燃焼抑制剤のバンドを組み込んだシガレットペーパーの製造では、あらかじめ形成されたベースペーパーに燃焼抑制剤のバンドを貼付してLIPシガレットペーパーにする。燃焼抑制剤の貼付工程は、一般的に紙巻きタバコの組み立てとは別に行われ、ベースペーパーに燃焼抑制剤を貼付するための専用の装置を必要とする。また燃焼抑制剤の使用は、紙巻きタバコ製造工程全体に別の費用を加えることになる。
本発明は、喫煙材ロッドと、この喫煙材に巻かれた再生タバコ材を含む内方ラッパーと、喫煙材および内方ラッパーの周囲に巻かれた外方ラッパーとを含む低延焼性喫煙品を提供する。
内方および外方ラッパーは、燃焼抑制材からなるバンドを含まなくてもよい。
喫煙品の円周は、15mmから22mmの間であってもよい。
喫煙品の円周は、15mmから19mmの間であってもよい。
喫煙品の円周は、15mmから17mmの間であってもよい。
喫煙品の円周は、16.9mmから17.0mmの間であってもよい。
喫煙品の円周は、20.5mmと21.5mmの間であってもよい。
喫煙品の長さは、80mmから120mmの間であってもよい。
喫煙品の長さは、82mmから84mmの間であってもよい。
内方ラッパーの通気度は、40CU以下であってもよい。
内方ラッパーの通気度は、25CU以下であってもよい。
内方ラッパーの通気度は、15CU以下であってもよい。
内方ラッパーの通気度は、10CU以下であってもよい。
外方ラッパーの通気度は、25から100CUの間であってもよい。
外方ラッパーの通気度は、70から100CUの間であってもよい。
内方ラッパーは、再生タバコシートなどの再生タバコ材であってもよい。
外方ラッパーは、低副流煙シガレットペーパーであってもよい。
喫煙品は、フィルターと、喫煙材ロッドと、フィルターと喫煙材ロッドを軸方向に接合するためにこれらの一部を覆うチッピング紙とを含む紙巻きタバコであってもよい。
複数の例えば40本の紙巻きタバコについて実施されるASTM E2187−04によるLIPテストにおいて、少なくとも75%の紙巻きタバコが、ロッドの燃えた端部がチッピング紙に到達する前に自己消火する。
本発明は、再生タバコ材を含む内方ラッパーを喫煙材ロッドに巻くことおよび喫煙材ロッドと内方ラッパーに外方ラッパーを巻くことを含む低延焼性喫煙品を形成する方法を提供する。
あくまで例示を目的として、本発明のいくつかの実施態様を添付図面を参照して以下に説明する。
低延焼性(LIP)喫煙品1の一例を図1に示す。
図1に示す喫煙品1は、フィルター2およびタバコなどの喫煙材のロッド3を有するLIP紙巻きタバコ1である。しかしながら喫煙品1は、上述したものの1つなどの別の種類の喫煙品であってもよい。
フィルター2およびロッド3は、これらの一部を覆うチッピング紙4のシートによって軸方向に接合され、このチッピングシートは、これら2つを固定するための従来の方法でロッド3とフィルター2の外面の周囲に固定される。図1の点線は、チッピング紙4によって部分的に覆われるフィルター2とロッド3の当接単部面の位置を表している。
複数の例えば40本の喫煙品1をASTM E2187−04に従って試験した場合、これら複数の喫煙品1の75%以上が、喫煙材ロッド3の燃焼端部がチッピング紙4に到達する前に自己消火する。従って25%以下のこれら複数の喫煙品は、喫煙材ロッドを全長に亘って燃焼させる。
フィルター2は、従来の構造を有する実質的に円筒状の形状であってもよい。例えば、セルロースアセテートトウを含むフィルター材からなる実質的に円筒状のプラグをその円周面にプラグラッパーシートで包んでもよい。あらゆる種類のフィルター2を使用することができ、例えばカーボンおよび/またはフィルター2の中を通る気体流を風味付けするための1つ以上の風味材料を含むより複雑なフィルター2であってもよい。フィルター2は、レーザーまたは静電気による穿孔技術を使用して形成された換気溝で換気してもよい。換気溝によって換気率全体の20%から80%、好ましくは50%から70%の間を占めてもよい。
