JP2014220415A - 基板表面処理方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】一方の基板に対する表面処理により飛散するスパッタ粒子が他方の基板に影響をあたえずに、ライン式粒子ビーム源を用いた基板表面の処理方法及び処理装置を提供することを目的とする。【解決手段】2つの対向する基板の間に配置されたライン式粒子ビーム源を用いて、一方の基板の表面に対してビーム照射を行うことと、ビーム照射の際に、2つの基板の間に配置された遮蔽部材を用いて、一方の基板から放出される物質が他方の基板に付着することを防ぐことと、を備える基板表面処理方法。【選択図】 図1

Description

本願発明は、粒子ビーム源を用いた基板表面処理方法及びその装置に関する。
イオンビーム源などの粒子ビーム源を用いて基板表面をエネルギー粒子で照射する技術は、表面層のスパッタ除去、改質、或いは表面の活性化など種々の目的に広範に用いられている。一例として、いわゆる表面活性化による常温接合は、半導体や絶縁性基板の固相接合に応用され、常温又は低温でのプロセスで高い接合強度を得ることを可能にしている。
また、粒子ビーム源で加速された粒子の束(粒子ビーム)に加えて、所望の物質の粒子又はクラスターを、粒子ビームと同時に又は別に基板表面に堆積させることで、薄膜を形成し、又は表面をドープするなどの表面改質が行われている。これにより、上記表面活性化による常温接合の際に、例えば、シリコンの基板表面を表面活性化し、又は表面活性化した基板表面にシリコン薄膜を形成し、これらの表面に少量の所定の鉄などの遷移金属を堆積させることで、強固な接合強度を得ることができる。(特許文献1)
しかしながら、粒子ビーム源を用いる技術においては、エネルギー粒子(粒子ビーム)の照射が基板表面に亘って均一に行うことが困難な場合が多い。
たとえば、ビーム放射口が基板の寸法に対して小さい場合には、ビーム放射口から放射されるビームは次第に広がっていく。この場合、基板上の位置によって、衝突するビームの入射角、時間当たりの照射量などの照射条件が異なる。したがって、ビーム照射によるスパッタ除去速度や照射により得られる活性度などプロセスの結果における、基板上でのばらつきが生じうる。
より均一な粒子ビーム照射を行うために、ライン式粒子ビーム源を用いることができる。ライン式粒子ビーム源は、線状(ライン状;リニア;linear)のビーム放射口を有し、当該ビーム放射口から、ライン方向に延びた又はライン方向にある幅を有した線状の断面形状のビームを放射することができる。ライン式ビーム照射源は、ビームの照射量やエネルギーが、ライン方向に十分に均一となるように構成されうる。したがって、このライン式粒子ビーム源を、基板に対して相対的に移動させつつビームを照射することにより、基板上に極めて均一なビーム照射を行うことが可能になる。
特開2003−152027号公報
しかしながら、ライン式粒子ビーム源を用いても問題がある。ライン式或いは通常のエネルギー粒子源を用いて基板表面をエネルギー粒子で照射すると、基板表面の材料がスパッタ除去される。基板表面からスパッタ除去された材料(スパッタ粒子)は、原子やクラスターの状態でプロセス雰囲気中に飛散する。たとえば、基板接合のために一対の基板が対向して配置されている場合には、一方の基板表面の粒子ビーム照射中に、飛散したスパッタ粒子が他の基板表面に付着する。これにより、基板表面に不純物や不要な材料が堆積することになり、他の基板表面に対するエネルギー粒子照射の際に、スパッタ量を正確に制御できなくなり、又は当該基板表面を適切に処理することができなくなる場合がある。
一方の基板からのスパッタ粒子の他の基板への堆積を回避するためには、2つの基板が対向する構成を避け、たとえば、基板面方向に互いに十分に離間させる構成をとることもできる。しかし、この構成では、粒子ビーム照射を行うためのチャンバの容積を大きくすることになり、好ましくない。また、基板を対向させないで、一枚ずつビーム照射を行うこともできる。しかし、これでは、プロセス時間が増加し、ハンドリング時間が長いと、ビーム照射後の基板表面の特性が雰囲気との接触により悪化することになり、好ましくない。
また、ビーム照射源にグリッド部や放射口にコーン形状の金属体を設け、これらを所定の金属などのドーパント(添加物)材料で構成することなどにより、ビーム照射を行いつつ当該金属粒子をビームに混ぜて、基板に対して放射させることができる。これにより、基板面をドーパント材料でドープし、或いは基板の表面又は表面近傍に上記ドーパント材料を分布させることが可能になる。金属体は、粒子源と照射対象である基板との間でエネルギー粒子に曝される位置に設置しても同様な現象が得られる。
通常、ドーパントの基板への添加量は、正確に行われる必要がある。しかし、上記のドーパント材料を有する金属体を用いる場合には、ドーパントの基板への添加量は、上記金属体などのドーパント材料の形状、粒子ビーム源(エネルギー粒子源)や基板の照射面に対する位置、エネルギー粒子の種類や運動エネルギーなどにより規定される。したがって、これらの構成で、ドーパント材料の基板に対するドープ量を正確に制御することは困難である。
さらに、ドーパント材料は、基板表面に付着しつつも、同時に粒子ビーム源から放射された粒子ビーム(エネルギー粒子)の衝突により、基板表面の物質がスパッタリングにより除去される。基板表面に付着したドーパント材料のエネルギー粒子の衝突による除去量は、ドーパント材料の付着量とエネルギー粒子によるスパッタ量との大小関係により決まる。すなわち、スパッタ量がドーパントの付着量より大きければ、ドーパントはすべて除去される。ドーパント付着量がスパッタ量より大きければ、基板表面はスパッタ除去されつつも、その差に相当する量のドーパントが基板表面に付着され残ることになる。しかし、例えば基板固相接合(常温接合)において、所定の表面活性化を行うためのスパッタ量と接合強度を上げるためのドーパント付着量(添加量)との関係は、微妙である。少しの条件の相違により、この関係のバランスが一方からもう片方へと移りえる。そのため、上記の場合の構成において、この関係のバランスを微細に調整することは困難であった。
そこで、上記の少なくとも1つ又は複数の課題を解決するために、本願発明は、一方の基板に対する表面処理により飛散するスパッタ粒子が他方の基板に影響をあたえずに、ライン式粒子ビーム源を用いた基板表面の処理方法及び処理装置を提供することを目的とする。
またさらに、本願発明は、基板に対するビーム照射とスパッタ堆積とを独立に正確に制御する基板表面の処理方法及び処理装置を提供することをも目的とする。
本願において、ウエハ(以下、基板と称する。)は、板状の半導体を含むが、これに限定されない。ウエハ又は基板には、半導体以外にも、ガラス、セラミックス、金属、プラスチックなどの材料、又はこれらの複合材料により形成されていてもよい。剛性が高い材料も低い材料も含まれ、円形、長方形等の種々の形状に形成される。
本願において、「チップ」とは、半導体部品を含む成型加工半導体の板状部品、パッケージされた半導体集積回路(IC)などの電子部品等を示す広い概念の用語として与えられる。「チップ」には、一般に「ダイ」と呼ばれる部品や、基板よりも寸法が小さくて、複数個を当該基板に接合できるほどの大きさを有する部品又は小型の基板も含まれる。また、電子部品以外に、光部品、光電子部品、機械部品も含まれる。
上記の技術的課題を解決するために、本願発明に係る基板表面処理方法は、2つの対向する基板の間に配置されたライン式粒子ビーム源を用いて、一方の基板の表面に対してビーム照射を行うことと、ビーム照射の際に、2つの基板の間に配置された遮蔽部材を用いて、一方の基板から放出される物質が他方の基板に付着することを防ぐことと、を備えるようにしたものである。本願発明によれば、照射を行うと同時に、ライン式粒子ビーム源で一方の基板の表面を処理しつつ、当該基板からスパッタされる物質の他方の基板への付着又は堆積を防止することができる。よって、他方の基板の表面のスパッタ除去などの表面処理特性をより正確に制御し、また基板表面への不純物の堆積など望ましくない物質による汚染を防ぐことができる。したがって、表面活性化処理による基板固相接合を行う場合には、適切な表面活性化処理を行って、接合強度などの所定の特性に優れた接合界面を形成させることができるという効果を奏する。
本願発明に係る基板表面処理方法は、ライン式粒子ビーム源を用いて、スパッタ材料をスパッタさせて、ビーム照射が行われた基板表面上にスパッタ材料を堆積させることを更に備えるようにしてもよい。これにより、一つのライン式粒子ビーム源を用いて、基板の表面を直接粒子ビーム照射した直後または同時に、その基板表面に対してスパッタ堆積を行うことができる。したがって、ライン式粒子ビーム源を含む表面処理装置を小さく設計作成することができると共に、省スペース化により、基板周辺の雰囲気の制御が容易になる。
本願発明に係る基板表面処理方法は、遮蔽部材が、スパッタ材料を搭載可能な複数面を有し、遮蔽部材を、ライン式粒子ビーム源のライン方向に実質的に平行な軸周りに回転させて各面に搭載されたスパッタ材料をスパッタさせるようにしてもよい。遮蔽部材にスパッタ材料を搭載することで、ライン式粒子ビーム源を含む表面処理装置を更に小さく設計作成することができると共に、遮蔽とスパッタ処理とを効率的に入れ替えることができる。また、活性化工程と分離することでスパッタ量を適切に制御することができる。
本願発明に係る基板表面処理方法は、遮蔽部材が、板状であり、一方の面が遮蔽面として使用することができ、他方の面にはスパッタ材料が搭載され、処理対象の基板、当該処理対象の基板に対して行う表面処理がビーム照射であるか、スパッタ堆積であるかに応じて、遮蔽部材を回転させることを更に備えるようにしてもよい。これにより、遮蔽部材を回転して、ビーム照射の際のスパッタ粒子の遮蔽とスパッタ堆積とを効率よく選択的に行うことができる。
本願発明に係る基板表面処理方法は、スパッタ材料として複数面の一つの面にケイ素(Si)が搭載され、他の面に遷移金属が搭載された遮蔽部材を用いて、ビーム照射が行われた基板表面上にケイ素(Si)を堆積させ、堆積されたケイ素(Si)上に所定の量の遷移金属を堆積させるようにしてもよい。これにより、表面活性化した表面に、鉄などの遷移金属が適切な量だけドープされたケイ素(シリコン、Si)の薄膜を形成して、極めて高い接合強度を有する接合界面を、効率よく形成させることができる。
本願発明に係る基板表面処理方法は、ライン式粒子ビーム源が導電性カーボンを含むグリッドを有するようにしてもよい。これにより、ライン式粒子ビーム源からの鉄などの金属の放出を抑制し、金属の基板表面への堆積量を抑制することで、スパッタ材料に金属を用いて正確にスパッタ材料の基板表面への堆積量を所望の値となるように制御することができる。
本願発明に係る基板表面処理方法は、ライン式粒子ビーム源が、第1ライン式粒子ビーム源と第2ライン式粒子ビーム源とを有し、第1ライン式粒子ビーム源を用いて、基板表面に対してビーム照射を行い、第2ライン式粒子ビーム源を用いて、スパッタ材料をスパッタさせて、第1ライン式粒子ビーム源によりビーム照射が行われた基板表面上にスパッタ材料を堆積させるようにしてもよい。これにより、表面活性化処理をした直後または同時に、表面活性化処理された基板表面にスパッタ材料を堆積させることができるので、不純物の含有量が抑制され、高い活性の表面を形成することができる。その後、これらの表面を互いに接触させることで、高い接合強度を有する接合界面を形成させることができる。
本願発明に係る基板表面処理方法は、ライン方向に実質的に平行な軸周りに回転可能なライン式粒子ビーム源を、2つの基板間を移動させつつ、両基板の表面に対して片方ずつビーム照射を行うようにしてもよい。これにより、基板ごとに粒子ビーム源を配置することを必要とせず、一つ又は一組のライン式粒子ビーム源を用いて、2つの基板に対して表面処理を行うことができる。
本願発明に係る、ライン式粒子ビーム源を用いて基板表面に対してビーム照射を行う基板表面処理方法は、ライン式粒子ビーム源が、ライン方向に線状に配列され複数の粒子ビーム源を有し、基板のライン方向の大きさに対応する数のビーム照射源を作動させて、当該基板表面に対してビーム照射を行うようにしたものである。本願発明によれば、処理が行われる基板の寸法に合わせた長さの粒子ビームを放出することができる。たとえば、小さいサイズの基板表面に対して、基板のライン式粒子ビーム源の長手方向(ライン方向)のサイズに合わせた長さの粒子ビームを照射することができる。これにより、表面処理すべき基板表面領域以外の箇所へのビーム照射による、不要な物質の雰囲気への放射を抑制し、清浄な処理雰囲気を保つことができ、接合面を接合させる場合にも高い接合強度の接合界面を形成させることができる。さらに、粒子ビーム源の作動を省力化することもできる。
