JP2014239664A - ポリイソプレノイド増産方法、およびそのための増産剤、かかる方法で製造されたポリイソプレノイド - Google Patents

ポリイソプレノイド増産方法、およびそのための増産剤、かかる方法で製造されたポリイソプレノイド Download PDF

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結香 横山
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Yukino INOUE
ゆき乃 井之上
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Abstract

【課題】ポリイソプレノイドの製造効率を改善する方法を提供する。【解決手段】防腐剤、抗生物質、副腎皮質ホルモン、ステロイド系抗炎症剤、抗コレステロール剤、及び高血圧薬から選択される1種類以上の増産剤の存在条件下でイソプレノイド産生細胞を培養する工程を含む、ポリイソプレノイドの製造方法に関する。また、呼吸鎖関連酵素の機能の阻害、カリウムチャネル開口、及び電子伝達阻害から選択される活性を有する1種類以上の増産剤の存在条件下でイソプレノイド産生細胞を培養する工程を含む、ポリイソプレノイドの製造方法に関する。また、ミトコンドリアの呼吸鎖複合体を阻害する1種類以上の増産剤の存在条件下でイソプレノイド産生細胞を培養する工程を含む、ポリイソプレノイドの製造方法に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイソプレノイドの製造方法の技術分野に属する。
天然ゴムは、トウダイグサ科のパラゴムノキ(Hevea brasiliensis)などのゴム産生植物を栽培し、その植物体が有する乳管細胞で生合成された天然ゴム(イソプレノイド)を、植物から採取することにより得られる。しかしながら、パラゴムノキは、植樹からゴムの採取が可能な成木になるまでに7年程度を要し、また、天然ゴム(イソプレノイド)を採取できる期間は20〜30年に限られている。
ゴム産生植物によるイソプレノイド製造の効率を向上させるために、例えば、ゴム産生植物の幹にエチレンやethephon(2−クロロエチルホスホン酸)を塗布し、乳管から流出してくるラテックスが傷口で凝固することを防ぎ、ラテックスの採取効率を向上させる方法が知られている。また、ジャスモン酸やその前駆体であるリノレン酸等を配合したラノリンをゴム産生植物の幹に塗布することにより、乳管分化を促進し、乳管密度を増大する方法が知られている(非特許文献1)。しかしながら、これらの方法はポリイソプレノイド生成のメカニズムに直接的に作用するものではなく、増産効果は限定的であった。
一方、ゴム産生植物から得られるイソプレノイド以外に、遺伝子組換微生物により製造されるイソプレノイドを利用する方法が知られている。しかしながら、収量、力価、及び純度の点で、商業プロセスの要求を充分に満たすものとはいえない。
Hao 他、Annals of Botany、2000年、第85巻、37〜43ページ
本発明は、前述の問題を解決し、ポリイソプレノイドの製造効率を改善することを目的とする。
本発明者らは、防腐剤、抗生物質、副腎皮質ホルモン、ステロイド系抗炎症剤、抗コレステロール剤、及び高血圧薬から選択される1種類以上の増産剤の存在条件下でイソプレノイド産生細胞を培養することにより、イソプレノイドの製造効率を改善できること、呼吸鎖関連酵素の機能の阻害、カリウムチャネル開口、及び電子伝達阻害から選択される活性を有する1種類以上の増産剤の存在条件下でイソプレノイド産生細胞を培養することにより、イソプレノイドの製造効率を改善できること、及び、ミトコンドリアの呼吸鎖複合体を阻害する1種類以上の増産剤の存在条件下でイソプレノイド産生細胞を培養することにより、イソプレノイドの製造効率を改善できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、防腐剤、抗生物質、副腎皮質ホルモン、ステロイド系抗炎症剤、抗コレステロール剤、及び高血圧薬から選択される1種類以上の増産剤の存在条件下でイソプレノイド産生細胞を培養する工程を含む、ポリイソプレノイドの製造方法に関する。
また、本発明は、呼吸鎖関連酵素の機能の阻害、カリウムチャネル開口、及び電子伝達阻害から選択される活性を有する1種類以上の増産剤の存在条件下でイソプレノイド産生細胞を培養する工程を含む、ポリイソプレノイドの製造方法に関する。
また、本発明は、ミトコンドリアの呼吸鎖複合体を阻害する1種類以上の増産剤の存在条件下でイソプレノイド産生細胞を培養する工程を含む、ポリイソプレノイドの製造方法に関する。
増産剤が、水又は水溶性媒体に溶解又は分散させたものであることが好ましい。
イソプレノイド産生細胞が真核生物の細胞であることが好ましい。
真核生物が、ノゲシ、パラゴムノキ(Hevea brasiliensis)、グアユール、及びロシアンタンポポから選択されることが好ましい。
真核生物が、酵母であることが好ましい。
イソプレノイド産生細胞が細菌の細胞であることが好ましい。