ロッド3は、フィルター2の外径に実質的に等しい外径を有する実質的に円筒形状であってもよい。図2を参照するとロッド3は、第1ラッパー8および第2ラッパー9に包まれた充填されたタバコ材7からなる実質的に円筒状のコアを含む。タバコ材7は、刻まれたタバコのブレンドを含んでもよく、また再生タバコ材を含んでもよい。後述する例において第1ラッパー8は、第2ラッパー9の内方に位置し、よって第2ラッパーよりタバコ材7のコアに近くに位置する。従って第1ラッパー8を本明細書において内方ラッパー8と称する。第2ラッパー9は、第1ラッパー8の外方に位置し、よって外方ラッパー9と称する。外方ラッパー9は、ロッド3の外面を形成し、内方ラッパー8は、タバコ材7のコアの外面と外方ラッパー9の内面の間に位置する。
内方ラッパー8は、再生タバコ材を含むシート状の包装材であり、喫煙品に所望の異なる風味および知覚特性を供するように構成されてもよい。例えば、内方ラッパー8は、再生タバコシートを含んでもよく、あるいは再生タバコシートで構成されてもよく、再生タバコシートは、1種類以上の再生タバコ材を含んでもよく、あるいは1種類以上の再生タバコ材で構成されてもよい。再生タバコシートは、紙巻きタバコの喫煙者にタバコの味および風味を良好に送ることができるように選択された様々な範囲の異なるタバコ種を含むことができる。例えば、再生タバコ材は、日光で乾燥させたタバコ、暗所で空気乾燥させたタバコ、火力乾燥させたタバコまたはあらゆる好適なタバコ種の1つ以上を含んでもよい。内方ラッパー8の通気度は、5コレスタ(CU)から50コレスタの間の範囲にあればよく、好ましくは17コレスタから38コレスタの間である。内方ラッパー8一層の厚さは、約85ミクロンから約121ミクロンの間の範囲のあらゆる値であればよい。内方ラッパー8の乾式坪量は、約35g/m2から約45g/m2の間のあらゆる値であってもよい。内方ラッパー8の拡散性は、約0.8cm/秒から約2.8cm/秒の間のあらゆる値であってもよい。
使用可能な3つの特定の内方ラッパー8の例を下記表1に示す。表1に示した内方ラッパー8は、全て再生タバコ材のシートである。
図2に示すように内方ラッパー8は、タバコ材7のコアの円周面の周囲を延びている。例えば図2および3を参照すると内方ラッパー8は、コア7の周りおよびロッド3の軸方向の長さに沿って完全に延びていてもよい。内方ラッパー8は、これによってコア7の円周面全体を実質的に覆うようにしてもよい。これとは別に内方ラッパー8は、コア7の円周を部分的におよび/またはロッド3の長さに沿って部分的に延びてもよい。従って内方ラッパー8は、外方ラッパー9の全長に亘ってその下に位置するパッチを含んでもよい。コア7の端面は、開口して、その遠位端およびフィルター端部それぞれで気体流がロッド3に出入りするようになっている。
外方ラッパー9もシート状の包装材であり、例えばシガレットペーパーまたは低副流煙(LSS)シガレットペーパーを含むまたはシガレットペーパーまたは低副流煙(LSS)シガレットペーパーで構成される。これとは別に外方ラッパー9は、複数の種類のシガレットペーパーおよび/またはLSSシガレットペーパーを含むまたは複数の種類のシガレットペーパーおよび/またはLSSシガレットペーパーで構成してもよい。
外方ラッパー9の乾式坪量は、約28g/m2から約40g/m2の間のあらゆる値であってもよく、繊維が約16.0g/m2から約32.0 g/m2の間であればよく、クエン酸カリウムが約0.3g/m2から約2.0g/m2の間であればよく、酸化マグネシウムが0g/m2から約2g/m2の間であればよく、炭酸カルシウムが約4g/m2から約11g/m2の間であればよい。これ以外の範囲であってもよい。外方ラッパー9の総充填量は、約6g/m2から10g/m2の間のあらゆる値であってもよく、重量換算での総充填率は、約15%から40%の間であればよい。これ以外の範囲であってもよい。
