定義
本明細書で使用されるとき用語「活性化」は、歯と溝との噛み合いによって発生する引っ張り歪みによって中間のウェブ部分を延伸又は伸長する任意の方法を意味する。こうした方法は、通気性フィルム、伸縮性複合材料、孔あき材料及びテクスチャ加工材料などの多くの物品の製造において有用であることが分かっている。不織布では、延伸によって繊維再配向、繊維のデニール及び/又は断面の変化、坪量の低下、及び/又は中間ウェブ部分の制御された繊維破壊をもたらすことができる。例えば、一般的な活性化方法は、当該技術分野でリングロール加工として知られる方法である。
本明細書で使用されるとき「噛合深さ」とは、対向する活性化部材の噛み合った歯と溝とが互いの中に入り込む程度を意味する。
本明細書で使用されるとき用語「不織布ウェブ」は、個々の繊維又は糸が入り組んではいるものの、ランダムに配向された繊維を典型的には有しない織布又は編布におけるような繰り返しパターンとして入り組んではいない構造を有するウェブを指す。不織布ウェブ又は不織布は、例えば、メルトブロー法、スパンボンド法、水流交絡、エアレイド、及びカード熱接着を含む接着カードウェブ法などの、多くの方法から形成されてきた。不織布の坪量は、通常は、平方メートル当たりのグラム(g/m2)で表される。積層ウェブの坪量は、構成要素の層及び任意の他の付加構成要素の合体した坪量である。繊維直径は通常マイクロメートルで表される。繊維寸法は、繊維の単位長さ当りの重量の単位である、デニールで表すこともできる。本発明での使用に好適な不織布又は積層ウェブの坪量は、6g/m2〜300g/m2、好ましくは10g/m2〜200g/m2、より好ましくは15g/m2〜120g/m2、及び最も好ましくは20g/m2〜100g/m2の範囲である。
本明細書で使用されるとき「スパンボンド繊維」は、溶融した熱可塑性材料を紡糸口金の微細で通常は円形の複数の毛管からフィラメントとして押し出した後、押し出されたフィラメントの直径を外部から加えた力によって急速に小径化することによって形成される、比較的小径の繊維を指す。スパンボンド繊維は、捕集面に堆積させるとき概ね粘着性でない。スパンボンド繊維は、概ね連続しており、7マイクロメートルを超える平均直径(少なくとも10のサンプルからの)、より具体的には、約10〜40マイクロメートルの平均直径を有する。
本明細書で使用されるとき用語「メルトブローイング」は、溶融した熱可塑性材料を、微細で通常は円形の複数の金型毛管から、通常は加熱された収束する高速気体(例えば空気)流中に溶融糸又はフィラメントとして押し出し、この気体流によって溶融熱可塑性材料のフィラメントを場合によりマイクロファイバー径にまで小径化することによって繊維を形成する方法を指す。その後、メルトブローされた繊維は、高速気体流により運ばれて、しばしばまだ粘着性であるうちに、捕集表面上に堆積され、ランダム分散されたメルトブローされた繊維のウェブを形成する。メルトブローされた繊維は、マイクロファイバーであり、これは連続的又は不連続的であってもよく、平均直径が一般的に10マイクロメートルよりも小さい。
本明細書で使用されるとき用語「ポリマー」としては、一般に、ホモポリマー、例えばブロック、グラフト、ランダム及び交互コポリマーなどのコポリマー、ターポリマーなど、並びにこれらのブレンド及び修飾物が挙げられるが、これらに限定されない。加えて、特に限定しないかぎり、用語「ポリマー」には、材料のあらゆる可能な幾何学的形態が含まれる。構造としては、アイソタクチック、アタクチック、シンジオタクチック、及びランダム対称が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用されるとき用語「モノコンポーネント」繊維は、1種類のポリマーのみを使用して1以上の押出成形機から形成される繊維を指す。これは、着色、静電気防止特性、潤滑、親水性などのために、少量の添加物が添加されている1種のポリマーから形成される繊維を除外することを意味しない。これらの添加物、例えば着色用の二酸化チタンは、一般に、約5重量%未満、より典型的には、約2重量%未満の量で存在する。
本明細書で使用されるとき用語「バイコンポーネント」は、別々の押出成形機から押し出された少なくとも2種類の異なるポリマーを合わせて紡糸し、1本の繊維として形成した繊維を指す。バイコンポーネントは、複合繊維又は多成分繊維と呼ばれることもある。各ポリマーは、バイコンポーネント繊維の断面においてほぼ位置が一定した異なる領域に配され、バイコンポーネント繊維の長さに沿って連続的に延びる。そのようなバイコンポーネントの構成は、例えば、1つのポリマーが別のポリマーにより包囲されたシース/コア配置とするか、又はサイドバイサイド配置、パイ型配置、又は「海島型」配置とすることができる。
本明細書で使用するところの用語「2成分繊維(biconstituent fibers)」とは、同じ押出成形機からブレンドとして押し出される少なくとも2種類のポリマーから形成された繊維を指す。2成分繊維は、繊維の断面において比較的位置が一定した異なる領域に配された異なるポリマー成分を有しておらず、更に、この異なるポリマーは通常、繊維の全長に沿って連続的ではなく、代わりにランダムに開始及び終了する繊維を通常形成している。2成分繊維は、多成分繊維と呼ばれることもある。
本明細書で使用するとき、用語「非丸形繊維」は、非丸形の断面を有する繊維を説明し、「成形された繊維」及び「毛管チャネル繊維」を包含する。そのような繊維は、中実又は中空であることができ、それらは、三葉形、デルタ形状であることができ、好ましくは、外側表面上に毛管チャネルを有する繊維である。毛管チャネルは、「U形状」、「H形状」、「C形状」、及び「V形状」などの、様々な断面形状のものであることができる。1つの好適な毛管チャネル繊維は、Fiber Innovation Technologies(Johnson City,TN)より入手可能な、4DG繊維として指定された、T−401である。T−401繊維は、ポリエチレンテレフタレート(PETポリエステル)である。
「配置された」とは、物品の1つの要素の、物品の別の要素に対する配置のことを指す。例えば、各要素は、おむつの他の要素との一体構造として、あるいはおむつの別の要素と接合された別の要素として特定の場所又は位置に形成される(接合及び位置決めされる)。
「伸縮性不織布」は、破裂することも、又は破断することもなく、少なくとも50%まで伸長する繊維不織布である。例えば、100mmの初期長を有する伸縮性材料は、23±2℃及び相対湿度50±2%で試験した場合、毎分100%の歪み速度で歪ませると、少なくとも150mmまで伸長し得る。ある材料は、1つの方向(例えばCD)には伸縮性であるが、別の方向(例えばMD)には非伸縮性である場合がある。伸縮性不織布は、一般に、伸縮性繊維から構成される。
「高伸縮性不織布」は、破裂することも、又は破断することもなく、少なくとも100%まで伸長する繊維不織布である。例えば、100mmの初期長を有する高伸縮性材料は、23±2℃、及び相対湿度50±2%で試験した場合、毎分100%の歪み速度で歪ませると、少なくとも200mmまで伸長し得る。ある材料は、1つの方向(例えばCD方向)には伸縮性であるが、別の方向(例えばMD方向)には非伸縮性である場合がある。高伸縮性不織布は、一般に、高伸縮性繊維から構成される。
「非伸縮性不織布」は、50%の伸長に達するまでは、破裂することも、又は破断することもなく伸長する繊維不織布である。例えば、100mmの初期長を有する非伸縮性材料は、23±2℃、及び相対湿度50±2%で試験した場合、毎分100%の歪み速度で歪ませると、50mmを超えて伸長することができない。非伸縮性不織布は、機械方向(MD)及び横断方向(CD)の双方で非伸縮性である。
「伸縮性繊維」は、23±2℃及び相対湿度50±2%で試験した場合、毎分100%の歪み速度で歪ませると、破裂することも、又は破断することもなく、少なくとも400%まで伸長する繊維である。
「高伸長性繊維」とは、23±2℃及び50±2%の相対湿度で試験を行って毎分100%の歪み速度で引っ張った場合に、断裂又は破断することなく少なくとも500%伸長する繊維のことである。
「非伸長性繊維」とは、23±2℃及び50±2%の相対湿度で試験を行って毎分100%の歪み速度で引っ張った場合に、断裂又は破断のない伸長率が400%未満である繊維のことである。
「親水性、又は親水性」は、水又は生理食塩水が、その繊維若しくは繊維性材料の表面上で浸潤する、繊維あるいは不織布材料を指す。水又は生理食塩水を吸い上げる材料は、親水性として分類可能である。親水性を測定するための方法は、その垂直吸い上げ能力を測定することによるものである。本発明には、不織布材料は、少なくとも5mmの垂直吸い上げ能力を示す場合には、親水性である。
「接合された」とは、要素を直接別の要素に取り付けることにより一方の要素を他方の要素に直接固定する構成、及び要素を中間部材に取り付け、その中間部材を次に別の要素に取り付けることにより、一方の要素を間接的に他方の要素に固定する構成を指す。
「積層体」とは、例えば、接着剤結合、熱結合、超音波結合などの当該技術分野では既知の方法によって互いに結合された2以上の材料を意味する。
「機械方向」又は「MD」は、製造プロセスにおいてウェブが移動する際のウェブの移動方向と平行な方向である。MD方向の±45度以内の範囲の方向は、機械方向とみなされる。「機械横断方向」又は「CD」は、MD方向にほぼ垂直な、ウェブによって概ね画定される面内の方向である。横断方向の45度未満の範囲内の方向は、横断方向であると見なされる。
「外側寄り」及び「内側寄り」は、それぞれ、要素が、第2要素と比較して、吸収性物品の長手方向中心線から相対的に遠く配置されている位置、又は相対的に近くに配置されている場所を指す。例えば、要素Aが要素Bの外側寄りである場合、要素Aは、要素Bよりも長手方向の中心線から遠くにある。
「吸い上げ」とは、不織布を通る流体の、毛管力を介した能動流体輸送を指す。吸い上げ速度は、単位時間当たりの流体の移動、すなわち、特定の時間の間に流体がどれくらい遠くに移動するかを指す。
「捕捉率」とは、材料が、既定量の流体を取り込む速度、すなわち、その流体が材料を通過するためにかかる時間量を指す。
「浸透性」とは、X−Y面内で材料を貫流するための、流体の相対能力を指す。高い浸透性を有する材料は、低い浸透性を有する材料よりも高流体流速を可能にする。
「ウェブ」は、ロールに巻くことができる材料を意味する。ウェブは、フィルム、不織布、積層体、孔あき積層体であってもよい。ウェブの面は、ウェブ縁部に相対する、ウェブの2次元表面の1つを指す。
「X−Y面」は、移動ウェブのMD及びCDによって、又はその長さによって画定される面を意味する。
「吸収性物品」は、身体排出物を吸収して閉じ込める装置のことを指し、より詳細には、着用者の身体に接して又は近接して置かれることによって、身体から排出される様々な排出物を吸収して閉じ込める装置のことを指す。吸収性物品としては、おむつ、パンツ、トレーニングパンツ、成人用失禁下着、女性用衛生用品などを挙げてもよい。本明細書で使用されるとき用語「体液」又は「身体排出物」としては、尿、血液、膣排出物、母乳、汗及び糞便が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の好ましい吸収性物品は、おむつ、パンツ及びトレーニングパンツである。
「吸収性コア」は、吸収性物品によって受け取られた液体を吸収し封じ込めるための、吸収性物品のトップシートとバックシートとの間に通常配置される構造体を意味し、1つ以上の基材と、1つ以上の基材上に配置された吸収性ポリマー材料と、吸収性粒子状ポリマー材料を1つ以上の基材上に不動化するための、吸収性粒子状ポリマー材料上及び1つ以上の基材の少なくとも一部分上の熱可塑性組成物とを含んでもよい。多層吸収性コア中で、吸収性コアはカバー層を含んでもよい。1つ以上の基材及びカバー層は、不織布を含んでもよい。更に、吸収性コアはセルロースを実質上含まない。吸収性コアには、吸収性物品の捕捉システム、トップシート、又はバックシートは含まれない。特定の実施形態では、吸収性コアは、基本的に1以上の基材、吸収性ポリマー材料、熱可塑性組成物、及び必要に応じて用いられるカバー層からなる。
「吸収性ポリマー材料」、「吸収性ゲル材料」、「AGM」、「超吸収体」、及び「超吸収性材料」は、本明細書において互換可能に使用され、遠心分離保持容量試験(Edana 441.2−01)を使用して測定した場合に、重量の少なくとも5倍の0.9%生理食塩水を吸収することが可能な架橋ポリマー材料のことを指す。
「吸収性粒子状ポリマー材料」は、乾燥状態で流動性を有する粒子状形態である吸収性ポリマー材料のことを指すように、本明細書で使用される。
「エアフェルト」は、セルロース繊維の一形態である粉砕木材パルプのことを指すように、本明細書で使用される。
「バイオ系含有量」は、ASTM D6866−10、方法Bを用いて決定されるように、材料中の全有機炭素の重量の百分率としての材料中の再生可能な資源からの炭素の量を指す。材料のバイオ系含有量の定量には炭酸カルシウムなどの無機の源からのいかなる炭素も含まれないということに留意されたい。
「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」、及び「備える(comprises)」は非限定的な用語であり、それぞれの語の後に記載されるもの(例えば構成要素)の存在を特定するものであるが、他の特徴(例えば要素、工程、当該技術分野において既知であるか、又は本明細書に開示される構成要素)の存在を除外するものではない。
本明細書において「基本的に〜からなる」とは、例えば特許請求の範囲におけるような発明の主題の範囲を、特定の要素又は工程、及び発明の主題の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさないものに限定するために使用される。
「使い捨て式の」とは、その通常の意味において、様々な期間にわたって、限定された使用回数、例えば約20回未満、約10回未満、約5回未満、又は約2回未満の後に処分又は廃棄される物品を意味するものとして使用される。
「おむつ」とは、幼児及び失禁患者によって胴体下部の周囲に一般に着用されることにより着用者の腰部及び脚部を包囲する吸収性物品のことであって、尿及び糞便を受容して閉じ込めるように特に適合されたもののことを指す。本明細書で使用されるとき用語「おむつ」には、以下で定義する「パンツ」も含まれる。
本明細書で使用されるとき「パンツ」又は「トレーニングパンツ」は、幼児又は成人の着用者向きに設計された、腰部開口部及び脚部開口部を有する使い捨て衣類を指す。着用者の脚を脚部開口部に挿入し、パンツを着用者の胴体下部の周囲にまでずらすことによって、パンツを、着用者に対して定位置に置いてもよい。パンツは、再締着可能及び/又は再締着不可能な結合を使用して、物品の一部分を一緒に接合するなどの非限定的な任意の好適な技術(例えば、シーム、溶接、接着、凝集結合、留め具など)によって予備形成され得る。パンツを、物品の外周に沿った任意の位置において予備成形してもよい(例えば、側面固定、前腰部固定)。用語「パンツ」を本明細書で使用するとき、パンツは、普通、「閉鎖型おむつ」、「再締着型おむつ」、「着用型おむつ」、「トレーニングパンツ」、及び「おむつ型パンツ」も指している。好適なパンツは、1993年9月21日、Hasseらに発行の米国特許第5,246,433号;1996年10月29日、Buellらに発行の同第5,569,234号;2000年9月19日、Ashtonに発行の同第6,120,487号;2000年9月19日、Johnsonらに発行の同第6,120,489号;1990年7月10日、Van Gompelらに発行の同第4,940,464号;1992年3月3日、Nomuraらに発行の同第5,092,861号;2002年6月13日出願の「Highly Flexible And Low Deformation Fastening Device」と題する米国特許出願公開第2003/0233082(A1)号;1999年4月27日、Klineらに発行の米国特許第5,897,545号;1999年9月28日、Klineらに発行の同第5,957,908号に開示されている。
「石油化学品」は、石油、天然ガス、又は石油由来の有機化合物を指す。
「石油」は、粗油及びパラフィン、シクロパラフィン、及び芳香族炭化水素のその成分を指す。粗油は、タールサンド、ビチューメンフィールド、及び油頁岩から取得され得る。
「再生可能な資源」は、100年の時間枠内で再生可能な天然資源を指す。資源は、自然に、又は農業的な方法により再生されてもよい。再生可能な資源としては植物、動物、魚、バクテリア、菌類、及び林産製品が挙げられる。これらは、自然発生のものであってもよく、ハイブリッド、又は遺伝子操作された生物であってもよい。形成するのに100年以上かかる、粗油、石油、及びピートなどの天然資源は、再生可能な資源であるとは考えられない。
「合成ポリマー」は、少なくとも1つのモノマーから化学プロセスにより形成されるポリマーを指す。合成ポリマーは、生物により直接に製造されない。
本明細書において開示されるすべての数値範囲に関し、本明細書全体を通じて与えられるすべての最大値の限定は、それよりも小さいすべての数値の限定を、そうしたより小さい数値限定が本明細書にあたかも明確に記載されているのと同様に含むものとして理解すべきである。更に、本明細書全体を通じて与えられるすべての最小値の限定は、それよりも大きいすべての数値の限定を、そうしたより大きい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているのと同様に含むものである。更に、本明細書の全体を通じて与えられるすべての数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に含まれるすべてのより狭い数値の範囲、並びにその数値範囲内のそれぞれの個々の数値を、そのようなより狭い数値範囲及び個々の数値のすべてがあたかも本明細書に明確に記載されているのと同様に包含するものである。
本発明は、好適なベース基材の駆動によって形成される、構造化基材を提供する。この駆動は、繊維の変位を含み、ベース基材の流体捕捉特性を増大させる3次元の質感を形成する。ベース基材の表面エネルギーを変性させて、その流体吸い上げ特性を増大させることもできる。ベース基材から構造化基材を作製するために使用する、好ましい方法及び装置に関連して、本発明の構造化基材を説明する。図1及び図2に、好ましい装置150を概略的に示し、より詳細に以下で説明する。
ベース基材
本発明によるベース基材20は、熱安定性である繊維の緩い集束から形成される、流体浸透性の繊維不織布ウェブである。本発明による繊維は、非伸縮性であり、破断または破壊無しで300%未満延伸するものとして前に定義されたものである。しかしながら、本発明のベース基材を形成する非伸縮性繊維は、好ましくは破断または破壊無しで200%未満延伸するものである。この繊維は、業界標準のカーディング、エアレイド、又はウエットレイド技術を用いてウェブに形成されるステープル繊維を含むことができる。しかしながら、業界標準のスパンボンド技術を用いてスパンレイド不織ウェブを形成する連続スパンボンド繊維が好ましい。スパンレイドウェブを作り出すための繊維及びスパンレイド法をより詳細に以下で説明する。
本発明の繊維は、限定ではないが、丸形、楕円形、星形、三葉形、3〜8葉の多葉形、長方形、H形状,C形状、I形状、U形状及び他の種々の偏心形を含む、種々の断面形状を有してもよい。中空繊維も使用可能である。好ましい形状は、丸形、三葉形、及びH形状である。丸形繊維が最も安価であり、したがって経済的観点からは好ましいが、三葉形の成形繊維は、増大した表面積を提供し、それゆえ機能的観点から好ましい。丸形及び三葉形の繊維形状は、また、中空であってもよい。しかしながら、中実繊維が好ましい。中空繊維は、同じ形状及び同じデニールの中実繊維よりも、等価のデニールで高い圧縮抵抗を有するため、有用である。
本発明における繊維は、典型的なスパンボンド不織布で見られる繊維よりも、大きくなる傾向がある。成形繊維の直径は、判定し難い場合があるため、その繊維のデニールが参照される場合が多い。デニールは、9000リニアメートルの長さでの、グラム単位の繊維の質量として定義され、dpf(フィラメント当たりのデニール)として表される。本発明に関しては、好ましいデニールの範囲は、1dpfより大きい、100dpf未満である。より好ましいデニールの範囲は、1.5dpf〜50dpf、更により好ましい範囲は、2.0dpf〜20dpf、最も好ましい範囲は、4dpf〜10dpfである。
本発明のベース基材を形成する繊維の緩い集束は、活性化及び対応する繊維変位に先立って接着される。繊維ウェブは、繊維が高いレベルの移動性を有し、張力を受けると接着部位から引き抜かれる傾向にあるように、不完全に接着してもよく、又は繊維が最小限の移動性を呈し、張力を受けると破断する傾向にあるように、より高度な接着部位の一体性を有して完全に接着してもよい。本発明のベース基材を形成する非伸縮性繊維は、好ましくは、完全に接着されて、非伸縮性繊維ウェブ材料を形成する。以下でより詳細に説明するように、繊維変位を介して構造化基材を形成するためには、非伸縮性ベース基材が好ましい。
ベース基材を完全に接着することは、例えばベース基材を製造する間の、1つの接着工程で行なうことができる。あるいは、予備接着されたベース基材を作製するために、2つ以上の接着工程が存在する場合もあり、例えば、ベース基材は、製造後に、巻き取りに充分な一体性を提供するために、単に軽度に接着されるか又は不完全に接着される場合がある。引き続き、例えば、本発明の繊維変位プロセスをベース基材に施す直前に、ベース基材に更なる接着工程を施し、完全に接着されたウェブを得ることができる。また、ベース基材の製造と繊維の変位との間の任意の時点で接着工程が存在してもよい。異なる接着工程は、また、異なる接着パターンを付与することもできる。
繊維を接着するための方法は、Albin Turbakによる「Nonwovens:Theory,Process,Performance and Testing」(Tappi 1997)に詳細に記述されている。典型的な結合方法としては、機械的交絡、水流交絡、ニードルパンチング、及び化学結合及び/又は樹脂結合が挙げられるが:熱を利用するスルーエア接着、並びに圧力及び熱を利用する熱ポイント接着などの熱接着が好ましく、熱ポイント接着が最も好ましい。
スルーエア接着は、繊維の集束に加熱ガスを通過させることによって実施され、固結した不織布ウェブを作り出す。熱ポイント接着は、別個の位置に熱及び圧力を加えて、不織布ウェブ上に接着部位を形成することを伴う。実際の結合部位は、限定ではないが、卵形、丸形及び4面の幾何学的形状を含む、種々の形状及び大きさを含む。全体の熱ポイント接着総面積は、2%〜60%、好ましくは4%〜35%、より好ましくは5%〜30%、最も好ましくは8%〜20%である。本発明の完全に接着されたベース基材は、8%〜70%、好ましくは12%〜50%、より好ましくは15%〜35%の、接着全体の総合面積を有する。熱ポイント接着ピン密度は、5ピン/cm2〜100ピン/cm2、好ましくは10ピン/cm2〜60ピン/cm2、最も好ましくは20ピン/cm2〜40ピン/cm2である。本発明の完全に接着されたベース基材は、10ピン/cm2〜60ピン/cm2、好ましくは20ピン/cm2〜40ピン/cm2の接着のピン密度を有する。