細菌が遺伝子組換大腸菌であることが好ましい。
本発明の方法により、イソプレノイドの製造効率を向上させることができる。
本発明は、防腐剤、抗生物質、副腎皮質ホルモン、ステロイド系抗炎症剤、抗コレステロール剤、及び高血圧薬から選択される1種類以上の増産剤の存在条件下でイソプレノイド産生細胞を培養する工程を含む、ポリイソプレノイドの製造方法に関する。また、本発明は、呼吸鎖関連酵素の機能の阻害、カリウムチャネル開口、及び電子伝達阻害から選択される活性を有する1種類以上の増産剤の存在条件下でイソプレノイド産生細胞を培養する工程を含む、ポリイソプレノイドの製造方法に関する。また、本発明は、ミトコンドリアの呼吸鎖複合体を阻害する1種類以上の増産剤の存在条件下でイソプレノイド産生細胞を培養する工程を含む、ポリイソプレノイドの製造方法に関する。
電子伝達複合体に対する阻害剤の存在条件下でイソプレノイド産生細胞を培養してイソプレノイドの製造効率を高められる理由は必ずしも明らかではないが、これらの阻害剤がいずれもイソプレノイド以後の電子伝達を阻害するので、呼吸鎖に分岐が発生し、この結果、分岐点以前の成分が増量したと考えられる。
ポリイソプレノイドは、イソプレン単位(C)で構成された重合体の総称である。ポリイソプレノイドとしては、例えばモノテルペン(C10)、セスキテルペン(C15)、ジテルペン(C20)、セスタテルペン(C25)、トリテルペン(C30)、テトラテルペン(C40)、天然ゴムなどの重合体が挙げられる。
イソプレノイド産生細胞は、培養してイソプレノイドを製造できる生物の細胞であれば特に限定されず、例えば真核細胞、細菌、古細菌などが挙げられる。真核細胞としては、酵母の細胞や、植物の細胞、動物の細胞などが挙げられる。
酵母としては、培養してイソプレノイドを製造できる酵母であれば特に限定されず、例えば、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)等のサッカロマイセス属、分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)等のシゾサッカロマイセス属が挙げられる。出芽酵母の具体例として、Saccharomyces cerevisiae NBRC 0262や、Saccharomyces cerevisiae NBRC 0565が挙げられる。なかでも、サッカロマイセス属が好ましい。
植物は、培養してイソプレノイドを製造できる植物であれば特に限定されず、例えば、パラゴムノキ(Hevea brasiliensis)等のHevea属;ノゲシ(Sonchus oleraceus)、オニノゲシ(Sonchus asper)、ハチジョウナ(Sonchus brachyotus)等のSonchus属;セイタカアワダチソウ(Solidago altissima)、アキノキリンソウ(Solidago virgaurea subsp. asiatica)、ミヤマアキノキリンソウ(Solidago virgaurea subsp. leipcarpa)、キリガミネアキノキリンソウ(Solidago virgaurea subsp. leipcarpa f. paludosa)、オオアキノキリンソウ(Solidago virgaurea subsp. gigantea)、オオアワダチソウ(Solidago gigantea Ait. var. leiophylla Fernald)等のSolidago属;ヒマワリ(Helianthus annuus)、シロタエヒマワリ(Helianthus argophyllus)、ヘリアンサス・アトロルベンス(Helianthus atrorubens)、ヒメヒマワリ(Helianthus debilis)、コヒマワリ(Helianthus decapetalus)、ジャイアントサンフラワー(Helianthus giganteus)等のHelianthus属;タンポポ(Taraxacum)、エゾタンポポ(Taraxacum venustum H.Koidz)、シナノタンポポ(Taraxacum hondoense Nakai)、カントウタンポポ(Taraxacum platycarpum Dahlst)、カンサイタンポポ(Taraxacum japonicum Koidz.)、セイヨウタンポポ(Taraxacum officinale Weber)、ロシアンタンポポ(Taraxacum koksaghyz)等のTaraxacum属;イチジク(Ficus carica)、インドゴムノキ(Ficus elastica)、オオイタビ(Ficus pumila L.)、イヌビワ(Ficus erecta Thumb.)、ホソバムクイヌビワ(Ficus ampelas Burm.f.)、コウトウイヌビワ(Ficus benguetensis Merr.)、ムクイヌビワ(Ficus irisana Elm.)、ガジュマル(Ficus microcarpa L.f.)、オオバイヌビワ(Ficus septica Burm.f.)