外方ラッパーの通気度9は、約25コレスタから約100コレスタの間のあらゆる値であってもよい。この範囲内でシガレットペーパーの通気度は、約25コレスタであり、LSSシガレットペーパーの通気度は、約70コレスタから約100コレスタの間であってもよい。外方ラッパー9の拡散性は、約0.30cm/秒から約0.50cm/秒の間のあらゆる値であってもよい。
3つの特定の外方ラッパー9の例を下記表2に示す。例1はシガレットペーパーであり、LSS1およびLSS2は、低副流煙シガレットペーパーである。LSS1は、電気穿孔法(EP)によって換気されており、70コレスタ単位の通気度を有する。LSS2もまた電気穿孔法によって換気されており、100コレスタ単位の通気度を有する。
外方ラッパー9は、内方ラッパー8の外周面の周りを延びてもよい。例えば図1から3に示すように外方ラッパー9は、内方ラッパー8の外周およびロッド3の軸方向長さに沿って完全に延びていてもよく、これにより実質的に内方ラッパー8の外周面全体を覆うことになる。このようにして外方ラッパー9は、内方ラッパー8とタバコ材7のコアの両方を包むことになる。ロッド3の端面は、開口したままでロッド3内を軸方向に気体流が流れるようにしてもよい。図1から3に示す例では外方ラッパー9の外面は、ロッド3の外面を形成し、これにチッピング紙4がフィルター端部で接着される。
寸法については紙巻きタバコ1は、約16.96mmの外周と約83mmの全長(喫煙前)を有する。ロッド3の長さ(喫煙前)は、約56mmで、フィルター2の長さは、約27mmである。当然のことながらこれらの寸法は、変更可能である。例えば、紙巻きタバコ1の外周は、15mmから22mmの間のあらゆる値であってもよく、紙巻きタバコ1の全長は、80mmから120mmの間のあらゆる値であってもよい。外周は、例えば約21mmであってもよい。紙巻きタバコ1の全長は、ロッド3とフィルター2のいずれかまたは両方の長さを長くしたり、短くしたりして変えることができる。
紙巻きタバコ1は、ロッド3の燃焼速度を制限するために設計された燃焼抑制剤のバンドを有する特別に開発されたLIPシガレットペーパーを含まない。従って紙巻きタバコ1の製造は、特別に開発されたバンド付きLIPシガレットペーパーを予め製造する必要がなく、よってシガレットペーパーに燃焼抑制剤を塗布するのに必要となる特別仕様の装置を必要としない。
40本の紙巻きタバコ1のサンプルについて実施される延焼性試験は、25%を大幅に下回る数の紙巻きタバコ1がASTM E2187−04に従って試験した際にチッピング紙4まで燃焼したことを示している。例えば下記表3は、本発明による6本の異なる サンプル紙巻きタバコ1(サンプル1−6)の延焼性を示している。各サンプル紙巻きタバコ(1−6)について、40本の紙巻きタバコをASTM2187−04に従って試験した。表3の一番右の欄は、喫煙材ロッド3の燃焼端がチッピング紙4に到達する前に自己消火しない紙巻きタバコの割合を示している。
従って紙巻きタバコ1は、特別に開発されたLIPペーパーを含む紙巻きタバコと同等のLIP特性を有するが、このようなLIPペーパーの製造を必要とすることなく製造することができる。
紙巻きタバコ1は、1枚の紙で巻かれた紙巻きタバコと較べて比較的パフ数が多い。例えばISO標準下で喫煙した場合、対照の外方ラッパー#1(上記表2参照)一枚で巻かれた紙巻きタバコの平均パフ数が約6.5であるのに対し、紙巻きタバコ1の平均パフ数は約7.5である。
紙巻きタバコ1の内方ラッパー8と外方ラッパー9を組み合わせたものの拡散性は、燃焼抑制剤のバンドを有する特別に開発されたLIPシガレットペーパーの拡散性と同等である。内方ラッパー8と外方ラッパー9を組み合わせたものの拡散値は、0.080cm/sから0.095cm/sの間のあらゆる値であってもよい。
紙巻きタバコ1は、市販されている材料で製造された対照紙巻きタバコと比較して副流煙の量が少ない。
