JP2014213653A - 鉄道車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】大きな電力増加、機器追加を伴わずに、結露に強い鉄道車両を実現することにある。【解決手段】実施形態によれば、鉄道車両は、収納室43を有する車体と、収納室内に設けられ発熱源となる電気機器22と、電気機器に接続され、電気機器を冷却するための冷媒を熱交換により冷却する冷却器24であって、それぞれ冷却用の空気が通風する第1通風領域38aおよび第2通風領域38bと、を有する冷却器と、車体の外から外気を取り込み、冷却器の第1通風領域を通して通風し、第1通風領域を通過した外気を前記車体外に排気する外気通風機構と、収納室内の空気を前記冷却器の第2通風領域を通して通風し、第2通風領域を通過して加熱された空気を前記収納室内に排気する内気通風機構と、外気通風機構の風量および内気通風機構の風量を制御する制御装置と、を備えている。【選択図】図3

Description

この発明の実施形態は、運用区間に、海底トンネルなどの、温暖、湿潤な環境化を走行する鉄道車両に関する。
一般に、冬季における屋外の走行により、あるいは、留置中に、冷えた鉄道車両が、海底トンネルなどの、冬季であっても温暖、湿潤な長大トンネル内に入ると、鉄道車両とトンネル内の空気との温度差により、鉄道車両の各部の表面が結露する。この結露の程度は、トンネル内の湿度が高く、トンネル内外の気温差が大きいほど激しい。鉄道車両の車体や筐体などの金属表面が結露するだけであれば、車体や機器の腐食などが早まる原因になるだけで大きな問題とならない。しかし、高電圧部で結露が生じると、地絡事故あるいは、相間短絡事故の原因となり、車両故障、場合によっては、鉄道車両が走行不能な状態に至ることがある。
実開平3−14952号公報
東芝技術公開集(7PA916016、発行番号92−5012、VOL.10−59)
この発明は、以上の点に鑑みなされたもので、その課題は、大きな電力増加、機器追加を伴わずに、結露に強い鉄道車両を実現することにある。
一実施形態によれば、鉄道車両は、収納室を有する車体と、前記収納室内に設けられ発熱源となる電気機器と、前記電気機器に接続され、前記電気機器を冷却するための冷媒を熱交換により冷却する冷却器であって、それぞれ冷却用の空気が通風する第1通風領域および第2通風領域と、を有する冷却器と、前記車体の外から外気を取り込み、前記冷却器の第1通風領域を通して通風し、前記第1通風領域を通過した外気を前記車体外に排気する外気通風機構と、前記収納室内の空気を前記冷却器の第2通風領域を通して通風し、前記第2通風領域を通過して加熱された空気を前記収納室内に排気する内気通風機構と、前記外気通風機構の風量および前記内気通風機構の風量を制御する制御装置と、を備えている。
図1は、第1の実施形態に係る電気機関車を示す側面図。 図2は、前記電気機関車の機械室内を示す平面図。 図3は、前記電気機関車の冷却器および通気機構を示す側面図。 図4は、前記冷却装置の冷却器を示す平面図。 図5は、前記電気機関車の電気回路構成を示す図。 図6は、第2の実施形態に係る電気機関車の機械室内を示す平面図。 図7は、第3の実施形態に係る鉄道車両の床下構造を示す断面図。 図8は、第4の実施形態に係る鉄道車両の床下構造を示す断面図。 図9は、第5の実施形態に係る電気機関車の機械室内の構成を示す断面図。 図10は、第5の実施形態に係る電気機関車の機械室内を示す断面図。
以下、図面を参照しながら、実施形態に係る鉄道車両について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、鉄道車両として、第1の実施形態に係る電気機関車を示す側面図、図2は、電気機関車の機械室内を示す平面図である。
図1および図2に示すように、電気機関車10は、それぞれ車輪14が設けられた一対の台車16と、台車16上にばねを介して支持された車体17と、を備えている。各台車16は、枢軸の周りで回動可能に車体17に連結されている。各台車16に、例えば2台の主電動機11が搭載され、2本の車軸の近傍に位置している。主電動機11の各々は、図示しないギアボックスおよびカップリングを介して、車軸に接続され、車軸および車輪14に回転力を伝達する。車輪14はレール13上に載置されている。主電動機11によって車輪14を回転することにより、電気機関車10はレール13上を走行する。
