JP2014230148A - 偏波共用八木型アンテナ - Google Patents

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Abstract

【課題】 容易に分解・組み立てをすることができる偏波共用八木型アンテナとする。
【解決手段】 半截された垂直偏波用導波素子21b1,21b2の端部は、第1素子取付具30と第2素子取付具31との第1抱持部30a,31aおよび第2抱持部30b,31bとの間に挟持されて固着される。第1素子取付具30と第2素子取付具31とは、サドル部30c,31cがアーム2を抱持するよう固着される。第1素子取付具30と第2素子取付具31とに取り付けられた垂直偏波用導波素子21b1,21b2を回転して水平面内に配置すると、梱包体積を小さくすることができる。また、回転させて、素子挿通溝30d,31dに水平偏波用導波素子11bを圧入することで、垂直偏波用導波素子21b1,21b2を垂直面内に配置することができる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、容易に分解・組み立てをすることができ良好な交差偏波識別度が得られる偏波共用八木型アンテナに関する。
超短波(VHF)帯以上に使用される指向性アンテナとして、従来から八木アンテナが知られており、八木アンテナは、通信システムの回線仕様やインフラの通信仕様に従い、垂直偏波あるいは水平偏波のいずれかに対応するように、大地に対して素子が垂直方向あるいは水平方向になるように設置される。この場合、大地に対して素子が垂直方向に配置される態様では垂直偏波に対応し、大地に対して素子が平行に配置される態様では水平偏波に対応するようになる。また、通信システムや放送事業分野においては、垂直偏波および水平偏波にそれぞれ個別の周波数帯を使用する通信形態や、垂直偏波および水平偏波の両偏波を用いる空間多重通信を行うことが提案されている。この場合、1台のアンテナ装置にて垂直偏波および水平偏波に対応させることができる偏波共用八木型アンテナを用いることが好ましい。
そこで、従来の偏波共用八木型アンテナの構成の一例を示す斜視図を図18に示す。
この図に示す従来の偏波共用八木型アンテナ101は、直線状とされた断面円形の金属製のアーム118と、水平面内に配置された複数本の直線状の水平偏波側導波素子111と、直線状の水平偏波側放射素子110および直線状の水平偏波側反射素子112と、垂直面内に配置された複数本の直線状の垂直偏波側導波素子115と、直線状の垂直偏波側放射素子114および直線状の垂直偏波側反射素子116とから構成されている。アーム118は、前方の第1アーム118aと後方の第2アーム118bとに分割されて、その間にシールド筒体119が配置されている。この第1アーム118aの前側から順に複数本の水平偏波側導波素子111および垂直偏波側導波素子115が第1アーム118aにほぼ直交して配置されている。次いで、水平偏波側放射素子110および垂直偏波側放射素子114がアーム118の中途に配置されているシールド筒体119にほぼ直交して配置されている。水平偏波側放射素子110および垂直偏波側放射素子114は、ダイポール素子とされている。続く後側に水平偏波側反射素子112および垂直偏波側反射素子116が第2アーム118bにほぼ直交して配置されている。この場合、水平偏波側導波素子111と、水平偏波側放射素子110および水平偏波側反射素子112とは相互にほぼ平行に水平面内に配置されて水平偏波用の八木アンテナを構成している。また、垂直偏波側導波素子115と、垂直偏波側放射素子114および垂直偏波側反射素子116とは相互にほぼ平行に垂直面内に配置されて垂直偏波用の八木アンテナを構成している。
従来の偏波共用八木型アンテナ101において、水平偏波側導波素子111および垂直偏波側導波素子115を第1アーム118aに固着する固着構造を図19,図20に示す。図19は従来の偏波共用八木型アンテナ101の導波素子の取付構造を断面図で示す正面図であり、図20は従来の偏波共用八木型アンテナ101の導波素子の取付構造を断面図で示す側面図である。
これらの図に示す取付構造において、水平偏波側導波素子111は2本に分割された導波素子111a,111bからなり、導波素子111a,111bの根本部の外周面にはネジが形成されている。また、垂直偏波側導波素子115は2本に分割された導波素子115a,115bからなり、導波素子115a,115bの根本部の外周面にはネジが形成されている。断面円形の第1アーム118a内には円筒状の内部リング150を挿入しておく。この内部リング150は金属製あるいは樹脂製とされるが、内部リング150にはネジが形成されているネジ孔が互いに約90°の角度となるように4つ形成されている。また、第1アーム118aには複数本の水平偏波側導波素子111および垂直偏波側導波素子115を取り付けるそれぞれの位置に、内部リング150のネジ孔に対応する挿通孔が互いに約90°の角度となるように4つ形成されている。
そして、水平偏波側導波素子111の導波素子111a,111bおよび垂直偏波側導波素子115の導波素子115a,115bの根本部にそれぞれ形成されているネジが所定の長さだけ突出するように、固着金具120aを導波素子111aに、固着金具120bを導波素子111bに、固着金具121aを導波素子115aに、固着金具121bを導波素子115bに固着する。次いで、導波素子111a,111bおよび導波素子115a,115bから突出しているネジのそれぞれにブッシュ151a、151b、151c、151dを挿入して、第1アーム118aに挿入された内部リング150の位置を調節してネジ孔を第1アーム118aに形成された挿通孔に合わせ、挿通孔のそれぞれに水平偏波側導波素子111の導波素子111a,111bおよび垂直偏波側導波素子115の導波素子115a,115bを挿入して、それぞれの根本に形成されたネジを内部リング150のネジ穴にそれぞれ螺合する。さらに、固着金具120a、120b、121a、121bを回転させて内部リング150に締着することにより、水平偏波側導波素子111の導波素子111a,111bおよび垂直偏波側導波素子115の導波素子115a,115bを、互いに直交するように第1アーム118aに固着することができる。なお、第1アーム118aに形成された複数本分の挿通孔のそれぞれに対応して複数個の内部リング150が第1アーム118aに挿入されており、それぞれの内部リング150を利用して複数本の水平偏波側導波素子111および垂直偏波側導波素子115が第1アーム118aに、互いに直交するように固着される。
また、従来の偏波共用八木型アンテナ101において、水平偏波側反射素子112および垂直偏波側反射素子116を第2アーム118bに固着する固着構造を図21,図22に示す。図21は従来の偏波共用八木型アンテナ101の反射素子の取付構造を断面図で示す正面図であり、図22は従来の偏波共用八木型アンテナ101の反射素子の取付構造を断面図で示す側面図である。
