435A
JP2014518435A JP2014515980A JP2014515980A JP2014518435A JP 2014518435 A JP2014518435 A JP 2014518435A JP 2014515980 A JP2014515980 A JP 2014515980A JP 2014515980 A JP2014515980 A JP 2014515980A JP 2014518435 A JP2014518435 A JP 2014518435A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ions
stage
quadrupole
ddc
ion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014515980A
Other languages
English (en)
Inventor
マクラッキー,スコット,エー.
ウェブ,イアン,ケー.
Original Assignee
パーデュ リサーチ ファンデーション
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by パーデュ リサーチ ファンデーション filed Critical パーデュ リサーチ ファンデーション
Publication of JP2014518435A publication Critical patent/JP2014518435A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J49/00Particle spectrometers or separator tubes
    • H01J49/0027Methods for using particle spectrometers
    • H01J49/0031Step by step routines describing the use of the apparatus
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J49/00Particle spectrometers or separator tubes
    • H01J49/004Combinations of spectrometers, tandem spectrometers, e.g. MS/MS, MSn
    • H01J49/0045Combinations of spectrometers, tandem spectrometers, e.g. MS/MS, MSn characterised by the fragmentation or other specific reaction
    • H01J49/005Combinations of spectrometers, tandem spectrometers, e.g. MS/MS, MSn characterised by the fragmentation or other specific reaction by collision with gas, e.g. by introducing gas or by accelerating ions with an electric field
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J49/00Particle spectrometers or separator tubes
    • H01J49/02Details
    • H01J49/06Electron- or ion-optical arrangements
    • H01J49/062Ion guides
    • H01J49/063Multipole ion guides, e.g. quadrupoles, hexapoles

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Other Investigation Or Analysis Of Materials By Electrical Means (AREA)
  • Electron Tubes For Measurement (AREA)

Abstract

1つの処理段階として複数組の対向するロッドを有し、一組のロッドはそれらの間の電位差がゼロで動作し、また、もう一組の対向するロッドはそれらの間を所定の電位差で動作する、四重極の質量分析計を動作させるための方法が記述されている。ポテンシャルフィールドの不平衡は、高周波(RF)加熱を受けるさらなる段階において検体イオンが軸の中心線からそれる原因になる。この段階はトランスミッションモードで動作し、また、結果として得られた反応生成物は、後続の段階においてさらに処理されてもよく、もしくは、質量分析計に出力されてもよい。
【選択図】図1

