JP2014225715A - クランプ回路及びそれを用いた信号処理システム - Google Patents

クランプ回路及びそれを用いた信号処理システム Download PDF

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Abstract

【課題】温度依存性の少ないクランプ回路を提供する。
【解決手段】第1トランジスタ(102)の電流制御端子(ベース端子)にコンデンサ(101)を通して外部信号を与える回路(120)であって、第1トランジスタと第1トランジスタと同一導電型の第2トランジスタ(103)それぞれのトランジスタの一対の主端子のうちいずれか一方に接続され、電流量を規定する基準電圧が印加される第1の主端子(ポイントB)を第1抵抗(104)の一方の端子に接続し、第1抵抗の他方の端子を第1電圧源(+電源)に接続し、第2トランジスタの電流制御端子(ベース端子)に規定電圧(定電圧源108の出力電圧)を与え、第1トランジスタの電流制御端子と、第1の主端子とは異なる第2の主端子(ポイントC)との間に第2抵抗(105)を配置し、第1トランジスタの第2の主端子と第2電圧源(−電源)との間に第3抵抗(106)を配置する。
【選択図】図3

Description

本発明は、クランプ回路、及びそれを用いた信号処理システムに関する。
クランプ回路は種々の用途に用いられる。例えばアナログテレビジョン放送を受信するテレビジョン受像器においてもクランプ回路が用いられる。
この点を説明すると、受信したアナログ映像信号(アナログ入力信号)をテレビジョン受像器内のディジタルシステムに入力する際には、アナログ入力信号をデジタル信号に変換する必要があり、このアナログデジタル変換(「A/D変換」と言うことがある)を行うためにアナログ/デジタル変換器(「A/D変換回路」と言うことがある)が用いられる。このアナログデジタル変換では、アナログ入力信号を正確にデジタル信号に変換するために、クランプ回路が必要となる。
図9に従来のクランプ回路の回路構成(特許文献1の図2)、図10にこのクランプ回路に入力されるアナログ入力信号の波形を示す。
図9に示すように、アナログテレビジョン放送の受像機のアナログ入力信号1をエミッタフォロワ回路(NPN型トランジスタ15及び抵抗16)によりインピーダンス変換し、変換後の信号をクランプ用コンデンサ17により、その直流成分(DC成分)をカットし、映像信号処理用ディジタルシステム18の入力端子21に印加する。AD変換回路24は、入力端子21に現れる電圧レベルをデジタル化する。しかし、AD変換回路24ではデジタル化できる電圧範囲が決まっている。
そのため、クランプ用コンデンサ17、抵抗19、電流源22およびスイッチ素子23によってクランプ回路50を構成する。クランプ回路50は、入力端子21に現れる電圧レベルがAD変換回路24の電圧範囲となるように、コンデンサ17によりDC成分がカットされたアナログ入力信号1からAD変換回路24の基準電圧を再生する。
この従来のクランプ回路について、さらに説明を補足する。AD変換回路24の基準電圧の再生方法として、図10に示すようなアナログ信号1、例えばコンポジットビデオ信号(CVBS;Composite Video, Blanking, and Sync。ビデオ信号、帰線期間および同期信号から成る複合映像信号)のペデスタル期間(ポイントGで示すバースト信号期間)を用いる方法と、CVBSの同期期間(ポイントFで示す)を用いる方法がある。
図9に戻って、図9に示すクランプ回路50の回路構成は、ペデスタル期間を用いて基準電圧を再生する回路構成である。この回路構成では、ペデスタルレベル検出回路25が、アナログ信号1のペデスタル期間の電圧レベル(ペデスタルレベル)の検出を行う。このとき、ペデスタルレベル検出回路25は、AD変換回路24がアナログ信号1をデジタル信号へ変換した後、このデジタルデータに基づいて行う。比較回路26は、ペデスタルレベル検出回路25の検出結果と基準データ27との比較を行う。そして、クランプパルス発生回路28は、比較回路26の比較結果に応じて、クランプパルスを発生させ、スイッチ素子23をオン(導通)させることにより、ペデスタルレベルを一定とする。
しかし、このクランプ回路50の回路構成では、入力端子21の電圧がAD変換回路24のデジタル化できる電圧範囲に入っていなければ、AD変換回路24が動作しないという問題があった。
図11は、この問題の解決を図るべく同期期間を用いるクランプ回路51の回路構成を示す(特許文献1の図1)。
