JP2014226603A - 高分子ナノ微多孔膜の製造方法 - Google Patents

高分子ナノ微多孔膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】乾燥工程を経ても著しい流束の低下を招くことのない、ナノスケールの細孔を持つ高分子ナノ微多孔膜の製造方法を得ること。
【解決手段】本願の高分子ナノ微多孔膜の製造方法は、高分子溶液から作られる高分子ナノ微多孔膜の製造方法である。当該方法は、高分子を溶解した高分子溶液を用いて高分子ナノ微多孔膜を形成する工程と;沸点が前記高分子の結晶化温度以上の高沸点溶液を、前記高分子の結晶化温度以上、溶融温度未満の温度に加熱する工程と;加熱された前記高沸点溶液中で、形成された前記高分子ナノ微多孔膜を結晶化温度以上の温度に加熱する工程と;加熱後の前記高分子ナノ微多孔膜を洗浄する工程と;洗浄後の前記高分子ナノ微多孔膜を乾燥する工程とを備える。その結果、乾燥工程を経ても膜の流束が著しく低下することを防ぐことができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ナノスケールの細孔を持つ高分子ナノ微多孔膜の製造方法であって、乾燥に耐え得る高分子ナノ微多孔膜の製造方法に関する。
ナノスケールの細孔を持つ微多孔膜に関しては、既に多くの確立された技術がある。高分子の微多孔膜は、一般に相分離法で作製され、良溶媒に溶かした高分子溶液を塗布し、貧溶媒に接触させることで得られる非対称膜の作製は、その典型例である。相分離は、温度を急激に低下させることでも起こり、熱誘起相分離法として広く知られている。ナノスケールの細孔の製造には、細孔を形成するための低分子化合物を添加したり、ブロックポリマーを利用したりする方法もある。例えば、特許文献1の実施例2には、酸化チタンでできたメソ多孔質の上に、ジアミノエチルメタクリレートでグラフトされたポリフッ化ビニリデンのジメチルホルムアミド溶液から作った活性層を付着させる方法が提案されている。
上記以外にもナノスケールの細孔を持つ微多孔膜には種々の製法があるが、多くの製法において、溶媒等の除去を目的とした洗浄工程、洗浄液を除くための乾燥工程が設けられ、乾燥したものが製品化される。これは、洗浄後の湿潤な状態の膜では品質維持が難しく、さらに、その重さにより輸送が困難だったりするためである。
しかし、高分子からナノスケールの細孔を持つ微多孔膜を製造する場合、特に高分子溶液(高分子を良溶媒に溶解した溶液)を用いて微多孔膜を製造する場合、非晶性の部分が多い微多孔膜が得られるため、乾燥により著しい流束の低下を招き、流束がゼロになってしまう場合も多い。これは、当該膜を構成する高分子がやわらかい細孔構造を取りやすく、洗浄液等が乾燥する際に生じる表面張力により、ナノスケールの細孔がつぶれてしまうためと推測される。表面張力による細孔の消滅は、ヤングラプラスの式より、細孔サイズが小さい場合に特に顕著になる。
特許文献2において一ノ瀬らは、ポリフッ化ビニリデンのN−メチル−2−ピロリドン溶液をエタノールと混合することで、溶液の中にナノ粒子が連結したファイバーを形成し、これを濾過することで、高分子ナノ微多孔膜を得られることを報告している。同文献の、実施例3には、この高分子ナノ微多孔膜の特徴と濾過フィルターとしての性能が詳細に報告されている。また、特許文献2の実施例4には、高分子ナノ微多孔膜を100℃の水やグリセリンで10分程度熱処理することで、濾過フィルターの力学的強度が向上することが報告されている。しかしながらこの場合にも、乾燥等による性能劣化が見られるため、グリセリンやポリエチレングリコールなどの蒸気圧の低い分子をしみ込ませることで、乾燥等による性能劣化を抑制し、細孔構造を安定化している。
一般に、限外濾過膜は、細孔構造が乾燥に対して不安定である。特に、細孔サイズが10ナノメートル以下の限外濾過膜は、通常、液体に浸した状態で保存する必要があり、取り扱いが困難なことから、その用途が著しく制限されてきた。
特表平6−502116号公報 国際公開第2012/173031号
そこで本発明は、乾燥工程を経ても著しい流束の低下を招くことのない、ナノスケールの細孔を持つ高分子ナノ微多孔膜の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、試行錯誤しながら実験を繰り返した結果、高分子からナノスケールの微多孔膜(高分子ナノ微多孔膜)を製造する際に、膜の形成後乾燥前に当該膜を高分子の結晶化温度以上に加熱することにより、乾燥工程を経ても膜の流束が著しく低下することのない高分子ナノ微多孔膜が製造できることを見出した。