本願発明に係る表面処理方法は、線状に配列され複数の粒子ビーム源の各々に接続された指揮系統を通じて、処理する基板のサイズに応じて、放射する粒子ビームのライン方向の大きさを変えることを更に備えるようにしたものである。本願発明によれば、一つのライン式粒子ビーム源で、多くのサイズの基板に対して表面処理を行うことができる。よって、多品種プロセスを効率よく実施することができる。
また上記の技術的課題を解決するために、本願発明に係る基板表面処理装置は、2つの対向する基板の間に配置され、選択的に一方の基板の表面に対してビーム照射を行うライン式粒子ビーム源と、2つの基板の間に配置され、ビーム照射を受ける基板から他の基板へ向けて飛散する物質を遮蔽する遮蔽部材と、を備えて構成されるようにしたものである。本願発明によれば、ライン式粒子ビーム源を用いて一方の基板に対して均一な粒子ビーム照射を行うと同時に、ライン式粒子ビーム源で一方の基板の表面を処理しつつ、当該基板からスパッタされる物質の他方の基板への付着又は堆積を防止することができる。よって、他方の基板の表面のスパッタ除去などの表面処理特性をより正確に制御し、また基板表面への不純物の堆積など望ましくない物質による汚染を防ぐことができる。したがって、表面活性化処理による基板固相接合を行う場合には、適切な表面活性化処理を行って、接合強度などの所定の特性に優れた接合界面を形成させることができる。
本願発明に係る基板表面処理装置は、ライン式粒子ビーム源と遮蔽部材とが、2つの基板の間で並進可能であるように構成されてもよい。これにより、ライン式粒子ビーム源を走査(スキャン)することで比較的大きな面積の基板に対して均一に粒子ビーム照射を行うことができる。
本願発明に係る基板表面処理装置は、2つの対向する基板の間に配置されるスパッタ部材を更に有し、ライン式粒子ビーム源が、基板とスパッタ部材とに対して選択的にビーム照射を行うことができるように構成され、スパッタ部材が、ライン式粒子ビーム源によるビーム照射を受けてスパッタ材料を基板表面に向けてスパッタさせるように構成されてもよい。これにより、一つのライン式粒子ビーム源を用いて、一方の基板に対する粒子ビーム照射と、スパッタリングによる堆積とを選択的又は交互に行い、同時に他方の基板への望ましくないスパッタ粒子の付着を回避することができる。したがって、たとえば、一方の基板に粒子ビーム照射により基板表面を活性化させ、高い付着力の薄膜を形成し、他方の基板に対しても同様に高い付着力の高品質の薄膜を形成することができる。
本願発明に係る基板表面処理装置は、遮蔽部材が、ライン式粒子ビーム源のライン方向に実質的に平行な回転軸を有し、当該回転軸に平行な複数面を有し、当該複数面が、ビーム照射を受ける基板から他の基板へ向けて飛散する物質を遮蔽する遮蔽面と、スパッタ材料を搭載可能なスパッタ面とを有するように構成されてもよい。これにより、遮蔽部材を回転させて、選択的に、基板への粒子ビーム照射時には遮蔽面でスパッタ粒子の他の基板への飛散を防ぎ、スパッタリングによる堆積時には所定のスパッタ材料を搭載するスパッタ面に対してライン式粒子ビーム源からの粒子ビームを照射してスパッタリングを行うことができる。
本願発明に係る基板表面処理装置は、対向する2つの基板の間に配置されるスパッタ材料を更に有し、ライン式粒子ビーム源が、第1ライン式粒子ビーム源と第2ライン式粒子ビーム源とを有し、第1ライン式粒子ビーム源が基板表面に対してビーム照射を行い、第2ライン式粒子ビーム源がスパッタ材料に対してビーム照射を行い、スパッタ材料が、第2ライン式粒子ビーム源によるビーム照射によって基板表面に向けてスパッタ材料をスパッタさせるように構成されてもよい。これにより、2つのライン式粒子ビーム源の各々が基板表面に対するビーム照射とスパッタ堆積とを役割分担して同じスキャンで行うことができる。したがって、基板表面の活性化処理の直後に、付着力の極めて高く高品質の薄膜を形成することができる。更に、表面処理プロセスを高速に行うことができる。
本願発明に係る基板表面処理装置は、ライン式粒子ビーム源が導電性カーボンを含むグリッドを有するように構成されてもよい。これにより、粒子ビームの衝突が最も頻繁に発生するグリッド部を、金属でなくカーボンで形成することで、ライン式粒子ビーム源からの望ましくない金属の放射を回避又は抑制することができる。たとえば、スパッタ材料としてシリコンと鉄とを用いて、シリコン薄膜を形成後、当該シリコン薄膜を鉄でドープする場合に有効である。従前は、グリッドなどライン式粒子ビームからの金属の放射量が制御困難であった。本願発明の当該態様によれば、処理される基板表面への金属のドープ量又はドープ条件は、微調整が可能なスパッタ部材からのスパッタ条件の制御により微細にかつ正確に制御することができる。
本願発明に係る基板表面処理装置は基板接合装置であってもよい。これにより、不純物の混入が少なく、かつ所望の特性を有する接合界面を形成することができる。
本願発明に係るライン式粒子ビーム源は、ライン方向に線状に配列され、個別に作動可能な複数のビーム照射源を有して構成されるようにしたものである。本願発明によれば、同じライン式粒子ビーム源を用いても、ライン方向のサイズが適切となる所定の粒子ビーム源のみを作動させて、粒子ビームを照射する対象の基板サイズに応じた粒子ビームを放射することができる。したがって、多品種の基板に対して表面処理を行うことができる。
本願発明に係るライン式粒子ビーム源は、線状に配列され複数の粒子ビーム源の各々に接続され作動指令を与え指揮系統を更に有し、当該指揮系統を通じて、放射する粒子ビームのライン方向の大きさを変えることができるように構成されてもよい。これにより、一つのライン式粒子ビーム源で、多くのサイズの基板に対して表面処理を行うことができる。よって、多品種プロセスを効率よく実施することができる。
本願発明に係る粒子ビーム源は、加速された粒子が接触する基板表面周りの雰囲気及び筐体内部を、非作動中に、不活性ガスで充填し、充填した不活性ガスを排気することができるように構成したものである。加速粒子がグリッド及び筐体内部などに衝突すると、これらの表面の物質が弾き飛ばされ又は削られることで、不純物粒子が雰囲気中に生成される。この不純物粒子は、汚染物として、グリッド及び筐体内部の雰囲気に留まって浮遊する。したがって、この状態で続けて粒子ビーム源を作動すると、粒子ビーム(エネルギー粒子)の放射とともに、不純物粒子が粒子ビーム源から放出され、処理される基板表面にパーティクル(汚染物粒子)として付着する。パーティクル等の不純物の付着は、基板表面処理過程では、基板表面の特性を悪化させ、又は基板接合過程では、パーティクルの付着箇所を中心にその近傍で基板表面の接触を妨げ、接合界面でのボイドを発生させる原因となりうる。本願発明に係る粒子ビーム源は、筐体等の内部に粒子ビーム源のグリッド及び筐体内部に浮遊する不純物を、各作動又は一定量の作動ごとに、不活性ガス(パージガス)を導入して、不純物粒子をパージガスと共に外部へ排気することができる。よって、粒子ビーム源内部を比較的清浄に保ち、汚染原因としてのパーティクル等の発生を抑制することができる。したがって、本願発明により、清浄な基板表面処理又は基板接合を行うことが可能になる。
本願発明によれば、ライン式粒子ビーム源で一方の基板の表面を処理しつつ、当該基板からスパッタされ飛散する物質が他方の基板に付着又は堆積することを防止することができる。したがって、他方の基板の表面のスパッタ除去などの表面処理特性をより正確に制御し、また基板表面への不純物の堆積など望ましくない物質による汚染を防ぐことができる。したがって、表面活性化処理による基板固相接合を行う場合には、適切な表面活性化処理を行って、接合強度などの所定の特性に優れた接合界面を形成させることができるという効果を奏する。
本願発明に係る基板表面処理装置の構成を示す概略正面図である。 ライン式粒子ビーム源を有する基板表面処理手段の構成を示す概略斜視図である。 基板表面処理過程を示す概略正面図である。 基板接合過程を示す概略正面図である。 一変形例に係る基板表面処理過程を示す概略正面図である。 一変形例に係る基板表面処理過程を示す概略正面図である。 一変形例に係る基板表面処理過程を示す概略正面図である。 一変形例に係る基板表面処理過程を示す概略正面図である。 複数のライン式粒子ビーム源を有して構成されるライン式粒子ビーム源の正面図である。 複数のライン式粒子ビーム源を有して構成されるライン式粒子ビーム源の平面図である。 中性高速原子ビーム源の断面図である。 イオンビーム源の断面図である。 一変形例に係る基板表面処理過程を示す概略正面図である。
以下、添付の図面を参照して本願発明に係る実施形態を説明する。
<1.基板表面装置の構成、及び基板表面処理方法>
図1は、本発明の一実施形態に係る基板表面処理装置100の内部の概略構造を示す正面図である。ライン式粒子ビーム源の構成や動作を説明する前に、まず全体の装置構成を説明する。なお、以下、各図においては、便宜上、XYZ直交座標系を用いて方向等を示している。
基板表面処理装置100は、真空チャンバ200と、被接合物である基板301,302を対向して支持し、両基板の相対的な位置決めをする基板支持手段400と、基板の相対的位置関係を測定する位置測定手段500と、対向して支持された基板301,302の表面に対して表面処理を行う表面処理手段600と、を有して構成されている。
<真空チャンバ>
真空チャンバ200は、後述の基板支持手段400のステージ401,402と表面処理手段600とを収容する。また、真空チャンバ200は、内部を真空引きするための真空引き手段として、真空ポンプ201を備える。当該真空ポンプ201は、排気管202と排気弁203とを介して真空チャンバ200内の気体を外部に排出するように構成されている。
真空ポンプ201の吸引動作に応じて真空チャンバ200内の圧力が低減(減圧)されることによって、真空チャンバ200内の雰囲気は真空又は低圧状態にされる。また、排気弁203は、その開閉動作と排気流量の調整動作とによって、真空チャンバ200内の真空度を制御、調整することができる。
真空ポンプ201は、真空チャンバ200内の気圧を1Pa(パスカル)以下にする能力を有する。真空ポンプ201は、以下で説明する表面処理手段(粒子ビーム源)600が作動する前のバックグラウンド圧力を、1×10−2Pa(パスカル)以下にする能力を有することが好ましい。真空ポンプ201は、表面処理手段600が粒子ビーム源で1eVから2keVの運動エネルギーを有する粒子(エネルギー粒子)を放射する場合には、1×10−5Pa(パスカル)以下にする能力を有することが好ましい。これにより、粒子ビーム源600による表面処理中の雰囲気に存在する不純物の量を低減させ、表面処理後に、新生表面の不要な酸化や新生表面への不純物の付着などを防ぐことができる。さらに、粒子ビーム源600は、比較的高い加速電圧を印加することができるので、比較的高い真空度では、高い運動エネルギーを粒子に付与することができる。したがって、効率良く表面層の除去及び新生表面のアモルファス化を行い、表面を活性化することができると考えられる。
真空ポンプ201の作動により比較的高い真空に引くことで、粒子ビームの照射により基板表面の表面層から除去された物質が効率よく雰囲気(真空チャンバ200)外へ排気される。すなわち、露出された新生表面へ再び付着し汚染するような、望ましくない物質が雰囲気外へ効率よく排気される。
<基板支持手段>
図1に示す基板支持手段400は、基板301,302を支持するステージ401,402と、それぞれのステージを移動させるステージ移動機構403,404と、Z軸方向に基板同士を加圧する際の圧力を測定する圧力センサ408,411と、基板を加熱する基板加熱手段420とを有して構成されている。
基板301,302は、ステージ401,402の支持面に取り付けられる。ステージ401,402は、機械式チャック、静電チャックなどの保持機構を有し、これにより基板を支持面に固定して保持し、又は保持機構を開放することで基板を取り外すことができるように構成されている。
図1において下側の第1ステージ401は、スライド式の第1ステージ移動機構403を有して構成され、これにより、第1ステージ401は、真空チャンバ200に対して又は上側の第2ステージ402に対してX方向に並進移動することができる。
