以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10における遊技領域内の構成を省略している。
図1に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に取り付けられた遊技機主部12とを有している。
外枠11は木製又は金属製の板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。外枠11を島設備に取り付け固定することにより、パチンコ機10が遊技ホールに設置される。なお、パチンコ機10において外枠11は必須の構成ではなく、遊技場の島設備に外枠11が備え付けられた構成としてもよい。
遊技機主部12は、外枠11によって開閉可能な状態で支持されている。具体的には、外枠11における上枠部と左枠部との連結部分に上側支持用金具17が固定されており、さらに外枠11における下枠部と左枠部との連結部分に下側支持用金具18が設けられている。これら上側支持用金具17及び下側支持用金具18により支持機構が構成され、当該支持機構により外枠11に対して遊技機主部12がパチンコ機10の正面視で左側を回動基端側、右側を回動先端側としてパチンコ機10の前方へ回動可能とされている。
図2に示すように、遊技機主部12は、ベース体としての内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。なお、遊技機主部12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として内枠13が前方へ回動可能とされている。
内枠13には、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13には、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている。
次に、前扉枠14について説明する。図1に示すように前扉枠14は外形が外枠11とほぼ同一形状をなす合成樹脂製の枠体20(図2参照)を主体に構成されており、内枠13における前面のほぼ全域を覆っている。枠体20の中央部分には後述する遊技領域PEのほぼ全域を前方から視認することができるようにした略楕円状の窓部21が形成されており、その窓部21はガラスユニット22によって同前扉枠14の背面側から塞がれている。
ガラスユニット22は、透明性を有する複数のガラスパネル23と、それらガラスパネル23を保持するガラスホルダとを備えている。ガラスホルダには、ガラスパネル23の保持領域を前後に仕切る仕切り部が形成されており、両ガラスパネル23は仕切り部を挟んで前後に相対向している。つまり、両ガラスパネル23の間に所定の隙間を確保することにより、ガラスパネル23同士の干渉を回避しつつ、それらガラスパネル23によって遊技領域PEをパチンコ機10の正面側から2重に覆った状態となっている。
なお、必ずしも両ガラスパネル23をガラスホルダを用いてユニット化する必要は無く、各ガラスパネル23を枠体20に対して個々に取り付ける構成としてもよい。更には、ガラスパネルの枚数は任意であり、1枚としてもよいし、3枚以上としてもよい。但し、安全性及び防犯性向上の観点から、複数のガラスパネルを採用し、それら各ガラスパネルを所定の隙間を挟んで前後に対向させることが好ましい。因みに、ガラスパネルに代えて透明性を有する合成樹脂性のパネル部材を採用することも可能である。
ガラスユニット22(詳しくは窓部21)の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部26が設けられている。環状電飾部26では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状電飾部26の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ部27が設けられ、さらにその左右側方には賞球払出中に点灯する賞球ランプ部28が設けられている。また、左右の賞球ランプ部28に近接した位置には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部29が設けられている。
前扉枠14(枠体20)における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部31と下側膨出部32とが上下に並設されている。上側膨出部31内側には上方に開口した上皿33が設けられており、下側膨出部32内側には同じく上方に開口した下皿34が設けられている。上皿33は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿34は、上皿33内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。
下側膨出部32の右方には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル41が設けられている。遊技球発射ハンドル41が操作されることにより、後述する遊技球発射機構から遊技球が発射される。
前扉枠14の背面には、通路形成ユニットが取り付けられている。通路形成ユニットは、合成樹脂により成形されており、上皿33に通じる前扉側上皿通路と、下皿34に通じる前扉側下皿通路とが形成されている。通路形成ユニットにおいて、その上側隅部には後方に突出し上方に開放された受口部が形成されており、当該受口部を仕切壁によって左右に仕切ることで前扉側上皿通路の入口部分と前扉側下皿通路の入口部分とが区画形成されている。前扉側上皿通路及び前扉側下皿通路は上流側が後述する遊技球分配部に通じており、前扉側上皿通路に入った遊技球は上皿33に導かれ、前扉側下皿通路に入った遊技球は下皿34に導かれる。
前扉枠14の背面における回動基端側には、その上端部及び下端部に突起軸が設けられている。これら突起軸は内枠13に対する組付機構を構成する。また、前扉枠14の背面における回動先端側には、図2に示すように、後方に延びる鉤金具63が上下方向に複数並設されている。これら鉤金具63は内枠13に対する施錠機構を構成する。
次に、図3に基づき内枠13について詳細に説明する。図3は内枠13の正面図である。なお、図3においては図2と同様に便宜上パチンコ機10の遊技領域PE内の構成を省略している。
内枠13は、外形が外枠11と同様に略矩形状をなす樹脂ベース70を主体に構成されている。樹脂ベース70の高さ寸法は、外枠11の高さ寸法よりも若干小さく設定されている。また、樹脂ベース70は外枠11の上側枠部に寄せて配置され、外枠11の下側枠部と樹脂ベース70との間には若干の隙間が形成されている。外枠11にはこの隙間を塞ぐようにして幕板が装着されている。幕板は、樹脂ベース70(詳しくはその下端部)の下方に配置されており、内枠13が外枠11に対して閉じられた状態では樹脂ベース70が幕板の上に載ることとなる。なお、幕板と樹脂ベース70との間に若干のクリアランスを設けてもよい。
樹脂ベース70の前面における回動基端側(図3の左側)には、その上端部及び下端部に支持金具71,72が取り付けられている。図示は省略するが、支持金具71,72には軸孔が形成されており、それら軸孔に前扉枠14の突起軸が挿入されることにより、内枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。
樹脂ベース70の前面における回動先端側(図3の右側)には、前扉枠14の背面に設けられた鉤金具63(図2参照)を挿入するための挿入孔73がそれぞれ設けられている。本パチンコ機10では、内枠13や前扉枠14を施錠状態とするための施錠装置75が内枠13の背面側に隠れて配置される構成となっている。したがって、鉤金具63が挿入孔73を介して施錠装置75(詳しくは前扉用鉤受け部材76)に係止されることによって、前扉枠14が内枠13に対して開放不能に施錠される。また、施錠装置75は、内枠13の後方へ延びる内枠用鉤部材77を有している。これら内枠用鉤部材77が外枠11の鉤受け部材19に引っ掛かることにより遊技機主部12が外枠11に対して閉じた状態で施錠される。
樹脂ベース70の右下隅部には、施錠装置75の解錠操作を行うためのシリンダ錠78が設置されている。シリンダ錠78は施錠装置75に一体化されており、シリンダ錠78の鍵穴に差し込んだキーを右に回すと内枠13に対する前扉枠14の施錠が解除され、シリンダ錠78の鍵穴に差し込んだキーを左に回すと外枠11に対する内枠13の施錠が解除されるように施錠装置75が構成されている。
また、樹脂ベース70において施錠装置75と横並びとなる位置(内枠13の回動先端部)には、前扉枠14の開放を検知する開放検知センサ79a(詳しくはプッシュセンサ)が設けられている。開放検知センサ79aは後述する主制御装置に対して電気的に接続されており、主制御装置においては当該開放検知センサ79aからの検知信号(検知情報)に基づいて前扉枠14が開放されているか否かを把握することが可能となっている。
樹脂ベース70の中央部には略楕円形状の窓孔74が形成され、樹脂ベース70に装着された遊技盤80によって同窓孔74が後方から塞がれている。遊技盤80は、木製の合板と同合板における前側の板面を覆うシート材とを有してなり、その前面が上記窓孔74を通じて樹脂ベース70の正面側に露出している。この露出している部位、すなわち遊技盤80の前面には、遊技球が流下する遊技領域PEが形成されている。既に説明したように遊技領域PEはガラスユニット22(詳しくは後側のガラスパネル23)によって覆われている。ガラスユニット22は、後側のガラスパネル23と遊技盤80の前面との隙間が遊技球の直径よりも僅かに大きくなるように、すなわち遊技領域PEを流下する遊技球が同遊技領域PEの同一箇所にて前後に並ばないように配置されている。これにより、遊技領域PEでの球詰まりを抑制している。なお、遊技盤80は木製に限定されるものではなく、合成樹脂製とすることも可能である。また、遊技盤を透明として当該遊技盤を通じてその背面側を視認可能とする場合には、遊技盤の前面に配設された各種装飾を遊技盤の背面側に配置する構成とすることにより、遊技機の見栄えの向上に貢献できる。
以下、図4に基づき遊技盤80(特に遊技領域PEに配された各種構成)について説明する。図4は遊技盤80の正面図である。
遊技盤80には、ルータ加工が施されることによって自身の厚さ方向(前後方向)に貫通する大小複数の開口が形成されている。各開口には、一般入賞口81、可変入球装置82,83、作動入球部84,85、スルーゲート86、主表示ユニット87及び可変表示ユニット88等がそれぞれ配設されている。一般入賞口81、可変入球装置82,83及び作動入球部84,85に遊技球が入ると、それら遊技球が後述する検知センサにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出し等の特典が遊技者に付与される。その他に、遊技盤80の最下部にはアウト口89が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口89を通って遊技領域PEから排出される。以下の説明では、アウト口89への遊技球の入球と明確に区別するために、一般入賞口81、可変入球装置82,83、作動入球部84,85、スルーゲート86への遊技球の入球を、入賞とも表現する。
また、遊技盤80には、遊技球の流下経路を適宜分散・調整等するために多数の釘90が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。これら釘90や風車等の各種構成によって、遊技球の流下経路が分化され、上述した一般入賞口81等への入賞が適度な確率で発生するように調整されている。
上記可変表示ユニット88は遊技盤80の中央に配されており、同可変表示ユニット88の周辺に上記作動入球部84,85等が配設されている。作動入球部84,85は、可変表示ユニット88の下方に配設された下側の作動入球部84(以下便宜上、下側作動入球部84と称する)と、同可変表示ユニット88の右方に配設された右側の作動入球部85(以下便宜上、右側作動入球部85と称する)とによって構成されており、特に右側作動入球部(抽選契機入球部)85には、開閉式の入球補助装置(入球補助手段)又は開閉部材(開閉手段)としての電動役物91が設けられている。電動役物91は、左右一対の可動片91aと同可動片91aを駆動させるソレノイド式の駆動部91bとを有してなり、右側作動入球部85における入口部(右側作動口85a)への入球が可能又は容易となる開状態(補助状態)と、同入球が不可又は困難となる閉状態(非補助状態)とに切替可能となっている。
この右側作動入球部85の上方に上記スルーゲート86が配置されており、遊技球のスルーゲート86の通過をトリガとした抽選にて当選となった場合には、電動役物91が所定時間だけ開状態となる。
なお、下側作動入球部84への入球が発生した場合には3個の遊技球の払出が実行され、右側作動入球部85への入球が発生した場合には4個の遊技球の払出が実行されるが、遊技球の払出個数は上記のものに限定されることはない。但し、下側作動入球部84に対する右側作動入球部85の有利性を高める上では、下側作動入球部84にかかる払出個数よりも右側作動入球部85にかかる払出個数を多く設定することが好ましい。
可変入球装置(特別入球装置又は特別入球手段)82,83についても、下側作動入球部84及び右側作動入球部85と同様に、可変表示ユニット88の下方及び右方に個別に配置されている。以下便宜上、可変表示ユニット88の下方(詳しくは下側作動入球部84の下方)に配置された可変入球装置82を「下側可変入球装置82」と称し、可変表示ユニット88の右方(詳しくは右側作動入球部85の下方)に配置された可変入球装置83を「右側可変入球装置83」と称する。
下側可変入球装置82は、遊技盤80の背面側へと通じる下側大入賞口82aを備えているとともに、当該下側大入賞口82aを開閉する開閉手段としての開閉機構93を備えている。開閉機構93は、下側大入賞口82a用の開閉部材としての開閉扉93aを備えている。開閉扉93aは、遊技球の入球が可能又は容易となる開状態(補助状態)と、同入球が不可又は困難となる閉状態(非補助状態)とに切替可能となっている。また、同開閉扉93aは遊技盤80の背面側に設けられた可変入球駆動部82b(詳しくはソレノイド)と連結されており、通常時においては開閉扉93aが閉状態のまま維持され、内部抽選において開閉実行モード(開閉実行状態)への移行に当選した場合に開状態に切り替えられるようになっている。
ここで、開閉実行モードとは、大当たり当選となった場合に移行することとなるモードである。当該開閉実行モードにおける下側可変入球装置82の開放態様としては、例えば所定時間(例えば30sec)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限とした開閉扉93aの開放が繰り返されるように設定されているものがある。
右側可変入球装置83は、下側可変入球装置82と同様に、遊技盤80の背面側へと通じる右側大入賞口や当該右側大入賞口を開閉する開閉部材(開閉手段)としての開閉扉等を備えている。開閉扉は、遊技球の入球が可能又は容易となる開状態(補助状態)と、同入球が不可又は困難となる閉状態(非補助状態)とに切替可能となっている。また、同開閉扉は、遊技盤80の背面側に設けられた可変入賞駆動部(詳しくはソレノイド)と連結されており、通常時においては、開閉扉は閉状態のまま維持され、右側作動入球部85への入球に基づく内部抽選において後述する特別当たりに当選した場合に抽選結果確定モードに切り替えられるようになっている。
ここで、抽選結果確定モードとは、右側作動入球部85における抽選結果(特別当たり)が有効となって下側可変入球装置82が開閉実行モードへ移行されるか、つまり開閉実行モードへの移行が確定されるか、それとも抽選結果が無効となり開閉実行モードへの移行が回避されるかを抽選するモードである。抽選結果確定モードにおける右側可変入球装置83の開放態様としては、後述する右作動口用表示部に特別当たりを示す絵柄が表示されたタイミングから所定期間(例えば2sec)が経過するまで開閉扉が開放されるように設定されている。
次に、可変表示ユニット88について説明する。可変表示ユニット88には、作動入球部84,85への入賞をトリガとして図柄を可変表示する図柄表示装置96が設けられている。また、可変表示ユニット88には、図柄表示装置96を囲むようにしてセンターフレーム97が配設されている。センターフレーム97の下部には、下側作動入球部84(下側作動口84a)に対応する下作動口用保留ランプ部98と、右側作動入球部85(右側作動口85a)に対応する右作動口用保留ランプ部99とが設けられている。本実施の形態においては、遊技球が各作動入球部84,85を通過した回数はそれぞれ最大4回まで保留される構成となっているが、保留ランプ部98,99の点灯によって各作動入球部84,85に対応する保留個数が個別に表示されるようになっている。
図柄表示装置96は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。図柄表示装置96には、例えば左、中及び右に並べて図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示された場合には、特別遊技状態(以下、大当たりという)が発生することとなる。
作動入球部84,85は、可変表示ユニット88寄りとなる位置に配置されている。作動入球部84,85への入賞をトリガとして、大当たりが発生し得るため、遊技者は作動入球部84,85に入賞するか否かに注目するとともに、大当たりが発生するか否かを把握するため図柄表示装置96に注目するものと考えられる。作動入球部84,85を可変表示ユニット88寄りに設けたことは、遊技者が注目したい箇所を可変表示ユニット88周辺に集中させるための工夫である。
可変表示ユニット88を挟んで右側可変入球装置83とは反対側には、上記主表示ユニット87が配されている。主表示ユニット87は、遊技領域PEの下部側の外縁に沿って配置されており、遊技盤80の前面からパチンコ機10前方に突出している。主表示ユニット87の前面は、遊技領域PEをパチンコ機10前方から視認可能とする上記ガラスユニット22(詳しくは後側のガラスパネル23)と対向しており、さらに後側のガラスパネル23との間の距離は遊技球1個分よりも狭くなっている。これにより、主表示ユニット87の前面の前方を遊技球が落下することが回避されている。
ここで、図4の部分拡大図を参照して主表示ユニット87について補足説明する。
主表示ユニット87においてガラスユニット22と対向している部分には、所定の絵柄等が表示される主表示部Dが設けられている。主表示部Dは、下側作動入球部84(下側作動口84a)への入賞に基づいた抽選結果を表示する下作動口用表示部DLと、右側作動入球部85(右側作動口85a)への入賞に基づいて行われた抽選結果を表示する右作動口用表示部DRとを有してなる。
下作動口用表示部DLでは、下側作動入球部84への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、下側作動入球部84への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。下側作動入球部84への入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、下作動口用表示部DLにて変動表示が停止され、停止結果として所定の絵柄が表示された後に、上記開閉実行モードへ移行される。
右作動口用表示部DRでは、右側作動入球部85への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、右側作動入球部85への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。右側作動入球部85への入賞に基づく内部抽選の結果が大当たり又は特別当たりに対応した当選結果であった場合には、右作動口用表示部DRにて変動表示が停止され、停止結果として所定の絵柄が表示された後に、その結果に応じて上記開閉実行モード又は抽選結果確定モードに移行される。
ここで、いずれかの作動入球部84,85への入賞に基づいて、対応する表示部DL,DRにて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまでが遊技回の1回に相当する。但し、遊技回の1回は、上記の内容に限定されることはなく、例えば、単一の表示領域が設けられ、いずれの作動入球部84,85への入賞が発生したとしてもその単一の表示領域にて変動表示が行われる構成においては、当該単一の表示領域にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示した状態で上記変動表示が停止されるまでを遊技回の1回とする。
また、主表示ユニット87の主表示部Dには両表示部DL,DR以外に、スルーゲート86への入賞に基づいた抽選結果を表示するスルーゲート用表示部DSが併設されている。スルーゲート用表示部DSでは、スルーゲート86への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート86への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。スルーゲート86への入賞に基づく内部抽選の結果が電役開放状態への移行に対応した当選結果であった場合には、スルーゲート用表示部DSにて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、電役開放状態へ移行する。電役開放状態では、右側作動入球部85に設けられた上記電動役物91が所定の態様で開放される。
更に、本実施の形態においては遊技球がスルーゲート86を通過した回数は最大4回まで保留される構成が採用されているが、主表示ユニット87の主表示部Dにはその保留個数を表示する保留数用表示部DHが設けられている。
これら各表示部DL,DR,DS,DHについては、前扉枠14のガラスユニット22を通じてパチンコ機10前方から視認可能となっているとともに、これら各種表示部DL,DR,DS,DHの前方を遊技球が移動することが回避されることで視認性が担保されている。なお、これら各表示部DL,DR,DS,DHにおける表示態様については後述する。