本発明の第1の態様に係る高分子ナノ微多孔膜の製造方法は、高分子溶液から作られる高分子ナノ微多孔膜の製造方法であって、高分子を溶解した高分子溶液を用いて高分子ナノ微多孔膜を形成する工程と;沸点が前記高分子の結晶化温度以上の高沸点溶液を、前記高分子の結晶化温度以上、溶融温度未満の温度に加熱する工程と;加熱された前記高沸点溶液中で、形成された前記高分子ナノ微多孔膜を結晶化温度以上の温度に加熱する工程と;加熱後の前記高分子ナノ微多孔膜を洗浄する工程と;洗浄後の前記高分子ナノ微多孔膜を乾燥する工程とを備える。なお、「高分子ナノ微多孔膜」とは、高分子から作られたナノスケールの細孔を持つ微多孔膜をいう。高分子の「結晶化温度」とは、溶融高分子を等速冷却した場合に最大の放熱を示す温度を意味する。高分子の「溶融温度」とは、高分子を等速加熱した場合に最大の吸熱を示す温度を意味する。
このように構成すると、高分子ナノ微多孔膜を乾燥する前に、高分子の結晶化温度以上に加熱しているため、乾燥工程を経ても、膜の流束がゼロになるまたは濾過膜等として使用できないほどに著しく低下することを防ぐことができる。
本発明の第2の態様に係る高分子ナノ微多孔膜の製造方法は、上記第1の態様に係る高分子ナノ微多孔膜の製造方法において、前記高分子がフルオロ基を有する高分子である。
このように構成すると、良溶媒に溶かした高分子を貧溶媒に混合または接触させることで、容易に相分離構造を誘起できるため、高分子ナノ微多孔膜を製造することが容易である。
本発明の第3の態様に係る高分子ナノ微多孔膜の製造方法は、上記第1の態様または第2の態様に係る高分子ナノ微多孔膜の製造方法において、前記高分子がポリフッ化ビニリデンまたはフッ化ビニリデンを含む共重合体である。
このように構成すると、ポリフッ化ビニリデンまたはフッ化ビニリデンを含む共重合体から形成された膜は、比較的やわらかく乾燥時にナノスケールの細孔がつぶれやすいため、前記結晶化温度以上に加熱する工程が特に有効である。
本発明の第4の態様に係る高分子ナノ微多孔膜の製造方法は、上記第1の態様〜第3の態様のいずれかに係る高分子ナノ微多孔膜の製造方法において、前記高沸点溶液がポリエチレングリコール、グリセリンから選ばれる少なくとも1種の液である。
このように構成すると、適切な温度の高沸点溶液を大気圧下(標準気圧)で得ることができるため好ましい。
本発明の第5の態様に係る高分子ナノ微多孔膜の製造方法は、上記第1の態様〜第4の態様のいずれかに係る高分子ナノ微多孔膜の製造方法において、前記高沸点溶液が重量平均分子量200以上のポリエチレングリコールである。
このように構成すると、分子量の大きい高沸点溶液は、高分子ナノ微多孔膜の流束の低下をより効果的に防止することができるため好ましい。
本発明の第6の態様に係る高分子ナノ微多孔膜の製造方法は、上記第1の態様〜第5の態様のいずれかの態様に係る高分子ナノ微多孔膜の製造方法において、前記高分子ナノ微多孔膜は、直径1ナノメートル〜100ナノメートルの高分子のナノ粒子が網目状に連結し、ナノ粒子状ファイバーとなって分散している分散液を濾過することで、50ナノメートル〜1000ナノメートルの厚さに積層されている。
このように構成すると、製造された高分子ナノ微多孔膜は、細孔径が1ナノメートル〜100ナノメートルであり、細孔径分布が小さくなるため好ましい。
本発明の高分子ナノ微多孔膜の製造方法は、乾燥を経ても著しい流束の低下を招くことのない、ナノスケールの細孔を持つ高分子ナノ微多孔膜を製造することができる。
以下、本発明の実施の形態である高分子ナノ微多孔膜の製造方法について説明する。
<高分子ナノ微多孔膜の製造方法>
高分子ナノ微多孔膜の製造方法は、(1)高分子ナノ微多孔膜を形成する工程と、(2)沸点が高分子の結晶化温度以上の高沸点溶液を高分子の結晶化温度以上、融点温度未満に加熱する工程と、(3)加熱された高沸点溶液中で(1)で形成された高分子ナノ微多孔膜を高分子の結晶化温度以上に加熱する工程と、(4)加熱後の高分子ナノ微多孔膜を洗浄する工程と、(5)洗浄後の高分子ナノ微多孔膜を乾燥する工程を備える。
(1)高分子ナノ微多孔膜を形成する工程
高分子ナノ微多孔膜を形成する工程は、ナノスケールの細孔を持つ膜を形成する工程である。膜の形成には、種々の製法があるが、ここでは一例として、高分子を溶解した高分子溶液から、ナノ粒子状ファイバーが高度に分散したナノ粒子状ファイバー分散液(単に分散液と呼ぶことがある)を製造した後、分散したナノ粒子状ファイバーを凝集させて膜を形成する製法を用いて説明する。
