JP2014505030A - アリールスルホンアミド誘導体の投与量 - Google Patents
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Abstract
本発明は、アリールスルホンアミド誘導体の治療的使用を対象とする。
Description
アリールスルホンアミドは、例えばWO03/106428から公知であり、前記公報では、式(I):
R1は、置換されていないかまたはハロゲン、C1−C3アルキル基、C1−C3アルコキシ基、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチルもしくはトリフルオロメトキシ基の中から選択される1以上の原子もしくは原子群によって置換されている芳香環を表し、
R2は、水素原子、または場合によりフェニル基、CONH2基もしくは1以上のフッ素原子によって置換された1から4個の炭素原子を有する直鎖、分枝もしくは環状炭化水素鎖を表し、
R3は、水素原子、ヒドロキシ基を表すか、またはR4と共に−CH=N−基または直鎖もしくは分枝C2−C4アルキレン基を形成し、
R4は、水素原子を表すかまたはR3と共に−CH=N−基または直鎖もしくは分枝C2−C4アルキレン基を形成し、
R5は、水素原子またはC1−C3アルキル基を表し、
R6は、水素原子またはハロゲンを表し、
Yは、飽和または不飽和の、直鎖または分枝の、場合により酸素原子によって2個の炭素原子の間が中断された、C2−C4アルキレン基を表す。
芳香族系は、フェニル系、1−もしくは2−ナフチル系または2−もしくは3−チエニル系を意味する。
WO03/106428の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
これらの化合物は、様々な形態の疼痛、例えば炎症性痛覚過敏、異痛症、例えば糖尿病、神経障害(坐骨神経の絞扼、腰痛)、任意の形態の外傷、手術(抜歯、扁桃切除術)、間質性膀胱炎、炎症性腸疾患および癌に関連する神経因性疼痛の治療において有用であると述べられている。
これらはまた、好中球遊走に関連する任意の病変、例えば急性呼吸窮迫症候群、乾癬、肺閉塞症、炎症性腸疾患および関節リウマチの治療においても有用であると述べられている。
化合物はまた、これらの作用機構のために、ブラジキニンのB1受容体が関与する、特に過剰発現される任意の病的状態の治療または予防においても使用される。
既に挙げた様々な形態の疼痛および炎症性疾患に加えて、式(I)の化合物は、WO03/106428の開示によれば、特定の呼吸疾患、例えば喘息、気管支炎、アレルギーおよびウイルス起源の胸膜炎または鼻炎、特定の形態の糖尿病、特定の皮膚疾患、例えば皮膚炎、湿疹、乾癬、眼疾患、例えば緑内障および網膜炎、アルツハイマー病、敗血症性ショック、特に頭蓋が関与する外傷、特に癌細胞の増殖を遅らせるまたは阻害することにより、一部の癌、より詳細には前立腺の癌を治療するために使用され得る。
これらはまた、好中球遊走に関連する任意の病変、例えば急性呼吸窮迫症候群、乾癬、肺閉塞症、炎症性腸疾患および関節リウマチの治療においても有用であると述べられている。
化合物はまた、これらの作用機構のために、ブラジキニンのB1受容体が関与する、特に過剰発現される任意の病的状態の治療または予防においても使用される。
既に挙げた様々な形態の疼痛および炎症性疾患に加えて、式(I)の化合物は、WO03/106428の開示によれば、特定の呼吸疾患、例えば喘息、気管支炎、アレルギーおよびウイルス起源の胸膜炎または鼻炎、特定の形態の糖尿病、特定の皮膚疾患、例えば皮膚炎、湿疹、乾癬、眼疾患、例えば緑内障および網膜炎、アルツハイマー病、敗血症性ショック、特に頭蓋が関与する外傷、特に癌細胞の増殖を遅らせるまたは阻害することにより、一部の癌、より詳細には前立腺の癌を治療するために使用され得る。
さらに、式(I)の化合物は、投与の方法および病変の種類に依存して、一般に治療される患者の1kgにつき0.05から10mgの投与量で使用されることが示されている。