車体17は、車体台枠18と、車体台枠18上に搭載された細長い箱状の車両本体20と、を備えている。車両本体20は、車体台枠18上の全面に渡って敷設され車体の床を構成した床板20a、車体台枠18上に立設され車体17の長手方向に延びる一対の側構20b、車両の前面および後面をそれぞれ形成した一対の端壁、および車両本体の上部開口を覆った天井壁20cを有し、車体台枠18を覆って設けられている。
車両本体20内は複数の仕切り壁40a、40bにより、車両の前後に位置する運転室42a、42b、および運転室間に位置する機械室43に区分されている。機械室43は収納室を構成している。
図1および図2に示すように、機械室43内の中央に車体の長手方向に沿って延びる通路21が規定され、この通路21を挟んで向かい合わせに種々の電気機器が機械室43の床板20a上に配置されている。例えば、発熱源となる2台の電力変換装置22、23が向かい合わせに配置され、更に、電力変換装置を冷却する2台の冷却器24、26が配置されている。更に、機械室43内において床板20a上に、特別高圧機器枠27、例えば、主電動機11に冷却空気を送る複数の送風機28、およびその他の電気機器が配置されている。
図1および図2に示すように、車両本体20の床下に、発熱源となる主変圧器(第2電気機器)30が艤装され、電力変換装置22、23の下に位置している。
電力変換装置22、23が水冷式で、床下の主変圧器30が絶縁を兼ねた油冷式の場合、冷却器24、26は、それぞれ水冷用の冷却器と油冷の冷却器を一体に備えた構成としている。また、冷却器24、26は、電力変換装置22、23に隣接して配置することで配管などが容易になるため、図2に示すように、相互に向き合った電力変換装置22、23の、向かって左側、あるいは右側に配置される。電気機関車10が交流車両、あるいは、交直流車両の場合、主変圧器30が電力変換装置22、23の下方の床下に配置され、床上の冷却器24、26と近接した配置となっている。
図3は、発熱源となる電気機器、冷却器、および通風機構を示す側面図、図4は、冷却器を概略的に示す平面図である。
図3に示すように、冷却器24は、電力変換装置22を冷却するための水冷用の熱交換器(冷却器)32と主変圧器30を冷却するための油冷用の熱交換器(第2冷却器)33とを有し、これらの熱交換器32、33は、上下に重ねて配置されている。図4に示すように、例えば、熱交換器32は、それぞれ中空角柱形状の第1管座37および第2管座39と、支持枠31と、多数の第1流通管34aおよび第2流通管34bと、更に、仕切り部材、セパレータとして機能する中空矩形状の中間管座35と、を有している。第1管座37および第2管座39は、所定の間隔を置いて互いに平行に対向している。支持枠31は、第1管座37および第2管座39を互いに連結し、これら第1管座37および第2管座39とともに矩形状の枠体を構成している。
第1管座37内において、第1管座の長手方向ほぼ中央に、仕切り板41が設けられている。この仕切り板41により、第1管座37内は、流入側領域37aと流出側領域37bとに仕切られている。
多数の第1流通管34aは、第1管座37の流入側領域37aと第2管座39との間を互いに平行に、かつ、支持枠31と平行に延びている。多数の第2流通管34bは、第1管座37の流出側領域37bと第2管座39との間を互いに平行に、かつ、支持枠31と平行に延びている。多数の第1流通管34aの外面、および多数の第2流通管34bの外面には、波状の放熱フィン25が接続されている。
第1管座37の流入側領域37aには、電力変換装置22から延びる送水管36aが接続され、また、第1管座37の流出側領域37bには、電力変換装置22に冷却水を戻す排水管36bが接続されている。
中間管座35は、第1管座37および第2管座39の間に、これらと平行に、かつ、多少、第2管座39よりに配置され、その長手方向両端は支持枠31に連結されている。多数の第1および第2流通管34a、34bは、中間管座35を貫通して、あるいは、中間管座35内に連通している。第1、第2流通管34a、34bが中間管座35内に連通する構成とする場合は、中間管座35内において、中間管座の長手方向ほぼ中央に、仕切り板47を設け、この仕切り板47により、中間管座35を、流入側領域35aと流出側領域35bとに仕切る。そして、第1流通管34aを流入側領域35aに接続し、第2流通管34bを流出側領域35bに接続する。
第1管座37、第2管座39、および支持枠31により囲まれた空間は、中間管座35により、後述する外気が流通する外気通風領域(第1通風領域)38aと、機械室43内の空気が流通する内気通風領域(第2通風領域)38bと、に気密に仕切られている。なお、仕切り部材、セパレータは、管座に限らず、単純な仕切り板で構成してもよい。