このクランプ回路51は、コンデンサ4、PNP型トランジスタ6(PNP型バイポーラトランジスタ)、抵抗7、NPN型トランジスタ8(NPN型バイポーラトランジスタ)、抵抗12、バイアス回路13から構成される。クランプ回路51は、エミッタフォロワ回路(NPN型トランジスタ2及び抵抗3)により、アナログ入力信号1をインピーダンス変換し、インピーダンス変換後の信号のDC成分をコンデンサ4によりカットし、NPN型トランジスタ8のエミッタへ与えている。NPN型トランジスタ8のベースには、バイアス回路13の出力電圧VBが与えられている。
この点について以下のように説明を補足する。
以下の(1)式に示すように、NPN型トランジスタ8のエミッタ(ポイントAで示す)の電圧VEが、出力電圧VBよりNPN型トランジスタ8の閾値電圧Vbe分低くなると、NPN型トランジスタ8がオンする。
VE<VB−Vbe・・・(1)
クランプ回路51では、NPN型トランジスタ8がオンすると、抵抗7を電流が流れるので、PNP型トランジスタ6のベース電圧が低下する。このため、PNP型トランジスタ6がオンしてコンデンサ4を充電し、NPN型トランジスタ8のエミッタ電圧、即ちポイントAの電圧VEが上昇し、(VB−Vbe)となる。ここで、アナログ信号1(CVBS)の最小電圧を与えるのは、図10にポイントFで示すアナログ信号1の同期信号期間である。よって、同期信号期間におけるポイントAで示すNPN型トランジスタ8のエミッタ、すなわち、クランプ回路の出力電圧(次段に設けられるAD変換回路への入力電圧)が(VB−Vbe)となる。
図12には、従来の別のクランプ回路の回路構成を示す(特許文献2の図5)。
クランプ回路52は、コンデンサC1、ダイオードD1,抵抗R1、抵抗R2から構成される。クランプ回路52の回路構成では、直流を含むアナログ信号を入力端子Iに入力し、コンデンサC1によりアナログ信号のDC成分をカットし、ダイオードD1のカソードに入力している。また、ダイオードD1のアノードはGND電位VGとなっている。そのため、以下の(2)式に示すように、ダイオードD1のカソード(ポイントHで示す)の電圧がダイオードD1の閾値電圧Vca分低くなったとき、ダイオードD1が導通する。
VH<VG−Vca・・・(2)
このため、クランプ回路52により、図10にポイントFで示すアナログ信号1の同期信号期間におけるクランプ回路の出力電圧(出力端子O1の電圧)が(VG−Vca)となる。
特開平6−62275号公報 特開平7−46101号公報
ところで、NPN型トランジスタの閾値電圧Vbeは、LSIが置かれる環境温度の影響を受けて変化する。
図13は、NPN型トランジスタにおけるベースとエミッタとの間の電圧(ベース・エミッタ間電圧)と、ベース電流との関係を示すグラフである。図13に示すグラフは、クランプ回路が動作する環境温度Taを、−25℃、25℃、100℃と変化させたときのベース電流IBのベース・エミッタ間電圧VBE依存性を示している。この図13に示すように、例えばベース電流IBが10μAとなるときのベース・エミッタ間電圧VBEをNPN型トランジスタの閾値電圧Vbeとすると、閾値電圧Vbeは環境温度Taが−25℃から100℃と変化すると、±0.1V程度変化する。
従って、図11のクランプ回路51の回路構成では、アナログ信号1の同期期間におけるクランプ回路の出力電圧(以下、同期信号電圧という)が(VB−Vbe)となるので、同期信号電圧は温度により±0.1V程度変化することになる。
このため、例えばTa=25℃を基準にして、次段のAD変換回路の入力電圧範囲を定めると、100℃では0.1V程度Vbeが下がるので、その分、同期信号電圧レベルが上昇し、AD変換回路のデジタル化できる電圧範囲を無駄に使うことになるという課題がある。
また、LSIを製造するための複数の製造工程からなるASIC(Application Specific Integrated Circuit)プロセスに依っては、PNP型トランジスタやp型FET(pチャネル型電界効果トランジスタ)しか製造できないプロセスもある。図11に示すクランプ回路51の構成では、NPN型トランジスタが使われているため、そのようなプロセスには適用できないと言う課題もある。
これに対して、図12に示すクランプ回路52は、ダイオードから構成されるため、上記ASICプロセスによって生じる課題はないが、ダイオードの閾値電圧Vcaも環境温度の影響を受けて変化する。
図14は、PNダイオードにおけるアノードとカソードとの間の電圧(順電圧VF)と、アノードからカソードに流れる電流(順電流IF)との関係を示すグラフである。図14に示すグラフは、クランプ回路52が動作する環境温度Taを、図13と同様に、−25℃、25℃、100℃と変化させたときの順電流IFの順電圧VF依存性を示している。この図14に示すように、例えば順電流IFが1mAとなるときの順電圧VFをPNダイオードの閾値電圧Vcaとすると、閾値電圧Vcaは環境温度Taが−25℃から100℃と変化すると、±0.1V程度変化する。
