JP2014239615A - 3レベルインバータ - Google Patents
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Abstract
【課題】中間電位がコンデンサで2等分することによって生成されたものである場合に、中間電位を安定化できる3レベルインバータを提供する。
【解決手段】この3レベルインバータ10は、正極側スイッチ素子11と負極側スイッチ素子12と第1中間スイッチ素子13と第2中間スイッチ素子14とにより、正極電位と負極電位と中間電位からなる3レベルのPWM信号を出力端子OUTから出力するものであって、正極側スイッチ素子11は、指令波形の値が第1三角波の値よりも高いときにオンし、負極側スイッチ素子12は、指令波形の値が第2三角波の値よりも低いときにオンし、第1中間スイッチ素子は、指令波形の値が第3三角波の値よりも低いときにオンし、第2中間スイッチ素子は、指令波形の値が第4三角波の値よりも高いときにオンする。
【選択図】図1
【解決手段】この3レベルインバータ10は、正極側スイッチ素子11と負極側スイッチ素子12と第1中間スイッチ素子13と第2中間スイッチ素子14とにより、正極電位と負極電位と中間電位からなる3レベルのPWM信号を出力端子OUTから出力するものであって、正極側スイッチ素子11は、指令波形の値が第1三角波の値よりも高いときにオンし、負極側スイッチ素子12は、指令波形の値が第2三角波の値よりも低いときにオンし、第1中間スイッチ素子は、指令波形の値が第3三角波の値よりも低いときにオンし、第2中間スイッチ素子は、指令波形の値が第4三角波の値よりも高いときにオンする。
【選択図】図1
Description
本発明は、直流電源の正極と負極の間の電位差をコンデンサで2等分することによって生成した中間電位を用いた3レベルインバータに関する。
従来より、PWM信号により制御されて正極電位と負極電位及びそれらの中間の中間電位(中性点電位)からなる3レベルの電圧を出力端子から出力し、その出力端子に接続されたフィルタを通して正弦波化した電気信号を生成することができる3レベルインバータが知られている。この3レベルインバータは、PWM信号により制御されて正極電位と負極電位からなる2レベルの電圧を出力端子に出力する通常の2レベルインバータに比べ、その出力端子における波形がより正弦波に近いため、フィルタを小型化することが可能になる。
図10に、3レベルインバータの一例を示す。この3レベルインバータ100は、PWM信号により制御されて正極電位Vaと負極電位Vb及びそれらの中間の中間電位Vnからなる3レベルの電圧を出力端子OUTから出力し、また、同様に、PWM信号により制御されて正極電位Vaと負極電位Vbと中間電位Vnからなる3レベルの電圧を出力端子OUT’から出力して、出力端子OUTと出力端子OUT’の間に接続されたフィルタFIを通して負荷LOを制御するものである。
出力端子OUTには、出力回路部101によって3レベルの電圧が出力される。出力回路部101は、正極電位Vaの正極電位配線AAと出力端子OUTの間に設けられ正極電位配線AAから出力端子OUTへの方向にのみ電流が流れ得る正極側スイッチ素子111と、正極側スイッチ素子111と並列に接続され正極側スイッチ素子111と逆方向にのみ電流が流れ得る正極側ダイオード115と、負極電位Vbの負極電位配線BBと出力端子OUTの間に設けられ出力端子OUTから負極電位配線BBへの方向にのみ電流が流れ得る負極側スイッチ素子112と、負極側スイッチ素子112と並列に接続され負極側スイッチ素子112と逆方向にのみ電流が流れ得る負極側ダイオード116と、中間電位Vnの中間電位配線NNと出力端子OUTの間に設けられ出力端子OUTから中間電位配線NNへの方向のみに電流が流れ得る第1中間スイッチ素子113と、中間電位配線NNと出力端子OUTの間に設けられ中間電位配線NNから出力端子OUTへの方向のみに電流が流れ得る第2中間スイッチ素子114と、を有している。