これらの図に示す取付構造において、水平偏波側反射素子112は2本に分割された反射素子112a,112bからなり、反射素子112a,112bの根本部の内部にはネジが形成されている。また、垂直偏波側反射素子116は2本に分割された反射素子116a,116bからなり、反射素子116a,116bの根本部の内部にはネジが形成されている。さらに、断面円形の第2アーム118bの外側に円筒状の外部リング153が嵌着されており、外部リング153の外周面には互いに約90°の角度で突出するように4つのボス152a,152b,152c,152dがそれぞれ形成されている。この外部リング153は金属製あるいは樹脂製とされ、ボス152a〜152dには、それぞれネジ穴が貫通して設けられている。
このボス152a〜152dにそれぞれネジ部112c,112dとネジ部116c,116dとを螺着して、ネジ部112c,112dおよびネジ部116c,116dの先端を第2アーム118bの外周面に圧接させる。次いで、ネジ部112c,112dおよびネジ部116c,116dに、バネ座がね112f,112hとバネ座がね116f,116hとをそれぞれ嵌挿し、さらに、六角状のナット112e,112gをネジ部112c,112dにそれぞれ螺着すると共に六角状のナット116e,116gをネジ部116c,116dにそれぞれ螺着する。これにより、ネジ部112c,112d,116c,116dの先端が第2アーム118bの外周面に圧接されることから、第2アーム118bの所定位置に回転不能に外部リング153が固着される。
そして、ナット112e,112gから所定の長さで突出しているネジ部112c,112dのそれぞれに反射素子112a,112bの内部に形成されたネジをそれぞれ螺着する。また、ナット116e,116gから所定の長さで突出しているネジ部116c,116dのそれぞれに反射素子116a,116bの内部に形成されたネジをそれぞれ螺着する。これにより、水平偏波側反射素子112の反射素子112a,112bがネジ部112c,112dに固着されると共に、垂直偏波側反射素子116の反射素子116a,116bがネジ部116c,116dに固着されて、水平偏波側反射素子112と垂直偏波側反射素子116とが互いに直交するように第2アーム118bに固着されるようになる。
さらに、従来の偏波共用八木型アンテナ101における給電部の構成を断面図で示す側面図を図23に示す。
この図に示す給電部では、2本の放射素子110a,110bからなる水平偏波側放射素子110に同軸ケーブル140から平衡・不平衡変換器を介して給電すると共に、2本の放射素子114a,114bからなる垂直偏波側放射素子114に同軸ケーブル141から平衡・不平衡変換器を介して給電している。この内の水平偏波側放射素子110に給電する給電部においては、一方の放射素子110aの一端とされる給電端が同軸ケーブル140の外部導体140bにおける先端の外周面に固着されて電気的に接続され、同軸ケーブル140の先端から導出された内部導体140aが折り返されて平行配置された分岐導体142の内部導体とされている。同軸ケーブル140において、内部導体140aは絶縁体に支持されて外部導体140bのほぼ中心に配置され、分岐導体142においては、内部導体140aは絶縁体に支持されて外部導体142bのほぼ中心に配置されている。また、他方の放射素子110bの一端である給電端が分岐導体142の外部導体142bにおける先端の外周面に固着されて電気的に接続されている。さらに、分岐導体142の長さは約λ/4の長さとされ、分岐導体142における外部導体142bの下端面が短絡板144に接続されており、短絡板144は同軸ケーブル140の外部導体140bの外周面に接続されている。すなわち、同軸ケーブル140の先端から約λ/4の長さだけ下方の位置における外部導体140bに、長さが約λ/4とされた分岐導体142の下端が短絡板144により短絡されている。また、分岐導体142における内部導体140aは先端から約λg/4の深さまで挿入されて、その先端は開放されている。このように、分岐導体142における内部導体140aの長さは約λg/4とされている。なお、λgは、分岐導体142における管内波長である。上記したように、水平偏波側放射素子110に給電する平衡・不平衡変換器は、同軸ケーブル140、分岐導体142および短絡板144により構成されている。
また、垂直偏波側放射素子114に給電する給電部では、2本の放射素子114a,114bからなる垂直偏波側放射素子114に同軸ケーブル141から平衡・不平衡変換器を介して給電している。すなわち、一方の放射素子114aの一端とされる給電端が同軸ケーブル141の外部導体141bにおける先端の外周面に固着されて電気的に接続され、同軸ケーブル141の先端から導出された内部導体141aが折り返されて平行配置された分岐導体143の内部導体とされている。同軸ケーブル141において、内部導体141aは絶縁体に支持されて外部導体141bのほぼ中心に配置され、分岐導体143においては、内部導体141aは絶縁体に支持されて外部導体143bのほぼ中心に配置されている。また、他方の放射素子114bの一端である給電端が分岐導体143の外部導体143bにおける先端の外周面に固着されて電気的に接続されている。さらに、分岐導体143の長さは約λ/4の長さとされ、分岐導体143における外部導体143bの下端面が短絡板145に接続されており、短絡板145は同軸ケーブル141の外部導体141bの外周面に接続されている。すなわち、同軸ケーブル141の先端から約λ/4の長さだけ下方の位置における外部導体141bに、長さが約λ/4とされた分岐導体143の下端が短絡板145により短絡されている。また、分岐導体143における内部導体141aは先端から約λg/4の深さまで挿入されて、その先端は開放されている。このように、分岐導体143における内部導体141aの長さは約λg/4とされている。なお、λgは、分岐導体143における管内波長である。上記したように、垂直偏波側放射素子114に給電する平衡・不平衡変換器は、同軸ケーブル141、分岐導体143および短絡板145により構成されている。
給電部における2つの平衡・不平衡変換器により同軸ケーブル140,141を伝送されてきた不平衡信号は平衡信号に変換されて、平衡形の水平偏波用の放射素子110a,110bおよび垂直偏波用の放射素子114a,114bに給電されるようになる。
給電部における水平偏波側の給電部および垂直偏波側の給電部において漏洩電流は理論上は流れないが、実際には微量な漏洩電流が生じており、漏洩電流による放射界への影響が生じるようになる。そこで、従来の偏波共用八木型アンテナ101においては、平衡・不平衡変換器を備える水平偏波側の給電部および垂直偏波側の給電部を交差するように配置してコンパクト化することにより、水平偏波側の給電部および垂直偏波側の給電部をシールド筒体119内に収納できる構成としている。シールド筒体119の前後には分割された金属製のパイプからなる第1アーム118aと第2アーム118bとが固着されて、シールド筒体119に一体化されている。これにより、水平偏波側の給電部および垂直偏波側の給電部において微量な漏洩電流が生じても、漏洩電流による放射界への影響を防止することができるようになる。
