JP2014514352A - ネコレトロウイルス感染症の治療に使用するための化合物 - Google Patents

ネコレトロウイルス感染症の治療に使用するための化合物 Download PDF

Info

Publication number
JP2014514352A
JP2014514352A JP2014509609A JP2014509609A JP2014514352A JP 2014514352 A JP2014514352 A JP 2014514352A JP 2014509609 A JP2014509609 A JP 2014509609A JP 2014509609 A JP2014509609 A JP 2014509609A JP 2014514352 A JP2014514352 A JP 2014514352A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
feline
compound
treatment
compound according
felv
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014509609A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5847296B2 (ja
JP2014514352A5 (ja
Inventor
ニーナ ユスタ
カトリン ハルトマン
シルヴィ ダミネ
マリィラ デビレ
ユーリ オウェルクス
ネシャ ゴリス
ステファーン ウェラ
エルウィン ブロムスマ
アイノ ビリィエ
ヤン スウィンネン
ベルト ヴランクス
ヴィールラ ドバーム
ジョアン ネイツ
Original Assignee
オカピ サイエンシーズ エン ヴェー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by オカピ サイエンシーズ エン ヴェー filed Critical オカピ サイエンシーズ エン ヴェー
Publication of JP2014514352A publication Critical patent/JP2014514352A/ja
Publication of JP2014514352A5 publication Critical patent/JP2014514352A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5847296B2 publication Critical patent/JP5847296B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/66Phosphorus compounds
    • A61K31/662Phosphorus acids or esters thereof having P—C bonds, e.g. foscarnet, trichlorfon
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07FACYCLIC, CARBOCYCLIC OR HETEROCYCLIC COMPOUNDS CONTAINING ELEMENTS OTHER THAN CARBON, HYDROGEN, HALOGEN, OXYGEN, NITROGEN, SULFUR, SELENIUM OR TELLURIUM
    • C07F9/00Compounds containing elements of Groups 5 or 15 of the Periodic Table
    • C07F9/02Phosphorus compounds
    • C07F9/547Heterocyclic compounds, e.g. containing phosphorus as a ring hetero atom
    • C07F9/6558Heterocyclic compounds, e.g. containing phosphorus as a ring hetero atom containing at least two different or differently substituted hetero rings neither condensed among themselves nor condensed with a common carbocyclic ring or ring system
    • C07F9/65583Heterocyclic compounds, e.g. containing phosphorus as a ring hetero atom containing at least two different or differently substituted hetero rings neither condensed among themselves nor condensed with a common carbocyclic ring or ring system each of the hetero rings containing nitrogen as ring hetero atom
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • A61P31/14Antivirals for RNA viruses
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

本発明は、ネコ科動物、特にネコにおけるレトロウイルス感染症の治療または予防に使用するための化合物および組成物、ならびに単独でまたはネコ免疫不全ウイルス(FIV)感染症と共にネコで発症するネコ白血病ウイルス(FeLV)の治療または予防のための薬剤の製造のための前記誘導体の使用に関する。

