JP2014221933A - 電気化学素子並びにそれを有する空調機器及び冷蔵庫 - Google Patents

電気化学素子並びにそれを有する空調機器及び冷蔵庫 Download PDF

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Abstract

【課題】多湿環境での運転や間欠的な運転においても電気化学反応によりオゾンガス,酸素ガス,水素ガス等を発生させる、及び空気中の水分を除湿する装置に使用する電気化学素子の性能を長期に安定して維持でき、かつ厚さが薄くコンパクトな電気化学素子を提供する。【解決手段】導電性多孔体である基材に触媒層を有する陽極1及び陰極2を固体高分子電解質膜3の表裏に接合してなる電気化学素子接合体10と、貫通穴を有する一対の押さえ板14、22と、該一対の押さえ板の間に電気化学素子接合体を挟んで保持するとともに、電気化学素子接合体が均一に加圧されるように一対の押さえ板を締め付ける圧締め手段18と、一対の押さえ板又はいずれかの押さえ板に設置される発熱体4と、電気化学素子接合体の運転停止時に前記発熱体を稼働させ、一対の押さえ板又はいずれかの押さえ板を周囲温度よりも高く維持する温度制御手段を有する電気化学素子。【選択図】図1

Description

本発明は、固体高分子電解質膜を用いた電気化学反応に基づく電気化学素子に関する。さらに詳しくは、固体高分子電解質膜を挟んで陽極と陰極を対峙させて直流電圧を印加し、電気化学反応によって、オゾンガス、酸素ガス、水素ガス等のガスを発生させる電気化学素子、及び空気中の水分を除湿する除湿素子等の電気化学素子に関する。
従来技術1
図20は、例えば特開平11−131276号公報に示された従来の電気化学素子の1つであるオゾン発生素子の構成図である。図において、1は導電性多孔体である陽極基材に陽極触媒層を有する陽極、2は導電性多孔体である陰極基材に陰極触媒層を有する陰極、3は固体高分子電解質膜、6は直流電源、10は導電性多孔体である陽極基材に陽極触媒層を有する陽極1と導電性多孔体である陰極基材に陰極触媒層を有する陰極2とを固体高分子電解質膜3の表裏に接合した電気化学素子接合体である。
この電気化学素子接合体は、導電性多孔体である陽極基材に陽極触媒層を有する陽極1と導電性多孔体である陰極基材に陰極触媒層をもつ陰極2とを固体高分子電解質膜3の表裏に配置して、130℃以上210℃未満の温度で熱圧着(ホットプレス)し、陽極1及び陰極2の基材に有する陽極触媒層及び陰極触媒層を固体高分子電解質膜3に食い込ませて密着している。
このようにして一体化して形成された電気化学素子接合体10に直流電源6により3V程度の直流電圧を印加すると、陽極1の触媒層と固体高分子電解質膜3との接合面において空気中の水蒸気(水分)が電気分解され、オゾンガス、酸素ガス及び電子が発生する。発生したオゾンガス及び酸素ガスは多孔体である陽極1を通って外気に流出する。一方、水の電気分解で生じた水素イオンは固体高分子電解質膜3中を通って陰極2に移動し、陰極2の触媒層と固体高分子電解質膜3の接合面において水素イオンと空気中の酸素ガス及び外部回路を通って陰極2に導かれた電子が反応して水が生成する。
上記のような従来技術1による電気化学素子は、陽極1及び陰極2と固体高分子電解質膜3とを熱圧着により一体化して形成するために、電気化学素子を軽くかつ厚みを薄くできるといった利点がある。
しかし、熱圧着により形成した従来技術1による電気化学素子は短期間に性能が低下するという問題があった。特に、多湿環境で使用すると急速に性能が低下するという問題があった。
従来技術2
そこで、上記のような問題点を解決するために、例えば、特開2001−240990号公報に示された従来の電気化学素子が提案されている。この電気化学素子は、導電性多孔体である陽極基材に陽極触媒層を有する陽極と、導電性多孔体である陰極基材に陰極触媒層を有する陰極とを固体高分子電解質膜の表裏に接合してなる電気化学素子接合体を、開口部を有する一対の押さえ板の間に挟んで加圧することにより、固体高分子電解質膜と陽極及び陰極との接合面を剥れ難くしている。
図21は、特開2001−240990号公報に示された従来の電気化学素子の1つであるオゾン発生素子の構成図である。図において、8はボルト、9はナット、30は開口部、80は金属の押さえ板、81は絶縁性樹脂製のシート又は薄板である。
この電気化学素子であるオゾン発生素子は、導電性多孔体である陽極基材に陽極触媒層を有する陽極1と導電性多孔体である陰極基材に陰極触媒層を有する陰極2とを固体高分子電解質膜3の表裏に配置して、150℃以上200℃未満の温度で熱圧着(ホットプレス)して形成した電気化学素子接合体10を、絶縁性樹脂製のシート又は薄板81を介して開口部30を有する一対の押さえ板80の間に挟んで複数のボルト8とナット9により加圧するようにしている。
特開平11−131276号公報 特開2001−240990号公報