出力端子OUT’には、出力回路部101’によって3レベルの電圧が出力される。出力回路部101’は、正極電位Vaの正極電位配線AAと出力端子OUT’の間に設けられ正極電位配線AAから出力端子OUT’への方向にのみ電流が流れ得る正極側スイッチ素子111’と、正極側スイッチ素子111’と並列に接続され正極側スイッチ素子111’と逆方向にのみ電流が流れ得る正極側ダイオード115’と、負極電位Vbの負極電位配線BBと出力端子OUT’の間に設けられ出力端子OUT’から負極電位配線BBへの方向にのみ電流が流れ得る負極側スイッチ素子112’と、負極側スイッチ素子112’と並列に接続され負極側スイッチ素子112’と逆方向にのみ電流が流れ得る負極側ダイオード116’と、中間電位Vnの中間電位配線NNと出力端子OUT’の間に設けられ出力端子OUT’から中間電位配線NNへの方向のみに電流が流れ得る第1中間スイッチ素子113’と、中間電位配線NNと出力端子OUT’の間に設けられ中間電位配線NNから出力端子OUT’への方向のみに電流が流れ得る第2中間スイッチ素子114’と、を有している。
また、出力回路部101の正極側スイッチ素子111など各スイッチ素子を制御するPWM信号及び出力回路部101’の正極側スイッチ素子111’など各スイッチ素子を制御するPWM信号は、制御部102で生成され出力される。出力回路部101の各スイッチ素子を制御するPWM信号(正極側スイッチ素子111を制御するPWM信号s111、負極側スイッチ素子112を制御するPWM信号s112、第1中間スイッチ素子113を制御するPWM信号s113、第2中間スイッチ素子114を制御するPWM信号s114)は、図11に示すように、指令波形(正弦波)aの値と2つの三角波b、cの値との比較によって、生成される。そして、出力端子OUTからは、正極電位Vaと中間電位Vnと負極電位Vbからなる3レベルの電圧が出力される。出力回路部101’の各スイッチ素子を制御するPWM信号(正極側スイッチ素子111’を制御するPWM信号s111’、負極側スイッチ素子112’を制御するPWM信号s112’、第1中間スイッチ素子113’を制御するPWM信号s113’、第2中間スイッチ素子114’を制御するPWM信号s114’)は、上記の指令波形aの位相を180度ずらした指令波形a’(図11参照。)の値と2つの三角波b、cの値との比較によって、生成される。そして、出力端子OUT’からは、正極電位Vaと中間電位Vnと負極電位Vbからなる3レベルの電圧が出力される。出力端子OUTの、出力端子OUT’に対する電位差は、図11の最下に示すOUT−OUT’の波形のようになる。なお、Vdcは、正極電位Vaと負極電位Vbの間の電位差を示している。
この出力回路部101は、正極電位Va、中間電位Vn、及び負極電位Vbが出力端子OUTから出力されるとき、正極電位配線AA、中間電位配線NN、又は、負極電位配線BBと出力端子OUTとの間において電流が通過する素子の数が少ない(1個である)ために電力損失の低減が可能である。出力回路部101’についても同様である。
また、正極電位配線AAと負極電位配線BBはそれぞれ、直流電源103の正極A、負極Bに接続されており、正極電位Vaと負極電位Vbは、直流電源103で生成している。中間電位Vnは、正極電位配線AAと負極電位配線BBの間の電位差を2個のコンデンサ104A、104Bで2等分することによって生成しており、中間電位配線NNは、2個のコンデンサ104A、104Bの接続点Nに接続されている。直流電源103と2個のコンデンサ104A、104Bにかえて、2個のコンデンサ104A、104Bの位置に2個の直流電源を設けて、正極電位Va、負極電位Vb、及び中間電位Vnを生成することも可能であるが、前者は後者よりも小型化及び低コスト化できる。
3レベルインバータ100の主要部の構成は、例えば特許文献1に記載されている。なお、特許文献1は、正極側スイッチ素子111などに相当する各スイッチ素子のスイッチングの際に発生するサージ電圧を抑制するためのスナバ回路についての技術に関するものである。
ところで、3レベルインバータ100では、出力回路部101の正極側スイッチ素子111と第1中間スイッチ素子113の同時オンの期間をなくすために、それらの切り換わり時に両方がオフする期間であるデッドタイムを設ける必要がある。同様に、負極側スイッチ素子112と第2中間スイッチ素子114の同時オンの期間をなくすために、それらの切り換わり時にデッドタイムを設ける必要がある。出力回路部101’の正極側スイッチ素子111’と第1中間スイッチ素子113’、負極側スイッチ素子112’と第2中間スイッチ素子114’についても同様である。
本願発明者は、デッドタイムを設けた3レベルインバータ100を研究する中で、正極電位配線AAと負極電位配線BBの間の電位差がコンデンサ104A、104Bによって本来2等分されて得られるべき中間電位Vnが時間とともに徐々に2等分の電位から離れて行く場合があることを見出した。それは、デッドタイムを設けることにより、コンデンサ104A、104Bの接続点Nに中間電位配線NNを通って電流が流れ込むか或いは接続点Nから中間電位配線NNを通って流れ出すかの電流が一方向だけになる期間が生じるためであり、適切にデッドタイムを設定しなければ接続点Nの電位が時間とともに徐々に変わって行くことを見出した。