Description

本発明は、ネコ科動物、特にネコのレトロウイルス感染症の治療または予防に使用するための化合物および組成物、ならびにネコにおいて、単独で発症するネコ白血病ウイルス(FeLV)感染症またはネコ免疫不全ウイルス(FIV)感染症を併発するネコ白血病ウイルス(FeLV)感染症の治療または予防用の薬剤を製造するための前記誘導体の使用に関する。
ネコ免疫不全ウイルス(FIV)およびネコ白血病(FeLV)感染症が広範囲に広がっている:全イエネコ〔フェリス・カトゥス(Felis catus)〕の8%超がFIVに感染しており、最大14%がFeLVに感染している(表1)。ネコは、最も人気があり、広く普及したペット動物の1つである;世界中には4億匹超のイエネコがおり、欧州および米国が最も主要な分布範囲である。
FIV感染症は、イエネコ(Felis catus)の最も一般的なウイルス感染症疾患の1つであり、1986年に初めて発見されて以来、変わることなく世界的に流行している。FIVの検査は、一般的ではなく、FIVに対するワクチンは、2002年まで導入されなかった。前記ワクチンの有効性には議論がある。また、前記ワクチンは、EUでは使用許可されていない。また、FIVは、他の放し飼いのネコに特有のものであるが、感染は、ここでは、AIDS様疾患の発症にはつながらない。それにもかかわらず、免疫抑制が依然として起こり得る。対照的に、イエネコにおけるFIV感染症は、ヒトにおけるヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症のものと類似の疾患進行および転帰をもたらす〔ベンディネリ(Bendinelli)ら、1995〕。病気の成熟ネコ、オスネコおよび自由に徘徊しているネコは、感染している可能性が最も高い。主な自然感染経路は、噛むことによるものである〔ヤマモト(Yamamoto)ら、1989〕。垂直感染および安定した家庭のネコ間の感染は、比較的まれである。しかしながら、母ネコ(queen)から子ネコへの感染が起こり得る〔ホシエ(Hosie)ら、2009〕。
ヒトのHIV感染症の病期に類似する異なる病期で、FIV感染症の臨床経過を定義しようとする試みがなされた。ネコにおいては、ヒトにおける持続性全身性リンパ節腫脹(PGL)、リンパ節腫大症候群(LAS)ともいうと、AIDS関連症候群(ARC)との2つの異なる病期がほとんど区別されないので、ネコでは4段階のみに病期分類することがより理にかなっている〔ハートマン(Hartmann)、1998〕。FIV感染症の4つの病期への分類を表2に示す。
ネコでFIV感染症を治療するために時々使用されてるほとんどの抗ウイルス薬は、ヒトでの使用(いわゆる「カスケード利用」)、より具体的にはHIVの治療に認可されている。これらの薬物のほとんどはネコに対して毒性であるか、または効果がないものである:
・ AZT(3’−アジド−2’,3’−ジデオキシチミジンまたはジドブジン):ネコにおける一般的な副作用は、非再生性貧血である。骨髄抑制を有するネコを治療するべきではない。FIVのAZT耐性変異体は、早ければ治療開始6カ月後に生じ得る。FIV治療についてのAZTの有効性は、非常に限定的なものである。
・ ヒトインターフェロン−アルファに対する中和抗体が生じるので、ヒトインターフェロン−アルファは、3〜7週間後にはFIVに対して効果がなくなる。
・ ネコインターフェロン−オメガ(Virbagen Omega(登録商標),VIRBAC)は、ネコで耐容性が良好であり、イン・ビトロではFIVに対して活性を有するが、今のところノネコで実施された唯一の研究では、プラセボ群と比較した場合に生存率の有意な変化は示されなかった〔デ マリ(de Mari)ら、2004〕。
ネコ白血病ウイルス(FeLV)は、ネコで多くの死亡原因になっているガンマレトロウイルスである。前記ウイルスは、イエネコに影響を与え、一部のノネコの種、例えば、フェリス・シルヴェストリス(Felis silvestris)、ヨーロッパオオヤマネコ、スペインオオヤマネコなどでも発生する。ネコ白血病ウイルスは、大きく分けて、3種類:FeLV−A、FeLV−BおよびFeLV−Cに分類される。FeLV陽性ネコは、1種類、2種類または3種類すべてに感染している可能性がある。
・ FeLV−Aは、重度の免疫抑制を引き起こす。
・ FeLV−Bは、FeLV−A単独感染ネコよりも新生物疾患(すなわち、腫瘍およびその他の異常な組織成長)を引き起こす。
・ FeLV−Cは、重度の貧血を引き起こす。
初期感染後、前記ウイルスは、扁桃腺および咽頭リンパ節で複製し、その後に血流を介して体のその他の部位、特にリンパ節、骨髄および腸組織に広がり、複製し続ける。ウイルス血症は、通常、初期感染2〜4週間後に現れる。治癒の見込みはない;治療は、痛みおよび不快感を抑えることに限られる。
欧州の一部の国、米国およびカナダでは、個人で飼われているネコのFeLV感染症の有病率は、1%未満のようである。しかしながら、複数のネコを飼っており、FeLVの取り込みに対する具体的な予防策を持たない大所帯では、有病率は、20%を上回り得る〔ラッツ(Lutz)ら、2009〕。
ネコインターフェロンオメガ(インターフェロン−ω)によるFeLV誘発ウイルス血症の治療は、臨床徴候を有意に改善し、FeLVウイルス血症のネコの生存期間を延長することが示されたが、ウイルス血症の回復にはつながらなかった〔デ マリ(de Mari)ら、2004〕。しかしながら、ウイルスパラメータは、研究全体を通して測定されず、このことは、インターフェロンが二次感染を阻害したというよりも、むしろ、実際は抗FeLV効果を有するという仮説を支持しているが、さらなる研究が必要と思われる。
現在のところ、欧州では、多数のFeLVワクチンが入手可能である。FeLVが(FIVと同様に)、レトロウイルスであるならば、どのようなFeLVワクチンも100%の保護効果を提供しそうになく、感染症を予防するものがないことは、驚くべきものではない〔ホフマン−レーマン(Hofmann−Lehmann)ら、2007〕。最近の研究では、持続的なウイルス血症のネコと比較して非常に低レベルだが、p27抗原血症を克服できるネコは、例外なく血中プロウイルス陽性になり、血漿中ウイルスRNAについても陽性になることが実証された〔ホフマン−レーマン(Hofmann−Lehmann)ら、2007〕。これらの実験は、FeLVワクチン接種が無菌免疫を誘導することもなく、感染症から保護することもないことを裏付けている。
プリン塩基およびピリミジン塩基の2−ホスホノメトキシプロピル誘導体、2−ホスホノメトキシエチル誘導体ならびに3−フルオロ−2−ホスホノメトキシプロピル誘導体の分割エナンチオマーは、レトロウイルスに対して活性を持つことが過去に示された。特に、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対する9−[2−(−ホスホノ−メトキシ)プロピル]アデニン(PMPA)の活性は、実証されており、前記化合物の製剤は、HIV治療用のテノフォビル(商品名:Viread(登録商標))として販売されている。
FeLV、FIVまたはその両方を患っているネコ科動物を効率的かつ費用効果的な方法で治療するためには、ネコのレトロウイルス感染症に対する治療法の改善が非常に重要になるであろう。
本発明は、ネコ科動物ウイルス性疾患の治療におけるプリンおよびピリミジンの誘導体の使用に関する。
実際に、驚くべきことに、プリンおよびピリミジンのいくつかの誘導体、特に、プリンおよびピリミジン塩基の2−ホスホノメトキシプロピル、2−ホスホノメトキシエチルおよび3−フルオロ−2−ホスホノメトキシプロピル誘導体の分離鏡像異性体が、ネコ白血病ウイルス感染症(FeLV−感染症)およびネコ免疫不全ウイルスに対して高活性であることが見出された。特に、本発明の化合物は、FeLV、FIVまたはそれらの両方に感染したネコのウイルス量を減少させ、これらの感染症に関連した臨床症状を緩和し得ることが見出された。
したがって、本発明の1つの態様は、ネコ白血病ウイルスに感染したネコ科動物の予防および治療に使用するための化合物に関する。前記化合物は、式(I):
(式中、「」は立体中心を示し;Rは、アデニン、シトシンまたは2,6−ジアミノプリンであり;Rは、メチルまたはモノフルオロメチルであり、ただし、Rがアデニンである場合、Rは、メチルではなく;RおよびRは、水素である)
の化合物、その溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物またはプロドラッグである。
特定の実施形態において、ネコ白血病ウイルスに感染したネコ科動物の予防および治療に使用するための本発明の化合物は、式(Ia):
の立体異性的に純粋な化合物である。
特定の実施形態において、ネコ白血病ウイルスに感染したネコ科動物の予防および治療に使用するための本発明の化合物(またはその溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物もしくはプロドラッグ)は、ネコ白血病ウイルスに感染し、他のレトロウイルス、例えば、ネコ免疫不全ウイルスに同時感染しているネコ科動物の予防および治療に使用するための化合物である。
特定の実施形態において、ネコ白血病ウイルスに感染したネコ科動物の予防および治療に使用するための本発明の化合物(またはその溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物もしくはプロドラッグ)は、式(I)または(Ia)の化合物であり、式中、Rは2,6−ジアミノプリンであり、Rはメチルである。
他の特定の実施形態において、ネコ白血病ウイルスに感染したネコ科動物の予防および治療に使用するための本発明の化合物(またはその溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物もしくはプロドラッグ)は、式(I)または(Ia)の化合物であり、式中、Rは、アデニンであり、Rは、モノフルオロメチルである。
特定の実施形態において、FeLVを有するネコ科動物は、FeLVの臨床症状を有するものである。特に、これらの臨床症状は、口内炎、歯肉炎、口腔の炎症、腫瘍、下痢、神経学的症状、嗜眠、体重減少およびリンパ節炎からなる群から選択される。ある実施形態において、本発明の化合物による治療は、FeLVの1つ以上の臨床症状を緩和することを含む。ある実施形態において、本発明の化合物は、ネコ用に改変されたカルノフスキースコア(実施例2参照)を、治療前のネコのスコアと比較して、少なくとも10単位、好ましくは少なくとも15単位、さらに好ましくは少なくとも20単位増加させることを意図している。
本発明の他の態様は、FIVに感染したネコ科動物における1つ以上の臨床症状の治療に使用するための化合物に関する。前記化合物は、式(I)の化合物(またはその溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物もしくはプロドラッグ)であり、式中、Rは、2,6−ジアミノプリンであり、Rは、メチルまたはモノフルオロメチルであり、RおよびRは、水素である。特定の実施形態において、これらの化合物は、式(Ia)の立体異性的に純粋な化合物である。
ある実施形態において、FIVに感染したネコ科動物における1つ以上の臨床症状は、体重減少、不安、嗜眠、貧弱被毛状態、発熱、貧血、同時感染、胃腸炎、歯肉炎、好中球減少、熱症状、白血球減少、無食欲、新組織形成、口内炎、歯肉口内炎、鼻炎、下痢;皮膚、眼、尿路、気道の慢性または頻回感染;リンパ節炎、糸球体腎炎、出血性腸炎、挙動変化または発作を生じ得る神経系の疾患、同腹仔の流産および癌からなる群から選択される。
特定の実施形態において、FIVに感染したネコ科動物における1つ以上の臨床症状の治療に使用するための化合物は、式(I)または(Ia)の化合物(またはその溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物もしくはプロドラッグ)であり、式中、Rは、2,6−ジアミノプリンであり、Rは、メチルである。
本発明のさらなる態様は、ネコ免疫不全ウイルスまたはネコ白血病ウイルスに感染したネコ科動物、またはネコ免疫不全ウイルスおよびネコ白血病ウイルスに同時感染したネコ科動物における、1つ以上の症状の治療に使用するための化合物に関する。本発明のこの態様に係る化合物は、式(I)または(Ia)の化合物(またはその溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物もしくはプロドラッグ)であり、式中、Rは、ピリミジン、プリン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノプリン、シトシン、グアニンまたはそれらのアザもしくはデアザ類似体であり;Rは、水素、メチルまたはモノフルオロメチルであり;RおよびRは、水素である。本発明のこの実施態様による症状は、食欲不振、体重減少、好中球減少、熱症状、白血球減少、無食欲、新組織形成、不安、無関心、貧弱被毛状態、発熱、貧血、同時感染、胃腸炎、歯肉炎、口内炎、歯肉口内炎、鼻炎、下痢;皮膚、眼、尿路、気道の慢性または頻回感染;リンパ肉腫、呼吸困難、口腔の一般的炎症、下痢、リンパ節炎、粘膜蒼白、胃腸障害、糸球体腎炎、出血性腸炎、挙動変化または発作を生じ得る神経系の疾患、同腹仔の流産、腫瘍および癌からなる群から選択される。
特定の実施形態において、ネコ免疫不全ウイルスおよび/またはネコ白血病ウイルスに感染したネコ科動物における1つ以上の症状の治療に使用するための化合物(またはその溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物もしくはプロドラッグ)は、式(I)または(Ia)の化合物であり、式中、Rは、2,6−ジアミノプリン、2−アミノプリン、シトシン、グアニンまたはそれらのアザもしくはデアザ類似体である。さらなる特定の実施形態において、Rは、ジアミノプリンである。特定の実施形態において、Rは、メチルである。
特定の実施形態において、本発明の様々な態様に係るプロドラッグは、式(I)または(Ia)の化合物であり、式中、RおよびRは、同じであるかまたは互いに異なり、CHC(O)N(R、CHC(O)OR、CHOC(O)R、CH(R)OC(O)R(R、SまたはRS立体化学)、CHC(RCHOH、またはCHORであり;Rは、非置換であるかまたはヒドロキシ、酸素、窒素もしくはハロゲンで置換された、C−C20のアルキル、アリールまたはアリール−アルキルである。
特定の実施形態において、本発明の様々な態様に係る使用のための化合物は、少なくとも週1回、10〜175mg/kgの合計投与量で、1〜6週間、ネコ科動物に投与される。さらなる実施形態において、化合物は皮下注射によって投与される。
本発明の具体的な実施形態の図面の下記説明は、本質的に単なる例示であり、本開示、それらの適用または使用を限定するものではない。
A、B、C:3匹の異なるネコにおけるR−PMPDAPでの治療前および治療後のウイルス量(血漿1mL当たりのFIVウイルス粒子の数−Y軸)を表わすグラフである。 FIVおよびFeLVに同時感染したネコにおけるR−PMPDAPでの治療前および治療後のウイルス量(血漿1mL当たりのFIVおよびFeLVウイルス粒子の数−Y軸)を表わすグラフである。
本発明を具体的な実施形態に関して説明するが、本発明は、それらに限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。特許請求の範囲におけるどのような参考徴候も、その範囲を限定するものではないと解すべきである。
本明細書において使用されている単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかにそうでないと指示しない限り、単数および複数の両方を含む。
本明細書において使用されている「含有している(含んでいる)(comprising)」、「含有する(含む)(comprises)」および「から構成される(comprised of)」は、「含んでいる(including)」、「含む(includes)」または「含んでいる(含有している)(containing)」、「含む(contains)」と同義語であり、包括的または非制限的であり、付加的で、記載されていないメンバー、要素または方法の工程を除外するものではない。また、「含有している(含んでいる)(comprising)」、「含有する(含む)(comprises)」および「から構成される(comprised of)」という用語は、「consisting of(からなる)」という用語も包含する。