Description

本出願は、2011年6月15日に出願された米国仮出願第61/497,246号に対する利益を主張し、その開示内容全体は参照として本明細書に含まれる。
断片化(フラグメント化)を起こす方法が、タンデム型質量分析計によってイオンの構造特性を明らかにするために広く用いられている。衝突誘起解離(CID)が、広範囲の条件にわたって行われ、また、小分子解析,プロテオミクス,及びゲノムミクスにおいて広く用いられている。
CIDは、臨床サンプルとして薬剤及び薬剤代謝産物を同定するための小分子及び薬剤の分析,及び,法医学的応用や薬剤スクリーニングの応用として用いられている。CIDは、さらに、“ボトムアップ”アプローチとして、酵素的切断または化学分解から生じるペプチドの特性を明らかにするために用いられる。総タンパク質分析は、無傷のタンパク質がCIDまたは他の活性化技術によって解離される“トップダウン”アプローチとして、CIDにより行われてもよい。CIDは、さらに、“ボトムアップ”及び“トップダウン”アプローチとして、ゲノムミクス,及び,オリゴヌクレオチド並びに総リボ核酸の解離において用いられている。
CIDは、加速イオンを原則的に不活性の中性標的ガスに衝突させることにより、達成される。イオントラップにおけるCIDは、対象イオンの基本永年周波数と共振するような単一の双極AC信号を用い、衝突させる標的としての機能を果たすガス槽内に存在するイオンを加速させる。
例えば、三連四重極のMS/MS法として用いられるビーム型のCIDにおいて、勾配を有するポテンシャル場によってイオンを加速させた後、イオンは、コリジョンセル内に存在する槽内ガスに対して注入される。イオントラップ型CIDとビーム型CIDとのいくつかある違いのうちの1つは、イオントラップ型におけるイオン加速が質量選択型である一方で、ビーム型はそうではないことである。
質量選択型でない活性化方法の他の例として、イオンが金属または非導電材料の表面に衝突した場合に起こる表面誘起解離(SID),及び,低エネルギの赤外多光子を用いて、イオンを振動励起させ解離させるが、赤外光子を吸収する能力に依存する方法の赤外多光子解離(IRMPD)が含まれる。イオントラップにおけるCIDにおいて広帯域でのイオン加速を提供するための方法は、広帯域の加速度波形を使用すること,及び,低周波数のAC電圧をイオントラップのエンドキャップ電極へ適用することを含む。
フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計とともに使用される線形イオントラップにおける一対の対向する電極を横切る、双極DCポテンシャルを適用することによって、DDC CIDと呼ばれる広帯域のイオントラップにおけるCID法が、質量選択型でない衝突活性化を提供することが、最近、説明された。
本発明において、広範囲の検体イオンを広帯域で解離させるための、四重極/飛行時間型質量分析計(quadrupole/time-of-flight mass spectrometer)の四重極構造により伝播されるイオンの効果的な双極DC(DDC)衝突活性化(CID)用の機器と方法が開示される。DDCのトランスミッションモードでの活性化は、質量電荷比の広い範囲において同時に起こるイオンの断片化(フラグメント化)を含む。双極DCポテンシャルは、断片化(フラグメント化)を生じさせるためのQqTOF (quadrupole / time-of-flight)型ハイブリッド質量分析計の四重極のコリジョンセルにおいて、一組の対向するロッドに適用されてもよい。
実験例として、x-y平面上のイオン運動を制限するために用いられる高周波(RF)フィールドに加えて、イオンがDDCフィールドにさらされるコリジョンセルに、小分子薬剤及びモデルペプチドから生じるイオンが、引き出された。このDDCフィールドは、四重極配置の軸の中心線から伝播されたイオンを移動させ、その後、イオンは、高周波フィールド(RF加熱)により加速を受ける。このDDC CID法は、イオンを閉じ込めることなく検体イオンの構造情報を精査するうえで、容易に調整可能な手段である。DDC CID法は、軸上の1つの次元(z軸)におけるイオンの運動エネルギに依存しないビーム型の装置において、イオンを衝突活性化させるための手段を提供する。
ガス入りのトランスミッションモードで四重極配置における対向するロッドに適用される双極DCは、イオンの衝突活性化を生じさせる。これまでの研究で、比較的高速な解離速度が多原子イオンに対して達成された。プロトン化されたブロモクリプチン及びプロトン化されたロイシンエンケファリンを用いたタンデム型質量分析計のトランスミッションモードでの実験の実施内容及び結果が、公表されている。
