[0113]求められるように、本発明の詳細な実施形態を本明細書で開示するが、開示される実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、本発明をさまざまな形態で実施できることを理解されたい。したがって、本明細書で開示される構造および機能に関する特定の詳細は、限定的なものとして解釈すべきではなく、単に特許請求の範囲の基礎として、適切に具現化されるほぼあらゆる構造において本発明をさまざまな形態で使用する方法を当業者に教示するための代表的な基礎として解釈すべきである。本出願における語上下左右などのあらゆる参照が、さまざまな図面に示されている配置と、そのような装置に適用される通常の意味を指し、実際の用途における骨取り付け構造の位置付けを制限するものではないことに留意されたい。
[0114]図1〜33を参照すると、参照符号1は、本発明による多軸骨スクリュー装置または組立体の全体を表す。組立体1は、シャンク4と、受入部10と、開いたリング状の保持部12と、シャンク頭部8との摩擦嵌め非係止型係合のための構造を有する圧縮インサートすなわち圧力インサート14とを含む。シャンク4は、上方に延在する上部部分すなわち頭部構造8と一体化された本体6をさらに含む。受入部10、保持部12および圧縮インサート14が最初に組み立てられ、さらに、以下でより詳しく説明するように、シャンク本体6を椎骨17に埋め込む前またはその後に(図24参照)、シャンク4に組み付けることができる。図1および図31〜図33は、長手方向連結部材21を受入部10内に拘束して固定し、したがって部材21を椎骨17に対して固定するように、シャンク上部部分8に押し付けられて保持部12と固定摩擦接触する圧縮インサート14と係合する長手方向連結部材、たとえばロッド21を拘束するための閉鎖部構造18をさらに示す。図示のロッド21は、硬く、剛性を有し、非弾性的で、円柱状であり、外側円柱面22を有する。他の実施形態では、ロッド21は、弾性であってもよく、変形可能であってもよく、および/または、異なる材料で形成されるとともに異なる断面形状を有してよいであろう。受入部10とシャンク4とは、受入部10とシャンク4とを互いに対して複数の角度、結合状態、または回転時の位置合わせのうちの任意の角度または結合状態または位置合わせで固着し、かつ前後と左右とのうちから選択された角度範囲内で固着することができるように協働し、それによって、受入部10とシャンク4とがどちらも埋め込み手技が終わり近くなったときに互いに対してロックまたは固定されるまで、受入部10をシャンク4に柔軟にあるいは関節によって係合させることができる。
[0115]シャンク4は、図1〜図3に最もよく示されているように、細長く、シャンク本体6は、上部部分すなわち頭部8に隣接して位置する首部26近くから本体6の先端28まで延在し、そこから半径方向外側に延在する、らせん状をなした、骨に埋め込み可能なねじ24(一条ねじ型または二条ねじ型および異なるねじ型)を有する。使用時には、以下により詳しく説明するように、把持および前進のためにねじ24を利用する本体6を、先端28から椎骨17に埋め込み、据え付け器具またはねじ込み器具(図示せず)によって椎骨内にねじ込み、それによって首部26またはその近くの位置で椎骨内に埋め込む。シャンク4は、参照文字Aにより全体が特定される細長い回転軸線を有する。
[0116]首部26は、シャンク本体6から軸線方向において上方に延在する。首部26は、ねじ24の末端が位置する本体6の隣接する上端すなわち頂部32と同じ半径を有していてもよいが、通常、この上端すなわち頂部32と比べて僅かに小さな半径を有する。上端32からある距離のところに配置され、したがって、本体6を椎骨17に埋め込んだときにそのような椎骨からある距離のところに配設される連結装置または拘束装置を提供するシャンク上部部分すなわち頭部8が、首部26からさらに軸線方向および外側に延在する。
[0117]シャンク上部部分8は、シャンク4を受入部10に対して所望の位置に固定する前にシャンク4と保持部12と受入部10とを枢動可能に連結できるように構成される。シャンク上部部分8は、一部の実施形態では実質的に平坦な頂部すなわちリム面38に末端が位置する首部26から外側にかつ上方に延在する、凸状で実質的に球形の下部外面34を有する。図示の実施形態では、円錐台状面39が球面34から頂面38まで延在し、シャンクが受入部10およびインサート14に対して枢動する間にさらなる隙間を形成する。球面34は、以下の段落でより詳しく論じるように、凹面または平坦面を有するインサート14のパネルとの一時的な摩擦によって、ガタつかずに摺動的に協働するように、かつ、最終的にその上部の段状の内面のところでインサート14と摩擦係合するように構成された外半径を有する。シャンク頂面38は、軸線Aに実質的に垂直である。本実施形態で示される球面34は、実質的に平滑であるが、いくつかの実施形態では、粗面化またはその他の表面処理を含むことができ、圧縮インサート14と協働して最終的に摩擦係合するため、かつ、保持部12と最終的に摩擦係合するための大きさおよび形状を有する。シャンク球面34は、インサート14および保持部12によってのみ所定の位置に係止され、受入部空洞を形成する内面によっては所定の位置に係止されない。
[0118]皿頭を有する実質的に平面状の基部すなわち段状の座面45が、内部ねじ込み部品(internal drive feature)すなわちインプリント46を部分的に形成する。図示の内部ねじ込み部品46は、頂面38に形成された孔であり、骨スクリューシャンク4を回転させてねじ込む(drive)ためにアレンレンチ型の器具(図示せず)を孔に受け入れるように構成された星型の形状を有する。このような内部器具係合構造は、さまざまな器具係合形態をとることができ、間隔を置いて配置された一対の孔や多葉状(multi-lobular)または六角形の孔のようなさまざまな形状の1つまたは複数の孔を含むことができるであろう。ねじ込み部品46の座面すなわち基部面45は、軸線Aに対して実質的に垂直に配置され、ねじ込み部品46は他の部分では軸線Aと同軸である。図2および3に示されているように、ねじ込み座45は、ねじ込み器具による把持をさらに強化することのできる斜面または段状面を含むことができる。動作時には、たとえば図24に示すようにシャンク4を受入部10に取り付ける前、またはシャンク4を受入部10に取り付けた後に、シャンク本体6を椎骨17にねじ込んで回転させるために、ねじ込み器具(図示せず)を内部ねじ込み部品46内で受け入れ、基部45のところで着座させ、ねじ込み部品46の各面に係合させて、シャンク本体6は、受入部10の中に延在するねじ込み器具によって椎骨17にねじ込まれる。
[0119]図面に示されるシャンク4は、カニューレが挿管される、シャンク4の全長にわたって軸線Aに沿って延在する小さな中心穴50を有する。穴50は、シャンク4の内側円筒壁によって形成され、シャンク先端28にある円形開口部と、ねじ込み座45のところで外部ねじ込み部46と連通する上部開口部とを有する。穴50は、ねじ付き本体6および上部部分8と同軸である。穴50は、シャンク本体6を挿入する前に椎骨17に挿入されるワイヤであって、シャンク本体6を椎骨17に挿入するための案内となるワイヤ(図示せず)の長さにわたってシャンク4の内部を貫通する通路を形成する。シャンクは固く形成する(solid)ことができ、金属および非金属を含む異なる材料で作製されてもよいであろう。
[0120]骨との生物学的に活性の界面を形成するために、ねじ付きシャンク本体6をコーティングするか、これを穿孔するか、これを多孔質にするか、またはこれを他の方法で処理することができる。この処理としては、プラズマ溶射コーティングまたは金属もしくはたとえばリン酸カルシウムによる他の種類のコーティング、またはボーンイングロースまたはボーンオングロースを可能にする、スパッタリング、サンドブラスト、酸エッチングなどによるシャンク面の粗面化またはシャンク面における穿孔もしくはくぼみの形成があるが、これらに限定されない。ある種の金属コーティングは、ボーンイングロースの足場として働く。バイオセラミックリン酸カルシウムコーティングとしては、αリン酸3カルシウムおよびβリン酸3カルシウム(Ca3(PO4)2)、リン酸4カルシウム(Ca4P2O9)、非晶質リン酸カルシウムおよびヒドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)があるが、これらに限定されない。たとえば、ヒドロキシアパタイトによるコーティングが望ましい。これは、ヒドロキシアパタイトが、ミネラル含有量に関して化学的に骨に類似しており、生物活性であるものと識別されており、したがって、ボーンイングロースを支持するだけでなく骨結合に能動的に関与するからである。
[0121]特に図1および図4〜図9を参照すると、受入部10は、一部が連続しておらず、一部が多面状であり、一部が湾曲した外形と、一部が円筒状である内形と、を有する略U字形の外観を有する。受入部10は、図1においてシャンク4の回転軸線Aと位置合わせされておりかつこの回転軸線Aと同じであるように示されている回転軸線Bを有し、このような向きが望ましいが、受入部10をシャンク4に組み付ける際には必要とされない。受入部10をシャンク4に枢着させた後、シャンク4を椎骨17に埋め込む前かまたはその後に、たとえば操作・係止器具を有する組立体1を示す図46に示されているように、通常、軸線Bは軸線Aに対してある角度に配置される。
[0122]受入部10は、全体が61で示される穴すなわち内側空洞を形成する曲面状の下部基部部分60を含み、基部60は、受入台を形成し、かつ、全体が66で示される上部開口を有するチャネル64をアーム62同士の間に形成する、1対の対向する直立アーム62と一体化されている。受入部10は、実質的に平坦な下部チャネル部分すなわち座68をさらに含み、チャネル64は、ロッド21または別の長手方向コネクタの一部分をアーム62同士の間に動作可能に受け入れるため、および、インサート14の外側延在部分をぴったりと受け入れるための幅を有し、チャネル64は、基部空洞61と連通する。実質的に平坦な対向する内側周辺アーム面69は、チャネル64を部分的に形成し、全体が70で示される各アームの実質的に円筒状の内部面の両側に位置する。アーム面69の対向する下部面部分71は、下部座68に末端が位置する。アーム内部面70は、さまざまな円筒状の内形をそれぞれ含み、その上部の内形は、アーム62のそれぞれの頂面73に隣接して設けられた、部分的にらせん状をなした案内・前進構造72である。図示の実施形態では、案内・前進構造72は、以下でより詳しく説明するように、回転しながら閉鎖部構造18の類似の構造と嵌合するように構成された、らせん状をなした部分的な連動フランジ形態である。しかし、本発明の特定の実施形態では、案内・前進構造72は、代替的に、方形ねじ、のこ歯ねじ、逆角度ねじ、または、閉鎖部構造18を回転させながら動作可能にアーム62同士の間を下降させて案内するとともに、閉鎖部構造18がロッド21または他の長手方向連結部材に当接したときに最終的にトルクをかける、らせん状をなしたその他のねじ状または非ねじ状の不連続前進構造であってもよいであろう。アーム62は離脱延長部を有してよいであろう。
[0123]対向する1対の丸みのある三角形またはデルタ形の上部器具受入・係合孔74は、それぞれ、アーチ形の上面75と実質的に平面状の底面75’とによって形成される貫通穴を有し、アーム62の外面76上に形成される。各貫通穴面75および75’は、アーム内面70を貫通する。貫通穴部分75および75’を有する孔74は、係止器具、係止解除器具、およびその他の操作器具を受け入れるための大きさおよび形状を有し、図示の実施形態では、以下でより詳細に説明するように、保持部12を受入部10に頂部から装着する間に、保持リング12(図21で破線で示されている)を受け入れる。各孔74は、アーチ形の穴部分75を囲む傾斜した器具位置合わせ面77をさらに含む。面77は、それぞれのアーム62を完全には貫通しない。受入部10は、一体的な構造であり、ばねタブまたはコレット状構造を有していないことに留意されたい。以下でより詳細に論じるように、外側に延在して周辺アーム面69で受入部チャネル64内に延びるインサート14の形状によって、組立て中にインサート14が回転することが阻止され、したがって、受入部10、および、ロッド21またはその他の長手方向連結部材との位置合わせがずれることが阻止される。この位置合わせのずれは、その他のタイプの圧縮インサートで生じることがある。受入部10をインサート14、保持部12およびシャンク4と組み付ける間、シャンクが受入部10に事前に組み付けられているときにシャンク本体6を椎骨に埋め込む間、骨アンカー組立体1をロッド21および閉鎖部構造18と組み付ける間、ならびに、以下により詳しく説明するように、受入部10の内面に摩擦係合させたりこれから分離したりする、受入部10に対する本発明によるいくつかのインサートの係止および解放の調整を行う間に、孔74および追加の器具受入孔または溝(図示せず)を使用して受入部10を保持することができる。器具を受け入れる溝または孔をさまざまな形状および大きさに構成して、受入部アーム62上の他の位置に配置できるであろう。
[0124]受入部アーム62の内面70の説明に戻ると、案内・前進構造72の下に位置するのは、案内・前進構造72用の逃げ部品を部分的に形成する不連続な円筒面80である。円筒面80は、案内・前進構造72の大きい方の直径と等しいか、あるいは、これよりも僅かに大きな直径を有する。下方に移ると、基部60に向かう方向において、各アームの円筒面80に続くのは、軸線Bの方へ内側に延在しかつ軸線Bに垂直または僅かに斜めに延びる環状の逃げ座すなわち逃げ面83の下に位置する、円筒面82である。面82は、面80の直径よりも小さな直径を有する。以下でより詳細に説明するように、面82は、インサート14の一部分を最初にぴったりと受け入れ、これを摩擦保持するような大きさおよび形状を有する。表面82より下に位置するのは、軸線Bに実質的に垂直に配置された不連続な環状面すなわち幅の狭い突出部84である。一部が連続していない円筒面86が、各アーム上に、突出部面84より下にかつ面84に隣接して位置する。面86は、面82の直径よりも大きな直径を有する。孔面75の一部分は、各アームのところで円筒面86に隣接し、他の部分では、面86は、下部突出部87に末端が位置する。一部が連続していない円筒面88が、各アーム上に、下部突出部87より下にかつ突出部87に隣接して位置する。面88の直径は、面86の直径よりも大きい。面88は、受入部軸線Bの方へ内側に延在するリップ89に末端が位置する。リップ89の下に位置するのは、一部が連続していない円筒面90である。面90も内側空洞61を部分的に形成し、内側空洞61は、面75’のところで全体的に孔74の下にあり、チャネル座68の下にある。円筒面90は、連続していない面88の直径よりも僅かに大きな直径を有する。面90は空洞下部突出部面91に末端があり、空洞下部突出部面91は、軸線Bから離れるように外側に延在し、軸線Bに垂直であってよいが、軸線Bから離れるように下方と外側との両方に延在する円錐台状面として示されている。孔74の貫通穴75は、それぞれ、面86、88、および90のところでアームを貫通し、傾斜した器具係合壁77は、各穴面75の両側で実質的に延在し、主に内面86および88の反対側の位置でアーム外面76に形成される。