後述するように、電力変換装置22内には図示しない冷却水(冷媒)を流す冷媒管およびこの冷媒管に冷却水を強制的に流す給水ポンプが設けられている。給水ポンプを駆動することにより、冷媒管を通して冷却水が流れ、電力変換装置22内を冷却する。電力変換装置22内を冷却することにより温度上昇した冷却水は、図4に示すように、送水管36aを通して熱交換器32の第1管座37の流入側領域37a内に送られ、多数の第1流通管34a内を流れた後、第2管座39に流入する。更に、冷却水は、第2管座39内から多数の第2流通管34b内を流れた後、第1管座37の流出側領域37bに流入し、排水管36bを介して、電力変換装置22内へ戻される。冷却水は、多数の第1および第2流通管34a、34b内を流れる間、外気通風領域38aを流通する外気、および内気通風領域38bを流通する内気により冷却される。すなわち、温度上昇した冷却水と、外気および内気との間で熱交換を行うことにより、冷却水が冷却され、逆に、流通する外気および内気が温度上昇する。そして、冷却された冷却水は、電力変換装置22に流入し、再び、電力変換装置の冷却に用いられる。
本実施形態において、油冷用の熱交換器33は、水冷用の熱交換器32と同一の構成を有している。すなわち、図3に示すように、熱交換器33は、図示しない第1管座、第2管座、支持枠と、多数の第1、第2流通管と、更に、仕切り部材、セパレータとして機能する中空矩形状の中間管座35と、を有している。第1管座には、主変圧器30から床板20aを気密に貫通して機械室43内に延出する送油管45が接続され、また、電力変換装置22に冷却油を戻す排油管が接続されている。熱交換器33内の空間は、中間管座35により、後述する外気が流通する外気通風領域(第1通風領域)44aと、機械室43内の空気が流通する内気通風領域(第2通風領域)44bと、に気密に仕切られている。なお、仕切り部材、セパレータは、管座に限らず、単純な仕切り板で構成してもよい。
後述するように、主変圧器30内には図示しない冷却油(冷媒)を流す冷媒管およびこの冷媒管に冷却油を強制的に流す給油ポンプが設けられている。給油ポンプを駆動することにより、冷媒管を通して冷却油が流れ、主変圧器30内を冷却する。主変圧器30内を冷却することにより温度上昇した冷却油は、送油管45を通して熱交換器33の流入側管座内に送られ、多数の流通管内を流れた後、流出側管座に流入し、更に、配油管を介して、主変圧器30内へ戻される。冷却油は、多数の流通管内を流れる間、外気通風領域44aを流通する外気、および内気通風領域44bを流通する内気により冷却される。すなわち、温度上昇した冷却油と、外気および内気との間で熱交換を行うことにより、冷却油が冷却され、逆に、流通する外気および内気が温度上昇する。そして、冷却された冷却油は、主変圧器30に流入し、再び、主変圧器の冷却に用いられる。
図3に示すように、熱交換器33は、床板20a上に配置されている。熱交換器33の第1通風領域44aは、床板20aに形成された排気口46に対向し、排気ダクト49を通して排気口46に連通している。排気ダクト49は、シール材48を介して熱交換器33に接続され、第1通風領域44と排気口46との間を、機械室43内から気密に仕切っている。また、熱交換器33の第2通風領域44bは、排気空間50および排気口51を介して、機械室43内に連通している。
熱交換器32は、シール材52を挟んで熱交換器33上に載置されている。そして、熱交換器32の第1通風領域38aは熱交換器33の第1通風領域44aに気密に連通し、同様に、熱交換器32の第2通風領域38bは熱交換器33の第2通風領域44bに気密に連通している。
図1および図3に示すように、熱交換器32上に送風機57が設けられている。送風機57は、円筒形状のケーシング54、ケーシング内に支持されたモータ57a、モータにより回転される羽根(ブレード)57bを有している。ケーシング54は、吸気ダクトとしても機能する。送風機57のケーシング54の下端は、シール材55を挟んで熱交換器32に接続され、熱交換器32の第1通風領域38aに気密に連通している。ケーシング54の上端は、車両本体20の天井壁20cに形成された吸気口56に気密に接続されている。上述したケーシング54を含む送風機57、および排気ダクト49は、熱交換器32、33を通して外気を通風する外気通風機構を構成している。
送風機57により、天井壁20cの吸気口56から外気を吸気し、ケーシング54を通して、水冷用の熱交換器32の第1通風領域38aと油冷用の熱交換器33の第1通風領域44aに対して直列に上方から外気を流して熱交換器を強制風冷した後、排気ダクト49、排気口46を通して床下に排気する。
