図1は、原子核反応から発電する例示的原子炉システム5を示す。原子炉システム5は、発電サブシステム10及び炉15を含む。炉15は、原子核反応からのエネルギーを発電サブシステム10に与える。原子炉システム5はまた、熱交換器20、炉冷却材サブシステム25、及びポンプサブシステム30も含む。炉冷却材サブシステム25は炉15と熱交換器20との間の熱交換を促し、ポンプサブシステム30は炉冷却材サブシステム25を加圧する。原子炉システム5はさらに、補助冷却材サブシステム35及び炉制御サブシステム40を含む。補助冷却材サブシステム35は炉15からの付加的熱伝達を与え、炉制御サブシステム40は炉15の動作を制御する。
発電サブシステム10は、一以上のタービン45、一以上の駆動アセンブリ50、一以上の発電機55、一のタービン冷却サブシステム60、及び一のタービン蒸気サブシステム65を含む。タービン45は、駆動アセンブリ50を介して発電機55を駆動する。タービン蒸気サブシステム65は、タービン45とタービン冷却サブシステム60との間で水(H2O)及び蒸気(H2O)を移送する。
タービン45は、例えば蒸気タービンのような、原子炉との使用に適切な任意のタイプのタービンである。タービン45は、タービン蒸気サブシステム65を介して送達される高圧蒸気(H2O)を機械的エネルギーに変換する。例えば、タービン45は、回転可能シャフトに取り付けられる複数の要素を含む。高圧蒸気(H2O)はタービン45に入り、かつ、シャフトに取り付けられた要素を通過する。これにより、当該蒸気(H2O)の運動エネルギーが当該複数の要素を押しやって回転可能シャフトを回転させる。タービン45は、一以上の低圧シリンダが追従する一連の一以上の高圧シリンダを含む。各シリンダは、中心部分から蒸気(H2O)を入れる。当該蒸気(H2O)は当該一連のシリンダを通って徐々に膨張する。これにより、タービン45のシャフトに取り付けられた要素が動かされる。タービン45は、蒸気(H2O)流をタービン45内に向ける静止要素も含む。タービン45は、付加的システムを含む。これは、例えば、蒸気(H2O)流を規制する油動作弁を有する液圧制御弁システム、シリンダを支持するベアリングを潤滑する潤滑システム、及び、高圧シリンダを出た後であって低圧シリンダに入る前に蒸気(H2O)からの湿分を除去する湿分分離器を含む。
駆動アセンブリ50は、タービン45からの機械的エネルギーを発電機55に伝達する任意の適切なアセンブリであり、例えば機械的駆動シャフトアセンブリである。駆動アセンブリ50は、タービン45の回転可能なシャフトに動作可能に接続される。タービン45のシャフトに取り付けられた要素に衝突する蒸気(H2O)からの運動エネルギーが、駆動アセンブリ50を介して機械的エネルギーとして発電機55に伝達される。
発電機55は、例えば電気発電機のような、原子炉との使用に適切な任意のタイプの発電機である。例えば、発電機55は、駆動アセンブリ50が伝達した機械的エネルギーから発電する磁石及び配線配列を含む。例えば、駆動アセンブリ50は、発電機55内の磁石要素を回転させて発電を行う。発電機55は、例えば、50Hz(50サイクル)又は60Hz(60サイクル)出力の任意の適切な周波数にあるAC電力を生成する。発電サブシステム10は、一以上の発電機55を、例えば50又は60サイクルのような実質的に一定の周波数にある電力に維持するべく操作される。
タービン冷却サブシステム60は、例えば、熱交換のための凝縮器、冷却塔、及び/又は強制空気流を使用する冷却システムのような、原子炉との使用に適切な任意のタイプの冷却システムである。タービン冷却サブシステム60は、余剰蒸気(H2O)をタービン45から除去して当該余剰蒸気(H2O)を水(H2O)に凝縮させる。蒸気(H2O)を水(H2O)に凝縮させる凝縮器、冷却塔、及び/又は強制空気流の使用のほかに、タービン冷却サブシステム60はまた、利用可能かつ適切な場合には、例えば貫流冷却のために近くにあるまとまった水(H2O)を利用することもできる。
タービン蒸気サブシステム65は、水(H2O)及び蒸気(H2O)を熱交換器20、タービン45、及びタービン冷却サブシステム60間で移送するのに適切な任意のタイプの配列体である。タービン蒸気サブシステム65は、熱蒸気(H2O)を熱交換器20からタービン45へ移送する通路70と、余剰又は死蒸気(H2O)をタービン45からタービン冷却サブシステム60へ移送する通路75と、相対的に冷たい水(H2O)をタービン冷却サブシステム60から熱交換器20へ移送する通路80とを含む。通路70、75、及び80は、例えば鋼管のような、蒸気(H2O)及び水(H2O)を移送するのに適切な任意の通路である。
原子炉システム5はまた、発電のために蒸気(H2O)をタービンに与えることのほかに、蒸気(H2O)が有用な他の任意の適切な目的のために蒸気(H2O)を与える。例えば、原子炉システム5は、蒸気(H2O)が使用後に当該システムに戻らない構成、及び/又は、入力した水(H2O)がタービン蒸気サブシステム65とは異なる水源からもたらされる構成を含む。例えば、原子炉システム5は、地熱油抽出に使用される蒸気(H2O)を与える。
熱交換器20は、熱エネルギーを発電サブシステム10及び炉15間で移送するのに適切な任意のタイプに熱交換器である。例えば、熱交換器20は、炉冷却材サブシステム25の熱い炉冷却材が流れる複数の管を有する一以上の蒸気発生器を含む。各蒸気発生器は例えば、熱い炉冷却材を受け入れる数千の管を含む。例えば各蒸気発生器は、約3,000から約16,000の管を含む。蒸気発生器管を通って流れる熱い炉冷却材は、タービン蒸気サブシステム65によって熱交換器20に送達される水(H2O)を沸騰させる。熱交換器20の蒸気発生器から発生した蒸気(H2O)はその後、タービン蒸気サブシステム65を介してタービン45に移送される。熱交換器20を通り抜ける間に炉冷却材は冷却され、引き続いて炉冷却材サブシステム25を介して炉15に戻される。
タービン蒸気サブシステム65によって熱交換器20に送達された水(H2O)は、熱交換器20の上部から熱交換器20に入る。相対的に冷たい水(H2O)が、複数のノズル83(図20参照)を介して熱交換器20の内部に注入される。複数のノズル83は、熱交換器20の中心部及び/又は熱交換器20の内壁の上部に配置される。複数のノズル83は下方を向いて、熱交換器20内にすでに格納された沸騰水(H2O)の中に水(H2O)を注入する。したがって、相対的に冷たい水(H2O)が、熱交換器20内にすでに格納された沸騰水(H2O)と混合される。これが役立って、熱交換器20内に格納されたH2Oの温度勾配の大きさが低減される。よって、熱交換器20は、低い温度勾配によって高温の蒸気(H2O)を生成することができる。意図されることだが、温度勾配の大きさは、再循環ポンプを使用することにより又は対流の組み合わせを使用することにより沸騰水(H2O)をノズル83からの相対的に冷たい水(H2O)の下方ストリームに流入させて、さらに低減することができる。
炉15は、原子核反応から発電するのに適切な任意のタイプの原子炉である。炉15は例えば、液体減速材を使用する任意の原子炉である。また、例えば炉15は、重水減速及び/又は重水冷却炉である。炉15は例えば、CANDU炉である。図2に示されるように、炉15は、格納構造体85、圧力容器90、反射材領域95、及び炉心100を含む。格納構造体85及び圧力容器90は反射材領域95を収容する。炉心100は反射材領域95内に配置される。
格納構造体85は、反射材領域95及び炉心100を収容するのに適切な、並びに炉15の外側環境を炉15が放出する放射線及び中性子から遮蔽するのに適切な任意のタイプの構造体である。例えば、格納構造体85は、反射材領域95及び炉心100を囲む鉄筋コンクリート又はプレストレストコンクリートの壁を含む。格納構造体85は、反射材領域95及び炉心100を収容するのに任意の適切な厚さを有する壁を備える。例えば、約122センチメートル(4フィート)から約305センチメートル(10フィート)である。格納構造体85は、炉冷却材サブシステム25、補助冷却材サブシステム35の様々な要素、又は原子炉システム5の他の要素を受け入れる開口を含む。格納構造体85は、反射材領域95及び炉心100の放射線障壁として構造的支持、隔離、及び機能する。反射プールが、例えば、圧力容器90の底を満たし、以下にさらに詳述するように別個の格納器に封入される。
圧力容器90は、反射材領域95及び炉心100を加圧するのに適切な任意のタイプの圧力容器又は構造体である。例えば、圧力容器90は、反射材領域95及び炉心100を封止かつ加圧する鋼容器である。圧力容器90は、密封容器を形成するべく構成及び/又は接続される一以上の鋼要素を含む。圧力容器90は、例えば割れ及び脆化に耐性のある材料のような、圧力容器としての使用に適した特性を有する他の任意の適切な材料を含む。圧力容器90は、反射材領域95及び炉心100が、相対的に高温に維持される「熱い減速材」を含む場合に使用される。圧力容器90は、炉冷却材サブシステム25、補助冷却材サブシステム35の様々な要素、又は原子炉システム5の他の要素を受け入れる開口を含む。圧力容器90の開口は、圧力容器90内にある反射材領域95及び炉心100の加圧を維持するべく封止される。
図3に示されるように、反射材領域95は反射プール105及び蒸気エリア110を含む。境界115は反射プール105と蒸気エリア110とを分離する。
反射プール105は、液体状態の減速材を含む。例えば、反射プール105は、液体状態のD2O(「重水」)を含む。反射プール105は、原子核反応を減速するのに適切な任意の特性を有するべく製造されたD2Oを含む。例えば、反射プール105のD2Oは、炉グレード重水(純度99.75%)である。反射プール105はまた、液体状態のH2O(「軽水」)減速材も含む。反射プール105は、「熱い減速材」(例えば図2)又は「冷たい減速材」(例えば図11)を含む。
蒸気エリア110は、反射プール105と同じ材料の減速材を含む。蒸気エリア110は、気体状態にある減速材を含む。炉心100からの熱が、反射材領域95の減速材を加熱する結果、減速材が蒸気エリア110において気体状態に保持される。蒸気エリア110の気体減速材の温度は、反射プール105の液体減速材の温度とほぼ同じである。蒸気エリア110は、減速材が気体状態まで加熱されている場合、反射材領域95の実質的に全体を満たす。また、反射プール105は、実質的にすべての減速材が液体状態まで冷却されている場合、反射材領域95の実質的に全体を満たす。境界115は反射プール105と蒸気エリア110とを分離する。
炉心の4つの実施例、炉心100、炉心100’、炉心100a、及び炉心100bを以下に述べる。適切な場合はいつでも、各実施例の様々な開示された特徴(例えば、炉心100aのための「一の」修飾語を有する参照番号)は、他の実施例の特徴と組み合わせることができる。以下にさらに開示されるように、開示される実施例は、開示される原子炉システムの可能な実施例の広い範囲を示す。例えば、炉心100、100’、100a、及び100bが示すのは、開示される原子炉システムが、垂直方向及び水平方向燃料管配列の双方、炉心内の熱い及び冷たい減速材の双方、金属、酸化物、又は塩のような異なる組成にあるウラン、プルトニウム、及びトリウムのような異なる原子核燃料、六角形及び正方形配列のような異なる燃料管配列、異なるタイプの減速材(例えばD2O及びH2O)、異なる一次冷却材(例えば、D2O、H2O、及び有機流体のような液体、ナトリウム及び鉛のような溶融金属、溶融塩、並びにヘリウムのような気体)、並びに異なる減速材冷却法(例えば熱交換及び直接流体交換)を含むということである。以下に開示される実施例を考慮することにより、当業者であれば、各実施例の様々な開示の特徴が、適切な場合はいつでも、他の任意の実施例の特徴と組み合わせ得ることがわかる。
炉心の第1実施例として、炉心100は燃料集合体125及び制御キャビティアレイ130を含む。制御キャビティアレイ130は、減速材及び/又は減速材蒸気の一以上のポケットを燃料集合体125に隣接して格納する。燃料管135は、角が面取りされた正方形アレイの中に垂直方向に配向される(図4に示される)。減速材及び燃料冷却材は重水(例えばD2O)である。減速材は、一次冷却材(燃料冷却材)の流れの一部からの熱伝導によって冷却される。
燃料集合体125は、原子核反応での使用に適切な任意のタイプの原子核燃料である。例えば、燃料集合体125は、複数の燃料管135内に配置される燃料棒のバンドルを含む。例えば、燃料集合体125は、数百の燃料管135の一配列を含む。例えば、燃料集合体125は、直径約10.2センチメートル(4インチ)の約100から約500の燃料管135を含む。各燃料管135は、例えば12の燃料バンドルのような、任意の適切な数の燃料バンドルを含む。各燃料バンドルは、例えば37の燃料棒のような、任意の適切な数の燃料棒を含む。燃料集合体125は、原子核反応に適切な任意の燃料を含む。例えば、天然ウラン、濃縮ウラン、混合酸化物燃料(MOX)、プルトニウム、トリウム、並びに/又はこれら及び他の様々な混合物である。例えば、燃料集合体125は、混合ウラン/プルトニウム燃料又は混合ウラン/トリウム燃料を含む。
燃料集合体125は、垂直方向に配置された燃料管135を含む(例えば図2に示される)。燃料集合体125は、例えば図4及び5に示される直角アレイのような、任意の適切な構成に配列された燃料管135を含む。
図2に戻ると、制御キャビティアレイ130は、制御キャビティ140の3次元アレイを含む。例えば、制御キャビティ140の3次元アレイは、燃料集合体125の燃料管135に隣接する減速材を閉じ込めるハウジングとして機能する。図2、3、及び7に描かれるように、複数の制御キャビティ140は、互いに水平方向に配置されかつ垂直方向に積層される。制御キャビティ140は、制御キャビティアレイ130内に、垂直方向及び/又は水平方向に互い違いにされる。例えば、垂直方向に互い違いにされた制御キャビティ140が図3に描かれている。制御キャビティ140は、燃料管135に隣接する減速材を閉じ込める任意の適切な構成に配列される。
図2A及び3Aは、炉15の配列の異なる図を示す。図2A及び図3Aは、炉15の例示的な縮尺どおりの配列の図を与える。
図2及び8に描かれるように、各制御キャビティ140は、構造アセンブリ145及び錐体アセンブリ150を含む。錐体アセンブリ150は、減速材を構造アセンブリ145内に閉じ込める。構造アセンブリ145は、減速材を閉じ込めるハウジングとして機能する。
図2、3、及び7に描かれるように、構造アセンブリ145は、一以上の上部材155、一以上の側部材160、一以上の端部材165、及び一以上の中間部材170を含む。上部材155、側部材160、端部材165、及び中間部材170は、例えばジルコニウム合金のような、減速材を閉じ込めるのに適切な任意の構造材料から形成される。上部材155、側部材160、端部材165、及び中間部材170は、 例えば溶接のような任意の適切な方法によって互いに取り付けられる。上部材155、側部材160、端部材165、及び中間部材170はまた、互いに一体的に形成される。上部材155、側部材160、端部材165、及び中間部材170は、例えば実質的に平坦な及び/又は板状の部材のような、減速材を閉じ込めるのに適切な任意の構造部材である。上部材155は、例えば、制御キャビティ140の上部に実質的に水平方向に配置された平坦部材であり、実質的に平坦な側部材160に取り付けられる。端部材165は、上部材155及び側部材160の端部に取り付けられる。上部材155、側部材160、及び端部材165が取り付けられ、例えば、上部が閉じられかつ底部が開いたキャビティが形成される。したがって、上部材155、側部材160、及び端部材165は、制御キャビティ140の上部の中に入り及び制御キャビティ140の上部から外へ出る減速材の動きを実質的に防止する一方、制御キャビティ140の下部の中に入り及び制御キャビティ140の下部から外へ出る減速材の動きを許容する。制御キャビティ140の上部は、上部材155、側部材160の上部、及び端部材165の上部を含む。制御キャビティ140の下部は、側部材160の下部及び端部材165の下部を含む。
一以上の中間部材170が、側部材160と上部材155との間に配置されかつ取り付けられる。中間部材170は、制御キャビティ140に沿って任意の間隔で配置される。中間部材170は、制御キャビティ140の上部において制御キャビティ140を通る減速材の動きを実質的に防止する。端部材165及び中間部材170は、側部材160の高さ未満の高さを有する。例えば、制御キャビティ140が垂直方向に積層される場合、所定の制御キャビティ140の側部材160が、下に配置されたもう一つの制御キャビティ140の上部材155に取り付けられる。端部材165及び中間部材170の高さが側部材160の高さ未満なので、図7に描かれるように減速材は、間隙175及び間隙180それぞれを介して端部材165及び中間部材170の下を自由に動くことができる。したがって、端部材165及び中間部材170は、制御キャビティ140の上部において減速材の動きを阻止するバッフルとして機能し、制御キャビティ140の下部において減速材の動きを許容する。間隙180によって制御キャビティ140の下部を通る減速材の動きが許容され、間隙175によって反射材領域95と制御キャビティ140との間の減速材の動きが許容される。減速材は、側部材160の下を動くことができない。側部材160は、下に配置された制御キャビティ140の上部材155に取り付けられる。しかしながら、意図されることだが、間隙は、減速材が側部材160のいくつか又はすべての下を動くこともできるように、下に配置された制御キャビティ140の側部材160と上部材155との間に設けることもできる。したがって、意図されることだが、減速材は、反射材領域95と制御キャビティ140との間を、側部材160の下において自由に動くこともできる。
図3及び7に描かれるように、制御キャビティ140は、反射材領域95と同じ減速材を含む。これは、減速材が、反射材領域95と制御キャビティ140との間を、間隙175及び180を介して自由に動くことができるからである。制御キャビティ140に閉じ込められた減速材が、燃料管135からの中性子、ガンマ放射線、及び/又は熱伝導によって加熱されると、制御キャビティ140の減速材の一部又はすべてが加熱され、気体領域185において気体状態になる。制御キャビティ140内の減速材の一部又はすべては、液体領域190において液体状態にもなる。気体領域185と液体領域190とは境界195によって分離される。気体領域185及び液体領域190のサイズは、制御キャビティ140ごとに及び単数の制御キャビティ140内の異なる中間部材170ごとにばらついている。したがって、境界195の位置も制御キャビティ140ごとに及び単数の制御キャビティ140内の異なる中間部材170ごとにばらついている。例えば、所定の制御キャビティ140は、気体領域185及び液体領域190の双方、実質的に気体領域185のみ、又は実質的に液体領域190のみを有する。