本発明によれば、すべてのブラジキニンB1受容体アンタゴニストが黄斑浮腫の予防、治療および/または軽減において有用とは限らないことが認められた。ここに、上記で挙げた式(I)の化合物ならびにこれらの医薬的に許容される塩は、黄斑浮腫、特に糖尿病性網膜症によって引き起こされるまたは糖尿病性網膜症に関連する黄斑浮腫の予防、治療および/または軽減において有用であること、ならびに、特に前記黄斑浮腫を予防する、治療するまたは軽減するために必要な投与量は先行技術において指示されている投与量よりもはるかに低いことが見出された。実際に、特に糖尿病性網膜症によって引き起こされるまたは糖尿病性網膜症に関連する、黄斑浮腫の予防、治療および/または軽減のために有用な式(I)の化合物の有効用量は、0.004から0.03mg/kg患者/日の間に含まれる。
これは図1によってさらに例示され、図1は、ストレプトゾトシン誘発性糖尿病のBrown−Norway(A)およびWistarラット(B)において点眼薬として与えたアリールスルホンアミド化合物No.49の網膜血管透過性への作用を要約する。
糖尿病性網膜症は、世界中で継続的に拡大しつつある集団である、糖尿病患者の18%から45%が罹患する主要な合併症である。糖尿病性網膜症および視力を脅かす糖尿病性網膜症を有する40歳以上のアメリカ人の数は、2050年には3倍になり、糖尿病性網膜症については2005年の550万人から1600万人に、視力を脅かす糖尿病性網膜症については2005年の120万人から340万人になる。65歳以上における増加はより顕著である(糖尿病性網膜症については250万人から990万人に、視力を脅かす糖尿病性網膜症については50万人から190万人に)。さらに、10年間にわたる糖尿病性黄斑浮腫の発生率は、30歳前および30歳以降に診断された患者の間で20から40%に及ぶ。この点において、糖尿病性黄斑浮腫は米国の労働年齢人口における失明の主要原因である。糖尿病性網膜症の発生率は、人種、糖尿病の種類、年齢および動脈血圧の状態によって異なる。増殖性網膜症、黄斑浮腫および視力を脅かす網膜症の有病率は、それぞれ2−5%、5−7%および6−8%の範囲内である。初期段階では、糖尿病性網膜症は無細胞毛細管の虚血領域を特徴とし、糖尿病が経時的に進行するとともに、網膜血管漏出、血管出芽、血管新生および出血が起こり、最終的には視力の喪失に至る。糖尿病患者では、視力喪失と、液体蓄積をもたらす血管血漿漏出および斑の中心内の硬性滲出物の沈着と定義される、臨床的に有意の黄斑浮腫との間に関連がある。
本明細書からさらに理解されるように、式(I)の化合物は黄斑浮腫を治療するのに特に効果的であることが示された。
本明細書に関連して、「黄斑浮腫」という用語は、これを引き起こす基礎疾患とは独立して理解されねばならず、および任意の形態の網膜症に関連すると理解されねばならない。この用語は、例えば、糖尿病性網膜症、加齢性黄斑変性、色素性網膜炎、眼手術、網膜静脈閉塞症(中心静脈閉塞症もしくは分枝静脈閉塞症のいずれかもしくは両方)に関連するまたはこれらによって引き起こされる黄斑浮腫を包含する。黄斑浮腫の他の例は、視力を脅かす網膜症、増殖性網膜症、臨床的に有意の黄斑浮腫または糖尿病性網膜症の間の慢性黄斑浮腫、ならびに糖尿病性網膜症と通常理解されるものの任意の他の病期に関連するまたはこれらによって引き起こされる。
本発明の化合物は、上記で定義された式(I)の化合物ならびにこれらの医薬的に許容される塩である。
すべての化合物は、WO03/106428に記載されている方法によって調製することができる。
式(I)として上述した対象の化合物の医薬的に許容される塩は、例えば、硫酸塩、ヘミ硫酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、カンシル酸塩、酢酸塩、リン酸塩、塩化物、臭化物、アスパラギン酸塩またはパモ酸塩から選択され得る。
