JP2014230647A - 表示装置、表示方法および表示プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】生体物質内の構成物質についての2種類の指標による判別を重ね合わせて識別した組織や状態を表示する。【解決手段】2次元的分光特徴量を表示する装置であって、複数の特徴量を持つデータ群について、各特徴量の閾値の論理和或いは論理積により個々のデータを識別する識別手段を備える構成とした。【選択図】図6

Description

本発明は、生体組織の診断支援の情報となる画像を表示することが可能な表示装置、表示方法および表示プログラムに関する。
近年、分光計としての機能を備えた電子内視鏡が提案されている。このような電子内視鏡によれば、胃や直腸等の消化器の粘膜等の生体組織の分光特性(光の吸収率の周波数ごとの分布)を得ることができる。物質の分光特性は、測定対象となる生体組織の表層近傍に含まれる物質の種類や濃度の情報を反映していることが知られており、分析化学の体系に属する学問分野として確立されている。その中で、複合成分よりなる物質の分光特性は、その複合物質を構成する要素物質の分光特性を重畳した情報であることも知られている。したがって、測定対象の生体組織の分光特性を分析することで、生体組織に関する診断支援情報が得られることが期待される。
特許文献1および特許文献2のように、還元ヘモグロビンと酸素化ヘモグロビンの光吸収特性の違いを利用して酸素濃度分布を求めることができる内視鏡装置も知られている。これにより、診断に有用な血管の酸素飽和濃度画像が提供されることになる。
特開2011−010998号公報 特開2011−194151号公報
悪性腫瘍部は、新生血管の生成により血流は増加するものの、それ以上に組織での酸素消費が多く、結果として「高血流、低酸素」の組織となることが多くの研究により知られている。他方、バイパス手術等で注目すべきは血流量と組織への酸素供給であるので「低血流、低酸素」の組織である。医学的診断においては、このような生体物質、特にヘモグロビンについて、上記のような指標に関して識別可能に画像を表示できれば極めて有用な診断支援情報となり得る。しかしながら、上述のように、従来の装置は、強調画像による主観的な診断、もしくは、酸素飽和濃度の画像表示といった単一の指標に関する画像を提供することに留まっている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされた。すなわち、本発明は、生体物質内の構成物質の構成表示に関する。詳しくは、少なくとも2種類以上の指標に関しそれぞれの指標の閾値による判別を重ね合わせて識別した組織や状態を表示することができる表示装置、表示方法および表示プログラムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の実施形態に係る表示装置は、2次元的分光特徴量を表示する装置であって、複数の特徴量を持つデータ群について、各特徴量の閾値の論理和或いは論理積により個々のデータを識別する識別手段を備える。このように複数の特徴量の閾値の論理和或いは論理積の集合を識別し表示させることにより、観察対象についての極めて有用な診断支援情報を提供することが可能になる。
複数の特徴量のうち第1が総血液量で第2が血液の酸素飽和度であっても良い。この場合、血液(ヘモグロビン)に関する診断支援情報が提供されることになる。具体的には、識別手段は、低血液量かつ低酸素飽和度の部位を識別しても良い、或いは、高血液量かつ低酸素飽和度の部位を識別しても良い。
表示装置は、生体組織に関する分光画像データから重回帰分析により複数の特徴量を求める分析手段をさらに備えていても良い。
本発明の実施形態に係る表示方法は、2次元的分光特徴量を表示する方法であって、複数の特徴量を持つデータ群について、各特徴量の閾値の論理和或いは論理積により個々のデータを識別する手順を含む。このように複数の特徴量の閾値の論理和或いは論理積の集合を識別し表示させることにより、観察対象についての極めて有用な診断支援情報を提供することが可能になる。
上記表示方法において、複数の特徴量のうち第1が総血液量で第2が血液の酸素飽和度であっても良い。この場合、血液(ヘモグロビン)に関する診断支援情報が提供されることになる。具体的には、低血液量かつ低酸素飽和度の部位が識別されても良いし、或いは、高血液量かつ低酸素飽和度の部位が識別されても良い。