燃料管135からの中性子、ガンマ放射線、及び/又は熱伝導を介して与えられた熱により、液体領域190の液体減速材は、当該減速材の沸点又はそのすぐ下の温度に維持される。例えば、液体領域190の減速材は、沸騰直前状態に維持される。液体領域190内の減速材が沸騰直前になると、一部の減速材気化して気体領域185内に上がる。また、炉冷却材サブシステム25(例えば以下に述べる)のコンポーネントに近い気体領域185内の減速材は凝縮し、制御キャビティ140の内表面に沿って液体領域190に滴下する。したがって、気体領域185のサイズは実質的に一定のままとなり、境界195は相対的に静止したままとなる。このとき、燃料管135が与える熱量と炉冷却材サブシステム25が除去する熱量とが実質的に等しい。以下にさらに述べるように、気体領域185のサイズ及び境界195の位置は、キセノン及びサマリウムが中性子を吸収することに基づいて短期間にわたり(例えば数日の期間にわたり)わずかに変動し、及び、例えば燃料の寿命(例えばバーンアウト)に基づいて長期間にわたり(例えば数年の期間にわたり)著しく変動する。気体領域185のサイズ及び境界195の位置は、炉冷却材サブシステム25による冷却速度の変化期間中及びその変化期間の直後にわずかに変動する。
図8に詳細に描かれるように、錐体アセンブリ150は、内側錐体アセンブリ200、外側錐体アセンブリ205、及び通路210を含む。錐体アセンブリ150は、燃料管135同士の間に構造的界面を与える。当該界面は、制御キャビティ140を通り抜けるので、制御キャビティ140内の燃料管135からの熱を均一に分散させるのに役立つ。内側錐体アセンブリ200は燃料管135の一部分を取り囲み、外側錐体アセンブリ205は内側錐体アセンブリ200を取り囲み、及び、通路210は内側錐体アセンブリ200と外側錐体アセンブリ205との間に配置される。
内側錐体アセンブリ200は、燃料管135の一部を取り囲む錐体215を含む。錐体215は、例えばジルコニウム合金のような、液体減速材又は蒸気減速材を制御キャビティ140内に閉じ込めるのに適切な任意の材料から形成される。錐体215は、別個の要素から形成され又は単数の要素として一体的に形成される。錐体215はまた、減速材を閉じ込めるのに適切な任意の高さを有する。例えば、錐体215は、制御キャビティ140の約2倍の高さを有する。錐体215は、構造アセンブリ145の上部材155に形成された開口を通り抜ける。錐体215は、各制御キャビティ140に配置される。錐体215が制御キャビティ140の高さよりも高い高さを有するので、錐体215は、同じ燃料管135を取り囲む他の錐体215と重なる。錐体215は、燃料管135とともに通路220を形成する。重なる錐体215が互いの間に通路225を形成する。通路220は、通路225の延長である。通路220及び225は燃料管135を取り囲み、例えば円錐形状通路のような、任意の適切な形状をとる。錐体215は、錐体215の頂部において燃料管135に封止される。その結果、通路220が行き止まりとなり、通路220が当該頂部で封止される。燃料管135は通常、減速材の沸点よりも熱いので、通路220内の減速材のいずれかが沸騰し、得られた蒸気減速材は液体減速材を強制的に、間隙250を介して通路220及び225の底から外に下ろし、かつ、制御キャビティ140の下部の中に入れる。蒸気は液体減速材よりも熱伝導効率が低いので、結果的に通路220及び225が形成した二重の蒸気間隙及び重なる錐体215により、制御キャビティ140内の燃料管135から減速材への熱伝達が低減される。したがって、錐体215は、通路220及び225内の蒸気減速材の薄層によって燃料管135を有効に取り囲み、当該蒸気減速材は反射材領域95と流体的に連通する。
外側錐体アセンブリ205は、内錐体235及び外錐体240を含む。内錐体235及び外錐体240は、錐体215と同様の材料からなり、燃料管135及び錐体215を取り囲む。内錐体235は、上部材155の底表面245に取り付けられかつ構造的完全性を目的として内錐体235の底において錐体215の底に断続的に取り付けられる一方で間隙230を依然として残している。間隙230は、キャビティ140の下部からキャビティ140への通路210を介した液体減速材の垂直方向上下の流れを許容する。内錐体235は、制御キャビティ140の高さにわずかに満たない高さを有するので、下に配置された隣接する制御キャビティ140の上表面255とともに間隙250を形成する。外錐体240も上部材155の底表面245に取り付けられ、内錐体235の高さに満たない高さを有する。内錐体235と外錐体240との間にキャビティ260が形成される。減速材は、制御キャビティ140の液体領域190とキャビティ260との間を自由に動く。減速材はまた、液体領域190と、隣接する燃料管135の隣接する外錐体240同士の間に配置される部分270との間を自由に動く。液体減速材を含む液体領域275がキャビティ260の中に配置される。燃料管135からの高速中性子及びガンマ放射線が制御キャビティ140内の減速材を加熱するので、液体領域275内の液体減速材が加熱されて蒸気減速材となり、気体領域280を形成する。また、燃料管135からの高い速度の(例えば高速)中性子及びガンマ放射線が制御キャビティ140内の減速材を加熱するので、液体領域190内の液体減速材が加熱されて蒸気減速材となり、隣接する外錐体240同士の間に配置される部分270内に気体領域185の一部を形成する。燃料管135からの高い速度の(例えば高速)中性子及びガンマ放射線が与える熱量に応じて、キャビティ260及び部分270は、気体領域280及び185それぞれによって実質的に完全に満たされるか又は液体領域275及び190それぞれによって実質的に完全に満たされる。
境界290が液体領域275と気体領域280とを分離し、境界195が液体領域190と気体領域185とを分離する。液体領域275、気体領域280、及び境界290は、上述した液体領域190、気体領域185、及び境界195それぞれと同様の特性を有する。例えば、気体領域280及び185のサイズは実質的に一定のままであり、境界290及び195は相対的に静止する。このとき、燃料管135からの高い速度の(例えば高速)中性子及びガンマ放射線が与える熱量と、炉冷却材サブシステム25が除去する熱量とは実質的に等しい。
錐体215と内錐体235との間に通路210が形成される。錐体215の底部と内錐体235の底部との間に間隙300が形成される。減速材は、通路210と制御キャビティ140の下部との間を、間隙230と同様の間隙300を介して自由に動く。したがって、制御キャビティ140が反射材領域95と流体的に連通するので、減速材は、通路210と反射材領域95との間を、制御キャビティ140を介して自由に動く。通路210は頂部において閉じられていないので、通路210は液体減速材で実質的に満たされ、これを通って減速材蒸気の気泡が急速に上昇する。
図8A、8B、8C、及び8Dは、錐体アセンブリ150の代替的な図を示す。
図9、10、及び11は、炉15の第2実施例を示す。本実施例では、炉15は、反射材領域95内に配置された炉心100’を含む。炉心100’は、燃料集合体125’及び制御キャビティアレイ130’を含む。制御キャビティアレイ130’は、燃料集合体125’に隣接する減速材を閉じ込める。この第2実施例では、図10に示されるように、燃料管135’が水平方向に配置され、角が面取りされた正方形アレイの中に配列される。減速材は冷たく、相対的に冷たい減速材を制御キャビティ140’内にポンプ輸送することによって冷却される。減速材は重水(D2O)であり、一次冷却材の組成は任意の適切な冷却材である。
燃料集合体125’は複数の燃料管135’を含む。燃料管135’は炉心100の燃料管135と同様である。燃料管135’は例えば、実質的に水平方向に配置される。
制御キャビティアレイ130’は複数の制御キャビティ140’を含む。図10に示される炉心100’の端面図に描かれるように、制御キャビティ140’は、燃料集合体125’の燃料管135’同士の間に配置される。各制御キャビティ140’は構造アセンブリ145’内に含まれる。構造アセンブリ145’は、燃料集合体125’の長さよりも長い管であり、減速材を閉じ込めるハウジングとして機能する制御キャビティ140’を格納する。
図9及び11に描かれるように、構造アセンブリ145’は、一以上の上部材155’、一以上の端部材165’、及び一以上の中間部材170’を含む。これらは、制御キャビティ140の構造アセンブリ145の部材と同様の方法によって取り付けられる。上部材155’は例えば、制御キャビティ140’の上部を囲む湾曲形状を有する。例えば、上部材155’は、制御キャビティ140’の上部を囲む半円形状を有する。また、例えば、上部材155’は、下部160’まで延びる上部材155’が制御キャビティ140’を完全に囲むべく、下部160’とともに実質的に完全な円形状を有する。端部材165’が上部材155’の端部及び下部160’に取り付けられて制御キャビティ140’が完全に囲まれる。構造アセンブリ145’は、端区画142’を含むべく、(燃料管135’内に配置される)燃料棒の範囲を超えて延びる。端部材165’は、垂直方向直立管167’と流体的に連通する通路166’を有する。直立管167’により、液体減速材が端区画142’の頂部近くの位置から流出し、かつ、減速材蒸気が、端区画142’及び直立管167’間のいずれの方向にも自由に流れることができる。直立管167’の下端が減速材貯蔵器168’内に導かれる。減速材貯蔵器168’は、液体減速材及び減速材蒸気の双方を格納する。上部材155’が、例えば半円形状の場合、上部材155’及び中間部材170’は、上部が閉じかつ底部が開いたキャビティを形成する。したがって、上部材155’及び中間部材170’は、制御キャビティ140’の上部の中に入り及び制御キャビティ140’の上部から外へ出る減速材の動きを実質的に防止する一方、制御キャビティ140’の下部に対して減速材が自由に出入りする動きを許容する。上部材155’が、例えば実質的に完全な円の場合、中間部材170’は、下部160’を含む上部材155’が形成する開いた円断面の上部を覆うのみとなる。したがって、中間部材170’と下部160’を有する上部材155’とが、制御キャビティ140’の上部の中に入り及び制御キャビティ140’の上部から外へ出る減速材の動きを実質的に防止する一方、制御キャビティ140’の下部に対して減速材が自由に出入りする動きを許容する。
一以上の中間部材170’は、中間に配置されかつ上部材155’の内表面に取り付けられる。中間部材170’は、制御キャビティ140’に沿って任意の間隔で配置される。中間部材170’は、制御キャビティ140’の上部において制御キャビティ140’を通る減速材の動きを実質的に防止する。中間部材170’は、制御キャビティ140’の高さに満たない高さを有する。したがって、中間部材170’は、制御キャビティ140’の上部において減速材の動きを阻止するバッフルとして機能し、制御キャビティ140’の下部において減速材の動きを許容する。減速材は、中間部材170’の下を動くことにより制御キャビティ140’の下部を通って自由に動き、中間部材170’の下を動くことにより反射材領域95、端区画142’、及び制御キャビティ140’間を動く。
図9及び11に描かれるように、制御キャビティ140’は、端区画142’の減速材と同じ減速材を含む。これは、減速材が反射材領域95と制御キャビティ140’との間を動くからである。制御キャビティ140’内に閉じ込められた減速材が、燃料管135’からの中性子、ガンマ放射線、及び/又は熱伝導によって加熱されると、制御キャビティ140’の減速材の一部又はすべてが加熱され、気体領域185’において気体状態になる。制御キャビティ140内の減速材の一部又はすべては、液体領域190’において液体状態にもなる。気体領域185’と液体領域190’とは境界195’によって分離される。気体領域185’及び液体領域190’のサイズは、制御キャビティ140’ごとに及び単数の構造アセンブリ145’内の異なる中間部材170’ごとにばらついている。したがって、境界195’の位置も制御キャビティ140’ごとに及び単数の構造アセンブリ145’内の異なる中間部材170’ごとにばらついている。例えば、所定の制御キャビティ140’は、気体領域185’及び液体領域190’の双方、実質的に気体領域185’のみ、又は実質的に液体領域190’のみを有する。
液体領域190’、気体領域185’、及び境界195’は、制御キャビティ140を参照して上述した液体領域190、気体領域185、及び境界195それぞれと同様の特性を有する。例えば、気体領域185’のサイズは実質的に一定のままであり、境界195’は相対的に静止する。このとき、燃料管135’からの高速中性子、ガンマ放射線、及び熱伝導が与える熱量と、炉冷却材サブシステム25が除去する熱量とは実質的に等しい。
図12Aから12Fは、炉15の第3代替実施例を示す。本実施例は、垂直方向燃料管の六角形アレイ(例えば図12A及び6に示される)及び熱い減速材を含む。熱い減速材は、熱い減速材を反射プールから外へポンプ輸送すること、当該熱い減速材を冷却すること、及び当該冷却材を炉冷却材サブシステム25を介して炉心及び制御キャビティの中にポンプ輸送することによって冷却される。本実施例では(図12Fに示される)、制御キャビティの各アセンブリが、4つの垂直方向燃料管によって画定される空間内に垂直方向に嵌め込まれる。図12Bに示されるように、本実施例は炉心100aを含む。
炉心100aは、燃料集合体125と同様の燃料集合体125a、及び制御キャビティアレイ130aを含む。制御キャビティアレイ130aは、燃料集合体125aに隣接する減速材及び/又は減速材蒸気のポケットを格納する。本実施例では、以下に十分に述べるように、減速材冷却材管335aは、その側部に配置され、かつ、減速材冷却材管335aの長さに沿って延びる小孔337を有する。制御キャビティ140aは、減速材冷却材管335aから噴霧される相対的に冷たい減速材の微細な霧によって冷却される。
制御キャビティアレイ130aは、制御キャビティ140aの3次元アレイを含む。例えば、制御キャビティ140aの3次元アレイは、燃料集合体125aの燃料管135aに隣接する減速材のポケットを区画化及び/又は画定するハウジングとして機能する。図12Aから12Fに描かれるように、複数の制御キャビティ140aは、垂直方向スタック内に配置される。当該スタックは、互いに水平方向に配置されかつ垂直方向に積層される。図12Eに描かれるように、制御キャビティ140aは、制御キャビティアレイ130a内に、垂直方向に互い違いにされる。制御キャビティ140aは、燃料管135aに隣接する減速材及び/又は減速材蒸気のポケットを画定するのに適切な任意の構成に配列される。
図12Cから12Fに描かれるように、各制御キャビティ140aは、減速材冷却材管335a、ほぼ錐体状の上部材155a、及び側部材160aを含む。示されるように、側部材160aは、燃料管135aのための凹んだ角161a又は正方形燃料管アレイのためのほぼ正方形(図示せず)を備えるほぼ台形状(例えば、示される六角形燃料管アレイにおける)である。上部材155aは、間隙なく側部材160a及び減速材冷却材管335aに接合され、燃料管135aに隣接する減速材及び/又は減速材蒸気のポケットを画定する。減速材は、制御キャビティ140aの開いた底を介して、かつ、所定側部材160aの底と下方のキャビティの側部材160aの頂部との間の間隙162aを通って、自由に動いて制御キャビティ140aの中に入り又は制御キャビティ140aから外へ出る。
上部材155a、側部材160a、及び減速材冷却材管335aは、例えばジルコニウム合金のような、減速材の動きを配向させ及び/又は減速材を閉じ込めるのに適切な任意の構造材料から形成される。上部材155a、側部材160a、及び減速材冷却材管335aは、例えば溶接のような任意の適切な方法によって互いに取り付けられる。上部材155a、側部材160a、及び減速材冷却材管335aはまた、互いに一体に形成される。上部材155a、側部材160a、及び減速材冷却材管335aが取り付けられ、例えば、上部が閉じられかつ底部が開いたキャビティが形成される。したがって、上部材155a、側部材160a、及び減速材冷却材管335aは、制御キャビティ140aの上部の中に入り及び制御キャビティ140aの上部から外へ出る減速材の動きを実質的に防止する一方、制御キャビティ140aの下部の中に入り及び制御キャビティ140aの下部から外へ出る減速材の自由な動きを許容する。制御キャビティ140aの上部は、上部材155a、側部材160aの上部、及び減速材冷却材管335aの部分を含む。制御キャビティ140aの下部は、側部材160aの下部、及び減速材冷却材管335aの部分を含む。
間隙162aによって、直接的に、又は隣接する水平方向配置制御キャビティ140a同士の間若しくは制御キャビティ140aと燃料管135aとの間に形成された間隙182aを介して、反射材領域95と制御キャビティ140aとの間の減速材の動きが許容される。
図12B及び12Eに描かれるように、制御キャビティ140aは、反射材領域95と同じ減速材を含む。これは、減速材が、反射材領域95と制御キャビティ140aとの間を、間隙162a及び182aを介して自由に動くことができるからである。制御キャビティ140aに閉じ込められた減速材が、燃料管135aから放出された中性子及びガンマ放射線によって加熱されると、制御キャビティ140aの減速材の一部又はすべてが加熱され、気体領域185aにおいて気体状態となる。制御キャビティ140aにおける減速材の一部又は、液体領域190aにおいて液体状態にもなる。気体領域185aと液体領域190aとは境界195aによって分離される。気体領域185a及び液体領域190aのサイズは、異なる制御キャビティ140aごとに及び炉15動作中の異なる時刻での各制御キャビティ140a内においてばらついている。
したがって、境界195aの位置も制御キャビティ140aごとにばらついている。例えば、所定の制御キャビティ140aは、気体領域185a及び液体領域190aの双方、実質的には気体領域185aのみ、又は実質的に液体領域190aのみを有する。
燃料管135aからの中性子、ガンマ放射線、及び/又は熱伝導を介して与えられた熱により、液体領域190aの減速材は、当該減速材の沸点直近の温度に維持される。例えば、液体領域190aの減速材は、沸騰直前状態に維持される。液体領域190a内の減速材が沸騰直前になると、一部の減速材が気化して気体領域185a内に上がる。減速材冷却材管335aの小孔337aを通って制御キャビティ140a内に向かう相対的に冷たい減速材との混合によって、液体領域190a内の減速材が冷却される。また、気体領域185a内の減速材は、減速材冷却材管335aの小孔337aを通り抜ける微細な相対的に冷たい噴霧の液滴まわりに凝縮し、又は、制御キャビティ140aの内表面及び/又は減速材冷却材管335aの外表面に沿って液体領域190aに滴下する。したがって、気体領域185aのサイズは実質的に一定のままであり、境界195aは相対的に静止する。このとき、燃料管135aからの中性子及びガンマ放射線が与える熱量と、炉冷却材サブシステム25が除去する熱量とは実質的に等しい。以下にさらに述べるように、気体領域185aのサイズ及び境界195aの位置は、燃料のキセノン及びサマリウム負荷に基づいて短期間にわたり(例えば数日の期間にわたり)わずかに変動し、及び、例えば燃料の寿命(又はバーンアウト)に基づいて長期間にわたり(例えば数年の期間にわたり)著しく変動する。気体領域185aのサイズ及び境界195aの位置は、炉冷却材サブシステム25による冷却速度の変化期間中及びその変化期間の直後にわずかに変動する。
