JP2014512843A - 細胞からの抽出 - Google Patents

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Abstract

細菌細胞のペリプラズム間隙の内容物を放出するための方法であって、スチレンマレイン酸共重合体(SMA)を含む溶液中で細菌細胞を培養することを含む方法が提供される。また、組み換えポリペプチドの実質的に純粋な試料を作製する方法が提供される。これらの方法は、タンパク質などの物質を細菌細胞から回収することに応用される。

Description

本発明は、細菌細胞からの物質の回収を改良するための方法に関する。
バイオプロセス産業は、バイオ治療薬およびバイオテクノロジーの分野で大きな成長を遂げており、近年、このような方法(たとえば、ワクチンおよびモノクローナル抗体)を用いて作製されたバイオ医薬品の量は大幅に増加した。最近のデータは、全ての医薬品の約44%がバイオ医薬品であることを示した。
バイオプロセス技術は、多数の工程で構成される。目的のバイオ薬剤生成物を合成することができる宿主細胞が、作製される。宿主細胞の発酵(「バイオリアクター工程」)に続いて、生成物は、「生成物の放出工程」において、通常、細胞から分泌され、および/または抽出される。続いて、特定の生成物は、濾過、遠心分離、および様々なクロマトグラフィー工程などの下流の処理によって精製される必要がある。このような方法は、治療用途のためのバイオ医薬品製品を作製するために使用することができる。生成物放出工程と、そのような生成物のその後の回収は、バイオプロセス技術における重要な段階である。
様々な理由によって、バイオ医薬品の製造と、目的の他の組み換えタンパク質とのために選択される宿主細胞は、エシュリヒア・コリー(Escherichia coli)である。E.coliは、グラム陰性細菌である。これらの細胞は、容易に増殖させることができ、比較的単純なゲノムを含む。これらの細胞の遺伝的特徴は、容易に操作することができ、それらを微生物学、バイオテクノロジー、バイオプロセスの分野において重要なものにしている。
E.coliなどのグラム陰性細菌は、通常の細胞膜だけではなく、リポ多糖類およびリポタンパク質、ならびにリン脂質および膜タンパク質を含むさらなる外膜を含む。リポ多糖類は、外膜に強い負の電荷をもたらすO−多糖類に連結される共有結合した脂質Aで構成される。グラム陰性菌は、内膜と外膜との間に、薄いペプチドグリカンマトリクス層を含むペリプラズム間隙と称される空間があり、細胞壁に構造的機能をもたらすことが知られている。ペプチドグリカンマトリクス層は、N−アセチルムラミン酸と、(β1−4)N−アセチルグルコサミンとの2つの糖で構成され、それらは層構造内で交互に構成されている。N−アセチルムラミン酸単量体は、いくつかのアミノ酸残基からなるペプチド鎖を有する側鎖を含む。このペプチド鎖は、ペプチドグリカンが「メッシュ状」層を形成することができるようにするために、別のN−アセチルムラミン酸単量体における別のペプチド鎖に結合する能力を有する。このペプチドグリカン層は、タンパク質が通過するために十分に大きな、細孔または開口を含む。
E.coliなどの生物では、いくつかのタンパク質は、細胞質から出て、ペリプラズム間隙を含む様々な他の膜区画に輸送することができる。細胞質から排出されるタンパク質は、タンパク質のN末端の伸張部分である「シグナルペプチド」を含む。これらの「シグナルペプチド」は、N末端領域、コア領域、およびC末端領域の、3つの保存領域を含む。タンパク質がその必要な目的地に到達すると、シグナルペプチドは、シグナルペプチダーゼと称される酵素によって成熟タンパク質から切断され、成熟ポリペプチドを細胞膜の指定された区画(ペリプラズムなど)に放出する。
ペリプラズム間隙へのタンパク質の移動は、バイオ医薬品を回収するためにバイオプロセス産業で利用されてきた。これは、細胞質から放出される汚染物質量を最小限にするとともに、細胞の微細化を回避するためである。
ペリプラズムタンパク質の放出に関する文献において多数の既存の方法が存在するが、どれも申し分のないものではない。界面活性剤(たとえば、トリトンX−100)と、クロロホルムとを用いる細菌細胞の化学的処理は、外膜の透過性を増加させるたけではなく、低いタンパク質純度を導くので、下流の処理に関する費用が増加する。また、アニオン性界面活性剤を用いるE.coli細胞の処理は、ペニシリンアシラーゼを含む、多数のペリプラズムタンパク質の放出をもたらすことができる。また、外膜は、αアミラーゼを含む細菌のペリプラズム内容物を放出するために、グリシンを用いて処理することによって透過させることができ、このタンパク質の70〜80%の回収をもたらす。また、浸透圧ショックの技術は、E.coli細胞のペリプラズムからペニシリンアシラーゼの放出に有望であることが示された。これらの方法は、実験室における小規模での相対的成功を示したが、これらの技術を大規模に増大させる見込はほとんどない。
これまでで最も効率的なペリプラズムタンパク質放出方法は、リゾチーム酵素に組み合わせて、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)を使用する。EDTAは、ペリプラズムに存在するペプチドグリカンマトリクスを破壊するためにリゾチームを接触させ、膜の不安定化の原因になるCa2+などの2価の陽イオンのキレート化をもたらす。このことは、αアミラーゼなどのペリプラズムタンパク質のより多くの量を放出させる。この方法は、小規模の実験室での実験ではペリプラズム放出の増加をもたらしたが、産業界における大きな体積における使用のためにスケールアップしたとき、高価な方法であることが証明された。
したがって、グラム陰性菌のペリプラズム内容物を放出するために、効率的でありながら安価な方法を開発する必要性が依然として存在する。
本発明者らは、ペリプラズム標的化治療用タンパク質を抽出するためのより効率的な方法をもたらすために、新たなペリプラズムタンパク質放出方法を開発することにした。本発明者らは、驚くべきことに、スチレンマレイン酸(SMA)共重合体が、細菌細胞の外膜を特異的に破壊することができ、ペリプラズム内容物を放出することができ、内膜を破壊しないので、細胞質からの夾雑タンパク質がタンパク質試料に存在することを回避することができることを見出した。
したがって、本発明の第1態様は、スチレンマレイン酸共重合体(SMA)を含む溶液中で細菌細胞を培養することを含む、細菌細胞のペリプラズム間隙の内容物を放出するための方法を提供する。
本発明者らは、スチレンマレイン酸(SMA)が、ペリプラズムタンパク質を細胞から抽出するために使用することができるかどうかを調査することにした。本発明者らは、驚くべきことに、SMAが、細菌細胞の外膜を特に破壊し、内膜を破壊しないことを見出した。したがって、SMAは、細胞質から夾雑タンパク質を放出することなく、ペリプラズムタンパク質を選択的に抽出するために使用することができる。抽出方法は、簡単に実施することができ、容易に大規模なバイオプロセス処理に規模を拡大することができる。この方法は、下流処理における精製工程が少ないので、費用を大幅に削減する。
SMAは、以前には、薬剤の送達のために単離および保存された膜貫通タンパク質を使用した。本発明に至るまで、SMAがペリプラズム間隙の内容物を放出するために使用することができることは、開示または示唆されていなかった。
実際には、本発明の方法は、ペリプラズム間隙の内容物を溶液中に選択的に放出するために容易に使用することができる。したがって、ペリプラズム間隙の特定の内容物、たとえば工業用の組み換えタンパク質は、溶液から容易に単離することができる。よって、本発明は、明確に有益な産業上の用途を有する。
本発明の第1態様の方法は、スチレンマレイン酸共重合体(SMA)を含む溶液中で細菌細胞を培養する工程を含む。
細菌種は、一般的に「グラム陽性」および「グラム陰性」種に分けることができ、その差異は、細菌の細胞壁の構造的な差異に依存する特定の染料の保持に特に起因する。
本発明の方法において使用することができる細菌細胞は、任意の適切な細胞であってもよい。好ましくは、細菌細胞は、グラム陰性細菌種、好ましくはE.coli、サルモネラ(Salmonella)属、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)、シゲラ(Shigella)属、エルシニア(Yersinia)属、またはクレブシエラ(Klebsiella)属である。このような細菌種は、当該分野で周知である。それらの種の細菌細胞は、商業的供給、またはATCC(http://www.lgcstandards-atcc.org/)などの生体物質コレクションのいずれかから容易に取得することができる。