式(I)の化合物は、黄斑浮腫、特に糖尿病性網膜症に関連するまたは糖尿病性網膜症によって引き起こされる黄斑浮腫の予防、治療および/または軽減において特に有用と考えられる。これは、例えば化合物N[[4−(4,5−ジヒドロ−1Hイミダゾール−2イル)フェニル]メチル]−2−[2−[−(4−メトキシ−2,6−ジメチルフェニル)スルホニル]メチルアミノ]エトキシ]−N−メチル−アセトアミドまたはこの塩、例えばこのリン酸塩、硫酸塩もしくはヘミ硫酸塩に当てはまる。この化合物は、WO03/106428の化合物No.49として例示され、この構造式は:
これを本明細書では「化合物No.49」と称する。
[実施例1]
式(I)のアリールスルホンアミド化合物の黄斑浮腫への作用
式(I)のアリールスルホンアミド化合物の黄斑浮腫への作用、特に糖尿病性網膜症に関連するまたは糖尿病性網膜症によって引き起こされる黄斑浮腫への作用を、以下で説明するように検討した。
式(I)のアリールスルホンアミド化合物の黄斑浮腫への作用
式(I)のアリールスルホンアミド化合物の黄斑浮腫への作用、特に糖尿病性網膜症に関連するまたは糖尿病性網膜症によって引き起こされる黄斑浮腫への作用を、以下で説明するように検討した。
げっ歯動物へのストレプトゾトシンの投与は膵β細胞の大量の破壊を生じさせ、従って、血糖の顕著な上昇および、部分的に1型糖尿病の初期段階を模倣する糖尿病状態の発症を引き起こす。これに関して、ストレプトゾトシン処置ラットは、血液網膜関門の破断、炎症メディエータであるサイトカインおよび増殖因子(VEGF、塩基性線維芽細胞増殖因子)の増加、ミクログリア細胞の活性化および白血球うっ滞を特徴とする炎症性網膜症を発症する。
化合物No.49(フマル酸塩およびリン酸塩)を点眼薬として7日間、ストレプトゾトシン糖尿病の色素沈着(pigmented)Brown−Norwayラットおよび非色素沈着Wistarラットに与え、その後網膜浮腫への作用を測定した。
雄性Brown−NorwayまたはWistarラットを、65mg/kgの腹腔内ストレプトゾトシンの皮下注射によって糖尿病にした。<350mg/dlの血糖を有するラットは試験から除外した。7日後、Brown−Norwayラットを、0.1、0.3、1および3%の化合物No.49のリン酸塩を含む点眼薬またはこのビヒクル(食塩水)1滴(10μl)で1日2回7日間処置した。Wistarラットは、0.3および1%の化合物No.49のフマル酸塩を含む点眼薬またはこのビヒクル(食塩水)1滴(10μl)で同じ期間(7日目から7日間)にわたって処置した。15日目に、エバンスブルー染料の網膜含量の測定によって網膜血管漏出を判定した。
図1に示すように、網膜血管透過性は、対照正常血糖ラットと比較して糖尿病Brown−NorwayおよびWistarラットにおいて有意に上昇した。糖尿病Brown−NorwayおよびWistarラットでは、化合物No.49は血糖に影響を及ぼさなかった。糖尿病Brown−Norwayラットでは、化合物No.49のリン酸塩は網膜浮腫を用量依存的に低減し、最大55%減少させた。2つの別々の予備試験において、1%化合物No.49点眼薬は網膜浮腫を最大58%および63%減少させた(データは示していない。)。糖尿病Wistarラットでは、0.3および1%の両方の化合物No.49フマル酸塩は網膜血管透過性を消失させた(図1)。これらのデータは、ストレプトゾトシンで糖尿病にした2つの異なるラット系統において、化合物No.49は血管網膜関門の破断を顕著に低減したことを示す。
図1は、ストレプトゾトシン誘発性糖尿病のBrown−Norway(A)およびWistarラット(B)において点眼薬として与えた化合物No.49の網膜血管透過性への作用を示す。より詳細には、図1Aは、ストレプトゾトシン糖尿病Brown−Norwayラットにおける網膜血管漏出への、点眼薬(0.1から3%)として1日2回7日間点眼した化合物No.49の用量反応である。組換え組織カリクレイン結合タンパク質(rKBP)を参照薬剤として使用し、血管漏出測定の48時間前に硝子体内投与した。数値は、12眼/群(6匹のラット)の平均±平均標準誤差である。***は、スチューデントt検定においてP<0.001であることを意味する。