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、各スイッチ素子が上記の3レベルインバータ100の構成であり、中間電位がコンデンサで2等分することによって得られたものである場合に、中間電位を安定化できる3レベルインバータを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の3レベルインバータは、直流電源の正極と負極の間の電位差をコンデンサで2等分することによって中間電位を生成し、制御部で生成されたPWM信号により制御されて前記正極電位と前記負極電位と前記中間電位からなる3レベルの電圧を少なくとも2個の出力回路部の出力端子から出力する3レベルインバータにおいて、前記出力回路部はそれぞれ、前記正極電位の正極電位配線と前記出力端子の間に設けられ該正極電位配線から前記出力端子への方向にのみ電流が流れ得る正極側スイッチ素子と、該正極側スイッチ素子と並列に接続され該正極側スイッチ素子と逆方向にのみ電流が流れ得る正極側ダイオードと、前記負極電位の負極電位配線と前記出力端子の間に設けられ前記出力端子から該負極電位配線への方向にのみ電流が流れ得る負極側スイッチ素子と、該負極側スイッチ素子と並列に接続され該負極側スイッチ素子と逆方向にのみ電流が流れ得る負極側ダイオードと、前記中間電位の中間電位配線と前記出力端子の間に設けられ前記出力端子から該中間電位配線への方向のみに電流が流れ得る第1中間スイッチ素子と、前記中間電位配線と前記出力端子の間に設けられ前記中間電位配線から前記出力端子への方向のみに電流が流れ得る第2中間スイッチ素子と、を有しており、前記制御部は、前記出力回路部のそれぞれに応じた所定の指令波形を、ゼロ値よりも最低値が正側に位置する第1三角波、前記ゼロ値よりも最高値が負側に位置して前記第1三角波と周期、位相、高さが等しい第2三角波、前記ゼロ値よりも最低値が負側に位置し最高値が正側に位置して前記第1三角波と周期、位相、高さが等しい第3三角波、前記ゼロ値よりも最低値が負側に位置し最高値が正側に位置して前記第1三角波と周期、位相、高さが等しく前記第3三角波よりも値が低い第4三角波、と比較して、前記出力回路部のそれぞれの前記正極側スイッチ素子と前記負極側スイッチ素子と前記第1中間スイッチ素子と前記第2中間スイッチ素子のオンオフを制御し、前記出力回路部のそれぞれにおいて、前記正極側スイッチ素子は、当該出力回路部に応じた前記指令波形の値が前記第1三角波の値よりも高いときにオンし、前記負極側スイッチ素子は、前記指令波形の値が前記第2三角波の値よりも低いときにオンし、前記第1中間スイッチ素子は、前記指令波形の値が前記第3三角波の値よりも低いときにオンし、前記第2中間スイッチ素子は、前記指令波形の値が前記第4三角波の値よりも高いときにオンすることを特徴とする。
請求項2に記載の3レベルインバータは、請求項1に記載の3レベルインバータにおいて、前記第1三角波における最低値から前記ゼロ値までの差、前記第2三角波における最高値から前記ゼロ値までの差、前記第3三角波における最低値から前記ゼロ値までの差、前記第4三角波における最高値から前記ゼロ値までの差、は、全て等しいことを特徴とする。
本発明の3レベルインバータによれば、出力回路部のそれぞれが上記の正極側スイッチ素子、正極側ダイオード、負極側スイッチ素子、負極側ダイオード、第1中間スイッチ素子、第2中間スイッチ素子、を有しており、中間電位がコンデンサで2等分することによって得られたものである場合に、中間電位を安定化できる。
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係る3レベルインバータ10は、前述した従来の3レベルインバータ100と同様に、図1に示すように、PWM信号により制御されて正極電位Vaと負極電位Vb及びそれらの中間の中間電位Vnからなる3レベルの電圧を出力端子OUTから出力し、また、同様に、PWM信号により制御されて正極電位Vaと負極電位Vbと中間電位Vnからなる3レベルの電圧を出力端子OUT’から出力して、出力端子OUTと出力端子OUT’の間に接続されたフィルタFIを通して負荷LOを制御するものである。