図1において上側の第2ステージ402は、アラインメントテーブルとも呼ばれるXY方向並進移動機構405を有し、これにより第2ステージ402は真空チャンバ200に対して又は下側の第1ステージ401に対して、XY方向に並進移動することができる。
第2ステージ402は、アラインメントテーブル405に連結されたZ方向昇降移動機構406を有し、これにより第2ステージ402は、上下方向又はZ方向に移動し、両ステージ401,402間のZ方向の間隔を変え又は調節することができるように構成されている。また、両ステージ401,402は、保持する基板301,302の対向する接合面同士を接触させ、又は接触後に加圧することができる。
したがって、図1に示す基板表面処理装置100は、基板接合装置としても使用することができる。
Z方向昇降移動機構406には、そのZ軸に係る力を測定するZ軸圧力センサ408が配置され、これにより加圧下で接触している接合面に垂直方向に係る力を測定し、接合面に係る圧力を計算することができる。Z軸圧力センサ408には、例えばロードセルを用いてもよい。
アラインメントテーブル405と第2ステージ402との間には、3つのステージ圧力センサ411と、各ステージ圧力センサ411においてZ軸方向にピエゾアクチュエータ412とが設けられている。各ステージ圧力センサ411とピエゾアクチュエータ412の組は、第2ステージ402の基板支持面上の非同一線上の異なる3つの位置に配置されている。より詳細には、3つのステージ圧力センサ411と、3つのピエゾアクチュエータ412とにより構成される各組は、略円柱状の第2ステージ402の略円形上面内の外周部付近において略等間隔で配置されている。また、3つの圧力検出センサ411は、対応する各ピエゾアクチュエータ412の上端面とアライメントテーブル405の下面とを接続している。これにより、ステージ圧力センサ411により基板の接合面に掛かる力又は圧力の分布を測定することができる。そして、ピエゾアクチュエータ412を互いに独立にZ方向に伸縮させることで上記力又は圧力の分布を微細又は正確に調節し、或いは基板の接合面に掛かる力又は圧力を、接合面に亘って均一又は所定の分布にするように制御することができる。
第2ステージ402には、Z軸周り回転移動機構407が設けられ、第2ステージ402をZ軸周りに回転させることができる。回転移動機構407により、第2ステージ402を第1ステージ401に対してZ軸周りの回転位置θを制御して、両基板の回転方向の相対的位置を制御することができる。
なお、図1に示す実施例では、Z方向昇降移動機構406は、基板支持手段400に連結されて構成されているが、これに限られない。たとえば、真空チャンバ200内で基板同士を接触させ接合させるのではなく、表面処理を行った後に、真空チャンバ200以外のチャンバに移動して、基板同士を接触させ接合させる接合機構(図示せず)を配置してもよい。
<位置測定手段>
図1に示す基板表面処理装置100は、基板301,302の相対的位置関係を測定するための位置測定手段500として、真空チャンバ200に設けられた窓503と、光源(図示せず)と、光源から発せられ両基板301,302のマークが設けられた部分(図示せず)を通過して上記窓503を通過して真空チャンバ200の外部に伝播する光と上記マークの影とを撮像する複数のカメラ501,502とを有して構成されている。
図1に示される位置測定手段500は、Z方向に伝播する光をXY面方向に屈折させるミラー504,505を有し、カメラ501,502はY方向に屈折した光を撮像するように配置されている。この構成により、Z軸方向の装置の大きさを小さくすることができる。
図1では、カメラ501,502は、それぞれ、同軸照明系を有している。光源は、第1ステージ401の上側に設けられてもよく、また、カメラ501,502側からその光軸を進むように光を発するように設けられてもよい。なお、カメラ501,502の各同軸照明系の光としては、基板301,302のマークが附された部分及び両ステージなどの光が通過すべき箇所を透過する波長領域(例えば基板がシリコンで出来ている場合には、赤外光)の光を用いる。
<基板のアラインメント手法>
本基板表面処理装置100は、上記位置測定手段500と、ステージの位置決めをする各移動機構と、これらに接続されたコンピュータ700とを用いて、水平方向(X及びY方向)並びにZ軸周りの回転方向(θ方向)について、基板301,302の各々の真空チャンバ200内の位置(絶対的位置)又は基板301,302間の相対的位置とを測定及び制御することができるように構成されている。
基板301,302には、測定用の光が通過する箇所が規定されており、ここにマークが附されていて、通過光の一部を遮断又は屈折させる。カメラ501,502が通過光を受光すると、明視野像である撮影画像内でマークは暗く現れる。マークは、好ましくは、基板に複数個、例えば基板の対向する2つの角に設けられている。これにより、複数個のマークの位置から、基板301又は302の絶対的位置を特定することができる。
好ましくは、基板301,302の対応する箇所、例えば接合時にZ方向に重なり合う位置に、対応するマークが附されている。基板301,302の両方のマークを同じ視野内で観測して、その相対的ずれ(Δx,Δy)を測定する。複数個所での相対的ずれ(Δx,Δy)を測定することで、基板301,302間の相対的位置(ΔX,ΔY,Δθ)を計算することができる。
基板301,302間の相対的位置(ΔX,ΔY,Δθ)に対応して、コンピュータ700から指示を出して、各ステージ401,402の移動機構に基板を(−ΔX,―ΔY,―Δθ)だけ移動させる。
基板301,302の相対的位置を正確に測定するために、一旦接近又は接触させてもよい。この場合、各ステージ401,402を移動させる際には、また基板301,302を離間させるようにしてもよい。
相対的位置の測定及び位置決め動作は、複数回繰り返して行ってもよい。
<基板加熱手段>
図1のステージ401,402は、それぞれ基板加熱手段420として、ヒータ421,422を内蔵している。ヒータ421,422は、例えば電熱ヒータでジュール熱を発するように構成される。ヒータ421,422は、ステージ401,402を介して熱を伝導させ、ステージ401,402に支持されている基板301,302を加熱する。ヒータ421,422が発する熱量を制御することで、基板301,302の温度や各基板の接合面の温度を調節し制御することができる。
<表面処理手段>
表面処理手段600は、図1及び図2に示すように、ライン式粒子ビーム源601と、遮蔽部材602とを有して構成されている。図1及び図2では、表面処理手段600は、更に、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602とを基板301,302に対して平行に移動させ、又はライン式粒子ビーム源601等のライン方向(X方向)周りに揺動させるビーム源移動機構603とを有して構成されている。
図2は、ライン式粒子ビーム源601を有する表面活性化手段600の構成をより分かり易く説明するための鳥瞰概略図である。
図2に示すように、ライン式粒子ビーム源601は、ライン方向又は長手方向をX方向と平行になるように配置されている。遮蔽部材602は、長方形の板状に形成され、その長手方向の長さはライン式粒子ビーム源601の長手方向の長さとほぼ同じであり、ライン式粒子ビーム源601のライン方向と平行に、X方向と平行になるように配置されている。
ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602とは、ビーム源移動機構603により、そのY方向の間隔を一定に保ちつつ、両者の長手方向にほぼ垂直方向であるY方向に並進移動するように構成されている。Y方向の間隔を一定に保つために、ライン式粒子ビーム源601とビーム源移動機構603とを機械部材で連結してもよい。また、ライン式粒子ビーム源601とビーム源移動機構603とを同じ速度で移動させることで、Y方向の間隔を一定に保ってもよい。
Y方向に張られた複数のリニアガイド604,605,606が、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602との長手方向の両端を支持しつつ、Y方向に所望の距離を並進移動させ又は所望の位置に位置決めさせることができる。
図2では、リニアガイド604は、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602とのそれぞれの一端をY方向に移動可能に支持している。このリニアガイド604は、Y方向に延びるネジ604aと、ネジ604aの長手方向の回転により動くナット604bと、ネジ604aを回転させるサーボモータ604cとを有して構成されている。ナット604bは、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602とをX方向の各回転軸周りに回転可能に、かつXYZ方向に固定して支持している。このナット604bは、図2においては、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602との間のY方向の間隔又は距離を一定に保つ機能も有している。
リニアガイド605及び606は、Z方向にずれて平行に配置されていて、それぞれ、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602との他端をY方向に移動可能に支持している。さらに、リニアガイド605,606は、回転式リニアガイドであり、それぞれの長手軸方向の軸周りに回転可能であり、当該回転を、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602とのライン方向(X方向)の回転軸609,610周りの回転運動に変換して伝達する機構を有している。具体的には、各回転式リニアガイド605,606は、Y方向に平行移動可能な回転ギア607L,608Lを有し、それぞれ、ライン式粒子ビーム源601に連結された回転ギア607Gと遮蔽部材602に連結された回転ギア608Sと歯車で連結されている。回転ギア607L,608L,607G,608Gは、傘歯車であり、噛み合う回転ギア間で回転運動を垂直回転軸周りの回転運動に変換して伝達することができる。これらのギアには、傘歯車を用いているが、これに限られない。例えばウォームギアを採用してもよい。
上記の構成により、回転式リニアガイド605,606をX方向軸周りに回転又は揺動させ、この回転角によって、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602とのY方向軸周りの揺動を制御又は設定することができる。
また、回転式リニアガイド605,606は、それぞれ個別にライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602に連結され、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602とのY方向軸周りの回転角を独立に制御又は設定することができるように構成されている。
ライン式粒子ビーム源601は、回転軸609周りで基板301表面に対して所定の角度を保ったまま、粒子ビームBを放射しつつ、基板301上をY方向に並進移動することができる。ある時刻において、ライン式粒子ビーム源601は、基板301上のX方向に伸びた帯状の照射領域Rを粒子ビームBで照射しており、Y方向の並進移動にともない、照射領域Bは基板310の表面をスキャンする。
遮蔽部材602は、ライン式粒子ビーム源601とのY方向の上記所定の間隔を有して配置され、ライン式粒子ビーム源601のビーム照射により基板301から飛散するスパッタ粒子を遮蔽するように、回転軸610周りで基板301表面に対して所定の角度を保ちつつ、ライン式粒子ビーム源602と共にY方向に並進移動する。
粒子ビームBの放射条件を一定に保ったまま一定速度でスキャンをすることで、基板301全面に亘り極めて均一な条件で粒子ビーム照射を行うことができる。粒子ビームBの基板上の単位面積当たりの照射量は、粒子ビーム源601の基板301に対するスキャン速度によっても調整することができる。