上記のような従来技術2による電気化学素子は、導電性多孔体である陽極基材に陽極触媒層を有する陽極と導電性多孔体である陰極基材に陰極触媒層をもつ陰極とを固体高分子電解質膜の表裏に接合してなる電気化学素子接合体を、開口部を有する一対の押さえ板の間に挟んで加圧することにより、固体高分子電解質膜と陽極及び陰極との接合面を剥れ難くしている。その結果、多湿環境においても短期間に性能が低下することがなくなった。
しかしながら、従来技術2による電気化学素子は、数時間運転したあとに数時間以上放置するという間欠的な運転を行うと、性能が急速に低下するという問題が明らかになった。さらに、従来技術2による電気化学素子は、圧締めの際、電気化学素子接合体の厚みのために、電気化学素子接合体全体を均一に加圧することが難しかった。また、電気化学素子接合体、陰極端子スペーサ及び1対の押さえ板などを正確にかつ信頼性が高く組み立てる作業が難しいといった問題があった。
本発明は、上記のような従来のものの問題点を解決するためになされたものであり、多湿環境での運転や間欠的な運転においても電気化学素子の性能を長期に安定して維持でき、かつ厚さが薄くコンパクトな電気化学素子を得ることを目的とする。また、電気化学素子接合体の全体を均一に加圧することによって性能をより長期に安定して維持できることを目的とする。さらに、高い信頼性でかつ正確に組み立て作業ができる電気化学素子を得ることを目的とする。
請求項1に係る発明の電気化学素子は、導電性多孔体である基材に触媒層を有する陽極及び陰極を固体高分子電解質膜の表裏に接合してなる電気化学素子接合体と、
貫通穴を有する一対の押さえ板と、該一対の押さえ板の間に電気化学素子接合体を挟んで保持するとともに、電気化学素子接合体が均一に加圧されるように一対の押さえ板を締め付ける圧締め手段と、一対の押さえ板又はいずれかの押さえ板に設置される発熱体と、電気化学素子接合体の運転停止時に発熱体を稼働させ、一対の押さえ板又はいずれかの押さえ板を周囲温度よりも高く維持する温度制御手段を有することを特徴とするものである。
請求項2に係る発明の電気化学素子は、請求項1に係る発明の電気化学素子において、
貫通穴を有する絶縁性樹脂の薄板と、電気化学素子接合体を位置決めするための開口部を有する絶縁性樹脂板と、絶縁性の樹脂板よりなり、陽極リード端子及び陰極リード端子を備えるとともに、開口部を有する端子板をさらに備え、一対の押さえ板のうちの陽極側押さえ板には陽極の一端部に接触する導電性突起部を設けるとともに、導電性突起部以外の表面は絶縁性樹脂膜で覆い、一対の押さえ板のうちの陰極側押さえ板には少なくとも陰極の他端部及び陰極リード端子に接触する導電面を設け、陽極側押さえ板、薄板、電気化学素子接合体、絶縁性樹脂板、陰極側押さえ板、端子板の順に重ねた積層体を、圧締め手段で締め付けたことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明の電気化学素子において、
圧締め手段は、絶縁性の樹脂パイプを挿入した複数のネジであることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに係る発明の電気化学素子をオゾン発生素子として有する空調機器である。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに係る発明の電気化学素子をオゾン発生素子として有する冷蔵庫である。
請求項1に係る発明の電気化学素子によれば、導電性多孔体である基材に触媒層を有する陽極及び陰極を固体高分子電解質膜の表裏に接合してなる電気化学素子接合体と、貫通穴を有する一対の押さえ板と、該一対の押さえ板の間に電気化学素子接合体を挟んで保持するとともに、電気化学素子接合体が均一に加圧されるように一対の押さえ板を締め付ける圧締め手段と、一対の押さえ板又はいずれかの押さえ板に設置される発熱体と、電気化学素子接合体の使用停止時に発熱体を稼働させ、一対の押さえ板又はいずれかの押さえ板を周囲温度よりも高く維持する温度制御手段を有するので、多湿環境での運転及び間欠的な運転においても電気化学素子の性能を長期に安定して維持でき、かつ厚さが薄くコンパクトな電気化学素子を提供することができる。
請求項2に係る発明の電気化学素子によれば、請求項1に係る発明の電気化学素子において、
貫通穴を有する絶縁性樹脂の薄板と、電気化学素子接合体を位置決めするための開口部を有する絶縁性樹脂板と、絶縁性の樹脂板よりなり、陽極リード端子及び陰極リード端子を備えるとともに、開口部を有する端子板をさらに備え、一対の押さえ板のうちの陽極側押さえ板には陽極の一端部に接触する導電性突起部を設けるとともに、導電性突起部以外の表面は絶縁性樹脂膜で覆い、一対の押さえ板のうちの陰極側押さえ板には少なくとも陰極の他端部及び陰極リード端子に接触する導電面を設け、陽極側押さえ板、薄板、電気化学素子接合体、絶縁性樹脂板、陰極側押さえ板、端子板の順に重ねた積層体を、圧締め手段で締め付けたので、請求項1に係る発明による効果に加え、電気化学素子接合体全体を均一に加圧できるとともに、電気化学素子を高い信頼性でかつ正確に組み立てられるようになった。
請求項3に係る発明の電気化学素子によれば、圧締め手段が絶縁性の樹脂パイプを挿入した複数のネジであるため、一対の押さえ板が圧締め手段によって短絡することがない。