例えば下記表4は、表3に示した6つの紙巻きタバコ1(サンプル1−6)を例にした際の副流煙の要素を示している。また表4には一枚の紙で巻かれた2つの対照紙巻きタバコの副流煙の要素を示している。表4の全ての紙巻きタバコのタバコ密度は、水分量13.5%で263g/cm3である。タバコロッド3に使用したタバコブレンドは、対照#1以外の全ての紙巻きタバコで同じものである。
表4から明らかなように副流煙中のニコチンを除いた乾燥粒状物(NFDPM)およびニコチンは、対照紙巻きタバコに較べて著しく減少している。
本発明による紙巻きタバコ1から発生する目に見える副流煙もまた市販の材料で製造された対照紙巻きタバコに較べて減少している。例えば紙巻きタバコ1の可視副流煙の発生量は、外方ラッパー#1(上記表2参照)だけで包まれている対照紙巻きタバコより約40%から60%少ない。可視副流煙の量は、外方ラッパー9がLSSシガレットペーパーを含む場合に一番少ない。上述のLSSペーパーのいずれも使用することができる。
可視副流煙の減少率は、燃えている対照紙巻きタバコの写真を対応する燃えている本発明による紙巻きタバコ1の写真と比較し、副流煙を表すこれら2枚の写真の画素数の差をカウントすることによって算出される。
表5は、紙巻きタバコ1の3つの例(サンプル4−6)からの可視副流煙について、対照である一枚のラッパーで巻かれた紙巻きタバコ(対照2)からの可視副流煙と共に示している。副流煙の減少率は、上述の写真を利用した方法を用いて計算され、ロッド3の同じ割合で燃えた長さにおいて測定する。ロッド3に使用されているフィルター、タバコ密度およびタバコブレンドは、表5に示したすべての紙巻きタバコにおいて同じである。タバコ密度は、水分量13.5%で263g/cm3である。
紙巻きタバコ1の製造方法の一例をここで大まかに説明する。フィルター2から始めるが、当業界で知られているように、実質的に連続して流れるセルロースアセテートトウを漏斗に供給して、セルロースアセテート材からなる通常円筒状の胴体を設けて、フィルター材からなるプラグを形成することができる。セルロースアセテート材は、プラグラッパーリールからのプラグラッパーをフィルター材に貼付するガーニチャーを通過する。このようにしてラッパーで巻かれたフィルター材は、次にフィルター2の作製に使用するために個別のセグメントに切断される。切断する長さは、必要に応じて直列に並んだ2本分の紙巻きタバコ1または個別の紙巻きタバコ1を作製するのに好適な長さであればよい。また複数の紙巻きタバコ2で使用するための長さにフィルター材を最初に切断し、次に直列に並んだまたは個別の紙巻きタバコ1の製造の使用に適した長さに切断する多段階工程として切断を行ってもよい。
紙巻きタバコ1の組み立ては、チッピングユニットが装着された好適なロッド製造機を使用して行うことができる。内方ラッパー8および外方ラッパー9は、それぞれ長さ約2500mおよび幅16.2mmのボビンとして供給される。所望の紙巻きタバコの円周によって、幅を15.8mm、18.5mm、20.0mmまたは23mmにすることも可能である。ラッパー8、9は、ロッド製造機の隣に位置するボビンキャリアーから引っ張られ、同時に紙巻きタバコの組み立てのために一連のローラーおよびペーパーガイドによってガーニチャーへと案内される。内方ラッパーボビンからの内方ラッパー8は、カラム状の喫煙材に巻かれ、同時に外方ラッパーボビンからの外方ラッパー9で巻かれる。内方ラッパー8と外方ラッパー9の相対位置は、各ラッパー8、9の重なり合う継ぎ目の大きさを調整するためにロッド製造機において調節することができる。
またこれとは別に紙巻きタバコ1の組み立ては、内方ラッパー8をパッチに切断することおよび糊付け工程においてパッチ8を外方ラッパー9の内面に貼り付けることを含んでもよい。外方ラッパー9とパッチ8を組み合わせたものを喫煙材カラムに巻くためにガーニチャーに供給することができる。
上述の方法の変形例は、本発明の効果達成するために単独または組み合わせて使用することができる。当然のことながら紙巻きタバコ1は、これとは別にシガーまたはシガリロなどの別の種類の喫煙品であってもよい。