当分野で周知であるように、産生されるタンパク質量の質および/または量を向上させる、グラム陰性細菌種などの変異した誘導体も作製された。したがって、それらも、本発明のこの態様で使用することができる細菌細胞の例であると考えられる。
本発明の方法における使用のための細菌細胞を作製する方法は、当技術分野において周知である。さらに以下に概説するように、いくつかの例において、細菌細胞は、組み換えポリペプチドを含有する。十分な時間、適切な条件下で上述の細胞などを培養培地中で培養し、組み換えポリペプチドの発現を得る方法は、当該分野で周知である。そのような方法の実施例は、添付の実施例の項において本明細書で提供される。
本発明の第1態様の方法は、スチレンマレイン酸共重合体(SMA)を含む溶液を使用する。
いくつかの実施形態では、スチレンとマレイン酸との共重合体を提供することは、スチレンと無水マレイン酸との共重合体を提供し、無水マレイン酸をマレイン酸に加水分解することを含む。スチレンと無水マレイン酸との共重合体は、SMA(登録商標)2000、およびSMA(登録商標)3000の商品名でSartomer社、エクストン、ペンシルバニア、米国から入手可能である。適切な加水分解法は、当技術分野で知られている。
一例として、以下の手順は、本発明の第1態様の方法において使用することができるSMA溶液を作製するために使用することができる。
SMA2000Pの溶液(Sartomer社から入手した)、および1Mの水酸化ナトリウム(10%w/v)は、マグネチックスターラー上の丸底フラスコ中において室温で穏やかに一晩混合された(25gのSMA2000Pが、250mlのNaOHに溶解された)。続いて、少量の抗沸顆粒を丸底フラスコに添加し、続いて当該丸底フラスコに凝縮器を取り付け、加熱マントル上に置いた。SMA/NaOH溶液を沸点に到達させた。煮沸後、熱が下げられ、溶液は、2日間冷室に移される前に、2時間還流された。これらの処理は、ドラフトチャンバー中で行われた。この冷却期間の後、体積を測定し、SMAの含有率を算出し、50mlファルコンチューブに等分して−70℃で保存した。
使用する場合、好ましくは、溶液は、0.5M NaClにおいて50mMのトリスpH8.0を含んでいる。
いくつかの実施形態において、スチレン:マレイン酸の比率が0.5:1から10:1までの間である、スチレンとマレイン酸との共重合体を提供することは、スチレン:マレイン酸の比率が1:1から5:1までの間である、スチレンとマレイン酸との共重合体を提供することを含む。いくつかのさらなる実施形態において、スチレン:マレイン酸の比率は、1.5:1から4:1まで、または2:1から3:1までの間である。
重合処理の性質に起因して、そのようなモノマー比率は、バルク平均であり、モノマーの定義された構成を有する特定の分子構造の記述として解釈されるべきではないことが理解されるであろう。
それにもかかわらず、一般的には、様々な単量体が共重合体全体に分布していることが予想される。
いくつかの実施形態では、スチレンとマレイン酸との共重合体を提供することは、3000Da〜120000Daの間の分子量を有する、スチレンとマレイン酸との共重合体を提供することを含む。いくつかのさらなる実施形態において、共重合体は、5000Da〜15000Daの間の分子量を有する。いくつかのさらなる実施形態では、共重合体は、7000〜10000Daの間の分子量を有する。
本発明者らは、ペリプラズム間隙の内容物を放出するために使用することができるSMAの濃度範囲を調べた。本発明者らは、溶液中のSMAの少なくとも約0.5〜4.5%の範囲が、この目的のためにうまく使用することができることを示した。一実施形態において、SMAの濃度は、約0.5%〜10%、1%〜7%、または1.5%〜5%である。さらなる実施形態では、SMAの濃度は、約2〜2.5%である。
本発明者らは、ペリプラズム間隙の内容物の放出における、SMAの一時的な影響を調べた。本発明者らは、少なくとも約15分〜6時間の培養時間の範囲が、この目的のためにうまく使用することができることを示した。好ましくは、培養時間は、約2時間である。また、好ましくは、細菌細胞は、約37℃でSMAとともに培養される。
したがって、本明細書に提供される情報から、本発明の第1態様の好ましい実施形態は、前記方法が、(i)細菌細胞の集団を作製する工程と、(ii)細菌細胞を、約2:1のスチレン:マレイン酸の比率を有するSMAを含む溶液に約2%〜2.5%の濃度で懸濁する工程と、(ii)前記細菌細胞を約37℃で約2時間にわたって前記溶液中で培養する工程とを含む。
また、本発明者らは、SMAを含む溶液中のEDTA(1mM)の存在が、ペリプラズム間隙から放出された物質の有意な減少をもたらすことを指摘した。したがって、本発明の方法の好ましい実施形態は、前記溶液がEDTAを実質的に含まないものである。
また、本発明者らは、ペリプラズム間隙の内容物の放出効率における浸透圧ショックの影響を調べた。下記の実施例に示されるように、浸透圧ショックの使用は、ペリプラズム間隙から放出される物質の増加をもたらした。したがって、本発明の方法の好ましい実施形態は、浸透圧ショックに細胞を暴露することを含む。好ましくは、浸透圧ショックは、SMA溶液を用いる細胞培養の後に行われる。
本発明の方法は、ペリプラズム間隙の内容物を放出するために使用することができる。ペリプラズムの成分は、オリゴ糖、アミノ酸、ペプチド、および様々な小分子を含む。本発明の方法の操作者は、細胞からこれらの成分を放出するために、当技術分野で周知の方法を用いて溶液からさらに精製することができる。
本発明の好ましい実施形態において、細菌細胞は、標的の組み換えポリペプチドをペリプラズムで発現する。組み換えポリペプチドがペリプラズムを標的とする方法は、当該分野で周知である。したがって、本発明の方法は、ペリプラズム間隙の内容物を選択的に放出するための大規模なバイオプロセス処理の一部として使用することができ、その後の精製のための溶液にそのような組み換えポリペプチドを含めることができる。
したがって、本発明のさらなる実施形態は、前記方法が、ペリプラズム間隙の1つの成分の少なくとも一部を溶液から回収することをさらに含む。本発明のさらなる実施形態は、ペリプラズム間隙が、組み換えポリペプチドを含むものである。本発明のさらなる実施形態は、前記方法が、組み換えポリペプチドの少なくとも一部を溶液から回収することをさらに含むものである。
組み換えポリペプチドは、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーなどの当技術分野で公知の標準的な技術を用いて、溶液から容易に単離することができる。
精製タグ(たとえば、複数のヒスチジン残基、またはグルタチオンS−トランスフェラーゼ酵素)を含むように遺伝的に操作された、単離された特定の組み換えポリペプチドが望まれる場合、そのようなポリペプチドは、アフィニティークロマトグラフィーなどの使用される特定の精製タグに適する任意の方法によって精製することができる。また、当業者によって容易に理解されるように、当技術分野で周知の他のタンパク質精製技術も使用することができる。
本発明のさらなる態様は、組み換えポリペプチドの実質的に純粋な試料を作製する方法であって、(i)組み換えポリペプチドを含む細菌細胞の集団を作製する工程と、(ii)細菌細胞を、約2:1のスチレン:マレイン酸の比率を有するSMAを含む溶液に約2%〜2.5%の濃度で懸濁する工程と、(ii)前記細菌細胞を約37℃で約2時間にわたって前記溶液中で培養する工程と、(iv)前記溶液から前記組み換えポリペプチドを回収する工程とを含む。
また、誤解を避けるために、本発明の第1態様の実施形態も、本発明のこの態様の方法に適用される。
したがって、一例として以下の手順が、本発明の方法の一実施形態として使用することができる。
細菌細胞の集団は、適切な培養条件下で増殖する。したがって、細菌細胞が組み換えペリプラズム標的化ポリペプチドを合成する場合、培養条件は、そのようなポリペプチドの発現および蓄積を促進するようなものである。したがって、細胞は、標準的な実験室的方法(たとえば、遠心分離)を用いて回収され、約2〜2.5%の濃度において約2:1のスチレン:マレイン酸の比率を有するSMAを含む溶液中に懸濁される。細胞懸濁液は、約37℃で2時間培養される。続いて、細胞は、標準的な実験室的手法(たとえば、遠心分離)を用いて溶液から除去される。得られる溶液は、ペリプラズム間隙の内容物を含む。ペリプラズム間隙の特定成分は、当技術分野で知られているようにアフィニティー精製手段などを用いて単離することができる。
本発明のさらなる態様は、ペリプラズム間隙の内容物を放出するためのスチレンマレイン酸共重合体(SMA)の使用を提供する。
本発明のさらなる態様は、(i)スチレンマレイン酸共重合体(SMA)を含む溶液と、(ii)取扱説明書とを含む、部品のキットを提供する。好ましくは、部品の前記キットは、タンパク質精製カラムまたは樹脂を含む、1以上の追加の構成要素をさらに含む。