図3A,図3Bに示すように、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602とは、それぞれ回転軸609,610周りに回転可能に構成されている。したがって、基板301に対して粒子ビーム照射スキャンを行った後に(図3A)、基板302に対しても、基板301と同様の工程を実行することができる(図3B)。
基板301に対して粒子ビーム照射スキャンを行う場合(図3A)と、基板302に対して粒子ビーム照射スキャンを行う場合(図3B)との各々に応じて、遮蔽部材602とライン式粒子ビーム源601とは、各々の回転角αとβ(基準任意)が、それぞれ所定の回転角αI1とβI1(図3A)、αI2とβI2(図3B)に設定できるように構成されている。
すなわち、図3Aに示すように、基板301に対して粒子ビーム照射スキャンを行う場合には、ライン式粒子ビーム源601を所定の角度αI1に設定し、遮蔽部材602の遮蔽面611を所定の角度βI1に設定しほぼ基板301に向け、粒子ビーム照射によるスパッタで基板301から飛散してくるスパッタ粒子Pを当該遮蔽面611で遮断する。これにより、対向して配置された他方の基板302には、基板301からのスパッタ粒子が付着しないようにし、又はその付着量を最小限に抑制することができる。
そして、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602とは、上記の回転角αI1,βI1に保たれたまま、基板301上を走査(スキャン)される。これにより、ビーム照射領域RI1が基板301上をスキャンして、基板301表面全体に亘り均一にビーム照射を行うことができる。
このような構成により、図3Aに示すように、基板302にスパッタ粒子Pが付着することは回避又は最小限に抑えつつ、基板301に対する粒子ビーム照射をスキャンすることができる。したがって、その後、基板302に対する粒子ビーム照射をほぼ理想的に行うことができる。すなわち、基板301に対する粒子ビーム照射中に基板302上にスパッタ粒子Pが付着してしまうと、これを除去するために本来基板302のみの処理に比べ粒子ビーム照射時間を長く設定することが必要となる。あるいは、望ましくない不純物が基板302上に付着している場合には、粒子ビーム照射による原子の衝突により当該不純物が基板302母材内に潜り込み又は混合(ミキシング)を起こすため、基板302の表面近傍を改質することがありえる。本願発明によれば、このような不具合を回避又は最小限に抑制することができる。
また、図3Bに示すように、基板302に粒子ビーム照射を行う際に、基板302から飛散するスパッタ粒子を遮蔽部材602でブロックする。したがって、粒子ビーム照射を完了した基板301の領域RI1へのスパッタ粒子Bの付着を回避又は抑制することができる。これにより、粒子ビーム照射で得られた基板301表面領域RI1の所定の性質を維持することができる。たとえば、本願発明は、常温固相接合するために両基板301,302の表面を活性化処理するために有効である。一旦粒子ビーム照射により表面活性化された基板301表面は、基板302表面の表面活性化処理の間も、その活性度を維持することができる。したがって、交互に基板表面を活性化しても接合強度が高く、不純物の混入が少ない固相接合界面を形成することができる。
図3A、図3Bのように、ライン式粒子ビーム源601と板状の遮蔽部材602とは、X方向に平行な回転軸周りに回転可能であるので、互いに近接して配置されてもよい。たとえば、板状の遮蔽部材602が基板面に平行な状態で、基板301に対するビーム照射が終わった後に、ライン式粒子ビーム源601のみを基板302に向けて回転させると、ライン式粒子ビーム源601が板状の遮蔽部材602に衝突又は接触する程度に近接して配置されていてもよい。このような場合には、板状の遮蔽部材602のライン式粒子ビーム源601側の辺を基板301側に近づくように板状の遮蔽部材602を回転させ、次にライン式粒子ビーム源601を基板302に向けて回転させることで板状の遮蔽部材602に接触せずに基板302に向くように姿勢を変更させることができる。その後、板状の遮蔽部材602は、基板302のビーム照射のために、回転して基板面に平行な位置に位置決めさせることができる。これは、以下の変形例においても同様である。
なお、図3Bでは、ライン式粒子ビーム源601は基板302に対して図面上左から右(−Y方向)へ移動しているが、右から左(+Y方向)に移動しつつ粒子ビーム照射を行ってもよい。ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602とを基板301に対して左から右へ移動させて粒子ビーム照射を行い、基板302に対して右から左へ移動させて粒子ビーム照射を行ってもよい。これにより、いずれの基板にも同じ方向(例えば図面上左から右)に移動させて粒子ビーム照射を行う場合よりも、移動距離を短くすることができるのでプロセス効率が向上する。
すなわち、基板302に対して、基板302に対する粒子ビーム照射をスキャンして実行しつつ、これに併せて基板302から飛散するスパッタ粒子を遮蔽して基板301に付着するのを防ぐことができる。
ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602との間隔は常に同じである必要はない。たとえば、スパッタ粒子の飛散方向が、スキャン方向の相違などにより、基板301と基板302とで異なる場合には、上記間隔を変えてもよい。すなわち、遮蔽部材602は、粒子ビーム照射の各条件で、飛散するスパッタ粒子を効率よく遮蔽して、他の基板へ到達することを回避又は最小限に抑制する寸法、形状又は姿勢となるように構成されればよい。
たとえば、所定のプロセス又はスキャンごとに、ライン式粒子ビーム源601の基板表面になす角度、粒子ビーム(エネルギー粒子)の種類や運動エネルギー、基板表面の材料、表面形状や結晶方向等々のビーム照射の条件に応じて、スパッタ粒子の飛散方向や飛散角度が変わる。したがって、所定のビーム照射の条件に応じて、飛散するスパッタ粒子を効率よく遮蔽するように、遮蔽部材602の角度や大きさ、ライン式粒子ビーム源601や基板301,302に対する位置又は姿勢等を変更することができるように装置が構成されてもよい。
たとえば、接合工程のために表面処理が行われた両基板表面を接触させることができるように、粒子ビーム源601や遮蔽部材602などの、処理中に基板間に位置する部材は、基板間の空間の外部に移動することができるように構成されることが好ましい(図3C及び図3D)。たとえば、粒子ビーム源601と遮蔽部材602等は、表面処理の際に並進移動するY方向に、基板間の空間から退去できるように構成されることが好ましい。
これにより、所定の表面処理が完了し次第、粒子ビーム源601と遮蔽部材602等は、速やかに基板間の空間から退去して(図3C)、基板表面同士を接触させる(図3D)ことができる。よって、処理後の基板表面の残留雰囲気への露出による、残留雰囲気からの望ましくない不純物の付着を最小限に抑えて、清浄で接合強度の高い接合界面を効率よく形成させることができる。
なお、基板表面同士を接触させる際に加圧してもよい。
なお、上記実施例では、ライン式粒子ビーム源601と遮断部材602とは、2つの基板間を基板面に対して平行方向に移動するように構成されているが、これに限られない。基板が2次元的に平坦ではない場合など種々の場合に応じて、ライン式粒子ビーム源601等が基板間で適切な移動をするように装置が構成されてもよい。
また、上記実施例では、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602とは、長手方向をライン方向(X方向)にほぼ平行に配置され、ライン方向(X方向)にほぼ垂直方向(Y方向)に並進移動するように構成されているが、これに限られない。ライン式粒子ビーム源601等の長手方向は、並進移動方向に対して垂直(90度)でなくてもよく、たとえば、所定の角度(60度、45度)をなすように装置が構成されてもよい。当該所定の角度は、スキャンごとに可変であるように装置が構成されてもよい。
なお、図3に示す例では、ライン式粒子ビーム源601は、単一のライン式粒子ビーム源601により構成され、両基板301,302に対してビーム照射ができるように構成されていたが、これに限られない。たとえば、ライン式粒子ビーム源601は、複数のライン式粒子ビーム源601により構成されてもよい。
たとえば、図11A,図11Bに示すライン式粒子ビーム源601は、第1ライン式粒子ビーム源6011と第2ライン式粒子ビーム減6012とを有して、2つの対向する基板間に配置されている。第1ライン式粒子ビーム源6011は第1基板に対してビーム照射を行い、第2ライン式粒子ビーム源6012は第2基板に対してビーム照射を行うことができるように構成することもできる。
この場合、遮蔽部材602は、基板間に配置され、両基板から飛散するスパッタ粒子を遮蔽する。すなわち、遮蔽部材602の基板301に向いた面6021は、第1基板用ライン式粒子ビーム源(第1ライン式粒子ビーム源)6011のビーム照射により基板301から基板302に向けて飛散するスパッタ粒子を遮蔽して、当該スパッタ粒子が基板302に付着することを回避又は最小限に抑えるように構成されている。一方、遮蔽部材602の基板302に向いた面6022は、第2基板用ライン式粒子ビーム源(第2ライン式粒子ビーム源)6012のビーム照射により基板302から基板301に向けて飛散するスパッタ粒子を遮蔽して、当該スパッタ粒子が基板301に付着することを回避又は最小限に抑えるように構成されている。
遮蔽部材602は、板状に形成されている。両基板の対向する表面が平行である場合には、板状の遮蔽部材602は、その板の面方向が両基板の表面に平行となるように配置される。この構成により、効率よい基板表面処理を行うことができると共に、基板表面処理装置を小さく構成することができる。
ライン式粒子ビーム源6011,6012を作動させて基板301,302に対して粒子ビーム照射を行いつつ、両ライン式粒子ビーム源6011,6012及び遮蔽部材602をY方向又は基板面に平行方向に並進移動させることで、両基板に対する粒子ビーム照射処理を同一スキャンで行うことができる。したがって、効率よく、清浄な基板表面処理が可能になる。
2つの対向する基板が平行に配置されている場合には、図11A、図11Bに示すように、両基板の対称中心面に対して鏡面対照となるように、両ライン式粒子ビーム源6011,6012及び遮蔽部材602を配置することが好ましい。この構成で、両ライン式粒子ビーム源6011,6012及び遮蔽部材602を基板301,302に対して、同一速度でスキャンし、或いはそれらの間の相対的位置関係を維持しつつスキャンすることができる。これにより、両基板301,302に対して同時にビーム照射を行い、かつビーム照射により各基板301,302から飛散するスパッタ粒子を同時に遮蔽することができる。したがって、両基板に対して清浄な基板表面処理を同時に、極めて効率よく行うことが可能になる。
図11Aに示す構成では、第1基板用ライン式粒子ビーム源6011と第2基板用ライン式粒子ビーム源6012とは、遮蔽部材602に対して進行方向側に配置され、Y方向から方向が逆でほぼ同じ角度である回転角α1I1とα2I1に設定されている。両基板用ライン式粒子ビーム源6011,6012は、それぞれ基板301,302のほぼ同じY方向位置のビーム照射領域RI1とRI2とにビーム照射を行うことができる。板状の遮蔽部材602は、適切な形状を有し、両基板用ライン式粒子ビーム源6011,6012に対して適切なY方向位置に配置されることで、両基板301,302から飛散するスパッタ粒子を遮蔽することができる。
なお、図示しないが、第1基板用ライン式粒子ビーム源6011と第2基板用ライン式粒子ビーム源6012とは、その両方が、遮蔽部材602に対して進行方向と逆側に配置されていてもよい。
図11Bに示す構成では、第1基板用ライン式粒子ビーム源6011と第2基板用ライン式粒子ビーム源6012とは、それぞれ、遮蔽部材602に対して進行方向側と進行方向と逆側に配置されている。この場合は、遮蔽部材602の長手方向軸を中心にほぼ回転対称に配置されている。遮蔽部材602は、両基板用ライン式粒子ビーム源6011,6012のほぼ中心に位置しており、適切な形状を有することで、両基板301,302から飛散するスパッタ粒子を遮蔽することができる。
このような2つのライン式粒子ビーム源を用いて、各基板に対して表面処理を行う構成は、以下に説明するスパッタ部材を有する構成にも適用することができる。