このため、例えばTa=25℃を基準にして、次段のAD変換回路の入力電圧範囲を定めると、100℃では0.1V程度Vcaが下がるので、その分、同期信号電圧レベルが上昇し、AD変換回路のデジタル化できる電圧範囲を無駄に使うことになるという課題がある。
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであり、簡単な回路構成によりアナログ入力電圧を温度変化の少ない電圧にクランプするクランプ回路を提供することを主要な課題とする。なお、図15に示す従来回路構成(特許文献2の図1)には、差動増幅回路Aの入力端子Ia1に上記クランプ回路52の出力端子O1を接続し、他方の入力端子Ia2にバイアス回路Bの出力を接続し、差動増幅回路Aの出力端子Oa1からクランプされた信号を出力する回路構成が示されている。しかしながら、このバイアス回路Bはクランプ電圧、またはクランプ電圧を中心に振幅する電圧を入力端子Ia2に出力するものであるから、出力端子Oa1から出力されるクランプ電圧のレベルは、クランプ回路52と同様にダイオードの閾値電圧Vcaを含んだレベルとなり、温度依存性を有するものとなってしまう。
本発明のクランプ回路は、上記課題を解決する第1の解決手段として、第1トランジスタの電流制御端子にコンデンサを通して外部信号を与える回路であって、前記第1トランジスタと前記第1トランジスタと同一導電型の第2トランジスタそれぞれのトランジスタの一対の主端子のうちいずれか一方に接続され、電流量を規定する基準電圧が印加される第1の主端子を第1抵抗の一方の端子に接続し、前記第1抵抗の他方の端子を第1電圧源に接続し、前記第2トランジスタの電流制御端子に規定電圧を与え、前記第1トランジスタの電流制御端子と、前記一対の主端子のうち前記第1の主端子とは異なる第2の主端子との間に第2抵抗を配置し、前記第1トランジスタの前記第2の主端子と第2電圧源との間に第3抵抗を配置した、ことを特徴とする。
上記第1の解決手段では、第2トランジスタが導通状態となるよう第2トランジスタの電流制御端子に規定電圧(VDとする)を与える。第1の主端子は、第1トランジスタ及び第2トランジスタそれぞれのトランジスタの一対の主端子のうちいずれか一方の主端子であって、電流量を規定する基準電圧が印加される端子である。そのため、第1の主端子の電圧は、第2トランジスタの電流制御端子に与える規定電圧VDと、第2トランジスタの電流制御端子及び基準電圧端子間の電圧(閾値電圧VbeまたはVthとする)との和により定まる。
第1トランジスタと第2トランジスタは同一導電型のトランジスタであるので、同等の性能を持ったトランジスタとすることができる。そのため、同期信号期間に第1トランジスタの電流制御端子の電圧が規定電圧VD以下になると、第1トランジスタの電流制御端子と基準電圧端子間との間の電圧も閾値電圧VbeまたはVthとなり、第1トランジスタが導通状態となる。これにより、第3抵抗により、第2の主端子の電位は上昇し、第2の主端子に第2抵抗を介して接続される第1トランジスタの電流制御端子の電圧は、規定電圧VD以下になることが抑えられ、規定電圧VDにクランプされる。
つまり、第1トランジスタと第2トランジスタの温度特性が同等なので、温度に依らず第1トランジスタの電流制御端子電圧は、規定電圧VDをピークとするクランプされた電圧となる。
また、本発明のクランプ回路は、上記課題を解決する第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタが、PNP型トランジスタ、またはpチャネル型電界効果トランジスタである、ことを特徴とする。
入力されるアナログ信号(CVBS)は、同期信号期間の電圧を一定とする信号である。上記第1及び第2トランジスタがPNP型トランジスタ、またはp型FETであれば、正極性のCVBSの場合、同期期間電圧が最小電圧となるので、その最小電圧を上記規定電圧VBとする。
また、本発明のクランプ回路は、上記課題を解決する第3の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタが、NPN型トランジスタ、またはnチャネル型電界効果トランジスタである、ことを特徴とする。
上記第1及び第2トランジスタがNPN型トランジスタ、またはn型FETであれば、負極性のCVBSの場合、同期期間電圧が最大電圧となるので、その最大電圧を上記規定電圧VBとする。
また、本発明の信号処理システムは、上記課題を解決する第1の解決手段として、前記クランプ回路がAD変換回路の直前に配置されている、ことを特徴とする。
信号処理システムにおいて、クランプ回路をAD変換回路の直前に配置することで、入力アナログ信号のDC成分をカットした信号をAD変換回路の入力電圧範囲に収める。
