JP2014512671A - 不活性化されたエミッタおよびリヤコンタクトのシリコン太陽電池の銀裏面電極形成のための方法 - Google Patents

不活性化されたエミッタおよびリヤコンタクトのシリコン太陽電池の銀裏面電極形成のための方法 Download PDF

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Abstract

PERCシリコン太陽電池の電気伝導性の銀裏面電極形成方法であって、
(1)p型シリコンウェハを提供するステップであって、
前記p型シリコンウエハの前面にn型エミッタを有し、かつ
前記p型シリコンウエハの裏面に穿孔された誘電体不活性化層を有し、
前記n型エミッタは、その上にARC層を備え、
前記穿孔された誘電体不活性化層は、その穿孔の配設位置に局所BSF端子を備えている、ステップと、
(2)銀ペーストを塗布、乾燥して、前記シリコンウェハの裏面に、前記局所BSF端子を接続する銀裏面電極のパターンを形成する、ステップと、
(3)乾燥した銀ペーストを焼成し、それによって、前記ウェハが700から900℃のピーク温度に達するステップと、
を含み、
前記銀ペーストは、焼成貫通性がないか、または乏しい焼成貫通性しかなく、かつ微粒子の銀および有機ビヒクルを含む、
銀裏面電極形成方法。

Description

本発明は、PERC(passivated emitter and rear contact:不活性化されたエミッタおよびリヤコンタクト)シリコン太陽電池の銀裏面電極の形成のための方法、および、それに対応して、前記の銀裏面電極を含むPERCシリコン太陽電池の生産のための方法に関する。本発明は、それに対応するPERCシリコン太陽電池にも関する。
通常、シリコン太陽電池には前面金属被覆および裏面金属被覆(前面電極および裏面電極)の両方がある。p型基材を有する従来のシリコン太陽電池構造は、電池の前面または太陽面と接触するために負極を使用し、裏面には正極を使用する。半導体本体のpn接合に入射する適切な波長の射光は、その本体内に正孔電子対を生成するための外部エネルギー源としての働きをすることは周知である。pn接合に存在する電位差は、正孔と電子を接合を横切って反対方向に移動させ、それによって、外部回路に電力を送達することができる電流の流れを生じさせる。ほとんどの太陽電池は、金属被覆が施された、すなわち、電気伝導性であるメタルコンタクトが設けられたシリコンウェハの形態をとっている。
現在製造されている大多数の太陽電池は、結晶シリコンを基材としている。電極を堆積するための普及した方法は、金属ペーストのスクリーン印刷である。
PERCシリコン太陽電池は当業者には周知である。例えば、P.Choulat et al.,“Above 17% industrial type PERC Solar Cell on thin Multi−Crystalline Silicon Substrate”,22nd European Photovoltaic Solar Energy Conference,3−7 September 2007,Milan,Italyを参照されたい。PERCシリコン太陽電池は特別な型の従来のシリコン太陽電池であり、それらは、それらの前面および裏面の上に誘電体の不活性化層を有することにより分類される。前面の不活性化層は、シリコン太陽電池で従来通り、ARC(反射防止膜)層としての働きをする。裏面の誘電体の不活性化層は穿孔され、それは、電荷キャリア寿命を延ばすのに役立ち、その結果として、光変換効率を向上させる。穿孔された誘電体裏面不活性化層の損傷をできるだけ回避することが望まれる。
従来のシリコン太陽電池の製造に同様に、PERCシリコン太陽電池の製造は、シリコンウェハの形態のp型シリコン基板で通常始まり、そのシリコンウェハの上に、逆導電型のn型拡散層(n型エミッタ)が、リン(P)などの熱拡散によって形成される。オキシ塩化リン(POCl)が、ガス状のリン拡散源として一般に使われ、他の液体源はリン酸などである。何らかの特別の変更がない場合には、n型拡散層はシリコン基板の表面全体にわたり形成される。pn接合は、p型ドーパントの濃度がn型ドーパントの濃度と等しくなる所で形成される。太陽面に近いpn接合を有する電池は、0.05から0.5μmの間の接合深さを有する。
拡散層の形成の後に、過剰な表面ガラスが、表面の残りの部分からフッ化水素酸などの酸によるエッチングによって除去される。