再び図3を用いて内枠13の構成について説明すれば、樹脂ベース70における遊技盤80の下方には、上記遊技球発射ハンドル41の操作に基づいて遊技領域PEへ遊技球を発射する遊技球発射機構110が設けられている。遊技球発射機構110は、所定の発射待機位置に配置された遊技球を打ち出すソレノイド111と、同ソレノイド111によって打ち出された遊技球の発射方向を規定する発射レール112と、上記発射待機位置に遊技球を供給する球送装置113と、それら各種構成111〜113が装着されているベースプレート114とを主要な構成として備えており、同ベースプレート114が樹脂ベース70に固定されることで、樹脂ベース70に対して一体化されている。
発射レール112は、遊技盤80側に向けて上り傾斜となるように、斜めに傾いた状態でベースプレート114に固定されている。発射レール112の下流側の端部(すなわち下端部)寄りとなる位置には、球送装置113から供給された遊技球を上述した発射待機位置に留める球ストッパが配されている。球ストッパよりも更に下流側となる位置に、上記ソレノイド111が配置されている。
ソレノイド111は、後述する電源・発射制御装置に対して電気的に接続されている。その電源・発射制御装置からの電気的な信号の出力に基づいてソレノイド111の出力軸が伸縮方向に往復動することにより、発射待機位置に置かれた遊技球が遊技盤80側、詳しくは遊技盤80に装着された誘導レール100に向けて打ち出される。
誘導レール100は、遊技領域PEを同遊技領域PEの外形が略円形状となるように区画形成している。また、誘導レール100は、遊技球の直径よりも若干大きな隙間を隔てて対峙するように配置された内レール101及び外レール102からなり、それら両レール101,102によって一条の誘導通路103が区画形成されている。誘導通路103は、発射レール112の先端側(斜め下方)に開放された入口部分と、遊技領域PEの上部に位置する出口部分とを有している。ソレノイド111の動作に基づいて発射された遊技球は、発射レール112→誘導レール100(入口部分→出口部分)の順に移動することにより遊技領域PEに導かれる。なお、遊技盤80において出口部分の先側、詳しくは内レール101の先端付近には、遊技領域PEに到達した遊技球の同誘導通路103内への逆戻りを防止する逆戻り防止部材106が取り付けられており、先んじて遊技領域PEに至った遊技球によって後続する遊技球の打ち出しが妨げられることを抑制している。
誘導レール100を構成している各レール101,102は、遊技領域PEの略中央部分を中心とする円弧状をなしている。このため、誘導通路103を通過する遊技球は、自身に発生する遠心力により外レール102に沿って、すなわち外レール102に接触したまま移動(摺動又は転動)しやすくなっている。
同図3に示すように、誘導レール100及び発射レール112は、同誘導レール100の入口部分と発射レール112の先端部分とが遊技盤80の下端縁を挟んで斜めに対峙するように配置されている。つまり、それら両レール100,112は、同誘導レール100の入口部分と発射レール112の先端部分とが遊技盤80の下端縁近傍にて左右にずれるようにして配置されている。これにより両レール100,112を遊技盤80の下端縁に近づけつつ、誘導レール100の入口部分と発射レール112との間には所定間隔の隙間を形成している。
このようにして形成された隙間よりも下側にはファール球通路が配設されている。ファール球通路は前扉枠14の通路形成ユニットに一体成形されている。仮に遊技球発射機構110から発射された遊技球が遊技領域PEまで至らずファール球として誘導通路103内を逆戻りする場合には、それらファール球が上記隙間を介してファール球通路内に入ることとなる。ファール球通路は前扉側下皿通路に通じており、ファール球通路に入った遊技球は図1に示した下皿34に排出される。これにより、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
樹脂ベース70において発射レール112の左方(詳しくは前扉枠14を支持している側)には樹脂ベース70を前後方向に貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔に通路形成部材121が配設されている。通路形成部材121は、樹脂ベース70に対してネジ止めされており、本体側上皿通路122と本体側下皿通路123とを有している。それら本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123の上流側は、後述する遊技球分配部に通じている。また、通路形成部材121の下方には前扉枠14に取り付けられた通路形成ユニットの受口部が入り込んでおり、本体側上皿通路122の下方には前扉側上皿通路が配置され、本体側下皿通路123の下方には前扉側上皿通路が配置されている。
樹脂ベース70において通路形成部材121の下方には、本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を開閉する開閉部材124が取り付けられている。開閉部材124はその下端に設けられた支軸により前後方向に回動可能に支持されており、さらに本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を閉鎖する前方位置に付勢する付勢部材が設けられている。従って、前扉枠14を内枠13に対して開いた状態では開閉部材124が図示の如く起き上がり、本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を閉鎖する。これにより、本体側上皿通路122又は本体側下皿通路123に遊技球が貯留されている状態で前扉枠14を開放した場合、その貯留球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できる。これに対し、前扉枠14を閉じた状態では、前扉枠14の通路形成ユニットに設けられた受口部により付勢力に抗して開閉部材124が押し開けられる。この状態では、本体側上皿通路122と前扉側上皿通路とが連通し、さらに本体側下皿通路123と前扉側下皿通路とが連通している。
次に、図5に基づき内枠13(樹脂ベース70及び遊技盤80)の背面構成について説明する。図5は内枠13の背面図である。
樹脂ベース70の背面における回動基端側(図5の右側)には、軸受け金具132が上下に並設されている。軸受け金具132には、上下に離間させて軸受け部が形成されており、これら軸受け部により内枠13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられている。
樹脂ベース70の背面には、係止金具135が複数設けられており、これら係止金具135によって上述したように樹脂ベース70に対して遊技盤80が取り付けられている。ここで、図6及び図7を参照して遊技盤80の背面の構成を説明する。図6は遊技盤80を遊技機後方から見た斜視図、図7は遊技盤80から主制御装置ユニットを取り外した状態を示す背面図である。
図6に示すように、遊技盤80の中央に配置される可変表示ユニット88には、センターフレーム97を背後から覆う合成樹脂製のフレームカバー141が後方に突出させて設けられており、フレームカバー141に対して後側から上述した図柄表示装置96が取り付けられるとともに、その図柄表示装置96を駆動するための表示制御装置が取り付けられている(図示は省略)。これら図柄表示装置96及び表示制御装置は前後方向に重ねて配置され(図柄表示装置が前、表示制御装置が後)、さらにその後方に報知・演出制御装置ユニット142が搭載されている。報知・演出制御装置ユニット142は、報知・演出制御装置143と、取付台144とを具備する構成となっており、取付台144上に報知・演出制御装置143が装着されている。
報知・演出制御装置143は、後述する主制御装置からの指示に従い音声やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る報知・演出制御基板を具備しており、報知・演出制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス145に収容されて構成されている。
図7に示すように、可変表示ユニット88の下方には一般入賞口81や作動入球部84,85等を介して遊技盤80の背面側に移動した遊技球を回収する集合板ユニット150が設けられている。集合板ユニット150は遊技盤80に固定されており、同集合板ユニット150には当該集合板ユニット150を後方から覆うようにして主制御装置ユニット160が搭載されている(図6参照)。なお、主制御装置ユニット160の搭載対象は、集合板ユニット150に限定されるものではない。例えば、主制御装置ユニット160を遊技盤80に対して直に搭載することも可能である。
主制御装置ユニット160は、合成樹脂製を用いて形成された無色透明な取付台161と、同取付台161に搭載された主制御装置162とによって構成されている。取付台161は、集合板ユニット150によって回動可能に支持されており、取付台161ごと主制御装置ユニット160を回動させることで同取付台161から主制御装置162を取り外すことなく目視による確認作業が可能となっている。
主制御装置162は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス163に収容されて構成されている。
基板ボックス163は、略直方体形状のボックスベース(表ケース体)とこのボックスベースの開口部を覆うボックスカバー(裏ケース体)とを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としての封印部164によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス163が封印されている。封印部164は、基板ボックス163の長辺部に5つ設けられ、そのうち少なくとも一つが用いられて封印処理が行われる。
封印部164はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に結合する構成であれば任意の構成が適用できるが、封印部164を構成する長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に結合されるようになっている。封印部164による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、5つの封印部164のうち、少なくとも一つの長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板の不具合発生の際や主制御基板の検査の際など基板ボックス163を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部と他の封印部との連結部分を切断する。これにより、基板ボックス163のボックスベースとボックスカバーとが分離され、内部の主制御基板を取り出すことができる。その後、再度封印処理する場合は他の封印部の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス163の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス163に残しておけば、基板ボックス163を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
基板ボックス163の一方の短辺部には、その側方に突出するようにして複数の結合片が設けられている。これら結合片は、取付台161に形成された複数の被結合片と1対1で対応しており、結合片と被結合片とにより基板ボックス163と取付台161との間で封印処理が行われる。
また、樹脂ベース70の背面において施錠装置75と横並びとなる位置(内枠13の回動先端部)には、内枠13(遊技機主部12)の開放を検知する開放検知センサ79b(詳しくはプッシュセンサ)が設けられている。開放検知センサ79bは主制御装置162に対して電気的に接続されており、主制御装置162においては当該開放検知センサ79aからの検知信号(検知情報)に基づいて内枠13が開放されているか否かを把握することが可能となっている。
次に、図2及び図8に基づき裏パックユニット15について説明する。図8は裏パックユニット15の正面図である。
既に説明したように内枠13は裏パックユニット15によって後方から覆われている。図8に示すように、裏パックユニット15は、裏パック201を備えており、当該裏パック201に対して、払出機構部202、排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。
裏パック201は透明性を有する合成樹脂により成形されており、払出機構部202などが取り付けられるベース部211と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部212とを有する。保護カバー部212は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも上記可変表示ユニット88を囲むのに十分な大きさを有する。
ベース部211には、その右上部に外部端子板213が設けられている。外部端子板213には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側の管理制御装置に対して各種信号が出力される。また、ベース部211にはパチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン214が設けられており、掛止ピン214を内枠13に設けられた軸受け金具132(詳しくは軸受け部)に挿通させることで、裏パックユニット15が内枠13に対して回動可能に支持されている。また、ベース部211における回動先端部には、内枠13に設けられた被締結孔に対して締結するための締結具215が設けられており、当該締結具215を被締結孔に嵌め込むことで内枠13に対して裏パックユニット15が固定されている。
ベース部211には、保護カバー部212を迂回するようにして払出機構部202が配設されている。払出機構部202には、裏パック201の最上部に配されているとともに上方に開口したタンク221が設けられており、遊技ホールの島設備から供給される遊技球がそのタンク221に逐次補給される。タンク221の下方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール222が連結され、タンクレール222の下流側には上下方向に延びるケースレール223が連結されている。ケースレール223の最下流部には払出装置224が設けられている。払出装置224より払い出された遊技球は、当該払出装置224の下流側に設けられた図示しない払出通路を通じて、裏パック201のベース部211に設けられた遊技球分配部225に供給される。
遊技球分配部225は、払出装置224より払い出された遊技球を上皿33、下皿34又は後述する排出通路の何れかに振り分けるための機能を有し、内側の開口部が上述した本体側上皿通路122及び前扉側上皿通路を介して上皿33に通じ、外側の開口部が本体側下皿通路123及び前扉側下皿通路を介して下皿34に通じるように形成されている。
ベース部211の下端部には、当該下端部を前後に挟むようにして排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている(図2参照)。排出通路盤には、制御装置集合ユニット204と対向する面に後方に開放された排出通路が形成されており、当該排出通路の開放部は制御装置集合ユニット204によって塞がれている。排出通路は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した回収通路等から排出通路に導出された遊技球は当該排出通路を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
図8に示すように、制御装置集合ユニット204は、横長形状をなす取付台241を有し、取付台241に払出制御装置242と電源・発射制御装置243とが搭載されている。これら払出制御装置242と電源・発射制御装置243とは、払出制御装置242がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置242においては基板ボックス244内に払出装置224を制御する払出制御基板が収容されており、当該払出制御基板に設けられた状態復帰スイッチ245が基板ボックス244外に突出している。例えば、払出装置224における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ245が押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
電源・発射制御装置243は、基板ボックス246内に電源・発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源・発射制御装置243にはRAM消去スイッチ247及び電源スイッチ249が設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。したがって、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断する(電源スイッチ249をONからOFFに切り替える)と遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチ247を押しながら電源を投入する(電源スイッチ249をOFFからONに切り替える)と、RAMデータが初期化されるようになっている。なお、詳細については後述するが、パチンコ機10にエラーが発生した場合には、上記球詰まりに係るエラーを除き、例えばパチンコ機10を再起動させることで(電源スイッチをON→OFF→ONに切り替えることで)当該エラーを解消することが可能となっている。
ここで、上記集合板ユニット150とそれに関連する構成とについて補足説明する。集合板ユニット150は、上述した一般入賞口81等を介して遊技盤80の背面側に誘導された遊技球を回収する集合板151を備えている。集合板151は、光透過性を有する(具体的には無色透明な)合成樹脂材料によって形成されており、遊技球の流下経路の目視による確認が容易化されている。これにより、仮に集合板151にて球詰まり等が発生した場合であっても、そのような不都合がどの箇所で生じているかを容易に把握することが可能となっている。
図7に示すように、集合板151は、遊技球を回収する機能が付与された本体部と遊技盤80に対する取付部とが一体成形されてなり、全体として遊技盤80の左右両端部に跨って延びる横長状をなしている。取付部は、遊技盤80の背面に対して平行な板状をなしており、同取付部261が遊技盤80に面当りした状態でネジ止めされることにより、集合板151と遊技盤80とが一体化されている。
集合板151の本体部には遊技盤80の背面に向けて起立する一対の壁部が設けられており、これら各壁部によって遊技球を回収する回収通路が区画形成されている。回収通路は、一般入賞口81、作動入球部84,85及び可変入球装置82,83等の各入球部に対応して複数設けられている。それら各入球部に入賞した遊技球は何れも回収通路を介して遊技盤80の下部に集められる。
遊技盤80の下方には上述した排出通路盤203(図2参照)が配置されており、回収通路によって遊技盤80の下部に集められた遊技球は排出通路に導出され、その後パチンコ機10の外部に排出される、詳しくは島設備に返却される。なお、上述したアウト口89についても同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球は同アウト口89を介して排出通路内に導出され、パチンコ機10の外部に排出される。
各回収通路のうち一般入賞口81及び下側作動入球部84に対応する回収通路の途中位置には、遊技球の通過を検知する検知センサが設けられている。各検知センサ270は、各回収通路の途中位置に設けられた検知領域を遊技球が通過することで、一般入賞口81等の入球部への入球を検知するものであり、具体的には上記検知領域を遊技球が通過した場合に生じる磁場の変化を把握する磁気センサが採用されている。
これら各検知センサは、遊技盤80の背面側に設けられた主制御装置ユニット160(詳しくは主制御装置162)に電気的に接続されており、それら検知センサにて生成された検知信号が同主制御装置162に対して出力される構成となっている。
<右側可変入球装置83>
本実施の形態においては、上述した右側可変入球装置83について特徴的な構成を有している。ここで、図9〜図12に基づき右側可変入球装置83について詳しく説明する。図9(a)は図4における右側可変入球装置83及びその周辺部位を示す部分拡大図、図9(b)は右側可変入球装置83を正面側から見た斜視図、図10は右側可変入球装置83を正面側から見た分解斜視図、図11は右側可変入球装置83を背面側から見た分解斜視図、図12は右側可変入球装置83における通路構成を示す概略図である。なお、図9(b)においては右側大入賞口が開放された状態を示し、図10及び図11においては説明の便宜上、遊技盤80を2点鎖線によって表している。
既に説明したように遊技盤80において可変表示ユニット88の右側となる部位には開口部92が形成されている(図9(a)参照)。開口部92は遊技盤80の厚さ方向に貫通しており、この開口部92に対して遊技機前方から右側可変入球装置83が嵌まっている。このようにして右側可変入球装置83が配置された状態では、当該右側可変入球装置83の前面部を構成するとともに遊技盤80に対する取付部としての機能が付与されたベースユニット300によって同開口部92が覆われている。
ベースユニット300は、開口部92の縁部に沿って形成された枠体301を備えている。枠体301は遊技盤80の前面と対向する略環状の対向板部301aと当該対向板部301aから遊技機後方に起立するとともに遊技盤80の開口部92の内壁面に沿うようにして形成された筒状部301bとを有している(図11参照)。対向板部301aが遊技盤80の前面に対して当接した状態で同遊技盤80にネジ止めされることにより、右側可変入球装置83が遊技盤80に対して一体化されている。