特開2011−239198号公報
従来の偏波共用八木型アンテナにおいては、水平偏波側の八木アンテナを構成する導波素子、放射素子および反射素子と、垂直偏波側の八木アンテナを構成する導波素子、放射素子および反射素子とを、アームの中心軸を通ると共に互いに直交するよう交差して取り付けることができる。また、同軸ケーブルから給電される水平偏波側の八木アンテナにおける放射素子と、垂直偏波側の八木アンテナにおける放射素子とに、アーム内に収納される平衡・不平衡変換器を介して給電するようにしている。これにより、従来の偏波共用八木型アンテナにおいては、優れた交差偏波識別度が得られるようになる。
しかしながら、従来の偏波共用八木型アンテナにおいては、水平偏波側および垂直偏波側の八木アンテナのそれぞれを構成する導波素子、放射素子および反射素子を、アームに固着する固着構造が複雑であり、固着部品の点数が多くなることから分解・組み立てを行う作業が繁雑になるという問題点があった。この場合、組み立てた状態で商品化すると、水平偏波側の八木アンテナを構成する各素子と、垂直偏波側の八木アンテナを構成する各素子とが直交して配置されているため、収納体積が大きくなり梱包・輸送・管理のコストが大きくなるという問題点が生じることになる。
そこで、本発明は、容易に分解・組み立てをすることができ良好な交差偏波識別度が得られる偏波共用八木型アンテナを提供することを目的としている。
本発明の偏波共用八木型アンテナは、アーム(2)のほぼ中心軸を含む第1平面上に配置され、前記アーム(2)に固着されている少なくとも1本の第1導波素子(11)と、前記第1平面上に配置され、前記第1導波素子(11)の後方に隣接して前記アーム(2)に着脱可能に固着されている第1放射素子(10)と、前記第1平面上に配置され、前記第1放射素子(10)の後方に隣接して前記アーム(2)に固着されている少なくとも1本の第1反射素子(12)と、前記第1平面上に配置された前記第1導波素子(11)と前記第1放射素子(10)と前記第1反射素子(12)とから構成される第1八木アンテナと、半截されたそれぞれの端部の間が、前記アーム(2)に回転可能に固着されている導波素子取付具(30,31)により挟持されている前記第1導波素子(11)と同数の第2導波素子(21)と、前記第1平面と直交すると共に前記アーム(2)のほぼ中心軸を含む第2平面上に配置され、前記第2導波素子(21)の後方に隣接して前記アーム(2)に着脱可能に固着されている第2放射素子(20)と、半截されたそれぞれの端部の間が、前記アーム(2)に回転可能に固着されている反射素子取付具(30,31)により挟持されて、前記第2放射素子(20)の後方に隣接して配置されている前記第1反射素子(12)と同数の第2反射素子(22)と、前記第2導波素子(21)と前記第2放射素子(20)と前記第2反射素子(22)とから構成される第2八木アンテナとを備え、前記導波素子取付具(30,31)と前記反射素子取付具(30,31)は、2つの素子取付具(30,31)を対面して配置することにより構成されており、前記素子取付具(30,31)は、ほぼ中央に素子挿通溝(30d,31d)が形成された円弧状の形状のサドル部(30c,31c)と、該サドル部(30c,31c)の両側にそれぞれ形成された半円状の抱持部(30a,30b,31a,31b)とを備え、前記アーム(2)が対面した前記サドル部(30c,31c)の間に回転可能に抱持されるように、2つの前記素子取付具(30,31)が対面して前記アーム(2)に固着された際に、半截された前記第2導波素子(21)または前記第2反射素子(22)の端部が、2つの前記素子取付具(30,31)が対面して固着された前記抱持部(30a,30b,31a,31b)の間に挟持されて固着され、前記第2導波素子(21)が固着された前記導波素子取付具(30,31)を、前記アーム(2)に固着されている前記第1導波素子(11)を前記素子挿通溝(30d,31d)内に圧入するよう動かすことにより、前記第2導波素子(21)が前記第2平面上に配置され、前記第2反射素子(22)が固着された前記反射素子取付具(30,31)を、前記アーム(2)に固着されている前記第1反射素子(12)を前記挿通溝(30d,31d)内に圧入するよう動かすことにより、前記第2反射素子(22)が前記第2平面上に配置され、前記第2導波素子(21)が固着された前記導波素子取付具(30,31)および前記第2反射素子(22)が固着された前記反射素子取付具(30,31)を、前記アーム(2)に対して回転することにより、前記第2導波素子(21)および前記第2反射素子(22)を前記第1平面上に配置することができることを最も主要な特徴としている。
本発明によれば、導波素子取付具(30,31)に固着された第2導波素子(21)および反射素子取付具(30,31)に固着された第2反射素子(22)を回転させて、第1八木アンテナの第1導波素子(11)と第1放射素子(10)と第1反射素子(12)が配置されている第1平面上に配置することができる。この際に、着脱可能な第1放射素子(10)および第2放射素子(20)をアーム(2)から取り外すことにより、著しく小さな体積とすることができる。すなわち、梱包する際の梱包体積を小さくすることができる。また、第2導波素子(21)が固着された導波素子取付具(30,31)の素子挿通溝(30d,31d)内に、第1導波素子(11)を圧入すると共に、第2反射素子(22)が固着された反射素子取付具(30,31)の素子挿通溝(30d,31d)内に、第1反射素子(12)を圧入することにより第2導波素子(21)および第2反射素子(22)を第2平面上に配置することができる。このように、本発明の偏波共用八木型アンテナ(1)は分解・組み立てを容易に行うことができると共に、梱包体積の縮小化を図ることができ、梱包・輸送・管理のコストを低減することができる。
また、第1八木アンテナと第2八木アンテナとを取り付ける際に、アーム(2)のほぼ中心軸を通る平面上に互いに直交するよう交差して固着することができることから、本発明にかかる偏波共用八木型アンテナ(1)においては、優れた交差偏波識別度が得られるようになる。