図1Bは、ストレプトゾトシン糖尿病Wistarラットにおける網膜血管漏出への、点眼薬(0.3および1%)として1日2回7日間点眼した化合物No.49の作用を示す。数値は、6から11眼/群の平均±平均標準誤差である。**は、一方向ANOVA、次いでスチューデントt検定におけるP<0.01、***はP<0.001を意味する。
図1Bは、ストレプトゾトシン糖尿病Wistarラットにおける網膜血管漏出への、点眼薬(0.3および1%)として1日2回7日間点眼した化合物No.49の作用を示す。数値は、6から11眼/群の平均±平均標準誤差である。**は、一方向ANOVA、次いでスチューデントt検定におけるP<0.01、***はP<0.001を意味する。
化合物No.49のリン酸塩が局所点眼後に網膜に達する経路を検討し、これが主として全身循環によるのかまたは経眼的および/もしくは眼周囲経路によるのかを判定した。糖尿病Brown−Norwayラットを、一方の眼において3%化合物No.49リン酸塩で7日間、または匹敵する1日投与量(0.6mg/ラット)で皮下的に処置した。化合物No.49で処置した眼では、網膜血管透過性は有意に37%(P<0.001)低下し、一方反対側の眼は影響を受けないままであった。加えて、ラットへの0.6mgの化合物No.49リン酸塩の毎日の皮下投与は網膜血管透過性に作用を及ぼさなかった。これらのデータは、局所投与後の化合物No.49リン酸塩がおそらく経角膜および強膜/脈絡膜循環を介して網膜血管系に達し、全身再分布の寄与は全くないかまたはごくわずかであることを示す。
糖尿病ラットにおいて化合物No.49リン酸塩による網膜血管透過性の低下に関与する分子経路を探索するため、サイトカイン、血管作用性メディエータおよび増殖因子のmRNAの発現を、1%化合物No.49リン酸塩の点眼薬で7日間処置したまたは処置しなかった対照および糖尿病Wistarラットの網膜において定量化した。B1R、B2R、i−NOS、e−NOS、COX−2、ICAM−1、VEGF−R2、VEGF−a、IL−1βおよびHIF−1αのmRNA発現は、対照と比較して糖尿病ラット網膜ではそれぞれ7.5倍(P<0.05)、5.5倍、15倍(P<0.01)、6.5倍、8倍(P<0.05)、8倍、5倍(P<0.05)、12倍、6.5倍(P<0.01)および7倍(P<0.05)増大していた。TNF−α mRNAの発現は不変のままであった。1%化合物No.49点眼薬での7日間の処置後、B1R、B2R、i−NOS、e−NOS、COX−2、ICAM−1、VEGF−A、IL−1αおよびHIF−1αのmRNA発現は対照レベルに下方調節されたが、VEGF−Aの発現は50%低減された。文献(Gardner and Antonetti,2008)と一致して、これらのデータは、糖尿病ラットの網膜が炎症特徴を提示することを示す。興味深いことに、化合物No.49リン酸塩は、血糖には影響を及ぼさずに糖尿病の発症に関連する網膜炎症応答を減弱させた。
化合物No.49リン酸塩がストレプトゾトシン糖尿病Wistarラットの網膜血管系への白血球接着に及ぼす作用も、化合物No.49リン酸塩の投与の同じプロトコール(1%点眼薬を1日2回7日間)を使用して検討した。糖尿病ラットの網膜血管中の白血球の数は、対照非糖尿病動物と比較して有意に増加していた(P<0.05)。化合物No.49リン酸塩での処置後、糖尿病ラットにおける白血球うっ滞は有意に減弱した(P<0.05)。ICAM−1は白血球接着において鍵となる役割を果たすことが示されているので、これらの所見は、化合物No.49リン酸塩によるICAM−1発現の減少と一致する。
さらに、白色家兎および有色(pigmented)家兎における眼分布試験を実施した。眼組織および血漿中の放射能の分布を、2%(塩基当量)14C−化合物No.49製剤30μlの白色家兎(右眼のみ)への単回眼投与後に検討し、有色家兎(両眼)と比較した。