請求項4に係る発明の空調機器によれば、厚さが薄く、コンパクトであり、かつ直流数ボルトで稼動する請求項1ないし3のいずれかに係る発明の電気化学素子をオゾン発生素子として有するため、オゾン発生素子を設置する場所の制約が少なく、空調機器の狭い場所に容易にオゾン発生素子を内蔵することができる。
請求項5に係る発明の冷蔵庫によれば、厚さが薄く、コンパクトであり、かつ直流数ボルトで稼動する請求項1ないし3のいずれかに係る発明の電気化学素子をオゾン発生素子として有するため、オゾン発生素子を設置する場所の制約が少なく、冷蔵庫の狭い場所に容易にオゾン発生素子を内蔵することができる。
また、冷蔵庫内の多湿環境でも長期にオゾン発生量を安定に維持することができる。
実施例1によるオゾン発生素子の構成を示す断面図である。 実施例1によるオゾン発生素子の平面図である。 実施例1によるオゾン発生素子の底面図である。 実施例1によるオゾン発生素子の電気化学素子接合体の平面図である。 実施例1によるオゾン発生素子の電気化学素子接合体の底面図である。 実施例1によるオゾン発生素子を間欠的な運転サイクルで長期にわたって繰り返し稼働させた実験におけるオゾン発生量の変化を示すグラフである。 実施例1又は2によるオゾン発生素子の変形例における電気化学素子接合体の平面図である。 実施例2によるオゾン発生素子の構成を示す断面図である。 実施例2によるオゾン発生素子の平面図である。 実施例2によるオゾン発生素子の底面図である。 実施例2によるオゾン発生素子の陽極側押さえ板の平面図である。 実施例2によるオゾン発生素子の絶縁性樹脂の薄板の平面図である。 実施例2によるオゾン発生素子の電気化学素子接合体の平面図である。 実施例2によるオゾン発生素子の電気化学素子接合体を位置決めするための樹脂板の平面図である。 実施例2によるオゾン発生素子の陰極側押さえ板の平面図である。 実施例2によるオゾン発生素子の端子板の平面図である。 実施例2によるオゾン発生素子の構成部材である絶縁性の樹脂パイプを挿入したネジの平面図である。 実施例3による空調機器の構成を示す断面図である。 実施例4による冷蔵庫の構成を示す断面図である。 従来技術1によるオゾン発生素子の構成を示す断面図である。 従来技術2によるオゾン発生素子の構成を示す断面図である。
以下、実施例によって本発明の実施形態を説明する。
本発明は、上記特開平11−131276号公報及び特開2001−240990号公報などの従来技術1及び従来技術2による電気化学素子の性能低下原因及び対策について鋭意検討した結果、以下の事項を見出すことによってなされたものである。
(1)開口部を有する一対の押さえ板の間に挟んで加圧することにより、固体高分子電解質膜と陽極触媒層及び陰極触媒層との接合面の剥離を防止できること、
(2)使用停止時に固体高分子電解質膜に含有する水分を外部に除去することによって、固体高分子電解質膜の電気的絶縁性が高められて陽極と陰極が十分に絶縁され、電子流入による陽極触媒層及び陰極触媒層の変質が防止できること、
(3)電気化学素子接合体を位置決めするための絶縁性樹脂板及び陽極側押さえ板の一端に設けた導電性突起部等の導入により、電気化学素子接合体全体を均一に加圧できるとともに、高い信頼性でかつ正確に組み立て作業ができること。
以下、本発明の電気化学素子を、実施例1によるオゾン発生素子を例に説明する。図1は実施例1によるオゾン発生素子の構成を示す断面図である。また、図2及び図3は、実施例1によるオゾン発生素子の平面図及び底面図である。また、図4は及び図5は、実施例1によるオゾン発生素子の電気化学素子接合体の平面図及び底面図である。
図において、1は導電性多孔体である陽極基材に陽極触媒層を有する陽極、2は導電性多孔体である陰極基材に陰極触媒層を有する陰極、3は固体高分子電解質膜、4は電気化学素子を加温するための発熱体、5は陰極端子40を支持して保護するスペーサ、10は固体高分子電解質膜の表裏に陽極1と陰極2を配置して熱圧着により形成した電気化学素子接合体、14は陽極側押さえ板、18は圧締め用のネジ、22は陰極側押さえ板、36は陽極1及び陰極2が対峙して成す電気化学反応部、38は陰極側押さえ板22に設けた切欠き部、39は陽極端子、40は陰極端子であり、陽極端子39及び陰極端子40と直流電源(図示せず)とが配線で電気的に接続され、電気化学素子接合体10に直流電圧が印加される。
以下に、材質や製造方法について具体的に説明する。
陽極1は、チタン製の薄板に切れ目を入れて引き延ばした厚さ数百μmの多孔質なエキスパンドメタルに白金下地を施した陽極基材に、厚さ数μm〜数十μmのβ型又はα型の二酸化鉛を電着した陽極触媒層を形成したものである。
一方、陰極2は、カーボン繊維でできた厚さ数百μmの多孔質なカーボンクロスにポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す。)の微粒子を付着させ、350℃で1時間熱処理することで撥水処理した陰極基材の両面に、陰極触媒層を形成したものである。
