JP2014224975A - 液晶配向剤、液晶配向膜、液晶表示素子、位相差フィルム、位相差フィルムの製造方法、重合体及び化合物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の液晶配向剤は、重合体成分として、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸ハロゲン化物、多価カルボン酸の部分エステル化物及び当該部分エステル化物の酸ハロゲン化物よりなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物(A)と、上記式(1)で表される化合物を含むアミン化合物(B)と、を反応させて得られる重合体(以下、「重合体(P)」ともいう。)を含有する。
上記化合物(A)としての多価カルボン酸は、2つ以上のカルボキシル基を有する化合物であり、多価カルボン酸無水物は、多価カルボン酸の無水物である。また、化合物(A)は、上記多価カルボン酸の部分エステル化物又は酸ハロゲン化物であってもよく、当該部分エステル化物のハロゲン化物であってもよい。
化合物(A)の具体例としては、多価カルボン酸として、例えばマロン酸、アジピン酸、コハク酸、マレイン酸、ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、シクロブタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸、ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸等の脂環式多価カルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸;などを挙げることができる。
上記多価カルボン酸無水物としては、上記の多価カルボン酸の分子内酸無水物、分子間酸無水物等が挙げられ、具体的には、テトラカルボン酸二無水物、ジカルボン酸無水物などが挙げられる。
上記多価カルボン酸ハロゲン化物としては、上記の多価カルボン酸の酸塩化物、酸臭化物などが挙げられ、具体的には、ジカルボン酸ジクロリド、ジカルボン酸ジブロミド、テトラカルボン酸ジクロリド、テトラカルボン酸ジブロミド等が挙げられる。
上記多価カルボン酸の部分エステル化物としては、上記の多価カルボン酸と、アルコール類又はフェノール類等とを反応させて得られるエステルなどが挙げられ、例えばテトラカルボン酸ジエステル等が挙げられる。また、当該部分エステル化物の酸ハロゲン化物としては、上記の部分エステル化物の酸塩化物、酸臭化物などが挙げられ、具体的には、テトラカルボン酸ジエステルジクロリド、テトラカルボン酸ジエステルジブロミド等が挙げられる。
また、化合物(A)としてテトラカルボン酸二無水物を用い、化合物(B)として上記式(1)で表される化合物のみを用いた場合、テトラカルボン酸二無水物に由来するカルボニル基と、上記式(1)中の含窒素複素環の窒素原子とが結合してなる基を主鎖に有する重合体(以下、「特定重合体」ともいう。)を得ることができる。
化合物(A)としてテトラカルボン酸ジエステル又はテトラカルボン酸ジエステルジハライドを用い、化合物(B)としてジアミンを含むアミン化合物を用いた場合、ポリアミック酸エステルを得ることができる。
化合物(A)としてジカルボン酸又はジカルボン酸ジハライドを用い、化合物(B)としてジアミンを含むアミン化合物を用いた場合にはポリアミドを得ることができる。
なお、上記化合物(A)と上記アミン化合物(B)とをモノマーとして用いた重合によれば、上記化合物(A)と上記アミン化合物(B)とを反応させて得られる重合体(P)を得ることができる。「上記化合物(A)と上記アミン化合物(B)とを反応させて得られる重合体」とは、上記化合物(A)と上記アミン化合物(B)とを反応させる工程のみから得られる重合体、及び上記化合物(A)と上記アミン化合物(B)とを反応させる工程を含む方法により得られる重合体の両者を含む意味である。
上記重合体(P)の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。これらの具体例としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物などを;
脂環式テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸2:4,6:8−二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物などを;
芳香族テトラカルボン酸二無水物として、例えばピロメリット酸二無水物などを;それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。なお、重合体(P)の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物としては、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記化合物(A)としてのテトラカルボン酸ジエステルは、例えば上記テトラカルボン酸二無水物を、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類を用いて開環して得られる化合物などが挙げられる。また、上記化合物(A)としてのテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物は、上記の如くして得たテトラカルボン酸ジエステルを、塩化チオニル等の適当な塩素化剤と反応させて得られる化合物などが挙げられる。テトラカルボン酸ジエステル及びテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物を得るために使用するテトラカルボン酸二無水物の好ましい例及び使用量については、上記テトラカルボン酸二無水物の説明を適用することができる。
上記重合体(P)の合成に使用するアミン化合物(B)は、分子内に1級アミノ基及び2級アミノ基の少なくともいずれかを合計2つ以上有する化合物である。また特に、本発明の液晶配向剤では、アミン化合物(B)として下記(1)で表される化合物を含む。
Z2における環員数5〜7の含窒素複素環基は、上記Z1の環員数5〜7の含窒素複素環の説明を適用することができる。但し、上記R2の場合と同様に、Z2が基「−NHR2」の場合には、化合物(A)との反応性の観点から、当該基が芳香環に直接結合していないことが好ましい。
Z2は、上記の中でも1級アミノ基又は上記含窒素複素環基であることが好ましい。
ここで使用することができるその他のアミンとしては、例えば脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン、ジアミノオルガノシロキサンなどを挙げることができる。これらの具体例としては、脂肪族ジアミンとして、例えばm−キシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどを;
脂環式ジアミンとして、例えば1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどを;
で表される化合物などを;
ジアミノオルガノシロキサンとして、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサンなどを;それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のジアミンを用いることができる。
光配向法により塗膜に液晶配向能を付与する場合において、上記光配向性構造を有する重合体の使用割合は、本発明の液晶配向剤の調製に使用する重合体(P)の全体量に対して、10重量%以上とすることが好ましく、30〜100重量%とすることがより好ましく、50〜100重量%とすることが更に好ましい。