重要な実験変数は、DDCの振幅,駆動高周波(RF)の振幅,及び活性化期間である。衝突活性化のための方法及び特性の普遍性(例えば、同調条件,第1イオンと高速生成プロダクトイオンの活性化)は、電気力学イオントラップ,トラッピングDDC活性化,及び,ビーム型の活性化技術によく用いられる単一周波数共鳴励起技術を補うのに役立つ技術である。
図1(A)は、四重極QqTOF型質量分析装置の概略側断面図である。図1(B)は、DDC実験を行うためのQ2段階における印加電圧の調整を示しているロッド軸に直交した、Q2段階の断面図である。 図2は、VDDC=16V,及び,VRF=407Vでプロトン化したYGGFLのトランスミッションモードでのプロダクトイオンのスペクトルの実験結果を示している図である。 図3は、VDDC=14V,VRF=407V,及び,180msの活性化時間でプロトン化したYGGFLのトラップモードでのプロダクトイオンのスペクトルの実験結果を示している図である。 図4(A)〜(C)は、プロトン化したブロモクリプチンの実験的プロダクトイオンのスペクトルを示している図である。図4(A)は、トラップモードでのDC CID,VDDC=40V,VRF=611V,及び,7.5msの活性化時間、図4(B)は、トラップモードでのAC CID,500mVpp,lmco=117(VRF=611V),及び,7.5msの活性化時間、図4(C)は、トランスミッションモードでのDDC,VDDC=28V,VRF=611Vでの実験結果である。
例示的な実施例は、図1〜4を参照して、よりよく理解されるが、これらの実施形態は、発明の本質を限定することを意図していない。以下の記述において、多くの具体的詳細は、特許請求の範囲の内容を十分に理解することを提供するために、例として記載されているが、これらの具体的詳細の一部またはすべてをなしで実施されてもよい。本発明の特徴,構造,または特性が実施例に関連して記述されているので、当然のことながら、本願明細書内に明記されていろうがなかろうが、当業者が、他の実施例に関連してこれらの特徴,構造,または特性を変化させうる。他の実施例では、周知の処理操作は、説明を不必要に分かりにくくしないように、詳細を記述していない。
DDC CID(双極DC衝突誘起解離)は、レーザーエネルギ源を用いているが、IRMPDに類似した特性を有する広帯域の活性化技術である。現在のアプローチでは、四重極のコリジョンセルまたはQqTOF段階を用いるタンデム型のMSプラットフォーム(つまり、四重極/飛行時間型(TOF)プラットフォーム)で評価されている。比較的高速なTOF質量分析器を用いることは、トランスミッションモード設定におけるDDC CIDの動作を可能にする。トランスミッションモードのタンデム型の質量分析における衝突活性化は、コリジョンセル内に注入されるプリカーサーイオンの並進運動エネルギに依存する。
DDC(双極DC)活性化を用いたCID装置のトランスミッションモードは、コリジョンセル内の衝突活性化によって生成される内部エネルギ分布から、プリカーサーイオンの注入エネルギを分断することもできる。DDC CIDのトランスミッションモードの適用が、小分子薬剤及びペプチドモデルから生じるイオン用として、本明細書内に示される。
実験用のQqTOF装置が図1に示されている。トランスミッションモードの実験が、プリカーサーイオンとTOFセクションへのプロダクトイオンの連続伝搬を行うQ1を用いた質量選択によって行われる。
ちなみに、この装置は、さらに、イオン貯蔵を含んだ典型的なスキャン、すなわち、100ms間のQ2へのイオン注入,(30ms間の)イオン冷却ならびに双極DC電圧のランピング,(可変時間での)Q2内の場に存在しているイオンの活性化,(50ms間の)双極DC電圧が解消された状態でのイオン冷却,及び,(50ms間の)質量分析用のTOF部へのイオン注入,を行うように構成された。このランピング時間は、ロッドの電圧オフセットがソフトウェアにおいて設定された電圧に到達していることを確認するために用いられた。
J Am Soc Mass Spectro,2004,15巻,1616-1628頁に発表されているトルマチェフらの“高周波イオントラップとイオンガイド内でのイオンの衝突活性化”には、電気力学イオントラップにおけるイオンの衝突活性化に適用可能な有効イオン温度モデルが記載されており、イオンサイクロトロン共鳴質量分析計への検体イオンの周期的な放出を伴う線形イオントラップにおけるDDC CIDの実験結果が提供されている。
重イオン/light(光源)型の場合に、DDCの励起にさらされるイオン集団の近似的な温度変化は、以下の式で与えられていた。