固体高分子電解質膜3側の陰極触媒層は、カーボン粉末に白金微粒子を担持した触媒に、液化した固体高分子電解質をバインダーとして固着させた多孔質なもので厚さは数十μmである。
陰極側押さえ板22側の陰極触媒層は、カーボン粉末に白金微粒子を担持した触媒に、PTFEの微粒子をバインダーとして固着させた多孔質なもので厚さは数十μmである。
そして、各陰極触媒層は、撥水処理した陰極基材の両面に上記の触媒とバインダーの混合物をスクリーン印刷法で塗布した後、約150℃で1時間熱処理してバインダーである固体高分子電解質やPTFEを融着させ、陰極基材に密着させることにより形成した。
また、陽極側押さえ板14及び陰極側押さえ板22は、中央部に複数の貫通穴31及び32を有するステンレス板の全表面を、電気的な短絡の発生を防止するためにエポキシ樹脂系の絶縁性樹脂膜16で覆ったものである。
次に、電気化学素子接合体10は、図4及び図5に示すように、陽極端子39及び陰極端子40をそれぞれ設けた陽極1及び陰極2の間に矩形の固体高分子電解質膜3を挟んで重ね合わせ状態で、固体高分子電解質膜3が軟化する温度よりも高温、例えば150〜200℃で、圧力が50〜70kgf/cmで数分以上圧着して形成した。この際、図2、図4及び図5に示すように、固体高分子電解質膜3は陽極1及び陰極2が対峙して成す電気化学反応部36を全て覆うことができる大きさとなるように加工し、陽極1と陰極2が電気的に短絡するのを防止した。
このようにして一体化して形成された電気化学素子接合体10の陽極端子39及び陰極端子40に直流電源(図示せず)により2〜10Vの直流電圧が印加されると、陽極1の二酸化鉛触媒層と固体高分子電解質膜3との接合面において空気中の水蒸気(水分)が電気分解され、オゾンガス、酸素ガス及び電子が発生する。
発生したオゾンガス及び酸素ガスは多孔体である陽極1を通って外気に流出する。一方、水の電気分解で生じた水素イオンは固体高分子電解質膜3中を通って陰極2に移動し、陰極2の触媒層と固体高分子電解質膜3の接合面において水素イオンと空気中の酸素ガス及び外部回路を通って陰極2に導かれた電子が反応して水が生成する。
実施例1では、図1及び図2に示すように、熱圧着により形成した電気化学素子接合体10を、例えば開口率(陽極1及び陰極2が対峙して成す電気化学反応部36の面積に対する比率)が約40%である複数の貫通穴32と切欠き部38とを有する陰極側押さえ板22と同じく開口率が約40%である複数の貫通穴31を有する陽極側押さえ板14の間に挟み、両押さえ板22及び14をネジ18により締め付けた。
なお、陰極側押さえ板22及び陽極側押さえ板14の大きさは40mm×30mm、厚さは2mmである。
また、ネジ18による圧締めは陰極側押さえ板22及び陽極側押さえ板14の周囲4ヶ所で行い、各ネジ18の締め付け圧はトルクドライバにより8kgf・cmである。
実施例1のオゾン発生素子を利用する際は、陰極側押さえ板22に設けた切欠き部38に露出した陽極端子39及び陰極端子40と直流電源とを配線によって接続する。そうすると、電気化学素子接合体10からオゾンガスが発生し、複数の貫通穴31を通って外気に放出される。この際、固体高分子電解質膜3は吸湿作用があるので、多湿環境においてオゾン発生が盛んになる。
次に、オゾン発生素子の運転を停止したときは、図1及び図3に示すように、陽極側押さえ板14の周囲に備えた発熱体4(例えばシート状ヒーター)を稼動させ、電気化学素子接合体10の温度を50〜60℃に維持する。そして、再びオゾン発生素子の運転を開始するときは、発熱体4の稼動を停止させた後、電気化学素子接合体10に3Vの直流電圧を印加する。
実施例1による効果を実証するために、温度25℃、相対湿度約80%の環境条件において、実施例1によるオゾン発生素子の電気化学素子接合体10に直流3Vを印加して、100分間運転した後2日間停止し、再び100分間運転した後2日間停止するという間欠的な運転サイクルを長期にわたって繰り返した。ここで、運転停止時に、そのまま放置する場合と、運転停止時に発熱体4により電気化学素子接合体10を加温するため、陽極側押さえ板14の温度を50〜60℃に維持した場合について、それぞれオゾン発生量の低下の経時変化を調べた。
その結果、図6に示すように、運転停止時にそのまま放置した場合、300時間(約2週間)の短時間にオゾン発生量が著しく低下した。
これに対して、運転停止時に発熱体4により陽極側押さえ板14の温度を50〜60℃に維持した場合、オゾン発生量は5000時間(200日)以上、初期値とほとんど変わらないという良好な結果が得られた。
以上の結果から、オゾン発生素子の運転停止時に陽極側押さえ板14の温度を50〜60℃に維持することにより、固体高分子電解質膜3に含有する水分を外部に除去でき、固体高分子電解質膜3の電気的絶縁性が高められて陽極1と陰極2が十分に絶縁され、電子流入による陽極触媒層及び陰極触媒層の変質が防止されるものと考えられる。
上記の実証試験では、運転停止時における電気化学素子接合体10の固体高分子電解質膜3の温度を50〜60℃としたが、さらに実験した結果によれば陽極側押さえ板14の温度を約40℃に維持した場合や80℃に維持した場合においても、50〜60℃とした場合とほぼ同様な結果が得られた。