、ベンガルボダイジュ(Ficus benghalensis)等のFicus属;グアユール(Parhenium argentatum)、レタス(Lactuca serriola)、ベンガルボダイジュ等が挙げられる。なかでも、Hevea属、Sonchus属、Solidago属、Helianthus属、Taraxacum属、Ficus属からなる群より選択される少なくとも1種の属に属する植物であることが好ましく、パラゴムノキ、ノゲシ、セイタカアワダチソウ、ヒマワリ、タンポポ、グアユール、ロシアンタンポポ、及びイチジクからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、パラゴムノキ、ノゲシ、グアユール、及びロシアンタンポポからなる群より選択される少なくとも1種であることが更に好ましく、パラゴムノキ、ノゲシが更により好ましい。また、培養される細胞は、植物の組織に由来するカルスであってもよい。
細菌は、培養してイソプレノイドを製造できる細菌であれば特に限定されず、例えば、エシェリキア属、枯草菌、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ヘルベティカス、緑膿菌、シュードモナス・メバロニ、シュードモナス・プディカ、ロドバクター・スフェロイデス、ロドバクター・カプスラータ、ロドスピリルム・ルブルム等が挙げられる。エシェリキア属に属する細菌の具体例として大腸菌が挙げられる。
また、細胞は形質転換体であってもよい。形質転換体は、宿主となる細胞に、外来遺伝子を導入して得られる。
外来遺伝子としては、特に限定されないが、イソプレノイドの製造効率をより改善できるという理由から、イソプレノイド産生に関与する外来遺伝子が好ましい。イソプレノイド産生に関与する外来遺伝子としては、ファルネシル二リン酸合成酵素、ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素等のトランス−イソプレニル二リン酸合成酵素及び/又はネリル二リン酸合成酵素、ウンデカプレニルリン酸合成酵素等のシス−イソプレニル二リン酸合成酵素などの直鎖プレニル二リン酸合成酵素が挙げられる。
宿主細胞としては、真核細胞、細菌が挙げられる。細菌の中でも、遺伝子組換大腸菌は安価であり、遺伝子組換え操作や培養による増殖が容易であることから特に好ましい。真核細胞としては、酵母の細胞や、植物の細胞、動物の細胞が挙げられる。
増産剤は、防腐剤、抗生物質、副腎皮質ホルモン、ステロイド系抗炎症剤、抗コレステロール剤、及び高血圧薬、或いは/及び、呼吸鎖関連酵素の機能の阻害、カリウムチャネル開口、及び電子伝達阻害、から選択される活性を有する物質、或いは/及び、ミトコンドリアの呼吸鎖複合体を阻害する物質から選択される。イソプレノイドはメバロン酸経路と非メバロン酸経路の2種の経路により合成されることが一般に良く知られている。これらの経路は、ミトコンドリアにある呼吸鎖複合体の調節により制御を受けるという理由で、増産剤としては、呼吸鎖関連酵素の機能の阻害、カリウムチャネル開口、又は電子伝達阻害から選択される1つ以上の活性を有することがより好ましい。
防腐剤とは、微生物の進入や増殖を防ぎ、腐敗や発酵を抑制する物質のことをいう。防腐剤の具体例としては、アジ化ナトリウム、安息香酸、パラオキシ安息香酸エステルなどが挙げられる。この中でも呼吸鎖関連酵素の機能阻害を起こす理由で、アジ化合物が好ましく、アジ化ナトリウムがより好ましい。
抗生物質とは、微生物が産生し、ほかの微生物の増殖を抑制する物質のことをいう。抗生物質の具体例としては、アンチマイシン、アンホテリシン、フォスミドマイシンが挙げられる。この中でも、呼吸鎖複合体阻害剤であるという理由でアンチマイシンが好ましい。アンチマイシンとしては、アンチマイシンAが好ましく、アンチマイシンAのタイプはA1であってもよく、A3であってもよい。
副腎皮質ホルモン、或いは/及びステロイド系抗炎症剤は、メバロン酸経路におけるHMG−CoA還元酵素のはたらきを阻害するという理由で増産剤として好ましい。副腎皮質ホルモン、或いは/及びステロイド系抗炎症剤としては、ハイドロコルチゾン、グルココルチコイド、フルドロコチゾン、プロドニゾロン、デキサメタゾン等が挙げられる。
抗コレステロール剤とは、血中のコレステロールを低下させる薬剤として使用される総称であり、スタチン系薬剤、例えばロバスタチン、メバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチンが挙げられる。またスタチン系薬剤は、メバロン酸からコレステロールを作る上流にあたるHMG−CoAからメバロン酸に変化させるHMG−CoA還元酵素を阻害することが知られている。
高血圧薬としては、ロテニン等が挙げられる。
増産剤として、防腐剤、抗生物質、副腎皮質ホルモン、ステロイド系抗炎症剤、抗コレステロール剤、及び高血圧薬のなかでは、防腐剤が好ましい。
上記の増産剤に加えて、抗真菌剤としてロダニン−3−酢酸、呼吸鎖複合体IおよびIII阻害剤としてアラキドン酸、呼吸鎖IV阻害剤としてシアン酸塩、起炎物質としてカプサイシン、呼吸鎖複合体I阻害剤としてアミタール、電子伝達阻害剤として硫化ナトリウム、呼吸鎖複合体III阻害剤としてn−ヘプチルヒドロキシキノリン−N−オキシド、電子伝達阻害剤として2,3−ジメルカプトプロパノールが挙げられる。これらは、単独で用いても、2つ以上を併用しても構わない。