枠体301(詳しく対向板部301a)において当該枠体301の中央開口部分よりも上方となる部位には、右側可変入球装置83に流入した遊技球を遊技盤80の背面側へと誘導する上記右側大入賞口302が形成されている。右側大入賞口302は、枠体301の厚さ方向(遊技機における前後方向)に貫通するようにして形成された入口部302aを有し、枠体301には、同入口部302aを遊技機前方から覆うようにして上記開閉扉303が開閉可能な状態で取り付けられている。また、枠体301には開閉扉303を駆動させる動力源としての可変入球駆動部304(詳しくはソレノイド)が搭載されている。可変入球駆動部304は主制御装置162に対して電気的に接続されており、同主制御装置162からの駆動信号に基づいて励磁/非励磁の切り替えが行われる。また、可変入球駆動部304は励磁/非励磁の切り替えに基づいて変位する可動片を有しており、この可動片によって上記開閉扉303を操作することで、同可動片の変位に追従した開閉扉303の変位(開閉切替)が実現されている。
可変入球駆動部304には、当該可変入球駆動部304における可動片の位置を検知する位置検知センサ311が併設されている(図10参照)。位置検知センサ311は主制御装置162に対して電気的に接続されており、主制御装置162においては当該位置検知センサ311にて生成された検知信号(検知情報)に基づいて可動片の位置すなわち開閉扉303の位置を把握可能となっている。これにより、主制御装置162からの信号に応じて開閉扉303の切り替えが行われたか否かを見極め、誤作動等に起因した不利益の発生を抑制することが可能となっている。
なお、主制御装置162から駆動信号が出力されたにもかかわらず同開閉扉303が正常に動作していない場合や、同駆動信号が出力されていないにもかかわらず開閉扉303が開放されたことが把握された場合には、上記エラー表示ランプ部27やスピーカ部29によってその異常が発生している旨の報知を実行するとともに、異常が発生した旨を示す情報がホールコンピュータに出力される。これにより、ホール管理者等が遊技機に異常が発生している旨を把握することが可能となっている。
図12に示すように、右側大入賞口302は左右に延びる横長状をなしており、その一端部(詳しくは遊技領域PEの中央側となる端部)の奥側(詳しくは右側大入賞口302の出口部分)には同右側大入賞口302へ流入した遊技球を検知する検知センサ305(詳しくは磁気センサ)が配設されている(図11参照)。
検知センサ305は主制御装置162に対して電気的に接続されており、当該検知センサ305からの検知信号(検知情報)が同主制御装置162に出力される。この検知信号に基づいて、主制御装置162にて右側大入賞口302への入賞の有無等を把握することが可能となっている。
ここで、図13に基づき右側大入賞口302について補足説明する。図13は図12のA−A線部分断面図である。
図13に示すように、右側大入賞口302は、入口部302aから流入した遊技球を案内通路320へ導く通路部302bを有している。通路部302bにおける下流部位(右側大入賞口302の出口部302c)に配置された上記検知センサ305には上下に貫通する貫通孔が形成されている。当該貫通孔によって囲まれた領域(検知領域DE0)を遊技球が通過することで同遊技球が検知される構成となっている。
右側大入賞口302の通路部302bは、上記ベースユニット300の壁面部によって囲まれており、ベースユニット300外への露出が抑えられている。これにより、通路部302bの途中位置での遊技球の流入や流出が回避され、更には入口部302a及び出口部302c以外を通じた通路部302bへのアクセスが不可となっている。
図12に戻り、ベースユニット300において上記右側大入賞口302の下方には、枠体301の中央開口部分(すなわち上記筒状部301bの前側開口部)を覆うようにして前側パネル部材306が設けられている。前側パネル部材306は、枠体301に対して固定されており、これら前側パネル部材306及び枠体301によって開口部92が塞がれている。
また、図10及び図11に示すように、枠体301には、前側パネル部材306と所定の隙間(詳しくは遊技盤80の厚さ寸法と同寸法となるように設定された隙間)を隔てて遊技機後方から対向する後側パネル部材307が設けられている。後側パネル部材307は平板状をなしており、同後側パネル部材307によって上記筒状部301bの後側開口部が遊技機後方から塞がれた状態となっている。
前側パネル部材306及び後側パネル部材307は透明性を有する合成樹脂材料によって形成されており、これら両パネル部材306,307を通じてベースユニット300の後方が視認可能となっている。ベースユニット300の後方には、右側大入賞口302へ流入した遊技球であって上記検知センサ305における検知領域DE0を通過した遊技球を集合板151(詳しくは回収通路)へと案内する案内通路320が設けられている。
ここで、図9〜図13に加えて図14を適宜参照し、右側可変入球装置83に形成された案内通路320について説明する。図14は案内通路320の内部を遊技機正面側から見た概略図である。
図14に示すように、案内通路320はベースユニット300と同ベースユニット300の後方に配置された通路形成ユニット330とが組み合わされることにより形成されている。
より具体的には、通路形成ユニット330は、後側パネル部材307と所定の隙間を隔てて対向する平板状の基部331を有している。基部331において後側パネル部材307と対向している部分には、同後側パネル部材307側へ起立する起立壁部332が複数形成されている。これら起立壁部332は遊技球の直径寸法よりも僅かに大きな隙間を隔てて相対向しており、同起立壁部332によって後側パネル部材307側(遊技機前方)に開放された溝部333が形成されている。そして、この溝部333における遊技機前方への開放部分が後側パネル部材307によって塞がれることで、上記案内通路320が形成されている。このようにして案内通路320をパネル部材306,307の後方に配するとともに後側パネル部材307を用いて案内通路320を形成することにより、同案内通路320を通過する遊技球を遊技機前方から視認可能となっている。
図12に示すように、案内通路320は、ベースユニット300の上記右側大入賞口302に連通する上流側通路321を有している。上流側通路321は、横長状をなしており、その一端部に上方に開放された入口部が形成されている。右側大入賞口302の通路部302bを通じて遊技盤80の背面側に到達し、同右側大入賞口302の出口部302cから流出した遊技球は、上記入口部を通じて案内通路320へ流入することとなる。
右側大入賞口302の出口部302cと案内通路320の入口部320aとは僅かな隙間を隔てて上下に対峙しているが、同隙間は遊技球の直径寸法よりも小さく設定されており、当該隙間を通じた遊技球の流入・流出が回避されている。また、この隙間については、図13に示すように、収容ケース353によって囲まれており、右側可変入球装置83外部からの同隙間へのアクセスが妨げられている。
図14に示すように、上流側通路321は、当該上流側通路321の入口部から反対側の端部へ向けて(詳しくは遊技領域PEの中央側へ向けて)下り傾斜している。同入口部から上流側通路321に流入した遊技球は、上記起立壁部332において上流側通路321の底部を形成している部位に沿って流下する。
上流側通路321における下流側の端部には、遊技球の流下方向を変化させるようにして第1下流側通路322が連なっている。第1下流側通路322は鉛直方向に延びており、上流側通路321を経由して当該第1下流側通路322に達した遊技球は、自重により同第1下流側通路322に沿って落下することとなる。
第1下流側通路322の出口部分には、当該第1下流側通路322へ流入した遊技球を検知する(詳しくは同第1下流側通路322における第1検知領域DE1を通過する遊技球を検知可能な)第1検知センサ325が設けられている。
第1検知センサ325には、第1検知領域DE1を遊技球が通過した場合に生じる磁場の変化を把握可能な磁気センサが採用されている。また、第1検知センサ325は主制御装置162に対して電気的に接続されており、当該第1検知センサ325からの検知信号(検知情報)が主制御装置162に入力される。これにより、第1検知領域DE1における遊技球通過の有無、すなわち第1下流側通路322への入球の有無を主制御装置162にて把握することが可能となっている。
また、案内通路320は第1下流側通路322の途中位置から分岐する第2下流側通路323を有している。つまり、案内通路320は、その途中位置にて2条に分岐している。右側大入賞口302へ流入した遊技球はその流入タイミング等に応じてその移動先(振り分け先)が変化する構成となっている。
第1下流側通路322を形成する起立壁部332には、第2下流側通路323への入口部としての開口335が形成されている。この開口335は、第1下流側通路322及び第2下流側通路323の両者に連通しており、同開口335を通じた第1下流側通路322から第2下流側通路323への遊技球の流入が許容されている。
なお、第1下流側通路322と分岐との関係について補足すれば、第1下流側通路322において分岐部分(以下便宜上、中間部322Mと称する)よりも上流側となる部位(以下便宜上、上流部322Uと称する)は鉛直方向に延びており、同上流部322Uの出口部分が下方に開放されている。当該出口部分の下流側への延長上には一方の分岐通路としての下流部322L(第1分岐通路)の入口部分が位置しており、同入口部分は上記上流部322Uの出口部分側(上方)に開放されている。一方、他方の分岐通路としての第2下流側通路323(第2分岐通路)の入口部分(開口335)は、上流部322Uの延長上から外れた位置に配されているとともにその延長方向とは異なる方向、具体的には両下流側通路322,323の並設方向(詳しくは横方向)に開放されている。このため、上流部322Uに沿って落下した遊技球は通常、第1下流側通路322の下流部322Lへと流入し、第2下流側通路323への流入が回避されることとなる。
第2下流側通路323の途中位置には、当該第2下流側通路323へ流入した遊技球を検知する(詳しくは同第2下流側通路323における第2検知領域DE2を通過する遊技球を検知可能な)第2検知センサ326が設けられている。第2検知センサ326には、第2検知領域DE2を遊技球が通過した場合に生じる磁場の変化を把握可能な磁気センサが採用されている。また、第2検知センサ326は、主制御装置162に対して電気的に接続されており、当該第2検知センサ326からの検知信号(検知情報)が主制御装置162に入力される。これにより、第2検知領域DE2における遊技球通過の有無、すなわち第2下流側通路323への遊技球流入の有無を主制御装置162にて把握することが可能となっている。以下説明の便宜上、遊技球の振分部分(案内通路320の分岐部分)よりも上流側に配置された上記検知センサ305を「上流側検知センサ305」、同振分部分よりも下流側に配置された第1検知センサ325及び第2検知センサ326を「下流側第1検知センサ325」及び「下流側第2検知センサ326」と称する。
なお、本実施の形態においては、各検知センサ305,325,326に磁気センサを適用したが、これを変更し、それら各検知センサ305,325,326にフォトセンサを適用することも可能である。特に、右側可変入球装置83については、他の入球部と比較して複数の遊技球が同時に入球する機会が少ないと想定される。故に、複数の遊技球が一体となって検知領域を通過する際の個々の遊技球の検知精度の向上が難しいと想定されるフォトセンサを適用したとしても、それに起因した不都合の発生を好適に抑制できる。詳しくは、下流側の検知センサ325,326については、流入した遊技球の数の把握よりも有利入球部への入球が発生したか否かを把握することが重要である。故に、複数の遊技球が一体となって検知領域を通過した際の個々の遊技球の検知機能が低下したとしても、少なくとも遊技球が通過したという事実が分かるためこれに起因した不利益等の発生は回避される。また、磁気センサと比較してフォトセンサのほうが電波や磁気の影響を受けにくい。そこで、有利入球部に係る検知センサについては特にフォトセンサを適用することで防犯機能の更なる向上が期待できる。因みに、上流側の検知センサ305には賞球に係る機能が付与されている点に鑑みれば、上記変形例を採用する場合には上流側の検知センサ305に磁気センサを適用するとともに下流側の検知センサ325,326のフォトセンサを適用することが好ましい。
ここで、案内通路320の通路構成について補足説明する。案内通路320は、上記右側大入賞口302の通路部302bと同様に、上記ベースユニット300の後側パネル部材307及び通路形成ユニット330によって区画形成されているとともに、収容ケース353によって囲まれており、ベースユニット300外への露出が抑えられている。これにより、案内通路320の途中位置での遊技球の流入や流出が回避され、更には案内通路320の入口部320a及び出口部320b,320c以外を通じた遊技球の通過領域へのアクセスが不可となっている。
また、上述した分岐部分(第1下流側通路322の中間部322M)には、上流側通路321から第1下流側通路322に流入した遊技球を第2下流側通路323へと誘導する誘導状態と同誘導を行わない非誘導状態とに切替可能な切替部材341が設けられている。切替部材341は、非誘導状態においては案内通路320(詳しくは第1下流側通路322)への突出が抑えられており、誘導状態に切り替わることで、同第1下流側通路322を塞ぎ上記第1検知領域DE1への遊技球の到達を不可とする位置へと突出する(図14の2点鎖線参照)。
切替部材341の配置について補足説明すれば、起立壁部332において上記開口335と対向している部分には切替部材341を収容する収容部336が形成されている。収容部336は起立壁部332に形成された開放部337を通じて上記第1下流側通路322と連通している。開放部337は切替部材341の通過を許容する大きさを有しており、同切替部材341が上記非誘導状態である場合には当該切替部材341によって同開放部337が塞がれている。
切替部材341は、当該切替部材341における上流側の端部に設けられた軸部342が通路形成ユニット330の基部331に形成された軸受け部によって軸支されることにより、回動可能な状態で同通路形成ユニット330に取り付けられている。軸部342及び軸受け部については、切替部材341の回動中心軸線が開口335が向く方向及び第1下流側通路322における遊技球の流下方向に対して直交するように、具体的には切替部材341の回動中心軸線が前後方向に延びるようにして形成されている。切替部材341の軸部342(回動基端部)については、開口335と対峙する位置に配されている。切替部材341は第1下流側通路322の下流側へ延びており、その先端部(回動先端部)については、上記開口335よりも下流側に位置している。
切替部材341には、当該切替部材341が誘導状態となっている場合に第1下流側通路322を流下(落下)する遊技球に対して当該第1下流側通路322の下流側から当接することにより同遊技球を第1下流側通路322の上流部322Uからの流れのままに開口335側へと導く機能が付与された誘導傾斜面343が形成されている。誘導傾斜面343は、非誘導状態においては回動基端側(上流側)の凡そ半分が上記開口335と対峙しているとともに、回動先端側(下流側)の凡そ半分が両下流側通路322,323を仕切る「仕切り部」としての起立壁部332Dと対峙している。また、誘導傾斜面343は開口335側への突出が抑えられており、同誘導傾斜面343によって第1下流側通路322(詳しくは中間部322M)の一部が構成されている。これにより、非誘導状態において第1下流側通路322の中間部322Mを通過する遊技球の落下経路のばらつきを誘導傾斜面343によって抑えることが可能となっている。
誘導状態への切替時には上記回動基端部を中心として切替部材341が回動し、これにより、同切替部材341における誘導傾斜面343の回動先端部が起立壁部332Dに対して近づく側に変位することとなる。そして、誘導傾斜面343の回動先端部が起立壁部332Dの上端縁に近接する位置(詳しくは当該上端縁よりも僅かに上位となる位置)に到達することで回動量が最大となり、切替部材341が停止する。かかる状態においては、誘導傾斜面343が上流側通路321の延長上に位置することとなる。
このように誘導状態に切り替った場合には、誘導傾斜面343における回動基端側の端部に対して同誘導傾斜面343における回動先端側の端部が下方に位置し、同誘導傾斜面343が第2下流側通路323の入口部分(開口335)に向けて下り傾斜した状態となる。このため、同誘導状態においては、上流側通路321から第1下流側通路322へ流入した遊技球は、誘導傾斜面343に衝突して同誘導傾斜面343に沿って移動することにより又は開口335側へ反射することにより第2下流側通路323(開口335)へと導かれることとなる。
なお、このように第2下流側通路323へ遊技球を誘導する機能に着目すれば切替部材341を「誘導手段341」と称することも可能である。また、第1下流側通路322の第1検知領域DE1への遊技球の流入を阻止する点に着目すれば、同切替部材341を「シャッタ341」と称することも可能である。
通路形成ユニット330の後方には、切替部材341を案内通路320への突出が抑えられた位置に向けて付勢する付勢部材351と、同付勢部材351の付勢力に抗して切替部材341を突出位置へと移動させるソレノイド式の切替部材用駆動部352と、それら各種構成351,352を収容する収容ケース353とを有してなる駆動ユニット350が設けられている。
切替部材用駆動部352は、主制御装置162に対して電気的に接続されており、同主制御装置162から出力される駆動信号に基づいて励磁/非励磁の切り替えが行われる。また、切替部材用駆動部352は励磁/非励磁の切り替えに基づいて変位する可動片を有しており、この可動片によって上記切替部材341を操作することで、同可動片の変位に追従した切替部材341の変位(切替)が実現されている。
駆動ユニット350には、切替部材用駆動部352における可動片の位置を検知する位置検知センサ354が併設されている(図10等参照)。位置検知センサ354は主制御装置162に対して電気的に接続されており、主制御装置162においては当該位置検知センサ354にて生成された検知信号(検知情報)に基づいて可動片の位置すなわち切替部材341の位置を把握可能となっている。これにより、主制御装置162からの信号に応じて切替部材341の位置切替が行われたか否かを見極め、誤作動等に起因した不利益の発生を抑制することが可能となっている。
なお、主制御装置162から駆動信号が出力されたにもかかわらず切替部材341が正常に動作していない場合や、同駆動信号が出力されていないにもかかわらず切替部材341が動作したことが把握された場合には、上記エラー表示ランプ部27やスピーカ部29によってその異常が発生している旨の報知を実行するとともに、異常が発生した旨を示す情報がホールコンピュータに出力される。これにより、ホール管理者等が遊技機に異常が発生している旨を把握することが可能となっている。
本実施の形態においては、通常は付勢部材の付勢力によって切替部材341が非誘導状態にて保持され、上記右側作動入球部85への入賞に基づく抽選にて特別当たりが発生した場合に切替部材用駆動部352が駆動することで同切替部材341が誘導状態へと切り替る。つまり、第2下流側通路323への遊技球の流入が許容されることとなる。
詳細については後述するが、第2下流側通路323へと流入した遊技球が下流側第2検知センサ326によって検知されると右側作動入球部85への入賞に基づく抽選結果に応じた当たりが確定し、第1下流側通路322へと流入した遊技球が第1検知センサ325によって検知されると右側作動入球部85への入賞に基づく抽選結果に応じた当たりが確定されないままとなる。つまり、案内通路320に流入した遊技球が第1検知領域DE1及び第2検知領域DE2のうちどちらに到達するかによってその後の遊技進行に有利不利の差が生じる構成となっている。
ここで、上記開閉扉303及び切替部材341の動作態様について説明する。開閉扉303は上記右側作動入球部85への入賞に基づく抽選にて特別当たりが発生した場合に可変入球駆動部304が駆動することにより閉鎖状態から開放状態に切り替り、これと同期して切替部材用駆動部352が駆動することで同切替部材341が誘導状態へと切り替る。これに対して、開閉扉303及び切替部材341の初期状態への復帰タイミングについては同タイミングとならないように設定されている。具体的には、先ず切替部材341が非誘導状態に切り替わり、同切替タイミングから所定の期間が経過した後、開閉扉303が閉鎖状態へと切り替る。このため、右側大入賞口302に流入した遊技球は必ずしも第1検知領域DE1及び第2検知領域DE2の一方にのみ到達するのではなく、右側大入賞口302への流入タイミングによって第1検知領域DE1及び第2検知領域DE2のどちらに到達するかが振り分けられる構成となっている。詳しくは、開閉扉303の開放直後に流入した遊技球は第2検知領域DE2へと案内されやすく、開閉扉303の閉鎖直前に流入した遊技球は第1検知領域DE1へと案内されやすくなるように開閉扉303及び切替部材341の動作態様が設定されている。
以上詳述したように案内通路320を流下する遊技球をその途中位置にて有利不利の差が生じるように振り分ける構成においては、仮に案内通路320内(特に分岐部分)にて球詰まり等が発生すると、上述した振分が正常に行われなくなり遊技者や遊技ホールが不利益を被ると懸念される。このような不都合は、切替部材等の可動部の動きに起因して発生しやすいと想定される。この点、本実施の形態においては、切替部材341及びそれに関連する構成を工夫することにより、上記不都合の発生を好適に抑制している。以下、図14に基づき切替部材341の動きと遊技球との関係について説明する。図14においては便宜上、案内通路320に流入した遊技球を2点鎖線によって例示している。なお、切替部材341は通常、非誘導状態(初期状態)→誘導状態→非誘導状態の順に切り替るが、以下の説明においては先ず誘導状態及び同誘導状態→非誘導状態の切り替えについて説明し、その後、非誘導状態→誘導状態の切り替えについて説明する。
切替部材341が誘導状態となっている場合には、当該切替部材341(詳しくは誘導傾斜面343)における回動先端部分は、開口335の下端部(起立壁部332の上端部)と横並びとなる位置に配置されている。誘導傾斜面343と起立壁部332との隙間は、遊技球の直径よりも小さく設定されており、誘導傾斜面343に沿って移動した遊技球B1が切替部材341と起立壁部332との間に嵌まることが好適に回避されている。また、この誘導状態においては、誘導傾斜面343と開口335の上端部との間の隙間が、遊技球の直径寸法よりも大きくなるように設定されており、誘導傾斜面343に沿って移動する遊技球B1が開口335の上端縁と誘導傾斜面343との間に挟まることが回避されている。これにより、誘導状態における案内通路320内での球詰まりの発生が好適に回避されている。