さらに、明細書および特許請求の範囲における第一、第二、第三などの用語は、類似要素を識別するために使用され、指定されない限り、必ずしも順番または時系列順を記述するために使用されるものではない。そのように使用される用語は、適切な状況において置換可能であり、本明細書に記述されている本発明の実施形態を、本明細書に記述または例示されている以外の順序で操作し得ると理解すべきである。
測定可能な数値、例えば、パラメータ、量、時間的持続期間などに言及する場合、本明細書において使用されている「約」という用語は、特定の数値から+/−10%以下、好ましくは+/−5%以下、より好ましくは+/−1%以下、さらに好ましくは+/−0.1%以下の変動を、かかる変動が開示される発明を実施するために適切である限り、含むことを意味する。修飾語「約」が指している数値は、明確にかつ好んで開示されているその数値自体でもあるものと理解すべきである。
端点による数値範囲の記述は、各範囲に包含される全ての数値および分数、ならびに記述されている端点を包含する。
別段の明示的記載がない限り、下記の各用語は、指示されている意味を有する。
「アシル」または「カルボニル」は、カルボン酸からのヒドロキシの除去によって形成される基である(即ち、R−C(=O)−)。好ましいアシル基としては、アセチル、ホルミルおよびプロピオニルが挙げられ、アセチルが最も好ましい。
「アルキル」は、1〜15個の炭素原子、好ましくは1〜10個の炭素原子、より好ましくは1〜5個の炭素原子、最も好ましくは1〜3個の炭素原子を有し、分岐していてもよく、分岐していなくてもよい飽和炭化水素基を意味する。アルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、tert−アミル、ペンチル、ヘキシル、へプチル、オクチルなどが挙げられ、メチル、エチル、n−プロピルおよびイソプロピルが特に好ましい例である。
「低級アルキル」は、短いアルキル、例えば、1〜約6個の炭素原子を有するアルキルである。さらに、本明細書に記載されている「低級」のアルキル、アルケニルまたはアルキニル部分(例えば、「低級アルキル」)は、アルキルの場合、1〜10個、好ましくは1〜8個の炭素原子、アルケンおよびアルキンの場合、2〜10個、好ましくは2〜8個の炭素原子を有する鎖である。
「アルコキシ」は、炭化水素鎖置換基を有する酸素基であって、前記炭化水素鎖がアルキルまたはアルケニルである酸素基を意味する(即ち、−O−アルキルまたは−O−アルケニル)。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、アリルオキシなどが挙げられる。
「アリール」は、芳香族炭化水素環である。アリール環は、単環式または縮合二環式環系である。単環式アリール環は、環に6個の炭素原子を含む。単環式アリール環は、フェニル環とも称される。二環式アリール環は、環に8〜17個の炭素原子、好ましくは9〜12個の炭素原子を含む。二環式アリール環としては、1つの環がアリールであり、もう1つの環がアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルである環系が挙げられる。好ましい二環式アリール環は、5−、6−または7−員環に縮合した5−、6−または7−員環を含む。アリール環は、非置換であってもよく、環上において1〜4個の置換基で置換されていてもよい。アリールは、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、アシルアミノ、アルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、フェニル、アリールオキシ、アルコキシ、ヘテロアルキルオキシ、カルバミル、ハロアルキル、メチレンジオキシ、ヘテロアリールオキシ、またはそれらの任意の組合せによって置換されていてもよい。好ましいアリール環としては、ナフチル、トリル、キシリルおよびフェニルが挙げられる。最も好ましいアリール環基はフェニルである。
「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードである。好ましいハロは、フルオロ、クロロおよびブロモであり、より好ましくは一般にクロロおよびフルオロ、特にフルオロである。
本明細書において使用されている用語「有効成分」とは、本発明の1つ以上の化合物、またはその異性体、溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物もしくはプロドラッグをいう。
本明細書において使用されている「薬学的に許容され得る塩」または「獣医学的に許容され得る塩」という用語は、式の化合物が形成することができ、かかる化合物の塩基形態を適切な塩基または酸で処理することによって好都合に得られうる治療上有効な非毒性の付加塩形態を意味する。前記または下記の薬学的に許容され得る酸および塩基付加塩は、式(I)の化合物が形成し得る治療上有効な非毒性の酸および塩基付加塩形態を含むものとする。薬学的に許容され得る酸付加塩は、塩基形態をそのような適切な酸で処理することによって好都合に得ることができる。適切な酸としては、例えば、ハロゲン化水素酸、例えば、塩酸または臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸;または例えば、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、蓚酸(即ち、エタン二酸)、マロン酸、コハク酸(即ち、ブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸などの有機酸が挙げられる。逆に、前記塩形態を、適切な塩基での処理によって、遊離塩基形態に変換することができる。酸性プロトンを含有する式(I)の化合物を、適切な有機および無機塩基での処理によって、それらの非毒性金属またはアミン付加塩形態に変換することもできる。適切な塩基性塩形態は、例えば、アンモニウム塩;アルカリおよびアルカリ土類金属塩、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など;有機塩基、例えば、第一級、第二級および第三級脂肪族および芳香族アミン、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、4つのブチルアミン異性体、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、キヌクリジン、ピリジン、キノリンおよびイソキノリンとの塩;ベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン塩;およびアミノ酸、例えば、アルギニン、リジンなどとの塩が挙げられる。逆に、前記塩形態を、酸での処理によって、遊離酸形態に変換することができる。
さらに、生理学的に許容されない酸または塩基の塩も、例えば、生理学的に許容され得る化合物の製造または精製に使用し得る。生理学的に許容され得る酸または塩基から誘導されたかどうかにかかわらず、全ての塩が、本発明の範囲に含まれる。本明細書において使用されている「異性体」という用語は、式(I)の化合物が有し得る互変異性型を包含する全ての可能な異性体型を意味する。別段の記載がない限り、基礎分子構造の全てのジアステレオマーおよび鏡像異性体(式(I)の化合物は、少なくとも1個のキラル中心を有し得るので)などの全ての可能な立体化学的異性体型に、標準化学命名法が適用される。特に、別段の記載がない限り、立体中心は、R−またはS−配置を有することができ、置換基はシス−またはトランス−配置を有することができる。
本明細書に引用されている全ての文献は、その全ての内容が参照により本明細書に組み込まれる。
別段の記載がない限り、本発明を開示するのに使用されている技術用語および科学用語などの全ての用語は、当業者に一般に理解される意味を有する。さらなるガイダンスにより、説明に使用されている用語の定義が、本発明の教示をより深く理解するために含まれている。本明細書に使用されている用語または定義は、本発明の理解を助けるためだけに記載されている。
本明細書全体を通して、「1つの実施形態(one embodiment)」または「ある実施形態(an embodiment)」と言う場合、その実施形態に関して記載されている特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所における「1つの実施形態において(in one embodiment)」または「ある実施形態において(in an embodiment)」という語句の出現は、必ずしも全て同じ実施形態に関するものではないが、そうである場合もある。さらに、特定の特徴、構造または特性を、1つ以上の実施形態において、この開示から当業者に明らかな任意の好適な方法で組み合わせてよい。さらに、本明細書に記載されているいくつかの実施形態は、いくつかの特徴を含み、他の実施形態に含まれる他の特徴は含まないが、当業者に理解されるように、異なる実施形態の特徴の組合せは、本発明の範囲に含まれ、異なる実施形態を形成するものとする。例えば、下記の特許請求の範囲において、特許請求されている実施形態のいずれかを、任意に組み合わせて使用することができる。
本発明の第一の態様は、ネコ科動物(レトロ)ウイルス疾患の治療におけるプリンおよびピリミジンの誘導体の使用に関する。
本発明の化合物は、自然感染したFIV−感染および/またはFeLV−感染ネコにおけるウイルス量を減少させることが見出されている。したがって、特定の実施形態において、本発明の化合物は、FIVまたはFeLVに感染したネコ科動物、特にネコの予防および/または治療における使用を意図している。
したがって、本発明は、式(I):
(式中、Rは、ピリミジン、プリン、アデニン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノプリン、シトシン、グアニン、またはそれらのアザおよびまたはデアザ類似体である。アザ類似体において、Rにおける少なくとも1個のCがNで置換されており;デアザ類似体において、Rにおける少なくとも1個のNがCで置換されている。かかる置換の組合せも本発明の範囲に含まれる。Rは、水素、ヒドロキシメチル、メチル、モノハロメチル、ジハロメチルまたはトリハロメチル、より好ましくはメチルまたはモノハロメチル、さらに好ましくはメチルであり;RおよびRは水素である)
の化合物、その溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物またはプロドラッグである。好ましい実施形態において、前記のモノハロメチル、ジハロメチルおよびトリハロメチルは、モノフルオロメチル、ジフルオロメチルおよびトリフルオロメチルである。
式(I)において、「」は、立体中心を示す。式(I)の化合物の特定の立体異性体(RまたはS配置)は、この特定の立体中心に関する前記化合物の分離鏡像異性体を指す。したがって、式(I)の化合物に関して使用される「立体異性的に純粋な」という用語は、式(I)の化合物が、「*」印の付いた立体中心において立体化学的に純粋であることを意味する。基R、R、R、RまたはRの1つ以上が立体中心を含む場合、別段の記載がない限り、これはR、SまたはRS立体化学であることができる。
特定の実施形態において、本発明の式(I)の化合物は、立体異性的に純粋である。さらに特定の実施形態において、式(I)の化合物は式(I)の特定の鏡像異性体であり、それは下記式:
で示される。
本明細書全体を通して、式(I)の化合物への言及は、式(Ia)で示されるより特定の鏡像異性体への言及も含む。
特定の実施形態において、Rは、アデニンまたは2,6−ジアミノプリンであり、Rは、メチルまたはモノフルオロメチルである。さらなる特定の実施形態において、Rがアデニンである場合、Rは、メチルではない。
特定の実施形態において、Rは、ピリミジン、プリン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノプリン、シトシン、グアニン、またはそれらのアザおよびまたはデアザ類似体である。
が2,6−ジアミノプリンであり、Rがメチルである場合、式(I)の化合物は、FIVおよび/またはFeLVに対して特に活性であり、特に、前記化合物は、ウイルス量を減少させるのにより有効であり、かつFIVまたはFeLVに感染した動物における症状の治療により有効であることがさらに見出されている。したがって、さらなる特定の実施形態において、Rは、2,6−ジアミノプリンであり、Rは、メチルである。この実施形態において、本発明の化合物は、9−(2−ホスホニルメトキシプロピル)−2,6−ジアミノプリン(PMPDAP)である。特に、特定の実施形態において、本発明の化合物は、R−PMPDAP、即ち、式(Ia)の鏡像異性体、その溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物またはプロドラッグである。さらなる特定の実施形態において、本発明の化合物は、R−PMPDAPである。
式(I)の化合物と、1つ以上のアミノ酸、特に、タンパク質成分として見出される天然アミノ酸との塩は、本発明の範囲に含まれる。前記アミノ酸は、一般に、塩基性または酸性基を有する側鎖を有するアミノ酸、例えば、リジン、アルギニンもしくはグルタミン酸、または中性基を有する側鎖を有するアミノ酸、例えば、グリシン、セリン、トレオニン、アラニン、イソロイシンまたはロイシンである。
前記化合物の純粋異性体型は、同じ基礎分子構造の他の鏡像異性体型またはジアステレオマー型を実質的に含まない異性体として定義される。特に、「立体異性的に純粋な」または「キラル的に純粋な」という用語は、少なくとも約80%(即ち、少なくとも90%の1つの異性体、および多くて10%の他の可能異性体)、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも94%、最も好ましくは少なくとも97%の立体異性体過剰率(stereoisomeric excess)を有する化合物を示す。「鏡像異性体的に純粋な」および「ジアステレオマー的に純粋な」という用語は、前記混合物の鏡像異性体過剰率、ジアステレオマー過剰率にそれぞれ鑑みて、同様に理解すべきである。したがって、鏡像異性体の混合物が下記製造法のいずれか中に得られる場合、好適なキラル固定相を使用する液体クロマトグラフィーによってそれを分離することができる。好適なキラル固定相は、例えば、多糖類、特にセルロースまたはアミロース誘導体である。市販の多糖基剤キラル固定相は、ChiralCelTM CA、OA、OB、OC、OD、OF、OG、OJおよびOK、ならびにChiralpakTM AD、AS、OP(+)およびOT(+)である。前記多糖キラル固定相と組み合わせて使用するのに適切な溶離剤または移動相は、エタノール、イソプロパノールなどのようなアルコールで改質したヘキサンなどである。シスおよびトランスの用語は、本明細書において、ケミカルアブストラクツ命名法にしたがって使用され、環部分における置換基の位置を示す。式の化合物の絶対立体化学的配置は、周知の方法、例えば、X線回折を使用して、当業者によって容易に決定することができる。
また、当業者は、本発明の化合物が、特にそれらの環境のpHに依存して、様々なプロトン化状態で存在し得ることも理解するであろう。本明細書に記載されている構造式は、いくつかの可能なプロトン化状態の1つのみで化合物を示しているが、これらの構造は、例示するものにすぎず、本発明は、どのような特定のプロトン化状態にも限定されないものと理解され、前記化合物のあらゆるプロトン化形態が本発明の範囲に含まれるものとする。
本発明の化合物は、プロドラッグとして提供され得る。特定の実施形態において、式(I)の化合物のプロドラッグは、修飾されたRおよび/またはR基を特徴とする。特に、プロドラッグにおいて、RおよびRの少なくとも1つは、CHC(O)N(R、CHC(O)OR、CHOC(O)R、CH(R)OC(O)R(R、SまたはRS立体化学)、CHC(RCHOH、またはCHORである。特定の実施形態において、RおよびRは、同じであるかまたは互いに異なり、CHC(O)N(R、CHC(O)OR、CHOC(O)R、CH(R)OC(O)R(R、SまたはRS立体化学)、CHC(RCHOH、またはCHORであり;Rは、非置換であるかまたはヒドロキシ、酸素、窒素もしくはハロゲンで置換された、C−C20のアルキル、アリールまたはアリール−アルキルである。特定の実施形態において、プロドラッグは、同一のRおよびR基を含む。
