JP2014238185A - 冷蔵庫 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷却室内での複数の戻り冷気の相互干渉を抑制して庫内を循環する風量を大きくし、冷気が冷却器を効率良く通過させて熱交換することで冷却能力を向上させた冷蔵庫を提供できる。【解決手段】冷却室43へ導入する冷凍室吸込み口56は冷却室43前面に、冷蔵室吸込み口88と野菜室吸込み口は冷却室43背面に設けられ、冷蔵室吸込み口88に連通する冷蔵室戻り風路87と、野菜室吸込み口に連通する野菜室戻り風路90はそれぞれ独立した戻り風路として構成されているので、冷却運転時の複数の高温戻り冷気の相互干渉を抑制し、庫内を循環する風量を増加させることができ、冷却能力を向上することができる。【選択図】図2

Description

本発明は省エネ効果の高い冷蔵庫の構造に関するものである。
図7は従来の冷蔵庫の冷却室の断面図である。
図7に示すように、冷蔵庫10には複数の貯蔵室があり、最下部に冷凍室11が配置されている。冷凍室11の背面には内部に冷却器12と送風機13を有し冷気を生成、送風する冷却室14が設けられている。冷却器12で生成された冷気は、送風機13により強制的に各貯蔵室へ送られる。一部は冷気吐出口15を通り冷凍室11へ送られ、一部は高温吐出風路16を通り、冷凍室11上方に設けられた野菜室17や冷蔵室(図示せず)へ送られる。冷凍室11を冷却した冷気は冷凍室戻り口18から、冷蔵室、野菜室17を冷却した冷気は順に戻り口19と高温戻り風路20とを通過し高温吸込み口21から、冷却室14へ帰還し再び冷却器12により冷却される。このとき、冷却器12から冷気生成に使われず背面へ漏れ出た冷気は、高温戻り風路20を流れる比較的温かい戻り冷気に吸収されるため、冷蔵庫10の背面から外気へ熱リークさせることなく冷却器12の冷気を強制的に冷却室14へ返還させることで消費電力量を低減することができる。(例えば、特許文献1参照)。
特開2012−159239号公報
しかしながら、上記従来の構成には改善の余地がある。冷却運転時において、冷却器12下方において冷凍室11からの戻り冷気は後向きの風速が大きく、野菜室17や冷蔵室からの戻り冷気は前向きの風速が大きいため、お互いの流れを阻害し合い庫内を循環する風量を減少させることにより、冷却能力を低下させていた。
本発明は、従来の課題を解決するもので、複数の戻り冷気の相互干渉を抑制することで庫内を循環する風量を増やし冷却能力の高い冷蔵庫を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の冷蔵庫は、冷気を生成する冷却器と、冷却器で生成された冷気を強制的に循環させる送風機と、冷却器および送風機とを収める冷却室と、冷却室を背面に備える低温貯蔵室と、低温貯蔵室と温度帯の異なる複数の高温貯蔵室と、低温貯蔵室からの低温戻り冷気を冷却室へ導入する低温吸込み口と、複数の高温貯蔵室からの高温戻り冷気を戻り風路を介して冷却室へ導入する複数の高温吸込み口とを備え、低温吸込み口は冷却室前面に、複数の高温吸込み口は冷却室背面に設けられ、複数の高温吸込み口を、各高温貯蔵室からの独立した戻り風路に連通して併設して配置したことを特徴とする。
これにより、後向きの速度が大きい低温戻り冷気と前向きの速度が大きい高温戻り冷気は、上下方向にずれることで相互干渉を抑制し庫内を循環する風量を大きくすることができるため、より冷却能力を向上することができる。また、庫内と冷却器との温度差がもっとも大きく、最も大きな冷却効果が必要となる低温貯蔵室からの冷気をより下方から冷却
室へ戻すことで、低温戻り冷気が冷却器を通過する距離が長くなり熱交換量を増やすことで更に冷却能力を向上させることができる。
本発明は、従来の課題を解決するもので、複数の戻り冷気の相互干渉を抑制することで庫内を循環する風量を増やし冷却能力が高い冷蔵庫を提供することを目的とする。
本発明の実施の形態1における冷蔵庫の縦断面図 本発明の実施の形態1における冷蔵庫の冷却室の縦断面図 本発明の実施の形態1における冷蔵庫の冷却室の正面風路図 本発明の実施の形態1における冷蔵庫の冷却室の詳細縦断面図 本発明の実施の形態2における冷蔵庫の縦断面図 本発明の実施の形態2における冷蔵庫の冷却室の正面風路図 従来の冷蔵庫の冷却室の縦断面図
第1の発明は、冷気を生成する冷却器と、冷却器で生成された冷気を強制的に循環させる送風機と、冷却器および送風機とを収める冷却室と、冷却室を背面に備える低温貯蔵室と、低温貯蔵室と温度帯の異なる複数の高温貯蔵室と、低温貯蔵室からの低温戻り冷気を冷却室へ導入する低温吸込み口と、複数の高温貯蔵室からの高温戻り冷気を戻り風路を介して冷却室へ導入する複数の高温吸込み口とを備え、低温吸込み口は冷却室前面に、複数の高温吸込み口は冷却室背面に設けられ、複数の高温吸込み口を、各高温貯蔵室からの独立した戻り風路に連通して併設して配置したものである。
これによって、後向きの速度が大きい低温戻り冷気と前向きの速度が大きい高温戻り冷気は、上下方向にずれることで相互干渉を抑制し庫内を循環する風量を大きくすることができるため、より冷却能力を向上することができる。また、最も大きな冷却効果が必要となる低温貯蔵室からの冷気をより下方から冷却室へ戻すことで、低温戻り冷気が冷却器を通過する距離が長くなり熱交換量を増やすことで更に冷却能力を向上させることができる。