本発明の実施例にかかる偏波共用八木型アンテナの構成を示す斜視図である。 本発明の偏波共用八木型アンテナにおける第1素子取付具の構成を示す斜視図、上面図、正面図である。 本発明の偏波共用八木型アンテナにおける第2素子取付具の構成を示す斜視図、上面図、正面図である。 本発明の実施例にかかる偏波共用八木型アンテナを組み立てる第1の手順を示す斜視図である。 本発明の実施例にかかる偏波共用八木型アンテナを組み立てる第2の手順および第3の手順を示す斜視図である。 本発明の偏波共用八木型アンテナにおける水平偏波用給電部の構成を示す斜視図である。 本発明の偏波共用八木型アンテナにおける水平偏波用給電部の構成を示す底面図である。 本発明の偏波共用八木型アンテナにおける水平偏波用給電部の構成を示す背面図である。 本発明の偏波共用八木型アンテナにおける水平偏波用給電部の構成を示す側面図である。 本発明の偏波共用八木型アンテナにおける垂直偏波用給電部の構成を示す斜視図である。 本発明の偏波共用八木型アンテナにおける垂直偏波用給電部の構成を示す底面図である。 本発明の偏波共用八木型アンテナにおける垂直偏波用給電部の構成を示す正面図である。 本発明の偏波共用八木型アンテナにおける垂直偏波用給電部の構成を示す側面図である。 本発明の実施例にかかる偏波共用八木型アンテナの給電部を組み立てる第1の手順を示す斜視図である。 本発明の実施例にかかる偏波共用八木型アンテナの給電部を組み立てる第2の手順を示す斜視図である。 本発明の実施例にかかる偏波共用八木型アンテナの給電部を組み立てる第3の手順を示す斜視図である。 本発明の実施例にかかる偏波共用八木型アンテナの給電部を組み立てる第4の手順を示す斜視図である。 従来の偏波共用八木型アンテナの構成の一例を示す斜視図である。 従来の偏波共用八木型アンテナにおける導波素子の固着構造を断面図で示す正面図である。 従来の偏波共用八木型アンテナにおける導波素子の固着構造を断面図で示す上面図である。 従来の偏波共用八木型アンテナにおける反射素子の固着構造を断面図で示す正面図である。 従来の偏波共用八木型アンテナにおける反射素子の固着構造を断面図で示す上面図である。 従来の偏波共用八木型アンテナにおける給電部の構造を断面図で示す上面図である。
本発明の実施例にかかる偏波共用八木型アンテナ1の構成を示す斜視図を図1に示す。
この図に示す本発明の実施例にかかる偏波共用八木型アンテナ1は、パイプ状とされた断面円形の金属製のアーム2を備え、アーム2に固着された水平偏波用八木アンテナと垂直偏波用八木アンテナとから構成されている。水平偏波用八木アンテナは、複数本(例えば、6本)の水平偏波用導波素子11と、水平偏波用導波素子11の後方に隣接して配置された水平偏波用放射素子10と、水平偏波用放射素子10の後方に隣接して配置された水平偏波用反射素子12とから構成されている。直線状とされたこれらの素子10〜12の外径は同様とされて、アーム2のほぼ中心軸を含む水平面内に配置されており、アルミニウム等の軽量の金属パイプから構成されている。また、垂直偏波用八木アンテナは、複数本(例えば、6本)の垂直偏波用導波素子21と、垂直偏波用導波素子21の後方に隣接して配置された垂直偏波用放射素子20と、垂直偏波用放射素子20の後方に隣接して配置された垂直偏波用反射素子22とから構成されている。直線状とされたこれらの素子20〜22の外径は同様とされて、アーム2のほぼ中心軸を含む垂直面内に配置されており、アルミニウム等の軽量の金属パイプから構成されてている。なお、水平偏波用放射素子10および垂直偏波用放射素子20は、ダイポール素子とされている。
本発明にかかる偏波共用八木型アンテナ1は、水平偏波と垂直偏波の周波数帯が同じとされ、偏波共用八木型アンテナ1の周波数帯の周波数の波長をλとすると、ダイポール素子とされている水平偏波用放射素子10および垂直偏波用放射素子20の長さは約λ/2とされ、複数本の水平偏波用導波素子11および垂直偏波用導波素子21の長さは約λ/2より若干短い長さとされ、水平偏波用反射素子12および垂直偏波用反射素子22の長さは約λ/2より若干長い長さとされている。また、複数本の水平偏波用導波素子11および垂直偏波用導波素子21、水平偏波用放射素子10および垂直偏波用放射素子20、水平偏波用反射素子12および垂直偏波用反射素子22における各素子間の間隔は約λ/4の間隔とされている。これにより、水平偏波用導波素子11および垂直偏波用導波素子21が容量性となると共に水平偏波用反射素子12および垂直偏波用反射素子22が誘導性となって、水平偏波用反射素子12および垂直偏波用反射素子22から水平偏波用導波素子11および垂直偏波用導波素子21に向かう方向に半値角の小さい水平偏波および垂直偏波の鋭い放射ビームを有する指向特性を有するようになる。
本発明にかかる偏波共用八木型アンテナ1において、複数本の垂直偏波用導波素子21のそれぞれと、垂直偏波用反射素子22とは、素子取付具24によりそれぞれアーム2に取り付けられている。この場合、垂直偏波用導波素子21と垂直偏波用反射素子22とは半截されており、半截された端部が素子取付具24に挟持されて固着されている。垂直偏波用導波素子21あるいは垂直偏波用反射素子22の端部が固着された素子取付具24は、アーム2に対して回転することができるとともにアーム2に沿ってスライドすることができる。素子取付具24は、後述する第1素子取付具30と第2素子取付具31とを対面させて配置することにより構成されている。そこで、第1素子取付具30の詳細構成を図2(a)(b)(c)に示し、第2素子取付具31の詳細構成を図3(a)(b)(c)に示す。図2(a)は第1素子取付具30の構成を示す斜視図であり、図2(b)は第1素子取付具30の構成を示す上面図であり、図2(c)は第1素子取付具30の構成を示す正面図であり、図3(a)は第2素子取付具31の構成を示す斜視図であり、図3(b)は第2素子取付具31の構成を示す上面図であり、図3(c)は第2素子取付具31の構成を示す正面図である。
これらの図に示すように、第1素子取付具30と第2素子取付具31とは金属板を加工して作成されており、ほぼ同様の構成とされているが、第1素子取付具30に形成された第1挿通孔30eおよび第2挿通孔30fに替えて、第2素子取付具31には第1ネジ孔31eおよび第2ネジ孔31fが形成されている。すなわち、第1素子取付具30と第2素子取付具31とは、ほぼ中央部に半円状のサドル部30c,31cが形成されており、サドル部30c,31cのほぼ中央である頂部に素子挿通溝30d,31dがアーム2の長手方向に形成されている。素子挿通溝30d,31dの幅は、ほぼ同じ外径とされている水平偏波用導波素子11あるいは水平偏波用反射素子12、垂直偏波用導波素子21あるいは垂直偏波用反射素子22に圧入できる幅とされている。また、サドル部30c,31cの内径はアーム2の外径とほぼ同様とされて、第1素子取付具30と第2素子取付具31とをアーム2を挟んで対面させた際に、サドル部30c,31cの間にアーム2が抱持される形状とされている。
サドル部30c,31cの両側には断面が半円状とされた第1抱持部30a,31aと第2抱持部30b,31bとが形成されている。第1抱持部30a,31aと第2抱持部30b,31bの内径は、素子10〜12および素子20〜22の外径とほぼ同様とされており、第1抱持部30a,31aと第2抱持部30b,31bの両側には、平面状の折曲部30g,31gが形成されて、折曲部30g,31gにより第1抱持部30a,31aと第2抱持部30b,31bとが屈曲しないように機械的強度が向上されている。上記したように第1素子取付具30の第1抱持部30aおよび第2抱持部30bには、第1挿通孔30eおよび第2挿通孔30fがそれぞれ形成されており、第2素子取付具31の第1抱持部31aおよび第2抱持部31bには、第1ネジ孔31eおよび第2ネジ孔31fがそれぞれ形成されている。