次に、例えば、TiO、SiO、TiO/SiO、SiNの誘電体層、または特にSiN/SiOの誘電体スタックが、前面n型拡散層上に形成される。PERCシリコン太陽電池の具体的な特徴として、誘電体が、例えば0.05から0.1μmの間の厚さにシリコンウェハの裏面上にも堆積される。誘電体は、例えば、水素の存在下におけるプラズマCVD(化学気相成長法)またはスパッタリングなどのプロセスを使って、堆積し得る。そのような層は、PERCシリコン太陽電池において、その前面のためにARCおよび不活性化の層の双方としての働きをし、また、その裏面のために誘電体の不活性化層としての働きをする。次いで、PERCシリコン太陽電池の裏面の不活性化層は穿孔される。穿孔は、酸エッチングまたはレーザー穴あけによって通常作られ、そのように製造された孔は、例えば直径50から300μmである。それらの深さは不活性化層の厚さに対応するか、または、むしろわずかにそれを超えてもよい。穿孔の数は、例えば1平方センチメートル当たり100から500個の範囲にある。
p型基材および前面n型エミッタを備えた従来の太陽電池構造と全く同様に、PERCシリコン太陽電池は、通常、その前面に負極を有し、その裏面に正極を有している。負極は、電池の前面のARC層の上に、前面銀ペースト(前面電極形成用銀ペースト)をスクリーン印刷し、さらに、乾燥することによってグリッドとして通常適用される。前面グリッド電極は、薄い平行のフィンガー配線(コレクタ配線)、およびフィンガー配線と直角に交差する2つのバスバーを含むいわゆるHパターンで通常スクリーン印刷される。さらに、裏面の銀もしくは銀/アルミニウムペースト、およびアルミニウムペーストが、p型シリコン基板の裏面上の穿孔された不活性化層上に適用されるが、通常はスクリーン印刷され、さらに引き続いて、乾燥される。通常は、裏面の銀または銀/アルミニウムペーストは、裏面に穿孔された不活性化層上に適用され、アノードのバックコンタクトを、相互接続ストリング(予備はんだ付き銅リボン)をはんだ付けする準備ができている、例えば、2つの平行のバスバーとして、または、長方形もしくはタブとして、最初に形成する。次いで、裏面アルミニウムペーストが、裏面の銀または銀/アルミニウムに対するわずかな重なりを持ちながら、露出した領域に適用される。いくつかの場合において、裏面の銀または銀/アルミニウムのペーストは、裏面のアルミニウムペーストが適用された後に適用される。次いで、ベルト炉において1分から5分の間、通常、焼成され、ウェハは700から900℃の範囲のピーク温度に達する。前面電極および裏面電極は順次焼成するかまたは同時焼成することができる。
裏面のアルミニウムペーストは、シリコンウェハの裏面の穿孔された誘電体不活性化層上に、一般にスクリーン印刷され、乾燥される。ウェハはアルミニウムの融点より高い温度で焼成され、アルミニウムとシリコンとの間のローカルコンタクト、すなわち誘電体不活性化層によって覆われていないシリコンウェハの裏面の部分、または言いかえれば、穿孔の配設位置において、アルミニウムとシリコンの溶融物を形成する。そのように形成されたローカルのp+コンタクトは一般にローカルBSF(裏面電界)コンタクトと呼ばれる。裏面のアルミニウムペーストは、乾燥された状態から焼成することによりアルミニウム裏面電極に転換され、一方、裏面の銀または銀/アルミニウムのペーストは、焼成されると裏面の銀または銀/アルミニウムの裏面電極になる。通常、裏面のアルミニウムペーストと裏面の銀または銀/アルミニウムのペーストとは、同時焼成されるが、順次焼成も可能である。焼成中に、裏面のアルミニウムと、裏面の銀または銀/アルミニウムとの間の境界は、合金状態をとり、電気的にも接続される。アルミニウム電極は、裏面電極のほとんどの面積を占める。銀または銀/アルミニウム裏面電極は、予備はんだ付き銅リボンまたは同種のものによって太陽電池を相互に接続するためのアノードとして裏面の部分に形成される。さらに、前面カソードとして適用された前面の銀ペーストは、焼成中にARC層をエッチングし貫通し、それによって前面のn型層と電気的に接触することができる。この種のプロセスは「焼成貫通する」(”firing through”)と通常呼ばれる。
本発明は、PERCシリコン太陽電池の電気伝導性の銀裏面電極の形成のための方法に関する。それに応じ、それは、前記電気伝導性の銀裏面電極を含むPERCシリコン太陽電池の生産のための方法、およびPERCシリコン太陽電池自体にさらに関する。
PERCシリコン太陽電池の電気伝導性の銀裏面電極の形成のための方法は、
(1)p型シリコンウェハを提供するステップであって、
前記p型シリコンウエハの前面にn型エミッタを有し、かつ
前記p型シリコンウエハの裏面に穿孔された誘電体不活性化層を有し、
前記n型エミッタは、その上にARC層を備え、
前記穿孔された誘電体不活性化層は、その穿孔の配設位置に局所BSF端子を備えている、ステップと、
(2)銀ペーストを塗布、乾燥して、前記シリコンウェハの裏面に、前記局所BSF端子を接続する銀裏面電極のパターンを形成する、ステップと、