Figure 2014518435

ここで、Mgは標的ガスの質量,ΩはLITの駆動角周波数,r0は四重極の内接半径,kはボルツマン定数,VDDCは印加される双極DC電圧の大きさ,及び,VRFはRF(高周波)駆動電圧のゼロピーク振幅である。数式1の関係性は、イオンの内部温度変化がイオンの質量や電荷に依存せず、VDDCの二乗に比例し、また、VRFの二乗に反比例していることを示唆している。イオントラップにおけるイオンの運動は、質量電荷比に依存する長年の要素,及び高周波のリップル要素に分類される。
衝突活性化は“高周波加熱”によって行われ、それに伴い、トラップの軸の中心線から、より高い高周波ポテンシャルの領域へ移動させられたイオンは、より高い値のRFリップルへ変位する(または微小振動が起こる)。従って、イオンの平均速度が増加し、よりエネルギを有する槽内ガスとの衝突をもたらす。装置の中心からのイオンの平均変位reは、以下の式によって近似される。

Figure 2014518435
uは、次元u(四重極のxまたはy)における周知のマシュー方程式のパラメータであり、以下の式によって与えられる。

Figure 2014518435
パラメータquは、固定値Vに対して質量電荷比に反比例するが、reは、質量電荷比に比例する(つまり、より高い質量電荷比のイオンは、より低い質量電荷比のイオンより変位する)。これは、電圧VDDCを用いる実験においての質量電荷比の上限を導く。この上限は、reがroに到達する段階を定めることによって推定される。

Figure 2014518435
u=0.908となるようにイオンの質量電荷比の値を定めることにより、本明細書内におけるDDC実験に関連する質量電荷比の下限を、通常の方法で計算することができる。
DDC技術が、連続的なイオンの活性化と同時に起こる解離を含むように、作業工程は、“徐々に加熱する”方法として考えられてもよい。そのようなものとして、プリカーサーイオンの集団は、活性化前の内部エネルギ分布から、過渡期後に生じる定常状態内部エネルギ分布を実現してもよい。反応の律速段階(rate determining step)が高エネルギ尾部の分布からの断片化(フラグメント化)の過程である(つまり、迅速なエネルギ交換レジーム,または,高圧レジームである)場合、この活性化されたイオン集団の定常状態の内部エネルギ分布は、温度によって近似されてもよい。これらの条件下にある有効温度は、以下の式によって近似される。