また、複数の高温貯蔵室からの各々の高温戻り冷気も独立した戻り風路に連通しているため、冷却時や非冷却時において、低温戻り冷気も含めて相互干渉を抑制することができ、循環する風量を増やすことで冷却器の熱交換量を増加させ、冷却能力を向上させることができる。
第2の発明は、第1の発明において、複数の高温吸込み口を、冷却器の幅寸法と略同一に配置したものである。
これによって、冷蔵庫内を循環する戻り冷気の中で、冷却器と温度差の最も大きい高温戻り冷気は、冷却器との熱交換を冷却器幅と略同一寸法で行えるため、冷却器での熱交換面積を大きく取ることができると共に、冷凍サイクル効率の向上によって省エネを図ることができる。
また、冷蔵庫を使用する中で扉の開閉頻度の高い高温貯蔵室を循環する高温戻り冷気と冷却器との熱交換量が大きくなることは、庫内を冷却する時間を減らすことができるため、冷却運転時間の短縮による冷却器への着霜量も減らすことができる。特に、高温貯蔵室は扉開閉回数が多いことで外気の水分が侵入し易いだけで無く、温度が高いため空気中に保持する絶対湿度も高いため冷却器への霜の付着量も多くなる。冷却器への着霜量を減ら
すことで、冷却器の除霜周期を延ばす事が可能となり、除霜ヒータの入力回数低減と除霜による庫内温度上昇後の庫内冷却に要する入力低減が図れ、更なる省エネを行うことができる。
また、風路の改善により冷却器の熱交換面積を大きく取れることは、冷却器に着霜させる面積を大きくすることであるため、着霜時の冷却能力の劣化も抑制することができる。これによって、冷蔵庫を運転し除霜を必要とするまでの時間を延ばす事が可能となり、除霜ヒータの入力回数低減と除霜による庫内温度上昇後の庫内冷却に要する入力低減が図れ、更なる省エネを行うことができる。
第3の発明は、第1または第2の発明において、複数の高温吸込み口の上端を、冷却器の下端より上方に配置したものである。
これによって、冷却室内で高温戻り冷気は、低温戻り冷気の上方を流れるため、後向きの速度が大きい低温戻り冷気と前向きの速度が大きい高温戻り冷気は、上下方向にずれ、相互干渉を抑制し庫内を循環する風量を大きくすることができるため、より冷却能力を向上することができる。
また、ドア開閉時に侵入した空気中の水分や、庫内に投入された食品に付着している水分、さらに野菜室に保存されている野菜からの水分等で冷却器には、霜が付着する。この霜が成長を遂げると冷却器と循環冷気との間で熱交換効率が低下し庫内を十分に冷却できず、最終的に不冷状態となる。よって、冷蔵庫では、冷却器に付着した霜を定期的に除霜する必要がある。本発明の効果によって、水分量の大きい高温戻り冷気によって冷却器背面下部に付着した霜が成長しても冷却器底面側へと高温戻り冷気が流れるため耐着霜性能として向上する。よって、着霜時の冷却能力の劣化も抑制することができる。
第4の発明は、第1から第3のいずれかの発明において、複数の高温吸込み口は、第1高温吸込み口と第2高温吸込み口を有し、第1高温吸込み口に対応する第1高温貯蔵室の温度は、第2高温吸込み口に対応する第2高温貯蔵室の温度より低く、第1高温吸込み口の開口面積は、第2高温吸込み口の開口面積より大きく設定したものである。
これによって、庫内を必要温度に冷却するための循環する風量および冷気量を確保できる。
第5の発明は、第1から第3のいずれかの発明において、複数の高温吸込み口は、第1高温吸込み口と第2高温吸込み口を有し、第1高温吸込み口に対応する第1高温貯蔵室の温度は、第2高温吸込み口に対応する第2高温貯蔵室の温度より低く、第2高温吸込み口は、第1高温吸込み口に対応する戻り風路の第1高温貯蔵室との接続部に対して幅方向で遠い側の側端部に配置したものである。
これによって、第2高温貯蔵室よりも温度の低い第1高温貯蔵室に対応する第1高温吸込み口は庫内温度を確保するための冷気循環量が多く、第1高温貯蔵室との接続部に幅方向で近い側端部から遠い側端部へと通風抵抗の関係から風速が低下していく。したがって、第2高温吸込み口を第1高温貯蔵室との接続部に対して幅方向で遠い側の側端部に配置することで、第2高温吸込み口から冷却器へと流入する戻り冷気は、第1高温吸込み口から冷却器へと流入する循環風速の影響を受けにくく出来るため、逆流等の相互干渉を抑制し熱交換効率の確保が図れる。
第6の発明は、第1から第3のいずれかの発明において、複数の高温吸込み口は、第1高温吸込み口と第2高温吸込み口を有し、第1高温吸込み口に対応する第1高温貯蔵室の
温度は、第2高温吸込み口に対応する第2高温貯蔵室の温度より低く、第2高温吸込み口は、第1高温吸込み口に対して水平方向および垂直方向で併設して配置したものである。
これによって、冷却器背面に流入する戻り冷気は、冷却器全幅で熱交換することが可能であるため、熱交換効率が上がり冷凍サイクル効率が上がるため省エネになる。また、高温戻り風路の小型化が出来るため、庫内容積の増加とコストダウンが出来る。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例または先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の縦断面図、図2は、本発明の実施の形態1における冷却室の縦断面図、図3は本発明の実施の形態1における冷蔵庫の冷却室の正面風路図、図4は本発明の実施の形態1における冷蔵庫の冷却室の詳細縦断面図である。