また、本発明の信号処理システムは、上記課題を解決する第1の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記AD変換回路によるAD変換後の信号に、さらにペデスタルクランプ処理を行うデジタルクランプ回路が配置されている、ことを特徴とする。
ペデスタルクランプ処理を行うデジタルクランプ回路を配置することにより、AD変換後バックポーチ期間(ペデスタル期間)を検出し、その期間の値が所定値となるようデジタル的なクランプを再度掛けることにより、映像信号の最小信号レベルをより正確に再生する。
本発明のクランプ回路によれば、入力アナログ信号をクランプした後の電圧が規定電圧VDと等しくなり、第1または第2トランジスタの閾値電圧がクランプした電圧に含まれないので、クランプした後の電圧の温度依存性が少なくなる。
このため、クランプ回路の次段に接続されるAD変換回路のデジタル化できる電圧範囲を有効に使えるという効果がある。
また、AD変換できる電圧範囲を有効に使えるので、クランプ回路を含む信号処理システムにおいて、AD変換回路の持つ階調分解能を有効に使え、量子化誤差の少ない、滑らかな映像が表示できる効果もある。
液晶表示装置111の全体構成ブロック図である。 Y/C分離回路115の構成を示すブロック図である。 クランプ回路120の回路図である。 クランプ回路120の温度特性を説明するための図である。 撮像装置211の全体構成ブロック図である。 クランプ回路215の回路図である。 負極性CVBSの信号波形図である。 クランプ回路311の回路図である。 特許文献1記載のクランプ回路の回路構成図である。 正極性CVBSの信号波形図である。 特許文献1記載のクランプ回路の回路構成図である。 特許文献2記載のクランプ回路の回路構成図である。 NPN型トランジスタにおけるベース電流IBのベース・エミッタ間電圧VBE依存性を示す図である。 PNダイオードにおける順電流IFの順電圧VF依存性を示す図である。 特許文献2記載のクランプ回路の回路構成図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明のクランプ回路を適用する液晶表示装置111の全体構成ブロック図である。
液晶表示装置111は、図1に示すように、画像を表示するための液晶モジュール112、液晶モジュール112に表示用の映像信号を供給するための画像処理エンジン113(SoC;System-on-a-Chip)、画像処理エンジン113に供給されるRF信号(映像信号)を検波するチューナ114を少なくとも含んだ構成となっている。ここでは、映像信号として、放送波を想定して説明する。放送波としては、NTSC方式、PAL方式等のインターレース信号とする。
画像処理エンジン113は、Y/C分離回路115、NR回路116(ノイズ低減処理装置)、I/P変換回路117を備えて、検波後のRF信号(映像信号)に対して所定の処理を施して、後段の液晶モジュール(表示装置)112に送信する。
すなわち、液晶表示装置111は、アンテナやケーブルから届くRF信号をチューナ114で検波し、CVBS(コンポジットビデオ信号)を画像処理エンジン113に送信する。
画像処理エンジン113において、CVBSをY/C分離回路115により輝度信号Yと色信号Cに分離する。NR回路116では、Y/C信号からノイズを落とし、I/P変換回路117に出力する。I/P変換回路117では、液晶の解像度に合わせて入力映像を解像度変換し、液晶モジュール112へ出力する。
液晶モジュール112では、入力された映像信号をTCON回路118(タイミングコントローラ)で受けて、LCD119(液晶パネル)の仕様に合わせた信号とタイミングに変換し、LCD119に表示させる。このLCD119は、マトリックス状に配置され、入力される画像データに対応する画素を有する表示パネル(表示部)である。
図2は、Y/C分離回路115のブロック構成を示す図である。
Y/C分離回路115は、図2に示すように、アナログCVBS(コンポジット映像信号)をクランプ回路120で電圧レベルをシフトし、ADC回路121(Analog to Digital Converter)でアナログCVBSをデジタル化し、デコーダ122で輝度信号Yと色信号CbCrに分離する。
図3は、クランプ回路120の回路構成、及び次段のADC回路121等との関係を示す図である。
アナログCVBSは、図3に示すように、一旦コンデンサ101でDCカットされ、必要に応じてLPFを掛けられ、ADC回路121へ入力される。
ADC回路121は、アナログ信号をデジタル信号に変換するが、本ADC回路121の入力レベルは0V〜2Vの範囲である。そこで、クランプ回路120では、DCカット後のクランプ回路120とADC回路121との接続点(ポイントE)の電圧を、例えば0V〜2Vの範囲に入るよう調整する。