なお、高分子溶液とは、高分子を良溶媒に溶解した溶液である。
高分子は、特に限定する訳ではないが、フルオロ基を有する高分子が好ましい。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いることができ、これにより耐薬品性に優れた高分子ナノ微多孔膜を得ることができる。
高分子は、フルオロ基を含むモノマーを含んだ共重合体であってもよい。フルオロ基を含むモノマーとしては、フッ化ビニリデンを挙げることができる。
共重合体の様式としては、交互共重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体を挙げることができる。
良溶媒は、高分子を溶解させることができるとともに、後述の貧溶媒よりも高分子に対して溶解度の高い溶媒であって、貧溶媒への分散性が高いものに限られる。例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の有機溶媒を挙げることができる。これらの良溶媒は、フルオロ基を有する高分子を短時間に高度に溶解させることができる。
貧溶媒は、高分子の非溶媒、または、高分子を溶解してもよいが形成されたナノ構造を壊さない程度の溶解性を持つ溶媒(一般的な貧溶媒)であって、良溶媒への分散性の高いものをいう。
貧溶媒は、水、アルコールやこれらの混合溶媒を選択することができ、水またはアルコールが好ましい。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等を用いることができる。また、アセトニトリルやアセトンなど、アルコールと同等の極性溶媒を単独、または混合溶媒として用いることもできる。
製造されるナノ粒子状ファイバー分散液は、ゲル化や沈殿、バルクにおける相分離を生じず、透明な分散液である。
高分子溶液中の高分子の濃度は、0.05mg/mL〜5mg/mLが好適に用いられる。これにより、高分子溶液を貧溶媒へ短時間に高度に分散させることができる。前記濃度が0.05mg/mL以上の場合には、高分子の濃度が薄すぎず、十分な量のナノ粒子を生成できる。5mg/mL以下の場合には、高分子の濃度が濃すぎず、沈殿等を生ずることがない。
高分子溶液は注入容器から貧溶媒中へノズル等を用いて添加することが好ましい。これにより、高分子溶液を直ちに貧溶媒中に分散させることができる。また、これにより、局所濃度のバラつきを均一化できる。
高分子溶液を貧溶媒中に分散する際、混合した溶液を攪拌することが好ましい。これにより、高分子溶液をより短時間に貧溶媒中に分散させることができる。
高分子溶液を貧溶媒中に急速に混合すると、貧溶媒中で高分子の高分子鎖の間に貧溶媒の分子が侵入し、各高分子を互いに絡み合わせるとともに、貧溶媒が疎水性相互作用により取り込まれた状態で、強固に凝集されたナノ粒子を形成する。
各ナノ粒子の表面の高分子の間に取り込まれた貧溶媒の分子は、隣接する高分子の高分子鎖の間に空間を形成するとともに、隣接するナノ粒子の表面の高分子をその空間内に引き込み、隣接するナノ粒子の高分子同士を互いに絡み合わせることができ、ナノ粒子を強固に連結する。これにより、力学的強度の高い1ナノメートル〜100ナノメートルの太さのナノ粒子状ファイバーが形成される。
高分子溶液の貧溶媒中への混合方法は特に限定されない。また、混合は室温で行ってよい。混合時間は、高分子の濃度にも依存するが、数秒以内に行う方がよい。これは、混合時間が長くなると、ナノ粒子状ファイバーの分散性が低下するからである。
混合により、ナノ粒子状ファイバーが高度に分散したナノ粒子状ファイバー分散液が製造される。
ナノ粒子状ファイバー分散液における高分子の濃度は、0.002mg/mL〜0.2mg/mLの範囲とすることが望ましい。この濃度範囲は、高分子溶液としては非常に希薄であるが、高分子ナノ微多孔膜の形成工程において、ナノ粒子状ファイバー分散液を基材層としての多孔性シートで濾過して、ナノ粒子がネットワーク状に連結した濾過ケーキを製造するのに適しているためである。なお、形成された濾過ケーキは、単層で高分子ナノ微多孔膜として用いてもよく、多孔性シートとともに多層膜として用いてもよい。
(2)高沸点溶液を加熱する工程