Figure 2014518435
反応の律速段階が解離に対するエネルギ障壁を超えるような(つまり、遅いエネルギ交換レジーム)推移である場合、活性化されたイオン集団は、切断されたボルツマン分布に特徴づけられてもよく、また、温度の値によって特徴づけられなくてもよい。いずれにしても、単一ペアとしての活性化エネルギとエントロピーに特徴づけられるプリカーサーイオンの集団に対して、解離速度kdissは、各一組の活性化条件に関連し、また、より高い値のkdissは、より高度に活性化されたイオンによって生じる。−ln[M+H]+ l/[M+H]+ o対時間のプロットの傾きから得られるkdissの算定は、実験条件の関数として、プリカーサーイオンの集団に伝達されるエネルギを算定する手段を提供する。例えば、イオン損失がないとき、[M+H]+ oは、すべてのプロダクトイオン及び残留プリカーサーイオンの存在量の合計(つまり、Σ([M+H]+ l+プロダクトイオン))によるプロダクトイオンのスペクトルから近似されてもよい。
数式(1)に示されているように、所定の四重極半径及び駆動周波数に対して、DDC衝突活性化用の実験パラメータは、VDDC,VRF,及び標的ガスの質量を含む。ここで留意すべきは、MHzレンジ,及び,10mtorr及びそれ以下のオーダーのバックグラウンド圧力で動作するイオントラップの場合のように、衝突周波数が微小振動の周波数より著しく低い条件下で、槽内ガス圧力がΔTkを決定する重要因子でなくてもよいことである。しかしながら、圧力は、定常内部エネルギ状態に到達するために必要とされる時間を決定する因子であると考慮されるだろう。
DDCアプローチは、プリカーサーイオンの注入エネルギに依存せずに、衝突エネルギを変化させることを可能にするため、イオン伝播及び/または構造情報コンテンツの観点から役立つ。データは、完全なトランスミッションモード条件(つまりイオントラップ手段なし)で集められ、従って、プリカーサーイオンは、Q1を経由して質量選択され、かつ、双極DC(DDC)ポテンシャルをQ2内の対向する一対のロッドに同時に供給する一方で、プリカーサーイオンは、測定可能なCIDにするには不十分な並進運動エネルギ(例えば5eV)で、Q2に注入された。Q2から抜け出たプロダクトは、質量分析用の飛行時間質量分析計(TOF)に継続的に伝播された。
改善されたQqTOF(QStar XL, AB Sciex, Concord, ON, CA)を用いて実験が行われた。装置構造は、高周波のみのモードにおいて動作するトランスミッション四重極,質量分解四重極,及び四重極コリジョンセルが含まれている。これらの四重極は、其々、Q0,Q1,及びQ2を指す。
図1に示されているように、この装置は、Q0とQ2両方の四重極における一対の対向するロッドにわたって、双極DCポテンシャルを適用することを可能にするように改善された。ロッド電圧のオフセットは、ロッドの他の一組が対をなしたままである一方で、まったく反対に、一組のロッドが対をなさなくなることをもたらした。連結されない各ロッド用のDCオフセットは、其々の電源により供給され、そうすると、もう1つの電源は、オフセットを残りの一組に供給されることになる。他の電源構成が、この結果を達成するように用いられてもよい。この配置は、他の対向する一組のロッド間のオフセット電圧がゼロである一方で、オフセット電圧VDDCを、対向する一組のロッド間に適用することを可能にした(例えば+/−x)。
機器の制御は、AB Sciex社によって開発されたソフトウェアDactalyst3.14によって行われた。この機器の電圧は、ソフトウェアDactalystによって制御された。本明細書内に記述された実験では、Q2セクションのみにおいてDDCポテンシャルが用いられた。しかしながら、イオンは、さらに、質量選択の前にQ0において加熱されてもよい。Q0においてイオンを加熱することは、イオン源において形成された緩く結合した複合体を抑制するのに役立つ。Q2動作用のパラメータとしては、r0=4.17mm,Ω=1.8MHzが用いられ、また、VRF(ゼロピークとして記載)及びVDDC値は、下記の通りである。バックグランドガス圧力は、記載のない限り、全ての実験において2×10-5torrであった。
プリカーサーイオンは、Q1における高周波電圧(RF)/直流電圧(DC)によって選択された。比較する目的としてストレージモードで機器を操作する場合、DDC CID活性化セグメントの間に効果的な閉じ込め(トラッピング)を提供するために、補助的なACポテンシャルが、250kHzの周波数及び500Vp-pでQ2のレンズの入口と出口に適用された。トランスミッションモードでの実験では、DC電圧が用いられ、このDC電圧は、Q2のレンズの入口と出口に適用され、イオンがQ2を通過してTOF部へ伝播することを可能にする値を有する。
ブロモクリプチン及びロイシンエンケファリン酢酸塩水化物を、シグマアルドリッチ社(セントルイス,ミズーリ州)から購入した。メタノール及び氷酢酸を、アバンター株式会社(フィリップスバーグ,ニュージャージー州)から購入した。ブロモクリプチンが、67μMの水溶液として用意された。ロイシンエンケファリンが、50:50:1の水:メタノール:水溶液比で25μM用意され、また、ウシユビキチンが、50:50:1の水:メタノール:水溶液比の濃度で12μM用意された。サンプルは、さらなる精製なしで用いられた。
図2は、VDDC=16V、また、VRF=407Vを用いて得られた結果を示している。DDCアプローチは、観測される断片化(フラグメント化)を十分多く引き起こすように、イオンを迅速に加熱する。プロダクトイオンのTOF分析器への効果的な伝播は、DDCがイオンを装置の中心軸から離れて移動させるように、考慮されるべきであり、また、さもなければ、下流にある装置要素を用いて弱い結合をもたらすべきかもしれない。数式(2)は、所定の実験条件下でプリカーサーイオンの1.3mmの平均変位を予測する。しかしながら、経験的に、DDC電圧が印加された場合、全体のイオン信号に大きな損失が現れることはなかった。少なくとも、行われた実験条件においては、オフセットによりイオン伝播効率をほとんど犠牲にしないように見受けられる。
図3は、108msの活性化時間でVDDC=14V、また、VRF=407Vを用いたイオントラップの実験結果を示している。類似したプロダクトイオンが、双方の方法によって生成されている。
DDC法及び装置のトランスミッションモードが、TOF質量分析に制限されずに、例えば、質量分析器のイオン受容領域がTOF分析器のイオン受容領域よりも広いであろう三連四重極機器に組み込まれるだろう。コリジョンセルの次に続き、また、質量分析器の前に存在するガス入りの高周波のみのセクションが、質量分析器に注入するためのイオンビームを再度中心に合わせるために用いられてもよい。この場合、後続の質量分析器へ効果的にイオンを注入するために、DDCフィールドに関連した中心軸からの変位を考慮することを必要としない。
また、実験は、小さな薬剤モデルのブロモクリプチンに対して行われた。ブロモクリプチンは、下垂体部腫瘍の存在を含む、様々な条件の治療に用いられるドーパミン作用薬である(CAS#25614-03-3)。図4A〜4Cのプロダクトイオンスペクトルに示されているように、(双方の臭素同位体がプリカーサーイオンの集団内に存在することを可能にする)653-656の質量/電荷比の値の枠を超えたプロトン化したブロモクリプチンのイオンは、Q1を経由して伝播される3種類の衝突活性化が行われた。
図4Aは、VDDC=40V、また、VRF=611Vを用いたイオントラップDDCのプロダクトイオンスペクトルを示しており、同位体パターンに示されているように、臭素置換を含む数種類の高質量のプロダクトイオンと、水及び臭化水素の連続的な損失から得られる第3生成物と一致する質量/電荷比=291における多量の生成物と、を示している。
このDDC CIDでは、346/348の質量電荷比においてイオンを生み出すように、順々に連続的にイオン解離が現れ、さらに、水の損失が、連続的な開裂により、続いて起こり得、またさらに、どちらか一方のイオンが、LC/MS/MS分析を監視するための単一反応として用いられてもよい。
図4Bは、AC CIDとDDC CIDを直接比較するために、7.5ms間,500mVp-p,及び,イオンの閉じ込めによい深さ12.37Vの補助的な交流電圧を用いた従来のACイオントラップの衝突活性化後に得られた、プロトン化したブロモクリプチンのプロダクトイオンのスペクトルを示している。双方のスペクトルが、同様の主要な解離を示している一方で、DDCの実験は実質的に、より大きな連続的開裂を生み出すが、AC CID実験は、水の損失をもたらす主要な第1の開裂の発生によって特色付けられる。
図4Cは、VDDC=28V、また、VRF=611Vを用いたDDC CIDのトランスミッションモードの結果を示している。本明細書におけるDDCのトランスミッションモードの結果は、DDCのイオントラップの結果と類似している。上述したロイシンエンケファリンの実験と同様に、DDCが適用された場合でも、トータルのイオン信号において測定上損失がないことが示されていた。
より低いVDDC,及び,おそらく、イオントラップの実験より短いコリジョンセル内の滞留時間であるにもかかわらず、イオントラップの実験より大きいプリカーサーイオンのフラグメントが、トランスミッションモード実験における解離を起こすように現れていた。これは、トランスミッションモード実験におけるコリジョンセルへの注入と関連した衝突活性化の寄与によって生じたものである。このVDDCを適用する前では大きなCIDがないことが示されているが、このVDDCが適用された場合、解離速度に寄与しうる、イオンのいくつかの衝突活性化が存在するだろう。2種類の衝突活性化(すなわち、ビーム型の衝突活性化とDDC衝突活性化)を、どの程度まで組み合わせて用いることが可能かを判断するために、DDCのトランスミッションモード実験のさらなる試験が行われるだろう。
本開示において、質量選択が行われる第1四重極段階にイオンを注入するステップを含んだ、多段階の線形イオントラップを動作させる方法が記述されてきた。質量選択がなされたイオンは、トランスミッションモードで動作する第2四重極段階へ注入される。第2四重極段階における第1の対向する一組のロッドは、それらの間に第1DC電位差を有するように動作し、かつ、第2四重極段階における第2の対向する一組のロッドは、それらの間に第2DC電位差を有するように動作する。第2四重極段階からのイオンは、質量分析計またはさらなる処理段階であろう、もう1つの装置へ注入される。この第1の一組のロッドは、電位差ゼロで動作してもよく、かつ、第2の一組のロッドは、選択された電位差で動作してもよい。
本発明における方法は、イオン源と、対向する一組のロッドがDC電位差を有して動作するトランスミッションモードにおける第1四重極段階との間に配置される、1つの四重極段階を動作させることを含んでもよい。
もう1つの四重極イオントラップ,または,他の処理段階が、第2イオントラップの後に続いて配置されてもよい。このもう1つの四重極イオントラップは、トランスミッションモードで動作されてもよい。もう1つの四重極イオントラップのロッドに適用されるDC電圧は、このトラップ内のイオンの運動が実質的に装置の軸に沿ったものであるように設定することができる。
さらなる四重極処理段階,飛行時間型質量分析計であってもよい質量分析計,または同種のものを含む第2四重極段階の後に、様々な他の処理段階が続いてもよい。
本明細書において、前述の詳細な説明が制限するというよりは、むしろ例示的なものとして考慮されること、また、当然のことながら、前述の詳細な説明のすべてと等価であることが考慮されている、後続の特許請求の範囲が、本発明の技術的思想と範囲を定めること、が意図されている。

Claims (8)

  1. 多段階の線形イオントラップを動作させる方法であって、
    イオンを第1四重極段階へ注入すること、
    前記第1四重極段階において分析用のイオンを質量選択すること、及び、
    質量選択されたイオンを第2四重極段階へ注入すること、を含み、
    前記第2四重極段階の対称軸からイオンを移動させるように、所定のDC電位差で動作する、前記第2四重極段階における二組のロッドのうちの一組の対向するロッドを有して、前記第2四重極段階は、トランスミッションモードで動作し、かつ、
    前記第2四重極段階から質量分析計へイオンを注入する、ことを特徴とする方法。
  2. 所定のDC電位差で動作する前記第2四重極段階における一組の対向するロッドを有して、トランスミッションモードにおいて、イオン源と前記第1四重極段階との間に配置される1つの四重極段階を動作させることをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. トランスミッションモードにおいて、前記第2四重極段階と前記質量分析計との間に配置される1つのイオントラップを動作させることをさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記多段階の線形イオントラップの各段階は、トランスミッションモードで動作することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記質量分析計は、飛行時間型質量分析計であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記第2四重極段階の対向する二組のロッドのうちの第1組ロッドは、第1DC電位差で維持され、かつ、前記第2四重極段階の対向する二組のロッドのうちの第2組ロッドは、第2DC電位差で動作する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. 前記第1DC電位差はゼロであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 前記第1組ロッドは第1DC電源により動作し、かつ、前記第2組ロッドは、前記第2組ロッドの各ロッド用としての別の電源を用いて動作することを特徴とする請求項6に記載の方法。
JP2014515980A 2011-06-15 2012-06-14 電気力学的多重極装置により伝播されるイオンの双極dc衝突活性化用の方法及び装置 Pending JP2014518435A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201161497246P 2011-06-15 2011-06-15
US61/497,246 2011-06-15
PCT/US2012/042384 WO2012174198A2 (en) 2011-06-15 2012-06-14 Method and apparatus for dipolar dc collisional activation of ions transmitted through an electrodynamic multipole device

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014518435A true JP2014518435A (ja) 2014-07-28

Family

ID=47357722

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014515980A Pending JP2014518435A (ja) 2011-06-15 2012-06-14 電気力学的多重極装置により伝播されるイオンの双極dc衝突活性化用の方法及び装置