種々の薬物動態プロフィールが組織中で得られた。具体的には:
−硝子体、網膜および脈絡膜における有色家兎についてのより長いt1/2(白色家兎より少なくとも2倍高い。)
−房水、網膜、脈絡膜、全血および血漿における有色家兎についてのより高い曲線下面積(AUC)0−48(白色家兎より少なくとも2倍高い。)
−有色家兎についてのより低いCmax(白色家兎より少なくとも2倍低い。)。
これらの値は網膜および脈絡膜における化合物の色素固定に関連する。
種々の薬物動態プロフィールが組織中で得られた。具体的には:
−硝子体、網膜および脈絡膜における有色家兎についてのより長いt1/2(白色家兎より少なくとも2倍高い。)
−房水、網膜、脈絡膜、全血および血漿における有色家兎についてのより高い曲線下面積(AUC)0−48(白色家兎より少なくとも2倍高い。)
−有色家兎についてのより低いCmax(白色家兎より少なくとも2倍低い。)。
これらの値は網膜および脈絡膜における化合物の色素固定に関連する。
同様の薬物動態プロフィールが血漿中で認められた:
−88ng/mLのCmax
−15から30分のTmax
−約20時間のt1/2。
化合物No.49を白色家兎の右眼に投与した場合、左眼で房水および網膜に関して低濃度が検出され、薬剤のわずかな移動を示した。
−88ng/mLのCmax
−15から30分のTmax
−約20時間のt1/2。
化合物No.49を白色家兎の右眼に投与した場合、左眼で房水および網膜に関して低濃度が検出され、薬剤のわずかな移動を示した。
特に糖尿病性網膜症に関連するまたは糖尿病性網膜症によって引き起こされる、黄斑浮腫の予防、治療および/または軽減のための式(I)の化合物、例えば特に化合物No.49は、通常無菌点眼液によってヒトに局所投与される。用量は、1%溶液1滴(1滴の容積は約30μLである。)を1日1回から、2%溶液2滴を1日2回までにわたる。70kgの患者という仮定に基づき、用量は、0.004mg/kg患者/日(片方の眼においてのみ1%溶液1滴を毎日)から0.03mg/kg患者/日(両眼において2%溶液2滴を1日2回)まで様々である。
黄斑浮腫の予防、治療および/または軽減のための式(I)の化合物、例えば化合物No.49は、1日1回、例えば午前中に、または1日2回投与のために12時間の間隔を置いて(朝と夕方)投与することができる。
特に糖尿病性網膜症に関連するまたは糖尿病性網膜症によって引き起こされる、黄斑浮腫の予防、治療および/または軽減のための、式(I)の化合物またはこの医薬的に許容される塩の1つの用量の例は、中でも特に:
−片方の眼もしくは両眼に1%溶液を1日1回もしくは2回、または
−片方の眼もしくは両眼に2%溶液を1日1回もしくは2回
である。
加えて、リン酸塩形態で投与された化合物No.49はフマル酸塩と同等の活性を有することが示されている。
−片方の眼もしくは両眼に1%溶液を1日1回もしくは2回、または
−片方の眼もしくは両眼に2%溶液を1日1回もしくは2回
である。
加えて、リン酸塩形態で投与された化合物No.49はフマル酸塩と同等の活性を有することが示されている。
[実施例2]
式(I)のアリールスルホンアミド化合物と別のブラジキニンB1受容体アンタゴニストの作用の比較
実験プロトコール
糖尿病を誘発するため、成体Brown−Norwayラット(8−12週齢)に新鮮調製したストレプトゾトシン(STZ)(クエン酸緩衝液、pH4.5中10mmol/Lで50mg/kg体重)の単回腹腔内注射を実施した。血清グルコースレベルをSTZ注射の2日後およびその後は週に1回検査した。350mg/dLより高い血中グルコースレベルを有する動物だけを糖尿病ラットとして使用した。
式(I)のアリールスルホンアミド化合物と別のブラジキニンB1受容体アンタゴニストの作用の比較
実験プロトコール