<ライン式粒子ビーム源>
ライン式粒子ビーム源601が放射する粒子ビームBは、イオン、中性原子又はラジカル種を含んでも、若しくはこれらの混合粒子を含んでもよい。すなわち、粒子ビーム源601は、イオンビーム源であっても中性原子ビーム源であってもよい。中性原子を放出するためには、例えばイオンを所定の運動エネルギーを与えて加速させた後に、電子雲などを通過させることで中性化するような構成を使用してもよい。このような加速されたイオンの中性化は、与えられた所定の運動エネルギーをほぼ失うことなく行われうる。所定の運動エネルギーを有する粒子を放射する粒子ビーム源601として、冷陰極型、熱陰極型、PIG(Penning Ionization Gauge)型、ECR(Electron Cyclotron Resonance)型の粒子ビーム源、あるいはクラスターイオン源などが採用されうる。
粒子ビームを基板表面に照射することにより、表面活性化を行うことができる。表面活性化処理により、基板表面同士を常温又は非加熱で固相接合させることができ、又は比較的強固な接合を得るために加熱のサーマルバジェット(加熱温度、加熱時間)を低減させることができる。
中性原子ビーム源としては、高速原子ビーム源(FAB、Fast Atom Beam)を用いることができる。高速原子ビーム源(FAB)は、典型的には、ガスのプラズマを発生させ、このプラズマに電界をかけて、プラズマから電離した粒子の陽イオンを摘出し電子雲の中を通過させて中性化する構成を有している。この場合、例えば、希ガスとしてアルゴン(Ar)の場合、高速原子ビーム源(FAB)への供給電力を、1.5kV(キロボルト)、15mA(ミリアンペア)に設定してもよく、あるいは0.1から500W(ワット)の間の値に設定してもよい。たとえば、高速原子ビーム源(FAB)を100W(ワット)から200W(ワット)で稼動してアルゴン(Ar)の高速原子ビームを2分ほど照射すると、接合面の上記酸化物、汚染物等(表面層)は除去され、新生表面を露出させることができる。
イオンビーム源は、例えば110V、3Aで稼動して、アルゴン(Ar)を加速させ600秒ほど接合面に照射せるように使用されてもよい。また、他の条件として、加速電圧1.5から2.5kV,電流350から400mAを採用してもよく、更に他の条件として、加速電圧1.0から2.0kV,電流300から500mAを採用してもよい。
その他のビーム照射条件として、真空チャンバ200内のバックグラウンド圧力を10−6Paの状態から、ガスとしてArを100sccmの流量で流し真空チャンバ200内の圧力を10−3Pa以下として、粒子ビーム源600を2kV、20mAで作動し、粒子ビーム源600の基板301,302に対するスキャン速度を10mm/sとすることもできる。
上述の各ビーム照射条件は、例示を目的とするものであり、これに限定されない。各装置構成、ビーム照射条件、基板等の処理対象の物性等に応じて適宜変更することができる。
たとえば、本願発明において、粒子ビーム源から放射される粒子は、中性原子又はイオンでもよく、さらには、ラジカル種でもよく、またさらには、これらが混合した粒子群でもよい。
粒子ビームには、アルゴン(Ar)以外の不活性ガスを用いてもよい。あるいは、窒素を用いてもよい。あるいはまた、酸素や水を用いてもよい。
なお、ライン式粒子ビーム源は、放射口又はその近傍で、放射される粒子ビーム(エネルギー粒子)と接触する部位が導電性カーボンで構成されることが好ましい。たとえば、FABなどの中性原子ビーム源のグリッド、すなわち粒子ビーム源のグリッドは、放射される粒子ビームの衝突が激しい箇所である。
従来のグリッドはステンレスなどの金属で構成されていたため、粒子ビーム源の作動とともにグリッドの金属が放出され、処理される基板への望ましくない金属が付着していた。このような望ましくない物質の付着は、表面処理やその後の接合により形成される接合界面の特性の悪化につながり、表面処理が適切に制御されないことの原因であった。
そこで、粒子ビーム源のグリッドをカーボンで形成することにより、粒子ビーム源からの金属の放出を回避し、又は最小限に抑えることができる。さらに、スパッタ材料に金属を用いて、スパッタ堆積により金属を堆積させることにより、粒子ビーム源から無制御で又は制御が不完全な状態で金属が堆積される場合と比べ、スパッタ材料の基板表面への堆積量を正確に制御することができる。
高速原子ビーム源(FAB)の場合、グリッドは、電子を放出させるための電極(カソード)として機能する。このように、グリッドは、電気的機能を有する場合には、導電性を有して構成されることが好ましい。すなわち、粒子ビーム源601は、導電性カーボンで構成されることが好ましい。グリッドの位置は、図9を参照して理解することができる。
また、イオンビーム源(イオンガン、IG)の場合でも、グリッドをカーボンで形成することが好ましい。グリッドの位置は、図10を参照して理解することができる。
また、粒子ビーム源601は、加速された粒子が接触する表面周りの雰囲気及び筐体内部を、非作動中に、不活性ガスで充填し、充填した不活性ガスを排気することができるように構成されてもよい。
加速粒子のグリッド及び筐体内部などへの衝突により、これらの表面の物質が弾き飛ばされ又は削られることで、不純物粒子が雰囲気中に生成される。不純物粒子(パーティクル)は、汚染物として、グリッド及び筐体内部の雰囲気に留まって浮遊する。この状態で続けて粒子ビーム源を作動すると、粒子ビーム(エネルギー粒子)の放射とともに、パーティクルが放出され、処理される基板表面にパーティクルが付着する。パーティクル等の不純物の付着は、基板表面処理過程では、基板表面の特性を悪化させ、又は基板接合過程では、パーティクルの付着箇所を中心にその近傍で基板表面の接触を妨げ、接合界面でのボイドを発生させる原因となりうる。そこで上記構成を有する粒子ビーム源は、筐体等の内部に粒子ビーム源のグリッド及び筐体内部に浮遊する不純物を、各作動又は一定量の作動ごとに、不活性ガス(パージガス)を導入して、不純物粒子(パーティクル)をパージガスと共に外部へ排気することができる。これにより、粒子ビーム源の内部を比較的清浄に保つことができる。したがって、上記構成の粒子ビーム源を用いることで、清浄な基板表面処理又は基板接合を行うことが可能になる。
上記導電性カーボンにより形成されたグリッドは、ライン式粒子ビーム源にも、非ライン式粒子ビーム源にも有効である。
各粒子ビーム源の稼動条件、又は放射される粒子の運動エネルギーに応じて、表面層の除去速度は変化しえる。そこで、必要な表面処理時間を調節する必要がある。たとえば、オージェ電子分光法(AES、Auger Electron Spectroscopy)やX線光電子分光法(XPS、X−ray Photo Electron Spectroscopy)などの表面分析法を用いて、表面層に含まれる酸素や炭素の存在が確認できなくなる時間又はそれより長い時間を、表面処理の処理時間として採用してもよい。
表面処理において基板表面をアモルファス化するためには、粒子の照射時間を、表面層を除去し新生表面を露出させるために必要な時間より、長く設定してもよい。長くする時間は、10秒から15分、あるいは、表面層を除去し新生表面を露出させるために必要な時間の5%以上に設定してもよい。表面処理において基板表面をアモルファス化するための時間は、基板表面を形成する材料の種類、性質、及び所定の運動エネルギーを有する粒子の照射条件によって適宜設定してもよい。
表面処理において基板表面をアモルファス化するためには、照射される粒子の運動エネルギーは、表面層を除去し新生表面を露出させるために必要な運動エネルギーより、10%以上高く設定されてもよい。表面活性化処理において基板表面をアモルファス化するための粒子の運動エネルギーは、基板表面を形成する材料の種類、性質、及び粒子の照射条件によって適宜設定してもよい。
ここで、「アモルファス化した表面」又は「結晶構造が乱れた表面」とは、具体的に表面分析手法を用いた測定により存在が確認されたアモルファス層又は結晶構造が乱れた層を含むとともに、粒子の照射時間を比較的長く設定した場合、又は粒子の運動エネルギーを比較的高く設定した場合に想定される結晶表面の状態を表現する概念的な用語であって、具体的に表面分析手法を用いた測定によりアモルファス層又は結晶構造が乱れた表面の存在が確認されていない表面をも含むものである。また、「アモルファス化する」又は「結晶構造を乱す」とは、上記アモルファス化した表面又は結晶構造が乱された表面を形成するための動作を概念的に表現したものである。これらの表面は、比較的高い表面エネルギーを有しており、常温又は非加熱若しくは低サーマルバジェット下での固相接合に有用である。
この高い表面エネルギーを維持するためにも、遮蔽部材602によりスパッタ粒子の付着を阻止又は最小限に抑えることが必要である。遮蔽部材602がない場合には、基板301に対するビーム照射を1スキャン後には、基板302上に数nmから数十nmの堆積が確認された。しかし、遮蔽部材602を有する本発明の構成によれば、一方の基板301から飛散する粒子の他方の基板302上への堆積を測定することは実質的に不可能であった。
上記又は以下に説明する構成の装置を用いることで、ライン式粒子ビーム源が2つの対向する基板の間にある状態で、ライン式粒子ビーム源により、その2つの基板の内の一方の基板の対向面に向けて粒子ビーム(エネルギー粒子)を放射することができる。その際、2つの対向する基板の間にある遮蔽部材によって、粒子ビームの照射を受ける基板表面からスパッタ現象により、又はスパッタ現象に関連して、飛散する物質を遮蔽又は遮断することができる。このような基板表面処理方法により、ビーム照射により当該一方の基板から放出される物質が他方の基板に付着することを防ぎ、又は回避若しくは最小限に抑えることができる。
表面処理前の基板表面には、母材そのものの上に形成された酸化物や又は付着した有機物などの不純物が存在している。ビーム照射によりスパッタされ飛散したこれらの酸化物等は、他の基板の表面やチャンバ内に付着して汚染の原因となりうる。また、一方の基板の母材がスパッタされ他の基板の表面に付着又は堆積すると、当該他の基板の表面の特性を変化させる場合がある。また、当該他の基板上の堆積は、その基板の表面処理において、例えば、ビーム照射による表面除去時間や表面活性化処理の条件を変え、基板上で堆積が均一でないと、表面処理時間などの表面処理条件が不均一になる原因となる。上記の基板表面処理方法を行うことで、処理が行われる基板から飛散する物質の他の基板の表面への影響を回避又は最小限に抑えることができる。したがって、表面活性化処理による基板固相接合を行う場合には、適切な表面活性化処理を行って、接合強度などの所定の特性に優れた接合界面を形成させることができる。
なお、図3A,図3Bでは、遮蔽部材は、一方の基板から飛散する物質を遮蔽する機能みを有していたが、図4A,図4Bに示すように、板状の遮蔽部材602は、一方の面を遮蔽用の面(遮蔽面611)とし、他方の面にスパッタ材料からなるスパッタ部材612を配置して構成されてもよい。
基板301に対して粒子ビーム照射スキャンを行う場合(図4A)と、基板301に対してスパッタ堆積を行う場合(図4B)との各々に応じて、遮蔽部材602とライン式粒子ビーム源601とは、各々の回転角αとβ(基準任意)が、それぞれ所定の回転角α´I1とβ´I1(図4A)、α´S1,β´S1(図4B)に設定できるように構成されている。
すなわち、図4Aに示すように、基板301に対して粒子ビーム照射スキャンを行う場合には、ライン式粒子ビーム源601を所定の角度α´I1に設定し、遮蔽部材602の遮蔽面611を所定の角度β´I1に設定しほぼ基板301に向けて設定される。ライン式粒子ビーム源601粒子ビーム照射によるスパッタで基板301から飛散してくるスパッタ粒子Pを当該遮蔽面611で遮断する。これにより、対向して配置された他方の基板302には、基板301からのスパッタ粒子が付着しないようにし、又はその付着量を最小限に抑制することができる。
そして、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602とは、上記の回転角α´I1,β´I1に保たれたまま、基板301上を走査(スキャン)される。これにより、ビーム照射領域RI1が基板301上をスキャンして、基板301表面全体に亘り均一にビーム照射を行うことができる。