図1から図4において、冷蔵庫30の断熱箱体31は主に鋼板を用いた外箱32とABSなどの樹脂で成型された内箱33とで構成され、その内部には断熱材として例えば硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材34が充填、周囲と断熱され、複数の貯蔵室に区分されている。
冷蔵庫30の複数の貯蔵室は、最上部に冷蔵室35、最下部に野菜室36、そして冷蔵室35と野菜室36の間に冷凍室37が配置されている。
冷蔵室35の前面開口部には冷蔵室ドア38、野菜室36の前面開口部には野菜室ドア39、冷凍室37の前面開口部には冷凍室ドア40が、それぞれの前面開口部を開閉自在に支持されている。
冷蔵室35は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1℃〜5℃とし、野菜室36は、3〜8℃まで設定することができる。冷凍室37は冷凍温度帯に設定されており、冷凍保存のために通常−22℃〜−15℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、例えば−30℃や−25℃の低温で設定されることもある。
また、仕切壁である第一区画壁71によって野菜室36と冷凍室37とは上下に区画され、仕切壁である第二区画壁72によって冷蔵室35と冷凍室37とは上下に区画されている。
次に冷却室の構成について説明する。
冷却室43は縦区画壁45によって冷凍室37と断熱区画されている。冷凍室37の背面には冷気を生成する冷却室43が設けられ、内部には代表的なものとしてフィンアンドチューブ式の冷気を生成し、材質としては、アルミや銅が用いられる冷却器44が配設されている。
冷却器44は、内部を冷媒が流動する冷媒チューブ201と、所定間隔毎に配置された複数のプレートフィン202を備えている。
冷媒チューブ201は、アルミニウム製あるいはアルミニウム合金製の一本の管体を、直管部と曲管部が連続し、列(左右)方向Xおよび段(上下)方向Yにおいて複数となる
ように蛇行状に曲げ加工されたサーペンタインチューブであり、曲管部を形成する接続管を用いることなく一本の冷媒流路を形成している。そして、プレートフィン202に形成された長孔203を冷媒チューブ201の曲管部が貫通することにより、冷媒チューブ201の直管部がプレートフィン202と密着した構成となっている。
長孔203は、矩形部と円弧部とを有し、該矩形部の両側短辺に前記円弧部がそれぞれ連続して形成された長穴状に形成されている。また、円弧部には、冷媒チューブ201の直管部と密着固定するための縁立成形された円弧部カラーが設けられており、矩形部長手方向の両端にも、略垂直に縁立成形された矩形部カラーが設けられている。この矩形部カラーは、冷蔵庫背面に向かって下方に傾斜するように冷却器44が設置されている。
冷却器44の上方には、生成された冷気を強制的に送風する送風機46が配置され、冷却器44の下方には、冷却器44に付着した霜や氷を除霜する除霜ヒータ47が設けられている。さらにその下部には除霜時に生じる除霜水を受けるためのドレンパン48、その最深部から庫外に貫通したドレンチューブ49が構成され、その下流側の庫外に蒸発皿50が構成されている。
除霜ヒータ47は、具体的にはガラス製のガラス管ヒータ59であり、特に冷媒が炭化水素系冷媒ガスである場合、防爆対応としてガラス管が2重に形成された2重ガラス管ヒータが採用されている。ガラス管ヒータ59の上方には、ガラス管ヒータ59を覆うヒータカバー60が配置され、除霜時に冷却器44から滴下した水滴が除霜によって高温になったガラス管表面に直接落ちることで、ジュージューといった音が発生しないようにガラス管径および幅と同等以上の寸法としている。
ここで、近年の冷凍サイクルの冷媒としては、地球環境保全の観点から地球温暖化係数が小さい可燃性冷媒であるイソブタンが使用されている。この炭化水素であるイソブタンは空気と比較して常温、大気圧下で約2倍の比重である(2.04、300Kにおいて)。これにより従来に比して冷媒充填量を低減でき、低コストであると共に、可燃性冷媒が万が一に漏洩した場合の漏洩量が少なくなり安全性をより向上できる。
本実施の形態では、冷媒にイソブタンを用いており、防爆対応として除霜時のガラス管ヒータ59の外郭であるガラス管表面の最大温度を規制している。そのため、ガラス管表面の温度を低減させるため、ガラス管を2重に形成された2重ガラス管ヒータを採用しているのである。このほか、ガラス管表面の温度を低減させる手段としては、ガラス管表面に放熱性の高い部材(例えばアルミフィン)を巻きつけることも出来る。このとき、ガラス管を1重とすることで、ガラス管ヒータ59の外形寸法を小さく出来る。
また、除霜時の効率を向上させる手段としては、ガラス管ヒータ59に加えて、冷却器44に密着したパイプヒータを併用しても良い。この場合、パイプヒータからの直接の伝熱によって冷却器44の除霜は効率的に行われると共に、冷却器44の周囲のドレンパン48や送風機46に付着した霜をガラス管ヒータ59で溶かすことが出来るため、除霜時間の短縮が図れ、省エネや除霜時間における庫内温度の上昇を抑制することが出来る。
なお、ガラス管ヒータ59とパイプヒータを組み合わせた場合、お互いのヒータ容量を適正化することで、ガラス管ヒータ59の容量を低くすることが可能となる。ヒータ容量を低くすると除霜時のガラス管ヒータ59の外郭の温度も低くすることが出来るため、除霜時の赤熱も抑制できる。
ドレンパン48は冷却室43の底面および背面の一部を構成している。底面は、除霜水をドレンチューブ49に集めるためにドレンチューブ49との接続部が最も低くなるよう