重合体(P)の合成に際しては、上記の如き化合物(A)及びアミン化合物(B)とともに、適当な分子量調節剤を用いて末端修飾型の重合体を合成することとしてもよい。かかる末端修飾型の重合体とすることにより、本発明の効果を損なうことなく液晶配向剤の塗布性(印刷性)を更に改善することができる。
分子量調節剤の使用割合は、使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの合計100重量部に対して、20重量部以下とすることが好ましく、10重量部以下とすることがより好ましい。
上記式(1)で表される化合物は、有機化学の定法を適宜組み合わせることにより合成することができる。その一例としては、上記式(1)中のZ2が1級アミノ基である場合、当該1級アミノ基に代えてニトロ基を有するニトロ中間体を合成し、その後、得られたニトロ中間体のニトロ基を適当な還元系を用いてアミノ化する方法が挙げられる。
上記ニトロ中間体の還元反応は、好ましくは有機溶媒中、例えばパラジウム炭素、酸化白金、亜鉛、鉄、スズ、ニッケル等の触媒を用いて実施することができる。ここで使用する有機溶媒としては、例えば酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフラン、アルコール系等が挙げられる。但し、上記式(1)で表される化合物の合成手順は上記方法に限定されるものではない。
(ポリアミック酸及び特定重合体の合成)
上記重合体(P)としてのポリアミック酸又は特定重合体を合成する場合、当該合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とアミン化合物(B)との使用割合は、アミン化合物(B)が有するアミノ基のうち、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基と反応するアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、より好ましくは0.3〜1.2当量となる割合である。
上記ポリアミック酸等の合成反応は、好ましくは有機溶媒中において行われる。このときの反応温度は−20℃〜150℃が好ましく、0〜100℃がより好ましい。また、反応時間は0.1〜24時間が好ましく、0.5〜12時間がより好ましい。
アルコールとして、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテルなどを;ケトンとして、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどを;上記エステルとして、例えば、乳酸エチル、乳酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレートなどを;エーテルとして、例えばジエチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラヒドロフランなどを;ハロゲン化炭化水素として、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼンなどを;上記炭化水素として、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを;それぞれ挙げることができる。
上記重合体(P)としてのポリイミドは、例えば上記の如くして合成されたポリアミック酸を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。
上記重合体(P)としてのポリアミック酸エステル(以下、ポリアミック酸エステル(P)ともいう。)は、例えば、[I]上記合成反応により得られた重合体(P)としてのポリアミック酸と、水酸基含有化合物、ハロゲン化物、エポキシ基含有化合物等とを反応させることにより合成する方法、[II]テトラカルボン酸ジエステルとアミン化合物(B)とを反応させる方法、[III]テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物とアミン化合物(B)とを反応させる方法によって得ることができる。
ここで、方法[I]で使用する水酸基含有化合物としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;フェノール、クレゾール等のフェノール類などが挙げられる。また、ハロゲン化物としては、例えば臭化メチル、臭化エチル、臭化ステアリル、塩化メチル、塩化ステアリル、1,1,1−トリフルオロ−2−ヨードエタン等が挙げられ、エポキシ基含有化合物としては、例えばプロピレンオキシド等が挙げられる。方法[II]で使用するテトラカルボン酸ジエステル及び方法[III]で使用するテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物は、上記化合物(A)で説明した化合物を使用することができる。方法[II]及び[III]で使用するアミン化合物(B)としては、上記式(1)で表される化合物を含むものとし、必要に応じて上記その他のアミンを使用してもよい。なお、ポリアミック酸エステルは、アミック酸エステル構造のみを有していてもよく、アミック酸構造とアミック酸エステル構造とが併存する部分エステル化物であってもよい。
上記重合体(P)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000〜500,000であり、より好ましくは2,000〜300,000である。また、Mwと、GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下である。このような分子量範囲にあることで、液晶表示素子の良好な配向性及び安定性を確保することができる。
本発明の液晶配向剤は、上記の如き重合体(P)を含有するが、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。当該その他の成分は、液晶配向剤の用途に応じて適宜選択することができる。本発明の液晶配向剤に添加してもよいその他の成分としては、例えば上記重合体(P)以外のその他の重合体、分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ基含有化合物」という。)、官能性シラン化合物、金属キレート化合物、硬化促進剤、界面活性剤等を挙げることができる。
上記その他の重合体は、溶液特性や電気特性の改善のために使用することができる。かかるその他の重合体としては、例えば上記式(1)で表される化合物を含まないジアミンとテトラカルボン酸二無水物との反応により得られるポリアミック酸、当該ポリアミック酸の脱水閉環により得られるポリイミド、当該ポリアミック酸のエステル化により得られるポリアミック酸エステル、上記式(1)で表される化合物を含まないジアミンとジカルボン酸との反応により得られるポリアミド、ポリエステル、ポリオルガノシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレート等を主骨格として有し、かつ上記特定構造を有さない重合体を使用することができる。上記その他の重合体としては、中でもポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル及びポリシロキサンよりなる群から選ばれる少なくとも一種を好ましく使用することができる。なお、上記ポリオルガノシロキサンは、例えば加水分解性のシラン化合物の加水分解・縮合反応により得ることができる。これら重合体の合成は公知の方法に従って行うことができる。
その他の重合体を液晶配向剤に添加する場合、その配合比率は、該組成物中の全重合体100重量部に対して50重量部以下とすることが好ましく、0.1〜40重量部とすることがより好ましく、0.1〜30重量部とすることが更に好ましい。