図12Eに描かれるように、制御キャビティ140aは、減速材冷却材管335aを通り、かつ、減速材冷却材管335aの側部に配置される一以上の孔337を通って制御キャビティ140a内に入る、冷たい減速材の動きによって冷却される。孔337aは、例えばサイズが小さな孔のような、減速材の動きに適切な任意のサイズである。その後、実質的に等しい体積の温かい減速材が、制御キャビティ140aから外へ出て、制御キャビティ140aの下部にある間隙162aを介して反射材領域95の中に入る。
図12C及び12Dに描かれるように、反射材領域95の下部は、減速材冷却材管335aの下端にあるキャップに配置された一以上の小孔338aを通る、減速材冷却材管335aからの冷たい減速材の動きによって冷却される。
図12Gは、炉心100aの制御キャビティ140a配列の斜視図を与える。意図されることだが、炉100、100’、100a、及び/又は100bの様々な開示の要素が互いに組み合わされて使用される。
図12Hから12Mは、垂直方向燃料管のアレイ及び熱い減速材を含む第4実施例を描く。熱い減速材は、熱い減速材を反射プール105及び制御キャビティアレイ130bから外へポンプ輸送すること、当該熱い減速材を冷却すること、及び当該冷えた減速材を制御キャビティアレイ130b及び反射プール105の中にポンプ輸送することによって冷却される。本実施例では、制御キャビティの各アセンブリは、単数の垂直方向燃料管を囲む制御キャビティの環状スタックである。図12Hに示されるように、本実施例は炉心100bを含む。
炉心100bは、燃料集合体125と同様の燃料集合体125b、及び制御キャビティアレイ130bを含む。制御キャビティアレイ130bの制御キャビティ140bは、減速材及び/又は減速材蒸気のポケットを燃料集合体125bに隣接して格納する。
燃料集合体125bは、原子核反応での使用に適切な任意のタイプの原子核燃料である。例えば、図12Jに示されるように、燃料集合体125bは、複数の燃料管135b内に配置される燃料棒127bのバンドルを含む。例えば、燃料集合体125bは、数十から数百の燃料管135bの配列を含む。例えば、燃料集合体125bは、直径7.6センチメートル(3インチ)から約45.7センチメートル(18インチ)の、約19から約500の燃料管135bを含む。各燃料管135bは、相対的に長い燃料棒127bの単数の燃料バンドル、又は、例えば相対的に短い燃料棒127bの12の燃料バンドルのような、任意の適切な数の燃料バンドルを含む。各燃料バンドルは、例えば37の燃料棒のような、約19から約1231の燃料棒である任意の適切な数の燃料棒127bを含む。燃料集合体125bは、例えば天然ウラン、濃縮ウラン、プルトニウム、又はトリウムの各個又は様々な組み合わせのような、原子核反応に適切な任意の燃料を含む。燃料棒127bは、被覆管(例えばジルコニウム合金管)内にある鋳造金属燃料又は燃料の棒若しくは燃料酸化物ペレットである。例えば、燃料集合体125bは、混合ウラン/プルトニウム燃料、又は使用済み軽水炉燃料及びトリウムの混合燃料を含む。燃料管135bはまた、例えば球又はペブルのような棒以外の形態の燃料も格納する。燃料管135bはまた溶融塩も格納する。塩の金属イオンは燃料のイオンであり、溶融塩は燃料及び冷却材の双方として機能する。
各燃料管135bは、燃料のほかに一次冷却材も格納する。一次冷却材は、例えば重水、軽水、適切な液体金属(例えば鉛又はナトリウム)、適切な溶融塩、適切な有機流体、及び/又は適切な気体(例えばヘリウム)のような、適切な流体状態にある任意の材料を含む。
燃料集合体125bは、垂直方向に配置された(例えば図2に示される)燃料管135bを含む。燃料集合体125bは、例えば図4及び5に示される直角アレイのような、任意の適切な構成に配列された燃料管135bを含む。燃料集合体125bはまた、例えば、図6に示される六角形アレイに配列された燃料管135bも含む。燃料管135bは例えば、実質的に垂直方向に配置される。
図12Hから12Mに戻ると、制御キャビティアレイ130bは、制御キャビティ140bの3次元アレイを含む。例えば、制御キャビティ140bの3次元アレイは、燃料集合体125bの燃料管135bに隣接する減速材のポケットを区画化及び/又は画定するハウジングとして機能する。図12Hから12Mに描かれるように、複数の制御キャビティ140bは、垂直方向スタック内に配置される。当該スタックは、互いに水平方向に配置されかつ垂直方向に積層される。制御キャビティ140bは、制御キャビティアレイ130b内に、垂直方向に互い違いにされる。制御キャビティ140bは、燃料管135bに隣接する減速材及び/又は減速材蒸気のポケットを画定する任意の適切な構成に配列される。
図12Jから12Mに描かれるように、各制御キャビティ140bは、減速材冷却材流入管335b、減速材流出管337b、傾斜上部材155b、並びに側部材160b及び162bを含む。図12Lに描かれるように、側部材160bは例えば、六角形燃料管アレイのためのほぼ円形若しくはほぼ六角形、又は正方形燃料管アレイのためのほぼ正方形である。上部材155bは、間隙なく側部材160b及び162b、減速材冷却材流入管335b、並びに/又は減速材流出管337bに接合され、燃料管135bに隣接する減速材及び/又は減速材蒸気のポケットを画定する。減速材は、制御キャビティ140bと減速材冷却材流出管337bとの間を、各制御キャビティ140bの下部に配置される孔338bを介して自由に動く。
上部材155b、側部材160b及び162b、並びに管335b及び337bは、例えばジルコニウム合金のような、減速材の動きを配向させ又は減速材を閉じ込めるのに適切な任意の構造材料から形成される。上部材155b、側部材160b及び162b、並びに管335b及び337bは、例えば溶接のような任意の適切な方法によって互いに取り付けられる。上部材155b、側部材160b及び162b、並びに管335b及び337bはまた、互いに一体的に形成される。上部材155b、側部材160b及び162b、並びに管335b及び337bが取り付けられ、例えば、上部が閉じられかつ底部が開いたキャビティが形成される。したがって、上部材155b、側部材160b及び162b、並びに管335b及び337bは、制御キャビティ140bの上部の中に入り及び制御キャビティ140bの上部から外へ出る減速材の動きを実質的に防止する一方、制御キャビティ140bの下部の中に入り及び制御キャビティ140bの下部から外へ出る減速材の自由な動きを許容する。制御キャビティ140bの上部は、上部材155b、側部材160b及び162bの上部、並びに管335b及び337bの部分を含む。制御キャビティ140bの下部は、側部材160b及び162bの下部並びに管335b及び337bの部分を含む。孔338b及び減速材流出管337bによって、反射材領域95と制御キャビティ140bとの間の減速材の動きが許容される。減速材冷却材流入管335bは、その頂部が(例えば、図12Kに示される所定燃料管135bに関連づけられた最上部の制御キャビティ140bにおいて)封止される。間隙180bが、制御キャビティ140bと燃料管135bとの間に配置され、不活性気体又は他の適切な材料で満たされる。間隙180bは、当該材料を格納するべく又は対流循環を低減するべく頂部及び/又は底部が閉じられる。
図12I及び12Lに描かれるように、制御キャビティ140bは、反射材領域95と実質的に同じ減速材を含む。これは、減速材が反射材領域95と制御キャビティ140bとの間を、減速材流出管337b及び孔338bを介して動くからである。制御キャビティ140bに閉じ込められた減速材が、燃料管135bから放出された中性子及びガンマ放射線によって並びに燃料管135bからの熱伝導によって加熱されると、制御キャビティ140b内の減速材の一部又はすべてが加熱され、気体領域185bにおいて気体状態になる。制御キャビティ140b内の減速材の一部又はすべては、液体領域190bにおいて液体状態にもなる。気体領域185bと液体領域190bとは境界195bによって分離される。気体領域185b及び液体領域190bのサイズは、異なる制御キャビティ140bごとにばらついている。したがって、境界195bの位置も制御キャビティ140bごとにばらついている。例えば、所定の制御キャビティ140bは、気体領域185b及び液体領域190bの双方、実質的に気体領域185bのみ、又は実質的に液体領域190bのみを有する。
燃料管135bからの中性子、ガンマ放射線、及び/又は熱伝導を介して与えられた熱により、液体領域190bの液体減速材は、当該減速材の沸点直近の温度に維持される。例えば、液体領域190bの減速材は、沸騰直前状態に維持される。液体領域190b内の減速材が沸騰直前になると、一部の減速材気化して気体領域185b内に上がる。また、減速材冷却材流入管335bに近い気体領域185b内の減速材又は減速材冷却材流入管335bから孔336bを介して中に噴霧される冷たい減速材を有する気体領域185b内の減速材は、凝縮して制御キャビティ140bの液体領域190bに滴下する。孔336bは、例えばサイズが小さな孔のような、減速材の動きに適切な任意のサイズである。したがって、気体領域185bのサイズは実質的に一定のままとなり、境界195bは相対的に静止したままとなる。このとき、燃料管135bが(例えば、熱伝達、中性子減速、及び/又はガンマ放射線によって)各制御キャビティ140bに与える熱量と、冷たい減速材の流入によって除去される熱量とが実質的に等しい。以下にさらに述べるように、気体領域185bのサイズ及び境界195bの位置は、燃料のキセノン及びサマリウム負荷に基づいて短期間にわたり(例えば数時間又は数日の期間にわたり)わずかに変動し、及び、例えば燃料の寿命(例えばバーンアウト)に基づいて長期間にわたり(例えば数年の期間にわたり)著しく変動する。気体領域185bのサイズ及び境界195bの位置は、炉冷却材サブシステム25による冷却速度の変化期間中及びその変化期間の直後にわずかに変動する。
図12Jに示されるように、制御キャビティ140bは、減速材冷却材流入管335bを通り、かつ、減速材冷却材流入管335bの側部にある孔336bを通って制御キャビティ140b内に入る、冷たい減速材の動きによって冷却される。実質的に等しい体積の温かい減速材が、制御キャビティ140bから外へ出て反射材領域95の中に、並びに、孔338b及び減速材流出管337を介して炉冷却材サブシステム25へ動く。
図12I、12J、及び12Kに描かれるように、反射材領域95の下部は、減速材冷却材流入管335bの下部にある孔336bを通る減速材冷却材流入管335bからの冷えた減速材の流れによって冷却される。過剰な減速材は、減速材冷却材流出管337bを介して減速材冷却材サブシステム315(以下に述べる)へ流れる。
図12I、12J、及び12Kに描かれるように、反射材領域95及び制御キャビティアレイ130bの上部は、境界115において生じる気化によって冷却される。気化中、過剰な蒸気減速材が、移送管323bを介して減速材冷却材サブシステム315(以下に述べる)内に移動する。
図12Nに描かれるように、未加圧水(H2O)を格納するタンク377bは、複数の減速材熱交換管390bを含む。減速材熱交換管390bは、減速材冷却材管327bに流体的に接続される。減速材熱交換管390bは、タンク377b内に格納された未加圧水(H2O)を通り抜け、通路355bを介して減速材冷却材ポンプ350bに流体的に接続される。通路322bは、減速材冷却材ポンプ350bを減速材冷却材流入管335bに流体的に接続する。減速材冷却材流入管335bは制御キャビティアレイ130b内に配置される。蒸気圧力制御弁380bが、蒸気移送管323b内の圧力が所望圧力を超過する場合、蒸気減速材の一部のが蒸気移送管323bから複数の蒸気熱交換管385bへ通過することを許容する。蒸気熱交換管385b内の減速材蒸気は、蒸気熱交換管385bの内壁で凝縮し、又は、蒸気熱交換管385bの底部から外へ漏れて減速材熱交換管390b内の冷たい減速材中で凝縮する。
タンク377bは、温度が水(H2O)の沸点を超えないように未加圧水(H2O)で実質的に満たされる任意の適切なタンクである。通常動作時、タンク377bは、任意の適切な方法によって水(H2O)の沸点直下まで冷却される。炉15への出力が中断される状況又は他の、通常冷却が異常な動作をする状況では、タンク377bは、タンク377b内に配置された水(H2O)の表面からの気化によって冷却される。
図13に示されるように、炉冷却材サブシステム25は、移送サブシステム305、燃料冷却材サブシステム310、及び減速材冷却材サブシステム315を含む。移送サブシステム305は、熱交換器20と炉心100、100’、100a、及び/又は100bとの間で炉冷却材を移送する。燃料冷却材サブシステム310は、燃料管135、135’、135a、及び135bからの熱交換を促し、減速材冷却材サブシステム315は、制御キャビティ140’、140a、140b、及び反射材領域95からの熱交換を促す。
炉冷却材サブシステム25の炉冷却材は、炉心100、100’、100a、及び/又は100bからの熱交換を促すのに適切な任意の流体材料である。例えば、炉冷却材は、D2O(「重水」)、H2O(「軽水」)、溶融金属若しくは塩、又は気体を含む。同様の冷却材が燃料冷却材サブシステム310及び減速材冷却材サブシステム315に対して使用され、又は、異なる冷却材が燃料冷却材サブシステム310及び減速材冷却材サブシステム315に使用される。
移送サブシステム305は、コールド炉冷却材通路320及びホット炉冷却材通路325を含む。通路320及び325は、例えば鋼及び/又はジルコニウム合金のような、炉冷却材の移送に適切な任意の材料から形成される。燃料冷却材サブシステム310及び減速材冷却材サブシステム315の双方のために同じ通路320及び通路325が炉冷却材を移送し(例えば第1実施例のように)、又は、燃料冷却材サブシステム310のために別個の通路320及び325が、並びに減速材冷却材サブシステム315のために通路322a、327a、322b、327b、及び同様の炉心100’内の通路が設けられる(図示せず)。コールド炉冷却材通路320は、冷たい炉冷却材を熱交換器20から炉15へ移送する。冷たい炉冷却材は、液体状態にあり、かつ、炉15からの熱交換を促すのに適切な温度にある。
図2に戻ると、例えば、コールド炉冷却材通路320は、格納構造体85の開口を通り抜けて反射材領域95内に入る。コールド炉冷却材通路320は、反射材領域95の内側にある燃料冷却材サブシステム310及び減速材冷却材サブシステム315の通路と連通するので、熱交換用の冷たい炉冷却材を燃料冷却材サブシステム310及び減速材冷却材サブシステム315に供給する。ホット炉冷却材通路325は、燃料冷却材サブシステム310及び減速材冷却材サブシステム315と流体的に連通し、燃料冷却材サブシステム310及び減速材冷却材サブシステム315から熱い炉冷却材(例えば、燃料管135、135’、135a、及び/又は135b内において炉心100、100’、100a、及び/又は100bを通り抜けたことにより、炉心100、100’、100a、及び/又は100bとの熱交換を促す炉冷却材)を受け入れる。ホット炉冷却材通路325は、熱い炉冷却材を炉15から移送して熱交換器20に戻す。
例えば図3に示されるように、燃料冷却材サブシステム310は複数の通路330を含む。通路330は、移送サブシステム305の冷たい炉通路320及びホット炉冷却材通路325と流体的に連通する。冷たい炉冷却材は、冷たい炉通路320から通路330へ流れる。通路330は、燃料管135、135’、135a、及び/又は135bへ及びこれらから導かれるように配置される。冷たい炉冷却材は通路330を通り抜けることによって燃料管135、135’、135a、及び/又は135bを通り抜け、燃料管135、135’、135a、及び/又は135bとの熱交換が促される。冷たい炉冷却材は、管135、135’、135a、及び/又は135b内に配置された燃料によって加熱され、かつ、通路330を介して燃料管135、135’、135a、及び135bから外へ移送される。通路330はその後、熱い炉冷却材を、移送サブシステム305のホット炉冷却材通路325に移送する。熱い炉冷却材は、実質的に完全に液体状態にあり、部分的に液体状態かつ部分的に気体状態にあり、又は、実質的に完全に気体状態にある。
例えば図2に示されるように、減速材冷却材サブシステム315は複数の通路335を含む。通路335は、移送サブシステム305の、コールド炉冷却材通路320及びホット炉冷却材通路325と流体的に連通する。冷たい炉冷却材は、コールド炉冷却材通路320から通路335及び330へ流れる。冷たい炉冷却材は液体状態にある。通路335は制御キャビティ140内に配置される。冷たい炉冷却材は通路335を通り抜けることによって制御キャビティ140を通り抜け、制御キャビティ140との熱交換が促される。冷たい炉冷却材は、制御キャビティ140内に閉じ込められた減速材によって加熱されて温かい炉冷却材になり、通路335を介して制御キャビティ140から外へ移送される。開示の制御キャビティの通路335によって行われる熱交換と同様に、通路330は、冷たい炉冷却材を、コールド炉冷却材通路320から反射プール105を通して移送する。また、意図されることだが、冷たい炉冷却材は、反射プール105の減速材によって加熱されて温かい炉冷却材になる。通路335及び330はその後、温かい炉冷却材を、燃料管135の下部へ燃料管135(ここで燃料により加熱されて熱い炉冷却材になる)を通して移送し、その後、移送サブシステム305のホット炉冷却材通路325へと移送する。熱い炉冷却材は、実質的に完全に液体状態にあり、又は部分的に液体状態かつ部分的に気体状態にある。
図14は、通路335の例示的詳細図を示す。通路335は、制御キャビティ140からの熱交換を促すべく制御キャビティ140を通り抜ける。通路335は、移送サブシステム305の、コールド炉冷却材通路320及び/又はホット炉冷却材通路325に直接的に又は中間通路345を介して接続される。通路335は、入口部材350、内部材355、外部材360、及び出口部材365を含む。入口部材350は、中間通路345を内部材355に流体的に接続する。内部材355は、外部材360の内部に配置される。例えば、内部材355及び外部材360は、同心管配列である。出口部材365は、外部材360を中間通路345に流体的に接続する。入口部材350は、出口部材365の壁にある開口を通り抜け、一部が出口部材365内に配置される。内部材355は、開放される端部分370を有する。複数の開口375が、内部材355の壁を貫通して形成される。開口375は、内部材355の端部分370に向かう移動方向においてサイズが増加し、かつ、開口375同士の間の間隔が減少する。炉冷却材は、入口部材350から流れて内部材355のチャネル380を通る。内部材355の開放端部分370に到達するまでに、一部の炉冷却材が開口375を通り抜けてチャネル385内に入る。開口375のサイズ及び頻度が、端部分370に向かう移動方向において増加し、チャネル380及び385間の炉冷却材の混合が、端部分370に向かう移動方向において増加する。チャネル385は、内部材355と外部材360との間に形成され、かつ、環状チャネルである。開口375及び/又は開放端部分370を通り抜けた後、炉冷却材は、チャネル385を通って流れ、出口部材365を介して中間通路345の中に入る。チャネル385に配置された炉冷却材は、制御キャビティ140内の温かい減速材からの、外部材360の壁を通しての熱伝導によって加熱される。一部の相対的に冷たい冷却材が、開口375を介してチャネル380からチャネル385へ流れることができるので、チャネル385内の冷却材の温度は、その長さに沿って相対的に一定となる。熱伝達を促すべく伝熱フィン(図示せず)が、外部材360の内及び/又は外表面に付加される。