次に、図4Bに示すように、基板301に対する粒子ビーム照射スキャンの後に、遮蔽部材602とライン式粒子ビーム源601をそれぞれの回転軸周りで回転させる。遮蔽部材602は、スパッタ面上のスパッタ材料612がライン式ビーム照射源601と基板301との両方から見える角度β´S1に位置決めされる。ライン式ビーム照射源601は、スパッタ材料612に向かって粒子ビームBを放射するような角度α´S1に位置決めされる。上記遮蔽部材602の角度β´S1は、粒子ビームBによりスパッタされて効率よくスパッタ材料が所望の基板領域に到達し又は堆積するように選択されることが好ましい。
そして、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602とは、上記の回転角α´S1,β´S1に保たれたまま、基板301上を走査(スキャン)される。これにより、ビーム照射領域Rs1が基板301上をスキャンして、基板301表面全体に亘り均一にスパッタ堆積Fさせることができる。
基板301に対するビーム照射とスパッタ堆積とを行った(図4A,図4B)後、基板302に対しても、基板301と同様にビーム照射とスパッタ堆積とを行う(図4C,図4D)。上述のとおり、ライン式粒子ビーム源601と板状の遮蔽部材602とが近接して配置されていても、ライン式粒子ビーム源601の向きを基板302に向けるように変更させることができる。
図4Cに示す基板302に対するビーム照射の際には、ライン式粒子ビーム源601は、図4Aのときと上下反対の位置に位置決めされている。所定の角度α´I2、遮蔽部材602の遮蔽面611は所定の角度β´I2に設定されている。これにより、ビーム照射領域RI2が基板302上をスキャンして、基板302表面全体に亘り均一にビーム照射を行うことができる。
また、図4Dに示す基板302に対するスパッタ堆積の際には、ライン式粒子ビーム源601は所定の角度α´S2、遮蔽部材602の遮蔽面611は所定の角度β´S2に設定されている。これにより、ビーム照射領域Rs2が基板302上をスキャンして、基板302表面全体に亘り均一にスパッタ堆積Fさせることができる。
図4C,図4Dにおいて、粒子ビーム源601の回転角α´I2とα´S2とは同じであり、すなわちライン式粒子ビーム源601の位置は同じであるが、これに限られない。所定のスパッタ条件に応じて、回転角α´I2とα´S2とを異なる角度にしてもよい。
たとえば、ライン式粒子ビーム源601の回転角は、粒子ビームの方向が基板面に対して30°から60°の範囲となるように設定されてもよく、90°となるように設定されてもよい。あるいは、ビーム照射条件に応じて他の角度を採用することもできる。
なお、一例として、シリコン(ケイ素、Si)基板に対して、スパッタ部材に鉄(Fe)などの遷移金属を採用してもよい。
上記遷移金属は、シリコン基板の表面近傍に0.1から30原子%含むように、当該シリコン薄膜上に堆積されるのが好ましい。さらには、上記遷移金属は、シリコン基板の表面近傍に3から10原子%含むように、当該シリコン基板上に堆積されるのが好ましい。
適切な遷移金属のドーピングにより、表面処理後の基板を接触させることで、非加熱又は少ないサーマルバジェット(加熱温度、加熱時間)で強固な接合界面を形成することができる。
遷移金属のシリコン基板表面近傍での含有量が所定量より小さいと、その後の接合で形成される接合界面の接合強度が十分に強くならない場合がある。
また、遷移金属のシリコン薄膜表面近傍での含有量が所定量より大きいと、表面処理において好ましくない場合がある。
上記又は以下に説明する構成の装置を用いることで、ビーム照射が行われた基板表面上に、スパッタ材料をスパッタ堆積させることができる。
図3、図4又は以下に説明する図5に示す構成では、ライン式粒子ビーム源は、ライン方向に実質的に平行な軸周りに回転可能であるが、これに限られない。一般に、ライン式粒子ビーム源は、揺動可能であればよい。より一般に、ライン式粒子ビーム源は、基板に対してビーム照射を行うことと、スパッタ材料に対してビーム照射を行うこととを選択的に行うことができるように構成されればよい。
これにより、単一のライン式粒子ビーム源を用いて、基板の表面に対する直接粒子ビーム照射と、その基板表面に対するスパッタ堆積との両方を行うことができる。少なくとも2つの表面処理を行うために、複数のライン式粒子ビーム源を必要とせず、単一のライン式粒子ビーム源のみで装置を構成することができる。よって、ライン式粒子ビーム源を含む表面処理装置又は基板接合装置を小さく設計作成することができると共に、省スペース化により基板周辺の雰囲気の制御が容易になる。
図4Aから図4Dに示す表面処理を行った後に、図3C及び図3Dと同様に、基板間の空間から退去できるように構成されることが好ましい。
これにより、たとえば、粒子ビーム照射スキャンで表面活性化が行われた基板301表面RI1上に、所望のスパッタ膜SI1を、基板301表面全体に亘り高い均一性を維持し、高い付着力で形成することができる。
スパッタ部材における材料をシリコン(ケイ素、Si)とすることで、粒子ビーム照射で表面活性化処理を行った基板301表面上にシリコン薄膜を高い付着力で形成することができる。
表面活性化処理された基板301,302上に付着力が高いシリコン薄膜を形成し、当該シリコン薄膜を介して両基板表面を接触させ接合することで、高い接着力を有する接合界面を広い基板表面領域に対して均一に形成することができる。
なお、図3及び図4の各図において、遮蔽部材は板状であったが、これに限らない。たとえば、図5Aから図5Cに示すように、遮蔽部材602が三角柱で構成され、又はその側面の断面形状が三角形となるように構成されていてもよい(602A)。当該三角柱形状の遮蔽部材602Aは、第1の側面を遮蔽面611とし、第2の側面には第1スパッタ部材612Aを配置し、第3の側面には第2スパッタ部材612Bを配置して構成されている。
図5Aに示すように基板301に対して粒子ビーム照射スキャンを行う場合には、ライン式粒子ビーム源601を所定の角度α´´I1に設定し、遮蔽部材602Aの遮蔽面611を所定の角度β´´I1に設定しほぼ基板301に向け、粒子ビーム照射によるスパッタで基板301から飛散してくるスパッタ粒子Pを当該遮蔽面611で遮断する。
そして、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602Aとは、上記の回転角α´´I1,β´´I1に保たれたまま、基板301上を走査(スキャン)される。これにより、ビーム照射領域RI1が基板301上をスキャンされて、基板301表面全体に亘り均一にビーム照射を行うことができる。
次に、図5Bに示すように基板301に対してスパッタ材料612Aを堆積させる場合には、遮蔽部材602Aを第1スパッタ部材612Aの面がライン式ビーム照射源601と基板301との両方から見える角度β´´S1に設定し、ライン式ビーム照射源601をスパッタ材料612に向かって粒子ビームBを放射するような角度α´´S1に設定する。
そして、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602Aとを、上記の回転角α´´S1,β´´S1に保たれたまま、基板301上を走査(スキャン)する。これにより、ビーム照射領域RsA1が基板301上をスキャンして、基板301表面全体に亘り均一にスパッタ堆積FA1させることができる。
その次に、図5Cに示すように基板301に対して第2スパッタ部材612Bを堆積させる場合には、遮蔽部材602Aをスパッタ材料612Bの面がライン式ビーム照射源601と基板301との両方から見える角度β´´p1に設定し、ライン式ビーム照射源601をスパッタ材料612に向かって粒子ビームBを放射するような角度α´´p1に設定する。
そして、ライン式粒子ビーム源601と遮蔽部材602Aとを、上記の回転角α´´p1,β´´p1に保たれたまま、基板301上を走査(スキャン)する。これにより、ビーム照射領域RsB1が基板301上をスキャンして、基板301表面全体に亘り均一にスパッタ堆積FA2させることができる。
この場合、図5Cでの回転角α´´p1,β´´p1は、図5Bでの回転角α´´s1,β´´s1と同じであるが、スパッタ条件によって異なっていてもよい。
この図5Aから図5Cと同様のプロセスを他の基板302に対しても行い、その後、両基板表面を接触させることで高い接着力を有する接合界面を広い基板表面領域に対して均一に形成することができる。
一例として、第1スパッタ部材にシリコン(ケイ素、Si)を採用し、第2スパッタ部材に鉄(Fe)などの遷移金属を採用してもよい。そして、図5Aから図5Cに示すプロセスをその順番で行うことで、基板302へのスパッタ粒子の付着などの悪影響を最小限に抑制しつつ、基板301に対して表面活性化処理を行い(図5A)、表面活性化処理された基板301上に付着力が高いシリコン薄膜を形成し(図5B)、かつ当該シリコン薄膜に対して接合強度を向上させるために適切な量の鉄をドープする(図5V)ことが可能になる。
上記遷移金属は、スパッタ堆積されたシリコン薄膜の表面近傍に0.1から30原子%含むように、当該シリコン薄膜上に堆積されるのが好ましい。さらには、上記遷移金属は、スパッタ堆積されたシリコン薄膜の表面近傍に3から10原子%含むように、当該シリコン薄膜上に堆積されるのが好ましい。
上述のとおり、遷移金属のシリコン薄膜表面近傍での含有量が所定量より小さいと、その後の接合で形成される接合界面の接合強度が十分に強くならない場合がある。
また、遷移金属のシリコン薄膜表面近傍での含有量が所定量より大きいと、表面処理において好ましくない場合がある。
図5では、遮蔽部材602Aは三角柱形状を有しているが、これに限られない。遮蔽部材602Aは、より一般的に多角柱形状を有していてもよい。多角柱のように複数面を有する遮蔽部材を用いて、各面に搭載されたスパッタ材料をスパッタにより基板表面に堆積させることができる。
多角柱の遮蔽部材の場合、適切なスパッタ材料の選択は、スパッタ材料が搭載された遮蔽部材を回転させて行われる。遮蔽部材は、当該多角柱の長手方向の回転軸周りに回転されるように構成されてもよい。
なお、ライン方向(X方向)でスパッタ性能を均一にするために、ライン式粒子ビーム源と遮蔽部材とをそれぞれの回転軸が互いにほぼ平行となるように配置されることが好ましい。
遮蔽部材にスパッタ材料を搭載することで、ライン式粒子ビーム源を含む表面処理装置を更に小さく設計作成することができると共に、遮蔽とスパッタ処理とを効率的に入れ替えることができる。
なお、図4から図6の例では、複数種類のスパッタ材料が板状、三角柱又は多角柱の各面に配置されたが、これに限られない。各スパッタ堆積に応じてスパッタ材料がライン式ビーム源により適切にスパッタされるように構成されれば、いかなる構成を採用してもよい。
図4から図5においては、スパッタ材料が遮蔽部材に搭載されていたがこれに限られない。スパッタ材料は、遮蔽部材と異なる部材、たとえばスパッタ部材に支持された基板間に配置されていてもよい。
更に好ましくは、図6A,図6Bに示すように、同一基板301上への粒子ビーム照射とスパッタ堆積との両方を単一スキャンで行うことができるように装置が構成される。
第1ライン式粒子ビーム源601Aは、基板301表面に対して粒子ビーム照射を行う。遮蔽板(遮蔽部材)602は、第1ライン式粒子ビーム源601Aによる粒子ビーム照射により基板301表面から飛散するスパッタ粒子を遮蔽するような、大きさ、位置、角度となるように構成されている。第2ライン式粒子ビーム源601Bとスパッタ部材612とは、第2ライン式粒子ビーム源601Bが放射する粒子ビームがスパッタ部材612に衝突して当該部材をスパッタさせ基板301上の所望の位置又は領域に堆積させるように構成されている。
図6Aでは、第2ライン式粒子ビーム源601Bが、スパッタ部材612のスキャン進行方向前方から進行方向と逆方向に粒子ビームBを放射する態様が示されている。一方、図6Bでは、第2ライン式粒子ビーム源601Bが、スパッタ部材612のスキャン進行方向後方から進行方向と同方向に粒子ビームBを放射する態様が示されている。
これらの構成により、第1ライン式粒子ビーム源601Aによる粒子ビーム照射領域Rと、第2ライン式粒子ビーム源601Bとスパッタ部材612とによるスパッタ堆積領域Rとを、基板301上で同時に同じ方向(Y方向)にスキャンさせることができる。