したがって、運転停止時における陽極側押さえ板14の温度は周囲温度よりも高く、好ましくは40℃以上に維持すれば良いが、固体高分子電解質膜3は長期間にわたり150℃以上に維持されると変質する可能性があるので、運転停止時における陽極側押さえ板14の温度は40〜100℃に維持するのが好ましい。
本発明の実施例1による電気化学素子は、電気化学素子接合体10の厚み(0.6mm程度)のために、圧締めの際、電気化学素子接合体10全体を均一に加圧することが難しかった。また、電気化学素子接合体10、陰極端子スペーサ5及び陰極側押さえ板22及び陽極側押さえ板14を高い信頼性でかつ正確に組み立てることが難しいという問題があった。
そこで、本発明の実施例2によるオゾン発生素子は、実施例1のオゾン発生素子よりも、電気化学素子接合体10全体を均一に加圧できるとともに、高い信頼性でかつ正確に組み立て作業ができるようにしている。
以下の説明において、電気化学素子接合体10全体を均一かつ確実に加圧できる構造、構成及び組立て手順以外については実施例1と同様であるので、説明を省略する。
図8は実施例2によるオゾン発生素子の構成を示す断面図である。また、図9及び図10は、図8のオゾン発生素子を表及び裏から見たときの平面図である。また、図11〜図17は、実施例2によるオゾン発生素子の構成部材の平面図で、実施例2によるオゾン発生素子の組み立て手順を説明するための図である。
図において、12は開口部35を有する絶縁材からなる端子板で、陽極リード端子11および陰極リード端子21を有する。22は複数の貫通穴32を有するステンレス等の陰極側押さえ板、13は開口部34を有する絶縁性樹脂板で、電気化学素子接合体10の位置を固定するとともに、陽極1を導電性突起部15と密着させる押さえ部42を有する。
また、14は複数の貫通穴31を有し、かつ絶縁性樹脂膜16で覆ったステンレス等の陽極側押さえ板、15は絶縁性樹脂膜16で覆った陽極側押さえ板14の一端に設けた複数の導電性突起部、17は複数の貫通穴33を有する絶縁性樹脂の薄板、18は圧締め用のネジ、19はネジ18に挿入した絶縁性の樹脂パイプ、36は陽極1及び陰極2が対峙して成す電気化学反応部、41はネジ穴である。
実施例2によるオゾン発生素子は、図8、図9及び図10に示すように、複数の貫通穴31を有する絶縁性樹脂膜16で覆った陽極側押さえ板14と、複数の貫通穴33を有する絶縁性樹脂の薄板17と、電気化学素子接合体10と、電気化学素子接合体10を位置決めするための開口部34を有する絶縁性樹脂板13と、複数の貫通穴32を有する陰極側押さえ板22と、開口部35を有し、陽極リード端子11及び陰極リード端子21を備えた端子板12と、絶縁性の樹脂パイプ19を挿入した複数のネジ18からなり、陽極側押さえ板14、薄板17、電気化学素子接合体10、絶縁性樹脂板13、陰極側押さえ板22、端子板12の順に重ねて積層体とする。
そして、この積層体の四隅に形成されるネジ穴41にネジ18を差し込んで締め付け、端子板12と陽極側押さえ板14を圧締めするように構成されている。
次に、本オゾン発生素子の組み立て手順について図を用いてさらに詳しく説明する。
(1)図11に示した複数の貫通穴31を有する陽極側押さえ板14の上に、図12に示した複数の貫通穴33を有する絶縁性樹脂の薄板17を重ね合わせる。
(2)絶縁性樹脂の薄板17の上に、図13に示した電気化学素子接合体10の陰極2を表面にして陽極1の一端が陽極側押さえ板14の一端に設けた複数の導電性突起部15に密着するように配置する。
このように、絶縁性樹脂の薄板17と導電性突起部15を設けることによって陽極1は撓むことなく平面固定され、ネジ8による圧締めの際、陽極1全体を均一に加圧できる。
なお、導電性突起部15と陽極側押さえ板14はいずれもステンレスからなり導通しており、陽極1と陽極側押さえ板14も電気的に導通している。
(3)図14に示した絶縁性樹脂板13の開口部34に電気化学素子接合体10をはめ込んで固定する。
これにより電気化学素子接合体10の位置を常に一定に定めることができる。
(4)図15に示した複数の貫通穴32を有する陰極側押さえ板22を絶縁性樹脂板13の上に重ね合わせる。
この際、絶縁性樹脂板13の厚みは電気化学素子接合体10の厚みより若干薄くすると陰極2が開口部34から若干突出する状態となり、圧締めした際、陰極側押さえ板22によって陰極2全体がより均一に加圧される。また、この際、絶縁性樹脂板13の押さえ部42によって陽極端子39を導電性突起部15にしっかりと密着するように押さえ込むことができる。
(5)陰極側押さえ板22の上に、図16に示した開口部35を有し、かつ陽極リード端子11及び陰極リード端子21を備えた端子板12を重ね合わせた後、陽極側押さえ板14、薄板17、電気化学素子接合体10、絶縁性樹脂板13、陰極側押さえ板22、端子板12による積層体の四隅に形成されるネジ穴41に、図17に示した絶縁性の樹脂パイプ19を挿入した複数のネジ18を差し込んで締め付け、端子板12と陽極側押さえ板14を圧締めする。