細胞による取り込み時に、式(I)のこれらの化合物は、RおよびRのいずれか1つがホスフェートまたはジホスフェートであり、他方が水素であるように、ホスホリル化され得る。したがって、特定の実施形態において、式(I)の化合物の代謝産物は、修飾されたRまたはR基を特徴とする。したがって、特定の実施形態において、式(I)の化合物の代謝産物において、RおよびRの少なくとも1つがホスフェートまたはジホスフェートである。好ましくは、式(I)の化合物の代謝産物において、RおよびRの1つがホスフェートまたはジホスフェートであり、他方が水素である。
本発明の化合物は、既知のように、かつEP0654037(これは参照として本明細書に組み込まれる)のように当技術分野で記載されているように、製造することができる。
特に、前記化合物は、FIVまたはFeLVに感染したネコ科動物おけるウイルス量を減少させるために使用される。
FIVのようなウイルスによるネコ科動物の感染(表2に記載されている急性期)の後に、人におけるHIVと同様に、ネコ科動物が一見健康に見える長い無症候期がくる場合が多いことが注目される。この無症候期は、何年も持続することができ、安定したウイルス量および臨床徴候のないことが顕著である。この期間において、ウイルス複製が免疫系によって抑制されると考えられる。しかし、CD4T−リンパ球の漸減により、CD4/CD8 T−リンパ球比率の減少もたらされ、より機能的な免疫不全が出現し得る。これは、慢性歯肉口内炎、慢性鼻炎、リンパ節炎、糸球体腎炎、出血性腸炎、同時感染、体重減少などのより顕著な臨床徴候を伴う二次感染症に高い感受性を有するAIDS終末期へと進行し、最終的に死に至る場合がある。
FIVに感染しているが無症候のキャリアにおいて、ウイルス量を減少させる化合物の能力は、臨床症状を治療するその有効性を必ずしも予測するものではないことが文献から既知である。例えば、Hartmannらは、9−(2−ホスホニルメトキシエチル)アデニン(PMEA)でのFIV感染ネコの治療が、FIV量を減少させず、それにもかかわらずカルノフスキースコアを10%向上させる一方、(S)−9−(3−フルオロ−2−ホスホニルメトキシプロピル)アデニン(FPMPA)治療は、FIV量を減少させたが、カルノフスキースコアのわずかな増加(3.8%)を生じたにすぎないことを示している〔ハーマン(Hartmann)ら、J Acquir Immune Defic Syndr Hum Retrovirol 1998〕。臨床症状の例としては、限定されないが、体重減少、不安、嗜眠、貧弱被毛状態、発熱、貧血、同時感染、胃腸炎、歯肉炎、好中球減少、(回帰)熱、白血球減少、無食欲、新組織形成、(慢性)口内炎、(慢性)歯肉口内炎、(慢性)鼻炎、下痢;皮膚、眼、尿路、気道の慢性または頻回感染;リンパ節炎、糸球体腎炎、出血性腸炎、挙動変化または発作を生じ得る神経系の疾患、同腹仔の流産および癌が挙げられる。
本発明者らは、驚くべきことに、本発明の化合物が、FIV感染の臨床病期さらにはAIDS終末期(その間に、重度の免疫抑制が動物を極度に衰弱させることが多い)において生じる症状を後退させ得ることを見出した。したがって、特定の実施形態において、本発明は、臨床症状を有するネコのFIV感染症の治療に使用するための式(I)の化合物、またはその溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物もしくはプロドラッグの使用に関する。ある実施形態において、これらの症状は、下記からなる群から選択される1つ以上の症状である:口内炎、歯肉炎、神経学的症状、嗜眠、体重減少、およびリンパ節炎。
本発明の化合物は、FIVに感染したネコ科動物の臨床症状を減少させ得ることが観察された。特定の実施形態において、1つ以上の臨床症状が、3ヶ月以内、特に6週間以内に、少なくとも50%に減少する。ある実施形態において、ネコ用に改変されたカルノフスキースコア(実施例2参照)が、3ヶ月以内に、治療前のネコのスコアと比較して少なくとも10単位増加する。したがって、本発明のさらなる態様は、ネコ科動物におけるFIV感染症に関連した臨床症状の治療における、本発明の化合物の使用に関する。したがって、本発明は、有効量の前記化合物を前記ネコ科動物に投与することを含む、FIVに感染したネコ科動物におけるFIV感染症の1つ以上の臨床症状の治療方法を提供する。特定の実施形態において、本発明の化合物は、FIVに感染したネコ科動物の歯肉炎および/または口内炎の治療における使用を意図している。ある実施形態において、前記化合物は、FIVに感染したネコ科動物において、ネコ用に改変されたカルノフスキースコア(実施例2参照)を、治療前のネコ科動物のスコアと比較して少なくとも10単位、好ましくは少なくとも15単位、さらに好ましくは少なくとも20単位増加させることを意図している。
本発明者らは、さらに、FIVに感染したネコ科動物、特に臨床症状を有するFIV感染ネコの治療、特にFIVに関連した臨床症状の治療のための最適な投与レジメンを開発した。実際に、本発明の化合物を少なくとも週1回、10〜175mg/kgの合計投与量で投与した場合に、FIVに感染したネコ科動物の最適な治療が達成されることが見出された。かかる投与レジメンは、FIVに感染したネコ科動物におけるウイルス量の減少および/または臨床症状の減少を確実なものにする。したがって、本発明のさらなる実施態様は、前記化合物を少なくとも週1回、10〜175mg/kgの合計投与量で投与する本発明の治療法に使用するために本発明の化合物を提供する。ある実施形態において、前記化合物は、経口経路で投与される。好ましい実施形態において、前記化合物は、皮下注射によって投与される。
さらなる実施態様において、本発明は、特に、ネコ白血病ウイルス(FeLV)の治療に使用するための化合物を提供する。FeLVは、FIVと同様にレトロウイルス科に含まれるガンマレトロウイルス属であるが、その属(FIVの場合はレンチウイルス属である)によって生じる疾患の病理を含む多くの点でFIVと異なる。種々のプリンおよびピリミジン誘導体が、種々の抗ウイルススペクトルを有することが見出されている。本発明者らは、本明細書において、本発明の化合物がFeLVの治療に有効であり、ウイルス量を減少させ、かつ臨床症状を緩和することを示している。
特に、本発明は、FeLVに感染したネコ科動物、例えば、ネコなどの予防および治療に使用するための式(I)の化合物、またはその溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物もしくはプロドラッグに関する。特に、本発明は、FeLVの治療に使用するための立体異性的に純粋な化合物を提供する。
特に、FeLVに感染したネコ科動物、例えば、ネコの予防および治療に使用するための式(I)の化合物において、Rは、ピリミジンまたはプリン誘導体、特に、ピリミジン、プリン、アデニン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノプリン、シトシンまたはグアニン、特に、アデニン、2,6−ジアミノプリンまたはシトシンである。特定の実施形態において、Rは、アデニンおよび2,6−ジアミノプリンであり、式(I)の化合物におけるRは、水素、メチルまたはモノフルオロメチル、好ましくはメチルまたはモノフルオロメチルである。特定の実施形態において、Rは、メチルである。さらなる特定の実施形態において、Rがアデニンである場合、Rは、メチルではない。RおよびRは、水素である。ある実施形態において、本発明は、ネコにおけるFeLVの予防および治療に使用するための式(I)の立体異性的に純粋な化合物に関する。特に、式(I)の化合物の異性体は、式(Ia)の特定の鏡像異性体である。
特定の実施形態において、FeLVに感染したネコ科動物、例えば、ネコなどの予防および治療に使用するための式(I)の化合物は、R−PMPDAP、その溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物またはプロドラッグである。ここで、Rは、2,6−ジアミノプリンであり、Rは、メチルである。実際に、R−PMPDAPは、FeLVに対して特に活性であり、特に、前記化合物はウイルス量を減少させるのにより有効であり、FeLVに感染した動物における症状の治療により有効であることが見出されている。したがって、特定の実施形態において、FeLVに感染したネコ科動物、例えば、ネコの予防および治療に使用するための式(I)の化合物は、R−PMPDAPである。特に、本発明は、R−PMPDAPの立体異性的に純粋な製剤に関する。
さらなる特定の実施形態において、FeLVに感染したネコ科動物、例えば、ネコの予防および治療に使用するための式(I)の化合物は、(S)−9−(3−フルオロ−2−ホスホノメトキシプロピル)アデニン(S−FPMPA)、その溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物またはプロドラッグである。ここで、Rは、アデニンであり、Rは、モノフルオロメチルである。さらなる特定の実施形態において、FeLVに感染したネコ科動物、例えば、ネコの予防および治療に使用するための化合物は、S−FPMPAである。
さらなる特定の実施形態において、FeLVに感染したネコ科動物、例えば、ネコの予防および治療に使用するための式(I)または(Ia)の化合物は、9−[2−(ホスホノ−メトキシ)プロピル]アデニン(PMPA)もしくはR−PMPA、その溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物またはプロドラッグである。ここで、Rは、アデニンであり、Rは、メチルである。さらなる特定の実施形態において、FeLVに感染したネコ科動物、例えば、ネコの予防および治療に使用するための化合物は、PMPAまたはR−PMPAである。
さらなる特定の実施形態において、FeLVに感染したネコ科動物、例えば、ネコの予防および治療に使用するための式(I)または(Ia)の化合物は、9−[2−(ホスホノ−メトキシ)エチル]−2,6−ジアミノプリン(PMEDAP)もしくはR−PMEDAP、その溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物またはプロドラッグである。ここで、Rは、2,6−ジアミノプリンであり、Rは、水素である。さらなる特定の実施形態において、FeLVに感染したネコ科動物、例えば、ネコの予防および治療に使用するための化合物は、PMEDAPまたはR−PMEDAPである。
特定の実施形態において、化合物は、ネコ科動物におけるウイルス量を減少させるための使用を意図している。さらなる特定の実施形態において、化合物は、感染症の臨床症状を減少させるための使用を意図している。特に、特定の実施形態において、本発明の化合物は、FeLVに感染したネコ科動物において、食欲不振およびまたは体重減少、熱症状、無関心、リンパ節腫脹、粘膜蒼白、胃腸障害、リンパ肉腫、衰弱した免疫系による二次感染症、呼吸困難、口腔の一般的炎症、リンパ節炎、下痢、腫瘍および歯肉炎/口内炎からなる群から選択される臨床徴候の治療に使用することを意図している。さらなる特定の実施形態において、本発明の化合物は、FeLVに感染したネコ科動物における歯肉炎および/または口内炎の治療における使用を意図している。ある実施形態において、前記化合物は、FeLVに感染したネコ科動物において、ネコ用に改変されたカルノフスキースコア(実施例2参照)を、治療前のネコ科動物のスコアと比較して、少なくとも10単位、好ましくは少なくとも15単位、さらに好ましくは少なくとも20単位増加させることを意図している。
さらに、本発明者らは、FeLVに感染したネコ科動物の治療のための、最適投与レジメンを開発した。実際に、本発明の化合物を少なくとも週1回、10〜175mg/kgの合計投与量で投与した場合に、FeLVに感染したネコ科動物の最適な治療が達成されることが見出された。かかる投与レジメンは、FeLVに感染したネコ科動物におけるウイルス量の減少および/または臨床症状の減少を確実なものにする。したがって、本発明のさらなる実施態様は、前記化合物を少なくとも週1回、10〜175mg/kgの合計投与量で投与する本発明の治療法に使用するために本発明の化合物を提供する。ある実施形態において、前記化合物は、経口経路で投与される。好ましい実施形態において、前記化合物は、皮下注射によって投与される。
ネコ科動物におけるFIVおよびFeLV感染症の両方に対する本発明の化合物の有効性に鑑みて、本発明のさらなる実施態様は、FIVおよびFeLVに同時感染したネコ科動物の治療におけるこれらの化合物の使用に関する。
したがって、特定の実施形態において、本発明は、FeLVおよびFIVに同時感染したネコの治療に使用するための、式(I)の化合物、またはその溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物もしくはプロドラッグに関し、式中、Rは、ピリミジンまたはプリン誘導体であり、式(I)の化合物におけるRは、水素、メチルまたはモノフルオロメチルであり、RおよびRは、水素である。特定の実施形態において、Rは、ピリミジン、プリン、アデニン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノプリン、シトシンまたはグアニンから選択される。さらに特定の実施形態において、Rは、アデニンおよび2,6−ジアミノプリンから選択される。特定の実施形態において、Rは、メチルまたはモノフルオロメチルから選択される。さらに特定の実施形態において、Rは、メチルである。さらなる特定の実施形態において、Rがアデニンである場合、Rは、メチルではない。
ある実施形態において、FeLVおよびFIVに同時感染したネコの治療に使用するための、式(I)の化合物は、立体異性的に純粋である。さらなる特定の実施形態において、本発明は、式(Ia)で示される本発明の化合物の立体異性的に純粋な異性体を提供する。
が2,6−ジアミノプリンであり、Rがメチルである場合、本発明の化合物は、FIVおよびFeLVに同時感染したネコ科動物、特にネコの治療において、特に有効であることが見出されている。したがって、特定の実施形態において、FIVおよびFeLVに同時感染したネコ科動物、例えば、ネコの治療に使用するための式(I)の化合物は、R−PMPDAP、その溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物またはプロドラッグである。特定の実施形態において、FIVおよびFeLVに同時感染したネコ科動物、例えば、ネコの治療に使用するための式(I)の化合物は、R−PMPDAPである。
特定の実施形態において、FIVおよびFeLVに同時感染したネコ科動物、例えば、ネコの治療に使用するための式(I)の化合物は、(S)−9−(3−フルオロ−2−ホスホノメトキシプロピル)アデニン(S−FPMPA)、その溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物またはプロドラッグである。ここで、Rは、アデニンであり、R2、モノフルオロメチルである。さらなる特定の実施形態において、FIVおよびFeLVに同時感染したネコ科動物、例えば、ネコの治療に使用するための化合物は、S−FPMPAである。
特定の実施形態において、本発明の化合物は、これらの疾患の1つまたは両方の臨床症状を有するかまたは有さないネコ科動物において、FIVおよびFeLVのウイルス量を減少させるために使用することを意図している。特定の実施形態において、前記化合物は、これらの疾患に関連した1つ以上の前記臨床症状の治療における使用を意図している。
特に、本発明は、FIVおよびFeLVに感染したネコ科動物における、食欲不振、体重減少、好中球減少、熱症状、白血球減少、無食欲、新組織形成、不安、無関心、貧弱被毛状態、発熱、貧血、同時感染、胃腸炎、歯肉炎、口内炎、歯肉口内炎、鼻炎、下痢;皮膚、眼、尿路、気道の慢性または頻回感染;リンパ肉腫、呼吸困難、口腔の一般的炎症、下痢、リンパ節炎、粘膜蒼白、胃腸障害、糸球体腎炎、出血性腸炎、挙動変化または発作を生じ得る神経系の疾患、同腹仔の流産、腫瘍および癌からなる群から選択される1つ以上の症状の治療に使用するための本発明の化合物を提供する。ある実施形態において、前記化合物は、FIVおよびFeLVに感染したネコ科動物において、ネコ用に改変されたカルノフスキースコア(実施例2参照)を、治療前のネコ科動物のスコアと比較して、少なくとも10単位、好ましくは少なくとも15単位、さらに好ましくは少なくとも20単位増加させることを意図している。
特定の実施形態において、本発明は、ネコにおけるFeLVおよびFIVの予防および治療に使用するための立体異性的に純粋な式(I)の化合物に関する。