構成されており、ドレンチューブ49との接続部において除霜ヒータ47から最も離れる(距離L)ことになる。背面はドレンパン48の貯水量が確保できる高さを超える高さまで立ち上がっており、底面と背面とのなす角は緩やかな曲面で構成される。
次に、風路構成について説明する。
縦区画壁45は、冷凍室37の外殻をなす前区画壁45aと冷却室43の外殻をなす後区画壁45bとから構成される。前区画壁45aと後区画壁45bとの間の空間は各貯蔵室に向けて冷気を分岐させる分配風路51である。
前区画壁45aは、上方に冷凍室吐出口52を有し、分配風路51と冷凍室37とを連通している。下方には冷凍室37側へ突出した冷凍室戻り風路53を有し、冷凍室戻り風路53前面に設けられた入り口53aから冷却室43へ冷凍室37の戻り冷気を導入する。
分配風路51は、第一区画壁71内に設けられた野菜室吐出風路(図示せず)に接続し、分配風路51と野菜室36とを連通している。また第二区画壁72内に設けられた冷蔵室吐出風路85に接続し、分配風路51と冷蔵室35とを連通している。
後区画壁45bは上方に送風機46を備え、下方には冷凍室戻り風路53と冷却室43とを区画するリブ55を有する。冷凍室戻り風路53をリブ55とドレンパン48とにより囲まれた領域が冷凍室吸込み口56であり、冷凍室戻り風路53と冷却室43とを連通する。
なお、冷凍室吸込み口56の面積は、入り口53aの面積よりも大きくなるように構成される。また、ドレンチューブ49の中心を通る縦断面において、除霜ヒータ47とドレンチューブ49との距離Lは、同じ縦断面での冷凍室吸込み口56の高さHよりも大きくなるように構成される。また、冷却室43背面と除霜ヒータ47との距離Bも、冷凍室吸込み口56の高さHより大きくなるように構成される。
冷凍室戻り風路53の底面は、ドレンパン48の一部により冷却室43の底面と続きで構成される。ドレンパン48は入り口53aの下端より始まり冷凍室吸込み口56上端を通りドレンチューブ49まで下向きに傾斜し、その後緩やかに上向きに転じ冷却室43の背面へと繋がる形状を有する。
冷却器44の背面に冷蔵室戻り風路87が配置されている。冷蔵室戻り風路87は第二区画壁72を通り冷蔵室35と冷却室43とを連通しており、冷蔵室35を冷却した冷気が流れている。冷蔵室戻り風路87は下方に冷却室43と連通する冷蔵室吸込み口88を備える。
また、冷却器44の背面には、冷蔵室吸込み口88と併設して野菜室吸込み口89も有している。野菜室吸込み口89は第一区画壁71内に設けられた野菜室戻り風路90を介して野菜室36と連通している。
そして、冷蔵室吸込み口88に連通する冷蔵室戻り風路87と、野菜室吸込み口89に連通する野菜室戻り風路90はそれぞれ独立した戻り風路として構成されている。
また、冷蔵室吸込み口88および野菜室吸込み口89は、冷却器44の下端近傍に設けられ、冷凍室吸込み口56よりも高い位置に構成される。
また、併設した冷蔵室吸込み口88と野菜室吸込み口89とを合わせた複数の高温吸込み口の幅寸法を冷却器44の幅寸法と略同一に配置している。
また、野菜室より低い温度帯の冷蔵室吸込み口88の開口面積は、野菜室吸込み口89の開口面積より大きく設定している。
また、野菜室吸込み口89は、冷蔵室吸込み口88に対応する冷蔵室戻り風路87の冷蔵室35との接続部に対して幅方向で遠い側の側端部に配置している。
なお、併設する野菜室吸込み口89と冷蔵室吸込み口88とは水平方向および垂直方向でラップするように併設して配置してもよい。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、冷却運転時について説明する。
冷却室43の冷却器44で生成された冷気の一部は送風機46によって分配風路51内前方へ強制的に送風される。冷凍室37は冷凍室吐出口52から吐出された冷気によって冷却され、冷気は縦区画壁45の下部に設けられた冷凍室戻り風路53を介して冷凍室吸込み口56より冷却器44の下部に導かれ、冷却器44で熱交換されて、再び新鮮な冷気が送風機46によって循環を繰返す。これによって冷凍室37は冷凍室センサー(図示しない)の制御で適温に冷却される。
また分配風路51内上方に吐出された冷気は第二区画壁72内の高温吐出風路85を経て冷蔵室35に吐出される。また、野菜室36へは、分配風路51内に吐出された冷気が第一区画壁71内を循環し、野菜室36内に流入する。冷蔵室35および野菜室36を循環した冷気は、空気や貯蔵物に含まれる湿気を帯びた空気となって、冷蔵室35からは冷蔵室戻り風路87を通り冷蔵室吸込み口88から冷却器44の下部に導かれて冷却器44と熱交換して、新鮮な冷気が再び送風機によって強制的に送風される。同様に、野菜室36からは野菜室戻り風路90を通り野菜室吸込み口89から冷却器44の下部に導かれて冷却器44と熱交換して、新鮮な冷気が再び送風機によって強制的に送風される。
これによって、冷蔵室35や野菜室36は、冷却器44から離れた位置にあっても、送風機46によって冷気を強制的に循環させることで室内を設定温度に冷却することができる。
ここで、野菜室36へ冷気を導入する野菜室吐出風路(図示せず)の風路内に、冷気量を調整する開閉弁(図示せず)を設けても良い。この場合、開閉弁によって、野菜室36内の温度を緻密に制御できるため、例えば、夏場や買い物後の食品収納時の過度な扉開閉時においても庫内の温度変動を抑制し、庫内を適温に維持することが出来る。