[0125]特に図1,5,6,8を参照して、実質的に平坦な周辺面69の説明に戻ると、各アーム62は、各面69に位置する1対の突き出す隆起部すなわち止め部92を含み、合計で4つの止め部92が、環状面87の近くに位置し、前後の面すなわちアーム面94から円筒面88まで延在する。一方のアーム62の止め部92は、他方のアーム62の対向する一対の止め部92に直接面し、各止め部92は、それぞれの平坦面69から離れるように外側に突き出す。図示の止め部92は細長く、軸線Bに垂直な方向に延びる。以下でより詳細に説明するように、止め部92は、インサート14の面と協働して、インサート14を受入部10のチャネル64内に保持する。図示の実施形態では、各止め部92は、一部が平坦であり一部が湾曲した面96に隣接する底面すなわち突出部95を含む。止め部92の真下に位置する面96の平坦な部分は、面69と同一線上にあり、または、面69から少し差し込まれてもよい。各組の対向する面96は、互いの方へ湾曲し、それぞれの隣接する下部面部分71に末端が位置する。縁部97は、各湾曲面96と、それぞれの隣接する下部面部分71と、の接合点を形成する。対向する面部分71同士の間で測定される第1の幅は、止め部92とアーム頂面73との間に位置する対向する面69同士の間で測定される第2の幅より小さく、以下でより詳細に説明するように、対向する平坦な係止締まり嵌めされた面をインサート14’に提供する。インサート14は、ぴったりと受け入れられるが面71同士の間で摺動可能であるような大きさおよび形状を有する。
[0126]図8および図9の説明に戻ると、環状面すなわち円錐台状面91が基部空洞61を部分的に形成し、円筒面90より下にかつ円筒面90に隣接して配置される。別の円筒面99が、面91より下にかつ面91に隣接して配置される。面99は、基部空洞61の一部分を形成する。円筒面99は、軸線Bに実質的に平行に向けられており、拡張した保持部リング12を受け入れるような大きさおよび形状を有する。面91および99は、シャンク8が組立て時に受入部基部を通ってチャネル64の方へ上方に移動しながら保持部12がシャンク上部部分8のまわりで拡張するときに保持部12を受け入れるような大きさおよび形状を有する周方向の凹部を形成する。この凹部の構成は、テーパ状であってもよいし、円錐形であってもよいであろう。円筒面99より下に位置する円筒面101は、たとえば図37に示されているように保持部が実質的に中立位置にあるときに保持部12の下部部分をぴったりと受け入れて囲むような大きさおよび形状を有する。したがって、円筒面101は、保持部12用の拡張領域すなわち拡張チャンバを形成する円筒面99の直径よりも小さな直径を有する。面101は、1つまたは複数の傾斜した湾曲面すなわち円錐状面102によって面99に接合または連結される。面102は、保持部12を摺動させて中立的にまたは公称的な位置に位置付けて、面101によって形成される空間に入れ、最終的に、円筒面101より下にかつ円筒面101に隣接して位置する実質的に水平方向の下部環状面104に保持部12を着座させることを可能にする。環状面104は、軸線Bに実質的に垂直に配置されている。
[0127]環状着座面104より下にかつ環状着座面104に隣接して設置されるのは、斜面すなわち広がった底部開口面107と連通する別の実質的な円筒面106であり、面107は、受入部10の基部空洞61への、全体が110で示される下部開口を形成する、基部60の外部基部面108と連通する。
[0128]特に図1および図10〜13を参照すると、シャンク上部部分8を受入部10内に拘束するように動作する下部の開いたまたは分割された保持部12は、シャンク上部部分8および保持部12を受入部10内に取り付けたときに受入部10に関連付けられる軸線Bと動作上は同じである中心軸線を有する。保持部12は、ステンレススチールやチタン合金などの弾性材料から作られ、それによって、以下により詳しく説明するように、組立てのさまざまな工程において保持部12を拡張することができる。保持部12は、全体が121で示され、頂面122から底面124までリング12を完全に貫通させる中央チャネルすなわち中空の貫通穴を有する。チャネルすなわち穴121を形成する面は、頂面122に隣接する不連続な内側円筒面125と、面125に隣接する不連続な円錐台状面127と、を含み、この2つの面は、保持部12が中立的で非圧縮かつ非拡張姿勢をとるときに同軸になる。縁部128は、頂面122と円筒面125との接合点によって形成される。たとえば、図31に示されるように、シャンク上部部分8は、組立体1が最終的な位置に係止されると、最終的に、縁部128で保持部12と摩擦係合する。保持部12は、頂面122に隣接して位置する外側円筒面130と、底面124に隣接する外側斜面すなわち円錐台状面132と、をさらに含む。面130は、保持部12の中心軸線に平行に向けられている。本発明のいくつかの実施形態では、保持・操作器具(図示せず)を受け入れるために、間隔を置いて配置された切り欠き(図示せず)を円筒面130に形成することができる。いくつかの実施形態では、保持部の内面または外面に切り欠きをさらに設けて、その拡張時に保持部12全体にわたって応力をより均等に分散させることができる。
[0129]弾性の保持部12は、保持部が中立で非圧縮の状態にあるときに互いに間隔を置いた関係に配置される第1の端面134と第2の端面135とをさらに含む。保持部が中立状態にあるとき、面134と135とは接触してもよい。端面134と端面135とは、両方とも、頂面122および底面124に実質的に垂直に配置される。面134と135との間の幅Xは非常に狭く(スリットはEDMプロセスによって形成することができる)、動作時に保持部12に対して安定性を提供する。保持部12は中立状態で頂部から装着可能であり、かつ保持部12を受入部空洞61内に嵌め込むために圧縮する必要がないため、幅Xは、底部から装着される圧縮可能な保持部リングに必要な幅より大幅に小さくすることができる。間隔Xは、拡張時にのみ機能し、保持部12がシャンク上部部分8のまわりで拡張するのを可能にする。このため、より大きな間隔を有する保持部リングと比べて、係止時に保持部がシャンク上部部分8により多く表面接触し、保持部がより強固になり、それによって、連結がより頑丈になり、故障の可能性が低くなる。また、保持部12は、拡張されるだけであり、内側に圧縮されないため、保持部12は、組立て時に内側への圧縮と外側への拡張の両方が行われる従来技術で知られているばねリング型保持部に通常加えられる機械的応力を受けない。
[0130]本発明のいくつかの実施形態では、保持部12の内面は、シャンク上部部分8をロッド21もしくはその他の長手方向連結部材によって係止する前にシャンク上部部分8に対する摩擦嵌めを強化する粗面化材料すなわち追加的な材料を含むことができるであろう。また、図10〜13に示されている実施形態は、面134と面135とを保持部の中心軸線に対して実質的に平行であるように示しているが、面を斜めに、すなわちわずかな角度に向けることが望ましい場合があるであろう。
[0131]特に図1および図14〜20を参照すると、上部開口66のところで受入部10によって受け入れられかつ受入部10の中に下向きに装着されるような大きさおよび形状を有する摩擦嵌め圧縮インサート14が示されている。圧縮インサート14は、受入部10の中心軸線Bと同一の、動作上の中心軸線を有する。動作時には、インサートは、有利には、骨スクリューシャンク上部部分8に摩擦係合し、それによって、手術中に手順の終わり近くでシャンク4を受入部10に対して係止する前に、受入部10に対するシャンク4の角度を、係止していないがガタつかない状態で配置することが可能になる。図34〜40に示されるインサート14’に関して以下でより詳細に説明するように、本発明のいくつかの実施形態では、たとえばロッド21および閉鎖部頂部18から圧縮されることによって受入部10に対して所望の角度位置にシャンク4を係止したインサートは、その対向する受入部の平坦なアーム面71の対のところで受入部10に締まり嵌め係合させられ、したがって、ロッド21および閉鎖部頂部18を取り外した場合でもシャンク6を係止位置に保持することが可能である。このような係止位置は、必要に応じて外科医によって解放することもできる。非係止型インサート14および係止型インサート14’は、好ましくは、摩擦嵌めパネルを提供するために、ステンレス鋼またはチタン合金などの固い弾性材料から作製する。また、その結果、いくつかの実施形態では、インサートのアーム部分を互いに挟むかまたは押し付けることができ、このような部分は、出荷時および組立ての早期段階で受入部10に対して外側に押し付ける。
[0132]非係止型圧縮インサート14は、部分的に円筒状の外面とU字状の内面とを有する本体150を含み、また、全体が151で示される対向する端部を有し、インサート14は、受入部アーム側面69、止め部92、止め部92より下の面96,71およびチャネル座68と協働するように、アーム62の対向する前後の面すなわち面94の間のU字形チャネル64を完全に貫通するような大きさおよび形状を有する。本体150内に形成されたU字形チャネル面すなわち鞍状部153も、インサート端部151の間に延在し、インサート14が受入部10に組み付けられると、鞍状部153は、受入部チャネル64と実質的に整合する。鞍状部153は、インサート本体150によって、また、2つの直立アーム156によって形成され、ロッド21または他の長手方向連結部材をぴったりと受け入れるような大きさおよび形状を有する。代替のインサート実施形態は、方形または矩形の棒をぴったりと保持するとともに、円柱形のロッド状、コード状、またはスリーブ付きコード状の長手方向連結部材を保持する平面状保持面を含むように構成できるであろう。
[0133]したがって、インサート14の本体150は、その上端で直立アーム156の対と一体化し、その下端で、対向するクラウンコレット延長部(crown collet extension)158の対として示される下方に延びる上部構造とも一体化している。各上部構造延長部158は、スロット付きの底面159に末端がある。全体が160で示される穴が、インサート本体150内にインサート本体150を通るように配置されている。この穴は、軸線Bに沿って延びるとともに、鞍状部153および直立アーム156によって形成されるU字形チャネルと連通する。また、この穴は、コレット延長部158の間を延びる。穴160は、シャンクねじ込み器具および他の操作器具のための空間および隙間を形成するような大きさおよび形状を有する。
[0134]鞍状部153の両側に配設されるアーム156は、鞍状部153から上方に延在し、最終的に、受入部円筒面86および88内の閉鎖部頂部118より下に、閉鎖部頂部118から離隔されて配置されるような大きさを有し、かつそのように構成される。内側アーム面157は、U字形鞍状部153の残りの部分から上方かつ僅かに外側に延在する。アーム156は、受入部円筒面82において弾力的かつ一時的に配置するための大きさおよび形状も有する。アーム156は、面162に隣接し一部が円筒状の外側上部湾曲面163として示される複数の外側下部凸面162を含み、面163は、湾曲して凸状であり、また、本体150の両側から外側に広がる。面163は、最終的に閉鎖部頂部18と離隔された関係で位置付けられる平坦な頂面164に隣接し、それによって、閉鎖部頂部18は、ロッド21のみと摩擦係合し、ロッド21を下向きにインサート鞍状部153に押し付け、次いで、シャンク4の上部部分8が保持部12に押し付けられて、骨スクリュー組立体1の多軸機構を所望の角度に係止する。頂面164のそれぞれは、隣接する鞍状面157から離れて上方に傾斜する。
[0135]それぞれの広がった面163より下に位置する、一部が円筒状の各面162は、面163から、インサート本体150の部分的に環状の下部面すなわち底面165まで延在する。各面162は、全体が70で示される受入部アームの内側アーム面内に全体が嵌まるような大きさおよび形状を有する。本発明のいくつかの実施形態では、たとえば、ロッド21が変形可能な材料から作製される場合に、アーム、より具体的にはアーム頂面が最終的に閉鎖部頂部18に直接係合して多軸機構を係止するように、アーム156が延在し、頂面が傾斜されず、閉鎖部頂部を構成することができるであろう。アーム外面162は、アーム外面162に形成された、係止器具を受け入れて係合するための切欠きすなわち溝をさらに含む。具体的には、図示の実施形態では、各面162は、器具を受け入れるためのv字形の切欠きすなわち凹部を有し、この切欠きは、上部傾斜面167によって形成され、インサート14の動作上の中心軸線に実質的に垂直に配置された下部平坦面168と交差する。以下でより詳細に説明するように、インサート14を受入部10内に拘束し、受入部10内に動作可能に位置付けるときに、面167および面168は、それぞれの受入部孔の貫通穴75、面、および面75’と協働してこれらと整合する。また、いくつかの実施形態では、アーム163は、上方に延在することはできるが、外側に広がったりテーパ状であったりすることはできないであろう。
[0136]インサート14は、実質的に円筒形の外側アーム面162から各端部151に一様に外側に延在する。実質的に平坦な外側面170が、各アーム面162から実質的に平坦な面171に延在する。面171は、アーム面162に垂直に配設され、各端部151を実質的に形成する。各端面171は、面165と実質的に平行に延びかつインサート本体150の方へ内側に延在する下部延長面172に隣接する。アーム156の一方から端面171のそれぞれに延びる実質的に平坦な上面すなわち頂面173は、各側面170に隣接する。面170のそれぞれは、狭い外側ストリップを形成し、下部の狭い突出部174に隣接し、かつ突出部174に垂直である。突出部174は、上面173と平行に延びる。差し込まれる平坦面175は、各下部突出部面174に隣接し、それぞれの平坦な外側側面170と平行に延びる。対向する面175の間の幅は、対向する受入部下部アーム面71の間で面175が摺動しながら受け入れられるような大きさである。本発明の他の実施形態では、面175同士の間の幅は、以下でインサート14’に関して説明するように、受入部に対してインサートの非収縮性係止型締まり嵌めを提供するために、したがって骨スクリュー組立体の多軸機構を係止するために、面175を平坦面71同士の間で下向きに押さなければならないように拡大することができる。面175は、平坦な端面177および下部延長面178に末端が位置する。各面175の一部分は、平坦な端面171まで延在する。
[0137]全体が160で示されるインサート穴は、実質的に円筒状の内面180によって本体150のところで実質的に形成され、面180は、鞍状部153と連通するとともに、シャンク上部部分すなわち頭部8の面34の半径と同じまたは実質的に同様の半径を有する実質的に球状の下部凹面181とも連通する。面181の一部分は、本体下部面165に末端が位置する。また、面181は、クラウンコレット延長部158の内面を形成する。円筒面180と部分的に環状の下部本体面165との間で球面181に沿って位置するのは、シャンク把持面部分182である。把持面部分182は、インサート14を頭部面34に係止するときにシャンク頭部8を把持してシャンク頭部8内を貫通するような大きさおよび形状を有する1つまたは複数の段状面すなわち隆起部を含む。段状面部分182が含む段状面の数は上記より多くても少なくてもよく、段状面部分182が覆う球面181の表面積は上記より大きくても小さくてもよいであろう。これに加えて、またはこの代わりに、シャンク把持面部分182および球面181は、粗面化された面またはザラザラした面もしくは表面仕上げを含んでいてもよいし、シャンク上部部分8との摩擦係合を向上させるために、切り込みを設けたり、凹凸を設けたりなどしてもよいであろう。