糖尿病を誘発するため、成体Brown−Norwayラット(8−12週齢)に新鮮調製したストレプトゾトシン(STZ)(クエン酸緩衝液、pH4.5中10mmol/Lで50mg/kg体重)の単回腹腔内注射を実施した。血清グルコースレベルをSTZ注射の2日後およびその後は週に1回検査した。350mg/dLより高い血中グルコースレベルを有する動物だけを糖尿病ラットとして使用した。
非糖尿病ラット(6−8匹のラット)を、STZまたは化合物No.49または化合物Bでの処理を行わない陽性対照群として使用した(図2における対照群)。
糖尿病の発症の8日後(即ち8日目)に、糖尿病ラットを群に分け、各群につき6−8匹のラット(12−16の眼)とした。
処置は以下のとおりであった:
8日目から14日目まで、動物を1%の化合物No.49(フマル酸塩として生理的血清(0.9%NaCl)中に可溶化した−「Cpd 49」群)、1%の化合物B(ジクロロヒドラート塩として生理的血清(0.9%NaCl)中に可溶化した−「Cpd B」群)、または対応する食塩水ビヒクル(「Diab」群、即ち生理的血清(0.9%NaCl))の両眼への10μlの点眼で毎日処置した。2つの実験において、糖尿病ラットの群は、陽性参照薬剤として使用した組換えカリクレイン結合タンパク質(「rKBP」群)で硝子体内経路によって処置した。このような条件で、rKBPは網膜血管漏出を一貫して約50%低減することが示されている(Dr.JX Ma,Charlesson LLC,Oklahoma City,Oklahoma,USA)。
8日目から14日目まで、動物を1%の化合物No.49(フマル酸塩として生理的血清(0.9%NaCl)中に可溶化した−「Cpd 49」群)、1%の化合物B(ジクロロヒドラート塩として生理的血清(0.9%NaCl)中に可溶化した−「Cpd B」群)、または対応する食塩水ビヒクル(「Diab」群、即ち生理的血清(0.9%NaCl))の両眼への10μlの点眼で毎日処置した。2つの実験において、糖尿病ラットの群は、陽性参照薬剤として使用した組換えカリクレイン結合タンパク質(「rKBP」群)で硝子体内経路によって処置した。このような条件で、rKBPは網膜血管漏出を一貫して約50%低減することが示されている(Dr.JX Ma,Charlesson LLC,Oklahoma City,Oklahoma,USA)。
化合物Bは、以下の式:
14日目に、記述されているプロトコール(Gao G et al.,Diabetologi,46,689−698,2003)に従って血管から網膜へのエバンスブルー−アルブミン漏出を測定することによって血管透過性を定量化した。簡単に述べると、エバンスブルーを、大腿静脈を介して注射し、2時間循環させた。次に、左心室を介してあらかじめ温めたPBSをラットに注入した。灌流の直後に、網膜を手術用顕微鏡下で慎重に切除し、ホモジナイズした。分光計を用いて網膜ホモジネート中のエバンスブルー染料の濃度を測定し、総タンパク質濃度によって正規化した。
統計解析:
図2は、STZ糖尿病ラットにおける網膜血管漏出の結果を示す(3つの試験)。
図2は、STZ糖尿病ラットにおける網膜血管漏出の結果を示す(3つの試験)。
最初に、rKBP処置ラットとビヒクル処置ラットにおける血管漏出平均値を、パラメトリックまたはノンパラメトリック検定(分散の均一性に応じて)を用いて比較した。2つの平均値の差が統計的に有意である場合は、薬剤処置群とビヒクル処置群の平均値を、一方向ANOVA(または分散が均一でない場合はノンパラメトリック解析)、次いでポストホック検定を用いて比較した。図2において:P値はダネット検定により0.001より下である(「***」);「NS」は有意でないことを意味する。
ブラジキニンB1受容体アンタゴニスト:
化合物No.49および化合物BはどちらもブラジキニンB1受容体アンタゴニストであることが示された。特に化合物Bは、ヒトB1受容体に対して1.6nMの阻害定数(Ki)を有し、7.8のpA2を有していた。Kiは、HEK293ヒト細胞膜上のB1受容体に特異的なリガンドである、[3H]des−Arg10−カリジンとの競合結合実験から得られる濃度−反応曲線に基づいて計算した。pA2は、ラット回腸上のdes−Arg10−カリジン(B1受容体アゴニスト)に対する濃度−反応曲線から得られるSchild曲線に基づいて計算した。