出力端子OUTには、出力回路部1によって3レベルの電圧が出力される。出力回路部1は、前述した出力回路部101の場合と同様に、正極電位Vaの正極電位配線AAと出力端子OUTの間に設けられ正極電位配線AAから出力端子OUTへの方向にのみ電流が流れ得る正極側スイッチ素子11と、正極側スイッチ素子11と並列に接続され正極側スイッチ素子11と逆方向にのみ電流が流れ得る正極側ダイオード15と、負極電位Vbの負極電位配線BBと出力端子OUTの間に設けられ出力端子OUTから負極電位配線BBへの方向にのみ電流が流れ得る負極側スイッチ素子12と、負極側スイッチ素子12と並列に接続され負極側スイッチ素子12と逆方向にのみ電流が流れ得る負極側ダイオード16と、中間電位Vnの中間電位配線NNと出力端子OUTの間に設けられ出力端子OUTから中間電位配線NNへの方向のみに電流が流れ得る第1中間スイッチ素子13と、中間電位配線NNと出力端子OUTの間に設けられ中間電位配線NNから出力端子OUTへの方向のみに電流が流れ得る第2中間スイッチ素子14と、を有している。
出力端子OUT’には、出力回路部1’によって3レベルの電圧が出力される。出力回路部1’は、正極電位Vaの正極電位配線AAと出力端子OUT’の間に設けられ正極電位配線AAから出力端子OUT’への方向にのみ電流が流れ得る正極側スイッチ素子11’と、正極側スイッチ素子11’と並列に接続され正極側スイッチ素子11’と逆方向にのみ電流が流れ得る正極側ダイオード15’と、負極電位Vbの負極電位配線BBと出力端子OUT’の間に設けられ出力端子OUT’から負極電位配線BBへの方向にのみ電流が流れ得る負極側スイッチ素子12’と、負極側スイッチ素子12’と並列に接続され負極側スイッチ素子12’と逆方向にのみ電流が流れ得る負極側ダイオード16’と、中間電位Vnの中間電位配線NNと出力端子OUT’の間に設けられ出力端子OUT’から中間電位配線NNへの方向のみに電流が流れ得る第1中間スイッチ素子13’と、中間電位配線NNと出力端子OUT’の間に設けられ中間電位配線NNから出力端子OUT’への方向のみに電流が流れ得る第2中間スイッチ素子14’と、を有している。
なお、出力回路部1の正極側スイッチ素子11、負極側スイッチ素子12、及び、出力回路部1’の正極側スイッチ素子11’、負極側スイッチ素子12’には、自己消弧能力を持つ半導体スイッチ(例えばIGBTやMOS−FETなど)を用いることができる。出力回路部1の第1中間スイッチ素子13、第2中間スイッチ素子14、及び、出力回路部1’の第1中間スイッチ素子13’、第2中間スイッチ素子14’には、逆阻止能力を持つ半導体スイッチ(例えば逆阻止IGBTなど)を用いることができる。また、出力回路部1の第1中間スイッチ素子13、第2中間スイッチ素子14、及び、出力回路部1’の第1中間スイッチ素子13’、第2中間スイッチ素子14’について、逆阻止能力を持つ半導体スイッチを用いない場合は、電力損失は大きくなるが、それぞれに直列に逆阻止能力を持つダイオードを接続することも可能である。
また、出力回路部1の正極側スイッチ素子11など各スイッチ素子を制御するPWM信号及び出力回路部1’の正極側スイッチ素子11’など各スイッチ素子を制御するPWM信号は、制御部2で生成され出力される。制御部2は、マイクロコンピュータ等の演算処理装置を用いることができる。
出力回路部1の各スイッチ素子を制御するPWM信号(正極側スイッチ素子11を制御するPWM信号s11、負極側スイッチ素子12を制御するPWM信号s12、第1中間スイッチ素子13を制御するPWM信号s13、第2中間スイッチ素子14を制御するPWM信号s14)は、図2に示すように、指令波形(ゼロ値(図の表示では0)を中心とした正弦波)aの値と4つの三角波b、c、b’、c’の値との比較によって、生成される。指令波形aは、出力回路部1に応じた(出力回路部1のための)所定の指令波形である。そして、出力端子OUTからは、正極電位Vaと中間電位Vnと負極電位Vbからなる3レベルの電圧が出力される。
出力回路部1’の各スイッチ素子を制御するPWM信号(正極側スイッチ素子11’を制御するPWM信号s11’、負極側スイッチ素子12’を制御するPWM信号s12’、第1中間スイッチ素子13’を制御するPWM信号s13’、第2中間スイッチ素子14’を制御するPWM信号s14’)は、上記の指令波形aの位相を180度ずらした指令波形a’(図2参照。)の値と4つの三角波b、c、b’、c’の値との比較によって、生成される。指令波形a’は、出力回路部1’に応じた(出力回路部1’のための)所定の指令波形である。