なお、光配向性基を有する重合体は、従来公知の方法により合成することができる。例えば、その他の重合体としての光配向性基を有するポリオルガノシロキサンは、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンと、光配向性基を有するカルボン酸とを、好ましくはエーテル、エステル、ケトン等の有機溶媒中、4級アンモニウム塩等の触媒の存在下で反応させることにより合成することができる。
エポキシ基含有化合物は、液晶配向膜における基板表面との接着性を向上させるために使用することができる。ここで、エポキシ基含有化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N−ジグリシジル−ベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−アミノメチルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−シクロヘキシルアミン、国際公開第2009/096598号記載のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン等を好ましいものとして挙げることができる。
これらエポキシ基含有化合物を液晶配向剤に添加する場合、その配合比率は、液晶配向剤中に含まれる重合体の合計100重量部に対して40重量部以下が好ましく、0.1〜30重量部がより好ましい。
上記官能性シラン化合物は、液晶配向剤の印刷性を向上させるために使用することができる。このような官能性シラン化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノナン酸メチル、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
官能性シラン化合物を液晶配向剤に添加する場合、その配合比率は、重合体の合計100重量部に対して2重量部以下が好ましく、0.02〜0.2重量部がより好ましい。
上記金属キレート化合物は、液晶配向剤の重合体成分がエポキシ構造を有する場合に、低温処理によって形成した膜の機械的強度を担保することを目的として液晶配向剤(特に、位相差フィルム用の液晶配向剤)中に含有される。当該金属キレート化合物としては、アルミニウム、チタニウム及びジルコニウムから選択される金属のアセチルアセトン錯体又はアセト酢酸錯体を用いることが好ましい。具体的には、例えばジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(アセチルアセトネート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)チタニウム、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどを挙げることができる。上記金属キレート化合物の使用割合は、エポキシ構造を含む構成成分の合計100重量に対して、好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは0.1〜40重量部であり、1〜30重量部とすることが更に好ましい。
上記硬化促進剤は、液晶配向剤中の重合体成分がエポキシ構造を有している場合に、形成される液晶配向膜の機械的強度及び液晶配向性の経時的安定性を担保するために液晶配向剤(特に、位相差フィルム用の液晶配向剤)中に含有される。当該硬化促進剤としては、例えばフェノール基、シラノール基、チオール基、リン酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、カルボン酸無水物基などを有する化合物を使用することができ、中でもフェノール基又はシラノール基を有する化合物が好ましい。その具体例としては、フェノール基を有する化合物として、例えばシアノフェノール、ニトロフェノール、メトキシフェノキシフェノール、チオフェノキシフェノール、4−ベンジルフェノールなどを;シラノール基を有する化合物として、例えばトリメチルシラノール、トリエチルシラノール、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ジシロキサンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼン、トリフェニルシラノール、トリ(p−トリル)シラノール、ジフェニルシランジオールなどを、それぞれ挙げることができる。硬化促進剤の使用割合は、エポキシ構造を含む構成成分の合計100重量に対して、好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは0.1〜40重量部であり、1〜30重量部とすることが更に好ましい。
上記界面活性剤は、液晶配向剤の基板に対する塗布性を向上させることを目的として液晶配向剤(特に、位相差フィルム用の液晶配向剤)中に含有させることができる。このような界面活性剤としては、例えばノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン界面活性剤、ポリアルキレンオキシド界面活性剤、含フッ素界面活性剤などを挙げることができる。界面活性剤の使用割合は、液晶配向剤の全量100重量部に対して、10重量部以下とすることが好ましく、1重量部以下とすることがより好ましい。
本発明の液晶配向剤は、上記の重合体(P)及び必要に応じて使用されるその他の成分が、好ましくは適当な溶媒中に分散又は溶解してなる液状の組成物として調製される。
上記に説明した本発明の液晶配向剤を用いることにより液晶配向膜を製造することができる。また、本発明の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜は、液晶表示素子用の液晶配向膜及び位相差フィルム用の液晶配向膜に好ましく適用することができる。以下に、本発明の液晶表示素子及び位相差フィルムについて説明する。
本発明の液晶表示素子は、上記液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜を具備する。本発明の液晶表示素子の動作モードは特に限定せず、例えばTN型、STN型、VA型(VA−MVA型、VA−PVA型などを含む。)、IPS型、FFS型、OCB型など種々の駆動方式に適用することができる。本発明の液晶表示素子は、例えば以下の(I−1)〜(I−3)の工程により製造することができる。工程(I−1)は、所望の動作モードによって使用基板が異なる。工程(I−2)及び(I−3)は各動作モード共通である。
先ず基板上に本発明の液晶配向剤を塗布し、次いで塗布面を加熱することにより基板上に塗膜を形成する。
(I−1A)例えばTN型、STN型又はVA型の液晶表示素子を製造する場合、まず、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を一対として、その各透明性導電膜形成面上に、本発明の液晶配向剤を、好ましくはオフセット印刷法、スピンコート法、ロールコーター法又はインクジェット印刷法によりそれぞれ塗布する。基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO2)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In2O3−SnO2)からなるITO膜などを用いることができる。パターニングされた透明導電膜を得るには、例えばパターンなし透明導電膜を形成した後、フォト・エッチングによりパターンを形成する方法;透明導電膜を形成する際に所望のパターンを有するマスクを用いる方法;などによることができる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面及び透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板表面のうち塗膜を形成する面に、官能性シラン化合物、官能性チタン化合物などを予め塗布する前処理を施しておいてもよい。