図13に戻ると、ポンプサブシステム30は、冷却材ポンプ390、H2Oポンプ395、及びモータ400を含む。モータ400は、冷却材ポンプ390及びH2Oポンプ395を駆動する。
冷却材ポンプ390は、移送サブシステム305内の炉冷却材の流れを加圧するのに適切な任意のタイプのポンプである。例えば、冷却材ポンプ390は、ロータリータイプのポンプ、往復タイプのポンプ、又はリニアタイプのポンプのような容積移送式ポンプである。また、例えば、冷却材ポンプ390は、蒸気ポンプ、衝撃ポンプ、液圧ラムポンプ、又は遠心ポンプである。冷却材ポンプ390は、コールド炉冷却材通路320内にある炉冷却材の流れを加圧して熱交換器20から炉15に輸送し、かつ、ホット炉冷却材通路325内にある炉冷却材を炉15から熱交換器20に戻す。冷却材ポンプ390が、燃料冷却材サブシステム310及び減速材冷却材サブシステム315の双方に対し、移送サブシステム305内にある同じ炉冷却材を加圧し、又は、一以上の冷却材ポンプ390が別個に、燃料冷却材サブシステム310のための炉冷却材及び減速材冷却材サブシステム315のための冷たい減速材を加圧する。
H2Oポンプ395は、冷却材ポンプ390と同様のタイプであり、タービン蒸気サブシステム65内の水(H2O)及び蒸気(H2O)の流れを加圧する。H2Oポンプ395は、熱交換器20からタービン45への通路70内の熱い蒸気(H2O)の流れ、タービン45からタービン冷却サブシステム60への通路75内の余剰又は死蒸気(H2O)の流れ、及びタービン冷却サブシステム60から熱交換器20への通路80内の水(H2O)の流れを加圧する。
モータ400は、例えば、定容量又は可変容量型モータ、斜軸タイプ液圧モータ、リニア液圧モータ、液圧シリンダ、又は電気モータのような、冷却材ポンプ390及びH2Oポンプ395を駆動するのに適切な任意のタイプのモータである。モータ400は、例えば一以上の機械的シャフト405のような、任意の適切な態様で冷却材ポンプ390及びH2Oポンプ395を駆動する。例えば、モータ400は、単数の機械的シャフト405を介して冷却材ポンプ390及びH2Oポンプ395の双方を駆動する。機械的シャフト405は、モータ400が冷却材ポンプ390及びH2Oポンプ395を駆動するときの急激な流れ変化を緩和するべく動作するフライホイールを含む。モータ400はまた、冷却材ポンプ390及びH2Oポンプ395を別個に駆動する。また、意図されることだが、モータ400は、例えば液圧式のような、他の適切な方法によってポンプ390及びH2Oポンプ395を駆動することもできる。モータ400は、原子炉システム5がフル出力で動作している場合に最適化されたレベルで冷却材ポンプ390及びH2Oポンプ395の双方を駆動するべく構成される。モータ400は、モータ400が動作をシャットダウン又は停止し、かつ、冷却材ポンプ390及びH2Oポンプ395の双方とも同時にシャットダウンしても、冷却材ポンプ390及びH2Oポンプ395の双方を駆動することができる。また、意図されることだが、各ポンプは別個のモータも有し得る。
図16から18に示されるように、補助冷却材サブシステム35は、対流ループサブシステム410及び補助熱交換サブシステム415を含む。対流ループサブシステム410及び補助熱交換サブシステム415は、炉15からの熱交換を促す補助システムを与える。
図16に示されるように、対流ループサブシステム410は、分岐点425、通路430、通路435、複数の通路440及び445、合流部450、分岐点455、弁460、並びに弁465を含む。分岐点425、通路430、通路435、複数の通路440及び445、合流部450、及び分岐点455は、炉冷却材を移送するのに適切な任意の材料から形成され、かつ、補助炉冷却材経路を与えるべく流体的に連通する。分岐点425は、通路430の入口において圧力Aを維持するべく構成される。ホット炉冷却材通路325を通って流れる炉冷却材部分は、分岐点425で通路430内に流れる。通路430は、炉冷却材の流れを下方すなわち反射材領域95の境界115の下に案内することによって、反射プール105の頂部表面の下に流れを案内する。炉冷却材は、通路430から流れ出て通路435を上方に通り、その後、複数の通路440を介して格納構造体85及び圧力容器90に向かう。複数の通路440は、複数の通路445と流体的に連通する。複数の通路440及び445は、通路430及び435よりも小さなサイズとされ、かつ、例えば複数の小管とされる。複数の通路445は、圧力容器90との良好な熱交換を得るべく圧力容器90の表面に隣接して配置される。例えば、複数の通路445は圧力容器90に溶接される。複数の通路445は、炉冷却材を圧力容器90に沿って下方に向かわせ、炉心100、100’、100a、及び/又は100bの底の近く又は下にある位置まで移送する。
複数の通路445は、当該複数の通路445よりも大きい一以上の合流部450に流体的に接続されかつ合流する。例えば、いくつかの通路445が、複数の大きな合流部450のそれぞれに合流する。一以上の合流部450は、コールド炉冷却材通路320に分岐点455において流体的に接続される。分岐点455は、一以上の合流部450の出口において圧力Bを維持するべく構成される。その結果、冷却材ポンプ390がフル出力動作のための冷却材流量を与えている場合、分岐点425と分岐点455との間を、通路430、435、440、445、及び合流部450を介して通過する冷却材が相対的に少なくなるように、通路430の圧力Aと圧力Bとのバランスがとられる。ポンプ390が動作しておらず炉心100が依然として発熱している場合、燃料管135内の熱い冷却材が上昇して通路430内に流れる。通路325がポンプ390によって実質的に遮断されるからである。熱い冷却材は引き続き、通路435及び440を通って複数の通路445に入る。通路445では、冷却材が、反射材領域95及び圧力容器90に熱を伝達して冷却されるので密度が高くなる。この相対的に高密度の減速材は、通路445及び分岐点455を通って下降し、燃料管135内の相対的に熱い減速材を変位させる。その結果、燃料管135を冷却する対流回路が形成される。
炉冷却材サブシステム25の流れの中断及び/又は炉15外の冷却材喪失の場合に対流ループサブシステム410内の炉冷却材の流れを隔離するべく、弁460及び465が設けられる。弁460は、コールド炉冷却材通路320に配置され、かつ、炉15から外へ出る炉冷却材の流れを実質的に阻止するのに適切な任意の弁である。例えば、弁460は一方向弁又は逆止弁である。これは、コールド炉冷却材通路320を介して炉冷却材が炉15内に流れることを許容するが、コールド炉冷却材通路320を介して炉15から外へ出る炉冷却材の流れを実質的に阻止する。例えば、弁460は、格納構造体85の外表面又はその近くの位置において、コールド炉冷却材通路320に配置される。弁465は、ホット炉冷却材通路325に配置され、かつ、炉冷却材の量がしきい量未満である場合に炉15から外へ出る炉冷却材の流れを実質的に阻止するのに適切な任意の弁である。例えば、弁465はフロート弁である。これは、炉冷却材レベルがしきい量超過の場合、ホット炉冷却材通路325を介して炉冷却材が炉15から外へ流れることを許容するが、炉冷却材のレベルがしきい量未満の場合、ホット炉冷却材通路325を介して炉冷却材が炉15から外へ流れることが実質的に阻止される。例えば、弁465は、ホット炉冷却材通路325が炉冷却材全量の半分未満の場合、炉冷却材が炉15から外へ流れることを実質的に阻止する。弁465は、格納構造体85の外表面又はその近くの位置において、ホット炉冷却材通路325内に配置される。
図17及び18に示されるように、補助熱交換サブシステム415は、一以上の熱交換部材470、一以上の熱交換部材475、及び一以上の熱交換部材480を含む。熱交換部材470、熱交換部材475、及び熱交換部材480は、炉心100、100’、100a、又は100bが生成した熱に対する、炉15から離れた位置への熱交換を促す。
熱交換部材470は、材料を収容する細長い要素である。熱交換部材は、格納構造体85(例えば、格納構造体85の壁の内側に鋳造される)内に配置され、かつ、圧力容器90の近く又は圧力容器90の外表面と接触して配置される。熱交換部材470は、格納構造体85内に放射状に配置される。その結果、熱交換部材470の一端が圧力容器90と隣接又は接触し、熱交換部材470の他端が格納構造体85の外部に近くなる。例えば、熱交換部材470は、状態変化材料を収容する細長いキャビティである。例えば、熱交換部材470は、金属合金を収容するキャビティを含む。例えば、熱交換部材470は、金属合金が満たされた鋼管である。状態変化金属合金は、反射材領域95の減速材の通常動作温度よりも融点がわずかに高い。例えば、熱交換部材470は、適切な融点を有する鉛、スズ、及び/又は他の任意材料で実質的に完全に満たされた中空鋼管である。反射材領域95内の減速材の温度がその通常動作温度を超えると、熱交換部材470内に収容された状態変化材料が加熱されて固体状態から液体状態になる。例えば、熱交換部材470は、状態変化材料として鉛を含む。鉛は、反射材領域95内の減速材がその通常動作温度を超えると溶けて溶融鉛になる。状態変化材料が状態を変化させると(例えば鉛が溶けると)、当該状態変化材料の熱伝導特性が向上する。したがって、熱交換部材470の状態変化材料は、当該状態変化材料が溶けると、圧力容器90から熱を(例えば対流により)有効に奪い、格納構造体85の外部(これは熱伝導度が低い)へ有効に熱を伝達する。また、意図されることだが、熱交換部材470内に収容される状態変化材料が通常減速材動作温度において液体状態であり、減速材の温度が通常動作温度を超えると加熱されて気体状態になり得る。
熱交換部材475もまた、熱交換部材470と同様の、状態変化材料を収容する細長いキャビティである。熱交換部材475の状態変化材料は、熱交換部材470の状態変化材料よりも低い融点及び/又は沸点の材料である。例えば、状態変化材料は液体状態の材料であり、かつ、熱交換部材470が状態変化を受ける温度(例えば、鉛、又は熱交換部材470の状態変化材料に適切な他の任意材料の融点)未満の沸点を有する。例えば、熱交換部材475は、液体状態にある水(H2O)又は他の適切な任意材料で満たされた鋼管である。熱交換部材475は、格納構造体85内に実質的に垂直方向に配置される(例えば格納構造体85の壁内に鋳造される)。図17及び18に示されるように、熱交換部材475は、一以上の熱交換部材470の端部分の近くに接触又は配置され、かつ、格納構造体85の外表面の近くに配置される。熱交換部材475の状態変化材料は、熱交換部材470から伝達された熱によって加熱され、かつ、状態変化を受ける。例えば、熱交換部材470の端部分から熱交換部材475へ伝達された熱により、状態変化材料の状態が変化する(例えば鋼管内に収容された水が沸騰する)。また、意図されることだが、熱交換部材475の状態変化材料が通常減速材動作温度において固体状態であり、減速材の温度が通常動作温度を超えると加熱されて液体状態になり得る。
熱交換部材480は、熱交換部材475と同様であり、かつ、熱交換部材475と流体的に連通する。したがって、熱交換部材475の状態変化材料は、熱交換部材475から熱交換部材480へ流れる。熱交換部材480は、実質的に水平方向にある平面からわずかな角度で配置される。熱交換部材480は、例えば1:20(垂直距離:水平距離)又は1:50(垂直距離:水平距離)のような傾斜度に配置される。図18に示されるように、熱交換部材480は炉15から扇形に広がる。このため、炉15から離れるように熱が伝達される。熱交換部材480は、地表面下に配置される。このため、炉15からの熱が、地表面から任意の適切な量だけ下において伝達される。例えば、熱交換部材480は、大きな広場及び/又は駐車場の下に配置される。このため、当該土地の大きな熱容量による熱吸収が利用され、かつ、当該地表面の熱拡散が利用される。熱交換部材480がわずかな勾配にあるので、熱交換部材480内に収容される状態変化材料は、炉15から所定距離において冷却されて前の状態になる。例えば、熱交換部材475は、加熱されて蒸気(H2O)になり、かつ、熱交換部材480内に移送される水を含む。熱交換部材480は、外側端が、水の小さなタンク又は貯蔵器に終端する。その結果、熱交換部材475及び480は、実質的に常に水で満たされる。熱交換部材480は、接触面積が増加するべく構成されたコルゲート管であり(例えば地面に沿って単位距離当たりの接触面積が増加し)、さらに、当該管内の蒸気(H2O)と管内表面との接触面積が増加する。当該管内の水(H2O)の上表面に沿って外方へ移動する蒸気(H2O)が、任意の蒸気(H2O)が当該管内をさらに外へと移動することができる前に当該管内の各波形の上部を満たすので、当該波形が、蒸気(H2O)と接触する当該管内の水(H2O)の表面積を増加させる。所定距離の後で十分な熱が放熱され、蒸気(H2O)は凝縮して水(H2O)になる。
図19に示されるように、補助炉停止サブシステム420は、加圧貯蔵器485、一以上の通路490、ドレーン通路495、及びポンプ500を含む。加圧貯蔵器485は、加圧水(H2O)を通路490内に供給する。ポンプ500は、ドレーン通路495内の水(H2O)を加圧する。
加圧貯蔵器485は、例えば加圧鋼容器のような、加圧液体を貯蔵するのに適切な任意の格納器である。例えば水(H2O)のような、任意の適切な中性子吸収材料が加圧貯蔵器485に貯蔵される。また、水(H2O)の中にホウ素が吸収混合されたホウ酸水(H2O)が、加圧貯蔵器485内に貯蔵される。加圧貯蔵器485は、格納構造体85の外側に配置されかつ弁487を含む。弁487は、流れに対して開閉されて、加圧貯蔵器485から一以上の通路490への加圧材料の流れを選択的に許容及び阻止する。
通路490は、加圧材料を移送するのに適切な任意の通路である。通路490は、加圧貯蔵器485に流体的に接続され、かつ、加圧貯蔵器485からの加圧材料を格納構造体85の開口を通して移送する。通路490は一以上のU字管に分割される。U字管は、炉心100、100’、100a、又は100bの下方の反射材領域95の中に炉心エリアを通り下り、その後炉心100、100’、100a、又は100bを通り上がって戻る。通路490は任意の適切な態様で、反射材領域95及び炉心100、100’、100a、又は100bを通して加圧材料を移送する。例えば、図19に示されるように、通路490は、反射プール105の上部に入って実質的にU字の構造をなす。通路490は、反射材領域95の任意の適切な構成をなす。弁487が加圧貯蔵器485から通路490の中への加圧材料の流れを阻止している場合、通路490はすでに蒸気(H2O)で満たされている。炉の急停止(例えばSCRAM)が望まれる場合、弁487が開いて、例えばホウ酸水(H2O)のような加圧中性子吸収材料が通路490を満たす。加圧中性子吸収材料は、以前は通路490内に配置されていた蒸気(H2O)をますます加圧する。したがって、以前は通路490内に配置されていた蒸気(H2O)は、当該一以上の通路490それぞれの端部分505においてますます加圧され、さらなる流れを遅らせかつ漸次的に停止させる。
ドレーン通路495が、反射プール105の下部に配置され、かつ、通路490の任意の部分(例えば下部)を加圧貯蔵器485に流体的に接続する。ポンプ500が、ドレーン通路495内に配置され、かつ、炉15を再起動することが望ましい場合、通路490の下部から流れて加圧貯蔵器485へ戻る中性子吸収材料を加圧する。ポンプ500はまた、加圧貯蔵器485内に配置される中性子吸収材料を加圧する。したがって、ポンプ500は、例えばホウ酸水(H2O)のような中性子吸収材料を通路490からポンプ輸送して加圧貯蔵器485に戻す。
図20に示されるように、炉制御サブシステム40は、制御サブシステム510、負荷追従サブシステム515、バイパスサブシステム520、減速材安定化サブシステム525、炉冷却材安定化サブシステム530、及び差分流れサブシステム535を含む。制御サブシステム510、負荷追従サブシステム515、バイパスサブシステム520、減速材安定化サブシステム525、炉冷却材安定化サブシステム530、及び差分流れサブシステム535は、原子炉システム5の動作を制御及び/又は安定化させる。
制御サブシステム510はコントローラ540を含む。これは、機械プロセスを自動化するのに適切な任意のタイプのプログラマブル論理コントローラである。コントローラ540は、電線(図示せず)を介して原子炉システム5のコンポーネントに接続され、かつ、当該電線を介して原子炉システム5の任意の適切なコンポーネントの動作を制御する。例えば、コントローラ540は、発電サブシステム10、炉15、熱交換器20、炉冷却材サブシステム25、ポンプサブシステム30、補助冷却材サブシステム35、及び/又は炉制御サブシステム40のコンポーネントに電気的に接続されかつこれらを制御する。制御サブシステム510はまた、例えば、原子炉システム5のオペレータが使用するディスプレイ、モニタ、キーボード、及び他のデバイスのような、コントローラ540と電気通信する入力及び/又は出力コンポーネントも含む。制御サブシステム510はまた、原子炉システム5の様々な通路及びコンポーネントに配置されるセンサも含む。センサは、例えばH2O又は炉冷却材の、例えば温度及び/又は圧力のような任意の適切なパラメータを測定する。センサは、コントローラ540に電気的に接続され、かつ、センスされたデータを、原子炉システム5の制御に使用するべくコントローラ540に入力する。
負荷追従サブシステム515が、ゲート545及び550、通路555、560、565、580、及び590、凝縮器570、弁575、熱交換器585、及び分岐点595を含む。これらは、蒸気(H2O)及び水(H2O)を移送するのに適切な任意の要素である。
ゲート545は、通路70内に配置され、かつ、通路70から通路555への流れを選択的に許容する。ゲート545は、通路70から通路555への蒸気(H2O)の流れを実質的に阻止する閉位置、通路70から通路555への流れの実質的にすべてを許容する開位置、及び、閉位置と開位置との間で所望の任意間隔に位置決めされることで、ゲート545が開かれる量に比例して通路70から通路555への蒸気(H2O)の部分的な流れを許容する部分的開位置から選択的に動かされる。したがって、ゲート545は、蒸気(H2O)を通路555を通るように転じることにより、通路70を通る蒸気(H2O)の流れを選択的に低減する。
ゲート550は、通路555内に配置され、かつ、ゲート545の動作と同様に通路555から通路560への流れを選択的に許容する。これにより、ゲート550は、通路555から通路560への蒸気(H2O)の流れを選択的に阻止、部分的に許容、又は完全に許容する。通路560は、バイパスタービン45であり、かつ、タービン冷却サブシステム60へ直接的に蒸気(H2O)を移送する。したがって、ゲート550は、例えばタービン45の急シャットダウンが望まれる場合のような所定の状況下で、蒸気(H2O)をタービン冷却サブシステム60へ直接的に移送することが選択的に許容されるように動作する。