スパッタ堆積領域Rは、粒子ビーム照射領域Rのスキャンに追従するようにスキャンすることが好ましい。これにより、粒子ビーム照射により表面活性化の直後又はほぼ同時に基板301の表面に、スパッタ材料612を堆積させて薄膜を形成し、又は所定のドーパント材料をドーピングすることができる。すなわち、ビーム照射による表面活性化後、基板301表面では、時間の経過と共に、雰囲気中の不純物、酸素や水との接触などによる酸化や汚染が進行する。雰囲気を完全に清浄化することはできないので、表面活性化処理された表面特性の雰囲気との接触による劣化は、時間に比例して進行する。これに対し、本構成を採用することで、表面活性化処理からスパッタ堆積までの時間を最小限にすることができる。これにより、極めて付着力が高く、特性の良い薄膜と薄膜基板間の界面とを形成することができる。
たとえば、スパッタ部材612のスパッタ材料にシリコン(ケイ素、Si)を採用することで、基板301上に極めて付着力が高く、特性の良いシリコン薄膜を形成することができる。
粒子ビーム照射領域Rとスパッタ堆積領域Rとのスキャンを同じ速度で行う際には、各ライン式粒子ビーム源の粒子ビーム特性、例えば粒子ビームの放射量、運動エネルギー、粒子種、スパッタ部材と基板との間隔などを調節することで、所望のビーム照射(表面活性化処理)とスパッタ堆積またはドーピングとを実現することができる。
スキャン速度は必ずしも同じである必要はなく、異なっていてもよい。ただし、後続のスキャンが先行のスキャンより速い場合は、スキャンの間隔を十分に開ける必要がある。
このように図6A,図6Bに例示する構成を用いることで、一方のライン式粒子ビーム源(第1ライン式粒子ビーム源601A)を用いて、基板表面に対してビーム照射を行い、他方のライン式粒子ビーム源(第2ライン式粒子ビーム源602B)を用いて、スパッタ材料をスパッタさせて、第1ライン式粒子ビーム源によりビーム照射が行われた基板表面上にスパッタ材料を堆積又はドーピングさせることができる。
なお、図6A,図6Bに示されるスパッタ部材は板状に形成され、その片面にスパッタ材料612Aが配置されているが、これに限らない。
たとえば、図4に示される遮蔽部材602のように、図6A,図6Bに示す板状のスパッタ部材の裏面に他のスパッタ材料が配置されてもよい。これにより、最初のスキャン後に、スパッタ部材612を回転して裏面の第2スパッタ材料を基板上に堆積させることができる(図示せず)。
また、図5に示される遮蔽部材602のように、三角柱(多角柱)で構成され、又はその側面の断面形状が三角形(多角柱)となるように構成されていてもよい。
この場合、第1スパッタ部材にシリコン(ケイ素、Si)を採用し、第2スパッタ部材に鉄(Fe)などの遷移金属を採用してもよい。図6A,図6Bに示す基板に対して粒子ビーム照射又は表面活性化処理を行うスキャンに後続して、第1スパッタ部材(Si)をスパッタ堆積を行うスキャンをして第1スパッタ材料の第1薄膜(Si薄膜)を形成した後に、スパッタ部材612を回転させて、第2ライン式粒子ビーム源601Bの作動により、第1薄膜の表面近傍に所定量の第2スパッタ部材(Fe)でドープしてもよい。
第2スパッタ部材を基板上に堆積する際にも、第1ライン式粒子ビーム源601Aによる粒子ビーム照射を先行スキャンさせてもよい。第1薄膜の表面に対して粒子ビーム照射を行うことで、その表面を活性化させ又は結晶構造を乱すことができる。これにより、第2スパッタ部材をドープしやすくなる。また、第1薄膜表面のエネルギーが上がり、その後の両基板の第1薄膜表面同士を接触させ、高い接合強度の接合界面を形成することが可能になる。
上記例では、第2スパッタ材料を第1薄膜に対するドーパントして用いたが、第2スパッタ材料のスパッタ堆積量を増やして、第1薄膜上に第2薄膜を形成してもよい。
また、スパッタ部材612は、上記のように、外形が三角柱などの多角柱の形状とし、各スパッタ面に所定のスパッタ材料を配置して構成されてもよい。この場合、スパッタ部材612を所定の角度分回転させて、所定のスパッタ材料をスパッタ堆積させることができる。
なお、複数のライン式粒子ビーム源と複数のスパッタ部材とを設けて、基板上を、粒子ビーム照射領域Rのスキャンに追従して、複数のスパッタ堆積領域Rsを順次スキャンさせてもよい。これにより、複数層からなる多層膜構造や複数のドーパントを含む薄膜構造、或いはそれらの混合形態の薄膜構造を基板上に形成することができる。
第1及び第2ライン式粒子ビーム源601A,601B、遮蔽板602、及びスパッタ部材612は、いずれも同じ方向(X方向)に伸びている。これらは、同X方向に平行な軸周りに回転可能に構成されてもよい。この構成を用いて、両基板の表面に対して片方ずつビーム照射を行うことができる。これにより、基板ごとに粒子ビーム源を配置することを必要とせず、一つ又は一組のライン式粒子ビーム源を用いて、2つの基板に対して表面処理を行うことができる。
なお、図6では、遮蔽部材602とスパッタ部材612とは別部材として構成されているが、これに限らない。遮蔽部材602という部材を特に設けない場合もありえる。たとえば、粒子ビーム照射による基板に対する粒子ビーム照射とスパッタ粒子の他の基板302への飛散の遮蔽という両方の作用を有する構成であればよい。
従来は、基板表面にスパッタ堆積を行う際に、そのスパッタによる飛散粒子がチャンバ内雰囲気中を飛び又は浮遊し、他の基板やチャンバ壁面などに付着して、これらの汚染原因となっていた。本願発明に係るスパッタ材料又はスパッタ部材612を有する構成においては、スパッタ部材612等やライン式粒子ビーム源601は、スパッタ材料のスパッタ粒子の飛散を遮蔽するように装置が構成されてもよい。いずれか又は両方の寸法、姿勢又は配置位置を適切に設定することにより、このように、遮蔽部材602のみならず、ライン式粒子ビーム源601もスパッタ材料のスパッタ粒子の飛散を遮蔽するように装置が構成されてもよい。遮蔽部材602及びライン式粒子ビーム源601は、対向する基板間に配置され、かつ粒子ビームの断面形状及びビーム照射領域と同様のライン形状を有しているので、基板表面又はスパッタ材料から飛散するスパッタ粒子を効率よく遮蔽するように構成されうる。このように、本願発明により、効率よくスパッタ粒子等の不純物の飛散を遮蔽して表面処理を行うことが可能になり、そのための装置を小型化又は省スペース化して構成することが可能になる。
なお、図3から図5では、2つの両基板に対して同種の表面処理を行う場合を示したが、これに限られない。基板301に対する表面処理と基板302に対する表面処理とを異なる処理としてもよい。また、基板302に対しては全く表面処理をしなくてもよい。
また、図2から図6に示す構成では、一方の基板301が表面処理されている間に他方の基板302に対しては何らの表面処理もなされていなかった。しかし、同時に又は前後して、他方の基板302に対して同様又は他の表面処理を行ってもよい。
なお、図4から図6に関する説明で、スパッタ材料にシリコンを用い、ドーパント材(ドーピング材)として鉄を用いたが、これに限られない。
スパッタ材料として、半導体、絶縁体、金属など種々の材料を使用することができる。たとえば、シリコン(Si)の他に、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、炭化シリコン(SiC)、炭化シリコンゲルマニウム(SiGeC)などのIV族半導体、GaAs、InP,InGaAsなどのIII−V族半導体、ダイヤモンド(Cが採用されてもよい。酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(Si)などの絶縁体が採用されてもよい。金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)などの金属又は合金が採用されてもよい。
半導体基板又は半導体薄膜に対するドーパント材は、遷移金属であることが好ましい。シリコン表面に対して、遷移金属として鉄を所定量ドーピングさせることが好ましい。
また、複数の材料を積層させて、多層膜を形成し、又は複数種類のドーピング、若しくはそれらの組合せを実行してもよい。
なお、図1に示す基板表面処理装置、又は基板接合装置には、コンピュータ700が配置又は接続されている。コンピュータ700は、表面処理手段、遮蔽部材、スパッタ材料を支持する部材、各移動機構、センサ、カメラなどの部材と接続され、これらからの情報を受信し、演算し、各部材に指令を出すように、プログラムを搭載して構成されている。
<2.ライン式粒子ビーム源>
ライン式粒子ビーム源は一つの粒子ビーム放射口を有していてもよく、複数の放射口を有していてもよい。また、複数の放射口は、各放射口について個別に作動、制御されるように構成さていてもよい。以下に説明するライン式粒子ビーム源は、上述の基板表面処理装置又は基板接合装置のライン式粒子ビーム源として採用することができる。
従来のライン式粒子ビーム源は、単一の粒子ビーム放射口を有して構成されていた。上述の通り、ライン式粒子ビーム源を用いることで、比較的大きなサイズの基板表面に対して均一に粒子ビーム照射を行うことが可能になる。しかしながら、処理対象である基板表面のサイズに対して、ライン式粒子ビーム源のライン方向(長手方向)の長さが規定される。したがって、単一のライン式粒子ビーム源を用いて異なるサイズの基板に対して粒子ビーム照射を行う場合、使用するライン式粒子ビーム源のライン方向の長さは、対象となる基板の中で最大のサイズの基板サイズに合わせて設定される。したがって、このライン式粒子ビーム源を用いて、比較的に小さい基板に対して粒子ビーム照射を行うと、当該基板に当たらない粒子ビーム部分が発生する。粒子ビームが基板以外の部分に衝突すると、必ずしも望ましくない部材からスパッタ粒子が飛散し、処理雰囲気中に混合する。この望ましくないスパッタ粒子は、処理対象である基板表面の汚染原因となり、プロセスの質を低下させうる。また、目的とする処理に必要な粒子ビーム以外の粒子ビームを生成することは、不経済である。
本願発明は、これらの課題を解決するライン式粒子ビーム源を提供することをも目的とする。
上記課題を解決するために、本願発明に係るライン式粒子ビーム源は、ライン方向に線状に配列された複数のライン式又は非ライン式粒子ビーム源(サブ粒子ビーム源)を有するように構成されたものである。
このサブ粒子ビーム源は、放射口と反対側の面又はライン方向に平行な面に入力ラインを有して構成されている。図7から9に示す粒子ビーム源では、上記入力ラインとして、電力源に連結される電線やガス源に連結されるガス導入管が、放射口と反対側に設けられている。
図7は、本願発明に係る、複数のサブ粒子ビーム源を有して構成されるライン式粒子ビーム源を放射口方向と垂直方向から見た正面図である。図8は、図7に示すライン式粒子ビーム源を、放射口側から見た上面図である。
図7,図8に示すように、複数の粒子ビーム源601Nがライン方向(長手方向に)線状に配列されて、一つのライン式粒子ビーム源601Cが構成されている。
この構成により、それぞれの基板サイズに合った長さに対応するように、所定のライン式粒子ビーム源601Nを作動し、他のライン式粒子ビーム源601Nを作動しないことにより、適切なサイズの粒子ビームを生成し放射することができる。
たとえば、図7,図8に示す構成を用いて、直径が4インチ、8インチ、12インチの基板、又はライン式粒子ビーム源601Cのライン方向に垂直方向のサイズが4インチ、8インチ、12インチの基板(以降、4インチ、8インチ、12インチウエハと呼ぶ。)の各々に対応する粒子ビームを生成することができる。ライン式粒子ビーム源601Cの中央部に配置されているサブライン式粒子ビーム源601N3は、ライン方向に4インチ(約10cm)の長さの領域に対して粒子ビームを照射できる能力を有している。ライン式粒子ビーム源601N3のライン方向両端に配置されているライン式粒子ビーム源601N2及び601N4と、ライン式粒子ビーム源601N2及び601N4に接してその外側に配置されているライン式粒子ビーム源601N1及び601N5は、それぞれ、ライン方向に1インチ(約5cm)の長さの領域に対して粒子ビームを照射できる能力を有している。さらに、これらのライン式粒子ビーム源601N1から601N5は、それぞれ単位長さあたりでほぼ同じ特性で粒子ビームを照射できる能力を有し、個別に作動させることができる。
作動電力の提供のオンオフ、作動条件を制御する作動系統が各ライン式粒子ビーム源601Nに個別に接続されてもよい。