そして、出力端子OUT’からは、正極電位Vaと中間電位Vnと負極電位Vbからなる3レベルの電圧が出力される。出力端子OUTの、出力端子OUT’に対する電位差は、図2の最下に示すOUT−OUT’の波形のようになる。ここで、Vdcは、正極電位Vaと負極電位Vbの間の電位差を示している。
なお、指令波形a、a’の振幅を変えることで出力端子OUT、OUT’の出力波形を変え、フィルタFIから出力される正弦波の振幅を変えることができる。本実施形態では、図2においては、指令波形a、a’が取り得る最高値をVdc/2、最低値を−Vdc/2としており、指令波形a、a’の振幅をVdc/2にすると、フィルタFIから出力される正弦波の振幅は最大になる。ただし、指令波形a、a’及び三角波b、c、b’、c’を示すグラフは、それらの値の高低関係が重要であり、縦軸の値及び単位は任意に変えることができる。また、図2中、2つの三角波b、b’はほぼ重なり、2つの三角波c、c’はほぼ重なっている。また、図2中、4つの三角波b、c、b’、c’の周期Tcは図示の都合から大きく取っているが、実用的には、指令波形(正弦波)aの周期を約200くらいに分割した時間を周期Tcとすることができる。
詳細には、図3に示すように、4つの三角波b、c、b’、c’は、周期(周期Tc)と位相が等しい。すなわち、4つの三角波b、c、b’、c’は、同じ時点で最低値及び最高値となる。また、4つの三角波b、c、b’、c’は、高さ(最高値と最低値の差)が等しい。本実施形態では、4つの三角波b、c、b’、c’の高さは、Vdc/2としている。第1三角波bは、ゼロ値よりも最低値が正側に位置する。第2三角波cは、ゼロ値よりも最高値が負側に位置する。第3三角波b’は、ゼロ値よりも最低値が負側に位置し最高値が正側に位置して、大部分がゼロ値よりも正側に位置する。第4三角波c’は、ゼロ値よりも最低値が負側に位置し最高値が正側に位置して、第3三角波b’よりも値が低く、大部分がゼロ値よりも負側に位置する。
第1三角波bにおける最低値からゼロ値までの差Δb、第2三角波cにおける最高値からゼロ値までの差Δc、第3三角波b’における最低値からゼロ値までの差Δb’、第4三角波c’における最高値からゼロ値までの差Δc’、は、図4に示すように、本実施形態では全て等しくしている。ΔbとΔcを等しくし、Δb’とΔc’を等しくし、Δb(及びΔc)とΔb’(及びΔc’)を等しくしないことも可能である。また、Δb、Δc、Δb’、Δc’の値は、必要な後述するデッドタイムDTに応じて、DT×Vdc/(2×Tc)とすることができる。
出力回路部1では、図3に示すように、正極側スイッチ素子11は、指令波形aの値が第1三角波bの値よりも高いときにオンする。負極側スイッチ素子12は、指令波形aの値が第2三角波cの値よりも低いときにオンする。第1中間スイッチ素子13は、指令波形aの値が第3三角波b’の値よりも低いときにオンする。第2中間スイッチ素子14は、指令波形aの値が第4三角波c’の値よりも高いときにオンする。従って、正極側スイッチ素子11と第1中間スイッチ素子13は、オンオフが切り換わるときに、デッドタイムDTが設けられて、同時オンの期間はない。同様に、負極側スイッチ素子12と第2中間スイッチ素子14は、オンオフが切り換わるときに、デッドタイムDTが設けられて、同時オンの期間はない。
出力回路部1’では、正極側スイッチ素子11’は、指令波形a’の値が第1三角波bの値よりも高いときにオンする。負極側スイッチ素子12’は、指令波形a’の値が第2三角波cの値よりも低いときにオンする。第1中間スイッチ素子13は、指令波形a’の値が第3三角波b’の値よりも低いときにオンする。第2中間スイッチ素子14は、指令波形a’の値が第4三角波c’の値よりも高いときにオンする。従って、正極側スイッチ素子11’と第1中間スイッチ素子13’は、オンオフが切り換わるときに、デッドタイムDTが設けられて、同時オンの期間はない。同様に、負極側スイッチ素子12’と第2中間スイッチ素子14’は、オンオフが切り換わるときに、デッドタイムDTが設けられて、同時オンの期間はない。
また、正極電位配線AAと負極電位配線BBはそれぞれ、直流電源3の正極A、負極Bに接続されており、正極電位Vaと負極電位Vbは、直流電源3で生成している。中間電位Vnは、正極電位配線AAと負極電位配線BBの間の電位差を2個のコンデンサ4A、4Bで2等分することによって生成しており、中間電位配線NNは、2個のコンデンサ4A、4Bの接続点Nに接続されている。