TN型、STN型、IPS型又はFFS型の液晶表示素子を製造する場合、上記工程(I−1)で形成した塗膜に液晶配向能を付与する処理として、該塗膜を例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦るラビング処理を実施する。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。一方、VA型液晶表示素子を製造する場合には、上記工程(I−1)で形成した塗膜をそのまま液晶配向膜として使用することができるが、該塗膜に対しラビング処理を施してもよい。また、ラビング処理後の液晶配向膜に対して更に、液晶配向膜の一部に紫外線を照射することによって液晶配向膜の一部の領域のプレチルト角を変化させる処理や、液晶配向膜表面の一部にレジスト膜を形成した上で先のラビング処理と異なる方向にラビング処理を行った後にレジスト膜を除去する処理を行い、液晶配向膜が領域ごとに異なる液晶配向能を持つようにしてもよい。この場合、得られる液晶表示素子の視界特性を改善することが可能である。なお、VA型の液晶表示素子に好適な液晶配向膜は、PSA(Polymer sustained alignment)型の液晶表示素子にも好適に用いることができる。塗膜に液晶配向能を付与する処理としては、ラビング処理に代えて光配向法による処理を採用してもよい。
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより液晶セルを製造する。液晶セルを製造するには、例えば以下の2つの方法が挙げられる。第一の方法は、従来から知られている方法である。先ず、それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止することにより、液晶セルを製造することができる。また、第二の方法は、ODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法である。液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に、例えば紫外光硬化性のシール剤を塗布し、さらに液晶配向膜面上の所定の数箇所に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせるとともに液晶を基板の全面に押し広げ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化することにより、液晶セルを製造することができる。いずれの方法による場合でも、上記のようにして製造した液晶セルにつき、さらに、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが望ましい。
本発明の液晶配向剤を用いて位相差フィルムを製造する場合、工程中にほこりや静電気が発生するのを抑えつつ均一な液晶配向膜を形成することが可能である点、放射線の照射時に適当なフォトマスクを使用することによって基板上に液晶配向方向が異なる複数の領域を任意に形成できる点において、光配向法を利用することが好ましい。具体的には、以下の工程(II−1)〜(II−3)を経ることによって製造することができる。
先ず、本発明の液晶配向剤を基板上に塗布して塗膜を形成する。ここで使用される基板としては、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートなどの合成樹脂からなる透明基板を好適に例示することができる。これらのうち、TACは、液晶表示素子における偏光フィルムの保護層として一般的に使用されている。また、ポリメチルメタクリレートは、溶媒の吸湿性が低い点、光学特性が良好である点及び低コストである点において位相差フィルム用の基板として好ましく使用することができる。なお、液晶配向剤の塗布に使用する基板に対しては、基板表面と塗膜との密着性を更に良好にするために、基板表面のうち塗膜を形成する面に従来公知の前処理が施されていてもよい。
塗布後、塗布面を加熱(ベーク)して塗膜を形成する。この時の加熱温度は、40〜150℃とすることが好ましく、80〜140℃とすることがより好ましい。加熱時間は、0.1〜15分とすることが好ましく、1〜10分とすることがより好ましい。基板上に形成される塗膜の膜厚は、好ましくは1〜1,000nmであり、より好ましくは5nm〜500nmである。
次いで、上記のようにして基板上に形成された塗膜に対し光を照射することにより、塗膜に液晶配向能を付与する。ここで、照射する光としては、例えば150〜800nmの波長の光を含む紫外線、可視光線などを挙げることができる。これらのうち、300〜400nmの波長の光を含む紫外線が好ましい。照射光は偏光であっても非偏光であってもよい。偏光としては、直線偏光を含む光を使用することが好ましい。
光の照射は、用いる光が偏光である場合には、基板面に垂直の方向から行っても斜め方向から行ってもよく、あるいはこれらを組み合わせて行ってもよい。非偏光を照射する場合には、基板面に対して斜めの方向から行う必要がある。
使用する光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、水銀−キセノンランプ(Hg−Xeランプ)などを挙げることができる。偏光は、これらの光源を例えばフィルター、回折格子などと併用する手段などにより得ることができる。
光の照射量は、0.1mJ/cm2以上1,000mJ/cm2未満とすることが好ましく、1〜500mJ/cm2とすることがより好ましく、2〜200mJ/cm2とすることが更に好ましい。
次いで、上記のようにして光照射した後の塗膜上に、重合性液晶を塗布して硬化させる。これにより、重合性液晶を含む塗膜(液晶層)を形成する。ここで使用される重合性液晶は、加熱及び光照射のうちの少なくとも一種の処理によって重合する液晶化合物又は液晶組成物である。このような重合性液晶としては、従来公知のものを使用することができ、具体的には、例えば非特許文献1(「UVキュアラブル液晶とその応用」、液晶、第3巻第1号(1999)、pp34〜42)に記載されているネマチック液晶を挙げることができる。また、コレステリック液晶;ディスコティック液晶;カイラル剤を添加されたツイストネマティック配向型液晶などであってもよい。重合性液晶は、複数の液晶化合物の混合物であってもよい。重合性液晶は、公知の重合開始剤や適当な溶媒などを更に含有する組成物であってもよい。
液晶配向剤を用いて形成された塗膜上に上記のような重合性液晶を塗布するには、例えばバーコーター法、ロールコーター法、スピンナー法、印刷法、インクジェット法などの適宜の塗布方法を採用することができる。
塗膜の加熱温度は、使用する重合性液晶の種類によって適宜に選択されるべきである。例えばメルク社製のRMS03−013Cを使用する場合、40〜80℃の範囲の温度で加熱することが好ましい。加熱時間は、好ましくは0.5〜5分である。
照射光としては、200〜500nmの範囲の波長を有する非偏光の紫外線を好ましく使用することができる。光の照射量としては、50〜10,000mJ/cm2とすることが好ましく、100〜5,000mJ/cm2とすることがより好ましい。
形成される液晶層の厚さとしては、所望の光学特性によって適宜に設定される。例えば波長540nmの可視光における1/2波長板を製造する場合は、形成した位相差フィルムの位相差が240〜300nmとなるような厚さが選択され、1/4波長板であれば、位相差が120〜150nmとなるような厚さが選択される。目的の位相差が得られる液晶層の厚さは、使用する重合性液晶の光学特性によって異なる。例えばメルク製のRMS03−013Cを使用する場合、1/4波長板を製造するための厚さは、0.6〜1.5μmの範囲である。