熱交換器32上に、送気ダクト60および送風機61が設けられている。送気ダクト60の下端は、シール材62を挟んで熱交換器32に接続され、熱交換器32の第2通風領域38bに気密に連通している。送気ダクト60の上端は、送風機61の排気側に接続され、送風機61の吸気側は、機械室43内に開口している。
送風機61により、機械室43内の空気を吸気し、送気ダクト60を通して、水冷用の熱交換器32の第2通風領域38bと油冷用の熱交換器33の第2通風領域44bに対して直列に上方から強制風冷した後、排気ダクト49、排気空間50および排気口51を通して機械室43内に排気する。このように、上述した送気ダクト60、送風機61、排気口51は、熱交換器32、33を通して、内気(機械室内の空気)を通風し、循環する内気通風機構を構成している。
送風機57の回転数、すなわち送風量は、電力変換装置22や主変圧器30の温度によって可変するように制御している。電力変換装置22や主変圧器30からの温度検出信号が、送風機57などの補助回路用の電力変換装置を制御している制御装置に送信される。この制御装置は、検出温度に応じて、送風機の電圧と周波数を変化させる。水や油を送るための水ポンプ、油ポンプは、電力変換装置22、主変圧器30に内蔵され、通常、一定回転で運転されている。
図5は、本実施形態における電気回路構成の一例を示している。電気機関車10は、補助電源装置64を備え、この補助電源装置から、電圧と周波数を変化させるためのインバータ65、66を介して送風機57、61に電力が供給される。また、補助電源装置64から、電力変換装置22の水ポンプ68、主変圧器30の油ポンプ69、空気圧縮機などに電力が供給される。電力変換装置22の温度センサ70からの温度検出信号と、主変圧器30の温度センサ71からの温度検出信号と、機械室43内に設けられた温度センサ72からの温度検出信号とが、補助電源装置64の制御装置に入力される。
補助電源装置64の制御装置は、機械室43内の温度が、長大トンネル内の空気温度よりも高くなるように、送風機57と送風機61の風量を制御する。例えば、機械室43の温度を予め決められた目標値(長大トンネル内の温度よりも高い温度)に上げる場合、制御装置は、送風機57の回転数を下げ、あるいは停止させ、送風機61の回転数を上げる。これにより、熱交換器32、33の第2通風領域38b、44bを通過して機械室43内へ循環する空気の温度を上昇させ、機械室43内の温度を目標値に上げることがきる。
なお、車外の温度を検知する温度センサを設け、この温度センサにより検出された車外温度により、送風機57、61の風量制御を補正あるいはバックアップするようにしてもよい。例えば、温度センサにより検知された長大トンネル内の空気温度が前記目標値よりも高いときは、送風機57、61の回転数を変更するようにしてもよい。また、季節が冬から春になって、外気温度がトンネル内の温度よりも上がってくると、機械室43を不必要に温度上昇させる意味はない。そのため、長大トンネル内の通年温度が20℃の場合、外気温度が25℃以上となったことを条件として、送風機61を停止するようにしてもよい。
高速走行時などの車両が大きな出力を発生する場合には、電力変換装置22、23や主変圧器30の温度を許容上限値以下に維持する必要がある。そのため、制御装置は、送風機57の風量(回転数)を上げ、熱交換器32、33の第1通風領域38a、44aを通る外気の風量を上げ、大きな熱交換を行う。これにより、熱交換器32,33を流れる冷却水、冷却油の冷却効率を上げることができる。当然、夏季においては、機械室43の温度を下げる必要があるので、循環用の送風機61は運転せず、送風機57だけで、電力変換装置22、23と主変圧器30の熱交換が充分に行えるよう設計されていることは、もちろんである。
なお、他方の電力変換装置23に接続された冷却器26および通風機構も、上述した冷却器24および通風機構と同様に構成されている。
以上のように構成された電気機関車10によれば、機械室43内に設けられた冷却器24、26の熱交換器32、33を、その内部で、中間管座(仕切り板)35により、車外から取り入れた空気(外気)を流す流路(第1通風領域38a、44a)と、機械室43内の空気を循環させる流路(第2通風領域38b、44b)とに区分し、車外の空気を流す流路は、従来どおり、車体天井から吸気して床下に排気し、機械室43内の空気を循環させる流路には、機械室43内の空気を送風機61で吸気して流すことにより、電力変換装置22、23用の熱交換器32と主変圧器30用の熱交換器33を通過して温度が上昇した空気を排気口51から機械室43内に排気する。