本発明の解決手段は、このクランプ回路120へ適用される。
本実施形態では、本発明の解決手段として、図3にその回路構成を示すクランプ回路120を用いる。
すなわち、クランプ回路120は、PNP型トランジスタ102(第1トランジスタ)のベース端子にコンデンサ101を通してCVBSを与え、PNP型トランジスタ102及びPNP型トランジスタ103(第2トランジスタ)それぞれのエミッタ端子(それぞれのトランジスタの一対の主端子のうちいずれか一方に接続され、電流量を規定する基準電圧が印加される第1の主端子)を第1抵抗104の一方の端子に接続する。また、第1抵抗104の他方の端子を正極性電圧源(+電源)に接続し、PNP型トランジスタ103のベース端子(電流制御端子)に規定電圧VDを与える。また、PNP型トランジスタ102のベース端子とコレクタ端子(一対の主端子のうち第1の主端子とは異なる第2の主端子)との間に第2抵抗105を配置し、PNP型トランジスタ102のコレクタ端子と負極性電圧源(−電源)の間に第3抵抗106を配置した構成である。
なお、PNP型トランジスタ103のコレクタ端子も負極性電圧源に接続されている。
また、PNP型トランジスタ103の規定電圧VDは、定電圧源108により正極性電圧源よりもVbe3以上低い値に設定されている。ここで、Vbe3はPNP型トランジスタ103のベース・エミッタ間閾値電圧である。また、コンデンサ107は規定電圧VDの変動を防止するためのコンデンサである。
図3に示すクランプ回路120において、PNP型トランジスタ102及びPNP型トランジスタ103(PNP型バイポーラトランジスタ)のエミッタ端子(ポイントBで示す)の電圧VBは、PNP型トランジスタ103のベース端子(ポイントDで示す)の電圧VDと、PNP型トランジスタ103のベース・エミッタ間閾値電圧Vbe3とを用いて、次の式(3)で示す値になる。
VB=VD+Vbe3・・・(3)
図10において、正極性CVBSの最低電圧は、ポイントFで示す同期期間の電圧である。
この同期期間にポイントEの電圧VEが以下の式(4)で示す電圧以下となると、PNP型トランジスタ102は導通する。
VE<VB−Vbe2=VD+Vbe3−Vbe2・・・(4)
ここで、Vbe2はPNP型トランジスタ102のベース・エミッタ間閾値電圧である。
この同期期間の電圧がVE<VB−Vbe2になると、PNP型トランジスタ102のコレクタ端子(ポイントCで示す)の電圧が、抵抗106にPNP型トランジスタ102のコレクタ電流が流れることにより上昇する。また、PNP型トランジスタ102のコレクタ端子とベース端子との間に設けられる抵抗105は、ポイントEの電圧を上昇させる。VE≒VB−Vbe2となったとき、PNP型トランジスタ102は非導通となる。
このように、クランプ回路120は、CVBS信号が最小電圧である同期期間において、ADC回路121への入力電圧を、第1または第2トランジスタの閾値電圧を含まない値にすることができる。つまり、第1トランジスタと第2トランジスタを同一構造とすることで、上記式(4)において、第2トランジスタの閾値電圧Vbe3と第1トランジスタの閾値電圧Vbe2とを等しくすることができる。これにより、クランプ回路120は、温度依存のないクランプ電圧(電圧レベルVD)を、CVBS信号の同期期間において、ADC回路121に対して出力することができる。
そして、その後、ポイントEの電圧は実際の映像信号の送信期間におけるCVBS信号によりVE≧VB−Vbe2で推移するが、抵抗105と抵抗106を通してコンデンサ101の電荷が流出するので、やがてポイントEの電圧がVE<VB−Vbe2となると、再びPNP型トランジスタ102は導通する。しかし、実際の映像信号の送信期間にPNP型トランジスタ102を導通させることはできない。
そこで、この電荷放出期間を決めるコンデンサ101の値と抵抗105の値を充分大きく取って、時定数τを大きくする。
具体的には、クランプ回路120を構成する各素子の値を次のように設定した。例えば、コンデンサ101を0.047μF、抵抗105を1MΩ、抵抗106を80kΩ、抵抗104を3.9kΩ、また、正極性電圧を+5V、負極性電圧を−2Vとした。
このため、電荷放出期間の時定数τは、コンデンサ101と抵抗105の積で求められる約0.047秒となり、CVBSの1H期間(例えば60μ秒)と比べて充分大きくすることができた。これにより、クランプ回路120は、CVBS信号が同期期間になる毎に、ポイントEの電圧を規定電圧VDの電圧にすることができる。また、クランプ回路120は、1H期間経過ごとのポイントEの電圧変動を抑えるので、クランプ回路120の次段であるADC回路121の最小分解能を1LSB以内に収めることができる。
図3に示す本願発明のクランプ回路120と、図12に示す従来のクランプ回路との間で同期期間電圧の温度特性を比較したグラフを図4に示す。
図4は、出力電圧(同期期間電圧)が、環境温度が−25℃と70℃との間で25℃の出力電圧に対してどれだけずれるか(相対的なズレ)を示している。図4において、◇印で示す「温度補償型」の温度依存性がクランプ回路120の温度依存性であり、□印で示す「ダイオード型」の温度依存性が従来のクランプ回路の温度依存性である。
この図4に示すように、従来のクランプ回路の同期期間電圧が±100mV程度の温度依存性を有しているのに対して、図3に示す本願のクランプ回路120では同期期間電圧が温度に依らず殆ど一定であることが判る。
このため、従来技術では温度依存性を考慮して、次段のAD変換回路の25℃における入力電圧範囲を0.1V〜1.9Vとしなければならなかったが、本願発明では温度依存性を考慮することなく、次段のAD変換回路の25℃における入力電圧範囲を0V〜2.0Vとすることができる。
つまり、本願発明のクランプ回路120を、図3に示すようにADC回路121の直前に配置することで、クランプ回路の出力電圧の温度依存性の影響を受けず、AD変換回路の入力電圧範囲を有効利用できる。
なお、図10にポイントFで示す同期期間電圧とポイントGで示すバックポーチ期間(ペデストラル期間)の電圧差は、CVBSを送信する放送環境により変化する。このため、ADC回路121による映像信号のAD変換後、バックポーチ期間のタイミングを検出し、その期間の平均値が所定値とるよう映像信号の値を変化させる。このようなベデスタルクランプ処理により、映像信号の最小信号レベルをより正確に再生できるので、図3に示す様にペデスタルクランプ回路123をADC回路121の後段に配置することがより好ましい。
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、本願発明のクランプ回路を他の画像処理システムに適用する例について説明する。
図5は、撮像装置211の構成である。
撮像装置211では、CCD212(Charge Coupled Device)により、光信号をRGBアナログ信号へ変換し、変換後のRGBアナログ信号を信号処理回路213により映像信号またはCVBSデジタル信号に変換する。
IF回路214では、信号処理回路213が出力する映像信号をHDMI_IF回路219によりHDMI信号(High-Definition Multimedia Interface規格に準拠したデジタル信号)へ変換し、CVBSデジタル信号をDAC回路220によりCVBSアナログ信号へ変換する。
信号処理回路213は、入力されたRGBアナログ信号をクランプ回路215でクランプし、ADC回路216でデジタル変換し、画像処理回路217でYCbCr信号へ変換し、エンコーダ218でCVBSデジタル信号へ変換する。YCbCr信号とは、映像を表示するための信号であって、明るさを表す輝度信号(Y)、輝度信号と赤との差である色差信号(Cb)、及び輝度信号と青との差である色差信号(Cr)の3つの情報で色を表現する映像信号である。
このようなRGB信号用クランプ回路215にも本願発明のクランプ回路を適用できる。なお、本実施形態では、クランプ回路をFET(電界効果トランジスタ)で構成する例について説明する。
図6は、クランプ回路120の回路構成、及び次段のADC回路216等との関係を示す図である。なお、ペデスタルクランプ回路223については、第1の実施形態におけるペデスタルクランプ回路123と同じ機能を有する回路であるので、その説明を省略する。
図6に示すクランプ回路215は、図3に示すクランプ回路120におけるPNP型トランジスタ102,PNP型トランジスタ103を、それぞれpチャネル型電界効果トランジスタであるp型FET202,p型FET203に置き換えた回路である。
すなわち、クランプ回路215は、p型FET202(第1トランジスタ)のゲート端子にコンデンサ201を通してCVBSを与え、p型FET202及びp型FET203(第2トランジスタ)のソース端子(それぞれのトランジスタの一対の主端子のうちいずれか一方に接続され、電流量を規定する基準電圧が印加される第1の主端子)を第1抵抗204の一方の端子に接続する。また、第1抵抗204の他方の端子を正極性電圧源(+電源)に接続し、p型FET203のゲート端子に規定電圧VDを与える。また、p型FET202のゲート端子(電流制御端子)と、ドレイン端子(一対の主端子のうち第1の主端子とは異なる第2の主端子)との間に第2抵抗205を配置し、p型FET202のドレイン端子と負極性電圧源(−電源)の間に第3抵抗206を配置した構成である。