本発明者らは、さらに、FIVおよびFeLVに同時感染したネコ科動物の治療のための最適投与レジメンを開発した。実際に、本発明の化合物を少なくとも週1回、10〜175mg/kgの合計投与量で投与した場合に、FIVおよびFeLVに同時感染したネコ科動物の最適治療が達成されることが見出されている。かかる投与レジメンは、FIVおよびFeLVに同時感染したネコ科動物におけるウイルス量の減少および/または臨床症状の減少を確実なものにする。したがって、本発明のさらなる実施態様は、前記化合物を少なくとも週1回、10〜175mg/kgの合計投与量で投与する本発明の治療法に使用するために本発明の化合物を提供する。ある実施形態において、前記化合物は、経口経路で投与される。好ましい実施形態において、前記化合物は、皮下注射によって投与される。
本発明は、さらに、意図する治療的使用に特に好適な本発明の化合物の製剤を提供する。本発明の化合物は、慣例にしたがって選択される通常の担体および賦形剤と共に配合し得る。錠剤は、賦形剤、滑剤、充填剤、結合剤などを含むものである。水性製剤は、滅菌形態で製造され、経口投与以外での送達を意図する場合は、一般に等張性である。製剤は、「Handbook of Pharmaceutical Excipients」(1986)に記載されているような賦形剤を任意に含み、それらは水酸化ナトリウム、アスコルビン酸および他の抗酸化剤、キレート化剤、例えば、EDTA;炭水化物、例えば、デキストリン、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ステアリン酸などを含む。
したがって、本明細書において使用されている「薬学的に許容され得る担体」または「獣医学的に許容され得る担体」は、例えば、組成物を溶解、分散または拡散させることによって、治療対象の部位への有効成分の適用または送達を容易にするため、および/またはその有効性を損なわずにその貯蔵、輸送または取扱を容易にするために、有効成分と共に配合される任意の材料または物質を意味する。薬学的に許容され得る担体または獣医学的に許容され得る担体は、固体であってもよく、液体であってもよく、液体を形成するために圧縮された気体であってもよく、即ち、本発明の組成物は、濃縮剤、乳剤、液剤、顆粒剤、粉剤、スプレー剤、エーロゾル剤、懸濁剤、軟膏剤、クリーム剤、錠剤、ペレット剤または散剤として適切に使用することができる。
前記薬学的組成物およびそれらの製剤に使用するための好適な薬学的担体は、当業者に周知であり、本発明において、それらの選択に特定の制限はない。それらとしては、湿潤剤、分散剤、粘着剤、接着剤、乳化剤、溶剤、被覆剤、抗細菌および抗真菌剤(例えば、フェノール、ソルビン酸、クロロブタノール、ベンジルアルコールなど)、等張剤(例えば、砂糖、塩化ナトリウムなど)などの添加剤が挙げられるが、ただし、それらは薬学的慣習に一致するものであり、即ち、哺乳動物に持続的損傷を与えない担体および添加剤であるものとする。本発明の薬学的組成物は、任意の公知方法において、例えば、選択された担体物質、および場合によっては界面活性剤などの他の添加剤を使用して、有効成分を一段階または多段階法で均一混合、被覆および/または磨砕することによって製造することができ、さらに、例えば、約1〜10μmの直径を通常有するマイクロスフェアの形態でそれらを得るために、即ち、有効成分の制御または持続放出のためのマイクロカプセル剤の製造のために、微粉化(inicronisation)によって製造することもできる。
本発明の薬学的組成物に使用するのに好適なエマルジェントまたは乳化剤としても知られる界面活性剤は、良好な、乳化特性、分散特性および/または湿潤特性を有するノニオン性、カチオン性および/またはアニオン性物質である。好適なアニオン界面活性剤は、水溶性石鹸および水溶性合成界面活性剤の両方を包含する。好適な石鹸は、高級脂肪酸(C10−C22)のアルカリまたはアルカリ土類金属塩、高級脂肪酸(C10−C22)の非置換または置換アンモニウム塩、例えば、オレイン酸のナトリウムもしくはカリウム塩、ステアリン酸のナトリウムもしくはカリウム塩、またはヤシ油もしくは獣脂油から得られる天然脂肪酸混合物のナトリウムまたはカリウム塩である。合成界面活性剤としては、ポリアクリル酸のナトリウムまたはカルシウム塩;脂肪族スルホナートおよびスルフェート;スルホン化ベンズイミダゾール誘導体およびアルキルアリールスルホナートを包含する。脂肪族スルホナートまたはスルフェートは、通常、アルカリ塩、アルカリ土類金属塩、非置換アンモニウム塩、または8〜22個の炭素原子を有するアルキルもしくはアシル基で置換されたアンモニウム塩の形態であり、例えば、リグノスルホン酸のナトリウムもしくはカルシウム塩、ドデシルスルホン酸のナトリウムもしくはカルシウム塩または天然脂肪酸から得られる脂肪族アルコールスルフェートの混合物のナトリウムもしくはカルシウム塩、硫酸またはスルホン酸のエステルのアルカリもしくはアルカリ土類金属塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、および脂肪族アルコール/エチレンオキシド付加物のスルホン酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩である。好適なスルホン化ベンズイミダゾール誘導体は、好ましくは8〜22個の炭素原子を含有する。アルキルアリールスルホナートの例は、ドデシルベンゼンスルホン酸またはジブチルナフタレンスルホン酸またはナフタレンスルホン酸/ホルムアルデヒド縮合生成物の、ナトリウム、カルシウムまたはアルカノールアミン塩である。対応するリン酸塩、例えば、リン酸エステルの塩、p−ノニルフェノールとエチレンおよび/またはプロピレンオキシドとの付加物、またはリン脂質も好適である。この目的に好適なリン脂質は、セファリンまたはレシチン型の天然(動物または植物細胞に由来)または合成リン脂質、例えば、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセリン、リゾレシチン、カルジオリピン、ジオクタニルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、およびそれらの混合物である。
好適なノニオン界面活性剤としては、分子中に少なくとも12個の炭素原子を含有するアルキルフェノール、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族アミンまたはアミドのポリエトキシル化およびポリプロポキシル化誘導体、アルキルアレンスルホナートおよびジアルキルスルホスクシネート、例えば、脂肪族および脂環式アルコール、飽和および不飽和脂肪酸およびアルキルフェノールのポリグリコールエーテル誘導体が挙げられ、前記誘導体は、好ましくは、3〜10個のグリコールエーテル基、および(脂肪族)炭化水素部分に8〜20個の炭素原子、およびアルキルフェノールのアルキル部分に6〜18個の炭素原子を含む。さらなる好適なノニオン界面活性剤は、ポリエチレンオキシドと、アルキル鎖中に1〜10個の炭素原子を含む、ポリプロピレングリコール、エチレンジアミノポリプロピレングリコールとの水溶性付加物であり、前記付加物は、20〜250個のエチレングリコールエーテル基および/または10〜100個のプロピレングリコールエーテル基を含有する。かかる化合物は、通常、プロピレングリコール単位当たり1〜5個のエチレングリコール単位を含む。ノニオン界面活性剤の代表例は、ノニルフェノール−ポリエトキシエタノール、ヒマシ油ポリグリコールエーテル、ポリプロピレン/ポリエチレンオキシド付加物、トリブチルフェノキシポリエトキシエタノール、ポリエチレングリコールおよびオクチルフェノキシポリエトキシエタノールである。ポリエチレンソルビタン(例えば、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエートの脂肪酸エステル)、グリセリロールの脂肪酸エステル、ソルビタンの脂肪酸エステル、スクロースの脂肪酸エステルおよびペンタエリトリトールの脂肪酸エステルも好適なノニオン界面活性剤である。
好適なカチオン界面活性剤としては、ハロ、フェニル、置換フェニルまたはヒドロキシで任意に置換された4個の炭化水素基を有する、第四級アンモニウム塩、特にハロゲン化物;例えば、N−置換基として、少なくとも1個のC−C22アルキル基(例えば、セチル、ラウリル、パルミチル、ミリスチル、オレイルなど)、およびさらなる置換基として、非置換またはハロゲン化低級アルキル、ベンジルおよび/またはヒドロキシ−低級アルキル基を含む第四級アンモニウム塩が挙げられる。
この目的に好適な界面活性剤のより詳しい説明は、例えば、「McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers Annual」(MC Publishing Corp.,Ridgewood,New Jersey,1981)、「Tensid−Taschenbuch」第2版(Hanser Verlag,Vienna,1981)および「Encyclopaedia of Surfactants」(Chemical Publishing Co.,New York,1981)に見い出すことができるであろう。
有効成分は、単独で投与することができるが、医薬製剤として与えることが好ましい。本発明の獣医学的使用のための製剤は、少なくとも1つの前記有効成分を、それのための1つ以上の獣医学的に許容され得る担体、および任意に他の治療成分と共に含んで成る。担体は、最適には、製剤の他の成分と適合性であり、かつそのレシピエントに有害でないという意味において「許容され得る」。製剤としては、経口または非経口(皮下、腹腔内、筋肉内、静脈内、皮内、髄腔内、硬膜外など)投与に好適な製剤が挙げられる。製剤は、好都合にも、単位投与形態で与えることができ、薬学分野で周知の任意の方法によって製造し得る。特定の実施形態において、前記したように、本発明の化合物は、経口または注射可能製剤として提供される。
かかる方法は、1つ以上の副成分を構成する担体と、有効成分とを合わせるステップを含む。一般に、前記製剤は、有効成分を、液体担体または微細固体担体またはその両方と均一かつ密接に合わし、次に、必要であれば、生成物を成形することによって製造される。
経口投与に好適な本発明の製剤は、個別単位として、例えば、所定量の有効成分をそれぞれ含有するカプセル剤、カシェ剤、腸溶カプセル剤または錠剤として;散剤または顆粒剤として;水性液体または非水性液体中の液剤または懸濁剤として;または水中油型液状乳剤または油中水型液状乳剤として与えることができる。有効成分をボーラス、舐剤またはペースト剤として与えることもできる。
錠剤は、任意に1つ以上の副成分と共に、圧縮または成形することによって製造し得る。圧縮錠剤は、結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、保存剤、界面活性剤または分散剤と任意に混合された粉末または顆粒などの易流動形態の有効成分を、好適な機械において、圧縮させることによって製造し得る。成形錠剤は、好適な機械において、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末状化合物の混合物を成形することによって製造し得る。錠剤は、任意に被覆するかまたは刻み目を入れることができ、その中の有効成分の遅延または制御放出を与えるように配合することができる。
製剤は、有効成分を、例えば、0.075〜20%w/w(0.6%w/w、0.7%w/wなどのように0.1%w/wずつ増加する0.1%〜20%の有効成分を含む)、好ましくは0.2〜15%w/w、最も好ましくは0.5〜10%w/wの量で含む局所用軟膏剤またはクリーム剤として任意に適用される。軟膏剤に配合する場合、有効成分をパラフィン系または水混和性軟膏基剤と共に使用し得る。または、有効成分を、水中油型クリーム基剤と共にクリーム剤に配合し得る。所望であれば、クリーム基剤の水性相は、例えば、少なくとも30%w/wの多価アルコール、即ち2個以上のヒドロキシル基を有するアルコール、例えば、プロピレングリコール、ブタン1,3−ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロールおよびポリエチレングリコール(PEG400など)およびそれらの混合物を含み得る。局所用製剤は、望ましくは、皮膚または他の患部からの有効成分の吸収または浸透を促進する化合物を含み得る。かかる皮膚浸透促進剤の例としては、ジメチルスルホキシドおよび関連類似体が挙げられる。
本発明の乳剤の油相は、公知の方法で公知の成分から構成され得る。前記油相は、乳化剤(エマルジェントとしても知られる)のみを含有してもよいが、望ましくは、少なくとも1つの乳化剤と、脂肪もしくは油または脂肪および油の両方との混合物を含有する。任意に、親水性乳化剤が、安定剤として作用する親油性乳化剤と共に含まれる。油および脂肪の両方を含むことも好ましい。あわせて、安定剤を有する乳化剤または安定剤を有しない乳化剤がいわゆる乳化蝋を構成し、前記乳化蝋が油および脂肪と共にいわゆる乳化軟膏基剤を構成し、前記基剤がクリーム製剤の分散油相を形成する。
薬学的乳剤製剤に使用されることが多い大部分の油における活性化合物の溶解性は極めて低いので、製剤に好適な油または脂肪の選択は、所望される美容的特性を得ることに基づく。したがって、クリーム剤は、任意に、チューブまたはその他の容器からの漏れを防ぐのに適した粘稠度を有し、べたつかない、非汚染性および洗浄可能な製剤にすべきである。直鎖または分岐鎖の一または二塩基性アルキルエステル、例えば、ジ−イソアジペート、イソセチルステアレート、ヤシ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、イソプロピルミリステート、デシルオレエート、イソプロピルパルミテート、ブチルステアレート、2−エチルヘキシルパルミテート、またはCrodamol CAPとして既知の分岐鎖エステルのブレンドを使用でき、最後の3つが好ましいエステルである。これらは、必要とされる特性に依存して、単独でまたは組み合わせて使用し得る。代替的には、高融点脂質、例えば、白色軟質パラフィンおよび/または流動パラフィンまたは他の鉱油を使用することができる。
好ましい単位投与製剤は、前記の有効投与量またはその適切な割合(fraction)の有効成分を含有する製剤である。先に特に記載した成分の他に、本発明の製剤は、当該製剤のタイプを考慮して獣医学分野において一般的な他の物質を含有し得るものと理解すべきであり、例えば、経口投与に好適な物質は香味剤を含み得る。
本発明の化合物は、1つ以上の本発明の化合物を有効成分として含む制御放出薬学的製剤(「制御放出製剤」)として提供することができ、当該製剤において、より低頻度の投与を可能にするため、または所定の本発明の化合物の薬物動態プロフィールまたは毒性プロフィールを向上させるために、有効成分の放出を制御し調節することができる。個別単位が1つ以上の本発明の化合物を含有する経口投与用に適合された制御放出製剤は、従来の方法にしたがって製造することができる。前記組成物中の有効成分の作用時間を制御するために、付加的成分を含み得る。したがって、制御放出組成物は、適切なポリマー担体、例えば、ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニルピロリドン、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、プロタミンスルフェートなどを選択することによって得られる。薬物放出速度および作用時間は、高分子物質、例えば、ヒドロゲル、ポリ乳酸、ヒドロキシメチルセルロース、ポリメチルメタクリレート(polyniethyl methacrylate)およびその他の前記ポリマーの粒子、例えば、マイクロカプセルに、有効成分を入れることによっても制御し得る。かかる方法としては、リポソーム、マイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、ナノカプセルなどのようなコロイド状薬物送達システムなどが挙げられる。投与経路に依存して、獣医学的組成物は保護被膜を必要とし得る。注射使用に好適な薬学的形態としては、滅菌水溶液または分散液、およびその即時調製のための滅菌粉末などが挙げられる。したがって、この目的のための一般的担体としては、生体適合性の水性緩衝液、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどおよびそれらの混合物が挙げられる。