かかる誘導状態から非誘導状態に復帰する場合には、切替部材341が回動することにより当該切替部材341の回動先端部分(下流側の端部)が起立壁部332Dから遠ざかる側へ移動する。この際、切替部材341は誘導状態にて遊技球の流下が不可となっていた領域を通過するようにして変位するため、同切替部材341と案内通路320の通路壁面(例えば開放部337の下端縁)と間に遊技球が存在することは無い。故に、切替部材341の非誘導状態への復帰が、遊技球の噛み込みによって妨げられることが回避される。
次に、切替部材341が非誘導状態から誘導状態に切り替る場合について説明する。切替部材341が非誘導状態から誘導状態に切り替る場合には、同切替部材341の回動に伴って誘導傾斜面343が起立壁部332Dに近づく側へ移動する。誘導傾斜面343と起立壁部332Dとの隙間が徐々に小さくなっている最中に、遊技球B2が開口335横を通過して第1下流側通路322の下流部322Lに到達すると、同遊技球B2が誘導傾斜面343と起立壁部332Dとの間に挟まる(噛み込む)可能性がある。仮にこのような遊技球B2の噛み込み発生すると、切替部材341の誘導状態への切り替えが妨げられることとなる。しかしながら、このように遊技球B2が噛み込んだ場合には、同遊技球B2に後続の遊技球B2を開口335へ誘導する機能が付与されることとなり、切替部材341が誘導状態に切り替っていなくとも開口335へ導かれるべき遊技球は同開口335へと導かれる。つまり、噛み込んだ遊技球B2を先頭とした球詰まり等の発生を回避し、更には案内通路320における遊技球の振分機能の低下を好適に抑制することができる。
但し、このようにして噛み込んだ遊技球B2がいつまでも案内通路320内に残留することは防犯機能向上の観点から好ましくない。詳しくは、既に説明したように、本実施の形態においては案内通路320に流入した遊技球の数と同案内通路320から流出した遊技球の数とを比較することにより、案内通路320における残存遊技球の数を把握することにより、案内通路320内で遊技球を意図的に往復させるといった不正行為等を抑制することが可能となっている。このため、上述の如く遊技球が案内通路320内にて残留し続けることは、防犯機能の信頼性向上の妨げとなり得るため好ましくない。
この点、本実施の形態においては上述の如く切替部材341は遊技球の流下が不可となっていた領域を通過するようにして変位するため、同切替部材341と案内通路320の通路壁面(例えば開放部337の下端縁)と間に遊技球が存在することは無い。つまり、遊技球B2を噛み込んだ状態から切替部材341が非誘導状態に復帰することを妨げるものは無い。このため、切替部材341が非誘導状態に切り替るようにして回動することにより、誘導傾斜面343が起立壁部332から遠ざかる側へ移動する。これにより、誘導傾斜面343と起立壁部332との隙間が拡がり、それら両者によって挟まれていた遊技球B2は、第1下流側通路322の下流部322Lへと流入することとなる。
上述の如く流下が停止されていた遊技球B2は、開口335横を通過し第2下流側通路323への流入の機会を逃しているものであるため、当該遊技球が下流部322Lへ流入することで、遊技者又はホール管理者が不利益を被ることはない。
このように、仮に切替部材341と通路壁面との間に遊技球が噛み込んだとしても、それに起因した球詰まり等の発生を回避可能とすることで、案内通路320における振分機能を好適に担保することができる。
収容ケース353は、通路形成ユニット330側に開放されており、その内部に上記付勢部材351や切替部材用駆動部352等が収容されている。駆動ユニット350は、ベースユニット300に対して通路形成ユニット330と共にネジ止めされ、これにより各ユニット300,330,350が一体化されている。このようにして一体化された状態では、収容ケース353の開放部位が上記通路形成ユニット330(詳しくは基部331)によって覆われた状態となり、右側可変入球装置83外部からの切替部材用駆動部352や切替部材341へのアクセスが困難となる。また、既に説明したように案内通路320についても、ベースユニット300と駆動ユニット350とによって前後に挟まされた状態となることで、右側可変入球装置83の外部への露出が抑えられ、当該案内通路320への不正なアクセスが抑制されている。
収容ケース353の背面側には、遊技機後方に突出させて振動センサ355が取り付けられている。この振動センサ355によって右側可変入球装置83に生じた(加わった)振動を検知することが可能となっている。
上述の如く案内通路320に流入した遊技球が第1検知領域DE1及び第2検知領域DE2のうちどちらに到達するかによってその後の遊技進行に有利不利の差が生じる構成においては、パチンコ機10を叩いたり揺すったりすることで、遊技球の移動先を変化させるといった行為がなされると想定される。この点、本実施の形態においては、上記振動センサ355を右側可変入球装置83に配設することにより、そのような行為が行われた場合には、これを容易に把握することができる。
また、本実施の形態においては、上述した振動等に対する防御機能の他に、磁石等の磁気に対する防御機能が付与されて、パチンコ機10における防犯性の強化が図られている。具体的には、遊技領域PEにおいては遊技球の流下経路に沿うようにして複数の磁気センサが配置されており、これら各磁気センサによって磁石等を用いた不正行為が行われていないかを監視可能となっている。
特に、右側可変入球装置83においては、上述の如く遊技球の入球のタイミング等によって有利不利の差が発生するため、磁石等によって右側大入賞口302への遊技球の流入タイミングや下流側通路322への流入タイミングが調整されることで同遊技球を各下流側通路322,323へと任意に振り分けられることは好ましくない。そこで、上記磁気センサのうち少なくとも1つについては、右側可変入球装置83の周辺に配置され、同右側可変入球装置83周辺での磁石等の使用を監視する構成を採用している。
<パチンコ機10の電気的構成>
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図15のブロック図に基づき説明する。
主制御装置162に設けられた主制御基板601には、MPU602が搭載されている。MPU602には、当該MPU602により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM603と、そのROM603内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM604と、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路、乱数発生器としての各種カウンタ回路などが内蔵された素子である。なお、MPU602が有する機能の一部、例えば、ROM603の機能やRAM604の機能などを別の素子として有する構成としてもよい。
MPU602には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU602の入力側には、主制御装置162に設けられた停電監視基板605、払出制御装置242及び各種検知センサ(例えば入球検知センサや位置検知センサ)などが接続されている。停電監視基板605には電源・発射制御装置243が接続されており、MPU602には停電監視基板605を介して電力が供給される。
上記センサ群を構成する入球検知センサの一例として、一般入賞口81,下側可変入球装置82,右側可変入球装置83,下側作動入球部84,右側作動入球部85及びスルーゲート86などといった入賞対応入球部(払出対応入球部)に設けられた複数の検知センサ(例えば検知センサ305,325,326)が接続されており、主制御装置162のMPU602において各入球部への入賞判定(入球判定)が行われる。MPU602では、下側作動入球部84及び右側作動入球部85への入賞に基づいて大当たりや特別当たりの発生抽選を実行するとともに、スルーゲート86への入賞に基づいてサポート発生抽選を実行する。
また、上記センサ群を構成する位置検知センサの一例として前扉枠14用の開放検知センサ79aや遊技機主部12(内枠13)用の開放検知センサ79bが接続されており、主制御装置162のMPU602においてはこれら各開放検知センサ79a,79bからの検知信号に基づいて開放判定が行われる。更には、右側可変入球装置83における開閉扉303及び切替部材341用の位置検知センサ311,354が接続されており、主制御装置162のMPU602においてはこれら各位置検知センサからの検知信号に基づいて動作判定(誤作動の監視)が行われる。
なお、主制御装置162に接続された上記各種センサについては、遊技機における電源投入時に同主制御装置162により断線の有無が確認され、仮に断線の可能性があると判定された場合にはその旨の報知等が実行される。
MPU602の出力側には、停電監視基板605、払出制御装置242及び報知・演出制御装置143(詳しくは報知・演出制御基板651)が接続されている。払出制御装置242には、例えば、上記入賞対応入球部への入賞判定結果に基づいて賞球コマンドが出力される。この場合、賞球コマンドの出力に際しては、ROM603のコマンド情報記憶エリア625が参照される。そして、一般入賞口81への入賞を特定した場合には、10個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、可変入球装置82,83への入賞を特定した場合には、15個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、下側作動入球部84への入賞を特定した場合には、3個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力され、右側作動入球部85への入賞を特定した場合には、4個の遊技球の払出に対応した賞球コマンドが出力される。
報知・演出制御装置143には、変動用コマンド、種別コマンド、変動終了コマンド、オープニングコマンド及びエンディングコマンドなどの各種コマンドが出力される。この場合、これら各種コマンドの出力に際しては、ROM603のコマンド情報記憶エリア625が参照される。これら各種コマンドの詳細については、後に説明する。なお、上記各コマンドは、所定のバイト数の情報として構成されており、当該所定のバイト数の情報として各種情報が含まれている。
また、MPU602の出力側には、下側可変入球装置82の可変入球駆動部93b、右側可変入球装置83用の可変入球駆動部304、切替部材341用の駆動部352、右側作動入球部85の電動役物91を開閉動作させる電動役物用の駆動部91b、及び主表示ユニット87が接続されている。主制御基板601には各種ドライバ回路が設けられており、当該ドライバ回路を通じてMPU602は各種駆動部の駆動制御を実行する。
つまり、開閉実行モードにおいては下側可変入球装置82の開閉扉93aが開閉されるように、MPU602において可変入球駆動部93bの駆動制御が実行される。また、電動役物91の開放状態当選となった場合には、電動役物91が開閉されるように、MPU602において電動役物用の駆動部91bの駆動制御が実行される。また、各遊技回に際しては、MPU602において主表示部Dの発光制御が実行される。
停電監視基板605は、主制御基板601と電源・発射制御装置243とを中継し、また電源・発射制御装置243から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視する。払出制御装置242は、主制御装置162から入力した賞球コマンドに基づいて、払出装置224により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。
電源・発射制御装置243は、例えば、遊技場等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御基板601や払出制御装置242等に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を所定の電力経路を通じて供給する。また、電源・発射制御装置243は、遊技球発射機構110の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構110(詳しくはソレノイド111)は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
報知・演出制御装置143は、主制御装置162から入力した各種コマンドに基づいて、前扉枠14に設けられた各種ランプ部26〜28やスピーカ部29を駆動制御するとともに、表示制御装置725を制御する報知・演出制御基板651を備えている。
報知・演出制御基板651には演算装置であるMPU661が実装されており、このMPU661には、当該MPU661により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM662と、ワークメモリ等として使用されるRAM663とが設けられている。
表示制御装置725では、報知・演出制御装置143から入力したコマンドに基づいて、図柄表示装置96の表示制御を実行する。この場合に、報知・演出制御装置143では、主制御装置162から入力した各種コマンドに基づいて、図柄表示装置96における図柄の変動表示時間及び最終的に停止表示させる図柄の組み合わせの種類を決定するとともに、リーチ発生の有無及びリーチ演出の内容を決定する。
<各種カウンタについて>
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。
MPU602は遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たりや特別当たりの発生抽選、主表示部Dの表示の設定(すなわち主表示基板310の発光態様の設定)、図柄表示装置96の図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図16に示すように、大当たりや特別当たりの発生の抽選に使用する当たり乱数カウンタC1と、後述する高頻度サポートモードの有無を判定する際に使用する当たり種別カウンタC2と、当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、主表示部Dの下作動口用表示部DL及び右作動口用表示部DR並びに図柄表示装置96における変動表示時間を決定する変動種別カウンタCSとを用いることとしている。さらに、右側作動入球部85の電動役物91を電役開放状態とするか否かの抽選に電動役物開放カウンタC3を用いることとしている。
各カウンタC1〜C3,CINI,CSは、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM604の所定領域に設定された抽選カウンタ用バッファ631に適宜格納される。RAM604には、第1結果表示部用保留エリアRaと、第2結果表示部用保留エリアRbと、実行エリアAEと、総保留数記憶領域とよりなる保留球格納エリア632が設けられている。そして、この保留球格納エリア632に、下側作動入球部84又は右側作動入球部85への遊技球の入賞履歴に合わせて、当たり乱数カウンタC1、当たり種別カウンタC2の各値が時系列的に格納されるようになっている。
各カウンタについて詳しくは、当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜599の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。特に当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0〜599)。当たり乱数カウンタC1は定期的に更新され、遊技球が下側作動入球部84又は右側作動入球部85に入賞したタイミングでRAM604の保留球格納エリア632に格納される。より詳しくは、下側作動入球部84に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の第1結果表示部用保留エリアRaに格納され、右側作動入球部85に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の第2結果表示部用保留エリアRbに格納される。
当たり当選となる乱数の値は、ROM603における当否情報群記憶手段としての当否テーブル記憶エリア621に当否テーブル(当否情報群)として記憶されている。ここで、当否テーブルの内容について説明する。
<当否テーブル>
当否テーブルとしては、各作動入球部84,85に個別に対応させて2種類設定されている。つまり、下側作動入球部84への入賞が発生した場合に参照される下作動口用の当否テーブル(下作動口用当否情報群)と、右側作動入球部85への入賞が発生した場合に参照される右作動口用の当否テーブル(右作動口用当否情報群)とが設定されている。
上記抽選に際して下作動口用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、大当たり当選となる乱数の値(すなわち、当選情報)は「7」及び「307」の2個である。つまり「0〜599」の当たり乱数カウンタC1の値のうち、「7」及び「307」が大当たり結果に対応しており、それ以外が外れ結果に対応している。
一方、上記抽選に際して右作動口用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状況下では、上記下作動口用の当否テーブルと同様に、大当たり当選となる乱数の値(すなわち、当選情報)は「7」及び「307」の2個である。また、「0〜599」の当たり乱数カウンタC1の値のうち「51〜60」,「151〜160」,・・・,「551〜560」が特別当たり結果に対応しており、それ以外が外れ結果に対応している。
ここで、大当たり結果と特別当たり結果と違いについて説明する。各作動入球部84,85への入賞に基づいた抽選により大当たり結果となった場合には、下側可変入球装置82が開閉実行モードへ移行される。一方、同抽選により特別当たり結果となった場合には、直ちに下側可変入球装置82が開閉実行モードへ移行されるのではなく、もう一度別の抽選を行う権利が付与されることとなり、その抽選に当選することで上記大当たり結果の場合と同様に下側可変入球装置82が開閉実行モードへ移行されることとなる。
具体的には、特別当たり結果となった場合には、先ず右側可変入球装置83が開状態に移行される。その際、右側大入賞口302に入賞した遊技球が上記両下流側通路322,323のうち第2下流側通路323に流入することで当たりが確定し、下側可変入球装置82が開閉実行モードに移行される。言い換えれば、特別当たりに当選した場合には、第2下流側通路323への入球を契機として大当たりと同様の結果が遊技者に対して付与される。なお、第2下流側通路323への入球によって当たりが確定する点に着目すれば、同第2下流側通路323を「有利入球部323」と称することも可能である。
次に当たり種別カウンタC2について説明する。当たり種別カウンタC2は、0〜29の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。当たり種別カウンタC2は定期的に更新され、遊技球が下側作動入球部84又は右側作動入球部85に入賞したタイミングでRAM604の保留球格納エリア632に格納される。より詳しくは、下側作動入球部84に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の第1結果表示部用保留エリアRaに格納され、右側作動入球部85に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の第2結果表示部用保留エリアRbに格納される。
当たり種別カウンタC2に対する遊技結果の振分先は、ROM603における振分情報群記憶手段としての振分テーブル記憶エリア622に振分テーブル(振分情報群)として記憶されている。ここで、振分テーブルの内容について説明する。
<振分テーブル>
振分テーブルとしては、各作動入球部84,85に個別に対応させて2種類設定されている。つまり、下側作動入球部84への入賞が発生した場合に参照される下作動口用の振分テーブル(下作動口用振分情報群)と、右側作動入球部85への入賞が発生した場合に参照される右作動口用の振分テーブル(右作動口用振分情報群)とが個別に設定されている。
これら振分テーブルを参照して、開閉実行モード終了後の右側作動入球部85の電動役物91におけるサポートモードの振分が行われる。
右側作動入球部85の電動役物91におけるサポートモードとしては、遊技領域PEに対して同様の態様で遊技球の発射が継続されている状況で比較した場合に、右側作動入球部85の電動役物91が単位時間当たりに開放状態となる頻度が相対的に高低となるように、低頻度サポートモード(低頻度サポート状態又は低頻度ガイド状態)と高頻度サポートモード(高頻度サポート状態又は高頻度ガイド状態)とが設定されている。
具体的には、低頻度サポートモードと高頻度サポートモードとでは、電動役物開放カウンタC3を用いた電動役物開放抽選における電役開放状態当選となる確率は同一(例えば、共に4/5)となっているが、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、電役開放状態当選となった際に電動役物91が開放状態となる回数が多く設定されており、さらに1回の開放時間が長く設定されている。この場合、高頻度サポートモードにおいて電役開放状態当選となり電動役物91の開放状態が複数回発生する場合において、1回の開放状態が終了してから次の開放状態が開始されるまでの閉鎖時間は、1回の開放時間よりも短く設定されている。さらにまた、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で最低限確保される確保時間が短く設定されている。
上記のように高頻度サポートモードでは、低頻度サポートモードよりも右側作動入球部85への入賞が発生する確率が高くなる。換言すれば、低頻度サポートモードでは、右側作動入球部85よりも下側作動入球部84への入賞が発生する確率が高くなるが、高頻度サポートモードでは、下側作動入球部84よりも右側作動入球部85への入賞が発生する確率が高くなる。そして、右側作動入球部85への入賞が発生した場合には、所定個数の遊技球の払出が実行されるため、高頻度サポートモードでは、遊技者は持ち球をあまり減らさないようにしながら遊技を行うことができる。