なお、p型FET203のドレイン端子も負極性電圧源に接続されている。
また、p型FET203の規定電圧VDは、定電圧源208により正極性電圧源よりもVgs3以上低い値に設定されている。ここで、Vgs3はFET203のゲート・ソース間閾値電圧である。また、コンデンサ207は規定電圧VDの変動を防止するためのコンデンサである。
図6に示すクランプ回路215においても、p型FET202及びp型FET203のソース端子(ポイントBで示す)の電圧VBは、p型FET203のゲート端子(ポイントDで示す)の電圧VDと、p型FET203のゲート・ソース間閾値電圧Vgs3を用いて、次の式(5)で示す値になる。
VB=VD+Vgs3・・・(5)
アナログRGB信号も、正極性CVBSと同様に正極性ブランキング期間を持つので、その期間にp型FET202のゲート端子(ポイントEで示す)の電圧VEが以下の電圧以下となると、p型FET202は導通する。
VE<VB−Vgs2=VD+Vgs3−Vgs2・・・(6)
ここで、Vgs2はp型FET202のゲート・ソース間閾値電圧である。
このブランキング期間の電圧がVE<VB−Vgs2のとき、p型FET202のドレイン端子(ポイントCで示す)の電圧が上昇し、抵抗205を通して、ポイントEの電圧を上昇させ、VE≒VB−Vgs2となったとき、FET202は非導通となる。
これにより、クランプ回路215は、アナログRGB信号が最小電圧である正極性ブランキング期間において、次段のADC回路216への入力電圧を、p型FET202またはp型FET203の閾値電圧を含まない値にすることができる。つまり、上記式(6)において、p型FET202とp型FET203を同一構造とすることで、p型FET203の閾値電圧Vgs3とp型FET202の閾値電圧Vgs2とを等しくすることができる。これにより、クランプ回路215は、温度依存の少ないクランプ電圧VDを、アナログRGB信号の正極性ブランキング期間において、ADC回路216に対して出力することができる。
そして、その後、ポイントEの電圧はVE≧VB−Vgs2で推移するが、抵抗205と抵抗206を通してコンデンサ201の電荷が流出するので、やがて同期期間にVE<VB−Vgs2となり、再びp型FET202は導通する。
このように、クランプ回路215では、クランプ回路120のNPN型トランジスタの替わりにp型FETを用いてもクランプ回路120と同様の効果が得られる。
特に、p型FETはCMOSトランジスタのみを形成するASICプロセスにより実現することが可能なので、本願発明のクランプ回路を、CMOSトランジスタのみを用いて製造されるLSIに内蔵させることが可能となる。
[第3の実施形態]
第3の実施形態では、負極性CVBSを扱う場合について説明する。
図7は、負極性CVBSの信号波形図である。
図7に示す負極性CVBSでは、最大電圧が同期期間の電圧となる。
このような負極性CVBSに対して、図3に示すクランプ回路120或いは図6に示すクランプ回路215を用いれば、図7における映像信号のピークである期間(ポイントIで示す)の電圧が規定電圧VDとなってしまう。しかしながら、映像信号のピークは映像により変化するので、この期間を一定にしても図7にポイントFで示す同期期間の電圧は変動してしまう。
そこで、正の最大電圧を一定とできるクランプ回路が必要となる。
図8は、正の最大電圧を一定とするクランプ回路311の回路構成、及びクランプ回路311の次段回路であるADC回路312等との関係を示す図である。なお、ADC回路312、ペデスタルクランプ回路313、及びデコーダ314については、第1の実施形態におけるADC回路121、ペデスタルクランプ回路123、及びデコーダ122と同じ機能を有する回路であるので、その説明を省略する。
図8に示すクランプ回路311は、nチャネル型電界効果トランジスタであるn型FET302(第1トランジスタ)のゲート端子にコンデンサ301を通してCVBSを与え、n型FET302及びn型FET303(第2トランジスタ)のソース端子(それぞれのトランジスタの一対の主端子のうちいずれか一方に接続され、電流量を規定する基準電圧が印加される第1の主端子)を第1抵抗304の一方の端子に接続する。また、第1抵抗304の他方の端子を負極性電圧源(−電源)に接続し、n型FET303のゲート端子に規定電圧VDを与える。また、n型FET302のゲート端子(電流制御端子)と、ドレイン端子(一対の主端子のうち第1の主端子とは異なる第2の主端子)との間に第2抵抗305を配置し、n型FET302のドレイン端子と正極性電圧源(+電源)の間に第3抵抗306を配置した構成である。
なお、n型FET303のドレイン端子も正極性電圧源に接続されている。