熱接着は、熱可塑性ポリマー及びそれらから作製される繊維などの熱接着性ポリマーから形成される繊維を必要とする。本発明には、繊維組成物は、熱接着性ポリマーを含む。好ましい熱接着性ポリマーは、ポリエステル樹脂、好ましくはPET樹脂、より好ましくはPET樹脂及びcoPET樹脂を含んでおり、以下でより詳細に説明するような、熱接着性で、熱安定性である繊維を提供する。本発明に関しては、熱可塑性ポリマー含有量は、繊維の約30重量%より大きい濃度で、好ましくは約50重量%より大きい濃度で、より好ましくは約70重量%より大きい濃度で、最も好ましくは約90重量%より大きい濃度で存在する。
接着の結果として、ベース基材は、機械方向(MD)及び機械横断方向(CD)の双方での機械的特性を有する。MD引っ張り強度は、1N/cm〜200N/cm、好ましくは5N/cm〜100N/cm、より好ましくは10N/cm〜50N/cm、最も好ましくは20N/cm〜40N/cmである。CD引っ張り強度は、0.5N/cm〜50N/cm、好ましくは2N/cm〜35N/cm、最も好ましくは5N/cm〜25N/cmである。ベース基材はまた、1.1〜10、好ましくは1.5〜6、最も好ましくは1.8〜5の、MD:CDの引っ張り強度比という特性比率も有するべきである。
この接着方法は、また、ベース基材の厚さにも影響を及ぼす。ベース基材の厚さ、すなわちキャリパーは、また、所定の測定位置に存在する繊維の数、寸法、及び形状によっても決定される。ベース基材の厚さは、0.10mm〜1.3mm、より好ましくは0.15mm〜1.0mm、最も好ましくは0.20mm〜0.7mmである。
ベース基材は、また、特徴的な不透明度も有する。不透明度は、ベース基材を通過する光の相対量の尺度である。理論に束縛されるものではないが、特性的な不透明度は、所定の測定位置に存在する繊維の数、寸法、タイプ、形態、及び形状に応じて決定されると考えられる。不透明度は、TAPPI試験方法T 425 om−01「Opacity of Paper(15/d配置、イルミナントA/2度、89%反射裏地及び紙裏地)」を使用して測定することができる。不透明度は百分率として測定される。本発明に関しては、ベース基材の不透明度は、5%より大きい、好ましくは10%より大きい、より好ましくは20%より大きい、更により好ましくは30%より大きい、最も好ましくは40%より大きい。
使い捨て吸収性物品の捕捉システムによって構成される構造化繊維ウェブは、下側の吸収性コアの潜在的な汚れを隠す効果があることから比較的高い不透明度が望ましい。吸収性コアの汚れは、尿又は低粘度の便通などの体液の吸収によってもたらされ得る。吸収性物品における最近の傾向は、コスト削減の理由から吸収性物品の異なる要素の坪量を低減させる方向にある。このため、低坪量のトップシートが用いられる場合、こうしたトップシートの不透明度は、高坪量のトップシートと比較して低くなりやすい。また、孔あきトップシートが用いられる場合、こうした孔によっても、捕捉システム及び吸収性コアといった吸収性物品の下側の層が見えてしまう。したがって、低坪量のトップシート及び/又は孔あきトップシートが吸収性物品において使用される実施形態では、構造化繊維ウェブの高い不透明度が特に望ましい。本発明の一実施形態では、使い捨て吸収性物品は、坪量が5g/m2〜25g/m2、より好ましくは8g/m2〜16gm2のトップシートを含む。
ベース基材は、特性的な坪量、及び特性的な密度を有する。坪量は、単位面積当たりの繊維/不織布の質量として定義される。本発明に関しては、ベース基材の坪量は、10g/m2〜200g/m2である。ベース基材の密度は、ベース基材の坪量を、ベース基材の厚さで除算することによって判定される。本発明に関しては、ベース基材の密度は、14kg/m3〜200kg/m3である。ベース基材は、また、1グラム当たりの立方センチメートルで測定される、ベース基材の密度の逆数であるベース基材の比容積も有する。
ベース基材の変性
本発明では、ベース基材を変性して、流体管理が重要である製品での使用のために、その流体分散特性及び流体捕捉特性を最適化することができる。流体分散特性は、ベース基材の表面エネルギーを変化させ、親水性及び対応する吸い上げ特性を増大させることによって、増強可能である。ベース基材の表面エネルギーの変性は、任意であり、典型的には、ベース基材が作製される際に行われる。繊維変位によってベース基材の構造を変性し、基材の厚さ、すなわちロフト、及び対応する比容積を増大させる3D質感を導入することにより、流体捕捉特性に影響を及ぼすことができる。
表面エネルギー
ベース基材の親水性は、表面エネルギーに関連する。ベース基材の表面エネルギーを、局所的表面処理、繊維の表面への化学的グラフト処理によって、又はプラズマ処理若しくはコロナ処理を介した繊維表面の反応性酸化に次ぐガス反応の追加による更なる化学結合によって、変性することができる。
また、ベース基材の繊維を製造する際に使用する、ポリマー材料によってもベース基材の表面エネルギーに影響を及ぼすことができる。ポリマー材料は、固有の親水性を有することができるか、又はポリマー、繊維表面、及びベース基材表面の融解添加物による化学修飾によって、又は親水性挙動を誘起する他の材料とのポリマー材料の混合によって、親水性とすることができる。ポリプロピレンに対して使用される材料の例は、Cibaより販売されるIRGASURF(登録商標)HL560、及びEastman Chemicalより販売されるPETコポリマーであるPET用の重合材料のEASTONE(登録商標)ファミリーである。
表面エネルギーは、また、繊維の局所的処理によっても影響され得る。繊維表面の局所的処理は、一般に、フォーム、スプレー、キスロール、又は他の好適な方法によりエマルション中に希釈状態で添加され、次いで乾燥される界面活性剤を伴う。局所的処理が必要とされる場合があるポリマーは、ポリプロピレン又はポリエステルテレフタレート系のポリマー系である。他のポリマーとしては、脂肪族ポリエステルアミド;脂肪族ポリエステル;ポリエチレンテレフタレート及びコポリマー、ポリブチレンテレフタレート及びコポリマー;ポリトリメチレンテレフタレート及びコポリマー;ポリ乳酸及びコポリマーを含む芳香族ポリエステルが挙げられる。汚れ放出ポリマー(SRP)と称される材料の範疇もまた、局所的処理に好適である。汚れ放出ポリマーは、低分子量のポリエステルポリエーテル、ポリエステルポリエーテルのブロックコポリマー、並びに非イオン性ポリステル化合物が含まれる、一群の材料である。これらの材料の一部は、融解添加物として添加することができるが、それらの好ましい使用法は、局所的処理剤としてである、この範疇の材料の市販品の例は、ClariantよりTexcare(商標)の製品群として入手可能である。
構造化基材
ベース基材20に対する第2の変性は、ベース基材を機械的処理して構造化繊維ウェブ基材(用語「構造化繊維ウェブ」及び「構造化基材」は、本明細書では互換的に使用される)を作製することを伴う。構造化基材は、(1)繊維の再配列、並びに永続的な繊維の転位(以降では「繊維変位」と称する)を作り出す繊維の分離及び破断によって、構造化基材がベース基材の厚さの値よりも高い厚さの値を有するように、永続的に変形されたベース基材、及び所望ならば、(2)ベース基材の厚さよりも低い圧縮領域を形成するように、過剰な接着(以降では「過剰接着」と称する)によって変性されたベース基材として定義される。繊維変位プロセスは、ロッド、ピン、ボタン、構造化されたスクリーン若しくはベルト、又は他の好適な方法による繊維の永続的な機械的変位を伴う。この永続的な繊維の転位は、ベース基材と比較して、付加的な厚さ、すなわち付加的キャリパーをもたらす。この付加的な厚さは、基材の比容積を増大させ、また基材の流体浸透性も増大させる。過剰接着は、ベース基材の機械的特性を向上させ、流体管理のための、変位された繊維領域間のチャネルの深さを増進させることができる。
繊維変位
前述のベース基材を、図1に示す装置150を使用して加工処理し、その一部分が図3〜図6に示される構造化基材21を形成することができる。図3に示すように、この構造化基材は、X−Y面内の第1の領域2、及びこの第1の領域2の全域に配置される複数の第2の領域4を有する。第2の領域4は、構造化基材21の第2の表面14上に不連続部16を形成する変位された繊維6、及び第1の表面12から延びる固定されていない端部18を有する変位された繊維6を含む。図4に示すように、変位された繊維6は、第2の領域4の第1の面11から延びて、分離して破断し、第1の表面12に近位の、第1の面11と対向する第2の面13に沿って、固定されていない端部18を形成する。本発明には、第1の表面12に近接することは、繊維の破断が、第1の表面12と、変位された繊維の頂点又は末端部3との間、好ましくは変位された繊維6の末端部3よりも第1の表面12のより近くにおいて生ずることを意味する。
繊維分離又は破断の場所は、主として、ベース基材を形成する非伸縮性繊維に帰せられる;しかしながら、変位された繊維の形成及び対応する繊維破断は、ベース基材の形成で使用される結合の程度によっても影響される。完全に接着された非伸縮性繊維を含むベース基材は、図15の顕微鏡写真に示すように、その繊維の強度、繊維の剛性、及び接着の強度のために、軽度の繊維変位の変形で、テント状構造を形成する構造を提供する。繊維変位の変形が拡張すると、図16の顕微鏡写真に示すように、実質的な繊維破断が、典型的には一方の辺上に集中して観察される。
図4の固定されていない端部18を有する変位された繊維6を作り出す目的は、空隙容積部を生成することによって、ベース基材の比容積を超えて、構造化基材の比容積を増大させることである。本発明には、第2の領域において少なくとも50%かつ100%よりも少ない自由端を有する変位された繊維6を形成することによって、高いキャリパー及び使用に際して持続可能な付随する比容積を有する構造化基材が製造されることが判明した。(下記に示す表6の実施形態1N5〜1N9を参照)本明細書で述べられるしかるべき実施形態では、変位された繊維6の固定されていない末端18を加熱接着して、圧縮抵抗性及び対応する持続可能性を改善することができる。熱接着された固定されていない端部を有する変位された繊維6、及びその同じ変位された繊維を作り出すためのプロセスを以下で更に詳細に論じる。
図5に示すように、第2の領域4内の変位された繊維6は、典型的にはベース基材の厚さと等しい第1の領域2の厚さ32を超える厚さ、すなわちキャリパーを呈する。変位された繊維6を有する第2の領域4の寸法及び形状は、使用される技術に応じて変化してもよい。図5は、第2の領域4内の変位された繊維6を示す、構造化基材21の断面図を示す。変位された繊維6の厚さ34は、変位された繊維6によって生じる、構造化基材21の第2の領域4の厚さ、すなわちキャリパーを説明する。図示するように、変位された繊維の厚さ34は、第1の領域の厚さ32より大きい。変位された繊維の厚さ34は、第1の領域の厚さ32の、少なくとも110%より大きいことが好ましく、より好ましくは少なくとも125%より大きく、最も好ましくは第1の領域の厚さ32の、少なくとも150%より大きい。変位された繊維の厚さ34に対するエージングされたキャリパーは、0.1mm〜5mm、好ましくは0.2mm〜2mm、最も好ましくは0.5mm〜1.5mmである。
構造化基材21の単位面積当たりの、変位された繊維6を有する第2の領域4の数は、図3に示すように様々であり得る。一般に、面密度は、構造化基材21の全域にわたって均一である必要はないが、第2の領域4は、線、ストリップ、バンド、円などのような既定の形状を有する領域内などの、構造化基材21の特定の領域に限定され得る。
図3に示すように、第2の領域4が占める面積の合計は、総面積の75%未満、好ましくは50%未満、より好ましくは25%未満であるが、少なくとも10%である。第2の領域の寸法、及び第2の領域4間の間隔は、様々であり得る。図3及び図4は、長さ36、幅38、並びに第2の領域4間の間隔37及び間隔39を示す。図3に示す第2の領域4間の機械方向での間隔39は、好ましくは0.1mm〜1000mm、より好ましくは0.5mm〜100mm、最も好ましくは1mm〜10mmである。機械横断方向での第2の領域4間の左右の間隔37は、0.2mm〜16mm、好ましくは0.4mm〜10mm、より好ましくは0.8mm〜7mm、最も好ましくは1mm〜5.2mmである。
図1に示すように、構造化基材21は、供給ロール152から供給される、概して平面的な、2次元不織布ベース基材20から形成することができる。ベース基材20は、固定されていない端部18を有する変位された繊維6を形成する噛み合いローラー104及び102Aによって形成されるニップ116へと、装置150によって機械方向に移動する。変位された繊維6を有する構造化基材21は、ロール104と、変位された繊維6の固定されていない端部18を接着する接着ロール156との間に形成されるニップ117へと所望によって進行する。この場所から、構造化基材22は、ロール104から構造化基材22を取り出す、所望によって噛み合ったロール102B及び104へと進行し、ロール102Bと接着ロール158との間に形成されるニップ119へと所望によって搬送され、そこで過剰接着領域が構造化基材23内に形成されて、最終的に構造化基材23が供給ロール160上に巻き取られる。図1は、説明したようなプロセス工程の順序を示しているが、未だ完全に接着されていないベース基材について、この工程を逆転させて、変位された繊維6を形成する前に、ベース基材内に接着領域を形成することが望ましい。この実施形態に対しては、ベース基材20は、図1に示す巻き取り供給ロール160に類似する供給ロールから供給され、ロール102Bと接着ロール158との間に形成されるニップ119へと移動し、そこで基材が接着された後に、噛み合いロール102Bと104との間に形成されるニップ118に入り、そこで固定されていない端部18を有する変位された繊維6が、第2の領域4内に形成される。
図1は、供給ロール152から供給されるベース基材20を示しているが、ベース基材20を、当該技術分野において既知の、ループウェブなどの任意の他の供給手段から供給することができる。一実施形態では、ベース基材20を、不織布作製用製造ラインなどのウェブ作製装置から直接供給することができる。
図1に示すように、第1の表面12は、ベース基材20の第1の面、並びに構造化基材21の第1の面に相当する。第2の表面14は、ベース基材20の第2の面、並びに構造化基材21の第2の面に相当する。一般に、用語「面」は、本明細書では、不織布などの概して2次元のウェブの2つの主表面を説明するための用語の一般的な使用法で使用される。ベース基材20は、実質的に不規則に配向された繊維、すなわち少なくともMD及びCDに対して不規則に配向された繊維を含む、不織布ウェブである。「実質的に不規則に配向された」とは、プロセス条件のために、CDよりもMDに、又はその逆に、より多くの量が配向された繊維を呈し得る、ランダムな配向を意味する。例えば、スパンボンド法及びメルトブロー法では、繊維の連続的なストランドが、MDに移動する支持材上に堆積する。スパンボンド不織布ウェブ又はメルトブローした不織布ウェブの繊維の配向を真に「ランダム」にさせるように試みても、通常は、より高い割合の繊維が、CDに対抗してMDに配向される。
本発明の一部の実施形態では、ウェブ面内の、MDに対する既定の配向に、著しい割合の繊維を意図的に配向することが望ましい場合がある。例えば、歯の間隔、及びロール104上での配置(以下で説明するような)のために、ウェブの長手方向軸線に対して、例えば平行から60度外れた角度で、主要な繊維配向を有する不織布ウェブを作製することが望ましい場合があり得る。そのようなウェブは、所望の角度でウェブをラッピング加工し、所望であれば、そのウェブを、完成ウェブへとカーディングすることを組み合わせた方法によって作製可能である。既定の角度を有する繊維を、高い割合で有するウェブは、以下でより詳細に論じるように、より多くの繊維を、統計的に偏倚させ、構造化基材21内の変位された繊維へと形成することができる。
ベース基材20は、ウェブ作製プロセスから直接的に、又は図1に示すように、供給ロール152から間接的に提供することができる。ベース基材20は、当該技術分野において既知の手段によって、例えば、油加熱ローラー又は電気加熱ローラー上で加熱することによって、予備加熱することができる。例えば、ロール154を加熱して、繊維変位工程に先立って、ベース基材20を予備加熱することが可能である。
図1に示すように、供給ロール152が、矢印によって示される方向で回転すると、ベース基材20は、機械方向でローラー154上を越え、第1の逆回転噛み合いロールのセット102A及び104のニップ116へと移動する。ロール102A及びロール104は、装置150の、噛み合いローラーの第1の組み合わせである。第1の噛み合いロールのセット102A及び104は、変位された繊維を形成して、ベース基材20での繊維破断を促進するように動作し、本明細書では以後、構造化基材21と称される、構造化基材を作製する。噛み合いロール102A及び104を図2で更に明確に示す。
図2を参照すると、本発明の構造化基材21上に変位された繊維を作製するために、装置150の部分が、より詳細に示される。装置150のこの部分は、図2ではニップローラー100として示され、1対の噛み合いロール102及び104(それぞれ、図1のロール102A及びロール104に対応する)を含み、それぞれのロールは同一面内で平行である、軸線Aを中心に回転する。装置150は、ベース基材20が、特定の回転角の範囲内でロール104上に留まるように設計されるが、図2は、ベース基材20が装置150上のニップ116を通過して、変位された繊維6の領域を有する構造化基材21として抜け出る際に起こることを原理的に示す。噛み合いロールは、金属又はプラスチックから作製することができる。金属製ロールの非限定的な例は、アルミニウム又はスチールである。プラスチック製ロールの非限定的な例は、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、及びポリフェニレンオキサイド(PPO)である。プラスチックに金属又は無機添加物材料を充填してもよい。
図2に示すように、ロール102は、ロール102の円周全体の周りに途切れずに延在し得る、複数の隆起部106及び対応する溝108を含む。一部の実施形態では、構造化基材21中でどの種類のパターンが所望されるかに応じて、ロール102(及び、同様にロール102A)は、隆起部106の一部又は全てが、周囲方向で連続でなく、途切れ又は間隙を有するように、エッチング、ミリング、又はその他の機械加工プロセスなどによって除去されている隆起部106を含むことができる。途切れ又は間隙は、パターンを形成するように配置構成することができ、そのパターンとしては、円又はダイヤモンドなどの単純な幾何学的パターンが挙げられるが、またロゴ及び商標などの複雑なパターンも挙げられる。一実施形態では、ロール102は、以下でより詳細に説明する、ロール104上の歯と同様の歯を有することができる。この方式では、構造化基材21の両面12、14上に、変位された繊維6を有することが可能である。
ロール104はロール102と似ているが、ロール104は外周全体に切れ間なく延び得る隆起部を有する代わりに、ロール104の少なくとも一部に離間して延びる、円周方向に間隔を置いて配された歯列110として改変された円周方向に延びる複数の隆起部の列を含む。ロール104の個々の歯列110は、対応する溝112によって分離されている。動作時には、ロール102と104とは、ロール102の隆起部106がロール104の溝112内に延び、ロール104の歯110がロール102の溝108内に延びるようにして互いに噛み合う。この噛み合わせは、後述する図7の断面図により詳細に示されている。ロール102及びロール104の双方、又はいずれかは、当該技術分野において既知の手段によって、例えば、熱油を充填したローラー又は電気的に加熱されたローラーを使用することによって、加熱することができる。
図3に示すように、構造化基材21は、概して平面的な構造化基材20の2次元構成によって、構造化基材21の両面上に画定される第1の領域2と、ベース基材20の繊維の一体延伸から生じ得る、離間した変位された繊維6及び不連続部16によって画定される、複数の分離した第2の領域4とを有する。第2の領域4の構造は、構造化基材21のいずれの面を考慮するかに応じて、差異が付けられる。図3に示す構造化基材21の実施形態に対しては、構造化基材21の第1の表面12に関連する、構造化基材21の面上に、分離した第2の領域4のそれぞれが、第1の表面12から外側方向に伸びて固定されていない端部18を有する、複数の変位された繊維6を含み得る。変位された繊維6は、Z方向での顕著な配向を有する繊維を含み、変位された繊維6のそれぞれは、第2の領域4の第1の面11に沿って、第1の表面12に近位で配置される基部5と、第1の面11に対向する第2の領域4の第2の面13で、第1の表面12に接近して分離された、又は破断された固定されていない端部18と、第1の表面12からZ方向で最大距離の遠位部分3とを有する。第2の表面14に関連する構造化基材21の面上に、第2の領域4は、構造化基材21の第2の表面14上の繊維配向の不連続部16によって画定される、不連続部16を含む。不連続部16は、ロール104の歯110が、ベース基材20を貫通した場所に対応する。
本明細書で使用されるとき第2の領域4で使用される場合の「一体延伸」などでの用語「一体」は、第2の領域4の繊維がベース基材20の繊維に由来していることを指す。したがって、変位された繊維6の破断繊維8は、例えば、ベース基材20からの、可塑的に変形され、及び/又は延伸された繊維であることができ、したがって構造化基材21の第1の領域2と一体であることができる。換言すれば、全てではないが、一部の繊維は破断されており、そのような繊維は、当初からベース基材20中に存在していたものである。本明細書で使用されるとき、「一体」は、変位された繊維を作製する目的のために、別個の前駆体ウェブに導入されるか、又は追加される繊維とは区別されるものである。本発明の構造化基材21、22、及び構造化基材23の一部の実施形態は、そのような追加の繊維を利用することができるが、好ましい実施形態では、変位された繊維6の破断繊維8は、構造化基材21と一体である。
変位された繊維6中に破断繊維8を有する本発明の構造化基材21のための、好適なベース基材20は、破断して固定されていない端部18を形成するための、充分な繊維不動性及び/又は可塑的変形を有する繊維を含むべきであることが理解できる。そのような繊維を図4及び図5で固定されていない繊維端部18として示す。本発明には、変位された繊維6の固定されていない繊維端部18は、流体を捕集するための空隙、すなわち自由容積を作り出すために望ましい。好ましい実施形態では、Z方向に付勢される繊維の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%かつ100%未満が、固定されていない端部18を有する破断繊維8である。
第2の領域4は、形状、寸法、及び分布が様々であり得る比容積分布を目的として、X−Y面及びZ面の双方におけるパターンを形成するように、賦型可能である。