これにより、湿った外気を機械室43内に取り入れることなく、熱交換器の熱を利用して機械室43内を加熱することができ、トンネル内等の高温、多湿の環境内を走行する際、車両内の温度と外気との温度差を低減し、機械室内における電気機器の結露を防止することができる。
また、上記のように構成された冷却器24、26を図2に示す機器配置で車両の機械室43内に配置すると、2台の冷却器24、26は、機械室43の中央よりもやや前方とやや後方に、はす向かいに配置される。そのため、これらの冷却器24、26により加熱された循環空気により、機械室43全体をほぼ均等に、かつ、効率的に温度上昇させることができる。ここで、特別高圧用の機器を内部に配置している特別高圧機器枠27は、内部に大きな発熱をする機器がないため、電気機関車10が長大トンネル内を走行する際、結露する懸念がある。しかし、図1に示すように、冷却器26が特別高圧機器枠27の近傍(例えば、正面)に設けられているため、冷却器26から排気される温風により、特別高圧機器枠27内の結露防止を図ることが可能である。
以上のことから、大きな電力増加、機器追加を伴わずに、結露に強い鉄道車両が得られる。
第1の実施形態では、代表的な例として交流電気車両を示したが、これに限らず、交直流鉄道車両、直流鉄道車両にも本実施形態を適用可能である。
図2で示したように、第1の実施形態では、電力変換装置用の熱交換器32と主変圧器用の熱交換器33の両方を通り抜けた内気を機械室43へ循環する構成を示しているが、これに限定するものではない。例えば、直流鉄道車両のように主変圧器を持たない鉄道車両の場合、電力変換装置22、23用の熱交換器32のみとなることがあるほか、機械室43の結露防止に必要な熱量によって、電力変換装置22、23からの排熱のみを利用する構成としてもよい。あるいは、パンタグラフを上げて補助電源装置が起動していれば、ある程度の熱量が期待できる主変圧器の排熱のみを利用する構成としてもよい。特に、主変圧器用の熱交換器33のみを利用する構成では、送風機57を運転せずに主変圧器30用の熱交換が可能になるため、騒音低減、電力節減にも貢献する。
次に、他の実施形態に係る鉄道車両について説明する。以下に述べる、他の実施形態において、第1の実施形態と同一の部分には、第1の実施形態と同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係る電気機関車の内部構造を示す平面図である。本実施形態によれば、電力変換装置22が機械室43のほぼ中央に配置され、冷却器24が電力変換装置の片側に配置されている機器配置を用いている。例えば、ディーゼル機関車において、エンジンを機械室中央に配置した場合も類似である。
上記の機器配置において、電力変換装置22の内部は、カバー内部の装置自体の温度上昇による結露防止効果が見込まれるが、冷却器24から機械室43内に温風を排気しただけでは、冷却器の周囲の空気温度が上昇するだけで、機械室全体の結露防止効果が小さい。そこで、本実施形態では、図6に示すように、機械室43の電力変換装置22の右側(電力変換装置22と特別高機器枠27との間)に第3仕切り壁40cを設け、運転室42a後方の仕切り壁40aと仕切り壁40cとで挟まれた第2機械室(第2収納室)43bを構成している。
第2機械室43b内において、特別高圧機器枠(第3電気機器)27の進行方向片側にファンヒータ74を設けている。ファンヒータ74は、第2機械室43bの空気を吸気して特別高圧機器枠27内に温風を送風する。その空気は、第2機械室43b内に排気され、この第2機械室43bを循環する。これにより、第2機械室43b全体の温度が上昇し、湿度が下がるとともに、特に絶縁劣化に注意が必要な特別高圧機器枠27内を結露から守ることを実現している。第2機械室43b内に、重要な保安装置75、76などを配置しておけば、その保安装置などの結露を防止することが可能となる。第2の実施形態は、冷却器が機械室内に配置されていない場合に、単独で機械室内に配置されている装置の結露防止対策としても有効である。
(第3の実施形態)
図7は、第3の実施形態に係る鉄道車両の要部を概略的に示す側面図である。本実施形態は、鉄道車両の床下に結露防止構造を適用した実施形態である。図7に示すように、一例として、車両床下で、車体台枠18に特別高圧機器箱78が艤装されている。特別高圧機器箱78内には、例えば、アレスタ(避雷器)79のような高圧電気機器が配置されている。特別高圧機器箱78の一側に、主変圧器30が接続されている。また、特別高圧機器箱78の他側の側壁80にファンヒータ82が取付けられている。ファンヒータ82は、その温風を特別高圧機器箱78内に送風することで、特別高圧機器箱78内部を昇温し結露を防止する。