取扱説明書は、本明細書で提供されるような、好ましい培養条件、および反応手順などに関する情報と、必要に応じて他のそのような情報とを含み得る。
本発明は、非限定的な、図および実施例を参照して以下に説明される。
グラム陰性細菌の細胞壁構造。 スチレンマレイン酸(SMA)。 膜貫通タンパク質の保護および分離のための、SMAによる脂質ナノディスクの形成。 αアミラーゼのペリプラズム放出における様々な条件の影響。 E.coli細菌細胞からの様々なペリプラズム放出方法の効率。 SMAによるαアミラーゼのペリプラズム放出における延長された37℃培養時間の影響。 SMAによるαアミラーゼのペリプラズム放出におけるより延長された37℃培養時間の影響。 E.coliからの様々なSMAペリプラズム放出方法の効率。 ペリプラズムからのαアミラーゼ放出におけるSMA脂質重合体の濃度増加の影響。 ペリプラズムからのαアミラーゼ放出におけるSMA脂質重合体の様々な濃度の影響。 E.coliからの様々なSMAペリプラズム放出方法の効率。 最適なTSLE放出方法の作用機序における温度変化の影響。 様々なペリプラズム放出方法における浸透圧ショックの影響。 ペリプラズムのαアミラーゼ放出の、様々な処理におけるEDTAの影響。 これらのE.coli細胞におけるβ−ガラクトシダーゼの存在を検出するための最初の試験。 β−ガラクトシダーゼ放出における様々な条件の影響。 E.coli細胞からのβ−ガラクトシダーゼ抽出における様々な条件の影響。 ウシ血清アルブミン(BSA)試料の希釈系列についての線形応答。 E.coli細胞の様々なペリプラズム画分を示すSDS−PAGEゲル。 E.coli細胞の様々なペリプラズム画分を示すSDS−PAGEゲル。 E.coli細菌細胞における、TSLEおよびSMAの両者の作用機構案。 E.coliのペリプラズムからのFAB断片の放出:(A)SMAを使用して処理された細胞から放出されたFAB断片を示すウエスタンブロット結果。(B)浸透圧ショックを使用して処理された細胞から放出されたFAB断片を示すウエスタンブロット結果。(C)浸透圧ショックを使用して処理された細胞から放出された総タンパク質のSDS PAGE。(D)SMAを使用して処理された細胞から放出された総タンパク質のSDS PAGE。
実施例1:タンパク質をペリプラズムから選択的に放出するためのSMAの使用
要約
スチレンマレイン酸(SMA)共重合体が、膜貫通タンパク質を分離して保持するために脂質/重合体の集合体(「脂質ナノディスク」)を形成することができるという最近の発見は、生物学の当該分野における飛躍的な前進であった。したがって、円偏光二色性などの技法は、構造的および機能的分析について、これらの膜貫通タンパク質を特徴付けるために使用されてきた(Knowles et al, 2009)。
数十年の間、タンパク質をエシュリヒア・コリー(Escherichia coli)細菌細胞のペリプラズム間隙から選択的に放出するために、大規模なバイオプロセス産業で規模を拡大することができる、効率的で、しかも安価な処理の必要性があった。本試験中に、本発明者らは、ペリプラズムに基づく治療用タンパク質を放出するための方法としてSMA共重合体を使用した。この試験は、SMA濃度の変化、異なる培養時間、浸透圧ショック、およびEDTAの添加など、タンパク質放出の効率おける様々な要因の影響を調べることによって開発することができた。陽性コントロールは、この新規の方法と、トリス/スクロース/リゾチーム/EDTA(TSLE)を使用する最適な放出方法とを比較することによって全ての実験に使用された。この新しいペリプラズムタンパク質放出方法は、3つの生化学的分析(αアミラーゼ、βガラクトシダーゼ、およびBCA総タンパク質分析)を使用して開発された。
本発明者らは、SMA共重合体は、E.coli細胞のペリプラズムからタンパク質を効率的かつ選択的に放出することができることを見出した。本発明者らは、この共重合体を使用する、これらの細胞の理想的な培養条件が、(2時間、37℃において)2〜2.5%の濃度であることを見出した。したがって、この新規の処理は、大規模なバイオプロセス産業に規模を拡大する大きな可能性を有する。このことは、SMAが比較的に安価であることと、下流処理における精製工程をほとんど必要としないこととによって、顕著に費用を削減する。
序論
本発明者らは、標的の治療用タンパク質をペリプラズムから抽出する、より効率的な方法を得るために、新たなペリプラズムタンパク質放出方法を開発することを決定した。最も広く使用されているペリプラズム放出方法は、トリス/スクロース/リゾチーム/EDTA(TSLE)緩衝液を使用するので、実験においてコントロールとして使用した。このTSLE放出法を用いて、タンパク質の高い割合をペリプラズムから放出することができるが、この方法は、リゾチーム酵素の量および費用が原因で、大規模な工業的プロセスで使用するために規模を拡大することは非常に困難である。
SMA(スチレンマレイン酸;図2)と名付けられた重合体が脂質粒子に結合することができ、SMA/脂質粒子(SMALP)を形成するという最近の発見は、膜貫通タンパク質の研究における飛躍的進歩であった(Knowles et al, 2009;図3)。
したがって、本発明者らは、SMA共重合体が、夾雑タンパク質を細胞質から放出することなく、ペリプラズムタンパク質を選択的に抽出するように、E.coli細胞の外膜を特異的に破壊することができるかどうかを調べることを決定した。
方法および材料
総タンパク質濃度を測定するためのBCA(ビシンコニン酸)分析
この分析は、(562nmで)紫色のBCA−Cu反応複合体の比色検出に基づいており、試料中のタンパク質の総量を測定する。この手順は、アルカリ性媒体中におけるタンパク質による銅イオンの還元(Cu2――>Cu)(ビウレット反応と称される)と、BCAの2分子にキレートすることができる単一のCuイオンの性質とを組み合わせ、紫色の反応複合体を形成する。
この反応複合体は、ウシ血清アルブミン(BSA)の濃度が増加するにつれて直線的に増加する、562nmにおける強い吸光度を有する。
10%SMA2000Pの作製
SMA2000P(Sartomer社から入手)と1Mの水酸化ナトリウム(10%w/v)との溶液を、マグネチックスターラー上の丸底フラスコ中において穏やかに室温で一晩攪拌した(25gのSMA2000Pを250mlのNaOH中に溶解させた)。続いて、いくつかの抗沸顆粒を、凝縮器を取り付けた加熱マントル上に置いた丸底フラスコに加えた。SMA/NaOH溶液を沸点に到達させた。煮沸後、熱を下げ、2時間還流し、溶液を2日間冷室に移した。これらの工程は、ドラフトチャンバー中で行われた。この冷却期間の後、体積を測定してSMAの含有率を計算し、50mlファルコンチューブに等分し、−70℃で保存した。
αアミラーゼ126培養の作製。
使用されたE.coli株は、プラスミドpQR126を含むK12細菌株JM107であった。細胞を、1%デンプン(w/v)および20μg/mlのカナマイシンを含有する栄養寒天プレート上で一晩増殖させた。この栄養寒天プレートからの単一コロニーを、20μg/mlのカナマイシンを添加した、50mlの「テリフィックブロス」(TB)を含む三角フラスコに植菌し、回転式振とう培養機内において一晩37℃で植菌した。
細胞分画法
この一晩培養物を50mlファルコンチューブにおける10個の40mlアリコートに分けた。続いて、これらのファルコンチューブを、ベックマンコールター社製GS−6R遠心分離機を用いて4℃で10分間遠心分離(3750rpm)し、上清(細胞外画分)を廃棄した。ペレットは、50mMトリス緩衝液(pH7.5)を用いて洗浄され、再度4℃で10分間にわたって再遠心分離(3750rpm)し、上清を再び除去した。
E.coliのペリプラズム画分からのαアミラーゼの抽出
これらの細胞の単一のペレットを、8mlの50mMトリス(pH7.5)中に十分に再懸濁し、1.5mlエッペンドルフチューブにおける8つの1mlアリコートに分配した。その後、これらのチューブを、14,000rpmでベンチトップ遠心分離機(Spectrafuge(商標)16M)を用いて室温で5分間遠心分離した。続いて、ペレットを残して上清を除去した。ペリプラズム画分を、種々の抽出方法を用いてE.coli細胞から放出した。
リゾチーム/EDTA処理
ペリプラズム放出の従来法は、リゾチーム/EDTAを用いて得られた。単一細胞ペレットを、50mMトリス(pH7.5)、20%スクロース、EDTA(1mM)およびリゾチーム(500μg/ml)を含む緩衝液1mlに再懸濁した。その後、これは、T/S/L/E緩衝液と称される。続いて、これを室温で15分間培養し、14,000rpmの速度で室温において5分間の遠心分離することによって細胞を回収した。上清(ペリプラズム画分)を別々の1.5mlエッペンドルフチューブに静かに移した。