なお、高頻度サポートモードを低頻度サポートモードよりも単位時間当たりに電役開放状態となる頻度を高くする上での構成は、上記のものに限定されることはなく、例えば電動役物開放抽選における電役開放状態当選となる確率を高くする構成としてもよい。さらには、開放回数を多くする、開放時間を長くする、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で最低限確保される確保時間を短くする(すなわち、スルーゲート用表示部DSにおける1回の変動表示時間を短くする)及び当選確率を高くするのうち、いずれか1条件又は任意の組み合わせの条件を適用することで、低頻度サポートモードに対する高頻度サポートモードの有利性を高めてもよい。
但し、この高頻度サポートモードは、移行後において遊技回数が終了基準回数(具体的には、100回)に達した場合に低頻度サポートモードに移行する。
本パチンコ機10では、大当たり結果又は特別当たり結果となった場合の低頻度サポートモード及び高頻度サポートモードへの振分態様は、下側作動入球部84への入賞に基づいて当たり当選となった場合と、右側作動入球部85への入賞に基づいて当たり当選となった場合とで異なっている。
具体的には、上記振分に際して下作動口用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、高頻度サポートモード当選となる乱数の値(すなわち、当選情報)は「0〜14」の15個である。一方、上記振分に際して右作動口用の振分テーブルが参照されることとなる遊技状況下では、高頻度サポートモード当選となる乱数の値(すなわち、当選情報)は「0〜24」の25個である。つまり、下側作動入球部84への入賞により大当たりに当選した場合には1/2の確率で高頻度サポートモードに振り分けられ、右側作動入球部85への入賞により大当たり又は特別当たりに当選した場合には、5/6の確率で高頻度サポートモードに振り分けられることとなる。
なお、当否抽選において外れ結果となった場合、開閉実行モードに移行することはなく、さらにサポートモードの変更は発生しない。
変動種別カウンタCSは、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCSは、主表示ユニット87の下作動口用表示部DL及び右作動口用表示部DRにおける変動表示時間と、図柄表示装置96における図柄の変動表示時間とをMPU602において決定する上で用いられる。変動種別カウンタCSは、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、下作動口用表示部DL及び右作動口用表示部DRにおける変動表示の開始時及び図柄表示装置96による図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCSのバッファ値が取得される。
電動役物開放カウンタC3は、例えば、0〜249の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。電動役物開放カウンタC3は定期的に更新され、スルーゲート86に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の電役保留エリア633に格納される。そして、所定のタイミングにおいて、その格納された電動役物開放カウンタC3の値によって電動役物91を開放状態に制御するか否かの抽選が行われる。例えば、C3=0〜199であれば、電動役物91を開放状態に制御し、C3=200〜249であれば、電動役物91を開放状態に制御しない。
既に説明したように、MPU602では、少なくとも変動種別カウンタCSのバッファ値を用いて、下作動口用表示部DL及び右作動口用表示部DRにおける変動表示時間が決定されるが、その決定に際してはROM603の変動表示時間テーブル記憶エリアが用いられる。また、MPU602では、実行エリアAEに格納されている当たり乱数カウンタC1の値及び当たり種別カウンタC2の値を用いて、下作動口用表示部DL及び右作動口用表示部DRにおける停止結果が決定されるが、その決定に際してはROM603の停止結果テーブル記憶エリア624が用いられる。
<主制御基板601のMPU602にて実行される各種処理について>
次に、主制御基板601のMPU602により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU602の処理としては大別して、電源投入時に実行されるメイン処理、メイン処理が終了した後に定期的に起動される通常処理と、通常処理に対して定期的に割り込んで起動されるタイマ割込み処理とがある。以下の説明では、はじめにタイマ割込み処理を説明し、その後通常処理、メイン処理を説明する。なお、MPU602では、上記タイマ割込み処理及び通常処理の他に、NMI端子(ノンマスカブル端子)への電断信号の入力により起動され、RAM604の各種フラグ格納エリアにおける電断フラグ格納エリア(電断情報記憶手段)に電断フラグ(電断情報)を格納するNMI割込み処理が実行されるが、同処理についての詳細な説明は省略する。
<タイマ割込み処理>
先ず、タイマ割込み処理について、図17のフローチャートを参照しながら説明する。本処理はMPU602により定期的に(例えば2msec周期で)起動される。
ステップS101では、各種検知センサの読み込み処理を実行する。すなわち、主制御装置162に接続されている各種検知センサの状態を読み込むと共に、同検知センサの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
例えば、右側可変入球装置83に配設された上流側検知センサ305の状態を読み込むとともに同検知センサ305の状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存し、下流側検知センサ325,326の状態を読み込むとともに同検知センサ325,326の状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
その後、ステップS102では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントすると共に、そのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM604の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS103では、当たり乱数カウンタC1、当たり種別カウンタC2及び電動役物開放カウンタC3の更新を実行する。具体的には、当たり乱数カウンタC1、当たり種別カウンタC2及び電動役物開放カウンタC3をそれぞれ1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C3の更新値を、RAM604の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS104では、スルーゲート86への入賞に伴うスルー用の入賞処理を実行する。
<スルー用の入賞処理>
スルー用の入賞処理では、ステップS101における読み込み結果に基づいて遊技球がスルーゲート86に入賞したか否かを判定する。遊技球がスルーゲート86に入賞したと判定した場合には、役物保留記憶数SNが上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判定する。
スルーゲート86に遊技球が入賞していないと判定した場合又は役物保留記憶数SNの値が上限値以上と判定された場合には電動役物開放カウンタC3の値を格納することなく、本入賞処理を終了する。
一方、遊技球がスルーゲート86に入賞し、且つ、役物保留記憶数SN<4であることを条件に、役物保留記憶数SNを1インクリメントする。その後、上記更新した電動役物開放カウンタC3の値をRAM604の電役保留エリア633の空き記憶エリアのうち最初のエリアに格納して、本入賞処理を終了する。
なお、スルー用の入賞処理では、保留数用表示部DHを点灯させるための処理を実行する。役物保留記憶数SNに応じて保留数用表示部DHに対応する発光体が順次点灯されるようになっている。
ステップS104にてスルー用の入賞処理を実行した後は、ステップS105にて、作動入球部84,85への入賞に伴う作動口用の入賞処理を実行する。
<作動口用の入賞処理>
作動口用の入賞処理では、先ず遊技球が下側作動入球部84(下側作動口84a)に入賞(始動入賞)したか否かを下側作動入球部84用の検知センサの検知状態により判定する。遊技球が下側作動口84aに入賞したと判定すると、払出装置224に遊技球を3個払い出させるための賞球コマンドをセットする。
その後、下側作動口84aに遊技球が入賞したことを遊技ホール側の管理制御装置に対して信号出力すべく外部信号設定処理を行い、下側作動入球部用保留エリアRaの保留数記憶領域に格納された値を読み出して当該下側作動入球部用保留エリアRaに保留記憶されている始動保留記憶数をセットする(以下、下側作動入球部用保留記憶数ともいう)。
このように変更となった始動保留記憶数に対応させて上記主表示部Dの下作動保留数表示部HLの点灯処理を実行する。具体的には、下作動保留数表示部HLにおいて上下に並べて配置された4つのLEDのうち現時点での入賞数に対応する数のLEDを点灯させる。その後、当たり乱数カウンタC1、当たり種別カウンタC2及び電動役物開放カウンタC3の各値を格納する情報取得処理を行い、本入賞処理を終了する。
一方、遊技球が下側作動入球部84に入賞していないと判定した場合には、遊技球が右側作動入球部85(右側作動口85a)に入賞(始動入賞)したか否かを右側作動入球部85(右側作動口85a)用の検知センサの検知状態により判定する。遊技球が右側作動口85aに入賞したと判定すると、払出装置224に遊技球を4個払い出させるための賞球コマンドをセットする。
その後、右側作動口85aに遊技球が入賞したことを遊技ホール側の管理制御装置に対して信号出力すべく外部信号設定処理を行い、右側作動入球部用保留エリアRbの保留数記憶領域に格納された値を読み出して当該右側作動入球部用保留エリアRbに保留記憶されている始動保留記憶数をセットする(以下、右側作動入球部用保留記憶数ともいう)。
このように変更となった始動保留記憶数に対応させて上記主表示部Dの右作動保留数表示部HRの点灯処理を実行する。具体的には、右作動保留数表示部HRにおいて上下に並べて配置された4つのLEDのうち現時点での入賞数に対応する数のLEDを点灯させる。その後、上述した情報取得処理と同様の処理を行い、本入賞処理を終了する。
一方、下側作動口84a,右側作動口85aのいずれにも遊技球が入賞しなかった場合には、そのまま本入賞処理を終了する。なお、本作動口用の入賞処理にてセットした賞球コマンドは、後述する通常処理の外部出力処理S201にて払出制御装置242に対して送信される。
ステップS105にて作動口用の入賞処理を実行した後は、ステップS106にて、右側大入賞口用の入賞処理を実行した後に、本タイマ割込み処理を終了する。
<右側大入賞口用の入賞処理>
本実施の形態における右側可変入球装置83については通常は入球を不可とする閉状態となっており、特別当たり発生時に入球を許容する開状態に切り替る構成となっている。詳細については後述するが、閉状態→開状態→閉状態の切り替えによって入球が発生すると想定される期間が予め設定されており、同期間内の入球に対しては遊技球の払い出し(賞球)を行うとともに、同期間外の入球に対しては遊技球の払い出しを行わない構成となっている。つまり、右側可変入球装置83においては賞球の可否を決定する有効期間が設定されている。
右側大入賞口用の入賞処理では、先ず右側可変入球装置83(右側大入賞口302)への入賞に基づく遊技球の払い出し(賞球)が有効となる期間中であるか否かを判定する。有効期間中である場合には、上流側検知センサ305からの検知信号に基づく入球判定結果(ステップS101における判定結果)に基づいて入賞の有無を判定する。遊技球が右側可変入球装置83(右側大入賞口302)に入賞したと判定すると、払出装置224に遊技球を10個払い出させるための賞球コマンドをセットする。なお、右側大入賞口用の入賞処理にてセットした賞球コマンドは、後述する通常処理の外部出力処理S201にて払出制御装置242に対して送信される。
一方、有効期間中でないと判定した場合及び有効期間中であっても入賞が発生していないと判定した場合には、そのまま右側可変入球部の入賞処理を終了する。
<通常処理>
次に、通常処理の流れを図18のフローチャートを参照しながら説明する。通常処理は電源投入に伴い起動されるメイン処理が実行された後に開始される処理であり、当該通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS201〜S207の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS210,S211のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
通常処理において、ステップS201では、タイマ割込み処理又は前回の通常処理で設定したコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する。具体的には、賞球コマンドの有無を判定し、賞球コマンドが設定されていればそれを払出制御装置242に対して送信する。また、所定の演出用コマンドや報知用コマンドが設定されている場合にはそれを報知・演出制御装置143に対して送信する。ホールコンピュータへの情報出力用のフラグが格納されている場合にはそれら各フラグに応じた情報を外部端子板213を経由してホールコンピュータへ送信する。
次に、ステップS202では、磁気センサ、開放検知センサ79a,79b、各種検知センサ305,325,326等の各種監視センサからの信号に基づいて遊技機に異常が発生していないかの異常監視処理を実行する。この異常監視処理に関しての詳細な説明は後述する。
次に、ステップS203では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCSを1インクリメントすると共に、カウンタ値が最大値に達した際にはカウンタ値を0にクリアする。そして、変動種別カウンタCSの更新値を、RAM604の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS204では、各遊技回における遊技を制御するための遊技回制御処理を実行する。この遊技回制御処理では、大当たりや特別当たりの当たり判定、図柄表示装置96による図柄の変動表示の設定、変動表示を行う側の各表示部DL,DRの表示制御などを行う。
その後、ステップS205では、遊技状態を移行させるための遊技状態移行処理を実行する。詳細は後述するが、この遊技状態移行処理により、遊技状態が開閉実行モードや高頻度サポートモードなどに移行する。
ステップS206では、右側作動入球部85に設けられた電動役物91を駆動制御するための電役サポート用処理を実行する。この電役サポート用処理では、電動役物91を開状態とするか否かの判定、スルーゲート用表示部DSの表示制御などを行う。
その後、ステップS207では、遊技球発射制御処理を実行する。遊技球発射制御処理では、電源・発射制御装置243から発射許可信号を入力していること及び異常等の発生に基づく発射規制の実行中でないことを条件として、所定期間(例えば、0.6sec)に1回、遊技球発射機構110のソレノイド111を励磁する。これにより、遊技球が遊技領域に向けて打ち出される。
ステップS201〜ステップS207の処理を実行した後は、ステップS208に進み、RAM604の各種フラグ格納エリア635に停電フラグが格納されているか否かを判定する。停電フラグは、停電監視基板605において停電の発生が確認され当該停電監視基板605からMPU602のNMI端子に停電信号が入力されることにより格納され、次回のメイン処理にて消去されるフラグである。
停電フラグが格納されていない場合は、続くステップS209にて次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4msec)が経過したか否かを判定する。そして、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び変動種別カウンタCSの更新を繰り返し実行する。
つまり、ステップS210では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM604の該当するエリアに格納する。また、ステップS211では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCSを1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする。そして、変動種別カウンタCSの更新値を、RAM604の該当するエリアに格納する。
ここで、ステップS201〜S207の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(すなわち、当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCSについてもランダムに更新することができる。
ステップS208の説明に戻り、同ステップS208にて肯定判定をした場合、すなわち停電フラグが格納されている場合には、パチンコ機10への電力の供給が停止した(電源遮断が発生した)ことになるので、ステップS212以降の電断時処理を実行する。つまり、ステップS212では、タイマ割込み処理の発生を禁止し、続くステップS213にて各種制御装置143,242,243等に停電コマンドを出力する。停電コマンドを受けた各制御装置143,242,243等では停電用の処理が実行される。その後、ステップS214にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS215にてRAM604のアクセスを禁止した後に、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
<遊技状態移行処理>
次に、ステップS205の遊技状態移行処理を図19のフローチャートを参照して説明する。
先ず、ステップS301では、大当たり結果又は特別当たり結果に対応した開閉実行モード中か否かを判定する。大当たり結果又は特別当たり結果に対応した開閉実行モード中でない場合には、ステップS302に進む。ステップS302では、特別当たり結果に対応した抽選結果確定モード中か否かを判定する。つまり、右側作動入球部85への入賞に基づく抽選結果が特別当たり結果となり、右側可変入球装置83への遊技球の流入が許容されるモードへ切り替わっているか否かを判定する。
ステップS301及びステップS302のそれぞれでは、各種フラグ格納エリア635に設けられた開閉実行モードフラグ格納エリア及び抽選結果確定モードフラグ格納エリアに対応したフラグがセットされているか否かによって判定する。なお、抽選結果確定モードフラグは、右側作動入球部85への入賞に基づく抽選を行った際に、特別当たりに当選することで上記フラグ格納エリアに格納される。
ステップS302にて特別当たり結果に対応した抽選結果確定モード中であると判定した場合には、ステップS303の特別当たり用の移行処理に進む。
<特別当たり用の移行処理>
ここで、図20のフローチャートを参照して特別当たり用の移行処理について説明する。
特別当たり用の移行処理においては、先ずステップS401にてRAM604の各種カウンタエリア634に格納されたタイマカウンタT1の値が「0」であるか否かを判定する。タイマカウンタT1は、右側可変入球装置83における動作期間(開放期間)及び上述した入賞有効期間等の計測に用いられるカウンタである。
ステップS401にて肯定判定をした場合、すなわち抽選結果確定モードへの移行タイミングである場合には、ステップS402に進み、切替部材341を非誘導状態から誘導状態に切り替える。具体的には、駆動部352への駆動信号の出力を開始して同駆動部352を励磁することで付勢部材351の付勢力に抗して駆動部352の可動片を変位させ、切替部材341を非誘導状態から誘導状態に切り替える。これにより、第1下流側通路322の下流部322Lへの遊技球の流入を不可とするとともに、第2下流側通路323へ遊技球を誘導可能な状態とする。
ステップS402の駆動処理を実行した後は、ステップS403に進み、上記タイマカウンタT1に「1750:(7secに相当)」をセットする。タイマカウンタT1の設定処理を完了した後は、ステップS404に進み、右側可変入球装置83の開放処理を実行する。右側可変入球装置の開放処理では、右側大入賞口302を開放すべく可変入球駆動部304に駆動信号を出力し、同可変入球駆動部304を励磁状態とする。これにより、右側大入賞口302を覆っている開閉扉303を閉状態から開状態に切り替える。なお、ステップS404の処理においては、外部出力処理(ステップS501)にて報知・演出制御装置143に送信される確定モード開始コマンドをセットする。報知・演出制御装置143では、受信した確定モード開始コマンドに基づいて、特別当たり結果に対応した抽選結果確定実行モードにおいて右側可変入球装置83が開放中である場合の演出を決定し、その決定した演出の内容が実行されるように各種機器を制御する。ステップS404の開放処理を実行した後は、本特別当たり用の移行処理を終了する。
一方、ステップS401にて否定判定した場合、すなわち、タイマカウンタT1の値が「0」でない場合には、ステップS405に進み、当該タイマカウンタT1の更新処理を実行する。具体的には、タイマカウンタT1の値を「1」減算する。
ステップS405にてタイマカウンタT1の更新処理を実行した後は、続くステップS406にてタイマカウンタT1の値が「1500」であるか否かを判定する。ステップS406にて肯定判定をした場合には、ステップS407に進み、切替部材復帰処理を実行する。具体的には、切替部材341の駆動部352への駆動信号の出力を停止する。これにより、駆動部352が励磁状態から非励磁状態に切り替り、切替部材341が付勢部材351の付勢力によって非誘導状態に復帰する。これにより、第1下流側通路322の下流部322Lへの遊技球の流入が許容され、第2下流側通路323への遊技球の流入が不可となり、この後のタイミングで右側可変入球装置83に流入した遊技球は第1下流側通路322の下流部322Lへ導かれることとなる。