[重合体の重量平均分子量Mw]
Mwは、以下の条件におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算値である。
カラム:東ソー(株)製、TSKgelGRCXLII
溶剤:テトラヒドロフラン
温度:40℃
圧力:68kgf/cm2
[重合体のイミド化率]
ポリイミドを含有する溶液を純水に投入し、得られた沈殿を室温で十分に減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温で1H−NMRを測定した。得られた1H−NMRスペクトルから、下記数式(1)を用いてイミド化率を求めた。
イミド化率(%)=(1−A1/A2×α)×100 …(1)
(数式(1)中、A1は化学シフト10ppm付近に現れるNH基のプロトン由来のピーク面積であり、A2はその他のプロトン由来のピーク面積であり、αは重合体の前駆体(ポリアミック酸)におけるNH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合である。)
[エポキシ当量]
エポキシ当量は、JIS C 2105に記載の塩酸−メチルエチルケトン法により測定した。
[重合体溶液の溶液粘度]
重合体溶液の溶液粘度(mPa・s)は、E型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
次に、2L三口フラスコ中で、中間体(DA−1−1)を69.3g、4−ニトロフェノール46.1g、塩化メチレン600mlを氷浴中にて攪拌混合した。次いで、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)186.9g、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)1.2gを順次投入し、氷浴中にて1時間、次いで室温にて4時間反応させた。反応後、トリフルオロ酢酸100mlを添加し、更に酢酸エチル500mlと混合した後、蒸留水で分液洗浄した。次いで、有機層を濃縮し固体析出させた。析出した固体をろ過により回収し、エタノールで十分に洗浄し、乾燥することで、ニトロ中間体(DA−1−2)を65.2g得た。
次いで、窒素気流下、2L三口フラスコに、上記のニトロ中間体(DA−1−2)を65.2g、5%Pd/Cを7g、エタノール250mL及びテトラヒドロフラン250mLを加えた後に水素で置換し直し、水素存在下、室温にて反応させた。HPLCにて反応追跡し、反応の進行を確認した後にろ過した。ろ液と酢酸エチル3000mLを混合した後に、蒸留水200mLで分液精製した。有機層を減圧蒸留にて溶媒を除去することにより固体を析出させた。析出した固体をエタノールから再結晶させることで化合物(DA−1)を52.3g得た。
[実施例2−1;重合体(PA−1)の合成]
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物34.95g(98モル部)、並びにアミン化合物として化合物(DA−1)を40.05g(100モル部)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)425gに溶解し、60℃で10時間反応を行った。次いで、反応混合物を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈澱させた。回収した沈殿物をメタノールで洗浄した後、減圧下40℃において15時間乾燥することにより、重合体(PA−1)を得た。得られた重合体(PA−1)をNMPにて10重量%となるように調製し、この溶液の粘度を測定したところ1250mPa・sであった。またこの重合体溶液を20℃において3日間静置したところ、ゲル化することはなく、保存安定性は良好であった。
反応に使用するテトラカルボン酸二無水物及びアミン化合物の種類及び量を下記表1に示す通りとした以外は実施例2−1と同様にして重合体を得た。NMPにて10重量%となるように調製した重合体溶液の粘度を下記表1に併せて示す。なお、表1中の数値は、テトラカルボン酸二無水物については、反応に使用したテトラカルボン酸二無水物の全量に対する使用割合(モル%)を示し、アミン化合物については、反応に使用したアミン化合物の全量に対する使用割合(モル%)を示す。実施例で得た重合体溶液のそれぞれにつき、20℃で3日間静置したところ、いずれもゲル化することはなく、保存安定性は良好であった。
AN−1; 1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
AN−2; ピロメリット酸二無水物
AN−3; 2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物
AN−4; ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸2:4,6:8−二無水物
AN−5; 5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−8−メチル−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン
(化合物(B))
DA−4; 下記式(d−4)で表される化合物
DA−6; パラフェニレンジアミン
DA−7; 4,4’−ジアミノジフェニルメタン
DA−8; 4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート
DA−9; 2,4−ジアミノ−N,N−ジアリルアニリン
DA−10; 4,4’−ジアミノジフェニルアミン
DA−11; 3,5−ジアミノ安息香酸
DA−12; 3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニル
DA−13; 4−(テトラデカオキシ)ベンゼン−1,3−ジアミン
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物22.55g(98モル部)、並びにアミン化合物としてパラフェニレンジアミン2.22g(20モル部)、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート7.03g(30モル部)、及び化合物(DA−3)を18.20g(50モル部)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)283.3gに溶解し、60℃で6時間反応を行った。次いで、NMP166.7gを追加し、ピリジン15.92g及び無水酢酸20.54gを添加し100℃で8時間脱水閉環反応を行った。次いで、反応混合物を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈澱させた。回収した沈殿物をメタノールで洗浄した後、減圧下40℃において15時間乾燥することにより、イミド化率約50%のポリイミド(「重合体(PI−1)」とする。)を得た。得られた重合体(PI−1)をNMPにて10重量%となるように調製した。この溶液の粘度を測定したところ980mPa・sであった。また、この重合体溶液を20℃において3日間静置したところ、ゲル化することはなく、保存安定性は良好であった。
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物6.948g(100モル部)、及びピペラジン3.052g(100モル部)をNMP90gに溶解し、室温で24時間反応を行った。反応溶液を少量分取し、溶液粘度を測定したところ、17mPa・sであった。このため、60℃にて24時間更に反応させたが、溶液粘度は18mPa・sであった。そこで、反応混合物を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈澱させようとしたが、白濁するだけで凝固せず、重合体を得ることができなかった。