上記表示方法は、生体組織に関する分光画像データから重回帰分析により複数の特徴量を求める分析手順をさらに含んでいても良い。
また、本発明の一実施形態によれば、上記表示方法をコンピュータに実行させるために表示プログラムが提供される。
生体物質内の構成物質についての複数の指標に関しそれぞれの指標の閾値による判別を重ね合わせて識別した組織や状態を表示することが可能になる。
図1は、本発明の実施形態の診断システム1のブロック図である。 図2は、本発明の実施形態の診断システム1で取得した胃粘膜の分光画像データを示すグラフである。図2(a)は、胃粘膜の病変部に対応する画素のスペクトルを示したグラフであり、図2(b)は、胃粘膜の健常部に対応する画素のスペクトルを示したグラフである。 図3は、ヘモグロビンの吸収特性を示すグラフである。 図4は、図2に示す胃粘膜の分光画像データについて重回帰分析を行った結果を示すグラフである。図4(a)は、図2(a)に示される胃粘膜の病変部に対応する画素のスペクトルについて重回帰分析を行った結果を示すグラフであり、図4(b)は、図2(b)に示される胃粘膜の健常部に対応する画素のスペクトルについて重回帰分析を行った結果を示すグラフである。 図5は、図2に示す胃粘膜の分光画像データについて重回帰分析を行って得られた重回帰係数P1及びP2を示すグラフである。 図6は、本実施形態の画像処理部500によって実行される診断画像表示処理を示すフローチャートである。 図7(a)は、診断支援画像の一例として対象組織の高血液量かつ低酸素飽和度の部位を表示したものであり、図7(b)はその対象組織における総血液量のヒストグラムである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態の診断システム1のブロック図である。本実施形態の診断システム1は、生体組織の診断を行う際に医師によって参照される診断支援画像を生成するものである。診断システム1は、電子内視鏡100と、電子内視鏡用プロセッサ200と、画像表示装置300と、を有する。また、電子内視鏡用プロセッサ200には、光源部400と、画像処理部500が内蔵されている。
電子内視鏡100は、体腔内に挿入される挿入管110を有し、挿入管110の先端部(挿入管先端部)111に、対物光学系121が設けられている。挿入管先端部111の周囲の生体組織Tの対物光学系121による像は、挿入管先端部111に内蔵されている撮像素子141の受光面に結像するようになっている。
撮像素子141は、受光面に結像した像に対応する映像信号を、周期的に(例えば1/30秒おきに)出力している。撮像素子141から出力された映像信号は、ケーブル142を介して電子内視鏡用プロセッサ200の画像処理部500に送られる。
画像処理部500は、A/D変換回路510、一時記憶メモリ520、コントローラ530、ビデオメモリ540及び信号処理回路550を有する。A/D変換回路510は、電子内視鏡100の撮像素子141からケーブル142を介して入力される映像信号をA/D変換してデジタル画像データを出力する。A/D変換回路510から出力されるデジタル画像データは、一時記憶メモリ520に送られ記憶される。コントローラ530は、一時記憶メモリ520に記憶された任意の単数又は複数の画像データを処理して一枚の表示用画像データを生成し、これをビデオメモリ540に送る。例えば、コントローラ530は、単一の画像データから生成された表示用画像データ、複数の画像データの画像が並べて表示される表示用画像データ、或いは複数の画像データを画像演算して得られた画像や、画像演算の結果得られるグラフが表示されている表示用画像データ等を生成して、これをビデオメモリ540に記憶させる。信号処理回路550は、ビデオメモリ540に記憶されている表示用画像データを所定の形式(例えばNTSC形式)のビデオ信号に変換し、出力する。信号処理回路550から出力されたビデオ信号は、画像表示装置300に入力される。この結果、電子内視鏡100によって撮像された内視鏡画像等が、画像表示装置300に表示される。