いくつかの実験では、さらに「冷水洗浄画分」が得られた。これは、1mlの氷冷脱イオン水(4℃)を有するエッペンドルフチューブから残りの細胞ペレットを洗浄することによって得られた。続いて、細胞を、室温で5分間の遠心分離(14,000rpm)によって集め、上清(冷水洗浄画分)を別の1.5mlのエッペンドルフチューブに静かに移した。
リゾチーム処理
単一細胞ペレットを、50mMトリス(pH7.5)、20%スクロース、およびリゾチーム(500μg/ml)を含む緩衝液1mlに再懸濁し、室温で15分間攪拌した。続いて、細胞を、室温で5分間の遠心分離(14,000rpm)によって集め、上清(ペリプラズム画分)を別の1.5mlのエッペンドルフチューブに静かに移した。
トリス/NaCl処理
単一細胞ペレットを、特定の長さの時間(2時間または6時間)にわたって、50mMトリス(pH8.0)/0.5M NaClを含む緩衝液1mlに再懸濁し、37℃で培養した。培養後、細胞を、室温で5分間の遠心分離(14,000rpm)によって集め、上清(ペリプラズム画分)を別の1.5mlのエッペンドルフチューブに静かに移した。
スチレンマレイン酸(SMA)処理
また、スチレンマレイン酸(SMA)の様々な濃度を用いた処理を、E.coli細胞のペリプラズム内容物を抽出するために使用した。多くの別個の細胞ペレットを、異なる濃度のSMA(50mMトリス pH8.0/0.5M NaCl)を含む緩衝液中に十分に再懸濁し、室温または37℃のいずれかで様々な期間で培養した。培養後、細胞を、室温で5分間遠心(14,000rpm)することによって集め、上清(ペリプラズム画分)を別の1.5mlのエッペンドルフチューブに静かに移した。
リゾチーム/EDTAまたはSMA処理後の浸透圧ショック
細胞を、750μlのT/S/L/E緩衝液(上述のように)、または750μlのSMA(50mMトリス pH8.0/0.5M NaCl)のいずれか中に十分に再懸濁した。細胞懸濁液を、これらの緩衝液のいずれかとともに室温で15分間静的に培養した。この後、冷水を等量添加した。さらに、この細胞懸濁液を、特定の条件に応じて)特定の期間培養し、5分間にわたって14,000rpmで遠心分離することによってペリプラズム画分を回収前した。
分析超遠心(AUC)のための、αアミラーゼペリプラズム画分に由来する試料の作製
3つの別々のαアミラーゼペリプラズム画分(TSLE、2.5%SMA、および50mMトリス/0.5M NaCl)の使用は、AUC実験で使用するために必要であった。T/S/L/E αアミラーゼ画分を、12〜14KDaの透析膜で透析した。これに対して、SMAおよびトリス/NaCl αアミラーゼ画分を、3.5kDaの透析膜で透析した。これらの画分のすべてを、汚染物質の存在しない高度に純粋な試料を得るために、50mMトリス pH8.0/500mM NaClを含む緩衝液中で透析した。これらの試料の分析は、その後、分析超遠心を使用して行った。
細菌細胞のペリプラズム間隙によって放出されたαアミラーゼ量を測定するための分析
分析における使用のために必要な停止溶液は、50mlのヨウ化カリウム(2%w/v)に溶解された、100μlのヨウ素保存溶液(2.2%I/4.4%KI)を用いて作製された。
αアミラーゼ酵素の活性は、酵素活性がデンプン/ヨウ素複合体(2.2%I/4.4%KI)の吸光度の比率の減少を測定することによって計算される分析を用いて測定された。
ペリプラズム画分の希釈物を、1:10の比率で作製し(100μl試料に加えて、900μlのトリス200mM pH7.5)、それぞれの希釈されたペリプラズム画分の150μlを、96ウェルプレートの別のウェル入れ、50℃で予め培養した。分析の開始時点において、予め培養された(50℃)150μlのデンプン溶液(0.5%w/v)を、マルチチャンネルピペットを用いて適切なウェルに時間差で添加した。この反応を、50℃で3分間にわたって生じさせた。
3分後、15μlの各反応混合物を、300μlの停止溶液(I/KI)を含む別の96ウェルプレート上の適切なウェルに加えた。各ペリプラズム画分について反応混合物の添加後、吸光度をMolecular Devices(商標)E-maxプレシジョンプレートリーダーを用いて590nmで測定した。これらの反応のそれぞれは、複数のデータセットを得るために、各画分について2回または3回のいずれかで行った。
続いて、αアミラーゼ活性の効率を、デンプン/ヨウ素錯体の吸収率の減少を測定することによって計算した。
ペリプラズム画分のSDS−PAGE
ペリプラズム画分(20μl)を、5μlのタンパク質試料ローディング色素に結合させ、SDS−PAGEゲル上のウェルに入れた。タンパク質マーカーがゲルの末端に達するまで、ゲルを約1時間、100Vで泳動した。続いて、ゲルを、Instant Blue(商標)(クーマシーブルー)を使用して染色し、多数のタンパク質バンドが見えるようになるまで、ロッカーの上に置いた。この染色処理の後、Instant Blue(商標)染色を除去し、ゲルを脱イオン水によって一晩脱染色した。続いて、ゲル上に存在するタンパク質バンドを、存在するタンパク質のサイズを決定するために、予め染色されたタンパク質マーカーに対して分析した。
β−ガラクトシダーゼ測定のための培養物の増殖
この分析で使用されるE.coli株は、プラスミドpACYC ΔHNを含む182細菌株MALX400であった。これらの細胞は、テトラサイクリンおよびクロラムフェニコールを含む栄養寒天プレート上で一晩増殖させた。
この栄養寒天プレートに由来する単一コロニーを、無菌技術を用いて、10μg/mlのクロラムフェニコール、および35μg/mlのテトラサイクリンを補充した10mlのLBを含むフラスコに無菌ループ(sterile loop)を使用して植菌し、無菌技術を用いて37℃において振盪水槽中で一晩培養した。培養後、(テトラサイクリンおよびクロラムフェニコールを有する)10mlのLBを含む別の三角フラスコを、一晩予め培養した培養物200μlを用いて植菌し、2〜3時間37℃の水槽中で振盪した。このことを、培養物が氷上で保存されたとき、650nm(OD650nm)での光学密度が、0.3〜0.5の間になるまで行った。
細胞を透過するために、50μlのトルエンおよび1%デオキシコール酸ナトリウムの両者を培養物に添加し、パラフィルムでフラスコの首部分を覆うことによって簡単に混合した。続いて、培養物を、トルエンを蒸発させるために、振盪水槽中において37℃で通気した。溶解液を、実験的な使用のために必要となるまで、アイスバケットに保存した。
β−galの分析における使用のための、Z緩衝液、ONPG、およびNaCOの作製
β−ガラクトシダーゼ分析における使用のためのZ緩衝液は、0.06MのNaHPO、0.04MのNaHPO、0.01Mの塩化カリウム(KCl)、0.01MのMgSO、および(実験当日に加えられた)0.05Mのβ−メルカプトエタノールを用いて作製された。
ONPG溶液を、4mg/mlの濃度で作製する必要があった。これは、20mlのZ緩衝液中に凍結乾燥された、80mgのONPG粉末を添加することによって得られた。また、炭酸ナトリウム(「停止試薬」)も1Mの最終濃度で作製する必要があった。
Z緩衝液(1.9ml)を、コントロール実験のための試験管を含む、必要な多くの試験管で測定した。細胞溶解物のアリコート(100μl)を、β−ガラクトシダーゼ測定用チューブに加えたのに対して、100μlのZ緩衝液をコントロールチューブに加えた。
β−galチューブ:
1.9ml Z緩衝液+0.1ml 細胞溶解物→0.5ml ONPG→1ml NaCO
コントロールI(細胞溶解物なし):
2ml Z緩衝液→0.5ml ONPG→1ml NaCO
コントロールii(ONPGなし):
1.9ml Z緩衝液+0.1ml 細胞溶解物→0.5ml Z緩衝液→1ml NaCO
反応を0.5mlのo−ニトロフェニル−β−D−ガラクトシド(ONPG)を添加することによって開始させ、それぞれ0、5、10および20分間生じさせた。これらの特定時間の後、反応物を、1MのNaCOの1mlを用いて停止させ、420nm(OD420nm)での光学密度を記録した。0分でのβ−gal活性を試験するチューブについて、炭酸ナトリウムをONPGの前に添加した。続いて、試験管の各々についてのβ−ガラクトシダーゼ活性を、適切な時点で培養物について計算した。
これらの試験管分析の間に、吸光度をCecil Instruments(商標)CE-272linear読出紫外線分光光度計を用いて測定した。
96ウェルプレートに合わせるためのβ−gal分析の調節
同一の基本的なプロトコルを、他の一連の実験に続いて行ったが、溶液の体積は、反応混合物を96ウェルプレートに合わせるために10倍縮小された。したがって、試料については、10μlのβ−ガラクトシダーゼ含有細胞または細胞画分の追加とともに、190μlのZ緩衝液をプレートの特定ウェルに添加した。