次に、3レベルインバータ10ではデッドタイムDTが適切に設定されており、2個のコンデンサ4A、4Bの接続点Nにおける中間電位Vnを安定化できることを説明する。図5に示すのは、指令波形a、a’がゼロ値又はその近傍にある瞬間の各スイッチ素子の制御信号の波形である。このときには、出力回路部1の正極側スイッチ素子11と負極側スイッチ素子12、及び、出力回路部1’の正極側スイッチ素子11’、負極側スイッチ素子12’については、オン期間はない。出力回路部1の第1中間スイッチ素子13と第2中間スイッチ素子14、及び、出力回路部1’の第1中間スイッチ素子13’と第2中間スイッチ素子14’は、デッドタイムDTの期間だけオフしそれ以外はオンする。
出力回路部1の第1中間スイッチ素子13と第2中間スイッチ素子14、及び、出力回路部1’の第1中間スイッチ素子13’と第2中間スイッチ素子14’が全てオンしているとき(例えば、図5における時間t0)は、出力回路部1の出力端子OUT及び出力回路部1’の出力端子OUT’における電流の向きが力率の値に応じてどちらであろうとも、2個のコンデンサ4A、4Bの接続点N、中間電位配線NN、第1中間スイッチ素子13又は第2中間スイッチ素子14、出力端子OUT、フィルタFI(及び負荷LO)、出力端子OUT’、第1中間スイッチ素子13’又は第2中間スイッチ素子14’、中間電位配線NN、2個のコンデンサ4A、4Bの接続点Nから成る電流パスを通って流れる。よって、2個のコンデンサ4A、4Bの接続点Nの電位は変化しない。
出力回路部1の第1中間スイッチ素子13と第2中間スイッチ素子14、及び、出力回路部1’の第1中間スイッチ素子13’と第2中間スイッチ素子14’のうちいずれかのスイッチ素子がオフし、それによって上記の電流パスが切れた或る期間では、2個のコンデンサ4A、4B接続点Nから中間電位配線NNを通って電流が流れ出すか又は接続点Nに中間電位配線NNを通って電流が流れ込むかの一方だけが起こる。そのとき、接続点Nの電位は変化する。そして、その次の、出力回路部1の第1中間スイッチ素子13と第2中間スイッチ素子14、及び、出力回路部1’の第1中間スイッチ素子13’と第2中間スイッチ素子14’のうちいずれかのスイッチ素子がオフし、それによって上記の電流パスが切れた期間では、2個のコンデンサ4A、4B接続点Nに中間電位配線NNを通って電流が流れ込むか又は接続点Nから中間電位配線NNを通って電流が流れ出すかの一方だけが起こる。そのとき、接続点Nの電位は元の状態に戻るように変化する。
例えば、図5における時間t1で出力回路部1’の出力端子OUT’からフィルタFI(及び負荷LO)を通って出力回路部1の出力端子OUTに向かって電流が流れるとする。中間電位配線NN、第2中間スイッチ素子14’、出力端子OUT’、フィルタFI(及び負荷LO)、出力端子OUTを通って2個のコンデンサ4A、4Bの接続点Nから電流が流れ出すが、第1中間スイッチ素子13はオフしているので、接続点Nに電流は流れ込むことはない。よって、コンデンサ4Aの電荷は増加し、コンデンサ4Bの電荷は減少することで接続点Nの電位は低下する。そして、その次の時間t2で、出力端子OUT’、フィルタFI(及び負荷LO)、出力端子OUT、第1中間スイッチ素子13、中間電位配線NNを通って2個のコンデンサ4A、4Bの接続点Nに電流は流れ込むが、第2中間スイッチ素子14’はオフしているので、接続点Nから電流が流れ出すことはない。その接続点Nに流れ込む電流は、時間t1にて接続点Nから流れ出た電流と実用上同一値と考えて問題ない。よって、接続点Nの電位は上昇し、元に戻る。
例えば、逆に、図5における時間t1で出力回路部1の出力端子OUTからフィルタFI(及び負荷LO)を通って出力回路部1’の出力端子OUT’に向かって電流が流れるとする。中間電位配線NN、第2中間スイッチ素子14、出力端子OUT、フィルタFI(及び負荷LO)、出力端子OUT’を通って2個のコンデンサ4A、4Bの接続点Nから電流が流れ出すが、第1中間スイッチ素子13’はオフしているので、接続点Nに電流は流れ込むことはない。よって、コンデンサ4Aの電荷は増加し、コンデンサ4Bの電荷は減少することで接続点Nの電位は低下する。そして、その次の時間t2で、出力端子OUT、フィルタFI(及び負荷LO)、出力端子OUT’、第1中間スイッチ素子13’、中間電位配線NNを通って2個のコンデンサ4A、4Bの接続点Nに電流は流れ込むが、第2中間スイッチ素子14はオフしているので、接続点Nから電流が流れ出すことはない。その接続点Nに流れ込む電流は、時間t1にて接続点Nから流れ出た電流と実用上同一値と考えて問題ない。よって、接続点Nの電位は上昇し、元に戻る。