[0138]2つのアーム156と逆方向に全体が延び、かつ不連続な内側球面181を有する2つのコレット延長部158は、シャンク把持面部分182に隣接する位置から底面159を貫通して実質的に垂直に延びる貫通スリットすなわちスロット183も含む。図示の実施形態は、各延長部158の中央に配置された1つのスロット183を含む。本発明の他の実施形態では、含まれるスロット183の数は、上記より多くても少なくてもよいし、スロットを含まなくてもよいであろう。スロット183は、各延長部158を実質的に均等に区画し、シャンク把持部分182から底面159まで延在する、一部が球状の4つの区別できる弾性フィンガ、タブ、またはパネル196を形成する。言い換えれば、不連続な内側球面181は、4つの区分すなわちパネル184にさらに分離され、それぞれは、不連続な部分的に球状の内面181を有し、形が実質的に円筒状の外面185を有する。パネル184は、シャンク上部部分8の球面34のまわりに弾性的に拡張し、次に面34にスナップ嵌めされて摩擦把持するような大きさおよび形状を有する。図示の実施形態では、球面181は、タブすなわちパネル184が面34を把持するときにインサート14のコレット延長部分138が中立的状態または僅かに拡張した状態であるように、把持タブすなわちパネル184がシャンク面34の半径と同じかまたはこれより僅かに小さい中立的な半径すなわち非拡張時半径を有するように構成される。他の実施形態では、非拡張時半径は、シャンク面の半径と同じであるかまたはこれよりも大きい。シャンクとインサートとの接触表面積は、このような場合にガタつきのない摩擦嵌めを確立するのに十分な広さである。そのうえ、シャンク面34および/または球面181は、シャンクとインサートとの摩擦嵌めを提供する粗面化されるかあるいは溝が設けられた表面部材を含んでいてもよい。他の実施形態では、シャンク面34よりも僅かに大きな事前組立半径を有する弾性パネル184を内側に屈曲させて、シャンク面との摩擦嵌めをよりきつくすることができる。閉鎖部頂部18によってロッド21またはその他の連結部材を下向きにインサート座153に押し付けることによってシャンク4を所定の位置にロックすると、最初はシャンク面34に沿って滑ることのできるインサート14のシャンク把持部分182が、面34に食い込むかあるいは貫入し、したがって、シャンク把持部分182のところでシャンク上部部分8をインサートにしっかりと固定される。いくつかの実施形態では、球面181は、平らであってもよいし、平坦であってもよいであろう。
[0139]穴160は、受入部10が取り付けられた状態でシャンク本体6を骨にねじ込んだときにシャンクねじ込み部品46に係合するねじ込み器具(図示せず)を受け入れるような大きさおよび形状を有する。また、穴160は、代替の係止型インサート14’を受入部との係止位置から解放するために使用されるための操作器具を受け入れることができ、この操作器具は、シャンク上に押し下げられ、また対向する貫通穴166’のところで、または、他の器具係合部品により、インサート14’を把持する。インサート14’を受入部10から解放する操作器具も、受入部貫通穴74から穴166’に到達することができる。インサート14の説明に戻ると、面167および168によって形成される外側切欠きは、図46および図48に示され以下でより詳細に説明するように、受入部貫通穴74を貫通する器具も受け入れて多軸機構を一時的に係止することができる。図示のインサート14は、インサート14を操作して受入部10内に保持し、かつ保持部12とインサート14との間に適切な隙間を形成する追加の溝および凹部を含めて、他の部品をさらに含むことができる。
[0140]図1および図30〜33を参照すると、図示の細長いロッドすなわち長手方向連結部材21(その一部のみが示されている)は、脊柱再建手術で利用されるさまざまなインプラントのいずれであってもよいが、通常、一様な直径を有する実質的に平滑な外側円柱面22を有する円柱状の細長い構造である。ロッド21は、さまざまな金属、金属合金、非金属、および変形可能で圧縮しにくいプラスチックから作製することができ、エラストマー材料、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ならびに、ポリカーボネートウレタン(PCU)およびポリエチレンのなどの他の種類の材料で作製されたロッドを含むが、これらに限定されない。
[0141]組立体1と共に使用される長手方向連結部材は、さまざまな形状をとることができ、卵形の断面、矩形の断面、または、その他の湾曲した断面もしくは多角形断面を有するロッドまたは棒が含まれるが、これらに限定されない。インサート14の形状は、組立体1で使用される特定の長手方向連結部材を密接に保持するように修正することができる。組立体1の一部の実施形態は、張力をかけたコードと共に使用することもできる。このようなコードは、ポリエステル、または、ポリエチレン−テレフタレートなどのその他のプラスチック繊維、より糸、もしくは糸を含むさまざまな材料から作製することができる。さらに、長手方向コネクタは、長手方向連結部材を密接に受け入れるU字形チャネル、矩形チャネル、またはその他の形状のチャネルを有する受入部の圧縮インサート14によって受け入れられるような大きさおよび形状を有する円柱状または棒状の部分を備える、より長い全体的に動的安定化性を有する連結部材の構成部材であってもよい。長手方向連結部材は、たとえば隣接する複数対の骨スクリュー組立体1の間に配置されるような大きさおよび形状を有する屈曲可能な構成要素または制動構成要素と一体化されるか、または、この構成要素に固定することができる。骨スクリュー組立体1の一方または両方の側で長手方向連結部材に制動構成要素すなわち緩衝部材を取り付けることができる。長手方向連結部材のロッドまたは棒(またはロッドもしくは棒の構成要素)は、所望の用途に応じて、変形可能なプラスチックから硬質金属までさまざまな材料で作製することができる。したがって、本発明の棒およびロッドは、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、およびコバルトクロムを含むがこれらに限定されない金属および金属合金を含むがこれらに限定されない材料、または、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、超高分子量ポリエチレン(UHMWP)、ポリウレタン、および炭素繊維を含む複合材料などのプラスチックポリマー、ポリイソプレン(天然ゴム)などの天然エラストマーもしくは合成エラストマー、ならびに合成ポリマー、コポリマー、および熱可塑性エラストマー、たとえばポリカーボネート−ウレタンエラストマーなどのポリウレタンエラストマーを含む他の適切な材料で作製することができる。
[0142]図1および図30〜33を参照すると、組立体1と一緒に示されている閉鎖部構造すなわち閉鎖部頂部18は、受入部10の離間されたアーム62同士の間に回転可能に受け入れられる。閉鎖部18の頂部はツイストイン型(twist-in)またはスライドイン型(slide-in)の閉鎖部構造であってもよいことに留意されたい。図示の閉鎖部構造18は、実質的に円筒状であり、受入部10のアーム62上に配設された案内・前進構造72と動作可能に接合するフランジの形態をした、らせん状をなした外側案内・前進構造193を含む。本発明によって利用されるフランジ形態は、参照により本明細書に組み込まれる、本出願人の米国特許第6,726,689号に記載された形態を含むさまざまな形態をとることができる。閉鎖部構造の案内・前進構造は、代替的に、のこ歯ねじ、方形ねじ、逆角度ねじ、または、閉鎖部構造18を回転および前進させながら動作可能に案内し、アーム62同士の間を下降させ、閉鎖部構造18がチャネル64に進入するときにアーム62が広がることに抵抗するような性質を有する、らせん状をなした他のねじ状または非ねじ状の前進構造であってもよいであろうが、本明細書で示され本出願人の米国特許第6,726,689号により詳しく記載されたフランジ形態が好ましい。なぜなら、有利なことに、このようなフランジ形態によってもたらされる強度の向上が、より有利なことに長手方向連結部材構成要素に係合できる受入部10の外形が小さくなることによって生じる強度の低下と協調しかつそれを相殺するからである。図示の閉鎖部構造18は、孔の形態をした内部ねじ込み部196を有する頂面194も含む。内部ねじ込み部196は、商標TORXを使用して販売されている内部ねじ込み部などの星形内部ねじ込み部として示されているが、たとえば六角形のねじ込み部、または、スロット、三翼、スパナ、もしくは、さまざまな形状の2つ以上の孔などの他の内部ねじ込み部であってよい。内部ねじ込み部196に係合するような大きさおよび形状を有するねじ込み器具(図示せず)は、閉鎖部18を受入部アーム62に回転可能に係合させるために使用され、また、必要に応じて閉鎖部18を受入部アーム62から外すために使用される。また、閉鎖部構造18は、代替的に、事前に選択されたトルクで、たとえば7.91Nm(70インチポンド)〜15.8Nm(140インチポンド)で閉鎖部の基部から離脱できるように構成された離脱頭部を含んでもよいであろう。このような閉鎖部構造は、閉鎖部を取り外すのに使用される内部ねじ込み部を有する基部も含むであろう。閉鎖部の基部すなわち底面198は、平面状であり、本発明の特定の実施形態では、ロッド21の面22に係合して貫入するためのリム199をさらに含む。閉鎖部頂部底面198は、いくつかの実施形態では中心点を含むことができ、他の実施形態では突端および/またはリムを含む必要はないことに留意されたい。閉鎖部頂部18は、その中心軸線に沿ってその頂面および底面を通って延在する挿管貫通穴(図示せず)をさらに含むことができる。そのような貫通穴は、そこに挿入されるワイヤ(図示せず)の長さにわたって閉鎖部18内部を貫通する通路を提供して、閉鎖部頂部を受入部アーム62に挿入するための案内を提供する。
[0143]PEEKロッド221などの変形可能なロッドと共に使用される代替の閉鎖部頂部218が図41および図42に示されている。頂部218は、閉鎖部頂部18のリムの代わりに突端すなわち突起289がドーム状面290上に位置することを除いて、頂部18と同一である。閉鎖部頂部218は、それ以外にも、案内・前進構造282と、頂部284と、内部ねじ込み部286と、底部外側環状面288とを含み、これらは、本明細書において閉鎖部頂部18に関して説明した、案内・前進構造193、頂部194、内部ねじ込み部196および底面198とそれぞれ同じまたは実質的に同様である。いくつかの実施形態では、内部ねじ込み部286は、閉鎖部頂部18のねじ込み部196ほど大きくなく、このようなねじ込み部が小さいほど、たとえば変形可能なロッドに加えられる力は小さくなり、係止型インサート、たとえば以下で説明するインサート14’を本発明の骨スクリュー組立体で利用するときには必要とされない。
[0144]組立体1の説明に戻ると、好ましくは、受入部10、保持部12および圧縮インサート14は、構成要素片の保持、位置合わせ、および操作を行うための器具を含む工場での設定作業で組み立てられる。いくつかの状況では、シャンク4も、工場で受入部10、保持部12および圧縮インサート14と組み付けられる。その他の場合には、まずシャンク4を埋め込み、それに続いて、事前に組み立てられた受入部、保持部および圧縮インサートを挿入点に付加することが望ましい。このようにして、外科医は、有利なことに、シャンク4をより容易に埋め込んで操作し、シャンクによって椎骨をずらすかまたは圧縮し、協働する受入部に邪魔されることなくシャンク上部部分すなわち頭部の周りで作業することができる。その他の場合には、手術スタッフが所望の大きさおよび/または種類(たとえば、シャンク6の上部部分8および/またはシャンク6上のヒドロキシアパタイトを粗面化する表面処理)のシャンクを受入部、保持部および圧縮インサートと事前に組み付けることが望ましい。外科医が適切な大きさのシャンク4または適切な処理を施したシャンク4を選択できるようにすると、有利なことに、在庫についての要求が低減され、したがって、全体的なコストが削減され、物流および流通が改善される。
[0145]受入部10、保持部12および圧縮インサート14を事前に組み立てる手順が図21〜23に示されている。特に図21を参照すると、まず、環状面130を先にし、頂面122および底面124が受入部10の対向するアーム62(破線で示される)に面した状態で、保持部12をまず上部受入部開口66に挿入する。次に、保持部12をこのように横向きにチャネル64内に下降させ、続いて、受入部孔74の近くの位置で保持部12を傾け、頂面122が受入部開口66(同様に破線で示される)に面するようにする。その後、図21において実線で示される環状の下部空洞着座面104上に底面124が着座するまで、保持部12を受入部空洞61内に下降させる。
[0146]図22および図23を参照すると、インサート14が受入部10に装着される。図22に示されるように、開口66を通してインサート14が受入部に装着され、インサート14がチャネル64内に下降されたときに、インサート14をチャネル64に装着すると、摩擦嵌めクラウンコレット158の底面159は受入部空洞61に面し、面170および175は、チャネル64を形成する平坦なアーム面69に面する。インサート14が受入部内を下降するとき、側面170は、インサート14が止め部92に達するまで、チャネル64を形成する対向する受入部内側アーム面69によって摺動しながら受け入れられる。図23に最もよく示されるように、インサート14が受入部10内に拘束されるまでインサート14をさらに下向きに押すことができる。面170を受入部軸線Bの方へ内側に少し挟むかまたは押圧すると、対向する面170が受入部止め部92と係合し、次に止め部92を通過して下方に移動することができる。止め部92は、その後、インサート14が受入部チャネル64から出て上方に移動するのを阻止する。具体的には、インサート14が受入部の開口66の方へ上方に移動する場合、インサート面173は、止め部92の底面95に当接する。それにより、インサート面173は、インサート14を受入部開口66の方へ上方に移動させながら面170を互いの方へ挟むために器具を使用する場合を除いて、インサート14をさらに上方に移動させるのを阻止する。
[0147]図23および図24をさらに参照すると、インサート14は、この時点で保持部12の方へさらに下方には降下しない。なぜなら、外側アーム面163は、受入部アーム面82と係合し、アーム面82によって内側に少し押圧されるからである。したがって、インサート14は、受入部内側円筒面82に弾性的に押し付けるその弾性アーム156によって、図23および図24に示される位置に保持される。この位置は、別体のシャンク4と共に組立体として出荷するのに望ましい位置である。したがって、次に、受入部10と保持部12とインサート14との組み合わせが事前に組み立てられ、さらに、工場でシャンク4と組み付けるか、手術スタッフによって埋め込みの前にシャンク4と組み付けるか、または本明細書で説明するように埋め込んだシャンク4に直接組み付ける準備が整えられる。
[0148]図24に示されているように、内部ねじ込み部46のところでシャンク本体6に係合することによってシャンク本体6を動作可能にねじ込んで回転させる適切なねじ込み器具(図示せず)を使用してシャンク4を回転させることによって、骨スクリューシャンク4を、または組み付けられたシャンク4、受入部10、保持部12および圧縮インサート14で構成された組立体1全体を椎骨17(破線で示されている)などの骨にねじ込む。具体的には、骨への応力を最低限に抑えるように椎骨17を事前に掘削し、椎骨17にガイドワイヤ(図示せず)を挿入して、椎骨に対するシャンク4の配置および角度についての案内を提供することができる。案内としてガイドワイヤを有するタップを使用して、さらにタップホールを作ることができる。次に、まずワイヤを底部28のところで開口に通し、次にねじ込み部品46にある頂部開口から出すことによって、挿管穴50を利用して、骨スクリューシャンク4または組立体1全体をガイドワイヤで貫く。次に、ワイヤを配置案内として使用してシャンク4を椎骨にねじ込む。ガイドワイヤと、受入部と嵌合する取り付け可能なタワー型器具とを利用すれば、シャンクおよび他の骨スクリュー組立体部品、すなわち、ロッド21(一部の実施形態では中央ルーメンも有する)および閉鎖部頂部18(中央穴も有する)を経皮的にあるいは手術時の侵襲を最低限に抑えて挿入することができるであろう。シャンク4を組立体1の残りの部分のない状態で椎骨17にねじ込むと、シャンク4を所望の最終位置までねじ込むか、または、最終位置よりわずかに上の位置もしくはわずかに突出する位置までねじ込んで、事前に組み立てられた受入部、圧縮インサートおよび保持部に組み付けるのを容易にすることができる。
[0149]図24をさらに参照すると、事前に組み立てられた受入部、インサートおよび保持部は、シャンク上部部分が受入開口110内に受け入れられるまでシャンク上部部分8より上に配置される。特に図25〜29を参照すると、シャンク上部部分8を受入部基部の内部61に移動させると、シャンク上部部分8は保持部12に上向きに押し付けられ、保持部12を受入部空洞61の拡張部分に移動させる。この拡張部分は、環状の上面すなわち突出部面91および円筒面99によって部分的に形成される。部分8が引き続きチャネル64の方へ上方に移動すると、面34は、図25に示されるように、保持部12を円筒面99の方へ外側に移動させ、保持部12の上方への移動は、環状面91によって阻止される。図26および図27を参照すると、保持部12は、頭部8の球の中心(点線で示されている)が保持部拡張凹部の中心を越えると、その中立状態に戻り始める。図27〜28をさらに参照すると、この時点でも、球面34は、クラウンコレット延長部分158の可撓性タブすなわちパネル184のところで、インサート14の不連続面181と係合する。タブ184は、図28に最もよく示されるように、僅かに外側に拡張して面34を受け入れる。さらに図28と図29の両方を参照すると、球面34は、次に、パネル内面181と完全に摩擦係合するようになる。このとき、インサート14のパネルと面34とは、非常にぴったりと摩擦嵌めされ、面34は、ある程度の力でインサート14に対して枢動することができる。したがって、保持部12が受入部環状面104上の着座位置に降下する前でさえ、ぴったりとしたガタつかない球関節がインサート14とシャンク上部部分8との間に形成される。
[0150]図29を参照すると、次に、受入部を上方に引っ張ることができる。または、シャンク4および取り付けられた保持部12を所望の位置に下方に移動させ、保持部12を面104上に着座させる。この場合もやはり、このことは、受入部10を上方に引くか、あるいは場合によってはシャンク4を椎骨17にさらにねじ込むことによって実現される。この時点で、インサートアーム156は、外側に跳ね返って、突出部84の下に位置するとともに不連続な円筒面86によって形成される受入部面に入り、これによって、特殊器具を用いずにインサート14を上方に移動させることは不可能になり、受入部座104および円筒面101によって形成された受入部チャンバの係止部分から保持部12を移動させることも不可能になる。いくつかの実施形態では、受入部10をシャンク4と事前に組み付けると、受入部およびシャンクねじ込み部46にねじ込み器具(図示せず)を挿入し、シャンク4を回転させて椎骨17の所望の位置にねじ込むことによって、この時点で組立体1全体を埋め込むことができる。図29および図30と、たとえば図46および図48も参照すると、この時点で、インサート14の可撓性タブ184とシャンク上部部分8との摩擦係合によって保持されるが係止はされない、シャンク4に対する所望の角度位置に受入部10を関節移動させる(articulate)ことができる。
[0151]図30〜33を参照すると、ロッド21は、最終的に、少なくとも2つの骨スクリュー組立体1と協働して開放的にあるいは経皮的に位置付けられる。次に、閉鎖部構造18を受入部10のそれぞれのアーム62同士の間に挿入し前進させる。選択された圧力に達するまで、内側ねじ込み部196に係合させた器具を使用して閉鎖部構造18を回転させる。選択された圧力に達した時点で、ロッド21は、圧縮インサート14のU字形着座面153と係合し、さらに段状把持面182をシャンク球面34に押し付け、段状面182の縁部が球面34に貫入し、シャンク上部部分8を押圧して保持部12に係止摩擦係合させる。具体的には、閉鎖部構造18が回転してそれぞれの受入部10内に下降すると、リム199がロッド面22に係合して貫入し、閉鎖部構造18がロッド21に下向きに押し付けられ、ロッド21を偏らせてインサート14と圧縮係合し、インサート14がシャンク上部部分8を保持部12の内側本体縁部128の方へ押してそれに係止係合させ、保持部12の底面124が面104に摩擦当接し、外側円筒面130が外側に拡張して、受入部係止チャンバを形成する受入部円筒面101に当接する。たとえば、閉鎖部頂部に約9.04Nm(約80インチポンド)〜約13.5Nm(約120インチポンド)のトルクをかけて骨スクリューシャンク6を受入部10に対して固定することができる。組立体1を分解することが望まれる場合、このような手順は、本明細書において組立体について前述した手順の逆の順序で達成される。
[0152]図34〜40を参照すると、本明細書において前述したシャンク4、受入部10、保持部12、閉鎖部頂部18、およびロッド21と共に使用するための代替の係止・解放圧縮インサート14’が示されており、結果として得られる組立体は、たとえば図39〜40では組立体1’と識別される。インサート14’は、以下でより詳細に説明するようにしてインサート14’が受入部10の縁部97および隣接する平坦面71と係止しながら締まり嵌めするための大きさを有することを除いて、本明細書に前述したインサート14と同一とすることができ、実質的に同様であるものとして示されている。また、図示のインサート14’が、インサート14と異なるのは、インサート14’が器具受入孔166’を含み、出荷時および組立ての早期段階において受入部10に弾性的に係合するための外側に広がったアームを有さない点である。
[0153]したがって、係止型インサート14は、本体150’と、1対の対向する端部151’と、鞍状面153’と、1対のアーム156’と、1対のアーム上面157’と、底面159’を有する1対のクラウンコレット延長部158’と、穴160’と、外側円筒アーム面162’と、アーム頂面164’と、本体底面165’と、外側の傾斜面167’と下部平坦面168’とを含む1対のv字形の孔と、外側の平坦な側面170’と平坦な端面171’と1対の基部延長部172’と上面173’と狭い下部突出部174’と差し込まれた位置の平坦な側面175’と平坦な端面177’と底面178’と内側円筒面180’と内側球面181’と内側把持面部分182’とを有する延長部分と、スリット183’と、外面185’を有する可撓性パネル184’とを含み、これらは、本明細書においてインサート14に関して前述した、本体150、1対の対向する端部151、鞍状面153、1対のアーム156、1対のアーム上面157、底面159を有する1対のクラウンコレット延長部158、穴160、外側円筒アーム面162、アーム頂面164、本体底面165、外側傾斜面167と下部平坦面168とを含む1対のv字形の孔、外側の平坦な側面170と平坦な端面171と1対の基部延長部172と上面173と狭い下部突出部174と差し込まれた位置の平坦な側面175と平坦な端面177と底面178と内側円筒面180と内側球面181と内側把持面部分182とを有する延長部分、スリット183、外面185を有する可撓性パネル184とそれぞれ形態および機能が同じまたは実質的に同様である。上述のように、インサート14’は、広がった上部外面163を含まないが、むしろ円筒面162’が頂面164’から本体下部面すなわち底面165’に延在する。そのうえ、頂部アーム面164’は傾斜しておらず、むしろ、底面165’と実質的に平行に配設された平坦面である。インサート14’は、操作器具を受け入れるための貫通ホール(through hole)166’を含み、ホール166’はアーム面162’に形成され、傾斜面167’の真上かつ傾斜面167’に隣接して位置する。
[0154]インサート14’の平坦な側面175’は、受入部チャネル64の下部部分において受入部を係止しながら締まり嵌めするための大きさおよび形状を有する。言い換えれば、面175’の間で測定される幅は、1つもしくは複数の器具によって、または、インサートを締まりながら係止して平坦面71間で受入部に入れるのに十分な力でロッド21を下向きにインサート14’に押し付ける閉鎖部頂部18によって、縁部面97のところで始まる受入部面71の間の空間にインサート14’を押し込まなければならないことを必要とするのに十分大きな大きさを有する。
[0155]図37〜40を参照すると、インサート14’は、インサート14と受入部10の容易に摺動する関係と比較すると、シャンク4が所定の位置に係止されたときにインサート14’を下降させて受入部10と係止しながら締まり嵌めしなければならないことを除いて、組立体1に関して前述したのと同じやり方で、受入部10、保持部12、シャンク4、ロッド21および閉鎖部頂部18と組み付けられ、結果として組立体1’が得られる。また、受入部アーム156’は受入部10の面82に係合しない。むしろ、ロッド21および閉鎖部頂部18と組み付ける前に、圧縮インサート14’の外面170’は、受入部面71によって摺動的に受け入れられるが、面175’は受け入れられない。したがって、インサート14’は、係止器具によって下方に押されるか、または、図38〜40に示されているように閉鎖部頂部が下向きにロッドに押し付けられ、ロッドが下向きにインサート14’に押し付けられることによって下向きに押されない限り、縁部97からさらに下方に移動するのを阻止される。さらに図38を参照すると、このとき、たとえば、インサートパネル184’とシャンク上部部分8との摩擦係合によって保持されるが係止はされない、図46および図48に示されるようなシャンク4に対する所望の角度位置に受入部10を関節移動させることができる。
[0156]ロッド21は、最終的に、少なくとも2つの骨スクリュー組立体1’と協働して開放的にあるいは経皮的に位置付けられる。次に、閉鎖部構造18を受入部10のそれぞれのアーム62同士の間に挿入して前進させる。選択された圧力に達するまで、内側ねじ込み部196に係合させた器具を使用して閉鎖部構造18を回転させる。選択された圧力に達した時点で、ロッド21が、圧縮インサート14’のU字形着座面153’と係合し、さらにインサートの段状シャンク把持面182’をシャンク球面34に押し付け、段状面182’の縁部が球面34に貫入し、シャンク上部部分8を押圧して保持部12に係止摩擦係合させる。具体的には、閉鎖部構造18が回転してそれぞれの受入部10内に下降すると、リム199がロッド面22に係合して貫入し、閉鎖部構造18が、下向きにロッド21に押し付けられロッド21を偏らせてインサート14’に圧縮係合させる。インサート14’は、シャンク上部部分8を保持部12の方へ押して保持部12に係止係合させる。保持部12は、面104に摩擦当接し、外側に拡張して円筒面101に接触する。たとえば、閉鎖部頂部に約9.04Nm(約80インチポンド)〜約13.5Nm(約120インチポンド)のトルクをかけて骨スクリューシャンク6を受入部10に対して固定することができる。らせん状フランジ形態を11.3Nm(100インチポンド)に締めることによって、113N(1000ポンド)の力を生じることができる。また、約79Nm(700インチポンド)から約101.6Nm(900インチポンド)の間の締まり嵌めが、インサート14’の平坦面175’と、受入部の縁部97および平坦面71と、の間に発生されることが分かっている。このため、閉鎖部構造18およびロッド21がインサート14’を下向きに受入部10の基部の方へ押すと、インサート面175’が縁部97のところで受入部に押し込まれ、したがってインサート14を押して受入部面71に固定的に摩擦による締まり係合(frictional interference engagement)させる。
[0157]図41を参照すると、この時点で、閉鎖部頂部18を緩めるかもしくは取り外すことができ、および/または、ロッド21の調整および/または取り外しを行うことができ、インサート面175’でのインサート14’と受入部10との摩擦係合は、所定の位置に係止されたままになり、有利には、受入部10に対するシャンク4の係止された角度位置が維持される。
[0158]図41および図42をさらに参照すると、この時点で、変形可能なロッド221などの別のロッドと、協働する代替の閉鎖部頂部218とは、既に係止された組立体に装着され、結果として代替の組立体201’を得ることができる。上述のように、閉鎖部ねじ込み部286は、有利には、閉鎖部18のねじ込み部よりも小さく作製することができ、したがって、多軸の機構が既に係止されているので、変形可能なロッド221は組立て中に過度に押圧または変形されることはない。
[0159]図43〜45を参照すると、インサート14’を受入部10から解放するための2つの部品からなる器具600が示されている。器具600は、貫通チャネル616の両側に配置されたプロング612であって、内側を向いた対向するプロング612を有する可撓性の内側チューブ状構造を含む。チャネル616は、プロング612から離隔した位置に末端が位置してもよいし、器具を通ってさらに上方に延在してもよく、その結果、2つの部品からなる器具610が得られる。器具600は、より小さな貫通チャネル622を有する剛性のより高い外側管状部材620を含む。可撓性部材610のプロング612が外側に撓曲し、次に受入部10に嵌合し、次いで受入部10の対向する孔74の貫通穴に嵌め込まれ、インサート14’のアーム上に配置された対向する穴166’と位置合わせされた後で、部材620は管610に摺動的に嵌合する。図43では、インサート14’を受入部10から係止解除するプロセスの間の器具600が示されており、器具600をシャンク4から離れるように上方に引きながら、外側部材620が内側部材610を囲みプロング612を受入部10およびインサート14’の孔内に保持する。器具600は、プロングおよび管状部材を上方に引きながら受入部10を押し下げるための構造をさらに含むことができ、たとえば、このような構造を器具600内に配置して、受入部アームの頂面73を押し下げることができるであろう。
[0160]あるいは、開口66で受入部に挿入され、かつ鞍状部153’によって形成されるインサートチャネルに挿入され、そのプロングまたは延長部が外側に延在してインサート貫通穴166’に入る別の操作器具(図示せず)を使用することができ、その後、器具のピストン状の部分がシャンク上部部分8を直接押し、それによってインサート14’を受入部面90から離れるように引っ張り、したがって、多軸機構を解放する。このとき、シャンク4を受入部10に対して関節運動させることができ、所望の摩擦嵌めがインサート14の可撓性パネルとシャンク面34との間に戻り、それによって、調整可能であるがガタつかない関係が依然としてシャンク4と受入部10との間に存在する。さらに組立体を分解することが望まれる場合、このような手順は、本明細書において組立体1について前述した手順と逆の順序で達成される。
[0161]図46〜48を参照すると、インサート14’を受入部10に独立して係止するための、または、図示のように、非係止型インサート14を受入部10に一時的に独立して係止するための、全体が700で示される別の操作器具が示されている。器具700は、1対の対向するアーム712を含み、アーム712は、それぞれ、それぞれのアーム712に対してある角度で位置付けられる係合延長部716を有する。この位置づけは、器具を受入部の方へ下方に移動させたときに、係合延長部716の1つまたは複数の内側面718が受入部の面77およびインサート14の面167に沿って摺動してインサート14と係合し、面720がインサート面168を下向きに押圧して組立体1の多軸機構を係止するように行われる。図48に示されるように、インサート14を受入部10に対して係止するとき、器具底面720は、受入部面75’の最も低い位置には達せず、そこから離隔されたままである。図示の実施形態では、面718は少し丸みがあり、各アーム延長部716は、面167と面168との接合点においてインサート14を挿入および把持するための底面720を有する縁部を形成する平坦な下部面722をさらに含む。器具700は、たとえば、歯どめ部品、蝶番式器具または回転可能なねじ付きデバイスを含むことができる、ピストル型把持器具などのさまざまな保持および押し付け/引っ張り機構を含むことができる。
[0162]図49〜83を参照すると、参照符号1001は、本発明による別の多軸の骨スクリュー装置または骨スクリュー組立体の全体を表す。組立体1001は、シャンク1004と、受入部1010と、弾性開口リング1012として示される保持部構造と、摩擦嵌めクラウンコレット圧縮インサートすなわち圧力インサート1014とを含む。シャンク1004は、上方に延在する上部部分すなわち頭部状拘束構造1008と一体化された本体1006をさらに含む最初に受入部1010、保持部1012および圧縮インサート1014が組み付けられ、さらに、以下でより詳しく説明するように、シャンク本体1006を椎骨1017に埋め込む前またはその後に、受入部1010、保持部1012および圧縮インサート1014をシャンク1004に組み付けることができる。図49および図82〜83は、長手方向連結部材、たとえばロッド1021を拘束するための閉鎖部構造1018をさらに示す。ロッド1021は、長手方向連結部材1021を受入部1010内に拘束して固定し、したがって部材1021を椎骨1017に対して固定するように、シャンク上部部分1008に押し付けられて保持部1012と固定的に摩擦接触する圧縮インサート1014と係合する図示のロッド1021は、本明細書において前述したロッド21と形態および機能が実質的に同様である。他の実施形態では、ロッド1021は弾性であってもよく、変形可能であってよもく、および/または、異なる断面形状を有していてもよいであろう。受入部1010とシャンク1004とは、受入部1010とシャンク1004とを互いに対して複数の角度、結合状態、または回転時の位置合わせのうちの任意の角度または結合状態または位置合わせで固着できるように、かつ、前後と左右との両方において選択された角度範囲内で固着することができるように協働し、それによって、受入部1010とシャンク1004とがどちらも埋め込み手技が終わり近くなったときに互いに対してロックまたは固定されるまで、受入部1010をシャンク1004と柔軟にあるいは関節運動によって係合させることができる。
[0163]シャンク1004は、図49〜51に最もよく示されているように、細長く、シャンク本体1006は、上部部分すなわち頭部1008に隣接して配置された首部1026の近くから本体1006の先端1028まで延在するとともに、そこから半径方向外側に延在する、らせん状をなした、骨に埋め込み可能なねじ1024(一条ねじ型または二条ねじ型)を有する。使用時には、把持および前進のためにねじ1024を利用する本体1006を、先端1028から椎骨1017に埋め込み、据え付け器具またはねじ込み器具(図示せず)によって椎骨内にねじ込んで下降させ、それによって首部1026またはその近くの位置へ椎骨に埋め込む。シャンク1004は、参照文字Aにより全体が特定される細長い回転軸線を有する。
[0164]首部1026は、シャンク本体1006から軸線方向において上方に延在する。首部1026は、ねじ1024の末端が位置する本体1006の、隣接する上端すなわち頂部1032と同じ半径を有していてもよいが、通常、頂部1032と比べて僅かに小さな半径を有する。上端1032からある距離のところに配置され、したがって、本体1006を椎骨1017に埋め込んだときにそのような椎骨からある距離のところに配置される連結装置または拘束装置を提供するシャンク上部部分すなわち頭部1008が、首部1026からさらに軸線方向および外側に延在する。
[0165]シャンク上部部分1008は、シャンク1004を受入部1010に対して所望の位置に固定する前にシャンク1004と保持部1012と受入部1010とを枢動可能に連結できるように構成される。シャンク上部部分1008は、凸状で実質的に球形の外面1034を有し、面1034は、首部1026から外側にかつ上方に延在し、実質的に平坦な頂部すなわちリム面1038に末端が位置する。球面1034は、圧縮インサート1014の不連続な凹面と摩擦によってガタつかずに摺動的に協働し、かつ、最終的にはインサート1014の段状把持部分によって摩擦係合して貫通するように構成される外半径を有する。頂面1038は、軸線Aに実質的に垂直である。本実施形態で示される球面1034は、実質的に平滑であるが、一部の実施形態では、粗面化または他の表面処理を含むことができ、圧縮インサート1014と協働して最終的に摩擦係合し、かつ、保持部1012と最終的に摩擦係合するための大きさおよび形状を有する。シャンク球面1034は、インサート1014および保持部1012によってのみ所定の位置に係止され、受入部空洞を形成する内面によっては所定の位置に係止されない。
[0166]皿頭を有する実質的に平面状の基部すなわち段状の座面1045が、内部ねじ込み部品すなわちインプリント1046を部分的に形成する。図示の内部ねじ込み部品1046は、頂面1038に形成された孔であり、六角形のアレンレンチ型器具(図示せず)を、骨スクリューシャンク1004を回転させてねじ込むための孔に受け入れるように構成された六角形状を有する。このような内部器具係合構造は、さまざまな器具係合形態をとることができ、商標TORXを使用して販売されている孔などのような、間隔を置いて配置された一対の孔や多葉状または星形の孔のようなさまざまな形状の1つまたは複数の孔を含むことができるであろう。ねじ込み部品1046の座面すなわち基部面1045は、軸線Aに対して実質的に垂直に配置され、ねじ込み部品1046は、他の部分では軸線Aと同軸である。図50および図51に示されているように、ねじ込み座1045は、ねじ込み器具による把持をさらに強化することのできる斜面または段状面を含むことができる。動作時には、シャンク1004を受入部1010に取り付ける前またはシャンク1004を受入部1010に取り付けた後に、ねじ込み器具(図示せず)を内部ねじ込み部品1046内で受け入れ、基部1045のところで着座させ、ねじ込み部品1046の6つの面に係合させてシャンク本体1006を椎骨1017にねじ込んで回転させ、シャンク本体1006は、受入部1010の中に延在するねじ込み器具によって椎骨1017にねじ込まれる。
[0167]図面に示されるシャンク1004は、カニューレが挿管され、すなわち、シャンク1004の全長にわたって軸線Aに沿って延在する小さな中心穴1050を有する。穴1050は、シャンク1004の内側円筒壁によって形成され、シャンク先端1028にある円形開口と、ねじ込み座1045のところで外部ねじ込み部1046と連通する上部開口と、を有する。穴1050は、ねじ付き本体1006および上部部分1008と同軸である。穴1050は、ワイヤ(図示せず)の長さにわたってシャンク1004の内部を貫通する通路を形成する。ワイヤは、シャンク本体1006を挿入する前に椎骨1017に挿入され、シャンク本体1006を椎骨1017に挿入するための案内となるシャンク本体1006には、本明細書において組立体1のシャンク本体6に関して前述したように処理またはコーティングを施すことができる。
[0168]特に図49および図52〜57を参照すると、受入部1010は、一部が非連続であり一部が円筒状である内形と外形とを有する略U字形状の外観を有する。受入部1010は、図49においてシャンク1004の回転軸線Aと整合しかつこの回転軸線Aと同じであるように示されている回転軸線Bを有し、このような向きが望ましいが、受入部1010をシャンク1004と組み付ける際には必要とされない(たとえば、椎骨1017に埋め込まれるとともに受入部に対してある角度に配置されたシャンク1004に受入部1010を「ポップオン式に装着する」様子を示す図76を参照されたい)。受入部1010をシャンク1004に枢着させた後、シャンク1004を椎骨1017に埋め込む前かまたはその後に、たとえば図96に示されているように、通常、軸線Bを軸線Aに対してある角度に配置する。
[0169]受入部1010は、全体が1061で示される穴または内側空洞を形成する実質的に円筒状の基部1060を含む。基部1060は、1対の対向する直立アーム1062と一体化されている。この1対の対向する直立アーム1062は、受け入れ台を形成し、かつ、全体が1066で示される上部開口を有するチャネル1064をアーム1062同士の間に形成する。受入部1010は、U字形の下部チャネル部分すなわち座1068をさらに含み、チャネル1064は、ロッド1021、または、張力をかけたコード状コネクタもしくはその他の軟質コネクタまたは動的コネクタのスリーブなどの別の長手方向コネクタの一部分をアーム1062同士の間に動作可能にぴったりと受け入れるための幅を有し、チャネル1064は、基部空洞1061と連通する。実質的に平坦な対向する外側前部および外側後部アーム面1069は、座1068の真上にチャネル1064を部分的に形成し、面1069は、有利には、ロッド上の移動距離を短縮し(すなわち、受入部部分をより狭くし、それにより、空間がより広くなり、したがって、ロッドまたはその他の連結部材に沿って骨アンカー間に到達することがより容易になり)、ロッドまたはコード型連結部材と協働するスリーブ、バンパーまたはスペーサなどの、特定の実施形態におけるその他の連結部材構成要素と同一平面でまたは密接に接触する平坦面1069を形成する。
[0170]アーム1062のそれぞれは、内部面を有し、この内面は、全体が1070で示され、種々の円筒状の内形を含み、円筒状の上部内形は、アーム1062のそれぞれの頂面1073に隣接して配置された、部分的にらせん状をなした案内・前進構造1072である。図示の実施形態では、案内・前進構造1072は、以下でより詳しく説明するように、回転しながら閉鎖部構造1018上の類似の構造と嵌合するように構成された、らせん状をなした部分的な連動フランジ形態である。しかし、本発明の特定の実施形態では、案内・前進構造1072は、代替的に、方形ねじ、のこ歯ねじ、逆角度ねじ、または、閉鎖部構造1018を回転させながら動作可能に案内し、アーム1062同士の間を下降させ、最終的に閉鎖部構造1018がロッド1021または他の長手方向連結部材に当接したときにトルクをかける、らせん状をなしたその他のねじ状または非ねじ状の不連続前進構造であってもよいであろう。アームは離脱延長部を有していてもよいであろう。
[0171]対向する1対の丸みのある三角形またはデルタ形の上部器具受入・係合孔は、全体が1074で示され、それぞれ、アーチ形の上面1075および実質的に平面状の底面1075’によって形成される貫通穴を有し、アーム1062の外面1076に形成される。各貫通穴面1075および1075’は、アーム内面1070を貫通する。貫通穴部分1075および1075’を有する孔1074は、係止器具、係止解除器具およびその他の操作器具を受け入れるための大きさおよび形状を有しており、保持部1012を受入部1010に頂部から装着する間に保持部リング1012を受け入れて下向きに装着する助けとなることができる。各孔1074は、アーチ形の穴部分1075をとり囲む傾斜した器具位置合わせ面1077をさらに含み、それぞれのアーム1062を完全には貫通しない。本実施形態では、アーチ状孔部分に沿って配置された面1077を形成する受入部の一部は、以下でより詳細に説明するように、インサート1014を受入部1010と組み付ける間にインサート1014に圧着される。本発明の他の実施形態では、孔1074を形成するその他の壁もしくは面、または、その他の孔もしくは溝を形成するその他の材料を内側に圧着することができる。図示の受入部1010は、一体的な構造であり、ばねタブまたはコレット状構造を有していないことに留意されたい。あるいは、いくつかの実施形態では、受入部1010に対する回転および(軸線Aに沿った)軸線方向の移動に関して所望の位置にインサート1014を保持するためのばねタブまたはその他の移動可能な構造を受入部1010またはインサート1014上に含めることができる。好ましくは、インサートおよび/または受入部は、組立ておよび埋込み手順の間にインサートが受入部に対して回転することは阻止するがインサートが受入部に対してある程度上下に移動することを可能にするための構造を有するように構成される。
[0172]デルタ形の孔1074のそれぞれの真上の中心に位置するのは、円筒状のへこみすなわち孔1078であり、これは、各アーム面1076に形成されるが、内面1070を貫通しない。さらに2対の器具受入・係合孔1079も、受入部アーム1062の前面および裏面1069に形成される。遷移基部面(transition base surface)1080が、U字形座1068および円筒状基部1060のところで平坦面1069同士の間に架かっており、面1080は、下向きに基部1060の方へ軸線Bに対してある角度で傾斜している。受入部1010をインサート1014、保持部1012およびシャンク1004と組み付ける間、シャンクが受入部1010と事前に組み付けられているときにシャンク本体1006を椎骨に埋め込む間、骨アンカー組立体1001をロッド1021および閉鎖部構造1018と組み付ける間、ならびに、以下により詳しく説明するように、本発明のいくつかのインサートを受入部1010の内面に摩擦係合させたり摩擦係合を解除したりする、受入部1010に対するインサートの係止および解放の調整を行う間に、孔1074、1078、および1079のいくつかまたはすべてを使用して受入部1010を保持することができる。器具を受け入れる溝、へこみ、または孔をさまざまな形状および大きさに構成して受入部アーム1062の他の位置に配置できるであろう。
[0173]受入部アーム1062の内部面1070の説明に戻ると、案内・前進構造1072の下に位置するのは、案内・前進構造1072用の逃げ部品を部分的に形成する不連続な円筒面1082である。円筒面1082は、案内・前進構造1072の直径のうちの大きい方と等しいかあるいはこれより僅かに大きな直径を有する。下方に移ると、基部1060に向かう方向には、各アームの円筒面1082に隣接するのは、軸線Bの方へ内側に延在しかつ軸線Bの方へ傾斜する逃げ座すなわち逃げ面1084である。面1084に隣接し、かつ面1084より下に位置するのは、面1082の直径よりも小さな直径を有する別の円筒面1086である。貫通穴面1075および1075’は、主に面1086のところでアームを貫通し、各アーチ1075の上部部分は、面1082の1つを貫通する。各孔面1075の近くに位置するのは内面部分1087であり、内面部分1087は、以下でより詳細に説明するように、インサート1014を受入部1010内に組み付ける間に面1077のところの薄い壁がこのようなインサートの方へ圧着されるときにインサート1014と係合する。連続的な環状面1088が、円筒面1086より下に、かつ円筒面1086に隣接して配置される。受入部アーム1062を部分的に形成する、他の部分では不連続な円筒面1086も、面1086と環状面1088との間の境界面およびその付近では連続的であり、受入部空洞1061の上部部分を形成する。面1088は、軸線Bに実質的に垂直に配置されるか、または内側に軸線Bの方へ傾斜する。環状面1088に隣接するのは連続的な内側円筒面1090であり、面1090は、下方に延在して受入部基部1060に入る。面1090は、受入部軸線Bと平行に配置される。面1090は、面1086の直径よりも僅かに小さな直径を有する。円筒面1086および1090は、インサート1014の一部分を受け入れるような大きさを有し、以下により詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、係止型インサートの円筒状部分との係止締まり嵌めを提供する。
[0174]次に、基部1060、より具体的には基部空洞1061に関して、基部内へ延在し基部空洞1061を部分的に形成する面1090の下部部分は、環状面すなわち突出部1095に末端が位置する。突出部1095は、軸線Bから離れるように外側に延在し、軸線Bに実質的に垂直である。
[0175]突出部1095から下方に延在するのは円筒面1099であり、円筒面1099は、基部空洞1061を部分的に形成し、具体的には、保持部1012用の拡張チャンバを形成する。円筒面1099は、軸線Bに実質的に平行に向けられており、拡張した保持部1012を受け入れるような大きさおよび形状を有する。面1095および1099は、シャンク1004が組立て時にチャネル1064の方へ上方に移動しながら保持部1012がシャンク上部部分1008のまわりで拡張するときに保持部1012を受け入れるような大きさおよび形状を有する周方向の凹部を形成し、かつ、拡張した保持部1012がシャンク部分1008と共に上方に移動するのを防ぐ止め部または制限部を形成し、面1095は、保持部1012が部分的に拡張した位置もしくは状態にあるか完全に拡張した位置もしくは状態にあるかにかかわらず、保持部1012が空洞1061から上方に移動するのを防ぐ。円筒面1099より下に位置する円筒面1101は、保持部がたとえば図71に示すような中立位置にあるときに保持部1012をぴったりと受け入れるような大きさおよび形状を有する。したがって、円筒面1101は、保持部1012用の拡張領域を形成する円筒面1099の直径よりも小さな直径を有する。面1101は、1つまたは複数の斜面、湾曲面または円錐状面1102によって面1099に接合または連結される。面1102は、保持部1012を摺動させながら徐々に移動させて、面1101によって形成される空間または係止チャンバに入れ、最終的に、円筒面1101より下にかつ円筒面1101に隣接して位置する下部環状面1104上に保持部1012を着座させることを可能にする。
[0176]環状着座面1104より下にかつ環状着座面1104に隣接して位置するのは、斜面または広がった底部開口面1107と連通する別の実質的な円筒面1106であり、面1107は、基部1060の外部基部面1108と連通し、面1108は、全体が1110で示される、受入部1010の基部空洞1061への下部開口を形成する。
[0177]特に図49および図58〜62を参照すると、シャンク上部部分1008を受入部1010内に拘束するように動作する、下部の開いたまたは分割された保持部1012は、シャンク上部部分1008および保持部1012を受入部1010内に取り付けたときに受入部1010に関連付けられる軸線Bと動作上は同じである中心軸線を有する。保持部リング1012は、ステンレス鋼またはチタン合金などの弾性材料から作製され、それによって、以下でより詳しく説明するように、さまざまな組立工程の間に拡張されることができる。保持部1012は、全体が1121で示され、リング1012をその頂面1122から底面1124まで完全に貫通する中央チャネルすなわち中空の貫通穴を有する。チャネルすなわち穴1121を形成する面は、頂面1122に隣接する不連続な内側円筒面1125と、面1125に隣接する不連続な円錐台状面1127と、を含み、この2つの面は、保持部1012が中立的で非拡張な姿勢をとるときに同軸になる。縁部1128は、頂面1122と円筒面1125との接合点によって形成される。縁部1128は、面取り部すなわちベベルを含むことができる。たとえば、図82に示されるように、シャンク上部部分1008は、組立体1001が最終的な位置に係止されると、最終的に縁部1128のところで保持部1012と摩擦係合する。保持部1012は、頂面1122に隣接して配置された外側円筒面1130と、底面1124に隣接する外側斜面すなわち円錐台状面1132と、をさらに含む。面1130は、保持部1012の中心軸線に平行に向けられる。本発明のいくつかの実施形態では、保持・操作器具(図示せず)を受け入れるために、間隔を置いて配置された切り欠き(図示せず)を円筒面1130に形成することができる。いくつかの実施形態では、保持部の内面または外面に切り欠きをさらに設けて、その拡張時に保持部1012全体にわたって応力をより均等に分散させることができる。
[0178]弾性の保持部1012は、保持部が中立で非圧縮の状態にあるときに互いに間隔を置いた関係に配置される、第1の端面1134と第2の端面1135とをさらに含む。保持部が中立状態にあるとき、面1134と1135とは接触してもよい。端面1134と端面1135とは、どちらも、頂面1122および底面1124に実質的に垂直に配置される。面1134と面1135との間の幅Xは、非常に狭く(スリットがEDMプロセスによって形成されてもよい)、動作時に保持部1012に対して安定性を提供する。保持部1012は中立状態で頂部から装着可能であり、かつ保持部1012を受入部空洞1061内に嵌め込むために圧縮する必要がないため、幅Xは、底部から装着される圧縮可能な保持部リングに必要な幅より大幅に小さくすることができる。間隔Xは、拡張時にのみ作用し、保持部1012がシャンク上部部分1008のまわりで拡張するのを可能にする。このため、より大きな間隔を有する保持部リングと比べて、係止時に保持部がシャンク上部部分1008により多く表面接触して保持部がより強固になり、それによって、連結がより頑丈になり、不具合の可能性が低くなる。また、保持部1012は、拡張されるだけであって、内側に圧縮されないため、保持部1012は、組立て時に内側への圧縮と外側への拡張との両方が行われる、従来技術で知られているばねリング型保持部に通常加えられる機械的応力を受けない。
[0179]本発明のいくつかの実施形態では、保持部1012の内面は、シャンク上部部分1008をロッド1021もしくはその他の長手方向連結部材によって係止する前にシャンク上部部分8に対する摩擦嵌めを強化する粗面化材料すなわち追加的な材料を含むことができるであろう。また、図58〜62に示されている実施形態は、面1134と面1135とを保持部の中心軸線に対して実質的に平行であるように示しているが、面を斜めに、すなわち、わずかな角度に向けることが望ましい場合があるであろう。
[0180]特に図49および図63〜70を参照すると、上部開口1066のところで受入部1010によって受け入れられかつ受入部1010の中に下向きに装着されるような大きさおよび形状を有する摩擦嵌めクラウン圧縮インサート1014が示されている。圧縮インサート1014は、受入部1010の中心軸線Bと同じ動作上の中心軸線を有する。動作時には、インサートは、有利には、骨スクリューシャンク上部部分1008と摩擦係合し、それによって、手術中に手順の終わり近くでシャンク1004を受入部1010に対して係止する前に、受入部1010に対するシャンク4の角度を、係止せずにしかもガタつかせずに配置することが可能になる。図84〜92に示されるインサート1014’に関して以下でより詳細に説明するように、本発明の一部の実施形態では、たとえばロッド1021および閉鎖部頂部1018から圧縮されることによって受入部1010に対して所望の角度位置にシャンク1004を係止したインサートは、また、内側円筒面1090のところで受入部1010に押し込まれて締まり嵌めにより係合し、したがって、ロッド1021および閉鎖部頂部1018を取り外した場合でもシャンク1006を係止位置に保持することが可能である。このような係止位置は、必要に応じて外科医によって解放することもできる。非係止型インサート1014および係止型インサート1014’は、好ましくは、ステンレス鋼またはチタン合金などの固い弾性材料から作製され、その結果、インサートの各部分をシャンク上部部分1008にスナップ嵌めするかまたはポップオン式に装着できると共に、受入部1010で挟むかまたは受入部1010に押し付け、解放器具によって受入部1010から抜くことができる。
[0181]非係止型クラウンコレット圧縮インサート1014は、実質的に円筒形の本体1136を含み、本体1136は、その上端のところで一対の直立アーム1137と一体であり、その下端のところで、対向する一対のクラウンコレット延長部1138の形態をした下方に延在する弾性の上部構造と一体である。全体が1140で示される穴が、主として本体1136内に本体1136を貫通するように配置されており、一部が直立アーム1137によって形成されるとともに一部が本体1136によって形成される鞍状部1141によって形成される略U字形の貫通チャネルと連通する。鞍状部1141は、円柱ロッド1021に密接にぴったりと係合するような大きさおよび形状を有し、湾曲した下部座1142を含む。方形または矩形の棒を密接に保持し、かつ、円柱状のロッド状、コード状またはスリーブ付きコード状の長手方向連結部材を保持する、平面状の保持面を含む代替の実施形態を構成できるであろう。鞍状部1141の両側に配置されたアーム1137は、本体1136から上方に延在する。アーム1137は、受入部案内・前進構造1072より下に位置する円筒状の逃げ面1082および内面1084,1086のところまたはその近くに最終的に配置されるような大きさおよび構成を有する。本発明のいくつかの実施形態では、たとえば、ロッド1021が変形可能な材料から作製されるときに、アームが最終的に閉鎖部頂部1018に直接係合して多軸機構を係止するように、インサートアーム1137を延在させ、かつ閉鎖部頂部を構成することができるであろう。このような実施形態では、インサート1014は、その外面に、回転阻止構造または回転阻止部材を含む。回転阻止構造または回転阻止部材は、受入部1010の内壁に配置された協働する構造に当接して、閉鎖部頂部が回転してインサートに係合したときに受入部に対するインサートの回転を防止する。本実施形態では、アーム137は外面1143を含み、外面1143は、一部が円筒状であり、コレット延長部1138の実質的に平坦な頂面1144から底面1148の近くまで延びるように示されており、頂面1144は、最終的に閉鎖部頂部1018と離隔された関係で位置付けられ、その結果、閉鎖部頂部1018は、ロッド1021のみと摩擦係合し、ロッド1021を着座面1142に対して下向きに押し付け、次にインサート1014がシャンク1004の上部部分1008に押し付けられ、上部部分1008が保持部1012に押し付けられて骨スクリュー組立体1001の多軸機構を所望の角度で係止する。具体的には、図示の部分的に円筒状の面1143は、それぞれ、アーム頂面1144のうちの1つから、コレット延長部1138の底面1148から離隔されたリムすなわち突出部1150まで延在する。各リムすなわち突出部1150は、インサート本体1136の環状下部面1151の近くに位置付けられる。各リム1150と各延長部底面1148との間に位置するのは、不連続な外側円筒面1152であり、円筒面1152は、各コレット延長部1138を部分的に形成し、アーム円筒面1143の直径よりも小さな外径を有する。貫通スロット1154は、底面1148のところで延長部を貫通する各コレット延長部1138および外側円筒面1152の中央に形成され、その一部は、インサート本体1136のところで外側円筒面1143に入る。図示の実施形態は、各延長部1138の中央に配置された1つのスロット1154を含む。本発明の他の実施形態では、スロット1154の数が上記より多くても少なくてもよいであろう。スロット1154は、各延長部1138を実質的に均等に区画し、底面1148まで延在する4つの異なる弾性のフィンガ、タブまたはパネル1154を形成する。
[0182]面1143は、全体的に受入部アーム1062内に嵌まるような大きさおよび形状を有する。アーム外面1143は、そこに形成された、操作・係止解除・係止器具を受け入れるための切欠きまたは溝をさらに含む。図示されてはいないが、各面1143は、たとえば、図84の係止型インサート1014’上に示されるものなどの、器具を受け入れるための1つまたは複数の貫通穴またはその他の孔を含むことができる。各面1143の中央に(いくつかの実施形態では、貫通穴より下に)配置され、各面1143内に形成されるのは、全体が1156で示される、器具を受け入れるためのデルタ形または三角形の切欠きすなわち凹部であり、この切欠きは、一部が上部傾斜面1157によって形成され、インサート1014の中心軸線(および、インサートが受入部の中に配置されるときの受入部の軸線B)に実質的に垂直に配置された下部平坦面1158と交差する。以下でより詳細に説明するように、インサート1014を受入部1010内に拘束して動作可能に位置付けるときに、面1167のそれぞれと面1168は、それぞれの受入部孔の貫通穴面1077および1075’と協働してこれらと整合する。図示の実施形態では、1対の離隔されたv字形または方形の切欠きすなわち溝1160および1161も各面1143に形成され、溝1160および1161は、それぞれの頂面1144から中央のデルタ形の刻み目すなわち切欠き1156の面1158の近くまで延びる。溝1160および1161は、たとえば図74および図75に示されるようなインサートチャネル鞍状部1141の受入部チャネル1064との位置合わせの助けとなる受入部圧着壁内面1087と協働する。図示の溝1160および1161の対は、図66に最もよく示されるように互いの方へ僅かに傾斜し、それぞれの底面1162および1163からアーム頂面1144における最も近い位置まで延びる。
[0183]鞍状部1141によって形成されるU字形チャネルは、アーム頂面1144の近くに配置される内側平坦面1165によっても部分的に形成される。鞍状部1141は、また、内側円筒面1166のところで穴1140と連通し、面1166は、インサート本体1136内の中央に位置し、コレット延長部1138の不連続な底面1148まで延在する下部コレット空間とさらに連通する。内側円筒面1166は、シャンク上部部分すなわち頭部1008の面1034の半径と同じまたは実質的に同様の半径を有する略球状の外形を有する下部凹面部分1168とも連通する。面1168は、主として本体下部面1151に末端が位置するが、コレット延長部1138の内面の中にも延在し、コレット延長部1138の内面を部分的に形成する。内面1168に沿って円筒面1166と本体下部面1151との間に位置するのは、シャンク把持面部分1170である。把持面部分1170は、インサート1014を頭部面1034に係止するときにシャンク頭部1008を把持して貫通するような大きさおよび形状を有する1つまたは複数の段状面すなわち隆起部を含む。図示の実施形態では、実質的にすべての内面1168は段状部分から構成され、したがって、面全体は、直径が徐々に変化する複数の円筒面を有しているように説明することができる。段状面部分1170が含む段状面の数は上記より多くても少なくてもよく、段状面部分1170が覆う、シャンク頭部1008の面1034と同じまたは同様の球状の外形を有する内面1168の表面積は上記より大きくても小さくてもよいであろう。これに加えて、またはこの代わりに、シャンク把持面部分1170および面1168のいずれかまたは全ては、粗面化されたまたは凹凸が形成された面または表面仕上げを含んでいてもよいし、シャンク上部部分1008との摩擦係合を向上させるように切り込みを設けたり、凹凸を設けたりなどしてもよいであろう。本体下部面1151より下に位置するのはコレット延長部1138であり、各コレット延長部1138は、1対の内側上部湾曲部分1172と、1対の平坦面部分1173と、を含み、各平坦面部分1173は、隣接する湾曲部分1172と隣接するそれぞれの底面1148との間に位置する。平坦面部分1173は、以下でより詳細に説明するように、シャンク上部部分すなわち頭部1008の球面1034との非係止型の摩擦嵌めを提供するような大きさ、形状および互いに対する位置を有する。本発明のいくつかの実施形態では、平坦面1173は、シャンク面1034と同じ、これより大きい、または、これより小さい半径を有する放射状面によって置き換えることができるであろう。
[0184]インサート穴1140は、受入部1100が取り付けられた状態でシャンク本体1006を骨にねじ込んだときにシャンクねじ込み部品46と係合するねじ込み器具(図示せず)を受け入れるような大きさおよび形状を有する。また、穴1140は、代替の係止型インサート1014’を受入部との係止位置から解放するために使用されるための操作器具を受け入れ、この操作器具は、シャンクに押し下げられ、また、対向する貫通穴のところで、または、他の器具係合部品により、インサート1014’を把持する。インサート1104’を受入部1100から抜くための操作器具も、受入部貫通穴1074からこのような器具穴に到達することができる。図示のインサート1014は、インサート1014を操作して受入部1010内に保持し、かつ保持部1012とインサート1014との間に適切な隙間を形成する溝および凹部が含まれる他の特徴をさらに含むことができる。