高沸点溶液を加熱する工程は、沸点が高分子の結晶化温度以上の高沸点溶液を、高分子の結晶化温度以上、融点温度未満に加熱する工程である。沸点は、溶液が置かれる環境の圧力によって定まる。本実施の形態では、加熱は大気圧下(標準気圧)で行う。
高沸点溶液は、(1)で形成された高分子ナノ微多孔膜を加熱するための溶液であり、その沸点が高分子の結晶化温度以上である溶液であればよい。高沸点溶液は、純物質であってもよいし、複数の成分を混合したものでもよい。例えば、ポリエチレングリコール、グリセリンから選ばれる少なくとも1種の溶液を挙げることができる。特に、重量平均分子量が200以上のポリエチレングリコールが好ましい。複数の成分を混合したものとしては、例えばポリエチレングリコールとグリセリンを混合した液が挙げられる。あるいは、本願の効果を妨げない範囲で水等の、沸点が高分子の結晶化温度未満の低沸点溶液を少量混合してもよい。本願の方法を連続して行う場合、処理する高分子ナノ微多孔膜に付着していた水分等が混入する場合があるが、少量であれば本願の効果を失うものではない。処理効果のばらつきを無くすために、高分子ナノ微多孔膜中の低沸点溶液濃度が一定になるように、意図的に少量の低沸点溶液を混入して液を調整しても良い。しかし、大量に混ぜることは、加熱中にその液が沸騰するため好ましくない。
高沸点溶液を加熱する方法は特に限定されない。しかし、高分子は、分子構造や重合度、組成などにより多様な結晶化温度を示し、高分子ナノ微多孔膜を一様に加熱するには、100℃以上に加熱可能なオイルバス等を用いて、さらに間接的に加熱することが好ましい。あるいは、高分子ナノ微多孔膜を高沸点溶液に一旦浸漬した後、熱ロール等と接触させて加熱することも可能である。
なお、浸漬前の高分子ナノ微多孔膜に含まれている液は、高沸点溶液に完全に、あるいは十分に置換されることが好ましい。置換が不十分なまま、あるいは全く置換されない状態のまま加熱した場合、その不十分さの程度によっては、高分子ナノ微多孔膜が見かけ上高沸点溶液に浸漬されている状態であっても、事実上置換前の液中で加熱されることになるので、加熱中にその液が沸騰して膜構造に影響を与えたり、あるいは高沸点溶液としてのポリエチレングリコールの重量平均分子量を200以上に設定した効果が十分に得られなくなったりするためである。しかし、完全には置換されていない場合、すなわち高分子ナノ微多孔膜に液が含まれていたとしても、加熱中に当該液が沸騰することがない程度以上に置換されていれば、本発明の効果を妨げない。置換を容易にするために、この高沸点溶液は、浸漬前に高分子ナノ微多孔膜に含まれている液との相溶性が高いことが好ましい。一般には高分子ナノ微多孔膜は形成後に水洗されることが多いため、その意味でも、水との相溶性が高いポリエチレングリコール、グリセリンを用いるのは好ましい。なお、十分な置換をさせるために、高分子ナノ微多孔膜に含まれている液を一旦別の液と置換して、その後に高沸点溶液と置換することも効果的である。
(3)高分子ナノ微多孔膜を結晶化温度以上に加熱する工程
高分子ナノ微多孔膜を結晶化温度以上に加熱する工程は、(1)で形成された高分子ナノ微多孔膜を構成する高分子の結晶化温度以上に加熱した高沸点溶液中に、高分子ナノ微多孔膜を浸して、膜を高分子の結晶化温度以上に加熱する工程である。浸漬時間は、膜が結晶化温度以上に加熱されるのに要する時間以上であればよい。例えば3分以上20分未満が好ましい。この時間を3分以上にすることにより本発明の効果が顕著に得られ、20分未満とすることで無駄な時間を省くことができる。
なお、加熱温度は、典型的には高分子の結晶化温度以上、融点温度未満である。結晶化温度以上であると、乾燥工程により膜の細孔がつぶれるのを防ぐことができる。これは、結晶化温度以上に加熱された高分子は、ある程度動くことが可能になり、結晶構造の配向が変化し、結晶化度が上がり、さらに結晶構造が再配向することにより硬質の膜を形成するためと推測される。融点温度未満であると、高分子自身が溶融するのを防ぐことができる。しかし、ここでいう加熱温度は、あくまでも高分子ナノ微多孔膜自身の加熱温度であるため、高分子の溶融より結晶化が速く起こる場合には、高沸点溶液の温度を高分子の融点以上とし、高分子自身が溶融しない程度の短時間だけ浸漬することも可能である。
このように、高分子ナノ微多孔膜を高分子の結晶化温度以上に加熱することにより、その後の洗浄及び乾燥工程を経ても膜の流束がゼロになる、または、濾過膜等として使用できないほどに著しく低下することがない高分子ナノ微多孔膜が得られる。
(4)高分子ナノ微多孔膜を洗浄する工程