本発明では、増産剤の存在条件下でイソプレノイド産生細胞を培養する。増産剤の存在条件下で細胞を培養する方法としては、イソプレノイドの製造効率を向上できる方法であれば特に限定されないが、例えば、細胞に増産剤を付着させ該細胞を培養する方法、増産剤を含む培養液で細胞を培養する方法等が挙げられる。
イソプレノイド産生細胞としてパラゴムノキ等の木本類の細胞(特に、木本類の植物個体)を使用する場合、細胞に増産剤を付着させ該細胞を培養する方法を採用することが好ましい。イソプレノイド産生細胞としてノゲシ等の草本類や酵母、細菌、古細菌等の細胞を使用する場合、増産剤を含む培養液で細胞を培養する方法を採用することが好ましい。
増産剤は、水又は水溶性媒体に溶解又は分散させて使用されることが好ましい。水又は水溶性媒体に溶解又は分散させることにより、増産剤を細胞に対して効果的に作用させることができる。具体的には、増産剤は、少量の水溶性媒体に溶かし、さらに水で希釈してから使用されることが好ましい。増産剤を溶解又は分散させるための水溶性媒体としては、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
まず、以下において、増産剤を含む培養液を用いて細胞を培養する方法について説明する。増産剤を含む培養液を用いて細胞を培養することにより、イソプレノイドの製造効率を向上させることができる。
培養条件は、細胞がイソプレノイドを製造できる条件であれば特に限定されない。細胞を培養する際に使用される培地としては、細胞の培養に通常使用される培地であればよい。具体的には、細菌の場合にはKB培地、LB培地が挙げられる。酵母の場合には、YM培地、KY培地、F101培地、YPD培地、YPAD培地が挙げられる。植物の場合には、Whiteの培地、Hellerの培地、SH培地(SchenkとHildebrandtの培地)、MS培地(MurashigeとSkoogの培地)、LS培地(LinsmaierとSkoogの培地)、Gamborg培地、B5培地、MB培地、WP培地(Woody Plant:木本類用)等の基本培地が挙げられる。
水溶性媒体/(水溶性媒体+水)の希釈率は、1/100〜1/1000であることが好ましく、1/200〜1/800であることがより好ましく、1/350〜1/650であることがさらに好ましい。これより水の量が多いと、必要な増産剤の濃度が得られない傾向がある。他方、これより水の量が少ないと、水溶性媒体が、イソプレノイドを製造する細胞に対し悪影響を及ぼす可能性がある。
培養液中の増産剤の濃度は、イソプレノイドの製造効率を向上させる濃度であって、かつ、細胞の培養を阻害しない濃度であることが好ましい。
培養液中の増産剤の濃度は、イソプレノイドの合成効率を向上させると共に、不必要に高濃度としてコストを増大させてしまうことを防ぐために、0.1〜100μMであることが好ましく、1〜80μMであることがより好ましく、2〜50μMであることが最も好ましい。
なお、イソプレノイド産生細胞として植物の細胞を使用する場合、細胞の培養工程では、増産剤と共に、1種類以上の植物生長ホルモンを用いることが好ましい。植物生長ホルモンとしては、オーキシン系植物ホルモン、サイトカイニン系植物ホルモンが挙げられる。
オーキシン系植物ホルモンとしては、例えば、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、ナフタレン酢酸、インドール酪酸、インドール酢酸、インドールプロピオン酸、クロロフェノキシ酢酸、ナフトキシ酢酸、フェニル酢酸、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸、パラクロロフェノキシ酢酸、2−メチル−4−クロロフェノキシ酢酸、4−フルオロフェノキシ酢酸、2−メトキシ−3,6−ジクロロ安息香酸、2−フェニル酸、ピクロラム、ピコリンが挙げられる。
サイトカイニン系植物ホルモンとしては、例えば、ベンジルアデニン、カイネチン、ゼアチン、ベンジルアミノプリン、イソペンチニルアミノプリン、チジアズロン、イソペンテニルアデニン、ゼアチンリポシド、ジヒドロゼアチンが挙げられる。
炭素源としては、イソプレノイド産生細胞が資化し生育できる炭素化合物であればいずれでも使用可能である。このような炭素源として、例えば、糖類及び/又は油脂類等が挙げられる。
糖類としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、多糖類、例えばスクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、グルコース、アロース、タロース、グロース、アルトロース、マンノース、フルクトース、イドース、ガラクトース及びキシロース等或いは転化糖(例えば、酵素的に処理されたショ糖シロップ)等を用いることができる。