撹拌機、温度計、滴下漏斗及び還流冷却管を備えた反応容器に、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン100.0g、メチルイソブチルケトン500g及びトリエチルアミン10.0gを仕込み、室温で混合した。ここに、脱イオン水100gを滴下漏斗から30分かけて滴下した後、還流下で混合しつつ、80℃において6時間反応を行った。反応終了後、有機層を取り出し、これを0.2重量%硝酸アンモニウム水溶液により洗浄後の水が中性になるまで洗浄した後、減圧下で溶媒及び水を留去することにより、オキシラニル基を有するポリオルガノシロキサンを粘調な透明液体として得た。このオキシラニル基を有するポリオルガノシロキサンについて、1H−NMR分析を行ったところ、化学シフト(δ)=3.2ppm付近にオキシラニル基に基づくピークが理論強度どおりに得られ、反応中にオキシラニル基の副反応が起こっていないことが確認された。このオキシラニル基を有するポリオルガノシロキサンのエポキシ当量を測定したところ、186g/当量であった。
次いで、100mLの三口フラスコに、上記で得たオキシラニル基を有するポリオルガノシロキサン9.3g、メチルイソブチルケトン26g、4−フェノキシ桂皮酸3g及びUCAT 18X(商品名、サンアプロ(株)製)0.10gを仕込み、80℃において12時間、撹拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物をメタノールに投入して生成した沈殿物を回収し、これを酢酸エチルに溶解して溶液とし、該溶液を3回水洗した後、溶剤を留去することにより、オキシラニル基と液晶配向性基を有するポリオルガノシロキサン(S−1)を白色粉末として6.3g得た。このポリオルガノシロキサン(S−1)についてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは3,500であった。
[実施例3−1:FFS型液晶表示素子]
(1)液晶配向剤の調製
実施例2−1で得た重合体(PA−1)100重量部をγ−ブチロラクトン(GBL)、NMP及びブチルセロソルブ(BC)からなる混合溶媒(GBL:NMP:BC=40:40:20(重量比))に溶解し、固形分濃度が4.0重量%の溶液とした。この溶液を孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより液晶配向剤を調製した。
上記で調製した液晶配向剤を、ガラス基板上にスピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレートで1分間プレベークを行った後、庫内を窒素置換した200℃のオーブンで1時間加熱(ポストベーク)することにより、平均膜厚1,000Åの塗膜を形成した。この塗膜を倍率20倍の顕微鏡で観察して膜厚ムラ及びピンホールの有無を調べた。評価は、膜厚ムラ及びピンホールの双方とも観察されなかった場合を塗布性「良好」、膜厚ムラ及びピンホールの少なくともいずれかが明確に観察された場合を塗布性「不良」として行った。本実施例では、膜厚ムラ及びピンホールの双方とも観察されず、塗膜性は「良好」であった。
(3)光透過性の評価
上記で得た塗膜に対し、分光光度計(日立製作所(株)製の150−20型ダブルビーム)を用いて、波長400nmにおける光線透過率(%)を評価した。評価は、97%以上であった場合を光透過性「良好」、97%未満であった場合を光透過性「不良」とした。その結果、この塗膜は99.1%であり、光透過性は「良好」であった。
上記で得た塗膜に対し、コットン布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロール回転数1000rpm、ステージ移動速度20cm/秒、毛足押し込み長さ0.4mmでラビング処理を5回実施した。得られた基板上のラビング削れによる異物(塗膜の欠片)を光学顕微鏡にて観察し、500μm×500μmの領域内の異物数を計測した。評価は、異物の数が5個以下の場合をラビング耐性「良好」、6個以上9個以下の場合を「可」、10個以上の場合をラビング耐性「不良」として行った。その結果、この塗膜のラビング耐性は「良好」であった。
(5)配向性の評価
上記で得られたラビング処理(配向処理)を施した配向膜付きガラス基板を、MORITEX社製液晶配向膜検査装置(LayScan)を用い、屈折率異方性(リタデーション(nm))を測定した。評価は、屈折率異方性の測定結果が0.025nm以上であった場合を配向性「良好」、0.025nm未満であった場合を配向性「不良」とした。その結果、この基板は、0.036nmであり、配向性は「良好」であった。
図1に示すFFS型液晶表示素子の液晶表示素子を作製した。先ず、パターンを有さないボトム電極12、絶縁層としての窒化ケイ素膜13、及び櫛歯状にパターニングされたトップ電極14がこの順で形成された2系統の電極対を片面に有するガラス基板11aと、電極が設けられていない対向ガラス基板11bとを一対とし、ガラス基板11aの電極を有する面と対向ガラス基板11bの一面とに、それぞれ上記で調製した液晶配向剤を、スピンナーを用いて塗布して塗膜を形成した。次いで、この塗膜を80℃のホットプレートで1分間プレベークを行った後、庫内を窒素置換したオーブン中で230℃にて15分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚1,000Åの塗膜を形成した。トップ電極14の平面模式図を図2に示す。なお、図2(a)は、トップ電極14の上面図であり、図2(b)は、図2(a)の破線で囲った部分C1の拡大図である。本実施例では、透明電極の線幅d1が4μm、電極間の距離d2が6μmのトップ電極を有する基板を使用した。
次いで、ガラス基板上に形成した塗膜の各表面に、図2(b)中の矢印の方向にコットンにてラビング処理を実施した。これらの基板を、互いの基板のラビング方向が逆並行となるように直径3.5μmのスペーサーを介して貼り合せ、液晶MLC−6221(メルク社製)を注入した。さらに、基板の外側両面に、偏光板を2枚の偏光板の偏光方向が互いに直交するように貼り合わせることにより液晶表示素子10を作製した。
上記で製造したFFS型液晶表示素子に対し、5Vの電圧をON・OFF(印加・解除)したときの明暗の変化における異常ドメインの有無を顕微鏡によって倍率50倍で観察した。評価は、異常ドメインが観察されなかった場合を液晶配向性「良好」とし、異常ドメインが観察された場合を液晶配向性「不良」として行った。この液晶表示素子では液晶配向性「良好」であった。
(8)電圧保持率の評価
上記で製造したFFS型液晶表示素子に対し、23℃において5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率(VHR)を測定したところ、電圧保持率は99.4%であった。なお、測定装置としては、(株)東陽テクニカ製、VHR−1を使用した。
(9)耐熱性の評価
上記(8)と同様に電圧保持率を測定し、その値を初期VHR(VHRBF)とした。次いで、初期VHR測定後の液晶表示素子につき、100℃のオーブン中に500時間静置した。その後、この液晶表示素子を室温下に静置して室温まで放冷した後、上記同様電圧保持率を測定し(VHRAF)とした。また、下記数式(2)により、熱ストレスの付与前後の電圧保持率の変化率(△VHR(%))を求めた。
△VHR(%)=((VHRBF−VHRAF)÷VHRBF)×100…(2)
耐熱性の評価は、変化率ΔVHRが4%未満であった場合を耐熱性「優良」、4%以上5%未満であった場合を「良好」、5%以上であった場合を耐熱性「不良」として行った。その結果、ΔVHRは2.9%であり、液晶表示素子の耐熱性は「優良」であった。