加熱後の高分子ナノ微多孔膜を、例えば自然放冷して除熱した後、残存する高沸点溶液を除去するために、洗浄液、典型的には水を用いて洗浄する。洗浄方法は特に限定されないが、ヒートショックを考慮して、ゆっくり冷やした後に洗浄することが好ましい。または、100℃の水のような高温の熱湯で洗浄した後、徐冷してもよい。
(5)高分子ナノ微多孔膜を乾燥する工程
高分子ナノ微多孔膜を乾燥する工程により乾燥させる。乾燥方法は、特に限定されない。洗浄に用いた洗浄液(水等)が除去できる方法であればよい。乾燥により余分な溶液が取り除かれ軽量化するため、製膜後の輸送に適し好ましい。
上記のとおり、本発明の高分子ナノ微多孔膜の製造方法により製造した膜は、乾燥工程により細孔が塞がれることがない。よって、乾燥後も高い流束を有する。
次に、上記(1)高分子ナノ微多孔膜を形成する工程において、一例として用いた、ナノ粒子状ファイバーが高度に分散したナノ粒子状ファイバー分散液について説明する。
<ナノ粒子状ファイバー分散液>
ナノ粒子状ファイバー分散液は、貧溶媒中にナノ粒子状ファイバーが分散したものである。ナノ粒子状ファイバーは、複数のナノ粒子が連結されてなる。
ナノ粒子状ファイバーは、複数のナノ粒子が連結されて延伸される延伸部を有している。ナノ粒子状ファイバーは、複数のナノ粒子が連結されてなる構成なので、力学的強度を高くできる。延伸部の太さは、1ナノメートル〜100ナノメートルの範囲にあり、多くの場合、10ナノメートル〜50ナノメートルの範囲にある。
延伸部は分岐部で分岐されている。分岐部を有することにより、ナノ粒子状ファイバーは、網目状の形態を有し、平面視10マイクロメートル程度の広がりをもつものが含まれる。
ナノ粒子状ファイバーは、室温で数日間保存することができる。2週間以上安定に存在できるナノ粒子状ファイバーを形成することもできる。
ナノ粒子の径は、1ナノメートル〜100ナノメートルである。
ナノ粒子状ファイバーは、それを構成する高分子の間に貧溶媒の分子が挟持されている。
高分子の間に貧溶媒の分子が存在することにより、ナノ粒子の表面の高分子鎖に揺らぎが起こり、ナノ粒子間での高分子鎖の絡み合いを可能にし、ナノ粒子間での疎水性相互作用を容易にする。また、隣接する高分子を離間して、その空間に別のナノ粒子の表面で離間した高分子の一端を入り込ませて、ナノ粒子同士を強固に結合することができる。
また、貧溶媒の分子が挟持されていることにより、ナノ粒子の表面を適度な親媒性を有するようにでき、貧溶媒中でナノ粒子状ファイバーを高度に分散させることができる。
「高度に」とは、一定の濃度以上で、均一に、かつ、安定して分散させた状態である。一定の濃度は、高分子の種類等にもよるが、0.001mg/mL以上である。これにより、濾過法により所定の濾過膜を容易に形成することができる。
高分子として、フルオロ基を有する高分子(重合体または共重合体)を用いることにより、ナノ粒子の表面に貧溶媒の溶媒分子を取り込み、高分子の間に貧溶媒の分子を存在させ、ナノ粒子の表面の高分子鎖に揺らぎを生ぜしめ、ナノ粒子間での高分子鎖の絡み合いを可能とし、強固に連結されたナノ粒子状ファイバーを形成できる。
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)は、疎水性が強い高分子なので、有機溶媒に溶かした後は、水と急速に混合するより、エタノールと急速に混合することが好ましい。一方、エタノールは、凝集したPVDF鎖の間に存在することができ、表面の高分子鎖に揺らぎを与える。この結果、ナノ粒子間での高分子鎖の絡み合いが可能となり、疎水性相互作用によって丈夫なナノ粒子状ファイバーが形成される。
なお、上記ナノ粒子状ファイバーの分散体を形成する技術は、幅広いポリマーに一般化できる可能性がある。
<ナノ粒子状ファイバー製濾過フィルター>
高分子ナノ微多孔膜の一例として、上記ナノ粒子状ファイバー分散液を用いて製造されたナノ粒子状ファイバー製濾過フィルターについて説明する。
ナノ粒子状ファイバー製濾過フィルターは、基材層として用いるフィルターの一面を覆うように形成される。
しかし、ナノ粒子状ファイバー製濾過フィルターは、フィルターとの積層型に限られるものではなく、また、ナノ粒子状ファイバー製濾過フィルターは、単層膜として形成しても、多層膜として形成してもよい。
ナノ粒子状ファイバー分散液をフィルターで濾過することにより、フィルター上にナノ粒子状ファイバー製濾過フィルター(シート状の濾過ケーキ、不織布、濾過膜と呼称する場合もある。)を形成できる。