油脂類としては、例えば大豆油、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、パーム油、やし油、落花生湯、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油、またそれらを分解して生成したグリセロール、グリセリン、脂肪酸等を用いることができる。炭素源の添加量は、糖類や油脂類を合わせて、培地に対して5〜400g/Lであることが好ましく、20〜100g/Lであることがより好ましい。
窒素源としては、例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等の無機窒素源、酵母エキス、ペプトン、肉エキスなどの有機窒素源を使用することができる。これらの他に、必要に応じて、無機塩類、金属塩、ビタミンなどを添加することもできる。
培養温度は、細胞の種類によって異なるが、0〜50℃であることが好ましく、10〜40℃であることがより好ましく、20〜35℃であることが更に好ましい。pHは、pH3〜11であることが好ましく、4〜10であることがより好ましく、5〜9であることが更に好ましい。また、培養は、細胞の種類に応じて嫌気的条件下、或いは好気的条件下のいずれにおいても行うことができる。
細胞の培養は、バッチ式培養でも可能であり、また、バイオリアクターを用いた連続式培養でも可能である。具体的な培養方法として、振とう培養、回転培養などが挙げられる。イソプレノイドは、細胞内に蓄積させることができ、また、培養上清中に生成蓄積させることもできる。
培養後の細胞からイソプレノイドを取得する場合、遠心分離により細胞を回収した後、細胞を破砕し、破砕液から1−ブタノール等の溶剤を使用して抽出することができる。また、溶剤抽出法に、クロマトグラフィー等公知の精製方法を適宜併用することもできる。ここで、細胞の破砕は、イソプレノイドの変性・崩壊を防ぐために、例えば4℃等の低温で行うことが好ましい。細胞は、例えば、ガラスビーズを使用した物理的破砕等により破砕することができる。
培養上清からイソプレノイドを取得するには、遠心分離にて菌体を除去した後、得られた上清から、1−ブタノール等の溶剤にて抽出する。
次に、細胞に増産剤を付着させ該細胞を培養する方法について説明する。この方法は、植物細胞、特に、植物個体に対して好適に適用できる。例えば、パラゴムノキの成体に増産剤を付着させることにより、該パラゴムノキにおいて、イソプレノイドの製造量を増大できる。
植物に付着させる増産剤の濃度としては、0.1〜100μMであることが好ましく、1〜80μMであることがより好ましく、2〜50μMであることがさらに好ましい。この様に設定することで、ポリイソプレノイド合成効率を上げさせると共に、不必要に高濃度としてコストを増大させてしまうことを防ぐことができる。
また、植物に付着させる増産剤の植物あたりの量は、0.1〜100000μMであることが好ましく、1〜50000μMであることがより好ましく、10〜25000μMであることがさらに好ましい。
増産剤のイソプレノイド産生植物への付着工程の前に、イソプレノイド産生植物のコルク層を剥離し、剥離した部分に増産剤を付着させることが好ましい。イソプレノイド産生植物の表面は堅いコルク層で覆われているため、コルク層を剥離して、コルク層の内側にある組織に増産剤が到達しやすくすることにより、増産効果を高めることができる。
コルク層とは、イソプレノイド産生植物の外樹皮に位置し、乳管細胞および乳管細胞形成組織よりも外側に存在する層をいう。剥離される幹又は茎の一部分としては、該部分に増産剤を付着させることによりイソプレノイドの増産効果が得られる部分であれば特に限定されるものではないが、タッピングによりラテックスを回収する部分の近傍部分であることが好ましい。また、剥離する部分の厚さは、乳管細胞および乳管細胞形成組織を傷つけずにコルク層を剥離する厚さであれば、特に限定されるものではないが、例えば、0.1〜10mm、好ましくは0.5〜8mm、更に好ましくは、3〜6mmである。
コルク層を剥離する方法は、特に限定されるものではなく、樹皮等の剥離に通常用いられる方法を用いて行うことができる。例えば、ナイフ等を用いて幹又は茎の一部分に傷をつけてコルク層を剥離する方法が挙げられる。また、剥離を行う時期、剥離を行う部分の数は、イソプレノイドの増産効果が得られれば特に限定されるものではなく、ラテックス増産剤の有効成分の種類や濃度、付着方法、植物の樹齢や種類等を考慮して適宜決定することができる。
コルク層を剥離した後、植物への増産剤の付着時期は、コルク層を剥離した部分を介して増産剤が植物に作用できる時期であれば、特に限定されるものではないが、コルク層の剥離の後、5年以内であることが好ましく、1年以内であることがより好ましく、半年以内であることがさらに好ましく、1ヶ月以内であることが特に好ましい。コルク層の剥離の後、上記期間内に増産剤の付着を行えば、コルク層が再生する前に増産剤を作用させられるので、再生したコルク層により増産剤の組織への到達が妨げられるという事態を回避することができる。