図2に示す構造化基材21の実施形態について変位された繊維6を有する代表的な第2の領域を、図3〜図6で更なる拡大図により示す。代表的な変位された繊維6は、変位された繊維6が実質的に位置合わせされる複数の破断した繊維8を含んでおり、かつ、変位された繊維6が異なる長手方向及び長手軸Lを有するように、ロール104上の挺出歯110上に形成された種類のものである。変位された繊維6は、MD−CD面中で長手方向の軸Lに概ね直交する横断する軸Tも有する。図2〜6に示す実施形態では,長手方向の軸LはMDに平行である。一実施形態では、全ての間隙を介した第2の領域4は、概ね平行な長手方向の軸Lを有する。好ましい実施形態では、第2の領域4は長手方向の配向を有する,すなわち、第2の領域は細長い形状を有し、円形にはならない。図4に示し、また図5及び図6に更に明確に示すように、細長歯110をロール104上で利用する場合、構造化基材21の一実施形態での変位された繊維6の破断繊維8の1つの特徴は、破断繊維8の選択的な方向的整合である。図5及び図6に示すように、破断繊維8の多くは、図6でのように平面図で見た場合、横方向軸線Tに対する実質的に均一な整合を有することができる。「破断」繊維8とは、変位された繊維6が、第2の領域4の第1の面11上で開始し、構造化基材21中の第1の面11に相対する第2の領域4の第2の面13に沿って分離されていることを意味する。
したがって、装置150との関連で理解できるように、構造化基材21の変位された繊維6は、概して平面的で2次元的として説明することができるベース基材20を機械的に変形させることによって作製される。「平面状」及び「2次元的」とは、第2の領域4が形成されたことによって付与された明瞭な面外のZ方向の3次元性を有する完成した構造化基材1に対してウェブが平坦であることを単純に意味する。「平面状」及び「2次元的」とは、いかなる特定の平坦度、平滑度又は次元性をも示唆するものではない。ベース基材20がニップ116を通過して進むと、ロール104の歯110が、ロール102Aの溝108に入り込み、同時にベース基材20の面外に繊維を押し出して、変位された繊維6及び不連続部16を含む第2の領域4を形成する。実質的に、歯110は、ベース基材20を「押し込む」か、又は「突き抜く」。歯110の先端部がベース基材20を押し込むと、CDに選択的に配向され、かつ歯110を横断して配向されている繊維の部分が、歯110によってベース基材20の面外に押し出され、Z方向で伸張され、引っ張られ、かつ/又は可塑的に変形されて、変位された繊維6の破断繊維8を含む第2の領域4が、結果として形成される。概して長手方向軸線Lに平行に、すなわちベース基材20の機械方向に選択的に配向されている繊維は、歯110によって、単に離れて広がり、実質的にベース基材20の第1の領域2内に留まる。
図2では、装置100は、1つのパターン付きロール、すなわちロール104、及び1つのパターンなし溝付きロール102を有する構成で示される。しかしながら、しかるべき実施形態では、各ロールの同じ又は異なる対応する領域に同じ又は異なるパターンのいずれかを有する2個のパターン形成ロールを使用することによって、ニップ116を形成することが好ましい場合もある。そのような装置は、構造化ウェブ21の両面から突出する変位された繊維6と、ウェブ21内に型押しされたマクロパターンとを有するウェブを作製することができる。
変位された繊維6の数、間隔、及び寸法は、歯110の数、間隔、及び寸法を変え、必要に応じてロール104及び/又はロール102に、対応する寸法的変化を加えることによって変更することができる。この変更を、ベース基材20における可能な変更、及びライン速度などの加工処理における変更と併用することによって、多種多様な構造化ウェブ21を、多くの目的のために作製することが可能になる。
構造化ウェブ21の説明から、変位された繊維6の破断繊維8は、構造化ウェブ21の第1の表面12又は第2の表面14のいずれかに由来して延在することができることが判る。当然、変位された繊維6の破断繊維8はまた、構造化ウェブ21の内部19から延在する場合もある。図5に示すように、変位された繊維6の破断繊維8は、ベース基材20の概して2次元の面外に押し出される(すなわち、図3に示すような「Z方向」に押し出される)ことによって延在する。一般に、第2の領域4の破断繊維8又は固定されていない端部18は、繊維ウェブの第1の領域2の繊維と一体であり、その繊維から延在する。
破断繊維8の延在には、可塑的変形及びポアソン比効果による、繊維断面寸法(例えば、丸形繊維に関する直径)の全般的な低減が伴うことがある。したがって、変位された繊維6の破断繊維8の部分は、ベース基材20の繊維並びに第1の領域2の繊維の平均繊維直径よりも小さい平均直径を有し得る。繊維断面直径の低減は、変位された繊維6の基部5と固定されていない端部3との中間で最大であることが見出されている。これは、変位された繊維6の基部5及び遠位部分3の部分が、以下でより詳細に説明するように、ロール104の歯110の先端部に隣接し、それゆえ加工処理の間、それらの部分が摩擦的に固定されて不動であるためと考えられる。本発明では、繊維断面の低減は、高い繊維強度及び低い繊維伸長性のために、最小である。
図7は、隆起部106及び歯110を含む、噛み合いロール102(及び、以下で論じる102A及び102B)及び104の一部分を、断面図で示す。図示するように、歯110は、歯高さTH(THは隆起部106高さにも適用可能であり;好ましい実施形態では歯高さ及び隆起部高さは等しくないことに注意)、及びピッチPと呼ばれる歯−歯間隔(又は隆起部−隆起部間隔)を有する。図示するように、係合の深さ(DOE)Eは、ロール102及び104の噛み合いのレベルの尺度であり、隆起部106の先端から歯110の先端で測定される。噛合深さE、歯の高さTH、及びピッチPは、所望により、ベース基材20の特性、及び本発明の構造化基材1の所望の特性に応じて、変更することができる。例えば、一般に、変位された繊維6内に破断繊維8を得るためには、繊維が破断するポイントまで変位された繊維を伸長させて可塑的に変形させるための、充分なレベルの係合Eが必要とされる。また、所望される第2の領域4の密度(構造化基材1の単位面積当たりの、第2の領域4)が大きくなるにつれて、以下で説明するように、ピッチは小さくするべきであり、歯の長さTL及び歯の距離TDは小さくするべきである。
図8は、スパンボンド不織布ベース基材20から、スパンボンド不織布材料の構造化基材21又は構造化基材1を作製するために有用な、複数の歯110を有するロール104の一実施形態の一部分を示す。図8に示す歯110の拡大図を図9に示す。ロール104のこの図では、歯110は、歯の先端部111で、一般に前縁LEから後縁TEまで測定される、約1.25mmの均一な周辺長さ寸法TLを有し、周囲方向で、約1.5mmの距離TDで互いに均等に離間している。ベース基材20から、繊維構造化基材1を作製するために、ロール104の歯110は、約0.5mm〜約3mmの範囲の長さTL、及び約0.5mm〜約3mmの間隔TD、約0.5mm〜約10mmの範囲の歯の高さTH、及び約1mm(0.040インチ)〜2.54mm(0.100インチ)のピッチPを有し得る。噛合深さEは、約0.5mm〜約5mm(最大で歯高THに達する)であり得る。当然ではあるが、E、P、TH、TD、及びTLは、変位された繊維6の所望の寸法、間隔、及び面密度(構造化基材1の単位面積当たりの、変位された繊維6の数)を達成するために、それぞれ互いに独立して変更することができる。
図9に示されるように、各歯110は、先端111、前縁LE及び後縁TEを有する。歯の先端部111は、繊維破断を最小限にするために丸めることができ、好ましくは細長形で、第2の領域4の長手方向軸線Lに対応する概して長手方向の配向を有する。構造化基材1の変位された繊維6を得るために、LE及びTEは、ロール104の局所的周囲表面120とほぼ直交しているべきである。同様に、先端部111、及びLE若しくはTEからの遷移は、歯110が、使用の際にベース基材20をLE及びTEで押し込むように、充分に小さい曲率半径を有する、直角などの比較的鋭利な角度であるべきである。代替的な歯先端部111は、接着を最適化するために、平坦表面にすることができる。
再び図1を参照すると、変位された繊維6が形成された後、構造化基材21は、回転ロール104上で、ロール104と第1の接着ロール156との間のニップ117へと移動することができる。接着ロール156は、数多くの接着技術を容易化することができる。例えば、接着ロール156は、ニップ117内に熱エネルギーを付与することによって、変位された繊維6の遠位端(先端部)で、構造化ウェブ21の近接する繊維を溶融接着するための、加熱スチールローラーとすることができる。
好ましい実施形態では、以下の好ましい構造化基材に関連して論じるように、接着ロール156は、変位された繊維6の遠位端の近接する繊維を熱接着するために、構造化ウェブ21に充分な熱エネルギーを付与するように設計された、加熱ロールである。熱接着は、近接する繊維を直接的に溶融接着することによるものか、又はポリエチレン粉末などの仲介熱可塑性剤を溶融させ、次に近接する繊維に付着させることによるものであってもよい。そのような目的のために、ポリエチレン粉末をベース基材20に添加することができる。
第1の接着ロール156を充分に加熱し、変位された繊維6の遠位端3の繊維を溶融させるか、又は部分的に溶融させることができる。第1の接着ロール156で必要な熱の量、又は熱容量は、変位された繊維6の繊維の溶融特性、及びロール104の回転速度に応じて決定される。第1の接着ロール156で必要な熱の量はまた、第1の接着ロール156とロール104上の歯110の先端部との間に誘起される圧力、並びに変位された繊維6の遠位端3で所望される溶融の程度に応じても決定される。
一実施形態では、第1の接着ロール156は、加熱スチール円筒形ロールであり、変位された繊維6の近接する繊維を溶融接着するために充分な表面温度を有するように加熱される。第1の接着ロール156は、内部電気抵抗加熱器によって、熱油によって、又は加熱ロールを作製するための、当該技術分野において既知の任意の他の手段によって、加熱することができる。第1の接着ロール156は、当該技術分野において既知のように、好適なモーター及び連結部によって駆動させることができる。同様に、第1の接着ロールは、ニップ117を正確に調節し、設定することができるように、調節可能な支持体上に取り付けることができる。
図10は、ニップ117を通過して構造化基材22に加工処理された後の構造化基材21の一部分を示し、これによれば、更なる加工処理をせずとも、本発明の構造化基材21とすることができる。構造化基材22は、変位された繊維6の遠位端3が接着され、好ましくは熱溶融接着されることにより、近接する繊維が少なくとも部分的に接着されて、遠位配置の溶融接着部分9を形成するという点を除き、前述のような構造化基材21と類似する。上述のプロセスによって変位された繊維6を形成した後、変位された繊維6の遠位部分3を加熱して、近接する繊維の部分が互いに接合されるように、繊維の部分を熱的に接合させ、「先端部接着」とも称される、溶融接着部分9を有する変位された繊維6を形成する。
この遠位配置の溶融接着部分9は、変位された繊維6の遠位部分への、熱エネルギー及び圧力の適用によって作製することができる。遠位配置の溶融接着部分9の寸法及び質量は、変位された繊維6の遠位部分に付与される熱エネルギーの量、装置150のライン速度、及び熱の適用方法を変性することによって、変性することができる。
別の実施形態では、遠位配置の溶融接着部分9は、放射熱の適用によって作製することができる。すなわち、一実施形態では、変位された繊維6の遠位配置部分中の繊維部分を軟化させるか若しくは溶融させるために充分な距離、及び対応する充分な時間で、構造化基材21に向けて放射熱を方向付けることができるように、放射熱源によって接着ロール156を置き換えるか、又は補助することができる。放射熱は、任意の既知の放射加熱器によって適用することができる。一実施形態では、放射熱は、抵抗加熱ワイヤーによって提供することができ、このワイヤーは、CD方向で、充分に近接した、均等な間隔距離で延在し、このワイヤーに対してウェブが移動する際に、放射熱エネルギーが、変位された繊維6の遠位配置部分を少なくとも部分的に溶融させるように、構造化基材21と関連させて配置される。別の実施形態では、衣服のアイロン掛け用の手持ち式アイロンなどの、加熱平坦アイロンを、溶融がそのアイロンによって行われるように、変位された繊維6の遠位端3に近接させて保持することができる。
上述のように構造化基材22を加工処理することの効果は、変位された繊維6を圧縮することも平坦化することもなく、ニップ117内の特定量の圧力の下で、変位された繊維6の遠位端3を溶融させることができる点である。したがって、3次元ウェブは、言わば形成後に熱接着を提供することによって、作り出して整えることができる、すなわち、その形状に「固定する」ことができる。更には、遠位配置の接着部分又は遠位配置の溶融接着部分9は、構造化基材22が、圧縮力又は剪断力を受けた場合に、変位された繊維6の嵩高の構造、及び構造化基材のエージングされたキャリパーを維持することに役立ち得る。例えば、上記で開示したように加工処理されて、第1の領域2と一体ではあるが第1の領域2から延在している繊維を含み、かつ遠位配置の溶融接着部分9を有する変位された繊維6を有する、構造化基材22は、供給ロール上に巻かれること及びその後に巻き出されることによる圧縮の後の、改善された形状保持を有し得る。隣接する繊維を変位された繊維6の遠位部分で結合することにより、繊維は、圧縮時にランダムさの少ないつぶれを経験する;すなわち、変位された繊維6の構造全体が一緒に動いて、ウェブの表面をこすることに伴う圧縮及び/又は剪断力などの無秩序化事象時により良好な形状保持を可能とさせると考えられる。
図1を参照して説明される代替的な実施形態では、基材20は、機械方向で、ローラー154上を越え、第1の逆回転噛み合いロールのセット102A及び104の、ニップ116へと移動するが、この場合、噛合深さが0.25mm(0.01インチ)〜3.81mm(0.15インチ)であることにより、部分的な繊維変位は生じるが、繊維破断は殆ど存在しない。次に、このウェブは、ロール104と接着ロール156との間に形成されるニップ117へと進行し、そこで部分的変位された繊維の先端部が接着される。ニップ117を通過した後、構造化基材22は、ロール104とロール102Bとの間に形成されるニップ118へと進行するが、このニップ118での噛合深さは、ニップ116での噛合深さよりも大きいことにより、変位された繊維を更に変位させ、破断繊維を形成する。このプロセスは、溶融接着部分9によって接合されている、より多くの変位された繊維6を生じさせることができる。
過剰接着
過剰接着とは、事前に繊維変位が施されている基材上に実行される、溶融接着を指す。過剰接着は、任意のプロセス工程である。この過剰接着は、インラインで行なってもよく、あるいは、別個の変換プロセス上で行なってもよい。
過剰接着は、一貫性のあるパターンでフィラメントを一体に融着させる、熱及び圧力に依存する。一貫性のあるパターンは、構造化基材の長さに沿って、反復パターンが認められるように再現可能なパターンとして定義される。過剰接着は、少なくとも一方のロールが加熱され、好ましくは双方のロールが加熱される、加圧ローラーのニップに通過させて行なわれる。ベース基材が既に加熱されている場合に、過剰接着を行なうのであれば、加圧ローラーのニップを加熱する必要はない。過剰接着領域11のパターンの例を図12Aから12Fに示すが;他の過剰接着のパターンが可能である。図12Aは、機械方向に連続パターンを形成する、過剰接着領域11を示す。図12Bは、過剰接着11の連続的な網目が形成されるように、機械方向及び横断方向の双方に連続する過剰接着領域11を示す。このタイプのシステムは、単一工程の過剰接着ロール、又は複数のロール接着システムで、作り出すことができる。図12Cは、機械方向に不連続である過剰接着領域11を示す。図12Cに示すMD過剰接着パターンはまた、連続的又は不連続的なデザインでMD過剰接着線に接続する、CDでの過剰接着領域11も含み得る。図12Dは、MDで波のパターンを形成する過剰接着領域11を示す。図12Eは、ヘリンボーンパターンを形成する過剰接着領域11を示し、図12Fは、波状ヘリンボーンパターンを示す。
過剰接着のパターンは、均一に分布している必要はなく、特定の用途に適合するように起伏を付けてもよい。過剰接着が実行される総面積は、繊維ウェブの総面積の75%未満、好ましくは50%未満、より好ましくは30%未満、最も好ましくは25%未満であるが、少なくとも3%であるべきである。
図13は、過剰接着の特性を示す。過剰接着領域11は、過剰接着領域の中間で測定される、ベース基材20の第1の領域の厚さ32に対する厚さ特性を有する。過剰接着領域11は、圧縮された厚さ42を有する。過剰接着領域は、構造化基材21上の特性的な幅44、及び過剰接着領域間の間隔46を有する。
第1の領域の厚さ32は、好ましくは0.1mm〜1.5mm、より好ましくは0.15mm〜1.3mm、更により好ましくは0.2mm〜1.0mm、最も好ましくは0.25mm〜0.7mmである。過剰接着領域の厚さ42は、好ましくは0.01mm〜0.5mm、より好ましくは0.02mm〜0.25mm、更により好ましくは0.03mm〜0.1mm、最も好ましくは0.05mm〜0.08mmである。過剰接着領域11の幅44は、好ましくは0.05mm〜15mm、より好ましくは0.075mm〜10mm、更により好ましくは0.1mm〜7.5mm、最も好ましくは0.2mm〜5mmである。過剰接着領域11間の間隔46は、構造化基材21内で均一である必要はないが、極限値は、0.2mm〜16mm、好ましくは0.4mm〜10mm、より好ましくは0.8mm〜7mm、最も好ましくは1mm〜5.2mmの範囲内に収まる。過剰接着領域11の間隔46、幅44、及び厚さ42は、引っ張り強度特性及び流体処理特性などの、構造化基材21に所望される特性に基づく。
図13は、過剰接着厚さ42を有する過剰接着11を、構造化基材21の一方の面上に作り出すことができることを示す。図14は、構造化基材21を作製するために使用する方法に応じて、過剰接着11を、構造化基材21のいずれの面上にも作り出すことができることを示す。構造化基材を他の不織布と組み合わせて、流体の管理を更に補助する場合、トンネルを作り出すために、構造化基材21の両面12、14上に過剰接着11が所望される場合がある。例えば、両面構造化基材を、多層式の高容量流体捕捉システム中で使用してもよい。
過剰接着プロセス
図1の装置を参照すると、構造化基材23は、変位された繊維6の遠位配置部分ではない接着部分、すなわち変位された繊維6の遠位配置部分のみではない接着部分を有し得る。例えば、接着ロール156用に、平坦で円筒形のロールではなく、噛み合う隆起部付きのローラーを使用することによって、第2の領域4の間の第1の領域2中の第1の表面12上の場所などの構造化基材23の他の部分を接着することができる。例えば、溶融接着された材料の連続的な線を、変位された繊維6の列の間の第1の表面12上に作製することができる。この溶融接着された材料の連続的な線が、前述の過剰接着領域11を形成する。
一般に、1つの第1の接着ロール156を図示しているが、一連のニップ117及び/又は関与する様々なタイプの接着ロール156で接着が行なわれるように、プロセスのこの段階で、2つ以上の接着ロールが存在してもよい。更には、接着ロールのみが存在するのではなく、類似のロールを提供して、機能的効果を付与するための、様々な表面処理剤のような、様々な物質を、ベース基材20又は構造化ウェブ21に転写することができる。そのような処理剤を塗布するための当該技術分野では既知の任意の方法を用いることができる。
ニップ117を通過した後、構造化基材22は、ロール104とロール102Bとの間に形成されるニップ118へと進行するが、ロール102Bは、好ましくはロール102Aと同一のものである。ロール102Bの周りを進む目的は、構造化基材22をロール104から、それらの間に形成された変位された繊維6を乱すことなく取り出すことである。ロール102Bは、ロール102Aと全く同じように、ロール104と噛み合うため、変位された繊維6が、ロール102Bの溝108内に適合し、同時に構造化基材22が、ロール102Bの周りに巻き付けられる。ニップ118を通過した後、構造化基材22は、本発明の構造化基材23として、更に加工処理されるために供給ロール上に巻き取られる。しかしながら、図1に示す実施形態では、構造化基材22は、ロール102Bと第2の接着ロール158との間のニップ119を通過して加工処理される。第2の接着ロール158は、第1の接着ロール156と、同一設計のものとすることができる。第2の接着ロール158は、構造化基材22の第2表面14の一部分を少なくとも部分的に溶融させ、ロール102Bの隆起部106の先端部とロール158の概ね平坦で滑らかな表面との間のニップの圧力に対応する、複数の、非交差で実質的に連続する過剰接着領域11を形成するために充分な熱を提供することができる。
第2の接着ロール158は、プロセスにおける唯一の接着工程として(すなわち、最初に変位された繊維6の遠位端を接着することによって構造化基材22を形成させることなく)使用することができる。そのような場合では、構造化ウェブ22は、その第2の面14上に接着部分を有する、構造化ウェブ23である。しかしながら、一般に、構造化ウェブ23は、好ましくは、変位された繊維6の接着遠位端(先端部接着)と、その第1の面12上若しくは第2の面14上の複数の、非交差で、実質的に連続する溶融接着領域とを有する、二重過剰接着の構造化ウェブ22である。
最終的に、構造化基材23は、形成された後で、保管のため、及び他の製品内の構成要素として更に加工処理するために、供給ロール160上に巻き取ることができる。
代替的な実施形態では、図1Aに示す方法を使用して、構造化基材21に第2基材21Aを追加することができる。この第2基材21Aは、フィルム、不織布、又は前述のような第2のベース基材とすることができる。この実施形態に関しては、ベース基材20は、機械方向で、ローラー154上を越え、第1の逆回転噛み合いロール組102A及び104のニップ116へと移動し、そこで繊維は充分に変位され、破断繊維を形成する。次に、このウェブは、ロール104と接着ロール156との間に形成されるニップ117へと進行し、そこで第2基材21Aが導入されて、変位された繊維6の遠位部分3に接着される。ニップ117を通過した後、構造化基材22は、ロール104とロール102Bとの間に形成されるニップ118へと進行するが、ニップ118での噛合深さは、ロール104及びロール102Bが係合しないようにゼロであるか、又はその噛合深さは、更なる繊維変位が構造化基材で生じないように、ロール102Aとロール104との間のニップ116で形成される噛合深さより小さい。あるいは、この実施形態に対しては、第2基材21Aでは変形が生じるが、構造化基材22では更なる繊維変位が生じないように、ニップ118での噛合深さを設定することができる。換言すれば、ニップ118での噛合深さは、ニップ116での噛合深さより更に小さい。
材料
本発明のベース基材のための繊維を形成するために使用される組成物は、熱可塑性ポリマー材料、及び非熱可塑性ポリマー材料を含み得る。熱可塑性ポリマー材料は、溶融紡糸に適したレオロジー特性を有する必要がある。ポリマーの分子量は、ポリマー分子間の絡み合いを可能にするうえで充分でなければならず、なおかつ溶融紡糸を可能とするだけ充分に低くなければならない。溶融紡糸のために、熱可塑性ポリマーは、約1,000,000g/mol未満、好ましくは約5,000g/mol〜約750,000g/mol、より好ましくは約10,000g/mol〜約500,000g/mol、更により好ましくは約50,000g/mol〜約400,000g/molの分子量を有する。特に指定のない限り、表示される分子量は数平均分子量である。