通路555は、通路565と流体的に連通する。通路565は、通路555から凝縮器570へ蒸気(H2O)を移送する。通路565は、熱交換器20の中を通り抜けるのではなく、熱交換器20の外を通る。
凝縮器570は、コールド炉冷却材通路320に接触又は隣接して配置される。凝縮器570は、蒸気(H2O)を凝縮させて水(H2O)にするのに適切な任意の凝縮器である。弁575は、凝縮器570内の、例えば凝縮器570の底部のような、任意の適切な位置に配置される。弁575は、水(H2O)が凝縮器570から外へ流れるのを許容する一方で蒸気(H2O)が凝縮器570から外へ流れるのを実質的に阻止するのに適切な任意の弁である。例えば、弁575はフロート弁である。凝縮器570及び弁575は、通路565内の蒸気(H2O)の高圧力を通路580内の水(H2O)の相対的に低圧力に低減する圧力低減システムとして機能する。
通路580は、凝縮器570と流体的に連通する。通路580は、凝縮器570から熱交換器585へ水(H2O)を移送する。通路580は、熱交換器20の中を通り抜けるのではなく、熱交換器20の外を通る。
熱交換器585は、通路580を通って移送される水(H2O)からの熱交換を促すのに適切な任意のデバイスである。熱交換器585は、タービン蒸気サブシステム65の通路の中又は近くに配置される。タービン蒸気サブシステム65は、H2Oポンプ395の出口から熱交換器20へ水(H2O)を移送する。熱交換器585は、水(H2O)の温度を、タービン蒸気サブシステム65の通路80が移送する水(H2O)と実質的に同じ温度まで下げる。通路590は、分岐点595を介して熱交換器585から通路80へ水(H2O)を移送する。通路590が通路80の中に移送した水(H2O)は、すでに通路80内を流れている水(H2O)の温度と実質的に同じ温度を有する。通路80はその後、ポンプサブシステム30のH2Oポンプ395の出口へ水(H2O)を移送する。
バイパスサブシステム520はポンプ600及び通路605を含む。通路605は、移送サブシステム305の、コールド炉冷却材通路320とホット炉冷却材通路325とを流体的に接続する。ポンプ600は通路605内に配置される。ポンプ600は、例えばポンプ390の容量の約2%から約20%のような、相対的に小さな容量を有する。ポンプ600は、通路605内の炉冷却材を加圧してホット炉冷却材通路325からコールド炉冷却材通路320へ炉冷却材をポンプ輸送するべく動作する。これにより、熱交換器20及びポンプ390がバイパスされる。ポンプ600及び通路605は、ホット炉冷却材通路325を通って流れる相対的に熱い炉冷却材が熱交換器20をバイパスし、かつ、コールド炉冷却材通路320へ直接的に流れることを許容する。これにより、熱い冷却材が相対的に冷たい冷却材と混合され、かつ、コールド炉冷却材通路320内を流れる冷却材の温度が上昇する。バイパスサブシステム520は、例えば原子炉システム5のシャットダウン及び/又は初期炉冷却材装荷中に動作する。バイパスシステム520はまた、ポンプ390及び395の有効流量比を調整するべく機能する(例えば、ポンプサブシステム30はフル出力時のタービン蒸気流量に対する炉冷却材流量の正しい比を与えるべく設計されるが、低出力運転時は、わずかに異なる比が望ましい)。
減速材安定化サブシステム525は、通路610、630、640、及び650、弁615、貯蔵器625、凝縮器635、及びポンプ645を含む。これらは、蒸気(H2O)及び水(H2O)を移送するのに適切な任意の要素である。
通路610は、反射材領域95の蒸気エリア110を貯蔵器625に流体的に接続する相対的に大きな通路である。弁615が通路610内に配置される。弁615は、通常動作中、閉位置にあって、蒸気減速材の流れを実質的に阻止する。弁615が開くと、蒸気減速材が通路610を介して貯蔵器625内へ流れる。貯蔵器625は、反射材領域95の蒸気エリア110の圧力未満の圧力に維持される低圧貯蔵器である。貯蔵器625は、相対的に大きな冷たい貯蔵エリアである。例えば、貯蔵器625は、相対的に大量の水(H2O)によって冷却される。例えば、貯蔵器625は、タービン蒸気サブシステム65の水(H2O)によって冷却される。通路610を介して貯蔵器625に入るとき、蒸気減速材は、貯蔵器625の内壁の相対的に冷たい表面上で膨張及び凝縮する。弁615が開くと、反射材領域95の蒸気エリア110から外に出る減速材蒸気の急な流れが、蒸気エリア110内の蒸気減速材の圧力及び反射材領域95内の減速材の圧力を低減する。したがって、制御キャビティ140、140’、140a、及び/又は140bから外に出る減速材の急な流れが許容される。これにより、制御キャビティ内の減速材の質量が低減し、核分裂を引き起こすべく利用可能な熱(低速)中性子の数が低減するので、炉15の急シャットダウンがもたらされる。
通路630は、通路610を凝縮器635に流体的に接続する。通路630は、相対的に小さな通路である。例えば、通路630は、直径が通路610よりも著しく小さい配管である。通路630は、通路610を凝縮器635に流体的に接続する。凝縮器635は、タービン蒸気サブシステム65の通路80に接触又は隣接して配置される。通路80は、相対的に冷たい水(H2O)を移送する。凝縮器635は、蒸気減速材を凝縮させて液体減速材にするのに適切な任意の凝縮器である。通路630を介して通路610から移送された蒸気減速材は、凝縮器635によって液体減速材に凝縮される。通路640は、凝縮器635をポンプ645に流体的に接続する。
ポンプ645は、通路640から通路650への凝縮液体減速材の流れを選択的に阻止する。ポンプ645はまた、凝縮液体減速材が通路650内に流れることを選択的に許容し、かつ、通路650を通って流れる凝縮液体減速材を加圧するべく動作する。通路650は、凝縮液体減速材を移送して炉15内へ戻す。例えば、通路650は、例えば蒸気エリア110のような反射材領域95の上部に流体的に通路650を接続する。通路650を介して蒸気エリア110内に移送された凝縮液体減速材は、蒸気エリア110内の付加的な蒸気減速材を凝縮させる。反射材領域95が、炉心100、100’、100a、及び/又は100bから漏れる中性子によって加熱され、反射材領域95の減速材は、蒸気エリア110内で気化して蒸気減速材になる。ポンプ645は、蒸気エリア110からの過剰な蒸気減速材を凝縮させるべく動作する。その結果、蒸気エリア110及び反射材領域95内の安定した圧力が維持される。
炉冷却材安定化サブシステム530は、貯蔵器655、加熱要素660、及び通路665を含む。貯蔵器655は、炉冷却材を貯蔵する加圧貯蔵タンクである。貯蔵器655には、ホット炉冷却材通路325からの通路665を介して、炉冷却材サブシステム25から炉冷却材が供給される。貯蔵器655は、底部が液体炉冷却材を含み、かつ、上部が気体炉冷却材を含む。加熱要素660は、貯蔵器655内に貯蔵される炉冷却材を所望の温度及び/又は圧力に維持するべく、貯蔵器655を選択的に加熱する。加熱要素660は、例えば電気ヒータのような、貯蔵器655を選択的に加熱するのに適切な任意のデバイスである。コールド炉冷却材通路320からの冷たい炉冷却材が、ポンプ及びコールド炉冷却材通路320からの供給ライン(図示せず)により、選択的に貯蔵器655内にポンプ輸送される。例えば、ポンプ(図示せず)はインジェクタを含む。インジェクタは、コールド炉冷却材通路320からの冷たい加圧炉冷却材を、貯蔵器655の頂部(蒸気)内に噴霧する。例えば、相対的に冷たい炉冷却材は、貯蔵器655内の蒸気炉冷却材の一部を凝縮させるべくポンプ(図示せず)によって貯蔵器655内に噴霧される。蒸気炉冷却材の一部が凝縮することにより、貯蔵器655及びホット炉冷却材通路325内の圧力が低減される。
図15及び20に示されるように、差分流れサブシステム535が、コールド炉冷却材通路320の部分675内に配置された複数の同心通路670を含む。同心通路670は、コールド炉冷却材通路320の部分675と置き換わり、かつ、部分675の両端においてコールド炉冷却材通路320の他の部分に流体的に接続される。部分675は、コールド炉冷却材通路320の、ポンプ390の下流に配置される上がり部分である。例えば約10の同心通路670のような、任意の適切な数の同心通路670が、コールド炉冷却材通路320内に配置される。同心通路670は例えば、同心鋼管である。同心通路同士間の面積は、通路670の最内部から通路670の最外部へ動くにつれて増加する。例えば、第1及び第2同心通路670間の面積A2は第1同心通路670内に形成される面積A1の2倍であり、第4及び第5同心通路670間の面積A3は第1同心通路670内に形成される面積A1の5倍であり、並びに、第9及び第10同心通路670間の面積A4は第1同心通路670内に形成される面積A1の10倍である。連続する同心通路670のそれぞれの間の各面積の部分は、各端において塞がれて、同心通路670のそれぞれの中に入り及びそれぞれから外へ出る流速が実質的に同じに維持される。これにより、同心通路670は、内側同心通路に対し、比例的に長い時間をかけて同じ量の流体を外側同心通路において移送する。したがって、コールド炉冷却材通路320内の急な温度変化が緩和される。
開示の原子炉システムの少なくともいくつかの実施例では、炉心において減速材を囲む制御キャビティを有する炉制御方法が使用される。少なくともいくつかの実施例では、炉内の減速材は3つのエリアに分けられる。すなわち、燃料源の任意部分から約30センチメートル(1フィート)未満の炉内にあるいずれかに配置される炉心エリアと、当該炉心エリアの外側に任意の減速材を含むが燃料源の任意部分から91又は122センチメートル(3又は4フィート)未満である反射材領域と、当該炉心エリア及び反射材領域の外側に任意の減速材を含む減速材プールである。炉心エリア内の減速材の一つの機能は、核分裂燃料が放出する高速中性子を、中性子が新たな核分裂を引き起こす可能性がかなり高い相対的に低速まで減速することである。反射材領域内の減速材の一つの機能は、炉心エリアから漏れる中性子を反射して当該炉心内に戻し、炉から失われる中性子の数を減らすことである。減速材プール内の減速材は、炉に対してほとんど影響を与えない(例えば、当該減速材は、炉心減速材制御キャビティから変位されると減速材プールに入り、又は、当該減速材が炉心に戻ると減速材プールから出る)。少なくともいくつかの実施例では、開示の制御キャビティは、炉心エリア内にある減速材のほとんどを囲み、かつ、頂部が閉じられるが制御キャビティの底と反射材及び減速材プールエリアとの間での減速材の自由な動きを許容する。
開示の原子炉システムの少なくともいくつかの実施例では、開示の原子炉システムが定常速度で出力を生成しているとき、燃料は原子核平衡状態にあり、かつ、制御キャビティは熱平衡状態にある。2つの平衡状態は、一方の平衡からの任意の変化が、最初の変化とは反対に作用する他方の平衡の変化を引き起こす負のフィードバックによって結合される。開示の制御キャビティには、減速材冷却システムが設けられる。減速材冷却システムは、制御キャビティをほぼ同じ速度で(又は制御キャビティがすべて同じ体積ではない場合は各制御キャビティの体積に比例して)冷却する。当該冷却は、冷たい減速材を当該制御キャビティ内へポンプ輸送して当該制御キャビティ内の温かい減速材と混合する一方、温かい減速材の等しい質量が当該制御キャビティから外に出て当該反射材及び減速材プールエリアの中に入ることによって、又は、当該制御キャビティ内の一以上の管を通る冷却された流体を通過させてその後、熱伝導により当該制御キャビティを冷却することによって行われる。熱い燃料管からの熱伝導によって、及び燃料からの高速中性子及びガンマ放射線によって減速材に付与されたエネルギーによって、熱が制御キャビティに入る。制御キャビティを出るよりも多くの熱が制御キャビティに入ると、当該キャビティ内の液体減速材は、当該制御キャビティの気化かつ上昇して頂部にある蒸気泡になる一方、液体減速材を当該制御キャビティの底から変位させて炉心内の減速材の総質量を低減する。これは、当該蒸気が、液体減速材よりもはるかに低密度だからである。減速材冷却システムによって抽出されるよりも少ない熱がキャビティに入ると、蒸気泡にある蒸気の一部が凝縮し、当該蒸気泡のサイズが低減し、かつ、液体減速材が反射材領域及び減速材プールから当該キャビティ内に引き込まれる。これにより、炉心内の減速材の総質量が増加する。
開示の原子炉システムの少なくともいくつかの実施例では、燃料の原子の核分裂ごとに高速中性子が放出される。かかる高速中性子のほとんどは、燃料から減速材内に漏れ出し(燃料から放出されるガンマ放射線とともに)、減速材との衝突によって減速される。かかる低速中性子が減速材から燃料内へ拡散する。燃料中の核分裂性原子に吸収されて新たな核分裂を引き起こす低速中性子もあれば、燃料中の親原子(例えば、存在する場合、ウラン238、プルトニウム240、及び/又はトリウム232)に吸収されて新たな核分裂性燃料の原子をもたらす低速中性子もあれば、核分裂も新たな核分裂性原子の生成もなしに燃料に吸収されるか又は拡散して減速材の中に戻る低速中性子もある。反応速度は、平均的に、核分裂ごとに解放される正確に一つの中性子が新たな核分裂を引き起こす場合に安定となる。減速材から再び燃料に入る中性子が核分裂を引き起こす確率は、当該速度が相対的に高いと減少し、当該中性子が新燃料を生成する確率は、当該速度が相対的に高いと増加する。減速材から出る中性子は、キャビティ内の減速材質量が少ない場合に高い平均速度を有し、キャビティ内の減速材質量が多い場合に低い平均速度を有する。したがって、蒸気泡のサイズが増加すると(したがってキャビティ内の減速材質量が減少すると)、燃料に入る中性子の平均速度は増加し、これが、新たな核分裂を引き起こすことから有効に迂回される中性子の数を増加させ、かつ、新たな核分裂性燃料の生成から迂回される中性子の数を減少させる。この効果が、核分裂速度を下げ、減速材から伝達されるエネルギーを低減し、蒸気泡のサイズを低減し、及び、これにより負のフィードバックを与える。負のフィードバックによって、蒸気泡の安定サイズが維持され、安定、かつ、減速材冷却速度にほぼ比例する核分裂速度が維持される。
全体的には、開示の原子炉システムの少なくともいくつかの実施例において、制御キャビティは、安定、かつ、合計減速材冷却速度に比例する合計パワー出力を維持する。減速材冷却速度は、減速材冷却材温度を相対的に一定に維持することによって、及び、合計冷却速度を制御するべくポンプ輸送速度を変えることによって制御される。個別的には、各キャビティは、その近くにある燃料の核分裂速度に影響を与える。これにより、反応速度は、炉内のすべての箇所においてほぼ同じとなり、炉心中心で高くかつ炉心周縁近くで低くなるということがない。これは、燃料内のホットスポットを最小限にし、かつ、キセノン波を抑制するので、燃料からの熱抽出の望ましい高い速度がもたらされる。
通常の炉動作中、開示の原子炉システムの少なくともいくつかの実施例では、燃料管からの熱は一次冷却材によって抽出される。反応速度が増加すると、一次冷却材ポンプ輸出速度も増加する。その結果、燃料管の温度は反応速度によって変化することがない。異常条件下では、一次冷却材の流量が不十分となり、燃料管が熱くなる。かかる条件下では、燃料管から制御キャビティ内への熱伝導が大きくなり、制御キャビティ内の減速材の気化速度が増加し、かつ、制御キャビティ内の蒸気泡のサイズも増加する。これにより、液体減速材がキャビティの底から変位され、減速材の平均密度が低減され、かつ、減速材から燃料内に拡散する中性子の平均速度が増加する。したがって、核分裂速度が減少する。
開示の原子炉システムの少なくともいくつかの実施例では、制御キャビティ内の蒸気泡は、制御キャビティ内の液体減速材よりも密度が極めてはるかに小さく、かつ、蒸気泡は、実質的不存在から制御キャビティ全体サイズ近くまでサイズがばらつくので、当該システムは、炉心内の減速材の平均密度が、液体減速材の最大密度から当該最大密度の15%未満までばらつくことを許容する。これにより、キセノン負荷不在の濃縮新燃料から、核分裂副生成物を吸収する中性子の高バーンアウト及び引き続いての高負荷によって燃料への平衡キセノン負荷を有する中程度の使用済み燃料までの範囲にわたってばらつく燃料反応度条件下において、炉を制御することが可能となる。これは、吸収材を制御して、実質的に最大量の新核分裂性燃料、及び、燃料ライフサイクルのすべての時点における実質的に最大の燃料転換比を与えるべく中性子損失を実質的になくすことによって達成される。
開示の原子炉システムは、原子核生成パワーを使用する任意の用途において利用される。例えば、開示の原子炉システムは、原子核反応からのパワーを使用することで生成される蒸気(H2O)を使用する任意の用途において使用される。以下に述べる動作は一般に、開示の原子炉システム5の実施例すべての動作に適用される。加えて、以下に述べるように、開示の原子炉システムのいくつかのサブシステムは、原子核生成パワー以外の付加的用途においても使用される。
図3を参照すると、原子炉システム5の動作は、燃料管135、135’、135a、及び/又は135bを有する燃料集合体125、125’、125a、又は125bに燃料が供給されたときから開始する。炉15が管135、135’、135a、及び/又は135b内の新燃料によって開始されると、制御キャビティアレイ130、130’、130a、及び/又は135b内の減速材のレベルは、炉設計及び燃料管135、135’、135a、及び/又は135b内に含まれる燃料の反応度に基づいて、平衡レベルにおいて安定する。初期期間(例えば数日)にわたり、中性子吸収キセノン135及びサマリウム149のレベルが平衡レベルまで上昇し、かつ、減速材の冷却速度が、炉冷却材サブシステム25の動作により実質的に一定に維持される(炉冷却材サブシステムの一般的動作については以下で詳細に述べる)。炉冷却材サブシステム25が、制御キャビティアレイ130、130’、130a、及び/又は130b内の減速材の一定冷却速度を与える一方、燃料中のキセノン及びサマリウムのレベルが上昇し、かつ、炉15の反応度がゆっくりと1未満に下降する。これにより、反応速度が減少し、かつ、減速材に付与されるエネルギーが減少する。その結果、減速材蒸気の一部が凝縮する。したがって、多くの減速材が制御キャビティ140、140’、140a、及び/又は140bの中に引き込まれる。これにより、減速材のレベル及び平均減速材密度が上昇する。これにより、共鳴捕獲を受ける中性子の数が減少するので、炉15の燃料中の漸次的に増加する量の中性子吸収キセノン及びサマリウムが補償される。したがって、一例として制御キャビティアレイ130を使用すると、制御キャビティアレイ130内の液体領域190及び275のサイズが増加し、かつ、制御キャビティアレイ130内の気体領域185及び280のサイズが減少する。同様の効果が開示の他の実施例でも生じる。
炉15が1を超える転換比を有する場合、又は主にU235及びU238が燃料とされている場合、定常状態動作中、使用されたものよりも多くの核分裂性燃料が生成されることに起因して、又はU235が燃焼するときにPu239がU238から生成されることに起因して(Pu239はU235よりも反応度が高いので)、燃料の反応度が増加する時間周期が存在する。これが生じると、核分裂速度が上昇する一方で冷却は一定のままとなり、多くの中性子がエネルギーを減速材に付与し、制御キャビティ140、140’、140a、及び/又は140b内の気化速度が凝縮速度を超過し、かつ、液体減速材が制御キャビティ140、140’、140a、及び/又は140bから過剰な蒸気減速材によって変位される。これにより、中性子の減速が低下し、親U238(又はTh232)に吸収される中性子の数が上昇する。核分裂を引き起こすべく利用可能な熱中性子の数が減少し、かつ、反応速度が、炉冷却材サブシステム25によって除去されるのと同量のエネルギーが制御キャビティ140、140’、140a、及び/又は140bに付与される速度まで低減する。燃料の反応度が上昇し続ける限り(例えば数日から数年続く期間にわたり)、液体減速材のレベルが漸次的に減少する。この期間中、燃料の核分裂性内容物が増加し、かつ、次の時間周期まで増加し続ける(以下に述べる)。