第1素子取付具30と第2素子取付具31とをアーム2を挟んで対面させた際に、対面した第1抱持部30a,31aの間に垂直偏波用導波素子21あるいは垂直偏波用反射素子22の半截された一方の端部を挟持することができ、対面した第2抱持部30b,31bの間に垂直偏波用導波素子21あるいは垂直偏波用反射素子22の半截された他方の端部を挟持することができる。そして、第1挿通孔30eに挿入したネジを、垂直偏波用導波素子21あるいは垂直偏波用反射素子22の半截された一方の端部に形成された挿通孔に挿通して、第1ネジ孔31eに螺着し、第2挿通孔30fに挿入したネジを、垂直偏波用導波素子21あるいは垂直偏波用反射素子22の半截された他方の端部に形成された挿通孔に挿通して、第2ネジ孔31fに螺着することにより、第1素子取付具30と第2素子取付具31とからなる素子取付具24に、垂直偏波用導波素子21あるいは垂直偏波用反射素子22を固着することができる。
この場合、第1ネジ孔31eおよび第2ネジ孔31fに螺着したネジを若干緩めることにより、垂直偏波用導波素子21あるいは垂直偏波用反射素子22が固着されている素子取付具24をアーム2に対して回転したりスライドすることができる。
次に、本発明にかかる偏波共用八木型アンテナ1を組み立てる第1の手順を示す斜視図を図4に、偏波共用八木型アンテナ1を組み立てる第2の手順を示す斜視図を図5(a)に、偏波共用八木型アンテナ1を組み立てる第3の手順を示す斜視図を図5(b)に示す。ただし、図4,図5においては偏波共用八木型アンテナ1の導波素子が配置されているアーム2の一部分だけが示されており、放射素子および反射素子は省略して示されている。
本発明にかかる偏波共用八木型アンテナ1を組み立てるには、まず、図4に示すように、アーム2のほぼ中心軸が含まれる水平面内において、アーム2に複数本の水平偏波用導波素子11a,11b,11cを固着しておく。この場合、水平偏波用導波素子11a〜11cはアーム2にカシメ等の固着方法により固着される。そして、アーム2に固着された水平偏波用導波素子11bの前側のアーム2を挟むように、第1素子取付具30と第2素子取付具31とを対面させて配置すると共に、第1素子取付具30と第2素子取付具31の対面している第1抱持部30a,31aの間に挟まれるように、半截された一方の垂直偏波用導波素子21b1の端部を配置し、対面している第2抱持部30b,31bの間に挟まれるように、半截された他方の垂直偏波用導波素子21b2の端部を配置する。
そして、第1素子取付具30の第1抱持部30aに形成されている第1挿通孔30eにネジ25aを挿通し、このネジ25aを一方の垂直偏波用導波素子21b1の端部に形成された挿通孔26aに挿通して第2素子取付具31の第1抱持部31aに形成されている第1ネジ孔31eに螺着する。さらに、第1素子取付具30の第2抱持部30bに形成されている第2挿通孔30fにネジ25bを挿通し、このネジ25bを他方の垂直偏波用導波素子21b2の端部に形成された挿通孔26bに挿通して第2素子取付具31の第2抱持部31bに形成されている第2ネジ孔31fに螺着する。これにより、図5(a)に示す状態となる。すなわち、第1抱持部30a,31aの間に一方の垂直偏波用導波素子21b1の端部が挟持されて固着されるとともに、第2抱持部30b,31bの間に他方の垂直偏波用導波素子21b2の端部が挟持されて固着される。また、第1素子取付具30と第2素子取付具31とのサドル部30c,31cの間にアーム2の外周面が抱持される。ここで、ネジ25a,25bを若干緩めると、垂直偏波用導波素子21b1,21b2が固着されている第1素子取付具30と第2素子取付具31とからなる素子取付具24をアーム2に対して回転させて、水平偏波用導波素子11a〜11cが配置されている水平面内に垂直偏波用導波素子21b1,21b2を配置することができると共に、上記水平面と直交する垂直面内にも配置することができる。
そこで、水平偏波用導波素子11a〜11cが配置されている水平面と直交するアーム2のほぼ中心軸が含まれる垂直面内に垂直偏波用導波素子21b1,21b2を配置して、第1素子取付具30と第2素子取付具31とを水平偏波用導波素子11bに向かってアーム2上をスライドさせると、第1素子取付具30と第2素子取付具31とに形成されている後端が半円状とされた素子挿通溝30d,31d内に水平偏波用導波素子11bが圧入されて図5(b)に示す状態となる。水平偏波用導波素子11bは、素子挿通溝30d,31dの半円状とされた後端に当接するまで圧入され、この状態において、ネジ25a,25bを締着することにより、水平偏波用導波素子11a〜11cが配置されている水平面と直交するアーム2のほぼ中心軸が含まれる垂直面内に垂直偏波用導波素子21b1,21b2を固着することができる。この場合、水平偏波用導波素子11bの中心軸と、垂直偏波用導波素子21b1,21b2の中心軸とがアーム2のほぼ中心軸上で交差するようになる。すなわち、水平偏波用導波素子11bと垂直偏波用導波素子21b1,21b2とがアーム2の中心軸と直交する垂直面内に配置されるようになる。
垂直偏波用導波素子21は、水平偏波用導波素子11と同数設けられていることから、水平偏波用導波素子11のそれぞれの前側に図4に示すように垂直偏波用導波素子21のそれぞれを配置して第1素子取付具30と第2素子取付具31とからなる素子取付具24により固着する。そして、図5(a)(b)に示すように垂直偏波用導波素子21のそれぞれを素子取付具24をアーム2に対して回転させて、水平偏波用導波素子11が配置されている水平面内に配置することができると共に、上記水平面と直交するアーム2のほぼ中心軸が含まれる垂直面内に配置して固着することができる。
また、図4,図5には示していないが、垂直偏波用反射素子22も垂直偏波用導波素子21と同様にアーム2に対して固着される。すなわち、アーム2に固着された水平偏波用反射素子12の前側のアーム2を挟むように、第1素子取付具30と第2素子取付具31とを対面させて配置すると共に、第1素子取付具30と第2素子取付具31の対面している第1抱持部30a,31aの間に挟まれるように、半截された一方の垂直偏波用反射素子22の端部を配置し、対面している第2抱持部30b,31bの間に挟まれるように、半截された他方の垂直偏波用反射素子22の端部を配置する。そして、第1素子取付具30の第1抱持部30aに形成されている第1挿通孔30eにネジ25aを挿通し、このネジ25aを一方の垂直偏波用反射素子22の端部に形成された挿通孔に挿通して第2素子取付具31の第1抱持部31aに形成されている第1ネジ孔31eに螺着する。さらに、第1素子取付具30の第2抱持部30bに形成されている第2挿通孔30fにネジ25bを挿通し、このネジ25bを他方の垂直偏波用反射素子22の端部に形成された挿通孔に挿通して第2素子取付具31の第2抱持部31bに形成されている第2ネジ孔31fに螺着する。