また除霜ヒータ47は、除霜時に、ヒータ熱で冷却室43内および冷蔵室戻り風路87内および野菜室戻り風路90内を加熱できるので、結露や凍結を改善し防止することができ信頼性を高めることができる。
ここで、吸込み風路構成について説明する。
送風機46から吐出された冷気が、冷蔵室35、野菜室36、冷凍室37の全ての貯蔵室を循環しているとき、冷却室43には冷凍室37からの戻り冷気と、冷蔵室35と野菜室36からの高温戻り冷気の3つの流れが同時に流れ込むことになる。
即ち、冷凍室37からの戻り冷気は、入り口53aから冷凍室戻り風路53を通り、冷凍室吸込み口56から冷却室43へ入り、冷蔵室35からの高温戻り冷気は、冷蔵室戻り風路87を通り、冷蔵室吸込み口88から冷却室43へ入り、野菜室36からの高温戻り冷気は、野菜室戻り風路90を通り、野菜室吸込み口89から冷却室43へ入る。
本実施の形態では、冷凍室吸込み口56は冷却室43前面に、冷蔵室吸込み口88は冷却室43背面に設けられ、冷凍室吸込み口56は冷蔵室吸込み口88よりも下方に位置し、入り口53aより冷凍室吸込み口56が下方にあることから、冷凍室戻り冷気は、冷凍室戻り風路53の底面を構成するドレンパン48に沿って下向きに冷却室43に流れ込む。ドレンパン48の上方には、霜や氷を溶かすための除霜ヒータ47を備えているが、冷凍室吸込み口56の高さHよりも除霜ヒータ47とドレンパン48との距離Lや、冷却室43の背面との距離Bを大きくしているため、冷凍室戻り冷気は空間の広い除霜ヒータ47の下へ流れ込みやすく、その後はそのまま冷却室43の底面を流れドレンパン48の形状に従って方向転換し、冷却室43の背面を上向きに流れる際も、圧力損失を小さく抑えることができる。
これによって、後向きの速度が大きい冷凍室戻り冷気と前向きの速度が大きい高温戻り冷気は、上下方向にずれるため、相互干渉を抑制し庫内を循環する風量を大きくすることができる。よって、より冷却能力を向上することができる。また、最も冷やす必要がある冷凍室37のみに冷気が循環している際も、冷凍室吸込み口56がより下方にあることで、冷凍室戻り冷気が冷却器44を通過する距離が長くなり熱交換量を増やすことで、更なる冷却能力を向上させることができる。
前述の冷凍室戻り冷気と、冷却室43の背面に設置された冷蔵室吸込み口88および野菜室吸込み口89から出てきた高温戻り冷気は、冷却室43の背面で合流するが、高温戻り冷気は上向きの冷凍室戻り冷気に押され、スムーズに上向きに方向転換し、冷凍室戻り冷気と一緒に冷却器44へ突入することができる。従って、冷凍室戻り冷気と高温戻り冷気の2つの流れが正面衝突しお互いに邪魔することがないため、2つの流れの風量を増やすことで冷却器44の熱交換量を増加させ、冷却能力を向上させることができるのである。
なお、冷却室43の底面を構成するドレンパン48の形状を、冷凍室吸込み口56からドレンチューブ49にかけて下方に傾斜した形状を有することにより、冷凍室戻り冷気は、ドレンパン48沿って下方へ流れた後背面に沿って上昇させることができるため、高温吸込み口58前方において冷凍室戻り冷気の速度が上向きとなり、高温戻り冷気とスムーズに合流でき、より風量を増やし冷却能力を向上させることができる。
また、冷凍室吸込み口56は上流側に冷凍室戻り風路53を備え、冷凍室戻り風路53の入り口53aは冷凍室吸込み口56よりも上方に位置させているため、冷凍室吸込み口56での冷凍室戻り冷気は下向きに冷却室43に流れ込むため、よりドレンパン48に沿って流れ易くなり、より圧力損失を小さくしたまま低温戻り冷気との干渉を抑制することができる。さらに、冷凍室戻り風路53の入り口53aの面積は冷凍室吸込み口56の面積よりも小さいことにより、さらに冷凍室吸込み口56での圧力損失を低減することができる。
また、冷蔵室35および野菜室36からの戻り冷気の流入部分である、冷却器背面の高温吸込み口を、冷却器の幅寸法と略同一に配置している。これによって、冷蔵庫内を循環する戻り冷気の中で、冷却器44と温度差の大きい冷蔵室戻り冷気と野菜室戻り冷気は、冷却器44との熱交換を冷却器幅と略同一寸法で行えるため、冷却器44での熱交換面積
を大きく取ることができると共に、冷凍サイクル効率の向上によって省エネを図ることができる。
更に、冷蔵庫の使用状態の中で、冷蔵室35と野菜室36の扉開閉回数は多い。特に近年では野菜室36に、野菜以外のペットボトルを冷却保存する実態もあり、1日の内で冷蔵室35や野菜室36の扉開閉回数は10年前に対して上昇傾向にある。よって、前述のように冷蔵室35や野菜室36の高温貯蔵室を循環する高温戻り冷気と冷却器との熱交換量が大きくなることは、庫内を冷却する時間を減らすことができるため、冷却運転時間の短縮による冷却器44への着霜量も減らすことができる。特に、高温貯蔵室は扉開閉回数が多いことで外気の水分が侵入し易いだけで無く、温度が高いため空気中に保持する絶対湿度も高いため冷却器44への霜の付着量も多くなる。冷却器44への着霜量を減らすことで、冷却器44の除霜周期を延ばす事が可能となり、除霜ヒータ47の入力回数低減と除霜による庫内温度上昇後の庫内冷却に要する入力低減が図れ、更なる省エネを行うことができる。
更に、冷却器44での熱交換面積を大きく取ることができることは、冷却器44に着霜させる面積を大きくすることであるため、着霜時の冷却能力の劣化も抑制することができる。これによって、冷蔵庫を運転した後、除霜を必要とするまでの時間(除霜周期)を延ばす事が可能となり、除霜ヒータ47の入力回数低減と除霜による庫内温度上昇後の庫内冷却に要する入力低減が図れ、更なる省エネを行うことができる。