個別に作動する一例として、図7では、中央のライン式粒子ビーム源601N3には、作動指揮系統Iが接続されている。ライン式粒子ビーム源601N3のライン方向両端に配置されているライン式粒子ビーム源601N2及び601N4には、作動指揮系統IIが接続されている。さらにその外側に配置されているライン式粒子ビーム源601N1及び601N5には、作動指揮系統IIIが接続されている。これらの作動指揮系統は、好ましくは、コンピュータ700に接続されている。
4インチウエハに対しては、作動指揮系統Iを通じて作動指令を与えてライン式粒子ビーム源601N3のみを作動させ、作動指揮系統II及びIIIからは作動指令を与えず、又は非作動指令を与えることで、他のライン式粒子ビーム源601N1,601N2,601N4及び601N5は作動させない。そして、ウエハに対して粒子ビームを放射しつつ、ウエハがライン式粒子ビーム源601N3の照射領域下であるライン式粒子ビーム源601Cのほぼ中央部を通るように、ウエハをライン式粒子ビーム源601Cに対して相対的に並進移動させる。
8インチウエハに対しては、作動指揮系統I及びIIを通じて作動指令を与えてライン式粒子ビーム源601N2、601N3及び601N4を作動させ、作動指揮系統IIIからは作動指令を与えず、又は非作動指令を与えることで、他のライン式粒子ビーム源601N1及び601N5は作動させないで、粒子ビーム照射を行う。同様に、12インチウエハに対しては、作動指揮系統IからIIIを通じて作動指令を与えてライン式粒子ビーム源601N1から601N5のすべてを作動させて粒子ビーム照射を行う。
すなわち、複数の粒子ビーム源を、ライン方向に線状に配列することで、種々の基板サイズに対して柔軟に対応して粒子ビーム照射を行うことが可能になる。
図7,図8に示すサブ粒子ビーム粒子源の寸法や個数などの構成は、一例として理解すべきである。たとえば、放射口は、ライン状に形成されていても、非ライン状に形成されていてもよい。
図7に例示する構成によれば、ライン方向に線状に配列され複数の粒子ビーム源を有するライン式粒子ビーム源を用いて基板表面処理を行って、基板のライン方向の大きさに対応する数のビーム照射源を作動させて、当該基板表面に対してビーム照射を行うことができる。
これにより、処理が行われる基板の寸法に合わせた長さの粒子ビームを放出することができる。たとえば、大きいサイズの基板表面に対応可能なライン式粒子ビーム源を用いて、小さいサイズの基板表面に対して良好な粒子ビームを照射することができる。これにより、例えば、表面処理すべき基板表面領域以外の箇所へのビーム照射による、不要な物質の雰囲気への放射を抑制し、清浄な処理雰囲気を保つことができ、接合面を接合させる場合にも高い接合強度の接合界面を形成させることができる。さらに、粒子ビーム源の作動を省力化することもできる。
種々の基板サイズに対応できるように、複数の粒子ビーム源の線状に配列するには、各ライン式粒子ビーム源の寸法、特にライン方向の寸法又は形状が重要なファクターとなる。
しかし、従前のライン式粒子ビーム源は、電線やガスの取り出し又は冷却水の導管がライン方向の端面に設けられて構成されていたため、ライン方向に並べることが物理的に困難であった。
そこで、高速原子ビーム源においては、図7,図8に示すように、各粒子ビーム源は、ライン方向の端面は、ライン方向に対して垂直な平坦面で終端されるように構成されている(例えば図7に示す、601N2の両端面621N2,622N2を参照)。
たとえば、図9に示すように、サブ粒子ビーム源601Nへのガスや電気の配線は、ライン方向の端面からライン方向外側に突出しないように設けることができる。図9において、冷却板624は、放射口623の反対側の面に密着して取り付けられ、冷却水を循環させる冷却管625を有し、各々のライン式粒子ビーム源601Nから作動中に発せられる熱を吸収するように構成されている。したがって、図9に示すように、FABの場合には、カソード電源627からカソード626へ動力を提供する電線628やライン式粒子ビーム源601N内にガスを導入するガス導入管629は、この冷却板624を通り抜けるように設けられている。冷却板624への冷却管625も、ライン方向に伸びて配置されるのではなく、放射口623の反対側の面の方向に伸びるように配管されている。
図9の粒子ビーム源601Nの放射口623を構成する部材又はその近傍の部材は、導電性カーボンにより形成されていることが好ましい。図9の粒子ビーム源601Nの放射口623を構成する部材又はその近傍の部材は、グリッドとして形成されていてもよい。
また、粒子ビーム源601は、図10に示すようなイオンビーム源601Dの構成を有していてもよい。粒子ビーム源601Dは、磁石651を有し、これによりコーン形状のアノード652に開いた粒子ビームの放射口653に磁界を形成させる。粒子ビーム源601Dは、電子を有するカソード(ニュートライザー)としてグリッド654を有している。
このグリッド654は、導電性カーボンで形成されていることが好ましい。
グリッド654から放出された電子の一部は、上記磁界にトラップされる。これにより、ガス導入管655から磁界内に導入されたガス(不活性ガス、たとえばアルゴン)はプラズマ化される。そして、ガスの陽イオンは、アノード652に掛けられた電圧による電界中で、放射口653から粒子ビーム源601Dの外部へ加速される。グリッド654から放出された電子は、粒子ビームと同じ方向にも飛ぶことにより、粒子ビーム又は粒子ビームが衝突する基板の接合面の電荷を中和する作用をも有する。
図9、図10に示す粒子ビーム源の構造は一例を示しているにすぎず、複数のサブ粒子ビーム源からなるライン式粒子ビーム源601Cに用いられる各サブ粒子ビーム源として利用されうるが、これに限定されない。これらは、図9、図10に示す粒子ビーム源は、単体のライン式粒子ビーム源601として使用されうる。
以上、本願発明の幾つかの実施形態及び実施例について説明したが、これらの実施形態及び実施例は、本願発明を例示的に説明するものである。特許請求の範囲は、本願発明の技術的思想から逸脱することのない範囲で、実施の形態に対する多数の変形形態を包括するものである。したがって、本明細書に開示された実施形態及び実施例は、例示のために示されたものであり、本願発明の範囲を限定するものと考えるべきではない。また、各実施形態で説明した態様は、実施形態間で矛盾がない限り、他の実施形態に適用することができる。
100 接合装置
200 真空チャンバ
201 真空ポンプ
301,302 基板
400 基板支持手段
401,402 ステージ
403 第1ステージ移動機構
404 第2ステージ移動機構
405 XY方向並進移動機構
406 Z方向昇降移動機構
407 Z軸周り回転移動機構
410 接合圧力調整機構
420 基板加熱手段
421,422 ヒータ
500 位置測定手段
501,502 カメラ
503 窓
504,505 ミラー
600 表面処理手段
601 ライン式粒子ビーム源
602 遮蔽部材
603 ビーム源移動機構
604 リニアガイド
605,606 回転式リニアガイド
607,608 回転ギア
609,610 回転軸
612 スパッタ部材
602A 多角柱型遮蔽部材
700 コンピュータ

Claims (18)

  1. 2つの対向する基板の間に配置されたライン式粒子ビーム源を用いて、一方の基板の表面に対してビーム照射を行うことと、
    前記ビーム照射の際に、前記2つの基板の間に配置された遮蔽部材を用いて、前記一方の基板から放出される物質が他方の基板に付着することを防ぐことと、
    を備える基板表面処理方法。
  2. 前記ライン式粒子ビーム源を用いて、スパッタ材料をスパッタさせて、ビーム照射が行われた前記基板表面上に前記スパッタ材料を堆積させることを更に備える、請求項1に記載の基板表面処理方法。
  3. 前記遮蔽部材は、スパッタ材料を搭載可能な複数面を有し、
    前記遮蔽部材を、前記ライン式粒子ビーム源のライン方向に実質的に平行な軸周りに回転させて各面に搭載されたスパッタ材料をスパッタさせる、請求項2に記載の基板表面処理方法。
  4. 前記遮蔽部材は、板状であり、一方の面が遮蔽面として使用することができ、他方の面にはスパッタ材料が搭載され、
    処理対象の基板、当該処理対象の基板に対して行う表面処理がビーム照射であるか、スパッタ堆積であるかに応じて、前記遮蔽部材を回転させることを更に備える、請求項3に記載の基板表面処理方法。
  5. スパッタ材料として前記複数面の一つの面にケイ素(Si)が搭載され、他の面に遷移金属が搭載された遮蔽部材を用いて、
    ビーム照射が行われた前記基板表面上にケイ素(Si)を堆積させ、
    前記堆積されたケイ素(Si)上に所定の量の遷移金属を堆積させる、
    請求項3又は4に記載の基板表面処理方法。
  6. 前記ライン式粒子ビーム源は導電性カーボンを含むグリッドを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の基板表面処理方法。
  7. 前記ライン式粒子ビーム源は、第1ライン式粒子ビーム源と第2ライン式粒子ビーム源とを有し、
    第1ライン式粒子ビーム源を用いて、基板表面に対してビーム照射を行い、
    第2ライン式粒子ビーム源を用いて、スパッタ材料をスパッタさせて、第1ライン式粒子ビーム源によりビーム照射が行われた基板表面上に前記スパッタ材料を堆積させる、
    請求項2から6のいずれか一項に記載の基板表面処理方法。
  8. ライン方向に実質的に平行な軸周りに回転可能な前記ライン式粒子ビーム源を、前記2つの基板間を移動させつつ、両基板の表面に対して片方ずつビーム照射を行う、請求項1から7のいずれか一項に記載の基板表面処理方法。
  9. ライン式粒子ビーム源を用いて基板表面に対してビーム照射を行う基板表面処理方法において、
    前記ライン式粒子ビーム源は、ライン方向に線状に配列され複数の粒子ビーム源を有し、
    基板のライン方向の大きさに対応する数の粒子ビーム源を作動させて、当該基板表面に対してビーム照射を行うことを特徴とする、基板表面処理方法。
  10. 2つの対向する基板の間に配置され、選択的に一方の基板の表面に対してビーム照射を行うライン式粒子ビーム源と、
    前記2つの基板の間に配置され、前記ビーム照射を受ける基板から他の基板へ向けて飛散する物質を遮蔽する遮蔽部材と、
    を備える基板表面処理装置。
  11. 前記ライン式粒子ビーム源と遮蔽部材とは、前記2つの基板の間で並進可能である、請求項10に記載の基板表面処理装置。
  12. 前記基板表面処理装置は、前記2つの対向する基板の間に配置されるスパッタ部材を更に有し、
    前記ライン式粒子ビーム源は、基板とスパッタ部材とに対して選択的にビーム照射を行うことができるように構成され、
    前記スパッタ部材は、ライン式粒子ビーム源によるビーム照射を受けてスパッタ材料を基板表面に向けてスパッタさせるように構成された、
    請求項10又は11に記載の基板表面処理装置。
  13. 前記遮蔽部材は、前記ライン式粒子ビーム源のライン方向に実質的に平行な回転軸を有し、当該回転軸に平行な複数面を有し、当該複数面は、前記ビーム照射を受ける基板から他の基板へ向けて飛散する物質を遮蔽する遮蔽面と、スパッタ材料を搭載可能なスパッタ面とを有する、請求項10から12のいずれか一項に記載の基板表面処理装置。
  14. 前記基板表面処理装置は、前記対向する2つの基板の間に配置されるスパッタ材料を更に有し、
    前記ライン式粒子ビーム源は、第1ライン式粒子ビーム源と第2ライン式粒子ビーム源とを有し、
    第1ライン式粒子ビーム源は基板表面に対してビーム照射を行い、
    第2ライン式粒子ビーム源はスパッタ材料に対してビーム照射を行い、
    前記スパッタ材料は、第2ライン式粒子ビーム源によるビーム照射によって基板表面に向けてスパッタ材料をスパッタさせるように構成された、
    請求項10又は11に記載の基板表面処理装置。
  15. 前記ライン式粒子ビーム源は導電性カーボンを含むグリッドを有する、請求項10から14のいずれか一項に記載の基板表面処理装置。
  16. 請求項10から15のいずれか一項に記載の基板表面処理装置を備える基板接合装置。
  17. ライン方向に線状に配列され、個別に作動可能な複数のビーム照射源を有する、ライン式粒子ビーム源。
  18. 加速された粒子が接触する基板表面周りの雰囲気及び筐体内部を、非作動中に、不活性ガスで充填し、充填した前記不活性ガスを排気することができるように構成された粒子ビーム源。
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