化合物No.49および化合物BはどちらもブラジキニンB1受容体アンタゴニストであることが示された。特に化合物Bは、ヒトB1受容体に対して1.6nMの阻害定数(Ki)を有し、7.8のpA2を有していた。Kiは、HEK293ヒト細胞膜上のB1受容体に特異的なリガンドである、[3H]des−Arg10−カリジンとの競合結合実験から得られる濃度−反応曲線に基づいて計算した。pA2は、ラット回腸上のdes−Arg10−カリジン(B1受容体アゴニスト)に対する濃度−反応曲線から得られるSchild曲線に基づいて計算した。
結論:
上記結果によれば、2つのブラジキニンB1受容体アンタゴニストは、特に上記で明らかにされたように局所投与後、黄斑浮腫に対して必ずしも同じ活性を有するわけではないことが示された。従って、化合物Bなどの一部のブラジキニンB1受容体アンタゴニストは黄斑浮腫に対して有意でない活性を有し得るが、一方式(I)の化合物は、特に糖尿病性網膜症に関連するまたは糖尿病性網膜症によって引き起こされる、黄斑浮腫の予防、治療および/または軽減のために使用することができる。
上記結果によれば、2つのブラジキニンB1受容体アンタゴニストは、特に上記で明らかにされたように局所投与後、黄斑浮腫に対して必ずしも同じ活性を有するわけではないことが示された。従って、化合物Bなどの一部のブラジキニンB1受容体アンタゴニストは黄斑浮腫に対して有意でない活性を有し得るが、一方式(I)の化合物は、特に糖尿病性網膜症に関連するまたは糖尿病性網膜症によって引き起こされる、黄斑浮腫の予防、治療および/または軽減のために使用することができる。
Claims (7)
- 黄斑浮腫の予防、治療および/または軽減のための、式(I):
式中、
R1は、置換されていないかまたはハロゲン、C1−C3アルキル基、C1−C3アルコキシ基、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチルもしくはトリフルオロメトキシ基の中から選択される1以上の原子もしくは原子群によって置換されている芳香環を表し、
R2は、水素原子または場合によりフェニル基、CONH2基もしくは1以上のフッ素原子によって置換された1から4個の炭素原子を有する直鎖、分枝もしくは環状炭化水素鎖を表し、
R3は、水素原子、ヒドロキシ基を表すか、またはR4と共に−CH=N−基または直鎖もしくは分枝C2−C4アルキレン基を形成し、
R4は、水素原子を表すかまたはR3と共に−CH=N−基または直鎖もしくは分枝C2−C4アルキレン基を形成し、
R5は、水素原子またはC1−C3アルキル基を表し、
R6は、水素原子またはハロゲンを表し、
Yは、飽和または不飽和の、直鎖または分枝の、場合により酸素原子によって2個の炭素原子の間で中断された、C2−C4アルキレン基を表す
用量。 - 糖尿病性網膜症に関連するまたは糖尿病性網膜症によって引き起こされる黄斑浮腫の予防、治療および/または軽減のための、請求項1に記載の用量。
- 1日1回または1日2回投与のための、請求項1または請求項2に記載の用量。
- 化合物が、化合物No.49、またはこの医薬的に許容される塩の1つであることを特徴とする、請求項1から3の一項に記載の用量。
- 請求項3に記載の化合物がフマル酸塩、リン酸塩またはヘミコハク酸塩であることを特徴とする、請求項1から4の一項に記載の用量。
- 有効成分として、1%または2%用量の請求項1から5に記載の式(I)の化合物、および少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
- 組成物が局所投与に適する、請求項6に記載の医薬組成物。
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