上記で製造したFFS型液晶表示素子につき、交流電圧10Vで30時間駆動した後に光源と光量検出器の間に偏光子と検光子を配置した装置を使用して、下記式(3)で表される最小相対透過率(%)を測定した。
最小相対透過率(%)=(β−B0)/(B100−B0)×100 …(3)
(式(3)中、B0は、ブランクでクロスニコル下の光の透過量である。B100は、ブランクでパラニコル下の光の透過量である。βは、クロスニコル下で偏光子と検光子の間に液晶表示素子を挟み最小となる光透過量である。)
暗状態の黒レベルは液晶表示素子の最小相対透過率で表され、FFS型表示素子では暗状態での黒レベルが小さいほどコントラストが優れる。最小相対透過率が0.5%未満のものを「良好」とし、0.5%以上1.0%未満のものを「可」とし、1.0%以上のものを「不良」とした。その結果、この液晶表示素子の最小相対透過率は0.3%であり、「良好」と判断された。
上記で製造した液晶表示素子について、東陽テクニカ社製の6254C型液晶物性評価装置を用いて誘電吸収法により残留DCの緩和速度の測定を行った。測定は60℃の環境下で行い、30分間10Vの直流電圧を印加した後、1秒間放電させ、その後30分間の残留DCを測定した。残留DCの緩和速度は、残留DCの最大値と、最大値を示した時間の1分後の残留DC値とから平均残留DC緩和速度を算出することにより求めた。評価は、残留DCの緩和速度が4mV/sec以上の場合を残留DC緩和性「優良」、2mV/sec以上4mV/sec未満の場合を残留DC緩和性「良好」、2mV/sec未満の場合を残留DC緩和性「不良」として行った。なお、この緩和速度が速いほど、残像が生じにくく残像特性が良好であることを示す。本実施例の液晶表示素子の残留DCの緩和速度は4.9mV/secであり、残留DC緩和性「優良」と判断された。
重合体として下記表2に示す重合体をそれぞれ使用したほかは実施例3−1と同様にして液晶配向剤を調製するとともに、FFS型液晶表示素子を製造して評価した。評価結果は下記表2に示した。
(1)液晶配向剤の調製
重合体として実施例2−7で得た重合体(PA−7)100重量部をNMP及びBCの混合溶媒(NMP:BC=50:50(重量比))に溶解し、固形分濃度6.5重量%の溶液とした。この溶液を十分に撹拌した後、孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより、液晶配向剤を調製した。
(2)印刷性の評価
上記(1)で調製した液晶配向剤を、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いてITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、200℃のホットプレート上で10分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚600Åの塗膜を形成した。この塗膜を倍率20倍の顕微鏡で観察して印刷ムラ及びピンホールの有無を調べた。評価は、印刷ムラ及びピンホールの双方とも観察されなかった場合を印刷性「良好」、印刷ムラ及びピンホールの少なくともいずれかが僅かに観察された場合を印刷性「可」、印刷ムラ及びピンホールの少なくともいずれかが多く見られた場合を印刷性「不良」として行った。本実施例では、印刷ムラ及びピンホールの双方とも観察されず、印刷性は「良好」であった。
上記(1)で調製した液晶配向剤を、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いてITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、200℃のホットプレート上で10分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚600Åの塗膜を形成した。この塗膜に対し、レーヨン布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロール回転数500rpm、ステージ移動速度3cm/秒、毛足押し込み長さ0.4mmでラビング処理を行い、液晶配向能を付与した。その後、超純水中で1分間超音波洗浄を行い、次いで100℃クリーンオーブン中で10分間乾燥することにより、液晶配向膜を有する基板を得た。また、上記の操作を繰り返し、液晶配向膜を有する基板を一対(2枚)得た。
次に、上記一対の基板のうちの1枚の液晶配向膜を有する面の外縁に直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、一対の基板を液晶配向膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より一対の基板間に、ネマチック液晶(メルク社製、MLC−6221)を充填した後、アクリル系光硬化型接着剤で液晶注入口を封止することにより、TN型液晶セルを製造した。
上記(3)で製造した液晶セルにつき、クロスニコル下で5Vの電圧をオン・オフしたときの異常ドメインの有無を顕微鏡によって倍率50倍で観察した。評価は上記実施例3−1の(7)と同様にして行った。その結果、この液晶表示素子では液晶配向性「良好」であった。
上記(3)で製造した液晶セルにつき、He−Neレーザー光を用いる結晶回転法によって液晶分子の基板面からの傾きの角度を測定し、この値を初期プレチルト角(θIN)とした。結晶回転法は、非特許文献1(T.J.Scheffer et.al.,J.Appl.Phys.vol.48,p1783(1977))及び非特許文献2(F.Nakano et.al.,JPN.J.Appl.Phys.vol.19,p2013(1980))に記載の方法に準拠して行った。
次いで、初期プレチルト(θIN)を測定した後の液晶セルに、5Vの交流電圧を100時間印加した。その後、上記と同様の方法により再度プレチルト角を測定し、この値を電圧印加後のプレチルト角(θAF)とした。これらの測定値を下記数式(4)に代入して、電圧印加の前後におけるプレチルト角の変化量(△θ(°))を求めた。
Δθ=|θAF−θIN| …(4)
Δθが3%未満であった場合をプレチルト角安定性「優良」、3%以上4%未満であった場合を「良好」、4%以上であった場合を「不良」と評価したところ、この液晶表示素子のプレチルト角変化率は2.6%であり、プレチルト角安定性は「優良」と判断された。
上記実施例3−1の(8)と同様にして電圧保持率(VHRBF)を測定するとともに、上記実施例3−1の(9)と同様にして、熱ストレス付与前後の電圧保持率の変化率ΔVHRにより耐熱性の評価を行った。その結果、初期電圧保持率VHRBFは99.1%であった。また、ΔVHRは2.8%であり、耐熱性「優良」と判断された。
(1)液晶配向剤の調製
重合体として実施例2−6で得た重合体(PA−6)100重量部をNMP及びBCを加えて、固形分濃度6.5重量%、溶媒の混合比がNMP:BC=50:50(重量比)の溶液とした。この溶液を十分に撹拌した後、孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより、液晶配向剤を調製した。
(2)印刷性の評価
上記(1)で調製した液晶配向剤を用いて、上記実施例3−8の(2)と同様にして印刷性を調べたところ、印刷ムラ及びピンホールの双方とも観察されず、印刷性は「良好」であった。
(3)VA型液晶セルの製造