もちろん、ファンヒータ82を特別高圧機器箱78の内部に配置することも状況によっては可能であるが、一般的には、機器箱を小型に設計するため、機器箱の内部は特別高圧の絶縁を確保できる最小寸法になっていることが多く、また、特別高圧の場合は、安全を確保するためにカバー類はインターロックによる鎖錠がなされている場合が一般的である。そのため、配置スペースの面、あるいは、保守性の面からも、ファンヒータ82を特別高圧機器箱78の外部に配置することのメリットが大きい。ただし、この場合、ファンヒータ82が長大トンネル内の空気を吸気しないよう、また、特別高圧機器箱内の空気を循環させるように、たとえば、ダクトによる流路を設けるとよい。あるいは、図7に示すような、床下カバー83でファンヒータ82を覆い、かつ、側壁80に設けられた連通口84を通して、特別高圧機器箱78内と床下カバー83内の空間とを連通してもよい。この場合、ファンヒータ82により、特別高圧機器箱78内と床下カバー83内で空気を循環させることでき、外気との空気の交換が小さい空間の空気を循環させることが効果的である。
第3の実施形態によれば、既存の機器箱にも結露防止対策構造を追設可能であり、また、機器箱の内部が複数の部屋に仕切られている場合には、必要に応じて、その部屋単位で小容量のファンヒータを配置することも可能である。ファンヒータが温度センサ付であれば、個別に温度設定も可能であり、さらに効果的である。
(第4の実施形態)
図8は、第4の実施形態に係る鉄道車両の要部を概略的に示す側面図である。前述した第3の実施形態において、床下カバー83がない車両に適用する場合には、図8に示すように、ファンヒータ82の周囲にカバー86を設けることで、既存の装置の基本設計を大きく変えずに結露防止対策構造を実現可能である。また、ファンヒータの大小は、外気の通風量に関連しないため、トンネル内の空気が装置内部に入る構成の場合は、ファンヒータ82の熱容量を大きくすることで、装置内の湿度を短時間で下げることができる。短時間で湿度を下げることができれば、装置内の結露が発生しないため、機器の故障を防止することが可能となる。
(第5の実施形態)
図9は、第5の実施形態に係る電気機関車の内部構造を示す断面図である。第5の実施形態は、車体の機械室43内において、床板20aの上に主電動機11用の送風機57が配置されている場合の実施形態である。
図9に示すように、車体17の床下には、図示しない台車に支持された主電動機11が設けられている。車体17の天井壁20cには吸気口56が形成され、この吸気口に送風機58が気密に接続されている。送風機58は、円筒形状のケーシング54、ケーシング内に支持されたモータ58a、モータにより回転される羽根(ブレード)58bを有している。ケーシング54は、吸気ダクトとしても機能する。また、機械室43内に鉛直方向に延びる通風ダクト88が設けられている。通風ダクト88の上端は、シール材89を挟んで送風機58のケーシング54の下端に気密に接続されている。通風ダクト88の下端は、床板20aに形成された排気口46に接続されている。更に、床下において、排気口46は、たわみ風道90、すなわち、鉛直方向に伸縮可能な風道、を通して、主電動機11に連通している。
通風ダクト88の中途部に排気ポート91が形成され、機械室43に開口している。また、通風ダクト88には、排気ポート91を開閉する閉塞板92が回動自在に取付けられ、更に、この閉塞板92を開閉するパイロットモータ93が取付けられている。また、送風機57およびパイロットモータ93に電力を供給する補助電源装置64が設けられている。機械室43内の温度を検出する温度センサ72からの温度検出信号、主電動機11の温度を検出する温度センサ94からの温度検出信号、更に、外部信号87が、補助電源装置64の制御装置に入力される。
一般に、機械室43内の夏季における温度上昇を抑制するため、あるいは、水や塵埃の侵入を抑制するために、機械室43を正圧にすることで機械室内の換気を行うことが多い。この場合、長大トンネル走行中にトンネル内の空気を機械室43内に押し込むと、車内が結露する。そのため、冬季は、作業者が通風ダクト88の排気ポート91を閉塞板92で閉塞するか、機械室43内の温度検出信号に応じて、パイロットモータ93により閉塞板92を駆動し、排気ポート91を閉塞することが結露防止に効果的である。
第5の実施形態によれば、送風機57を駆動することにより、吸気口56から外気を吸い込み、通風ダクト88、排気口46、およびたわみ風道90を通して、主電動機11に送り、外気により主電動機11を冷却する。また、送風する外気の一部は、機械室43の与圧用として、通風ダクト88の排気ポート91から分流して機械室内に排気される。吸気口56から採りこまれたトンネル内の空気は、湿度の高い空気であるため、機械室43に排気してしまうと、機械室内が結露する。