反応を開始するために、50μlのONPG(o−ニトロフェニル−β−D−ガラクトシド)を、特定ウェルに添加し、反応を0、5、および20分間発生させた。1Mの炭酸ナトリウム(NaCO)溶液100μlを添加することによって反応を停止させ、プレートリーダーを用いて450nmにおける光学密度を測定した(OD450)。
この一連の実験の間、多くのコントロール試験を行った。陽性および陰性コントロールを、(ONPGの添加の有無にかかわらず)5μlのトルエンと5μlのデオキシコール酸ナトリウムとを用いて透過処理された1mlのβ−ガラクトシダーゼ細胞を含むエッペンドルフチューブを用いて行った。一方、別の陰性コントロール試験を、細胞溶解物/画分をともに使用せずに行った。目的の酵素(β−ガラクトシダーゼ)を含む細胞画分は、(上述の)αアミラーゼ分析について記載された方法と同じ方法を用いて抽出した。
ビシンコニン酸(BCA)分析を、総タンパク質量を検出するために、96ウェルプレート中で行った。BCA作用試薬は、BCA試薬Aの50部と、BCA試薬Bの1部とを混合することによって作製した。この分析の場合、9.8mlの試薬Aを、0.2mlの試薬Bに混合した。この作用試薬は、室温で保存することができ、1日間安定である。
96ウェルマイクロアッセイプレートを用いて、10μlの各スタンダードまたは試料(ペリプラズム画分)をプレートの適切なウェルに加えた。スタンダードまたは試薬のこの容量に、200μlの作用試薬を添加した。また、一連のブランク溶液を、200μlの作用試薬で構成される適切な緩衝液10μlを用いて、プレートの適当なウェル中で作製した。プレートを30秒間ロッカー上で混合し、30分間37℃で培養した。吸光度を570nmでプレートリーダーを用いて測定した。続いて、570nmでのブランクについての平均吸光度を、BSA標準曲線を作成するために、各スタンダードまたは未知試薬のそれぞれについての平均吸光度から差し引いた。このBSA標準曲線から、各特定のペリプラズム画分のタンパク質濃度を決定することができた。
結果
エシュリヒア・コリー(Eschrichia coli)細胞からのペリプラズムαアミラーゼ放出の際に変化する条件の影響。
E.coli細胞(プラスミドpQR126を含むK12細菌細胞株JM107)のペリプラズムからαアミラーゼを抽出するために、初期αアミラーゼ分析を確立し、この酵素の放出における条件の変化の影響を調べた。
この最初の分析において、個々のαアミラーゼペレットを、E.coliのペリプラズム内容物を抽出するために、多くの緩衝液を用いて処理した。これらの異なるペリプラズム放出方法は、トリス/スクロース/リゾチーム(TSL)緩衝液、トリス/スクロース/リゾチーム/EDTA(TSLE)緩衝液、2.5%スチレンマレイン酸(SMA)重合体緩衝液(様々な温度および培養時間で)、およびトリス/NaCl緩衝液を使用することを含んでいた。
予測されるようにTSLE緩衝液を用いるαアミラーゼ126ペレットの処理は、αアミラーゼの最大の抽出(80.5%)をもたらしたが、他の個々のαアミラーゼ126ペレットは、スチレンマレイン酸重合体を(2.5%濃度で)用いて処理したとき、いくつかの有望な結果をもたらした。また、TSLE緩衝液は、TSLペリプラズム放出方法に比較して、E.coli細胞由来のαアミラーゼの35%多い放出をもたらす(45.7%に比較して80.5%)。したがって、このことは、 EDTAが、リゾチームの作用機序における刺激効果を有することを示している。
ペリプラズムタンパク質の放出のためのこれらの条件の最も著しいものは、αアミラーゼ126細胞が、2.5%のSMA重合体を用いて37℃で2時間処理されたときのものであり、この酵素の68%の抽出をもたらす(図4)。したがって、TSLE(100%)を用いる最適な放出方法に比べて、このSMAペリプラズム放出方法は、84.5%の効率であった(図5)。これらの最初の結果の後、これらのE.coli細胞のSMA処理における条件変化の影響を試験するために改良された分析を試験し開発する必要があった。
αアミラーゼ分析グラフのエラーバーの説明
本研究の間に行われたこれらの分析のそれぞれについて、反応を、複数のデータセットを得るために、2回または3回反復して行った。したがって、棒グラフは、それぞれのペリプラズムタンパク質の放出方法について、ペリプラズムから抽出されたαアミラーゼの平均割合(%)を示している。
これらの複数のデータセットのために、各グラフにエラーバーを含む必要がある。したがって、それぞれのペリプラズムタンパク質放出方法について、各棒グラフにおいて、上部のエラーバーは、ペリプラズムからのαアミラーゼの最大抽出を表すのに対し、下部のエラーバーは、ペリプラズムからのα−アミラーゼの最少抽出を表している。
ペリプラズムαアミラーゼ抽出は、37℃における培養期間の増加とともに増加する。
この最初の結果の後、SMA共重合体によるαアミラーゼのペリプラズム抽出における37℃での培養の時間的な影響を示すために、αアミラーゼ分析を開発する必要があった。したがって、別の分析において、これらのE.coli細胞を、37℃で、様々な異なる培養時間にさらした。
これらの分析の最初の結果(図6)は、15分(13.8%)〜2時間(67.2%)の間にこれらの細胞のペリプラズムから抽出されたαアミラーゼの量における非常に有意な一時的な増大(〜5倍)を示した。この結果は、遅く機能するSMA脂質重合体を得ることは、E.coli細菌細胞のペリプラズムからαアミラーゼを抽出する可能性を高めるに違いないことを示している。
E.coli細菌細胞からのペリプラズムαアミラーゼの抽出において、SMA(2時間〜6時間の間)を用いる長い培養時間の影響をさらに試験するためにこの分析を開発する必要があった。この分析の結果(図7)は、これらの期間の間に、この酵素の放出におけるごくわずかな増加(78.7%に対して82.3%)を示した。
様々なペリプラズムタンパク質放出方法の効率を測定するために、これらの2つの別々の経時的分析から得られる結果を組み合わせる必要があった(図8)。したがって、これらの結果は、最適なTSLE放出方法(100%)に比較して90.9%効率的であったαアミラーゼのペリプラズム放出をもたらし、2.5%のSMAを用いる2時間(37℃)にわたるこれらのE.coli細胞の培養が最も有望な結果をもたらしたことを示した。
スチレンマレイン酸(SMA)の濃度が増加すると、ペリプラズムのαアミラーゼ抽出は減少する。
E.coli細胞のペリプラズムからのαアミラーゼの抽出における、SMAの異なる濃度(0.5%〜4.5%)の効果を試験するためにこの分析をさらに発展させる必要があった。一定に維持するために、培養時間は、これらのSMA濃度のそれぞれについて2時間(37℃)で保たれた。
多くの別の分析は、SMAの異なる濃度で確立された。第1のこれらのαアミラーゼ分析(図9)は、2%〜4.5%SMAの間のペリプラズムαアミラーゼの抽出において顕著な減少を示した(64.3%から29.3%)。この分析を、0.5%〜2.5%の間のSMA濃度で処理したとき、E.coli細胞のペリプラズムからのαアミラーゼの抽出を調べるためにさらに発展させた。この分析についての結果(図10)は、これらのE.coli細胞から抽出されたαアミラーゼの量の顕著な増加があったことを示した(59.7%から81.6%)。
これらの様々なペリプラズム放出方法の効率を測定するために、これら2つの別々の分析からの結果を結合する必要があった(図11)。このことが行われたとき、2%および2.5%SMAの両者は、ペリプラズムからのαアミラーゼの放出によって、最適な放出方法(TSLE緩衝液)に比較してほぼ同じ結果をもたらす。このことは、SMA脂質重合体が、ペリプラズムからのαアミラーゼの非常に良好な放出をもたらしたことを示した。
温度は、ペリプラズムαアミラーゼ放出のTSLE方法には影響しない。
E.coli細胞のTSLE処理における温度の影響を調べるために新たな分析が確立された。
最適なTSLE放出方法(室温で15分間の培養)を、4℃における、αアミラーゼ126細胞の分離したペレットと同様の培養時間と比較した。これらの2つの温度を、αアミラーゼのそれぞれの放出によって比較すると、現実的な差は認められなかった(100%に対して99.5%)。
ペリプラズムタンパク質放出における「冷水洗浄」の効果
上述のペレットを氷冷水で洗浄して「冷水洗浄画分」を得た(方法において記載された)。これらの画分から得られた結果は、最適なTSLEペリプラズム放出方法(図12)に比較して、αアミラーゼ放出の有意な減少があり、αアミラーゼ放出の17.3%または5.4%(4℃)のいずれかをもたらすことを示した。この結果は、これらの条件から製造されたαアミラーゼのほとんどが「ペリプラズム画分」に放出されたことを示した。
ペリプラズムαアミラーゼ放出の効率における浸透圧ショックの影響
さらなる分析を、E.coli細胞のペリプラズムからのαアミラーゼ抽出に、氷冷水の適切な体積を添加する効果を試験するために行った。この分析のために、この浸透圧ショック法(方法を参照のこと)を、ペリプラズムタンパク質放出についての、TSLE、2%SMA、および2.5%SMA処理(図13)と併せて行った。この分析の結果は、浸透圧ショックが、細胞からαアミラーゼを放出するための、T/S/L/E処理の効率にほとんど影響を与えないことを示した(100%に対して99.3%の効率)。しかしながら、浸透圧ショックを、2%SMA処理(85.9%から92.6%)と2.5%SMA(75.8%から88.4%)との両者に組み合わせて両者を使用したとき、放出されるαアミラーゼの量がわずかに増加した。
様々なペリプラズムタンパク質放出方法におけるEDTAの効果
リゾチーム作用におけるEDTAの効果は、既に以前に示されており(図4)、E.coli細胞のペリプラズムから放出されるαアミラーゼ量における刺激効果を有することが見出された。したがって、EDTAが、SMA脂質粒子(SMALPs)の性質に任意の影響を有し、E.coliのペリプラズム間隙からαアミラーゼを放出するかどうかを確認する必要があった。
同じ濃度のEDTA(1mM)を、様々な組み合わせの培養条件を用いて2%SMA緩衝液に添加すると、これらのE.coli細胞のペリプラズムからのαアミラーゼの放出量は顕著に減少することが示された。たとえば、E.coli細胞からペリプラズムαアミラーゼ放出を、2%SMA緩衝液を用いて37℃で2時間調べたとき(EDTAの添加の有無で)、ペリプラズム間隙からのαアミラーゼの放出量が顕著に減少した(図19)。αアミラーゼの量は、TSLE最適放出方法(100%)に比較して、79.5%から4.2%に減少した。
E.coli細胞からのβ−ガラクトシダーゼ放出における様々な条件の影響。
第1の試験管分析は、これらのE.coli細胞中のβ−ガラクトシダーゼの存在を示すために確立された。このことは、トルエンおよびデオキシコール酸ナトリウムを用いて細胞を透過性にすることによって得られた。ONPGの存在下において、(420nmの光学密度で)20分間にわたって0.53の吸光度の変化があった(0.05から0.58まで)ので、β−ガラクトシダーゼの有意な放出が示される。一方、ONPGの非存在下において、同様の期間にわたって(同一の光学密度で)吸光度の変化はなかった。この場合、放出されたβ−ガラクトシダーゼは、その作用を発揮することができない。なぜなら、ONPG(無色)をONP(黄色)に変換することができないからである。ONPGの存在下においてZ緩衝液を用いる別の陰性コントロール実験では、(420nmでの)吸光度に変化はなかった。なぜなら、この酵素を含有する細胞が存在しないからである。これらのβ−ガラクトシダーゼ分析のそれぞれについて、吸光度の変化は、この酵素の活性の増加を表した(図15)。
エシュリヒア・コリー細胞(プラスミドpACYC ΔHNを含む182菌株MALX400)からの細胞質酵素β−ガラクトシダーゼの放出における、様々な処理および条件の影響を調べるために、様々な異なる分析を96ウェルプレートに確立した。
これらの分析の最初に、細胞は、TSLE緩衝液、2%SMA緩衝液、および2.5%SMA緩衝液で処理された(図16)。また、細胞は、陽性コントロールとしてβ−ガラクトシダーゼを放出するために、トルエンおよびデオキシコール酸ナトリウムを用いて透過させることができた。この分析の結果は、TSLE処理のためだけでなく、(ONPGの存在下での)透過された細胞について陽性の結果(β−ガラクトシダーゼの放出)を示した。一方、細胞をSMA重合体で処理したとき、β−ガラクトシダーゼの放出は、全くないか、最小であった。陰性コントロール実験を、β−ガラクトシダーゼの存在下(透過性細胞)、ONPGの非存在下で行った。したがって、このβ−gal基質の非存在下において、(450nmでの)検出された吸光度の変化はなかった。
これらの結果は、TSLE処理がE.coli細胞の細胞質からβ−ガラクトシダーゼを抽出することができたが、SMA処理放出によって示される陰性結果は、SMA脂質粒子(SMALPs)が、任意のこの細胞質酵素を放出しないことを示した。
β−ガラクトシダーゼの放出を検出するために、後続の分析では、トリス/NaCl緩衝液を、エシュリヒア・コリー細胞のペリプラズム内容物を放出するために使用した(図17)。この特定の緩衝液は、再度β−ガラクトシダーゼの放出をもたらさず、細胞膜が無傷のままであると考えられることが再度示された。
β−ガラクトシダーゼの放出における「冷水洗浄」の影響
β−ガラクトシダーゼ細胞から「冷水洗浄画分」を得る方法(上述の方法)を、この酵素の放出を検出するために使用した。この処理の結果は、β−ガラクトシダーゼが、「冷水洗浄画分」(cwf)において放出されなかったことを示した。このことは、すべてのβ−galが「ペリプラズム画分」に放出されたことを示した(図17)。
ペリプラズムと冷水洗浄画分とに存在する総タンパク質量を検出するためのビシンコニン酸(BCA)分析の使用
この分析を、E.coli細胞から抽出された、ペリプラズム画分(pf’s)および冷水洗浄画分(cwf’s)の多くに存在するタンパク質の量および濃度を検出するために使用した。これらの画分のそれぞれの正味吸光度を、総タンパク質濃度を決定するために、BSA標準曲線上にプロットした(図18)。
E.coli細胞(プラスミドpQR126を含むK12細菌株JM107)のペリプラズム画分から検出された総タンパク質の最大量は、ペリプラズムタンパク質放出のための最適TSLE方法を使用することによって検出され、(570nmにおいて)0.3625の正味吸光度を得た。したがって。〜500μg/mlの総タンパク質濃度を示している。この結果は、TSLE緩衝液が、ペリプラズム間隙と細胞質との両者からタンパク質を多量に放出するために外膜および細胞膜を破壊することができることを示した。
細胞を、ペリプラズム内容物を放出するために[50mMのトリス(pH8.0)/0.5MのNaCl中の]2.5%SMAで処理すると、より小さい0.112の正味吸光度であり、細胞から放出された総タンパク質量がより少ないことを示した(〜200μg/ml)。このことは、上述の結果を再び示している。なぜなら、タンパク質は、ペリプラズムからのみ放出され、これらのE.coli細胞の細胞質からは放出されない。また、細胞を、ペリプラズム内容物を放出するために、トリス/NaCl緩衝液によって処理したときも、より低い0.0615の正味吸光度(〜100μg/ml)であった。この結果は、より少ないタンパク質がこの方法を用いて放出されたことを示し、αアミラーゼ分析に示された上述の結果を示している。これらの方法に由来する「冷水洗浄画分」を使用すると、570nmの正味吸光度の真の変化は得られなかった。このことは、ほとんど、または全くタンパク質が、この方法を用いることによって放出されなかったことを示した。
この特定のBCA総タンパク質分析の結果は、β−ガラクトシダーゼE.coli細胞(プラスミドpACYC ΔHNを含む182細菌株MALX400)から得られたペリプラズム画分に非常に類似していた。最適なTSLE放出方法を用いることによる唯一の違いは、わずかに低い0.254の正味吸光度が得られ、〜400μg/mlの総タンパク質濃度を示していることである。
このことは、これらの細胞には、他の細菌株に比較して少ないαアミラーゼが存在するという事実のために、わずかに少ないタンパク質が、最適なTSLEペリプラズムタンパク質放出方法を用いてこれらのE.coli細胞から放出されたことを示した。最良適合の線は、570nmにおいて公知のスタンダード、またはタンパク質試料の正味吸光度の直線を示している(x軸およびy軸上の0における切片を有する)。
SDS−PAGEゲルを、E.coli細胞のペリプラズム画分中の様々なタンパク質の存在を示すために行った。結果は、図19に示されている。
別個のバンドが同じ分子量(kDa単位)付近で、レーン2および3に存在していた。バンドは、TSLE緩衝液単独であるレーン2においてより顕著であったが、レーン3におけるバンドは、TSLEペリプラズム画分を表している。このバンドは、最も好ましくは、緩衝液またはペリプラズム画分のいずれかに存在するリゾチームを表していると考えられる。SMA重合体は、2.5%SMAペリプラズム放出処理の使用によって、レーン5〜9に示された。このことは、約7.5kDaの小さいタンパク質を表すバンドを示している。また、このSDS−PAGEゲルに使用されるすべてのペリプラズム画分は、αアミラーゼ分析において使用された、予備染色されたタンパク質マーカーに対して行われた(レーン1)。
E.coli細胞のペリプラズム内容物の抽出において使用されたタンパク質を調べるために、さらにSDS−PAGEゲルを行う必要があった(図20)。
ゲルのレーン1(TSLEペリプラズム画分)に示されるタンパク質バンドが存在し、このことは、最も好ましくはリゾチームタンパク質を表している。このことは、約7.5kDaのより小さいタンパク質を表すバンドを示すゲルのレーン2(2.5%SMAペリプラズム画分)(SMA脂質重合体)とは対照的である。