次の時間周期(例えば次の数か月又は数年)の間、燃料の核分裂性内容物がバーンアウトにより減少し、かつ、中性子吸収核分裂副生成物のレベルが上昇するので、制御キャビティ140、140’、140a、及び/又は140bの負のフィードバックメカニズムが動作して制御キャビティアレイ130、130’、130a、及び/又は130b内の減速材のレベルが極めてゆっくりと上昇する。これにより、バーンアウトによって減少した燃料の反応度が補償される。結局、減速材レベルが制御キャビティアレイ130、130’、130a、及び/又は130bの頂部まで上昇し、炉15が臨界未満となって出力生成が停止する。したがって、一例として制御キャビティアレイ130を使用すると、この時点で、制御キャビティアレイ130内において気体領域185及び280は実質的に存在しない。同様の効果が開示の他の実施例でも生じる。炉15が停止すると、炉15がそれまでに生成したキセノン135は減衰し続ける。その結果、相対的に短い時間周期(例えば1日又は2日)において十分な量のキセノン135が減衰するので、炉15は再起動可能となる。炉15が再起動すると、炉15は、キセノン135の濃度が再び上昇するまで、相対的に短い時間周期(例えば数日)運転される。キセノン135の平衡濃度が出力レベルに比例して変化するので、炉15の動作は、炉15の出力レベルが低減しながら、相対的に長い期間持続する。
上述の初期手順に引き続いて、炉15は、定常状態動作に維持される。定常状態動作において、燃料管135、135’、135a、及び/又は135b中の燃料原子の核分裂によりエネルギーが生成される。このエネルギーの大部分は、燃料管135、135’、135a、及び/又は135b内に配置された燃料棒に熱として付与される。当該熱は、燃料管135、135’、135a、及び/又は135bを通る炉冷却材の流れによって、燃料管135、135’、135a、及び/又は135bの燃料棒から抽出される。当該流れは、炉冷却材サブシステム25及びポンプサブシステム30の動作によって与えられる。炉15及び炉心100の定常状態動作の記載を続ける前に、炉冷却材サブシステム25及びポンプサブシステム30の動作について述べる。
図2、3、及び13を参照すると、炉冷却材サブシステム25の移送サブシステム305が、熱交換器20と炉心100、100’、100a、又は100bとの間で炉冷却材を移送する。ポンプサブシステム30の冷却材ポンプ390は、移送サブシステム305の、コールド炉冷却材通路320内にある炉冷却材の流れを加圧する。冷たい炉冷却材が熱交換器20から炉15へ移送される。したがって、通路320内を流れる冷たい炉冷却材は、格納構造体85の開口を通って反射材領域95内へ流れる。
コールド炉冷却材通路320内を流れる冷たい炉冷却材が、燃料冷却材サブシステム310の通路330へ流れる。通路330内を流れる冷たい炉冷却材は、燃料管135、135’、135a、及び/又は135bを通り抜け、燃料管135、135’、135a、及び/又は135bとの熱交換を促す。燃料管135、135’、135a、及び/又は135bは、通路330を通って流れる冷たい炉冷却材に熱伝達を介して熱を与える。これにより、冷たい炉冷却材は熱い炉冷却材になる。したがって、炉冷却材は、炉冷却材の温度を増加させることにより若しくは炉冷却材を液体から気体状態に変えることにより又はその双方により、炉冷却材が燃料管135、135’、135a、及び/又は135bに入ったときに有していたものよりも多くの0.45キログラム(1ポンド)当たりのエネルギーを有して、燃料管135、135’、135a、及び/又は135bを出る。通路330はその後、熱い炉冷却材を、移送サブシステム305のホット炉冷却材通路325に移送する。
第1実施例において、コールド炉冷却材通路330内を流れる冷たい炉冷却材は、減速材冷却材サブシステム315の通路335内にも流れる。通路335内を流れる冷たい炉冷却材は、制御キャビティ140を通り抜けて制御キャビティ140との熱交換を促す。通路335内を流れる冷たい炉冷却材は、制御キャビティ140内に閉じ込められた減速材との熱交換によってある程度加熱されてから、通路335を介して制御キャビティ140から外へ出て通路330の中に戻る。通路330内を流れる冷たい炉冷却材は反射プール105を通り抜ける。通路330を通って流れる冷たい炉冷却材は、反射プール105の減速材との熱交換によってある程度加熱される。通路330内を流れる炉冷却材はその後、燃料管135を通り抜けるので、冷たい炉冷却材が加熱されて熱い炉冷却材になる。通路330はその後、熱い炉冷却材を、移送サブシステム305のホット炉冷却材通路325へ移送する。
減速材冷却材サブシステム315の通路335を通って流れる炉冷却材は、例えば、図14に描かれる配列の中を流れる。移送サブシステム305のコールド炉冷却材通路320からの炉冷却材は、中間通路330及び入口部材350を介して通路335内に流れる。炉冷却材はその後、内部材355のチャネル380を通って流れる。炉冷却材の一部は、端部分370に到達するまでチャネル380の全長に沿って流れる。しかしながら、炉冷却材の一部はまた、端部分370に到達する前に開口375を介してチャネル380から直接的にチャネル385内に流れる。相対的に冷たい炉冷却材の一部が開口375を介して直接的にチャネル385内を通り、かつ、チャネル385内の相対的に熱い炉冷却材と混合されるので、チャネル385内の炉冷却材の温度は、通路335の長さに沿って相対的に一定のままである。開口375のサイズ及び/又は間隔は、チャネル385の一般に一定の温度の維持を最大限にするべく設計される。例えば、チャネル380及び385間の炉冷却材の混合量が、端部分370に向かう移動方向に増加する。炉冷却材はその後、チャネル385を通って流れ、出口部材365を介して移送サブシステム305の炉冷却材通路330内に戻る。
ポンプサブシステム30の冷却材ポンプ390は、移送サブシステム305のコールド炉冷却材通路320内の冷たい炉冷却材が燃料管135を通る流れと、ホット炉冷却材通路325を介して炉15から熱交換器20へ戻る熱い炉冷却材の流れとを加圧する。
燃料管135、135’、135a、及び/又は135b内の燃料の核分裂により、高速エネルギー中性子(例えば、相対的に中間の又は速い速度で移動する中性子)が生成される。かかる高速エネルギー中性子は、減速材原子との衝突により、制御キャビティアレイ130、130’、130a、及び/又は130bの減速材にエネルギーを付与する。高速エネルギー中性子は、かかる減速材原子との衝突により、低エネルギー状態(「低速中性子」)まで減速される。低速中性子のいくつかはその後、燃料原子の核分裂を引き起こす。生成された中性子の一つが、燃料原子のそれぞれの核分裂に対して新たな核分裂を引き起こす場合、炉は安定とみなされる(例えば一定出力生成時)。したがって、平均的に、燃料原子の核分裂によって生成された中性子の正確に一つが新たな核分裂を引き起こす場合、炉は安定とみなされる。
制御キャビティアレイ130、130’、130a、及び/又は130b内の減速材がエネルギー中性子によって加熱されるので、減速材の一部が気化して蒸気減速材になる(例えば沸騰によって気体状態になる)。気体状態の蒸気減速材は、液体減速材(例えば液体状態)よりも密度が低いので、当該蒸気減速材を閉じ込める制御キャビティ140、140’、140a、及び/又は140bの上部まで上昇する。これは、制御キャビティ140、140’、140a、及び/又は140bが上部で閉じているからであり、それゆえ上部において減速材を閉じ込めるからである。制御キャビティ140、140’、140a、及び/又は140bの体積が一定なので、閉じ込められ、かつ、制御キャビティ140、140’、140a、及び/又は140bの上部内に蓄積される低密度の気体蒸気減速材は、高密度の液体減速材を制御キャビティ140、140’、140a、及び/又は140bの下部から外へ変位させる。したがって、制御キャビティ140、140’、140a、及び/又は140b内の減速材の全体的な平均密度が低減される。制御キャビティ140、140’、及び140a内の実質的にすべての減速材が蒸気減速材に変わることを防止するべく、制御キャビティ140、140’、140a、及び/又は140bは、炉冷却材サブシステム25によって冷却される。炉冷却材サブシステム25は、気体蒸気減速材の一部を凝縮させて密度が高い液体減速材にする。その結果、制御キャビティ140、140’、140a、及び/又は140bの上部内に閉じ込められる蒸気減速材が少なくなるので、相対的に高密度の液体減速材が制御キャビティ140、140’、140a、及び/又は140bから外へ変位される。したがって、液体減速材は、制御キャビティ140、140’、140a、及び/又は140bの開いた下部及び/又は側部を通って流れ、制御キャビティ140、140’、140a、及び/又は140b内に戻る。
図7及び8を参照し、かつ、制御キャビティアレイ130を一例として使用すると、炉冷却材サブシステム25は、制御キャビティアレイ130内に閉じ込められた減速材からの熱伝達によっては、あまりエネルギーを除去することができない。したがって、増加した量の減速材は、蒸気減速材内へのエネルギー中性子によって加熱される。すなわち、制御キャビティ140の上部内に閉じ込められかつ蓄積される蒸気減速材の量が増加するので、制御キャビティ140から外へ変位される(例えば中間部材170及び端部材165の下において変位される)液体減速材の量が増加するにつれて境界195が下がる。すなわち、気体領域185のサイズが増加し、かつ、液体領域190のサイズが減少する。錐体アセンブリ150においても同様に、炉冷却材サブシステム25が熱伝達により除去するエネルギーが少ないので、内側錐体アセンブリ200及び外側錐体アセンブリ205の上部内に閉じ込められかつ蓄積される蒸気減速材の量が増加する。すなわち、内側錐体アセンブリ200及び外側錐体アセンブリ205から外へ変位される(例えば内錐体235及び外錐体240の下において変位される)液体減速材の量が増加するにつれて境界290が下がる。すなわち、気体領域280のサイズが増加し、かつ、液体領域190及び275のサイズが減少する。同様の効果が開示の炉15の他の実施例でも生じる。
逆の効果も生じる。一例として制御キャビティアレイ130を再び使用すると、炉冷却材サブシステム25は、制御キャビティアレイ130に閉じ込められた減速材からの熱伝達によって多くのエネルギーを除去する。したがって、エネルギー中性子によって加熱されて蒸気減速材になる減速材の量が減少する。すなわち、制御キャビティ140の上部内に閉じ込められかつ蓄積される蒸気減速材の量が減少するので、液体減速材が制御キャビティ140に再び入る(例えば中間部材170及び端部材165の下において再び入る)につれて境界195が上がる。すなわち、気体領域185のサイズが減少し、かつ、液体領域190のサイズが増加する。錐体アセンブリ150においても同様に、炉冷却材サブシステム25が熱伝達により除去するエネルギーが多いので、内側錐体アセンブリ200及び外側錐体アセンブリ205の上部内に閉じ込められかつ蓄積される蒸気減速材が減少する。すなわち、内側錐体アセンブリ200及び外側錐体アセンブリ205に再び入る(例えば内錐体235及び外錐体240の下において再び入る)液体減速材の量が増加するにつれて境界290が上がる。すなわち、気体領域280のサイズが減少し、かつ、液体領域190及び275のサイズが増加する。蒸気減速材はまた、制御キャビティ140の側部に沿って凝縮し、液体領域190及び275内に滴下する。同様の効果が開示の炉15の他の実施例でも生じる。
燃料管135、135’、135a、及び/又は135b内の燃料から付与されるものと実質的に同じエネルギーを制御キャビティアレイ130、130’、130a、及び/又は130bから抽出するべく炉冷却材サブシステム25が動作すると、制御キャビティ140、140’、140a、及び/又は140b内の気化速度及び凝縮速度が実質的に等しくなり、気体領域185、185’、185a、280、及び/又は185bのサイズが実質的に一定のままとなる。したがって、制御キャビティ140、140’、140a、及び/又は140bの中に入り又はこれらの外へ出る減速材の動きは実質的に存在しなくなる。
高速中性子は、減速材原子が液体状態(液体減速材)又は気体状態(蒸気減速材)いずれかの場合、減速材原子との衝突により減速される。減速材の平均密度が減少すると(例えば気体領域185、185’、185a、280、及び/又は185bのサイズが増加することによって)、減速材原子間の平均距離が増加し、かつ、中性子が衝突間で移動しなければならない平均距離も増加する。各衝突間をさらに移動する中性子が高速になると、当該中性子が高速である時間が多くなるので、相対的に高い及び中間の速度で移動する中性子の平均数が増加する。低速中性子が、燃料管135、135’、135a、及び/又は135b内に配置された燃料原子と衝突するときに核分裂を引き起こす可能性は相対的に高い一方、高速中性子が核分裂を引き起こすことなく炉15内で吸収される確率も相対的に高くなる。したがって、核分裂を引き起こすべく利用可能な低速中性子の数が減少する。
炉15が定常状態動作レベルで動作する場合、炉冷却材サブシステム25は、気体領域185、185’、185a、280、及び/又は185bを所望の実質的に一定のサイズに維持するべく動作する。この気体領域185、185’、185a、280、及び/又は185bの所望のサイズは、制御キャビティアレイ130、130’、130a、及び/又は130b内において所望の減速材密度を与える。その結果、ちょうど十分な高速中性子が中間速度及び高速度で吸収されるので、燃料集合体125、125’、125a及び125bにおいて、各旧核分裂に対して一の新核分裂を引き起こすべく相対的に低速度で移動する残りの低速中性子が所望量存在する。
気体領域185、185’、185a、280、及び/又は185bは、負のフィードバックを使用することにより、所望の実質的に一定のサイズに維持される。上述のように、炉冷却材サブシステム25は、炉心100、100’、100a及び100bの冷却速度を炉心100、100’、100a及び100bの核分裂速度に(ひいては、燃料集合体125、125’、125a及び125b内の核分裂により制御キャビティアレイ130、130’、130a、及び/又は130bの減速材内に与えられる熱の加熱速度に)実質的に整合するように制御される(例えば制御キャビティアレイ130、130’、130a、及び/又は130bを通る冷却材の流れを制御することによって)。燃料集合体125、125’、125a、及び125b内の核分裂により制御キャビティアレイ130、130’、130a、及び130b内に与えられる熱の加熱速度が、炉冷却材サブシステム25により与えられる冷却速度よりも高い場合、気体領域185、185’、185a、280、及び/又は185bは膨張する。気体領域185、185’、185a, 280、及び/又は185bの膨張により、制御キャビティアレイ130、130’、130a、及び/又は130b内の減速材の平均密度が減少する。これにより、中間速度及び高速度での吸収(共鳴捕獲)により失われる中性子のパーセンテージが増加する。すなわち、核分裂を引き起こすべく利用可能な低速中性子のパーセンテージが減少する。これにより、炉15の加熱速度も減少する。当該加熱速度が当該冷却速度未満の場合、気体領域185、185’、185a、280、及び/又は185bは収縮し、制御キャビティアレイ130、130’、130a、及び/又は130b内の減速材の平均密度が増加するので、共鳴捕獲により失われる中性子のパーセンテージが減少する。すなわち、核分裂を引き起こすべく利用可能な低速中性子のパーセンテージが増加する。これにより、加熱速度も増加する。すなわち、炉15は、炉冷却材サブシステム25による制御キャビティアレイ130、130’、130a、及び/又は130bの冷却速度に反応速度が追従するように制御される。したがって、制御キャビティアレイ130、130’、130a、及び/又は130bの冷却速度を増加又は減少させることにより、炉15の合計パワー出力が対応して増加又は減少する。減速材に付与されるエネルギー量は、炉15が生成する合計エネルギーの小さなパーセンテージ(例えば約1%から約5%、例えば約3%)にすぎないので、炉15が生成する合計エネルギー(及び対応する熱)の相対的に少量のみが、炉15の制御を維持するべく(炉15が生成する合計エネルギーに対して)相対的に小さな冷却速度によって調整される。すなわち、相対的に小さな冷却速度を制御することにより、例えば、減速材に与えられる(及び冷却速度を調整することによって制御される)熱量及びエネルギーの量よりも約30倍大きい炉15の合計パワー出力の、単純かつ安定した制御が可能となる。
炉15の相対的に大きな合計パワー出力と減速材に与えられる相対的に少量のエネルギーとの対比をもっぱら例示するべく、1000メガワット発電機にパワーを与える炉の一例が考慮される。当該例示的発電機が生成する合計エネルギーは、当該発電機がフル出力の場合、約3,000メガワット(10,000,000,000BTU/時)である。減速材が温度摂氏約282度(華氏540度)の重水(D2O)の場合、炉心は例えば、約100トンの減速材を格納する。炉によって生成される合計エネルギーの3%が炉心減速材に付与される場合、当該減速材に与えられるエネルギー量は、約88メガワット(300,000,000BTU/時又は減速材0.45キログラム(1ポンド)当たり1,500BTU/時)となる。この速度では、たとえ冷却がされない場合でも、減速材0.45キログラム(1ポンド)当たり沸騰させるのに約25分かかる。この例示的温度において気体蒸気減速材は液体減速材よりも約20倍低密度となるので、この例では、当該キログラム(ポンド)の液体減速材の残りを制御キャビティ140、140’、140a、及び/又は140bから変位させるのに十分な減速材を沸騰させるには約1分かかる。この例は、減速材に与えられるエネルギーの相対量を示すためだけに与えられる。開示の方法及び装置は、任意のタイプ又はサイズの原子炉システムに使用される。
炉15は、その動作中の任意の適切な時刻において、原子核反応からのエネルギーを発電サブシステム10へ与える。一つの例示として定常状態動作を使用して、炉15が発電サブシステム10にパワーを与える方法の一例を以下に述べる。炉15はまた、原子炉システム5の他のフェーズ及び動作状態中の発電サブシステム10にも同様にパワーを与える。