このように、デッドタイムDTのために、出力回路部1の第1中間スイッチ素子13と第2中間スイッチ素子14、及び、出力回路部1’の第1中間スイッチ素子13’と第2中間スイッチ素子14’のうちいずれかのスイッチ素子がオフする期間が有ってそれによって一時的に接続点Nの電位が変化しても次の同様の期間で元に戻る。それにより、接続点Nにおける中間電位Vnを安定化できる。なお、指令波形a、a’がゼロ値の近傍以外の瞬間では、デッドタイムDTが有ることによって接続点Nの電位の低下又は上昇が起こるようなことはない。
次に、本願発明者による実験について述べる。図6に示す波形は、実験品において正極電位Vaと負極電位Vbの電位差Vdcを300V付近としたときの、出力端子OUTの出力端子OUT’に対する電位差を示すものである。図7に示す波形は、図6において時間軸の時間tx近傍の期間を拡大したものである。出力端子OUTの出力端子OUT’に対する電位差がVdc/2のときは、中間電位Vnの負極電位Vbに対する電位差と、正極電位Vaの中間電位Vnに対する電位差と、が原理的に交互に現れる(図2参照)。図7に示す波形では、Vdc/2のラインはほとんど変化がないので、中間電位Vnが正極電位Vaと負極電位Vbの真ん中に安定して有ることが分かる。
なお、図8に示す波形は、比較のためのものであり、図7に示した期間とほぼ同じ期間のものであるが、中間電位Vnが時間とともに徐々に増減して、正極電位Vaと負極電位Vbの真ん中からずれてしまった場合のものである。図8に示す波形のVdc/2のラインは、中間電位Vnの負極電位Vbに対する電位差と、正極電位Vaの中間電位Vnに対する電位差と、が互いにずれて交互に現れている。図8に示す波形は、図9に示すような方法でデッドタイムを設定した場合のものである。ここでは、第1三角波bは、最低値がゼロ値に位置する。第2三角波cは、最高値がゼロ値に位置する。第3三角波b’は、ゼロ値よりも最低値が正側に位置する。第4三角波c’は、ゼロ値よりも最低値が負側に位置し最高値が正側に位置する。第3三角波b’における最低値からゼロ値までの差Δbb’及び第4三角波c’における最高値からゼロ値までの差Δcc’は、DT×Vdc/Tcとしている。
以上説明した3レベルインバータ10は、太陽光発電システムなどの家庭用の発電設備において、発電された電気を直流から交流に変換して外部の電線に送電することが可能なパワーコンディショナーに用いることができる。また、3相交流で駆動される電動機を駆動する場合などに、3レベルインバータ10の指令波形及び出力回路部などを増やし、指令波形を互いに120度ずらして3個(3相)にした3レベルインバータを構成することも可能である。
以上、本発明の実施形態に係る3レベルインバータについて説明したが、本発明は、上述の実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。
10 3レベルインバータ
1、1’ 出力回路部
11、11’ 正極側スイッチ素子
12、12’ 負極側スイッチ素子
13、13’ 第1中間スイッチ素子
14、14’ 第2中間スイッチ素子
15、15’ 正極側ダイオード
16、16’ 負極側ダイオード
2 制御部
3 直流電源
4A、4B コンデンサ
OUT、OUT’ 出力端子
FI フィルタ
LO 負荷
1、1’ 出力回路部
11、11’ 正極側スイッチ素子
12、12’ 負極側スイッチ素子
13、13’ 第1中間スイッチ素子
14、14’ 第2中間スイッチ素子
15、15’ 正極側ダイオード
16、16’ 負極側ダイオード
2 制御部
3 直流電源
4A、4B コンデンサ
OUT、OUT’ 出力端子
FI フィルタ
LO 負荷
Claims (2)
- 直流電源の正極と負極の間の電位差をコンデンサで2等分することによって中間電位を生成し、制御部で生成されたPWM信号により制御されて前記正極電位と前記負極電位と前記中間電位からなる3レベルの電圧を少なくとも2個の出力回路部の出力端子から出力する3レベルインバータにおいて、