レーン2と同様のサイズのバンドは、レーン5〜7に見出される。これらのレーンには、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)ディスク、ホスファチジルコリン(PC)ディスク、および2.5%のSMA緩衝液をそれぞれ表している。
ゲルのレーン4において、αアミラーゼタンパク質単独で行われた。これは、より大きなタンパク質(〜54kDa)を表すバンドを示している。これらのペリプラズム画分/タンパク質は、予め染色されたタンパク質マーカーに対して行われた(レーン8)。
これら3つの生化学的分析法を用いてE.coli細胞から放出された様々なタンパク質の量の観点から考察するための基本的結果指針
注:プロジェクト全体を通して、SMAペリプラズムタンパク質放出処理は、最適化TSLE方法に比較して〜80%〜99.4%まで変化するαアミラーゼ放出をもたらした。この違いは、多くの異なる分析においてこの処理の使用に起因するのみである。
記号
(−)=特定タンパク質の放出がないことを示している。
(+)または(++)=その特定タンパク質の最小限の放出を示している。
(++++)=その特定タンパク質の非常に優れた放出を示している。
(+++++)=その特定タンパク質の最も優れた放出を示している。
議論
Knowlesらによる最近の研究では、膜貫通タンパク質を研究する全く新規の方法が開発された。このことは、「スチレンマレイン酸(SMA)共重合による単分散脂質ディスク」の形成によるものである。これらの脂質「ナノディスク」(SMALPs)の形成は、核磁気共鳴(NMR)分光法、および円二色性(CD)分光法などの、生物物理学的および構造的分析を正確に調べるために保存される膜貫通型タンパク質をもたらすことができる。
この発見は、SMALPsが、結合し、外膜との複合体を形成することができ、これらの脂質ナノディスクが、様々な他の膜画分(すなわち、ペリプラズム)からタンパク質を分離し、抽出することを可能にする手段として使用することができるというものである。
これまで、放出タンパク質の最大量の観点から、グラム陰性細菌(すなわち、E.coli)からのタンパク質抽出の最適方法は、EDTAと組み合わせたリゾチーム酵素を使用している。
リゾチームは、細菌の細胞壁のペプチドグリカン成分を標的とすることが知られている。したがって、グラム陽性細菌(すなわちバチルス種)において、リゾチームは、簡単にこの層を破壊することができる。E.coliなどのグラム陰性菌では、付加的な外膜の存在は、ペプチドグリカン層を外部環境から保護することができる。EDTAなどの薬剤の添加は、外膜の不安定化を引き起こす2価の陽イオン(Ca2+、Mg2+)のキレート化をもたらすことができるので、ペリプラズム間隙中に存在するペプチドグリカン層にリゾチームを接触させ、続いて「溶解した」細胞から大量のタンパク質の放出をもたらす。
リゾチーム/EDTA処理によるE.coli細菌細胞のペリプラズムタンパク質放出は、温度に依存しないので、この要因は、ペリプラズム間隙からタンパク質の放出における有意な変化をもたらさない。
2.5%の濃度で、2時間37℃におけるSMA共重合体を用いるE.coli細胞の処理は、ペリプラズムからのタンパク質の放出によって有望な結果をもたらした(図1)。E.coli細胞の外膜中の、リン脂質、リポ多糖類およびリポタンパク質の存在によって、これらの特異的SMA重合体は、「脂質ナノディスク」としても知られる(Knowles et al, 2009)重合体/脂質の集合体を形成することができる。これらの複合体の形成は、ペリプラズムからのタンパク質の放出をもたらすことができる。脂質/重合体の集合体を形成し、ペリプラズムタンパク質を放出するSMA共重合体の能力を、重合体の濃度(図6〜8)、温度、および分析の経時変化における相違など様々な条件下で試験した。
E.coli細胞を処理するために37℃で2.5%SMA重合体を使用し、15分〜6時間までの範囲の時間にわたって、ペリプラズムからのαアミラーゼ放出における非常に顕著な増加をもたらした。SMA脂質重合体(SMALP)がある期間にわたって外膜と相互作用するとき、このことは、大量のペリプラズムαアミラーゼの放出をもたらす。この反応は、2時間で使い尽くされるようである。なぜなら、その後αアミラーゼは、ほとんど放出されないからである。
したがって、37℃で培養器を動かす費用の増加のために、6時間にわたるSMA共重合体を有するE.coli細胞の処理は、バイオプロセス産業における実行可能な選択肢ではないであろう。したがって、ペリプラズムを標的とする治療薬の放出のためのバイオプロセス設計によって、2.5%のSMAを用いる2時間の処理は、より経済的であろう。
0.5%から4.5%まで、様々な濃度でSMA重合体を用いて(2時間、37℃)、E.coli細胞のペリプラズムから放出されたαアミラーゼの量に関する様々な結果を得た。この結果は、SMAの濃度を増加する(4.5%〜2.5%の間)と、このことが、脂質/重合体の集合体を形成し、E.coli細胞のペリプラズムの内容物を放出するSMAの能力を阻害する影響を与えることを示した。他の可能性は、SMAの濃度を4.5%まで増加すると、円偏光二色性分析によって確認をする必要があるペリプラズムαアミラーゼの天然の非折り畳みをもたらし得ることである。したがって、ペリプラズム環境は、タンパク質が、その特徴的な三次構造を形成することができないように、より酸化度が少なくなる。一方、SMAの濃度が増加したとき(0.5%〜2.5%の間)、このことは、ペリプラズムαアミラーゼ放出の増加をもたらし、脂質/重合体の集合体の複合体がより強く結合することができ、αアミラーゼの増加した放出を刺激することを示唆する。したがって、スチレンマレイン酸を(2〜2.5%で)用いることは、E.coli細胞のペリプラズムからタンパク質を得るためのより経済的な選択肢として、バイオプロセスにおける使用のための最良の選択肢である。
また、(2%の濃度で)SMA共重合体が1mMのEDTAに組み合わせて使用されたとき、このことは、ペリプラズムからのαアミラーゼの最小の放出をもたらした。このことは、EDTAが、E.coliの外膜の形成からSMA脂質粒子(SMALPs)を分離することを示している可能性がある。形成される脂質/重合体の集合体の不全は、ほとんど、または全くペリプラズムタンパク質の放出をもたらさない。
この研究の間、浸透圧ショック(French et al, 1996によって開発された)が、様々なペリプラズム放出処理と組み合わせて用いられた。水の添加は、αアミラーゼを放出するSMA法においてわずかに陽性の効果を有した。このことは、浸透圧ショックによる、外膜でのSMALP複合体の集合体の増加または強化が、より安定なペリプラズムタンパク質放出機構をもたらす可能性があることを示しているかもしれない。
バイオプロセス方法の間、ペリプラズムベースの治療用タンパク質を標的とする場合、細胞質から汚染物質を放出することなく、ペリプラズムからタンパク質を選択的に除去する必要がある。細胞質酵素,β−ガラクトシダーゼの放出は、同一のタンパク質放出法を使用して、新規の分析において試験された。得られた結果は、TSLE処理が大量のβ−ガラクトシダーゼを放出したが、(2および2.5%濃度での)SMA処理は、この酵素を全く放出しなかったという事実において、非常に興味深いものであった。このことは、SMA重合体が外膜においてのみ複合体を形成し、内側の細胞膜を標的としないことを示唆している。また、外膜における「脂質ナノディスク」の形成は、この膜によって示される強い負電荷が原因である可能性がある。この負電荷は、リポ多糖類およびリポタンパク質の存在によるものである。
したがって、この印象的な結果と以前の分析からの結果とを組み合わせ、SMA処理は、任意の細胞質タンパク質からの汚染なく、ペリプラズムからのαアミラーゼの非常に多量の放出をもたらすことができる。このことは、バイオプロセス産業において非常に重要であるであろう。なぜなら、最初の「細胞破壊」工程における純粋タンパク質の放出は、ペリプラズムベース治療薬(バイオ医薬品)の製造における下流のプロセスに関するさらなる費用を劇的に減少させることができる(Bracewell et al, 2009)。
E.coli細胞のTSLE処理によるβ−ガラクトシダーゼの多量の放出は、リゾチームがムラミダーゼとして作用し、ペプチドグリカン層における特定の結合を破壊するという事実に起因する。以前の研究(Vollmer et al, 2004; Demchick and Koch, 1996)は、ペプチドグリカン層が2.06nmの平均半径を有する細孔を含むことが示された。したがって、このサイズの細孔は、22〜24kDaの質量を有する球状タンパク質を浸透させることができる。したがって、(14〜15kDaの分子量を有する)リゾチームは、これらの細孔を容易に通過し、細胞膜を損傷することができるであろう。また、陰性染色されたSMALPs(Knowles et al, 2009)の電子顕微鏡研究は、これらの複合脂質/重合体の集合体の〜11nmの平均直径を示した。したがって、これらのSMALPsは、ペプチドグリカン層に存在する細孔を通過することができない。したがって、それらは、ペリプラズムタンパク質の放出を選択的に標的にすることができる。