図1及び13を参照すると、冷却材ポンプ390が、炉冷却材サブシステム25のコールド炉冷却材通路320及びホット炉冷却材通路325を通る炉冷却材の流れを加圧する。したがって、炉冷却材サブシステム25は、ホット炉冷却材通路325を介して、熱交換器20内に配置された蒸気発生器へ熱い炉冷却材を移送する。蒸気発生器管を通って流れる熱い炉冷却材は、タービン蒸気サブシステム65(以下でさらに説明する)が熱交換器20に送達した水(H2O)を、熱伝達を介して沸騰させる。ホット炉冷却材通路325を通って流れる炉冷却材は、熱交換器20を通り抜ける間、熱交換器20における当該炉冷却材と水(H2O)との熱伝達を介して冷却される。冷却された炉冷却材はその後引き続き、炉冷却材サブシステム25のコールド炉冷却材通路320を介して炉15に戻る。炉冷却材サブシステム25はこのサイクルを連続的に繰り返し、炉15が加熱した熱い炉冷却材の所望量を熱交換器20へ移送し、冷却された炉冷却材がその後引き続き炉15に戻る。熱交換器20の蒸気発生器が生成した高圧蒸気(H2O)がその後、(発電サブシステム10の)タービン蒸気サブシステム65の通路70を介してタービン45へ、H2Oポンプ395が生成する蒸気(H2O)及び水(H2O)の流れに基づいて移送される。H2Oポンプ395は、熱交換器20、通路70、タービン45の通路、通路75、タービン冷却サブシステム60、及び通路80の中の蒸気(H2O)及び水(H2O)の流れを加圧する。
タービン45は、タービン蒸気サブシステム65の通路70が送達する高圧蒸気(H2O)を機械的エネルギーに変換する。例えば、蒸気(H2O)は、上述したタービン45の例示的な回転可能シャフトに取り付けられた複数の要素を推進し、かつ、上述した例示的な一連のシリンダを通って膨張してタービン45のシャフトを駆動する。タービン45のこの動作は単に、蒸気(H2O)から機械的エネルギーを生成する任意の適切な方法の一つの例示である。タービン45の例示的なシャフトの機械的エネルギーはその後、発電サブシステム10の駆動アセンブリ50に機械的に伝達される。
駆動アセンブリ50はその後、与えられた機械的エネルギーを、上述した例示的な駆動シャフトアセンブリを介して又は他の適切な機械的接続を介して、発電サブシステム10の発電機55に機械的に伝達する。これにより、駆動アセンブリ50は発電機55を駆動して発電を行う。一例では、発電機55は、例えば50Hz(50サイクル)又は60Hz(60サイクル)出力のような、任意の適切な周波数のAC電気を発電する。発電機55からの電気はその後、従来の伝送方法を介して、電気を使用するパワーグリッド又は他の任意のサイト若しくはアクティビティに与えられる。
タービン蒸気サブシステム65の通路75は、タービン45からの余剰又は死蒸気(H2O)を発電サブシステム10のタービン冷却サブシステム60へ移送する。タービン冷却サブシステム60は、例えば、蒸気(H2O)を凝縮させて水(H2O)にする凝縮器、冷却塔、強制空気流、及び/又はワンスルー冷却の使用に適切な、任意の方法を使用する。相対的に冷たい水(H2O)はその後、通路80を介してタービン冷却サブシステム60から熱交換器20へ移送される。
タービン蒸気サブシステム65の通路80を介して熱交換器20に送達された相対的に冷たい水(H2O)は、熱交換器20に入る。一部の相対的に冷たい水(H2O)が熱交換器20の下内部に入り、かつ、一部の相対的に冷たい水(H2O)が、熱交換器20の中心及び/又は上部において熱交換器20に入る。当該下内部に入った相対的に冷たい水(H2O)は、炉冷却材サブシステム25のホット炉冷却材通路325を介して熱交換器20内に移送された熱い炉冷却材との熱伝達によって加熱かつ沸騰される。当該上部に入った相対的に冷たい水(H2O)は、熱交換器20の内壁上の、熱交換器20の中心及び/又は上部に配置された複数のノズル83を介して、熱交換器20の下内部の中へ注入される。複数のノズル83は、熱交換器20の内部にすでに格納されている沸騰水(H2O)の中に水(H2O)を注入する。相対的に冷たい水(H2O)は沸騰水(H2O)と混合し、熱交換器20内側に格納されたH2Oの温度勾配の大きさを低減することに役立つ。水(H2O)を熱交換器20に移送することの上記例示は、単なる一例として与えられる。熱交換に適切な任意の方法が、熱交換器20に使用される。
炉15内の原子核反応からのエネルギーを使用して熱交換器20内に蒸気(H2O)を生成し、当該蒸気(H2O)を使用してタービン45を駆動し、及び当該タービン45によって発電機55を駆動する上記プロセスは、所望の電気の量を生成するべく連続的に繰り返される。同様に、蒸気(H2O)を水(H2O)に凝縮し、及び当該水(H2O)を熱交換器20に戻すプロセスも必要に応じて連続的に繰り返される。したがって、このプロセスは、炉15が、例えば電気のようなエネルギーを生成する発電サブシステム10にパワーを与える必要に応じて連続的に繰り返される。
原子炉システムが定常状態動作で動作していると、電力需要が変動する。電力需要は毎日変動する。日中の又は夜間の時間に応じて、平均電力需要が変化する(例えば、電力需要は、平日の午前中又は週末の夜と比べ、平日夜の深夜が低い)。炉制御サブシステム40のコントローラ540が、原子炉システム5のパワー出力を変化させるべく動作する。コントローラ540は、炉制御サブシステム40及びポンプサブシステム30を制御して炉15内の炉冷却材及び/又は減速材冷却材の冷却速度を変え、これにより、負のフィードバックを使用して原子炉システム5のパワー出力を変えるべく動作する。
原子炉システム5が大量のパワーを生成することが望まれる場合、コントローラ540は、炉制御サブシステム40及びポンプサブシステム30を制御して炉15内の減速材の冷却速度を増加させるべく動作する。その結果、減速材の冷却速度は、燃料管135、135’、135a、及び/又は135bによる減速材の加熱速度よりも高くなる。コントローラ540は、相対的に大量の炉冷却材を、炉15を通して流すべく冷却材ポンプ390を制御する。炉冷却材サブシステム25により制御キャビティアレイ130、130’、130a、及び/又は130b内の減速材に与えられる冷却速度が、燃料集合体125、125’、及び125aにおける核分裂により制御キャビティアレイ130、130’、130a、及び/又は130b内の減速材に付与される熱の加熱速度よりも高い場合、気体領域185、185’、185a、280、及び/又は185bは収縮する。気体領域185、185’、185a、280、及び/又は185bの収縮により、制御キャビティアレイ130、130’、130a、及び/又は130b内の減速材の平均密度は、共鳴捕獲により失われた中性子のパーセンテージを減少させる。すなわち、核分裂を引き起こすべく利用可能な低速中性子のパーセンテージが増加し、かつ、炉15の加熱速度が増加する。炉15の加熱速度が増加することにより、大量の熱が、ホット炉冷却材通路325を流れる炉冷却材内に与えられる。したがって、大量の熱が、炉冷却材サブシステム25から熱交換器20内に伝達される。これにより、熱交換器20は大量の蒸気(H2O)を生成し、大量の蒸気(H2O)は、通路70を介して熱交換器20からタービン45へ移送される。コントローラ540はまた、H2Oポンプ395が、タービン45へ移送される大量の蒸気(H2O)の流れを引き起こすべく動作する。大量の蒸気(H2O)により、タービン45は大量の機械的エネルギーを生成する。当該エネルギーは、駆動アセンブリ50を介してタービン45から発電機55に伝達されると、相対的に大量のパワー(例えば電気)を発電機55に生成させる。
原子炉システム5が少量のパワーを生成することが望まれる場合、コントローラ540は、炉制御サブシステム40及びポンプサブシステム30を制御して炉15内の減速材の冷却速度を減少させるべく動作する。その結果、減速材の冷却速度は、燃料管135、135’、135a、及び/又は135bによる減速材の加熱速度よりも低くなる。コントローラ540は、相対的に少量の炉冷却材を、炉15を通して流すべく冷却材ポンプ390を制御する。炉冷却材サブシステム25により制御キャビティアレイ130、130’、130a、及び/又は130b内の減速材に与えられる冷却速度が、燃料集合体125、125’、及び125aにおける核分裂により制御キャビティアレイ130、130’、130a、及び/又は130b内の減速材に付与される熱の加熱速度よりも低い場合、気体領域185、185’、185a、280、及び/又は185bは膨張する。気体領域185、185’、185a、280、及び/又は185bの膨張により、制御キャビティアレイ130、130’、130a、及び/又は130b内の減速材の平均密度が減少する。これにより、共鳴捕獲により失われる中性子のパーセンテージが増加する。すなわち、核分裂を引き起こすべく利用可能な低速中性子のパーセンテージが減少する。これにより、炉15の加熱速度も減少する。炉15の加熱速度が減少することにより、少量の熱が、ホット炉冷却材通路325を流れる炉冷却材内に与えられる。したがって、少量の熱が、炉冷却材サブシステム25から熱交換器20内に伝達される。これにより、熱交換器20は少量の蒸気(H2O)を生成し、少量の蒸気(H2O)は、通路70を介して熱交換器20からタービン45へ移送される。コントローラ540はまた、H2Oポンプ395が、タービン45へ移送される少量の蒸気(H2O)の流れを引き起こすべく動作する。少量の蒸気(H2O)により、タービン45は少量の機械的エネルギーを生成する。当該エネルギーは、駆動アセンブリ50を介してタービン45から発電機55に伝達されると、相対的に少量のパワー(例えば電気)を発電機55に生成させる。
気体領域185、185’、185a、280、及び/又は185bの収縮及び/又は膨張は、極めて漸次的及び/又はわずかであるが、依然として原子炉システム5の制御には十分である。よって、気体領域185、185’、185a、280、及び/又は185bの体積がわずかに変化しても、共鳴捕獲に影響を与えるのにかつ負のフィードバックにより十分に炉15を制御するのに十分大きな違いが得られる。
炉心100bの動作は一般に、上述の炉心100、100’、及び100aの動作に追従する。図12I、12J、及び12Kに描かれるように、炉100bは、制御キャビティアレイ130b内に減速材を閉じ込める付加的な特徴を与える。これは、例えば、高いパーセンテージの高速核分裂とともに使用される。
図12I、12J、及び12Kに示されるように、相対的に冷たい減速材が、反射プール105から及び減速材冷却材流入管335bへ自由に動く。減速材冷却材流入管335b内に配置された減速材はその後、孔336bを介して制御キャビティ140b内へ自由に動くことによって、制御キャビティ140b内の減速材を冷却する。実質的に等しい体積の温かい減速材が、制御キャビティ140bから外へ出て孔338bを介して減速材流出管337bの中に入る。減速材流出管337b内の減速材は、当該減速材流出管337bから反射材領域95内に自由に動く。制御キャビティ140bが閉じた上部を有するので、減速材は、制御キャビティ140bの上部と反射材領域95の上部との間を自由に動くことができない。
図12Nを参照すると、開示の実施例は、減速材が例えば、反射プール105及び/又は制御キャビティ140b(及び/又は140’及び/又は140a)を通ってかつこれらの中へ循環する相対的に冷たい減速材によって冷却される場合に動作する。図12Nの実施例は、当該システム内の実質的にすべての箇所における蒸気減速材の圧力の安定性と、燃料棒127b(及び/又は炉心100’及び100a内に配置された同様の燃料棒)上方にある反射プール105の頂部に位置する境界115の高さの安定性とに基づいて動作する。減速材冷却材管327b(及び/又は炉心100’及び100a内に配置された同様の減速材冷却材管)により、反射材領域95及び制御キャビティ140b(及び/又は制御キャビティ140’及び/又は140a)から、タンク377bを通り抜けて通路355b及び減速材冷却材ポンプ350bへ向かう減速材熱交換管390b内への減速材の流れが許容される。減速材冷却速度は、例えば、タンク377b内の水(H2O)温度と反射プール105内の減速材温度との差が乗算されたポンプ流速である。当該温度差が一定レベルに維持されるので、減速材制御キャビティ冷却速度ひいては炉全体のパワー出力はポンプ流速に比例する。したがって、減速材冷却材ポンプ350bの不適切な動作及び/又はポンプ出力の中断によって炉15内の反応がシャットダウンする。冷却された減速材が、減速材冷却材ポンプ350bから通路322b(及び/又は炉心100’及び/又は100a内に配置された同様の通路)を介して減速材冷却材流入管335b(及び/又は炉心100’及び/又は100a内に配置された同様の管)へ流れる。凝縮器570及び差分流れ部分675と形態及び機能が同様である負荷追従サブシステム515の凝縮器及び差分流れ部分が、ポンプ350bに隣接する通路322bに挿入される。
炉制御サブシステム40の動作を以下に述べる。まず、負荷追従サブシステム515の例示的な動作から述べる。炉制御サブシステムの動作は、制御サブシステム510のコントローラ540を介して制御される。
図20に示されるように、負荷追従サブシステム515のゲート545が、通路70を介する熱交換器20からタービン45への蒸気(H2O)流量を、蒸気(H2O)を通路70から通路555へ転じることによって選択的に低減する。蒸気(H2O)を通路555へ転じるべく、ゲート545は、閉位置から部分的開位置又は完全開位置へ動かされる。ゲート545が閉位置にある場合、蒸気(H2O)の実質的にすべての流れが通路70からタービン45へ流れる。ゲート545が部分的開位置へ動かされると(例えば、低い電力需要に見合うようにタービン45への所望の蒸気流を減少しなければならない場合)、過剰な蒸気(H2O)が、ゲート545の開度に比例して通路70から通路555へ流れる。したがって、ゲート545の動作により、通路70から通路555へ転じる蒸気(H2O)の量が制御される。ゲート550の動作により、ゲート545の動作と同様に、通路555から通路560へ転じる蒸気(H2O)の量が制御される。通路560へ流れる蒸気(H2O)は、通路560を介してタービン冷却サブシステム60へ直接的に移送される。したがって、ゲート550の動作により、タービン45をバイパスし、かつ、タービン冷却サブシステム60へ直接的に移送される蒸気(H2O)の流量が制御される。その位置に応じて、ゲート545と同様の動作により、ゲート550は、蒸気(H2O)が通路560を介して通路555からタービン冷却サブシステム60へ流れる流れの実質的にすべて、実質的にゼロ、又は一部を転じることができる。タービン45の急シャットダウンが望まれる場合、ゲート545は開位置へ動かされて実質的にすべての蒸気(H2O)の流れが通路70から通路555へ移送され、かつ、ゲート550が開位置へ動かされて実質的にすべての蒸気(H2O)の流れが通路555から通路560へ移送される。したがって、熱交換器20からの実質的にすべての蒸気(H2O)の流れがタービン冷却サブシステム60へ転じられてタービン45の急シャットダウンが促される。
通路560を介してタービン冷却サブシステム60へ転じられない通路555を通って流れる蒸気(H2O)は、通路565を介して凝縮器570へ流れ、又は図12Nに描かれている通路322bにある同様の凝縮器(図示せず)へ流れる。凝縮器570内に配置される蒸気(H2O)と、コールド炉冷却材通路320を通って流れる冷たい炉冷却材との熱交換ゆえに、凝縮器570内に配置される蒸気(H2O)の一部又は実質的にすべてが凝縮して水(H2O)になる。弁575が動作して水(H2O)が凝縮器570から外へ流れるのを許容する一方、凝縮器570から外への蒸気(H2O)の流れを実質的に阻止する。水(H2O)はその後、通路580を介して凝縮器570から熱交換器585へ流れる。熱交換器585は、水(H2O)の温度を、所望の温度(例えばタービン蒸気サブシステム65の通路80により移送される水(H2O)と実質的に同じ温度)まで下げる。通路590はその後、分岐点595を介して熱交換器585から通路80へ水(H2O)を移送する。通路80はその後、ポンプサブシステム30のポンプ395の入口へ水(H2O)を移送する。
したがって、負荷追従サブシステム515は、ゲート545を調整することによるタービン45の制御を許容する。これにより、電力需要の変動に応じて熱交換器20からの蒸気(H2O)が多かれ少なかれタービン45を通り抜けるように配向される。通常動作のいくつかの場合、過剰な蒸気(H2O)は、タービン冷却サブシステム60から熱交換器20への入力供給原料を予備加熱するべく使用される。また、過剰な蒸気(H2O)の一部が、一次減速材制御キャビティ冷却材を、通路322b又は通路320内に配置された熱交換器(例えば小さな熱交換器)を介して加熱するべく使用される。すなわち、過剰な蒸気(H2O)量が増加する場合に制御キャビティ140、140’、140a、及び/又は140bの冷却及び炉のパワー出力が低減される(又は過剰な蒸気(H2O)量が減少する場合に当該パワー出力が増加される)。
バイパスサブシステム520の例示的な動作を以下に述べる。ポンプ600が、コントローラ540により制御されて通路605内の炉冷却材を選択的に加圧する。これにより、炉冷却材がホット炉冷却材通路325からコールド炉冷却材通路320へポンプ輸送されるので、熱交換器20及びポンプ390がバイパスされる。すなわち、ポンプ600及び通路605により、ホット炉冷却材通路325を通って流れる相対的に熱い炉冷却材が、熱交換器20をバイパスしかつ直接的にコールド炉冷却材通路320に流れることが許容される。これにより、炉15の運転中所望のタイミングで(例えばシャットダウン、低出力運転、及び/又は初期炉冷却材装荷時)、熱い冷却材を当該相対的に冷たい冷却材と混合させ、かつ、コールド炉冷却材通路320を流れる冷却材の温度を上昇させることができる。
したがって、バイパスサブシステム520により、相対的に少量の一次冷却材は、通常の冷却材経路から押し出されて熱交換器20及び/又は炉心100、100’、100a、及び/又は100bバイパスする。バイパスサブシステム520は、冷却材ポンプ390及び/又はH2Oポンプ395が単数のモータによって駆動される場合に動作し、通常動作中、ホット炉冷却材通路325を介して熱交換器20に入る熱量と、タービン45への通路70を通る蒸気(H2O)流を介して熱交換器20から出る熱量とのバランスをとるべく、比例する量の流体が移送サブシステム305を通してポンプ輸送される。低出力時、著しい温度偏差が生じ(例えばフル出力時よりも大きな温度偏差)、当該温度偏差は、ホット炉冷却材通路325を通る一次冷却材流速と通路70を通るタービン供給原料流速との流量比を、所望の流量比から離れるように変化させる。バイパスサブシステム520の動作が、当該温度偏差を補償してホット炉冷却材通路325を通る一次冷却材流速と、通路70を通るタービン供給原料流速との流量比を所望の流量比に維持する。当該温度偏差に応答して、ポンプ600は、相対的に低い容量で動作する。例えば、ポンプ600の容量は、フル出力時のポンプ390の容量の3%である。これは、10%出力時のポンプ390の容量の30%に対応する。この容量は、ポンプ600が所望流量比の著しいアンバランスを補償するのに十分な容量である。ポンプ600はまた、任意のタービン供給原料を、通路70を通してタービン45へ送るのに望ましくないが、炉心100、100’、100a、及び/又は100bを通る少量の一次炉冷却材の流れを維持することが望ましい状況(例えば炉を起動して炉心100、100’、100a、及び/又は100bを動作温度まで一様に上昇させる場合)においても動作する。