(3)乾燥した銀ペーストを焼成し、それによって、前記ウェハが700から900℃のピーク温度に達するステップと、
を含み、
前記銀ペーストは、焼成貫通性(fire−through capability)がないか、または乏しい焼成貫通性しかなく、かつ微粒子の銀および有機ビヒクルを含む。
用語「銀ペースト」が本明細書において使用されている。それは、唯一の、または主要な、電気伝導性微粒子金属のいずれかとして微粒子の銀を含む厚膜導電性の銀組成物を意味するものとする。
用語「銀の裏面電極パターン」が本明細書において使用されている。それは、PERC太陽電池シリコンウェハの裏面における銀の裏面アノードの配置を意味するものとする。この配置は、局所BSF端子をすべて接続する微細線のパターンを形成する銀裏面電極に特徴がある。例として、局所BSF端子をすべて接続する平行であるが接続された微細線の配置、または局所BSF端子をすべて接続する微細線のグリッドが挙げられる。そのようなグリッドの場合には、それは格子縞模様のグリッドが通常であるが、しかし必ずというわけではない。要点は、銀裏面電極パターンが、局所BSF端子をすべて接続し、したがって局所BSF端子の電気的導通も保証するパターンであることである。銀裏面電極パターンは、例えば予備はんだ付き銅リボンのような相互接続ストリングを半田付けする準備が整っている一又は複数の裏面端子と電気的接触がある。例えば、アノードの裏面端子は、1つまたは複数のバスバー、長方形またはタブの形態をとってもよい。アノードの裏面端子がそれ自体/それら自体で、銀裏面電極パターンの部分を形成してもよく、また、本発明の方法のステップ(2)の間に、微細線と一緒に、すなわち微細線のような同じ銀ペーストから同時に適用されてもよい。アノードの裏面端子を単独で、すなわち局所BSF端子をすべて接続する微細線の適用の前に、または後に適用することも可能である。
本明細書および特許請求の範囲において、用語「焼成貫通性」が使われている。それは、金属ペーストが、焼成中に不活性化層またはARC層をエッチングし貫通する(焼成貫通する)能力を意味するものとする。言いかえれば、焼成貫通性を備えた金属ペーストは、不活性化層またはARC層を焼成貫通し、シリコン基板の表面と電気的接触をするものである。相応して、焼成貫通性が乏しいか、全くない金属ペーストは、焼成時にシリコン基板と電気的に接触しない。誤解を避けるために述べると、この文脈において、用語「電気的に接触しない」は絶対的なものと理解すべきでなく、むしろ、それは焼成された金属ペーストとシリコン表面との間の接触抵抗率が1Ω・cmを超えることを意味し、一方、電気的に接触するという場合には、焼成された金属ペーストとシリコン表面との間の接触抵抗率は1から10mΩ・cmの範囲にあることを意味するものとする。
接触抵抗率はTLM(transfer length method:伝送長法)によって測定することができる。そのために、試料調製および測定について下記手順が使われ得る。ARC層または不活性化層(例えば75nm厚のSiN層)を有するシリコンウェハが、その層の上に検査する予定の金属ペーストを、平行線(例えば127μm幅、6μm厚の太線で、配線間は2.2mmの間隔)のパターンでスクリーン印刷され、次いで、焼成され、ウェハは例えば800℃のピーク温度に達する。焼成されたウェハは、10mm×28mmの長い細片にレーザーで切断され、平行線は互いに接触せず、少なくとも6本の線が含まれている。次いで、細片は、暗所において20℃で、従来のTLM測定をされる。TLM測定は、GP Solar社の機器、GP 4−Test Proを使って行なうことができる。
本発明の方法は、向上した電気的効率を備えたPERCシリコン太陽電池の生産を可能にすることが見いだされた。焼成された銀ペーストは、裏面不活性化層によく付着し、したがって、本発明の方法によって製造されたPERCシリコン太陽電池の長い耐久性または耐用年数をもたらす。
理論に束縛はされないが、銀裏面電極の製作のために本発明の方法で使用される銀ペーストは、焼成中にシリコンウェハの裏面上の誘電体不活性化層を損傷しないか、または著しくは損傷しないと考えられる。
本発明の方法により、アルミニウム裏面アノードがなく、また、裏面のアルミニウムペーストが局所BSF端子が求められる局所に(ローカルに)だけ適用され、焼成されるPERCシリコン太陽電池の銀裏面電極を形成することが可能になる。本発明の方法により、シリコンウェハの裏面の全体領域を局所BSF端子に使用することができ、従来のアノードの銀の裏面端子のための領域部分を残しておく必要はないために、最大限の局所BSF端子が可能になる。