いくつかの有効成分を組み合わせて使用した場合に、それらは治療されるネコに同時に直接的に連合治療効果を必ずしも示すわけではないことを考慮して、対応する組成物は、分離しているが隣接している容器または区画に2つの成分を含む医療キットまたはパッケージの形態にすることもできる。したがって、後者の場合、各有効成分を他の成分と異なる投与経路に適した方法で配合することができ、例えば、それらの一方を経口または非経口製剤の形態にすることができ、他方を静脈注射用のアンプルの形態にすることができる。
本発明の特定の実施形態は、本発明の化合物の様々な前駆物質または「プロドラッグ」形態に関する。それ自体では有意に生物学的活性でないが、ネコに投与した場合に、ネコの体の通常機能、特に胃または血清に存在する酵素によって触媒され、本明細書に定義されている化合物を放出する作用を有する化学反応を受ける化学種の形態に、本発明の化合物を配合することが望ましい場合がある。したがって、「プロドラッグ」という用語は、生体内で活性な薬学的成分に変換されるこれらの化学種に関する。
本発明のプロドラッグは、調合剤に適した任意の形態を有することができ、例えば、エステル、特にアルキルエステルが非限定的な一般的プロドラッグ形態である。しかし、本発明の場合、プロドラッグは、標的部位に存在する酵素の作用によって共有結合が開裂される形態で必ず存在し得る。例えば、1つ以上の酵素により、C−C共有結合を前記標的部位において選択的に開裂することができ、したがって、易加水分解性の前駆物質、特に、エステル、アミドなどではない形態のプロドラッグを使用し得る。プロドラッグ中の活性薬学的成分の対応物は、異なる構造、例えば、アミノ酸またはペプチド構造、アルキル鎖、糖部分、および当分野で公知のその他のものを有することができる。
本発明の解釈上、「治療的に好適なプロドラッグ」という用語は、本明細書において下記のように定義される:「プロドラッグが投与されたネコの組織と接触した際に、過度の毒性、刺激またはアレルギー反応を生じずに、単一または多重生物学的変換によって生体内で治療活性形態に変換されるように修飾された化合物であって、意図する治療成果を達成する化合物」。
FIVおよびFeLV阻害活性は、本明細書に記載されているアッセイ、ならびに当業者に一般に知られているアッセイを使用して、容易に検出することができる。一般に、ネコ細胞をFIVおよび/またはFeLVに感染させ、被験化合物とともにまたは被験化合物非存在下にインキュベーションする。より詳しい説明が実施例に記載されている。
以下の実施例は本発明を説明するために提供するものであり、本発明の範囲を限定することを決して意味せず、決してそのように解釈されるべきではない。
実施例1:細胞培養液中のR−PMPDAPによるネコ白血病ウイルス複製の阻害
材料および方法
化合物を、10mg/mlの濃度で0.05N水酸化ナトリウム溶液に溶解させた。クランデル・リースネコ腎(CrFK)細胞を、1%重炭酸ナトリウム(Life Technologies)と5%ウシ胎仔血清(FCS、Biochrom)をと含むダルベッコ最小必須培地(DMEM、Life Technologies)中で成長させた。5000個のCrFK細胞を96ウェルプレートに播種し、5%CO2を含む加湿環境において37℃で24時間インキュベーションした。続いて、50μg/mlのDEAE−デキストランを含む100μlのリン酸緩衝食塩水(PBS)で細胞を洗浄し、漸増用量の化合物(0.4;2;10および50μg/ml)の存在下で100CCID50のFeLVを接種した。2時間インキュベーションしてウイルスを細胞に侵入させた後、上清を除去し、細胞をPBSで洗浄した。5%FCSおよび漸増用量の化合物を含むDMEMを感染細胞に添加した。化合物が添加されていない感染細胞を陽性対照(ウイルス対照)として含め、非感染細胞を陰性対照(細胞対照)として含めた。これらの細胞を6日間インキュベーションしてウイルス上清を回収し、FeLVp27抗原の産生については酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって分析し、FeLV RNAの産生についてはリアルタイムRT−qPCRによって分析した。p27の検出については、供給業者(European Veterinary Laboratory)の説明書にしたがって、50μlの上清を1%トリトンX100中で10分間インキュベーションし、プレコーティングしたELISAプレート上にアプライした。FeLV RNAの検出については、QIAamp viral RNA kit(Qiagen)を使用して、140μlの上清を抽出した。抽出したRNAは、ランダムヘキサマーおよび供給業者のプロトコール(Applied Biosystems)を使用してTaqman逆転写試薬キットによってcDNAに変換した。リアルタイムPCRは、TaqMan Fast Universal PCR Mastermix(Applied Biosystems)、およびStepOne cycler(Applied Biosystems)を使用する標準的なFastサイクリングプロトコールを使用して実施した。PCR混合液では、CattoriおよびHofmann−Lehmann(2008)によって発表されたように、最適化された300nMの各フォワードプライマーおよびリバースプライマー、ならびに100nMのFAM−BHQ1標識プローブを使用した。EC50値は、ウイルス対照と比較してウイルスRNAまたはp27の産生の50%を阻害した化合物濃度として決定した。
結果
p27のELISAおよび定量RT−PCR(RT−qPCR)によって測定した場合に、FeLV複製の50%を有効に阻害する濃度(EC50)を表3に示す。表3に示される値は、3回の独立したアッセイの平均値(±標準偏差)を表す。
実施例2:臨床的に病気のFIV自然感染ネコのR−PMPDAP治療
材料および方法
中性付近のpH条件(pH6〜9)の適切な水酸化ナトリウム緩衝水溶液に化合物を溶解させて、50〜250mg/mLの濃度範囲とした。
製剤化された化合物は、1週間あたり10〜175mg/kgの範囲の総用量で、皮下経路により少なくとも週1回投与した。治療期間は、1週間〜3カ月間とした。治療したネコは臨床的に病気のFIV自然感染ネコであり、種々の症状を示していた。
結果
特異的症状を有するネコの治療結果を以下で考察する。
・ 口内の徴候を有するネコ。
口内の徴候は、限定されないが、口内炎、歯肉炎、口峡炎、舌炎、歯周炎、歯肉口内炎、扁桃腺および舌の潰瘍、流涎などそれ自体として現れ得る。口内炎および歯肉炎の治療についての化合物の有効性の例を以下に示す。
○ 重度の口内炎を有するネコ。
FIV陽性ネコは、中咽頭後部の口内炎(caudal stomatitis)および頬の口内炎(buccostomatitis)の重症例を有していた。治療により、口内炎は有意に減少した(腫れおよび発赤の消失)。その他の治療は併用しなかった。
○ 重度の歯肉炎を有するネコ
FIV陽性ネコは、特発出血を伴う歯肉炎の重症例を有していた。治療により、歯肉炎は有意に減少した。特発出血はもはや観察されず、血のような赤色の炎症はわずかにピンク色の所見にまで軽減した。その他の治療は併用しなかった。
・ 高ウイルス量を有するネコ
FIVは、レトロウイルスとして、そのウイルスRNAゲノムをプロウイルスDNAに逆転写し、続いてこれがその宿主のゲノムに挿入される。血漿中のウイルスRNA(ウイルス量)の検出は、活性FIVの複製が進行中であることを示すので、ウイルス圧の尺度である。ウイルス量の減少は、ネコのFIV感染症を制御するのに重要である。製剤化された化合物は、FIV陽性ネコのウイルス量(血漿1mLあたりのFIVビリオンとして表わされる)を有意に減少させる。図1A、図1Bおよび図1Cのグラフは、3匹の異なるネコにおける化合物による治療前後のウイルス量を表す。その他の治療は併用しなかった。
・ 体重減少が著しい嗜眠状態の衰弱したネコ
以下の臨床徴候を有するFIV陽性ネコが獣医に提示された:嗜眠、衰弱、歩行困難、椅子に跳び上がる/椅子から跳び降りることができない、戸外に出る欲求がない、睡眠パターンの延長。予後はネコを安楽死させる予定であった。
化合物による治療を開始して数週間以内に、ネコは正常に戻り、体重が増加し(0.6kg)、歩いて遊び回り、数日間連続で戸外に出ていた。ネコの全身状態は正常に戻った。その他の治療は併用しなかった。
・ リンパ節症(腫脹/腫大したリンパ節)を有するネコ
膝窩リンパ節腫脹(スコア4;重症度を0〜10の尺度でスコア化し、0は正常な臨床像を表し、10は最も重度の徴候である)を有する雄のFIV陽性ネコを化合物で治療した。腫脹は、2週間以内にスコア2に下がった。化合物による6週間の治療期間の終了時には、スコア1が見られた;0は、正常な臨床像を表す。
雌のFIV陽性ネコについても同じことが見られた。膝窩リンパ節は、治療前には腫脹していた(スコア2)。リンパ節は治療後2週間で正常に戻り(スコア0)、化合物による6週間の治療期間を通してこれが維持された。
2匹のFIV陽性ネコについて、同様の観察結果が得られた。下顎リンパ節は、治療開始時には腫脹していた(それぞれスコア2および3)。これは、化合物による6週間の治療終了までに正常に戻った(スコア0)。
・ 眼炎を有するネコ
雌のFIV陽性ネコは、抗菌治療の併用にもかかわらず、化合物による治療を開始する前には慢性眼炎を患っていた。治療後、眼は全快に向かった。
・ 胃腸管の徴候を有するネコ
慢性的に毎日下痢をしている雄のFIV陽性ネコを化合物で治療した。糞便は、2週間以内に正常に戻った。
・ 神経症状−中枢神経系(CNS)障害を有するネコ
左前肢および左後肢の急性不全麻痺を患っている雄のFIV陽性ネコを、神経症状(CNS障害および末梢神経障害の疑い)を示した1日後から製剤化された化合物で治療した。その他の治療は併用しなかった。ネコは、治療1週間後には真っすぐに座って、自力で食事をすることができた。治療をさらに4週間継続した後には、ネコは、自力で歩行、階段の上り下りおよび食事をすることができた。その後直ぐに全快が認められた。
・ 低いカルノフスキースコアを有するネコ
ネコ用に改良したカルノフスキースコア(Hartmann and Kuffer,Eur J Med Res 1998)は、ネコの生活の質および幸福についての客観的尺度(0〜100%の段階)である。0%のスコアは死を表すのに対して、100%は、ネコが通常の活動を行うことができ、正常な行動を示し、不満および臨床徴候の証拠がないことを示す。カルノフスキースコアは、抗ウイルス化合物の有効性を評価および比較するのに妥当であることがネコで証明されている(Hartmann et al.,J Acquir Immune Defic Syndr Hum Retrovirol 1998)。表4は、化合物による治療前、治療中および治療後における2匹のFIV陽性ネコのカルノフスキースコアを要約したものである。その他の治療は併用しなかった。化合物治療後の両方の症例において、ネコの生活の質および幸福について有意な増加が見られた。
実施例3 FeLV自然感染ネコのR−PMPDAP治療
材料および方法
化合物は、50〜250mg/mlの濃度範囲および中性付近のpH条件(pH6〜9)で、適切な水酸化ナトリウム緩衝水溶液に溶解させた。製剤化された化合物は、1週間あたり10〜175mg/kgの範囲の総用量で、皮下経路により少なくとも週1回投与した。治療期間は、1週間〜3カ月間とした。
結果
・ 高ウイルス量を有するネコ(ウイルス血症のネコ)
RT−qPCR(Cattori and Hofmann−Lehmann,2008)を使用してFeLVウイルス量を定量化した雌のFeLV陽性ネコを化合物で治療した。ウイルス量は、血漿1mLあたりFeLVビリオン15500個から3200個に有意に減少した。
・ 臨床症状を有するネコ
58.5%の低いカルノフスキースコアにつながるFeLV関連の臨床徴候、例えば、口内炎、リンパ節症(lymphadenopthy)、下痢などを有する雄のFeLV陽性ネコを化合物で治療した。治療後、臨床徴候は改善した。その結果として、カルノフスキースコアは、3週間の治療期間の終了時において80%に増加した。
実施例4:同時感染細胞培養液中のR−PMPDAPによるネコ白血病ウイルスおよびネコ免疫不全ウイルスの両方の複製阻害
材料および方法
化合物を、10mg/mlの濃度で0.05N水酸化ナトリウム溶液に溶解させた。基準化合物PMEDAPおよびPMEAを、10mg/mlの濃度で重炭酸ナトリウム緩衝液に溶解させた。
クランデル・リースネコ腎(CrFK)細胞は、1%重炭酸ナトリウム(Life Technologies)と5%ウシ胎仔血清(FCS、Biochrom)とを含むダルベッコ最小必須培地(DMEM、Life Technologies)中で成長させた。5000個のCrFK細胞を96ウェルプレートに播種し、5%CO2を含む加湿環境において37℃で24時間インキュベーションした。続いて、50μg/mlのDEAE−デキストランを含有する100μlのリン酸緩衝食塩水(PBS)で細胞を洗浄し、漸増用量の化合物(0.4;2;10および50μg/ml)の存在下で100CCID50のFeLVおよび100CCID50のFIV−Ut113を同時感染させた。2時間インキュベーションしてウイルスを細胞に侵入させた後、上清を除去し、細胞をPBSで洗浄した。5%FCSと漸増用量の化合物とを含有するDMEMを感染細胞に追加した。化合物未添加の感染細胞を陽性対照(ウイルス対照)として含め、非感染細胞を陰性対照(細胞対照)として含めた。これらの細胞を6日間インキュベーションしてウイルス上清を回収し、FeLVp27およびFIVp24抗原の産生についてはELISAによって分析し、FeLVおよびFIV RNAの産生についてはリアルタイムRT−qPCRによって分析した。p27の検出については、供給業者(European Veterinary Laboratory)の説明書にしたがって、50μlの上清を1%トリトンX100中で10分間インキュベーションし、プレコーティングしたELISAプレート上にアプライした。FIVp24のELISAについては、100μlの上清を1%トリトンX100中で10分間インキュベーションし、maxisorpプレート(Nunc)(モノクローナル抗p24抗体11C7C7C1でプレコーティングし、5%FCS(PBS中)でブロッキングしたもの)上にアプライした。続いて、ビオチン化モノクローナル抗体5E6D11で処理した後に比色反応(これは、エクストラアビジンペルオキシダーゼ(Sigma)およびOPD基質(Sigma)に基づくものである)を行うことによって、FIVp24の量を検出した。
結果
ELISAおよび定量RT−PCRによって測定した場合に、FeLVおよびFIV複製の50%を有効に阻害する濃度(EC50)を以下の表に示す。
実施例5:FIVおよびFeLV自然同時感染ネコのR−PMPDAP治療
材料および方法
化合物は、(50〜250mg/mlの濃度範囲および中性付近のpH条件(pH6〜9)で)適切な水酸化ナトリウム緩衝水溶液に溶解させた。製剤化された化合物は、1週間あたり10〜175mg/kgの範囲の総用量で、皮下経路により少なくとも週1回投与した。治療期間は、1週間〜3カ月間とした。
結果
FIVおよびFeLVは、レトロウイルスとして、それらのウイルスRNAゲノムをプロウイルスDNAに逆転写させ、続いてこれがその宿主のゲノムに挿入される。血漿中のウイルスRNA(ウイルス量)の検出は、活性FIV/FeLVの複製が進行中であることを示すので、ウイルス圧(およびウイルス血症)の尺度である。ウイルス量の減少は、ネコのFIV/FeLV感染症を制御するのに重要である。製剤化された化合物は、FIV/FeLV陽性ネコのウイルス量(血漿1mLあたりのFIV/FeLVビリオンとして表わされる)を有意に減少させる。図2のグラフは、FIVおよびFeLV同時感染ネコにおける化合物による治療前後のウイルス量を表す。その他の治療は併用しなかった。
参考文献
Bendinelli M、Pistello M、Lombardi S、Poli A、Garzelli C、Matteucci D、Ceccherini−Nelli L、Malvaldi G and Tozzini F、(1995)、「ネコ免疫不全ウイルス:AIDS研究の興味深いモデルおよび重要なネコ病原体(Feline immunodeficiency virus: an interesting model for AIDS studies and an important cat pathogen.)」、Clin Microbiol Rev、8(1):87−112.