増産剤の付着部位としては、イソプレノイド産生植物の幹、茎、根が挙げられる。このなかでも、イソプレノイドを産生する乳管組織が多いという理由で、茎や幹に付着することが好ましい。付着方法は、イソプレノイド産生植物の幹、茎、根に直接付着させることができる方法であれば特に限定されないが、例えば、上述のように水又は水溶性媒体に溶解又は分散させたものを、刷毛等を用いて直接幹、茎、根に塗布してもよく、スプレーなどを用いて噴霧してもよい。
上記の増産剤と共に、植物生長ホルモンを併用することも可能である。植物生長ホルモンとしては、エチレン、ジャスモン酸又はその誘導体などが挙げられ、エチレンと、ジャスモン酸又はその誘導体を、併用することが好ましい。
エチレンに代えて、エチレン発生剤であるエテホン(Ethephon、2−クロロエチルホスホン酸)を使用することもできる。エテホンとしては、10%Ethrel溶液が挙げられる。
ジャスモン酸又はその誘導体は、下記一般式(I)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2014239664
(式中、Rは炭化水素基であり、Rは水素原子又は炭化水素基である)
上記一般式(I)におけるRおよびRの炭化水素基としては、飽和または不飽和の炭化水素基を表し、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を有してよいが、このうち炭素数2〜8のアルキル基が好ましい。
植物に付着させる植物生長ホルモンの濃度としては、例えば、有効成分としてプロヒドロジャスモンを用いた場合には、0.05%(w/v)以上であることが好ましく、0.05〜0.1%(w/v)であることがより好ましい。
植物生長ホルモンの、イソプレノイド産生植物への付着時期は、植物生長ホルモンが植物に作用できる時期であれば、特に限定されるものではない。
イソプレノイドは、イソプレノイド産生植物にナイフ等を用いて溝状に傷をつけて(タッピング)、切断された乳管からの流出物として回収することができる。
本発明の方法で製造されるポリイソプレノイドの重量平均分子量(Mw)は、1000以上であることが好ましく、10000以上であることがより好ましく、100000以上であることがさらに好ましく、200000以上であることが最も好ましい。1000未満では、ゴムとして利用しにくい傾向がある。上記重量平均分子量の上限は、特に限定されない。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)による測定値をもとに標準ポリスチレン換算等の値により求めることができる。
本発明の方法で製造されるポリイソプレノイドに含まれるイソプレンユニット中の1,4−シス構造の含有量は、10モル%以上であることが好ましく、30モル%以上であることがより好ましく、60モル%以上であることがさらに好ましく、90モル%以上であることがさらにより好ましい。1,4−シス構造の含有量の上限は特に限定されない。1,4−シス構造の含有量は、NMRにより測定することができる。
製造されたイソプレノイドの生成量は、薄層クロマトグラフィーによるヨウ素呈色法、及びGC/MS方法により測定することができる。
以下に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(調製例1)増産剤の調製
防腐剤であり、シトクロムcオキシダーゼの不活性化によりミトコンドリアの働きを阻害するアジ化ナトリウム10mgを水76.1mlに溶解し、2mMとした。更に、これを水で100倍〜1000倍に希釈した。
(実施例1〜3)増産剤の幹表面への塗布
樹齢10年目のパラゴムノキを、1つの増産剤につき15本選択し、ナイフを用いて、幹の一部分の、表面から5mmの厚さのコルク層を剥離した。その後、1ヶ月に1回剥離を繰り返し行った。コルク層の剥離を最初に行ってから2週間後に、調製例1で調製した3種類の濃度の増産剤を、15本のパラゴムノキに付着させた。付着は、幹表面に、0.1ml/cmの濃度で、1つの植物あたりの増産剤の付着量が100μmolとなるように、刷毛を用いて塗布により行った。その後、2週間に1回塗布を繰り返し行った。
各15本中の5本について、増産剤の塗布を最初に行ってから2日後に、タッピングを行い、ラテックスから回収されたゴム量を測定した。なお、タッピングは2日おきに3ヶ月間実施し、増産剤の塗布は、回収を行った3ヶ月間継続した。各パラゴムノキの3ヶ月間のゴム量の合計量を測定し、5本のパラゴムノキの平均値を、回収されたゴム量とした。
(比較例1)
増産剤の代わりに、アジ化ナトリウムを含まないエタノール20ccに水を加え、500倍に希釈して1Lとしたものを、コントロール増産剤として樹齢10年目のパラゴムノキ5本に塗布した以外は、実施例1〜3と同様の操作を行い、生産されたゴムの合計量を測定した。
(実施例4〜6)エチレン発生剤の、増産剤との併用
実施例1〜3と同様の方法でパラゴムノキに増産剤を塗布した。増産剤の塗布を最初に行ってから4週間後に、増産剤を塗布したパラゴムノキから5本を選択し、エチレン発生剤として、エテホン(10%Ethrel溶液)を付着させた。エテホンの付着は、タッピングされた組織に、0.01g/木となるよう塗布により行った。その後、30日に1回、塗布を繰り返し行った。