本発明の方法のステップ(1)において、ARC層をその上に備える前面n型エミッタを有し、かつ、裏面に穿孔された誘電体不活性化層を、その穿孔の配設位置にある局所BSF端子とともに備えるp型シリコンウェハが提供される。誤解を避けるために述べると、たとえシリコンウェハが局所BSF端子を有していても、アルミニウム裏面電極は有しない。このシリコンウェハは、シリコン太陽電池の製造のために従来使われているように単結晶または多結晶シリコンのウェハであり、p型領域、n型領域およびpn接合を有する。このシリコンウェハは、その前面にn型エミッタ上にARC層、およびその裏面に穿孔された誘電体不活性化層を有し、両方の層とも、例えば、TiO、SiO、TiO/SiO、SiNの層、または、特に、SiN/SiOの誘電体スタックを有する。そのようなシリコンウェハは当業者に周知であり、簡潔にするために、「背景技術」の項に明示的に言及する。
裏面誘電体不活性化層の穿孔の配設位置において、局所BSF端子がある。
一実施形態において、前記穿孔および局所BSF端子は1つのステップで形成することができる。この目的のために、焼成貫通性を有するアルミニウムペーストが、p型シリコンウェハの裏面のまだ穿孔されていない誘電体不活性化層の上に適用され、局所BSF端子のパターンを形成し、続いて、焼成される。焼成中に、アルミニウムペーストは誘電体不活性化層をエッチングし貫通し、それにより穿孔を形成し、かつ、アルミニウムとシリコンとの間の局所的接触が可能になる。アルミニウムとシリコンとの間の局所的接触において、すなわち穿孔の配設位置においてアルミニウム・シリコン融解物を形成するために、焼成はアルミニウムの融点より高い温度で実行される。
用語「局所BSF端子のパターン」が本明細書において使用されている。それは、大きさ、および個々の局所BSF端子の間の距離に関する局所BSF端子の配置を意味する。上述の通り、その穿孔は、例えば、直径で50から300μmで、それらの深さは裏面不活性化層の厚さに一致するか、または、むしろわずかにそれを超えてもよい。穿孔の数は、例えば、1平方センチメートル当たり100から500個の範囲にある。
別の好適な実施形態において、局所BSF端子は異なる方法で形成される。ここでは、ARC層をその上に備える前面n型エミッタ、および既に穿孔されている裏面誘電体不活性化層を有するp型シリコンウェハが提供される。「背景技術の」の節で既述の通り、穿孔は、酸エッチングまたはレーザー穴あけによって通常作製される。アルミニウムペースト、特に、必ずというわけではないが、焼成貫通性がないか、または乏しいアルミニウムペーストが、穿孔の配設位置に印刷され、続いて、焼成される。アルミニウムは、穿孔の底のシリコンと接触し、焼成中にアルミニウムの融点より高い温度において、アルミニウム・シリコン融解物が、アルミニウムとシリコンとの間の局所的接点において形成され、最終結果として局所BSF端子のパターンが形成される。
シリコンウェハは、従来の前面金属被覆、すなわち上記の「背景技術」の節で記載される、前面銀ペーストを備えて既に提供されてもよい。前面金属被覆の適用は、銀裏面電極が完了される前でも後でもよい。誤解を避けるために述べると、前面銀ペーストは、銀裏面電極の形成のために使用される銀ペーストとは異なっており、前面銀ペーストは焼成貫通性を有する。
本発明の方法のステップ(2)において、銀ペーストは、シリコンウェハの裏面の局所BSF端子を接続する銀裏面電極パターンを形成するために適用される。この銀ペーストは、焼成貫通性がないか、または乏しく、かつ微粒子の銀および有機ビヒクルを含む。
本発明の方法の特定の実施形態において、銀ペーストは、(i)550から611℃の範囲の軟化点温度を有し、SiOを11から33wt.−%(重量%)、Alを0超から7wt.−%、特に5から6wt.−%、およびBを2から10wt.−%含む無鉛ガラスフリット、(ii)571から636℃の範囲の軟化点温度を有し、PbOを53から57wt.−%、SiOを25から29wt.−%、Alを2から6wt.−%およびBを6〜9wt.−%含む鉛含有ガラスフリットからなる群から選択される少なくとも1つのガラスフリットを含む。
用語「軟化点温度」が本明細書において使用されている。それは、示差熱分析DTAによって10K/分の加熱速度で測定されたガラス遷移温度を意味するものとする。