Cattori V、Hofmann−Lehmann R、(2008)、「ネコ白血病ウイルスのプロウイルスDNA量およびウイルスRNA量の絶対量測定(Absolute quantitation of feline leukemia virus proviral DNA and viral RNA loads by TaqMan real−time PCR and RT−PCR.)」、Meth Mol Biol、429:73−87.

Courchamp F、(1996)、「イエネコ集団(フェリス・カトゥス(Felis catus))におけるネコ免疫不全ウイルスの疫学研究(Epidemiological study of Feline Immunodeficiency Virus in domestic cat populations (Felis catus)、PhD Thesis University Claude Bernard−Lyon I.

de Mari K、Maynard L、Sanquer A、Lebreux B、Eun H、(2004)、「ネコ白血病ウイルス(FeLV)感染およびFeLV/ネコ免疫不全ウイルス(FIV)同時感染症候性ネコに対する組換えネコインターフェロン−ω(interferon−co)の治療効果(Therapeutic Effects of Recombinant Feline Interferon−ω(co) on Feline Leukemia Virus (FeLV)−Infected and FeLV/Feline Immunodeficiency Virus (FlV)−Coinfected Symptomatic Cats.)」、J Vet lnt Med、18(4) 477−482.

Hartmann K、(1998)、「ネコ免疫不全ウイルス感染症:概説(Feline immunodeficiency virus infection: an overview.)、Vet J、155(2):123−137.

Hartmann K、Kuffer M、(1998)、「ネコ用に改良したカルノフスキースコア(Karnofsky’s score modified for cats.)」、Eur J Med Res、3(1−2):95−98.

Hartmann K、Kuffer M、Balzarini J、Naesens L、Goldberg M、Erfle V、Goebel FD、De Clercq E、Jindrich J、Holy A、Bischofberger N、Kraft W、(1998)、「ネコ免疫不全ウイルスに対する非環式ヌクレオシドホスホネート(S)−9−(3−フルオロ−2−ホスホニルメトキシプロピル)アデニン(FPMPA)および9−(2−ホスホニルメトキシエチル)アデニン(PMEA)の有効性(Efficacy of the acyclic nucleoside phosphonates (S)−9−(3−fluoro−2−phosphonylmethoxypropyl) adenine (FPMPA) and 9−(2−phosphonylmethoxyethyl) adenine (PMEA) against feline immunodeficiency virus.)」、J Acquir Immune Defic Syndr Hum Retrovirol、7(2):120−128.

Hofmann−Lehmann R、Cattori V、Tandon R、Boretti FS、Meli ML、Riond B、Pepin AC、Willi B、Ossent P、Lutz H、(2007)、「ネコ白血病ウイルスに対するワクチン接種:転帰および反応の分類ならびに長期間の経過観察(Vaccination against the feline leukaemia virus: outcome and response categories and long−term follow−up.)」、Vaccine、25(30):5531−5539.

Hosie MJ、Addie D、Belak S、Boucraut−Baralon C、Egberink H、Frymus T、Gruffydd− Jones T、Hartmann K、Lloret A、Lutz H、Marsilio F、Pennisi MG、Radford AD、Thiry E、Truyen U and Horzinek MC、(2009)、「ネコ免疫不全。予防および管理のABCDガイドライン(Feline immunodeficiency. ABCD guidelines on prevention and management.)」、J Feline Med Surg、11(7):575−584.

Lutz,H. et al.、(2009)、「ネコ白血病。予防および管理のABCDガイドライン(Feline Leukemia. ABCD guidelines on prevention and management.)」、J Feline Med Surg、11(7);565−574.

Vahlenkamp TW、De Ronde A、Balzarini J、Naesens L、De Clercq E、Van Eijk MJT、Horzinek MC、Egberink HF、(1995)、「(R)−9−(2−ホスホニルメトキシプロピル)−2,6−ジアミノプリンはネコ免疫不全ウイルス感染症の強力阻害剤である((R)−9−(2−Phosphonylmethoxypropyl)−2,6−Diaminopurine Is a Potent Inhibitor of Feline Immunodeficiency Virus Infection.)」、Antimicrob Agents Chemother、39(3):746−749.

Yamamoto JK、Hansen H、Ho EW、Morishita TY、Okuda T、Sawa TR、Nakamura RM、Pedersen NC、(1989)、「米国およびカナダ本土のネコのネコ免疫不全ウイルス感染症および考えられる感染経路についての疫学的および臨床的な見解(Epidemiologic and clinical aspects of feline immunodeficiency virus infection in cats from the continental United States and Canada and possible mode of transmission.)」、J Am Vet Med Assoc、194(2):213−220.