そこで、補助電源装置64の制御装置は、温度センサ94からの温度検出信号に応じて、送風機57の風量を制御する。すなわち、一般的には、機械室43の温度が高い場合にも、この温度が所定範囲内になるよう、送風機57の風量を制御する。さらに、湿度の高いトンネルに接近した、あるいは、走行中である、現在、冬季である、などの外部信号87を組み合わせて、制御装置は、これらの外部信号87を受けると、パイロットモータ93により閉塞板92を回動し、排気ポート91を閉塞しておく。このように、機械室43の温度検出信号による制御を用いることにより、万が一、機械室43内の温度が上昇しすぎた場合に換気するように制御することも可能であり、また、鉄道車両が寒冷地の長大トンネルから離れた温暖な地域を走行する場合にも、特に人手による閉塞板の切換などを行わずに、広域運用が可能である。
(第6の実施形態)
図10は、第6の実施形態に係る電気機関車の機械室内を示す断面図である。本実施形態は、主電動機用の送風機ではなく、専用の換気送風機(あるいは、与圧送風機)を用いる機械室を換気する実施形態である。図10に示すように、車両本体20の天井壁20cの一側に吸気口95が形成され、天井壁20cの他側に排気口96が形成されている。機械室43内において、床板20a上に補助回路機器98が設けられている。この補助回路機器98は、機械室43内に開口する排気口100および上方に開口する吸気口102を有している。
天井壁20cの吸気口95に吸気ダクト104が気密に接続され、この吸気ダクトと補助回路機器98との間に通風ダクト106が接続されている。通風ダクト106の上端は吸気ダクト104の下端に気密に接続され、通風ダクトの下端は補助回路機器98の吸気口102に気密に接続されている。そして、通風ダクト106内に送風機108が設けられている。また、吸気ダクト104は、機械室43内に開口する吸気口110を有している。
本実施形態は、補助回路機器98などの冷却を兼ねた形態であり、送風機108を駆動することにより、吸気口95から外気を取り入れ、補助回路機器98に送りこれを冷却した後、排気口100から機械室43内に排気する。この場合、補助回路機器98などを通過した空気は温度が上昇しているため、その温度においては湿度が下がっているが、除湿されているわけではないので、元の空気温度あるいは、さらに低い温度の品物に触れれば結露する。したがって、このように機械室43内に配置されている電気機器の発熱を利用して機械室43内の結露防止を図る場合には、必ず外気を採り入れる吸気口95と排気口96を閉塞し、吸気口110から機械室内の空気を吸気し、排気口97から機械室内に排気して、循環させるようにし、湿度の高い外気に触れないようにすることが必要である。
すなわち、多湿環境、例えば、長大トンネル内を通過する際、吸気口95と排気口96を閉じた状態で送風機108を作動し、吸気口110から機械室43内の空気を取り入れ、補助回路機器98に供給した後、排気口100から機械室43内に排気する。このように、補助回路機器98により加熱された内気を機械室43内に排気することにより、機械室43内を加熱することができ、車両内の温度と外気との温度差を低減し、機械室内における電気機器の結露を防止することができる。
なお、本実施形態において、補助回路機器98の代わりに、一例として、発熱量の大きいスクリュー式の空気圧縮機を機械室43内に配置してもよい。この場合でも、インタークーラの吸排気を冬季は機械室循環にして機械室内の温度上昇を補助することが可能である。しかし、車外から新鮮な空気を吸気すると長大トンネル内で結露する懸念があるため、夏季:車外から吸気して車外に排気、冬季:車内から吸気して車内へ排気とする必要がある。
また、他の一例として、ディーゼルエンジンなどを搭載している電気機関車などの場合には、このエンジンを運転して、冬季は機械室内循環にしてあるラジエタの排気を空気暖房用に用いることも可能である。ディーゼルエンジンを主の動力源とするディーゼル機関車などの場合にあっては、図2に示した冷却器と同様に、エンジンを冷却するための熱交換器の発熱を機械室へ循環させることも可能である。あるいは、バスの客室の暖房と同様に、ラジエターの温水をパイプで必要な場所へ引き回し、必要に応じて、送風機を兼ねた温水放熱器を用いる構成も可能である。また、機械室をヒートポンプ式のエアコンディショナで暖房することも可能である。