この微粒子の銀は、銀、または、1つまたは複数の他の金属、例えば銅を有する銀合金で構成されてもよい。銀合金の場合には、銀の含有量は、例えば99.7から100未満wt.−%である。一実施形態において、微粒子の銀は銀の粉末である。銀の粉末はコーティングされていなくてもよく、または、界面活性剤で少なくとも部分的に、コーティングされていてもよい。界面活性剤は、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、およびリノール酸ならびにそれらの塩類、例えばアンモニウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩から選択されてもよいが、これらに限定はされない。銀の粉末は、例えば0.5から5μmの平均粒子径を示す。微粒子の銀は、銀ペーストの中で、銀ペースト組成物全体に対して、50から92wt.−%、または、一実施形態において、65から84wt.−%の割合で存在してもよい。
用語「平均粒子径」が本明細書において使用されている。それは、レーザー散乱によって測定された平均粒子径(平均粒子直径、d50)を意味するものとする。
平均粒子径に関して本明細書においてなされるすべての記述は、銀ペースト組成物中に存在する関連の材料の平均粒子径に関するものである。
銀ペースト内に存在する微粒子の銀は、少量の1つまたは複数の他の微粒子の金属または微粒子のシリコンに伴われてもよい。他の微粒子の金属の例として、銅粉末、パラジウム粉末、ニッケル粉末、クロム粉末、および特にアルミニウム粉末が挙げられる。一実施形態において、銀ペーストには、他の微粒子の金属および微粒子のシリコンがない。別の実施形態において、銀ペーストの微粒子の金属含有量は、95から99wt.−%の微粒子の銀、および1から5wt.−%の微粒子のアルミニウムを含む。
銀ペーストは有機ビヒクルを含む。様々な不活性の粘性物質を有機ビヒクルとして使うことができる。有機ビヒクルは、微粒子の成分(微粒子の銀、任意選択により存在する他の微粒子の金属、任意選択により存在する微粒子のシリコン、ガラスフリット、さらに、任意選択により存在する無機の微粒子成分)が適切な安定度を有して分散されるものであり得る。有機ビヒクルの特性、特にレオロジー特性は、導電性銀ペースト組成物に良好な適用特性を与えるようなものであり得て、不溶性固体の安定した分散、適用に対して適切な粘性およびチキソトロピー、シリコンウェハの不活性化された裏面およびペースト固形物の適切なぬれ性、良好な乾燥速度、ならびに良好な焼成特性を含む。銀ペーストにおいて使われる有機ビヒクルは非水性の不活性液であり得る。有機ビヒクルは、有機溶媒または有機溶媒混合物であってもよく、一実施形態において、有機ビヒクルは有機高分子が溶けた有機溶媒溶液であってもよい。一実施形態において、この目的に使われるポリマーはエチルセルロースであってもよい。単独でまたは組合せにおいて使われてもよいポリマーの他の例として、エチルヒドロキシエチルセルロース、ウッドロジン、フェノール樹脂および低級アルコールのポリメタクリレートが挙げられる。適切な有機溶媒の例として、エステルアルコール、および、αもしくはβテルピネオールなどのテルペン、またはそれらと他の溶媒との混合物が挙げられ、他の溶剤として、灯油、フタル酸ジブチル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテルアセタート、ヘキシレングリコールおよび高沸点アルコールなどがある。さらに、シリコンウェハの裏面への銀ペーストの適用の後に急速な硬化を促進するために、揮発性有機溶剤を有機ビヒクルに含むことができる。これらおよび他の溶媒の様々な組合せが、所望の粘性および揮発性の必要条件を得るために調剤され得る。
銀ペースト中の有機ビヒクルの含有量は、ペーストを適用する方法および使用される有機ビヒクルの種類に依存し得て、またそれは変わることがあり得る。銀ペースト組成物の全体に対して、その含有量は、一実施形態において、10から45wt.−%であってもよく、または、一実施形態において、12から35wt.−%の範囲にあってもよい。10から45wt.−%の数値は、有機溶媒、入れ得る有機高分子および入れ得る有機添加物を含む。
銀ペースト中の有機溶媒含有量は、銀ペースト組成物の全体に対して、5から25wt.−%、または一実施形態において10から20wt.−%の範囲にあってもよい。
有機高分子は、銀ペースト組成物の全体に対して、有機ビヒクルにおいて、0から20wt.−%、または、一実施形態において5〜10wt.−%の範囲の割合で、存在してもよい。
本発明の方法の特定の実施形態において、銀ペーストは、(i)550から611℃の範囲の軟化点温度を有し、SiOを11から33wt.−%、Alを0超から7wt.−%、特に5から6wt.−%、およびBを2から10wt.−%含む無鉛ガラスフリット、(ii)571から636℃の範囲の軟化点温度を有し、PbOを53から57wt.−%、SiOを25から29wt.−%、Alを2から6wt.−%およびBを6から9wt.−%含む鉛含有ガラスフリットからなる群から選択される少なくとも1つのガラスフリットを含む。