また、電子内視鏡100にはライトガイド131が設けられている。ライトガイド131の先端部131aは挿入管先端部111の近傍に配置されており、一方ライトガイド131の基端部131bは電子内視鏡用プロセッサ200に接続されている。電子内視鏡用プロセッサ200は、キセノンランプ等の光量の大きい白色光を生成する光源430等を有する光源部400(後述)を内蔵しており、この光源部400によって生成された光は、ライトガイド131の基端部131bに入射するようになっている。ライトガイド131の基端部131bに入射した光は、ライトガイド131を通ってその先端部131aに導かれ、先端部131aから放射される。電子内視鏡100の挿入管先端部111の、ライトガイド131の先端部131aの近傍には、レンズ132が設けられており、ライトガイド131の先端部131aから放射される光は、レンズ132を透過して、挿入管先端部111の近傍の生体組織Tを照明する。
このように、電子内視鏡用プロセッサ200は、電子内視鏡100の撮像素子141から出力される映像信号を処理するビデオプロセッサとしての機能と、電子内視鏡100の挿入管先端部111近傍の生体組織Tを照明するための照明光を電子内視鏡100のライトガイド131に供給する光源装置としての機能を兼ね備えるものである。
本実施形態においては、電子内視鏡用プロセッサ200の光源部400は、光源430と、コリメータレンズ440と、分光フィルタ410と、フィルタ制御部420と、集光レンズ450とを有している。光源430から出射される白色光は、コリメータレンズ440によって平行光となり、分光フィルタ410を通過した後、集光レンズ450によってライトガイド131の基端部131bに入射する。分光フィルタ410は、光源430から入射される白色光を所定の波長の光に分光する(すなわち、波長選択する)円盤型のフィルタであり、回転角度に応じて400、405、410、・・・、800nmの狭帯域(帯域幅約5nm)の光を波長選択して出力する。分光フィルタ410の回転角度は、コントローラ530に接続されたフィルタ制御部420によって制御されており、コントローラ530がフィルタ制御部420を介して分光フィルタ410の回転角度を制御することにより、所定の波長の光がライトガイド131の基端部131bに入射し、挿入管先端部111の近傍の生体組織Tを照明する。そして、生体組織Tによって反射された光が、上述のように撮像素子141の受光面に結像し、映像信号がケーブル142を介して画像処理部500に送られる。
画像処理部500は、ケーブル142を介して得られた生体組織Tの像から、波長5nm刻みの複数の分光画像を得る装置である。具体的には、分光フィルタ410が、中心波長400、405、410、・・・、800nmの狭帯域(帯域幅約5nm)の光をそれぞれ波長選択して出力している場合に、各波長の分光画像を得る。
画像処理部500は、分光フィルタ410によって生成される複数の分光画像を処理して、後述するようにカラー画像或いは診断支援画像を生成する機能を有する。そして、画像処理部500は、処理された分光画像或いは診断支援画像を画像表示装置300に表示させる。
なお、分光フィルタ410には、分光フィルタ(ファブリ=ペロー型のフィルタ等)や、透過型回折格子を使用して分光した光を得る、既知の分光画像撮影方法を採用したものが利用可能である。
前述のように、本実施形態の画像処理部500は、波長の異なる複数枚の分光画像を用いて、診断支援画像を生成する機能を有する。この診断支援画像の生成機能について、以下に説明する。
本実施形態では、上述のように得られた分光画像に基づいて総血液量、酸素飽和度の2つの指標に関して識別可能な診断支援画像が生成される。例えば、悪性腫瘍部は高血流であるにもかかわらず、低酸素状態であることが知られている。また、バイパス手術では、観察対象における低血流、低酸素の情報を提供できるが重要である。分光画像に基づいて「高血液量・低酸素」の部位、或いは「低血液量・低酸素」の部位を識別可能に表示することによって、極めて有用な診断支援画像となる。
本実施形態では、以下で説明するように、計測された分光特性から重回帰分析により酸素化ヘモグロビンおよび還元ヘモグロビンの係数を求め、これらの係数に基づいて総血液量および酸素飽和度を求める。ここでは分光画像を利用しているが、酸素化ヘモグロビンおよび還元ヘモグロビンの代表的な波長域の限られた情報を特殊光を利用して計測してもよい。