前記出力回路部はそれぞれ、前記正極電位の正極電位配線と前記出力端子の間に設けられ該正極電位配線から前記出力端子への方向にのみ電流が流れ得る正極側スイッチ素子と、該正極側スイッチ素子と並列に接続され該正極側スイッチ素子と逆方向にのみ電流が流れ得る正極側ダイオードと、前記負極電位の負極電位配線と前記出力端子の間に設けられ前記出力端子から該負極電位配線への方向にのみ電流が流れ得る負極側スイッチ素子と、該負極側スイッチ素子と並列に接続され該負極側スイッチ素子と逆方向にのみ電流が流れ得る負極側ダイオードと、前記中間電位の中間電位配線と前記出力端子の間に設けられ前記出力端子から該中間電位配線への方向のみに電流が流れ得る第1中間スイッチ素子と、前記中間電位配線と前記出力端子の間に設けられ前記中間電位配線から前記出力端子への方向のみに電流が流れ得る第2中間スイッチ素子と、を有しており、
前記制御部は、前記出力回路部のそれぞれに応じた所定の指令波形を、ゼロ値よりも最低値が正側に位置する第1三角波、前記ゼロ値よりも最高値が負側に位置して前記第1三角波と周期、位相、高さが等しい第2三角波、前記ゼロ値よりも最低値が負側に位置し最高値が正側に位置して前記第1三角波と周期、位相、高さが等しい第3三角波、前記ゼロ値よりも最低値が負側に位置し最高値が正側に位置して前記第1三角波と周期、位相、高さが等しく前記第3三角波よりも値が低い第4三角波、と比較して、前記出力回路部のそれぞれの前記正極側スイッチ素子と前記負極側スイッチ素子と前記第1中間スイッチ素子と前記第2中間スイッチ素子のオンオフを制御し、
前記出力回路部のそれぞれにおいて、前記正極側スイッチ素子は、当該出力回路部に応じた前記指令波形の値が前記第1三角波の値よりも高いときにオンし、前記負極側スイッチ素子は、前記指令波形の値が前記第2三角波の値よりも低いときにオンし、前記第1中間スイッチ素子は、前記指令波形の値が前記第3三角波の値よりも低いときにオンし、前記第2中間スイッチ素子は、前記指令波形の値が前記第4三角波の値よりも高いときにオンすることを特徴とする3レベルインバータ。 - 請求項1に記載の3レベルインバータにおいて、
前記第1三角波における最低値から前記ゼロ値までの差、前記第2三角波における最高値から前記ゼロ値までの差、前記第3三角波における最低値から前記ゼロ値までの差、前記第4三角波における最高値から前記ゼロ値までの差、は、全て等しいことを特徴とする3レベルインバータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013121314A JP2014239615A (ja) | 2013-06-07 | 2013-06-07 | 3レベルインバータ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013121314A JP2014239615A (ja) | 2013-06-07 | 2013-06-07 | 3レベルインバータ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014239615A true JP2014239615A (ja) | 2014-12-18 |
Family
ID=52136289
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2013121314A Pending JP2014239615A (ja) | 2013-06-07 | 2013-06-07 | 3レベルインバータ |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2014239615A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104506065A (zh) * | 2015-01-12 | 2015-04-08 | 佛山市柏克新能科技股份有限公司 | 三电平逆变器的中点电位控制方法 |
CN105305860A (zh) * | 2015-10-24 | 2016-02-03 | 南京博兰得电子科技有限公司 | 一种逆变器 |
CN109256974A (zh) * | 2018-09-26 | 2019-01-22 | 深圳古瑞瓦特新能源股份有限公司 | 一种太阳能逆变电路 |
CN109256974B (zh) * | 2018-09-26 | 2024-06-04 | 深圳古瑞瓦特新能源有限公司 | 一种太阳能逆变电路 |
-
2013
- 2013-06-07 JP JP2013121314A patent/JP2014239615A/ja active Pending
Cited By (5)
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