JP2014225554A - 再生基板の製造方法 - Google Patents

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俊継 宮田
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毅 沢井
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Abstract

【課題】積層半導体ウェハにおける基板上に積層された半導体層を効率的に除去でき、かつ、半導体層除去処理において基板へのダメージが少なく、かつ、基板の減肉量が少ない再生基板の製造方法を提供する。【解決手段】基板上に半導体層が積層されてなる積層半導体ウェハから、前記半導体層を除去して前記基板を再生する、再生基板の製造方法であって、前記半導体層の硬度以上、かつ、前記基板の硬度以下の硬度を有する研磨材を研磨パッドに供給し、前記積層半導体ウェハの被研磨面と前記研磨パッドとを接触させて、前記積層半導体ウェハから前記半導体層を研磨除去する工程を有する再生基板の製造方法。【選択図】図2

Description

本発明は、パワーデバイス等の炭化ケイ素等の基板上に窒化ガリウムなどの半導体層が積層された積層半導体ウェハから半導体層を除去して、基板を再利用する技術に関する。
電力変換・制御装置等のパワーデバイス、携帯電話等の高周波デバイス、LED等の発光素子において、シリコン半導体よりも絶縁破壊電界や飽和ドリフト速度等の特性に優れる窒化ガリウム(GaN)等のワイドバンドギャップ半導体を適用することが期待されている。このようなワイドバンドギャップ半導体は、通常、表面平滑な半導体形成用基板の上に、半導体層を積層した積層半導体ウェハとして用いられている。
このような積層半導体ウェハとして具体的には、窒化ガリウム(GaN)層を、基板上にエピタキシャル成長して形成したものが挙げられる。
積層半導体ウェハの基板としては、表面平滑なサファイア(Al23)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)等の基板が使用される。特にGaN層をエピタキシャル成長させるのには、格子定数が近い炭化ケイ素基板、窒化ガリウム基板が好適である。
このような積層半導体ウェハの製造技術は、現状では完全に確立されているとはいえないのが実状である。そのため、基板上に成長条件を変更して半導体層を形成したテスト用ウェハを製造し、最適な半導体層の形成条件を見出すテストが行われている。また、テスト用ウェハは、製造工程に問題がないかをモニターするためや、装置の搬送テストにも用いられている。
このようなテスト用ウェハにおいて、サファイアや炭化ケイ素、窒化ガリウム等の基板自体が高価であるため、テスト用ウェハは表面に形成された半導体層を除去して、基板を再利用する試みが行われている。
例えば、特許文献1には、水素雰囲気中加熱分解によるSiC基板上のGaN層除去が開示されている。また、特許文献2には、分離層の化学エッチングによる基板と膜の分離方法が開示されている。また、特許文献3には、ブラストによるサファイア基板上のGaN層除去が開示されている。
特開2010−222225号公報 特開2011−79728号公報 特開2011−86672号公報
特許文献1で開示された水素雰囲気中の加熱分解法では、このような処理を行うために高価な真空装置が必要であり、基板再生のコストが高くなるという問題点がある。また、特許文献2で開示された分離層の化学エッチングによる基板と半導体層の分離法では、基板と半導体層の間に、予め膜のエピタキシャル成長を阻害せず、且つ化学エッチングによって除去することが可能な分離層を形成しておく必要があり、このような分離層を有する特定層構成以外の基板は再生できないという問題点がある。
特許文献3で開示されたブラスト法では、基板面に対して垂直の方向からブラスト材を吹き付けるため、比較的基板の深い部分にまで歪みやダメージが残留し、新たに発生したダメージ層を除去するために基板の減肉量が多くなり、基板を再生できる回数が減少する問題がある。
このように、従来の積層半導体ウェハの再生方法には改善の余地が残されていた。
かかる状況下、本発明は、積層半導体ウェハにおける基板上に積層された半導体層を効率的に除去でき、かつ、半導体層除去処理において基板へのダメージが少なく、かつ、基板の減肉量が少ない再生基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
[1] 基板上に半導体層が積層されてなる積層半導体ウェハから、前記半導体層を除去して前記基板を再生する、再生基板の製造方法であって、
前記半導体層の硬度以上、かつ、前記基板の硬度以下の硬度を有する研磨材を研磨パッドに供給し、前記積層半導体ウェハの被研磨面と前記研磨パッドとを接触させて、前記積層半導体ウェハから前記半導体層を研磨除去する工程を有する再生基板の製造方法。
[2] 前記基板が炭化ケイ素基板からなり、前記半導体層が窒化ガリウムからなる前記[1]に記載の再生基板の製造方法。
[3] 前記研磨材が、新モース硬度で、9以上13以下である前記[1]または[2]のいずれかに記載の再生基板の製造方法。
[4] 前記研磨材が炭化ケイ素粒子またはアルミナ粒子である前記[1]から[3]のいずれかに記載の再生基板の製造方法。
[5] 前記基板がサファイア基板からなり、前記半導体層が窒化ガリウムからなる前記[1]に記載の再生基板の製造方法。
[6] 前記研磨材が、新モース硬度で、9以上12以下である前記[1]または[5]のいずれかに記載の再生基板の製造方法。
[7] 前記研磨材がアルミナ粒子である前記[1]、[5]または[6]のいずれかに記載の再生基板の製造方法。
[8] 前記基板が窒化ガリウム基板からなり、前記半導体層が窒化ガリウムからなる前記[1]に記載の再生基板の製造方法。
[9] 前記研磨材が、体積平均粒子径0.1μm〜10μmであり、かつD97が20μm以下の粒子である前記[1]から[8]のいずれかに記載の再生基板の製造方法。
[10] 前記研磨材を分散媒に分散し、スラリーとして用いる前記[1]から[9]のいずれかに記載の再生基板の製造方法。
[11] 半導体層の除去速度を0.5μm/hr以上とする前記[1]から[10]のいずれかに記載の再生基板の製造方法。
[12] 炭化ケイ素基板の研磨速度を0.05μm/hr以下とする前記[1]から[4]のいずれかに記載の再生基板の製造方法。
[13] 半導体層を研磨除去する時の研磨荷重を、0.1〜2.0kg/cm2とする前記[1]から[12]のいずれかに記載の再生基板の製造方法。
[14] 前記[1]から[13]のいずれかに記載の半導体層の研磨除去工程に加え、研削工程、ウェットエッチング工程、熱処理工程、仕上げ研磨工程、洗浄工程のうち1つ以上の工程を含む再生基板の製造方法。
本発明の再生基板の製造方法によれば、積層半導体ウェハにおける基板上に積層された半導体層を効率的に除去できる。また、半導体層除去処理において基板へのダメージが少ないため、積層半導体ウェハの基板として好適に再利用することができる。さらに、基板の減肉量が少ないため、基板の再利用回数を増加する。
本発明に係る積層半導体ウェハの断面模式図である。 本発明に係る研磨装置の概念模式図である。 実施例に係る研磨装置(マルトー社製ドクターラップ(ML−180)の全体概略図である。 実施例に係る研磨装置の側面概略図である。 実施例に係る研磨装置に用いられるサンプルホルダ、研磨荷重用おもり、及びサンプルホルダに固定された積層半導体ウェハの説明図である。
以下、本発明について例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
本発明の再生基板の製造方法は、基板上に半導体層が積層されてなる積層半導体ウェハから、前記半導体層を除去して前記基板を再生する再生基板の製造方法であって、前記半導体層の硬度以上、かつ、前記基板の硬度以下の硬度を有する研磨材を研磨パッドに供給し、前記積層半導体ウェハの被研磨面と前記研磨パッドとを接触させて前記積層半導体ウェハから前記半導体層を研磨除去する工程を有することを特徴とする。
すなわち、本発明の再生基板の製造は、研磨材を研磨パッドに供給し、前記積層半導体ウェハの被研磨面と前記研磨パッドとを接触させて両者の相対運動により被研磨物を研磨処理する研磨装置を使用し、被研磨物である積層半導体ウェハにおける基板上に積層された半導体層を研磨によって機械的に除去することによって行われる。
本発明の再生基板の製造方法の特徴のひとつは、研磨材としては、半導体層の硬度以上、かつ、前記基板の硬度以下の硬度を有する研磨材を使用することである。このような研磨材を使用して研磨することにより、半導体層を機械的に効率よく除去することができ、一方の半導体層除去後の基板(再生基板)は研磨され難いことが特徴である。そして、機械的な研磨除去であるため、半導体層がどのような構成のものでも除去対象となる。
さらに、積層半導体ウェハの被研磨面(半導体層の形成面)と研磨パッドとを接触させて両者の相対運動により半導体層を研磨除去する方法であるため、半導体層除去後の基板に対して過度な力を与えることがない。そのため、従来のブラスト法等のように、基板へのダメージ層が形成されないという利点がある。そのため、表面のダメージ層を除去する必要がないため、作業工程が簡略化すると共に、ダメージ層除去に伴う基板の減肉量が少なくなり、基板を繰り返し使用回数が増加する。
以下、本発明の再生基板の製造方法についてより詳細に説明する。
まず、本発明の製造方法における再生対象である積層半導体ウェハ、該積層半導体ウェハの研磨に使用する研磨装置について説明する。
(積層半導体ウェハ)
図1に示す積層半導体ウェハは、基板の上に半導体層が積層された構造を有する。
積層半導体ウェハの大きさは特に限定はなく、研磨処理が行える範囲で選択され、直径2〜8インチ程度である。積層半導体ウェハの厚みは基板の部分が、通常0.1〜2mm程度、半導体層の厚みは、通常1〜10μm程度である。
基板の構成材料としては、炭化ケイ素(SiC)、サファイア(Al23)、窒化ガリウム(GaN)、シリコン(Si)、窒化アルミニウム(AlN)、ダイヤモンド(C)等が挙げられる。この中でも、SiC基板は、比較的低コストで良質の単結晶基板が入手可能であり、窒化ガリウムのエピタキシャル層と結晶の格子定数が近く、エピタキシャル成長時に結晶欠陥の発生を抑制できるため、本発明の製造方法における好適な対象である。なお、その他の基板は格子定数の差が大きいか、基板の製造技術が現時点では必ずしも確立されていない。
積層半導体ウェハにおいて、基板の上には、少なくとも一層以上の半導体層が形成されている。半導体層の構成材料としては、例えば、GaN、AlGaN、GaInN等のGaN系化合物やSiC、AlN、ダイヤモンド等が挙げられる。この中でも、GaN層は、絶縁破壊電界や飽和ドリフト速度の特性面で優れ、特にAlGaN/GaNのHEMT構造をとることにより高速二次元電子ガスチャネルを利用した高い電子移動度が可能になる、LED用途で既にエピタキシャル成長技術の実績がある等の利点を有するため、本発明の製造方法における好適な対象である。
積層半導体ウェハは、本発明の目的を損なわない限り、基板の上に半導体層以外の層を有していてもよい。例えば、基板と半導体層の結晶の格子定数の差によって生じるエピタキシャル層の結晶欠陥を抑制するために形成するAlNやZnO等のバッファ層や、半導体層に電気を流したり、制御電圧をかけるために形成するNi/Au、Ti/Al等の金属電極層やSiO2、SiN等の絶縁層などが挙げられる。
特に積層半導体ウェハにおける基板がSiC基板であり、半導体層がGaN層であることが好ましい。特に基板として、SiC基板を用いると、GaN結晶と格子定数が近いために、高品質なGaN結晶層が形成できるが、本発明の製造方法では、基板にダメージを与えずに再生させることができるため、繰り返し高品質なGaN結晶からなる半導体層を備えた積層半導体ウェハを得ることができる。
また、基板がサファイア基板からなり、半導体層がGaN層である積層半導体ウェハや、基板がGaN基板からなり、半導体層がGaN層である積層半導体ウェハも本発明の再生基板の製造方法の好適な対象となる。
(研磨装置)
研磨対象である積層半導体ウェハを研磨する装置としては、研磨材を研磨パッドに供給しながら、研磨対象物の被研磨面と研磨パッドとを接触させ、両者の相対運動により研磨を行うことができる研磨装置を使用することができる。
本発明に好適に使用可能な研磨装置の概念模式図を図2に示すが、このような構造の研磨装置に限定されるものではない。また、図2に示す構造の研磨装置として、従来公知のCMP研磨装置を転用して使用することができる。研磨荷重をかける方式としては、図2に示すような、おもりを使用した荷重方式に限定されず、例えば、エアシリンダーを使用した荷重方式等の他の荷重方式であってもよい。
図2に示す研磨装置は、回転軸を中心として回転し、表面に研磨パッドが貼り付けられた定盤と、積層半導体ウェハをワックス等でサンプルホルダ下部に固定した状態で研磨パッドに押圧することが可能なサンプルホルダ、研磨荷重用のおもりと、研磨パッド上に研磨材を含む研磨材スラリーを供給するノズルとを主要な構成部分として備えている。
図2に示すように研磨される積層半導体ウェハはワックス等でサンプルホルダ下部に固定され、研磨面(半導体層が形成された面)が研磨パッドと接するよう定盤の上に配置される。なお、図2においては1枚の積層半導体ウェハをサンプルホルダに固定して研磨する実施形態を示しているが、後述する実施例のように複数枚の積層半導体ウェハをサンプルホルダに固定して研磨してもよい。
定盤の上に配置したサンプルホルダの外周部の近傍には、研磨材スラリーを滴下させるためのノズルが配置されている。研磨材スラリーは、スラリー貯蔵タンク(図示せず)内で攪拌棒によって常時攪拌され、スラリーが常に均一な状態で供給できるようにしてある。このように配置された研磨装置を使用して、定盤とサンプルホルダを同じ回転方法に同時に回転させることにより、定盤とサンプルホルダの間に配置された積層半導体ウェハが研磨される。
定盤とサンプルホルダが、それぞれの軸心の回りに回転した状態で、定盤に貼付けられた研磨パッドの表面にノズルから研磨材スラリーを供給し、サンプルホルダの下面に保持された積層半導体ウェハが研磨パッドに押し付けられる。それにより、積層半導体ウェハの被研磨面、すなわち半導体層が機械的に研磨される。
また、必要に応じてパッドコンディショナーを研磨パッドの表面に接触させて、研磨パッド表面のコンディショニングを行いながら研磨してもよい。
なお、サンプルホルダの下面での積層半導体ウェハの保持は、ワックスによる接着に限定されず、真空吸引や保持枠等によって行ってもよい。
研磨する際に、定盤に貼り付けて使用する研磨パッドとしては、特に制限はなく、一般に市販されているものを使用すればよい。例えば、不織布、発泡ポリウレタン、多孔質樹脂、非多孔質樹脂等が挙げられる。半導体層の研磨除去を短時間で行うためには、硬度の高い研磨パッドを使用するほうが好ましいが、硬すぎるとスクラッチが発生する可能性があるため、用いる研磨材の硬度、粒子径や研磨荷重等の研磨条件と研磨速度、再生基板品位とを考慮して、適且決定することが好ましい。
研磨する際の、定盤の回転数としては、特に制限はなく、使用する研磨装置の能力の範囲で、安定的に運転可能な範囲とすればよく、一般的な範囲としては、10〜200rpmである。半導体層除去の研磨を短時間で行うためには、定盤の回転数は速いほうが好ましいが、研磨装置の安定運転性及び再生基板の品位などを考慮して適且決定することが好ましい。
研磨する際の荷重としては、特に制限はなく、使用する研磨装置の能力の範囲で、安定的に運転可能な範囲で決定すればよい。半導体層を研磨除去する時の研磨荷重は、0.1〜2.0kg/cm2とすることが好ましい。半導体層除去の研磨を短時間で行うためには、荷重は大きいほうが好ましいが、回転用モーターの動力負荷も大きくなるため、研磨装置の安定運転性及び再生基板の品位などを考慮して適且決定することが好ましい。
さらに、再生基板の生産性を考慮すると、実用的なスループットを達成するためには、半導体層の除去速度を0.5μm/hr以上とすることが好ましい。このような範囲とすることで、研磨除去に要する時間を実用的な範囲にすることができる。
また、研磨速度は、後述する研磨材の硬度、粒子径、研磨材スラリー中の研磨材濃度、更には、研磨荷重、定盤の回転数、研磨パッドの種類などによって決定される。
また、研磨材スラリーの供給量は、積層半導体ウェハの構成材料、研磨材の種類やスラリー中の研磨材濃度を考慮して適宜決定される。
なお、研磨材は、必ずしも予めすべての成分を混合したスラリーとして研磨パッドに供給する必要はない。例えば、研磨材をそのまま供給し、分散媒を別途供給してもよい。一方で、研磨パッドに研磨材を均等に分散させ、研磨の均一性を高めるためにはあらかじめ、研磨材を分散媒に分散させた研磨材スラリーとして用いることが好ましい。
以上のように図2に示す研磨装置に基づいて、研磨の実施形態を説明したが、研磨装置としては、研磨対象である積層半導体ウェハを研磨できればよく、図2に示す研磨装置以外のものも使用できる。
例えば、研磨装置においてサンプルホルダは、回転運動だけでなく直線運動をしてもよい。また、定盤も回転運動を行うものでなくてもよく、例えばベルト式で一方向に移動するものであってもよい。
以下、本発明の製造方法に使用される研磨材及び研磨材スラリーについて詳細に説明する。
(研磨材)
研磨材の硬度を規定する尺度としては、モース硬度やビッカース硬度が一般的に用いられる。モース硬度は、ドイツの鉱物学者フリードリッヒ・モースによって考案されたもので、1から10の整数にそれぞれ標準物質が定められており、それらの物質と対象物質をこすり合わせたときに傷がつくかどうかによって硬度が決定される。これらの10種類の標準物質にさらに5種類の標準物質を加え、15段階で硬度を評価できるように修正したものが新モース硬度である。この方法は、相対的な硬度の評価を、安価で簡便に行える利点がある。
具体的には、新モース硬度の標準物質は、
硬度1 滑石、硬度2 石膏、硬度3 方解石、硬度4 蛍石、硬度5 燐灰石、硬度6 正長石、硬度7 溶融石英、硬度8 水晶、硬度9 黄玉、硬度10 柘榴石、硬度11 溶融ジルコニア、硬度12 溶融アルミナ、硬度13 炭化珪素、硬度14 炭化硼素、硬度15 ダイヤモンドの順で硬度が硬く、ダイヤモンドが最も硬い。
一方、ビッカース硬度は、正四角錐のダイヤモンドが先端に取り付けられた圧子を一定荷重で対象物質の表面に押し込み、対象物質の表面にできた正方形の圧痕の表面積を試験荷重で割った値として定義される。この方法は、新モース硬度と比較して、硬度を定量的に評価できる利点があるものの、測定器の違いによる値のばらつきが大きいため、同一測定器で測定した硬度を相対比較することによって硬度の評価を行うことが好ましい。
本発明では、研磨材の選択にあたり、新モース硬度とビッカース硬度の文献値を引用して、研磨材や研磨対象となる半導体層及び基板との硬度の相関性について検討している。
表1に新モース硬度とビッカース硬度の相関性一覧表を示す。
表1によれば、SiCの新モース硬度は13、サファイア基板またはアルミナの新モース硬度は12であることがわかる。一方、GaNの新モース硬度については、ビッカース硬度表中の相対値と新モース硬度表の比較から、おおよそ新モース硬度9〜10に相当すると考えられる。
本発明の再生基板の製造方法は、研磨材を用いて基板上に積層された半導体層を研磨によって機械的に除去することを目的とする。例えば、半導体層がGaN層である場合、使用する研磨材の硬度はGaN以上であること、また、GaN層を除去した基板は再生基板として再利用する目的から、研磨による基板の減肉をできるだけ少なくしたいため、用いる研磨材の硬度は基板の硬度以下であることが特徴である。
半導体層がGaN層であるSiC基板の再生の場合は、使用する研磨材の硬度としては、GaNの硬度以上、且つSiCの硬度以下、すなわち新モース硬度9以上、且つ13以下の物質から選択されることが好ましい。この様な研磨材としては、例えば、炭化珪素、アルミナ、窒化珪素、ジルコニア、柘榴石、黄玉等のネソ珪酸塩鉱物類などが挙げられる。
また、特に研磨材として、炭化珪素またはアルミナを使用した場合は、GaN層除去後の基板の研磨速度を0.05μm/hr以下にできることが特徴である。これにより、基板へのダメージが少なく、かつ、基板の減肉量が少なくなるため、基板の再生回数が飛躍的に向上する再生基板の製造方法となる。
半導体層がGaN層であるサファイア基板の再生の場合は、使用する研磨材の硬度としては、GaNの硬度以上、且つサファイアの硬度以下、すなわち新モース硬度9以上、且つ12以下の物質から選択されることが好ましい。この様な研磨材としては、例えば、アルミナ、窒化珪素、ジルコニア、柘榴石、黄玉等のネソ珪酸塩鉱物類などが挙げられる。
半導体層がGaN層であるGaN基板の再生の場合は、使用する研磨材の硬度としては、GaN基板の硬度と同等の物質から選択されることが好ましい。この様な研磨材としては、例えば、柘榴石、黄玉の様なネソ珪酸塩鉱物類が挙げられる。
また、研磨材粒子径は、体積平均粒子径0.1μm〜10μmの範囲であり、かつD97が20μm以下の粒子であることが好ましい。ここで、D97とは粒度分布における累積体積割合が97%点の粒子径を意味する。
研磨材の粒径が小さすぎると研磨速度が遅くなり、大きすぎると基板にスクラッチが入り易くなることがあるが、この範囲であれば、半導体層の除去効率が高く、かつ、半導体層除去後の基板にスクラッチが発生し難いため好ましい。
研磨材の形状としては、特に制限はないが、半導体層の研磨除去をより短時間で行うためには、研磨材の形状は角が鋭利であるほうが好ましい。
(研磨材スラリー)
研磨材は、分散媒に分散して研磨材スラリーとして用いることが好ましい。
研磨材スラリーは、研磨材を分散媒に均一に分散するように混合することによって調製される。混合には、撹拌混合方法、例えば、超音波分散機、ホモジナイザー等による撹拌混合方法を挙げることができる。
研磨材スラリー中の研磨材の濃度は、研磨材が研磨材スラリー中で安定して存在できる濃度範囲で決定すればよく、通常、0.1〜50重量%である。
(分散媒)
分散媒は、研磨材及び必要に応じて添加される後述する任意成分を分散・溶解するための媒体であり、研磨材の種類に応じて適宜選択される。具体的には、水、アルコール類、グリコール類等が挙げられる。環境負荷が小さく、廃棄処理が容易である等の点で、分散媒として、水又は水を主体とする分散媒が好ましく用いられる。
水については、特に制限はないが、配合成分に対する影響、不純物の混入、pH等への影響の点で、蒸留水、イオン交換水が好ましい。
研磨材スラリーのpHは、分散媒に水又は水を主体とする分散媒を用いたときに、研磨材の分散性を制御するために重要である。好適なpH範囲は、研磨材の種類とそのゼータ電位を考慮して適宜決定すれば良い。また、pHの調整に用いられる酸又はアルカリ成分は、本発明の効果を損なわない限り特に限定はない。
(任意成分)
本発明の研磨材スラリーには、本発明の目的を損なわない限り、研磨材以外の他の成分を必要に応じて適宜含有させることができる。そのような他の成分として、例えば、pH調整剤、分散剤、界面活性剤、粘度調節剤等が挙げられる。これらの他の成分を使用する場合、その含有割合は、研磨材の全質量に対して0.01〜10重量%の範囲程度である。
[pH調整剤]
pH調整剤としては各種酸、アルカリ、pH緩衝剤が挙げられる。
酸としては、無機酸及び有機酸のいずれも使用できる。
無機酸の例としては、硫酸、硝酸、塩酸、過塩素酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、ホウ酸、リン酸などが挙げられる。
有機酸の例としては、アミノ酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、グリコール酸、ジグリコール酸、マロン酸、アスパラギン酸、オルト−アミノ安息香酸、パラーアミノ安息香酸、2−アミノエチルホスホン酸、アラニン、アルギニン、イソニコチン酸、イソロイシン、オキサロ酢酸、オルニチン、グアノシン、グリシン、2−グリセリンリン酸、パラーグルコース−1−リン酸、グルタミン、グルタミン酸、オルト−クロロアニリン、クロロ酢酸、サリチル酸、サルコシン、シアノ酢酸、1,2,4−ジアミノ酪酸、ジクロロ酢酸、システイン、N,N―ジメチルグリシン、酒石酸、チロシン、トリクロロ酢酸、トレオニン、ニコチン酸、ニトロアニリン、ニトロ酢酸、ピクリン酸、ピコリン酸、ヒスチジン、プロリン、マレイン酸、リシン、ロイシン、フィチン酸、リンゴ酸、エチレンジアミン四酢酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、N−2−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、N−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジカルボキシメチルグルタミン酸、(S,S)−エチレンジアミンジコハク酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、1,3-ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、グリコールエーテルジアミン四酢酸等が挙げられる。
アルカリとしては、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム等の有機水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン等の1級、2級、3級のアミン炭酸塩、ヒドラジン、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリシル塩、N,N−ジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メチルー1,3−プロパンジオール塩、バリン塩、プロリン塩、トリスヒドロキシアミノメタン塩、リシン塩等が挙げられる。
pH緩衝剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸カリウム)、水酸化アンモニウムが挙げられる。また、グリシン、アラニン、N−メチルグリシンのようなアミノ酸やアミノ酸誘導体、酪酸、グリコール酸のような有機酸も緩衝剤として用いることができる。
[分散剤]
分散剤としては、縮合燐酸又は縮合燐酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリカルボン酸型高分子化合物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等が挙げられる。
縮合燐酸又は縮合燐酸塩としては、ピロ燐酸、ピロ燐酸ナトリウム、トリポリ燐酸ナトリウム、ヘキサメタ燐酸ナトリウム等が挙げられる。ポリスチレンスルホン酸塩としては、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。ポリカルボン酸型高分子化合物としては、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、アクリル酸− マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸塩、ポリマレイン酸塩、アクリル酸− マレイン酸共重合体塩等が挙げられる。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、ポリオキシエチレンソルビタンモノヤシ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等が挙げられる。ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルとしては、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットが挙げられる。
上記した分散剤として同様な効果が得られるものとして次のものが挙げられる。アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等) や、高級アルコール硫酸ナトリウムのような高級アルコール硫酸エステル塩、或いは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン等) を用いることもできる。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等)や、ポリオキシエチレンオレイルエーテルのようなポリオキシエチレンアルケニルエーテル、或いは、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテルを用いることもできる。そして、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等)や、ポリオキシエチレンアルキレンフェニルエーテル、或いは、ポリオキシエチレン誘導体を用いることもできる。また、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アルキルアミン塩(例えば、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等)、ラウリルジメチルアミンオキサイドのようアミンオキサイド、アルキルベタイン又はその類似物(例えば、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等)を用いることができる。
[界面活性剤]
界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤が挙げられる。
陰イオン性界面活性剤としては、カルボン酸、スルホン酸、硫酸エステル、リン酸エステル及びそれらの塩が挙げられる。
カルボン酸及びその塩としては、脂肪酸塩(例えば、牛脂脂肪酸ソーダ、ステアリン酸ソーダ、オレイン酸カリ、ヒマシ油カリ)、N−アシルアミノ酸塩(例えば、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン)、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチドが挙げられる。
スルホン酸及びその塩としては、アルキルスルホン酸塩(例えば、スルホコハク酸ジオクチルエステル塩)、アルキルベンゼンスルホン酸(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸(ソフト)、(ハード)、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム(ソフト)、(ハード)、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩(例えば、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)、アルキルナフタレンスルホン酸塩(例えば、モノイソプロピルナフタレンスルホン酸、ジイソプロピルナフタレンスルホン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸アンモニウム)、アルキルスルホコハク酸塩(例えば、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸二ナトリウム)、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩(例えば、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪族モノエタノールアミド硫酸ナトリウム)、ナフタレン及びその他芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物(例えば、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、特殊芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩)が挙げられる。
硫酸エステル塩としては、硫酸化油、アルキル硫酸塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム)、アルキルエーテル硫酸塩(例えば、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルエーテル硫酸塩(例えば、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン)、アルキルアミド硫酸塩が挙げられる。
リン酸エステル塩として、アルキルリン酸塩(例えば、カリウムオクチルホスフェート、カリウムラウリルホスフェート、カリウムオクチルエーテルホスフェート)、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテルリン酸塩(例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸)が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、及び含窒素型の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
エーテル型の非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキル及びポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンミリステルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル)、ポリオキシエチレン誘導体(例えば、ポリオキシエチレンジスルホン化フェニルエーテル)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等が挙げられる。
エーテルエステル型の非イオン性界面活性剤としては、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル(例えば、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノヤシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリイソステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノヤシ脂肪酸エステル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット)、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテルが挙げられる。
エステル型の非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート)、グリセリン脂肪酸エステル(例えば、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート)、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル、ショ糖エステル等が挙げられる。
含窒素型の非イオン性界面活性剤としては、脂肪酸アルカノールアミド(例えば、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド)、ポリオキシエチレンアルキルアミン(例えば、ポリオキシエチレンラウリルアミン)、ポリオキシエチレンアルキルアミド(例えば、ポリオキシエチレンラウリン酸アミド)等が挙げられる。また、フッ素系界面活性剤、アセチレン含有非イオン性界面活性剤(例えば、ジイソブチルジメチルブチンジオールポリオキシエチレングリコールエーテル)等が挙げられる。
陽イオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩類(例えば、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート)、第四級アンモニウム塩類(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド)、アルキルピリジニウム塩類(例えば、セチルピリジニウムクロライド)等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン型(例えば、ラウリンベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン)、アミンオキサイド型(例えば、ラウリルジメチルアミンオキサイド)等が挙げられる。
[粘度調節剤]
粘度調節剤としては、水溶性セルロースエーテル、多糖類、多価アルコール及びその誘導体、水溶性高分子化合物、増粘作用を持つ水溶性酸化物及びその塩類、生体高分子等が挙げられる。
水溶性セルロースエーテルとしては、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース等のアルキルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシプロピルセルロース等のカルボキシアルキルセルロースが挙げられる。
多糖類としては、キトサン、アルギン酸、グアガム、キサンタンガム、ランサンガム等が挙げられる。
多価アルコール及びその誘導体としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールエーテル、ポリエチレングリコールジステアレートが挙げられる。
水溶性高分子化合物として、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
増粘作用を持つ水溶性酸化物及びその塩類としては、リン酸、ホウ酸、ケイ酸等が挙げられる。また、生体高分子としては、タンパク質、酵素等が挙げられる。
(再生基板)
上述した研磨除去する工程を経て半導体層を除去した基板を得ることができる。上述のように本発明の製造方法における研磨除去する工程では、従来のブラスト法等のように、過度な力が半導体層除去後の基板に与えられることがないため、基板へのダメージ層が形成されることを回避できる。そのため、半導体層を除去した基板を、後処理を行うことなく、あるいは簡単な水洗処理のみで、積層半導体ウェハ製造用の基板として再利用することができる。
一方で、より清浄な基板表面を得る必要がある場合や、より平滑な基板表面を得る必要がある場合などには、本発明の再生基板の製造方法は、上述の半導体層の研磨除去工程に加え、さらに必要に応じて適時、研削工程、ウェットエッチング工程、熱処理工程、洗浄工程、仕上げ研磨工程のうち1つ以上の工程を有していてもよい。
研削工程における基板の研削方法は特に限定されず、半導体用基板の研削方法として従来公知の方法で行えばよい。研削を行う目的としては、例えば、基板の厚さ、平面度、平行度、面粗度等を所望の形状に加工することが挙げられる。使用する砥石の種類、研削盤の回転数や荷重といった研削条件は、加工する基板の種類、要求される寸法精度や面粗度に応じて適宜決定される。
ウェットエッチング工程におけるウェットエッチング方法は特に限定されず、半導体用基板のウェットエッチング方法として従来公知の方法で行えばよい。ウェットエッチングを行う目的としては、例えば、金属電極層や絶縁層の除去が挙げられる。ウェットエッチングに使用する薬液の種類、処理温度や処理時間といったウェットエッチング条件は、処理する基板の材質や除去すべき層の材質によって適宜決定される。
熱処理工程における基板の熱処理方法は特に限定されず、半導体用基板の熱処理方法として従来公知の方法で行えばよい。熱処理を行う目的としては、例えば、基板内部に残留する結晶の歪みを取り除くことや、基板表面の酸化を促進して表面の加工をしやすくする等が挙げられる。熱処理温度、熱処理雰囲気等の熱処理条件は、処理する基板の種類や目的に応じて適宜決定される。
洗浄工程における基板の洗浄方法は特に限定されず、半導体用基板の洗浄方法として従来公知の方法で行えばよい。例えば、半導体層除去後の基板を、アルコールなどの有機溶媒、または塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ化水素酸、過酸化水素酸等の酸系洗浄液、水酸化アルカリ、アンモニア、有機アミンなどの塩基系洗浄液でリンスまたは浸漬して、基板に残存する微量の異物を除去することができる。
仕上げ研磨工程における研磨方法は特に限定されず、従来公知の仕上げ研磨方法を、基板の材質や目的とする表面平滑性を考慮して適宜採用すればよい。基板材料が炭化ケイ素である場合、好適な具体例としては、特開2011−122102号公報で開示された研磨方法が挙げられる。
上述の本発明の製造方法により得られる再生基板は、公知の方法で半導体層を再度積層して、積層半導体ウェハとして再使用される。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
(研磨材の粒度分布測定方法)
研磨材の粒度分布測定は、日機装社製マイクロトラック粒度分析計9320HRAを使用して行い、粒度分布における累積体積割合が50%点のD50:平均粒子径と、97%点のD97の粒子径を評価した。
使用した研磨材の種類とメーカー、型番及び粒度分布測定結果を表2に示す。
(研磨装置)
図2に準じる構造を有する研磨装置として、マルトー社製ドクターラップML−180を用いた。図3及び図4に装置概略図を概略図を示す。また、図5に当該研磨装置に用いられるサンプルホルダ、研磨荷重用おもり、及びサンプルホルダに固定された積層半導体ウェハを示す。
当該研磨装置は、定盤(φ200mm)、研磨パッド、サンプルホルダ(φ65mm)、研磨荷重用おもりから構成され、研磨する試料(積層半導体ウェハ)はワックスでサンプルホルダ下部に固定され、研磨面が研磨パッドと接するよう定盤の上に配置される。図5に示すように積層半導体ウェハは、1cm角の大きさのものを3枚サンプルホルダに固定して研磨を行った。また、研磨材スラリー供給速度の調整は、スラリー滴下口の流量調節弁の開閉により行った。研磨荷重の調整は、サンプルホルダに連結するおもりの重量を変更することにより行った。
(半導体層の除去速度、基板の研磨速度の測定方法)
半導体層の除去速度の測定方法としては、ミツトヨ社製デジマチックインジケータID−H0530を土井精密ラップ社製測定スタンドMG−5に取り付けたもの使用して、研磨開始前および研磨開始後10分〜60分毎に基板貼り付け面からの基板高さを計測し、基板高さの減少分を研磨による半導体層除去量として半導体層除去速度を計算により算出した。基板の研磨速度についても同様の方法で測定を行った。
(半導体層除去後の基板表面粗さ測定方法)
半導体層除去後の基板表面粗さ測定方法には、Zygo社製 非接触表面形状測定機NewView200を使用して、半導体層除去後の基板の表面粗さ(測定範囲256μm×267μm)を測定し、Raを評価した。
Raは、センターラインからの算術平均偏差であらわされ、以下の計算式によって算出される。
Ra=(Z1+Zn2+Z3…+Zn)/N
(ただし、Znは平均線からの偏差の絶対値、Nはデータ数)
(実施例1)SiC基板、アルミナ研磨材(WA#10000)
4インチのSiC基板上に、半導体層として1.4μmのGaN層が積層された積層半導体ウェハを、ダイヤモンドペンで1cm角に切り出した。
そのうちの3枚を、図5のような配置で、試料のSiC基板面がサンプルホルダに接するようにワックスで固定し、試料貼り付け面からの試料高さの測定を行った。
次いで、サンプルホルダの試料貼り付け面とは反対側の面に研磨荷重用のおもりを連結させ、ワックスで固定された試料のGaN層が下側になるようにして定盤の上に載せ、研磨荷重1.0kg/cm2、定盤回転数115rpmの研磨条件で研磨した。
研磨用のスラリーとして、10wt%アルミナ研磨材(WA#10000)を含み、残部が水であるスラリーを用いた。
上記スラリーを供給速度250mL/hrでサンプルホルダ外周部近傍の研磨パッド上に滴下供給した。研磨開始後30分毎に、試料貼り付け面からの試料高さの測定を行い、研磨開始後の試料高さの減少分を研磨量として評価した。
研磨を開始してからGaN層が完全に除去されるまでの間は、研磨時間に比例して研磨量が増加することが確認でき、GaN層の除去速度は1.0μm/hrであった。GaN層がすべて除去された後は、研磨時間に対して研磨量の変化は見られなかった。
研磨開始から120分間後の試料の表面粗さはRa=1.8nmであった。GaN層がすべて除去された後の研磨時間が10時間になるまでさらに研磨を継続したが、研磨量は測定限界の0.5μm以下であった。
結果を表3にまとめて示す。
(実施例2)SiC基板、アルミナ研磨材(WA#6000)
4インチのSiC基板上に1.4μmのGaN層が積層された基板を、ダイヤモンドペンで1cm角に切り出した後、そのうちの3枚を、図5のような配置で、試料のSiC基板面がサンプルホルダに接するようにワックスで固定し、試料貼り付け面からの試料高さの測定を行った。その後、サンプルホルダの試料貼り付け面とは反対側の面に研磨荷重用のおもりを連結させ、ワックスで固定された試料のGaN層が下側になるようにして定盤の上に載せ、研磨荷重1.0kg/cm2、定盤回転数115rpmの研磨条件で研磨した。使用した研磨材スラリーの組成は10wt%がアルミナ研磨材(WA#6000)、残部が水であり、供給速度250mL/hrでサンプルホルダ外周部近傍の研磨パッド上に滴下供給した。研磨開始後30分毎に、試料貼り付け面からの試料高さの測定を行い、研磨開始後の試料高さの減少分を研磨量として評価した。
研磨を開始してからGaN層が完全に除去されるまでの間は、研磨時間に比例して研磨量が増加することが確認でき、GaN層の除去速度は1.4μm/hrであった。GaN層がすべて除去された後は、研磨時間に対して研磨量の変化は見られなかった。研磨開始から120分後の試料の表面粗さはRa=2.5nmであった。
結果を表3にまとめて示す。
(実施例3)SiC基板、SiC研磨材(GC#10000)
4インチのSiC基板上に1.4μmのGaN層が積層された基板を、ダイヤモンドペンで1cm角に切り出した後、そのうちの3枚を、図5のような配置で、試料のSiC基板面がサンプルホルダに接するようにワックスで固定し、試料貼り付け面からの試料高さの測定を行った。その後、サンプルホルダの試料貼り付け面とは反対側の面に研磨荷重用のおもりを連結させ、ワックスで固定された試料のGaN層が下側になるようにして定盤の上に載せ、研磨荷重1.0kg/cm2、定盤回転数115rpmの研磨条件で研磨した。使用した研磨材スラリーの組成は10wt%がSiC研磨材(GC#10000)、残部が水であり、供給速度250mL/hrでサンプルホルダ外周部近傍の研磨パッド上に滴下供給した。研磨開始後15分毎に、試料貼り付け面からの試料高さの測定を行い、研磨開始後の試料高さの減少分を研磨量として評価した。研磨を開始してからGaN層が完全に除去されるまでの間は、研磨時間に比例して研磨量が増加することが確認でき、GaN層の除去速度は2.4μm/hrであった。GaN層がすべて除去された後は、研磨時間に対して研磨量の変化は見られなかった。研磨開始から75分後の試料の表面粗さはRa=1.1nmであった。
結果を表3にまとめて示す。
(実施例4)SiC基板、SiC研磨材(GC#8000)
4インチのSiC基板上に1.4μmのGaN層が積層された基板を、ダイヤモンドペンで1cm角に切り出した後、そのうちの3枚を、図5のような配置で、試料のSiC基板面がサンプルホルダに接するようにワックスで固定し、試料貼り付け面からの試料高さの測定を行った。その後、サンプルホルダの試料貼り付け面とは反対側の面に研磨荷重用のおもりを連結させ、ワックスで固定された試料のGaN層が下側になるようにして定盤の上に載せ、研磨荷重1.0kg/cm2、定盤回転数115rpmの研磨条件で研磨した。使用した研磨材スラリーの組成は10wt%がSiC研磨材(GC#8000)、残部が水であり、供給速度250mL/hrでサンプルホルダ外周部近傍の研磨パッド上に滴下供給した。研磨開始後15分毎に、試料貼り付け面からの試料高さの測定を行い、研磨開始後の試料高さの減少分を研磨量として評価した。研磨を開始してからGaN層が完全に除去されるまでの間は、研磨時間に比例して研磨量が増加することが確認でき、GaN層の除去速度は2.1μm/hrであった。GaN層がすべて除去された後は、研磨時間に対して研磨量の変化は見られなかった。研磨開始から60分後の試料の表面粗さはRa=1.0nmであった。GaN層がすべて除去された後の研磨時間が10時間になるまでさらに研磨を継続したが、研磨量は測定限界の0.5μm以下であった。
結果を表3にまとめて示す。
(実施例5)SiC基板、SiC研磨材(GC#6000)
4インチのSiC基板上に1.4μmのGaN層が積層された基板を、ダイヤモンドペンで1cm角に切り出した後、そのうちの3枚を、図5のような配置で、試料のSiC基板面がサンプルホルダに接するようにワックスで固定し、試料貼り付け面からの試料高さの測定を行った。その後、サンプルホルダの試料貼り付け面とは反対側の面に研磨荷重用のおもりを連結させ、ワックスで固定された試料のGaN層が下側になるようにして定盤の上に載せ、研磨荷重1.0kg/cm2、定盤回転数115rpmの研磨条件で研磨した。使用した研磨材スラリーの組成は10wt%がSiC研磨材(GC#6000)、残部が水であり、供給速度250mL/hrでサンプルホルダ外周部近傍の研磨パッド上に滴下供給した。研磨開始後15分毎に、試料貼り付け面からの試料高さの測定を行い、研磨開始後の試料高さの減少分を研磨量として評価した。研磨を開始してからGaN層が完全に除去されるまでの間は、研磨時間に比例して研磨量が増加することが確認でき、GaN層の除去速度は2.6μm/hrであった。その後、GaN層がすべて除去された後は、研磨時間に対して研磨量の変化は見られなかった。研磨開始から90分後の試料の表面粗さはRa=1.1nmであった。GaN層がすべて除去された後の研磨時間が10時間になるまでさらに研磨を継続したが、研磨量は測定限界の0.5μm以下であった。
結果を表3にまとめて示す。
(実施例6)サファイア基板、アルミナ研磨材(WA#10000)
4インチのサファイア基板上に7.6μmのGaN層が積層された基板を、ダイヤモンドペンで1cm角に切り出した後、そのうちの3枚を、図5のような配置で、試料のサファイア基板面がサンプルホルダに接するようにワックスで固定し、試料貼り付け面からの試料高さの測定を行った。その後、サンプルホルダの試料貼り付け面とは反対側の面に研磨荷重用のおもりを連結させ、ワックスで固定された試料のGaN層が下側になるようにして定盤の上に載せ、研磨荷重1.0kg/cm2、定盤回転数115rpmの研磨条件で研磨した。使用したスラリー液の組成は10wt%がアルミナ研磨材(WA#10000)、残部が水であり、供給速度250mL/hrでサンプルホルダ外周部近傍の研磨パッド上に滴下供給した。研磨開始後60分毎に、試料貼り付け面からの試料高さの測定を行い、研磨開始後の試料高さの減少分を研磨量として評価した。研磨を開始してからGaN層が完全に除去されるまでの間は、研磨時間に比例して研磨量が増加することが確認でき、GaN層の除去速度は1.2μm/hrであった。その後、GaN層がすべて除去されサファイア基板に達した後の、サファイア基板の研磨速度は3.7μm/hrであった。研磨開始から450分後の試料の表面粗さはRa=0.7nmであった。
結果を表3にまとめて示す。
(実施例7)サファイア基板、アルミナ研磨材(WA#8000)
4インチのサファイア基板上に7.6μmのGaN層が積層された基板を、ダイヤモンドペンで1cm角に切り出した後、そのうちの3枚を、図5のような配置で、試料のサファイア基板面がサンプルホルダに接するようにワックスで固定し、試料貼り付け面からの試料高さの測定を行った。その後、サンプルホルダの試料貼り付け面とは反対側の面に研磨荷重用のおもりを連結させ、ワックスで固定された試料のGaN層が下側になるようにして定盤の上に載せ、研磨荷重1.0kg/cm2、定盤回転数115rpmの研磨条件で研磨した。使用したスラリー液の組成は10wt%がアルミナ研磨材(WA#8000)、残部が水であり、供給速度250mL/hrでサンプルホルダ外周部近傍の研磨パッド上に滴下供給した。研磨開始後60分毎に、試料貼り付け面からの試料高さの測定を行い、研磨開始後の試料高さの減少分を研磨量として評価した。研磨を開始してからGaN層が完全に除去されるまでの間は、研磨時間に比例して研磨量が増加することが確認でき、GaN層の除去速度は1.5μm/hrであった。その後、GaN層がすべて除去されサファイア基板に達した後の、サファイア基板の研磨速度は4.1μm/hrであった。研磨開始から360分後の試料の表面粗さはRa=1.2nmであった。
結果を表3にまとめて示す。
(実施例8)サファイア基板、アルミナ研磨材(WA#6000)、荷重0.5kg/cm2
4インチのサファイア基板上に7.6μmのGaN層が積層された基板を、ダイヤモンドペンで1cm角に切り出した後、そのうちの3枚を、図5のような配置で、試料のサファイア基板面がサンプルホルダに接するようにワックスで固定し、試料貼り付け面からの試料高さの測定を行った。その後、サンプルホルダの試料貼り付け面とは反対側の面に研磨荷重用のおもりを連結させ、ワックスで固定された試料のGaN層が下側になるようにして定盤の上に載せ、研磨荷重0.5kg/cm2、定盤回転数115rpmの研磨条件で研磨した。使用したスラリー液の組成は10wt%がアルミナ研磨材(WA#6000)、残部が水であり、供給速度250mL/hrでサンプルホルダ外周部近傍の研磨パッド上に滴下供給した。研磨開始後60分毎に、試料貼り付け面からの試料高さの測定を行い、研磨開始後の試料高さの減少分を研磨量として評価した。研磨を開始してからGaN層が完全に除去されるまでの間は、研磨時間に比例して研磨量が増加することが確認でき、GaN層の除去速度は1.3μm/hrであった。その後、GaN層がすべて除去されサファイア基板に達した後の、サファイア基板の研磨速度は2.5μm/hrであった。研磨開始から360分後の試料の表面粗さはRa=1.8nmであった。
結果を表3にまとめて示す。
(実施例9)サファイア基板、アルミナ研磨材(WA#6000)
4インチのサファイア基板上に7.6μmのGaN層が積層された基板を、ダイヤモンドペンで1cm角に切り出した後、そのうちの3枚を、図5のような配置で、試料のサファイア基板面がサンプルホルダに接するようにワックスで固定し、試料貼り付け面からの試料高さの測定を行った。その後、サンプルホルダの試料貼り付け面とは反対側の面に研磨荷重用のおもりを連結させ、ワックスで固定された試料のGaN層が下側になるようにして定盤の上に載せ、研磨荷重1.0kg/cm2、定盤回転数115rpmの研磨条件で研磨した。使用したスラリー液の組成は10wt%がアルミナ研磨材(WA#6000)、残部が水であり、供給速度250mL/hrでサンプルホルダ外周部近傍の研磨パッド上に滴下供給した。研磨開始後60分毎に、試料貼り付け面からの試料高さの測定を行い、研磨開始後の試料高さの減少分を研磨量として評価した。研磨を開始してからGaN層が完全に除去されるまでの間は、研磨時間に比例して研磨量が増加することが確認でき、GaN層の除去速度は1.8μm/hrであった。その後、GaN層がすべて除去されサファイア基板に達した後の、サファイア基板の研磨速度は3.4μm/hrであった。研磨開始から285分後の試料の表面粗さはRa=1.0nmであった。
結果を表3にまとめて示す。
(実施例10)サファイア基板、アルミナ研磨材(WA#1500)
4インチのサファイア基板上に7.6μmのGaN層が積層された基板を、ダイヤモンドペンで1cm角に切り出した後、そのうちの3枚を、図5のような配置で、試料のサファイア基板面がサンプルホルダに接するようにワックスで固定し、試料貼り付け面からの試料高さの測定を行った。その後、サンプルホルダの試料貼り付け面とは反対側の面に研磨荷重用のおもりを連結させ、ワックスで固定された試料のGaN層が下側になるようにして定盤の上に載せ、研磨荷重1.0kg/cm2、定盤回転数115rpmの研磨条件で研磨した。使用したスラリー液の組成は10wt%がアルミナ研磨材(WA#1500)、残部が水であり、供給速度250mL/hrでサンプルホルダ外周部近傍の研磨パッド上に滴下供給した。研磨開始後60分毎に、試料貼り付け面からの試料高さの測定を行い、研磨開始後の試料高さの減少分を研磨量として評価した。研磨を開始してからGaN層が完全に除去されるまでの間は、研磨時間に比例して研磨量が増加することが確認でき、GaN層の除去速度は1.0μm/hrであった。その後、GaN層がすべて除去されサファイア基板に達した後の、サファイア基板の研磨速度は2.9μm/hrであった。研磨開始から510分後の試料の表面粗さはRa=3.3nmであった。
結果を表3にまとめて示す。
(比較例1)SiC基板、シリカ研磨材
4インチのSiC基板上に1.4μmのGaN層が積層された基板を、ダイヤモンドペンで1cm角に切り出した後、そのうちの3枚を、図5のような配置で、試料のSiC基板面がサンプルホルダに接するようにワックスで固定し、試料貼り付け面からの試料高さの測定を行った。その後、サンプルホルダの試料貼り付け面とは反対側の面に研磨荷重用のおもりを連結させ、ワックスで固定された試料のGaN層が下側になるようにして定盤の上に載せ、研磨荷重1.0kg/cm2、定盤回転数115rpmの研磨条件で研磨した。使用した研磨材スラリーの組成は10wt%がシリカ研磨材(表2記載品)、残部が水であり、供給速度250mL/hrでサンプルホルダ外周部近傍の研磨パッド上に滴下供給した。研磨開始後60分毎に、試料貼り付け面からの試料高さの測定を行い、研磨開始後の試料高さの減少分を研磨量として評価した。研磨開始後、180分後までさらに研磨を継続したところ、GaN層の除去速度は0.3μm/hrと非常に遅い結果であった。
結果を表3にまとめて示す。
(比較例2)サファイア基板、SiC研磨材(GC#8000)
4インチのサファイア基板上に7.6μmのGaN層が積層された基板を、ダイヤモンドペンで1cm角に切り出した後、そのうちの3枚を、図5のような配置で、試料のサファイア基板面がサンプルホルダに接するようにワックスで固定し、試料貼り付け面からの試料高さの測定を行った。その後、サンプルホルダの試料貼り付け面とは反対側の面に研磨荷重用のおもりを連結させ、ワックスで固定された試料のGaN層が下側になるようにして定盤の上に載せ、研磨荷重1.0kg/cm2、定盤回転数115rpmの研磨条件で研磨した。使用したスラリー液の組成は10wt%がSiC研磨材(GC#8000)、残部が水であり、供給速度250mL/hrでサンプルホルダ外周部近傍の研磨パッド上に滴下供給した。研磨開始後60分毎に、試料貼り付け面からの試料高さの測定を行い、研磨開始後の試料高さの減少分を研磨量として評価した。研磨を開始してからGaN層が完全に除去されるまでの間は、研磨時間に比例して研磨量が増加することが確認でき、GaN層の除去速度は3.5μm/hrであった。その後、GaN層がすべて除去されサファイア基板に達した後の、サファイア基板の研磨速度は1.1μm/hrであった。研磨開始から240分後の試料の表面粗さはRa=33.6nmと基板へのダメージが大きい結果であった。
結果を表3にまとめて示す。
(比較例3)サファイア基板、SiC研磨材(GC#6000)
4インチのサファイア基板上に7.6μmのGaN層が積層された基板を、ダイヤモンドペンで1cm角に切り出した後、そのうちの3枚を、図5のような配置で、試料のサファイア基板面がサンプルホルダに接するようにワックスで固定し、試料貼り付け面からの試料高さの測定を行った。その後、サンプルホルダの試料貼り付け面とは反対側の面に研磨荷重用のおもりを連結させ、ワックスで固定された試料のGaN層が下側になるようにして定盤の上に載せ、研磨荷重1.0kg/cm2、定盤回転数115rpmの研磨条件で研磨した。使用したスラリー液の組成は10wt%がSiC研磨材(GC#6000)、残部が水であり、供給速度250mL/hrでサンプルホルダ外周部近傍の研磨パッド上に滴下供給した。研磨開始後60分毎に、試料貼り付け面からの試料高さの測定を行い、研磨開始後の試料高さの減少分を研磨量として評価した。研磨を開始してからGaN層が完全に除去されるまでの間は、研磨時間に比例して研磨量が増加することが確認でき、GaN層の除去速度は3.7μm/hrであった。その後、GaN層がすべて除去されサファイア基板に達した後の、サファイア基板の研磨速度は0.9μm/hrであった。研磨開始から330分後の試料の表面粗さはRa=74.4nmと基板へのダメージが大きい結果であった。
結果を表3にまとめて示す。
(比較例4)サファイア基板、ダイヤモンド研磨材(Hyprez1−MA)
4インチのサファイア基板上に7.6μmのGaN層が積層された基板を、ダイヤモンドペンで1cm角に切り出した後、そのうちの3枚を、図5のような配置で、試料のサファイア基板面がサンプルホルダに接するようにワックスで固定し、試料貼り付け面からの試料高さの測定を行った。その後、サンプルホルダの試料貼り付け面とは反対側の面に研磨荷重用のおもりを連結させ、ワックスで固定された試料のGaN層が下側になるようにして定盤の上に載せ、研磨荷重1.0kg/cm2、定盤回転数115rpmの研磨条件で研磨した。使用したスラリー液の組成は10wt%がダイヤモンド研磨材(Hyprez1−MA)、残部が水であり、供給速度250mL/hrでサンプルホルダ外周部近傍の研磨パッド上に滴下供給した。研磨開始後15分毎に、試料貼り付け面からの試料高さの測定を行い、研磨開始後の試料高さの減少分を研磨量として評価した。研磨を開始してからGaN層が完全に除去されるまでの間は、研磨時間に比例して研磨量が増加することが確認でき、GaN層の除去速度は16.8μm/hrであった。その後、GaN層がすべて除去されサファイア基板に達した後の、サファイア基板の研磨速度は7.7μm/hrであった。研磨開始から45分後の試料の表面粗さはRa=88.2nmと基板へのダメージが大きい結果であった。
結果を表3にまとめて示す。
本発明の再生基板の製造方法は、積層半導体ウェハにおける基板上に積層された半導体層を効率的に除去でき、かつ、半導体層除去処理において基板へのダメージが少なく、かつ、基板の減肉量が少ないため、積層半導体ウェハの基板を好適に再利用できるため、工業的に有望である。

Claims (14)

  1. 基板上に半導体層が積層されてなる積層半導体ウェハから、前記半導体層を除去して前記基板を再生する、再生基板の製造方法であって、
    前記半導体層の硬度以上、かつ、前記基板の硬度以下の硬度を有する研磨材を研磨パッドに供給し、前記積層半導体ウェハの被研磨面と前記研磨パッドとを接触させて、前記積層半導体ウェハから前記半導体層を研磨除去する工程を有することを特徴とする再生基板の製造方法。
  2. 前記基板が炭化ケイ素基板からなり、前記半導体層が窒化ガリウムからなる請求項1に記載の再生基板の製造方法。
  3. 前記研磨材が、新モース硬度で、9以上13以下であることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の再生基板の製造方法。
  4. 前記研磨材が炭化ケイ素粒子またはアルミナ粒子であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の再生基板の製造方法。
  5. 前記基板がサファイア基板からなり、前記半導体層が窒化ガリウムからなることを特徴とする請求項1に記載の再生基板の製造方法。
  6. 前記研磨材が、新モース硬度で、9以上12以下であることを特徴とする請求項1または5のいずれか1項に記載の再生基板の製造方法。
  7. 前記研磨材がアルミナ粒子であることを特徴とする請求項1、5または6のいずれか1項に記載の再生基板の製造方法。
  8. 前記基板が窒化ガリウム基板からなり、前記半導体層が窒化ガリウムからなることを特徴とする請求項1に記載の再生基板の製造方法。
  9. 前記研磨材が、体積平均粒子径0.1μm〜10μmであり、かつD97が20μm以下の粒子であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の再生基板の製造方法。
  10. 前記研磨材を分散媒に分散し、スラリーとして用いることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の再生基板の製造方法。
  11. 半導体層の除去速度を0.5μm/hr以上とすることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の再生基板の製造方法。
  12. 炭化ケイ素基板の研磨速度を0.05μm/hr以下とすることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の再生基板の製造方法。
  13. 半導体層を研磨除去する時の研磨荷重を、0.1〜2.0kg/cm2とすることを特徴する請求項1から12のいずれか1項に記載の再生基板の製造方法。
  14. 請求項1から13のいずれか1項に記載の半導体層の研磨除去工程に加え、研削工程、ウェットエッチング工程、熱処理工程、仕上げ研磨工程、洗浄工程のうち1つ以上の工程を含むことを特徴とする再生基板の製造方法。
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