Claims (25)

  1. ネコ白血病ウイルスに感染したネコ科動物の予防および治療に使用するための式(I):

    (式中、「」は立体中心を示し;
    は、アデニン、シトシンまたは2,6−ジアミノプリンであり;
    は、メチルまたはモノフルオロメチルであり、ただし、Rがアデニンである場合、Rはメチルではなく;
    およびRは、水素である)
    の化合物、その溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物またはプロドラッグ。
  2. 式(I):

    の立体異性的に純粋な化合物である、請求項1に記載の化合物。
  3. 前記ネコ科動物が、例えば、ネコ免疫不全ウイルスなどの他のレトロウイルスにも感染している、請求項1または2に記載の化合物、またはその溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物もしくはプロドラッグ。
  4. が2,6−ジアミノプリンであり、Rがメチルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物、その溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物またはプロドラッグ。
  5. がアデニンであり、Rがモノフルオロメチルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物、その溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物またはプロドラッグ。
  6. 少なくとも週1回、10〜175mg/kgの合計投与量で、1〜6週間にわたりネコ科動物に投与される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
  7. 皮下注射によって投与される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
  8. ネコ科動物がFeLVの臨床症状にり患したものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
  9. 前記治療がFeLVの1つ以上の臨床症状を緩和することを含む、請求項8に記載の化合物。
  10. 臨床症状が、口内炎、歯肉炎、口腔の炎症、腫瘍、下痢、神経学的症状、嗜眠、体重減少およびリンパ節炎からなる群から選択される、請求項8または9に記載の化合物。
  11. ネコ免疫不全ウイルスに感染したネコ科動物における1つ以上の臨床症状の治療に使用するための式(I)(式中、Rは2,6−ジアミノプリンであり、Rはメチルまたはモノフルオロメチルであり、RおよびRは水素である)の化合物、その溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物またはプロドラッグ。
  12. 式(I):

    の立体異性的に純粋な化合物である、請求項11に記載の化合物。
  13. 前記1つ以上の症状が、体重減少、不安、嗜眠、貧弱被毛状態、発熱、貧血、同時感染、胃腸炎、歯肉炎、好中球減少、熱症状、白血球減少、無食欲、新組織形成、口内炎、歯肉口内炎、鼻炎、下痢;皮膚、眼、尿路、気道の慢性または頻回感染;リンパ節炎、糸球体腎炎、出血性腸炎、挙動変化または発作を生じ得る神経系の疾患、同腹仔の流産、および癌からなる群から選択される、請求項10または11に記載の化合物、その溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物またはプロドラッグ。
  14. が2,6−ジアミノプリンであり、Rがメチルである、請求項10〜12のいずれか1項に記載の化合物、その溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物またはプロドラッグ。
  15. 少なくとも週1回、10〜175mg/kgの合計投与量で、1〜6週間にわたりネコ科動物に投与される、請求項10〜14のいずれか1項に記載の化合物。
  16. 皮下注射によって投与される、請求項10〜15のいずれか1項に記載の化合物。
  17. およびRが、同じであるかまたは互いに異なり、CHC(O)N(R、CHC(O)OR、CHOC(O)R、CH(R)OC(O)R(R、SまたはRS立体化学)、CHC(RCHOH、またはCHORであり;Rが、非置換であるかまたはヒドロキシ、酸素、窒素もしくはハロゲンで置換されたC−C20アルキル、アリールまたはアリール−アルキルである、請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物のプロドラッグ。
  18. ネコ免疫不全ウイルスまたはネコ白血病ウイルスに感染したネコ科動物における、食欲不振、体重減少、好中球減少、熱症状、白血球減少、無食欲、新組織形成、不安、無関心、貧弱被毛状態、発熱、貧血、同時感染、胃腸炎、歯肉炎、口内炎、歯肉口内炎、鼻炎、下痢;皮膚、眼、尿路、気道の慢性または頻回感染;リンパ肉腫、呼吸困難、口腔の一般的炎症、下痢、リンパ節炎、粘膜蒼白、胃腸障害、糸球体腎炎、出血性腸炎、挙動変化または発作を生じ得る神経系の疾患、同腹仔の流産、腫瘍および癌からなる群から選択される1つ以上の症状の治療に使用するための式(I)(式中、Rは、ピリミジン、プリン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノプリン、シトシン、グアニンまたはそれらのアザもしくはデアザ類似体であり;
    は、水素、メチルまたはモノフルオロメチルであり;
    およびRは水素である)
    の化合物、その溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物またはプロドラッグ。
  19. が2,6−ジアミノプリン、2−アミノプリン、シトシン、グアニンまたはそれらのアザもしくはデアザ類似体である、請求項18に記載の化合物、その溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物またはプロドラッグ。
  20. がジアミノプリンである、請求項18に記載の化合物、その溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物またはプロドラッグ。
  21. がメチルである、請求項18〜20のいずれか1項に記載の化合物、その溶媒和化合物、獣医学的に許容され得る塩、代謝産物またはプロドラッグ。
  22. 少なくとも週1回、10〜175mg/kgの合計投与量で、1〜6週間にわたりネコ科動物に投与される、請求項18〜21のいずれか1項に記載の化合物。
  23. 皮下注射によって投与される、請求項18〜22のいずれか1項に記載の化合物。
  24. 前記ネコ科動物が、ネコ免疫不全ウイルスおよびネコ白血病ウイルスに感染している、請求項18〜23のいずれか1項に記載の化合物。
  25. 式中、RおよびRが、同じであるかまたは互いに異なり、CHC(O)N(R、CHC(O)OR、CHOC(O)R、CH(R)OC(O)R(R、SまたはRS立体化学)、CHC(RCHOH、またはCHORであり、Rが、非置換であるかまたはヒドロキシ、酸素、窒素もしくはハロゲンで置換されたC−C20アルキル、アリールまたはアリール−アルキルである、請求項18〜24のいずれか1項に記載の化合物のプロドラッグ。
JP2014509609A 2011-05-10 2011-05-10 ネコレトロウイルス感染症の治療に使用するための化合物 Expired - Fee Related JP5847296B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/EP2011/057519 WO2012152317A1 (en) 2011-05-10 2011-05-10 Compounds for use in the treatment of feline retroviral infections

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2014514352A true JP2014514352A (ja) 2014-06-19
JP2014514352A5 JP2014514352A5 (ja) 2014-07-31
JP5847296B2 JP5847296B2 (ja) 2016-01-20

Family

ID=44119024

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014509609A Expired - Fee Related JP5847296B2 (ja) 2011-05-10 2011-05-10 ネコレトロウイルス感染症の治療に使用するための化合物

Country Status (10)

Country Link
US (1) US20140073607A1 (ja)
EP (1) EP2707004A1 (ja)
JP (1) JP5847296B2 (ja)
CN (1) CN103917237A (ja)
AU (1) AU2011367390B2 (ja)
BR (1) BR112013028698A8 (ja)
CA (1) CA2835321A1 (ja)
MX (1) MX2013011820A (ja)
NZ (1) NZ615939A (ja)
WO (1) WO2012152317A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105734174A (zh) * 2016-04-12 2016-07-06 东北林业大学 利用巢式pcr方法检测猫艾滋病病毒的引物组、含有该引物组的试剂盒及其用途
CN108948084B (zh) * 2017-05-19 2020-10-20 浙江司太立制药股份有限公司 替诺福韦双-l-氨基酸酯及其制备方法
AU2022323465A1 (en) 2021-08-06 2024-02-01 Intervet International B.V. Method of treating veterinary viral diseases

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1986553A (zh) * 2005-12-19 2007-06-27 北京美倍他药物研究有限公司 无环核苷膦酸的前体药物

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6057305A (en) * 1992-08-05 2000-05-02 Institute Of Organic Chemistry And Biochemistry Of The Academy Of Sciences Of The Czech Republic Antiretroviral enantiomeric nucleotide analogs
AU6130194A (en) * 1993-01-29 1994-08-15 Sloan-Kettering Institute For Cancer Research 1,2-dithiole-3-thiones for the treatment of reverse transcriptase-dependent viral infections
WO1998004569A1 (en) * 1996-07-26 1998-02-05 Gilead Sciences, Inc. Nucleotide analogs
JP4545434B2 (ja) * 2001-06-29 2010-09-15 インスティテュート オブ オーガニック ケミストリー アンド バイオケミストリー オブ ジ アカデミー オブ サイエンシーズ オブ ザ チェック リパブリック 抗ウイルス活性を有する6−‘2−(ホスホノメトキシ)アルコキシピリミジン誘導体

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1986553A (zh) * 2005-12-19 2007-06-27 北京美倍他药物研究有限公司 无环核苷膦酸的前体药物

Non-Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6015014206; Antimicrobial Agents and Chemotherapy Vol.39, No.3, 1995, p.746-749 *
JPN6015014209; Electrophoresis Vol.30, 2009, p.2245-2254 *
JPN6015014211; Antimicrobial Agents and Chemotherapy Vol.37, No.10, 1993, p.2247-2250 *
JPN6015014215; Veterinary Immunology and Immunopathology Vol.35, 1992, p.167-175 *
JPN6015014218; Antiviral Research Vol.16, 1991, p.77-92 *

Also Published As

Publication number Publication date
BR112013028698A2 (pt) 2017-01-24
WO2012152317A1 (en) 2012-11-15
CA2835321A1 (en) 2012-11-15
BR112013028698A8 (pt) 2018-04-03
CN103917237A (zh) 2014-07-09
AU2011367390A1 (en) 2013-10-17
JP5847296B2 (ja) 2016-01-20
AU2011367390B2 (en) 2016-07-14
NZ615939A (en) 2015-04-24
MX2013011820A (es) 2014-02-28
US20140073607A1 (en) 2014-03-13
EP2707004A1 (en) 2014-03-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6875454B2 (ja) Hivを治療するためのトール様受容体の調節因子
US10874687B1 (en) Highly active compounds against COVID-19
JP2021091705A (ja) 抗ウイルス療法
CA3139977A1 (en) Peptidomimetics for the treatment of coronavirus and picornavirus infections
CN1377261A (zh) 治疗免疫疾病
JP2016528240A (ja) ドルテグラビル、エムトリシタビン及びテノホビルの医薬コンビネーションを有する医薬
EP1750707A1 (fr) Composition immunostimulante comprenant au moins un agoniste des recepteurs toll-like 7 ou du recepteur toll-like 8 et un agoniste du recepteur toll-like 4
JP2023546030A (ja) Sars-cov-2突然変異型の療法のためのniran干渉薬
JP5847296B2 (ja) ネコレトロウイルス感染症の治療に使用するための化合物
EP2501386B1 (fr) Quadritherapie utile pour le traitement des personnes atteintes du virus de l'immunodéficience humaine (vih)
CA2793749A1 (fr) Nouveaux schemas d'administration de multitherapies utiles pour le traitement des personnes affectees par le virus de l'immunodeficience humaine (vih)
US20190216831A1 (en) Antiviral composition
AU2018239257B2 (en) HIV post-exposure prophylaxis
US9713622B2 (en) Schedules for administering combination therapies useful for treating persons afflicted with the human immunodeficiency virus (HIV)
Class et al. Patent application title: COMPOUNDS FOR USE IN THE TREATMENT OF FELINE RETROVIRAL INFECTIONS
KR20220150348A (ko) 코로나바이러스의 치료에 조합하여 사용하기 위한 pld
US20220265689A1 (en) Hiv pre-exposure prophylaxis
RU2139059C1 (ru) Противовирусная комбинация, содержащая нуклеозидный аналог, фармацевтическая композиция, способ лечения
WO2022029275A1 (en) Combination of nicotinamide mononucleotide derivatives and other therapeutic agents for use in the treatment of coronavirus infections and covid-19
TW201740929A (zh) 蛋白酶抑製劑之長效醫藥組合物

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140502

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140502

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150414

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150710

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151027

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151124

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5847296

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees