JP2014237599A - 局所作用型の抗炎症組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】上皮又は粘膜に投与可能な局所作用型の抗炎症組成物を提供すること。【解決手段】本発明に係る抗炎症組成物は、Cys−Gly−Pro−Cysを含むアミノ酸配列からなるポリペプチドを有効成分として含有し、上皮又は粘膜に投与される局所作用型である。本発明に係る抗炎症組成物は、紫外線もしくは放射線による火傷、又は医薬品による副作用に起因する炎症性疾患患者に投与されることもできる。また、本発明に係る抗炎症組成物は、サイトカイン生産又は分泌を局所的に抑制する。【選択図】図3

Description

本発明は、抗炎症組成物に関し、具体的には、上皮又は粘膜に投与される局所作用型の抗炎症組成物に関する。
粘膜及び皮膚における炎症状態は、ケモカイン及びサイトカイン、特に炎症促進性サイトカイン、例えば、IL−1α、IL−1β、並びに腫瘍壊死因子α(TNF−α)の活性に関係することが知られている。また、これらのサイトカインは、粘膜及び皮膚の免疫応答開始において中心的な役割を果たすことも知られている。
このため、従来の抗炎症剤として、全身性免疫を抑制してケモカイン及びサイトカインの生成量を低減させる作用を持つ、いわゆる免疫抑制剤が使用されてきた。新たな抗炎症剤の候補として、チオレドキシンタンパク質が近年注目されており、種々の炎症性疾患モデルにおいて、チオレドキシンの遺伝子組換えによる過剰発現が有効であったことが報告されている。
ところで、免疫抑制剤は、全身性免疫を抑制する観点から、全身投与(代表的には、経口投与、注射投与)されるのが一般的である。チオレドキシンも、全身投与した際に炎症性疾患に有効であったことが報告され、これは、前述の遺伝子組換え過剰発現の報告と整合している。
しかし、全身性免疫の抑制は、感染症等に罹患する患者等にとってリスクであり、結果的に免疫抑制剤の有用性が制限されている。一方で、患者への負担軽減などの観点から、局所投与、特に上皮又は粘膜への投与が可能な抗炎症剤へのニーズが存在するが、免疫抑制剤は、全身性免疫を抑制するという作用上、上皮・粘膜投与に不向きであるのが一般的である。
この点、チオレドキシンの活性部位(Cys−Gly−Pro−Cys)を変異させた酸化還元不活性チオレドキシンを上皮投与することで、皮膚からリンパ節へのランゲルハンス細胞の遊走が阻害され、全身性免疫が抑制される結果、接触性皮膚炎を改善させる可能性が特許文献1に示唆されている。しかし、特許文献1に記載される試験結果には再現性がないことが本発明者らにより実証されており、上記示唆が科学的に信憑性を有するとは言い難い。
特表2008−501772号公報
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、上皮又は粘膜に投与可能な局所作用型の抗炎症組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、チオレドキシンの活性部位(Cys−Gly−Pro−Cys)を含むポリペプチドが、意外にも、上皮又は粘膜に投与されると、局所的に作用して炎症状態を改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
(1) Cys−Gly−Pro−Cysを含むアミノ酸配列からなるポリペプチドを有効成分として含有し、上皮又は粘膜に投与される局所作用型の抗炎症組成物。
(2) 紫外線もしくは放射線による火傷、又は医薬品による副作用に起因する炎症性疾患患者に投与される(1)記載の組成物。
(3) サイトカイン生産又は分泌を局所的に抑制する(1)又は(2)記載の組成物。
(4) 全身性免疫抑制剤ではない(1)から(3)いずれか記載の組成物。
(5) 感染症、自己免疫疾患、肺がん、及び皮膚がんからなる群より選ばれる1種以上に罹患し、又は非ステロイド性抗炎症薬の投与が禁忌である炎症性疾患患者に投与される(1)から(4)いずれか記載の組成物。
(6) 前記ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列、又は配列番号1と80%以上の相同性(ただし、Cys−Gly−Pro−Cysは保存されている)を有するアミノ酸配列を含む(1)から(5)いずれか記載の組成物。
本発明によれば、Cys−Gly−Pro−Cysを含むアミノ酸配列からなるポリペプチドを有効成分として含有する組成物を上皮又は粘膜に投与することで、局所的に作用して炎症状態を改善することができる。
本発明の一実施例に係る組成物の効果を示す図である。 本発明の一実施例に係る組成物の効果を示す図である。 本発明の一実施例に係る組成物の効果を示すグラフである。 本発明の一実施例に係る組成物の効果を示す図である。 本発明の一実施例に係る組成物の効果を示すグラフである。 本発明の一実施例に係る組成物の効果を示すグラフである。 本発明の一実施例に係る組成物の効果を示すグラフである。 本発明の一実施例に係る組成物の効果を示すグラフである。
本発明に係る抗炎症組成物は、Cys−Gly−Pro−Cysを含むアミノ酸配列からなるポリペプチドを有効成分として含有し、上皮又は粘膜に投与される局所作用型である。Cys−Gly−Pro−Cysはチオレドキシンタンパク質の活性サイトを構成するアミノ酸配列であり、この配列を含むポリペプチドは、酸化還元活性を介し、抗炎症性を発揮すると考えられる。
従来、チオレドキシンを全身投与(代表的には、経口投与、注射投与)して抗炎症作用を奏したことが知られていたが、上皮又は粘膜への投与による抗炎症作用は報告されていない。本発明は、チオレドキシンタンパク質が、意外にも、局所作用的にサイトカイン生産又は分泌を抑制することで、抗炎症効果を奏する発見に基づき、完成された。この発見は、特許文献1に示唆されるような、上皮又は粘膜にチオレドキシンを投与した際の全身性免疫の抑制効果に再現性がなかった事実と整合する。
本発明の抗炎症組成物は、特定原因物質による免疫応答の抑制ではなく、局所作用的にサイトカインの生成又は分泌(いわゆるサイトカインストーム)を抑制するものであるため、任意の原因による炎症を改善することができる。このため、本発明の抗炎症組成物は、紫外線もしくは放射線による火傷、又は医薬品による副作用に起因する炎症性疾患患者にも好適に投与することができる。なお、本発明で生成又は分泌が抑制されるサイトカインは、炎症性サイトカイン(ケモカイン含む)であり、TNF−α、IL−1β、IL−6、CXCL−1、MCP−1、IFNγ、IL−8、G−CSF等の1種以上が挙げられる。
別の側面で、本発明の抗炎症組成物は、全身性免疫を標的とするものではないので、従来の免疫抑制剤では適切でないと考えられる患者にも好適に投与することができる。例えば、感染症、自己免疫疾患、肺がん、及び皮膚がんからなる群より選ばれる1種以上に罹患した炎症性疾患患者、非ステロイド性抗炎症薬の投与が禁忌である炎症性疾患患者が挙げられる。
一方、投与経路及び作用のしかたは異なるものの、チオレドキシンがCys−Gly−Pro−Cysサイトの活性を通じて抗炎症を改善することは公知である。この技術水準にある当業者は、本明細書の開示に触れることで、Cys−Gly−Pro−Cysを有するポリペプチドの上皮又は粘膜投与により、炎症状態を改善し得ることを容易に理解することができる。
従って、本発明で用いられるポリペプチドは、生産効率の観点では、Cys−Gly−Pro−Cysを含み、必要最小限の数のアミノ酸で構成されることが好ましい。ポリペプチドの長さの下限は、4以上であればよく、具体的には10以上、25以上、50以上、75以上、100以上であってよい。ポリペプチドの長さの上限は、特に限定されず、例えば200以下、175以下、150以下、125以下、105以下、100以下、75以下、50以下、25以下、10以下、5以下、4であってよい。
一方で、本発明で用いられるポリペプチドは、免疫応答を生じにくいよう、ヒトチオレドキシンタンパク質と類似の配列を有することが好ましく、具体的には配列番号1(ヒトチオレドキシンタンパク質)のアミノ酸配列、又は配列番号1と80%以上の相同性(ただし、Cys−Gly−Pro−Cysは保存されている)を有するアミノ酸配列を含んでよい。相同性は、85%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上、95%以上である。
本発明に係る抗炎症組成物は、局所的なサイトカインの生成又は分泌を、増加幅を低減し、又は増加の予防をすることができるので、炎症性疾患を罹患した患者に対する治療、及び罹患前の患者に対する予防の双方において好適に使用される。
本発明の抗炎症組成物は、種々の剤形をとることができ、適用箇所(上皮又は粘膜)に応じて適宜の剤形から選択されてよい。粘膜としては、例えば口腔、肺等が挙げられる。剤形としては、具体的に、軟膏剤、クリーム、ゲル等の半固形状製剤、散剤、粒剤、スチック剤、シート剤(フィルム状のものも含む)、坐剤等の固形状製剤、水溶液、懸濁液、ローション、乳液等の液状製剤が挙げられる。また、必要に応じてこれらをスプレー剤にしてもよい。更に、貼付剤の形態、例えばパップ剤、プラスター剤、パッチ剤等も挙げられる。好ましくは、軟膏剤、クリーム、ゲル、スチック剤、シート剤(フィルム状のものも含む)、パップ剤が挙げられる。
本発明の抗炎症組成物は、剤形等に応じ、上記の有効成分であるポリペプチドに加え、外用剤に用いられる任意の成分を含有することができる。具体的な成分の詳細な説明は、省略する。また、本発明の抗炎症組成物は、全身性免疫抑制を伴いにくいので、投与される有効成分量や投与頻度を、自由に選択することができる。
(試験例1)
刺激接触性皮膚炎(ICD)を誘導するために、2%クロトン油10μL(アセトン/オリーブ油)(シグマ社)を、マウス耳の両側面及び背中に適用した。一方、マウスの耳両側面及び背中に、組換えヒトチオレドキシンタンパク質の20μg/mL PBS溶液(レドックスバイオサイエンス社)、又は対照としてBSA20μg/mL溶液を、ナノスプレー機(ミスト量1mL/分)で、10cmの間隔から5秒間に亘り、局所的に投与した。組換えヒトチオレドキシンタンパク質の投与タイミングは、マウスごとに、クロトン油の投与の前又は後のいずれかとした。
クロトン油投与の6時間後及び24時間後に、各マウスの耳の膨張を、DigimaticMicrometerを用いて盲式で測定した。この結果を図1Aに示す。
上記のマウス耳を、24時間かけてホルマリン中で固定し、パラフィン中に包埋し、ヘマトキシリン及びエオシンで染色した。この顕微鏡写真を図1Bに示す。また、皮膚中の好中球の数は、5つの異なる試料の10顕微鏡視野での定量分析で計測し、好中球数の平均値を求めた。毛細血管内径を、毛細血管拡張の定量的指標として測定し、具体的には、各々、皮膚内及び皮下組織中の20のランダムな血管の内壁を顕微鏡で計測し、平均値を求めた。この結果を図1Cに示す。
図1Aに示されるように、チオレドキシンをクロトン油の前又は後に処理することで、耳の膨張がBSAに比べて有意に抑制された。また、図1Bに示されるように、好中球浸潤及び浮腫のような皮膚炎症が、チオレドキシンの局所投与により抑制された。図1Cに示されるように、抗炎症作用の定量的指標である浸潤好中球数及び皮膚内毛細血管内径が、チオレドキシン群では、BSA群に比べて有意に低減されており、チオレドキシンの局所投与がICDを抑制することが示唆された。
上記のマウス耳を、24時間かけてホルマリン中で固定し、パラフィン中に包埋して3μm厚み片を得て、続いて、脱パラフィンし、メタノール中3%過酸化水素液で15分かけて内在性ペルオキシダーゼ活性をブロックし、さらに10%牛血清を室温で30分間に亘り添加して室温での非特異結合をブロックした。組織試料は、ウサギ抗マウスTNF−αポリクローナル抗体(Hycult Biotech社)、ヤギ抗マウスIL−1β抗体(R and D システムズ社)、ヤギ抗マウスIL−6ポリクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology社)、ヤギ抗マウスCXCL−1ポリクローナル抗体(R and D システムズ社)、抗MIFポリクローナル抗体(Invirogen社)、ラット抗マウスMCP−1モノクローナル抗体(Hycult Biotech社)で、4℃、終夜インキュベートした。PBSで洗浄した後、組織切片を、ビオチニル化抗ウサギ免疫グロブリン(Dako社)、ビオチニル化抗ヤギ免疫グロブリン(Dako社)、ビオチニル化抗ラット免疫グロブリン(Dako社)で30分間に亘ってインキュベートした後、ストレプトアビジン結合西洋ワサビペルオキシダーゼ(Dako社)で室温にて30分間インキュベートした。
各試料から、QuickGene RNA tissue kit SII(富士フィルム社)を用いて、全RNAを抽出した。この全RNAを、PrimeScript RT試薬キット(タカラバイオ社)を用いて逆転写させ、SYBR(登録商標)Premix Ex Taq(商標)II(タカラバイオ社)を用いてリアルタイムPCRにより定量を行った(タカラバイオ社より入手した適切なプライマーを使用、ハウスキーピング遺伝子としてGAPDHを用いた)。ABI PRISM7500配列検出システム(アプライドバイオシステムズ社)を用いて反応を行い、mRNAを定量した。この結果を図3に示す。
図2に示されるように、TNF−α、IL−1β、IL−6、MIF、CXCL−1、MCP−1のいずれも、クロトン油処理により、BSA群では表皮及び真皮内で強力に誘導されびまん性に発現していたのに対し、チオレドキシン群では発現が強力に抑制された。図3に示されるように、チオレドキシン群では、BSA群に比べ、TNF−α、IL−1β、IL−6、CXCL−1、MCP−1のmRNA量が有意に低減されていた。これらのサイトカインは炎症性サイトカインであり、その発現が抑制されたことは、チオレドキシン局所投与によるICDの抑制効果を示唆する。
各種抗体の代わりに、マウス抗ヒトチオレドキシンモノクローナル抗体(レドックスバイオサイエンス社)を用いて処理した後の試料を、室温にて、Histofine(登録商標)マウス染色キット(ニチレイ社)で処理して非特異結合をブロックし、次に、3,3’−ジアミノベンジジン希釈標準溶液(Vector Laboratories社)で処理した。この点を除き、図2の試料を得る手順と同様にして、試料(クロトン油処理なし群及びあり群)を作成し、顕微鏡写真を撮影した。この結果を図4A、Bに示す。
図4A、Bに示されるように、チオレドキシンは、非炎症状態では上皮及び皮膚付属器に分布していた(A)のに対し、炎症状態では上皮及び真皮の双方に分布していた(B)。また、炎症状態及び非炎症状態のいずれでも、チオレドキシン局所投与の6時間及び24時間後のいずれにおいても、チオレドキシンは血管及び尿のいずれにもELISAで検出されなかった(図示せず)。これらの事実は、局所投与されたチオレドキシンが皮膚組織へと浸透し、ICDにおける抗炎症効果を奏するが、循環器系には拡散しないことを示唆する。
図2に示されるように、サイトカインが上皮中にびまん性に発現していたことから、サイトカインがICDマウスモデルの角化細胞により生成される可能性が示唆される。そこで、チオレドキシンがクロトン油処理後のサイトカイン生成に与える影響を調査するため、角化細胞を用いた試験を行うことにした。