パラゴムノキ5本について、増産剤の塗布を最初に行ってから2日後に、タッピングを行い、ラテックスから回収されたゴム量を測定した。なお、タッピングは2日おきに3ヶ月間実施し、上記増産剤の塗布は、回収を行った3ヶ月間継続した。各パラゴムノキの3ヶ月間のゴム量の合計量を測定し、5本のパラゴムノキの平均値を、回収されたゴム量とした。
(比較例2)
増産剤の代わりに、アジ化ナトリウムを含まないエタノール20ccに水を加えて500倍に希釈して1Lとしたものを、コントロール増産剤として樹齢10年目のパラゴムノキ5本に塗布した以外は、実施例4〜6と同様の操作を行い、生産されたゴムの合計量を測定した。
(調製例2)ジャスモン酸類溶液の調製
プロヒドロジャスモンを有効成分とするジャスモン酸類溶液を調製した。具体的には、ジャスモメート液剤(明治製菓株式会社製)を、1%のカルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose。以下、「CMC」という)の溶液を用いて希釈し、50倍希釈溶液(0.1%プロヒドロジャスモン溶液)を調製した。なお、ジャスモメート液剤の組成は、以下の通りである;5%プロヒドロジャスモン、33%1−プロパノール、30%界面活性剤、及び32%水。
(実施例7〜9)ジャスモン酸類溶液及びエチレン発生剤の、増産剤との併用
増産剤と同時に、上記ジャスモン酸類溶液を0.1ml/cmとなるように併せて塗布した以外は、実施例4〜6と同様の方法で、増産剤の塗布、及びエテホンの付着を行った。
各5本について、増産剤の塗布を最初に行ってから2日後に、タッピングを行い、ラテックスから回収されたゴム量を測定した。なお、タッピングは2日おきに3ヶ月間実施し、上記増産剤の塗布は、回収を行った3ヶ月間継続した。各パラゴムノキの3ヶ月間のゴム量の合計量を測定し、5本のパラゴムノキの平均値を、回収されたゴム量とした。
(比較例3)
増産剤を塗布しない以外は、実施例7〜9と同様の方法で、ジャスモン酸類溶液を塗布し、エテホンの付着を行い、生産されたゴムの合計量を測定した。
実施例1〜9及び比較例1〜3で得られたゴムの重量平均分子量(Mw、ポリスチレン換算)を、下記(1)〜(7)の条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定した。
(1)装置:東ソー社製HLC−8020
(2)分離カラム:東ソー社製GMH−XL
(3)測定温度:40℃
(4)キャリア:テトラヒドロフラン
(5)流量:0.6mL/分
(6)検出器:示差屈折、UV(215nm)
(7)分子量標準:標準ポリスチレン
実施例1〜9及び比較例2〜3で得られたゴムの合計量を、比較例1で得られた合計量を100とした指数に換算した。その結果を表1に示す。
Figure 2014239664
表1の結果より、ポリイソプレノイド増産剤により、効率的にポリイソプレノイドを増産できることが確認できた。また、ほぼ同様の分子量のポリイソプレノイドを得られることが確認できた。
(実施例10〜12)ファルネシル二リン酸の製造
YM培地(Difco社製)10Lを2L三角フラスコ10個に小分けして、121℃、1.2気圧で20分間オートクレーブ滅菌を行った。この培地に、上記増産剤10ml、5%グルコース、及び1%大豆油を無菌的に添加した。培地中の増産剤の最終濃度は、それぞれ2μM(実施例10)、5μM(実施例11)、及び10μM(実施例12)となるようにした。独立行政法人製品評価技術基盤機構より分譲購入したSaccharomyces cerevisiae(NBRC0262)を植菌した。30℃、130rpmの回転培養で72時間培養した。
培養終了後、培養液中の菌体をプラスチックチューブに移し、ガラスビーズ(シグマ社製)を加え、安井器械社製マルチビーズショッカーを使用し、4℃で冷却破砕した。菌体の破砕は、2500rpmで30秒間破砕し、30秒間停止する工程を20サイクル繰り返すことにより行った。
菌体の冷却破砕液を10000rpmで15分間遠心分離した。遠心分離後の上清に1−ブタノール250mLを数回に分けて加える事でファルネシル二リン酸を抽出し、エバポレーターを用いて濃縮を行った。ファルネシル二リン酸の生成量を、薄層クロマトグラフィーによるヨウ素呈色法、及びGC/MSにより測定した。
(比較例4)ファルネシル二リン酸の製造
アジ化ナトリウムを含まないエタノール20ccに水を加えて500倍に希釈し、1Lとしたものをコントロール増産剤として使用した以外は、実施例10〜12と同様の操作を行い、ファルネシル二リン酸の生成量を測定した。
実施例10〜12で得られたファルネシル二リン酸の収量を、比較例4の収量を100とした指数に換算した。その結果を表2に示す。
Figure 2014239664
表2の結果から、増産剤を使用することにより、従来技術と比較して効率的にポリイソプレノイドを製造できることが確認できた。
更に、上記実施例10〜12及び比較例4に記載の培地から、菌体を取り出し、その菌体における遺伝子の発現をRT−PCR(Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction)により解析して比較した。その結果より、アジ化ナトリウムが、IPP isomerase遺伝子発現量を減少させ、またHMG−CoA Reductase遺伝子発現量を増加させていることがわかった。