この際、ネジ18は絶縁性樹脂膜16で覆った陽極側押さえ板14でネジ止めされるので、陽極1とも電気的に導通している。当然ながらネジ18は陽極リード端子11とも導通している。
一方、実施例1と異なり陰極側押さえ板22には絶縁性樹脂膜が形成されていないため、ネジ18による圧締めにより、陰極リード端子21と陰極側押さえ板22及び陰極2とが電気的に導通する様態となる。この際、陽極1と導通しているネジ18は絶縁性の樹脂パイプ19が挿入されているので、陰極側押さえ板22と接触して陽極1と陰極2が電気的に短絡することはない。
実施例2によるオゾン発生素子を作動させる際には、陽極リード端子11、陰極リード端子21及び直流電源が配線によって接続され、電気化学素子接合体10に3Vの直流電圧を印加する。
以上のように、陽極側押さえ板14、薄板17、電気化学素子接合体10、絶縁性樹脂板13、陰極側押さえ板22、端子板12の順に重ねた積層体を、絶縁性の樹脂パイプ19を挿入した複数のネジ18により圧締めするようにしたので、電気化学素子接合体10全体を均一に加圧できるとともに、オゾン発生素子を高い信頼性でかつ正確に組み立てられるようになった。
実施例2による効果を実証するために、実施例1と同様に、温度25℃、相対湿度約80%の環境条件において、実施例2によるオゾン発生素子の電気化学素子接合体10に直流3Vを印加して、100分間運転した後2日間停止し、再び100分間運転した後2日間停止するという間欠的な運転サイクルを長期にわたって繰り返した。
その結果、実施例2によるオゾン発生素子を使用した場合には、オゾン発生量は6000時間(250日)以上、初期値とほとんど変わらず、実施例1によるオゾン発生素子よりも良好な結果が得られた。
実施例1又は2のオゾン発生素子50は、厚さが薄く、コンパクトであり、かつ直流数ボルトで稼動するため、設置場所の制限がなく、容易に狭い空間に内蔵することができる。
図18は、実施例1又は2のオゾン発生素子50を設置した空調機器51の断面図である。図18において、51は空調機器、52は直流電源を有する空調機器51の電源、53は熱交換器、54はファン、55は活性炭などを添着したフィルター、56は光触媒を添着したフィルター、57は集塵フィルター、58は空気吸引口、59は空気吹き出し口である。
オゾン発生素子50は、空調機器51内などの空間が狭い隙間に容易に内蔵することができる。空気吸引口58より吸引された空気は、オゾン発生素子50により生成されるオゾンと混合した後、光触媒を添着したフィルター56を通過して脱臭、殺菌される。このように、オゾンと光触媒とを併用すると脱臭、殺菌などの空気浄化効果を向上することができ、高い空気浄化効果が得られる。なお、余剰のオゾンは活性炭フィルター56により除去される。
また、オゾン発生素子50により生成されるオゾンにより、空調機器51内及び熱交換器53、ファン54やフィルター55及び56などの表面が殺菌され、臭気の原因となる付着微生物の繁殖が防止され、空調機器51内が衛生的となり、かつ臭気及び埃の付着が抑制される。
なお、オゾン発生素子50は、空調機器51の運転と同期して稼動させてよい。また、空調機器51の運転中に稼働時間を数分間から数十分間とし、間欠的に稼動させてもよく、また空調機器51の運転が停止後に短時間稼動させてもよい。
また、実施例3では、オゾン発生素子50を熱交換器が設置される空間に設置したが、これに限らず空調機器51内のいずれに設置してもよい。
図19は、実施例1又は2のオゾン発生素子50を野菜室内部に設置した冷蔵庫の断面図である。図19において、61は冷蔵庫、62は冷凍室、63は冷蔵室、64は野菜室、65は収納された野菜、66は冷気通路である。
特に野菜室64は収納された野菜65から水分が蒸散するために湿度が高くなるが、オゾン発生素子50は多湿環境でも長期にオゾン発生量が安定に維持される。
なお、オゾン発生素子50は、野菜室64の容量に合わせて、野菜室64内のオゾン濃度が例えば0.1ppm以下となるように稼働時間を数分間から数十分間とし、間欠的に稼動させると良い。また、図示しなかったが、このオゾン発生素子50とオゾン分解触媒又は光触媒を併用しても良い。
また、実施例1又は2のオゾン発生素子50は、厚さが薄くコンパクトであり、かつ直流数ボルトで稼動する。したがって、設置場所の制限がなく、容易に狭い空間に内蔵することができる。
実施例1ないし4の変形例を列記する。
(1)実施例1ないし4のオゾン発生素子における陽極1は、チタン製の薄板に切れ目を入れて引き延ばした厚さ数百μmの多孔質なエキスパンドメタルに白金下地を施した陽極基材に、厚さ数μm〜数十μmのβ型又はα型の二酸化鉛を電着してなる陽極触媒層を形成したものであるが、陽極基材はチタン製に限らず、ステンレスや金を蒸着したステンレス等の耐腐食性等の金属材料製でも良い。
(2)実施例1ないし4のオゾン発生素子における陰極2は、カーボン繊維でできた厚さ数百μmの多孔質なカーボンクロスにPTFEの微粒子を付着させ、350℃で1時間熱処理することで撥水処理した陰極基材の両面に、陰極触媒層を形成したものであるが、陰極基材はこのようなカーボン繊維に限らず、ステンレス繊維等であっても良い。