つまり、本特別当たり用の移行処理においては、ステップS401にて否定判定をする度にタイマカウンタT1の値が「1」ずつ減算され、抽選結果確定モードの移行タイミング(すなわち開閉扉303の開放タイミング)から凡そ1secが経過したタイミングにて第2下流側通路323への遊技球の誘導が不可となる。
一方、ステップS406にて否定判定をした場合には、ステップS408に進み、タイマカウンタT1の値が「1250」であるか否かを判定する。ステップS408にて肯定判定をした場合には、ステップS409に進み、右側可変入球装置83の閉鎖処理を実行する。具体的には、右側大入賞口302を閉鎖すべく可変入球駆動部304に出力している駆動信号を停止し、同可変入球駆動部304を非励磁状態とする。これにより、開閉扉303を開状態から閉状態に切り替わり、それ以降の右側可変入球装置83(右側大入賞口302)への入球が不可となる。
ステップS408にて否定判定をした場合には、ステップS410に進み、タイマカウンタT1の値が「0」であるか否かを判定する。すなわち、右側可変入球装置83の閉鎖タイミングから5secが経過したか否かを判定する。なお、タイマカウンタT1が「1750」から減算されて「0」になるまでの期間が上記有利入球部への入球を許容する特定有効期間となっており、これ以外のタイミングでの有利入球部への入球については無効となる。
ステップS410にて否定判定をした場合又はステップS407,S409の各処理を実行した後は、未だ有利入球部323への遊技球の入賞が有効な期間となっている期間中であり、ステップS411にて有利入球部323への入賞が発生したか否かを判定する。具体的には、上述したタイマ割込み処理におけるステップS101の読み込み処理にて右側可変入球装置83に設けられた下流側第2検知センサ326が入球を検知していたか否かを判定する。
ステップS411にて否定判定した場合、すなわち有利入球部323への入賞が発生していない場合には、そのまま本特別当たり用の移行処理を終了する。一方、ステップS411にて肯定判定をした場合、すなわち有利入球部323への入賞有りと判定した場合、ステップS412にて下側可変入球装置82に対応した開閉実行モード設定処理を実行した後、本特別当たり用の移行処理を終了する。
一方、ステップS410にて肯定判定をした場合には、ステップS413にて抽選結果確定モードフラグを消去する。これにより、次回の通常処理実行時には、遊技状態移行処理におけるステップS302にて否定判定され、本特別当たり用の移行処理が、次回の抽選結果確定モードフラグ格納時までキャンセルされることとなる。
ステップS413の処理を実行した後は、続くステップS414にてRAM604の各種フラグ格納エリア635に特定有効期間終了フラグを格納し、本特別当たり用の移行処理を終了する。特定有効期間終了フラグは、後述する残存球監視処理にて参照され、同特定有効期間終了フラグに基づいて残存球監視処理が終了することとなる。
なお、ステップS410にて、肯定判定をした場合には、外部出力処理(ステップS201)にて報知・演出制御装置143に送信される確定モード終了コマンドをセットする。報知・演出制御装置143では、受信した確定モード終了コマンドに基づいて、その決定した演出の内容が実行されるように各種機器を制御する。具体的には、本処理が実行された場合、特別当たり結果に対応した抽選結果確定モードが終了したことを意味するため、特別当たり結果に対応した抽選結果確定モードの終了に対応した演出が実行される。例えば「リトライ!」や「ラッキー!」等のメッセージを図柄表示装置96にて表示する。
遊技状態移行処理(図19)の説明に戻り、ステップS302にて抽選結果確定モード中でないと判定した場合にはステップS304に進む。ステップS304では、1の遊技回の各表示部DL,DRにおける変動表示が終了したタイミングか否かを判定する。変動表示が終了したタイミングでない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
変動表示の終了タイミング、すなわち表示部DL,DRが変動表示から停止表示に切り替ったタイミングである場合には、ステップS305にて開閉実行モードへの移行が規制されているか否かを判定する。具体的には、RAM604の各種フラグ格納エリア635に移行規制フラグが格納されているか否かを判定する。移行規制フラグは、後述する残存球監視処理にて、異常の発生を確認した場合に格納されるフラグであり、その詳細については後述する。
ステップS305にて肯定判定をした場合、すなわち開閉実行モードへの移行が規制されている場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。一方、ステップS305にて否定判定をした場合には、ステップS306に進み、今回の遊技回の遊技結果が開閉実行モードへの移行に対応したものであるか否かを判定する。具体的には、RAM604の各種フラグ格納エリア635に、開閉実行モードフラグが格納されているか否かを判定する。同フラグが格納されていない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
上記開閉実行モードフラグが格納されている場合には、ステップS307にて第1ラウンドカウンタエリアRC1に、「15」をセットする。第1ラウンドカウンタエリアRC1は、下側可変入球装置82の下側大入賞口82aが開放された回数をカウントするためのカウンタエリアである。
続くステップS308においては、今回の当たり結果が高頻度サポートモードに対応しているか否かを判定し、同高頻度サポートモードに対応している場合には、RAM604の各種フラグ格納エリア635に高頻度サポートモードフラグをセットする。
ステップS308の処理を実行した後は、ステップS309にてオープニングコマンドを設定する。この設定されたオープニングコマンドは、通常処理(図18)におけるステップS201にて、報知・演出制御装置143に送信される。このオープニングコマンドには、高頻度入賞モード又は低頻度入賞モードのいずれであるかの情報が含まれる。報知・演出制御装置143では、受信したオープニングコマンドに基づいて、開閉実行モードに対応した演出の内容を決定し、その決定した演出の内容が実行されるように各種機器を制御する。また、当該オープニングコマンドは、報知・演出制御装置143から表示制御装置725に送信され、表示制御装置725では当該オープニングコマンドを受信することにより、今回の開閉実行モードに対応した表示(例えば、動画表示)が行われるように図柄表示装置96を表示制御する。ステップS309の処理を実行した後に、本遊技状態移行処理を終了する。
ステップS301にて大当たり結果又は特別当たり結果に対応した開閉実行モード中であると判定した場合、ステップS310〜S315の大当たり結果又は特別当たり結果に対応した開閉実行モード用の処理を実行する。
先ず、ステップS310では、オープニング用の待機時間が経過したか否かを判定する。オープニング用の待機時間が経過していない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。オープニング用の待機時間が経過している場合には、ステップS311にて下側可変入賞装置開閉処理を実行する。
下側可変入賞装置開閉処理においては、下側大入賞口82aが閉鎖中である場合に、第1ラウンドカウンタエリアRC1が「1」以上であることを条件として、可変入球駆動部93bを駆動状態とすることで下側大入賞口82aを開放させる。また、下側大入賞口82aが開放中である場合には、当該下側大入賞口82aの開放から開放限度時間が経過していること又は開放限度個数が入賞していることを条件として、可変入球駆動部93bの駆動状態を停止し、下側大入賞口82aを閉鎖させる。
ステップS311にて下側可変入賞装置開閉処理を実行した後に、続くステップS312にて第1ラウンドカウンタエリアRC1の値が「0」か否かを判定する。第1ラウンドカウンタエリアRC1の値が「0」でない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。一方、第1ラウンドカウンタエリアRC1の値が「0」である場合には、ステップS313にて開閉実行モードフラグをクリアする。
ステップS313にて開閉実行モードフラグをクリアしたらステップS314に進み、高頻度サポートモードフラグがセットされているか否かを判定する。高頻度サポートモードフラグがセットされていない場合、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。高頻度サポートモードフラグがセットされている場合、ステップS315に進み、RAM604に設けられた遊技回数カウンタに「100」をセットして本遊技状態移行処理を終了する。遊技回数カウンタに「100」がセットされることにより、高頻度サポートモードである遊技状態に移行する。但し、高頻度サポートモードは遊技回が100回継続した場合に終了し、その後、サポートモードが低頻度サポートモードである通常遊技状態に移行する。なお、高頻度サポート継続回数(制限遊技回数)は、100回に限定されることはなく、10回、20回、30回といった1回以上100回未満であってもよく、101回以上であってもよい。
ここで、遊技球を用いて遊技を行うタイプの遊技機(パチンコ機10)においては、磁石、電波照射機、セロハン等の各種不正具を利用して特典を不正に享受しようとする行為(不正行為)が行われる場合がある。また、パチンコ機10が故障等の要因により正常に動作しない場合には遊技者や遊技ホールが多大な損失を被る可能性がある。近年では、これらの事情等に鑑みて、通常では発生することのない事象の発生(異常の発生)を監視する機能を遊技機に付与し、上記各種不都合の発生を抑える試みがなされている。
例えば図21に示すように、遊技ホールの島設備に配設された各遊技機10A〜10Zと遊技ホールに設けられたホールコンピュータHCとを電気的に接続し、遊技機10A〜10Zにて何らかの異常が発生した場合には、遊技機10A〜10Zのうち異常発生の対象となった遊技機の主制御装置162(詳しくは図18の外部出力処理)から外部端子板213を通じてホールコンピュータHCにセキュリティ信号が出力される構成が採用されている。ホールコンピュータHCでは受信したセキュリティ信号に基づいて遊技機10A〜10Zのうちどの遊技機にて異常が発生しているかを特定することが可能となっている。つまり、遊技機10A〜10ZとホールコンピュータHCとが一体となってセキュリティシステムを構築している。
本実施の形態においては、この異常監視機能及びそれに関連する構成が特徴的なものとなっている。そこで以下、図21(b)のブロック図を参照して、先ずホールコンピュータHCの電気的構成について例示し、その後、パチンコ機10における異常監視機能について説明する。なお、ホールコンピュータHCの仕様等については遊技ホールごとに異なっているため、ここではホールコンピュータHCに設けられた基本構成について補足説明する。
図21(b)に示すように、ホールコンピュータHCのMPUには、各種制御プログラム等が記憶されたROMと、遊技の進行状況等の各種データを記憶するRAMとが設けられている。RAMには各遊技機に1対1で対応させて設けられた記憶領域があり、当該記憶領域には遊技機からセキュリティ信号を受信した場合にその受信回数を記憶するセキュリティ信号受信回数カウンタと、セキュリティ信号の受信頻度を見極める際に参照されるセキュリティ信号用タイマカウンタとが格納されている。なお、各カウンタの値は遊技ホールの営業終了後等にホールコンピュータHCの電源がOFFとなった場合に「0」クリアされる。
ホールコンピュータHCのMPUは、セキュリティ信号の受信回数及びその受信頻度に基づいて、遊技台の確認を促す指令(警告又は異常報知)を出すように構成されている。ここで、図22(a)のフローチャートを参照し、ホールコンピュータHCのMPUにて実行される異常報知用の処理について説明する。異常報知用処理は、ホールコンピュータHCのMPUにて定期的に実行される処理の一環として実行される処理である。
<ホールコンピュータHCにて実行される異常報知用処理>
異常報知用処理においては、先ずステップS501にて接続された遊技機10A〜10Zからセキュリティ信号を受信しているか否かを判定する。ステップS501にて否定判定をした場合にはそのまま本異常報知用処理を終了する。
ステップS501にて肯定判定をした場合、すなわちセキュリティ信号を受信していると判定した場合には、ステップS502に進む。ステップS502では、上述したRAMの記憶領域にセキュリティ信号を受信した旨を記憶する処理を実行する。具体的には、図21(b)に示した各セキュリティ信号用受信回数カウンタのうちセキュリティ信号の発信源となった遊技機10に対応するカウンタの値を更新する(1加算する)。
その後、ステップS503に進み、第1種監視条件との比較処理を行う。本実施の形態に示すホールコンピュータHCのMPUでは、異常報知の可否を2つの異なる監視条件に基づいてそれぞれ判定している。上述した第1種監視条件は、ホールコンピュータHCのROMに予め記憶されており、セキュリティ信号の総受信回数に関連している。具体的には、図22(b)の概略図に示すように総受信回数の上限値として第1閾値が設定されており、セキュリティ信号の総受信回数(総エラー検出回数)がこの第1閾値に達することで第1種監視条件が成立することとなる。ステップS503ではセキュリティ信号の総受信回数が第1閾値に達しているか否かを対比する。
ステップS503における対比の結果、第1種監視条件が成立していると判定した場合には、ステップS504→ステップS505に進み報知実行処理を行う。報知実行処理を行うことにより、ホール管理者等の作業者に遊技機10A〜10Zのうち異常が多発している遊技機が教示され、当該遊技機を確認するように指令を出す。具体的には、トランシーバ等の通信手段を用いてホール管理者等の作業者に、確認すべき遊技機の番号等が教示される。
図22(b)の例では遊技機10Cにおけるセキュリティ信号の受信回数が第1閾値に到達しているため、ホール管理者に対して遊技機10Cにて異常が多発している旨が教示され、当該遊技機10Cを確認するように指令が出される。
報知実行処理に基づいて遊技機の確認が促された後は、遊技機の確認作業が行われたことを契機として確認対象となった遊技機に係るセキュリティ信号受信回数カウンタの値をクリアする。
なお、当該機能を実現する上では、作業者からオペレータ等に確認作業を行った旨の報告がなされた場合に、オペレータがホールコンピュータHCを操作することでセキュリティ信号受信回数カウンタの値がクリアされる構成(手動)としてもよいし、遊技機からの確認済みの信号が入力されることに基づいてカウンタの値がクリアされる構成(自動)としてもよい。また、必ずしも確認作業が行われたことに条件としてカウンタの値がクリアされる必要はなく、例えば上記指令を出力したことを条件としてカウンタの値がクリアされる構成とすることも可能である。
一方、ステップS504にて否定判定をした場合にはステップS506に進み、第2種監視条件との対比処理を行う。第2種監視条件は、セキュリティ信号の受信頻度に関連している。具体的には図22(c)の概略図に示すようにROMには第2種監視条件に対応する第2閾値が設定されており、セキュリティ信号の受信頻度がこの第2閾値に達しているか否かを対比する。つまり、セキュリティ信号の総受信回数が上記第1閾値に達していない場合であっても、セキュリティ信号の受信頻度が過度に高くなった場合には、第2閾値に達することで報知開始条件が成立することとなる。
本実施の形態に例示しているホールコンピュータHCのRAMには遊技機毎にセキュリティ信号用タイマカウンタが設けられている。このタイマカウンタは、セキュリティ信号を受信するごとに上限値(例えば60secに相当)がセットされ、本異常報知処理が実行される都度減算される構成となっている。仮に、減算途中で再度セキュリティ信号を受信した場合には上記上限値に復帰する一方、セキュリティ信号を当該タイマカウンタによって規定された期間に亘って受信しなかった場合にはタイマカウンタが減算されて「0」となる。そして、タイマカウンタの値が「0」になることなくセキュリティ信号の受信が継続されて、その継続回数が第2閾値に達すると報知開始条件が成立することとなる。ステップS507にて肯定判定をした場合には、ステップS505にて報知実行処理を行い、本異常報知用処理を終了する。
図22(c)に示す具体例においては、遊技機10Aが所定の期間中に頻発してセキュリティ信号を受信しており、第2閾値に到達している。このため、ステップS505においては、ホール管理者に対して遊技機10Aにて異常が頻発している旨が教示され、当該遊技機10Aを確認するように指令が出される。
本実施の形態においては、遊技に支障を来たすおそれのある異常については異常発生時に遊技機自体にて即時異常報知を行う一方、遊技に支障を来たすおそれが低い又は無い異常については異常発生時の即時異常報知が回避され、上述したホール管理者等の作業者による確認作業が行われた場合に異常報知(詳しくはどの部分に係る異常が発生したかの報知)を行う構成となっている。なお、異常監視の対象については多岐に亘っているため以下の説明ではその一部を例示しているにすぎず、異常監視の対象はこれらに限定されるものではない。
ここで、図23〜図26を参照して、遊技機にて実行される異常報知用の処理について説明する。図23は主制御装置162のMPU602にて実行される異常監視処理を示すのフローチャート、図24〜図26は各種異常発生時のセキュリティ信号出力の様子を示すタイミングチャートである。
主制御装置162のMPU602においては上記通常処理の一環としてステップS202(図18参照)の異常監視処理が実行される。
図23に示すように、異常監視処理においては先ずステップS601にて磁気を検出したか否かを判定する。具体的には、遊技盤80の遊技領域PEには作動入球部84等の各種入球部の周辺に磁気センサ401が配設されている。これら磁気センサ401は主制御装置162に接続されており、主制御装置162のMPU602では磁気センサ401からの検知信号に基づいてパチンコ機10(特に遊技領域PE)に対して磁気の照射が行われたか否かを判定する。
ステップS601にて肯定判定をした場合にはステップS602に進む。ステップS602では報知・演出制御装置143に磁気を検出したことを伝えるべく磁気検出コマンドをセットする。ここでセットされた磁気検出コマンドは、通常処理の外部出力処理(図18参照)にて報知・演出制御装置143に送信される。報知・演出制御装置143は、当該磁気検出コマンドを受信することにより、磁気が検出されたことを把握する。
ステップS602の処理を実行した後は、ステップS603に進みセキュリティ信号の出力用処理を実行する。これにより、通常処理の外部出力処理(図18参照)にてホールコンピュータHCに上記セキュリティ信号が出力されることとなる。つまり、図24(a)に示すように、磁気センサ401が反応した場合には、それが実際に磁気を検出したことに起因するもの / ノイズ等の誤検出に起因するものに関わらず、セキュリティ信号及び磁気検出コマンドが送信されることとなる。
ステップS601にて否定判定をした場合には、ステップS604に進む。ステップS604では有効期間外に下側可変入球装置82への入球が発生したか否かを判定する。既に説明したように、開閉実行モードとなった場合には、下側可変入球装置82が開放されて遊技球の入球が許容されることとなる。ここで、下側可変入球装置82に設けられた入球検知センサによる遊技球検出の有効期間については下側可変入球装置82の開放期間に合わせて設定されている。具体的には、下側大入賞口82aと入球検知センサとは離れているため当該下側大入賞口82aに入った遊技球が入球検知センサに直ちに到達するとは限らず球通路の構造に応じてある程度のタイムラグが発生するため、下側可変入球装置82が開→閉に切り替ったタイミングから所定の猶予期間が経過するまでが有効期間として設定されている。当該有効期間外に入球した遊技球については遊技球の払い出しは行われるものの、通常では発生し得ない異常な入球であると判定されることとなる。
ステップS604にて肯定判定をした場合には、ステップS605に進む。ステップS605では報知・演出制御装置143に磁気を検出したことを伝えるべく期間外入球検出コマンドをセットする。ここでセットされた期間外入球検出コマンドは、通常処理の外部出力処理(図18参照)にて報知・演出制御装置143に送信される。報知・演出制御装置143は、当該期間外入球検出コマンドを受信することにより、有効期間外に下側可変入球装置82への入球が検出されたことを把握する。その後、ステップS603に進みセキュリティ信号出力用処理を実行した後に本異常監視処理を終了する。
例えば、図24(b)に示すように下側可変入球装置82が開放される前の期間(有効期間外)にて当該下側可変入球装置82への入球が検知された場合には、遊技球が入球検知センサによって検知された都度、セキュリティ信号が出力されることとなる。セキュリティ信号の出力にはホールコンピュータHC側での信号受信精度等のばらつきに配慮して一定のインターバルが設定されている。上記入球が連続して発生する等して当該インターバル間にて複数の入球が確認された場合には、セキュリティ信号の送信が上記インターバル期間に合わせて遅延されることとなる。
なお、本実施の形態においては有効期間外に入球が発生した場合であっても遊技球の払い出しが行われる構成としたが、これに限定されるものではなく、有効期間外にて入球が発生した場合には遊技球の払い出しが規制される構成とすることも可能である。
ステップS604の説明に戻り、当該ステップS604にて否定判定をした場合には、ステップS606に進む。ステップS606では電波を検出したか否かを判定する。具体的には、遊技盤80の遊技領域PEには作動入球部84等の各種入球部の周辺に電波センサ402が配設されている。これら電波センサ402は主制御装置162に接続されており、主制御装置162のMPU602では電波センサ402からの検知信号に基づいてパチンコ機10(特に遊技領域PE)に対して電波の照射が行われたか否かを判定する。
ステップS606にて肯定判定をした場合にはステップS607に進む。ステップS607では報知・演出制御装置143に電波を検出したことを伝えるべく電波検出コマンドをセットする。ここでセットされた電波検出コマンドは、通常処理の外部出力処理(図18参照)にて報知・演出制御装置143に送信される。報知・演出制御装置143は、当該電波検出コマンドを受信することにより、電波が検出されたことを把握する。