具体的には、Steve Uilric氏(MDアンデルソン癌センター)より提供された、自然に形質転換したBALB/c角化細胞株 PAM212を、熱不活化10%FBS(Hyclone社)、Hepes10mM(Sigma社)、1%非必須アミノ酸(Sigma社)、L−グルタミン(2mM)、ピルビン酸ナトリウム1mM(Sigma社)、100U/mL ペニシリン(Sigma社)、100μg/mL ストレプトアビジン(Sigma社)、0.25μg/mL アンフォテリシンB(Sigma社)、及び2−メルカプトエタノール(Sigma社)を加えたRPMI 1640(Sigma Chemical社)中においた。細胞を37℃、95%空気/5%CO2中で培養し、PAM212細胞を6ウェルプレートに、ウェルごとに2×10/2mLの密度で培地に植えて、24時間に亘り培養した。この細胞を、組換えヒトチオレドキシン各量の存在又は不存在下、20μg/mLクロトン油/0.1%エタノール、又は10nM PMAで処理した。その後の時間経過後の各細胞を用い、QuickGene RNA cultured cell kit SII(富士フィルム社)を用いた点を除き、図3と同様の手順でmRNAを定量した結果を図5(24時間経過後)及び図6(6、24、48時間経過後)に示す。なお、クロトン油20μg/mLという濃度が細胞に損傷を与えないことは、同じ細胞を用いた乳酸デヒドロゲナーゼ放出アッセイにより確認済みである(図示せず)。
図5に示されるように、2〜20μg/mLのチオレドキシンにより、TNF−α、IL−1β、IL−6、CXCL−1、MCP−1のmRNA量が有意に減少した。図6に示されるように、各サイトカインのmRNA量は、クロトン油接触の6時間後まで増加した後、48時間後に向けて基礎レベルに戻っていったが、その間、チオレドキシンにより顕著に低いレベルを維持していた。これらの事実は、チオレドキシンが、角化細胞により生成されるサイトカインのmRNA発現を抑制することを示唆する。
図5を得る過程で用いた各細胞の培養上清(クロトン油処理24時間後)を回収し、TNF−α、IL−6、MCP−1の量を、BD Cytometric Bead Array Mouse inflammation kit(BD Biosciences社)を用いて測定した。この結果を図7に示す。
図7に示されるように、培養上清におけるTNF−α、IL−6、MCP−1の量は、チオレドキシンによりBSAに比べて有意に低減していた。これにより、チオレドキシンが、クロトン油により誘導される角化細胞のサイトカイン生成及び放出を抑制する機能を有することが示唆された。
クロトン油の代わりに、ホルボール12−ミリステート13−アセテート(PMA)の接触による炎症を起こした点を除き、図6のデータを得た際と同様の手順で、TNF−αのmRNAを定量した(PMA処理6時間後)。この結果を図8に示す。
図8に示されるように、チオレドキシン群でのTNF−α mRNA発現量が、BSA群に比べて有意に低減された。また、この細胞を24時間インキュベートして免疫組織化学試験を行ったところ、PMAのみ群及びPMA+BSA処理群ではTNF−αが強力に発現していたのに対し、PMA+チオレドキシン群ではTNF−αの発現が強力に抑制されていた(図示せず)。これらの事実により、サイトカインが角化細胞により生成され、それがチオレドキシンにより抑制されることが明確に示された。

Claims (6)

  1. Cys−Gly−Pro−Cysを含むアミノ酸配列からなるポリペプチドを有効成分として含有し、上皮又は粘膜に投与される局所作用型の抗炎症組成物。
  2. 紫外線もしくは放射線による火傷、又は医薬品による副作用に起因する炎症性疾患患者に投与される請求項1記載の組成物。
  3. サイトカイン生産又は分泌を局所的に抑制する請求項1又は2記載の組成物。
  4. 全身性免疫抑制剤ではない請求項1から3いずれか記載の組成物。
  5. 感染症、自己免疫疾患、肺がん、及び皮膚がんからなる群より選ばれる1種以上に罹患し、又は非ステロイド性抗炎症薬の投与が禁忌である炎症性疾患患者に投与される請求項1から4いずれか記載の組成物。
  6. 前記ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列、又は配列番号1と80%以上の相同性(ただし、Cys−Gly−Pro−Cysは保存されている)を有するアミノ酸配列を含む請求項1から5いずれか記載の組成物。
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