(実施例13〜15)ゲラニル二リン酸の製造
独立行政法人製品評価技術基盤機構より分譲購入したSaccharomyces cerevisiae(NBRC 0565)を使用した以外は実施例10〜12と同様の条件で培養・抽出を行い、ゲラニル二リン酸を回収した。ゲラニル二リン酸の生成量を、薄層クロマトグラフィーによるヨウ素呈色法、及びGC/MSにより測定した。
(比較例5)ゲラニル二リン酸の製造
アジ化ナトリウムを含まないエタノール20ccに水を加えて500倍に希釈し、1Lとしたものをコントロール増産剤として使用した以外は、実施例13〜15と同様の操作を行い、ゲラニル二リン酸の生成量を測定した。
実施例13〜15で得られたゲラニル二リン酸の収量を、比較例5の収量を100とした指数に換算した。その結果を表3に示す。
Figure 2014239664
(実施例16〜23)増産剤の植物への散布
草丈が20cm程度のノゲシを1つの増殖剤につき9本選択し、調製例1で調製した3種の濃度の増産剤を9本のノゲシに噴霧した。噴霧は、植物個体全体に行い、1つの植物あたり増産剤の付着量が一定となるように噴霧器により散布した。その後、1週間に1回の散布を繰り返した。
各9本中の3本について、増産剤の散布を最初に行ってから2日後に、ノゲシ植物体からとれる乳液を茎から回収し、ポリイソプレン量を測定した。なお、茎からの乳液の回収は、1週間おきに4回行った。各濃度、各生育期間のポリイソプレン量から各3本のノゲシの平均値を、回収されたポリイソプレン量とした。
(比較例6〜9)
増産剤の代わりに、アジ化ナトリウムを含まない水を、コントロール増産剤としてノゲシに塗布した以外は、実施例16〜23と同様の操作を行い、回収したポリイソプレン量を測定した。
(比較例10〜13)
増産剤の代わりに、アジ化ナトリウムを含まないエタノール20ccに水を加え、500倍に希釈して1Lとしたものを、コントロール増産剤としてノゲシに塗布した以外は、実施例16〜23と同様の操作を行い、回収したポリイソプレン量を測定した。
実施例16〜23及び比較例10〜13で得られたイソプレンの合計量を、比較例6〜9で得られた合計量を100とした指数に換算した。その結果を表4〜7に示す。
実施例16〜23及び比較例6〜13で得られたポリイソプレンの重量平均分子量(Mw、ポリスチレン換算)を、下記(1)〜(7)の条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定した。
(1)装置:東ソー社製HLC−8020
(2)分離カラム:東ソー社製GMH−XL
(3)測定温度:40℃
(4)キャリア:テトラヒドロフラン
(5)流量:0.6mL/分
(6)検出器:示差屈折、UV(215nm)
(7)分子量標準:標準ポリスチレン
測定結果を表4〜7に示す。
Figure 2014239664
Figure 2014239664
Figure 2014239664
Figure 2014239664
表4〜7の結果より、ポリイソプレノイド増産剤により、効率的にポリイソプレノイドを増産できることが確認できた。また、ほぼ同様の分子量のポリイソプレノイドを得られることが確認できた。

Claims (9)

  1. 防腐剤、抗生物質、副腎皮質ホルモン、ステロイド系抗炎症剤、抗コレステロール剤、及び高血圧薬から選択される
    1種類以上の増産剤の存在条件下でイソプレノイド産生細胞を培養する工程を含む、ポリイソプレノイドの製造方法。
  2. 呼吸鎖関連酵素の機能の阻害、カリウムチャネル開口、及び電子伝達阻害から選択される活性を有する
    1種類以上の増産剤の存在条件下でイソプレノイド産生細胞を培養する工程を含む、ポリイソプレノイドの製造方法。
  3. ミトコンドリアの呼吸鎖複合体を阻害する
    1種類以上の増産剤の存在条件下でイソプレノイド産生細胞を培養する工程を含む、ポリイソプレノイドの製造方法。
  4. 増産剤が、水又は水溶性媒体に溶解又は分散させたものである、
    請求項1〜3のいずれかに記載のポリイソプレノイドの製造方法。
  5. イソプレノイド産生細胞が真核生物の細胞である、
    請求項1〜4のいずれかに記載のポリイソプレノイドの製造方法。
  6. 真核生物が、ノゲシ、パラゴムノキ(Hevea brasiliensis)、グアユール、及びロシアンタンポポから選択される、
    請求項5に記載のポリイソプレノイドの製造方法。
  7. 真核生物が、酵母である
    請求項5に記載のポリイソプレノイドの製造方法。
  8. イソプレノイド産生細胞が細菌の細胞である、
    請求項1〜4のいずれかに記載のポリイソプレノイドの製造方法。
  9. 細菌が遺伝子組換大腸菌である、
    請求項8に記載のポリイソプレノイドの製造方法。
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