型(i)の無鉛ガラスフリットの場合には、SiO、AlおよびBの重量百分率は、合計が100wt.−%にならず、不足のwt.−%は1つまたは複数の他の酸化物によって特に与えられ、たとえば、NaOのようなアルカリ金属酸化物、MgOのようなアルカリ土類金属酸化物ならびにBi、TiOおよびZnOのような金属酸化物が挙げられる。
型(i)の無鉛ガラスフリットは、40から73wt.−%、特に、48から73wt.−%、のBiを含み得る。Bi、SiO、AlおよびBの重量百分率は、合計が100wt.−%になることもあり、ならないこともある。それらの合計が100wt.−%にならない場合、不足のwt.−%は、1つまたは複数の他の酸化物によって特に与えられ、たとえば、NaOのようなアルカリ金属酸化物、MgOのようなアルカリ土類金属酸化物ならびにTiOおよびZnOのような金属酸化物が挙げられる。
型(ii)の鉛含有ガラスフリットの場合には、PbO、SiO、AlおよびBの重量百分率は、合計が100wt.−%になることもあり、ならないこともある。それらの合計が100wt.−%にならない場合、不足のwt.−%は、1つまたは複数の他の酸化物によって特に与えられ、たとえば、NaOのようなアルカリ金属酸化物、MgOのようなアルカリ土類金属酸化物ならびにTiOおよびZnOのような金属酸化物が挙げられる。
本発明の方法の特別の実施形態において使用される銀ペーストが、型(i)の無鉛ガラスフリットならびに型(ii)の鉛含有ガラスフリットを含む場合、両方のガラスフリット型の間の比は任意であってもよく、言いかえれば、0超から無限の範囲であってもよい。通常、銀ペーストは、本発明の方法の特定の実施形態において使用されるとき、型(i)および型(ii)からなる群から選択されるガラスフリット以外のガラスフリットを含まない。
型(i)および(ii)からなる群から選択される、1つまたは複数のガラスフリットは、無機バインダとしての働きをする。ガラスフリットの平均粒子径は、例えば、0.5から4μmの範囲にある。本発明の方法の特定の実施形態において使用されるとき、銀ペースト中の、型(i)および(ii)からなる群から選択される、ガラスフリットの合計含有量は例えば、0.25から8wt.−%、または、一実施形態において、0.8から3.5wt.−%である。
ガラスフリットの調製は周知であり、たとえば、ガラスの成分を、特に成分の酸化物の形態で、共に融解すること、およびそのように融解した組成物を水に注入し、フリットを形成することにある。当技術分野で周知のように、加熱は、たとえば、1050から1250℃範囲のピーク温度で、融解物が全体的に液体になり、均質になり、通常0.5から1.5時間実施され得る。
ガラスは、フリットの粒径を低減し、実質的に一様な大きさのフリットを得るために、水または不活性の低粘度、低沸点の有機液体を有するボールミルにおいて粉砕されてもよい。次いで、それは、微粒子を分離するために水または前記有機液体の中で沈殿されてもよく、微粒子を含む上澄み液は除去されてもよい。他の選別の方法が、同様に使用されてもよい。
銀ペーストは1つまたは複数の有機添加物を含んでもよく、たとえば、界面活性剤、シックナー、レオロジー改質剤および安定剤である。有機添加物は有機ビヒクルの一部分であり得る。しかしながら、銀ペーストを調製する場合、有機添加物を別個に付加することも可能である。有機添加物は、銀ペーストの中で、銀ペースト組成物の全体に対して、たとえば合計で0から10wt.−%存在してもよい。
本発明の方法のステップ(2)において適用される銀ペーストは、粘性の組成物であり、微粒子の銀およびガラスフリットを有機ビヒクルと機械的に混合することによって調製されてもよい。一実施形態において、従来のロールミリングと同等の分散技術である、パワーミキシング(power mixing)という製造方法が使用されてもよく、ロールミリングまたは他の混合技術を使用することもできる。
銀ペーストは、そのままで使用でき、または、たとえば、付加的な有機溶媒の付加によって希釈されてもよく、それに応じて、銀ペーストの他のすべての成分の重量百分率は減少し得る。
既述の通り、銀ペーストは、シリコンウェハの裏面に銀裏面電極パターンで適用される。銀ペーストは、例えば5から30μmの乾燥膜厚さに合わせ、また、例えば50から150μmの線幅で適用される。銀ペースト適用の方法は印刷であってもよく、例えば、シリコーンパッド印刷または一実施形態においてスクリーン印刷であってもよい。
銀ペーストの適用粘性は、Brookfield HBT粘度計および#14スピンドルを使用してユーティリティーカップによって10rpmのスピンドル速度および25℃で測定される場合、20から400Pa・sであってもよい。