また、冷却室43の背面に併設設置された各々の吸込み口である冷蔵室吸込み口上端88aと野菜室吸込み口上端89aが、冷却器44の下端である冷却器下端44bよりも上方に位置してある。
これによって、冷却室43内において、冷蔵室35および野菜室36からの戻り冷気は、冷凍室37からの冷凍室戻り冷気の上方を流れるため、後向きの速度が大きい冷凍室戻り冷気と前向きの速度が大きい冷蔵室35および野菜室36からの戻り冷気は、上下方向にずれ、相互干渉を抑制し庫内を循環する風量を大きくすることができるため、より冷却能力を向上することができる。
また、ドア開閉時に侵入した空気中の水分や、庫内に投入された食品に付着している水分、さらに庫内に保存されている野菜からの水分等で冷却器44には、霜が付着する。この霜が成長を遂げると冷却器44と循環冷気との間で熱交換効率が低下し庫内を十分に冷却できず、最終的に不冷もしくは鈍冷状態となる。よって、冷蔵庫では、冷却器44に付着した霜を定期的に除霜する必要があるが、本実施の形態のように、冷蔵室吸込み口上端88aと野菜室吸込み口上端89a、冷蔵室吸込み口下端88bと野菜室吸込み口下端89bの間に、冷却器下端44bを配設することで、水分量の大きい高温戻り冷気によって冷却器背面下部に付着した霜が成長しても冷却器底面側へと高温戻り冷気が流れるため耐着霜性能として向上する。よって、着霜時の冷却能力の劣化も抑制することができる。
なお、冷蔵室吸込み口上端88aと野菜室吸込み口上端89aを冷却器44の下方とした場合、冷蔵室戻り風路87の風路抵抗が増加し循環風量が低下するため冷却能力が低下する。一方、冷蔵室吸込み口上端88aと野菜室吸込み口上端89aを冷却器44の上方とした場合、風路抵抗が減少し循環風量が増加するが、冷却器44へ戻り冷気が流れやすくなり付着する霜によって、冷蔵室戻り風路87が閉塞する可能性がある。そのため、本実施の形態のように、冷蔵室吸込み口上端88aと野菜室吸込み口上端89a、冷蔵室吸込み口下端88bと野菜室吸込み口下端89bの間に、冷却器下端44bを配設することで、冷却能力と着霜耐力の両方を満足する構成としている。特に、冷却器44の最下段のパイプと最下段よりも1段上のパイプの間に冷蔵室吸込み口上端88aと野菜室吸込み口
上端89aを配置することで冷却能力と着霜耐力の両方で最適化を図っている。
なお、冷却室43において、プレートフィン202の長孔203および矩形部カラー203bが冷蔵庫背面に向かって下方に傾斜するように冷却器44に設置されることで、合流した冷気は、冷却器44の背面側より鉛直上向き成分を主として突入し、突入した冷気の一部は、冷却器44のプレートフィン202および矩形部カラー203bに沿って流れ、冷却器44の前面へと誘導される。これにより、冷気が冷却器44全体を通過することで熱交換量を増加させることができるため、冷却能力を向上することができる。
また、本実施の形態では、冷蔵室吸込み口88の開口面積を野菜室吸込み口89の開口面積に対して大きく設定している。野菜室36の温度は、収納する野菜によって最適な貯蔵温度があり、葉野菜については約1〜2℃、実野菜については約8〜9℃程度と分けて貯蔵することが好ましいが、一般的に、冷蔵室35の温度は野菜室36に対して低く設定される。そのため、本実施の形態のように、冷蔵室吸込み口88を野菜室吸込み口89に対して、開口面積を大きく設定することで、冷蔵室内を野菜室温度よりも低温度に冷却するための循環する風量および冷気量を確保できる。
また、野菜室吸込み口89を、冷蔵室35と冷蔵室戻り風路87の接続部に対して幅方向で遠い側の側端部に配置している。
これによって、野菜室温度よりも低温度に冷却される冷蔵室35に対応する冷蔵室の戻り冷気は、冷蔵室戻り風路87内で野菜室戻り冷気よりも風速が高い状態で冷却器44へと循環する。更に、冷蔵室35と冷蔵室戻り風路87の接続部と冷却器44との風路内距離が短い風路が最も風速が早い。本実施の形態では、冷蔵室35と冷蔵室戻り風路87の接続部に対して、風路内距離が長い風路側に野菜室吸込み口89を配設しているため、野菜室36から冷却器44へ流入する戻り冷気は、冷蔵室戻り冷気が冷却器44へと流入する循環風速の影響を受けにくく出来るため、逆流等の相互干渉を抑制し熱交換効率の確保が図れる。
また、本実施の形態では、野菜室吸込み口89が冷蔵室吸込み口88に対して、水平方向および垂直方向で併設して配置している。
これによって、冷却器背面に流入する戻り冷気は、冷却器全幅で熱交換することが可能であるため、熱交換効率が上がり冷凍サイクル効率が上がるため省エネになる。また、冷蔵室戻り風路87と野菜室戻り風路90の形成するに際して部品の小型化が出来るため、コストダウンが出来る。特に、冷蔵室戻り風路87、冷蔵室吸込み口88、野菜室戻り風路90、野菜室吸込み口89を一体構成することで、作成する材料費と金型費を削減できると共に、製造工程での工数も削減できる。本実施の形態では、冷蔵室戻り風路87、冷蔵室吸込み口88、野菜室吸込み口89を一体部品で構成しており、材料費、金型費の低減に加えて、部品点数減による管理費用も低減している。これによって、製品全体としてのコストダウンを図れ、販売価格の低下にも繋がり、販売率の向上を図ることが出来る。
なお、野菜室吸込み口89が冷蔵室吸込み口88を冷却器44の背面に配設出来るため、無効空間を低減することができ、庫内容積の増加となり使い勝手の向上を図れる。