ステップS607の処理を実行した後は、ステップS603に進みセキュリティ信号の出力用処理を実行する。これにより、通常処理の外部出力処理(図18参照)にてホールコンピュータHCに上記セキュリティ信号が出力されることとなる。つまり、図25(a)に示すように、電波センサ402が反応した場合には、それが実際に電波を検出したことに起因するもの / ノイズ等の誤検出に起因するものに関わらず、セキュリティ信号及び電波検出コマンドが送信されることとなる。
本実施の形態に示す遊技球用の検知センサとしては、電磁式のセンサが採用されている。このため、電波照射機を用いて検知センサに電波が照射された場合には、実際に遊技球が入球していないにも関わらず、あたかも遊技球の入球が発生したかのようなノイズが発生する可能性がある。このようにして意図的にノイズを発生させることで不正に特典が享受される可能性がある。一方、近年では携帯電話等の携帯型の通信機が普及しており遊技ホールにてそれら通信機が使用される可能性がある。この場合、仮にそのような電波を不正なものであると検出して異常報知を行う構成とした場合には、円滑な遊技進行が妨げられることとなり遊技者の遊技意欲を減退させる要因になり得る。このような事情を配慮して、電波検知をした場合には上述した即時異常報知が回避されることとなるが、その詳細については後述する。
ステップS606の説明に戻り、当該ステップS606にて否定判定をした場合には、ステップS608に進む。ステップS608では右側可変入球装置83に遊技球が残存しているか否かを判定する。
本実施の形態においては特に、右側可変入球装置83が遊技者の利益に大きく関与するため不正行為等の対象となりやすい。そこで、上述した振動以外にも異常を検出するための構成が採用されている。その概要を簡潔に説明すれば、右側可変入球装置83には、当該右側可変入球装置83へ流入した遊技球が入口側の検知センサ305によって検知され、同右側可変入球装置83から流出する遊技球が出口側の検知センサ325,326によって検知される構成となっている。特別当り結果に対応した抽選結果確定モードとなって残存球の監視を行うべき状況となった場合には、各検知センサ305,325,326からの検知情報に基づいて遊技球の排出数と流出数とを把握する。そして、図25(b)に示すように右側可変入球装置83が閉状態に復帰して(動作が終了して)所定の期間が経過したタイミングにて排出数と流入数とが一致しているかを判定する。この判定により、排出数と流入数とが一致していない場合(詳しくは排出数 < 流入数となっている場合)には右側可変入球装置83内に遊技球が残存していると判定する。つまり、ステップS608にて肯定判定する。
ステップS608にて肯定判定をした場合には、ステップS609に進む。ステップS609では報知・演出制御装置143に残存球を検出したことを伝えるべく残存球検出コマンドをセットする。ここでセットされた残存球検出コマンドは、通常処理の外部出力処理(図18参照)にて報知・演出制御装置143に送信される。報知・演出制御装置143は、当該期間外入球検出コマンドを受信することにより、有効期間外に下側可変入球装置82への入球が検出されたことを把握する。その後、ステップS603に進みセキュリティ信号出力用処理を実行した後に本異常監視処理を終了する。
上述したように、右側可変入球装置83については遊技球が流入したタイミングによって有利入球部への入球が発生するか否かが分かれることとなる。このため、遊技者は、右側可変入球装置83の案内通路320に遊技球が存在している場合に遊技機を叩いたり揺すったりして入球タイミングを意図的に変化させるといった行為を行う可能性がある。このような行為が行われることは、遊技機の故障や動作不良等の要因にもなり得るため好ましくない。そこで、本実施の形態においては、このような行為が行われた場合には、それを検知して遊技者に遊技機を叩かないように促す機能が付与されている。
具体的には、上記ステップS608にて否定判定をした場合にはステップS610に進み、右側可変入球装置83に内蔵された振動センサ355により振動を検出したか否かを判定する。より詳しくは、右側可変入球装置83への入球が有効となる上記有効期間中に振動の有無の監視がなされ、図26(a)に示すように有効期間中に振動センサ355によって振動を検知した場合には、ステップS611にて振動検出コマンドをセットし、その後ステップS603にてセキュリティ信号の出力用処理を行う。
ここでセットされた振動検出コマンドは、通常処理の外部出力処理(図18参照)にて報知・演出制御装置143に送信される。報知・演出制御装置143は、当該振動検出コマンドを受信することにより、振動が検出されたことを把握する。また、セキュリティ信号出力用処理が実行されることで、通常処理の外部出力処理(図18参照)にてホールコンピュータHCに上記セキュリティ信号が出力されることとなる。
ステップS610の説明に戻り、当該ステップS610にて否定判定をした場合にはステップS612に進む。ステップS612では、払い出しエラーが発生しているか否かを検出する。具体的には、主制御装置162からの指示に基づいて払出装置224による遊技球の払い出しが行われている状況下にて、指示された数の遊技球が払い出されているか否かを判定する。また、払い出しの支持が無いにも関わらず払出装置224の誤動作等に起因して遊技球の払い出しが行われていないかを判定する。
ステップS612にて肯定判定をした場合、すなわち払い出しについて何らかの異常(エラー)が発生していると判定した場合には、ステップS613に進む。ステップS613では報知・演出制御装置143に払い出しエラーを検出したことを伝えるべく払い出しエラー検出コマンドをセットする。ここでセットされた払い出しエラー検出コマンドは、通常処理の外部出力処理(図18参照)にて報知・演出制御装置143に送信される。報知・演出制御装置143は、当該払出エラー球検出コマンドを受信することにより、払い出しエラーが発生していることを把握する。その後、ステップS603に進みセキュリティ信号出力用処理を実行した後に本異常監視処理を終了する。
ここで、図26(b)を参照して払い出しエラーの発生パターンについて例示する。一般入賞口81等の各種入球部へ遊技球が入球した場合には、各入球部に応じて設定された数の遊技球の払い出しが行われる。また、遊技者が遊技球の貸し出し操作を行った場合にも当該操作に応じて所定数の遊技球の払い出しが行われる。この際、払出装置224が動作してタンク221等に貯留されている遊技球が払い出され、その数が払出装置224に内蔵された払出検知センサ231によって検知されることとなる。ここで、仮にタンク221が空になる等島設備からの遊技球の供給が正常に機能しなくなったり、タンクレール222やケースレール223にて球詰まりが発生して遊技球の流れが滞ったりした場合には、払出装置224が動作しているにも関わらず遊技球の払い出しが止まってしまう可能性がある。図26(b)に示す例では、払出装置224が動作を続けているにも関わらず払出検知センサ231から検知信号が出力されていないため、払い出しに係る構成に何らかの異常が発生していると把握される。
このような異常が発生した場合には遊技の進行が妨げられることとなるため、上述した他の異常発生時とは異なり即座に異常報知がなされることとなる。異常発生→解消を迅速に行い遊技への早期復帰を促すことにより遊技者の遊技意欲の減退を抑制することが可能となっている。
以上詳述したように、遊技機にて何らかの異常が発生していると判定された場合には、サブ側制御装置(例えば報知・演出制御装置143)に異常発生を示すコマンドが送信される。このコマンドについてはどのような異常が発生したかの情報を含んでいるためサブ側の制御装置においては発生した異常の種類を特定することが可能となっている。
一方、外部端子板213を通じてホールコンピュータHCに送信されるセキュリティ信号については、上述したような識別情報が付与されていない。具体的には、図27に示すように、検出された異常の種類に関係なく同一波形の信号が出力されることとなり、ホールコンピュータHCでは遊技機に何らかの異常が発生していることを確認することはできても、それが種類までを特定することはできない構成となっている。確かに、ホールコンピュータHCのスペックが高ければセキュリティ信号の波形を契機となった異常の種類毎に異なる構成として、当該ホールコンピュータHCにてその原因を特定することも可能である。しかしながら、ホールコンピュータHCのスペックについては遊技ホールの規模、営業形態、資本等に依存しており、遊技ホール毎の差が大きいのが実情である。そこで、本実施の形態においては、ホールコンピュータHCにおける処理負荷等の軽減や遊技機に合わせた設定変更等の手間を省略すべく上記セキュリティ信号の共通化を図ることで、遊技ホール側の様々なニーズに対応することが可能となっている。
しかしながら、遊技機に異常が発生している場合にその種別を特定できないとなれば、遊技者や遊技ホールが不測の不利益を被る可能性が高くなる。そこで、本実施の形態では、事後的に異常の種別を確認することができるように工夫されている。以下、図28を参照して、当該工夫に係る構成について説明する。
<異常報知準備処理>
報知・演出制御装置143のMPU661においては、定期的に実行される通常処理の一環として異常報知準備処理が実行される。図28(a)のフローチャートに示すように、異常報知準備処理では、先ずステップS701にて主制御装置162から異常発生に対応するコマンド(例えば上述した磁気検出コマンド、期間外入球検出コマンド、電波検出コマンド、残存球検出コマンド、振動検出コマンド、払出エラーコマンド)を受信したか否かを判定する。当該コマンドを受信していない場合にはそのまま本異常報知準備処理を終了する。
ステップS701にて肯定判定をした場合にはステップS702に進む。ステップS702では今回受信したコマンドが振動検出コマンド又は払出しエラーコマンドであるか否かを判定する。既に説明したように、多種の異常の中には即座に異常に対する報知を行ったほうがよいものが存在する。特に、振動を検出した場合や払出エラーが発生した場合には、その旨を遊技者やホール管理者に対して即座に報知することが好ましい。
そこで、ステップS702にて肯定判定をした場合にはステップS709に進み、異常報知実行用処理を行う。これにより、エラー表示ランプ部27が点灯するとともにスピーカ部29から各異常に対応する音声が出力される。例えば振動検出コマンド受信時には「台を叩かないで下さい」、払出エラー検出コマンド受信時には「係員を呼んで下さい」のメッセージが流れることとなる。
また続くステップS710においては表示制御装置725に出力する報知用コマンドの出力設定処理を行う。このコマンドは、報知・演出制御装置143の通常処理(外部出力処理)にて表示制御装置725へ出力される。表示制御装置725においては、この報知用コマンドを受信したことに基づいて図柄表示装置96の表示画面96aに所定のメッセージを表示させる処理を行う。具体的には、振動検出に係る報知コマンド受信時には「台を叩かないで下さい」、払出エラーに係る報知コマンド受信時には「係員を呼んで下さい」のメッセージが表示画面96aに表示される。
一方、遊技機に発生する各種異常の中には即座に報知を行わないほうがよいものもある。例えば、遊技進行を妨げる等の要因とはなり得ないものや、ノイズ等に起因した誤検知の可能性が高いものについては、都度の異常発生時に異常報知を行うことが遊技者に煩わしいとの心証を与え、遊技意欲を減退させる要因になったりする。また、不正行為に基づいて異常報知が行われた場合にはその現場をおさえることが重要であるが、異常報知時にホール管理者等の作業者が現場へ到着するまでにはタイムラグが生じ得る。このため、不正行為者が不正行為を止めたり、その場から立ち去ったりする等して上記現場の特定が困難となる。そこで、本実施の形態においては、異常発生時に敢えて即時報知を行うことなく、その事実を遊技機側で記憶保持し、ホール管理者等の作業者が遊技機に赴いて所定の操作を行うことで異常の内容が告知される構成が採用されている。以下、当該機能を実現するための構成について説明する。
ステップS702の説明に戻り、当該ステップS702にて否定判定をした場合にはステップS703に進む。ステップS703では受信したコマンドに基づいて異常の内容(種類)を特定する処理を行う。続くステップS704では異常報知を上記所定の操作が実行されるまで遅延する異常報知待機状態への移行処理を行う。
ここで、本実施の形態に示す報知・演出制御装置143のRAM663には異常報知用のフラグ格納領域が設けられており、詳細については後述するが上記所定の操作が行われた場合にはこのフラグ格納領域に格納されているフラグを参照して、異常報知を実行する。つまり、複数回に亘って異常が発生した場合には、その全てを報知するのではなく、報知の優先レベルが最も高いものを異常報知の対象とすることにより、報知・演出制御装置143の記憶容量を軽減しつつホール管理者の理解の容易化を図っている。
そこで、ステップS705においては上記フラグ格納領域に格納されている異常報知用フラグの内容と今回受信したコマンドの異常報知内容との優先レベルを比較する処理を行う。そして、今回受信したコマンドが既に記憶されているものよりも優先レベルが高い場合には、ステップS707にて報知内容の設定処理、具体的には異常報知用フラグの書き換えを行い。優先レベルが低い場合には、ステップS708に進んで既存の異常報知用フラグを保持する。
これにより、異常報知待機状態となっている最中に複数種の異常が発生した場合には、もっとも異常報知の優先度の高いものが異常報知の対象となるように更新されることとなる。
ここで、図28(b)の概略図を参照して、上述した異常報知の優先レベルについて補足説明する。異常の発生要因(セキュリティ信号の契機)となったものには、遊技への影響度や偶発的要因/人為的要因の可能性等に差がある。特に、遊技ホールにて磁力を感知することは磁石等を不正行為に利用した可能性が高く。このような不正行為については異常報知の優先レベルが高く設定されている。一方、右側可変入球装置83における残存球の発生については偶発的に発生する可能性もあり、磁力を検知した場合と比較して人為的要因による可能性が低い。故に、これら例示した2つの場合では後者に係る異常報知よりも前者に係る異常報知のほうが優先されることとなる。つまり、かりに残存球の発生によって異常報知待機状態になった場合であっても、その待機中に磁力を検出した場合には、磁力検出に係る異常報知がなされる。一方、磁力検出に基づいて異常報知待機状態になった場合であって、その待機中に残存球が発生した場合であっても、磁力検出に係る異常報知が優先される。
次に、図29のフローチャートを参照して、事後的に異常報知を行うための構成(異常報知実行処理)について説明する。
<異常報知実行処理>
異常報知実行処理は、報知・演出制御装置143の通常処理の一環として実行される処理である。異常報知実行処理においては先ず、ステップS801にて異常報知待機状態となっているか否かを判定する。
ステップS801にて否定判定をした場合にはそのまま本異常報知実行処理を終了する。一方、ステップS801にて肯定判定をした場合には、ステップS802に進み前扉枠14が開放されているか否かを判定する。具体的には、開放検知センサ79aからの検知情報に基づいて当該判定を行う。本実施の形態においては、上記所定の操作として前扉枠14の開放操作が採用されている。前扉枠14は上述の如く施錠装置75によって開放が規制されており、遊技者による操作は困難である一方、ホール管理者等の作業者にとっては容易なものとなっている。そして、前扉枠14を開放することにより、同作業者に対して遊技領域PE等に不正具等が存在していないかの確認を促すことが可能となっている。
ステップS802にて否定判定をした場合には、そのまま本異常報知実行処理を終了する。一方、ステップS802にて肯定判定をした場合にはステップS803〜S805の異常報知実行用の処理を行う。本実施の形態においては、この異常報知の態様が特徴的なものとなっているため、図30の概略図を参照して、異常報知の態様について詳しく説明する。
ステップS803においては、先ず前扉枠14の各種ランプ部26〜28や遊技盤80に設けられた各種電飾の消灯処理を実行するとともに、スピーカ部29からのBGM等の音声の出力を制限する処理を行う。これにより、遊技機が暗転し無音状態となる。その後、ステップS804にて異常の発生箇所に対応する部分の表示処理を行い、続くステップS805にて異常報知用表示コマンドを表示制御装置725に送信する処理を行う。この異常報知用表示コマンドには異常の種類に係る情報が付与されており、表示制御装置725では当該コマンドに基づいて異常の種類を特定することが可能となっている。そして、その内容に応じて、図柄表示装置96の表示画面96aに異常の種類を表示する。以下、図30の概略図を参照して報知態様について例示する。
例えば、下側作動入球部84周辺にて磁気を検出していた場合(RAM663に磁気検出フラグが格納されている場合)には、図30(a)に示すように下側作動入球部84及びその周辺に配設された発光体を点灯させる。図示は省略しているが、異常発生の可能性がある箇所(詳しくは各種検知センサ401,402等が配置されている箇所)の周辺には、遊技盤80に対してLEDが埋設されており、これらLEDのうち下側作動入球部84の周辺に配置されたものが発光する。また、本実施の形態においては下側作動入球部84に発光体としてのLEDが内蔵されており、当該LEDが発光することにより下側作動入球部84も発光することとなる。これに併せて、図柄表示装置96の表示画面96aには磁気を検出した旨を示すメッセージ、例えば「磁気を検出しました」が表示されることとなる。
また、下側可変入球装置82への期間外入球を検出していた場合(RAM663に期間外入球検出フラグが格納されている場合)には、図30(b)に示すように下側可変入球装置82及びその周辺に配設された発光体を点灯させる。なお、本実施の形態においては下側可変入球装置82には入賞時の遊技球の視認性を担保すべく発光体としてのLEDが内蔵されており、当該LEDが発光することにより下側可変入球装置82も発光することとなる。これに併せて、図柄表示装置96の表示画面96aには期間外入球を検出した旨を示すメッセージ、例えば「有効期間外の入球を検出しました」が表示されることとなる。
右側作動入球部85周辺にて電波を検出していた場合(RAM663に電波検出フラグが格納されている場合)には、図30(c)に示すように右側作動入球部85及びその周辺に配設された発光体を点灯させる。本実施の形態においては右側作動入球部85に発光体としてのLEDが内蔵されており、当該LEDが発光することにより右側作動入球部85も発光することとなる。これに併せて、図柄表示装置96の表示画面96aには電波を検出した旨を示すメッセージ、例えば「電波を検出しました」が表示されることとなる。
右側可変入球装置83にて遊技球の残存を検出していた場合(RAM663に残存球検出フラグが格納されている場合)には、図30(d)に示すように右側可変入球装置83及びその周辺に配設された発光体を点灯させる。本実施の形態においては右側可変入球装置83には入賞時の遊技球の視認性を担保すべく発光体としてのLEDが内蔵されており、当該LEDが発光することにより右側可変入球装置83も発光することとなる。これに併せて、図柄表示装置96の表示画面96aには期間外入球を検出した旨を示すメッセージ、例えば「入賞装置内に遊技球が残っています」が表示されることとなる。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
遊技機の報知手段(エラー表示ランプ部27、スピーカ部29、遊技盤80に埋設された各LED、図柄表示装置96)による異常報知が異常発生の都度即座に行われるわけでなはく、ホール管理者等の作業者によって所定の確認操作(前扉枠14の開放)が行われるまで当該異常報知が規制されることとなる。このようにして異常報知を規制することにより、異常報知が頻発して遊技が度々中断されることを抑制できる。一方、遊技ホールのホールコンピュータHCでは遊技機からの情報に基づいて異常発生の有無を把握できる。異常が多発した場合にはホール管理者等の作業者が異常確認対象となっている遊技機に赴き所定の確認操作を行うことにより、どのような異常が発生しているのかを現認(把握)することができる。これにより、異常発生の監視機能を担保しつつ過剰な異常報知に起因した遊技者の遊技意欲の減退を好適に抑制することができる。
また、仮に異常発生が不正行為に起因している場合、異常発生後に即座に異常報知を行うと、異常報知開始からホール管理者等の作業者がその遊技機に到着するまでに当該の隠蔽工作が行われると懸念される。この点、仮に異常発生が不正行為に起因する場合であっても異常報知がホール管理者等の作業者の到着まで遅延される。このため、不正行為の発覚をおそれて隠蔽工作が行われる場合であってもその猶予を減らし、不正行為の特定に貢献することが可能となる。これにより、遊技機の防犯機能の向上に貢献できる。
何れの異常が検出された場合であっても、共通化されたセキュリティ信号が遊技ホールのホールコンピュータHCへ出力される。出力される信号が共通化されているためホールコンピュータHCにおける制御負荷が増大することを抑制できる。また、ホールコンピュータHCにおいては遊技機に何らかの異常が発生していることやその発生頻度を把握することができる。
しかしながら上述の如くセキュリティ信号を共通化した場合には、上記効果が期待できる反面、当該セキュリティ信号に基づいて異常の発生箇所を遊技ホール側にて特定することが困難になる。この点、異常が多発している場合等にホール管理者等の作業者に対象の遊技機の現認(確認)を行うように指令を出し、遊技機へ到着した作業者が所定の確認操作(前扉枠14の開放)を行うことによりどのような異常が発生していたかが告知される。このように、異常の発生要因を特定することが可能であるため、セキュリティ信号の共通化に起因した上記不都合の発生を好適に回避できる。
遊技機に発生する異常には、球詰まり等の遊技進行を妨げるタイプのものと、遊技球の誤検知等の遊技進行を妨げないタイプのものとが存在する。発生した異常が前者の場合には、その旨を直ちに報知しなければ遊技者や遊技ホール等が不測の不利益を被る可能性が高くなる。一方、発生した異常が後者の場合には、異常報知を所定の確認操作が行われるまで遅延させることにより異常報知によって遊技が中断されるといった不都合の発生を回避できる。
上述した各種報知手段による異常報知が遅延されている状況下にてホール管理者等の作業者による所定の確認操作が行われた場合に、それまで遅延されていた異常報知が記憶保持されている情報に基づいて実行されることとなる。所定の確認操作が遊技者により実行されることは好ましくなく、防犯性等に配慮し過ぎて所定の確認操作がホール管理者にとって煩わしいものとなることも好ましくない。この点、前扉枠14の開放を異常報知の契機とすれば(上記所定の確認操作として設定すれば)ホール管理者にとっては所定の確認操作が過度に複雑にする必要がなく、且つ不正行為者により当該所定の確認操作が行われることを好適に回避できる。