適用の後、銀ペーストは、例えば、1分から100分の間、乾燥され、シリコンウェハは100から300℃の範囲のピーク温度に達する。乾燥は、例えば、ベルト式、回転式、または静止式の乾燥機、特に、IR(赤外線)ベルト式乾燥機を使用して、実行することができる。
本発明の方法のステップ(3)において、乾燥された銀ペーストは銀裏面電極を形成するために焼成される。ステップ(3)の焼成は、例えば、1分から5分の間、シリコンウェハは700から900℃の範囲のピーク温度に達するようなされてもよい。焼成は、例えば、単一ゾーンまたは多重ゾーンのベルト炉、特に、多重ゾーンIRベルト炉を使用して実行することができる。焼成は、不活性ガス雰囲気内で、または酸素の存在下、例えば、空気の存在下において行われてもよい。不揮発性の有機材料および乾燥中に蒸発しなかった有機部分を含む有機物質は、焼成中に除去され得て、すなわち燃やされ、および/または、炭化され得て、特に燃やされ得る。焼成中に除去される有機物質は、有機溶媒、任意選択により存在する有機高分子および任意選択により存在する有機添加物を含む。少なくとも本発明の方法の特定の実施形態の場合において、焼成中に、さらなるプロセスが起こっており、すなわち微粒子の銀とともにガラスフリットが焼結することである。焼成中に、銀ペーストは裏面の穿孔された不活性化層を焼成貫通しないが、局所BSF端子と接触する。
焼成は、前面金属ペースト、例えば、前面メタル電極を形成するためにPERC太陽電池シリコンウェハに適用された前面銀ペーストと一緒に、いわゆる同時焼成として実行されてもよい。一実施形態において、同時焼成は、局所BSF端子を形成するために適用された裏面のアルミニウムペーストと一緒におこなわれてもよい。
以下の実施例は、銀ペーストの焼成貫通性の測定を示す。実施例は、焼成された銀ペーストと、SiNの不活性化層を有する基板との間の付着力も示す。付着力試験および焼成貫通試験は、n型エミッタ、およびウェハのエミッタ上にCVDによって適用された75nm厚のSiN ARC層を有する通常の試料のp型基材シリコン電池を利用して行った。ここで測定される特性は、基板の型(n型またはp型)によって影響されず、SiN不活性化層の存在によってのみ影響されると考えられる。
(1)試験サンプルの製造
(i)銀ペースト1から3
銀ペースト1から3の組成を表1に表示する。ペーストは銀の粉末(平均粒子径2μm)、有機ビヒクル(高分子樹脂および有機溶媒)およびガラスフリット(平均粒子径8μm)を含む。表2に、使用したガラスフリットの型の組成データを提供する。
Figure 2014512671
Figure 2014512671
(ii)TLMサンプルの形成
Si基板(厚さ200μm、面積243cmの多結晶のシリコンウェハで、p型(ホウ素)バルクシリコンであり、n型POCl拡散エミッタと、酸によるテクスチャ付きの表面と、ウェハのエミッタ上にCVDによって適用された厚さ75nmのSiNのARC層とを備えている)であって、厚さ30μmアルミニウム電極(E.I.Du Pont de Nemours and Companyより市販されているPV381 Al組成物からスクリーン印刷された)を有するSi基板の前面に、銀ペースト1〜3を、幅127μmおよび厚さ6μmの、相互の間で2.2mmの距離を有する平行のフィンガー配線としてスクリーン印刷した。アルミニウムペーストおよび銀ペーストを同時焼成の前に乾燥した。
次いで、印刷されたウェハを、Despatch炉において3000mm/minのベルト速度で焼成し、ゾーン温度は、ゾーン1=500℃、ゾーン2=525℃、ゾーン3=550℃、ゾーン4=600℃、ゾーン5=925℃と設定し、最終ゾーンは890℃に設定し、したがってウェハは800℃のピーク温度に達した。
TLMサンプルを製造するために、焼成されたウェハを続いてレーザースクライブして、さらに10mmx28mmのTLMサンプルへ分割した。そこでは平行の銀のメタライゼーション配線は互いに接触していなかった。レーザースクライブを、Optek社から供給された1064nmの赤外線レーザーを使用して実行した。
(iii)付着力測定のためのサンプルの形成
Si基板(厚さ200μm、面積243cmの多結晶のシリコンウェハで、p型(ホウ素)バルクシリコンであり、n型POCl拡散エミッタと、酸によるテクスチャ付きの表面と、ウェハのエミッタ上にCVDによって適用された75nm厚のSiNx ARC層とを備えている)の前面に、幅2mmおよび厚さ25μmのバスバーとして、銀ペースト1〜3をスクリーン印刷し、さらに乾燥した。
次いで、印刷されたウェハをDespatch炉において3000mm/minのベルト速度で焼成し、ゾーン温度を、ゾーン1=500℃、ゾーン2=525℃、ゾーン3=550℃、ゾーン4=600℃、ゾーン5=925℃と設定し、最終ゾーンは890℃に設定し、したがってウェハは800℃のピーク温度に達した。