まず、計測された分光特性から重回帰分析により酸素化ヘモグロビンおよび還元ヘモグロビンの係数を求める手法の一例について説明する。図2は、本発明の実施形態の診断システム1で取得した胃粘膜の分光画像データを示しており、図2(a)及び図2(b)の各グラフは、分光画像中の特定の画素のスペクトル(すなわち、各波長における輝度値)を示している。詳細には、図2(a)は、胃粘膜の病変部に対応する画素のスペクトルを示したものであり、図2(b)は、胃粘膜の健常部に対応する画素のスペクトルを示したものである。なお、説明の便宜のため、図2に示される健常部及び病変部の各画素のスペクトルには、基準化処理を施している。具体的には、照明光と被写体(生体組織T)の角度や、挿入管先端部111(図1)から生体組織Tまでの距離の違いにより、撮像素子141の各画素は異なる光量の光を受光することになるため、この光量差の影響を補正して示している。
図3は、ヘモグロビンの吸収特性を示すグラフであり、実線が酸素化ヘモグロビンの光の吸収特性を示し、点線が還元ヘモグロビンの光の吸収特性を示している。図3に示されるように、酸素化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンとは、波長500〜590nmの光を吸収する(すなわち、吸収特性が波長500〜590nmの範囲で上昇する)点で共通するが、還元ヘモグロビンの特性が波長約560nmに1つのピークを有するのに対し、酸素化ヘモグロビンの特性は波長約540nmと570nmに2つのピークを有する点で異なる。この特性の違いに着目し、図2に示される胃粘膜の分光画像データを目的変数、酸素化ヘモグロビンの光の吸収特性及び還元ヘモグロビンの光の吸収特性を説明変数として重回帰分析を行うことで、胃粘膜の分光画像データは酸素化ヘモグロビンの光の吸収特性及び還元ヘモグロビンの光の吸収特性を用いて説明することができる。更に本実施形態においては、2次元的な分光情報を用いることにより、1地点(画素)の分光特性の絶対評価だけではなく、周辺領域との変化を相対的に比較する構成としている。これによって、生体の組織、構造、個体差、疾患の状態により、絶対評価が困難な場合でも、高い精度での診断を可能にしている。
一般に、本実施形態で取得される分光画像データの計測モデルは、ランベルト・ベールの法則(Beer-Lambert Law)に基づき、下記の数式1のように示される。
(式1)
Figure 2014230647
ここで、Aは媒質(生体組織T)の吸収係数、IOは媒質に入射する前の光の放射強度、Iは媒質中を距離dだけ移動した時の光の強度、εはモル吸光係数、Cはモル濃度、λは光の波長である。そして、媒質がn種類の吸光物質を有する場合には、下記の数式2のように示される。
(式2)
Figure 2014230647
すなわち、n種類の吸光物質を有する場合の吸収係数Aは、各吸光物質の吸収特性の総和として表わされることとなる。そこで、下記の数式3に示すように、図2に示される胃粘膜の分光画像データを目的変数、酸素化ヘモグロビンの光の吸収特性及び還元ヘモグロビンの光の吸収特性を説明変数として重回帰分析を行った。
(式3)
Figure 2014230647
ここで、Xは胃粘膜の分光画像の1画素分のデータであり、中心波長400から800nmまでの5nm刻みの各波長の光を照射して得られる分光画像の輝度値のデータである。また、aは波長400から800nmまでの5nm刻みの酸素化ヘモグロビンの光の吸収特性であり、bは波長400から800nmまでの5nm刻みの還元ヘモグロビンの光の吸収特性である。そして、数式3を重回帰係数P1及びP2について解くことにより、重回帰分析を行った。重回帰計算に用いる波長域は、特徴量を含む限定された領域でもよい。
図4は、図2に示す胃粘膜の分光画像データについて重回帰分析を行った結果を示すグラフである。図4(a)は、図2(a)に示される胃粘膜の病変部に対応する画素のスペクトルについて、縦軸を吸収率に変換した上で重回帰分析を行った結果を示すグラフであり、図4(b)は、図2(b)に示される胃粘膜の健常部に対応する画素のスペクトルについて、縦軸を吸収率に変換した上で重回帰分析を行った結果を示すグラフである。図4(a)及び図4(b)において、グラフ“col01”が胃粘膜の分光画像データのデータ系列であり、グラフ“est_IC1”が重回帰分析を行った酸素化ヘモグロビンのデータ系列であり、グラフ“est_IC2”が重回帰分析を行った還元ヘモグロビンのデータ系列であり、グラフ“Sum”が重回帰分析を行った結果を示すデータ系列(グラフ“est_IC1”とグラフ“est_IC2”の和)であり、グラフ“Diff”が重回帰分析後の残差(すなわち、重回帰分析を行った結果と分光画像データとの差)を表すデータ系列である。