熱可塑性ポリマー材料は、短繊維用の紡糸延伸プロセス又はスパンボンド連続繊維プロセスなどの既知のプロセスで典型的に見られるように、比較的急速に、好ましくは延伸流動の下で固化して、熱安定性である繊維構造を形成することが可能である。好ましいポリマー材料としては、ポリプロピレン及びポリプロピレンコポリマー、ポリエチレン及びポリエチレンコポリマー、ポリエステル及びポリエステルコポリマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリアクリレート、及びこれらのコポリマー、並びにこれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。他の好適なポリマー材料としては、米国特許出願公開第2003/0109605(A1)号及び同第2003/0091803号に詳細に述べられるような熱可塑性デンプン組成物が挙げられる。その他の好適なポリマー材料としては、エチレンアクリル酸、ポリオレフィンカルボン酸のコポリマー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらのポリマーは、米国特許公開第6746766号、米国特許第6818295号、同第6946506号、及び米国特許出願第03/0092343号に記載されている。通常の熱可塑性ポリマー繊維等級の材料が好ましく、特に、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリヒドロキシアルカノエート系樹脂、及びポリエチレン系樹脂、並びにこれらの組み合わせが好ましい。ポリエステル系樹脂及びポリプロピレン系樹脂が、最も好ましい。
本発明での使用に好適な熱可塑性ポリマーの非限定的な例としては、脂肪族ポリエステルアミド;脂肪族ポリエステル;ポリエチレンテレフタレート(PET)及びコポリマー(coPET)、ポリブチレンテレフタレート及びコポリマーを含む芳香族ポリエステル;ポリトリメチレンテレフタレート及びコポリマー;ポリプロピレンテレフタレート及びコポリマー;ポリプロピレン及びプロピレンコポリマー;ポリエチレン及びポリエチレンコポリマー;脂肪族/芳香族コポリエステル;ポリカプロラクトン;参照により本明細書に組み込まれているNodaへの米国特許第5,498,692号で参照されている、ポリ(ヒドロキシブチレート−コ−ヒドロキシバレレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−コ−ヘキサノエート)、又は他の高級ポリ(ヒドロキシブチレート−コ−アルカノエート)を含むポリ(ヒドロキシアルカノエート);脂肪族ポリオールから誘導されるポリエステル及びポリウレタン(すなわち、ジアルカノイルポリマー);ポリアミド;ポリエチレン/ビニルアルコールコポリマー;乳酸ホモポリマー及び乳酸コポリマーを含む乳酸ポリマー;ラクチドホモポリマー及びラクチドコポリマーを含むラクチドポリマー;グリコリドホモポリマー及びグリコリドコポリマーを含むグリコリドポリマー;及びこれらの混合物が挙げられる。脂肪族ポリエステルアミド、脂肪族ポリエステル、脂肪族/芳香族コポリエステル、乳酸ポリマー、及びラクチドポリマーが好ましい。
本明細書で記載の構造化繊維ウェブの形成での使用に好適なしかるべきポリエステルは、再生可能な資源から少なくとも部分的に誘導可能である。このようなポリエステルはアルキレンテレフタレートを含むことができる。再生可能な資源から少なくとも部分的に誘導されるこのような好適なアルキレンテレフタレートは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキシレンジメチルテレフタレート(PCT)、及びこれらの組み合わせを含むことができる。例えば、このようなバイオ源のアルキレンテレフタレートは、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第7,666,501号;米国特許公開第2009/0171037号、同第2009/0246430号、同第2010/0028512号、同第2010/0151165号、同第2010/0168371号、同第2010/0168372号、同第2010/0168373号、及び同第2010/0168461号;及びPCT公開第WO 2010/078328号に記述されている。
バイオ源PETの代替物は、再生可能な資源から製造可能である、ポリ(エチレン2,5−フランジカルボキシレート)(PEF)を含むことができる。PEFは、PETに類似の熱的及び結晶化性質を有する再生可能な又は部分的に再生可能なポリマーであることができる。PEFは、スパンボンド繊維及び再生可能な材料によるこれらの繊維をベースとする不織布の以降の製造における石油系PET(又は別の好適なポリマー)への単独の置き換え物又はそれとのブレンドとして機能する。これらのPEFの例は、参照により本明細書に組み込まれている、PCT公開WO 2009/076627号及びWO 2010/077133に記述されている。
好適な乳酸ポリマー及びラクチドポリマーとしては、一般に、約10,000g/mol〜約600,000g/mol、好ましくは約30,000g/mol〜約400,000g/mol、より好ましくは約50,000g/mol〜約200,000g/molの範囲の重量平均分子量を有する、それらのホモポリマー、及び乳酸及び/又はラクチドのコポリマーが挙げられる。市販のポリ乳酸ポリマーの例としては、Golden,ColoradoにあるChronopol Incorporationより入手可能な様々なポリ乳酸及び商標名EcoPLA(登録商標)で販売されているポリラクチドが挙げられる。好適な市販のポリ乳酸の例は、Cargill Dow製のNATUREWORKS及びMitsui Chemical製のLACEAである。約160°〜約175℃の融点を有するポリ乳酸のホモポリマー又はコポリマーが好ましい。ポリL−乳酸、及び最大75%のD−異性体濃度を有するポリD,L−乳酸などの変性ポリ乳酸並びに種々の立体配置も使用してもよい。高融点のPLAポリマーを作製するためのD−異性体及びL−異性体の所望によるラセミ混合物も好ましい。これらの高融点のPLポリマーは、融点が180℃よりも高い特殊なPLAコポリマーである(D異性体とL異性体が異なる立体モノマーとして処理されるとの理解に基づく)。これらの高い融点は、結晶子の寸法を特殊制御して、平均の融点を上昇させることによって達成される。PETなどの他のポリエステルの代わりに使用可能なしかるべきポリ乳酸繊維は、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第5,010,175号に記述されている。
使用される特定のポリマー、方法、及び繊維の最終用途に応じて1つ以上のポリマーが望ましいこともある。本発明のポリマーは、繊維の機械的特性、繊維の不透明度を向上させ、繊維との流体相互作用を最適化し、溶融加工性を向上させ、繊維の細繊化を向上させる量で存在する。ポリマーの選択及び量は、繊維が熱的に接着可能であるか否かを更に決定し、最終製品の柔軟性及びテクスチャに影響する。本発明の繊維は、単一のポリマー、ポリマーのブレンドを含むことができ、又は2つ以上のポリマーを含む多成分繊維であってもよい。本発明における繊維は、熱接着性である。
多成分のブレンドが望ましい場合もある。例えば、この方法を用いてポリエチレンとポリプロピレンのブレンド(以後、ポリマーアロイと呼ぶ)を混合及び紡糸することができる。別の例は、異なる粘度又は異なるモノマー含有量を有するポリエステルのブレンドである。各成分中に区別可能な化学種を含有する多成分繊維を製造することもできる。非限定的な例としては、25メルトフローレート(MFR)のポリプロピレンと50MFRのポリプロピレンとの混合物、及び25MFRのホモポリマーポリプロピレンとコモノマーとしてエチレンを含むポリプロピレンの25MFRのコポリマーとの混合物が挙げられる。
より好ましいポリマー材料は、110℃よりも高い、より好ましくは130℃よりも高い、更により好ましくは145℃よりも高い、更により好ましくは160℃よりも高い、最も好ましくは200℃よりも高い融点を有する。また更に、本発明に好ましいものは、高いガラス転移温度を有するポリマーである。最終用途の繊維の形態において−10℃よりも高い、より好ましくは0℃よりも高い、更により好ましくは20℃よりも高い、最も好ましくは50℃よりも高いガラス転移温度が好ましい。こうした特性の組み合わせが、高温で安定の繊維を作り出す。このタイプの材料の例示的な例は、ポリプロピレン、ポリ乳酸系ポリマー、及びポリエステルテレフタレート(PET)系のポリマー系である。
再生可能な資源由来のポリマーの検証
好適な検証の方法は14C分析によるものである。大気中の少量の二酸化炭素は放射性である。14Cの二酸化炭素は、紫外線が窒素に当たり、窒素が中性子を生じ、窒素がプロトンを失って、分子量14の炭素を形成し、これが直ちに二酸化炭素に酸化されるときに生成される。この放射性アイソトープは、大気炭素の少量であるが測定可能な部分である大気の二酸化炭素は、緑色植物によって循環されて、光合成として知られるプロセス中に有機分子を製造する。循環は、緑色植物又は生命体の他の形態が、有機分子を代謝すると完了して、二酸化炭素を生成し、再び大気へ放出される。実質的に全ての形の地球上の生命は、生長し、再生産する有機分子のこの緑色植物の製造に依存している。したがって、大気中に存在する14Cは、すべての生命形態及びそれらの生物学的生成物の一部となる。対照的に、化石燃料系炭素は、大気の二酸化炭素のシグネチュア放射性炭素比率を有さない。
材料中の再生可能な炭素のアセスメントは、標準の試験方法により実施可能である。放射性炭素及びアイソトープ比質量分析を用いて、材料のバイオ系含有量を定量することができる。以前は米国材料協会として知られていたASTM Internationalは、材料のバイオ系含有量を見積もる標準的な方法を確立した。このASTMの方法はASTM D6866−10と表示される。
「バイオベース含有量」を導き出すためのASTM D6866−10の適用は、放射性炭素年代測定法と同じ概念上に構築されるが、年齢方程式の使用を伴わない。分析は、未知のサンプル中の有機放射性炭素(14C)の量の現代の参照基準の量に対する比率を導き出すことによって行われる。比率は、単位「pMC」(現代炭素パーセント)による百分率として示される。
放射性炭素年代測定法において使用される現代参照基準は、およそAD 1950年と同等の既知の放射性炭素含有量によるNIST(米国標準技術局)基準である。各爆発と共に大量の過剰の放射性炭素(「ボンブカーボン」と称される)を大気中に導入した熱核兵器実験以前の時代を代表するために、AD 1950年が選択された。AD 1950参照は、100pMCを代表する。
大気中の「ボンブカーボン」は、実験のピークであり、かつ実験を停止させる条約の以前の1963年に、正常濃度のほぼ2倍に到達した。大気内のその分布は、その出現以来近似されており、AD 1950年以来生存している植物及び動物について100pMCを超える値を示す。それは経時的に徐々に減少して、今日の値は107.5pMC近くである。これは、トウモロコシなどの新しいバイオマス材料が、107.5pMC付近に放射性炭素シグネチュアを与えることができるということを意味する。
化石炭素を現代の炭素と物質中に組み合わせることは、現代のpMC含有量の希釈を起こすであろう。107.5pMCが現代のバイオマス物質を代表し、0pMCが石油誘導体を代表すると仮定することによって、その物質について測定されるpMC値は、2つの構成成分タイプの割合を反映するであろう。現代のダイズに100%由来する物質は、107.5pMCに近い放射性炭素シグネチュアを与えるであろう。その材料を例えば50%石油誘導体で希釈したとすると、それは、54pMCに近い放射性炭素シグネチュアを与えるであろう(石油誘導体が大豆と同一の炭素の百分率を与えると仮定して)。
バイオマスの含有量結果は、100%が107.5pMCに等しく、0%が0pMCに等しいように割り当てることによって導き出される。この点で、99pMCと測定されるサンプルは、92%の同等のバイオベース含有量の値を与える。
本明細書に記述の材料のアセスメントをASTM D6866に従って行った。この報告で引用される中央値は、最終構成成分放射性炭素シグネチュアにおける変動を計上するために、6%の絶対範囲(バイオベースの含有量値のいずれかの側でのプラスマイナス3%)を包含する。すべての物質が、現代又は化石の起源であるということ、及び所望の結果が、製造プロセスにおいて「使用される」バイオベースの量ではなく、物質中に「存在する」バイオベースの成分の量であるということが仮定される。
一実施形態では、構造化繊維ウェブは、ASTM D6866−10、方法Bを用いて約10%〜約100%のバイオ系含有量値を含む。別の実施形態では、構造化繊維ウェブは、ASTM D6866−10、方法Bを用いて約25%〜約75%のバイオ系含有量値を含む。更なる別の実施形態では、構造化繊維ウェブは、ASTM D6866−10、方法Bを用いて約50%〜約60%のバイオ系含有量値を含む。
任意の構造の繊維ウェブのバイオ系含有量の決定のためにASTM D6866−10の方法を適用するためには、構造の繊維ウェブの代表的なサンプルが試験のために入手されなければならない。一実施形態では、構造の繊維ウェブを、既知の磨砕方法(例えば、Wiley(登録商標)ミル)を用いて,約20メッシュ未満の粒子に磨砕し、好適な重量の代表的なサンプルをランダムに混合した粒子から採取することができる。
所望による材料
所望により、ベース基材のための繊維を形成するために使用される、紡糸可能な組成物中に他の成分を混和することができる。必要に応じて用いられる材料を使用することによって加工性を改変し、及び/又は最終製品の不透明度、弾性、引っ張り強度、湿潤強度、及び弾性率などの物理特性を改変することができる。他の効果としては、これらに限定されるものではないが、酸化安定性などの安定性、白色度、色、可撓性、弾力性、加工性、加工助剤、粘度改変剤、及び悪臭防止効果が挙げられる。必要に応じて用いられる材料の例としては、これらに限定されるものではないが、二酸化チタン、炭酸カルシウム、着色顔料、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらに限定されるものではないが、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、及びチタンの酸化物などの無機充填剤を含む更なる添加物を安価な充填剤又は加工助剤として添加してもよい。他の好適な無機材料としては、これらに限定されるものではないが、ケイ酸マグネシウム水和物、二酸化チタン、炭酸カルシウム、粘土、チョーク、窒化ホウ素、石灰岩、珪藻土、雲母、ガラス、石英、及びセラミックスが挙げられる。更に、これらに限定されるものではないが、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びリン酸塩などの無機塩類を使用することもできる。
所望により、他の成分を、組成物中に混和することができる。必要に応じて用いられるこれらの成分は、組成物の重量に対して約50重量%未満、好ましくは約0.1重量%〜約20重量%、更に好ましくは約0.1重量%〜約12重量%の量で存在してよい。必要に応じて用いられるこれらの成分を使用することによって、加工性を改変し、及び/又は最終製品の弾性、引っ張り強度及び弾性率といった物理的特性を改変することができる。他の効果としては、酸化安定性を含めた安定性、白色度、可撓性、色、弾力性、加工性、加工助剤、粘度変性剤、生分解性、及び臭気制御が挙げられるが、これらに限定されない。非限定的な例としては、塩、スリップ剤、結晶化促進剤又は抑制剤、臭気マスキング剤、架橋剤、乳化剤、界面活性剤、シクロデキストリン、潤滑剤、他の加工助剤、光学的光沢剤、酸化防止剤、難燃剤、染料、顔料、充填剤、タンパク質及びそのアルカリ塩、ワックス、粘着付与樹脂、増量剤、並びにこれらの混合物が挙げられる。スリップ剤を使用して、繊維の粘着度又は摩擦係数の低減に役立てることができる。また、スリップ剤を使用して、特に高い湿度又は温度での、繊維の安定性を向上させることができる。好適なスリップ剤は、ポリエチレンである。熱可塑性のデンプン(TPS)もまた、ポリマー組成物に添加することができる。ポリエステル熱可塑性材料、具体的にはPETの製造及び使用における静電気の蓄積を低減するために使用されるポリマー添加物が、特に重要である。そのような好ましい材料は、アセトアルデヒドスカベンジャー、エトキシル化ソルビトールエステル、グリセロールエステル、スルホン酸アルキル、これらの組み合わせ及び混合物、並びに配合される誘導体である。
マグネシウム、アルミニウム、シリコン、及びチタンの酸化物などの無機充填剤を含む更なる添加剤を安価な充填剤又は加工助剤として添加してもよい。その他の無機材料としては、水和ケイ酸マグネシウム、二酸化チタン、炭酸カルシウム、粘土、チョーク、窒化ホウ素、石灰石、珪藻土、雲母、ガラス、石英、及びセラミックスが挙げられる。更に、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、リン酸塩などの無機塩類を加工助剤として使用してもよい。熱可塑性デンプンブレンド繊維の水反応性を変性する他の任意材料は、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、及び他のステアレートなどの、ステアレート系塩、並びにガムロジンなどの、ロジン構成成分である。
親水性剤を、ポリマー組成物に添加してもよい。親水性剤は、当該技術分野において既知の標準的方法で添加することができる。親水性剤は、低分子量のポリマー材料又はポリマー化合物とすることができる。親水性剤は、また、高分子量を有するポリマー材料であってもよい親水性剤は、0.01重量%〜90重量%の量で存在し、0.1重量%〜50重量%の好ましい範囲、及び0.5重量%〜10重量%の更により好ましい範囲を有し得る。親水性剤は、樹脂の製造元で、最初の樹脂を製造する際に添加するか、又は繊維を作製する際に、押出成形機内のマスターバッチとして添加することができる。好ましい剤は、ポリエステル系ポリマーのための、ポリエステルポリエーテル、ポリエステルポリエーテルコポリマー、及び非イオン性ポリエステル化合物である。エトキシル化低分子量及び高分子量のポリオレフィン化合物も添加可能である。これらの材料に相溶化剤を添加して、これらの材料に関するより良好な加工処理を補助し、より均一で均質なポリマー化合物を生み出すことができる。当業者ならば、相溶化剤の使用は、本質的にはベースポリマーでは効果的でない融解添加物を使用してポリマーアロイを製造するための配合工程で追加し得ることを理解するであろう。例えば、ベースのポリプロピレン樹脂は、相溶化剤としての変性ポリプロピレンの使用によって、親水性のポリエステルポリエーテルコポリマーと一体化可能である。
繊維
本発明におけるベース基材を形成する繊維は、モノコンポーネント又は多成分であってもよい。用語「繊維」は、1,000より大きい長さ対厚さの比を有する、固化ポリマー形状として定義される。本発明のモノコンポーネント繊維はまた、多成分であってもよい。本明細書で使用するところの成分とは、物質又は材料の化学種を意味するものとして定義される。多成分繊維は、本明細書で使用するとき、2種以上の化学種又は材料を含有する繊維を意味するように定義される。多成分ポリマー及びアロイポリマーは、本発明では同じ意味を有し、互換的に使用することができる。一般的には、繊維は、モノコンポーネントのタイプのものか、又は多成分のタイプのものとすることができる。成分は、本明細書で使用するとき、繊維の別の部分に対して空間的関係を有する、繊維の別個の部分として定義される。多成分という用語は、本明細書で使用するとき、繊維が、互いに対する空間的関係において2つ以上の別個の部分を有することとして定義される。多成分という用語は、繊維が、互いに対する空間的関係において2つの別個の部分を有することとして定義される、バイ成分を包含する。多成分繊維の異なる成分は、繊維の横断面にわたって実質的に個別の区域内に配置構成され、繊維の長さに沿って連続して延びる。多成分繊維を作製するための方法は、当該技術分野において周知である。多成分繊維の押出成形は、1960年代には周知であった。DuPontは、多成分機能の先端技術開発者であり、米国特許第3,244,785号、及び同第3,704,971号は、これらの繊維を作製するために使用される技術の技術説明を提供する。R.Jeffriesによる「Bicomponent Fibers」(Merrow Publishing 1971)は、バイオ成分技術に対する確固たる土台を敷設した。より最近の刊行物としては、「Taylor−Made Polypropylene and Bicomponent Fibers for the Nonwoven Industry」(Tappi Journal 1991年12月(103ページ))、及び「Advanced Fiber Spinning Technology」(Nakajima編、Woodhead Publishingより)が挙げられる。
本発明で形成される不織布は、種々の押出成形システムから、同じ紡糸口金を通じて供給される、複数のタイプのモノコンポーネント繊維を含み得る。この実施例では、押出成形システムは、種々のポリマーを別個の毛管に供給する多成分押出成形システムである。例えば、一方の押出成形システムが、ポリエステルテレフタレートを供給し、他方が、ポリエステルテレフタレートコポリマーを供給して、このコポリマー組成物は、異なる温度で融解する。第2の例では、一方の押出成形システムが、ポリエステルテレフタレート樹脂を供給し、他方が、ポリプロピレンを供給する。第3の例では、一方の押出成形システムが、ポリエステルテレフタレート樹脂を供給し、他方が、この第1のポリエステルテレフタレート樹脂とは異なる分子量を有する追加的なポリエステルテレフタレート樹脂を供給する。このシステムでのポリマーの比率は、95:5〜5:95、好ましくは90:10〜10:90及び80:20〜20:80の範囲とすることができる。
バイ成分繊維及び多成分繊維は、並列、シース−コア、分割パイ、リボン、海島型の構成、又はこれらの任意の組み合わせの形であってもよい。シースは、コアの周囲において連続的又は非連続的であってよい。代表的な多成分繊維の非限定的な例は、米国特許第6,746,766号に開示されている。コアに対するシースの重量比は、約5:95〜約95:5である。本発明の繊維は、限定ではないが、丸形、楕円形、星形、三葉形、3〜8葉の多葉形、長方形、H形状,C形状、I形状、U形状及び他の種々の偏心形を含む、種々の断面形状を有してもよい。中空繊維もまた、使用することができる。好ましい形状は、丸形、三葉形、及びH形状である。丸形及び三葉形の繊維形状はまた、中空であってもよい。
「高度細繊化繊維」とは、高いドローダウン比を有する繊維として定義される。繊維全体のドローダウン比は、最大直径での繊維(典型的には、毛管から出た直後の結果である)と最終用途での最終的な繊維直径との比率として定義される。繊維全体のドローダウン比は、1.5より大きい、好ましくは5より大きい、より好ましくは10より大きい、最も好ましくは12より大きい。これは、触覚性、及び有用な機械的特性を達成するために必要である。
本発明の成形繊維の繊維「直径」は、繊維の外周に外接する円の直径として定義される。中空繊維の場合では、直径は中空領域の直径ではなく、中実領域の外縁部の直径である。非円形の繊維の場合では、繊維直径は、非円形繊維の葉部又は縁部の最も外側の点に外接する円を用いて測定される。この外接円の直径は、その繊維の有効直径と呼ばれる場合もある。好ましくは、高度細繊化多成分繊維は、500マイクロメートル未満の有効繊維直径を有する。より好ましくは、この有効繊維直径は、250マイクロメートル以下、更により好ましくは100マイクロメートル以下、最も好ましくは50マイクロメートル以下である。不織布を作製するために通常使用される繊維は、約5マイクロメートル〜約30マイクロメートルの有効繊維直径を有する。本発明における繊維は、典型的なスパンボンド不織布で見られる繊維よりも、大きくなる傾向がある。したがって、10マイクロメートル未満の有効直径を有する繊維は有用ではない。本発明で有用な繊維は、約10マイクロメートルより大きい有効直径、より好ましく15マイクロメートルより大きい有効直径、最も好ましくは20マイクロメートルより大きい有効直径を有する。繊維直径は、紡糸速度、質量スループット、及びブレンド組成によって制御される。本発明における繊維が積層構造体へと作製される場合、その層は、小径繊維を含み得る追加層、更にはナノ寸法の繊維さえも含み得る追加層と組み合わせることができる。
スパンレイド直径という用語は、繊維が、約12.5マイクロメートルより大きい、最大50マイクロメートルまでの有効直径を有することを指す。この直径範囲は、最も標準的なスパンレイド装置によって作り出される。マイクロメートル及びミクロン(μm)は、同じことを意味し、互換的に使用することができる。メルトブローン直径は、スパンレイド直径よりも小さい。メルトブローン直径は、典型的には、約0.5〜約12.5マイクロメートルである。好ましいメルトブローン直径は、約1〜約10マイクロメートルの範囲である。
成形繊維の直径は、判定し難い場合があるため、その繊維のデニールが参照される場合が多い。デニールは、9000リニアメートルの長さでの、グラム単位の繊維の質量として定義され、dpf(フィラメント当たりのデニール)として表される。したがって、直径からデニールへ変換する場合、及びその逆の場合には、繊維の固有密度も要因に含まれる。本発明に関しては、好ましいデニールの範囲は、1dpfより大きい、100dpf未満である。より好ましいデニールの範囲は、1.5dpf〜50dpf、更により好ましい範囲は、2.0dpf〜20dpf、最も好ましい範囲は、4dpf〜10dpfである。ポリプロピレンに関するデニールと直径との関係の例は、約0.900g/cm3の密度を有する中実丸形のポリプロピレンの1dpfの繊維は、約12.55マイクロメートルの直径を有する。
本発明には、繊維は、制限された伸縮性を有し、圧縮力に耐えるための剛性を呈することが望ましい。本発明の繊維は、フィラメント当たり5gより大きい、個々の繊維破断荷重を有する。繊維の引張特性は、ASTM標準規格D 3822−91によって一般に説明される手順、又は等価の試験に従って測定されるが、使用した実際の試験は、以下で詳細に説明される。引っ張り係数(特に指定のない限り、ASTM標準規格D 3822−91で指定される初期係数)は、0.5GPa(ギガパスカル)より大きい、より好ましくは1.5Gpaより大きい、更により好ましくは2.0Gpaより大きい、最も好ましくは3.0Gpaより大きくあるべきである。より高い引っ張り係数は、持続可能な比容積を提供する、より剛性の繊維を生じる。実施例を以下に記載する。
本発明では、繊維の親水性及び疎水性を調節することができる。ベース樹脂の特性は、共重合により親水性の特性を有し得る(特定のポリエステル(一般にスルホポリエステル群のポリマーである、Eastman Chemical製のEASTONE)又はポリプロピレン若しくはポリエチレンなどのポリオレフィンに関する場合など)か、又はベース樹脂に添加され、そのベース樹脂を親水性にさせる材料を有し得る。添加物の代表的な例には、CIBA Irgasurf(登録商標)の添加物の一群が含まれる。本発明における繊維は、また、作製後に、処理又はコーティングして、親水性にさせることもできる。本発明では、耐久性のある親水性が好ましい。耐久性のある親水性とは、2回以上の流体相互作用の後に、親水性の特性を維持すること定義される。例えば、評価中のサンプルが、耐久性のある親水性に関して試験される場合には、サンプル上に水を注ぎ、湿潤を観察することができる。サンプルが浸潤しているならば、そのサンプルは、初期には親水性である。次に、サンプルを水で完全にすすぎ、乾燥させる。すすぎは、サンプルを大きな容器内に入れて10秒間攪拌し、次いで乾燥させることによって、最良に行なわれる。乾燥後のサンプルはまた、再び水と接触させた場合にも、浸潤するべきである。
本発明の繊維は、熱的に安定である。繊維の熱安定性は、熱湯中で30%未満の収縮、より好ましくは20%未満の収縮、最も好ましくは10%未満の収縮を有することとして、定義される。本発明における一部の繊維は、5%未満の収縮を有する。収縮は、熱湯中に1分間定置される前後の、繊維の長さを測定することによって判定される。高度細繊化繊維は、熱安定性である繊維の製造を可能にする。
本発明におけるベース基材で使用される繊維形状は、いくつかある形状の中でも特に、中実丸形、中空丸形、及び様々な多葉形の成形繊維からなることができる。互いに異なる断面形状を有する成形繊維の混合物とは、走査型電子顕微鏡によって断面を調べた場合に、区別可能に充分に異なる断面形状を有する少なくとも2種類の繊維として定義される。例えば、2種類の繊維は三葉形であるが、一方の三葉形は長い脚を有し、他方の三葉形は短い脚を有してもよい。好ましくはないが、成形繊維は、全体的な断面形状が同じであっても1つの繊維が中空であって別の繊維が中実である場合には、異なっているとされる場合もある。
多葉形状の繊維は、中実であっても、中空であってもよい。多葉形繊維は、繊維の外側表面に沿って、2つ以上の変曲点を有するとして定義される。変曲点とは、繊維の軸に垂直に繊維を切断した場合の、繊維表面に対して垂直に引いた線の傾斜の絶対値における変化であるとして、定義される。成形繊維には、三日月形、楕円形、方形、菱形、又は他の好適な形状も含まれる。
中実円形の繊維は、合成繊維の業界では長年にわたって既知である。これらの繊維は、繊維断面の幅にわたって光学的に実質的に連続した物質の分布を有する。これらの繊維は、微小空隙、又は内部フィブリル化を含み得るが、実質的に連続であると見なされる。中実丸形繊維の外側表面に対して、変曲点は存在しない。
本発明の中空繊維は、円形形状又は多葉形状のいずれかによらず中空領域を有する。中空繊維の中実の領域が中空の領域を包囲する。中空領域の外周は、中実領域の内周でもある。中空領域は、中空繊維と同じ形状であってもよく、又は中空領域の形状は、非円形又は非同心状とすることができる。複数の中空領域が繊維内に存在してもよい。
中空領域は、いかなる材料も含まない繊維の部分として定義される。また、空隙領域又はから空間として述べることもできる。中空領域は、繊維の約2%〜約60%を構成する。中空領域は、好ましくは繊維の約5%〜約40%を構成する。中空領域は、より好ましくは繊維の約5%〜約30%を構成し、最も好ましくは繊維の約10%〜約30%を構成する。これらの割合は、中空繊維の断面領域(すなわち2次元)に対して与えられたものである。
本発明においては中空領域の割合を制御する必要がある。中空領域の百分率は、好ましくは2%より大きいが、さもなければ、中空領域の効果は、意味を持たない。しかしながら、中空領域は、好ましくは60%未満であり、さもなければ、繊維が圧潰する恐れがある。所望の中空率(%)は、使用される材料、繊維の最終用途、並びに他の繊維特徴及び用途によって決まる。
互いに区別される断面形状を有する、2種以上の成形繊維の平均繊維直径は、各繊維のタイプの平均デニールを測定し、各成形繊維のデニールを、等価の中実丸形繊維の直径に変換し、各成形繊維の、総繊維含有量の百分率によって重み付けした平均直径を合わせて加え、繊維のタイプ(異なる成形繊維)の総数で除算することによって算出される。平均繊維デニールもまた、平均繊維直径(又は等価の中実丸形繊維の直径)を、繊維の密度の関係によって変換することによって算出される。平均直径が、少なくとも約10%高いか又は低い場合には、繊維は、異なる直径を有すると見なされる。互いに異なる断面形状を有する2種類以上の成形繊維は、同じ直径を有しても、又は異なる直径を有してもよい。更にこれらの成形繊維は、同じデニールを有しても、又は異なるデニールを有してもよい。特定の実施形態では、これらの成形繊維は、直径は異なるが同じデニールを有する。
多葉形繊維には、これらに限定されるものではないが、三葉形及びデルタ形などの最も一般的に見られる形態が含まれる。多葉形繊維の他の好適な形状としては、三角形、方形、星形、又は楕円形が挙げられる。これらの繊維は、少なくとも1つの傾斜変曲点を有するとして、最も正確に説明される。傾斜変曲点とは、繊維の傾斜が変化する、繊維の表面の外周に沿った点として、定義される。例えば、デルタ形状の三葉形繊維は、3つの傾斜変曲点を有し、顕著な三葉形繊維は、6つの傾斜変曲点を有する。本発明における多葉形繊維は、一般に、約50未満の傾斜変曲点、最も好ましくは約20未満の傾斜変曲点を有する。多葉形繊維は非円形として一般的に述べることができ、中実又は中空のいずれであってもよい。
本発明の1成分及び多成分繊維は、多くの異なる形態を有し得る。本明細書で使用される成分は、物質又は材料の化学種を意味するものとして定義される。繊維は構造としてモノコンポーネントのものであってもよい。成分とは、本明細書で使用するとき、繊維の別の部分に対して空間的関係を有する、繊維の別個の部分として定義される。
繊維を形成した後に、その繊維を更に処理してもよく、又はその接着布を処理することもできる。親水性仕上げ又は疎水性仕上げを追加して、布地の表面エネルギー及び化学的性質を調節することができる。例えば、親水性である繊維を湿潤剤で処理し、水性液体の吸収を促進させることができる。接着布もまた、界面活性剤、顔料、スリップ剤、塩、又は他の材料を含有する局所溶液で処理し、繊維の表面特性を更に調節することができる。
本発明における繊維は、捲縮させることが可能であるが、この繊維は捲縮させないことが好ましい。捲縮繊維は、一般に、2つの方法で作り出される。第1の方法は、既に紡糸された後の、繊維の機械的な変形である。繊維を溶融紡糸して、最終フィラメント直径まで引き下げ、一般的には、2次元的捲縮若しくは3次元的捲縮のいずれかを付与する歯車又はスタッファーボックスに通して、機械的に処理する。この方法は、大部分のカーディングされた短繊維を作り出す際に使用される;しかしながら、カーディングされた短繊維の布地は、繊維が連続的ではなく、また捲縮繊維から製造される布地が、繊維変形技術を使用する前には、概して非常に嵩高であるため、好ましくない。繊維を捲縮させるための第2の方法は、スパンレイド法で捲縮することが可能な、多成分繊維を押し出すことである。当業者ならば、2成分の捲縮したスパンボンド繊維を製造する多数の方法が存在することを認識しているが;本発明に対しては、捲縮したスパンレイド不織布の製造に3つの主な方法が考慮される。第1の方法は、ポリマーの種類、ポリマーの分子量特徴(例えば分子量の分布)、又は添加剤の含量の差異に基づく紡糸線におけるポリマーの結晶化の差のために紡糸線において生じる捲縮である。第2の方法は、スパンレイド基材へと紡糸された後の、繊維の収縮差である。例えば熱接着工程の間などに、スパンレイドウェブを加熱することによって、紡糸されたままの繊維内での結晶化度の差異のために、繊維の捲縮を引き起こすことができる。捲縮を引き起こす第3の方法は、繊維又はスパンレイドウェブを、機械的に伸張させることである(一般に、機械的な伸張に関しては、ウェブは一体となって接着されている)。この機械的な伸張は、2種のポリマー成分間の、応力−歪み曲線における差異を顕在化させることができ、この差異によって捲縮を引き起こすことができる。
後の2つの方法は、繊維が紡糸された後で活性化しなければならないために、通常は、潜在的捲縮工程と呼ばれる。本発明では、捲縮繊維の使用に関しては、優先順位が存在する。カーディングされた短繊維の布地は、それらが1.3mm未満のベース基材の厚さを有するのであれば、使用することができる。スパンレイド布地又はスパンボンド布地は、連続フィラメントを含むために好ましく、ベース基材の厚さ、すなわちキャリパーが1.3mm未満であれば、捲縮させることができる。本発明に関しては、ベース基材は、100重量%未満の捲縮繊維、好ましくは50重量%未満の捲縮繊維、より好ましくは20重量%未満の捲縮繊維、より好ましくは10重量%未満の捲縮繊維、最も好ましくは0重量%の捲縮繊維を含む。捲縮工程は、繊維の表面上で輸送される流体の量を低減する可能性があり、また捲縮は、ベース基材の特定の密度を低減することによって、ベース基材の固有の毛管現象を低減する可能性があることから、捲縮していない繊維が好ましい。
短い長さの繊維とは、50mm未満の長さを有する繊維として、定義される。本発明では、連続繊維は、2つの付加的効果をもたらすため、短く切断された繊維よりも好ましい。第1の効果は、流体が、繊維端部を経ずに、より長距離を輸送され、それゆえ毛細現象の増強がもたらされ得ることである。第2の効果は、連続繊維は、接着された網目が、短い長さの繊維から構成されるマトリックスよりも、より全体として相互接続している繊維の連続的なマトリックスを有するために、より高い引っ張り強度及び剛性を有するベース基材を生じることである。本発明のベース基材は、非常に少量の短い長さの繊維、好ましくは50重量%未満の短い長さの繊維、より好ましくは20重量%未満の短い長さの繊維、より好ましくは10重量%未満の短い長さの繊維、最も好ましくは0重量%の短い長さの繊維を含むことが好ましい。
本発明におけるベース基材のために製造される繊維は、好ましくは熱接着性である。本発明における熱接着性とは、ピーク融点近く又はピーク融点を超えて上昇すると軟化し、少なくとも低い圧力の適用の影響下で、一体となって固着又は融着する繊維として定義される。熱接着に関しては、熱可塑性繊維の総含有量は、30重量%を超え、好ましくは50重量%を超え、更により好ましくは70重量%を超え、最も好ましくは90重量%を超えるべきである。
スパンレイド法
本発明におけるベース基材を形成する繊維は、好ましくは、スパンレイド布地を形成する連続フィラメントである。スパンレイド布地は、本質的に連続的なフィラメントから形成される、基本的に凝集性の引張特性を有さない、非接着布地として定義される。連続フィラメントは、10,000:1を超える比率の長さ対直径の高い比率を有する繊維として定義される。スパンレイド布地を構成する本発明での連続フィラメントは、短繊維、短く切断された繊維、又は他の意図的に作製された短い長さの繊維でない。本発明における連続フィラメントは、平均して、長さ100mmを超え、好ましくは長さ200mmを超える。本発明における連続フィラメントはまた、意図的に又は非意図的に、捲縮されていない。
本発明でのスパンレイド法は、米国特許第3,802,817号;同第5,545,371号;同第6,548,431号、及び同第5,885,909号に開示されるような高速紡糸プロセスを用いて作製される。これらの溶融紡糸法では、押出成形機は、溶融ポリマーを溶融ポンプに供給し、この溶融ポンプは、特定の体積の溶融ポリマーを、繊維に形成される複数の毛管から構成される紡糸パックに送り出し、そこで繊維は、空気急冷区域で冷却され、空気圧でドローダウンされ、その寸法を高細繊化繊維に低減して、分子レベルの繊維配向によって繊維強度を増大する。次いで、延伸された繊維は、形成ベルト又は形成テーブルとしばしば呼ばれる、多孔性のベルト上に堆積される。
連続フィラメントの作製に使用される、本発明でのスパンレイド法は、1メートル当たり100〜10,000の毛管、好ましくは1メートル当たり200〜7,000の毛管、より好ましくは1メートル当たり500〜5,000の毛管、更により好ましくは1メートル当たり1,000〜3,000の毛管を含む。本発明での1つの毛管当たりのポリマーの質量流量は、0.3GHM(穴当たりの1分当たりのグラム)より大きい。好ましい範囲は、0.4GHM〜15GHM、好ましくは0.6GHM〜10GHM、更により好ましくは0.8GHM〜5GHM、最も好ましい範囲は1GHM〜4GHMである。
本発明でのスパンレイド法は、高度に細繊化された、捲縮していない連続フィラメントを作製するための単一のプロセス工程を含む。押し出されたフィラメントは、急冷用空気の区域から引き出され、ここでフィラメントは、細繊化しながら、冷却及び硬化される。スパンレイド法は、米国特許第3338992号、同第3802817号、同第4233014号、同第5688468号、同第6548431(B1)号、同第6908292(B2)号、及び米国特許出願第2007/0057414(A1)号に開示されている。欧州特許第1340843(B1)号、及び同第1323852(B1)号に記述されている技術も、スパンレイド不織布の製造に使用可能である。高細繊化連続フィラメントは、紡糸口金からのポリマーの出口から細繊化器具へと直接ドローダウンされるが、スパンレイド布地は形成テーブル上で形成されるため、連続フィラメントの直径又はデニールは、実質的に変化しない。本発明での好ましいスパンレイド法は、延伸装置を含み、この装置は、紡糸口金出口と空気圧式延伸装置との間で繊維を空気圧により延伸し、形成ベルト上に繊維を配列することができる。この方法は、紡糸口金から繊維を機械的に引き出す、他のスパンレイド法とは異なる。
本発明におけるスパンレイド法は、単一の工程で;上記に開示したような規定の固有引っ張り強度、繊維直径又はデニールを有する、熱安定性である連続した捲縮されていない繊維を製造するものである。好ましいポリマー材料としては、ポリプロピレン及びポリプロピレンコポリマー、ポリエチレン及びポリエチレンコポリマー、ポリエステル及びポリエステルコポリマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリアクリレート、及びこれらのコポリマー、並びにこれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。他の好適なポリマー材料としては、米国特許出願公開第2003/0109605(A1)号及び同第2003/0091803号に詳細に述べられるような熱可塑性デンプン組成物がある。更に他の好適なポリマー材料としては、エチレンアクリル酸、ポリオレフィンカルボン酸コポリマー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらのポリマーは、米国特許第6746766号、同第6818295号、同第6946506号、及び米国特許出願第03/0092343号に記載されている。通常の熱可塑性ポリマー繊維グレードの材料が好ましく、特に、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリヒドロキシアルカノエート系樹脂、及びポリエチレン系樹脂、並びにこれらの組み合わせが好ましい。最も好ましいのは、ポリエステル系樹脂及びポリプロピレン系樹脂である。代表的なポリエステルテレフタレート(特記しない限り、以降ポリエステルと称する)樹脂は、Eastman F61HC(IV=0.61dL/g)、Eastman 9663(IV=0.80dL/g)、DuPont Crystar 4415(IV=0.61gL/g)である。好適なコポリエステルは、Eastman 9921(IV−0.81)である。本発明に好適なポリエステル固有粘度(IV)の範囲は、約0.3dL/g〜0.9dL/g、好ましくは0.45dL/g〜0.85dL/g、より好ましくは0.55dL/g〜0.82dL/gの範囲である。固有粘度は、ポリマー分子量の尺度であり、ポリマー技術者には周知である。本発明でのポリエステル繊維は、アロイ、モノコンポーネント、及び賦型品であってもよい。好ましい実施形態は、3dpf〜8dpfのデニールを有する、0.61dL/gの樹脂から製造される、多葉形の、好ましくは三葉形のポリエステル繊維である。本発明ではPETが最も一般的に参照されるが、PBT、PTT、PCTなどの、他のポリエステルテレフタレートポリマーを使用してもよい。
樹脂特性の特定の組み合わせをスパンボンド法で使用して、高デニールの熱接着PET不織布を製造することができることが、予期を超えて見出された。Eastman F61HC PETポリマー及びEastman 9921 coPETは、熱接着されていても熱安定性である繊維を製造するための、理想的な組み合わせを提供することが見出された。この予期を超えた発見は、F61HC及び9921が、別個の毛管を通じて、70:30〜90:10の範囲の比率(F61HC:9921の比率)で押出すことができ、結果として得られるウェブが、一体となって熱接着され、熱的に安定な不織布を製造することができるということである。この例での熱的に安定とは、熱湯中で5分後に、MDで10%未満の収縮を有することとして、定義される。この熱的安定性は、4000メートル/分より大きい紡糸速度によって達成され、丸形繊維及び成形繊維の双方において、1dpf〜10dpfの範囲のフィラメントのデニールを生成する。5g/m2〜100g/m2の範囲の坪量が作製された。これらの布地は、熱ポイント接着で作製された。これらのタイプの布地は、使い捨て吸収性物品、乾燥機用シート、及び屋根用フェルトなどの、広範囲の用途で使用可能である。所望ならば、マルチビームシステムを単独で使用してもよく、又は微細繊維直径の層を、2つのスパンレイド層の間に定置させ、次いで一体に接着してもよい。
更なる好ましい実施形態は、ポリプロピレン繊維及びスパンレイド不織布の使用である。ポリプロピレンに関する好ましい樹脂特性は、5MFR(10分当たりの、グラム単位のメルトフローレート)〜400MFRのメルトフローレートであり、10MFR〜100MFRの好ましい範囲、15MFR〜65MFRの更により好ましい範囲、及び23MFR〜40MFRの最も好ましい範囲を有する。MFRの測定に使用される方法については、230℃で2.16kgの重量を用いて測定したものがASTM D1238に概略的に述べられている。
モノコンポーネント繊維及び多成分繊維から作り出される不織布製品は、また、しかるべき特性、具体的には、強度、可撓性、柔軟性、及び吸収性を呈する。強度の目安としては、乾燥及び/又は湿潤引っ張り強度が挙げられる。可撓性は剛性と関連しており、柔軟性に起因するものであると考えられる。柔軟性は、可撓性及びテクスチャの両方と関連する生理学的に知覚される属性として一般に述べられる。吸収性は、製品が流体を取り込む能力、並びにその流体を保持する容量と関連している。本発明における吸収性は、パルプ繊維、再生セルロース繊維(例えば、レーヨン)で見出されるような、繊維自体の内部領域の水の取り込みは伴わない。一部の熱可塑性ポリマーは、本質的に、少量の水を取り込む(例えばポリアミド)ため、その水の取り込みは、10重量%未満、好ましくは5重量%未満、最も好ましくは1重量%未満に制限される。本発明における吸収性は、繊維及び不織布構造の親水性から生じ、主として、繊維の表面積、孔径、及び接着交差部分に応じて決定される。毛管現象は、流体と繊維性基材との相互作用を説明するために使用される、一般的な現象である。毛管の性質は当該技術分野ではよく理解されており、Albin Turbakによる、「Nonwovens:Theory,Process,Performance and Testing」、Chapter 4に詳しく述べられている。
本発明におけるベース基材を形成するスパンレイドウェブは、1g/g(グラム当りのグラム)〜10g/g、より好ましくは2g/g〜8g/g、最も好ましくは3g/g〜7g/gの吸収性取り込み、すなわち保持能力(C
保持)を有する。この取り込みの測定は、MDでの長さ15cm及びCDでの幅5cmの乾燥サンプルを計量する(グラム単位で)ことによって行なわれ、乾燥重量をm
乾燥とし、次に、このサンプルを蒸留水中に30秒間浸してから、サンプルを水から取り出し、10秒間垂直に(MDで)吊り下げて、次に再びサンプルを計量し、湿潤重量をm
湿潤とする。最終湿潤サンプル重量(m
湿潤)から乾燥サンプル重量(m
乾燥)を差し引き、乾燥サンプル重量(m
乾燥)で除算することで、サンプルに関する吸収性、すなわち保持能力(C
保持)を得る。すなわち以下の式となる。
構造化基材は、同様の保持能力を有する。
本発明におけるスパンレイド法は、所望の坪量を有するスパンレイド不織布を製造する。坪量は、単位面積当たりの繊維/不織布の質量として定義される。本発明に関しては、ベース基材の坪量は、10g/m2〜200g/m2であり、15g/m2〜100g/m2の好ましい範囲、18g/m2〜80g/m2のより好ましい範囲、及び25g/m2〜72g/m2の更により好ましい範囲を有する。最も好ましい範囲は、30g/m2〜62g/m2である。
多成分繊維を製造する際の第1の工程は、配合又は混合の工程である。配合工程では、典型的には、剪断力の作用下で原材料を加熱する。組成が適切に選択されていれば、熱の存在下での剪断によって均質な溶融物が得られる。次に、溶融物を、繊維が形成される押出成形機内に定置する。繊維の集束物を、熱、圧力、化学的バインダー、機械的交絡、及びこれらの組み合わせを使用して、一体化して、不織布ウェブの形成を生じさせる。次に、この不織布を変性し、ベース基材へと組み上げる。
配合工程の目的は、均質な溶融組成物を作り出すことである。多成分ブレンドに関しては,この工程の目的は、熱可塑性ポリマー材料を、共に溶融ブレンドすることであり、この場合の混合温度は、最も高い融点の熱可塑性構成成分を上回る。任意成分もまた、添加して、共に混合することができる。好ましくは、この溶融組成物は均質であり、これは一様分布が広範囲にわたって見出され、特異な領域が認められないことを意味する。ポリプロピレンにポリ乳酸を添加する場合、又はポリプロピレンに熱可塑性デンプンを添加する場合などのように、弱い混和性を有する材料を一体化するために、相溶化剤を添加してもよい。
二軸配合は、当該技術分野において周知であり、ポリマーアロイを調製するため、又はポリマーを任意材料と共に適切に混合するために使用される。二軸押出成形機は、一般的には、ポリマー製造と繊維紡糸工程との間に使用される単独プロセスである。コストを低減するために、繊維の押し出しを、二軸押出成形機で開始して、配合と繊維の作製とを直接一緒にすることができる。特定のタイプの一軸押出成形機では、良好な混合及び相溶化をインラインで行うことができる。
最も好ましい混合デバイスは、複数の注入ポイントを備える複数混合区域二軸押出成形機である。二軸バッチ混合機又は一軸押出成形システムも使用可能である。充分な混合及び加熱が行われる限り、特定の使用機器は、必要不可欠ではない。
本発明は、溶融紡糸のプロセスを利用する。溶融紡糸においては、押出品での重量損失は存在しない。溶融紡糸は、溶液からの湿式紡糸又は乾式紡糸などの、他の紡糸とは区別されるが、それらの紡糸では、揮発又は拡散によって、溶媒が押出品から除去されていることにより、重量損失がもたらされる。
紡糸は、120℃〜約350℃、好ましくは160℃〜約320℃、最も好ましくは190℃〜約300℃で生じる。100メートル/分より大きい繊維紡糸速度が必要とされる。好ましくは、繊維紡糸速度は、約1,000〜約10,000メートル/分、より好ましくは約2,000〜約7,000メートル/分、最も好ましくは約2,500〜約5,000メートル/分である。単一繊維の試験、並びにベース基材又は構造化基材の熱安定性によって判定されるような、強固で熱安定性である繊維を作製するために、ポリマー組成物は、高速で紡糸されなければならない。
均質な溶融組成物を、市販の溶融紡糸装置上で、モノコンポーネント繊維又は多成分繊維へと溶融紡糸することができる。この装置は、多成分繊維の所望の構成に基づいて選択される。市販の溶融紡糸装置は、Melbourne,Floridaにある、Hills,Inc.より入手可能である。繊維の紡糸(モノコンポーネント及び多成分)に関する優れた資料は、Woodhead Publishingからの、Nakajimaによる「Advanced Fiber Spinning Technology」である。紡糸のための温度は、約120℃〜約350℃の範囲である。加工処理温度は、各成分の化学的性質、分子量、及び濃度によって決定される。空気細繊化技術の例は、Hill’s Inc、Neumag、及びREICOFILにより市販されている。本発明のために好適な技術の例は、Reifenhauser REICOFIL 4スパンレイド法である。これらの技術は、不織布産業界において周知である。
流体処理
本発明の構造化基材を使用して、流体を管理することができる。流体管理とは、構造化基材の特性の制御による、流体の意図的な移動として定義される。本発明では、流体管理は、2つの工程によって達成される。第1の工程は、繊維の形状、繊維のデニール、坪量、接着方法、及び表面エネルギーによって、ベース基材の特性を設計操作することである。第2の工程は、繊維変位によって発生する空隙容積部を設計操作することを伴う。
吸収性物品
図23は、本発明の特定の実施形態に基づいたおむつ210の平面図である。おむつ210は、その広げられた非収縮(弾性による収縮がない)状態で示され、おむつ210の一部は、おむつ210の下層構造をより明瞭に示すために切り取られている。着用者と接触するおむつ210の部分は、図23において観察者の方を向いている。おむつ210は、一般的に、シャーシ212及びシャーシ内に配設される吸収性コア214とを含み得る。
図23におけるおむつ210のシャーシ212は、おむつ210の本体を構成してもよい。シャーシ212は、液体透過性であってよいトップシート218、及び/又は液体不透過性であってよいバックシート220を含む外側カバー216を有し得る。吸収性コア214は、トップシート218とバックシート220との間に収められてもよい。シャーシ212はまた、サイドパネル222、弾性レッグカフ224、及び弾性ウェスト機構226も有し得る。
レッグカフ224及び弾性ウェスト機構226は、典型的には、それぞれ弾性部材228を有し得る。おむつ210の一方の端部は、おむつ210の第1のウェスト領域230として構成することができる。おむつ210の反対側の端部は、おむつ210の第2のウェスト領域232として構成することができる。おむつ210の中間部分は、第1のウェスト領域230と第2のウェスト領域232との間に長手方向に延びる股領域234として構成することができる。ウェスト領域230及び232は弾性要素を有することにより、着用者の腰部の周囲に寄り集まって高いフィット感及び密閉性をもたらすことができる(弾性ウェスト機構226)。股部領域34は、おむつ210の着用時に着用者の脚の間に概ね位置するおむつ210の部分である。
おむつ210は、図23にその長手方向軸236及び横方向軸238とともに示されている。おむつ210の外周240はおむつ210の外縁部によって画定され、長手方向の縁部242がおむつ210の長手方向軸236にほぼ平行に延び、端縁部244がおむつ210の横方向軸238にほぼ平行に長手方向の縁部242の間に延びている。シャーシ212は、少なくとも1つの締結部材246及び少なくとも1つの保存ランディング領域248を含み得る締結システムを備えてもよい。
おむつ220はまた、フィット感、密閉性、美的特徴を向上させるための前方及び後方イヤーパネル、ウェストキャップ機構、伸縮材などの当技術分野では既知の他の機構を含んでもよい。このような更なる機構は当該技術分野では周知のものであり、例えば米国特許第3,860,003号及び同第5,151,092号に述べられている。
おむつ210を着用者の周囲に定位置に保持するため、第1のウェスト領域230の少なくとも一部を締結部材246により第2のウェスト領域232の少なくとも一部に取り付けることによって、脚部開口部及び物品の腰部を形成することができる。締結する時、締結システムが物品の腰部周辺の引張荷重を支える。締結システムにより、物品の使用者は締結部材246のような締結システムの1つの要素を掴んで、第1のウェスト領域230を第2のウェスト領域232と少なくとも2箇所において連結することができる。これは、締結装置の要素間の結合強度を操作することによって実現することができる。
特定の実施形態によれば、おむつ210は再密閉型な締結システムを備えてもよく、あるいはパンツ型のおむつの形態で提供されてもよい。吸収性物品がおむつである場合、吸収性物品は、おむつを着用者に固定するためにシャーシに接合された再閉鎖可能な締結システムを含んでもよい。吸収性物品がパンツ型のおむつである場合、物品は、シャーシ及び互いに接合されてパンツを形成する少なくとも2つのサイドパネルを有してもよい。締結システム及びその任意の要素は、これらに限定されるものではないが、プラスチック、フィルム、発泡体、不織布、織布、紙、積層体、繊維強化プラスチックなど、又はこれらの組み合わせを含む、こうした用途に適した任意の材料を含み得る。特定の実施形態では、締結システムを構成する材料は可撓性であってもよい。可撓性によって、締結システムを身体の形状に適合させることができ、締結システムが着用者の皮膚を刺激したり傷つけたりする可能性を低減させることができる。
一体型の吸収性物品の場合では、シャーシ212及び吸収性コア214がおむつ210の主構造を形成し、他の機構を加えることで複合おむつ構造を形成することができる。トップシート218、バックシート220、及び吸収性コア214を種々の周知の構造で組み立ててもよいが、好ましいおむつ構造は、1996年9月10日、Roeらに発行の「Absorbent Article With Multiple Zone Structural Elastic−Like Film Web Extensible Waist Feature」と題する米国特許第5,554,145号;1996年10月29日、Buellらに発行の「Disposable Pull−On Pant」と題する同米国特許第5,569,234号;及び1999年12月21日、Roblesらに発行の「Absorbent Article With Multi−Directional Extensible Side Panels」と題する同第6,004,306号に概ね記述されている。
図23のトップシート218は全体的又は部分的に伸縮性を持たせてもよく、又はトップシート218と吸収性コア214との間に隙間が形成されるように短縮させてもよい。伸縮性又は短縮型トップシートを含む例示の構造体は、1991年8月6日、Allenらに発行の「Disposable Absorbent Article Having Elastically Extensible Topsheet」と題する米国特許第5,037,416号;及び1993年12月14日、Freelandらに発行の「Trisection Topsheets for Disposable Absorbent Articles and Disposable Absorbent Articles Having Such Trisection Topsheets」と題する同第5,269,775号により詳細に記述されている。
バックシート226は、トップシート218に接合されてもよい。バックシート220は、吸収性コア214により吸収されておむつ210内に封じ込められた排出物が、例えばベッドシーツ及び下着などのおむつ210と接触し得る他の外部の物品を汚すことを防止することができる。特定の実施形態では、バックシート226は、液体(例えば、尿)に対して実質的に不透過性であってもよく、不織布と約0.012mm(0.5ミル)〜約0.051mm(2.0ミル)の厚さを有する熱可塑性フィルムのような薄いプラスチックフィルムとの積層体で構成することができる。好適なバックシートフィルムとしては、Tredegar Industries Inc.(Terre Haute,Ind.)により製造され、X15306、X10962、及びX10964の商品名で販売されるものが挙げられる。他の好適なバックシート材料としては、おむつ210から蒸気を逃がす一方で、液体排出物のバックシート210からの通過を防止する通気性材料を挙げることができる。代表的な通気性材料としては、織布ウェブ、不織布ウェブなどの材料、フィルムコートされた不織布ウェブなどの複合材料、並びに日本国の三井石油化学工業株式会社によりESPOIR NOの表記で、及びEXXON Chemical Co.(Bay City,Tex.)によりEXXAIREの表記で、製造されるものなどの微多孔質フィルムを挙げることができる。ポリマーブレンドを含む適した通気性複合材料は、名称HYTRELブレンドP18−3097でClopay Corporation(Cincinnati,Ohio)から入手可能である。こうした通気性複合材料については、E.I.DuPontの名義で1995年6月22日に公開された国際特許出願公開第WO 95/16746号により詳細に述べられている。不織布ウェブ、孔あき成形フィルムなどの他の通気性バックシートについては、Dobrinらに付与された1996年11月5日発行の米国特許第5,571,096号に述べられている。
図23の断面線2−2に沿って、着用者に接している側から図23の断面を見ると、おむつ210は、トップシート218、吸収性コア214の構成要素、及びバックシート220を含んでもよい。おむつ210は更に、液体透過性のトップシート218と、吸収性コア214の着用者に面した面との間に配される捕捉システム250を有し得る。捕捉システム250は、吸収性コアと直接接触し得る。
捕捉システム250は本発明の繊維ウェブを含んでいる。本発明においては、吸収性物品は全体として比較的薄いものであることが望ましい。これにより、必要とされる貯蔵容量が小さくなり、陳列用のスペースが小さくて済む。更に、より薄い吸収性物品は、多くの消費者により魅力的であることが分かっている。薄い吸収性物品を助長するには、捕捉システムもできるだけ薄くする必要がある。しかしながら、薄い材料ほど一時的な液体保持容量がしばしば小さくなる。薄いことに加えて、捕捉システムは、トップシート上の自由流体による吸収性物品の漏れを防ぐために流体を速やかに捕捉できるものである必要がある。本発明の捕捉システムは更に、物品の前方及び後方ウェスト領域に向かう液体の輸送を可能とするために高い吸い上げ性能を有する必要がある。これにより、吸収性コアによって構成された吸収性物品のより効率的な使用が可能である。更に、前方及び後方ウェスト領域に向かった液体の貯蔵性が高いことにより、濡れた場合においても股部における嵩が小さい吸収性物品が実現される。
本発明の繊維ウェブは、第2の表面がトップシートに面した状態で捕捉システムにおいて使用することができる。これらの実施形態では、第1の領域のトップシートに面した表面は、吸収性物品内に排出された液体を一時的に保持する機能を有する空隙容積部を形成する。すなわち、繊維ウェブ自体のみではなく、繊維ウェブの表面の直ぐ上の領域も流体を保持するうえで機能する。第2の領域によって形成される、トップシートに面した不連続部は、トップシートと繊維ウェブの第1の領域との間の間隔を維持するための隆起部として機能する。第2の領域によって形成される不連続部の自由端は、繊維ウェブ内に比較的開放的な構造を形成し、液体が繊維ウェブ内、更には繊維ウェブの下の吸収性コア内へと、あるいは捕捉システムの更なる下層内へと(更なる捕捉システムの層を有する実施形態の場合)、容易かつ速やかに流入することが可能である。
あるいは、第1の表面がトップシートに面したままで本発明の繊維ウェブを捕捉システムで使用してもよい。これらの実施形態では、不連続部の内部の空隙容積部は、流体を速やかに捕捉して一時的に保持する機能を有する。液体は、繊維ウェブの他の領域へ、更に繊維ウェブの下の吸収性コアへと、特に変位された繊維によって形成される自由端を通って拡がることができる。
大量の吸収性ポリマー材料を有する吸収性コアを備えた吸収性物品では、所定量のエアフェルトを有する吸収性コアと比較して初期の流体吸収は遅いことが多い。これらの吸収性物品では、捕捉システムが流体を捕捉して一時的に保持できることが特に重要である。更に、大量の吸収性ポリマー材料を有する吸収性コアは、典型的には、薄い吸収性物品の製造を可能とし、こうした薄い吸収性物品は、本発明の薄い構造化繊維ウェブを使用して捕捉システムによって更に支持される。
捕捉システム250は、本発明の繊維ウェブのみから構成されてもよい。しかしながら、繊維ウェブは、繊維ウェブが本明細書で述べる繊維変位を受ける前に積層体の異なる層が互いに積層されたものである、積層体であってもよい。
また、捕捉システムは、着用者の皮膚に面する上側捕捉層252、及び着用者の下着に面する異なる下側捕捉層254として、本発明の繊維ウェブを含んでもよい。特定の実施形態によれば、捕捉システム250は尿の放出などの大量の液体を受容する機能を有してもよい。別の言い方をすれば、捕捉システム250は、吸収性コア214が液体を吸収できるようになるまでの間、液体の一時的な貯留部として機能し得る。
特定の実施形態では、捕捉システム250は、化学的に架橋されたセルロース繊維を含んでもよい。このような架橋されたセルロース繊維は、所望の吸収特性を有し得る。代表的な化学的に架橋されたセルロース繊維については、米国特許第5,137,537号に開示されている。特定の実施形態では、化学的に架橋されたセルロース繊維は、グルコース単位に基づいて約0.5mol%〜約10.0mol%のC2〜C9ポリカルボン酸架橋剤、又は約1.5mol%〜約6.0mol%のC2〜C9ポリカルボン酸架橋剤により架橋される。クエン酸は代表的な架橋剤の1つである。他の実施形態では、ポリアクリル酸を使用することもできる。更に、特定の実施形態によれば、架橋されたセルロース繊維は約25〜約60、又は約28〜約50、又は約30〜約45の保水値を有する。保水値を求めるための方法については、米国特許第5,137,537号に開示されている。特定の実施形態によれば、架橋されたセルロース繊維は、捲縮、撚糸、若しくはカールさせるか、又は捲縮、撚糸、及びカールさせることをを含むこれらの組み合わせを行うことができる。
特定の実施形態では、下側捕捉層254は、親水性を有し得る不織布で構成するか、又はこれを含むことができる。更に、特定の実施形態によれば、下側捕捉システム254は化学的に架橋されたセルロース繊維を含んでもよく、こうしたセルロース繊維は不織布材料の一部を形成してもしなくともよい。更に、一実施形態によれば、下部捕捉層254は、天然又は合成ポリマー繊維などの他の繊維と混合された化学的に架橋されたセルロース繊維を含んでもよい。代表的な実施形態によれば、このような他の天然又は合成ポリマー繊維としては、表面積の大きな繊維、熱可塑性結合繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、PET繊維、レーヨン繊維、リオセル繊維、及びこれらの混合物を挙げることができる。特定の実施形態によれば、下側捕捉層254は一定の総乾燥重量を有し、架橋されたセルロース繊維は、乾燥重量基準で下側捕捉層254の約30重量%〜約95重量%の量で上側捕捉層中に存在し、他の天然又は合成ポリマー繊維は、乾燥重量基準で下側捕捉層254の約70重量%〜約5重量%の量で下側捕捉層254中に存在する。別の実施形態によれば、架橋されたセルロース繊維は、乾燥重量基準で下側捕捉層254の約80重量%〜約90重量%の量で第1の捕捉層中に存在し、更に他の天然又は合成ポリマー繊維は、乾燥重量基準で下側捕捉層254の約20重量%〜約10重量%の量で下側捕捉層254中に存在する。
特定の実施形態によれば、下側捕捉層254は高い流体取り込み性能を有することが望ましい。流体取り込み率は、吸収性材料の1グラム当たりの吸収された流体のグラム数として測定され、「最大取り込み率」の値によって表される。したがって流体取り込み率が高いほど材料容量は高くなり、これにより捕捉材料によって吸収されるべき流体が完全に捕捉されることから有益である。代表的な実施形態によれば、下側捕捉層254は、約10g/gの最大取り込み率を有する。
注目すべき点として、本発明の繊維ウェブは、吸収性物品の他の部分においても有用であり得る。例えば、上記に述べたような永久的な親水性を有する不織布を含んだトップシート及び吸収性コア層は、効果的に機能することが判明した。
吸収性コア214は、粉砕木材パルプ、縮みセルロース詰め物、コフォームを含むメルトブローンポリマー、化学的に剛化、改質若しくは架橋されたセルロース繊維、ティッシュラップ及びティッシュラミネートを含むティッシュ、吸収性発泡体、吸収性スポンジ、吸収性ポリマー材料又は他の任意の既知の吸収性材料若しくは材料の組み合わせなど、一般的に圧縮可能で、柔軟性があり、着用者の皮膚に対して刺激を与えない、尿を吸収及び保持することが可能な任意の吸収性材料を含み得る。吸収性材料は、しばしばコアラップと呼ばれる不織布によって少なくとも部分的に包囲され得る。コアラップは、吸収性物品の身体に面する表面を向いた上側層と、吸収性物品の下着に面する面を向いた下側層とから構成することができる。これら2つの層を、その外周に沿って互いに連続的又は断続的に結合させてもよい。上側層と下側層とは同じ不織布で製造されてもよく、異なる不織布で製造されてもよい。すなわち上側層を流体透過性とする一方で下側層を流体不透過性とすることができる。コアラップは、吸収性材料が封入された単一の不織布で構成することもできる。吸収性コアは、吸収性材料の重量(すなわちコアラップが存在する場合にはこれを除く)にして80%よりも多い、より好ましくは90%よりも多い吸収性ポリマー材料を含むことが好ましい。吸収性コアはエアフェルトを含まなくともよい、すなわち100%吸収性ポリマー材料とすることもできる。吸収性ポリマー材料は、吸収性の粒子状ポリマー材料であることが好ましい。
以下のベース基材は、Hills Incにて、0.5m幅スパンボンドライン上で製造した。詳細を、各実施例において記載する。実施例1、2、4、及び7で製造される材料の測定特性を以下に示す表に作成する。
実施例1:90重量%のEastman F61HC PET樹脂、及び10重量%のEastman 9921 coPETから構成されるスパンボンド布地を製造した。このスパンボンド布地は、丸い終端ポイントを備えた、長さ1.125mm及び幅0.15mmを有する顕著な三葉形の紡糸口金を使用して製造した。水圧の長さと直径との比は、2.2:1とした。紡糸パックは、250の毛管を有し、それらの毛管のうちの25がcoPET樹脂を押し出し、225がPET樹脂を押し出した。使用したビーム温度は285℃であった。紡糸距離は838.2mm(33インチ)とし、形成距離は863.6mm(34インチ)とした。この実施例及び後続の実施例で、異なる距離を使用することは可能であるが、示した距離が最良の結果をもたらした。関連プロセスデータの残りを表1〜3に含める。
比較実施例1:90重量%のEastman F61HC PET樹脂、及び10重量%のEastman 20110から構成されるスパンボンド布地を製造した。このスパンボンド布地は、丸い終端ポイントを備えた、長さ1.125mm及び幅0.15mmを有する顕著な三葉形の紡糸口金を使用して製造した。水圧の長さと直径との比は、2.2:1とした。紡糸パックは、250の毛管を有し、それらの毛管のうちの25がcoPET樹脂を押し出し、225がPET樹脂を押し出した。使用したビーム温度は285℃であった。紡糸距離は838.2mm(33インチ)とし、形成距離は863.6mm(34インチ)とした。このポリマーの組み合わせで、熱的に安定なスパンボンド不織布を製造することは困難であった。coPET繊維は熱安定性ではなく、100℃よりも高い温度に加熱すると繊維構造全体が収縮した。MD方向の布の収縮率は20%であった。
実施例2:100重量%のEastman F61HC PETからなるスパンボンド布地を製造した。このスパンボンド布地は、丸い終端ポイントを備えた、長さ1.125mm及び幅0.15mmを有する顕著な三葉形の紡糸口金を使用して製造した。水圧の長さと直径との比は、2.2:1とした。紡糸パックは、250の毛管を有するものとした。使用したビーム温度は285℃であった。紡糸距離は838.2mm(33インチ)とし、形成距離は863.6mm(34インチ)とした。関連プロセスデータの残りを表1〜3に含める。
実施例3:90重量%のEastman F61HC PET樹脂、及び10重量%のEastman 9921 coPETから構成されるスパンボンド布地を製造した。このスパンボンド布地は、半径0.18mmの丸い終端ポイントを備えた、長さ0.55mm及び幅0.127mmを有する標準的な三葉形の紡糸口金を使用して製造した。水力長さと水力直径との比は、2.2:1であった。紡糸パックは、250の毛管を有し、そのうちの25がcoPET樹脂を押し出し、225がPET樹脂を押し出した。使用したビーム温度は285℃であった。紡糸距離は838.2mm(33インチ)とし、形成距離は863.6mm(34インチ)とした。関連プロセスデータの残りを表4〜6に含める。
比較実施例2:90重量%のEastman F61HC PET樹脂、及び10重量%のEastman 20110から構成されるスパンボンド布地を製造した。このスパンボンド布地は、半径0.18mmの丸い終端ポイントを備えた、長さ0.55mm及び幅0.127mmを有する標準的な三葉形の紡糸口金を使用して製造した。水力長さと水力直径との比は、2.2:1であった。紡糸パックは、250の毛管を有し、そのうちの25がcoPET樹脂を押し出し、225がPET樹脂を押し出した。使用したビーム温度は285℃であった。紡糸距離は838.2mm(33インチ)とし、形成距離は863.6mm(34インチ)とした。このポリマーの組み合わせで、熱的に安定なスパンボンド不織布を製造することは困難であった。coPET繊維は熱安定性ではなく、100℃よりも高い温度に加熱すると繊維構造全体が収縮した。MD方向の布の収縮率は20%であった。
実施例4:90重量%のEastman F61HC PET樹脂、及び10重量%のEastman 9921 coPETから構成されるスパンボンド布地を製造した。このスパンボンド布地は、0.35mmの毛管出口直径、及び長さと直径との比4:1を有する、中実丸形紡糸口金を使用して製造した。紡糸パックは、250の毛管を有し、そのうちの25がcoPET樹脂を押し出し、225がPET樹脂を押し出した。使用したビーム温度は285℃であった。紡糸距離は838.2mm(33インチ)とし、形成距離は863.6mm(34インチ)とした。関連プロセスデータの残りを表7〜9に含める。
比較実施例3:90重量%のEastman F61HC PET樹脂、及び10重量%のEastman 20110から構成されるスパンボンド布地を製造した。このスパンボンド布地は、0.35mmの毛管出口直径、及び長さと直径との比4:1を有する、中実丸形紡糸口金を使用して製造した。紡糸パックは、250の毛管を有し、そのうちの25がcoPET樹脂を押し出し、225がPET樹脂を押し出した。使用したビーム温度は285℃であった。紡糸距離は838.2mm(33インチ)とし、形成距離は863.6mm(34インチ)とした。このポリマーの組み合わせで、熱的に安定なスパンボンド不織布を製造することは困難であった。coPET繊維は熱安定性ではなく、100℃よりも高い温度に加熱すると繊維構造全体が収縮した。MD方向の布の収縮率は20%であった。
サンプルの説明:以下の情報は、下記に掲げるデータの表中の実施例を識別するために使用されるサンプルの種類の命名法を規定するものである。
●最初の数字は、サンプルが製造された実施例の番号を示す。
●数字の後に続く文字は、大まかに述べた実施例の説明において、異なる条件下で製造されたサンプルを指定するためのものである。この文字及び番号の組み合わせによって、ベース基材の製造が特定される。
●文字の後に続く数字は、本特許において述べる構造化基材の製造を指定する。異なる番号は、構造化基材を製造するために使用される、異なる条件を示す。
本発明には、ベース基材及び構造化基材のサンプルを、カーディングした樹脂結合サンプルに対して比較するための2種類の参照資料が含まれる。
●43g/m2−30%のスチレンブタジエンラテックス結合剤と70%の繊維混合物とからなるもの。この繊維混合物は、6デニール中実丸形PET繊維、及び9デニール中実丸形PET繊維の、それぞれ40:60の混合物を含む。
●60g/m2−30%の(カルボキシル化)スチレンブタジエンラテックス結合剤と70%の繊維混合物とからなるもの。この繊維混合物は、6デニール中実丸形PET繊維、及び9デニール中空螺旋状PET繊維(25〜40%が中空)の、それぞれ50:50の混合物を含む。
開示されている方法のいずれかにおけるサンプルが、事前にエージングされているか、又は製品から取り出されているという場合には、いずれの試験プロトコルに先立っても、そのサンプルは、23±2℃、及び相対湿度50±2%で24時間、圧縮されずに保管されるべきである。このエージング後のサンプルは、「製造されたまま」と称される。
本発明での性質に対する定義及び試験方法:性質の表中の性質に対する試験方法を下記に示す。特に指定のない限り、全ての試験は、約23±2℃、及び相対湿度50±2%で実施される。明示的な指定のない限り、使用される特定の合成尿は、脱イオン水で作製された0.9(重量)%生理食塩水(NaCL)溶液で、作製される。
●質量スループット:毛管当りのポリマー流量の尺度を示し、毎分の1つの毛管当り1分当たりのグラム数(GHM)で測定され、ポリマー溶融物の密度、1回転当りのポリマー溶融物のポンプ変位、及び溶融ポンプによって供給される毛管の数に基づいて算出される。
●形状:実施例の表記名で示す毛管の幾何形状に基づいて繊維の形状を指定する。
●実際の坪量:好ましい坪量は、少なくとも10個の7500mm2(幅50mm×長さ150mmのサンプル寸法)のサンプル区域を、サンプルからランダムに切り出して、それらを±1mg以内の精度で秤量し、次にその質量を秤量したサンプルの総数で平均化することによって測定される。坪量の単位は、平方メートル当たりのグラム(g/m2)である。坪量の測定のために7500mm2の方形区域が使用できない場合には、サンプル寸法を2000mm2まで減少させてもよいが、(例えば、100mm×20mmのサンプル寸法、又は50mm×40mmのサンプル寸法)、サンプルの数は、少なくとも20の測定まで増加させるべきである実際の坪量は、平均質量をサンプルの面積で除算し、単位を確実に平方メートル当たりのグラムにすることによって決定される。
●布地厚さ:厚さはキャリパーとも呼ばれ、これら2つの語は互換的に使用される。布地厚さ、及び新品のキャリパーは、いずれのエージング条件も加えないキャリパーを指す。製造されたままのキャリパーに対する試験条件は、0.5kPaで測定され、少なくとも5回の測定値が平均化される。典型的な試験デバイスは、Thwing Albert ProGageシステムである。脚部の直径は50mm〜60mmである。滞留時間は、各測定に対して2秒である。サンプルを、23±2℃、及び相対湿度50±2%で24時間、圧縮されずに保管し、次いで布地厚さ測定にかけなければならない。変性前にベース基材に対して測定を行なうことが好ましいが、この材料が入手不能な場合には、代替的な方法を使用することができる。構造化基材に対しては、第2の領域(変位された繊維領域)間の第1の領域の厚さは、電気式厚さ計(例えば、McMaster−CarrカタログよりMitutoyo No 547〜500として入手可能)を使用することによって決定することができる。これらの電気式厚さ計は、非常に小さい区域を測定するために先端部を変えられる。これらの計器は、測定を行なうために、予め荷重がかけられたバネを有し、品種によって異なる。例えば、長さ6.6mm及び幅1mmであるブレード形状の先端部を使用することができる。直径が1.5mmよりも小さい区域を測定する平坦丸形先端部も、挿入することができる。構造化基材に対する測定に関しては、製造されたままの布地厚さを測定するために、これらの先端部を構造化領域間に挿入する必要がある。この測定技術で使用される圧力は、この技術を使用して慎重に制御することはできず、加えられる圧力は、一般に0.5kPaよりも高い。
●エージングされたキャリパー:これは、40℃かつ35kPaの圧力下で15時間エイジングした後、23±2℃及び相対湿度50±2%で24時間圧縮せずに弛緩させた後のサンプルのキャリパーを指す。これは、また、キャリパー回復と呼ぶこともできる。エージングされたキャリパーは、2.1kPaの圧力下で測定される。典型的な試験デバイスは、Thwing Albert ProGageシステムである。脚部の直径は50mm〜60mmである。滞留時間は、各測定に対して2秒である。全てのサンプルは、23±2℃、及び相対湿度50±2%で24時間、圧縮されずに保管され、次いでエージングされたキャリパーの試験にかけられる。
●Mod比:「Mod比」すなわち改変比は、非円形繊維の更なる表面積形状を補償するために使用される。変性比率は、繊維の最長軸線に垂直な、繊維の断面における、最長の連続直線距離を測定し、その距離の50%での繊維の幅で除算することによって判定される。一部の複雑な繊維形状に対しては、変性比率を容易に判定し難い場合がある。図19A〜19Cは、成形繊維の形態の例を示す。「A」の表記は、長軸線の寸法であり、「B」の表記は、幅の寸法である。比率は、短い寸法で長い寸法を除算することによって求められる。これらの単位は、顕微鏡の使用を介して直接測定される。
●デニールの実測値:デニールの実測値は、特定の実施例の繊維の測定されたデニールである。デニールは、9000リニアメートルの長さでの繊維のグラムの質量として定義される。それゆえ、異なるポリマーからの繊維を比較する場合、デニールの算出に対して、繊維の固有密度もまた要因とされ、dpf(フィラメント当りのデニール)として表されるが、そのため2dpfのPP繊維と2dpfのPET繊維とでは、異なる繊維直径を有する。ポリプロピレンに対するデニールと直径との関係の例は、約0.900g/cm3の密度を有する中実丸形のポリプロピレンの1dpfの繊維は、約12.55マイクロメートルの直径を有する。本発明でのPET繊維の密度は、デニールの算出に関して、1.4g/cm3(1立方センチメートル当たりのグラム)となる。当業者であれば、PP繊維及びPET繊維に関して、中実丸形繊維の直径からデニールへ変換することは、通常行われることである。
●等価な中実円形繊維の直径:等価な中実円形繊維の直径は、非円形又は中空成形繊維の繊維特性の測定値として繊維の弾性率を計算するために用いられる。等価の中実丸形繊維直径は、繊維の実際のデニールから決定される。非丸形繊維の実際のデニールは、実際の繊維デニールを得て、そのフィラメントが中実丸形であると想定してフィラメントの直径を算出することによって、等価の中実丸形繊維直径へと変換される。この変換は、非丸形繊維断面に対して単一繊維の弾性率を求めるために重要である。
●不織布の引張特性:ベース基材及び構造化基材の引張特性は、すべて同一の方法で測定した。ゲージ幅は50mm、ゲージ長は100mm、延伸速度は100mm/分である。示される値は、特に指定のない限り、ピークでの強度及び伸長に関する。MD及びCD特性に対して、別個の測定が行なわれる。典型的な単位は、センチメートル当たりニュートン(N)(N/cm)である。示される値は、少なくとも5回の測定値の平均である。パーフォース荷重は0.2Nである。サンプルは、23±2℃及び相対湿度50±2%で24時間圧縮せずに保管し、その後、23±2℃及び50±2%で試験しなければならない。ここで示される引っ張り強度は、応力−歪み曲線におけるピーク引っ張り強度である。引っ張りピークでの伸長は、引っ張りピークが記録される際の、パーセント伸長である。
●MD/CD比:MD方向の引っ張り強度をCD方向の引っ張り強さで割ったものとして定義される。MD/CD比は、不織布繊維基材における相対的な繊維配向を比較するために使用される方法である。
●繊維周長:これは顕微鏡により直接測定したものであり、マイクロメートルで表した不織布中の典型的な繊維の周長である。示される値は、少なくとも5回の測定値の平均である。
●不透明度:不透明度は、ベース基材を通過する光の相対量の尺度である。特性的な不透明度は、特に、測定される所定の位置に存在する繊維の数、寸法、タイプ、及び形状に応じて決定される。本発明には、ベース基材の不透明度は、好ましくは5%より大きい、より好ましくは10%より大きい、より好ましくは20%より大きい、更により好ましくは30%より大きい、最も好ましくは40%より大きい。不透明度は、TAPPI試験方法T 425 om−01「Opacity of Paper(15/d配置、イルミナントA/2度、89%反射裏地及び紙裏地)」を使用して測定される。不透明度は百分率として測定される。
●ベース基材の密度:ベース基材密度は、サンプルの坪量の実測値をサンプルのエイジング処理キャリパーで割り、同一単位に変換し、g/立方メートルとして示すことによって求められる。
●ベース基材の比容積:ベース基材の比容積は、g当たりの立方センチメートの単位で表される、ベース基材密度の逆数である。
●ライン速度:ライン速度は、サンプルが製造される直線的な機械方向の速度である。
●接着温度:接着温度は、スパンボンドサンプルが一体に接着される温度である。接着温度は、2種の温度を含む。第1の温度は、刻印ロール又はパターン付きロールの温度であり、第2は、滑面ロールの温度である。特記しないかぎり、結合面積は18%であり、カレンダー線圧は700.5N/cm(直線インチ当たり400ポンド)であった。
●この発明のサンプルへの界面活性剤の添加:これは、ベース基材及び構造化基材を処理して、親水性にさせるために使用される材料を指す。本発明では、全てのサンプルに対して、同じ界面活性剤を使用した。この界面活性剤はProcter & GambleのコードDP−988Aの開発グレードの材料であった。この材料は、ポリエステルポリエーテルコポリマーである。Clariant製の商業グレードの汚れ放出ポリマー(SRP)(TexCare SRN−240及びTexCare SRN−170)も使用され、良好に機能することが判明した。基本的な手順は、以下の通りとした。
○200mLの界面活性剤を15Lの水道水と5ガロンのバケツ中で80℃で混合する。
○コーティングするサンプルをこの希釈された界面活性剤のバケットの中に5分間入れる。各サンプルは、公称100mmの幅及び300mmの長さとする。1回につき最大9個のサンプルをバケット内に置き、最初の10秒間サンプルを攪拌する。同じバケットを、最大50のサンプルに対して使用することができる。
○次に、各サンプルをバケットの一隅上で垂直に保持し、5〜10秒間、バケツ内に残留水を流し入れる。
○サンプルを水道水の清潔なバケット中で少なくとも2分間、すすぎ、浸漬する。1回につき最大9個のサンプルをバケット中に入れ、最初の10秒間サンプルを攪拌する。すすぎ用バケットは、1セットの9個のサンプルの後で、交換する。
○サンプルを乾燥状態となるまで強制空気オーブン中で80℃で乾燥させる。典型的な時間は、2〜3分である。
●保持容量:保持容量の測定は界面活性剤でコーティングしたサンプルを採取し、材料の流体取り込み率を測定する。200mm×100mmのサンプルを20℃で水道水に1分間浸漬してから取り出す。取り出した後、サンプルを一隅で10秒間保持し、次いで計量する。最終重量を初期重量で除算し、保持能力を算出する。保持能力は、特に指定のない限り、製造されたままの布地厚さ試験で測定される条件に一致する、製造されたままの布地サンプルに対して測定される。これらのサンプルは、試験の前に、圧縮エージングされていない。この試験では、異なるサンプル寸法を使用することができる。使用することができる代替的サンプル寸法は、100mm×50mm又は150mm×75mmである。算出方法は、選択したサンプル寸法とは関わりなく、同一である。
●吸い上げ拡散面積:吸い上げ拡散は、MD及びCD拡散に分けられる。界面活性剤で処理されたサンプルを、少なくとも長さ30cm及び幅20cmに切り出す。未処理のサンプルは、流体を吸い上げることはない。サンプルを、一連のペトリ皿(直径10cm及び深さ1cm)の上に、1つのペトリ皿がサンプルの中央に置かれ、2つが両側に対して置かれるように載せる。次に、蒸留水20mLを、毎秒5mLの速度でサンプル上に注ぐ。不織布の刻印ロールの面が上向きに、流体の注入方向に面している。流体が吸い上げられる距離を、1分後に、MD及びCDで測定する。必要に応じて蒸留水に着色することができる(Merck、インジゴカルミン、c.i.73015)。この顔料は、蒸留水の表面張力を変化させるべきではない。材料毎に、少なくとも3回の測定を行なうべきである。吸い上げ拡散は、特に指定のない限り、製造されたままの布地厚さ試験で測定される条件に一致する、製造されたままの布地サンプルに対して測定される。これらのサンプルは、試験の前に、圧縮エージングされていない。長さ30cm及び幅20cmよりも小さいサンプル寸法を使用する場合には、吸い上げが、1分よりも前に材料の端部まで拡散するか否かを判定するために、サンプルを最初に試験しなければならない。MD又はCDでの吸い上げの拡散が、1分よりも前にサンプルの幅より大きい場合には、MD水平吸い上げ試験、高さ方法を使用するべきである。ペトリ皿は、毎回の測定に関し、空にして洗浄する。
●MD方向の水平輸送:
試薬
●人工尿:人口尿:0.9%食塩水溶液(23±2℃で70±2mN/mの表面張力を有し、青色顔料(例えば、Merck Indigocarmin c.i.73015)で着色された、分析等級の脱イオン水中塩化ナトリウム9.0g/L)を調製する
手順
1.)サンプルを機械方向に幅70±1mm×長さ300±1mmに切断する。
2.)サンプルの重量(w1)を最も近い0.01gの値で測定して示す。
3.)トレーの上側の縁に赤ちゃん側(構造化基材を測定する場合にはテクスチャ加工側、又はベース基材を測定する場合には刻印ロール側)が上になるようにして幅全体にわたってサンプルをクランプ留めする。このとき、材料は、トレーの底よりも上で、自由に張られている。
4.)バルブを備えた250mLガラス漏斗の出口を、サンプル上で機械方向及び横断方向の中心でサンプルの上方25.4±3mmとなるように調節する。
5.)人工尿を調製する。
6.)漏斗のバルブを閉じた状態で、ピペット又はビュレットを用いて5.0mLの人工尿(4.)を漏斗内に加える。
7.)漏斗のバルブを開いて5.0mLの人工尿を放出する。
8.)30秒間待つ(ストップウォッチを使用)。
9.)最大のMD方向の分布を測定する。センチメートルの単位の概数で報告する。
●垂直吸い上げ高さ:少なくとも長さ20cm及び幅5cmの好ましいサイズのサンプルを、大量の蒸留水の上に垂直に保持することによって垂直吸い上げ試験を行う。サンプルの下端部は、水中に、少なくとも流体表面の1cm下まで浸される。流体が5分で上昇する、最も高い点を記録する垂直吸い上げは、特に指定のない限り、製造されたままの布地厚さ試験で測定される条件に一致する、製造されたままの布地サンプルに対して測定される。他のサンプル寸法を使用することができるが、構造化基材について実施する場合、サンプル幅が測定値に影響を及ぼす可能性がある。最も小さいサンプル幅は、幅2cmであり、最小の長さ10cmを有するべきである。
●熱安定性:ベース基材又は構造化基材不織布の熱安定性は、MD方向に10cm×CD方向に少なくとも2cmのサンプルが沸騰水中で5分間にどれくらい収縮するかに基づいて評価される。ベース基材は、10%未満で収縮するべきであり、すなわち、熱安定性と見なされる、9cmを超えるMDでの最終寸法を有するべきである。サンプルが10%を超えて収縮する場合には、そのサンプルは熱的に安定ではない。この測定は、10cm×2cmのサンプル寸法を切り出して、MDでの正確な長さを測定し、熱湯中に5分間サンプルを定置することによって行なった。サンプルを取り出して、サンプルの長さを再びMDで測定する。本発明で試験する全てのサンプルに関しては、比較例での高度に収縮するサンプルであっても、熱湯中での時間の後、サンプルは依然として平坦なままであった。理論に束縛されるものではないが、不織布の熱安定性は、構成成分の繊維の熱安定性に依存する。不織布を構成する繊維が収縮する場合には、その不織布は収縮する。したがって、本明細書での熱安定性の測定はまた、繊維の熱安定性も把握する。不織布の熱安定性は、本発明に関して重要である。本発明で好ましい10%を優に超える、顕著な収縮を示すサンプルに関しては、熱湯中で縮こまるか、又は丸まる場合がある。これらのサンプルに対しては、20gの重りをサンプルの底部に取り付けて、垂直方向で長さを測定することができる。この20gの重りは、金属製のバインダークリップ、又は底部に取り付けたままで長さを測定することが可能な任意の他の好適な重りとすることができる。
●FDT:FDTは繊維変位技術(Fiber Displacement Technology)の略であり、変位された繊維を有する構造化基材を形成するためのベース基材の機械的処理のことを指す。ベース基材が、いずれかのタイプの繊維の変形又は位置変更によって変性されている場合には、そのベース基材はFDTを施されている。フラットローラーを横切る不織布の単純な処理、又は曲げは、FDTではない。FDTは、z方向面内で繊維を意図的に動かすために集中的な、機械的又は流体力学的な力により繊維を計画的に動かすことを意味する。
●歪み深さ:FDTプロセスで使用される機械的な歪み作用の距離。
●過剰熱接着:熱及び/又は圧力を用いた第2の別々の接着工程によってサンプルが過剰接着されたものであるか否かを示す。
●FS−チップ:変位された繊維の先端部又は頂部が接着されているか否かを指定する。