なお、冷蔵庫30は3つの貯蔵室の中で外気温との温度差が大きい冷凍室37を最も冷やす必要があるため、冷蔵室吐出風路85を開閉弁(図示せず)で閉じるなどすることで、冷凍室37のみに冷気を循環させる必要がある。送風機46から吐出された冷気が冷凍室37のみを循環しているとき、冷却室43には冷凍室37からの戻り冷気のみが流れ込むことになる。
このときも冷凍室戻り冷気は、全貯蔵室に冷気が循環しているときと同様に、入り口53aから冷凍室戻り風路53を通り、冷凍室吸込み口56から冷却室43へ入り、除霜ヒータ47の下を通りドレンパン48に沿って背面から冷却器44へ突入する。従って、冷凍室戻り冷気は冷却器44内を対角線上に流れることができ、熱交換距離を長く取ることができるため、熱交換量を増加し冷却能力を向上させることができる。
さらに、冷却室43の前面に設置された吸込み口は冷凍室吸込み口56のみであるため冷凍室吸込み口56の幅を冷却器44の幅と同じまで広げることができる。従って、冷凍室37のみに冷気が循環しているときでも、冷却器44全体を使うことができ、冷却能力を更に向上させることができる。
また、冷凍室吸込み口は冷凍室戻り風路53の入り口53aよりも大きいため、ここでの圧力損失も抑制することができ、さらに風量を増加させることができる。
以上のように、冷蔵庫全体を冷却する場合も、冷凍室を中心に冷却する場合においても、
冷却能力の向上が図れる。
また、一般的に冷蔵庫30の背面には低温の冷却器44が配置されているため背面の断熱壁を介して侵入する熱が多いが、冷却室43と断熱壁の間に高温戻り風路を構成しているため、冷蔵庫30の背面の断熱壁を介して侵入する熱量を低減することができる。
更に、冷却器44によって冷却された冷気は、熱伝達によってその周辺に広がるが、冷却器44の背面に設置された冷蔵室戻り風路87および野菜室戻り風路90の中を冷蔵室35や野菜室36からの戻り冷気が流れる際に、冷却器44から漏れ出した冷気を吸収し、再び冷却室43へ帰還させるため、冷蔵庫30の外への冷気漏れを抑制し、消費電力量を低減することができる。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2における冷蔵庫の縦断面図、図6、本発明の実施の形態2における冷却室の正面図である。
なお、実施の形態1と同様の構成および同様の技術思想が適用できる部分については、説明を省略するが、不具合がない限り実施の形態1の構成に本実施の形態を組み合わせて適用することが可能である。
図5および図6において、冷蔵庫30の複数の貯蔵室は、最上部に冷蔵室35、最下部に野菜室36、そして冷蔵室35と野菜室36の間に冷凍室37が配置されている。
また、仕切壁である第一区画壁71によって野菜室36と冷凍室37とは上下に区画され、仕切壁である第二区画壁72によって冷蔵室35と冷凍室37とは上下に区画されている。
分配風路51はまた、第一区画壁41内に設けられた高温吐出風路54に接続している。さらに高温吐出風路54は冷蔵室35および野菜室36と接続している。
また、冷却室43の背面は、冷蔵室吸込み口88の横に野菜室吸込み口89を有する。冷却器44の背面に冷蔵室戻り風路87が配置されている。冷蔵室戻り風路87は第二区画壁42を通り冷蔵室35と冷却室43とを連通しており、冷蔵室35を冷却した冷気が
流れている。冷蔵室戻り風路87は下方に冷却室43と連通する冷蔵室吸込み口88を備える。また、野菜室戻り風路90も冷却器44の背面に配置され、第一区画壁41内に設けられた野菜室36と連通する野菜室戻り風路90を介して、冷却器44の下端近傍に設けられた野菜室吸込み口89に冷気が流れている。
冷蔵室吸込み口88および野菜室吸込み口89は、冷却器44の下端近傍に設けられ、冷凍室吸込み口56よりも高い位置に構成される。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
分配風路51内上方に吐出された冷気は第一区画壁41内の冷蔵室吐出風路84を経て、尚且つ、第二区画壁42を通過し、冷蔵室35に吐出される。冷蔵室35内を冷却した冷気は湿気を帯びた空気となって、冷蔵室戻り風路87を通り冷蔵室吸込み口88から冷却器44の下部に導かれて冷却器44と熱交換および除湿され、新鮮な冷気が再び送風機によって強制的に送風される。
また野菜室36へは、分配風路51内上方に吐出された冷気が、第一区画壁41内の冷蔵室吐出風路84から分岐して野菜室吐出風路(図示せず)を経て野菜室36に吐出される。野菜室36内を冷却した冷気は湿気を帯びた空気となって、野菜室戻り風路90を通り野菜室吸込み口89から冷却器44の下部に導かれて冷却器44と熱交換および除湿され、新鮮な冷気が再び送風機によって強制的に送風される。
野菜室36への冷気は、本実施の形態では冷蔵室吐出風路84から分岐しているが、独立させ直接、野菜室吐出風路(図示せず)を経て野菜室36に吐出してもよい。この場合は、野菜室吐出風路(図示せず)の風路内に、冷気量を調整する開閉弁(図示せず)を設けると良い。開閉弁によって、野菜室36内の温度を緻密に制御できるため、例えば、夏場や買い物後の食品収納時の過度な扉開閉時においても庫内の温度変動を抑制し、庫内を適温に維持することが出来る。
冷蔵室35からの冷蔵室戻り冷気および野菜室36からの野菜室戻り冷気は、冷蔵室戻り風路87中および野菜室戻り風路90中を下向きに流れてくるが、冷却器44の下面で前向きに方向転換し冷却室43の背面に設置された冷蔵室吸込み口88および野菜室吸込み口89から冷却室43内に流れ込む。