図4に示すように、図2の個々の波形(すなわち、分光画像中の特定の画素のスペクトル)は、健常部であるか病変部であるかに拘わらず、酸素化ヘモグロビンの光の吸収特性及び還元ヘモグロビンの光の吸収特性の組み合わせによってほぼ表現できることが分かる。なお、本実施形態で取得される分光画像データの計測モデルとしては、光が生体組織Tに入射した時の散乱光を考慮しているが、数式3において散乱光の加算を省略している。上記重回帰分析を行った結果、分光画像中の所定の画素のスペクトルが、酸素化ヘモグロビンの光の吸収特性及び還元ヘモグロビンの光の吸収特性の組み合わせによって、ほぼ残差なく説明できる。なお、数式3の変数として散乱の成分を加えても良い。
図5は、図2に示す胃粘膜の分光画像データについて重回帰分析を行って得られた重回帰係数P1及びP2を示すグラフである。図5中、枠Tの範囲は、病変部に相当する画素の重回帰係数P1及びP2を示しており、枠Nの範囲は、健常部に相当する画素の重回帰係数P1及びP2を示している。
以上のように求められた酸素化ヘモグロビンに関する係数(oxy_Hb)および還元ヘモグロビンに関する係数(deoxy_Hb)を用い、例えば、次のような数式4に示す関係式により酸素飽和度および総血液量(トータルヘモグロビン)を求めることができる。
(式4)
Figure 2014230647
分光画像の各画素につき、観察対象についての総血液量、酸素飽和度の指標が得られたこととなるが、さらに、観察対象を下記表1のように4つのタイプに分類することができる。
Figure 2014230647
表1に示されるように、本実施形態によれば、悪性腫瘍について注目すべき高血液量、低酸素の部位(上記「状態3」)、バイパス手術等で注目すべき低血液量、低酸素の部位(上記「状態4」)が識別可能である。なお、状態1乃至4への分類は、指標(特徴量)の閾値の論理和乃至論理積をとることによって実現することができることが理解される。
次に上記指標を用いて診断支援画像を表示する処理について説明する。図6は、診断支援画像の表示処理を表すフローチャートである。本処理は、画像処理部500によって実行される。
本処理が開始すると、ステップS1が実行される。ステップS1では、画像処理部500は、フィルタ制御部400に分光画像を取得させるための制御信号を送る。フィルタ制御部400は、この制御信号を受信すると、分光フィルタ410の回転角度を制御し、400、405、410、・・・、800nmの狭帯域(帯域幅約5nm)の光を順次波長選択し、画像処理部500は、各波長で得られる分光画像を撮影して一時記憶メモリ520に記録する。次いでステップS2に進む。
ステップS2では、ステップS1で取得した分光画像について上述した重回帰分析が行われる。具体的には、ステップS1で取得した分光画像の全ての画素について数式3を用いて重回帰係数P1及びP2を求める。これにより、上述のとおり、総血液量および酸素飽和度についての指標値が得られる。
次に、ステップS3では、診断支援画像の生成・表示が実行される。診断支援画像の一例は、観察対象における低血液量かつ低酸素飽和度の領域(上記「状態4」)である。この場合、総血液量について所定の閾値以下の領域を抽出し、抽出された領域について酸素飽和濃度に応じて濃淡度で(或いは色分けして)表すことで、低血液量かつ低酸素飽和濃度の領域を識別可能に表示する。なお、ここでは閾値を適用する指標として総血液量を用い、酸素飽和度の濃淡画像を生成する例を説明したが、閾値を適用する指標として酸素飽和度を用い、総血液量の濃淡画像を生成しても良い。なお、適用すべき閾値は、予め画像処理部500内に記憶しておいても良いし、ユーザ設定可能に構成しても良い。
診断支援画像の別の例は、観察対象における高血液量かつ低酸素飽和度の領域(上記「状態3」)である。この場合、総血液量について所定の閾値以上の領域を抽出し、抽出された領域について酸素飽和濃度に応じて濃淡度で(或いは色分けして)表すことで、高血液量かつ低酸素飽和濃度の領域を識別可能に表示する。
このように、本実施形態では、2つの指標で特徴づけられる観察対象を画像化するに際し、閾値を適用する指標と、表示に用いる指標を異ならせている。これによって、観察対象の診断支援に極めて有用な画像を効率的に提供することができる。