[0185]アーム1137とコレット延長部1138との間に位置するインサート本体1136は、受入部1010の案内・前進構造1072の頂点同士の間の直径よりも僅かに小さな外径を有し、それによって、圧縮インサート1014を受入部開口1066内に頂部から装着することが可能になり、インサート1014を受入部1010に挿入する間、インサート1014のアーム1137が受入部アーム1062同士の間に配置される。インサート1014のアーム1137を全体的に案内・前進構造1072より下に配置した後、以下でより詳しく説明するように、頂面1144が案内・前進構造1072の真下に配置されるまで、インサート1014を、受入部軸線Bを中心に所定の位置へと回転させる。
[0186]図49および図82〜83を参照すると、図示の細長いロッドすなわち長手方向連結部材1021(その一部のみが示されている)は、脊柱再建手術で利用されるさまざまなインプラントのいずれであってもよいが、通常、一様な直径を有する実質的に平滑な外側円筒面1022を有する円筒状の細長い構造である。図示のロッド1021は、本明細書において前述したロッド21と同一または実質的に同様である。組立体1001と共に使用されるその他の長手方向連結部材は、さまざまな形状をとることができ、これには、卵形の断面、矩形の断面、または、その他の湾曲した断面もしくは多角形断面を有するロッドまたは棒が含まれるが、これらに限定されない。インサート1014の形状は、長手方向連結部材をしっかりと保持し、必要に応じて組立体1001に固定するかあるいは摺動的に拘束するように修正することができる。組立体1001のいくつかの実施形態は、張力をかけたコードと共に使用することもできる。このようなコードは、ポリエステル、または、ポリエチレン−テレフタレートなどのその他のプラスチック繊維、より糸もしくは糸を含むさまざまな材料から作製することができる。さらに、長手方向コネクタは、長手方向連結部材を密接に受け入れるためのU字形、矩形またはその他の形状のチャネルを有する受入部の圧縮インサート1014によって受け入れられるような大きさおよび形状を有する円柱状または棒状の部分を有する、より長い全体が動的安定性を有する連結部材の構成部材であってよい。長手方向連結部材は、たとえば、隣接する数対の骨スクリュー組立体1001の間に配置されるような大きさおよび形状を有する屈曲可能な構成要素または制動構成要素と一体化されるか、または、この構成要素に固定することができる。骨スクリュー組立体1001の一方または両方の側で長手方向連結部材に制動構成要素すなわち緩衝材を取り付けることができる。長手方向連結部材のロッドまたは棒(または、ロッドもしくは棒の構成要素)は、所望の用途に応じて、変形可能な軟質プラスチックなどの非金属材料から硬質金属までさまざまな材料で作製することができる。したがって、本発明の棒およびロッドは、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、およびコバルトクロムを含むがこれらに限定されない金属および金属合金を含むがこれらに限定されない材料、または、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、超高分子量ポリエチレン(UHMWP)、ポリウレタン、および、炭素繊維を含む複合材料を含む、複合材料などのプラスチックポリマー、ポリイソプレン(天然ゴム)などの天然エラストマーもしくは合成エラストマー、ならびに、合成ポリマー、コポリマーおよび熱可塑性エラストマー、たとえば、ポリカーボネート−ウレタンエラストマーなどのポリウレタンエラストマーを含む他の適切な材料で作製することができる。
[0187]図49および図82〜83を参照すると、組立体1001と共に示される閉鎖部構造すなわち閉鎖部頂部1018は、本明細書において組立体1に関して前述した閉鎖部頂部18と同一または実質的に同様である。閉鎖部1018の頂部はツイストイン型またはスライドイン型の閉鎖部構造であってもよいことに留意されたい。図示の閉鎖部構造1018は、実質的に円筒状であり、受入部1010のアーム1062上に配置された案内・前進構造1072と動作可能に接合するフランジの形態をした、らせん状をなした外側案内・前進構造1182を含む。図示の閉鎖部構造1018は、孔の形態をした内部ねじ込み部1186を有する頂面1184も含む。この孔は、商標TORXを使用して販売されているような星形内部ねじ込み部として示されているが、たとえば、六角形のねじ込み部、または、スロット、三翼、スパナ、さまざまな形状の2つ以上の孔などの他の内部ねじ込み部であってもよい。内部ねじ込み部1166と係合するような大きさおよび形状を有するねじ込み器具(図示せず)は、閉鎖部1018を受入部アーム1062に回転可能に係合させ、必要に応じて閉鎖部1018を受入部アーム1062から外すために使用される。また、閉鎖部構造1018は、代替的に、事前に選択されたトルク、たとえば7.91Nm(70インチポンド)〜15.8Nm(140インチポンド)で閉鎖部の基部から離脱できるように構成された離脱頭部を含んでいてもよいであろう。このような閉鎖部構造は、閉鎖部を取り外すのに使用される内部ねじ込み部を有する基部も含む。閉鎖部の基部すなわち底面1188は、平面状であり、リム1190をさらに含み、中央の突端(図示せず)をさらに含んでいても含んでいなくてもよく、リム1190および/または突端(図示せず)は、本発明の特定の実施形態では、ロッド1021の面1022に係合して貫入するためのものである。閉鎖部頂部1018は、その中心軸線に沿ってその頂面および底面を通って延在する挿管貫通穴(図示せず)をさらに含むことができる。そのような貫通穴は、そこに挿入されるワイヤ(図示せず)の長さにわたって閉鎖部1018内部を貫通する通路を形成して、閉鎖部頂部を受入部アーム1062に挿入するための案内を提供する。
[0188]PEEKロッド1221などの変形可能なロッドと共に使用される代替の閉鎖部頂部1218が図91および図92に示されている。頂部2118は、閉鎖部頂部1018のリムの代わりに突端すなわち突起1289がドーム状面1290上に設けられることを除いて、頂部1018と同一である。閉鎖部頂部1218は、それ以外にも、案内・前進構造1283と、頂部1284と、内部ねじ込み部1286と、底部外側環状面1288とを含み、これらは、本明細書において閉鎖部頂部1018に関して説明した、案内・前進構造1183、頂部1184、内部ねじ込み部1186および底面1188と同じまたは実質的に同様である。いくつかの実施形態では、内部ねじ込み部1286は、閉鎖部頂部1018のねじ込み部1186ほど大きくなく、このようなねじ込み部が小さいほど、たとえば変形可能なロッドに加えられる力は小さくなり、係止型インサート、たとえば以下で説明するインサート1014’を本発明の骨スクリュー組立体で利用するときには必要とされない。
[0189]組立体1110の説明に戻ると、好ましくは、受入部1010、保持部1012および圧縮インサート1014は、工場での設定作業で組み立てられる。この設定作業は、構成要素片を保持し押圧し位置合わせすると共に、必要に応じてインサート1014のアームおよび/またはコレット延長部を圧縮または拡張し、受入部1010の一部分をインサート14の方へ圧着するための器具を含む。いくつかの状況では、シャンク1004も受入部1010、保持部1012および圧縮インサート1014と工場で組み付けられる。他の場合には、まずシャンク1004を埋め込み、それに続いて、事前に組み立てられた受入部、保持部および圧縮インサートを挿入点に付加することが望ましい。このようにして、外科医は、有利なことに、シャンク1004をより容易に埋め込んで操作し、シャンクによって椎骨をずらすかまたは圧縮し、協働する受入部に邪魔されることなくシャンク上部部分すなわち頭部の周りで作業することができる。他の場合には、手術スタッフが所望の大きさおよび/または種類(たとえば、シャンク1006の上部部分1008および/またはシャンク1006上のヒドロキシアパタイトを粗面化する表面処理)のシャンクを受入部、保持部および圧縮インサートと事前に組み付けることが望ましい。外科医が、適切な大きさを有するシャンク1004または適切な処理を施したシャンク1004を選択できるようにすると、有利には、在庫についての要求が低減され、したがって、全体的なコストが削減される。
[0190]受入部1010、保持部1012および圧縮インサート1014を事前に組み立てる手順が図71〜75に示されている。最初に、外面1130が受入部チャネル座1068に面した状態で、保持部1012を横向きに上部開口1066を通して受入部1010内に下向きに装着する。次に、図71において破線で示されるように、保持部1012をアーム1062同士の間で受入部基部1060の方へ下降させ、受入部基部1060の内側空洞1061内の位置に保持部を回転させるかまたは傾け、環状面1104に面する位置に至るまで保持部底面1124を操作し(同様に破線で示される)、次いで、図71において実線で示されるように、内側基部環状面1104上に完全に着座させる。図72を参照すると、次に、クラウンコレット延長部底面1148が受入部アーム頂面1073に面し、インサートアーム1137およびインサートコレット延長部1138が、対向する受入部アーム1062同士の間に配置されるように、圧縮インサート1014を、上部開口1066を通して受入部1010内に下向きに装着する。次に、インサート1014のアーム上面1144が、案内・前進構造1072より下に配置された受入部の面1082によって形成される逃げ区域に隣接するまで、インサート1014をチャネル座1068の方へ下降させる。その後、図73に示されているように上部アーム面1144が案内・前進構造1072の真下になり、インサート1014のU字形チャネル1141が受入部1010のU字形チャネル1064と整合するまで、インサート1014を、受入部軸線Bを中心に時計回りまたは反時計回りに回転させる。いくつかの実施形態では、インサートアーム1137およびコレット延長部1138を回転させる間にわずかに圧縮して受入部アーム1062の内面から離すことが必要になる場合がある。図73〜75に示されるように、インサート1014の外側円筒面1143および1152は、受入部の円筒面1086および1090の中に受け入れられる。特に図74および図75を参照すると、アーチ状の貫通穴部分1075のまわりに配置される傾斜面1077の、受入部の薄い壁は、次に、受入部孔1074に器具(図示せず)を挿入することによって内側に軸線Bの方へ圧着され、この器具は、インサートアーム1137のそれぞれの外側円筒面1143に形成される溝1160および1161のところで内壁面1087がインサート1014に係合するまで、傾斜面壁1077を押圧する。対向する壁面1087を溝1160および1161に圧着することによって、インサート1014のU字形チャネル1141が受入部U字形チャネル1064と実質的に整合し続けるが、たとえば、図77に示されるように、シャンク1004を底部から装着する間に受入部軸線Bに沿ってインサート1014を上方に移動させることができる。したがって、受入部壁1077を圧着することによって、受入部軸線Bを中心にインサート1104が回転するのが阻止されるが、ある程度の力をかけて、圧着された面1087を溝1160および1161に沿って上下に摺動させると、インサート1014を受入部1010に対して軸線Bに沿って軸線方向に限られた量移動させることができる。インサート1014のアーム1137は、インサート1014が上方に移動して受入部開口1066から出るのを阻止する案内・前進構造1072によって、また、受入部1010の基部1060内でインサート1014より下に配置された保持部1012および受入部環状面1104によって、受入部1010内に完全に拘束される。
[0191]本発明のいくつかの実施形態では、インサート1014の頂面または側面は、1つまたは複数の弾性の突出部を含むことができ、この突出部は、組立工程のいくつかの間に受入部1010の内面に一時的に摩擦係合して受入部1010の上部部分内でインサート1014を保持するためのものであり、インサート1014と受入部1010との間の、摩擦を伴って動くが摺動可能な嵌め合いも提供する。図示の実施形態では、インサート1014は、受入部1010の上部部分において軸線方向に実質的に自由に摺動可能であり、シャンク頭部1008のまわりに保持部1012を拡張する間に円筒面1099より上にインサート1014が位置するような大きさおよび形状を有し、面1099は保持部1012用の拡張チャンバすなわち凹部として機能する。
[0192]この時点で、受入部、インサートおよび保持部の組み合わせは、エンドユーザに出荷する準備が整っており、圧縮インサート1014と保持部1012との両方は、このようなパーツが受入部1010から出るかあるいは無くなることを実質的に防ぐように受入部1010の中に拘束される。これによって、受入部1010、圧縮インサート1014および保持部1012の組み合わせは、工場でシャンク1004と組み付けるか、手術スタッフによって埋め込みの前にシャンク1004と組み付けるか、または、たとえば図76に示されるように埋め込んだシャンク1004上に直接組み付けることができる。シャンク軸線Aおよび受入部軸線Bは、組み付けの間、図77および組立プロセスを示す図面の大部分に示されるように整合するか、あるいは、これらの軸線は、図76に示されるように互いに対してある角度をなす。
[0193]図76に示されるように、内部ねじ込み部1046のところでシャンク本体1006と係合することによりシャンク本体1006を動作可能にねじ込んで回転させる適切なねじ込み器具(図示せず)を使用してシャンク1004を回転させることによって、骨スクリューシャンク1004、または組み立てられたシャンク1004、受入部1010、保持部1012および圧縮インサート1014で構成された組立体1001全体を椎骨1017などの骨に螺入する。具体的には、骨への応力を最低限に抑えるように椎骨1017を事前に掘削し、椎骨1017にガイドワイヤ(図示せず)を挿入して、椎骨に対するシャンク1004の配置および角度についての案内を提供することができる。案内としてのガイドワイヤを有するタップを使用して、さらにタップホールを作ることができる。次に、まずワイヤを底部1028のところで開口に通し、次にねじ込み部品1046にある頂部開口から出すことによって、挿管穴1050を利用して、骨スクリューシャンク1004または組立体1001全体をガイドワイヤで貫く。次に、ワイヤを配置案内として使用してシャンク1004を椎骨にねじ込む。ガイドワイヤを利用して、シャンクおよびその他の骨スクリュー組立体のパーツ、すなわち、ロッド1021(一部の実施形態では中央ルーメンも有する)および閉鎖部頂部1018(中央穴も有する)を経皮的にまたは手術時の侵襲を最低限に抑えて挿入できるであろう。組立体1001の残りの部分のないようにシャンク1004を椎骨1017にねじ込むと、シャンク1004を所望の最終位置までねじ込むか、または、最終位置より少し上の位置までもしくは最終位置から少し突出する位置までねじ込んで、事前に組み立てられた受入部、圧縮インサートおよび保持部と組み付けるのを容易にすることができる。