(3)実施例1ないし4のオゾン発生素子における陽極側押さえ板14及び陰極側押さえ板22は、それぞれ中央部に複数の貫通穴31及び32を有するステンレス板よりなり、実施例1ないし4の陽極側押さえ板14及び実施例1の陰極側押さえ板22は、ステンレス板の全表面をエポキシ樹脂系の絶縁性樹脂膜16で覆ったものであるが、ステンレス板に限らず鉄板、チタン板等、剛性のある金属板であれば良く、エポキシ樹脂系の絶縁性樹脂膜で覆ったものに限らず、他の電気的絶縁性の高い樹脂膜で覆ったものや絶縁性樹脂製シートを被せたものであっても良い。
また、陽極1と陰極2が短絡しないように、スペーサ5やネジ18を絶縁性としたり、スペーサ5やネジ18と陽極1、陰極2、陽極側押さえ板14又は陰極側押さえ板22が導通しないように絶縁処理を施したりすれば、絶縁性樹脂膜16で覆わなくても良い。
さらに、実施例2の陰極側押さえ板22は、絶縁性樹脂膜が形成されていないステンレス板であるが、少なくとも陰極2の他端部及び陰極リード端子21に接触する部分が導電面となっていれば、その他の部分には絶縁性樹脂膜が形成されていても良い。
(4)実施例1ないし4のオゾン発生素子における陽極1、陰極2、固体高分子電解質膜3、陽極側押さえ板14及び陰極側押さえ板22は矩形であり、陽極側押さえ板14及び陰極側押さえ板22の大きさは40mm×30mm、厚さは2mmであるが、図7に示すように陽極1、陰極2及び固体高分子電解質膜3の形状は圧力ひずみが少ない円形としても良く、それに伴い陽極側押さえ板14及び陰極側押さえ板22の形状を円形としても良い。
さらに、陽極1、陰極2及び固体高分子電解質膜3の形状は、矩形及び円形以外の多角形、楕円形等どのような形状でも良く、オゾン発生素子の用途や必要なオゾン発生量によってその形状や面積を決定できる。
そして、陽極側押さえ板14及び陰極側押さえ板22の大きさや厚さは、決定された陽極1、陰極2及び固体高分子電解質膜3の形状や面積に応じて適宜変更される。
(5)実施例1ないし4のオゾン発生素子においては、ネジ18による圧締めを陰極側押さえ板22及び陽極側押さえ板14の周囲4ヶ所で行い、各ネジ18の締め付け圧はトルクドライバにより8kgf・cmであるが、実験結果によれば数kgf・cmから数十kgf・cmの範囲であればほぼ同様の効果が得られる。
また、圧締めはネジ18に限らず、ボルト及びナット、ビス止め並びにかしめなどの加圧手段を用いても良く、圧締め位置は周囲4ヶ所に限らず、電気化学素子接合体10全体を均一に加圧することができれば、陰極側押さえ板22及び陽極側押さえ板14の周囲3ヶ所でも周囲5ヶ所以上でも良い。
(6)実施例1ないし4のオゾン発生素子における陽極側押さえ板14及び陰極側押さえ板22は、開口率が約40%である複数の貫通穴31及び32を有しているが、実験結果によれば開口率は5〜90%でも概ね同様の効果が得られ、開口率が5〜90%あれば、陽極側押さえ板14及び陰極側押さえ板22の複数の貫通穴31及び32に代えて、矩形や円形等適宜の形状の1つの開口部としても良い。
(7)実施例1ないし4のオゾン発生素子における発熱体4は、シート状ヒーターに限らずセラミックヒータやペルチェ素子等、適宜の電源によって発熱する素子を用いたものであればどんなものでも良い。
(8)実施例1ないし4のオゾン発生素子においては、発熱体4で運転停止時における陽極側押さえ板14の温度を周囲温度よりも高く維持することによって、固体高分子電解質膜3に含まれる水分を除去するようにしたが、発熱体4を陰極側押さえ板22に設置して陰極側押さえ板22の温度を周囲温度よりも高く維持しても良いし、発熱体4を陽極側押さえ板14及び陰極側押さえ板22に設置して陽極側押さえ板14及び陰極側押さえ板22の温度を周囲温度よりも高く維持しても良い。
また、運転停止時に、直流電源と接続された実施例1又は2のオゾン発生素子を取り外して除湿機器又は除湿材を入れた除湿ケースに収納し、再びオゾン発生素子を稼動させる時には再び直流電源と接続し、2〜10V、好ましくは3Vの直流電圧を印加するようにしても良い。
さらに、運転停止時に除湿手段を稼働させることによって固体高分子電解質膜3に含まれる水分を除去するようにしても良い。ただし、その場合、煩雑な除湿手段を設置する必要が生じるので、薄くてコンパクトなオゾン発生素子を得難くなる。
(9)実施例1及び2では、複数の貫通穴31及び32を有する陰極側押さえ板22及び陽極側押さえ板14で電気化学素子接合体10を加圧する手段及び発熱体4で運転停止時における陽極側押さえ板14の温度を周囲温度よりも高く、好ましくは40℃以上に維持することにより、電気化学素子を用いたオゾン発生素子の性能を、多湿環境で間欠的な運転条件において長期に安定して維持できることを説明した。
しかし、このようなオゾン発生素子に限らず、固体高分子電解質膜を挟んで陽極と陰極を対峙させて直流電圧による電気化学反応によって同様に動作する他の電気化学素子である除湿素子、酸素発生素子、水素発生素子、電気化学ガス検知センサー等においても、実施例1及び2の陰極側押さえ板22及び陽極側押さえ板14と同様の押さえ板を用いて電気化学素子接合体を加圧することにより、固体高分子電解質膜と陽極触媒層及び陰極触媒層との接合面の剥離を防止できる。