図7(a)は、診断支援画像の一表示例として、対象組織311を示す。図7(b)のグラフ321は各画素の総血液量の値のヒストグラムである。図7の例では、グラフ321において、所定の総血液量の閾値(矢印A)以上の領域が選択されている。その結果、図7の例では、符号331で示された領域が、高血液量かつ低酸素の部位として識別可能に表示されている。なお、図7(a)において符号341は低酸素飽和度の領域、符号342は高血液量の領域である。
このように、本実施形態による診断支援画像を用いる事により、医師は、観察対象における高血液量・低酸素の部位を的確に把握することができる。
以上が本発明の実施形態の説明である。本発明は、上記の構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。
例えば、重回帰分析の具体的な手法も、上記数式3に基づく手法以外にも様々な方法が有り得る。血流量、酸素飽和度の計算も、上記数式4に基づくもの以外にも様々な手法があり得る。また、血液以外の悪性腫瘍特有の分光特徴量に関しても多くの先行情報があり、それらの特徴量も指標として利用することができる。さらに、指標も2種に限られるものではない。すなわち、悪性腫瘍部特有の成分について上述の実施形態の処理手順にて複数の分光特徴量を求め、求められた複数の分光特徴量に基づいて診断支援画像を表示することができる。なお、観察対象が2種類以上の分光特徴量(特徴量1、特徴量2、特徴量3、・・・)によって特徴付けられる場合には、これら複数の特徴量の閾値の論理和或いは論理積により画像データについて識別を行うようにしても良い。
上述の実施形態は、本発明を分光画像の取得が可能な内視鏡装置に適用した場合の例であるが、本発明は、分光画像を取得可能な装置に限らず、光学フィルタなどによる分光特徴量の代表的な波長域の限られた情報を利用したり、或いは、レーザーなどに代表される特種光を利用する装置に適用されても良い。また、本発明は、分光画像データを外部から取得して診断支援画像を表示する情報処理装置に適用されても良い。
上述の表示処理は、ROM,RAM等のメモリデバイス、ハードディスク、CD媒体,DVD媒体その他のコンピュータ読取り可能な媒体に記録可能なプログラムとしてコンピュータにインプリメントされても良い。

Claims (11)

  1. 2次元的分光特徴量を表示する装置であって、複数の特徴量を持つデータ群について、各特徴量の閾値の論理和或いは論理積により個々のデータを識別する識別手段を備えることを特徴とする表示装置。
  2. 前記複数の特徴量のうち第1が総血液量で第2が血液の酸素飽和度であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
  3. 前記識別手段は、低血液量かつ低酸素飽和度の部位を識別することを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
  4. 前記識別手段は、高血液量かつ低酸素飽和度の部位を識別することを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
  5. 生体組織に関する分光画像データから重回帰分析により前記複数の特徴量を求める分析手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表示装置。
  6. 2次元的分光特徴量を表示する方法であって、複数の特徴量を持つデータ群について、各特徴量の閾値の論理和或いは論理積により個々のデータを識別する手順を含むこと、を特徴とする表示方法。
  7. 前記複数の特徴量のうち第1が総血液量で第2が血液の酸素飽和度であることを特徴とする請求項6に記載の表示方法。
  8. 前記識別する手順において、低血液量かつ低酸素飽和度の部位を識別することを特徴とする請求項7に記載の表示方法。
  9. 前記識別する手順において、高血液量かつ低酸素飽和度の部位を識別することを特徴とする請求項7に記載の表示方法。
  10. 生体組織に関する分光画像データから重回帰分析により前記複数の特徴量を求める分析手順をさらに含むこと、を特徴とする請求項6から請求項9のいずれか一項に記載の表示方法。
  11. 請求項6から請求項10のいずれか一項に記載の表示方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。



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