減速材安定化サブシステム525の例示的な動作を以下に述べる。炉15の通常動作中、弁615は閉位置にあって、反射材領域95の蒸気エリア110から貯蔵器625へ通路610を介する蒸気減速材の流れを実質的に阻止する。コントローラ540が弁615を開に制御すると、蒸気減速材は、通路610を介して蒸気エリア110から貯蔵器625へ流れる。通路610を介して貯蔵器625に入ると、蒸気減速材は、貯蔵器625の内壁の相対的に冷たい表面上で凝縮する。弁615は、炉の急シャットダウンが望まれる場合に開となる。通路610を流れる蒸気減速材は、通路630を介して凝縮器635にも流れる。通路80を通って流れる相対的に冷たい水(H2O)との熱交換ゆえに、凝縮器635内に配置された蒸気減速材は凝縮して液体減速材になる。ポンプ645は、通路640及び650内の液体減速材の流れを選択的に加圧する。これにより、凝縮液体減速材がポンプ輸送されて炉15の中に、例えば蒸気エリア110の中に戻る。通路650を介して蒸気エリア110内に移送された凝縮液体減速材により、蒸気エリア110内の付加的な蒸気減速材が凝縮され、かつ、反射材領域95内の減速材温度が低減される。ポンプ645は、蒸気エリア110及び反射材領域95内の一定の蒸気圧力を維持する流速で動作される。この機能はまた、図12Nに描かれるように、蒸気圧力制御弁380bによっても与えられる。
したがって、蒸気エリア110内の蒸気減速材の圧力が所定値を超えて上昇する場合、減速材安定化サブシステム525は、過剰な蒸気減速材を凝縮させるべく動作し、かつ、これを反射プール105内にポンプ輸送して戻す。蒸気エリア110内の蒸気減速材の圧力を所望の圧力範囲に維持することにより、制御キャビティ140、140’、140a、及び/又は140bの通常動作が得られる。これは、減速材安定化サブシステム525が、蒸気領域110内の蒸気圧力の安定性を維持し、反射材領域95の境界115に近い蒸気減速材の温度の安定性を維持し、及び、反射材領域95の境界115に近い液体減速材の温度の安定性を維持するからである。
炉冷却材安定化サブシステム530の例示的な動作を以下に述べる。貯蔵器655とホット炉冷却材通路325との間の実質的に自由な炉冷却材の通過が通路665を介して生じる。加熱要素660は、圧力が所望値未満に低下した場合、貯蔵器655を選択的に加熱して、貯蔵器655内に貯蔵された炉冷却材を所望温度及び/又は圧力に維持する。圧力が所望値を超えて上昇すると、コールド炉冷却材通路320からの冷たい炉冷却材は、ポンプ(図示せず)によって貯蔵器655に選択的に注入される。貯蔵器655内に噴霧された相対的に冷たい炉冷却材は、貯蔵器655内の蒸気炉冷却材の一部を凝縮させるので、貯蔵器655及びホット炉冷却材通路325内の圧力を選択的に低減する。
図15及び20を参照して、差分流れサブシステム535の例示的な動作を以下に述べる。連続する同心通路670のそれぞれの、入口端及び出口端における各面積(例えば面積A1、A2、A3、及び/又はA4)の部分が塞がれるので、同心通路670のそれぞれにおける実質的に同じ流速が、同心通路670が配置されたコールド炉冷却材通路320の当該部分を通して維持される。したがって、同心通路の面積がばらつくので、流体が異なる同心通路を通り抜ける時間もばらついてコールド炉冷却材通路320の急な温度変化が時間経過とともに広がる。
原子炉システム5は、例えば数年の周期又は数十か月の周期の連続動作のような、任意の適切な時間周期にわたって動作する。原子炉システムが数年又は数十年という当該周期にわたって動作するので、気体領域185、185’、185a、185b、280、及び/又は185bのサイズは漸次的に収縮し、かつ、動作時間周期の終わりに向かって実質的に消滅する。気体領域185、185’、185a、185b、280、及び/又は185bが収縮し、かつ、最終的に実質消滅するのは、燃料管135、135’、135a、及び/又は135b内の燃料の核分裂性内容物の量が時間経過とともに減少するからである。したがって、制御キャビティアレイ130、130’、130a、及び/又は130b内の高密度の減速材が使用されて、核分裂性内容物の減少が補償され、かつ、所望の核分裂速度が維持される。原子炉システム5の動作期間にわたり中性子吸収核分裂副生成物が連続的に蓄積するので、気体領域185、185’、185a、185b、280、及び/又は185bも収縮し、かつ、最終的に実質消滅する。このため、時間経過とともに中性子吸収核分裂副生成物が増加するので、気体領域185、185’、185a、185b、280、及び/又は185bも収縮し、かつ、最終的に実質消滅する。したがって、制御キャビティアレイ130、130’、130a、及び/又は130b内の高密度の減速材が使用されて、核分裂性内容物の減少が補償され、かつ、所望の核分裂速度が維持される。
時間経過とともに、気体領域185、185’、185a、185b、280、及び/又は185bが実質的に消滅した後、燃料管135、135’、135a、及び/又は135b内の燃料の核分裂性内容物の量が最終的に十分少なくなり及び/又は炉15内で生成された中性子吸収核分裂副生成物が最終的に十分多くなる。その結果、炉15は臨界未満となり、原子炉システム5内の核分裂速度は微々たるものとなる。したがって、炉15はシャットダウンする。この時点で、新たな燃料が炉15に与えられ、又は炉15が、キセノン減衰に引き続くシャットダウン後の短い期間だけ動作される。
原子炉システム5も、上述の動作時間周期の終了時におけるシャットダウンに先立ち必要に応じてシャットダウンされる。原子炉システムは、炉制御サブシステム40によって意図的にシャットダウンされる。意図的なシャットダウンの場合、炉冷却材サブシステム25の動作は、相対的に少量の又は実質的にゼロの炉冷却材及び/又は減速材冷却材を炉15に供給するべく制御される。この場合、制御キャビティアレイ130、130’、130a、及び/又は130b内の減速材は、極めて熱くなるので、気体領域185、185’、185a、185b、280、及び/又は185bは、制御キャビティ140、140’、140a、及び/又は140bの実質的にすべてを満たすべく膨張する。上述のように、気体領域185、185’、185a、185b、280、及び/又は185bは、制御キャビティ140、140’、140a、及び/又は140bの実質的にすべてを満たすので、制御キャビティアレイ130、130’、130a、及び/又は130b内の減速材の平均密度が減少する。この減速材密度の減少により、中間速度及び高速度での吸収(共鳴捕獲)により失われる中性子のパーセンテージが増加する。すなわち、核分裂を引き起こすべく利用可能な低速中性子のパーセンテージが減少する。これにより、炉15の加熱速度も減少する。したがって、炉冷却材及び減速材冷却材の炉15への流れが少量に維持され又は停止される場合、気体領域185、185’、185a、185b、280、及び/又は185bは、制御キャビティ140、140’、140a、及び/又は140bの実質的にすべてを満たし続け、炉15がシャットダウンする。意図的なシャットダウンと同様に、炉冷却材サブシステム25が適切に動作せず、かつ、炉冷却材及び/又は減速材冷却材を炉15へ供給しない場合、気体領域185、185’、185a、185b、280、及び/又は185bは膨張して制御キャビティ140、140’、140a、及び/又は140bの実質的にすべてを満たし、炉15は最終的に、意図的なシャットダウンとして上述したものと同様にひとりでにシャットダウンする。
補助冷却材サブシステム35の動作を以下に述べる。まず、対流ループサブシステム410の例示的な動作の記載から始める。
図16を参照すると、分岐点425及び455は、実質的なフル冷却材流量(フル出力運転)において、通路430内の圧力A及び分岐点455内の圧力Bが互いに対抗しかつバランスをとるべく構成されるので、通路430、435、440、及び445、合流部450、並びに分岐点455を通る流体の流れは実質的に存在しない。冷却材ポンプ390が、コールド炉冷却材通路320を通り、炉心100、100’、100a、及び/又は100bを通り、及びホット炉冷却材通路325から出て熱交換器20に入る冷たい炉冷却材のポンプ輸送を停止すると、炉心100、100’、100a、及び/又は100bから出る熱い炉冷却材は、分岐点425において対流ループサブシステム410の通路430に流れる。熱い炉冷却材は、通路430を介して下方に、すなわち反射プール105の頂部表面の高さよりも下に流れる。熱い炉冷却材はその後、通路430から上方へ流れて通路435に入った後、複数の通路440を介して格納構造体85及び圧力容器90へ向かう。熱い炉冷却材は、複数の通路440から対応する複数の通路445へ流れる。熱い炉冷却材は、複数の通路445を通って流れ、熱交換により圧力容器90へ熱を与える。炉冷却材は、複数の通路445を介して、炉心100、100’、100a、及び/又は100bの底に近い又はこれの下の位置へ流れる。炉冷却材はその後、分岐点455においてコールド炉冷却材通路320へ流れる。コールド炉冷却材通路320に入った炉冷却材はその後、炉心100、100’、100a、及び/又は100bに入る。炉心100、100’、100a、及び/又は100bを出た後、炉冷却材の一部が、分岐点425において再び対流ループサブシステム410に入る。
圧力Aは、ポンプ390が、炉の最大出力運転に対応する速度で減速材冷却材を循環させている場合、圧力Bと対抗しかつバランスをとる。その結果、フル出力においては、対流ループを通って流れる冷却材は極めて少量となる。フル出力未満(フル炉冷却材流量未満又は炉冷却材流量が実質的にゼロ)においては対流ループが動作し、炉冷却材は対流ループサブシステム410を通って循環する。したがって、必要に応じ対流ループサブシステム410は、炉冷却材サブシステム25が動作していない場合であっても、炉冷却材を炉15を通して循環させるべく動作する。対流ループサブシステム410並びに弁460及び465は、コントローラ540からかつ任意の電源から独立して動作する自律型システムである。例えば、弁460及び465は、炉冷却材サブシステム25の流れの中断又は冷却材サブシステムの格納構造体85外のコンポーネントのいずれかの漏れの場合、対流ループサブシステム410内の炉冷却材の流れを隔離するべく動作する。弁460は、外部圧力が圧力容器90内側でのコールド炉冷却材通路320内圧力未満となる任意の場合、コールド炉冷却材通路320を介する炉15から外への炉冷却材の流れを実質的に阻止するべく動作する。また、弁465は、炉15内の炉冷却材の量が所望のしきい量未満となる場合、炉15から外への炉冷却材の流れを実質的に阻止するべく動作する。したがって、対流ループサブシステム410は必要に応じ、炉冷却材サブシステム25の動作から独立して、炉15を通る炉冷却材の循環を維持するべく動作する。
図17及び18を参照して、補助熱交換サブシステム415の例示的な動作を以下に述べる。反射材領域95内の減速材の温度がその通常動作温度を上回ると、圧力容器90もまた、減速材及び減速材蒸気からの熱伝導により、ほぼ同じ温度まで加熱される。熱交換部材470内に収容された状態変化材料はますます加熱される。しきいレベルを超えて加熱されると、熱交換部材470内に配置された状態変化材料には、状態変化が引き起こされる(例えば、固体状態から液体状態へ加熱され又は液体状態から気体状態へ加熱される)。これにより、熱交換部材470内に配置された状態変化材料の熱伝導特性が向上する。熱交換部材470の状態変化材料は、対流又は蒸気移送によって圧力容器90から熱を有効に奪い、格納構造体85の外部(これは熱伝導度が低い)へ有効に熱を伝達する。
熱交換部材475の状態変化材料はその後、熱交換部材470から伝達された熱によって加熱される。しきいレベルを超えて加熱されると、熱交換部材475内に配置された状態変化材料には、状態変化が引き起こされる(例えば、固体状態から液体状態へ加熱され又は液体状態から気体状態に加熱される)。これにより、熱交換部材475内に配置された状態変化材料の熱伝導特性が向上する。
熱交換部材475の状態変化材料はその後、熱交換部材475から熱交換部材480に流れる。熱交換部材480が大面積の地域(例えば広場及び/又は駐車場)の下に延びている場合、熱交換部材480の中に配置され及び/又はその中を流れる状態変化材料によって伝達された熱が、隣接する地域及び地表面に拡散する。熱交換部材480が、実質的な水平面からわずかに上方に傾いて配置されている場合、熱交換部材480の中に配置され及び/又はその中を流れる状態変化材料は、炉15からの距離が増加すればするほどますます熱を拡散する。
しきいレベルを超えて冷却されると、熱交換部材480内に配置された状態変化材料には、再び状態変化が引き起こされる(例えば、気体状態から液体状態へ冷却され又は液体状態から固体状態へ冷却される)。例えば、熱交換部材475及び480内に配置された状態変化材料がH2Oの場合、蒸気(H2O)が凝縮して水(H2O)になる。熱交換部材480が、実質的な水平面からわずかに上方に傾いて配置されている場合、状態変化材料、例えば水(H2O)は、熱交換部材475内に蒸気泡を形成する。蒸気泡は、熱交換部材475の頂部まで急速に上昇した後、熱交換部材480の頂部に沿って外方へ流れて初めて、凝縮して熱交換部材480内で冷たい水(H2O)になって流れ、重力ゆえに炉15へ戻る。状態変化材料が重力ゆえに熱交換部材480を通り、炉15及び熱交換部材475へ流れて戻るので、状態変化材料は再びますます加熱されるようになる。しきいレベルを超えて加熱されると、熱交換部材475内に配置された状態変化材料には、状態変化が引き起こされる(例えば、液体状態から気体状態へ加熱され又は固体状態から液体状態へ加熱される)。状態変化材料は、加熱及び冷却が繰り返されることにより、一サイクルで状態間を前後して変化し、かつ、連続的に炉15から熱を除去して熱交換部材480が下に延びている大面積の地域(例えば広場及び/又は駐車場)にわたって分散させる。意図されることだが、原子炉システム5内での動作のほかに、補助熱交換サブシステム415は、中心源(例えば、任意のタイプの発電所、任意のタイプの、例えば商業ビル、軍事用途、居住構造体、及び複合施設のような発熱構造体、及び/又はスポーツ複合施設)から熱が伝達により奪われる任意の適切な熱伝達用途と組み合わされて使用される。
図19を参照して、補助炉停止サブシステム420の例示的な動作を以下に述べる。炉15の通常動作中、弁487は閉のままである。中性子吸収材料の炉15内への流入が必要な場合(例えば炉15のシャットダウンが望まれる場合)、コントローラ540は弁487を開に制御して、加圧された中性子吸収材料が加圧貯蔵器485から一以上の通路490へ流れることを許容する。中性子吸収材料は、一以上の通路490を通って流れることにより、炉心100、100’、100a、及び/又は100bを通って流れる。中性子吸収材料が端部分505に向かって流れると、先に通路490内に配置されていた蒸気(H2O)は、閉じた端部分505においてますます加圧される。これは、バッファとして機能するので、中性子吸収材料が、加圧貯蔵器485から通路490への加圧された流れによる力ゆえに、端部分505から外へ噴出して流れる可能性を低減する。通路490内の中性子吸収材料の存在ゆえに、炉15から吸収される中性子量が増加する。これにより、炉15の核分裂速度が減少する。炉の再起動が望まれる場合、コントローラ540は、ポンプ500を制御して中性子吸収材料をポンプ輸送し、ドレーン通路495を介して通路490から貯蔵器485へ戻す。通路490内に実質的にゼロの中性子吸収材料が望まれる場合、コントローラ540は、弁487を実質的に全閉まで制御し、かつ、中性子吸収材料を通路490から加圧貯蔵器485内へ排出するべくポンプ500を制御する。ポンプ500は、加圧貯蔵器485を加圧状態に維持し、上述のプロセスが必要に応じて繰り返される。
開示の原子炉システムは、原子炉の制御を容易にするべく用いられる。例えば、炉15は、格納構造体85内に可動部分を有することなく構築される。開示の制御方法は、大幅に異なる反応度を有する燃料の使用を許容し、かつ、燃料ライフサイクルの実質的にすべての時点で各異なる燃料に対する実質的に最大の転換比を達成する、相対的に大きな範囲(例えば250mk超過)を有する。開示の原子炉システムはまた、転換比を大幅に増加させるので燃料寿命も増加させる。また、開示の制御方法の相対的に大きな範囲ゆえに、炉15は、例えば、低濃縮ウラン、MOX燃料、使用済み軽水炉燃料、及び、トリウムを含む燃料の組み合わせのような、高反応度燃料を使用することができる。
開示の制御キャビティは、局所中性子束を制御するべく互いに独立して反応するので、キセノン波が自然に抑制される。これにより、炉15の効率が増加する。また、炉心100、100’、100a、及び/又は100bを横切る中性子束が大幅に平坦化されるので、原子炉システム5の全パワー出力が相対的に高くなる。また、炉心100、100’、100a、及び/又は100bを横切る燃料バーンアウトも相対的に均一になる。
開示の原子炉システムは、連続的又は部分的な燃料交換を使用する必要がない。これは、過剰な中性子が、低転換比を有する旧燃料の寿命を非効率的に延ばすべく使用されずに、高転換比の新燃料の寿命を延ばすべく使用されるからである。炉15は燃料として天然ウランを使用するので、炉15は同位体(例えばウラン)の濃縮能力を利用しない。このため、核拡散の可能性が減少する。炉15の高転換比ゆえに、パワー出力の大部分は、炉15内でU238から生成されたプルトニウム同位体(ほとんどがPu239)の核分裂によって生成される。したがって、採掘ウラン1トン当たりの発電KWHが著しく増加し、かつ、発電KWH当たりの発生核廃棄物量が著しく減少する。
開示の制御キャビティは炉15に、原子炉システム5を効率的に制御する単純な構造を与える。開示の制御キャビティは炉冷却材及び減速材間の温度差を低減するので、熱い冷却材から減速材への熱損失が低減される。これにより、出力冷却材温度が高くなり、かつ、蒸気タービンの効率が高くなる。また、開示の制御キャビティは、炉15を横切る圧力差を低減するので、冷却材圧力管を作る構造材料を少なくすることができる。これにより、吸収される中性子を少なくして燃料の転換比を増加させることができる。
開示の燃料集合体は、開示の燃料管内の内側燃料棒を与える。当該燃料棒は、他の燃料棒によって熱中性子が遮られることが相対的に少ないので、燃料管を横切る温度が相対的に均一になる。これにより、燃料管及び燃料集合体は、多くの燃料棒及び/又は大きな直径の燃料棒を格納することができる。したがって、炉体積当たりのパワー出力が増加する。
補助熱交換システム415は、炉15からの又は他の任意の適切な熱源からの熱を効率的に伝達する。補助熱交換システム415は、可動の機械的部品なしに、効率的な熱伝達システムを与える。
開示の原子炉システムはまた、必要に応じて自動的に及び/又は意図的に炉15をシャットダウンすることができる。開示の炉システムはまた、バイパスシステムを介してタービン45に送達される蒸気量を制御する方法を与える。これにより、出力生成を効率的に制御することができる。
開示の原子炉システムに対して様々な修正例及び変形例をなし得ることは、当業者にとって明らかである。他の実施例も、本明細書並びに開示の方法及び装置の実施を考慮することにより、当業者にとって明らかである。意図されることだが、本明細書及び例は、例示のみとみなされ、真の範囲は以下の特許請求の範囲及びその均等物によって示される。