ナノ粒子状ファイバーが10マイクロメートル程度の広がりをもつ網目状の形態を有しており、高分子鎖の絡み合いによって生じる相互作用により、その広がりを維持可能である。そのため、数マイクロメートル程度の径の孔部が形成されているフィルターを基材層として用いても、該ナノ粒子状ファイバーでは、基材層の孔部を覆うように濾過膜を形成でき、基材層の孔部の内部への入り込みを少なくできる。
基材層としてのフィルターには、セルロースアセテート(CA)フィルター、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルター、ポリカーボネート(PC)フィルターなどを用いることができる。
ナノ粒子状ファイバー製濾過フィルターの厚さは、基材層として用いたフィルターの厚さより薄くされている。その厚さは、50ナノメートル〜1000ナノメートル、好ましくは100ナノメートル〜500ナノメートルにする。ナノ粒子状ファイバー製濾過フィルターの力学的強度が高いため、500ナノメートル以下に形成しても、安定な膜を維持できる。これにより、液体の高速透過が可能となる。また、50ナノメートル以上とすることで、濾過圧力に対する耐圧を高くし、あるいは製膜後の折り曲げ加工等を容易にすることができる。
ナノ粒子状ファイバー製濾過フィルターは、ナノ粒子が凝集されて形成されている。ナノ粒子の間には細孔が設けられている。
ナノ粒子の径は1ナノメートル〜100ナノメートル、好ましくは10ナノメートル〜50ナノメートルである。前記細孔の径は1ナノメートル〜100ナノメートルであり、細孔径分布が小さい。このため、細孔により、1ナノメートル〜100ナノメートルの範囲の、任意の径の物質の濾過フィルターとして利用できる。
ナノ粒子状ファイバー製濾過フィルターを構成しているナノ粒子は、ナノ粒子が強固に連結されたナノ粒子状ファイバーがさらに凝集されたものである。よって、ナノ粒子状ファイバー製濾過フィルターは、非常に強固な膜として形成される。
本発明の高分子ナノ微多孔膜の製造方法は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で、種々変更して実施することができる。
本実施の形態の具体例を以下の実施例で示す。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、具体的な実施例を説明する前に、参考例1を用いてナノ粒子状ファイバー分散液から、ナノスケールの細孔径を持つ膜が作製できることを示す。
(参考例1)
1mg/mLのポリフッ化ビニリデン(PVDF、GPCによる重量平均分子量:180000)のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液1mLを19mLのエタノールに撹拌しながら混合し、さらに室温で5分間放置した。ここで、微量のエタノールを加えて混合による溶媒体積の減少を補正し、20mLとした。得られた溶液は、透明であり、室温で2週間以上保存することができた。溶液の中に約25〜30ナノメートルのナノ粒子が連結したナノ粒子状ファイバーが形成されていることを走査透過電子顕微鏡(STEM)観察より確認した。但し、PVDFは、電子線により分解する傾向があり、高解像度のナノファイバーのイメージを撮影することは困難であった。
上記のナノ粒子状ファイバーが形成された溶液2mLを有効面積2.27cmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルター(細孔孔径:200ナノメートル)を用いて濾過した。このようにして形成した濾過膜の断面の走査電子顕微鏡による観察により、PTFEのフィルターの表面に約200ナノメートルの厚みの膜が形成されていること、この膜がナノ粒子の形態を有することが確認できた。
PTFEフィルターは、細孔孔径が200ナノメートルであり、その表面には、数マイクロメートルの多数の穴が空いている。このような穴をもつフィルターの表面に約25〜30ナノメートルのナノ粒子が膜を形成できるのは、ナノ粒子が連結されてファイバーが形成され、そのファイバーが力学的な安定性を有するためである。
表1は、参考例1で作製した濾過フィルターの濾過性能を示す表である。
表1のM−6の膜は表面にPVDFのナノ粒子状ファイバーの膜を形成させたPTFEフィルターである。表1のM−7の膜は、表面にPVDFのナノ粒子状ファイバーの膜を形成させたPTFEフィルター(M−6の膜)に対し、さらに10%のグリセリン水溶液を透過させ、室温で3日間放置させることで調製したものである。該グリセリン水溶液(1mL)の透過は、80kPaの減圧下で行われた。