●構造化基材の密度:構造化基材の密度は、坪量の実測値を構造化基材のエイジング処理キャリパーで割り、同じ単位に変換し、立方メートル当たりのグラムとして示すことによって求められる。
●構造化基材の比容積:構造化基材の容積は、グラム当たりの立方センチメートルの単位での構造化基材の密度の逆数である。
●空隙容積部の形成:空隙容積部の形成は、繊維の変位工程において形成される空隙容積のことを指す。空隙容積部の生成は、構造化基材の比容積とベース基材の比容積との差である。
エイジングを行った裏抜け及び再湿潤試験:裏抜け試験を行うため、Edanaによる方法150.3〜96を以下のように変更して使用した。
B.試験条件
●サンプルの調整及び測定は、23℃±2℃及び相対湿度50%±5%で行う。
E:機器
●参照の吸収パッドとして、10層のAhlstrom Grade 989、又は等価物(平均:裏抜け時間:1.7秒±0.3秒、寸法:10×10cm)
F:手順
2.Eに記載されるような吸収パッドを参照とする。
3.試験片を、70×125mmの矩形に切り出す。
4.Bに記載されるように状態調節する。
5.試験片を、10プライの濾紙のセット上に定置する。構造化基材に関しては、構造化面を上方に向ける。
10.この手順を、第1の噴出及び第2の噴出のそれぞれの吸収の60秒後に繰り返し、第2及び第3の裏抜けの時間を記録する。
11.各サンプルからの試験片に対する3回の試験のうちの、最小値が推奨される。
再湿潤の測定に関しては、Edanaの方法151.1〜96が、以下の変性と共に使用されている。
B:試験条件
●サンプルの調整及び測定は、23℃±2℃及び相対湿度50%±5%で行う。
D.原理
●裏抜け測定からの試験片を上に乗せた濾紙の組を使用して再湿潤性を測定する。
E.装置
●持ち上げ紙:62mm×125mmの寸法に切り出し、参照吸収パッドと接触しないように、試験片上で中心を合わせた、Ahlstrom Grade 632又は等価物。
●シミュレーションされた赤ん坊の体重:全体重3629g±20g
F.手順
12.裏抜けの方法の第3の噴出の終了直後に、工程12から手順を開始する。追加量(L)は、裏抜け試験の3回の噴出の15mLを、この湿潤戻り試験に必要とされる液体の総量(Q)から差し引くことによって決定される。
21.この湿潤戻りの値は、本発明での再湿潤と等しい。
●繊維特性:本発明での繊維特性を、MTS Synergie 400シリーズ試験システムを使用して測定した。単一の繊維を、正確に長さ25mm及び幅1cmである穴を作り出すように予め切り取られている、テンプレート紙の上に取り付けた。この繊維を、弛みなく、紙の穴を横切って長さ方向に直線状となるように取り付けた。中実丸形に関する平均繊維直径、又は非丸形に関する等価の中実丸形繊維直径を、少なくとも10回の測定を行なうことによって判定する。これらの10回の測定値の平均を、ソフトウェア入力によって繊維の弾性率を判定する際の、繊維直径として使用する。MTSシステム内に、繊維を装填し、テンプレート紙の端部を、試験の前に切り取った。繊維サンプルを0.1gの力よりも大きな負荷力で始まる強度プロファイルに従って50mm/分の速度で引っ張る。ピークの繊維荷重及び破断時の歪みを、MTSソフトウェアを使用して測定する。繊維の弾性率もまた、MTSにより、1%の歪みで測定する。表10に提示されるような繊維の弾性率を、この方法で示した。繊維破断での伸長及びピーク繊維荷重もまた、表10で示される。結果は、10回の測定の平均である。繊維の弾性率の算出では、中実丸形繊維に関しては、繊維直径を使用し、又は非丸形若しくは中空の繊維に関しては、等価の中実丸形繊維直径を使用する。
●破断フィラメントの百分率:繊維変位位置での破断フィラメントの百分率を測定することができる。破断フィラメントの数を決定するための方法は、計数によるものである。変位された繊維を有して製造されたサンプルは、先端部接着を有している場合もあれば、又は有さない場合もある。実際の繊維計数測定を行なうためには、精密なピンセット及びハサミが必要とされる。Tweezermanブランドは、これらの測定のためのそのような器具を作製しており、品目コード1240Tを有するピンセット、及び品目コード3042−Rを有するハサミなどが、使用可能である。品目コードMDS0859411のMedical Supplier Expertもまた、ハサミに使用可能である。他の供給元もまた、使用可能な器具を作製している。
○先端の結合無しのサンプルの場合:一般に、変位された繊維の位置の一方の側は、図16に示されるように、より多い破断フィラメントを有する。構造化繊維ウェブは、第1の表面上の、より少ない破断フィラメントを有する、第2の領域内の変位された繊維の面で切断されるべきである。図16に示すように、この部分は、第1の切断部82として特定される左側である。この部分は、第1の表面に沿って、変位された繊維の基部で切断されるべきである。この切断部を図17A及び17Bに示す。図17Bに示す側面図は、図示するようにMDに配向されている。この切断を行なった後で、いずれの固定されていない繊維も、繊維がそれ以上抜け落ちなくなるまで、振り払うか、又は払い落とすべきである。その繊維を収集して、計数するべきである。次に、第2の領域の他方の辺を切断し(図16に、第2切断部84として特定される)、その繊維の数を計数するべきである。第1の切断部は、破断繊維の数を詳細に説明する。第1の切断部及び第2の切断部で計数し、組み合わせた数は、繊維の総数に等しい。第1の切断部での繊維の数を、繊維の総数で除算して100を乗じると、破断繊維の百分率が得られる。殆どの場合では、目視検査によって、繊維の大多数が破断しているか否かを明らかにすることができる。定量的な数が必要とされる場合、上記の手順を使用するべきである。この手順は、少なくとも10のサンプルについて行い、その全体を総合して平均化するべきである。ある程度の期間、サンプルが圧縮されていたならば、この試験のために、切断する前に軽くブラシを掛けて、転位区域を露呈させることが必要な場合がある。百分率が接近し、統計的に有意なサンプルサイズが生成されていない場合には、サンプルの数を10単位で増大させ、95%の信頼区間の範囲内の、充分な統計的確実性を与えるべきである。
○先端の結合有りのサンプルの場合:一般に、変位された繊維の位置の一方の側は、図18に示されるように、より多い破断フィラメントを有する。より少ない破断繊維を有する面を、最初に切断するべきである。図18に示されるように、これは第1の切断部として示される左側の上部であり、この部分は先端結合部が位置する部分の頂部にあるが、先端が結合された材料は一切含んでいない(すなわち、破断繊維の側に向かって先端結合部の側で切断しなければならない)。この切断を行なって、固定されていない繊維を振り払って計数し、繊維計数1として指定するべきである。第2の切断部は、変位された繊維の基部とするべきであり、図18の第2の切断部として標識される。繊維を振り払って計数し、この計数を、繊維計数2として指定するべきである。第3の切断部は、先端部接着領域の反対側で行い、振り落として計数し、繊維計数3として指定する。第4の切断部は、変位された繊維の基部で行い、振り払って計数し、繊維計数4として指定する。この切断を、図17A及び図17Bに示す。繊維計数1及び繊維計数2で計数された繊維の数は、その辺1〜2上の繊維の総数に等しい。繊維計数3及び繊維計数4で計数された繊維の数は、その辺3〜4上の繊維の総数に等しい。繊維計数1と繊維計数2との差を判定し、次に繊維計数1及び繊維計数2の合計で除算してから100を乗じたものが、破断フィラメント百分率1〜2と呼ばれる。繊維計数3と繊維計数4との差を判定し、次に繊維計数3及び繊維計数4の合計で除算してから100を乗じたものが、破断フィラメント百分率3〜4と呼ばれる。本発明に対しては、破断フィラメント百分率1〜2又は破断フィラメント百分率3〜4は、50%より大きくあるべきである。殆どの場合では、目視検査によって、繊維の大多数が破断しているか否かを明らかにすることができる。定量的な数が必要とされる場合、上記の手順を使用するべきである。この手順は、少なくとも10のサンプルについて行い、その全体を総合して平均化するべきである。ある程度の期間、サンプルが圧縮されていたならば、この試験のために、切断する前に軽くブラシを掛けて、転位区域を露呈させることが必要な場合がある。百分率が接近し、統計的に有意なサンプルサイズが生成されていない場合には、サンプルの数を10単位で増大させ、95%の信頼区間の範囲内の、充分な統計的確実性を与えるべきである。
●面内径方向の透過性(IPRP):面内径方向の透過性すなわちIPRP、又は本発明では短縮して透過性は、不織布の透過性の目安であり、材料を通じて液体を輸送するために必要とされる圧力に関係している。以下の試験は、多孔質材料の面内放射状浸透性(IPRP)の測定に好適である。一定の圧力下で、材料の環状サンプルを放射状に貫流する、食塩水(0.9% NaCl)の量を、時間の関数として測定する。(参照:J.D.Lindsay,「The anisotropic Permeability of Paper」TAPPI Journal(May 1990,pp223)面内塩水流電導度を求めるためにDarcy法則及び定常状態流れの方法を使用する)。
IPRPサンプル格納装置400が図20に示されており、円筒状の下側プレート405、上側プレート420、及び図21に詳細に示される円筒状のステンレス鋼ウェイト415を含んでいる。
上部プレート420は、厚さ10mmで、70.0mmの外径を有し、その中心に固定される長さ190mmの管425に連結される。管425は、15.8mmの外径及び12.0mmの内径を有する。この管は、図21に示されるように、管の下縁部が上側プレートの下面と面一となるように、上側プレート420の中央の円形の12mm径の穴に接着により固定されている。底部プレート405及び上部プレート420は、Lexan(登録商標)又は等価物から製作される。ステンレス鋼の重り415は、70mmの外径、及び15.9mmの内径を有することにより、この重りは、管425に対して静止滑合となる。ステンレス鋼の重り415の厚さは、約25mmであり、上部プレート420、管425、及びステンレス鋼の重り415の総重量が788gとなり、測定の間、2.1kPaの拘束圧を提供するように、調節される。
図21に示されるように、下側プレート405は厚さ約50mmであり、それぞれの溝が下側プレートの直径にわたって延びるとともに溝同士が互いに直交するようにして、2本の位置合わせ溝430がプレートの下面に切り込まれている。各溝は、幅1.5mm及び深さ2mmである。底部プレート405は、プレートの直径の全長に及ぶ水平の穴435を有する。この水平の穴435は、11mmの直径を有し、その中心軸線は、底部プレート405の上面よりも12mm下方にある。底部プレート405はまた、10mmの直径を有し、深さ8mmである、中央の垂直穴440も有する。この中央の穴440は、水平の穴435と接続し、底部プレート405内にT形状の空洞を形成する。水平方向の穴435の外側の部分は、下側プレート405に水密に取り付けられる配管エルボ445を収容するようにネジ切りされている。一方のエルボは、190mmの高さ及び10mmの内径を有する垂直透明管460に連結される。管460は、底部プレート420の上面よりも50mm上方の高さに、好適なマーク470で刻線される。これは、測定中に維持されるべき流体レベルに関しての参照である。他方のエルボ445は、可撓性の管を介して、流体送達リザーバ700(以下で説明)に連結される。
好適な流体送達リザーバ700を図22に示す。リザーバ700は、好適な実験用ジャッキ705上に置かれ、流体によるリザーバの充填を促進するための、気密ストッパー付き開口部710を有する。10mmの内径を有する開口ガラス管715が、この管の外側とリザーバとの間が気密封止されるように、リザーバの最上部のポート720を通って延びる。リザーバ700には、リザーバ内の流体の表面よりも下方の入口730、ストップコック735、及び出口740を有する、L形状の送出管725が備わっている。出口740は、可撓性のプラスチック管450(例えば、Tygon(登録商標))を介して、エルボ445に連結される。送出管725の内径、ストップコック735及び可撓性のプラスチック管450は、測定中の常時、管460内の流体レベルを刻線マーク470で維持するために充分な高い流量での、IPRPサンプルホルダー400への流体の送達を可能にする。リザーバ700の容量は約6リットルであるが、サンプルの厚さ及び透過性によってはこれよりも大きなリザーバが必要とされる場合もある。測定の持続時間の間、サンプルホルダー400に流体を供給し、管460内の流体レベルを、刻線マーク470で維持することが可能であれば、他の流体送達システムを採用してもよい。
IPRP集水漏斗500を図20に示し、この漏斗500は、漏斗の上端部で約125mmの内径を有する、外側ハウジング505を含む。漏斗500は、漏斗内に落下する液体が、吐水口515から、迅速かつ自由に排水されるように構成される。漏斗500の周囲の水平フランジ520は、漏斗を水平位置に取り付けることを容易にする。2つの一体型垂直内部リブ510は、漏斗の内径の全長に及び、互いに垂直である。各リブ510は、幅1.5mmであり、リブの上面は、水平面内に位置する。漏斗のハウジング500及びリブ510は、サンプルホルダー400を支持するために、Lexan(登録商標)又は等価物などの、好適な硬質材料から作製される。サンプルの装填を容易にするためには、底部プレート405をリブ510上に配置する際に、底部プレート405の上面が、漏斗のフランジ520よりも上に位置し得るように、リブの高さが充分であることが有利である。ステンレス鋼の重り415の相対的高さを測定するダイヤルゲージ535を備え付けるために、ブリッジ530が、フランジ520に取り付けられる。このダイヤルゲージ535は、25mmの範囲にわたって±0.01mmの解像度を有する。好適なデジタルダイヤルゲージは、Mitutoyoの型番575−123(McMaster Carr Co.より入手可能、カタログ番号19975−A73)、又は等価物である。ブリッジ530は、管425及び管460に適合し、管がブリッジに接触しないための、直径17mmの2つの円形の穴を有する。
図20に示すように、漏斗500は、電子秤り600の上方に取り付けられる。この秤りは、±0.01gの解像度及び少なくとも2000gの秤量を有する。秤り600は、また、コンピュータとインターフェースさせて、秤りの読み取りを定期的に記録し、コンピュータ上に電子的に記憶させることもできる。好適な秤りは、Mettler−Toledoの型番PG5002−S、又は等価物である。収集容器610は、漏斗の吐水口515から排水される液体が、容器610内に直接落下するように、秤りパン上に置かれる。
漏斗500は、リブ510の上面が水平面内に位置するように取り付けられる。秤り600及び容器610は、漏斗の吐水口515から排水される液体が、容器610内に直接落下するように、漏斗500の真下に配置される。IPRPサンプルホルダー400は、リブ510が溝430内に配置された状態で、漏斗700内の中央に置かれる。底部プレート405の上面は、完全に平坦かつ水平でなければならない。上部プレート420は、底部プレート405と位置合わせされ、底部プレート405上に安置される。ステンレス鋼の重り415は、管425を取り囲んで、上部プレート420上に安置される。管425は、ブリッジ530内の中央の穴を通って垂直に延びる。ダイヤルゲージ535は、プローブがステンレス鋼の重り415の上面上のポイント上に安置された状態でブリッジ530に堅個に備え付けられる。この状態で、ダイヤルゲージをゼロに設定する。リザーバ700に0.9%食塩水溶液を充填し、再封止する。出口740は、可撓性のプラスチック管450を介して、エルボ445に連結される。
試験される材料の環状サンプル475を、好適な手段によって切り出す。このサンプルは、70mmの外径及び12mmの内側穴の直径を有する。サンプルを切り出す1つの好適な手段は、鋭利な同心状の刃を有する打ち抜きカッターを使用することである。
上部プレート420を、サンプル475が上部プレートと底部プレート405との間に挿入されるように充分持ち上げ、サンプルを底部プレート上の中心に置き、プレートの位置を揃える。ストップコック735を開放し、ジャッキ705を使用してリザーバ700の高さを調節することによって、及びリザーバ内の管715の位置を調節することによって、管460内の流体レベルを刻線マーク470に設定する。管460内の流体レベルが刻線マーク470で安定しており、ダイヤルゲージ535上の読み取りが一定である場合に、ダイヤルゲージ上の読み取りに注目し(最初のサンプル厚さ)、コンピュータによる、計量器からのデータの記録を開始する。計量器の読み取り及び経過時間を、5分の間、10秒毎に記録する。3分後、ダイヤルゲージ上の読み取りに注目し(最終のサンプル厚さ)、ストップコックを閉鎖する。平均のサンプル厚さLpは、最初のサンプル厚さと最終のサンプル厚さとの平均値であり、cm単位で表される。
グラム毎秒の単位での流量は、30秒〜300秒のデータに適合させた線形最小2乗回帰法によって算出する。以下の等式を使用して、材料の浸透性を算出する。
式中、
kは、材料の浸透性(cm
2)である
Qは、流量(g/s)である
ρは、22℃での液体の密度(g/cm
3)である
μは、22℃での液体の粘度(Pa・s)である
R
oは、サンプルの外側半径(mm)である
R
iは、サンプルの内側半径(mm)である
L
pは、平均のサンプル厚さ(cm)である
ΔPは、静水圧(Pa)である
式中、
Δhは、底部プレートの上面よりも上の、管460内の液体の高さ(cm)である
Gは、重力加速度定数(m/s
2)である
式中、
K
rは、cm
2/(Pa・s)の単位で表される、IPRPの値である
表中のデータの考察:以下の情報は、表中に見られる情報を本発明に含めるための根拠を提供する。
●表1及び表2:明確な三葉形の繊維に対するベース基材の材料特性、中実円形及び標準的な三葉形ベース基材の製造時特性。表1は、ベース基材の製造されたままの特性を説明する。この表は、各サンプルに関する詳細を記載する。表1において指摘するべき重要な特性は、顕著な三葉形のフィラメントに関する変性比率、及びこれらのポイント接着PET基材に関する比較的低いMDの伸長である。
●表3:ベース基材の流体処理特性を示す。これらのベース基材の保持能力は、グラム当たりグラムの保持能力が10を下回り、これらのベース基材が吸収性材料ではないことを示した。
●表4:プロセスの設定及びベース基材の特性に対する構造化基材の特性変化を示す。サンプルの1Dの集合に関する実施例は、本発明における主要目的を強調する。1Dは、ベース基材(60g/m2、6.9dpfのPET)であり、一方1D1〜1D6は、歪み深さによって示される、繊維変位の増大を伴うキャリパーの変化を示している。歪みの増大は、キャリパーを増大させる。過剰接着は、過剰熱接着によって示される。先端部接着は、FS−チップによって示され、また、示されるように、エージングされたキャリパー、及び生成される空隙容積部の量にも影響を及ぼし得る。本発明の目的は、液体捕捉のための空隙容積部を生成することである。過剰熱接着もまた、ベース基材と比較したMD引っ張り強度の増大で示されるように、機械的特性を増大させるために使用することができる。実施例1Nのデータセットは、ベース基材と、種々の歪み深さプロセスが施されている1N1〜1N9とを比較する。このデータセットは、いずれかの過剰熱接着、FS−チップ、及び歪み全般によって決定される、キャリパー生成の最適化が存在することを示す。このデータは、過大な歪みは、エージングされたキャリパーの悪化を伴うサンプルを作り出す恐れがあることを示す。本発明の1つの実施では、このことは、駆動領域内の完全に破断されたフィラメントに相当するが、一方で、最高の空隙容積部の生成を有する領域は、好ましい破断フィラメントの範囲を有する。これらの結果はまた、本発明に関しては、典型的な樹脂結合構造と同様ではあるが、その一方で流体輸送特性も有する、構造化基材の体積を生成し得ることも示す。
●表5:データ及び実施例は、本発明におけるキャリパーの増大及び空隙容積部の形成を標準的な三葉形及び中実円形の繊維形状に対して使用することができることを示す。本発明の効果は、顕著な三葉形の繊維に制限されるものではない。
●表6は、ベース基材の特性に対する構造化基材の流体処理特性を示す。表6での実施例は、表4と同じである。表6でのデータは、FDTの使用が、ベース基材と比較した、構造化基材のMD水平輸送特性を実際に増大させることを示す。過剰接着は、MDでの流体輸送を増大させることが見出されている。垂直吸い上げ高さ成分は、中度のFDT歪みでは、構造化基材とベース基材との類似した特性を示すが、より高度の歪みでは、垂直吸い上げ高さ成分は実際に若干減少する。カーディングされた樹脂接着不織布に比べて;垂直輸送成分がなお極めて良好である。エイジングを行った裏抜き試験のデータは、ベース基材に対して構造化基材の液体捕捉速度が劇的に向上していることを示している。裏抜き時間は、ベース基材に対するFDTにより劇的に減少している。再湿潤特性は、ベース基材に対するFDTにより概ね低下している。表6中のデータは、流体捕捉率を制御する能力と共に、流体輸送を提供する構造化基材の能力を立証する。この表は、また、サンプルについてのIPRPによる材料の流体浸透性を含み、これは、FDT後の劇的な向上を示し、また、構造化基材が、カーディングされた樹脂結合構造と同様のキャリパーにおいてより高い浸透性をどの程度有するかということも示す。
●表7は、ベース基材に対する一部の明確な繊維形状の構造化基材の更なる流体処理特性を示す。サンプル説明で使用する活性化条件を表5に示す。表5は、FDTにおける変化が、流体捕捉率を向上させることができるということを示す。
●表8は、中実円形(SR)及び標準的三葉形繊維(TRI)に対して流体捕捉速度が向上している、ベース基材サンプルに対する更なる構造化基材を示す。構造化基材サンプルに対して使用する活性化条件を、表9に示す。
●表9は、表8で作製されたサンプルのプロセス条件を示す。
●表10は、本発明で使用されるる基材の単一繊維特性の値を示す。本発明は、高速の繊維紡糸を使用して、熱安定性PETを製造することから、弾性率の値が、フィラメント当たりの>10gの強度を有する繊維に対して非常に高い。
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
相互参照されるか又は関連する全ての特許又は特許出願を含む、本願に引用される全ての文書を、特に除外すること又は限定することを明言しないかぎりにおいて、その全容にわたって本願に援用するものである。いずれの文献の引用も、こうした文献が本願で開示又は特許請求される全ての発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他の全ての参照文献とのあらゆる組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、本文書において、用語の任意の意味又は定義の範囲が、参考として組み込まれた文書中の同様の用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合には、本文書中で用語に割り当てられる意味又は定義に準拠するものとする。
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。