なお、いずれの場合も、特別高圧機器箱、あるいは、電気機器を囲む筐体、カバーに断熱性を持たせることで、一層効果的に結露発生を防止することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。更に、前述した複数の実施形態を適宜組合わせてもよい。
例えば、鉄道車両は、上述した交流電気機関車に限らず、電気式ディーゼル機関車等、他の鉄道車両に適用することができる。車体の床上に設置される発熱源は、電力変換装置に限らず、他の電気機器としてもよい。車体の床下に設置される機器は、主変圧器に限らず、他の電気機器としてもよい。
10…電気機関車、14…車輪、16…台車、17…車体、18…車体枠、
20…車両本体、20a…床板、20c…天井壁、22、23…電力変換装置、
24、26…冷却器、30…主変圧器、32、33…熱交換器、
38a、44a…第1通風領域、38b、44b…第2通風領域、
35…中間管座(セパレータ)、28、57、61…送風機、46、51…排気口、
54…吸気ダクト、56…吸気口、74、82…ファンヒータ、
78…特別高圧機器箱、

Claims (8)

  1. 収納室を有する車体と、
    前記収納室内に設けられ発熱源となる電気機器と、
    前記電気機器に接続され、前記電気機器を冷却するための冷媒を熱交換により冷却する冷却器であって、それぞれ冷却用の空気が通風する第1通風領域および第2通風領域を有する冷却器と、
    前記車体の外から外気を取り込み、前記冷却器の第1通風領域を通して通風し、前記第1通風領域を通過した外気を前記車体外に排気する外気通風機構と、
    前記収納室内の空気を前記冷却器の第2通風領域を通して通風し、前記第2通風領域を通過して加熱された空気を前記収納室内に排気する内気通風機構と、
    前記外気通風機構の風量および前記内気通風機構の風量を制御する制御装置と、
    を備える鉄道車両。
  2. 前記冷却器は、前記第1通風領域と第2通風領域とを気密に仕切るセパレータを備えている請求項1に記載の鉄道車両。
  3. 前記外気通風機構は、前記車体の天井壁に形成された吸気口と、前記吸気口に接続された一端と前記冷却器の第1通風領域に連通する他端とを有する吸気ダクトと、前記吸気ダクト内に設けられた送風機と、前記車体の床板に形成された排気口と、前記冷却器の第1通風領域を前記排気口に接続する排気ダクトと、を備えている請求項1又は2に記載の鉄道車両。
  4. 前記内気通風機構は、前記冷却器の第2通風領域に接続された送気口および前記収納室に開口する吸気口を有する送風機と、前記第2通風領域を通過した空気を前記収納室内に排気する排気口と、を備えている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の鉄道車両。
  5. 前記車体の床下に設けられた発熱源としての第2電気機器と、前記収納室内に配置されているとともに前記第2電気機器に接続され、前記第2電気機器を冷却するための冷媒を熱交換により冷却する第2冷却器と、を備え、
    前記第2冷却器は、冷却用の空気が通風する第1通風領域および第2通風領域と、を有し、前記第1通風領域および第2通風領域が前記冷却器の第1通風領域および第2通風領域とそれぞれ気密に連通するように、前記冷却器に隣接して配置され、
    前記外気通風機構は、前記冷却器の第1通風領域および第2冷却器の第1通風領域を通して外気を通風し、前記内気通風機構は、前記冷却器の第2通風領域および第2冷却器の第2通風領域を通して前記収納室内の空気を通風する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の鉄道車両。
  6. 前記車体は、前記収納室から仕切られた第2収納室を備え、
    前記第2収納室内に設置された第3電気機器と、前記第2収納室内の空気を加熱して前記第3電気機器に供給するファンヒータと、を更に備える請求項1ないし5のいずれか1項に記載の鉄道車両。
  7. 前記車体の床下に設置された高圧機器箱と、この高圧機器箱内に設置された高圧電気機器と、前記高圧機器箱の側壁に取付けられ、前記高圧機器箱内に温風を送風するファンヒータと、を更に備える請求項1ないし6のいずれか1項に記載の鉄道車両。
  8. 前記ファンヒータは、前記高圧機器箱の前記側壁外面側に設けられ、
    前記ファンヒータを覆う床下カバーを更に備え、前記床下カバーにより、前記ファンヒータを収納し、かつ、前記高圧機器箱内に連通する空間を形成している請求項7に記載の鉄道車両。
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