Figure 2014226603
表1のM−6の膜の水の透過速度を評価したところ、80kPaの減圧濾過において、1391L/mhであった。水溶性の金ナノ粒子の阻止率を評価したところ、直径10ナノメートルの金ナノ粒子の阻止率は100%であり、流束は1301L/mh(80kPaの減圧下)であった。直径5ナノメートルの金ナノ粒子の阻止率は90%にやや低下する。また、流束は1280L/mh(80kPaの減圧下)であった。
表1のM−7の膜の水の透過速度を評価したところ、80kPaの減圧濾過において、1491L/mhであった。直径10ナノメートルおよび直径5ナノメートルの金ナノ粒子の阻止率は、それぞれ99%、91%であり、ナノ粒子水溶液の流束は、それぞれ1245L/mh、1224L/mhであった。
調製直後のPVDF膜(表1のM−6の膜)は、ナノ粒子の阻止率が大きく、水の透過性が高い。しかしながら、乾燥状態で保存すると、濾過フィルターの細孔の一部が閉塞し、流束が低下する。この問題を解決するために、濾過フィルター(表1のM−7の膜)をグリセリンで処理したところ、濾過フィルターの長期保存が可能となった。
次に、実施例1〜7、比較例1〜4を用いて、本願発明の高分子ナノ微多孔膜の製造方法で製造した膜の特性について説明する。
〔使用した部材等〕
エタノール、メタノール、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ポリエチレングリコール(重量平均分子量200、PEG200)、グリセリンは和光純薬工業(株)製の試薬特級をそのまま用いた。
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)にはアルドリッチ製ポリフッ化ビニリデン(GPCによる重量平均分子量18万、DSCによる溶融温度167℃、結晶化温度137℃)を用いた。
基材層としての微多孔膜には、孔径0.2マイクロメートルのポリフッ化ビニリデン製微多孔膜を用いた。
水は、ミリポア製「DirectQ UV」(商品名)で製造した比抵抗値18MΩ・cm以上の超純水を用いた。
金ナノコロイド液は、BBInternational社製の金コロイドCRL EMGC5を用いた。
〔評価方法〕
実施例および比較例で得られた高分子ナノ微多孔膜の物性値は下記の方法にて測定した。
1.ポリマーの平均分子量
重量平均分子量は、ポリマーをジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、カラムとしてShodex Asahipak KF−805Lを用いて、DMFを展開剤としてゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めた。
2.流束と粒子阻止率
高分子ナノ微多孔膜を、エタノールに浸漬して親水化処理した。その後、超純水に浸漬してエタノールを除去した(超純水は3回交換した)。そのナノ微多孔膜を濡れたまま、有効濾過面積2.1cmの減圧濾過装置にセットし、真空ポンプで吸引して(減圧0.08MPa)、5mLの金ナノコロイド液が通過する時間を測定した。流束を下記式(A)により求めた。
流束(L/mh)=
通水量(L)÷有効濾過面積(m)÷時間(h) ・・・(A)
また、濾過前後の金ナノコロイド液の吸光度(波長520nm)を測定し、粒子阻止率を下記式(B)により求めた。
粒子阻止率(%)=
{1−(濾過後の液の吸光度)÷(濾過前の液の吸光度)}×100% ・・・(B)
〔実施例、比較例、参考例〕
(1)高分子ナノ微多孔膜を形成する工程
まず、PVDFを精秤し、そこにNMPを加え、攪拌し、高分子溶液としての0.1wt%のPVDF溶液を作製した。
次に、95mLの貧溶媒をビーカーに入れる。そして、ビーカー中の貧溶媒を激しく攪拌し、攪拌した状態でその中にPVDF溶液5gを一気に加える。30秒攪拌して、ナノ粒子状ファイバー分散液を得る。得られた分散液は、肉眼でわずかに懸濁が認められるものであった。
次に、有効濾過面積110cmの加圧濾過装置に、基材層としての微多孔膜をセットする。その上に、ナノ粒子状ファイバー懸濁液を全量入れ、1.0MPaで加圧して基材層の上にナノ粒子状ファイバーを積層して、ナノ微多孔膜を形成する。
(2)高沸点溶液を加熱する工程、及び(3)高分子ナノ微多孔膜を結晶化温度以上に加熱する工程