TSLE「冷水洗浄画分」を用いる、αアミラーゼおよびβ−ガラクトシダーゼの両者の放出の最小化または欠如は、初期のペリプラズム画分中に存在するこれらのタンパク質が非常に多量であることの指標である。したがって、この最初のペリプラズム画分中のタンパク質の最大量を放出する、この方法の効率の向上を示している。
αアミラーゼおよびβ−ガラクトシダーゼの両者の生化学的分析から得られた結果は、BCA総タンパク質分析を用いて確認された。TSLEペリプラズムタンパク質放出法によって、E.coli細胞から放出された総タンパク質のより多い量は、(ペリプラズム由来の)αアミラーゼおよび(細胞質由来の)β−ガラクトシダーゼの両者の多量の放出を表すものである。一方、SMAペリプラズムタンパク質放出法によってE.coli細胞から放出された総タンパク質量の減少は、細胞質タンパク質からの汚染のない、非常に多いαアミラーゼ放出を示す上述の結果の典型である。
結論
結論として、TSLEタンパク質放出法は、ある時はαアミラーゼのわずかに多い量をもたらし得るが、このことは細胞質タンパク質(すなわち、β−ガラクトシダ−ゼ)の放出によって汚染された可能性がある。したがって、大規模なバイオプロセス産業において、リゾチームを用いる費用と、下流処理におけるその後の精製工程とによってこのことは高価な選択肢であろう。一方、スチレンマレイン酸(SMA)の使用は、外膜にSMALP複合体を形成することによって、ペリプラズム間隙からタンパク質を選択的に放出するために使用することができる(図21)。したがって、大規模なバイオプロセス産業において、この方法は、スチレンマレイン酸重合体の費用削減と、このタンパク質を製造するために必要な精製工程を削減するという事実とによって、良好な経済的価値があるであろう。
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Vollmer W., Holtje JV. (2004) - ‘The Architecture of the Murein (Peptidoglycan) in Gram-Negative Bacteria: Vertical Scaffold or Horizontal Layer(s)?’ - J. Bacteriol. 186(18); 5978-5987
Demchick, P., and A. L. Koch. - ‘The permeability of the wall fabric of Escherichia coli and Bacillus subtilis.’ - J. Bacteriol. 178:768-773.
実施例2:SMAを使用する、E.coliペリプラズムからのFAB抗体断片の放出
E.coliは、抗体断片(FAB断片)をコードする遺伝子を含むプラスミドで形質転換された。細胞を増殖させ、遺伝子発現を誘導した。細胞を遠心分離によって分離し、続いて37℃におけるSMAの増加した量を含む緩衝液(たとえば、50mMトリスHCl pH7.4、150mM NaCl)中に再懸濁した。1時間の培養後、スフェロプラストを遠心分離によって溶液から分離し、その後(FAB断片を含む)上清を回収した。放出されたFAB断片の量は、FAB断片に対する抗体で標識されたウエスタンブロットを用いて評価された。上清中の総タンパク質は、SDS PAGEを用いて評価された。
図22に示されるように、FAB断片を発現する細胞を、37℃で2時間にわたって2.5%SMAで処理したときのFAB断片量(A)は、浸透圧ショック法を用いて得られたもの(B)と同等である。SMA法を用いて放出された非FAB断片タンパク質の量(D)は、浸透圧ショックを使用する(C)よりも著しく低い。

Claims (21)

  1. スチレンマレイン酸共重合体(SMA)を含む溶液中で細菌細胞を培養することを含むことを特徴とする、細菌細胞のペリプラズム間隙の内容物を放出するための方法。
  2. スチレン:マレイン酸の比率は、約1:2から10:1までであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. スチレン:マレイン酸の比率は、約2:1であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 前記SMAは、約0.5%〜4.5%の間の濃度であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記SMAの濃度は、約2%〜2.5%であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 前記細菌細胞は、約15分から6時間までの間、SMAとともに培養されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記細菌細胞は、SMAとともに約2時間培養されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 前記細菌細胞は、SMAとともに約37℃で培養されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記細菌細胞は、グラム陰性細菌種であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記グラム陰性細菌種は、E.coli、サルモネラ(Salmonella)属、シュードモナスフルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シゲラ(Shigella)属、エルシニア(Yersinia)属、またはクレブシエラ(Klebsiella)属であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
  11. (i)細菌細胞の集団を作製する工程と、
    (ii)細菌細胞を、約2:1のスチレン:マレイン酸の比率を有するSMAを含む溶液に約2%〜2.5%の濃度で懸濁する工程と、
    (ii)前記細菌細胞を約37℃で約2時間にわたって前記溶液中で培養する工程とを含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記溶液は、EDTAを実質的に含まないことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記溶液は、0.5M NaClにおいて、pH8.0の50mM TRISを含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記細胞を浸透圧ショックにさらすことをさらに含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. ペリプラズム間隙の1つの成分の少なくとも一部を前記溶液から回収することをさらに含むことを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記ペリプラズム間隙は、組み換えポリペプチドを含むことを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 組み換えポリペプチドの少なくとも一部を前記溶液から回収することを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
  18. 組み換えポリペプチドの実質的に純粋な試料を作製する方法であって、
    (i)組み換えポリペプチドを含む細菌細胞の集団を作製する工程と、
    (ii)細菌細胞を、約2:1のスチレン:マレイン酸の比率を有するSMAを含む溶液に約2%〜2.5%の濃度で懸濁する工程と、
    (ii)前記細菌細胞を約37℃で約2時間にわたって前記溶液中で培養する工程と、
    (iv)前記溶液から前記組み換えポリペプチドを回収する工程とを含むことを特徴とする方法。
  19. ペリプラズム間隙の内容物を放出するためのスチレンマレイン酸共重合体(SMA)の使用。
  20. (i)スチレンマレイン酸共重合体(SMA)を含む溶液と、(ii)取扱説明書とを含むことを特徴とする、部品のキット。
  21. タンパク質精製カラムまたは樹脂を含む1以上の追加の成分を、さらに含むことを特徴とする、部品のキット。
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