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20140145095A1 (ja)
EP (1) EP2721630A4 (ja)
JP (1) JP2014518435A (ja)
WO (1) WO2012174198A2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013098600A1 (en) * 2011-12-27 2013-07-04 Dh Technologies Development Pte Ltd Method of extracting ions with a low m/z ratio from an ion trap
GB201614540D0 (en) * 2016-08-26 2016-10-12 Micromass Ltd Controlling ion temperature in an ion guide

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7019285B2 (en) * 1995-08-10 2006-03-28 Analytica Of Branford, Inc. Ion storage time-of-flight mass spectrometer
GB2390935A (en) * 2002-07-16 2004-01-21 Anatoli Nicolai Verentchikov Time-nested mass analysis using a TOF-TOF tandem mass spectrometer
WO2005028973A2 (en) * 2003-09-17 2005-03-31 Sionex Corporation Solid-state flow generator and related systems, applications, and methods
US8598517B2 (en) * 2007-12-20 2013-12-03 Purdue Research Foundation Method and apparatus for activation of cation transmission mode ion/ion reactions
US8541737B2 (en) * 2009-11-30 2013-09-24 Battelle Memorial Institute System and method for collisional activation of charged particles

Also Published As

Publication number Publication date
WO2012174198A3 (en) 2013-03-14
EP2721630A4 (en) 2015-05-27
US20140145095A1 (en) 2014-05-29
WO2012174198A2 (en) 2012-12-20
EP2721630A2 (en) 2014-04-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7872228B1 (en) Stacked well ion trap
JP4312708B2 (ja) 衝突エネルギーを変化させることによる質量分析における広いイオンフラグメント化範囲を得る方法
US9947520B2 (en) Ion analyzer including detector for detecting fragment ions generated by ion-dissociation
US7170051B2 (en) Method and apparatus for ion fragmentation in mass spectrometry
US7381946B2 (en) Mass spectrometer
JP5912253B2 (ja) パルス圧力による低圧短時間高振幅励起を提供するための線形イオントラップの動作方法
US8227748B2 (en) Confining positive and negative ions in a linear RF ion trap
US6800851B1 (en) Electron-ion fragmentation reactions in multipolar radiofrequency fields
JP2010511861A (ja) 透過モードのイオン/イオン解離のための方法および装置
US7397029B2 (en) Method and apparatus for ion fragmentation in mass spectrometry
US20230178350A1 (en) Rapid identification and sequence analysis of intact proteins in complex mixtures
CA2656565A1 (en) Neutral/ion reactor in adiabatic supersonic gas flow for ion mobility time-of-flight mass spectrometry
JPWO2007060755A1 (ja) イオンガイド装置、イオン反応装置、及び質量分析装置
Xu et al. Ion trap mass analysis at high pressure: a theoretical view
Collings et al. MS/MS of ions in a low pressure linear ion trap using a pulsed gas
Webb et al. Trapping mode dipolar DC collisional activation in the RF‐only ion guide of a linear ion trap/time‐of‐flight instrument for gaseous bio‐ion declustering
JP5749018B2 (ja) 低圧力短時間高振幅励起を提供するために線形イオントラップを動作する方法
Carl et al. In-source fragmentation technique for the production of thermalized ions
JP2014518435A (ja) 電気力学的多重極装置により伝播されるイオンの双極dc衝突活性化用の方法及び装置
Remes et al. Mapping the distribution of ion positions as a function of quadrupole ion trap mass spectrometer operating parameters to optimize infrared multiphoton dissociation
Hager Off-resonance excitation in a linear ion trap
Adhikari et al. Dipolar DC induced collisional activation of non‐dissociated electron‐transfer products
Cleven et al. Selective photodissociation of trapped ions after ion cloud manipulation with an impulsive quadrupolar electric field
El-Faramawy Nanospray Ionization Efficiency and Infrared Multi-photon Dissociation in Mass Spectrometry
Gao Space charge effects in linear quadrupole ion traps