上記で調製した液晶配向剤を、ITO膜からなる透明電極付きガラス基板(厚さ1mm)の透明電極面上に、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いて塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)し、さらに200℃のホットプレート上で60分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚800Åの塗膜(液晶配向膜)を形成した。この操作を繰り返し、透明導電膜上に液晶配向膜を有するガラス基板を一対(2枚)得た。
次に、上記一対の基板のうちの1枚の液晶配向膜を有する面の外縁に直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、一対の基板を液晶配向膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より一対の基板間に、ネマチック液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止することにより、VA型液晶セルを製造した。
上記(3)で製造した液晶セルにつき、実施例3−8の(4)と同様に液晶配向性の評価をしたところ、この液晶表示素子の液晶配向性は「良好」であった。また、実施例3−1の(8)と同様にして電圧保持率(VHRBF)を測定するとともに、上記実施例3−1の(9)と同様にして、熱ストレス付与前後の電圧保持率の変化率ΔVHRにより耐熱性の評価を行った。その結果、初期電圧保持率VHRBFは99.4%であった。また、ΔVHRは2.9%であり、耐熱性「優良」と判断された。
(1)液晶配向剤の調製
実施例2−2で得た重合体(PA−2)100重量部、及び合成例5で得たポリオルガノシロキサン(S−1)5重量部を、NMP及びBCからなる混合溶媒(NMP:BC=50:50(重量比))に溶解し、固形分濃度が3.5重量%の溶液とした。この溶液を孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより液晶配向剤を調製した。
(2)位相差フィルムの製造
基板としてのTACフィルムの一面に、上記で調製した液晶配向剤を、バーコーターを用いて塗布し、オーブン内にて120℃で2分間ベークして膜厚100nmの塗膜を形成した。次いで、この塗膜表面にHg−Xeランプ及びグランテーラープリズムを用いて313nmの輝線を含む偏光紫外線10mJ/cm2を、基板法線から垂直に照射して液晶配向膜を形成した。次いで、重合性液晶(RMS03−013C、メルク社製)を孔径0.2μmのフィルターでろ過した後、この重合性液晶をバーコーターにより液晶配向膜上に塗布して重合性液晶の塗膜を形成した。温度50℃に調整したオーブン内で1分間ベークした後、Hg−Xeランプを用いて365nmの輝線を含む非偏光の紫外線1,000mJ/cm2を塗膜面に対して垂直の方向から照射し、重合性液晶を硬化して液晶層を形成することにより、位相差フィルムを製造した。
上記(2)で製造した位相差フィルムにつき、クロスニコル下での目視及び偏光顕微鏡(倍率2.5倍)によって異常ドメインの有無を観察することにより液晶配向性を評価した。評価は、目視にて配向性が良好かつ偏光顕微鏡にて異常ドメインが観察されなかった場合を液晶配向性「優良」、目視では異常ドメインが観察されなかったが偏光顕微鏡にて異常ドメインが観察された場合を液晶配向性「良好」、目視及び偏光顕微鏡にて異常ドメインが観察された場合を液晶配向性「不良」として行った。その結果、この位相差フィルムは液晶配向性「優良」と評価された。
上記(2)で製造した位相差フィルムを用いて、液晶配向膜の基板との密着性について評価した。先ず、ガイドの付いた等間隔スペーサーを用い、カッターナイフにより位相差フィルムの液晶層側の面から切り込みを入れ、10個×10個の格子パターンを形成した。各切込みの深さは、液晶層表面から基板厚さの中ほどまで達するようにした。次いで、上記格子パターンの全面を覆うようにセロハンテープを密着させた後、該セロハンテープを引き剥がした。引き剥がし後の格子パターンの切込み部をクロスニコル下における目視によって観察して密着性を評価した。評価は、切込み線に沿った部分及び格子パターンの交差部分に剥離が確認されなかった場合を密着性「優良」、上記部分に剥離が観察された格子目の個数が、格子パターン全体の個数に対して15%未満の場合を密着性「良好」、上記部分に剥離が観察された格子目の個数が、格子パターン全体の個数に対して15%以上であった場合を密着性「不良」として行った。その結果、この位相差フィルムは密着性「優良」であった。
Claims (11)
- 多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸ハロゲン化物、多価カルボン酸の部分エステル化物及び当該部分エステル化物の酸ハロゲン化物よりなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物(A)と、下記式(1)で表される化合物を含むアミン化合物(B)とをモノマーとして用いて得られる重合体を含有する、液晶配向剤。
- 前記アミン化合物(B)のうち上記式(1)で表される化合物の比率が10モル%以上である、請求項1に記載の液晶配向剤。
- 前記化合物(A)が、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジエステル及びテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物よりなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1又は2に記載の液晶配向剤。
- 前記化合物(A)がテトラカルボン酸二無水物であり、
当該テトラカルボン酸二無水物として、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸2:3,5:6−二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸2:4,6:8−二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、及びピロメリット酸二無水物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1又は2に記載の液晶配向剤。 - 前記R1は、2価の炭化水素基であるか、当該2価の炭化水素基における炭素−炭素結合間、前記Z1に隣接する位置及び前記Z2に隣接する位置の少なくともいずれかに−O−、−COO−、−CO−、−NHCO−、−S−若しくは−NH−が導入されてなる2価の基であるか、又は複素環を有する2価の基であり、置換基を有していてもよい、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
- 請求項6に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
- 請求項6に記載の液晶配向膜を具備する位相差フィルム。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶配向剤を基板上に塗布して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜に光照射する工程と、
前記光照射した後の塗膜上に重合性液晶を塗布して硬化させる工程と、を含む位相差フィルムの製造方法。 - 多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸ハロゲン化物、多価カルボン酸の部分エステル化物及び当該部分エステル化物の酸ハロゲン化物よりなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物(A)と、下記式(1)で表される化合物を含むアミン化合物(B)とをモノマーとして用いて得られる重合体。
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