[0194]図76および図77を参照すると、事前に組み立てられた受入部、インサートおよび保持部は、シャンク上部部分が開口1110内に受け入れられるまでシャンク上部部分1008より上に配置される。特に図77および図78を参照すると、シャンク上部部分1008を受入部基部の内部1061に移動させると、シャンク上部部分1008は、保持部12に上向きに押し付けられて、一部が円筒面1099によって形成されるとともに一部が環状面1095によって形成される凹部内に入る。特に図78および図79を参照すると、部分1008が引き続きチャネル1064の方へ上昇すると、保持部1012の頂面1122が受入部環状面1095に当接し、保持部1012が上方へ移動するのを食い止め、球面1034が上方に連続するにつれて、受入部拡張凹部を形成する円筒面1099の方へ保持部1012を外側に移動させる。図80および図81を参照すると、頭部1008の球の中心が、面1099によって形成される保持部拡張凹部の中心を超えると、保持部1012が球面1034のまわりで収縮し始める。この時点でも、球面1034は、移動してパネル内側平坦面1173のところでインサート1014のコレットパネル1155と係合し、パネル1155は、最初に僅かに外側に拡張して面1034を受け入れる。パネル1155が面1090の方へ外側に押圧され、面1090は、図81に示されるように球面1034がパネル内面1173と完全に摩擦係合するのに十分な隙間を提供する。このとき、インサート1014と面1034とは、非常にぴったりと摩擦嵌めされ、面1034は、ある程度の力でインサート1014に対して枢動することができる。したがって、ぴったりとしたガタつかない玉関節がインサート1014とシャンク上部部分1008との間に形成される。
[0195]次に、受入部1010上で上方に引くか、または場合によっては、シャンク1004を椎骨1017にさらにねじ込むことによって、シャンク1004および取り付けられたインサート1014をさらに下方に操作して、ロッド1021またはその他の長手方向連結部材を受け入れるのに望ましい位置にすることができる。一部の実施形態では、受入部1010がシャンク1004と事前に組み立てられると、この時点でねじ込み器具(図示せず)を受入部およびシャンクねじ込み部1046に挿入し、シャンク1004を回転させて椎骨1017の所望の位置にねじ込むことによって、組立体1001全体を埋め込むことができる。また、このとき、図83に示されるようなシャンクであって、ロッドまたは閉鎖部頂部を挿入する前のシャンク1004に対する所望の角度位置に、受入部1010を関節移動させることができる。この角度位置では、保持部1012とシャンク上部部分1008との摩擦係合によって保持されるが係止されない。
[0196]図82および図83を参照すると、ロッド1021は、最終的に、少なくとも2つの骨スクリュー組立体1001と協働して開放的にあるいは経皮的に位置付けられる。次に、閉鎖部構造1018を受入部1010のそれぞれのアーム1062同士の間に挿入して前進させる。内側ねじ込み部1186と係合させた器具を使用して、選択された圧力に達するまで閉鎖部構造1018を回転させる。選択された圧力に達した時点で、ロッド1021が、圧縮インサート1014のU字形着座面1142と係合し、さらにインサートの段状シャンク把持面1170をシャンク球面1034に押し付け、段状面の縁部が球面1034に貫入し、またシャンク上部部分1008を押して保持部1012に係止摩擦係合させる。具体的には、閉鎖部構造1018が回転してそれぞれの受入部1010内に下降すると、リム1190がロッド面1022に係合して貫入し、閉鎖部構造1018が、下向きにロッド1021に押し付けられロッド1021を偏らせてインサート1014に圧縮係合させ、インサート1014が、シャンク上部部分1008を保持部1012の方へ押して保持部1012に係止係合させ、保持部1012が、面1104に摩擦当接し、円筒面1101に接触して外側に拡張する。たとえば、閉鎖部頂部に約9.04Nm(約80インチポンド)〜約13.5Nm(約120インチポンド)のトルクをかけて骨スクリューシャンク1006を受入部1010に対して固定することができる。
[0197]図84〜89を参照すると、本明細書において前述したシャンク1004、受入部1010、保持部1012、閉鎖部頂部1018およびロッド1021と共に使用するための代替の係止・解放圧縮インサート1014’が示されており、結果として得られる組立体は、たとえば図89および90では組立体1001’として識別される。インサート1014’は、インサート1014’が、受入部1010と係止しながら摩擦によって締まり嵌めすることを除いて、具体的には、以下でより詳細に説明するように、受入部1010の内側円筒面1090と、インサートアーム1137’の外側円筒面1143’の下部部分と、の間で係止しながら締まり嵌めするための大きさを有することを除いて、本明細書において前述したインサート1014と同一または実質的に同様である。図示のインサート1014’は、以下でより詳細に説明するように、インサート1014’が、器具を受け入れるための1対の対向する貫通穴1159’を含む点においても、インサート1014と異なる。
[0198]したがって、図84〜86を参照すると、係止型インサート1014は、本体1136’と、1対の対向するアーム1137’と、1対のクラウンコレット延長部1138’と、貫通穴1140’と、座1142’を有するU字形の鞍状面1141’と、アーム外面1143’と、アーム頂面1144’と、コレット延長部底面1148’と、アームのリム面すなわち突出部面1150’と、環状の下部本体面1151’と、下部外側円筒面1152’と、スロット1154’と、このスロットによって形成されるパネル1155’と、上部傾斜面1157’と下部平坦面1158’とを有する切欠き1156’と、それぞれ底面1162’および1163’を有する1対の溝1160’および1161’と、対向する内側平坦面1165’と、内側円筒面1166’と、把持面部分1170’を有する球状の内形1168’と、湾曲した内面1172’と、コレットの平坦な内側把持摩擦嵌め面1173’とを含み、これらは、本明細書においてインサート1014に関して前述した、本体1136、1対の対向するアーム1137、1対のクラウンコレット延長部1138、貫通穴1140、座1142を有するU字形の鞍状面1141、アーム外面1143、アーム頂面1144、コレット延長部底面1148、アームのリム面すなわち突出部面1150、環状の下部本体面1151、下部外側円筒面1152、スロット1154、このスロットによって形成されるパネル1155、上部傾斜面1157と下部平坦面1158とを有する切欠き1156、それぞれ底面1162および1163を有する1対の溝1160および1161、対向する内側平坦面1615、内側円筒面1166、把持面部分1170を有する球状の内形1168、湾曲した内面1172、および、平坦な摩擦嵌め把持面1173とそれぞれ形態および機能が同じまたは実質的に同様である。
[0199]器具の切欠き1156’より下にかつ突出部すなわちリム1150’のところまたはその近くに配置されるインサート1014’の外側円筒面1143’は、内側空洞1061を部分的に形成する円筒面1090のところで受入部1010と係止しながら締まり嵌めするための大きさおよび形状を有する。言い換えれば、リム1150’のところでまたはこの真上でアーム面1143’同士の間で測定される幅すなわち直径は、1つもしくは複数の器具によって、または、インサート1014’を円筒面1090のところで受入部1010に締まりながら(interferingly)係止する十分な力でロッド1021を下向きにインサート1014’に押し付ける閉鎖部頂部1018によって、受入部面1088および面1090によって形成される縁部で始まる円筒面1090によって形成される空間にインサート1014’を押し込まなければならないことを満たすのに十分な大きさを有する。
[0200]図87〜90を参照すると、インサート1014’は、インサート1014と受入部1010との間で容易に摺動する関係と比較して、シャンク1004が所定の位置に係止されるときにインサート1014’を下降させて受入部1010と係止しながら締まり嵌めしなければならないことを除いて、組立体1001に関して前述したのと同じやり方で、受入部1010、保持部1012、シャンク1004、ロッド1021および閉鎖部頂部1018と組み付けられ、結果として組立体1001’が得られる。具体的には、ロッド1021および閉鎖部頂部1018と組み付ける前に、圧縮インサート1014’の外側円筒面1152’は受入部円筒面1090によって摺動的に受け入れられるが、面1143’は受け入れられない。したがって、インサート1014’は、係止器具によって下向きに押されるか、または図89および90に示されているように閉鎖部頂部が下向きにロッドに押し付けられてロッドが下向きにインサート1014’に押し付けられることによって下向きに押されない限り、受入部面1088のところでさらに下方に移動するのを阻止される。さらに図89を参照すると、このとき、たとえば、保持部1012のコレットパネルとシャンク上部部分1008との摩擦係合によって保持されるが係止されない、図96に示されるようなシャンク1004に対する所望の角度位置に、受入部1010を関節移動させることができる。
[0201]ロッド1021は、最終的に、少なくとも2つの骨スクリュー組立体1001’と協働して開放的にあるいは経皮的に位置付けられる。次に、閉鎖部構造1018を受入部1010のそれぞれのアーム1062同士の間に挿入して前進させる。内側ねじ込み部1186と係合させた器具を使用して、選択された圧力に達するまで閉鎖部構造1018を回転させる。選択された圧力に達した時点で、ロッド1021が、圧縮インサート1014’のU字形着座面1142’と係合し、さらにインサートの段状シャンク把持面1170’をシャンク球面1034に押し付けてシャンク球面1034に入れ、段状面1170’の縁部が球面1034に貫入し、またシャンク上部部分1008を押して保持部1012と係止摩擦係合させる。具体的には、閉鎖部構造18が回転してそれぞれの受入部1010内に下降すると、リム1190がロッド面1022に係合して貫入し、閉鎖部構造1018が、下向きにロッド1021に押し付けられロッド1021を偏らせてインサート1014’に圧縮係合させ、インサート1014’が、シャンク上部部分1008を保持部1012の方へ押して保持部1012と係止係合させ、保持部1012が、面1104に摩擦当接し、円筒面1101に接触して外側に拡張する。たとえば、閉鎖部頂部に約9.04Nm(約80インチポンド)〜約13.5Nm(約120インチポンド)のトルクをかけて骨スクリューシャンク1006を受入部1010に対して固定することができる。らせん状フランジ形態を約11.3Nm(100インチポンド)に締めることによって、およそ4003N(900ポンド)から4448N(1000ポンド)の力を生じることができ、インサート1014’の円筒面1143’と、受入部の円筒面1090と、の間に形成される締まり嵌めは、パーツ間の製作公差問題に応じて約565.5Nm(500インチポンド)から79.1Nm(700インチポンド)の間で打ち勝てることが分かった。このため、閉鎖部構造1018およびロッド1021がインサート1014’を下向きに受入部1010の基部の方へ押すと、受入部環状面1088および円筒面1090によって形成される縁部のところでインサート面1143’が受入部に押し込まれ、したがって、インサート1014を押して面1090に沿って受入部と摩擦によって締まり係合させるが、多軸機構自体の係止には実質的に影響を及ぼさない。
[0202]図91を参照すると、この時点で、閉鎖部頂部1018を緩めるかもしくは取り外すことができ、および/または、ロッド1021の調整および/もしくは取り外しを行うことができ、インサート面1143’でのインサート1014’と受入部1010との摩擦係合が所定の位置に係止されたままになり、有利には、受入部1010に対するシャンク1004の係止された角度位置が維持される。
[0203]図91および図92をさらに参照すると、この時点で、変形可能なロッド1221などの別のロッド、および、協働する代替の閉鎖部頂部1218は、既に係止された組立体に装着され、結果として代替の組立体1201’を得ることができる。上述のように、閉鎖部ねじ込み部1286は、有利には、閉鎖部1018のねじ込み部より小さく作製することができ、その結果、多軸の機構が既に係止されているので、変形可能なロッド1221は組立て中に過度に押圧または変形されることはない。
[0204]図93〜95を参照すると、全体が1600で示される、インサート1014’を受入部1010から解放するための2つの部品からなる器具が示されている。器具1600は、貫通チャネル1616の両側に配置されたプロング1612であって、内側を向いて対向するプロング1612を有する可撓性の内側チューブ状構造を含む。チャネル1616は、プロング1612から離隔した位置に末端が位置していてもよいし、器具を通ってさらに上方に延在してもよく、その結果、2つの部品からなる器具1610が得られる。器具1600は、より小さな貫通チャネル1622を有する剛性のより高い外側管状部材1620を含む。部材1620は、可撓性部材1610のプロング1612が外側に撓曲し、次に受入部1010に嵌合し、次いで受入部1010の対向する孔1074の貫通穴に嵌め込まれ、インサート1014’のアームに配置された対向する穴1159’と位置合わせされた後で、管1610に摺動的に嵌合する。図93では、インサート1014’を受入部1010から係止解除するプロセスの間の器具1600が示されており、器具1600をシャンク1004から離れるように上方に引きながら、外側部材1620が内側部材1610をとり囲み、プロング1612を受入部1010内とインサート1014’の孔内とに保持する。器具1600は、プロングおよび管状部材を上方に引きながら受入部1010を押し下げるための構造をさらに含むことができ、たとえば、このような構造を器具1600内に配置して、受入部アームの頂面1073を押し下げることができるであろう。
[0205]あるいは、開口1066のところで受入部に挿入されるとともに鞍状部1141’によって形成されるインサートチャネルに挿入され、そのプロングまたは延長部が外側に延在してインサート貫通穴1159’に入る別の操作器具(図示せず)を使用することができ、その後、器具のピストン状の部分がシャンク上部部分1008を直接押し、それによってインサート1014’を受入部面1090から離れるように引っ張り、したがって、多軸機構を解放する。このとき、シャンク1004を受入部1010に対して関節運動させることができ、所望の摩擦嵌めが保持部1012とシャンク面1034との間に戻り、それによって、調整可能であるがガタつかない関係が依然としてシャンク1004と受入部1010との間に存在する。さらに組立体を分解することが望まれる場合、このような手順は、本明細書において組立体1001について前述した手順と逆の順序で達成される。
[0206]図96〜98を参照すると、インサート1014’を受入部1010に独立して係止するための、または、いくつかの実施形態では、非係止型インサート1014を受入部1010に一時的に係止するための、全体が1700で示される別の操作器具が示されている。器具1700は、1対の対向するアーム1712を含み、アーム1712は、それぞれ、器具を受入部の方へ下方に移動させたときに、係合延長部1716の1つまたは複数の内側面1718が受入部の面1077およびインサート1014’の面1157’に沿って摺動してインサート1014’と係合し、面1720がインサート面1158’を下向きに押し、円筒アーム面1143’を受入部円筒面1090内に係止しながら締まり嵌めするように、それぞれのアーム1712に対してある角度で位置付けられる係合延長部1716を有する。図98に示されるように、インサート1014’を受入部1010に対して係止するとき、器具底面1720は、受入部面7105’の最も低い位置には達せず、そこから離隔されたままである。図示の実施形態では、面1718は僅かに丸みがあり、各アーム延長部1716は、面1157’と面1158’との接合点においてインサート1014’を挿入および把持するための底面1720を有する縁部を形成する平坦な下部面1722をさらに含む。器具1700は、たとえば、歯どめ部品、蝶番式器具または回転可能なねじ付きデバイスを含むことができる、ピストル型把持器具などのさまざまな保持および押し付け/引っ張り機構を含むことができる。
[0207]本発明の特定の形態を本明細書において図示し説明してきたが、本発明が、説明し図示した部品の特定の形態または構成に限定されないことを理解されたい。