ホール管理者が異常発生の確認のために前扉枠14を開放すると、遊技領域PEの一部の外観が変化する(例えば発光等することにより)。このような概観の変化によって、異常の発生箇所が教示される。これにより、ホール管理者はどの部分で異常が発生しているかを即座に確認することが可能となる。
なお、前扉枠14の開放は遊技領域PEに遊技球が残存していない状況下にて実行されるため、上記教示態様としたとしても報知機能が遊技球によって妨げられることはない。
因みに、遊技盤に設けられた各種発光体を上記異常の発生箇所に対応するものを除いて消灯させる構成(すなわち、異常の発生箇所に対応するもののみを発光させる構成)とすることにより、教示機能を上手く発揮させることができる。
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
(1)上記実施の形態では、遊技の進行を妨げる可能性のある異常については、パチンコ機10のエラー表示ランプ部27やスピーカ部29等を用いて即時に報知する構成とし、一方で遊技の進行を妨げる可能性のない異常については、ホール管理者により前扉枠14が開放されることを契機として報知を開始する構成とした。少なくとも、遊技者には操作不可であり且つホール管理者等の作業者によって操作可能であれば足り、「特定操作」として前扉枠14の開放に代えて遊技機主部12(内枠13の開放)や施錠装置75の解錠操作等を適用することも可能である。但し、視覚的且つ聴覚的な報知機能を好適に発揮させる上では遊技機正面が視認可能な状態にて報知が行われる構成とすることが好ましい。
(2)上記実施の形態では、異常が発生した場合にその対象又は当該異常に関連する構成を発光させることにより、異常報知に係る操作を行った作業者が実際にどの部分に異常が発生したかを目視にて確認しやすくなるように工夫したが、少なくとも異常の発生箇所を特定できるのであれば具体的な報知態様については任意である。例えば、各種異常に1対1で対応させてエラーコード等を設定し、当該エラーコードを図柄表示装置96の表示画面96aに表示させる構成とすることも可能である。
また、異常報知時の発光箇所に視認性を向上すべく異常報知時には遊技機を暗転させる構成としたが、同発光箇所の発光レベルを他の部位に比べて高くすることで視認性の向上を図ることも可能である。
(3)上記実施の形態では、異常が発生した場合には報知される異常の種類が更新(上書き/維持)される構成としたが、これを以下のように構成してもよい。すなわち、異常発生の履歴の一部又は全て記憶する構成とし、当該記憶された履歴を報知する構成としてもよい。例えば、上記変形例(2)との組み合わせにおいては、表示画面96aにて異常の発生履歴や異常の発生頻度等を表示する構成とすることも可能である。
(4)上記実施の形態では、発生した異常の種類を報知・演出制御装置143にて記憶する構成としたが、当該記憶機能の付与対象を報知・演出制御装置143から主制御装置162等の他の制御装置に変更することも可能である。
(5)上記実施の形態では、異常を即時報知が必要なものと後報知をするものとに大別した上で、後者については不正等の危険度に高低の差を設定して、危険度の高い異常が優先して報知されるように報知実行の際の優先レベルに差を設定したが、必ずしもこれに限定されるものではない。報知実行の際に最新の異常に対応する報知がなされる構成とすることも可能である。
(6)上記実施の形態では、特定操作が行われるまで一部の異常報知を遅延させる構成としたが、遅延対象となる異常報知の種類については任意に設定してよい。また、異常監視の対象についても上記構成に限定されるものではない。例えば、右側作動入球部85については遊技球の流入を許容する許容状態と許容しない不可状態とに切替可能となっており、実質的に右側作動入球部85の動作状況によって入球が発生し得ない期間が存在する。この期間中に遊技球が入球した場合には、異常が発生したと判定する構成とし、他の異常発生時と同様にセキュリティ信号の出力及び異常報知用のコマンドの出力を行う構成としてもよい。
また、本実施の形態に示すようにラッチした乱数値に基づいて当否等の抽選を行う構成にて乱数値が都度のタイマ処理にて更新される構成としている場合、仮に上記更新が上手く行われないと遊技ホールや遊技者が多大な不利益を被るおそれがある。この点、例えばこのような乱数発生手段の故障等により乱数値の更新が上手く行われているか否かを監視する構成とすることにより、上記不都合の発生を好適に抑制することができる。また、乱数値の異常については偶発的に発生した場合と故障等により必然的に発生した場合とを区別をすることが困難であり、仮に故障によるものであると特定できた場合であっても遊技ホールにて修理することは困難となる。そこで、この種の異常が発生した場合には、異常発生時に即時に報知を行うのではなくある程度、異常報知のタイミングを遅らせて様子を伺うことが可能となるように本実施の形態に示した報知態様を適用することが好ましい。
なお、乱数値の異常検出については、1周期中よりも短い間隔で複数回の取得を行い同じ値をラッチした場合には異常発生の判定を行う構成とするとよい。そして、このような異常が発生した場合には、乱数初期値カウンタCINIの値を当たり乱数カウンタC1の値に代用するとよい。これにより、遊技者や遊技ホール等に不利益を与えることを回避できる。
(7)上記実施の形態では、電源スイッチ249がONになってからOFFになるまで異常発生に係る情報を記憶保持する構成としたが、RAM消去スイッチ247が操作されるまで当該情報を記憶保持する構成としてもよい。この場合、電断時の記憶保持機能を担保すべく主制御装置162側に記憶保持機能を付与することが好ましい。
(8)上記実施の形態では、ホール管理者等の作業者によって異常報知用の操作が行われた場合に報知・演出制御装置143に記憶されていた異常報知に係る情報がクリアされる構成としたが、これに限定されるものではない。当該操作が行われた場合であっても異常報知に係る情報が記憶保持されたままとなり、別途操作(例えば電源OFF操作)等が行われるまで、本情報を記憶保持する構成としてもよい。
不正行為によって異常報知状態となった場合には、併せて異常報知用の操作が不正に行われる可能性がある。これでは、異常報知の原因が隠蔽されてしまい、ホール管理者等が事後的に異常報知の原因や対象等を特定することが困難になり得る。この点、本変形例に示す構成によれば、異常報知状態(待機状態)を維持して上記隠蔽行為を困難にすることができる。
(9)少なくとも異常発生時に即時報知がなされるのではなく、ホール管理者等の作業者によって所定の確認操作(扉枠14の開放)が行われるまで異常報知が規制されるのであれば、当該機能を実現する具体的構成については任意である。例えば、主制御装置162からの異常報知用コマンドの出力タイミングを上記所定の確認操作が行われるまで遅延させる構成とすることも可能である。この場合、報知・演出制御装置143に付与された記憶機能を主制御装置162に移植するとよい。
(10)上記実施の形態では、遊技ホールに設置されたホールコンピュータHCにセキュリティ信号の受信履歴を記憶する機能が付与されている場合について例示したが、ホールコンピュータHCは少なくとも受信したセキュリティ信号に基づいてホール管理者等の作業者に確認すべき遊技台を報知する機能を有していれば足り、上記記憶機能が付与されていなくてもよい。
なお、セキュリティ信号に基づいてホール管理者等の作業者に確認すべき遊技台をホール管理者等の作業者に直接報知する機能をホールコンピュータHCが有している構成としてもよいが、確認すべき遊技台の報知についてはホールコンピュータHCからの情報に基づいてオペレータ等が行う構成であってもよい。
(11)上記実施の形態では、複数の異常監視機能を有し、何れの異常が発生した場合であってもホールコンピュータHCに出力される信号の波形が共通となるように構成したが、異常の発生要因ごとに異なる波形のセキュリティ信号を出力する構成としてもよい。
ホールコンピュータHCが高機能化され、セキュリティ信号を解読可能となれば、その発生要因ごとに遊技台確認の指令を出すタイミングを調整することができ、更なる防犯機能の向上に貢献できる。
(12)上記実施の形態に示すパチンコ機10では、外部端子板213を用いて有線によるセキュリティ信号の送信機能を採用していたが、セキュリティ信号をホールコンピュータHCに送信する機能を有しているのであればその具体的構成については任意である。例えば、無線通信機能によってセキュリティ信号の送信機能を確保してもよい。この場合、外部端子板213を省略することも可能である。
(13)上記各実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作されるか所定時間が経過することでリールが停止した後に、表示窓から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組み合わせが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも本発明を適用できる。
また、取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも本発明を適用できる。
<上記実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
以下の特徴群は「パチンコ機等の遊技機には、遊技盤(詳しくは遊技領域)に設けられた入球部に遊技球が入球することにより特別遊技状態等の当否抽選を行うものがある。その抽選にて当選結果となった場合には、例えば遊技球の払出等の特典が遊技者に付与される(例えば、特許文献1参照)。この種の遊技機には、センサ等の監視装置を用いて遊技機の動作等を監視して、通常では発生するはずのない動き等の異常が発生した場合にその旨の報知を行うものがある。これにより、遊技者や遊技ホールが不測の不利益を被ることを抑制している。しかしながら、上記構成では監視装置の誤作動やノイズの影響に基づいて誤った異常報知が行われる場合がある。仮にそのような異常報知(例えば誤報知や不要な報知等)が頻発すれば、当該報知が遊技者の遊技意欲を減退させる要因になり得ると懸念される。一方、異常報知を全く行わない構成とした場合には、異常の発生が見過ごされて遊技者や遊技ホールが甚大な不利益を被る可能性が高くなると懸念される。このように、異常報知を行う上では不利益の回避や煩わしさの軽減等未だ改善の余地がある。」という背景・課題等に鑑みてなされたものである。
特徴1.特定事象である異常の発生を監視する監視手段(払出検知センサ231、検知センサ305,325,326、振動センサ355、磁気センサ401,電波センサ402等)と、
前記監視手段からの監視情報に基づいて異常発生の有無を判定する判定手段(主制御装置162のMPU602)と、
前記判定手段により異常が発生したと判定された場合に、遊技ホールに設けられた管理装置(ホールコンピュータHC)へ異常が発生した旨の情報を出力する通信手段(外部端子板213を通じた主制御装置162の通信機能)と、
前記判定手段により異常が発生したと判定された場合に、当該異常が発生した旨の情報を記憶する記憶手段(報知・演出制御装置143のRAM)と、
視覚的又は聴覚的な報知を行う報知手段(エラー表示ランプ部27、スピーカ部29、図柄表示装置96等)を有し、当該報知手段を駆動することにより前記記憶手段に記憶された前記情報に基づいて異常発生を示す旨の報知を行う異常報知実行手段(主制御装置162及び報知・演出制御装置143)と、
前記判定手段により異常が発生したと判定されて当該異常に係る情報が前記記憶手段に記憶された状況下にて、所定の確認操作が行われるまで前記異常報知実行手段による報知を規制する報知規制手段(報知・演出制御装置143に付与された報知規制機能)と
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴1によれば、遊技機の報知手段により異常報知が異常発生の都度即座に行われるわけでなはく、ホール管理者等の作業者によって所定の確認操作が行われるまで当該異常報知が規制されることとなる。このようにして異常報知を規制することにより、異常報知が頻発して遊技が度々中断されることを抑制できる。一方、遊技ホールの管理装置では遊技機からの情報に基づいて異常発生の有無を把握できる。異常が多発した場合にはホール管理者等の作業者が対象となっている遊技機に赴き所定の確認操作を行うことにより、どのような異常が発生しているのかを現認(把握)することができる。これにより、異常発生の監視機能を担保しつつ過剰な異常報知に起因した遊技者の遊技意欲の減退を好適に抑制することができる。
また、仮に異常発生が不正行為に起因している場合、異常発生後に即座に異常報知を行うと、異常報知開始からホール管理者がその遊技機に到着するまでに当該の隠蔽工作が行われると懸念される。この点、本特徴に示す構成によれば、仮に異常発生が不正行為に起因する場合であっても異常報知がホール管理者の到着まで遅延される。このため、不正行為の発覚をおそれて隠蔽工作が行われる場合であってもその猶予を減らし、不正行為の特定に貢献することが可能となる。これにより、遊技機の防犯機能の向上に貢献できる。
特徴2.前記監視手段は、第1特定事象である異常の発生を監視する第1監視手段(例えば磁気センサ401)と、第2特定事象である異常の発生を監視する第2監視手段(例えば電波センサ402)とを有してなり、
前記判定手段は、前記各監視手段からの監視情報に基づいて異常発生の有無を判定し、
前記通信手段は、前記管理装置へ出力する情報が前記第1特定事象及び前記第2特定事象の両者で共通となるように構成されており、
前記記憶手段は、前記判定手段により異常が発生したと判定された場合に、前記両特定事象の何れに対応する異常であるかの識別性が付与された情報を記憶するように構成されており、
前記異常報知実行手段は、前記記憶手段に記憶された前記情報に基づいて各特定事象毎に異なる報知を行うように構成されていることを特徴とする特徴1に記載の遊技機。
特徴2によれば、第1特定事象及び第2特定事象の何れが発生した場合であっても、共通化された情報が遊技ホールの監視装置へ出力される。出力される情報が共通化されているため管理装置における制御負荷が増大することを抑制できる。また、管理装置においては遊技機に何らかの異常が発生していることやその発生頻度を把握することができる。
しかしながら上述の如く情報を共通化した場合には、上記効果が期待できる反面、当該情報に基づいて異常の発生箇所を遊技ホール側にて特定することが困難になる。この点、本特徴によれば、異常が多発している場合等にホール管理者等の作業者に対象の遊技機の現認(確認)を行うように指令を出し、遊技機へ到着した作業者が所定の確認操作を行うことによりどのような異常が発生していたかが報知される。このように、異常の発生要因を特定することが可能であるため、情報の共通化に起因した上記不都合の発生を好適に回避できる。
特徴3.遊技進行用の制御を行う制御装置(主制御装置162や払出制御装置242等)を備え、
前記監視手段は、第1特定事象(例えば電波検出)である異常の発生を監視する第1監視手段(例えば電波センサ402からの信号に基づいて電波の照射を監視する機能)と、第2特定事象(例えば払出異常)である異常の発生を監視する第2監視手段(例えば払出検知センサ231からの信号に基づいて払出を監視する機能)とを有してなり、
前記第1特定事象は前記制御装置による遊技進行の妨げとならない異常の発生に対応し、前記第2特定事象は前記制御装置による遊技進行の妨げとなる異常の発生に対応しており、
前記報知規制手段は、前記判定手段により前記第1特定事象が発生していると判定された場合には前記所定の確認操作が行われるまで前記異常報知実行手段による報知を規制する一方、前記判定手段により前記第2特定事象が発生していると判定された場合には前記規制を行うことなく前記異常報知実行手段による報知を許容するように構成されていることを特徴とする特徴1に記載の遊技機。
遊技機に発生する異常には、球詰まり等の遊技進行を妨げるタイプのものと、遊技球の誤検知等の遊技進行を妨げないタイプのものとが存在する。発生した異常が前者の場合には、その旨を直ちに報知しなければ遊技者や遊技ホール等が不測の不利益を被る可能性が高くなる。この点、本特徴によれば、発生した異常が後者の場合(遊技進行を妨げる程のものではない場合)には、異常報知を所定の確認操作が行われるまで遅延させることにより異常報知によって遊技が中断されるといった不都合の発生を回避することができる。
特徴4.遊技進行用の制御を行う制御装置(主制御装置162や払出制御装置242等)を備え、
前記制御装置は、前記報知規制手段により前記報知が規制されている状況下にて当該制御装置による遊技進行が中断されないように構成されていることを特徴とする特徴1乃至特徴3のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴4によれば、異常報知が規制されている状況下においても遊技進行が中断されることがない。このため、実際に異常が発生している場合であっても遊技者に遊技の継続を促すことが可能となる。これにより、特徴1等に示した効果を好適に発揮させることができる。
特徴5.前記規制手段は、前記判定手段により異常が発生していると判定された場合に前記所定の確認操作が行われるまで前記異常報知実行手段による報知を遅延させ、当該確認操作が行われたことを契機として前記報知を行わせるように構成されており、
前記記憶手段は、前記判定手段により異常が発生していると判定された場合に記憶した情報を少なくとも前記異常報知が実行されるまで記憶保持するように構成されていることを特徴とする特徴1乃至特徴4のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴5によれば、報知手段による異常報知が遅延されている状況下にてホール管理者等の作業者による所定の確認操作が行われた場合に、それまで遅延されていた異常報知が記憶保持されている情報に基づいて実行されることとなる。これにより、特徴1に示した効果を好適に発揮させることができる。
なお、特徴2との組み合わせにおいては特に、「前記異常報知が遅延されている状況下にて前記判定手段により新たに異常が発生していると判定された場合に、前記記憶手段に記憶保持されている情報が更新されるように構成」するとよい。因みに「更新」は、記憶手段に記憶されている情報が新たな情報に書き換えられる(上書きされる)場合と、新たな情報が追加される(履歴として記憶される)場合とを含む。
特徴6.前記記憶手段は、当該記憶手段に記憶されている情報が、前記所定の確認操作が行われた後、少なくとも前記判定手段により新たに異常が発生したと判定されるまで記憶保持されるように構成されていることを特徴とする特徴5に記載の遊技機。
特徴6によれば、先の異常発生に係る情報が少なくとも次の異常の発生まで記憶保持されたままとなる。このため、仮に不正行為者が不正に起因した異常の発生を自ら上記所定の確認操作を行うことにより隠蔽しようとした場合であっても情報が消失することはない(記憶保持される)。故に、上記隠蔽工作は困難になり、防犯機能の向上に貢献できる。
なお、特徴3に示したように、レベルの異なる複数の異常に対応している場合には、重度の異常についての情報が記憶されている場合には、軽度の異常についての情報が記憶されている場合であっても前者を記憶保持する構成とすることが好ましい。
特徴7.所定の解錠操作に基づいて開放される開閉体(例えば遊技機主部12や前扉枠14や)を備え、
前記所定の確認操作は、前記開閉体を開放させる操作又は当該開放操作後に可能となる操作であることを特徴とする特徴1乃至特徴6のいずれか1つに記載の遊技機。
所定の確認操作が遊技者により実行されることは好ましくなく、防犯性等に配慮し過ぎて所定の確認操作がホール管理者にとって煩わしいものとなることも好ましくない。この点、本特徴によれば、ホール管理者にとっては所定の確認操作が過度に複雑にする必要がなく、且つ遊技者により当該所定の確認操作が行われることを好適に回避できる。
特徴8.前面に遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技盤80)と、
前記遊技盤を遊技機前方から覆う扉体(前扉枠14)と
を備え、
前記所定の確認操作は前記扉体の開放操作であり、
前記報知実行手段は、前記扉体が開放された場合に前記遊技領域にて前記異常が発生した部分の外観を変化させることにより異常の発生箇所を教示する手段を有していることを特徴とする特徴1乃至特徴6のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴8によれば、ホール管理者が異常発生の確認のために扉体を開放すると、遊技領域の一部の外観が変化する(例えば発光等することにより)。このような概観の変化によって、異常の発生箇所が教示される。これにより、ホール管理者はどの部分で異常が発生しているかを即座に確認することが可能となる。
なお、扉体の開放は遊技領域に遊技球が残存していない状況下にて実行されるため、上記教示態様としたとしても報知機能が遊技球によって妨げられることはない。
因みに報知手段として発光手段を用いる場合には、遊技盤に設けられた各種発光部を上記異常の発生箇所に対応するものを除いて消灯させる構成(すなわち、異常の発生箇所に対応するもののみを発光させる構成)とすることにより、教示機能を上手く発揮させることができる。
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル41)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路(誘導レール100)と、遊技領域内に配置された各遊技部品(釘90等)とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部(一般入賞口81等)を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにした遊技機。
球使用ベルト式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにし、さらに、球受皿を設けてその球受皿から遊技球を取り込む投入処理を行う投入装置と、前記球受皿に遊技球の払出を行う払出装置とを備え、投入装置により遊技球が投入されることにより前記始動用操作手段の操作が有効となるように構成した遊技機。