(2)試験手順および結果
(i)TLM測定
TLMサンプルを、接触抵抗率を測定する目的の、GP Solar社から入手可能なGP 4−Test Pro計測器にそれらを入れることにより測定した。測定を、20℃で、サンプルを暗所に置いて実行した。装置の検査プローブは、TLMサンプルの隣接した6つの細線の銀の電極に接触し、接触抵抗率(ρc)が記録された。
(ii)焼成付着力測定
付着力試験については、Semtek社(PV Soldering Machine, Model SCB−160)から市販の自動はんだ付け装置を使用した。はんだプロセスは、半田リボン(62Sn−36Pb−2Ag)をフラックス(Kester 952S)と共に塗布すること、さらに、塗布された半田リボンおよびバスバーに10本の加熱されたピンの力を加えることを含み、シリコン基板上に焼成された銀表面の濡れを引き起こし、結果としてバスバーとリボンとの間の付着が得られた。加熱されたピンは260℃の温度に設定し、目的のサンプルを配置するはんだ付け予備加熱プレートは、180℃に設定した。
付着力を、バスバーに沿う複数のポイントで、100mm/sの速度、および90°の角度で半田リボンを引っ張り、測定した。バスバーをはがす力を、ニュートン(N)で測定した。
表3に、測定した接触抵抗率および平均付着力データを示す。
Figure 2014512671

Claims (10)

  1. PERCシリコン太陽電池の電気伝導性の銀裏面電極形成方法であって、
    (1)p型シリコンウェハを提供するステップであって、
    前記p型シリコンウエハの前面にn型エミッタを有し、かつ
    前記p型シリコンウエハの裏面に穿孔された誘電体不活性化層を有し、
    前記n型エミッタは、その上にARC層を備え、
    前記穿孔された誘電体不活性化層は、その穿孔の配設位置に局所BSF端子を備えている、ステップと、
    (2)銀ペーストを塗布、乾燥して、前記シリコンウェハの裏面に、前記局所BSF端子を接続する銀裏面電極のパターンを形成する、ステップと、
    (3)乾燥した銀ペーストを焼成し、それによって、前記ウェハが700から900℃のピーク温度に達するステップと、
    を含み、
    前記銀ペーストは、焼成貫通性がないか、または乏しい焼成貫通性しかなく、かつ微粒子の銀および有機ビヒクルを含む、
    銀裏面電極形成方法。
  2. 前記銀ペーストが、
    (i)550から611℃の範囲の軟化点温度を有し、SiOを11から33wt.−%、Alを0超から7wt.%、およびBを2から10wt.%含む無鉛ガラスフリット、
    (ii)571から636℃の範囲の軟化点温度を有し、PbOを53から57wt.%、SiOを25から29wt.%、Alを2から6wt.%、およびBを6から9wt.%含む鉛含有ガラスフリット、
    からなる群から選択される少なくとも1つのガラスフリットを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 1つまたは複数の前記無鉛ガラスフリットが、40から73wt.%のBiを含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記銀ペーストの中の、型(i)および(ii)からなる群から選択されるガラスフリットの合計含有量が、0.25から8wt.%である、請求項2または3に記載の方法。
  5. 前記微粒子の銀が、銀ペースト組成物の全体に対して、50から92wt.%の割合で存在する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記有機ビヒクル含有量が、銀ペースト組成物の全体に対して、20から45wt.%である、請求項1〜5のいすれか一項に記載の方法。
  7. 前記銀ペーストが印刷によって塗布される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 焼成が、局所BSF端子および/または前面金属電極を形成するために前記シリコンウェハに塗布された、裏面のアルミニウムペーストおよび/または前面金属ペーストと一緒に、同時焼成として行われる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法によって作製されたPERCシリコン太陽電池の電気伝導性の銀裏面電極。
  10. 請求項9に記載の電気伝導性の銀裏面電極を含むPERCシリコン太陽電池。
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