これにより、第1抱持部30a,31aの間に一方の垂直偏波用反射素子22の端部が挟持されて固着されるとともに、第2抱持部30b,31bの間に他方の垂直偏波用反射素子22の端部が挟持されて固着される。また、第1素子取付具30と第2素子取付具31とのサドル部30c,31cの間にアーム2の外周面が抱持される。ここで、ネジ25a,25bを若干緩めると、垂直偏波用反射素子22が固着されている第1素子取付具30と第2素子取付具31とからなる素子取付具24をアーム2に対して回転させて、水平偏波用反射素子12が配置されている水平面内に垂直偏波用反射素子22を配置することができると共に、上記水平面と直交する垂直面内に配置することができる。
そこで、水平偏波用反射素子12が配置されている水平面と直交するアーム2のほぼ中心軸が含まれる垂直面内に垂直偏波用反射素子22を配置して、第1素子取付具30と第2素子取付具31とを水平偏波用反射素子12に向かってアーム2上をスライドさせると、第1素子取付具30と第2素子取付具31とに形成されている後端が半円状とされた素子挿通溝30d,31d内に水平偏波用反射素子12が圧入される。水平偏波用反射素子12は、素子挿通溝30d,31dの半円状とされた後端に当接するまで圧入され、この状態において、ネジ25a,25bを締着することにより、水平偏波用反射素子12が配置されている水平面と直交するアーム2のほぼ中心軸が含まれる垂直面内に垂直偏波用反射素子22を固着することができる。この場合、水平偏波用反射素子12の中心軸と、垂直偏波用反射素子22の中心軸とがアーム2のほぼ中心軸上で交差するようになる。すなわち、水平偏波用反射素子12と垂直偏波用反射素子22とがアーム2の中心軸と直交する垂直面内に配置されるようになる。
なお、水平偏波用反射素子12は、1本に限ることはなく複数本とすることができ、垂直偏波用反射素子22の数は水平偏波用反射素子12と同数とされる。
上記したように、素子取付具24に固着されている複数本の垂直偏波用導波素子21と垂直偏波用反射素子22とを、複数本の水平偏波用導波素子11と水平偏波用反射素子12とが配置されている水平面内に配置した状態を梱包状態とすることができ、この梱包状態では偏波共用八木型アンテナ1の高さは素子取付具24の高さ以内となることから、水平偏波用八木アンテナと垂直偏波用八木アンテナとを直交して取り付けた状態で梱包する場合に比較して、著しく小さな梱包体積とすることができる。すなわち、梱包する際の梱包箱を小さな箱とすることができる。なお、水平偏波用放射素子10および垂直偏波用放射素子20とはアーム2から取り外された状態で梱包される。
上記の説明では、アーム2に固着された水平偏波用導波素子11および水平偏波用反射素子12の前側に垂直偏波用導波素子21および垂直偏波用反射素子22を固着した素子取付具24を配置したが、第1抱持部30a,31aと第2抱持部30b,31bとの配置位置を左右で入れ替えるように素子取付具24を180°回転させて配置してもよい。この場合は、アーム2に固着された水平偏波用導波素子11および水平偏波用反射素子12の後側に垂直偏波用導波素子21および垂直偏波用反射素子22を固着した素子取付具24を配置すればよい。
上記したように、本発明にかかる偏波共用八木型アンテナ1においては、梱包状態から垂直偏波用導波素子21および垂直偏波用反射素子22を回転させて、素子挿通溝30d,31dに水平偏波用導波素子11および水平偏波用反射素子12をそれぞれ圧入することにより、垂直偏波用八木アンテナの導波素子および反射素子を容易に組み立てることができる。また、水平偏波用放射素子10および垂直偏波用放射素子20も容易に組み立てることができる。そこで、水平偏波用放射素子10および垂直偏波用放射素子20の構成を次に説明する。
本発明の偏波共用八木型アンテナ1における水平偏波用給電部13と水平偏波用放射素子10の構成を図6ないし図9に示す。図6は水平偏波用給電部13と水平偏波用放射素子10の構成を示す斜視図であり、図7は水平偏波用給電部13と水平偏波用放射素子10の構成を示す下面図であり、図8は水平偏波用給電部13と水平偏波用放射素子10の構成を示す正面図であり、図9は水平偏波用給電部13と水平偏波用放射素子10の構成を示す側面図である。
これらの図に示す水平偏波用給電部13は、内部に平衡・不平衡変換器を収納する収納空間を有しており、収納空間は、角柱のパイプ状とされた本体部13aと、この本体部13aの開口された前面および後面を閉塞する前蓋および後蓋により形成される。前蓋および後蓋は、上部中央と下部の両側に挿通された3本の取付ネジ13fにより本体部13aに取り付けられている。本体部13aの下部からは第1嵌合部13bおよび第2嵌合部13cとの2つが後面側に突出して形成されている。第1嵌合部13bと第2嵌合部13cとの間は切り欠かれており、半円状溝部13gが本体部13aの下面に形成されている。半円状溝部13gの内径は、アーム2の外径とほぼ同様とされており、半円状溝部13gの頂部には下方へ突出する位置決め用の凸部13dとネジ孔13eとが前後に並んで形成されている。第1嵌合部13bおよび第2嵌合部13cにはアーム2に直交する方向に断面円形の挿通孔が全体にわたり形成されて、底面は閉じている。この挿通孔の内径は水平偏波用放射素子10a,10bの外径とほぼ等しくされている。第1嵌合部13bの挿通孔内には半截された一方の水平偏波用放射素子10aの端部が挿入されており、第2嵌合部13cの挿通孔内には半截された他方の水平偏波用放射素子10bの端部が挿入されている。そして、第1嵌合部13bおよび第2嵌合部13cの後側に形成されている挿通孔13hにネジをそれぞれ螺合することにより、第1嵌合部13bおよび第2嵌合部13cにダイポール素子を構成する水平偏波用放射素子10aおよび水平偏波用放射素子10bがそれぞれ固着される。この場合、水平偏波用放射素子10aおよび水平偏波用放射素子10bは、図9に示すように後蓋の外面から間隔dだけ後面側へ離隔して配置される。
第1嵌合部13bおよび第2嵌合部13cに固着された水平偏波用放射素子10aと水平偏波用放射素子10bとの電気的配線が本体部13a内に導入されており、本体部13a内において平衡・不平衡変換器の平衡端子に電気的に接続されている。また、本体部13aの後面に取り付けられた後蓋には、同軸コネクタ15が設けられている。この同軸コネクタ15には、本体部13a内に収納された平衡・不平衡変換器の不平衡端子が電気的に接続されている。これにより、不平衡の端子である同軸コネクタ15に装着される同軸プラグの同軸ケーブルにより、水平偏波用放射素子10aおよび水平偏波用放射素子10bで受信された受信信号が伝達されるようになる。
また、本発明の偏波共用八木型アンテナ1における垂直偏波用給電部23と垂直偏波用放射素子20の構成を図10ないし図13に示す。図10は垂直偏波用給電部23と垂直偏波用放射素子20の構成を示す斜視図であり、図11は垂直偏波用給電部23と垂直偏波用放射素子20の構成を示す下面図であり、図12は垂直偏波用給電部23と垂直偏波用放射素子20の構成を示す正面図であり、図13は垂直偏波用給電部23と垂直偏波用放射素子20の構成を示す側面図である。