冷蔵室吸込み口88から出てきた冷蔵室戻り冷気と、野菜室吸込み口89から出てきた野菜室戻り冷気は、冷却室43の背面に沿って上ってきた冷凍室戻り冷気と合流する。冷蔵室戻り冷気と野菜室戻り冷気は、上向きの冷凍室戻り冷気に押され、スムーズに上向きに方向転換し、冷凍室戻り冷気と一緒に冷却器44へ突入することができる。
ここで、本実施の形態では、冷蔵室吸込み口88と野菜室吸込み口89とは横並びで構成しており、冷却器の幅寸法と略同一に吸込み口を配置している。これによって、冷蔵室戻り冷気と野菜室戻り冷気が上向きに流れる冷却室43内ではお互いが干渉することはなく、更に、冷却器44での熱交換面積を大きく取ることができるとため、冷凍サイクル効率の向上によって省エネを図ることができる。
なお、風路構成により冷蔵室吸込み口88と野菜室吸込み口89とを上下に並べて構成した場合でも、全ての冷却室43内では全ての流れが上方向を向くため、干渉し合い風量を低下させることはない。
従って、全ての戻り冷気はお互いに干渉し合うことがないため、循環する風量を増やす
ことで冷却器44の熱交換量を増加させ、冷却能力を向上させることができる。
なお、本実施の形態では、冷蔵室戻り風路87および野菜室戻り風路90は、それぞれ冷蔵庫背面側で独立した風路で構成されている。
即ち、内箱33を各貯蔵室毎に生成して接続する構成としており、この場合でも各風路を冷却室に導く場合に、前述と同様の効果を得ることが出来る。更に、第一区画壁41および第二区画壁42を構成する必要が無いため材料費と金型費低減によるコストダウンや、部品管理費用、取り付け工数費用を削減することが出来る。
以上のように、本発明にかかる冷蔵庫の構成は、風路の圧力損失を大きくすることなく冷却器の熱交換量を向上させることができるため、家庭用又は業務用冷蔵庫など、強制的に風を循環させて熱交換を行っている機器に対しても適用できる。
30 冷蔵庫
35 冷蔵室(第一高温貯蔵室)
36 野菜室(第二高温貯蔵室)
37 冷凍室(低温貯蔵室)
43 冷却室
44 冷却器
44b 冷却器下端
46 送風機
47 除霜ヒータ
48 ドレンパン(冷却室底面)
53 冷凍室戻り風路
53a 入り口
56 冷凍室吸込み口(低温吸込み口)
87 冷蔵室戻り風路(高温戻り風路)
88 冷蔵室吸込み口(第1高温吸込み口)
88a 冷蔵室吸込み口上端(第1高温吸込み口上端)
89 野菜室吸込み口(第2高温吸込み口)
89a 野菜室吸込み口上端(第2高温吸込み口上端)
90 野菜室戻り風路(高温戻り風路)
91 冷蔵室接続部(第1高温貯蔵室接続部)
201 冷媒チューブ
202 プレートフィン
203 長孔

Claims (6)

  1. 冷気を生成する冷却器と、前記冷却器で生成された冷気を強制的に循環させる送風機と、前記冷却器および送風機とを収める冷却室と、前記冷却室を背面に備える低温貯蔵室と、前記低温貯蔵室と温度帯の異なる複数の高温貯蔵室と、前記低温貯蔵室からの低温戻り冷気を冷却室へ導入する低温吸込み口と、前記複数の高温貯蔵室からの高温戻り冷気を戻り風路を介して冷却室へ導入する複数の高温吸込み口とを備える冷蔵庫において、
    前記低温吸込み口は前記冷却室前面に、前記複数の高温吸込み口は前記冷却室背面に設けられ、前記複数の高温吸込み口は、各高温貯蔵室からの独立した戻り風路に連通して併設して配置したことを特徴とする冷蔵庫。
  2. 前記複数の高温吸込み口は、前記冷却器の幅寸法と略同一に配置したことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
  3. 前記複数の高温吸込み口の上端は、前記冷却器の下端より上方に配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の冷蔵庫。
  4. 前記複数の高温吸込み口は、第1高温吸込み口と第2高温吸込み口を有し、前記第1高温吸込み口に対応する第1高温貯蔵室の温度は、前記第2高温吸込み口に対応する第2高温貯蔵室の温度より低く、前記第1高温吸込み口の開口面積は、前記第2高温吸込み口の開口面積より大きく設定したことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
  5. 前記複数の高温吸込み口は、第1高温吸込み口と第2高温吸込み口を有し、前記第1高温吸込み口に対応する第1高温貯蔵室の温度は、前記第2高温吸込み口に対応する第2高温貯蔵室の温度より低く、前記第2高温吸込み口は、前記第1高温吸込み口に対応する戻り風路の第1高温貯蔵室との接続部に対して幅方向で遠い側の側端部に配置したことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
  6. 前記複数の高温吸込み口は、第1高温吸込み口と第2高温吸込み口を有し、前記第1高温吸込み口に対応する第1高温貯蔵室の温度は、前記第2高温吸込み口に対応する第2高温貯蔵室の温度より低く、前記第2高温吸込み口は、前記第1高温吸込み口に対して水平方向および垂直方向で併設して配置したことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
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