また、実施例1及び2と同様に、他の電気化学素子においても、発熱体4で運転停止時における押さえ板の温度を周囲温度よりも高く、好ましくは40℃以上に維持することによって、固体高分子電解質膜に含まれる水分が除去され、陽極と陰極が十分に絶縁状態となり、電子流入による陽極触媒層及び陰極触媒層の変質が防止されて、その性能を長期に安定して維持することができる。
なお、除湿素子、酸素発生素子及び水素発生素子の陽極には、例えば多孔質なチタン製エキスパンドメタルからなる陽極基材に陽極触媒層として白金メッキを施したものが用いられる。
(10)実施例3は、実施例1又は2のオゾン発生素子50を空調機器51に設置したもの、実施例4は、実施例1又は2のオゾン発生素子50を冷蔵庫61に設置したものであるが、空調機器や冷蔵庫に限らず、空気清浄機、コタツや掃除機(例えば吸い込んだ空気を浄化するフィルターの前)などの家庭用機器内にも設置することができる。
また、自動車内にも設置することができる。この場合、光触媒を添着したフィルター又はオゾン分解触媒と併用するとさらに高い効果が得られる。
さらには、生ごみ処理機、ごみ収納機、食器収納容器、靴箱、ブーツ、シャワートイレ、ペットトイレなどの容器内又は機器内や、動物飼育室内、植物培養室内、クリーンベンチ内など比較的多湿な環境条件でも容易にオゾン発生素子50を設置することができ、長期に安定して殺菌、防カビ、脱臭の効果が得られる。
なお、これらの場合も当然ながらオゾン発生素子50を光触媒又はオゾン分解触媒などや電源としての電池類などと組合せ併用しても良い。
1 陽極 2 陰極 3 固体高分子電解質膜 4 発熱体
5 スペーサ 6 直流電源 8 ボルト
9 ナット 10 電気化学素子接合体 11 陽極リード端子
12 端子板 13 絶縁性樹脂板 14 陽極側押さえ板
15 導電性突起部 16 絶縁性樹脂膜 17 絶縁性樹脂の薄板
18 ネジ 19 絶縁性の樹脂パイプ
21 陰極リード端子 22 陰極側押さえ板
23 樹脂板
30 開口部 31 陽極側押さえ板14の複数の貫通穴
32 陰極側押さえ板22の複数の貫通穴
33 絶縁性樹脂の薄板17の複数の貫通穴 34 樹脂板13の開口部
35 絶縁性樹脂板12の開口部
36 陽極1と陰極2が対峙して成す電気化学反応部 38 切欠き部
39 陽極端子 40 陰極端子 41 ネジ穴 42 押さえ部
50 オゾン発生素子 51 空調機器 52 電源
53 熱交換器 54 ファン 55 活性炭を添着したフィルター
56 光触媒を添着したフィルター 57 集塵フィルター
58 空気吸引口 59空気吹き出し口 61 冷蔵庫
62 冷凍室 63 冷蔵室 64 野菜室 65 収納された野菜
66 冷気通路 80 金属の押さえ板 81 絶縁性樹脂製のシート

Claims (5)

  1. 導電性多孔体である基材に触媒層を有する陽極及び陰極を固体高分子電解質膜の表裏に接合してなる電気化学素子接合体と、
    貫通穴を有する一対の押さえ板と、
    該一対の押さえ板の間に前記電気化学素子接合体を挟んで保持するとともに、前記電気化学素子接合体が均一に加圧されるように前記一対の押さえ板を締め付ける圧締め手段と、
    前記一対の押さえ板又はいずれかの押さえ板に設置される発熱体と、
    前記電気化学素子接合体の運転停止時に前記発熱体を稼働させ、前記一対の押さえ板又はいずれかの押さえ板を周囲温度よりも高く維持する温度制御手段を有することを特徴とする
    電気化学素子。
  2. 貫通穴を有する絶縁性樹脂の薄板と、
    前記電気化学素子接合体を固定する開口部を有する絶縁性樹脂板と、
    絶縁性の樹脂板よりなり、陽極リード端子及び陰極リード端子を備えるとともに、開口部を有する端子板をさらに備え、
    前記一対の押さえ板のうちの陽極側押さえ板には陽極の一端部に接触する導電性突起部を設けるとともに、導電性突起部以外の表面は絶縁性樹脂膜で覆い、
    前記一対の押さえ板のうちの陰極側押さえ板には少なくとも前記陰極の他端部及び前記陰極リード端子に接触する導電面を設け、
    前記陽極側押さえ板、前記薄板、前記電気化学素子接合体、前記絶縁性樹脂板、前記陰極側押さえ板、前記端子板の順に重ねた積層体を、前記圧締め手段で締め付けたことを特徴とする
    請求項1の電気化学素子。
  3. 前記圧締め手段は、絶縁性の樹脂パイプを挿入した複数のネジであることを特徴とする
    請求項1又は2に記載の電気化学素子。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の電気化学素子をオゾン発生素子として有することを特徴とする空調機器。
  5. 請求項1ないし3のいずれかに記載の電気化学素子をオゾン発生素子として有することを特徴とする冷蔵庫。
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