これらの図に示す垂直偏波用給電部23は、内部に平衡・不平衡変換器を収納する収納空間を有しており、収納空間は、角柱のパイプ状とされた本体部23aと、この本体部23aの開口された前面および後面を閉塞する前蓋および後蓋により形成される。前蓋および後蓋は、上部中央と下部の両側に挿通された3本の取付ネジ23fにより本体部23aに取り付けられている。本体部23aの下部からは第1嵌合部23bおよび第2嵌合部23cとの2つが前面側に突出して形成されている。第1嵌合部23bと第2嵌合部23cとの間は切り欠かれており、半円状溝部23gが本体部23aの下面に形成されている。半円状溝部23gの内径は、アーム2の外径とほぼ同様とされており、半円状溝部23gの頂部には下方へ突出する位置決め用の凸部23dとネジ孔23eとが前後に並んで形成されている。
第1嵌合部23bおよび第2嵌合部23cにアーム2に直交する方向に断面円形の挿通孔が全体にわたり形成されて、底面は閉じている。この挿通孔の内径は垂直偏波用放射素子20a,20bの外径とほぼ等しくされている。第1嵌合部23bの挿通孔内には半截された一方の垂直偏波用放射素子20aの端部が挿入されており、第2嵌合部23cの挿通孔内には半截された他方の垂直偏波用放射素子20bの端部が挿入されている。そして、第1嵌合部23bおよび第2嵌合部23cの前側に形成されている挿通孔13hにネジをそれぞれ螺合することにより、第1嵌合部23bおよび第2嵌合部23cにダイポール素子を構成する垂直偏波用放射素子20aおよび垂直偏波用放射素子20bがそれぞれ固着される。この場合、垂直偏波用放射素子20aおよび垂直偏波用放射素子20bは、図13に示すように前蓋の外面から間隔dだけ前面側へ離隔して配置される。
第1嵌合部23bおよび第2嵌合部23cに固着された垂直偏波用放射素子20aと垂直偏波用放射素子20bとの電気的配線が本体部23a内に導入されており、本体部23a内において平衡・不平衡変換器の平衡端子に電気的に接続されている。また、本体部23aの後面に取り付けられた後蓋には、同軸コネクタ25が設けられている。この同軸コネクタ25には、本体部23a内に収納された平衡・不平衡変換器の不平衡端子が電気的に接続されている。これにより、不平衡の端子である同軸コネクタ25に装着される同軸プラグの同軸ケーブルにより、垂直偏波用放射素子20aおよび垂直偏波用放射素子20bで受信された受信信号が伝達されるようになる。
次に、本発明の偏波共用八木型アンテナ1における給電部を組み立てる第1の手順ないし第4の手順を図14ないし図17に示す。図14は偏波共用八木型アンテナ1における給電部を組み立てる第1の手順を示す斜視図であり、図15は偏波共用八木型アンテナ1における給電部を組み立てる第2の手順を示す斜視図であり、図16は偏波共用八木型アンテナ1における給電部を組み立てる第3の手順を示す斜視図であり、図17は偏波共用八木型アンテナ1における給電部を組み立てる第4の手順を示す斜視図である。ただし、図14ないし図17においては偏波共用八木型アンテナ1の放射素子および給電部が配置されるアーム2の一部分だけが示されており、導波素子および反射素子は省略して示されている。
これらの図に示すように、偏波共用八木型アンテナ1における給電部を組み立てるには、まず、水平偏波用給電部13の半円状溝部13gに形成されている凸部13dおよびネジ孔13eを、アーム2に設けられている嵌入孔3aおよび取付ネジ4aに対向するように、アーム2上に水平偏波用給電部13を図14に示すように配置する。この場合、アーム2に設けられている嵌入孔3aおよび取付ネジ4aは、水平偏波用導波素子11および水平偏波用反射素子12が配置される水平面内に設けられている。次いで、アーム2の嵌入孔3aに凸部13dを嵌入するように、水平偏波用給電部13をアーム2に当接させると、水平偏波用給電部13がアーム2に位置決めされ、次いで、取付ネジ4aをネジ孔13eに螺着する。これにより、図15に示す状態となり、アーム2に水平偏波用給電部13を固着することができる。そして、アーム2に水平偏波用給電部13が固着された際には、水平偏波用放射素子10a,10bが水平偏波用導波素子11および水平偏波用反射素子12が配置されている水平面内に配置されるようになる。
続けて、垂直偏波用給電部23の半円状溝部23gに形成されている凸部23dおよびネジ孔23eを、アーム2に設けられている図示しない嵌入孔3bおよび取付ネジ4bに対向するように、アーム2に対して垂直偏波用給電部23を図16に示すように配置する。この場合、アーム2に設けられている嵌入孔3bおよび取付ネジ4bは、垂直偏波用導波素子21および垂直偏波用反射素子22が配置される垂直面内に設けられている。次いで、アーム2の嵌入孔3bに凸部23dを嵌入するように、垂直偏波用給電部23をアーム2に当接させると、垂直偏波用給電部23がアーム2に位置決めされ、次いで、取付ネジ4bをネジ孔23eに螺着する。これにより、図17に示す状態となり、アーム2に垂直偏波用給電部23を固着することができる。なお、嵌入孔3bおよび取付ネジ4bは、嵌入孔3aおよび取付ネジ4aに対して直交してアーム2に設けられており、アーム2に垂直偏波用給電部23が固着された際には、垂直偏波用放射素子20a,20bが垂直偏波用導波素子21および垂直偏波用反射素子22が配置されている水平面内に配置されるようになる。
なお、水平偏波用給電部13においては、水平偏波用放射素子10aおよび水平偏波用放射素子10bは、図9に示すように後蓋の外面から間隔dだけ後面側へ離隔して配置されている。これに対して、垂直偏波用給電部23においては、垂直偏波用放射素子20aおよび垂直偏波用放射素子20bは、図13に示すように前蓋の外面から間隔dだけ前面側へ離隔して配置されている。これにより、図17に示すようにアーム2に水平偏波用給電部13および垂直偏波用給電部23を取り付けると、水平偏波用放射素子10a,10bの中心軸と、垂直偏波用放射素子20a,20bの中心軸とがアーム2のほぼ中心軸上で交差するようになる。すなわち、水平偏波用放射素子10a,10bと垂直偏波用放射素子20a,20bとがアーム2の中心軸と直交する垂直面内に配置されるようになる。
このように、水平偏波用放射素子10および垂直偏波用放射素子20のアーム2への組み立てをそれぞれ1本のネジだけを螺着することで容易に行えることから、複数本の水平偏波用導波素子11と、水平偏波用放射素子10と、水平偏波用反射素子12とからなる水平偏波用八木アンテナ、および、複数本の垂直偏波用導波素子21と、垂直偏波用放射素子20と、垂直偏波用反射素子22とからなる垂直偏波用八木アンテナとを容易に組み立てることができる。また、分解する際には組み立ての逆の手順で行えばよいことから、本発明の偏波共用八木型アンテナ1は容易に分解・組み立てを行うことができる。
なお、本発明の偏波共用八木型アンテナ1を梱包する際には、複数本の垂直偏波用導波素子21と垂直偏波用反射素子22とを、複数本の水平偏波用導波素子11と水平偏波用反射素子12とが配置されている水平面内に配置すると共に、それぞれ1本のネジだけを緩めることによりアーム2から水平偏波用放射素子10および垂直偏波用放射素子20を取り外して梱包する。この場合、水平偏波用八木アンテナと垂直偏波用八木アンテナとを直交して取り付けた状態で梱包する場合に比較して、著しく小さな体積で梱包することができる。