オイルバスに高沸点溶液としての加熱媒体を入れ、それを所定の温度に加熱した。その中に高分子ナノ微多孔膜を所定時間入れて加熱した。加熱媒体ならびに温度の条件は、表2に示した。
(4)高分子ナノ微多孔膜を洗浄する工程、及び(5)高分子ナノ微多孔膜を乾燥する工程
その後、自然放冷し、水洗した。水洗においては、超純水を3回交換した。それを1日間自然乾燥し、乾燥した高分子ナノ微多孔膜を得た。
参考例2〜6は、乾燥前の高分子ナノ微多孔膜の流束と粒子阻止率を示す。参考例2と参考例3の膜は、上記(3)高分子ナノ微多孔膜を結晶化温度以上に加熱する工程において、150℃で5分間加熱したもの(結晶化温度以上の加熱あり)である。参考例4〜6の膜は、室温で5分間放置したもの(結晶化温度以上の加熱なし)である。
実施例1と実施例2は、参考例2と参考例3の膜(結晶化温度以上の加熱あり)を乾燥させた後の流束値と粒子阻止率を示す。表2を見て分かるように、150℃の熱処理をしたナノ微多孔膜は、乾燥しても、元の流束をほぼ全て、あるいはある程度、保っている。
比較例1〜3は、参考例4〜6の膜(結晶化温度以上の加熱なし)を乾燥させた後の流束値と粒子阻止率を示す。乾燥前に熱処理をしない膜は、乾燥でほぼ完全に流束が無くなっている。
さらに、比較例4は、乾燥前に熱処理をした膜ではあるが、処理温度が高分子の結晶化温度よりも低い膜である。実施例2と比較すると、流束が著しく低下しているのがわかる。
また、分子量が高いPEG200(実施例2)の方が、分子量が低いグリセリン(実施例1)よりも、流束の低下をより大きく防ぐことができている。
Figure 2014226603
実施例3〜7は、上記(3)高分子ナノ微多孔膜を結晶化温度以上に加熱する工程において、熱処理時間を変えた場合の高分子ナノ微多孔膜の流束と粒子阻止率を示す。加熱時間は長いほど流束の低下を防ぐことができるが、8分と16分とでは大きな差は無く、ほぼ頭打ちとなっている。
Figure 2014226603
本発明の高分子ナノ微多孔膜の製造方法で製造された膜は、工業用あるいはバイオ・環境分野の幅広い用途、例えば、限外濾過膜、精密濾過膜、高性能フィルター、リチウム電池用のセパレーター等として利用することができるとともに、フィルター、吸着剤、複合材料等にナノ粒子状ファイバー製濾過フィルターを利用可能であり、工業用あるいはバイオ・環境用のフィルター製造産業等において利用可能性がある。
特に、PVDFは水処理膜としての幅広い用途があり、他の高分子にはない化学的安定性、耐溶媒性、低タンパク質吸着性等を有し、メンブランバイオリアクター等の膜として広く応用が期待できる。

Claims (6)

  1. 高分子溶液から作られる高分子ナノ微多孔膜の製造方法であって、
    高分子を溶解した高分子溶液を用いて高分子ナノ微多孔膜を形成する工程と;
    沸点が前記高分子の結晶化温度以上の高沸点溶液を、前記高分子の結晶化温度以上、溶融温度未満の温度に加熱する工程と;
    加熱された前記高沸点溶液中で、形成された前記高分子ナノ微多孔膜を結晶化温度以上の温度に加熱する工程と;
    加熱後の前記高分子ナノ微多孔膜を洗浄する工程と;
    洗浄後の前記高分子ナノ微多孔膜を乾燥する工程とを備える;
    高分子ナノ微多孔膜の製造方法。
  2. 前記高分子がフルオロ基を有する高分子である、
    請求項1に記載の高分子ナノ微多孔膜の製造方法。
  3. 前記高分子がポリフッ化ビニリデンまたはフッ化ビニリデンを含む共重合体である、
    請求項1または請求項2に記載の高分子ナノ微多孔膜の製造方法。
  4. 前記高沸点溶液がポリエチレングリコール、グリセリンから選ばれる少なくとも1種の液である、
    請求項1〜請求項3のいずれかに記載の高分子ナノ微多孔膜の製造方法。
  5. 前記高沸点溶液が重量平均分子量200以上のポリエチレングリコールである、
    請求項1〜請求項4のいずれかに記載の高分子ナノ微多孔膜の製造方法。
  6. 前記高分子ナノ微多孔膜は、直径1ナノメートル〜100ナノメートルの高分子のナノ粒子が網目状に連結し、ナノ粒子状ファイバーとなって分散している分散液を濾過することで、50ナノメートル〜1000ナノメートルの厚さに積層されている、
    請求項1〜請求項5のいずれかに記載の高分子ナノ微多孔膜の製造方法。
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