また、n型FET303の規定電圧VDは、定電圧源308により負極性電圧源よりもVgs3以上高い値に設定されている。ここで、Vgs3はFET303のゲート・ソース間閾値電圧である。
図8に示すクランプ回路311においても、n型FET302及びn型FET303のソース端子(ポイントBで示す)の電圧VBは、n型FET303のゲート端子(ポイントDで示す)の電圧VDと、n型FET303のゲート・ソース間閾値電圧Vgs3を用いて、次の式(7)で示す値になる。
VB=VD−Vgs3・・・(7)
図7において、負極性CVBSの最大電圧は、ポイントFで示す同期期間の電圧である。
この同期期間にポイントEの電圧VEが以下の式(4)で示す電圧以上となると、n型FET302は導通する。
VE>VB+Vgs2=VD−Vgs3+Vgs2・・・(8)
この同期期間の電圧がVE>VB+Vgs2のとき、ポイントCの電圧が低下し、抵抗305を通して、ポイントEの電圧を低下させ、VE≒VB+Vgs2となったとき、n型FET302は非導通となる。
そして、その後、ポイントEの電圧はVE≦VB+Vgs2で推移するが、抵抗305と抵抗306を通してコンデンサ301へ電荷が充電されるので、やがて同期期間の電圧がVE>VB+Vgs2となり、再びn型FET302は導通する。
このように、負極性信号に対しても本願発明のクランプ回路は有効である。
もちろん、第1の実施形態と第2の実施形態において説明したように、FETとバイポーラトランジスタとを置き換えることができるので、第3の実施形態におけるn型FETをNPN型トランジスタに置き換えて負極性CVBS用のクランプ回路を構成してもよい。
本発明は、画像信号や音声信号を処理する装置に適用できる。特に、動画像を表示するディスプレイ装置等に好適に適用できる。
2,8,9,15…NPN型トランジスタ、6,102,103…PNP型トランジスタ、3,R1,R2,7,10,12,16,19,104,105,106,204,205,206,304,305,306…抵抗、17,4,C1,101,107,201,207,301,307…コンデンサ、5…同期分離回路、13…バイアス回路、21,I…入力端子、22…電流源、23…スイッチ素子、24…AD変換回路、25…ペデスタルレベル検出回路、26…比較回路、27…基準データ、28…クランプパルス発生回路、108,208,308…定電圧源、111…液晶表示装置、112…液晶モジュール、113…画像処理エンジン、114…チューナ、115…Y/C分離回路、116…NR回路、117…I/P変換回路、118…TCON回路、120,215,311,50,51,52…クランプ回路、123,223,313…ペデスタルクランプ回路、121,216,312…ADC回路、213…信号処理回路、214,219…IF回路、217…画像処理回路、218…エンコーダ、220…DAC回路、202,203…p型FET、302,303…n型FET、119…LCD

Claims (5)

  1. 第1トランジスタの電流制御端子にコンデンサを通して外部信号を与える回路であって、
    前記第1トランジスタと前記第1トランジスタと同一導電型の第2トランジスタそれぞれのトランジスタの一対の主端子のうちいずれか一方に接続され、電流量を規定する基準電圧が印加される第1の主端子を第1抵抗の一方の端子に接続し、
    前記第1抵抗の他方の端子を第1電圧源に接続し、
    前記第2トランジスタの電流制御端子に規定電圧を与え、
    前記第1トランジスタの電流制御端子と、前記一対の主端子のうち前記第1の主端子とは異なる第2の主端子との間に第2抵抗を配置し、
    前記第1トランジスタの前記第2の主端子と第2電圧源との間に第3抵抗を配置した、
    ことを特徴とするクランプ回路。
  2. 前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタが、PNP型バイポーラトランジスタ、またはpチャネル型電界効果トランジスタである、
    ことを特徴とする請求項1記載のクランプ回路。
  3. 前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタが、NPN型バイポーラトランジスタ、またはnチャネル型電界効果トランジスタである、
    ことを特徴とする請求項1記載のクランプ回路。
  4. 前記クランプ回路がAD変換回路の直前に配置されている、
    ことを特徴とする請求項1から3記載の信号処理システム。
  5. 前記AD変換回路によるAD変換後の信号に、さらにペデスタルクランプ処理を行うデジタルクランプ回路が配置されている、
    ことを特徴とする請求項4記載の信号処理システム。
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