本発明の偏波共用八木型アンテナ1では、水平偏波用八木アンテナを構成する複数本の水平偏波用導波素子11と、水平偏波用放射素子10と、水平偏波用反射素子12とが、アーム2のほぼ中心軸を含む水平面内に取り付けられるとともに、垂直偏波用八木アンテナを構成する複数本の垂直偏波用導波素子21と、垂直偏波用放射素子20と、垂直偏波用反射素子22とが上記水平面と直交するアーム2のほぼ中心軸を含む垂直面内に取り付けられている。すなわち、水平偏波用八木アンテナと垂直偏波用八木アンテナとの中心軸がほぼ一致すると共に直交してアーム2に固着される。さらに、水平偏波用導波素子11、水平偏波用放射素子10、水平偏波用反射素子12のそれぞれの中心軸は、垂直偏波用導波素子21、垂直偏波用放射素子20、垂直偏波用反射素子22のそれぞれの中心軸とアーム2のほぼ中心軸上で交差する。これにより、本発明の偏波共用八木型アンテナ1における交差偏波識別度は、良好な交差偏波識別度となる。
以上説明した本発明にかかる偏波共用八木型アンテナにおいては、水平偏波用導波素子および垂直偏波用導波素子の本数は1本以上の任意の数の導波素子とすることができる。また、水平偏波用反射素子および垂直偏波用反射素子も1本以上の任意の数の反射素子とすることができる。
また、本発明にかかる偏波共用八木型アンテナは、垂直偏波および水平偏波の周波数帯を同じとしたが、これに限ることはなくそれぞれ個別の周波数帯を使用する通信形態や、垂直偏波および水平偏波の両偏波を用いる空間多重通信を行う通信システムや放送事業分野に用いることができる。
1 偏波共用八木型アンテナ、2 アーム、3a 嵌入孔、3b 嵌入孔、4a 取付ネジ、4b 取付ネジ、10 水平偏波用放射素子、10a,10b 水平偏波用放射素子、11 水平偏波用導波素子、11a,11b,11c 水平偏波用導波素子、12 水平偏波用反射素子、13 水平偏波用給電部、13a 本体部、13b 第1嵌合部、13c 第2嵌合部、13d 凸部、13e ネジ孔、13f 取付ネジ、13g 半円状溝部、13h 挿通孔、15 同軸コネクタ、20 垂直偏波用放射素子、20a,20b 垂直偏波用放射素子、21 垂直偏波用導波素子、21b1,21b2 垂直偏波用導波素子、22 垂直偏波用反射素子、23 垂直偏波用給電部、23a 本体部、23b 第1嵌合部、23c 第2嵌合部、23d 凸部、23e ネジ孔、23f 取付ネジ、23g 半円状溝部、24 素子取付具、25 同軸コネクタ、25a ネジ、25a,25b ネジ、26a,26b 挿通孔、30 第1素子取付具、30a 第1抱持部、30b 第2抱持部、30c サドル部、30d 素子挿通孔、30e 第1挿通孔、30f 第2挿通孔、30g 折曲部、31 第2素子取付具、31a 第1抱持部、31b 第2抱持部、31e ネジ孔、31f ネジ孔、101 偏波共用八木型アンテナ、110 水平偏波側放射素子、110a,110b 放射素子、110b 放射素子、111 水平偏波側導波素子、111a,111b 導波素子、112 水平偏波側反射素子、112a,112b 反射素子、112c,112d ネジ部、112c,112d,116c,116d ネジ部、112e,112g ナット、114 垂直偏波側放射素子、114a,114b 放射素子、115 垂直偏波側導波素子、115a,115b 導波素子、116 垂直偏波側反射素子、116a,116b 反射素子、116c,116d ネジ部、116e,116g ナット、118 アーム、118a 第1アーム、118b 第2アーム、119 シールド筒体、120a,120b 固着金具、121a,121b 固着金具、140,141 同軸ケーブル、140a 内部導体、140b 外部導体、141a 内部導体、141b 外部導体、142 分岐導体、142b 外部導体、143 分岐導体、143b 外部導体、144 短絡板、145 短絡板、150 内部リング、151a ブッシュ、152a,152b,152c,152d ボス、153 外部リング

Claims (2)

  1. アームのほぼ中心軸を含む第1平面上に配置され、前記アームに固着されている少なくとも1本の第1導波素子と、
    前記第1平面上に配置され、前記第1導波素子の後方に隣接して前記アームに着脱可能に固着されている第1放射素子と、
    前記第1平面上に配置され、前記第1放射素子の後方に隣接して前記アームに固着されている少なくとも1本の第1反射素子と、
    前記第1平面上に配置された前記第1導波素子と前記第1放射素子と前記第1反射素子とから構成される第1八木アンテナと、
    半截されたそれぞれの端部の間が、前記アームを抱持する導波素子取付具により挟持されている前記第1導波素子と同数の第2導波素子と、
    前記第1平面と直交すると共に前記アームのほぼ中心軸を含む第2平面上に配置され、前記第2導波素子の後方に隣接して前記アームに着脱可能に固着されている第2放射素子と、
    半截されたそれぞれの端部の間が、前記アームを抱持する反射素子取付具により挟持されて、前記第2放射素子の後方に隣接して配置されている前記第1反射素子と同数の第2反射素子と、
    前記第2導波素子と前記第2放射素子と前記第2反射素子とから構成される第2八木アンテナとを備え、
    前記導波素子取付具と前記反射素子取付具は、2つの素子取付具を対面して配置することにより構成されており、前記素子取付具は、ほぼ中央に素子挿通溝が形成された円弧状の形状のサドル部と、該サドル部の両側にそれぞれ形成された半円状の抱持部とを備え、対面した前記サドル部の間に前記アームが抱持されるように、2つの前記素子取付具が対面して前記アームに固着された際に、半截された前記第2導波素子または前記第2反射素子の端部が、2つの前記素子取付具が対面する前記抱持部の間に挟持されて固着され、
    前記第2導波素子が固着された前記導波素子取付具を動かして、前記アームに固着されている前記第1導波素子を前記素子挿通溝内に圧入することにより、前記第2導波素子が前記第2平面上に配置され、前記第2反射素子が固着された前記反射素子取付具を動かして、前記アームに固着されている前記第1反射素子を前記挿通溝内に圧入することにより、前記第2反射素子が前記第2平面上に配置され、前記第2導波素子が固着された前記導波素子取付具および前記第2反射素子が固着された前記反射素子取付具を、前記アームに対して回転することにより、前記第2導波素子および前記第2反射素子を前記第1平面上に配置することができることを特徴とする偏波共用八木型アンテナ。
  2. 前記第2導波素子および前記第2反射素子を前記第1平面上に配置すると共に、少なくとも前記第2放射素子を前記アームから取り外した状態が梱包状態とされることを特徴とする請求項1記載の偏波共用八木型アンテナ。
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